(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】清掃体、回転清掃体及び製造方法
(51)【国際特許分類】
A47L 9/04 20060101AFI20240520BHJP
【FI】
A47L9/04 A
(21)【出願番号】P 2020175691
(22)【出願日】2020-10-19
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】596024426
【氏名又は名称】槌屋ティスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162341
【氏名又は名称】瀬崎 幸典
(72)【発明者】
【氏名】大原 康之
(72)【発明者】
【氏名】後藤 博英
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-066033(JP,A)
【文献】特開2011-016011(JP,A)
【文献】特開平09-047394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
前記基台の長手方向に延び編織地からなる帯状の織物と、
前記基台と一体化され前記織物の長手方向に延びて前記織物の一面
及び前記織物の長手方向の端部を覆う樹脂体と、を備えた、
ことを特徴とする清掃体。
【請求項2】
前記織物は、
前記長手方向において、前記織物の長手方向と交差する幅方向の幅が前記端部に向かって漸次小さくなる屈曲部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の清掃体。
【請求項3】
前記屈曲部は、前記織物の長手方向のいずれか一方の
前記端部に形成されている、
ことを特徴とする請求項
2に記載の清掃体。
【請求項4】
前記屈曲部は、前記織物の長手方向の両端部に形成されている、
ことを特徴とする請求項
2に記載の清掃体。
【請求項5】
前記織物は、前記基台側とは反対側の側縁に沿って、芯材を内側に巻き込んで玉縁状に折り返して形成された拡大部を有する、
ことを特徴とする請求項1ないし
4のいずれか1項に記載の清掃体。
【請求項6】
前記樹脂体は、前記織物の長手方向と交差する幅方向において前記拡大部よりも突出しない、
ことを特徴とする請求項
5に記載の清掃体。
【請求項7】
前記樹脂体は、前記織物と接着性を有する軟質樹脂材料からなる、
ことを特徴とする請求項1ないし
6のいずれか1項に記載の清掃体。
【請求項8】
外周面に凹溝部が形成された回転体と、
前記
凹溝部に前記基台が嵌め合わされて取り付けられた請求項1ないし
7のいずれか1項に記載の清掃体と、を備えた、
ことを特徴とする回転清掃体。
【請求項9】
前記織物が前記樹脂体よりも前記回転体の回転方向における上流側に配置されるように、前記回転体の前記
凹溝部に取り付けられる、
ことを特徴とする請求項
8に記載の回転清掃体。
【請求項10】
基台と、
前記基台の長手方向に延び編織地からなる帯状の織物と、
前記基台と一体化され前記織物の長手方向に延びて前記織物の一面
及び前記
織物の長手方向の端部を覆う可撓性の樹脂体と、を備える清掃体の製造方法であって、
前記織物を準備する工程と、
前記織物に、
前記長手方向において前記織物の長手方向と交差する幅方向の幅が前記端部に向かって漸次小さくなる屈曲部と前記屈曲部の基端から前記幅方向に向かって切り込み深さ方向が頂点となる略三角形状の切欠きを形成する工程と、
前記屈曲部と前記切欠きが形成された前記織物を、前記略三角形状の向かい合う二辺を突き合せた状態で金型に固定し前記織物の一面
及び前記
織物の長手方向の端部を覆う樹脂体をインサート成形する工程と、を含む、
ことを特徴とする清掃体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃体、回転清掃体及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のブラシ糸を並列した状態で保持糸によって保持した帯状の毛羽体と、毛羽体の長手方向に延びて前記毛羽体に重ねられる帯状体と、毛羽体の長手方向に延び、毛羽体における長手方向と直交する幅方向の一端部及び帯状体における幅方向の一端部を一緒に挟持した状態で接合される一対の挟持部を有した基材と、を備えるブラシが知られている(特許文献1)。
【0003】
