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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】あんぽ柿の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F26B 21/04 20060101AFI20240520BHJP
   F26B 21/10 20060101ALI20240520BHJP
   F26B 9/06 20060101ALI20240520BHJP
   A23B 7/02 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
F26B21/04 A
F26B21/10 A
F26B9/06 A
A23B7/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020070264
(22)【出願日】2020-04-09
(65)【公開番号】P2021167680
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】391008294
【氏名又は名称】フルタ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣
(72)【発明者】
【氏名】古田 成広
(72)【発明者】
【氏名】粟田 好治
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-150746(JP,A)
【文献】特開2003-135019(JP,A)
【文献】特開平06-281329(JP,A)
【文献】特開昭62-116888(JP,A)
【文献】特開平10-227563(JP,A)
【文献】特開昭62-181735(JP,A)
【文献】特開平08-289720(JP,A)
【文献】特開2004-019989(JP,A)
【文献】特開2016-047039(JP,A)
【文献】特開2007-105003(JP,A)
【文献】特開2019-205417(JP,A)
【文献】特開2020-026891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B
A23B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファン付きバーナ、及び熱交換筒、並びに空気・熱風流動を司るファンを備えた熱風生成部を具備し、かつダンパー付きの吸込み口を備えた第1部屋と、
この第1部屋の横に連なり、エビラ用の棧をそれぞれ備えた第2部屋乃至前記エビラ用の棧及びダンパー付きの排気口を備えた第n部屋と、
前記第1部屋乃至前記第n部屋間に連通する熱風用の送り空気通路
この第n部屋からこの第1部屋に向かった戻り空気通路を備え、
前記戻り空気通路を流れる戻り空気は、前記熱風生成部にリターン可能として、空気の再利用を図り、
この戻り空気通路を、前記第n部屋乃至前記第1部屋の天井部に配備して、前記戻り空気を熱風乾燥機の室内に戻し、廃熱利用、及び/又は、この第n部屋乃至この第2部屋の補助暖房に利用可能とし、
前記送り空気通路を流れる送り空気は、前記横に連なりの送り方向に搬送可能とした、熱風乾燥機を利用したあんぽ柿の製造方法であって、
皮むき柿に対し、以下の1工程~5工程を施して乾燥させ、渋抜きをするプログラムであり、70時間で全工程が終了する構成としたあんぽ柿の製造方法
1工程:70℃でスタートした後、温度降下させ、乾燥時間は0.5時間、前記ファンは40Hzとする。
2工程:42℃に温度を下げ、乾燥時間は19.5時間、前記ファンは55Hzとする。途中、表面の状態を確認する。
3工程:40℃に温度を下げ、乾燥時間は10時間、前記ファンは40Hzとする。
4工程:温度は40℃に保ち、乾燥時間は20時間、前記ファンは40Hzとする。
5工程:38℃に温度を下げ、乾燥時間は20時間、前記ファンは40Hzとする。途中、芯の状態の確認を2回行う。
【請求項2】
