(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】インプラント用三次元格子構造
(51)【国際特許分類】
A61L 27/18 20060101AFI20240520BHJP
A61L 27/56 20060101ALI20240520BHJP
A61L 27/50 20060101ALI20240520BHJP
A61L 27/36 20060101ALI20240520BHJP
A61F 2/44 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
A61L27/18
A61L27/56
A61L27/50
A61L27/36 311
A61F2/44
(21)【出願番号】P 2019553882
(86)(22)【出願日】2018-01-22
(86)【国際出願番号】 US2018014720
(87)【国際公開番号】W WO2018182834
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-01-21
(32)【優先日】2017-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518436928
【氏名又は名称】ナノハイブ メディカル エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179903
【氏名又は名称】福井 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー レイン
(72)【発明者】
【氏名】イアン ヘルマー
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス ディール
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン ティンリー
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン ディー シャピュイス
(72)【発明者】
【氏名】ジョン エフ サリバン
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0325129(US,A1)
【文献】特表2013-502285(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0211533(US,A1)
【文献】登録実用新案第3184817(JP,U)
【文献】米国特許第05615528(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0027425(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0095337(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0282443(US,A1)
【文献】特表2013-504354(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/121776(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 27/56
A61L 27/50
A61L 27/36
A61L 27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの隣接する骨構造の間に埋め込むように構成された医療用インプラント用の多孔質構造であって、
前記2つの隣接する骨構造の間に延在し前記2つの隣接する骨構造の間
に機械的間隔を提供するように構成された三次元格子構造であって、ノード及び前記ノードから径方向に延在する複数のストラットによってそれぞれ画定される複数の繰り返し単位セルと、前記三次元格子構造の体積内に配置された1つ以上の流体的に相互接続された開口部とを有する、三次元格子構造と、
前記2つの隣接する骨構造に交差するように構成された主軸と、
前記主軸から90度以内の荷重方向と、を有し、
前記多孔質構造のx軸に沿った弾性係数よりも前記荷重方向に沿った弾性係数が低く、前記x軸が前記主軸に垂直であり、少なくとも1つの単位セルが
、前記荷重方向に垂直な方向に伸長することにより、伸長方向の前記多孔質構造のせん断強度が増加して
おり、
前記少なくとも1つの単位セルは、前記伸長方向に沿った剛性が1つ以上の他の方向に沿った剛性に対して増加しており、当該剛性は、前記単位セル内に含まれるストラットの厚さに依存する、医療用インプラント用の多孔質構造。
【請求項2】
前記少なくとも1つの単位セルは、放射状菱形十二面体構造と、菱形十二面体構造と、の少なくとも1つを有する、請求項1に記載の多孔質構造。
【請求項3】
前記格子構造は、前記荷重方向に沿った0.3GPa以上12GPa以下の弾性係数と、前記x軸に沿った2GPa以上25GPa以下の弾性係数と、少なくとも1つの方向における0.375GPa以上4GPa以下の弾性係数と、の少なくとも1つを有する、請求項1に記載の多孔質構造。
【請求項4】
前記多孔質構造は、患者の体内での埋め込み時に前記主軸が患者の脊椎の前弯に従うように構成されている、請求項3に記載の多孔質構造。
【請求項5】
前記多孔質構造は、圧縮せん断強度と、300N以上660N以下の圧縮せん断降伏荷重と、300N以上15000N以下の圧縮せん断荷重と、静荷重および5Hzで最大5,000,000サイクルの動荷重における300N以上15000N以下の軸荷重と、最大15Nmのねじり降伏荷重と、の少なくとも1つを有する、請求項1に記載の多孔質構造。
【請求項6】
前記三次元格子構造は、5%以上40%以下の体積密度と、30%以上38%以下の体積密度と、32%以上38%以下の体積密度と、の少なくとも1つを有する、請求項1に記載の多孔質構造。
【請求項7】
前記少なくとも1つの単位セルは、前記伸長方向に垂直な方向に沿った弾性係数が減少している、請求項
1に記載の多孔質構造。
【請求項8】
前記x軸に垂直なy軸を有し、前記単位セルが前記x軸及び前記y軸に沿って伸長することにより、前記主軸に沿った前記多孔質構造の長さが、前記x軸に沿った前記多孔質構造の長さよりも短い、請求項1に記載の多孔質構造。
【請求項9】
2つの隣接する骨構造の間に埋め込むように構成された医療用インプラント用の多孔質構造であって、
前記2つの隣接する骨構造の間に延在し前記2つの隣接する骨構造の間
に機械的間隔を提供するように構成された三次元格子構造であって、ノード及び前記ノードから径方向に延在する複数のストラットによってそれぞれ画定される複数の繰り返し単位セルと、前記三次元格子構造の体積内に配置された1つ以上の流体的に相互接続された開口部とを有する、三次元格子構造と、
前記2つの隣接する骨構造に交差するように構成された主軸と、
前記主軸から90度以内の荷重方向と、を有し、
少なくとも1つの単位セルが
、前記荷重方向に垂直な方向に伸長することにより、伸長方向の前記多孔質構造のせん断強度が増加して
おり、
前記少なくとも1つの単位セルは、前記伸長方向に沿った剛性が1つ以上の他の方向に沿った剛性に対して増加しており、当該剛性は、前記単位セル内に含まれるストラットの厚さに依存する、医療用インプラント用の多孔質構造。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2017年4月1日出願の米国仮特許出願第62/480,388号、2017年4月1日出願の米国仮特許出願第62/480,393号および2018年1月19日出願の米国仮特許出願第62/619,260号に基づく優先権を主張するものであり、それらの全体を参照により本明細書に援用する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、医療用インプラントで使用される構造に関し、特に、三次元格子または足場として特徴付けられる構造に関する。
【背景技術】
【0003】
医療用インプラントは、金属材料、ポリエーテルエーテルケトン(以下「PEEK」)、セラミック材料、その他のさまざまな材料またはそれらの複合材料を含む幅広い材料を使用して構築され得る。インプラントが規制試験に合格するようにインプラントの材料を選択する場合、競合する優先事項が存在する。インプラントを設計する際の優先事項には、強度、剛性、耐疲労性、放射線透過性、生体活性が含まれ得る。それゆえ、規制基準を満たすようにインプラントを設計する場合、すべてのテスト要件を満たすためにしばしばいくつかの妥協をしなければならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの実施形態において、本発明は、医療用インプラントを含む用途で有用な格子構造を提供する。本発明はまた、医療用インプラントに使用され得る異方性特性を有する格子構造、および使用方法を提供し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される格子構造を使用して、構造的支持または機械的間隔を提供し得る。他の実施形態では、本明細書に開示される格子構造は、骨成長のための足場を提供し得る。
【0005】
本明細書に記載される構造は、追加の表面処理またはコーティングを伴う、もしくは伴わない、幅広い材料から構築されてもよい。いくつかの実施形態において、格子構造は繰り返し幾何学的パターンを使用することができ、その場合、単位セルは一定体積にわたって繰り返され得る。開示されているいくつかの単位セルには、変形菱形十二面体単位セルおよび放射状菱形十二面体単位セルが含まれる。
【0006】
本明細書で開示される実施形態は医療用インプラント向であるが、開示される構造は、体積密度に比して高い強度を求められる体外の医療用デバイスで使用される場合にも有益となり得る。本明細書に記載の1つ以上の実施形態を含み得る他の医療用デバイスには、外部ギプスまたは副木、人工器官、装具、ポート、ガイド、マーカー、上部構造、または外骨格が含まれ、これらに限定されない。
【0007】
特に、海綿骨は異方性の特性を有し、さまざまな方向においてさまざまな機械的特性を有する。たとえば、脊椎の骨は吻側―尾側方向により硬くなり得、その結果、骨を前後方向に折るような荷重は、吻側―尾側方向に弾性変形を引き起こすのみとなる。インプラントの特性をインプラント部位の周囲の骨に一致させることは重要である。強度や剛性の不一致は、新しい骨成長の強度に影響を与え得るからである。ウォルフの法則によれば、骨は時間の経過とともに骨にかかる生理的ストレスに適応し、負荷がかかるとそれに応じて強くなり、負荷がかからないと弱くなる。それゆえ、新しい骨形成が受ける負荷が低下すると、新しい骨形成の機械的強度が低下し得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、本発明は、異方性特性を有する生体適合構造および使用方法を提供する。特に、本発明のいくつかの実施形態は、一方向に一の弾性係数を有し、別の方向に少なくとも第2の弾性係数を有することを特徴とし得る。本明細書で使用される方向は、x軸およびy軸が水平であり、z軸が垂直である三次元デカルト座標に関連して使用される(本明細書では、x、yおよびz「方向」とも呼ばれる)。弾性係数は、あらゆる種類の格子、インプラント、または構造を説明するために使用される場合において、設計弾性係数または実際の弾性係数の両方、もしくはいずれかを指す。格子、インプラント、または構造の設計弾性係数は、その構造構成と材料組成に基づいて計算された弾性係数である。実際の弾性係数とは、製造後の格子、インプラント、または構造の弾性係数を指す。実際の弾性係数は、製造公差の範囲内での変更または変動により、設計の弾性係数と異なり得る。たとえば、製造中に許容範囲内で過剰に構築された格子、インプラント、または構造は、設計弾性係数よりも高い実際の弾性係数を有し得る。多くの場合、補正係数を使用して実際の弾性係数を計算し得、おおよその実際の弾性係数を概算し得る。おおよその実際の弾性係数は一般的に、製造された物品の試験が完了していない場合に、格子、インプラント、または構造における予想される実際の弾性係数を定量化するものである。あらゆる種類の格子、インプラント、または構造は、設計弾性係数を使用して、または補正係数の適用により実際の弾性係数に近似して、容易に設計できるため、ここでの「弾性係数」という用語は、設計値とパラメータの両方またはいずれかを指す。
【0009】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、骨成長のための足場として有用であり得る。いくつかの例では、足場は構造的であり得、それは、それらが構造的支持または機械的間隔を提供することを意味し、他の例では足場は非構造的であり得る。構造的な足場を使用する例では、材料は、自然に発生する骨の特性をより厳密に模倣する支持体を提供し得る。例えば、海綿骨は異方性特性を有しており、本明細書に開示されているように、脊椎を含む領域における骨成長足場として、異方性特性を有する格子構造を使用することが適切となり得る。本発明は、少なくとも2つの方向に異なる機械的特性を有する骨成長用の足場が望ましい、他の用途にも使用され得る。別の例では、足場が、1つ以上の遮蔽方向または剛性の増加方向ではなく、1つ以上の剛性の低い方向へ骨に荷重をかけて、荷重方向の優先的な骨成長を促進することが望ましい場合がある。
【0010】
本出願で提示される例示的な実施形態の多くは、脊椎の骨の足場として使用するために最適化されているが、本発明は、本明細書で表される本発明の概念内の他のタイプの骨および他のタイプの組織で使用されことを理解されたい。
【0011】
1つの例示的な実施形態における異方性格子構造は、z軸に対してx軸およびy軸方向に伸長変形菱形十二面体格子である。伸長変形菱形十二面体格子は、ストラットによって画定される単一のセルとして表され、追加のストラットがセルから延在し、繰り返し構造の一部を示す。単位セルは、格子構造で繰り返されて、所望の体積および機械的特性のオープンセル構造を実現してもよい。
【0012】
第2の例示的な実施形態における異方性格子は、z軸に対してx軸およびy軸方向に伸長した3つの伸長変形菱形十二面体セルのグループである。グループは、ストラットで画定された3つの単位セルとして表され、スタック構造で、追加のストラットがセルから延在し、繰り返し構造の一部を示す。
【0013】