電気掃除機の吸い込み具に対して吸い込み口を囲むように取り付けられるブラシであって、複数のブラシ糸と、該各ブラシ糸を互いに並列した状態で保持する保持糸と、可撓性材料によって構成され保持糸を挟持した状態で接合される挟持部を有した基材と、各ブラシ糸に沿うように保持糸及び基材のうち少なくとも一方に接合され、空気の流通を遮断可能な遮断部材とを備えたブラシも知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特願2018-5631号公報
【文献】特開2012-249858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、織物の長手方向の両端部のほつれを抑制しつつ、絨毯やマット上の繊維状ゴミを十分に捕獲できるとともに、巻き付いた繊維状ゴミを容易に除去することができる清掃体、回転清掃体及び製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の清掃体は、
基台と、
前記基台の長手方向に延び編織地からなる帯状の織物と、
前記基台と一体化され前記織物の長手方向に延びて前記織物の一面及び前記織物の長手方向の端部を覆う樹脂体と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の清掃体において、
前記織物は、前記長手方向において、前記織物の長手方向と交差する幅方向の幅が前記端部に向かって漸次小さくなる屈曲部を有する、
ことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の清掃体において、
前記屈曲部は、前記織物の長手方向のいずれか一方の前記端部に形成されている、
ことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の清掃体において、
前記屈曲部は、前記織物の長手方向の両端部に形成されている、
ことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の清掃体において、
前記織物は、前記基台側とは反対側の側縁に沿って、芯材を内側に巻き込んで玉縁状に折り返して形成された拡大部を有する、
ことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の清掃体において、
前記樹脂体は、前記織物の長手方向と交差する幅方向において前記拡大部よりも突出しない、
ことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の清掃体において、
前記樹脂体は、前記織物と接着性を有する軟質樹脂材料からなる、
ことを特徴とする。
【0014】
前記課題を解決するために、請求項8記載の回転清掃体は、
外周面に凹溝部が形成された回転体と、
前記凹溝部に前記基台が嵌め合わされて取り付けられた請求項1ないし7のいずれか1項に記載の清掃体と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の回転清掃体において、
前記織物が前記樹脂体よりも前記回転体の回転方向における上流側に配置されるように、前記回転体の前記凹溝部に取り付けられる、
ことを特徴とする。
【0016】
前記課題を解決するために、請求項10に記載の清掃体の製造方法は、
基台と、
前記基台の長手方向に延び編織地からなる帯状の織物と、
前記基台と一体化され前記織物の長手方向に延びて前記織物の一面及び前記織物の長手方向の端部を覆う可撓性の樹脂体と、を備える清掃体の製造方法であって、
前記織物を準備する工程と、
前記織物に、前記長手方向において前記織物の長手方向と交差する幅方向の幅が前記端部に向かって漸次小さくなる屈曲部と前記屈曲部の基端から前記幅方向に向かって切り込み深さ方向が頂点となる略三角形状の切欠きを形成する工程と、
前記屈曲部と前記切欠きが形成された前記織物を、前記略三角形状の向かい合う二辺を突き合せた状態で金型に固定し前記織物の一面及び前記織物の長手方向の端部を覆う樹脂体をインサート成形する工程と、を含む、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、絨毯やマット上の繊維状ゴミを十分に捕獲することが可能となる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、屈曲部を有しない場合に比して、巻き付いた繊維状ゴミを容易に除去することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