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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】鋳型造型装置および鋳型造型方法
(51)【国際特許分類】
   B22C 15/02 20060101AFI20240520BHJP
   B22C 17/08 20060101ALI20240520BHJP
   B22C 11/04 20060101ALI20240520BHJP
   B22C 21/02 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
B22C15/02 Z
B22C17/08
B22C11/04
B22C21/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023510468
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(86)【国際出願番号】 JP2022038176
(87)【国際公開番号】W WO2023127226
(87)【国際公開日】2023-07-06
【審査請求日】2023-03-17
(31)【優先権主張番号】P 2021213100
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592089799
【氏名又は名称】メタルエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(72)【発明者】
【氏名】下村 幸一
(72)【発明者】
【氏名】船木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】金平 諭三
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-070982(JP,A)
【文献】特表2001-512048(JP,A)
【文献】国際公開第2011/108071(WO,A1)
【文献】特開2019-042751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 11/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想水平面上の一方の位置に上鋳枠用キャリアプレートと前記水平面上の他方の位置に下鋳枠用キャリアプレートとを搭載し、各前記キャリアプレートに施される補助作業を行う補助作業位置と各前記キャリアプレートに鋳枠を重ねて鋳物砂を充填するための造型空間を形成する造型空間形成位置との間を、前記水平面に沿って旋回することで前記上鋳枠用キャリアプレートおよび前記下鋳枠用キャリアプレートを交換するキャリアプレート交換装置と、
前記造型空間形成位置に、各前記キャリアプレートに重ねるための造型前の前記鋳枠を搬入するとともに、鋳型が造型された造型後の前記鋳枠を搬出する鋳枠搬入搬出装置と、
前記キャリアプレート交換装置によって前記造型空間形成位置に位置決めされた各前記キャリアプレートに前記鋳枠搬入搬出装置により搬入された前記鋳枠を上方から重ねて前記造型空間とする鋳枠キャリアプレート重合装置と、
形成された前記造型空間に前記鋳物砂を充填する鋳物砂充填装置と、
前記造型空間形成位置に隣接して設けられ、前記造型空間に投入された前記鋳物砂を押圧して鋳型を造型する鋳物砂押圧装置を備えた造型ステーションと、
前記造型空間形成位置から前記造型ステーションに、前記キャリアプレートと前記鋳枠とを重ねた状態で移動させる鋳枠キャリアプレート移動装置と、を備え
前記鋳枠キャリアプレート重合装置は、前記鋳枠と前記キャリアプレートとを重ねた状態で保持することが可能な鋳枠搬送フレームと、前記鋳枠搬送フレームの上部を分離可能に係止して昇降する鋳枠搬送フレーム昇降装置と、を備え、
前記鋳枠キャリアプレート移動装置は、前記鋳枠搬送フレーム昇降装置から分離した前記鋳枠搬送フレームと前記キャリアプレートと前記鋳枠とを、前記造型空間形成位置から前記造型ステーションに移動する
鋳型造型装置。
【請求項2】
前記造型ステーションは、前記補助作業位置と前記造型空間形成位置とが成す直線上に配置されている、請求項1に記載の鋳型造型装置。
【請求項3】
前記造型空間形成位置には、前記鋳枠と前記キャリアプレートが重ねられた際、前記鋳枠と前記キャリアプレートとが重ねられた状態で水平方向に互いにずれるのを防止する横ずれ防止装置が設けられている、請求項1に記載の鋳型造型装置。
【請求項4】
前記横ずれ防止装置は、前記鋳枠キャリアプレート重合装置に設けられている、請求項3に記載の鋳型造型装置。
【請求項5】
前記造型ステーションには、前記キャリアプレート交換装置の方向に延在するローラコンベヤである造型ステーションコンベヤが設けられ、
前記キャリアプレート交換装置の前記キャリアプレートを搭載する位置には、前記造型空間形成位置に位置決めされた際に、前記造型ステーションコンベヤに整列する移動用ローラコンベヤが設けられている、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の鋳型造型装置。
【請求項6】
前記鋳枠キャリアプレート移動装置は、
下端部に挿入部を有し、縦方向に延在するように前記鋳枠搬送フレームに設けられた溝部と、
前記挿入部から挿入され前記溝部に沿ってスライドするスライダー部と、
前記造型ステーションの構造体に設けられた回転軸と、
前記造型空間形成位置と前記造型ステーションとの間であって、前記溝部を含む仮想上の垂直平面に沿って前記回転軸を中心に回転し、前記スライダー部を前記溝部内で往復移動させるクランクアーム部と、
前記クランクアーム部を回転させる回転駆動装置と、を備え、
前記鋳枠が前記キャリアプレートに重ねられる際に、前記スライダー部が前記挿入部より前記溝部に挿入される、請求項4に記載の鋳型造型装置。
【請求項7】
前記造型ステーションの前記鋳物砂押圧装置は、前記鋳枠の上方側に設けられた鋳物砂押圧部材を下降させて、前記鋳物砂をスクイズする、請求項1に記載の鋳型造型装置。
【請求項8】
前記キャリアプレート交換装置には、各前記キャリアプレートを搭載する位置において、前記キャリアプレート交換装置が旋回した際に生じる半径方向外側への各前記キャリアプレートの移動を防止する係止装置が設けられている、請求項5に記載の鋳型造型装置。
【請求項9】
前記造型ステーションには、重ねられた前記鋳枠と前記キャリアプレートとを上面で受承可能なスクイズテーブルと、前記鋳物砂押圧装置で前記鋳物砂が押圧されるときに、前記造型ステーションコンベヤを前記スクイズテーブルの上面よりも低い位置まで下降させるコンベヤ昇降装置が設けられている、請求項5に記載の鋳型造型装置。
【請求項10】
前記鋳物砂充填装置は、前記造型空間形成位置に適合するよう設けられている、請求項1に記載の鋳型造型装置。
【請求項11】
前記鋳物砂充填装置は、前記造型ステーションの位置に適合するように設けられている、請求項1に記載の鋳型造型装置。
【請求項12】
請求項1に記載の鋳型造型装置を使用した鋳型造型方法であって、
前記上鋳枠用キャリアプレートおよび前記下鋳枠用キャリアプレートを前記キャリアプレート交換装置により交換するキャリアプレート交換工程と、
前記造型空間形成位置に、各前記キャリアプレートに重ねるための造型前の前記鋳枠を鋳枠搬入装置により搬入する鋳枠搬入工程と、
前記鋳枠と各前記キャリアプレートとを前記鋳枠キャリアプレート重合装置により重ねて前記造型空間とする鋳枠キャリアプレート重合工程と、
形成された前記造型空間に前記鋳物砂を前記鋳物砂充填装置により充填する鋳物砂充填工程と、