本発明の開示された実施形態は、応力遮蔽を低減する方法で使用され得る。脊椎固定処置において、応力遮蔽を減らすことは特に有益である。本発明の異方性単位セルを繰り返して、脊椎固定処置で使用するための異方性格子または足場を形成することができる。異方性格子は、隣接する脊椎の終板間に機械的間隔を提供し得、骨成長のための足場を提供し得る。本発明の異方性特性は、上下方向の弾性係数を小さくすることを可能にし得、新しい骨の成長が耐荷重脊椎の生理的力を受けることを可能にし得る。応力遮蔽の減少は、より強い新しい骨成長をもたらし得る。
【0014】
異方性特性により、骨の成長の1つ以上の方向の剛性が低下する可能性がある一方で、軸外の生体力学的荷重およびデバイスのテストに必要な荷重の1つ以上の方向に、必要な剛性が得られる可能性がある。単位セルを一方向に引き伸ばすと、伸びによってストラットの角度が変化し、伸びに垂直な方向における単位セルの剛性が低下する。
本発明の一態様は以下のとおりである。
[1]
医療用インプラント用の多孔質構造であって、
繰り返し単位セルを備え、前記繰り返し単位セルは複数のサブ単位セルを備え、
前記サブ単位セルは、直方体体積内の中央に位置するノードを備え、
前記直方体体積は、さらに6つの面を備え、
前記ノードは、8つのノード面と前記直方体体積の面に平行な正方形平面とを有する双四角錐をさらに備え、
前記サブ単位セルは、前記ノード面の1つに固定された第1ストラットをさらに備える、医療用インプラント用の多孔質構造。
[2]
前記ノードは、6つの頂点をさらに備え、
前記ノードは、前記6つの頂点のそれぞれが前記直方体体積の前記6つの面のそれぞれに可能な限り最も近い位置に配置されるように配向される、[1]に記載の多孔質構造。
[3]
前記第1ストラットは、伸長形であり、その軸中心と交差するストラット方向を有し、
前記直方体体積は、3つの直方体体積面の交点によってそれぞれ画定される8つの角部をさらに備え、
前記第1ストラットは、その近位端で第1ノード面に固定され、その遠位端で前記第1ノード面に最も近い前記直方体体積の角部に固定される、[2]に記載の多孔質構造。
[4]
前記第1ストラットのストラット方向は、前記ノードの中心および前記直方体体積の角部と交差する、[3]に記載の多孔質構造。
[5]
前記第1ストラットのストラット方向は、前記直方体体積の角部と交差する、[3]に記載の多孔質構造。
[6]
直方体体積面は、基準面を画定し、前記第1ストラットのストラット方向は、基準面から0度から90度の間である、[3]に記載の多孔質構造。
[7]
直方体体積面は、基準面を画定し、前記第1ストラットのストラット方向は、基準面から8度以上30度以下である、[3]に記載の多孔質構造。
[8]
前記ノードは、100%の体積密度を有する、[1]に記載の多孔質構造。
[9]
前記第1ストラットは、6つの実質的に相似の伸長面と2つの端面との伸長部を備える八面体をさらに備え、
前記伸長面は、第1の内角である角度Aと第2の内角である角度Bを有する二等辺三角形であり、
角度Bは角度Aより大きく、
前記2つの端面は、第1の内角である角度Cと第2の内角である角度Dを有する実質的に相似の二等辺三角形であり、
角度Dは角度Cより大きく、
角度Cは角度Aよりも大きい、
[1]に記載の多孔質構造。
[10]
前記第1ノード面は、前記ノードの下半分に位置し、
前記サブ単位セルは、第2ストラットをさらに備え、前記第2ストラットはその近位端で第2ノード面に固定され、前記第2ストラットはその遠位端で前記第2ノード面に最も近い前記直方体体積の角部に固定され、前記第2ノード面は、前記ノードの下半分および前記第1ノード面の反対側に位置し、
前記サブ単位セルは、第3ストラットをさらに備え、前記第3ストラットはその近位端で第3ノード面に固定され、前記第3ストラットはその遠位端で前記第3ノード面に最も近い前記直方体体積の角部に固定され、前記第3ノード面は、前記ノードの上半分および前記第1ノード面から約90度横方向に位置し、
前記サブ単位セルは、第4ストラットをさらに備え、前記第4ストラットは、その近位端で第4ノード面に固定され、前記第4ストラットは、その遠位端で前記第4ノード面に最も近い前記直方体の角部に固定され、前記第4ノード面は、前記八面体体積の上半分および前記第3ノード面の反対側に位置する、[9]に記載の多孔質構造。
[11]
前記単位セルは、4つのサブ単位セルの第1のグループを備え、前記第1のグループは、4つのサブ単位セルの第2のグループに固定され、
前記第1のグループは、上から見て長方形になるように横方向に配置および固定された4つの実質的に相似のサブ単位セルを備え、
前記第2のグループは、前記第1のグループに対して反転され、上から見て長方形になるように横方向に配置および固定された4つの実質的に相似のサブ単位セルを備える、[10]に記載の多孔質構造。
[12]
前記ノードは、100%未満の体積密度を有する、[1]に記載の多孔質構造。
[13]
医療用インプラント用の多孔質構造であって、
直方体体積内に繰り返し単位セルを備え、
前記直方体体積は、ストラットによって画定される格子構造を含み、
前記ストラットはストラット方向を有し、頂点で交差し、
前記ストラットの前記ストラット方向は、菱形開口部を画定し、
前記頂点は、前記菱形開口部の角部を画定し、各頂点は、前記頂点で交差する2つのストラットのストラット方向によって画定される内角を有し、
菱形開口部は、横方向分離角度に等しい2つの内角を有し、
前記横方向分離角度は、109.5度から180度の間である、医療用インプラント用の多孔質構造。
[14]
前記格子構造は、菱形十二面体を備える、[13]に記載の多孔質構造。
[15]
前記格子構造は、放射状菱形十二面体を備える、[13]に記載の多孔質構造。
[16]
前記横方向分離角度は、111度以上120度以下である、[13]に記載の多孔質構造。
[17]
菱形開口部の頂点の1つで内角を二等分する線は、第1荷重方向に垂直であり、前記第1荷重方向における前記多孔質構造の弾性係数は、0.375GPa以上4GPa以下であり、前記多孔質構造の体積密度は、5%以上40%以下の間である、[13]に記載の多孔質構造。
[18]
前記弾性係数は、設計弾性係数である、[17]に記載の多孔質構造。
[19]
前記弾性係数は、実際の弾性係数である、[17]に記載の多孔質構造。
[20]
30%以上38%以下の体積密度をさらに備える、[19]に記載の多孔質構造。
[21]
前記格子構造は、前記菱形十二面体から放射状に延在し前記直方体体積内に含まれるストラットをさらに備える、[14]に記載の多孔質構造。
[22]
菱形開口部の頂点の一つで内角を二等分する線が第1荷重方向に垂直であり、
前記第1荷重方向からオフセットされた角度に配向する第2荷重方向をさらに備え、
前記第1荷重方向に沿った弾性係数は、0.3GPa以上12GPa以下であり、
第2荷重方向に沿った弾性係数は、2GPa以上25GPa以下であり、
前記第1荷重方向に沿った前記弾性係数は、第2荷重方向に沿った前記弾性係数よりも低い、[13]に記載の多孔質構造。
[23]
医療用インプラント用の格子構造であって、
組織の内部成長を促進するように構成された格子構造を備え、
前記格子構造は、組織の少なくとも2つの領域間に単独の第一機械的間隔を提供し、
前記格子構造は、繰り返し単位セルを備え、
前記格子構造は、多数の開口部を画定し、
開口部の第1のグループである開口部Aは、およそ幅Aである幅を有し、
開口部の第2のグループである開口部Bは、およそ幅Bである幅を有し、
幅Bは幅Aより大きく、
前記開口部Bは、前記格子構造の開口部Aあたり約1:1から1:25の比率で含まれ、
前記組織の領域は、埋め込み時に前記インプラントの近傍にある組織または前記インプラントに隣接する組織の一部である、医療用インプラント用の格子構造。
[24]
前記単位セルは、アモルファス体積内のストラットによって画定される菱形十二面体構造をさらに備える、[23]に記載の格子構造。
[25]
前記単位セルは、アモルファス体積内のストラットによって画定される放射状菱形十二面体構造をさらに備える、[23]に記載の格子構造。
[26]
前記格子構造は、5%以上40%以下の体積密度を有する、[23]に記載の格子構造。
[27]
前記組織領域は、骨構造を備える、[23]に記載の格子構造。
[28]
前記格子構造は、30%以上38%以下の体積密度を有し、前記開口部Bは、前記格子構造の開口部Aあたり約1:8から1:12の比率で含まれる、[23]に記載の格子構造。
[29]
前記格子構造は、0.375GPa以上4GPa以下の弾性係数を有する、[23]に記載の格子構造。
[30]
前記格子構造は、静荷重および5Hzで最大5,000,000サイクルの動荷重において、300N以上15000N以下のせん断降伏荷重と圧縮降伏荷重とを有する、[23]に記載の格子構造。
[31]
幅Aは200μm以上900μm以下であり、幅Bは幅Aの1倍から15倍の大きさである、[23]に記載の格子構造。
[32]
前記格子構造は、最大15Nmのねじり降伏荷重を有する、[23]に記載の格子構造。
[33]
前記格子構造は、5%から40%の体積密度と、0.375MPa以上4GPa以下の弾性係数と、静荷重および5Hzで最大5,000,000サイクルの動荷重における300N以上15000N以下の圧縮せん断強度および軸荷重と、を有する、[23]に記載の格子構造。
[34]
前記格子構造は、32%から38%の体積密度と、2.5MPa以上4GPa以下の弾性係数と、静荷重および5Hzで最大5,000,000サイクルの動荷重における300N以上15000N以下のせん断強度および軸荷重と、を有する、[23]に記載の格子構造。
[35]
前記格子構造は、32%から38%の体積密度と、2.5MPa以上4GPa以下の弾性係数と、静荷重および5Hzで最大5,000,000サイクルの動荷重における300N以上15000N以下の圧縮せん断強度および軸荷重と、を有し、前記単位セルはアモルファス体積内のストラットによって画定される菱形十二面体構造をさらに備える、[23]に記載の格子構造。
[36]
前記格子構造は、32%から38%の体積密度と、2.5MPa以上4GPa以下の弾性係数と、静荷重および5Hzで最大5,000,000サイクルの動荷重における300N以上15000N以下の圧縮せん断強度および軸荷重と、を有し、前記単位セルはアモルファス体積内のストラットによって画定される放射状菱形十二面体構造をさらに備える、[23]に記載の格子構造。
[37]
医療用インプラント用の格子構造であって、
ストラットを備える格子構造を備え、
前記格子構造は、0.375GPaから4GPaである第1の方向の弾性係数を有し、
前記格子構造は、所望の骨成長の体積にわたって単独の機械的間隔を提供するように構成され、所望の骨成長のための前記体積は、少なくとも2つの骨構造の近傍の、または少なくとも2つの骨構造に隣接する任意の領域であり、
前記ストラットは、前記格子構造の体積全体に開口部を画定し、
開口部の第1のグループである開口部Aは、骨芽細胞の内部成長を促進するように構成された複数の前記開口部を備え、
開口部の第2のグループである開口部Bは、骨単位の内部成長を促進するように構成された複数の前記開口部を備える、医療用インプラント用の格子構造。
[38]
前記格子構造は、ストラットによって画定される菱形十二面体構造を含む所定のアモルファス体積の繰り返し単位セルをさらに備える、[37]に記載の格子構造。
[39]
前記格子構造は、ストラットによって画定される放射状菱形十二面体構造を含む所定のアモルファス体積の繰り返し単位セルをさらに備える、[37]に記載の格子構造。
[40]
前記格子構造は、5%以上40%以下の体積密度を有する、[37]に記載の格子構造。
[41]
前記2つの骨構造は、1つの連続骨セグメントの一部である、[37]に記載の格子構造。
[42]
前記格子構造は30%以上38%以下の体積密度を有し、前記開口部Aは約200μmから900μmの実質的に均一な幅を有し、前記開口部Bは前記開口部Aの幅の約1倍から15倍である実質的に均一な幅を有する、[37]に記載の格子構造。
[43]
前記格子構造は、静荷重および5Hzで最大5,000,000サイクルの動荷重における300N以上15000N以下のせん断降伏荷重を有する、[37]に記載の格子構造。
[44]
前記格子構造は、静荷重および5Hzで最大5,000,000サイクルの動荷重における300N以上15000N以下の圧縮降伏荷重を有する、[37]に記載の格子構造。
[45]
前記格子構造は、最大15Nmのねじり降伏荷重を有する、[37]に記載の格子構造。
[46]
前記格子構造が、32%から38%の体積密度と、2.5GPa以上4GPa以下の弾性係数と、静荷重および5Hzで最大5,000,000サイクルの動荷重における300N以上15000N以下のせん断強度および軸荷重とを有し、前記開口部Aは、約200μmから900μmの実質的に均一な幅を備え、前記開口部Bは、前記開口部Aの幅の約1倍から15倍の実質的に均一な幅を備え、複数の開口部Aが前記格子構造に設けられ、複数の開口部Bは、前記格子構造中に開口部Aの数に対して約1:8から1:12の比率で設けられている、[37]に記載の格子構造。
[47]
医療用インプラント用の多孔質構造であって、
体積内のストラットによって画定される繰り返し単位セルを備え、
前記体積は、主軸に沿った長さを有し、
前記体積は、前記主軸に垂直なx軸に沿った長さを有し、
前記体積は、前記x軸に垂直であるy軸に沿った長さを有し、前記体積は、主軸から90度以内の荷重方向を有し、
前記多孔質構造は、x軸に沿った弾性係数よりも荷重方向に沿った弾性係数が低い、医療用インプラント用の多孔質構造。
[48]
前記多孔質構造は、y軸に沿った弾性係数よりも荷重方向に沿った弾性係数が低い、[47]に記載の多孔質構造。
[49]
x軸およびy軸に沿って固定された均一な繰り返し単位セルの複数の層をさらに備え、
少なくとも1つの層は、隣接する層よりも高い荷重方向に沿った弾性係数を有する、[47]に記載の多孔質構造。
[50]
各層の荷重方向が脊椎の前弯方向に従う、[49]に記載の多孔質構造。
[51]
前記繰り返し単位セルは、菱形十二面体構造をさらに備える、[47]に記載の多孔質構造。
[52]
前記繰り返し単位セルは、放射状菱形十二面体構造をさらに備える、[47]に記載の多孔質構造。
[53]
前記多孔質構造は、0.3GPa以上12GPa以下の荷重方向における弾性係数を有し、
前記多孔質構造は、2GPa以上25GPa以下のx軸に沿った弾性係数を有し、
前記荷重方向の弾性係数は、前記x軸に沿った弾性係数よりも低い、[47]に記載の多孔質構造。
[54]
前記主軸に沿った長さが、前記x軸に沿った長さよりも短い、[47]に記載の多孔質構造。
[55]
前記主軸に沿った長さが、前記y軸に沿った長さよりも短い、[54]に記載の多孔質構造。
[56]
