(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】圧力洗浄装置用の回転ジェットノズルアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B05B 3/04 20060101AFI20240520BHJP
B05B 3/02 20060101ALI20240520BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
B05B3/04 A
B05B3/02 L
B08B3/02 Z
(21)【出願番号】P 2021523716
(86)(22)【出願日】2019-11-04
(86)【国際出願番号】 EP2019080128
(87)【国際公開番号】W WO2020094584
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-10-18
(32)【優先日】2018-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508215946
【氏名又は名称】ピ ア ソチエタ ペル アツィオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベネッティ、アルナルド
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01072317(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2006/0261183(US,A1)
【文献】特開2004-154732(JP,A)
【文献】特開平03-008460(JP,A)
【文献】米国特許第04989786(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 3/00-3/18
B08B 3/00-3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力洗浄装置用の回転ジェットノズルアセンブリ(1)であって、回転ジェットノズルアセンブリ(1)が、
洗浄液の入口(3)と出口(4)との間の第1の長手方向軸(X)に沿って延在し、前記入口(3)と流体連通する前記洗浄液の閉じ込めチャンバ(5)を内部に画定するハウジング(2)と、
前記閉じ込めチャンバ(5)内で前記第1の長手方向軸(X)を中心に完全に回転可能な支持体(10)と、
前記第1の長手方向軸(X)に対して傾斜した第2の長手方向軸(Y)に沿って延在し、送出ダクト(28)によって横断されたノズル本体(20)であって、前記送出ダクト(28)が、前記閉じ込めチャンバ(5)の上流側で開口し、使用時に、前記ハウジング(2)の前記出口(4)に配置された送出開口部(22)の下流で開口し、前記ノズル本体(20)が、前記支持体(10)に関連付けられ、前記支持体によって回転駆動されるノズル本体(20)と、
前記第1の長手方向軸(X)を中心にした前記支持体(10)の回転の間に前記ノズル本体(20)のバランスをとるために、前記支持体(10)と一体とされ、前記第1の長手方向軸(X)に対して偏心して前記ノズル本体(20)と対向する位置に配置されたカウンターウェイト(30、30’、30’’)と、を備え、
前記カウンターウェイト(30、30’、30’’)が第1の材料で作られ、前記支持体(10)が第2の材料で作られ、前記第1の材料が前記第2の材料とは異なり、
前記支持体(10)が、前記ハウジング(2)の前記入口(3)から入る前記洗浄液の少なくとも一部に当たって回転駆動されるタービン(19)を備えることを特徴とする、回転ジェットノズルアセンブリ(1)。
【請求項2】
前記第1の材料が、前記第2の材料よりも高い比重を有する、請求項1記載の回転ジェットノズルアセンブリ(1)。
【請求項3】
前記第1の材料が、金属材料であり、前記第2の材料が、ポリマー材料である、請求項2記載の回転ジェットノズルアセンブリ(1)。
【請求項4】
前記支持体(10)が成形により作られ、前記カウンターウェイト(30、30’、30’’)が機械加工により作られる、請求項3記載の回転ジェットノズルアセンブリ(1)。
【請求項5】