、巻き付いた繊維状ゴミを織物の端部に集めて容易に除去することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、巻き付いた繊維状ゴミを織物の両端部に集めて容易に除去することができる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、拡大部を有しない場合に比して、絨毯やマット上の繊維状ゴミの掻き取り力を向上させることができる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、清掃体が被清掃体に接触した際に玉縁状の拡大部が繊維状ゴミをピックアップし、掻き取り力を発揮させることができる。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、清掃体が被清掃体に接触した際の回転抵抗や騒音の増大を抑制しつつ、絨毯やマット上の繊維状ゴミの掻き取り力を向上させることができる。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、清掃体の機能を被清掃体に対して発揮させることができる。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、清掃体が被清掃体に接触した際の回転抵抗の増大を抑制しつつ、絨毯やマット上の繊維状ゴミの掻き取り力を向上させることができる。
【0027】
請求項10に記載の発明によれば、織物の長手方向の両端部のほつれを抑制しつつ、絨毯やマット上の繊維状ゴミを十分に捕獲できるとともに、巻き付いた繊維状ゴミを容易に除去することができる清掃体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本実施形態に係る回転清掃体が取り付けられる電気掃除機の掃除機ヘッドを示す底面模式図である。
【
図2】電気掃除機の掃除機ヘッドの使用状態を示す断面模式図である。
【
図7】清掃体の製造方法の一例を工程に沿って説明する図である。
【
図8】他の清掃体の製造方法の一例を工程に沿って説明する図である。
【
図9】変形例に係る清掃体の製造方法の一例を工程に沿って説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に図面を参照しながら、以下に実施形態及び具体例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態及び具体例に限定されるものではない。
また、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【0030】
(1)電気掃除機の吸い込みヘッド
図1は本実施形態に係る回転清掃体20が取り付けられる電気掃除機の掃除機ヘッド10を示す底面模式図、
図2は電気掃除機の掃除機ヘッド10の使用状態を示す断面模式図、
図3は回転清掃体20を示す斜視図、
図4は回転清掃体20の拡大断面模式図である。
以下、図面を参照しながら掃除機ヘッド及び回転清掃体について説明する。
【0031】
(1.1)吸い込みヘッドの全体構成
図1及び
図2に示すように、床面FL上の毛や塵埃などのごみを吸い込むための電気掃除機の掃除機ヘッド10は、全体の形状が略T字形のケース11と、ケース11の後端部に回転可能に接続された接続パイプ12を備えている。ケース11の底壁における前端寄り位置には左右方向に長い矩形状の吸込口13が形成されている。
【0032】
ケース11の内底面上には矩形枠状をなす仕切板14が吸込口13を囲むように立設され、仕切板14を構成する後壁14aの中央部には後壁14aを貫通するようにエア吸引口15が形成されている。ケース11の左内側面にはモーター軸受16が設けられ、モーター軸受16はケース11内における仕切板14の後方に設けられたモーター17から延びるモーター軸17aの先端を回転可能に支持している。
【0033】
仕切板14の左右両側壁14bにはそれぞれ回転支持体18が設けられ、回転支持体18はケース11の左右両内側面に設けられた軸受19によってそれぞれ回転可能に支持されている。仕切板14の内側には回転軸線c1が左右方向に延びる回転清掃体20が収容され、回転清掃体20の両端部は回転支持体18によってそれぞれ支持されている。
【0034】
左側の回転支持体18と、モーター軸17aに取り付けられたプーリー17bとには、タイミングベルトTBが巻き掛けられ、モーター17が駆動されると、その回転駆動力が、モーター軸17a、プーリー17b、タイミングベルトTB、及び左側の回転支持体18を介して回転清掃体20に伝達される。