前記x軸に沿った長さが、前記y軸に沿った長さとほぼ同じである、[55]に記載の多孔質構造。
[57]
前記多孔質構造は、5%以上40%以下の体積密度を有する、[47]に記載の多孔質構造。
[58]
前記主軸は、骨成長の所望の方向であり、前記骨成長の所望の方向は、骨構造から離れる骨成長の方向である、[47]に記載の多孔質構造。
[59]
前記多孔質構造が、30%以上38%以下の体積密度を有する、[47]に記載の多孔質構造。
[60]
前記多孔質構造は、0.375GPa以上4GPa以下の弾性係数を有する、[47]に記載の多孔質構造。
[61]
前記多孔質構造は、静荷重および5Hzで最大5,000,000サイクルまでの動荷重における300N以上15000N以下の圧縮せん断強度と軸荷重とを有する、[47]に記載の多孔質構造。
[62]
前記多孔質構造は、最大15Nmのねじり降伏荷重を有する、[47]に記載の多孔質構造。
[63]
前記多孔質構造は、5%から40%の体積密度と、0.375MPa以上4GPa以下の弾性係数と、静荷重および5Hzで最大5,000,000サイクルの動荷重における300N以上15000N以下の圧縮せん断強度および軸荷重と、を有する、[47]に記載の多孔質構造。
[64]
前記多孔質構造は、32%から38%の体積密度と、2.5MPa以上4GPa以下の弾性係数と、静荷重および5Hzで最大5,000,000サイクルの動荷重における300N以上15000N以下の圧縮せん断強度および軸荷重と、を有する、[47]に記載の多孔質構造。
[65]
医療用インプラント用の格子構造であって、
骨の内部成長を促進するように構成された格子構造を備え、
前記格子構造は、骨成長が望まれる少なくとも2つの骨構造の間の領域に埋め込まれるように構成され、
前記骨構造は、埋め込み時に格子構造の近傍にある、または格子構造に隣接する、患者組織の一部であり、
前記2つの骨構造の両方と交差する主軸と、
前記主軸の90度以内の荷重軸と、を備え、
前記格子構造は、前記2つの骨構造の間に単独の機械的間隔を提供するように構成され、
前記荷重軸と交差する第2荷重軸を備え、
前記格子構造は、前記第2荷重軸に沿った弾性係数よりも前記荷重軸に沿った弾性係数が低い、医療用インプラント用の格子構造。
[66]
前記格子構造は、菱形十二面体構造をさらに備える、[65]に記載の格子構造。
[67]
前記格子構造は、放射状菱形十二面体構造をさらに備える、[65]に記載の格子構造。
[68]
前記格子構造は、0.3GPa以上12GPa以下の前記荷重軸に沿った弾性係数を有し、
前記格子構造は、2GPa以上25GPa以下の前記第2荷重軸に沿った弾性係数を有し、
前記荷重軸に沿った前記弾性係数は、前記第2荷重軸に沿った前記弾性係数より低い、[65]に記載の格子構造。
[69]
前記格子構造は、荷重軸に沿った長さおよび第2荷重軸に沿った長さを有する繰り返し単位セルをさらに備え、前記荷重軸に沿った長さは、前記第2荷重軸に沿った長さより短い、[65]に記載の格子構造。
[70]
前記格子構造は、5%以上40%以下の体積密度を有する、[65]に記載の格子構造。
[71]
前記2つの骨構造は、1つの連続骨セグメントの一部である、[65]に記載の格子構造。
[72]
前記格子構造は、30%以上38%以下の体積密度を有する、[65]に記載の格子構造。
[73]
前記格子構造は、0.375GPa以上4GPa以下の荷重軸に沿った弾性係数を有する、[65]に記載の格子構造。
[74]
前記格子構造は、静荷重および5Hzで最大5,000,000サイクルの動荷重において300N以上15000N以下のせん断降伏荷重と圧縮降伏荷重と、を有する、[65]に記載の格子構造。
[75]
前記格子構造は、最大15Nmまでのねじり降伏荷重を有する、[65]に記載の格子構造。
[76]
前記格子構造は、5%から40%の体積密度と、0.375MPa以上4GPa以下の弾性係数と、300N以上660N以下の圧縮せん断降伏荷重と、300N以上15000N以下の圧縮降伏荷重と、を有する、[65]に記載の格子構造。
[77]
前記格子構造は、32%から38%の体積密度と、2.5GPa以上4GPa以下の弾性係数と、静荷重および5Hzで最大5,000,000サイクルの動荷重における300N以上15000N以下のせん断強度および軸荷重と、を有する、[65]に記載の格子構造。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図A1】隣接する単位セルの一部を構成する放射状ストラットを有する完全変形菱形十二面体構造を含む、単一の変形菱形十二面体単位セルの等角図である。
【
図A2】横方向から見たときの相互接続部の構成を示す、単一の変形菱形十二面体単位セルの側面図である。
【
図A3】中央の空隙が最長寸法法を使用して測定された、単一の変形菱形十二面体単位セルの側面図である。
【
図A4】相互接続部が最長寸法法を使用して測定された、単一の変形菱形十二面体単位セルの側面図である。
【
図A5】最大球法で測定された、変形菱形十二面体単位セルの中央空隙の側面図である。
【
図A6】最大球法で測定された、相互接続部の平面方向に垂直な方向から見た図である。
【
図A7】単一の放射状菱形十二面体単位セルの等角図である。
【
図A8】単一の放射状菱形十二面体単位セルの側面図である。
【
図A9】放射状菱形十二面体単位セルで使用され得る、単一ノードと単一ストラットの組み合わせの例の等角図である。
【
図A10】放射状菱形十二面体単位セルで使用され得る、単一ノードと単一ストラットの組み合わせの例の側面図である。
【
図A11】弾性係数が約3GPaの格子で使用するように構成された単一ノードと単一ストラットの組み合わせの側面図であり、組み合わせの境界を画定する体積の角部から見たものである。
【
図A12】弾性係数が約4GPaの格子で使用するように構成された単一ノードと単一ストラットの組み合わせの側面図であり、組み合わせの境界を画定する体積の角部から見たものである。
【
図A13】弾性係数が約10GPaの格子で使用するように構成された単一ノードと単一ストラットの組み合わせの側面図であり、組み合わせの境界を画定する体積の角部から見たものである。
【
図A14】組み合わせの境界と横方向の分離角度を画定する体積の角部から見た、単一のノードと2つの隣接するストラットの側面図である。
【
図A15】単一のノードと4つのストラットで構成されるサブ単位セルの等角図である。
【
図A16】A16は、上部サブ単位セルが反転され、下部サブ単位セルの上部に固定された、スタック構成の2つのサブ単位セルの等角図である。
【
図A17】単一の単位セルを形成するために積み重ねられた8つのサブ単位セルの等角図である。
【
図4】異方性の格子構造の第1の例示的な実施形態の等角図である。
【
図5】伸長変形菱形十二面体格子を示す、異方性の格子構造の第1の例示的な実施形態の正面図である。
【
図6】伸長変形菱形十二面体格子を示す、異方性の格子構造の第1の例示的な実施形態の底面図である。
【
図7】他の伸長変形菱形十二面体格子を示す、異方性格子構造の第2の例示的な実施形態の等角図である。
【
図8】他の伸長変形菱形十二面体格子を示す、異方性格子構造の第2の例示的な実施形態の正面図である。
【
図9】他の伸長変形菱形十二面体格子を示す、異方性格子構造の第2の例示的な実施形態の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
多くの状況において、経時的に骨の付着または骨統合が可能なインプラントを使用することが望ましい。また、多くの状況で、生体組織への付着または統合が可能なインプラントを使用することも望ましい。骨への付着または骨統合が有益なインプラントの例には、頸部、腰部、および胸椎用の椎体固定インプラント、椎体置換用、骨切除用ウェッジ、歯科用インプラント、骨幹、寛骨臼カップ、頭蓋顔面プレーティング、骨置換用および骨折用プレーティングが含まれ、これらに限定されない。多くの用途では、新しい骨成長に負荷をかけてその強度を高めることも望ましい。ウォルフの法則によれば、骨はそれに加わるストレスに適応するため、ストレスを受けている骨はより強く成長し、ストレスを受けていない骨はより弱くなる。
【0017】
いくつかの態様では、本明細書に記載のシステムおよび方法は、骨統合および適切にストレスを受けた新しい骨の成長を活性化するように構成されたインプラントを対象とし得る。本発明の例示的なインプラントの多くは、インプラントの本体全体において強い骨付着および/または骨成長が望まれる状況での使用に特に有用である。骨成長が、付着のみまたはインプラント全体に必要かどうかにかかわらず、本発明は、機械的間隔を提供できる固有の格子構造、新しい骨の成長をサポートする足場、および新しい骨成長に生理的な力を負荷できる弾性係数を内包している。結果として、本発明は、より強固な付着のためおよび/またはインプラントの骨統合後に骨がより強くなるために、より強くより健康な骨を成長させるインプラントを提供する。
【0018】
提示される本発明の例示的な実施形態は、全体的または部分的に格子で構成され得る。本明細書で使用する格子とは、開口部を介して流体がある場所から別の場所に連通することを可能にする1つ以上の相互接続された開口部を有する三次元材料を指す。三次元材料とは、三次元空間を埋める(つまり、高さ、幅、長さを有する)材料を指す。格子は、さまざまな幾何学的形状を繰り返すことや、ランダムな形状を繰り返すことを含む多くの手段で構築でき、相互接続された開口部を持つ材料を完成させ得る。格子の開口部とは、三次元材料の境界内にある、その材料がない任意の領域である。したがって、格子の三次元境界内には、材料のある体積部と、その材料がない体積部が存在する。
【0019】
格子の構造を提供する材料は、主材料と呼ばれる。格子の構造は、いかなる目的に対しても構造的な支持を提供する必要はなく、むしろ格子を構成する開口部と相互接続の構成を指す。格子の開口部は、空であるか、気体流体で満たされているか、液体流体で満たされているか、固体で満たされているか、もしくは流体および/または固体で部分的に満たされている。開口部に対する相互接続部とは、主材料がなく、少なくとも2つの場所を連結する領域を指す。相互接続部は、ある場所から別の場所に流体が通過できるように構成されてもよい。
【0020】
格子は、その体積密度によって定義することができ、これは特定の三次元材料の割合として表される主材料の体積と空隙の体積の比率を意味する。空隙の体積は、三次元材料の境界の体積と主材料の体積の差である。空隙の体積は、開口部の体積、相互接続部の体積、および/または存在する別の材料の体積を含むことができる。たとえば、体積密度が30%の格子は、特定の体積にわたって、30%体積の主材料と70%体積の空隙で構成される。体積密度が90%の格子は、特定の体積にわたって、90%体積の主材料と10%体積の空隙で構成される。体積密度が50%未満の三次元材料では、主材料の体積は空隙の体積よりも小さくなる。体積密度は空隙の体積を指すが、空隙は空隙のままである必要はなく、埋め込み前、埋め込み中、または埋め込み後に、全体的または部分的に、流体または固体で満たされ得る。
【0021】
幾何学的パターンの繰り返しで構成される格子は、繰り返し単位セルの特性を使用して説明できる。繰り返し幾何学的格子の単位セルは、格子を形成するために繰り返され得る三次元形状である。繰り返し単位セルは、格子構造もしくは格子構造のすべてまたは一部を通したパターンにわたって繰り返される、複数の同一の単位セルを指すことができる。各単位セルは、特定の体積の主材料と特定の空隙体積、つまりスポット体積密度で構成されている。スポット体積密度は、わずかな部分単位セルまたは複数の単位セルをカバーしてもよい。多くの場合、スポットの体積密度は材料の体積密度と一致するが、スポットの体積密度を局所的に増加または減少させることが望ましい場合がある。
【0022】
単位セルは、さまざまなタイプの構造を含む多数の体積形状で構築され得る。単位セルは、格子構造または単位セル内の他のタイプの構造のサイズを制限するために、画定された空間体積に制限され得る。いくつかの実施形態において、単位セルは、立方体体積、直方体体積、六面体体積、またはアモルファス体積を含むがこれらに限定されない体積形状によって制限され得る。空間の単位セル体積は、角部で交わる面の数に基づいて定義できる。単位セル体積が立方体、直方体、または六面体体積である例では、単位セル外積は6つの面と8つの角部を持つことができ、角部は3つの面が交わる位置によって定義され得る。単位セルは、一部またはすべての領域で相互接続されていてもよく、一部またはすべての領域で相互接続されていなくてもよい。繰り返しの幾何学的パターンを使用する本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、単位セルは、単位セルの縁部を画定し、単位セルの周囲のノードで接合される多数のストラットによって画定され得る。そのように画定された単位セルは、複数の単位セル間で特定のストラットを共有できるため、2つの隣接する単位セルは、両方のセルに共通のストラットによって画定された共通の平面壁を共有し得る。繰り返しの幾何学的パターンを使用する本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、単位セルは、ノードおよびそのノードから放射状に延在し、いくつかのストラットによって定義され得る。
【0023】
本明細書では、例示的な実施形態を説明するために体積密度を使用するが、セルのサイズ、ストラットのサイズまたは剛性を含みこれらに限定されない他の測定基準を使用してそれらを説明することも可能である。セルのサイズは、セルの直径、セルの幅、セルの高さ、およびセルの体積など、複数の方法を使用して定義できる。ストラットのサイズは、ストラットの長さやストラットの直径など、複数の方法を使用して定義できる。
【0024】
繰り返し幾何学的パターンは、予測可能な特性を提供できるため、インプラントに含まれる格子構造での使用に有益である。菱形の十二面体、ダイヤモンド型、十二面体、正方形、五角形、六角形、八角形、シュテットストラット、トルニックオクタット、斜方ストラット、その他の既知の幾何学的構造および各形状の丸みを帯びた、強化された、弱められた、または簡略化されたバージョンを含み、これらに限定されない多くの繰り返しの幾何学的形状を格子の単位セルとして使用できる。
【0025】