前記造型空間形成位置に隣接して設けられた前記造型ステーションに、前記鋳枠キャリアプレート移動装置により、前記鋳枠搬送フレーム昇降装置から分離した前記鋳枠搬送フレームと前記キャリアプレートと前記鋳枠とを、前記キャリアプレートと前記鋳枠とを重ねた状態で移動させる鋳枠キャリアプレート移動工程と、
前記鋳物砂押圧装置を使って、前記造型空間に投入された前記鋳物砂を押圧して鋳型を造型する鋳物砂押圧工程と、
を備えた鋳型造型方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
鋳物砂を使用した鋳型の造型装置およびその造型装置を実施するための鋳型造型方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋳型を造型するには、模型が載置固定された模型定盤と鋳枠とで形成した造型空間内に、鋳物砂を充填する。この投入された鋳物砂を押圧し、模型を抜き出すことで、砂による鋳型を形成する。
【0003】
このような鋳型を製造する鋳型造型装置として特許文献1には、造型ステーションと、模型と模型定盤が固定された上型用キャリアプレートおよび下型用キャリアプレートを、ターンテーブル方式で、造型ステーションに対して交互に入れ替える模型交換ステーションとが記載されている。さらに造型ステーションに交差させた配列で鋳枠を造型ステーションに搬入する鋳枠搬入搬出ラインが設けられている。
【0004】
模型交換ステーションでは、予定造型数を終了した上下の模型を、キャリアプレート毎に搬出し、次回の造型の模型を予め固定したキャリアプレートを搬入している。これらの工程は自動化により、造型ステーションで造型中に模型交換を完了して、造型サイクルに遅延が発生しないようにする優れた装置となっている。
【0005】
しかし、造型ステーションにおいて、鋳枠搬入搬出ラインが交差しているため、模型交換ステーションで模型を固定したキャリアプレートを旋回させる際に、模型上端面と、鋳枠下面側の鋳型突出部とが干渉しないようにする必要がある。そのため、模型上端面と鋳枠下面との間隔を多く設定している。
【0006】
また、造型ステーションにおいて、上下方向に配置される鋳枠および上盛枠との間に隙間を設けて保持されており、スクイズヘッドの下面と、上盛枠の上面との間も、隙間をあけることが必要な設定となっている。さらに、キャリアプレートの下面と、スクイズテーブルの上面との間にも隙間を設けることが必要な設定となっている。
【0007】
ここで、上記各隙間の合計長さが、スクイズテーブルを昇降させるシリンダ装置のストロークに加算されることが必要となる。しかしながら、本来、大きな加圧力を有するシリンダ装置の出力は、鋳枠内の鋳物砂を圧縮する範囲のみが必要であり、上記隙間分のストロークは、シリンダ装置を駆動させる動力として無駄なものであった。
【0008】
特許文献2には、模型と、模型によって鋳枠内に型取りされた砂型とを分離する装置が記載されている。
【0009】
この特許文献2では、造型ステーションでは、鋳物砂の圧縮工程のみ行い、模型交換部にて鋳枠への鋳物砂の投入と、スクイズが完了した鋳枠の離型とを行っている。そのため、造型ステーションにおける加圧装置のストロークは短く、動力の無駄は少ないものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特許6577321号公報
【文献】特表2001-512048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献2において、上型用キャリアプレートと下型用キャリアプレートを交換する模型交換部は、造型ステーションを直線状の模型交換部中央の側方に併設させており、さらに、模型交換部の上方に鋳枠搬送ライン(空鋳枠を搬入し、スクイズ後の鋳枠を搬出する)が、重なるように配置されている。
【0012】
そのため、模型交換部で新たなキャリアプレートと入れ替える場合、特許文献2の図4における36a、36bのように、直線状の模型交換部の両端部から九十度方向に外れた二か所の専用の位置に搬出して行う必要があった。冷やし金、肌砂被せなどの必要な補助作業も、これら二か所の専用の位置で行わなければならなかった。
【0013】
したがって、この模型交換部より九十度外れた二か所の専用の位置への搬出、専用の位置からの搬入に必要な労力と時間とが余計に必要であった。
【0014】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、スクイズのためのストロークの無駄を少なくし、キャリアプレートの交換作業、および補助作業の効率を向上させる鋳型造型装置および鋳型造型方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第一の態様の鋳型造型装置によれば、仮想水平面上の一方の位置に上鋳枠用キャリアプレートと前記水平面上の他方の位置に下鋳枠用キャリアプレートとを搭載し、各前記キャリアプレートに施される補助作業を行う補助作業位置と各前記キャリアプレートに鋳枠を重ねて鋳物砂を充填するための造型空間を形成する造型空間形成位置との間を、前記水平面に沿って旋回することで前記上鋳枠用キャリアプレートおよび前記下鋳枠用キャリアプレートを交換するキャリアプレート交換装置を備えている。
【0016】
また、前記造型空間形成位置に、前記キャリアプレートに重ねるための造型前の前記鋳枠を搬入するとともに、鋳型が造型された造型後の前記鋳枠を搬出する鋳枠搬入搬出装置と、前記鋳枠搬入搬出装置により搬入された前記鋳枠と前記キャリアプレートとを重ねて造型空間とする鋳枠キャリアプレート重合装置と、を備えている。
【0017】
また、形成された前記造型空間に鋳物砂を充填する鋳物砂充填装置と、前記造型空間形成位置に隣接して設けられ、前記造型空間に投入された前記鋳物砂を押圧して鋳型を造型する鋳物砂押圧装置を備えた造型ステーションと、前記造型空間形成位置から前記造型ステーションに、前記キャリアプレートと前記鋳枠とを重ねた状態で移動させる鋳枠キャリアプレート移動装置と、を備えた鋳型造型装置である。
【0018】
これによれば、造型ステーションでは、鋳物砂の押圧工程のみ行い、造型ステーションにおける鋳物砂押圧装置のストロークは短く、動力の無駄を削減することができる。
【0019】
さらに、キャリアプレートの交換作業および補助作業を、補助作業位置の一か所で行うことができ、作業の効率化を図ることができる。
【0020】
本発明の第二の態様の鋳型造型装置によれば、第一の態様の鋳型造型装置において、前記造型ステーションは、前記補助作業位置と前記造型空間形成位置とが成す直線上に配置されている。
【0021】
これによれば、補助作業位置で交換されるキャリアプレートに補助作業が行われ、さらに造型空間形成位置で重ねられた鋳枠とキャリアプレートとを、無駄な経路がなく最短距離かつ最短時間で、造型ステーションに搬入することができる。
【0022】
本発明の第三の態様の鋳型造型装置によれば、第一または第二の態様の鋳型造型装置において、前記造型空間形成位置には、前記鋳枠と前記キャリアプレートが重ねられた際、鋳枠とキャリアプレートとが重ねられた状態で水平方向に互いにずれるのを防止する横ずれ防止装置が設けられている。
【0023】
これによれば、重ねられた鋳枠とキャリアプレートとが、造型ステーションに移動される際の横ずれを防止することができる。
【0024】
本発明の第四の態様の鋳型造型装置によれば、第三の態様の鋳型造型装置において、前記横ずれ防止装置は、前記鋳枠キャリアプレート重合装置に設けられている。
【0025】
これによれば、横ずれ防止装置が鋳枠キャリアプレート重合装置に設けられているので、特別な専用の装置を設けることなく、容易かつ確実に横ずれを防止することができる。
【0026】
