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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】バール
(51)【国際特許分類】
   B25C 11/00 20060101AFI20240520BHJP
   B25D 1/04 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
B25C11/00 B
B25D1/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023160224
(22)【出願日】2023-09-25
【審査請求日】2023-09-25
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513247433
【氏名又は名称】園部 俊光
(74)【代理人】
【識別番号】110001922
【氏名又は名称】弁理士法人日峯国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】園部 俊光
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-184676(JP,U)
【文献】登録実用新案第3182322(JP,U)
【文献】実開平07-000673(JP,U)
【文献】登録実用新案第3064107(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0307847(US,A1)
【文献】英国特許出願公開第02164551(GB,A)
【文献】中国実用新案第205237989(CN,U)
【文献】韓国公開特許第10-2022-0120313(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25C 11/00
B25D 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状のシャフト部の一端側であるネック部と、
前記ネック部の前方に前記シャフト部と垂直となるように取り付けられたヘッド部と、
前記ヘッド部の先端にV字溝が形成された釘抜部と、
前記釘抜部より後側に前記ヘッド部の両側方へ突出するように設けられた張出部と、を有し、
交差する木材が釘で留められ木材間に隙間が無い場合に、上側の木材の下面に前記釘抜部を当て、下側の木材の上面に片方の前記張出部を当てることで、前記ネック部を支点にするのが困難な場合でも前記張出部を支点として下側の木材から上側の木材を引き離す、
ことを特徴とするバール。
【請求項2】
前記シャフト部の他端側に先端が爪部であるグリップ部を有し、
前記爪部より下側に前記グリップ部の両側方へ突出する張出部を設けた、
ことを特徴とする請求項1に記載のバール。
【請求項3】
前記ヘッド部の後側にハンマー部を設けた、
ことを特徴とする請求項1に記載のバール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釘を抜くためのバールに関する。
【背景技術】
【0002】
バールは、木材等に打ち込まれた釘を梃(テコ)の原理を利用して引き抜くための棒状の工具であり、主に金属製で一方の先端が曲げられてL字状になっている。また、両端に釘抜きが付いているものや、曲げた反対側にハンマーを付けてT字状になっているものもある。
【0003】
特許文献1に記載されているように、長い釘でも面倒な準備をすることなく容易に引き抜くことができ、嵩張らず、しかも構造が単純で製造しやすい釘抜き工具の発明も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5046346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の釘抜き工具は、作用部の略V字形状の切り欠きに釘の頭部を掛けて、支点部を支点として、副作用部が円弧を描くように、梃の原理で柄部を後方に動かすことで釘を抜くが、木材等に釘が打ち込まれている場合、釘の頭部が木材等の上面から突出していないと釘抜き工具の略V字形状の切り欠きに掛けることはできない。そのため、釘抜き工具の尖った先端などで木材等を刳り貫いて無理矢理に釘の頭部を出した上で、略V字形状の切り欠きに掛ける等している。
【0006】
また、下側の木材と上側の木材とを釘で留めている場合、木材間に隙間があれば、釘抜き工具の尖った先端などを挿し込んで上下に隙間を拡げながら釘を抜くこともできるが、木材間に隙間がない状態で釘を抜くことは困難である。釘抜き工具など梃の原理を利用するには、支点と作用点を確保する必要がある。