格子は、構造部品または非構造部品としてインプラントに含まれてもよい。構造用途で使用される格子は、本明細書では、構造格子、耐荷重格子、または応力格子と呼ばれる場合がある。場合によっては、構造格子、耐荷重格子、または応力格子を単に格子と呼ぶ場合がある。繰り返しの幾何学的形状の単位セル、特に菱形十二面体は、重量に対する強度の比のため、理論的には構造格子での使用に適している。菱形十二面体格子の実際の強度と耐疲労性を高めるために、本発明は、いくつかの実施形態では、長方形または円形断面のストラットを使用するよりもむしろ、三角形のセグメントで構成される変形ストラットを含む。本明細書のいくつかの実施形態は、格子の弾性係数および耐疲労性を変更するために、菱形十二面体の菱形面を画定する角度をも変更する。三角形のセグメントを使用すると、菱形十二面体格子の理論的な強度値に近づく、非常に精度よく予測可能な出力特性を持つ格子が提供される。
【0026】
構造格子の用途では、格子の強度と弾性係数は体積密度で概算され得る。体積密度が増加すると、強度と弾性係数が増加する。他の多孔質構造と比較して、本発明の格子は、菱形十二面体、変形菱形十二面体または放射状菱形十二面体単位セルの重量に対して高い強度を有するという利点を利用できるため、所定の体積密度に対してより高い強度および弾性係数を有する。
【0027】
骨または組織の成長をサポートするように構成されている場合、格子は足場と呼ばれることがある。三次元材料内に配置された開口部および相互接続部のサイズを制御することにより、骨または組織の成長をサポートするように格子を構成することができる。足場は、インプラントの表面で使用される場合、隣接する骨がインプラントに付着することを可能にする骨統合表面を提供してもよい。足場はまた、骨が単なる表面の付着よりもさらに成長することを可能にする経路を提供するように構成されてもよい。本明細書では、表面付着を目的とする足場を表面足場と呼ぶ。表面の足場は、1つ以上の単位セルの深さとすることができるが、インプラントの体積全体には広がらない。単なる表面の付着を超えた成長をサポートすることを目的とする足場は、本明細書ではバルク足場と呼ばれる。足場は、構造部品または非構造部品としてインプラントに含まれてもよい。構造用途に使用される足場は、本明細書では、構造足場、耐荷重足場、または応力足場と呼ばれる場合がある。場合によっては、構造的足場、耐荷重足場、または応力足場は、単に足場と呼ばれる場合がある。いくつかの例では、足場という用語の使用は、骨または組織の成長をサポートするように構成された、格子ではない材料を指す。
【0028】
本明細書に記載される足場は、生物に見られる様々な種類の組織の付着または内部成長を促進するために使用され得る。前述のように、足場のいくつかの実施形態は、骨の付着および成長を促進するように構成されている。足場は、線維組織など、組織の他の領域の内部成長の付着を促進するように構成することもできる。いくつかの実施形態では、足場は、複数の種類の組織の付着または内部成長を促進するように構成することができる。足場のいくつかの実施形態は、生体組織の近傍に、または隣接して、埋め込まれるように構成される。生体組織の近傍とは、他の層、材料、またはコーティングが足場と生体組織の間に位置する状況を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、本発明は、当技術分野で知られているものよりも大きい開口部および相互接続部を備えたバルク足場を使用する。骨単位の直径は約100μmの範囲であり、骨単位の束が新しい骨の成長の最も強力な形態を提供すると理論づけられている。骨の直径が3mmを超えると、骨は完全に固体と見なされるため、その値の約半分に等しい直径の骨単位の束は、足場内で成長したときに大きな強度を提供すると理論づけられている。また、骨が不規則な形状で成長する可能性があるため、骨の断面積によってその強度を予測できる可能性があるとも理論づけられている。直径3mmの円柱骨単位の成長の断面積は約7mm2で、直径1.5mmの円柱骨単位の断面積は1.8mm2である。少なくとも1.8mm2の断面積を持つ不規則な形状の骨単位は、足場で成長した場合に著しい強度の利点を提供できると理論付けられている。
【0030】
当業者は、直径または幅が300μmから900μmの孔または開口部、600μmの孔側面が理想的であり、骨成長のための最良の足場を提供することを指摘するであろう。代わりに、本発明のいくつかの実施形態は、既知の範囲(300μmから900μm)の1.0倍から15.0倍程度の直径または幅を有する開口部および相互接続部を含み、開口部の骨成長のための断面積は0.07mm2から145mm2になる。いくつかの例では、直径または幅が100μm以上300μm以下の細孔または開口部が有益な場合がある。いくつかの例には、既知の範囲の1.0倍から5.0倍の直径の開口部と相互接続部が含まれる。当技術分野で知られているものよりもはるかに大きな開口部および相互接続部を使用すると、完全な骨単位および固体骨組織がバルク足場全体に形成され、新しい荷重可能な骨成長の血管新生が可能になると、少なくとも理論づけられている。いくつかの例では、これらの細孔は直径3mmまたは断面積約7mm2であってもよい。他の例では、細孔の直径は約1.5mm、断面積は約1.75mm2である。当技術分野で知られているものより小さな直径の開口部および相互接続部のみの使用は、より小さな直径の開口部がバルク足場全体の血管新生の能力を制限するため、バルク足場への新しい骨成長の浸透を制限すると理論づけられている。
【0031】
格子に関連する構造は、クローズドセル材料である。クローズドセル材料は、三次元材料の境界内に開口部がある点で格子に似ているが、クローズドセル材料は一般に、開口部または他の細孔を通る位置間の相互接続を有しない。クローズドセル構造は、特定のセルの充填を含む複数の方法を使用して、または単位セルのストラット間の固体壁の使用を介して達成されてもよい。クローズドセル構造は、セル構造とも呼ばれる。ある部分では格子である材料を有し、別の部分ではクローズドセル材料である材料を有することが可能である。また、開口部間の特定の相互接続部のみ、またはその逆に関して格子であるクローズドセル材料を有することも可能である。本開示の焦点は格子にあるが、本明細書に開示される構造および方法は、本発明の概念内でクローズドセル構造での使用に容易に適合させることができる。
【0032】
本発明で使用される格子は、様々な材料およびプロセスから製造することができる。骨成長の足場として使用される場合、格子は、直接または生体活性表面処理の適用を通じて、骨への付着を可能にする生体適合性材料で作られることが望ましい。一例では、足場は埋め込み可能な金属で構成される。埋め込み可能な金属には、ジルコニウム、ステンレス鋼(316および316L)、タンタル、ニチノール、コバルトクロム合金、チタンおよびタングステン、およびそれらの合金が含まれ、これらに限定されない。埋め込み可能な金属で構成される足場は、付加的金属加工または3Dプリントプロセスを使用して製造できる。適切な生産プロセスには、直接金属レーザー焼結、選択的レーザー焼結、選択的レーザー溶融、電子ビーム溶融、シート積層法、および指向性エネルギー堆積が含まれ、これらに限定されない。
【0033】
別の例では、本発明の格子は、生物活性コーティングを備えた埋め込み可能な金属で構成される。生物活性コーティングには、骨の成長を促進するコーティング、抗血栓コーティング、抗菌コーティング、疎水性または親水性コーティング、および疎血性、超疎血性、または親血性コーティングが含まれ、これらに限定されない。骨の成長を促進するコーティングには、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト(HA)、ケイ酸塩ガラス、幹細胞誘導体、骨形成タンパク質、チタンプラズマスプレー、チタンビーズ、チタンメッシュが含まれ、これらに限定されない。抗血栓性コーティングには、低分子量フルオロオリゴマーが含まれ、これに限定されない。抗菌コーティングには、銀、有機シラン化合物、ヨウ素、窒化ケイ素が含まれ、これらに限定されない。超疎血性コーティングには、フッ化ナノチューブが含まれる。
【0034】
別の例では、格子は、任意の生物活性コーティングを備えたチタン合金から作られている。特に、Ti6Al4V ELI 鍛造合金(米国材料試験協会(ASTM)F136)は、足場に特に適したチタン合金である。Ti6Al4V ELI鍛造合金は医療目的に使用される業界標準のチタン合金だが、他のチタン合金が、本発明の様々な実施形態に適切であり得る。他のチタン合金は、非合金チタン(ASTM F67)、Ti6Al4V標準グレード(ASTM F1472)、Ti6Al7Nb鍛造合金(ASTM 1295)、Ti5Al2.5Fe鍛造(英国規格協会/国際標準化機構パート10)、CPおよびTi6Al4V標準グレードの粉末(ASTM F1580)、Ti13Nb13Zr 鍛造合金(ASTM F1713)、低弾性係数Ti-24Nb-4Zr-8SnおよびTi12Mo6Zr2Fe鍛造合金(ASTM F1813)を含み、これらに限定されない。
【0035】
チタン合金は生体適合性があり、骨に付着するため、足場に適した材料である。チタン合金にさまざまな表面処理を行って、骨の付着レベルを増減させることができる。骨は研磨されたチタンにも付着するが、表面性状を有するチタンは骨の付着を大きくする。チタンへの骨付着を増加させる方法は、鍛造またはフライス加工プロセス、サンドブラスト、酸エッチング、および生体活性コーティングの使用によってもよい。付加的金属加工または直接金属レーザー焼結などの3Dプリントプロセスで製造されたチタン部品は、骨付着を促進するために表面の粗さおよび気孔率を維持しながら、表面応力増加を低減し、表面形状を正規化し、表面酸化物層を改善するために、酸浴で処理することができる。
【0036】
加えて、チタンまたは他の合金は、ヘパリン、ヘパリン硫酸(HS)、グリコサミノグリカン(GAG)、コンドロイチン-4-硫酸(C4S)、コンドロイチン-6-硫酸(C6S)、ヒアルロン酸(HY)、およびカルシウム水溶液を有するまたは有しない他のプロテオグリカンで処理してもよい。そのような処理は、材料が製造前の形態(多くの場合粉末)である場合、または構造の製造後に行ってもよい。
【0037】
さまざまな構造、材料、表面処理、およびコーティングが説明されているが、繰り返し変形菱形十二面体(以下「MRDD」)単位セルを使用する格子は、剛性、強度、疲労抵抗、および骨の内部成長の条件の好ましい組み合わせを提供できると考えられている。いくつかの実施形態では、繰り返しMRDD格子は、チタンまたはチタン合金から構成される。定義上、一般的な菱形十二面体(以下「RDD」)は、12の菱形の側面を有する。格子で繰り返される場合、RDD単位セルは、14個の頂点で交わる24個のストラットで構成される。24個のストラットは構造の12個の平面を画定し、各平面の中央に開口部または相互接続部が配置され、単位セルの内部から単位セルの外部への連通を可能にする。
【0038】
本発明で使用されるMRDD単位セルB10の例は、
図A1から
図A5に示されている。
図A1は、隣接する単位セルの部分を含む放射状のストラットに沿った完全なMRDD構造を含む単一のMRDD単位セルB10の等角図である。
図A2は、横方向から見たときの相互接続部の構成を示す単一のMRDD単位セルB10の側面図である。MRDD単位セルB10の上面図または底面図は、
図A2に示される側面図と実質的に同じとなる。MRDD単位セルB10は、構造的特性と設計方法の両方が一般的なRDD形状と異なる。一般的なRDDは12個の面で構成され、各面は70.5度の鋭角と109.5度の鈍角を持つ同一の菱形である。ストラットは軸に基づいて割り当てされ、それぞれが14個のノードまたは頂点の中心を通過するため、単位セルのサイズまたはストラットの直径が変更されても、一般的なRDDの菱形面の形状は変更されない。
【0039】
MRDDのいくつかの実施形態では、各ノードは、その境界を画定し、ストラットの遠位端に空間内の固定点を設ける、固定体積内に含まれる。MRDDまたはMRDDのサブ単位セルを含む固定体積は、立方体、直方体、六面体またはアモルファス体積を含むがこれらに限定されない様々な形状であり得る。一部の例では、6つの面と、3つの面が交わる位置によって画定される8つの角部とを有する固定体積を使用する。ストラットの向きは、その近位端のノード面の中心と、その遠位端のそのノード面に最も近い体積の角に基づき得る。各ノードは、八面体、より具体的には双四角錐(すなわち、水平面で結合された四角錐と逆四角錐)であることが好ましい。各ノードは、直方体体積の中心に位置する場合、直方体体積の面に平行な正方形の面、6つの頂点を含み、6つの頂点のそれぞれが、直方体体積の6つの面のそれぞれに可能な限り近い位置に配置されるように向けられるのがより好ましい。体積内のノードの位置に関して中央に配置されているとは、体積の対向する壁から実質的に等距離の位置にノードを配置することを指す。いくつかの実施形態では、ノードは100%の体積密度を有し得、他の実施形態では、ノードは100%未満の体積密度を有し得る。双角錐ノードの各面は三角形であり得、各面はストラットの接続点を提供できる。
【0040】
ストラットはまた、実質的に同一である6つの伸長面と2つの端面とからなる伸長部を備える、八面体であり得る。伸長面は、第1の内角である角度A、および第2の内角である角度Bを有する二等辺三角形であり得、ここで角度Bは角度Aより大きい。端面は、第1の内角である角度Cと第2の内角である角度Dを有する、互いにほぼ相似の二等辺三角形であり得、ここで角度Dは角度Cより大きい。角度Cは角度Aより大きいことが好ましい。
【0041】
各ストラットのストラット方向は、ストラットの方向を定義する線またはベクトルであり、各ノード面の水平面に対して直交または非直交であり得る。本明細書で開示されるMRDDおよび放射状菱形十二面体構造では、ストラット方向は、ストラット端面の中心、ストラットに沿った質量中心、もしくは外縁部またはストラットの伸長部の面の間に延在する線を利用して定められ得る。ストラットの端面の中心間に延在する線を使用してストラットの方向を定義する場合、線は一般にストラットの底面または縁部に平行であり得る。ストラットの質量中心に沿って延在する線を利用してストラットの方向を定義する場合、線はストラットの底面または縁部に対して非平行であり得る。MRDDの八面体ノードは、ストラットの原点とサイズを変更することにより、体積密度を増減するように寸法を調整され得る。ただし、ストラットの遠位端は、各ノードの周囲に形成された固定体積の角部で固定されているため、体積密度が変化すると、各ノードの面に対する角度が変化する。MRDD単位セルの体積密度が変化しても、各ノードの周囲に形成される固定体積の寸法は変化しない。
図A1では、MRDD単位セルB10の角の間に破線が引かれ、その境界を画定する立方体B11が示されている。