【0035】
(1.2)回転清掃体の構成
図3及び
図4に示すように、回転清掃体20は、回転体21と、回転体21の長手方向(軸方向)に設けられた4つの清掃体100とを備えている。
回転体21は、周囲に凹溝部22が等間隔で形成された略丸棒状の軸体であり、それぞれの凹溝部22は周方向に約180度捻って回転体21の一方の端面から他方の端面まで長手方向に延在して形成されている。
【0036】
清掃体100は、凹溝部22に回転体21の一方の端面側からその基台110が嵌め込まれて取り付けられている。回転清掃体20において、清掃体100は、回転体21に、織物120が樹脂体130よりも回転体21の回転方向(図中 矢印Rで示す)における上流側の位置に配置されるように取り付けられている。これにより、清掃体100としての機能である床面FLに対する繊維状ゴミや塵埃の掻き取り機能を織物120に発揮させつつ、清掃体100が被清掃体である床面FLに接触した際の回転抵抗の増大を抑制している。
【0037】
(2)清掃体
図5は清掃体100の一部断面を示す斜視図、
図6は清掃体100の構成を説明する模式図である。以下、図面を参照しながら清掃体100の構成について説明する。
【0038】
図5に示すように、清掃体100は、基台110と、基台110の長手方向(X方向)に延び編織地からなる帯状の織物120と、基台110と一体化され織物120の長手方向に延びて織物120の一面120aを覆う可撓性の樹脂体130とを備える。
【0039】
(2.1)基台
基台110は、合成樹脂によって構成され、回転体21の凹溝部22(
図4参照)に嵌め込んで固定するための矩形断面を有している。本実施形態に係る清掃体100は、後述するように、織物120の一面120aを覆う樹脂体130が基台110から立設するようにインサート成形によって一体化されている。
【0040】
基台110の長手方向と交差(直交)する方向の幅は、回転体21の凹溝部22の開口部22aの幅よりも若干大きくなっている。そして、回転体21に清掃体100を取り付ける場合には、織物120及び樹脂体130が凹溝部22の開口部22aから外側へ突出するように、回転体21の一端部から各凹溝部22内に基台110をスライドさせながら挿入する。
すると、基台110が各凹溝部22に沿って螺旋状に捻れた状態で挿入されて、清掃体100の回転体21に対する取り付けが完了する。この場合、清掃体100は、織物120が樹脂体130よりも回転体21の回転方向(
図4中 矢印Rで示す)における上流側の位置に配置されるように回転体21に取り付けられる。
【0041】
(2.2)織物
織物120は、
図5に示すように、合成樹脂製の糸を編織した帯状体であり、基台110側とは反対側の側縁に沿って、芯材122を内側に巻き込んで玉縁状に折り返して形成された拡大部121を有する。合成樹脂製の糸としては、樹脂体130の樹脂材料と一定の接着性を有することが好ましく、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維等が挙げられる。また、機能性の糸と混編みされてもよく、機能性の糸としては、例えば、抗菌機能を有する糸、消臭機能を有する糸、吸水機能を有する糸、ナノファイバーなどが挙げられ、1種類だけ用いてもよいし、2種類以上併用してもよい。特に、ナノファイバーは床面FLに対するグリップ力が高いため、織物120の一部にナノファイバーを用いることで、床面FL上の繊維状ゴミや塵埃などの掻き取り性を向上することができる。
【0042】
芯材122としては、拡大部121の弾力性やボリュームを確保するべく、複数の捲縮糸を引き揃えたものを用いることが好ましいが、ゴム、合成樹脂、木材、不織布、金属などによって構成してもよい。清掃体100は、織物120の側縁に沿って玉縁状の拡大部121を有することで、特に、絨毯やマット上の繊維状ゴミの掻き取り力を向上させることができる。
【0043】
織物120は、
図6に示すように、長手方向(X方向)において、織物120の長手方向と交差する幅方向(Y方向)の幅Hが端部120bに向かって漸次小さくなる屈曲部123を有する。屈曲部123は、織物120の長手方向のいずれか一方の端部120bに形成されている。尚、屈曲部123の形成については、清掃体100の製造方法において後述する。
【0044】