本発明の第五の態様の鋳型造型装置によれば、第四の態様の鋳型造型装置において、前記鋳枠キャリアプレート重合装置は、重ねられた前記鋳枠および前記キャリアプレートが前記鋳枠キャリアプレート移動装置によって移動する際に、前記鋳枠および前記キャリアプレートとともに、鋳枠キャリアプレート重合装置が、前記造型ステーションに移動する重合装置移動機構を備える。
【0027】
これによれば、鋳枠をキャリアプレートに重ねるための昇降動作から横行動作に移る際において、別途装置により移し替える必要が無く移し替え時間の短縮と装置のシンプル化を図ることができる。
【0028】
本発明の第六の態様の鋳型造型装置によれば、第一ないし第五の態様のいずれか1つの態様の鋳型造型装置において、前記造型ステーションには、前記キャリアプレート交換装置の方向に延在するローラコンベヤである造型ステーションコンベヤが設けられ、前記キャリアプレート交換装置の前記キャリアプレートを搭載する位置には、前記造型空間形成位置に位置決めされた際に、前記造型ステーションコンベヤに整列する移動用ローラコンベヤが設けられている。
【0029】
これによれば、造型空間形成位置と造型ステーションとの間を、キャリアプレートに鋳枠を重ねた状態のままで、容易かつ確実に移動させることができる。
【0030】
本発明の第七の態様の鋳型造型装置によれば、第五の態様の鋳型造型装置において、前記重合装置移動機構は、端部に挿入部を有し、縦方向に延在するように前記鋳枠キャリアプレート重合装置に設けられた溝部と、前記挿入部から挿入され前記溝部に沿ってスライドするスライダー部と、前記造型ステーションの構造体に設けられた回転軸と、前記造型空間形成位置と前記造型ステーションとの間であって、前記溝部を含む仮想上の垂直平面に沿って前記回転軸を中心に回転し、前記スライダー部を前記溝部内で往復移動させるクランクアーム部と、前記クランクアーム部を回転させる回転駆動装置と、を備え、前記鋳枠が前記キャリアプレートに重ねられる際に、前記スライダーが前記挿入部より前記溝部に挿入される。
【0031】
これによれば、鋳枠がキャリアプレートに重ねられた際に、スライダーが溝部に挿入され、クランクアーム部の回転により、鋳枠、キャリアプレートおよび鋳枠キャリアプレート重合装置が、造型ステーションに向かって移動可能となる。このように、鋳枠の下降動作と横移動動作とを瞬時に連絡でき、迅速かつ確実な造型ステーションへの横移動動作を実施することができる。
【0032】
本発明の第八の態様の鋳型造型装置によれば、第一の態様ないし第七の態様のいずれか1つの態様の鋳型造型装置において、前記造型ステーションの前記鋳物砂押圧装置は、前記鋳枠の上方側に設けられた鋳物砂押圧部材を下降させて、前記鋳物砂をスクイズする。
【0033】
これによれば、鋳物砂押圧装置は、鋳物砂押圧部材をキャリアプレートに重ねられた鋳枠の上方から下降させて、鋳物砂を加圧するので、キャリアプレートの下方の駆動装置(例えば、スクイズテーブル、スクイズテーブルを上昇させる大型のシリンダ装置)を設置するための空間が不要となって、省スペース化され、かかる駆動装置を収容するためのピット深さも短縮化することができる。また、大きな押圧装置が地上に位置するのでメンテナンス性も向上する。
【0034】
本発明の第九の態様の鋳型造型装置によれば、第六の態様の鋳型造型装置において、前記キャリアプレート交換装置には、各前記キャリアプレートを搭載する位置において、前記キャリアプレート交換装置が旋回した際に生じる半径方向外側への各前記キャリアプレートの移動を防止する係止装置が設けられている。
【0035】
これによれば、係止装置によって、キャリアプレート交換装置が旋回したときの遠心力によるキャリアプレートの移動を防止することができる。
【0036】
本発明の第十の態様の鋳型造型装置によれば、第六の態様の鋳型造型装置において、前記造型ステーションには、重ねられた前記鋳枠と前記キャリアプレートとを上面で受承可能なスクイズテーブルと、前記鋳物砂押圧装置で前記鋳物砂が押圧されるときに、前記造型ステーションコンベヤを前記スクイズテーブルの上面よりも低い位置まで下降させるコンベヤ昇降装置が設けられている。
【0037】
これによれば、鋳物砂の押圧時に、キャリアプレートがスクイズテーブル上面に着座して造型ステーションコンベヤへの過負荷を防止することができる。
【0038】
本発明の第十一の態様の鋳型造型装置によれば、第一ないし第十の態様のいずれか一つの態様の鋳型造型装置において、前記鋳物砂充填装置は、前記造型空間形成位置に適合するよう設けられている。
【0039】
これによれば、鋳物砂充填装置を造型空間形成位置に配置したことで、特に自然落下式の鋳物砂充填装置の設置が容易となり、投入完了後の余剰砂の掻き落としも重ねられた鋳枠とキャリアプレートとを造型ステーションに移動する際に特別な機構を設けることもなく実施できる。
【0040】
本発明の第十二の態様の鋳型造型装置によれば、第一ないし第十の態様のいずれか一つの態様の鋳型造型装置において、前記鋳物砂充填装置は、前記造型ステーションの位置に適合するように設けられている。
【0041】
これによれば、鋳物砂充填装置を造型ステーションに配置したことで、特にブローイング式の鋳物砂充填装置の設置が容易となり、投入完了後の余剰砂の発生を防止することができる。
【0042】
本発明の第十三の態様の鋳型造型方法によれば、仮想水平面上の一方の位置に上鋳枠用キャリアプレートと前記水平面上の他方の位置に下鋳枠用キャリアプレートとを搭載し、各前記キャリアプレートに施される補助作業を行う補助作業位置と各前記キャリアプレートに鋳枠を重ねて鋳物砂を充填するための造型空間を形成する造型空間形成位置との間を、前記水平面に沿って旋回することで前記上鋳枠用キャリアプレートおよび前記下鋳枠用キャリアプレートを交換するキャリアプレート交換工程を備えている。
【0043】
また、前記造型空間形成位置に、各前記キャリアプレートに重ねるための造型前の前記鋳枠を鋳枠搬入装置により搬入する鋳枠搬入工程と、前記鋳枠搬入装置により搬入された前記鋳枠と各前記キャリアプレートとを重ねて造型空間とする鋳枠キャリアプレート重合工程とを備えている。
【0044】
また、形成された前記造型空間に鋳物砂を充填する鋳物砂充填工程と、前記造型空間形成位置に隣接して設けられた造型ステーションに、前記キャリアプレートと前記鋳枠とを重ねた状態で移動させる鋳枠キャリアプレート移動工程と、前記造型ステーションに設けられた鋳物砂押圧装置を使って、前記造型空間に投入された前記鋳物砂を押圧して鋳型を造型する鋳物砂押圧工程と、を備えている。
【0045】
これによれば、造型ステーションでは、鋳物砂の押圧工程のみ行い、造型ステーションにおける鋳物砂押圧装置のストロークは短く、動力の無駄を削減することができる。
【0046】
さらに、キャリアプレートの交換作業および補助作業を、補助作業位置の一か所で行うことができ、作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明の鋳型造型装置の第一実施形態を示す正面から見た概要図である。
図2図1におけるA-A断面図である。
図3】係止装置を解除装置で解除した状態を示す図である。
図4図1におけるB-B断面図である。
図5図1におけるC-C断面図である。
図6図1におけるD-D断面図である。
図7】キャリアプレートに鋳枠と上盛枠が重ねられて重合枠が形成された状態を示す図である。
図8】重合枠の造型空間に鋳物砂が投入された状態と、スライダー部が溝部に挿入された状態とを示す図である。
図9】キャリアプレートに重ねられた鋳枠、上盛枠と鋳枠搬送フレームとが、造型ステーションに移動された状態を示す図である。
図10】造型ステーションコンベヤが降下されて、キャリアプレートがスクイズテーブルに受け渡された状態を示す図である。
図11】鋳物砂押圧装置によって、重合枠内の鋳物砂をスクイズした状態を示す図である。