前記熱風乾燥機は、前記横に連なりにより、前記第1部屋から前記第n部屋に向かった、一連の横方向の熱風の流れによる、横吹き乾燥を可能としている請求項1に記載のあんぽ柿の製造方法
【請求項3】
前記熱風乾燥機の前記エビラ用の棧に、皮むき柿のヘタを下にして載荷した状態で乾燥させる構成とした請求項1又は2に記載のあんぽ柿の製造方法
【請求項4】
前記皮むき柿の乾燥工程において、前記皮むき柿の渋みを抜くための手揉みを数回実施する構成とした請求項1~3の何れか一項に記載のあんぽ柿の製造方法
【請求項5】
前記手揉みを実施する際には、初期温度を75℃とする構成とした請求項4に記載のあんぽ柿の製造方法
【請求項6】
前記手揉みを実施する際には、少なくとも、前記乾燥工程から二日目、又は三日目で実施する構成とした請求項4又は5に記載のあんぽ柿の製造方法
【請求項7】
前記皮むき柿を取卸しする五時間前の芯の状態を確認し、以下のように前記熱風乾燥機の前記ファンの風量を変更する請求項1~4の何れか一項に記載のあんぽ柿の製造方法
イ)乾燥による渋抜きの仕上がりが悪い場合には、50~40Hzにする。
ロ)乾燥による渋抜きの仕上がりが良い場合には、20~30Hzにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱風乾燥機を利用したあんぽ柿の製造方法に関する。前記あんぽ柿は、ころ柿等、広くは、干し柿とも称される。
【背景技術】
【0002】
従来、あんぽ柿(ころ柿、干し柿を含む)の製造方法に関しては、特開2013-17475号公報に、室内を、減圧下で、かつ外気温よりも高温の35~50℃の室温に保持する加温乾燥工程と、加温乾燥工程と同一減圧下で保持する保持時間をより短時間とする余熱除去工程と、でなり、表面乾燥を施し、干し柿の表面に過乾燥被膜を形成することを特徴とする。
【0003】
また、横吹き乾燥としては、特開平8-247648号公報に、室内を減圧に維持しつつ、遠赤外線ヒーターによる、熱風照射を利用して乾燥する構造であって、熱風を横吹き循環利用することを特徴とする。
【文献】特開2013-17475号公報
【文献】特開平8-247648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、干し柿の表面に過乾燥被膜を形成すること、又は熱風を横吹き循環利用すること、は開示されている。
【0005】
しかしながら、1) あんぽ柿の仕上がりの日数の点、2) 手揉と、この手揉を実施する条件、3) 横吹き循環利用の条件に関して、改良の余地がある。
【0006】
1) 例えば、文献(1)では、概ね4日~8日を意図するが、本発明では、実験結果では、略70時間であり、3日~6日での仕上がりが可能となる。図7(イ)、(ロ)にて示している。
【0007】
2) 例えば、文献(1)では、手揉を実施する工程に関しての開示がない。本発明では、手揉の実施を、図10(イ)~(ニ)にて示している。
【0008】
3) 例えば、文献(1)、(2)では、熱風の横吹き循環利用が、乾燥室内ではない。本発明では、熱風の横吹き循環利用を、図3にて示している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の通り、1)~3)に示した各図にて説明することで、課題を解決した。
【発明の効果】
【0010】
請求項1においては、
ファン付きバーナ、及び熱交換筒、並びに空気・熱風流動を司るファンを備えた熱風生成部を具備し、かつダンパー付きの吸込み口を備えた第1部屋と、
この第1部屋の横に連なり、エビラ用の棧をそれぞれ備えた第2部屋乃至前記エビラ用の棧及びダンパー付きの排気口を備えた第n部屋と、
前記第1部屋乃至前記第n部屋間に連通する熱風用の送り空気通路
この第n部屋からこの第1部屋に向かった戻り空気通路を備え、
前記戻り空気通路を流れる戻り空気は、前記熱風生成部にリターン可能として、空気の再利用を図り、
この戻り空気通路を、前記第n部屋乃至前記第1部屋の天井部に配備して、前記戻り空気を熱風乾燥機の室内に戻し、廃熱利用、及び/又は、この第n部屋乃至この第2部屋の補助暖房に利用可能とし、
前記送り空気通路を流れる送り空気は、前記横に連なりの送り方向に搬送可能とした、熱風乾燥機を利用したあんぽ柿の製造方法であって、