清掃体100は、屈曲部123を有することで、被清掃体である床面FLに接触した際に、織物120の側縁である玉縁状の拡大部121が床面FLに接触しにくくなり、或いは接触しても接触圧が低くなり、掻き取って巻き付いた繊維状ゴミを織物120の端部120bに集めて除去しやすくしている。
尚、屈曲部123は、
図6(b)に示すように、織物120の長手方向の両端部に形成してもよい。これにより、掻き取って巻き付いた繊維状ゴミを織物120の両端部に集めることができる。
【0045】
(2.3)樹脂体
樹脂体130は、基台110と一体化され織物120の長手方向に延びて織物120の一面120aを覆うように織物120とインサート成形されて形成されている。樹脂体130は、軟質樹脂材料からなり、軟質樹脂としては、織物120の糸と一定の接着性を有するエラストマー樹脂が挙げられる。具体的には、織物120がポリアミドの糸で編織されている場合、ポリアミドに融着性のある熱可塑性エラストマーを用いることが好ましい。また、織物120がポリエステルの糸で編織されている場合、ポリエステルに融着性のある熱可塑性エラストマーを用いてもよい。
尚、エラストマー樹脂の硬度としては、JIS K6253に準じた測定によるタイプAデュロメータ硬さがA30~A70の範囲であることが好ましい。タイプAデュロメータ硬さがA30より小さい場合、掻き取り力が低下し、タイプAデュロメータ硬さがD70より大きい場合、清掃体100が被清掃体である床面FLに接触した際の回転抵抗が増大し、騒音も増大する虞がある。
【0046】
樹脂体130は、
図6に示すように、織物120の長手方向の端部120bを覆っていることが好ましい。織物120の端部120bは、織物120を所定の長さにカットした際のカット面となり、糸がほつれやすく、また、特に玉縁状の拡大部121の端部121aはほつれやすく、芯材122が抜けやすくなっている。織物120の端部120b、拡大部121の端部121aを樹脂体130で覆うことで織物120の端部120b、拡大部121の端部121aのほつれを抑制するとともに、拡大部121の芯材122の抜けを防止することができる。
【0047】
図6に示すように、樹脂体130は、織物120の長手方向と交差する幅方向において拡大部121よりも突出しないように形成されている(
図6中 H1<H2)。これにより、清掃体100が被清掃体である床面FLに接触した際に玉縁状の拡大部121が繊維状ゴミをピックアップし、掻き取り力を発揮させることができる。
【0048】
(3)清掃体の製造方法
図7は清掃体100の製造方法の一例を工程に沿って説明する図、
図8は他の清掃体100の製造方法の一例を工程に沿って説明する図である。以下、図面を参照しながら清掃体100の製造方法について説明する。
【0049】
図7(a)に示すように、まず、所定の長さに切断した織物120を準備し、織物120の長手方向と交差する幅方向の幅が端部120bに向かって漸次小さくなる屈曲部123と、屈曲部123の基点となる位置に、拡大部121とは反対側から幅方向(Y方向)に向かって切り込み深さ方向が頂点となる略三角形状の切欠き125を形成する。
屈曲部123と切欠き125は、例えば、トムソン刃を有するビクトリア型等を用いて織物120を打ち抜くことで形成することができる。
【0050】
屈曲部123と切欠き125が形成された織物120は、
図7(b)に模式的に示すように、切欠き125の略三角形状の向かい合う二辺125a、125bを突き合せた状態で金型KのキャビティCに載置した後、金型Kを型締めして押えピンPで固定する。
【0051】
次に、熱可塑性エラストマー樹脂を射出して織物120の一面120a及び端部120bを覆うように基台110と樹脂体130を形成する。
そして型開き後、インサート成形された清掃体100を取り出して、
図7(c)に示すように、基台110と、基台110の長手方向に延び一端側に屈曲部123が形成された織物120と、基台110と一体化され織物120の長手方向に延びて織物120の一面120aと長手方向の端部120bを覆う可撓性の樹脂体130と、を備える清掃体100を得る。
【0052】
また、
図8に示すように、切欠き125を、織物120の両端側に形成して屈曲部123は織物120の両端側に形成してもよい。
【0053】
「変形例」
図9は変形例に係る清掃体100Aの製造方法の一例を工程に沿って説明する図である。
図9(a)に示すように、まず、所定の長さに切断した織物120を準備し、織物120の一端側に長手方向と交差する幅方向の幅が端部120bに向かって漸次小さくなる屈曲部123Aと、屈曲部123Aの基点となる位置に、拡大部121とは反対側から幅方向に向かって切り込み深さ方向が頂点となる略三角形状の切欠き125Aを形成する。
