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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】パレット
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/44 20060101AFI20240520BHJP
   B65D 19/24 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
B65D19/44 A
B65D19/24 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020146014
(22)【出願日】2020-08-31
(65)【公開番号】P2022041016
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】593025619
【氏名又は名称】トーホー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】近藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】楠田 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】平田 輝彦
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-097430(JP,A)
【文献】特開2003-137288(JP,A)
【文献】特開2017-019508(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0121055(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 19/44
B65D 19/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺円筒形状の搬送物が横向きに載置される発泡樹脂製のパレットであって、
平面視で長方矩形の板状のパレット本体と、前記パレット本体の上面に搬送物の円筒側面を支持するように形成された支持部材と、前記パレット本体の下面に設けられた複数の脚体と、を備え、
同形状の一対の前記パレット本体がそれらの長辺で連結され、連結された前記一対のパレット本体を跨ぐように搬送物が載置され
前記支持部材は、搬送物の円筒側面に沿った円弧面の両縁を成す凸状部を有し、
前記脚体と前記凸状部とは、前記パレット本体の上下面で夫々互い違いになるように配置されており、
複数の前記パレット本体が積層されたとき、前記凸状部が前記脚体間に収まることを特徴とする記載のパレット。
【請求項2】
前記支持部材は、前記パレット本体の長手方向に沿って一対設けられ、
前記一対のパレット本体が連結された状態で2本の搬送物が載置されることを特徴とする請求項1に記載のパレット。
【請求項3】
前記脚体は、搬送物の円筒側面に沿った凹状の円弧面を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパレット。
【請求項4】
前記パレット本体は、連結される他方の前記パレット本体に向けて突出した接合凸部と、他方の前記接合凸部が差し込まれる接合凹部と、を有し、
前記接合凸部及び前記接合凹部が、前記パレット本体の長手方向に沿って互い違いに設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のパレット。
【請求項5】
前記接合凸部の上面は、前記パレット本体の上面より段下がりとなるよう形成され、前記一対のパレット本体が連結された状態で前記接合凹部の下面と当接することを特徴とする請求項4に記載のパレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトを用いた荷物の運搬に使用される、発泡スチロール等の発泡樹脂製のパレットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、フォークリフト等によって荷物を運搬する際の荷台として、各種のパレットが広く使用されている。一般的なパレットとして、木製、プラスチック製、金属製(鉄合金)又は紙製のものが知られている。しかしながら、最も一般的な木製のパレットは、10kg以上の重量があり、紙製パレットも、形状安定性を確保するために高密度で圧縮加工されており、かなりの重量がある。そこで、紙製パレットよりも更に軽量なパレットとして、発泡樹脂製のパレットがある(特許文献1参照)。
【0003】