前記支持体(10)が、前記カウンターウェイト(30、30’)を受けるように構成された連結受座(21)を備え、前記カウンターウェイト(30、30’)が、前記支持体(10)の前記連結受座(21)に挟み込まれるように形作られた少なくとも1つの連結部分(31、31’)を備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の回転ジェットノズルアセンブリ(1)。
【請求項6】
前記カウンターウェイト(30、30’)が、前記連結部分(31、31’)と一体の少なくとも1つのバランス部分(32、32’)をさらに備え、前記バランス部分(32、32’)が、前記連結部分(31、31’)とは異なる断面を有し、ロータ全体が前記バランス部分(32、32’)によって動的にバランスがとられ、前記ロータは、前記支持体(10)、前記カウンターウェイト(30、30’)および前記ノズル本体(20)を備える回転要素のグループである、請求項5記載の回転ジェットノズルアセンブリ(1)。
【請求項7】
前記ノズル本体(20)が、下流側の端部(23)であって、下流側の端部(23)で前記送出開口部(22)が開く、下流側の端部(23)と、前記支持体(10)に関連付けられた上流側の端部(24)とを備え、前記支持体(10)が、前記ハウジング(2)の前記第1の長手方向軸(X)に対して偏心して前記連結受座(21)と対向する位置に配置されたノズル本体(20)を備え、前記ノズル本体(20)の前記上流側の端部(24)が、前記ノズル本体(20)用の前記連結受座(21)内に導入される、請求項
5または6に記載の回転ジェットノズルアセンブリ(1)。
【請求項8】
前記ノズル本体(20)が、下流側の端部(23)であって、下流側の端部(23)で前記送出開口部(22)が開く下流側の端部(23)と、前記支持体(10)に関連付けられた上流側の端部(24)とを備え、前記回転ジェットノズルアセンブリ(1)が、使用時に前記出口(4)に配置されたスライド受座(7)に対する前記ノズル本体(20)の前記下流側の端部(23)の当接を保つように構成された前記支持体(10)に作用する少なくとも1つの弾性要素(6)をさらに備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の回転ジェットノズルアセンブリ(1)。
【請求項9】
前記ハウジング(2)が、前記入口(3)を前記閉じ込めチャンバ(5)に接続する、少なくとも1つの主通路(12)および少なくとも1つのバイパス通路(13)を備え、前記少なくとも1つの主通路(12)および前記少なくとも1つのバイパス通路(13)が前記閉じ込めチャンバ(5)の異なる領域に開口しており、前記主通路(12)を通過する唯一の洗浄液が前記タービン(19)に当たり、前記タービン(19)を回転駆動させる、請求項1~8のいずれか1項に記載の回転ジェットノズルアセンブリ(1)。
【請求項10】
前記支持体(10)が、前記第1の長手方向軸(X)に沿って延在する前記ハウジング(2)と一体のピン(18)に回転可能に取り付けられ、前記タービン(19)が前記ピン(18)を囲む翼配列(19b)を備え、前記少なくとも1つの主通路(12)が、前記ピン(18)と前記翼配列(19b)との間に介在された第1の領域に開口し、前記少なくとも1つのバイパス通路(13)が、前記翼配列(19b)と前記ハウジング(2)の側壁(2a)との間に配置された第2の領域に開口している、請求項9記載の回転ジェットノズルアセンブリ(1)。
【請求項11】
前記ピン(18)が前記少なくとも1つの主通路(12)によって横断される、請求項10記載の回転ジェットノズルアセンブリ(1)。
【請求項12】
前記ピン(18)が、前記ハウジング(2)と一体の支持ベース(15)から延在し、前記支持ベース(15)と前記側壁(2a)との間で前記閉じ込めチャンバ(5)の内部に隙間(14)が形成され、前記少なくとも1つのバイパス通路(13)が前記隙間(14)に開口している、請求項11記載の回転ジェットノズルアセンブリ(1)。
【請求項13】
前記第1の材料が真ちゅうである、請求項3記載の回転ジェットノズルアセンブリ(1)。
【請求項14】
前記バランス部分(32、32’)の断面が、前記連結部分(31、31’)の断面よりも小さい、請求項6記載の回転ジェットノズルアセンブリ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に圧力洗浄用途に関連する、回転ジェットを発生させるためのノズルアセンブリに関する。