【0007】
そこで、本発明は、木材間に隙間がない場合でも木材を引き離して容易に釘を抜くことができるバールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明であるバールは、棒状のシャフト部の一端側に前記シャフト部と垂直に取り付けられた先端の釘抜部にV字溝が形成されたヘッド部を有し、前記釘抜部より後側に前記ヘッド部の両側方へ突出する張出部を設けた、ことを特徴とする。
【0009】
前記バールにおいて、前記シャフト部の他端側に先端が爪部であるグリップ部を有し、前記爪部より下側に前記グリップ部の両側方へ突出する張出部を設けた、ことを特徴とする。
【0010】
前記バールにおいて、前記ヘッド部の後側にハンマー部を設けた、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、木材間に隙間がない場合でも木材を引き離して容易に釘を抜くことができる。下側の木材と上側の木材とを釘で留めている場合、下側の木材に支点を確保し、作用点として上側の木材にヘッド部を当てることで、梃の原理を利用して容易に木材を引き離すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明であるバールを示す斜視図である。
図2】本発明であるバールを示す側面図である。
図3】本発明であるバールを示す正面図である。
図4】本発明であるバールを示す底面図である。
図5】本発明であるバールを使用して釘が打ち込まれた2枚の木材を引き離す状況を示す図である。
図6】本発明であるバールで木材間に隙間を空けた状況を示す図である。
図7】本発明であるバールを木材間に挿し込んだ状況を示す図である。
図8】本発明であるバールで剥がした木材の裏側から釘の頭を出す状況を示す図である。
図9】本発明であるバールで頭の浮いた釘を引き抜く状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【実施例1】
【0014】
まず、本発明であるバールの構造について説明する。図1は、バールを示す斜視図である。図2は、バールを示す側面図である。図3は、バールを示す正面図である。図4は、バールを示す底面図である。なお、バールのヘッド部において釘抜部があるほうを前、ハンマー部があるほうを後、グリップ部において爪部があるほうを上とする。
【0015】
図1に示すように、バール100は、棒状のシャフト部200の一端側(下側)であるネック部210にシャフト部200と略垂直に取り付けられた先端の釘抜部410にV字溝410aが形成されたヘッド部400、及びシャフト部200の他端側(上側)に先端が爪部310であるグリップ部300を有する。
【0016】
バール100は、木材に刺さった釘などを引く抜くための工具であり、主に鉄などの金属製である。先端を曲げてL字状にした細長い棒の短い側を作用点として釘を掛け、曲げた部分を支点として木材に当て、長い側を力点として倒すように回動させることにより、小さい力で釘を引き抜く。
【0017】
図2、3に示すように、シャフト部200は、グリップ部300とヘッド部400を繋ぐための棒材である。上端がグリップ部300に繋がり、下端がネック部210を介してヘッド部400に繋がる。ヘッド部400よりも長くすることで、釘を抜くために掛ける力が小さくなる。シャフト部200の上部を手で握った場合は、そこが力点となる。
【0018】
グリップ部300は、シャフト部200から繋がり、力を掛けるために手で握る部分である。先端を扁平状にした爪部310は、上下を逆にして釘で留められた木材の間など狭い隙間に挿し込んで間隔を拡げたり、木材に打ち込まれた釘周辺を刳り貫いて釘の頭に爪部310を引っ掛けて釘を浮かせたりする。
【0019】
ネック部210は、シャフト部200とヘッド部400を直角に近い角度で接続することで支点となる部分である。上方にシャフト部200が延び、前方にヘッド部400が延びる。木材に当てたときにシャフト部200を回動させやすいように、ネック部210が湾曲していると良い。
【0020】
ヘッド部400は、釘を引き抜くための力が発生する作用点となる部分である。ネック部210から繋がっており、釘を掛けるために先端を扁平状にして2つに先割れしたV字溝410aを形成した釘抜部410を有する。
【0021】
図4に示すように、ヘッド部400には、釘抜部410より後側(図では下側)にヘッド部400の両側方へ突出する張出部420を設ける。同様に、グリップ部300には、爪部310より下側にグリップ部300の両側方へ突出する張出部320を設ける。