また、ロール状又はコイル状の長尺円筒形状の搬送物に用いられるパレットとして、搬送物が転がってパレットから転落等することを防止するため、パレットの上面の両端部分に部材を設けたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-72754号公報
【文献】特開平5-193654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、発泡樹脂製のパレットは、木製等に比べて軽量ではあるが、通常、1辺の長さが1mを超える大きな輸送用部材であり、非使用時には非常に嵩張り、広い保管場所等を必要とする。
【0006】
また、発泡樹脂製のパレットの製造時には、大きな専用の金型を用意する必要がある。そのため、汎用性の高いシンプルな形状であれば、生産数も多くなるので、大型の金型を用意する意義もあるが、上述した長尺円筒形状の搬送物のような、特定形状の搬送物に用いられるパレットの場合、多くの生産数が見込まれず、大型の金型を用意すると、生産コストが増大する虞がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、長尺円筒形状の搬送物が横向きに載置される発泡樹脂製のパレットであって、非使用時にコンパクトに収納でき、大型の金型によらず生産することができる発泡樹脂製のパレットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、長尺円筒形状の搬送物が横向きに載置される発泡樹脂製のパレットであって、平面視で長方矩形の板状のパレット本体と、前記パレット本体の上面に搬送物の円筒側面を支持するように形成された支持部材と、前記パレット本体の下面に設けられた複数の脚体と、を備え、同形状の一対の前記パレット本体がそれらの長辺で連結され、連結された前記一対のパレット本体を跨ぐように搬送物が載置され、前記支持部材は、搬送物の円筒側面に沿った円弧面の両縁を成す凸状部を有し、前記脚体と前記凸状部とは、前記パレット本体の上下面で夫々互い違いになるように配置されており、複数の前記パレット本体が積層されたとき、前記凸状部が前記脚体間に収まることを特徴とする。
【0009】
上記パレットにおいて、前記支持部材は、前記パレット本体の長手方向に沿って一対設けられ、前記一対のパレット本体が連結された状態で2本の搬送物が載置されることが好ましい。
【0011】
上記パレットにおいて、前記脚体は、搬送物の円筒側面に沿った凹状の円弧面を有することが好ましい。
【0012】
上記パレットにおいて、前記パレット本体は、連結される他方の前記パレット本体に向けて突出した接合凸部と、他方の前記接合凸部が差し込まれる接合凹部と、を有し、前記接合凸部及び前記接合凹部が、前記パレット本体の長手方向に沿って互い違いに設けられていることが好ましい。
【0013】
上記パレットにおいて、前記接合凸部の上面は、前記パレット本体の上面より段下がりとなるよう形成され、前記一対のパレット本体が連結された状態で前記接合凹部の下面と当接することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るパレットによれば、2つのパレット本体を連結することで構成されるので、非使用時(使用前)には分離した状態とすることで、コンパクトに収納できる。また、2つのパレット本体は同形状なので、1つの金型で成型することができ、一体のパレットに比べて、半分サイズの金型を用意すればよく、大型の金型によらず生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)は本発明の一実施形態に係るパレットの上面を主とした分解斜視図、(b)は同パレットの上面を主とした斜視図、(c)は同パレットの下面を主とした斜視図。
図2】(a)は上記パレットに用いられるパレットの平面図、(b)は底面図、(c)は右側面図。
図3】(a)は同パレットに用いられるパレット本体の平面図、(b)は側面図、(c)は(a)のA-A線側断面図。
図4】(a)は上記パレット本体の底面図、(b)は(a)のB-B線側断面図、(c)は右側面図、(d)は左側面図。
図5】(a)は上記パレットの使用状態を示す斜視図、(b)は正面図。
図6】(a)は上記パレットを複数積層させた使用状態を示す斜視図、(b)は正面図。
図7】(a)は上記パレットの非使用時に複数積層させて収納させる状態を示す斜視図、(b)は右側面図、(c)は正面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係るパレットについて、図面を参照して説明する。図1(a)乃至(c)及び図2(a)乃至(c)に示すように、本実施形態のパレット1は、物流の現場等においてフォークリフト等を用いた荷物の管理・運搬に好適に使用されるものである。なお、以下の説明において、図1(a)に示されたパレット1の左前方の側面を正面とし、パレット1の右前方の側面を右側面とする。
【0017】