図A1のMRDD単位セルでは、単位セルの高さB12、幅B13、深さB14は実質的に同じであり、B11で画定される立方体領域を形作る。
【0042】
一部の実施形態では、ストラットのストラット方向は、ノードの中心と、ストラットが固定されているノード面に最も近い直方体体積の角部と交差し得る。いくつかの実施形態では、ストラットのストラット方向は、ストラットが固定されるノード面に最も近い直方体体積の角部と交差し得る。いくつかの実施形態では、直方体または六面体の面によって画定される基準面を使用して、ストラットのストラット方向を記述する。ストラットのストラット方向が基準面に基づいて定義される場合、参照面から0度~90度の間とすることができる。ストラットのストラット方向が基準面に基づいて定義される場合、それは基準面から8度~30度であることが好ましい。
【0043】
ストラットの向きを一端の可変のノード面とその遠位端の固定点に指数付けすることにより、結果として得られるMRDD単位セルは、一般的なRDDよりも小さな鋭角と大きな鈍角の菱形形状面とすることができる。MRDDの菱形形状の面は、対向する実質的に相似の2つの鋭角と対向する実質的に相似の2つの鈍角を有し得る。いくつかの実施形態では、鋭角は70.5度未満であり、鈍角は109.5度より大きい。いくつかの実施形態では、鋭角は0度~55度の間であり、鈍角は125度~180度の間である。いくつかの実施形態では、鋭角は8度~60度の間であり、鈍角は120度~172度の間である。鋭角が小さくなると、鈍角角から遠鈍角角を横切る方向の荷重に対する耐疲労性が高まる。鋭角が小さくなり、鈍角が大きくなると、MRDDのせん断強度を高め、耐疲労性が高まるように、ストラットの方向が定まる。菱形の角度を一般的なRDDから変更すると、せん断荷重が一部のストラットの軸方向をほぼ通過するようにかかり、せん断強度が上昇する。菱形の角度を一般的なRDDから変更すると、圧縮荷重による全体的なたわみも減少し、荷重下でのたわみに耐えることにより疲労強度が向上する。
【0044】
単位セルの12の相互接続部は、格子構造の中心に向かって配置されると、隣接する12の異なる単位セルに接続し、格子を通る連続した経路を提供する。MRDDの中央空隙および相互接続部のサイズは、本明細書で説明される最長寸法法を使用して定義してもよい。最長寸法法を使用すると、
図A3で示されているような最長寸法の測定を行うことにより、中央の空隙を定義できる。
図A3では、最長寸法は距離AAとしてラベル付けされる。距離AAは、垂直方向または水平方向(方向は紙面上の方向を参照のこと)で測定され得、この例においては実質的に同じとなる。相互接続部は、単位セルの側面、頂部、または底部から見たときの最長測定によって定義してもよい。
図A4では、最長寸法は距離ABとしてラベル付けされる。
距離ABは、垂直方向または水平方向(方向は紙面上の方向を参照のこと)で測定され得る。
図A4の図は側面図だが、この例においては、上部または底部から見たときに単位セルが実質的に同じとなる。
【0045】
あるいは、中央の空隙および相互接続部のサイズは、本明細書で説明する最大球法によって定義され得る。最大球法を使用すると、中央の空隙は、ストラットと交差せずに中央の空隙内に収まり得る最大の球の直径によって定義できる。
図A5は、直径がBAの球を使用して中央の空隙のサイズを定義するために使用される最大球法の例である。相互接続部は一般に菱形で、サイズは開口部内に描かれた3つの円の長さと幅のサイズによって画定され得る。側面を定義する平面内に描かれる第一の円BB1は、開口部の中心に描かれ、ストラットと交差することなく収まり得る最大直径の円となる。第2の円BB2と第3の円BB3は、第1の円BB1と接し、ストラットと交差することなく収まり得る最大直径の円となるように描かれる。第1の円BB1の直径は相互接続部の幅であり、3つの円BB1、BB2およびBB3すべての直径の合計は相互接続部の長さを表す。この測定方法を使用すると、寸法の算出から菱形の開口部の鋭角部分が削除される。場合によっては、付加製造プロセスの制限のため、相互接続部の算出サイズから、菱形の開口部の鋭角部分を削除することが有益である。例えば、SLSマシンの解像度が12μmで、精度が5μm以内の場合、SLSマシンによって鋭角の角が丸くなり得、骨成長のために使用できなくなり得る。精度の低い付加プロセス装置で製造する格子を設計する場合、相互接続部のサイズをより適切に見積もるためにこの測定システムを用いることが役立つであろう。
【0046】
別の測定方法を使用すると、いくつかの例では、相互接続部の幅は約600μmで、相互接続部の長さは約300μmである。長さ600μm、幅300μmとすると、骨成長のための既知の孔サイズ内の開口部が提供され、約1.8mm2の表面積が提供され、高強度の骨成長が可能になる。別の実施形態は、直径が300μmの細孔の断面積の1.0倍から15.0倍の断面積を有する相互接続部を含んでもよい。他の実施形態は、直径が900μmの細孔の断面積の1.0倍から15.0倍の断面積を有する相互接続部を含んでもよい。
【0047】
MRDD単位セルはまた、格子構造に少なくとも2組の実質的に均一な細孔または開口のサイズを提供するという利点を有する。いくつかの実施形態において、細孔の第1セットは約200μm~900μmの幅を有し、細孔の第2セットは細孔の第1セットの幅の約1倍~15倍の幅を有する。いくつかの実施形態では、骨芽細胞の成長を促進するように細孔の第1のセットを構成することができ、骨単位の成長を促進するように細孔の第2のセットを構成することができる。骨芽細胞の成長を促進するサイズの細孔は、約100μm以上900μm以下の幅を有し得る。いくつかの実施形態では、骨芽細胞の成長を促進するサイズの細孔は、900μmを超える幅を有し得る。骨単位の成長を促進するサイズの細孔は、約100μm以上13.5mm以下の幅を有し得る。いくつかの実施形態では、骨単位の成長を促進する大きさの細孔は、13.5mmを超える幅を有し得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、多数の実質的に均一なより大きい細孔、および多数の実質的に均一なより小さい細孔を含むことが有益であり、より大きい細孔の数は、より小さい細孔の数に対する比に基づいて選択される。例えば、いくつかの実施形態は、格子構造内の1~25個の小さな細孔ごとに1つの大きな細孔を有する。いくつかの実施形態は、好ましくは、8~12個の小さな細孔ごとに1つの大きな細孔を有する。いくつかの実施形態において、より大きい細孔およびより小さい細孔の数は、格子構造中の細孔の総数の割合に基づいて選択され得る。例えば、いくつかの実施形態は、細孔の総数の4%~50%のより大きい細孔と、細孔の総数の50%~96%のより小さい細孔とを含み得る。より好ましくは、いくつかの実施形態は、細孔の総数の約8%~13%の大きな細孔と、細孔の総数の約87%~92%のより小さい細孔とを含み得る。開示された2つのサイズの実質的に均一な細孔のセットとともに構築された格子は、骨芽細胞と骨単位の成長を同時に促進する格子構造を提供すると考えられている。
【0049】
MRDD単位セルはまた、単位セルの側面、頂部または底部から見たときの相互接続部のサイズによって画定されてもよい。MRDD単位セルは、側面、頂部または底部から見たときと同じ外観を持ち、ある側面図での測定は他の側面を表している。側面から見ると、
図A4のように、MRDD単位セルは、4つの明確な菱形の相互接続部を実質的に直角に示している。各相互接続部の面積は、各相互接続部の平面方向に垂直な方向から見た場合よりも、横方向から見た場合に小さくなる。しかし、横方向から見た場合の面積は、骨がその方向に成長するために利用可能な面積を表し得る。いくつかの実施形態では、頂部、底部、または横方向から見たときの相互接続部の面積に基づいて、単位セルおよび格子の特性に指数付けをすることが望ましい場合がある。
【0050】
本明細書に開示される格子構造のいくつかの実施形態では、中央空隙は相互接続部の長さまたは幅よりも大きい。繰り返しMRDD構造では各相互接続部のサイズが実質的に同じになり得るため、結果として得られる格子は、少なくとも2つの個別のサイズの開口部で構成され得る。いくつかの実施形態では、中央空隙の直径は相互接続部の長さの約2倍であることが好ましい。いくつかの実施形態では、中央空隙の直径は相互接続部の幅の約4倍であることが好ましい。
【0051】
いくつかの実施形態では、中心空隙の直径と、相互接続部の長さまたは幅との比を変更して、特定の強度の構造格子を作成することができる。これらの実施形態では、構造格子の強度が増加するにつれて、中心空隙直径と、相互接続部の長さまたは幅との比が増加する相関関係がある。
【0052】
繰り返し放射状菱形十二面体(以下「RDDR」)単位セルを使用する格子は、剛性、強度、疲労抵抗、および骨成長の条件の好ましい組み合わせを提供できると考えられている。いくつかの実施形態では、繰り返しRDDR格子は、チタンまたはチタン合金から構成される。
図A7は、完全なRDDR構造を含む単一のRDDR単位セルB20の等角図である。
図A8は、単一のRDDR単位セルB20の側面図であり、横方向から見たときの相互接続部の構成を示している。RDDR単位セルB20の上面図または底面図は、A8に描かれた側面図と実質的に同じとなる。
【0053】
本明細書で使用される場合、RDDR単位セルB20は、12個の菱形形状構造を形成する放射状ストラットおよびその鏡像ストラットを備えた中央ノードで構成される三次元形状である。ノードは、八面体であることが好ましく、より具体的には双四角錐(すなわち、水平面で結合された四角錐と逆四角錐)であることが好ましい。ノードの各面は三角形であることが好ましく、各面に固定されているのは、6つの三角形の切面と2つの端面で構成されているストラットであることが好ましい。各ストラットの中心軸は、各ノード面の平面に対して直交または非直交であり得る。中心軸はストラットの重心に沿っていてもよい。RDDRはまた、各面に1つのストラットが接続された中央ノードによっても特徴付けられ、8つのストラットが接続された双四角錐のノードとなる。
【0054】
ノードとストラットの組み合わせの例を
図A9~A13に示す。
図A9は、単一のストラットB31が取り付けられた単一のノードB30の等角図である。ノードB30は、2つのピークが体積B32の頂部と底部に面するように配置された双四角錐であり、ノードB30と任意に取り付けられたストラットB31の境界を定義する。ノードB30は、水平角が体積B32の側面に最も近い点に位置するように向けられている。ストラットB31は、ノードB30の面から体積B32の角まで延在しており、ノードに取り付られたストラットの境界を画定する。
図A9では、ストラットの中心軸は水平面から45度上にあり、ノードの平面は水平面から45度上にある。
【0055】
図A9は、八面体ストラットB31の詳細も示しており、
図A9では破線がストラットの隠れている縁部を表している。ストラットB31は、6つの実質的に相似した伸長面と2つの端面の伸長部を備えた八面体である。ストラットB31の伸長面B31a、B31b、B31c、B31d、B31eおよびB31fは、ストラットの、細長くやや円筒形である表面の外面を画定している。伸長面B31a、B31b、B31c、B31d、B31eおよびB31fのそれぞれは、第1の内角である角度A、および第2の内角である角度Bを有する二等辺三角形であり、角度Bは角度Aより大きい。ストラットB31はまた、互いに実質的に相似である二等辺三角形の2つの端面B31fおよびB31gを有する。B31fおよびB31gは第1の内角である角度C、および第2の内角である角度Dを有し、角度Dは角度Cより大きい。伸長面B31a、B31b、B31c、B31d、B31eおよびB31fの内角を端面B31fおよびB31gと比較すると、角度Cは角度Aより大きい。
【0056】
図A10は、体積B32で区切られたノードB30とストラットB31の組み合わせの側面図である。側面図では、立方体B32の高さとノードB30の高さを簡単に比較できる。
図A11~A13は、体積の壁や面からではなく、体積の角から見たノードとストラットの組み合わせの側面図であり、結果として得られる単位セルの体積密度を変更するために
図A9およびA10から組み合わせが変更されている。
図A11では、ノードB130の高さが体積B132の高さに比べて増大している。ストラットB131の遠位端は体積B132の角の位置によって固定されているため、ストラットB131は、接続されたノード面に対する角度を、非直交になるように変更しなければならない。ストラットB131の水平面からの角度が約20.6度であるノードB130とストラットB131の組み合わせは、弾性係数が約3GPaの格子構造に適している。
【0057】
図A12では、立方体B232の高さに対するノードB230の高さは、
図A11の比率よりも大きくなり、弾性係数が約4GPaの格子構造に適したノードB230とストラットB231の組み合わせとなる。ノードB230の高さが増加するにつれて、ストラットB231と水平面との間の角度は約18.8度まで小さくなる。ノードB230の高さが増加すると、ノード面のサイズも増大し、ストラットB231のサイズが増大する。ストラットB231の遠位端は体積B232の角に固定されているが、遠位端のサイズはノード面のサイズの増大に合わせて大きくなり、その長さに沿って実質的に均一なストラット直径を維持する。ノードとストラットのサイズが大きくなると、体積密度が増加し、弾性係数も同様である。
図A13では、体積B332の高さに対するノードB330の高さが
図A13の比率よりも大きくなり、弾性係数が約10GPaの格子構造に適したノードB330とストラットB331の組み合わせとなる。この構成では、ストラットB331と水平面との間の角度B333は約12.4度まで減少し、体積密度は前の例よりも増加する。単一ノードとストラットの例をコピーまたはミラーリングして、適切なサイズと特性の単位セルを作成し得る。例えば、ストラットと水平面の間の角度を25.8度に増大させると、12.3%の体積密度と約300MPaの弾性係数を持つ格子を作成できる。わかりやすくするために、例では単一のノードと単一のストラットを示したが、複数のストラットを各ノードに接続して適切な単位セルを作成してもよい。
【0058】