図12】鋳物砂押圧装置のスクイズフートを上昇させ、造型ステーションコンベヤを元の位置まで上昇させた状態を示す図である。
図13】クランクアーム部を回転させて、キャリアプレート、造型された鋳枠、上盛枠および鋳枠搬送フレームを、造型空間形成位置に移動させた状態を示す図である。
図14】鋳枠搬送フレーム昇降装置によって、キャリアプレートから、造型された鋳枠、上盛枠を分離させた状態を示す図である。
図15】鋳枠搬送フレーム昇降装置が上昇端に位置決めされた状態を示す図である。
図16】鋳枠搬送フレーム昇降装置が下降端に位置決めされた状態を示す図である。
図17】クランクアーム部を回転させて、キャリアプレート、鋳枠、上盛枠および鋳枠搬送フレームを造型ステーションに移動させた状態を示す図である。
図18】第二実施形態の鋳型造型装置を示す概要図である。
図19】第二実施形態の鋳型造型装置の造型工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
(第一実施形態)
本件発明にかかる鋳型造型装置および鋳型造型方法の第一実施形態を図1から図17に基づいて以下に説明する。
【0049】
第一実施形態における鋳型造型装置1は、図1に示すように、キャリアプレート交換装置2と、鋳枠搬入搬出装置3と、鋳枠キャリアプレート重合装置4と、鋳物砂充填装置5と、造型ステーション6と、重合装置移動機構7と、を備えている。
【0050】
なお、キャリアプレート交換装置2と、造型ステーション6とが直線上に並んだ水平方向をX方向とし、X方向に直角な水平方向をY方向とする。搬送されるものがある場合に、その搬送方向に沿った仮想の中心線を考え、その中心線に近い側を「内側」、遠い側を「外側」というものとする。
また、鋳枠の搬送において、搬送の起点側を上流側といい、搬送の終点側を下流側というものとする。
【0051】
(キャリアプレート交換装置)
キャリアプレート交換装置2は、造型ステーション6で使用される上型用模型UMまたは下型用模型DMが上面に固定されたキャリアプレートCPを、補助作業位置AWPと造型空間形成位置SFPとの間で、交換するように設けられている。
【0052】
キャリアプレート交換装置2は、回動周壁21と、支持矩形体22と、支持フレーム23と、図略の回転駆動機構とを備えている。
【0053】
回動周壁21は、円筒状に形成され、構造体の円柱に図略のベアリングを介して回動可能に外嵌されている。
【0054】
回動周壁21の中央下部には、水平方向に延在する矩形状の支持矩形体22が相対移動不能に組付けられている。支持矩形体22には、支持矩形体22の対向する二辺に沿って、互いに平行に延在するように設けられた二本の支持フレーム23が固定されている。支持フレーム23の両端部には、内側で対向するように設けられた複数(実施形態では、それぞれ四対)のローラコンベヤ24(移動用ローラコンベヤ)が設けられている。回動周壁21は、電動モータ、変速機等を備えた図略の回転駆動装置によって、180度ずつ正逆回転して往復動するようになっている。電動モータの動作は、図略の制御装置によって制御されている。
【0055】
(係止装置)
キャリアプレート交換装置2の支持矩形体22には、係止装置25が設けられている。係止装置25は、キャリアプレート交換装置2が旋回した際に生じる半径方向外側への遠心力によって、各キャリアプレートCPが搭載位置より移動するのを防止する。
【0056】
係止装置25は、キャリアプレート交換装置2に設けられた、固定台板251、係止レバー252、および係止レバー付勢装置253と、キャリアプレート交換装置2に配置されたキャリアプレートCPの半径方向の外側下端に設けられた被係止溝CPGと、構造体の基台1aに設けられた解除装置26とを備えている。
【0057】
固定台板251は、例えば鉄製で矩形板状に形成され、支持矩形体22のローラコンベヤ24側の端面下部に板の広い面積部分が垂直になるようにして固定されている。固定台板251の中央部には、支持フレーム23と平行な方向に沿って延在する中心支持軸251aが設けられている。また、固定台板251の下部角部の一方(図2おいて右側)には、矩形柱状のストッパ突起251bが突設されている。
【0058】
中心支持軸251aには、係止レバー252が回動可能に設けられている。係止レバー252は、例えば鉄製で中央部が膨らんだ長板状に形成され、膨らんだ中央部には中心支持軸251aが設けられ、長板状の端部は、中心支持軸251aに対して仮想の同心円の接線となる方向に延在する直線上に沿う上辺部252aと、上辺部252aに対向する位置に上辺部252aに平行して設けられた下辺部252bとを備えている。中心支持軸251aから上辺部252aまでの長さは、中心支持軸251aから下辺部252bまでの長さより短く設定されている。
【0059】
中心支持軸251aより下辺部252b側の係止レバー252の側部には、第一係止穴が設けられている。支持矩形体22より図略のブラケットを介して垂下された垂下部材254が、係止レバー252に対向するように設けられている。垂下部材254の下端部には、第一係止穴に対向するように第二係止穴が設けられ、第一係止穴と第二係止穴との間には、弦巻ばね(係止レバー付勢装置253)が張架されている。係止レバー252は、弦巻ばね(係止レバー付勢装置253)によって、図2において反時計回り方向に付勢されている。
【0060】
係止した際に、図2に示すように、係止レバー252の上辺部252aが被係止溝CPG内に嵌まり込む。そして、係止レバー252の弦巻ばね側の側面がストッパ突起251bに当接して、係止レバー252の回転が停止する。
係止装置25による係止状態は、解除装置26により解除される。
【0061】
(解除装置)
解除装置26は、図1に示すように、キャリアプレート交換装置2の下方であって、造型ステーション6側に、係止装置25に対向するように設けられている。解除装置26は、構造体の基台1aに設けられたピット内に収容されている。
【0062】
解除装置26は、図2に示すように、回転腕261と、回転駆動部262と、支持台263とを備えている。回転腕261は、対向して配置される係止レバー252と、同一平面内で回転駆動部262の出力軸を中心に回転する。回転腕261の先端にはローラが設けられ、係止レバー252と接触した際に、滑らかに転動して係止レバー252を解除方向に回転させる(図3参照)。回転駆動部262は、例えば電動モータで構成され、減速装置を介して回転腕261を正逆回転させる。電動モータは、図略の制御装置によって動作が制御される。
【0063】
支持台263は、例えば鉄製で断面コ字型の部材より形成されている。下方が開放するよう配置され、ピット内の壁にX方向に延在するように突設されている。支持台263の上面には、回転駆動部262が、例えば図略のボルトナット等で固定されている。
【0064】
(鋳枠搬入装置、鋳枠搬出装置)
鋳枠搬入搬出装置3は、図2に示すように、鋳枠搬入装置31と鋳枠搬出装置32とを備えている。
鋳枠搬入装置31は、造型に使用される鋳枠MFを造型空間形成位置SFPの手前まで搬入する。
【0065】
鋳枠搬出装置32は、造型され砂型を伴った鋳枠MFを造型空間形成位置SFPの下流側に隣接する位置から次工程に向かって搬出する。
【0066】
鋳枠搬入装置31および鋳枠搬出装置32は、ローラコンベヤであって、Y方向に延在する支持部材31aと、支持部材31aの内側に対向して設けられた複数のローラ31bとを備えている。搬入搬送される鋳枠MFは、例えば、図略のプッシャー装置およびクッション装置により複数並べられて搬送される。
【0067】
造型空間形成位置SFPにおいて、搬入されてきた鋳枠MFは、鋳枠キャリアプレート重合装置4に受け渡される。
【0068】
(鋳枠キャリアプレート重合装置)