【0002】
したがって、本発明は、圧力洗浄装置、好ましくは、たとえば高圧洗浄機などの高圧洗浄装置の技術分野において有用な用途を見出す。
【0003】
以下の説明は、当該分野に関連する使用を非限定的に参照して行われる。
【背景技術】
【0004】
前の段落で特定された分野において、ノズルアセンブリは、たとえば圧力洗浄機などの洗浄装置から生じる圧力下で洗浄液を送出するために使用される。
【0005】
圧力洗浄機の特定のケースでは、ノズルアセンブリは、ユーザによって洗浄液の送出を配向および調整するために把持され得るランスの端部に配置される。
【0006】
円錐状の洗浄液ジェットを単一の固定ジェットに対して洗浄されるべきより大きな表面に当てるように送出することを可能にする、回転ジェットノズルアセンブリが特に使用される。
【0007】
今日知られている回転ジェットノズルアセンブリは、閉じ込めチャンバ内で移動可能なノズル本体を使用し、上記移動可能なノズル本体は、その上に摺動可能に横たわることによって上記閉じ込めチャンバの前部受座に拘束される送出ヘッドと、装置の送出口が開くチャンバと、チャンバ自体内で回転駆動される傾斜した長手方向のステムを有する。
【0008】
過去に比較的複雑な機械システムがノズル本体のステムを回転駆動するために使用されていた場合、高圧用途(25~1000バール)では、ステムがチャンバに入る洗浄液自体によって駆動される解決策が今日主に使用されている。
【0009】
しかし、先行技術の装置は、それらの目的を略満たしているが、今日まで解決されていないいくつかの欠点を有している。
【0010】
まず第一に、今日使用されているノズルアセンブリが、使用時に、特に高い作動圧力で、比較的高い振幅および周波数を有する機械的振動にどのようにさらされるかが注目される。これらの振動は、ノズルが組み込まれているツール全体に伝達される相当数の振動に変換される。
【0011】
上記振動は、洗浄ランスの場合のように、ツールが人間のオペレータによって直接扱われる場合に特に重要である。実際に、振動は不快および妨害の状態を決定するものであり、洗浄システムの使用快適性を低下させる原因となり、加えて、重大なケースでは、オペレータに対して文書化された病理学的影響をもたらす。
【0012】
さらに、振動は洗浄システムの騒音を増加させ、オペレータおよびその周囲の人々の快適性を再び損なわせる原因となる。
【0013】
上記の欠点を解決するために、洗浄ツールに適用される減衰システムがこれまで使用されてきたが、これらのシステムは、洗浄機器の構造の複雑さおよび製造コストの大きな原因になる。
【0014】
第2の欠点は、洗浄液によって駆動されるノズル本体の回転速度に関する。
【0015】
上述のタイプのノズルアセンブリにおいて、洗浄液によって与えられる推力は、回転要素の慣性に打ち勝ち、それらを回転状態に保つようなものでなければならない。
【0016】
概して、装置の設計は、駆動プロセスを容易にするなどの設計である。実際、比較的低い作動圧力の用途、たとえば、洗車のためにも、装置の正しい始動を確実にする必要がある。
【0017】
圧力値が増大すると、比較的高速で回転する回転要素に供給される推力が徐々に増大する。しかし、特定の回転速度の閾値に加えて、ジェットの噴霧効果もあり、これは結果として、ジェット自体が洗浄対象の表面に衝突する力の大幅な低下につながり、装置の洗浄効率が低下する。
【0018】
本発明の根底にある技術的課題は、先行技術に関する上記の欠点を克服する、特に、生成される振動を最小限に抑えて、ユーザの快適性を向上させるなどのために、構造的および機能的な特徴を有するノズルアセンブリを考案することである。
【0019】
本発明のさらなる目的は、いかなる使用圧力に対しても、ノズルアセンブリによって送出される液体ジェットの力を最大化することである。
【発明の概要】
【0020】
前に特定された技術的問題は、圧力洗浄装置用の回転ジェットノズルアセンブリによって解決され、回転ジェットノズルアセンブリは、
洗浄液の入口と出口との間の第1の長手方向軸に沿って延在し、入口と流体連通する洗浄液の閉じ込めチャンバを内部に画定するハウジングと、