ノードの上半分または下半分の隣接ノード面から延在する隣接ストラットは、水平面からの角度と、隣接ストラットのストラット方向間の角度とによって画定される横方向の分離角度とを有している。MRDDおよびRDDR構造では、隣接ストラットは、関連する隣接ストラットに最も近い伸長部の外縁または伸長面を有する。本明細書で使用される横方向分離角度は、一般に、関連する隣接ストラットの最も近くへ延在するストラットの伸長部の外縁または伸長面の間の角度を指す。いくつかの実施形態では、ストラット端面の中心間で延在する線、またはストラットの質量中心によって定義される線によって画定される横方向分離角度は、隣接するストラットの同様の計算に関して使用できる。
【0059】
横方向分離角度は、ストラットの最も近い面または縁部と隣接するストラットとの間の角度である。横方向分離角度は、両方のストラット縁部を含む平面内で、ストラットの最も近い縁部と、隣接するストラットの最も近い縁部との間の最小角度として測定できる。横方向分離角度は、2つのストラット面に垂直な平面内で、ストラットの最も近い面と、隣接するストラットの最も近い面との間の角度として測定することもできる。ストラット縁部またはストラット面が画定されていない実施形態では、横方向分離角度は、あるストラットの最も近い部分と、隣接するストラットの最も近い部分との間の角度として測定できる。立方体体積の単位セルの場合、水平面からのストラット角度が小さくなると、横方向分離角度は90度に近づく。立方体体積の単位セルの場合、水平面からのストラット角度が増加すると、横方向分離角度は180度に近づく。いくつかの実施形態では、109.5度より大きい横方向分離角度を有することが好ましい。いくつかの実施形態では、109.5度未満の横方向分離角度を有することが好ましい。いくつかの実施形態では、約108度以上約156度以下の横方向分離角度を有することが好ましい。いくつかの実施形態では、111度以上156度以下の横方向分離角度を有することがより好ましい。いくつかの実施形態では、108度以上120度以下の横方向分離角度を有することがより好ましい。いくつかの実施形態では、約111度以上120度以下の横方向分離角度を有することが最も好ましい。いくつかの実施形態では、128度以上156度以下の横方向分離角度を有することがより好ましい。
図A14は、キューブB432の角から見た側面図であり、2つの隣接するストラットB431およびB434が取り付けられ、横方向分離角度B443が定められた単一のノードB430が示されている。ストラットの最も近い縁部から、隣接するストラットの最も近い縁部まで測定すると、横方向分離角度B443は約116度である。
【0060】
いくつかの実施形態では、単位セルは、共に固定された複数のサブ単位セルから構築される。
図A15は、単一のノードと4つのストラットを備える例示的なサブ単位セルの等角図である。
図A16は、上部サブ単位セルが反転されて下部サブ単位セルの頂部に固定された、積層構造の2つのサブ単位セルの等角図である。
図A17は、単一のRDDR単位セルを形成するように積み重ねられた8つのサブ単位セルの等角図である。
【0061】
図A15では、ノードB530は双四角錐であり、2つのピークが立方体体積B532の頂部および底部に面するように配置されている。いくつかの実施形態では、体積B532は、直方体体積、六面体体積、アモルファス体積、または1つ以上の非直交側面を有する体積であり得る。ピークは、4つの上面が交わる点と4つの下面が交わる点を指す。ノードB530は、水平頂点が立方体体積B532の側面に面するように配置されている。ストラットB531は、その近位端でノードB530面の下面に固定され、その遠位端で立方体体積のB532の最も近い角まで延在している。ストラットB531の遠位端は、サブ単位セルの特性を調整するためにノードB530のサイズが変更された場合でも、立方体体積B532に固定されたままであり得る。
【0062】
ストラットB531が固定されている面の反対側のノードB530の下面では、ストラットB534の近位端でノードB530に固定されている。ストラットB534は、その遠位端で立方体体積B532の最も近い角まで延在している。ストラットB535は、その近位端で、ストラットB531に固定されたノードB530の面から約90度水平方向に向けられた上部ノードB530の面に固定されている。ストラットB535は、その遠位端で立方体体積B532の最も近い角まで延在している。ストラットB535が固定されている面と反対側のノードB530の上面で、ストラットB536の近位端はノードB530に固定されている。ストラットB536は、その遠位端で立方体体積B532の最も近い角まで延在している。
【0063】
いくつかの実施形態では、ストラットB531およびB534~B536は、三角形の面を備えた八面体である。ノードB530の面に固定されたストラットの面は、ノードB530の面とほぼ同じサイズと向きとなり得る。立方体B532の最も近い角に固定されたストラット面は、ノードB530に固定され、実質的に平行な平面に向けられたストラット面と実質的に同じサイズであり得る。残りの6つの面は、第1の内角および第1の内角より大きい第2の内角を有する6つの実質的に相似の二等辺三角形であり得る。6つの実質的に相似の二等辺三角形は、それらの長辺に沿って、隣接する反転した実質的に相似の二等辺三角形に固定でき、三角形の端部を有するおおむね円筒である形状を形成する。
【0064】
サブ単位セルB540を形成する場合、ストラットB531およびB534~B536に固定された体積B532の各角に、8番目のノードB538を追加することが効果的であり得る。サブ単位セルB540を複製する場合、各ストラット端に接続された8番目のノードB538は、隣接するサブ単位セルの8番目のノードと結合され、隣接するサブ単位セルのストラット間に位置するノードを形成する。
【0065】
図A16は、いくつかの実施形態で使用されるクォーター単位セルB560を形成するために第2のサブ単位セルB640に固定された第1のサブ単位セルB540を示す。第2のサブ単位セルB640は、双四角錐である双四角錐ノードB630を備え、2つのピークが立方体の頂部および底部に面するように配向している。ノードB630は、水平頂点が立方体体積の側面に面するように配置されている。ストラットB635は、その近位端でノードB630面の下面に固定され、その遠位端で立方体体積の最も近い角まで延在している。ストラットB635が固定されている面と反対のノードB630の下面では、ストラットB636の近位端がノードB630に固定されている。ストラットB636は、その遠位端で立方体体積の最も近い角まで延在している。ストラットB634は、その近位端で、ストラットB635に固定されたノードB630の面から約90度横方向に向けられた上部ノードB630の面に固定されている。ストラットB634は、その遠位端で立方体体積の最も近い角まで延在している。ストラットB634が固定されている面と反対側のノードB630の上面では、ストラットB631の近位端がノードB630に固定されている。ストラットB631は、その遠位端で立方体体積の最も近い角まで延在している。
【0066】
図A16の実施形態では、第1のサブ単位セルB540は基準点として使用されるが、第2のサブ単位セルB640または別の点も、基準点として使用され得ることを理解されたい。第1のサブ単位セルB540が所定の位置に固定されると、第2のサブ単位セルB640が第1のサブ単位セルB640と実質的に相似になるように複製される。第2のサブ単位セルB640は、第1の単位セルB540の頂部に固定される前に、その中心軸を中心に回転される。
図A16では、第2のサブ単位セルB640を反転させて適切な回転を実現するが、中心軸を中心とした他の回転でも同じ結果を実現できる。第2のサブ単位セルB640に固定された第1のサブ単位セルB540は、複製して他のクォーター単位セルに横方向に取り付けて完全な単位セルを形成できるクォーター単位セルB560を形成する。
【0067】
あるいは、4つの実質的に相似のサブ単位セルの第1のグループを横方向に固定して、上から見たときに正方形、長方形、または四角形となるように形成することにより、完全な単位セルを構築し得る。中心軸を中心に回転させた4つの実質的に相似のサブ単位セルの第2のグループを横方向に固定して、上から見たときに正方形、長方形、または四角形となるように形成することもできる。サブ単位セルの第2のグループは、同じ結果を得るために、横方向に固定する前に中心軸を中心として回転させるか、固定した後に反転させることができる。次に、第2のグループが第1のグループの頂部に固定され、完全な単位セルが形成される。
【0068】
図A17は、A15のサブ単位セルB540を複製して形成された完全な単位セルB770の例であり得る。ノードB530とストラットB531およびB534~B536と同様、サブ単位セルB540の境界を画定する体積B532が、明確にするために識別される。
図A17の完全な単位セルB770は、上述の方法を使用して、または本発明の概念内の態様を使用して形成することができる。
【0069】
所定の単位セルのノードから伸びる各ストラットは、ノードから放射状に延在し、水平面からの長さと角度が実質的に同じになり得る。各ストラットの端では、ストラットが鏡像化され、隣接するノード面から延びるストラットが菱形の開口部を形成する。ストラットはノード面に対して直交しない可能性があるため、2つの形状の菱形が発生する。この構成では、4つの菱形の第1のグループが、垂直面に向けられたノードから放射状に延在している。ひし形の最初のグループの鋭角の角度は水平面からのストラット角度の2倍に等しく、鈍角の角度は180度から鋭角の角度を引いた値に等しくなる。また、この構成では、8つの菱形の第2のグループが放射状に延在しており、8つの菱形の第2のグループの一部は、4つの菱形の第1のグループを定義する隣接ストラット間の横方向分離角度内に収まる。菱形の第2のグループの鋭角の角度は、4つの菱形の第1のグループを定義する隣接するストラット間の横方向分離角度とほぼ同じであり得、鈍角の角度は180度から鋭角の角度を引いた値に等しくなり得る。足場の特性はまた、体積あたりの表面積によって説明されてもよい。1.0mm×1.0mm×1.0mmの立方体の場合、表面積は6.0mm2である。1.0mm3の構造が100%の体積密度の材料ではなく格子構造で構成される場合、体積あたりの表面積は大幅に増加し得る。低体積密度の足場では、体積密度が増加すると体積あたりの表面積が増加する。いくつかの実施形態では、30.1%の体積密度を有する足場は、1mm3あたり27.4mm2の表面積を有するであろう。いくつかの実施形態では、体積密度が27.0%に減少した場合、格子は1mm3あたり26.0mm2の表面積を有し、体積密度が24.0%に減少した場合、格子は1mm3あたり24.6mm2の表面積を有するであろう。
【0070】
本明細書に開示されるMRDDおよびRDDR構造はまた、所定の体積密度に対して特に高い弾性係数の利点をも有する。格子または足場として使用すると、適切な弾性係数と低い体積密度を備えたインプラントを実現し得る。体積密度が低いと、骨の内部成長に利用できるインプラントの体積が増加する。
【0071】
以下の表1に、さまざまな格子設計弾性係数の格子構成の例を示す。各例におおよその実測弾性係数が与えられ、製造プロセスを経た後のその格子の計算上の弾性係数を表す。本明細書に開示される格子構造およびインプラントは、いくつかの実施形態では設計弾性係数に、他の実施形態ではおおよその実測弾性係数に設計することができる。現在開示されている格子構造の利点の1つは、おおよその実測弾性係数が、以前に得られていたものよりもはるかに設計弾性係数に近いことである。テスト中、格子の一実施形態は、4.0GPaの設計弾性係数として設計された。テストを経て、格子の実測弾性係数は3.1GPaであり、実測弾性係数は、設計弾性係数の77%以内となった。
【0072】
各格子設計弾性係数に、体積密度、体積密度に対する設計弾性係数の比、表面積(mm2)、体積密度に対する表面積の比および格子設計弾性係数に対する表面積の比が与えられる。
【0073】
【0074】
本明細書に開示される実施形態のいくつかでは、必要なストラットの厚さは、所望の弾性係数から計算することができる。次の式を使用して、特定の弾性係数を実現するために必要なストラットの厚さを、いくつかのMRDDおよびRDDR構造について計算できる。
ストラットの厚さ=(-0.0035×(E2))+(0.0696×E)+0.4603
上の式において、「E」は弾性係数である。
弾性係数は、その値を達成するために必要なストラットの厚さを決定するために選択でき、または、事前に選択したストラットの厚さを使用して計算できる。ストラットの厚さはmm単位で表され、ストラットの直径を表す。ストラットの厚さは、事前に選択された弾性係数を使用して計算されてもよく、事前に選択されたストラットの厚さにおける弾性係数を決定するために選択されてもよい。
【0075】
いくつかの実施形態において、単位セルは、1つ以上の方向に伸長されて、異方性特性を有する格子を提供し得る。単位セルが伸長されると、一般に、伸びの方向に対して垂直な方向への弾性係数が低下し、伸び方向への弾性係数が増加する。相互接続部、開口部、および中央の空隙(存在する場合)内に含まれる新しい骨の成長の方向に対して垂直な方向に、セルを伸長することが望ましい。弾性係数が低いことが望ましい方向に対して垂直な方向にセルを伸長することにより、伸長方向のせん断強度が増加し、構造足場を設計するときに望ましい品質のセットが提供されるであろう。足場の全体的な剛性を共有すると、この効果が増加または減少し、1つ以上の方向の変動が可能になる。
【0076】
いくつかの実施形態では、サブ単位セルを画定する体積の高さへのノードの相対的な高さを制御することによって、サブ単位セルを設計してもよい。ノードの高さを制御することで、格子構造の最終的な特性及び外観に影響を与え得る。一般に、ノードの高さを増加させると、ストラットの厚さが増加し、体積密度が増加し、強度が増加し、結果として得られる格子の弾性係数が増加する。ノードの高さを増加させる場合、ノードの幅は、いくつかの実施形態では一定に保たれ得、または他の実施形態では変化し得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、サブ単位セルは、サブ単位セルを画定する体積に対するノードの体積を制御することにより設計されてもよい。ノードの体積を制御することで、格子構造の最終的な特性と外観に影響を与え得る。一般に、ノードの体積を増加させると、ストラットの厚さが増加し、体積密度が増加し、強度が増加し、結果として得られる格子の弾性係数が増加する。ノードの体積を増加させる場合、一部の実施形態では、ノードの幅または高さを一定に保ち得る。
【0078】