【0022】
張出部420は、釘抜部410の反対側(後方)にあるネック部210を支点とするのが困難な場合に、ネック部210の代わりに支点とするために設ける。例えば、木材へ当てる箇所が横にずれている場合などである。
【0023】
また、ヘッド部400の後側には、ハンマー部500を設ける。ハンマー部500は、シャフト部200より後方に突出していても良いし、釘を抜く際の支点としやすいようになるべく突出させないようにしても良い。
【0024】
次に、本発明であるバールを使用して2枚の木材に打ち込まれた釘を抜く場合を説明する。図5は、バールを使用して釘が打ち込まれた2枚の木材を引き離す状況を示す図である。図6は、バールで木材間に隙間を空けた状況を示す図である。図7は、バールを木材間に挿し込んだ状況を示す図である。図8は、バールで剥がした木材の裏側から釘の頭を出す状況を示す図である。図9は、バールで頭の浮いた釘を引き抜く状況を示す図である。
【0025】
図5に示すように、例えば、横向きの木材110bの上に縦向きの木材110aが交差するように釘120で留められている場合とする。釘120の頭は、木材110aの上面(表面)と連になるように打ち込まれ、木材110aと木材110bの間に隙間130が無い状態である。
【0026】
木材110aと釘120の間にも、木材110aと木材110bの間にも、バール110の釘抜部410は、無理矢理に捻じ込まなければ入り込まない状況であり、ネック部210を支点として釘120を抜くことができない。
【0027】
そこで、釘抜部410の側面を木材110bの側面に当てた上で、釘抜部410の上面を木材110aの下面に当てるようにすると共に、張出部420の下面を木材110bの上面に当てるようにする。
【0028】
図6に示すように、張出部420を支点、シャフト部200を力点、釘抜部410を作用点として、シャフト部200を後方に回動させると、釘120が少し抜けて木材110aが浮き、木材110bと木材110aの間に隙間130が生じる。
【0029】
図7に示すように、木材110bの上面に沿って釘抜部410を隙間130に挿し込み、釘抜部410のV字溝410aで釘120の軸を挟み込む。木材110bに当てたネック部210又はハンマー部500を支点として、シャフト部200を後方に回動させれば、木材110bから木材110aが釘120と共に剥がされる。
【0030】
図8に示すように、木材110aを裏返すと、木材110aの裏面に釘120の軸が出ている状態である。木材110aの表面で釘120の頭が押さえ付けられていない状態で、ハンマー部500で釘120の軸を叩けば、釘120の頭が木材110aの表面から出て浮いた状態になる。
【0031】
図9に示すように、木材110aを表返して、木材110aの表面(上面)から浮いた釘120の頭を釘抜部410のV字溝410aに掛ける。木材110aに当てたネック部210又はハンマー部500を支点として、シャフト部200を後方に回動させれば、木材110aから釘120が引き抜かれる。
【0032】
本発明によれば、木材間に隙間がない場合でも木材を引き離して容易に釘を抜くことができる。下側の木材と上側の木材とを釘で留めている場合、下側の木材に支点を確保し、作用点として上側の木材にヘッド部を当てることで、梃の原理を利用して容易に木材を引き離すことができる。
【0033】
以上、本発明の実施例を述べたが、これらに限定されるものではない。例えば、グリップ部に爪部がないものでも良いし、爪部にV字溝を形成しても良い。また、ヘッド部にハンマー部がないものでも良い。
【符号の説明】
【0034】
100:バール
110a:木材
110b:木材
120:釘
130:隙間
200:シャフト部
210:ネック部
300:グリップ部
310:爪部
320:張出部
400:ヘッド部
410:釘抜部
410a:V字溝
420:張出部
500:ハンマー部
【要約】
【課題】木材間に隙間がない場合でも木材を引き離して容易に釘を抜くことができるバールを提供する。
【解決手段】バールは、棒状のシャフト部の一端側に前記シャフト部と垂直に取り付けられた先端の釘抜部にV字溝が形成されたヘッド部、及び前記シャフト部の他端側に先端が爪部であるグリップ部を有し、前記釘抜部より後側に前記ヘッド部の両側方へ突出する張出部を設け、前記爪部より下側に前記グリップ部の両側方へ突出する張出部を設け、前記ヘッド部の後側にハンマー部を設けた、ことを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9