パレット1は、長尺円筒形状の搬送物(後述する図5参照)が横向きに載置されるものであり、平面視で長方矩形の板状のパレット本体2と、パレット本体2の上面に搬送物の円筒側面を支持するように形成された支持部材3と、パレット本体2の下面に設けられた複数の脚体4と、を備える。
【0018】
本実施形態では、同形状の一対のパレット本体2がそれらの長辺で連結され、連結された一対のパレット本体2を跨ぐように搬送物が載置される。また、パレット1は、一方の辺が他方の辺より長い長方矩形であり、長手辺は2つのパレット本体2の辺によって、短手辺は1つのパレット本体2の辺により構成される。例えば、パレット1の長辺の長さは1600mm、短辺の長さは1160mmとされる。
【0019】
パレット本体2、支持部材3及び脚体4は、一体成型されている。これらを構成する材料は、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂といった発泡合成樹脂であり、本実施形態では、発泡ポリスチレン(EPS(expanded polystyrene))が用いられる。なお、パレット本体2、支持部材3及び脚体4は、夫々別体として構成されていてもよく、互いに異なる材料が用いられてもよく、同種の発泡樹脂で発泡倍率が異なるものであってもよい。
【0020】
図3(a)乃至(c)及び図4(a)乃至(c)に示すように、パレット本体2は、平面視で長方矩矩形状であり、短辺がパレット1の長辺の半分を成し、長辺がパレット1の短辺を成す。2つの長辺のうち他方のパレット本体2との連結側の長辺と短辺との成す角部は直角に形成されている。また、もう一方の長辺と短辺との成す角部は丸みを帯びるように面取りされ、この面取りされた角部は、パレット1の角部となる。パレット本体2の上面21は、支持部材3を除き平坦な面である。パレット本体2の下面22は、脚体4を除き平坦な面であり、フォークリフトのフォークを受ける部分となる。パレット本体2の上面21から下面22の厚みは、例えば、40mmとされる。
【0021】
支持部材3は、パレット本体2の長手方向に沿って一対設けられ、一対のパレット本体2が連結された状態で2本の搬送物が載置される。また、支持部材3は、搬送物の円筒側面に沿った円弧面の両縁を成す凸状部30を有する。凸状部30は、パレット本体2の長手方向の両縁に配置される一対の外縁凸部31と、一対の外縁凸部31の中間に配置される中央凸部32と、を有する。
【0022】
外縁凸部31は、正面視で斜辺が1辺の略直角台形形状であり、内側に配置された斜辺が、下に緩やかに凹の円弧面31aとなっている(図3(b)参照)。外縁凸部31の上底31bは、パレット本体2の上面21と水平な平面であり、上底31bには肉抜き凹部31cが形成されている。また、円弧面31aと上底31bの稜線は緩やかに丸みを帯びるようにR加工が施されている。
【0023】
中央凸部32は、正面視で斜辺が2辺ある等脚台形形状であり、外側に夫々配置された斜辺が、下に緩やかに凹の円弧面32aとなっている。中央凸部32の上底32bは、パレット本体2の上面21と水平な平面であり、上底32bには肉抜き凹部32cが形成されている。また、円弧面32aと上底32bの稜線は、夫々緩やかに丸みを帯びるようにR加工が施されている。
【0024】
外縁凸部31及び中央凸部32の円弧面31a、32aは、例えば、φ580の長尺円筒形状の搬送物に適合するように、R280の円弧に形成される。なお、円弧面31a、32aと上底31b、32bの稜線にはR加工が施されているので、円弧面31a、32aは、φ580より直径の大きな搬送物(例えばφ620)にも適用することができる。
【0025】
円弧面31a、32aとパレット本体2の上面21との稜線は、滑らかに連続しておらず、所定の段差があり、円弧面31a、32aに対してパレット本体2の上面21が窪み33となっている。そのため、この窪み33に搬送物の円弧面が部分的に嵌まり、搬送物が安定的に載置される。また、φ580より直径の小さな搬送物(例えばφ560)にも適用することができる。また、窪み33の直下は、フォークが差し込まれるパレット本体2の下面22なので、搬送物の荷重がフォークに適切に印加される。
【0026】
脚体4は、1つのパレット本体2に対して6個、設けられている(図4(a)参照)。脚体4は、パレット本体2の長手方向の両縁に配置される2対の外縁脚部41、42と、これら2対の外縁脚部41、42の中間に夫々配置される中央脚部43、44と、を有する。外縁脚部41及び中央脚部43は、パレット本体2の連結側の長辺に並ぶように配置され、連結された他方のパレット本体2の外縁脚部41及び中央脚部43と一体となることで、夫々一の脚体4となる。また、外縁脚部42及び中央脚部44は、パレット本体2の他方の長辺に並ぶように配置される(図1(c)参照)、夫々独立して一の脚体4となる。
【0027】