鋳枠キャリアプレート重合装置4は、鋳枠搬送フレーム41と、鋳枠搬送フレーム昇降装置42と、横ずれ防止装置43と、を備えている。
【0069】
(鋳枠搬送フレーム)
鋳枠搬送フレーム41は、鋳枠搬入装置31の下流端と鋳枠搬出装置の上流端との間に配置され、上下方向および造型ステーション6方向への横移動可能に構成されている。鋳枠搬入装置31により搬入された鋳枠MFを、受け取るとともに、造型ステーション6で造型された鋳枠MFを、鋳枠搬出装置32に受け渡す。
【0070】
鋳枠搬送フレーム41は、フレーム本体411と、ローラコンベヤ部412と、上盛枠保持部413とを備えている。
【0071】
フレーム本体411は、例えば鉄製で略H形に形成された板材を二つ対向させて形成されている。フレーム本体411の上部外側の両側には、後述する鋳枠搬送フレーム昇降装置42に係合する係合凸条411aが、X方向に沿って延在するように上下二段にそれぞれ設けられている。
両側における二段の係合凸条411aは、後述する第一上部ローラコンベヤ部424にX方向の移動可能に係合される。
【0072】
(上盛枠保持部)
フレーム本体411の中間部内側には、上盛枠保持部413が設けられている。上盛枠保持部413は、フレーム本体411の内壁には、板の広い面積部分が水平方向に沿うように内側に突出する矩形状の板材(図略)で形成されている。板材は、フレーム本体411の内壁に対向するように配置されている。各板材の上面には、円柱状の係合突起(図略)が上方に向かって突出するように設けられている。係合突起は、後述する上盛枠TFの被係合部に係合するように対応している。
(上盛枠)
上盛枠TFは、スクイズするために押圧されるストローク分だけ、余分に造型空間に投入される鋳物砂CSがこぼれないように鋳枠MFに重ねて保持される。鋳枠MFに造型がなされた後には、鋳枠MFより取り外される。
上盛枠TFは、矩形の枠状に形成されている。上盛枠の四つの角部には、X方向外側へ突出する被係合部(図略)がそれぞれ設けられている。被係合部によって、上盛枠保持部413の係合突起に着脱可能に係合されて保持される。
【0073】
(ローラコンベヤ部)
フレーム本体411の下部には、ローラコンベヤ部412が設けられている。ローラコンベヤ部412は、対向する二つのフレーム本体411の下部に対として横架されている。ローラコンベヤ部412は、鋳枠搬入装置31及び鋳枠搬出装置32のローラコンベヤと同様に、Y方向に延在する支持部材412aと、支持部材の内側に対向して設けられた複数のローラ412bとを備えている。ローラコンベヤ部412は、フレーム本体411が上昇端位置にあるときに、鋳枠搬入装置31及び鋳枠搬出装置32のローラコンベヤに、整列するように構成されている(図6参照)。
【0074】
(横ずれ防止装置)
横ずれ防止装置43は、長板状保持部(図略)と、プレート係合部43bとを備えている。長板状保持部(図略)は、対向するフレーム本体411の下部にY方向に延在するようにローラコンベヤ部412の支持部材412aに沿って設けられている。プレート係合部43bは、四角棒状に形成され、長板保持部の中央部下部に下方に突出し、さらに九十度内側へ屈折されて形成されている。プレート係合部43bは、ローラコンベヤ部412の支持部材412aの中央部の下方から、内側に向けて突出するように設けられている。
プレート係合部43bは、後述するキャリアプレートCPの被係合部CPKに係合する。
【0075】
(キャリアプレート)
キャリアプレートCPは、模型が固定された模型定盤が上面に組付けられ、鋳枠MFおよび上盛枠TFが重ねられて造型空間を形成する。
キャリアプレートCPは、例えば、鉄製で矩形の厚板状に形成され、模型定盤を固定する係合部(図略)が上面に設けられている。
キャリアプレートCPのX方向に並んだ側面には、上方から見て略コ字状に横方向が開放した被係合部CPKが突設されている。
【0076】
キャリアプレートCPには、被係止溝CPGが設けられている。
被係止溝CPGは、キャリアプレート交換装置2に配置されたキャリアプレートCPにおいて、キャリアプレート交換装置2が旋回するときの半径方向の内側底面に、キャリアプレート交換装置2が旋回するときの軌道円の接線方向に所定の長さで設けられている。
【0077】
(鋳枠搬送フレーム昇降装置)
鋳枠搬送フレーム昇降装置42は、鋳枠搬送フレーム41を下降させることで、上盛枠TFと鋳枠MFとをキャリアプレートCPに重ね合わせる。造型後には、キャリアプレートCPから鋳枠MFおよび上盛枠TFを上昇させて取り外す。
【0078】
鋳枠搬送フレーム昇降装置42は、構造体の天板部1bに設けられ、昇降支持枠421と、昇降シリンダ装置422と、昇降ガイド423と、を備えている。
【0079】
昇降支持枠421は、例えば鉄製で矩形の枠状に形成され、水平面に沿って延在するように、天板部1bの上方に設けられている。昇降支持枠421のY方向に対向して並ぶ辺部の中央下面には、後述する昇降シリンダ装置422のピストンロッド部422bの先端が、それぞれ組付けられている。
【0080】
昇降シリンダ装置422は、対に設けられ、シリンダ部422aと、ピストンロッド部422bと、それぞれ図略の油圧ポンプと電磁切替弁とを備えている。
【0081】
シリンダ部422aは、円筒状に形成され、天板部1bに貫通させて固定されている。シリンダ部422aの開口部側にはピストンロッド部422bが上下方向に沿って前進後退可能に挿入されている。シリンダ部422aは、図略の油送パイプを介して油圧ポンプに連通されている。シリンダ部422aと油圧ポンプの間には、図略の電磁切替弁が設けられている。電磁切替弁の作動は、図略の制御装置によって制御されている。
【0082】
昇降支持枠421の四か所の角部には、昇降ガイド423のガイドロッド部423bの先端部が夫々組付けられている。昇降ガイド423は、円筒ガイド部423aと、ガイドロッド部423bとを備え、下端に第一上部ローラコンベヤ部424を備えている。
【0083】
各円筒ガイド部423aは、上端部および下端部が開口した円筒状に形成され、天板部1bにそれぞれ貫通させて固定されている。円筒ガイド部423aには棒状のガイドロッド部423bが摺動可能に挿入されている。前述のように、ガイドロッド部423bの先端部は、昇降支持枠421の下面に相対移動不能に組付けられている。
【0084】
ガイドロッド部423bの下端部は、第一上部ローラコンベヤ部424が設けられている。
【0085】
(第一上部ローラコンベヤ部)
第一上部ローラコンベヤ部424は、図2に示すように、X方向に沿って延在する二つの第一上部ローラ支持部材424aと、二つの第一上部ローラ支持部材424aの内側に対向して設けられた複数のローラ424bと、各第一上部ローラ支持部材424aの下面に並べて設けられた複数のサイドローラ424cとを備えている。
【0086】
第一上部ローラ支持部材424aは、X方向に並んだガイドロッド部423bの下端間に横架されている。
【0087】
(鋳物砂充填装置)
本実施形態における鋳物砂充填装置5は、造型空間形成位置SFPに配置されている。
【0088】
鋳物砂充填装置5は、一度に成型する鋳型の造型に必要な鋳物砂CSを一単位として収納し、キャリアプレートCPに上盛枠TFおよび鋳枠MF(上鋳枠および下鋳枠のいずれか)が重ねられて作られた造型空間に鋳物砂CSを投入して充填させる。
【0089】
鋳物砂充填装置5は、ホッパー51を備えている。ホッパー51は、砂計量部52と、ゲート板53と、シューター部54とを備えている。
【0090】
ホッパー51は、例えば鉄製で、全体として四角筒状に形成されている。砂計量部52は、ホッパー51の上部にあって、シューター部54とは、ゲート板53で区分けされている。砂計量部52には、図略のコンベヤ装置により鋳物砂CSが搬送されて貯留される。
【0091】