入口から入る洗浄液の効果により、閉じ込めチャンバ内でおよび第1の長手方向軸を中心に回転する支持体と、
第1の長手方向軸に対して傾斜した第2の長手方向軸に沿って延在し、送出ダクトによって横断されたノズル本体であって、送出ダクトが、閉じ込めチャンバの上流側で開口し、使用時に、ハウジングの出口に配置された送出開口部の下流で開口し、ノズル本体が、支持体に関連付けられ、それによって回転駆動されるノズル本体と、
第1の長手方向軸を中心にした支持体の回転の間にノズル本体のバランスをとるために、支持体と一体とされ、第1の長手方向軸に対して偏心してノズル本体と対向する位置に配置されたカウンターウェイトと、を備える。
【0021】
当業者が十分に理解するように、既知の回転ノズルアセンブリとは異なり、ノズル本体の反対側に偏心したカウンターウェイトの存在により、ロータ全体を動的にバランスさせることが可能であり、ここでロータは、支持体、カウンターウェイト、およびノズル本体を備える回転要素のグループを表す。このようにして、使用中の装置の振動をゼロにするか、または少なくとも低減することが可能であり、上記振動は、従来技術では、回転軸に対する回転質量の偏心不均衡の主な原因である。
【0022】
上記ノズルアセンブリは、支持体/カウンターウェイトのユニットの複合構造を有利に提供し得る。したがって、カウンターウェイトは、支持体に対して異なる材料、好ましくは、より高い比重を有する材料で作られ得る。
【0023】
上記の手段により、一方ではロータの慣性モーメントを過度に増大させることなくノズル本体のバランスをとることが可能であり、他方では支持体およびカウンターウェイトをそれぞれ構成する材料の設計選択が独立して保たれる。
【0024】
したがって、支持体は、好ましくは制限された質量および低い摩擦係数によって特徴付けられる、ポリマー材料、すなわち、ポリマーマトリックス強化材料で作られ得る。
【0025】
材料は、たとえば、テクニカルプラスチックであり得る。
【0026】
対して、カウンターウェイトは、ノズル本体が少なくとも部分的に作られている材料と同じ材料であり得る、金属材料、好ましくは真ちゅうで作られ得る。
【0027】
上で提案された材料の選択のおかげで、互いに異なる専用の製造技術で支持体およびカウンターウェイトを得ることが可能である。
【0028】
したがって、支持体は、上記のポリマーまたはポリマーマトリックス材料を成形することによって有利に得られ得る一方、カウンターウェイトは、機械加工、たとえば旋削によって未加工のピースから有利に得られ得る。
【0029】
このようにして、支持体は、同じ金型を使用することで、大量に限られたコストで再現することができ、逆に、カウンターウェイトは、具体的なバランスの必要性に応じてケースバイケースで処理され得る。
【0030】
したがって、カウンターウェイトの専用加工によって、各々の単一の装置の正確なバランスを得ることが可能であり、偏向や設計変更の場合でも要素の質量を簡単に適合させる。
【0031】
利点として、支持体は、カウンターウェイトを受容するように構成された連結受座を備え、カウンターウェイトは、支持体の連結受座内で、好ましくは締り嵌めによって、挟み込まれるように形作られた少なくとも1つの連結部分を備える。
【0032】
締り嵌めによって、代替ではあるが経済的に高価な共成形技術に頼らなくても、ロータ本体上のカウンターウェイトの一体的で確実な組み立てが可能になる。共成形の使用はまた、テクニカルプラスチックの使用を許可しないため、プラスチック材料の選択に対する制約がある。
【0033】
カウンターウェイトは、好ましくは、連結部分と一体の少なくとも1つのバランス部分を備え、バランス部分は、連結部分の断面とは異なる断面、好ましくは連結部分の断面よりも小さい断面を有し、バランス部分は、上記ノズル本体の質量とバランスをとるように形作られている。
【0034】
言い換えれば、カウンターウェイトは、支持体の連結受座に挿入されるように厳密に画定された連結部分と、代わりに具体的なバランスの必要性に応じて再構成可能である、すなわち、実際の偏心質量のバランスをとるように構成され得るバランス部分とを有する。
【0035】
バランス部分は、好ましくは、それが取り付けられる支持体の円形の形状に適合するように、少なくとも部分的に円筒形の形状をとる、すなわち、クラウンアーチ状の断面が提供される。