外縁脚部42(41)は、正面視で斜辺が1辺の略直角台形形状であり、内側に配置された斜辺が、上に緩やかに凹の円弧面42a(41a)となっている(図4(b)参照)。外縁脚部41、42の上底41b、42bは、パレット本体2の下面22と水平な平面である。円弧面41a、42aには肉抜き凹部41c、42cが形成されている。なお、連結辺から離れた一対の外縁脚部42は対称形状であるが、連結面に沿う一対の中央脚部43は、一方が他方に比べて小さい。
【0028】
中央脚部43、44は、正面視で斜辺が2辺ある等脚台形形状であり、外側に夫々配置された斜辺が、上に緩やかに凹の円弧面34a、44aとなっている。中央脚部43、44の上底43b、44bは、パレット本体2の下面22と水平な平面であり、上底43b、44bには肉抜き凹部43c、44cが形成されている。なお、連結辺から離れた中央脚部44は箱型で、肉抜き凹部44cも角穴であるが、連結辺に沿う中央脚部43は底面視L字形状であり、肉抜き凹部43cもL字型である。
【0029】
脚体4(外縁脚部41、42及び中央脚部43、44)と凸状部30(外縁凸部31及び中央凸部32)とは、パレット本体2の上面21・下面22で夫々互い違いになるように配置されており、複数のパレット本体2が積層されたとき、凸状部30が脚体4間に収まるように構成されている。
【0030】
また、パレット本体2は、連結される他方のパレット本体2に向けて突出した接合凸部5と、他方の接合凸部5が差し込まれる接合凹部6と、を有する。接合凸部5及び接合凹部6は、パレット本体2の連結辺を成す長手方向に沿って互い違いに設けられている。すなわち、接合凸部5及び接合凹部6が鍵状に嵌まり合うことで、連結される一対のパレット本体2が横ズレし難くなり、パレット1が安定化する。
【0031】
接合凸部5の上面51は、パレット本体2の上面21より段下がりとなるよう形成され(図4(d)参照)、一対のパレット本体2が連結された状態で、接合凹部6の下面61と当接する。これら当接した上面51と下面61とが接着剤により接着されることで、一対のパレット本体2が連結した状態で固定される。このように、接着面を水平面に設けたので、2つのパレット本体2を左右に分割しようとする応力に対抗することができる。
【0032】
このように、本実施形態のパレット1によれば、2つのパレット本体2を連結することで構成されるので、非使用時(使用前)には分離した状態とすることで、コンパクトに収納できる。また、2つのパレット本体2は同形状なので、1つの金型で成型することができ、一体のパレットに比べて、半分サイズの金型を用意すればよく、大型の金型によらず生産することができる。
【0033】
上記のように構成されたパレット1は、図5(a)(b)に示すように、2本の搬送物Pを積載することができる。このとき、支持部材3により搬送物Pが支持されるので、搬送物Pが転落することなく、安定的に搬送物Pを移動等させることができる。また、2本のフォークを正面方向から差し込んだ際には、両方のフォークには同じ1つのパレット本体2が跨るので、フォークを押し上げた際にも、パレット1は分割されることはない。一方、2本のフォークを側面方向から差し込んだ際には、両方のフォークには別の2つのパレット本体2が跨るので、フォークを押し上げた際には、連結されたパレット本体2を分割する応力がかかるが、搬送物Pが連結されたパレット本体2に跨っているので、搬送物Pが2本のフォークに均等に荷重を印加し、連結されたパレット本体2が分割されることを抑制することができる。
【0034】
脚体4には、円弧面42a(42a)、44a(43a)が設けられているので、搬送物Pの上に更にパレット1及び搬送物Pを積載することができ、図6(a)(b)に示すように、搬送物Pが頑丈なものであれば、パレット1及び搬送物Pの3段積み可能となる。また、パレット1は発泡樹脂製なので、軽量で、適度な柔軟性があるので、木製やプラスチック製のパレットに比べて、搬送物Pを傷つけ難く、図示した多段積みに適している。
【0035】
また、パレット1は、凸状部30が脚体4間に収まるように構成されているので、図7(a)乃至(c)に示すように、不使用時には、積載させたときの高さを抑制することができ、コンパクトに収納することができる。
【0036】
なお、本発明は、上記実施の形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。また、上記実施の形態においてはパレット1の構造をフォークリフトによる荷物の運搬に適用する例を説明したが、他の発泡合成樹脂製の構造物にも適用することを排除するものではない。
【符号の説明】
【0037】
1 パレット
2 パレット本体
21 上面
22 下面
3 支持部材
30 凸状部
4 脚体
41a、42a、43a、44a 円弧面
5 接合凸部
6 接合凹部
P 搬送物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7