複数のゲート板53は、例えば鉄製の矩形平板状にそれぞれ形成され、ホッパー51内を上下に仕切るようにX方向に並べられている。各ゲート板53は、図略の回動装置により、Y方向に延在する水平軸周りに夫々回動する。ゲート板53が水平位置に位置決めされると、ホッパー51内を上下に仕切って、鋳物砂CSが砂計量部52に貯留可能になる。ケート板が垂直位置に位置決めされると、貯留されていた鋳物砂CSが自然落下して上盛枠TF、鋳枠MFおよびキャリアプレートCPで形成した造型空間に充填される。
【0092】
シューター部54は、それぞれ四角筒状に形成された第一シューター部541と第二シューター部542とを備えている。第一シューター部541は、砂計量部52に連続し下方に向かって所定寸法延在している。第二シューター部542は、第一シューター部541に外嵌され、第一シューター部541に対して上下にスライドして、シューター部54が下方に伸長するように構成されている。
【0093】
第二シューター部542は、鋳枠搬送フレーム昇降装置42が上昇端にあるとき、鋳枠搬送フレーム41に保持された上盛枠TFの上面に、下端面が当接するようになっている。鋳枠搬送フレーム41が鋳枠搬送フレーム昇降装置42によって下降する場合には、第二シューター部542は、上盛枠TFに当接した状態のまま、上盛枠TFの下降に伴って下降する。鋳枠搬送フレーム昇降装置42が下降端となったとき、上盛枠TFは、鋳枠MFに重ねられて重合枠を形成する。
【0094】
第二シューター部542の上端の外縁周りには、被掛止条542aが設けられている。被掛止条542aは、天板部1bの下面より第二シューター部542を囲むように垂下された掛止爪部1b1に掛止されて、第二シューター部542の下端部が、上盛枠TFの上面より下に降りないように構成されている。
【0095】
(重合装置移動機構)
重合装置移動機構7は、重ねられた上盛枠TF,鋳枠MFおよびキャリアプレートCPとともに、鋳枠キャリアプレート重合装置4を造型ステーション6に移動させる。
【0096】
重合装置移動機構7は、溝部71と、スライダー部72と、回転軸73と、クランクアーム部74と、回転駆動装置75とを備える。
【0097】
溝部71は、鋳枠キャリアプレート重合装置4の鋳枠搬送フレーム41の造型ステーション6側の端部に垂直に設けられている。溝部71は、垂直方向に延在するとともに、X方向に並んだ二つの壁部を備えている。二つの壁部は、鋳枠搬送フレーム41の造型ステーション6側の端部に、上流側のY方向に突出するように設けられている。二つの壁の間をスライダー部72がスライドする。溝部71の下端部は、解放されており、挿入部71aを構成する。
【0098】
溝部71は、構造体の上流側の横壁部に固定されたガイドローラ1cに嵌合されて、鋳枠搬送フレーム41の昇降動作をガイドするとともに(図1および図15参照)、後述するスライダー部72が嵌入されて、スライダークランク機構の溝部71として機能する(図16および図17参照)。
【0099】
スライダー部72は、後述するクランクアーム部74の先端に設けられている。スライダー部72は、ローラで形成され、溝部71内を転動或いは摺動してスライドする。
【0100】
回転軸73は、構造体の壁部に固定された回転駆動装置75の出力軸に変速装置を介して連結されている。回転軸73には、クランクアーム部74の基端部が相対回転不能に組付けられている。クランクアーム部74は、鋳枠搬送フレーム41が、造型空間形成位置SFPより造型ステーション6に移動する距離の半分の長さのストロークを生じる腕の長さに形成されている。
【0101】
回転駆動装置75は、例えば、電動モータであり、前述の変速装置によって、クランクアーム部74が正逆回転可能に構成されている。クランクアーム部74が正逆回転することで、鋳枠搬送フレーム41は、造型空間形成位置SFPと造型ステーション6との間を往復移動する。回転駆動装置75は、図略の制御装置によって動作が制御される。
【0102】
クランクアーム部74の回動によって、鋳枠キャリアプレート重合装置4(主に鋳枠搬送フレーム41)を移動させるが、横移動に加わる力は、鋳枠キャリアプレート重合装置4の下部から上部に移動し、また下部に移動する。このように鋳枠キャリアプレート重合装置4に加わる力は、一様ではない。
【0103】
しかし、本実施形態では、鋳枠キャリアプレート重合装置4の上部は、第一上部ローラコンベヤ部424および上部造型ステーションコンベヤ63で保持された状態で移動することができる。そのため、スムーズかつ安定した鋳枠キャリアプレート重合装置4の横移動が可能となる。
【0104】
(造型ステーション)
造型ステーション6では、キャリアプレートCPに重ねられた上盛枠TF、鋳枠MFに充填された鋳物砂CSを、造型位置MPで押圧して鋳枠MFに砂鋳型を造型する。
【0105】
造型ステーション6は、図4に示すように、鋳物砂押圧装置61と、造型ステーションコンベヤ62と、上部造型ステーションコンベヤ63と、コンベヤ昇降装置64とを備えている。
【0106】
(鋳物砂押圧装置)
鋳物砂押圧装置61は、スクイズフレーム61aと、スクイズフート61bと、油圧シリンダ61cと、スクイズテーブル61dとを備えている。鋳物砂押圧装置61は、公知技術であるため、詳細な説明を省略する。
【0107】
なお、本実施形態におけるスクイズテーブル61dは、構造体の基台1aに固定されたものであり、キャリアプレートCPを上面で受承可能に設けられている。また、後述する造型ステーションコンベヤ62の対向するローラの間に配置されている。
【0108】
鋳物砂押圧装置61は、キャリアプレートCPに重ねられた上盛枠TFおよび鋳枠MFの上方側に設けられたスクイズフート61bを下降させて、造型空間内に充填された鋳物砂CSをスクイズする。
【0109】
(造型ステーションコンベヤ)
造型ステーションコンベヤ62には、キャリアプレート交換装置2のローラコンベヤ24(移動用ローラコンベヤ)が造型空間形成位置SFPに位置決めされた際に整列する(図5参照)。造型ステーションコンベヤ62は、キャリアプレートCPに上盛枠TF、鋳枠MFが重ねられ、鋳物砂CSが投入された重合枠を、造型ステーション6まで搬送する搬送路となっている。
【0110】
造型ステーションコンベヤ62は、X方向に沿って延在する一対の第二ローラ支持部材621と第二ローラ支持部材621の対向する内壁に、X方向に並んで設けられた複数の第二ローラ622とを備えている。対向する第二ローラの幅622は、キャリアプレートCPが載置されて搬送できる幅になっている。
【0111】
(上部造型ステーションコンベヤ)
上部造型ステーションコンベヤ63は、鋳枠搬送フレーム41の第一上部ローラコンベヤ部424が、下降端位置にある場合に整列する。上部造型ステーションコンベヤ63は、図4に示すように、構造体のY方向に並ぶ二枚の横壁の上部内側に、それぞれ第二上部ローラ支持部材631が設けられている。上部ローラ支持部材は、互いに対向するように設けられ、X方向に沿って延在するようにそれぞれ設けられている。
【0112】
第二上部ローラ支持部材631の内側の面には、複数のローラ632がX方向に並べて設けられている。各ローラ632は、Y方向に延在する回転軸の周りで回転する。各ローラ632は、上段の係合凸条411aの下面に外周を接触させて回転する。
【0113】
第二上部ローラ支持部材631の下面には、複数のサイドローラ633がX方向に並べて設けられている。各サイドローラ633は、垂直方向に延在する回転軸の周りで回転する。各サイドローラ644は、下段の係合凸条411aの先端面に外周を接触させて回転する(図2参照)。
【0114】
上部造型ステーションコンベヤ63は、第一上部ローラコンベヤ部424より鋳枠搬送フレーム41を(キャリアプレートCPに上盛枠TF、鋳枠MFが重ねられ、鋳物砂CSが投入された重合枠とともに)受け取って、造型ステーション6の造型位置MPまで搬送可能とする。