【0036】
連結部分は、好ましくは、円形セグメントによって画定される一定の断面を有する足部である。
【0037】
したがって、カウンターウェイトは、好ましくは、連結部分に対して凹んだバランス部分を備えた円筒部分として形作られる。カウンターウェイトは、もちろん、様々な他の形状をとってもよく、たとえば、支持体の指定された受座に部分的または全体的に埋め込まれた金属球のように形作られ得る。
【0038】
ノズル本体は、送出開口部が開口する下流側の端部と、支持体上に単に横たわることによって支持体に拘束される上流側の端部とを有する。
【0039】
したがって、支持体は、好ましくは、ハウジングの第1の長手方向軸に対して偏心して連結受座と対向する位置に配置されたノズル本体のための受座、好ましくはU字形の窪みを備え、ノズル本体の上流側の端部はノズル本体の受座内に導入される。
【0040】
ノズルアセンブリは、利点として、使用時にハウジング出口に配置されたスライド受座に対するノズル本体の下流側の端部の当接を保つように構成された支持体に作用する少なくとも1つの弾性要素を備え得る。
【0041】
上記弾性要素は、上記支持体と、ハウジング出口の反対側の閉じ込めチャンバの上流側の壁との間に介在された皿ばねによって構成され得る。代替的に、弾性要素は、好ましくは常に支持体と壁との間に介在された、別の弾性変形可能な部材によって構成されてもよい。
【0042】
利点として、支持体は、ハウジング入口から入る洗浄液の少なくとも一部に当たって、回転駆動されるように構成されたタービンを備え得る。
【0043】
洗浄液の少なくとも一部に当たる翼配列が設けられたこのタービンは、利点として、好ましくは単一の成形操作によって、支持体の残りの部分と一体化され得る。
【0044】
タービンが、洗浄液による支持体の駆動を大いに促進することが留意されるべきであるが、それは厳密には必要ではなく、洗浄液が当たる他の偏心要素上、たとえば、同じノズル本体および/またはカウンターウェイトに駆動作用を提供することが可能である。
【0045】
ハウジングは、ハウジング入口を閉じ込めチャンバに接続する、少なくとも1つの主通路および少なくとも1つのバイパス通路をそこに含み、少なくとも1つの主通路および少なくとも1つのバイパス通路は閉じ込めチャンバの異なる領域に開口しており、主通路を通過する唯一の洗浄液がタービンに当たり、タービンを回転させる。
【0046】
上記手段のおかげで、ノズルアセンブリは、ロータが有害な噴霧現象が原因で臨界回転速度に達することなく、比較的高い圧力および流量で動作し得る。実際に、バイパスを通過する洗浄液の一部は、装置の全容量に関与しているが、タービンの推力には寄与せず、逆に、翼配列の外側に乱流を形成することでタービンを減速させ得る。
【0047】
したがって、支持体に向けられる流量が、ノズル本体を回転駆動させ、それを維持するのに必要な最小限なものとなるように、主通路およびバイパス通路のサイズを決めることが可能であり、そのため、回転速度を可能な限り制限し、それゆえ結果として生じる噴霧現象を制限する。
【0048】
上記による主通路およびバイパス通路の提供によって、回転ノズルアセンブリにおけるカウンターウェイトの使用に関係なく利点のある効果がもたらされることが留意される。したがって、権利者は、圧力洗浄装置用の回転ジェットノズルに関する分割特許出願を請求する権利を留保し、回転ジェットノズルは、
洗浄液の入口と出口との間の第1の長手方向軸に沿って延在し、入口と流体連通する洗浄液の閉じ込めチャンバを内部に画定するハウジングと、
入口から入る洗浄液の効果により、閉じ込めチャンバ内で第1の長手方向軸を中心に回転する支持体と、
第1の長手方向軸に対して傾斜した第2の長手方向軸に沿って延在し、送出ダクトによって横断されたノズル本体であって、送出ダクトが、閉じ込めチャンバの上流側で開口し、使用時に、ハウジング出口に配置された送出開口部の下流で開口し、ノズル本体が、支持体に関連付けられ、それによって回転駆動されるノズル本体と、を備え、
上記支持体は、上記ハウジングの入口から入る洗浄液の少なくとも一部に当たって、回転駆動されるタービンを備え、