皮むき柿に対し、以下の1工程~5工程を施して乾燥させ、渋抜きをするプログラムであり、70時間で全工程が終了する構成としたあんぽ柿の製造方法の提供である
1工程:70℃でスタートした後、温度降下させ、乾燥時間は0.5時間、前記ファンは40Hzとする。
2工程:42℃に温度を下げ、乾燥時間は19.5時間、前記ファンは55Hzとする。途中、表面の状態を確認する。
3工程:40℃に温度を下げ、乾燥時間は10時間、前記ファンは40Hzとする。
4工程:温度は40℃に保ち、乾燥時間は20時間、前記ファンは40Hzとする。
5工程:38℃に温度を下げ、乾燥時間は20時間、前記ファンは40Hzとする。途中、芯の状態の確認を2回行う。
【0011】
請求項2においては、
熱風乾燥機は、前記横に連なりにより、前記第1部屋から前記第n部屋に向かった、一連の横方向の熱風の流れによる、横吹き乾燥を可能としているあんぽ柿の製造方法の提供である。
【0012】
請求項3においては、
前記熱風乾燥機の前記エビラ用の棧に、皮むき柿のヘタを下にして載荷した状態で乾燥させる構成としたあんぽ柿の製造方法の提供である。
【0013】
請求項4においては、
前記皮むき柿の乾燥工程において、前記皮むき柿の渋みを抜くための手揉みを数回実施する構成としたあんぽ柿の製造方法の提供である。
【0014】
請求項5においては、
前記手揉みを実施する際には、初期温度を75℃とする構成としたあんぽ柿の製造方法の提供である。
【0015】
請求項6においては、
前記手揉みを実施する際には、少なくとも、乾燥工程から二日目、又は三日目で実施する構成としたあんぽ柿の製造方法の提供である。
【0016】
請求項7においては、
前記皮むき柿を取卸しする五時間前の芯の状態を確認し、以下ように前記熱風乾燥機の前記ファンの風量を変更するあんぽ柿の製造方法の提供である。
イ)乾燥による渋抜きの仕上がりが悪い場合には、50~40Hzにする。
ロ)乾燥による渋抜きの仕上がりが良い場合には、20~30Hzにする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に用いる熱風乾燥機の斜視図
図2図1の要部を断面視した正面図
図3図2を俯瞰し、熱風用の送り乾燥空気と戻り乾燥空気を示した模式図
図4】(イ)は、あんぽ柿の横吹き乾燥の特徴を示した図表、(ロ)は、あんぽ柿の横吹き乾燥と、従来の上吹き乾燥の模式図を対比して示した図、(ハ)は、あんぽ柿の横吹き乾燥の特徴を示した図
図5】某農園におけるあんぽ柿の乾燥試験の報告書であり、(イ)は、試験条件を記した図表、(ロ)は、乾燥前の温度表を示した図表
図6図5に関連する柿の配列個数等を示したものであり、(イ)は配列図、(ロ)は、柿配列と個数とを示した
図7】あんぽ柿を横吹き乾燥で乾燥するに適する各工程と、そのプログラムを示しており、(イ)は、図表で、(ロ)は、グラフの図表
図8】(イ)は、乾燥過程を、例えば、第1工程か第n工程とし、温湿度調整・ダンパー開度等の経過を示した図表、(ロ)は、ヘタを下にした干し柿の拡大姿図
図9図8に示した乾燥過程で、手揉みを行う条件を加えたものであり、(イ)と(ロ)は、24時間後で、(ハ)と(ニ)は、48時間後であり、また、(ホ)と(ヘ)は、あんぽ柿に近似した仕上がりが期待できるデータ管理図表
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施例に関する構成を順に説明するが、好ましい、一例であり、この説明とか図面に限定されず、本発明の考えと、概念が符合するものは、本発明の範疇である。
【0021】
図1から図3において、熱風乾燥機1となる第1部屋100(熱風生成部屋で、最初の部屋)には、ファン付きバーナ2、及び熱交換筒3、並びに空気・熱風流動を司るファンを備えた熱風生成部4を具備し、そして、底部近傍にダンパー付きの第1吸込み口5、及び上部に戻り空気用の第2吸込み口5aを備える。尚、後述する外郭体8の外天井に外気導入用の第3吸込み口5bを付設することも有り得る。そして、この第3吸込み口5bはコンピュータ制御で、必要時に作動しつつ(自動制御を介して)、第1吸込み口5からの吸込み量を考えてミキシングと本装置に必要とする量の確保を図る。この制御が、あんぽ柿の品質と、生産量/収穫量の効率化に有効である。