【0115】
(コンベヤ昇降装置)
コンベヤ昇降装置64は、図4に示すように、造型ステーションコンベヤ62の下方に設けられている。
【0116】
コンベヤ昇降装置64は、鋳物砂CSが充填され造型位置MPに位置決めされた重合枠を、造型ステーションコンベヤ62からスクイズテーブル61dに受け渡す。
【0117】
コンベヤ昇降装置64は、昇降装置641と、昇降ガイド装置642とを備えている。
昇降装置641は、例えば油圧シリンダで構成されている。油圧シリンダは、造型ステーションコンベヤ62の第二ローラ支持部材621の中央部の下面に相対移動不能に組付けられている。基台1aに固定されたシリンダ部641aとシリンダ部641aの開口部より垂直方向に沿って前進後退するピストンロッド641bとを備えている。
【0118】
昇降ガイド装置642は、ガイドロッド642aと摺動パイプ642bとを備えている。ガイドロッド642aは、横壁の内側の下部において、内側に向かって突出する上部ストッパ642cと下部ストッパ642dとの間に垂直方向に沿って延在するように設けられている。摺動パイプ642bは、ガイドロッド642aに摺動可能に外嵌され、造型ステーションコンベヤ62の第二ローラ支持部材621の両端部の側面に相対移動不能に組付けられている。
【0119】
コンベヤ昇降装置64のピストンロッド641bが上昇端にあるとき、各造型ステーションコンベヤ62の第二ローラ622の外周の上端部は、スクイズテーブル61dの上面よりも高い位置となるよう設定されている。
【0120】
コンベヤ昇降装置64のピストンロッド641bが下降端にあるとき、各造型ステーションコンベヤ62の第二ローラ622の外周の上端部は、スクイズテーブル61dの上面よりも低い位置となるよう設定されている。コンベヤ昇降装置64は、鋳物砂押圧装置61で鋳物砂CSが押圧されるときに、造型ステーションコンベヤ62の第二ローラ622の上端部をスクイズテーブル61dの上面よりも低い位置まで下降させる。
【0121】
シリンダ部641aは、いずれも図略の油圧ポンプに油送パイプを介して連通されている。シリンダ部641aと油圧ポンプの間には、電磁切替弁が設けられている。電磁切替弁の切替動作は、図略の制御装置によって制御されている。
【0122】
(作動)
上記のように構成された鋳型造型装置1の作動について、図1図7図17を参照して以下に説明する。
図1には、造型空間形成位置SFPにキャリアプレートCPが位置決めされている。
【0123】
キャリアプレートCPの上方には、鋳枠搬送フレーム41が、鋳枠搬送フレーム昇降装置42によって、上昇端位置に位置決めされている。鋳枠搬送フレーム41には、上盛枠TFおよび鋳枠MFが保持されている。
鋳物砂充填装置5の砂計量部52には、一回の造型に必要な鋳物砂CSが貯留されている。
【0124】
次に、制御装置は、図7に示すように、鋳枠搬送フレーム41を下降させることで、キャリアプレートCPに上盛枠TFおよび鋳枠MFを重ねて重合枠とし、造型空間を形成する。その際に、溝部71の挿入部71aより、重合装置移動機構7のクランクアーム部74の先端に設けられたスライダー部72を挿入させる。鋳枠搬送フレーム41とキャリアプレートCPは、横ずれ防止装置43によって、一体となった移動が可能となる。
【0125】
次に、制御装置は、図8に示すように、ゲート板53を九十度回転させて、砂計量部52内の鋳物砂CSを自然落下させて、造型空間内に投入する。
【0126】
次に、制御装置は、重合装置移動機構7のクランクアーム部74を図8において、時計回りに180度回転させる。図16および図17に示すように、キャリアプレートCPに重ねられた上盛枠TFおよび鋳枠MFは、鋳枠搬送フレーム41によって、一体に重ねられた状態で、造型ステーション6の造型位置MPまで、確実かつ迅速に搬送される。
【0127】
鋳枠搬送フレームは、第一上部ローラコンベヤ部424および上部造型ステーションコンベヤ63の連絡によって、キャリアプレートCPは、ローラコンベヤ(移動用ローラコンベヤ24)および造型ステーションコンベヤ62の連絡により、スムーズに搬送される。
【0128】
移動の際に、図9に示すように、上盛枠TFよりはみ出した、鋳物砂CSは、第二シューター部542の下端部によって余剰分が削除されて上面が慣らされる。
【0129】
次に、制御装置は、図10に示すように、コンベヤ昇降装置64により、造型ステーションコンベヤ62を下降させる。造型ステーションコンベヤ62の第二ローラ622の上端部が、スクイズテーブル61dの上面よりも低くなるように下降させる。
【0130】
次に、制御装置は、図11に示すように、鋳物砂押圧装置61を駆動させて、造型空間内に充填された鋳物砂CSをスクイズする。
次に、制御装置は、図12に示すように、鋳物砂押圧装置61のスクイズフート61bを上昇させる。その際、造型ステーションコンベヤ62を上昇させて、スクイズテーブル61dよりキャリアプレートCP、造型された鋳枠MFおよび上盛枠TFを受け取る。造型ステーションコンベヤ62の高さは、ローラコンベヤ(移動用ローラコンベヤ24)に一致するように上昇される。
【0131】
次に、制御装置は、図13に示すように、クランクアーム部74を反時計回りに180度回転させる。これにより、キャリアプレートCPに重なった鋳枠MF、上盛枠TF、および一体となった鋳枠搬送フレーム41は、造型ステーション6から造型空間形成位置SFPまで移動する。
【0132】
次に、制御装置は、図14に示すように、鋳枠搬送フレーム昇降装置42を駆動させて、鋳枠搬送フレーム41を上昇させる。鋳枠搬送フレーム41が上昇する過程で、キャリアプレートCPから鋳枠MFが脱型され、さらに鋳枠MFから上盛枠TFが取り外される。
【0133】
造型された鋳枠MFは、鋳枠搬出装置32によって、次工程に搬送され、上盛枠TFは上盛枠TFの保持位置に戻される。
キャリアプレートCPは、キャリアプレート交換装置2によって、新たなキャリアプレートCPが造型空間形成位置SFPに位置決めされる。
【0134】
補助作業位置AWPに配置されたキャリアプレートCPが新たなキャリアプレートCPと交換される場合は、交換のために搬出されるキャリアプレートが、例えば図略の解除装置で、係止装置を解除した後、図略の搬出装置で上方へあるいはキャリアプレート交換装置から外れる横方向へ移動されることで行われる。
以下、同様に繰り返される。
【0135】
上記の記述で明らかなように、本実施形態の鋳型造型装置1は、仮想水平面上の一方の位置に上鋳枠用キャリアプレートUCPと水平面上の他方の位置に下鋳枠用キャリアプレートDCPとを搭載し、各キャリアプレートCPに施される補助作業を行う補助作業位置AWPと各キャリアプレートCPに鋳枠MFを重ねて鋳物砂CSを投入するための造型空間を形成する造型空間形成位置SFPとの間を、水平面に沿って旋回することで上鋳枠用キャリアプレートUCPおよび下鋳枠用キャリアプレートDCPを交換するキャリアプレート交換装置2を備えている。
【0136】
また、造型空間形成位置SFPに、各キャリアプレートCPに重ねるための造型前の鋳枠MFを搬入するとともに、鋳型が造型された造型後の鋳枠MFを搬出する鋳枠搬入搬出装置3と、鋳枠搬入搬出装置3により搬入された鋳枠MFと各キャリアプレートCPとを重ねて造型空間とする鋳枠キャリアプレート重合装置4と、を備えている。
【0137】
また、形成された造型空間に鋳物砂CSを投入する鋳物砂充填装置5と、造型空間形成位置SFPに隣接して設けられ、造型空間に投入された鋳物砂CSを押圧して鋳型を造型する鋳物砂押圧装置61を備えた造型ステーション6と、を備えている。
【0138】
また、造型空間形成位置SFPから造型ステーション6に、キャリアプレートCPと鋳枠MFとを重ねた状態で移動させる鋳枠キャリアプレート移動装置(7)を備えている。