上記ハウジングは、上記入口を閉じ込めチャンバに接続する、少なくとも1つの主通路および少なくとも1つのバイパス通路をそこに含み、上記の少なくとも1つの主通路および少なくとも1つのバイパス通路は閉じ込めチャンバの異なる領域に開口しており、上記主通路を通過する唯一の洗浄液がタービンに当たり、タービンを回転させる。
【0049】
タービンを備える支持体は、好ましくは、第1の長手方向軸に沿って延在するハウジングと一体のピンに回転可能に取り付けられ、タービンは、ピンを囲む翼配列を備え、少なくとも1つの主通路はピンと翼配列との間に介在された第1の領域に開口し、代わりに少なくとも1つのバイパス通路は翼配列とハウジングの側壁との間に配置された第2の領域に開口する。
【0050】
少なくとも1つの主通路は、上記のピンを、それに対して少なくとも部分的に半径方向に横断し得る。
【0051】
ピンは、ハウジングと一体の支持ベースから延在し得ることで、閉じ込めチャンバの上流側の壁を画定し、少なくとも1つのバイパス通路が開口する環状の隙間が、支持ベースと側壁との間に形成される。
【0052】
さらなる特徴および利点は、限定目的ではなく例として与えられた添付の図面を参照して、本発明の好ましいが排他的ではない実施形態の以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】本発明による回転ジェットノズルアセンブリの第1の実施形態の縦断面図を示す。
【
図2】
図1の回転ジェットノズルアセンブリのロータの斜視図を示す。
【
図4】
図1の回転ジェットノズルアセンブリの支持体/カウンターウェイトユニットの斜視図を示す。
【
図5】
図1の回転ジェットノズルアセンブリの支持体/カウンターウェイトユニットのさらなる斜視図を示す。
【
図7】本発明の第2の実施形態におけるロータの斜視図を示す。
【
図9】本発明の第3の実施形態におけるロータの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
添付の
図1~6を参照すると、参照番号1は、概して、本発明による回転ジェットノズルアセンブリの第1の実施形態を特定している。
【0055】
回転ジェットノズルアセンブリ1は、好ましくは、圧力洗浄用途で回転液体ジェットを生成するように配置されるが、それに限定されるものではない。したがって、回転ジェットノズルアセンブリは、圧力洗浄用機械、特に高圧洗浄機、すなわち、たとえば圧力洗浄機などの、25~1000バールの作動圧力を有する高圧洗浄機に適用することができる。
【0056】
以下、限定目的なしで、回転ジェットノズルアセンブリ1が、洗浄液、通常は水の円錐ジェットを洗浄されるべき表面の方向に送出するために、ユーザが握ることができるランスの端部に取り付けられる、後者の用途が参照される。
【0057】
ノズルアセンブリ1は、第1の長手方向軸Xに沿って延在するハウジング2を備える。ハウジング2は、その中に閉じ込めチャンバ5を画定する。
【0058】
ハウジング2は、特に、互いに組み合わされた2つの部品、すなわちハウジング本体2bおよび入口取付具2cによって画定される。
【0059】
ハウジング本体2bは、閉じ込めチャンバ5の境界を定める側壁2aを有する。ハウジング本体2bは、洗浄液が送出される出口4が画定される下流側の端部に向かって先細りする略管状の形状を有する。
【0060】
管状のハウジング本体2bは、出口4の反対側に、入口取付具2cがねじ込まれる開口部を有し、したがって、入口取付具2cはハウジング2の上流側を閉鎖するように配置されている。
【0061】
ハウジング2の不透水性を確保するために、ハウジング本体2bと入口取付具2cとの間に密閉ガスケットが設けられている。
【0062】
入口取付具2cは、以下に詳細に説明するように、洗浄液の入口3を形成する他に、閉じ込めチャンバ5と流体連通するように配置されている内部キャビティ2dを有する。
【0063】
入口取付具2cは、洗浄ツール、たとえば、オペレータが把持することができる圧力ワッシャーランスと連結するために、入口3に配置される。
【0064】
ハウジング2は、保護ケーシング11内に挿入され、リングナット11aを入口3に介在させることによって、挿入された状態が維持される。保護ケーシング11とリングナット11aはいずれも内容物の保護機能を有している。
【0065】
入口取付具2cは、ハウジング本体2bの側壁2aと接触して横方向に配置されており、閉じ込めチャンバ5の上流側との境界を定める支持ベース15を有している。