【0022】
図中6は乾燥室で、この乾燥室6は、この一例では、第2部屋101(乾燥部屋で、最初の乾燥部屋)~第n部屋100n(終端の乾燥部屋で、最終乾燥部屋)で構成されている。部屋の増減は、適宜調整し、生柿h1(あんぽ柿素地)の生産量とか、需要等を考慮し決定する。
【0023】
図中7は戻り空気通路で、この戻り空気通路7は、乾燥室6の内天井6aと外郭体8の外天井8aとでなる隙間であり、横吹き(横流れ)方向に貫設されており、第n部屋100nの排気口9からの働きを終えた空気(戻り空気)を送る通路となる。尚、図示しないが、戻り空気は、除塵機を通すことと、太陽光を利用して、殺菌等の処理を行う。
【0024】
図中10は、第2部屋101~第n部屋100n(それぞれの乾燥部屋)の内部の上下方向、及び横吹き方向に向かって多数設けた棧(棚材)であり、この棧10間には、生柿h1、あんぽ柿h等を載置したエビラ(図示しない)が掛け止めされる。そして、この棧10間と、エビラ間に形成される横吹きの隙間を利用して、同方向に向かって第1部屋100で生成された熱風を送る送り空気通路11(熱風通路)が形成される。
【0025】
熱風乾燥機1の第1吸込み口5からの外気を、熱風生成部4に送り、この熱風生成部4からの熱風は、送り空気通路11を介して、図2において向かって左から右に向う、横吹きであって、この流れを図中(イ)で示す。この熱風の流れ、及び/又は、制御を利用し、生柿h1を乾燥、及び/又は、手揉み作業を介して、あんぽ柿hを製造する。
【0026】
一方、第n部屋100nの排気口9から排気される働き終えた空気は、戻り空気となり、戻り空気通路7を経由し、第1部室100にリターンし、再利用される。この流れを図中(ロ)で示す。
【0027】
図4(イ)~(ハ)において、(イ)は、あんぽ柿hの横吹き乾燥における時間の経過と、水分含有量の変化に伴う重量変化を示しており、表面の変化とか、生柿h1の芯の乾燥を示している。縦軸が重量、横軸が乾燥時間である。(ロ)は、横吹き乾燥と、従来の上吹き乾燥を対比したものであって、横吹き乾燥は、即乾でなく、バランスが良い乾燥で、かつ乾燥時間の短縮が可能となる。また、(ハ)は、横吹き乾燥の利点を示している。
【0028】
図5(イ)、(ロ)は、某農園におけるあんぽ柿hの乾燥試験の報告書であり、(イ)は、試験条件を記した表であって、試験項目、生柿h1の銘柄、乾燥機の一例とか、乾燥結果に関して開示、(ロ)は、乾燥前の温度表と、左欄に示した諸条件を示し、かつ乾燥データを示してある。また、客先の要望に従い、下記のような事項を考慮すべきである。
1. 客先の要望は、基より、あんぽ柿hである。しかし、ころ柿も作りたいとの要望があることに鑑み、昔ながらの干し柿の製造を考慮し、下記のような手法とした。
2. 過熟し過ぎると生柿h1の果肉が垂れてエビラに付くので、温度低めで乾燥したい。
3. 手揉み作業を行う場合の理由の一つは、初期温度高めで、乾燥したいためである。
4. 2日目とか、又は3日目で手揉み作業をする。理由は、揉むことで渋みが抜ける利点と、併せて、品質の安定性の確保である。尚、渋みを効率的に抜くことを考慮し、CО2を利用することも考える。例えば、ドライアイスの利用である。
【0029】
また、図6は、図5の乾燥試験に関連する柿の配列個数等を示したものであり、(イ)は試験における配列図を撮影した写真、(ロ)は(イ)を表にしたものであり、棧10の段数は、図示の如く相違しても、品質への影響はない。
【0030】
そして、図7においては、あんぽ柿hを横吹き乾燥で試験するに適する各工程と、そのプログラムを示しており、(イ)は表、(ロ)はグラフであって、下記の条件と目的を付した。
【0031】
図7(ロ)における乾燥のポイントを詳述する。
1. 柿の表皮の状態を確認する。
例えば、生柿h1の表皮が乾いて水分がない状態にする。特に、10月前半の気候や、部屋の温度が高いと、バーナ2の着火回数が少なくなり、乾燥が進まなくなる為、設定温度から1℃程度上げる。
2. 芯の状態を確認する。