以下の表2に、さまざまな格子設計弾性係数の格子構成の例を示す。おおよその実測弾性係数が各例に与えられ、製造プロセスを経た後のその格子の計算上の弾性係数を表す。本明細書に開示される格子構造およびインプラントは、いくつかの実施形態では設計弾性係数になるように、またいくつかの実施形態ではおおよその実測弾性係数になるように設計され得る。各格子設計弾性係数に、格子設計弾性係数、ノードの高さ、体積密度、ノード体積、体積密度に対するノード高さの比、格子設計弾性係数に対するノード高さの比およびノード体積に対する体積密度の比が与えられる。
【0079】
【0080】
開示された格子構造のいくつかの実施形態は、0.375GPa以上4GPa以下の弾性係数範囲内で提供される場合に特に有用である。いくつかの実施形態は、2.5GPa以上4GPa以下の弾性係数を有する格子構造を含むことがより好ましい。いくつかの実施形態は、体積密度が5%以上40%以下である格子構造を含む。いくつかの実施形態は、体積密度が30%以上38%以下の格子構造を含むことがより好ましい。
【0081】
本明細書に開示される格子構造は、低体積密度範囲および低弾性係数範囲に対して特に強固な荷重特性および疲労特性を有する。格子構造のいくつかの実施形態は、静荷重および5Hzで最大5,000,000サイクルの動荷重において、300N以上15000N以下のせん断降伏荷重および圧縮降伏荷重を有する。いくつかの実施形態は、静荷重および5Hzで最大5,000,000サイクルの動荷重において、300N以上15000N以下の圧縮せん断強度および軸荷重を有する。いくつかの実施形態は、静荷重および5Hzで最大5,000,000サイクルの動荷重において、300N以上15000N以下のせん断強度および軸荷重を有する。いくつかの実施形態は、15Nmまでのねじり降伏荷重を有する。
【0082】
一例では、本発明の格子構造は、32%以上38%以下の体積密度、2.5GPa以上4GPa以下の弾性係数、ならびに静荷重および5Hzで最大5,000,000サイクルの動荷重における300N以上15000N以下のせん断強度および軸荷重を有する。いくつかの例は、幅が約200μm~900μmの実質的に均一な開口部の第1セットと、第1セットの幅の約1~15倍の幅の実質的に均質な開口部の第2セットとを含み、第2セットの開口部の数は、第1セットの開口部の数に対して約1:8から1:12の比率で設けられる。
【0083】
開示された構造は、骨統合が求められていない、または望ましくない用途で使用される場合にも、利点を有し得る。構造上に成長阻害コーティングまたは成長阻害スキンを施すことにより、本明細書に開示される格子を使用して、骨成長のための足場を提供することなく構造的支持を提供し得る。これは、一時的なインプラントまたは一定期間後に除去することを目的とした医療用デバイスで使用する際に望ましい場合がある。
【0084】
本明細書は、医療用インプラントで使用するための多孔質構造を設計する方法も開示する。設計方法には、以下のステップが含まれる。
1.事前に選択された高さ、第1の幅、および第2の幅からなり、6つの六面体体積面を備える六面体体積内でサブ単位セルを造形するステップ。
2.六面体体積内の中心に位置するノードを造形するステップ。ここで、ノードは、8つのノード面と前記六面体体積の面に平行な正方形平面を有する双四角錐を備え、六面体体積は、3つの六面体体積面の交点によってそれぞれ画定される8つの角部をさらに備える。
3.第1ノード面に対する近位端に固定され、第1ノード面に最も近い六面体体積の角部に対する遠位端に固定された第1ストラットを造形するステップ。
4.第1ノード面から横方向に約180度離れている第2ノード面について、第2ノード面に対する近位端に固定された第2ストラットを造形するステップ。
5.第1ノード面から横方向に約90度離れている第3のノード面について、第3のノード面に対する近位端で固定された第3ストラットを造形するステップ。
6.第3のノード面から横方向に約180度離れている第4のノード面について、第4のノード面に対する近位端に固定された第4ストラットを造形するステップ。
【0085】
医療用インプラントで使用する多孔質構造の設計方法は、サブ単位セルを複製し、4つのサブユニットの第2のグループに固定された4つのサブ単位セルの第1のグループを作成することにより単位セルを造形するステップを必要に応じて含んでもよい。ここで第1のグループは、上から見たときに四辺形になるように横方向に配置および固定された4つの実質的に相似のサブ単位セルを備え、第2のグループは、第1のグループに対して反転され、上から見たときに四辺形になるように横方向に固定された4つの実質的に類似のサブ単位セルを備える。
【0086】
本明細書に開示される方法を使用して医療インプラント用の多孔質構造を設計する場合、多孔質構造の特性は、サブ単位セルの特性を変更することにより変更されてもよい。サブ単位セルの特性を変更し得るサブ単位セルの変更には、ノードの高さの変更、ノードの体積の変更、ノードの横方向の寸法の変更、六面体体積の高さの変更、六面体体積の第1の幅の変更、または六面体体積の第2の幅の変更が含まれ得、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、六面体体積の第1の幅または第2の幅よりも小さい、六面体体積の所定の高さを選択することが好ましい。
【0087】
開示された設計方法は、六面体体積面によって画定される基準面を特定すること、および基準面から0度から90度の間のストラット方向を選択することを含み得る。開示された設計方法は、六面体体積面によって画定される基準面を特定すること、および基準面から8度から30度の間のストラット方向を選択することも含み得る。
【0088】
開示された設計方法で使用される格子構造は、菱形十二面体、変形菱形十二面体または放射状菱形十二面体を含みこれらに限定されない様々な構造を含み得る。医療用インプラントで使用するための多孔質構造を設計する方法は、必要に応じてさらに以下のステップを含み得る。
1.六面体体積の高さに平行な線で画定される主軸を特定するステップ。
2.主軸から90度以内の荷重軸を特定するステップ。
3.荷重軸からオフセットされた角度に向けられた2番目の荷重軸を特定するステップ。
4.0.3GPa以上12GPa以下の荷重軸に沿った弾性係数と、2GPa以上25GPa以下の第2荷重軸に沿った弾性係数を提供するようにインプラントを構成するステップ。ここで、先の荷重軸に沿った弾性係数は第2の荷重軸に沿った弾性係数よりも小さい。
【0089】
本明細書に開示される本発明は、異方性特性を有する生体適合性格子構造(以下「異方性格子」)およびその使用方法をも含む。本明細書では好ましい実施形態のみが示されており、他の単位セル構造の使用も本明細書で表される本発明の概念の範囲内となることを理解されたい。
【0090】
一般に、格子構造の弾性係数とその構造の体積密度は関連がある。体積密度を下げると弾性係数が下がり、逆もまた同様である。実質的に等方性の格子が構造的足場として使用される場合、結果として生じるインプラントは、少なくとも一方向における設計的妥協を必要とする場合がある。たとえば、構造足場は、脊椎で使用する場合、上下方向の圧縮に抵抗しながら、前後方向のせん断と上下軸の周りのねじれに抵抗できなければならない。等方性の場合、構造足場はすべての方向で実質的に同一の特性を有し、構造足場はすべての方向で予想される最大の力に基づいて設計する必要がある。本発明の異方性格子構造は、好ましくは、構造の関連部分について実質的に同一または異なり得る、複数の単位セルから構成される。構造の関連部分は、特定の特性が求められる構造の部分である。関連部分には、必要な特定の特性に応じて、多数の隣接する単位セルまたは単一の単位セルを含んでもよい。
【0091】
本明細書の開示において、単位セルおよび異方性格子構造を画定するストラットは、単一の単位セルまたは複数の単位セルに対して実質的に同じ直径であり得る。ストラットの直径を変えることで、単位セルの全体的な形状を変えることなく、得られる格子の機械的特性を変えることができる。ストラットは、実質的に同じ直径として説明されることがあるが、製造公差により、特定の用途で実質的に同じ直径のストラットとならない場合があることを理解されたい。特に、単位セルが小さい場合、ストラットの直径を制御するのがより難しい。本発明の概念は、異なる直径のストラットまたはストラット直径の変化を有する異方性格子でも機能し得る。
【0092】
本明細書では、異方性格子構造の単位セルは、1つ以上の方向に短縮または伸長されていると記載されている。各単位セルのサイズは、特定の材料または目標とする機械的特性に合わせてスケーリングできるため、単位セルを短縮または伸長してから適切なサイズにスケーリングしてもよい。
【0093】
図1~3は、単位セルの形状がストラット11によって画定される変形菱形十二面体格子10の繰り返し可能な単位セル構造を示す。示される例は、単一の完全なMRDD単位セルであり、隣接する単位セルの界面形状を示す、外側へ延在する追加のストラットを含む。
【0094】
図1は、MRDD格子10の等角図である。
図2はMRDD格子10の正面図であり、
図3は底面図である。側面図および背面図は、正面図と実質的に同じである。上面図は、底面図と実質的に同じである。MRDD格子では、各単位セルは、12の菱形側面を持つ変形菱形十二面体である。示されているMRDD単位セルはオープンセル構造であるため、MRDDの各側面は、平面内で菱形を形成する4つのストラット11によって画定される。
【0095】
この例におけるMRDD格子10は実質的に等方性であり、単位セルの12個の側面のそれぞれは実質的に同じサイズおよび形状である。側面を形成するストラット11も、実質的に同じ長さと厚さである。本明細書で使用される場合、「実質的」という用語は、参照値に対して10%大きい値まで、または10%小さい値までを含む。
図2において、z方向におけるMRDD格子10の部分の長さは、高さAによって画定される。
図2に示されるMRDD格子10の部分において、高さAは2つの単位セルの高さに等しい。
図3に示すように、MRDD格子10の部分のx方向の長さは幅Bによって画定され、MRDD格子10のセクションのy方向の長さは幅Cによって画定される。
図3に示すMRDD格子の部分では、幅Bと幅Cは単一の単位セルの高さに等しい。高さAは2つの単位セルの高さに等しいため、幅Bと幅Cは高さAの半分に等しくなる。さらなるわかりやすさのために、点AAは
図2と
図3で同一である。
【0096】
MRDD格子10は、x軸、y軸、およびz軸の方向に圧縮されたとき、おおむね等方性の特性を有する。MRDD格子10が椎体間脊椎固定インプラントで使用されるとき、格子によって提供される機械的特性は、上下方向、前後方向、および横方向で実質的に同じである。本明細書で用いられる方向または配向において、上下方向、前後方向、および横方向は、それぞれz方向、x方向、およびy方向に対応する。これらの特定の方向参照は例示であり、本明細書で説明される例示的な向きに使用される。
【0097】
椎体間脊椎固定インプラントの構造的支持体として格子を使用する場合、格子は、前後方向および横方向によって定義されるおおむね水平な面である横断面において、十分なねじり強度およびせん断強度を有しなければならない。横断面で十分なねじり強度およびせん断強度を持つようにMRDD単位セルが設計されている場合、上下方向の弾性係数はしばしば最適値よりも高くなる。上下方向の高い弾性係数は、新しい骨成長の応力遮蔽を引き起こし得、その結果、新しい骨成長が遅くなり、弱くなる。加えて、同じ体積密度の格子は、単位セルのサイズを大きくするメカニズムによってより太いストラットを維持してもよく、それによりすべての方向への耐疲労性が大きくなり、一方向への剛性が低下する。
【0098】
椎体間脊椎固定インプラントの上下方向の弾性係数が高い場合、椎体間インプラントは、新しい骨の成長よりもむしろ患者の動きに応じて生理的負荷を受ける。ウォルフの法則によれば、応力遮蔽された新しい骨の成長は、通常の機械的刺激を受ける骨よりも弱くなる。等方性格子は、x軸、y軸、およびz軸に沿って実質的に同一の機械的特性を持っているため、骨成長用の耐荷重足場としては、異方性格子ほど理想的ではない。
【0099】
図4~
図6は、本発明の第1の実施形態の繰り返し可能な単位セル構造を示す。第1の実施形態は、単位セルの形状がストラット111によって画定される伸長MRDD格子110である。第1の実施形態は、外側に延在する追加のストラットを有し、繰り返し構造の一部を表す、単一の完全な伸長RDDセルである。
図4は、伸長MRDD格子110の等角図であり、
図5は正面図、
図6は底面図である。側面図および背面図は、正面図と実質的に同じである。上面図は底面図と実質的に同じである。
【0100】
伸長MRDD格子110では、各単位セルは、12個の菱形側面によって画定される伸長変形菱形十二面体の交差部である。伸長MRDD格子110はオープンセル構造を有するので、単位セルの各側面は、平面内で菱形を形成する4つのストラット111によって画定される。伸長MRDD格子110はx方向およびy方向に伸長し、x方向およびy方向における単一セルの幅が幅Bおよび幅Cに等しく、2つのセルの高さが高さAの半分に等しくなる。言い換えると、単一セルのx方向またはy方向の幅は、この実施形態におけるz方向の単一セルの高さの2倍である。点BBは、さらなるわかりやすさのために
図5と
図6で同一である。
【0101】
高さよりも幅のほうが大きいMRDDセル構造を実現するには、セル内のストラットの長さを変更してセルの寸法を変更することが好ましい。これにより、任意の方向でセルの寸法を優先的に変更できる。この例では、ストラットが垂直方向に短縮され、セルの高さとそのセル方向の剛性が小さくなる。
【0102】
伸長MRDD格子110は、骨成長の足場として特に有用な異方性特性を有する。高さよりも幅のほうが大きい単位セルを作成することにより、結果として得られる足場は、垂直方向の弾性係数が水平方向の弾性係数よりも低くなる。脊椎で使用する場合、結果として得られる格子は、前後方向および横方向で高いせん断強度を維持しながら、上下方向でより大きな圧縮を可能にするであろう。上下方向の弾性係数が低下すると、応力遮蔽が低下し、融合が促進される。
【0103】
図7~9は、本発明の第2の実施形態の繰り返し可能な単位セル構造を示す。第2の実施形態は、単位セルの形状がストラット211によって画定される伸長MRDD格子210である。第2の実施形態は、外側に延在する追加のストラットを有し、繰り返し構造の一部を表す、3つの完全な伸長MRDD単位セルの積み重ねである。
図7は、伸長MRDD格子210の等角図であり、
図8は正面図、
図9は底面図である。側面図および背面図は、正面図と実質的に同じである。上面図は底面図と実質的に同じである。