【0066】
支持ベース15は、閉じ込めチャンバ5の内部で、第1の長手方向軸Xと同軸に肩部を画定し、肩部からピン18が延在する。
【0067】
支持ベース15は、上の肩部の周囲に、支持ベース15自体とハウジング本体2bの側壁2aとの間に隙間14を画定する面取り部を有している。
【0068】
回転ジェットノズルアセンブリ1はさらに、閉じ込めチャンバ5の内部に、支持体10、カウンターウェイト30、およびノズル本体20を含むロータを備える。
【0069】
支持体10は、ピン18上に回転可能に取り付けられ、したがって、第1の長手方向軸Xを中心に回転するように配置されている。ノズル本体20およびカウンターウェイト30は、支持体10によって一体的に支持され、支持体と一緒に回転駆動される。
【0070】
ノズル本体20は、単にその上に横たわることによって支持体10に拘束されるその上流側の端部24と、ハウジング2の出口4に配置されたスライド受座(sliding seat)7に当接するその下流側の端部23との間で、第2の長手方向軸Yに沿って延在する。
【0071】
スライド受座7および対応するノズル先端20bの両方は、たとえばセラミックまたは炭化タングステンなどの低摩擦係数材料で作られている。
【0072】
支持体10全体は、支持ベース15の肩部と支持体10の底面との間に配置された弾性要素6、この場合は皿ばねによってハウジング2の出口4の方向に押される。皿ばねの作用によって、ノズル先端20bは、スライド受座7に対して常に接触し、したがって、これらの比較的壊れやすい要素の破損に結果としてつながり得る衝撃が回避される。
【0073】
支持体10は、ピン18を同心円状に取り囲む翼配列19bを備えたタービン19を備える。以下でより明らかになるように、タービン19は、ロータ全体を回転駆動させる洗浄液の流れに当たるように配置されている。
【0074】
したがって、ハウジング2の第1の長手方向軸Xに対して傾斜する第2の長手方向軸Yに沿って延在する上記ノズル本体20は、第1の長手方向軸Xと同軸の回転コーンの軌跡を描くことによって、スライド受座7と接触したまま回転駆動される。
【0075】
ノズル本体20は、ハウジング2の出口4と流体連通して配置された、上流側の端部24のアクセス開口部26と下流側の端部23の送出開口部22との間で軸方向に延在する送出ダクト28によって横断される。
【0076】
入口キャビティ2dを通過した後に入口3から流入する洗浄液は、主通路12およびバイパス通路13の2つの代替通路に分割され、両方とも閉じ込めチャンバ5に開口する。
【0077】
主通路12は、ピン18を半径方向に横断し、タービン19の翼配列19bによって囲まれたピン18自体の近くの閉じ込めチャンバ5に開口する。したがって、上記通路を通過する液体の一部は、翼配列19bに向けられ、側壁2aに向かうその移動で翼配列を回転駆動させる。
【0078】
ここから、洗浄液は閉じ込めチャンバ5に入り続け、その後、ノズル本体20に入り、そこから出口4を出る。
【0079】
代わりに、バイパス通路13は、ピン18に対して上流の入口キャビティ2dの一部から分岐し、上記面取り部、すなわちタービン19の上流の周辺環状隙間14に開口する。
【0080】
バイパス通路13を通過する洗浄液は、タービン19の翼配列19bを通過することなく、直接ノズル本体20に向かって進み、ここから出口4へと流れ続ける。
【0081】
当業者が十分理解するように、このようにして、適切に主通路12およびバイパス通路13のサイズを(好ましくは3対1の流量比で)設定することによって、高い流量および高い圧力であってもノズル本体20の定常回転速度を制限することが可能になり、したがって、従来技術による実施形態におけるジェットの衝撃力に影響を与える噴霧現象が減少される。
【0082】
実際、バイパス通路13を通過する洗浄液は、出力流量全体を決定するが、タービン19の回転速度には寄与しない。この洗浄液が主通路12から入る洗浄液と合流すると、翼配列19bに乱流が生じ、これはタービン19を減速させる傾向がある。
【0083】
図4および5からよくわかるように、支持体10は、タービン19の下流に、第1の長手方向軸Xに対する偏心位置で、ノズル本体20の上流側の端部24を受容するためにU字形であるノズル本体受座(nozzle body seat)25を有している。