芯の硬い物(柿)は渋みが抜けていないので、芯抜き機能(芯抜き作業)を活用し、渋味の強い物(柿)や、例えば、ひらたね柿等の渋が抜けにくい物(柿)に使用する。
3. 再度芯の状態を確認する。
取卸5時間前に芯の状態を確認し、悪い場合はファンを50~40Hz間(任意操作、及び/又は、自動制御する。以下、同じ)にする。逆に、乾燥が仕上がっている場合は、ファンを30Hzに落として乾燥する。
【0032】
ファンの調整方法
1. 調整スイッチを入れる。
2. 温度表の画面の左側の「次へ」を押す。
3. 1~5工程までのファンの調整ができるため、高速・中速・低速・任意のいずれかを選択する。制御盤、及び/又は、ダイヤル調整等とする。
熱風乾燥機1の構造では、例えば、他社の上吹き乾燥機と違い、温度設定が2~3℃低くなっている。
上吹き乾燥機と同じ温度にした場合、あんぽ柿hの変色の恐れがあるので、注意が必要である。(乾燥室6内の温度は、例えば、他社の上吹き乾燥機と同等の温度にしている。)
温度の調整に関しては、十分な注意が必要である。
【0033】
図8は、請求項を説明するための構成であって、第1工程~第5工程とする。そして、図8(イ)に示した図表は、あんぽ柿hを横吹き乾燥で乾燥するに適する各工程と、そのプログラムを示しており、図表は、生柿h1の水分量100%より開始する。三種類の熱風乾燥機を用いた場合の比較である。SC34が、熱風乾燥機1に相当する。縦軸が湿度で、横軸が乾燥時間である。成果と具体例と、改良点は、下記となる。
1. 総括すると、色落ちせず重量比で34%に仕上がる。
2. 乾燥終了後、手揉みをしない、大玉に関しては全く渋が抜けず、小玉は渋が有・無あり、品質がまちまちであった。
3. 例えば、富士柿のような大きな柿は、72時間以上、又は手揉みを進めるような乾燥方法を提供することが必要である。
【0034】
今回の乾燥で客先の評価として、
1. 乾燥の仕上りは、思っていた様に仕上がったとの事。
2. エビラに対しヘタを下にした乾燥は良好(他社上吹乾燥機より良かった)
客先には、今回の温度表と24~48時間で手揉みできる温度表を提供できた。
1. 手揉み24時間温度表
2. 手揉み48時間温度表
3. 富士柿用あんぽ柿h温度表
各々風量が違う2種類、合計6種類の温度表を提供する。
今後は、上記6種類の温度表にて乾燥を行うのが望ましいことが理解できる。
【0035】
また、図8(ロ)は、ヘタを下にした干し柿の姿図であり、前述した客先の評価のうち、2エビラに対しヘタを下にした乾燥は良好であったことを証明する拡大図である。
【0036】
図9は、前述の6種類の温度表であり、(イ)と(ロ)は、24時間後に手揉みを行う例であって、それぞれの条件を付している。同様に(ハ)と(ニ)は、48時間後に手揉みを行う例であって、それぞれの条件を付している。ここに開示した条件での製法では、あんぽ柿hの仕上がりは良好であった。今後は、この条件での製造が普及するものと考えられる。しかし、これに満足することなく、第1吸込み口5と第3吸込口5bの制御の改良とか、戻り空気の有効利用とか、により、更なる、品質・生産の向上とか、至宝のあんぽ柿hの提供に途を開くことになる。また、(ホ)と(ヘ)は、客層が好むあんぽ柿hを製造することを考えた例であって、それぞれの条件を付している。ここに開示した条件であれば、あんぽ柿hの仕上りが期待できると考えられる。今後は、この条件での製造が普及するものと考えられる。
【0037】
本発明は、実施形態に限定されるものではなく、各請求項に示した範囲内での種々の変更が可能である。すなわち、各請求項に示した範囲内で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1 熱風乾燥機
100 第1部屋
101~100n 第2部屋~第n部屋
2 バーナ
3 熱交換筒
4 熱風生成部
5 第1吸込み口
5a 第2吸込み口
5b 第3吸込み口
6 乾燥室
6a 内天井
7 戻り空気通路
8 外郭体
8a 外天井
9 排気口
10 棧
11 送り空気通路
h あんぽ柿
h1 生柿(あんぽ柿素地)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9