そして、織物120の他端側には長手方向に対して略90度となる屈曲部123Bを形成するために、拡大部121とは反対側から幅方向に向かって切り込み深さ方向が頂点となる略三角形状の切欠き125Bを形成する。
【0054】
屈曲部123A、123Bと切欠き125A、125Bが形成された織物120は、
図9(b)に模式的に示すように、切欠き125Aの略三角形状の向かい合う二辺125Aa、125Abと、切欠き125Bの略三角形状の向かい合う二辺125Ba、125Bbとをそれぞれ突き合せた状態で金型KのキャビティCに載置した後、金型Kを型締めして押えピンPで固定する。
【0055】
次に、熱可塑性エラストマー樹脂を射出して織物120の一面120aを覆うように基台110と樹脂体130を形成する。
そして型開き後、インサート成形された清掃体100Aを取り出して、
図9(c)に示すように、基台110と、基台110の長手方向に延び編織地からなる帯状の織物120と、基台110と一体化され織物120の長手方向に延び一端側に屈曲部123が形成され他端側は略90度に屈曲した織物120の一面120aを覆う可撓性の樹脂体130と、を備える清掃体100Aを得る。
【0056】
このように、織物120の両端側に拡大部121とは反対側から幅方向に向かって切り込み深さ方向が頂点となる略三角形状の切欠き125A、125Bを2か所形成して、それぞれの切欠きの向かい合う二辺を突き合せた状態でインサート成形することで、織物120の両側の端部120b、拡大部121の端部121aが基台110と一体化されて外部に露出しない構成とすることができる。
【0057】
(4)回転清掃体の作用と効果
電気掃除機を使用するときには、
図2に示すように、掃除機ヘッド10を床面FL上に載せた状態で電気掃除機を稼動させると、モーター17が回転駆動されるとともに、仕切板14の内側のエアがエア吸引口15を通り、接続パイプ12を介して電気掃除機の本体部(不図示)内に吸引される(図中 矢印S参照)。
【0058】
このとき、モーター17の回転駆動に連動して回転清掃体20が
図2における反時計方向(
図2中 矢印Rで示す方向)に回転しながら、回転清掃体20の清掃体100が床面FLに接触して、床面FL上の繊維状ゴミや塵埃が清掃体100によって掻き取られてエアとともに電気掃除機の本体部(不図示)内に吸引される。
【0059】
このとき、回転清掃体20は
図4に示す矢印R方向に回転し、清掃体100における織物120の拡大部121が先に床面FLに接触し、回転方向における上流側に弾性変形して織物120の樹脂体130で覆われた一面120aとは反対側の他面120cも一部が接触する。
【0060】
床面FLがフローリングである場合、拡大部121にてフローリング上の塵埃を掻き上げることができるとともに、他面120cにて髪の毛や糸屑等の繊維状ゴミを掻き上げることができ、これらのゴミはエア吸引口15内へ吸い込まれる。また、樹脂体130は,
回転方向(
図4中 矢印R方向)における上流側となる織物120の一面120a側に配置されているために、床面FLと直接は接触せず、回転抵抗や騒音の増大が抑制される。
【0061】
床面FLが絨毯やマットである場合、可撓性の樹脂体130で背面から支持された織物120の拡大部121にて床面FL付近の塵埃を浮き上がらせることができる。また、他面120cにて、塵埃を掻き出すとともに、繊維状ゴミを絡め取ることができる。このとき、繊維状ゴミの一部はエア吸引口15へ吸い込まれずに回転清掃体20に巻き付くことがあるが、織物120は、長手方向の一端側又は両端側に屈曲部123を有し、絡め取った繊維状ゴミは屈曲部123へ向かって移動する。屈曲部123に集まった繊維状ゴミは織物120から離脱しやすく、容易に除去することができる。
【0062】
樹脂体130は、織物120の長手方向と交差する幅方向、すなわち回転清掃体20としては清掃体100の高さ方向において拡大部121よりも突出しないように形成されているために、清掃体100が床面FLに接触した際に玉縁状の拡大部121が繊維状ゴミをピックアップし、掻き取り力を発揮させている。。
【符号の説明】
【0063】
10・・・掃除機ヘッド
20・・・回転清掃体
21・・・回転体
100、100A・・・清掃体
110・・・基台
120・・・織物
121・・・拡大部
122・・・芯材
123・・・屈曲部
130・・・樹脂体