【0084】
支持体10はまた、カウンターウェイト30を受容するように配置された連結受座(coupling seat)21を有している。連結受座21は、第1の長手方向軸Xを介してノズル本体受座25と対向する位置に配置されている。
【0085】
上述のカウンターウェイト30は、その回転中に動的にノズル本体20の偏心質量のバランスをとる目的を有し、すなわち、第1の長手方向軸Xに対する結果として生じるロータのモーメントを可能な限り、理想的にはゼロに低減させる大きさとされる。
【0086】
第1の実施形態では、カウンターウェイト30は、締り嵌めで連結受座21内に挿入される。
【0087】
また、支持体10は、金属ピン18の周りの回転中の摩耗を最小限にするように、ポリマー材料またはポリマーマトリックス材料で作られている。材料の選択はまた、具体的な形状の型から成形することによって支持体10を作るように行われる。
【0088】
このようにして、型が定義され製造されると、各ノズルアセンブリ1で使用される支持体10を成形することによって容易に再現することが可能になる。
【0089】
第1の実施形態では、支持体10は、用途に適したテクニカルプラスチックで作られている。
【0090】
代わりに、カウンターウェイト30は、支持体10とは異なり、より高い比重を有する材料で作られる。上記材料は、好ましくは金属材料であり、本明細書に記載される実施形態では、真ちゅうが使用される。
【0091】
真ちゅうなどの金属材料を使用することによって、特有の部品、たとえばバーから開始して、機械加工、たとえば旋削によってカウンターウェイト30を得ることが可能になる。このように、部品を作る加工を変更することによって、所望の形状および質量を有するカウンターウェイトを得ることが可能になる。
【0092】
概して、説明したようなノズルアセンブリは、様々なサイズおよび質量のノズルを使用して様々な流量で動作する必要がある。したがって、加工が容易でカスタマイズ可能な金属材料を使用することで、様々な使用条件下での様々なカウンターウェイトの使用が実現され、適切に回転中のノズル本体の質量のバランスをとることが可能になる。
【0093】
第1の実施形態では、カウンターウェイト30は、2つの連続した部分、すなわち、支持体10の連結受座21内に締り嵌めで挿入されるように形作られた連結部分31と、回転中にノズル本体20とバランスをとるような質量、形状およびサイズを有するように特別に形作られたバランス部分32とで作られている。
【0094】
特に、第1の実施形態では、カウンターウェイト30は、連結受座21の断面に対応する断面を有する連結部分31を有し、したがって固定拘束が実現される。代わりに、バランス部分32は、機械加工によって作られた連結部分31よりも小さい断面を有する。
【0095】
図2および
図4から分かり得るように、バランス部分は特定の半円筒形を有し、その長手方向軸は、カウンターウェイト30が連結受座21に挿入されたときに、ハウジング2の第1の長手方向軸Xに平行である。
【0096】
このように形成されたカウンターウェイト30は、同じ連結部分を有する別のカウンターウェイト、または少なくとも連結受座21に挟み込まれ得、異なるバランス部分を有する別のカウンターウェイトと交換され得る。
【0097】
第2の実施形態では、他に上述のものと同一のノズルアセンブリが、
図7~8に例示される異なるロータを採用する。
【0098】
本実施形態では、カウンターウェイト30’は、連結受座21に挿入可能な連結部分31’と、異なる形状を有する、特にクラウンアーチ状の断面を備えるバランス部32’とを有している。
【0099】
第3の実施形態では、他に上記のものと同一のノズルアセンブリが、
図9~10に例示される異なるロータを採用する。
【0100】
この場合、カウンターウェイト30’’は、支持体10の連結受座21内に埋め込まれた球形を有している。
【0101】
明らかに、当業者は、臨時のおよび具体的なニーズを満たすために、上記の発明にいくらかの変更および変形を加えることができ、一方で、それらはすべて、以下の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の保護範囲に含まれる。