【0104】
伸長MRDD格子210では、各単位セルは、12個の菱形側面によって画定される伸長変形菱形十二面体の交差部である。伸長MRDD格子210はオープンセル構造を有するので、単位セルの各側面は、平面内で菱形を形成する4つのストラット211によって画定される。伸長MRDD格子110はx方向およびy方向に伸長し、x方向における単一セルの幅が幅Bに等しく、y方向における幅が幅Cに等しく、z方向における2つのセルの高さは高さAの半分に等しくなる。言い換えると、単一セルのx方向またはy方向の幅は、この実施形態におけるz方向の単一セルの高さの2倍である。点CCは、さらなるわかりやすさのために
図8と
図9で同一である。
【0105】
異方性格子の例示的な実施形態は、z方向に対してx方向およびy方向に同じ量だけ伸長されている一方、高さに対する幅の他の比率は、本発明の範囲内に存在する。格子構造が必要な所定の用途に応じて、x方向またはy方向における幅は、単位セルのz方向の高さ以外の値となり得る。本発明の記述は、x方向、y方向およびz方向に対する単位セルの伸びを定義するが、特定の用途に対して適切な機械的特性を有する格子を作成するために、格子構造を回転または配向させることができる。例えば、格子の単位セルは、垂直軸に沿った圧縮が望ましくない用途においては、x方向およびy方向における幅よりも、z方向の高さが大きくなり得る。格子構造を回転させて、水平方向および垂直方向以外の方向に特定の機械的特性を有する格子を設計してもよい。また、90度離れていない方向において、異なる機械的特性を得ることも可能である。
【0106】
本明細書で説明される例示的な実施形態は幅Cに等しい幅Bを用いるが、しかしながら幅Cに等しくない幅Bを有する単位セルを作成することが望ましい場合があり得ることを理解されたい。単位セルの幅を一方向にのみ変更することで、その軸に沿った異なる機械的特性を実現してもよい。
【0107】
本明細書ではx軸、y軸、z軸を使用して本発明を説明したが、本明細書で説明する異方性格子は、特定の目的に必要な配向に適合させることができる。たとえば、主軸線は、z軸に沿う直線または垂直線である必要はない。一例では、主軸線は脊柱前弯に沿う。別の例では、格子構造が全体にわたって変化し、主軸が脊柱前弯に沿うインプラントを実現する。各単位セルの寸法は、所望の機械的特性に応じて、関連する部分の一方の端で同じとすることも、他方の端ですべて異なるものとすることもできる。単位セルの寸法は、1つ以上の単位セルの高さと1つ以上の単位セルの幅の層で構成できる。ある層内の単位セルは、寸法特性を共有でき、したがって機械特性を共有できる。
【0108】
単位セルの形状を調整して、x方向およびy方向の格子のねじり強度およびせん断強度を高めることもできる。ねじり強度とせん断強度は、すべての単位セルの寸法を変更するか、格子構造の特定の部分のセルの寸法のみを優先的に変更することで調整できる。一例では、単位セルは格子構造の頂部または底部付近のみ変更される。
【0109】
本明細書に開示される異方性格子構造は、さまざまな材料およびプロセスから製造され得る。骨の足場として使用される場合、異方性格子は、直接または生物活性表面処理の適用のどちらかを通じて骨の付着を可能にする生体適合性材料で作られることがしばしば望ましい。一例では、異方性格子は埋め込み可能な金属で構成される。
【0110】
別の例示的な実施形態では、異方性格子は、様々な骨のz軸に沿った弾性係数を有する埋め込み可能な金属で構成される。一例では、z方向の弾性係数は0.3~2.0GPaであり、x方向およびy方向の弾性係数は2.0~25.0GPaである。別の例では、z方向の弾性係数は2.0~4.0GPaで、x方向およびy方向の弾性係数は4.0~25.0GPaである。別の例において、z方向の弾性係数は4.0~12.0GPaであり、x方向およびy方向の弾性係数は12.0~25.0GPaである。別の例において、z方向の弾性係数は0.3~12.0GPaであり、x方向およびy方向の弾性係数は10.0~25.0GPaである。別の例示的な実施形態では、異方性格子は、様々な骨においてz軸に沿った弾性係数を有するチタンまたはチタン合金から構成される。一例では、z方向の弾性係数は0.3~2.0GPaであり、x方向およびy方向の弾性係数は2.0~25.0GPaである。別の例では、z方向の弾性係数は2.0~4.0GPaであり、x方向およびy方向の弾性係数は4.0~25.0GPaである。別の例では、z方向の弾性係数は4.0~12.0GPaであり、x方向およびy方向の弾性係数は12.0~25.0GPaである。別の例では、z方向の弾性係数は0.3~12.0GPaであり、x方向およびy方向の弾性係数は10.0~25.0GPaである。
【0111】
いくつかの実施形態では、格子の弾性係数は、菱形の開口部の頂点の内角を二等分する線に基づいて参照され得る。一実施形態では、菱形開口の頂点の内角を二等分する線に垂直な方向である第1荷重方向の弾性係数は、0.3GPa以上12.0GPa以下であり、第1の方向からオフセットされる第2荷重方向は2.0GPa以上25.0GPa以下であり、第1の方向の弾性係数は第2の方向の弾性係数よりも小さい。
【0112】
本明細書に開示される異方性格子構造は、主軸に沿った長さ、主軸に垂直なx軸、x軸に垂直なy軸、主軸から90度以内の荷重方向を有する画定体積内の繰り返し単位セルを備える医療用インプラント用の多孔質構造としても説明でき、構造の荷重方向に沿った弾性係数は、x軸に沿った弾性係数よりも低くなる。いくつかの実施形態では、多孔質構造は、y軸に沿った弾性係数よりも、荷重方向に沿った弾性係数のほうが低くなり得る。格子構造は、いくつかの実施形態において、x軸およびy軸に沿って固定された均一な繰り返し単位セルの複数の層としても提供され得、少なくとも1つの層は、隣接する層よりも、荷重方向に沿って高い弾性係数を有する。繰り返し単位セルの複数の層を備えたいくつかの実施形態では、各層の荷重方向は脊椎前弯に沿い得る。繰り返し単位セルの複数の層を備えたいくつかの実施形態では、各層の方向はデバイスの湾曲に沿い得る。繰り返し単位セルの複数の層を備えたいくつかの実施形態では、各層における方向は周囲の組織または骨構造の湾曲に従うことができる。前述のように、格子構造のいくつかの実施形態は、菱形十二面体構造、変形菱形十二面体構造、または放射状菱形十二面体構造を備え得る。
【0113】
本明細書で開示される異方性構造のいくつかの実施形態は、0.3GPa以上12GPa以下の荷重方向の弾性係数と、2GPa以上25GPa以下のx軸に沿った弾性係数とを有し得、荷重方向の弾性係数はx軸に沿った弾性係数よりも小さい。いくつかの実施形態では、主軸に沿った長さは、x軸に沿った長さよりも短くなる。いくつかの実施形態では、主軸に沿った長さは、y軸に沿った長さよりも短くなる。他の実施形態では、x軸に沿った長さは、y軸に沿った長さとほぼ同じである。
【0114】
骨の内部成長を促進するために最適化されたいくつかの実施形態では、主軸を骨成長の所望の方向に合わせることができる。ここで、骨成長の所望の方向は、骨構造から離れる骨成長方向である。骨の内部成長を促進するために最適化されたいくつかの実施形態は、5%以上40%以下の体積密度、より好ましくは30%以上38%以下の体積密度を有し得る。骨の内部成長に最適化される場合、格子のいくつかの実施形態では、ある方向における0.375GPa以上4GPa以下の弾性係数を有することが好ましい。また、格子構造が静荷重および5Hzで最大5,000,000サイクルの動荷重において300N以上15000N以下の圧縮せん断強度と軸荷重、および最大15Nmのねじり降伏荷重を有することも有益である。
【0115】
本明細書に開示される格子構造は、骨の成長が促進されるように構成されているいくつかの例において、医療用インプラントに含まれ得る。その場合、骨成長が望まれる少なくとも2つの骨構造の間の領域に埋め込まれるように格子構造が構成され、骨構造は、埋め込み時の骨融合インプラントの近傍に存在する、または隣接する患者組織の一部であり、主軸が2つの骨構造の両方と交差し、荷重軸が主軸から90度以内にあり、格子構造は、2つの骨構造の間に単独の機械的間隔を提供するように構成され、第2荷重軸は第1荷重軸と交差し、そして、格子構造は、第2荷重軸に沿った弾性係数よりも低い、第1荷重軸に沿った弾性係数を有する。
【0116】
本発明の伸長格子が骨成長足場として使用される場合、骨の付着が望ましいが、本発明は、骨の内部成長なしで体内の機械的支持のために使用されてもよい。一例では、異方性格子は、表面処理なしでは骨の付着を許容しない医療用デバイスで一般的に使用されるポリマーである、ポリエーテルエーテルケトン(以下「PEEK」)で構成される。一時的なインプラントまたは将来除去しなければならない可能性があるインプラントには、PEEKを使用することが有益となる。PEEKを用いて本発明を製造するために使用できる製造プロセスには、3Dプリントおよび押出プリントが含まれるが、これらに限定されない。
【0117】
本明細書では、好ましい実施形態の単位セル構造として伸長MRDDを示したが、1つ以上の方向に伸長し得る単位セル構造には多くの種類がある。適切な可能性のある単位セルには、菱形十二面体、ダイヤモンド型、十二面体、正方形、五角形、六角形および八角形が含まれ、これらに限定されない。異方性格子は、わずか4つの側面を使用する単位セルで実現されてもよい。所望の機械的特性を実現するために必要な、単位セルの高さに対する幅の変化は、単位セルの形状と材料によって異なる。
【0118】
異方性格子は、重量に対する構造の固有の強度の比のため、繰り返し伸長MRDD単位セルを使用して作成することが好ましい。伸長MRDD単位セルの重量の特性に対する強度により、結果として得られる異方性格子は、所定の剛性に対してより低い体積密度で生成できる。体積密度が低いと、骨の内部成長のための体積が大きくなり、結果として新しい骨の成長が強くなり得る。いくつかの実施形態において、異方性格子は、重量特性に対するその固有の強度のためにも、繰り返し伸長RDDR単位セルを使用して作成することが好ましい。
【0119】
本明細書に開示される異方性格子の実施形態は、脊椎固定術における新しい骨成長の応力遮蔽を低減する方法で使用され得る。脊椎固定術では、損傷した、または病に罹患した椎間板は取り除かれ、隣接する椎骨の終板と隣接する椎骨間で成長する新しい骨の経路との間の機械的間隔を提供する椎体間装置と置換される。時間が経つにつれて、隣接する椎骨からの新しい骨成長は最終的に共に成長し、単一の骨に融合する。
【0120】
椎体間装置が過剰な剛性または不必要に高い弾性係数を有する場合、患者が動くと、新しい骨成長よりもむしろ、重量を支える傾向がある。これが発生すると、新しい骨の成長は応力遮蔽され、ウォルフの法則に従って、新しい骨成長は通常の生理的ストレスを受けた場合よりも弱くなる。脊椎では、上下方向または脊椎の前弯によって定義される方向に弾性係数を制御することが、新しい骨成長の負荷に対して重要であると理論付けられている。
【0121】
応力遮蔽を低減する本方法は、本明細書に開示される1つ以上の単位セルからなる異方性格子を有する、隣接椎骨の終板間の機械的間隔の一部またはすべてを提供する椎体間装置を作成することを含む。本明細書に開示される1つ以上の単位セルを繰り返すことにより、結果として生じる椎体間装置は、前後方向または横方向の弾性係数よりも、上下方向または脊椎の脊柱前弯によって定義される方向の弾性係数が低いことが好ましい。前後方向または横方向に伸長したセルを使用する脊椎固定装置は、他の方向のねじり強度およびせん断強度を大幅に変更することなく、上下方向または脊椎の前弯によって定義される方向の弾性係数を低下させる。
【0122】
上下方向または脊椎の前弯によって定義される方向における弾性係数が低いと、隣接する椎骨の終板が互いに対して限られた量だけ動き、新しい骨の成長にストレスを与えることができるため、望ましい。椎体間強度は、適切な安定性を提供するのに十分な高さを維持しなければならないが、負荷を分担するのに十分低くなければならず、それによって新しい骨の成長における応力遮蔽を防ぐ。
【0123】
また、すべてのインプラントの応力遮蔽を低減する、以下を含むステップも開示されている。
1.組織の成長を可能にするように構成された繰り返し単位セルを備える格子構造の少なくとも一部を備えるインプラントを提供するステップ。
2.組織の2つの領域の近傍にある、またはそれらに隣接するインプラント空間を画定するステップ。
3.組織の2つの領域の両方と交差する主軸を定義するステップ。
4.主軸から90度以内の荷重軸を定義するステップ。
5.荷重軸と交差する少なくとも1つの平面内の組織の2つの領域間に単独の機械的間隔を設けるインプラントを構成するステップ。
6.繰り返し単位セルを、荷重軸に沿って他の方向よりも短くなるように構成するステップ。
【0124】
上記の方法において、繰り返し単位セルは、菱形十二面体、変形菱形十二面体または放射状菱形十二面体を含むがこれらに限定されない様々な格子構造を使用できる。インプラントは、組織の領域の近傍にまたは隣接して埋め込まれるように構成されることが好ましい。組織の領域は、繊維組織または骨組織を含むがこれらに限定されないさまざまな種類の組織であり得る。組織の領域は、単一のセルと同じくらい小さい場合があり得、連続した表面、組織または骨の一部であり得る。荷重軸と交差する平面は平坦面であり得るが、必ずしもそうである必要はない。交差する平面は、例えば、曲面であり得る。交差する平面は、組織の2つの領域の間に連続層を規定することが好ましく、ここで格子構造が組織の領域間の単独の機械的間隔を提供する。
【0125】
応力遮蔽を減らす上記の方法には、以下のステップが含まれる。
1.荷重軸からオフセットされた角度に向けられた2番目の荷重軸を特定するステップ。
2.0.3GPa以上12GPa以下の荷重軸に沿った弾性係数と、2GPa以上25GPa以下の第2荷重軸に沿った弾性係数を提供し、第1荷重軸に沿った弾性係数は第2荷重軸に沿った弾性係数よりも低い、インプラントを構成するステップ。
【0126】
いくつかの態様では、異方性特性を備え、脊椎固定術での新しい骨成長の応力遮蔽を低減する方法で設計が可能な生体適合性の格子構造が説明されている。本開示は、骨足場としての格子または異方性格子の使用について説明しているが、本発明のすべてまたは一部は、他の用途で使用することができる。本開示では、本発明の好ましい実施形態のみを示し説明したが、前述のように、本発明は他の様々な組み合わせおよび環境で使用可能であり、本明細書で表される本発明の概念の範囲内で変更または修正が可能であることを理解されたい。