【0139】
これによれば、造型ステーション6では、鋳物砂CSの押圧工程のみ行い、造型ステーション6における鋳物砂押圧装置61のストロークは短く、動力の無駄を削減することができる。
【0140】
さらに、キャリアプレートCPの交換作業および補助作業を、補助作業位置AWPの一か所で行うことができ、作業の効率化を図ることができる。
【0141】
また、造型ステーション6は、補助作業位置AWPと造型空間形成位置SFPとが成す直線上に配置されている。
【0142】
これによれば、補助作業位置AWPで交換されるキャリアプレートCPに補助作業が行われ、さらに造型空間形成位置SFPで重ねられた鋳枠MFとキャリアプレートCPとを、無駄な経路がなく最短距離かつ最短時間で、造型ステーション6に搬入することができる。
【0143】
また、造型空間形成位置SFPには、鋳枠MFとキャリアプレートCPが重ねられた際、鋳枠MFとキャリアプレートCPとが重ねられた状態で水平方向に互いにずれるのを防止する横ずれ防止装置43が設けられている。
【0144】
これによれば、重ねられた鋳枠MFとキャリアプレートCPとが、造型ステーション6に移動される際の横ずれを防止することができる。
【0145】
また、横ずれ防止装置43は、鋳枠キャリアプレート重合装置4に設けられている。
【0146】
これによれば、横ずれ防止装置43が鋳枠キャリアプレート重合装置4に設けられているので、特別な専用の装置を設けることなく、容易かつ確実に横ずれを防止することができる。
【0147】
また、前記鋳枠キャリアプレート移動装置は、重ねられた鋳枠MFおよびキャリアプレートCPとともに鋳枠キャリアプレート重合装置4を造型ステーション6に移動する重合装置移動機構7を備える。
これによれば、鋳枠MFをキャリアプレートCPに重ねるための昇降動作から横行動作に移る際において、別途装置により移し替える必要が無く移し替え時間の短縮と装置のシンプル化を図ることができる。
【0148】
また、造型ステーション6には、キャリアプレート交換装置2の方向に延在するローラコンベヤである造型ステーションコンベヤ6262が設けられ、キャリアプレート交換装置2のキャリアプレートCPを搭載する位置には、造型空間形成位置SFPに位置決めされた際に、造型ステーションコンベヤ62に整列する移動用ローラコンベヤ24が設けられている。
【0149】
これによれば、造型空間形成位置SFPと造型ステーション6との間を、キャリアプレートCPに鋳枠MFを重ねた状態のままで、容易かつ確実に移動させることができる。
【0150】
また、重合装置移動機構7は、端部に挿入部71aを有し、縦方向に延在するように鋳枠キャリアプレート重合装置4に設けられた溝部71と、挿入部71aから挿入され溝部71に沿ってスライドするスライダー部72と、造型ステーション6の構造体に設けられた回転軸73と、造型空間形成位置SFPと造型ステーション6との間であって、溝部71を含む仮想上の垂直平面に沿って回転軸73を中心に回転し、スライダー部72を溝部71内で往復移動させるクランクアーム部74と、クランクアーム部74を回転させる回転駆動装置75と、を備えている。
そして、鋳枠MFがキャリアプレートCPに重ねられる際に、スライダー部72が挿入部71aより溝部71に挿入される。
【0151】
これによれば、鋳枠MFがキャリアプレートCPに重ねられた際に、スライダー部72が溝部71に挿入され、クランクアーム部74の回転により、鋳枠MF、キャリアプレートCPおよび鋳枠キャリアプレート重合装置4が、造型ステーション6に向かって移動可能となる。このように、鋳枠MFの下降動作と横移動動作とを瞬時に連絡でき、迅速かつ確実な造型ステーション6への横移動動作を実現することができる。
【0152】
また、造型ステーション6の鋳物砂押圧装置61は、鋳枠MFの上方側に設けられたスクイズフート61b(鋳物砂押圧部材に相当)を下降させて、鋳物砂CSをスクイズする。
【0153】
これによれば、鋳物砂押圧装置61は、スクイズフート61bをキャリアプレートCPに重ねられた鋳枠MFの上方から下降させて、鋳物砂CSを加圧するので、キャリアプレートCPの下方の駆動装置(例えば、スクイズテーブル、スクイズテーブルを上昇させる大型のシリンダ装置)を設置するための空間が不要となって、省スペース化され、かかる駆動装置を収容するためのピット深さも短縮化することができる。また、大きな押圧装置が地上に位置するのでメンテナンス性も向上する。
【0154】
また、キャリアプレート交換装置2には、各キャリアプレートCPを搭載する位置において、キャリアプレート交換装置2が旋回した際に、生じる半径方向外側への各キャリアプレートCPの移動を、防止する係止装置25が設けられている。
【0155】
これによれば、係止装置25によって、キャリアプレート交換装置2が旋回したときの遠心力によるキャリアプレートCPの半径方向への移動を防止することができる。
【0156】
また、造型ステーション6には、重ねられた鋳枠MFとキャリアプレートCPとを上面で受承可能なスクイズテーブル61dと、鋳物砂押圧装置61で鋳物砂CSが押圧されるときに、造型ステーションコンベヤ62をスクイズテーブルの上面よりも低い位置まで下降させるコンベヤ昇降装置64が設けられている。
【0157】
これによれば、鋳物砂CSの押圧時に、キャリアプレートCPがスクイズテーブル61d上面に着座して造型ステーションコンベヤ62への過負荷を防止することができる。
【0158】
また、鋳物砂充填装置5は、造型空間形成位置SFPに適合するよう設けられている。
【0159】
これによれば、鋳物砂充填装置5を造型空間形成位置SFPに配置したことで、特に自然落下式の鋳物砂充填装置5の設置が容易となり、投入完了後の余剰砂の掻き落としも重ねられた鋳枠MFとキャリアプレートCPとを造型ステーション6に移動する際に特別な機構を設けることもなく実施できる。
【0160】
また、鋳型造型方法は、仮想水平面上の一方の位置に上鋳枠用キャリアプレートUCPと水平面上の他方の位置に下鋳枠用キャリアプレートDCPとを搭載し、各キャリアプレートに施される補助作業を行う補助作業位置AWPと各キャリアプレートCPに鋳枠MFを重ねて鋳物砂CSを投入するための造型空間を形成する造型空間形成位置SFPとの間を、水平面に沿って旋回することで上鋳枠用キャリアプレートUCPおよび下鋳枠用キャリアプレートDCPを交換するキャリアプレート交換工程を備えている。
【0161】
また、造型空間形成位置SFPに、各キャリアプレートCPに重ねるための造型前の鋳枠MFを鋳枠搬入装置31により搬入する鋳枠搬入工程と、鋳枠搬入装置31により搬入された鋳枠MFと各キャリアプレートCPとを重ねて造型空間とする鋳枠キャリアプレート重合工程と、形成された造型空間に鋳物砂CSを投入する鋳物砂充填工程と、を備えている。
【0162】
また、造型空間形成位置SFPに隣接して設けられた造型ステーション6に、キャリアプレートCPと鋳枠MFとを重ねた状態で移動させる鋳枠キャリアプレート移動工程と、造型ステーション6に設けられた鋳物砂押圧装置61を使って、造型空間に投入された鋳物砂CSを押圧して鋳型を造型する鋳物砂押圧工程と、を備えている。
【0163】
これによれば、造型ステーション6では、鋳物砂CSの押圧工程のみ行い、造型ステーション6における鋳物砂押圧装置61のストロークは短く、動力の無駄を削減することができる。
【0164】
さらに、キャリアプレートCPの交換作業および補助作業を、補助作業位置AWPの一か所で行うことができ、作業の効率化を図ることができる。
【0165】
(第二実施形態)
次に、鋳型造型装置の第二実施形態について、図18および図19に基づいて以下に説明する。
第二実施形態における鋳型造型装置101は、鋳物砂充填装置(ブロータンク110)が、造型ステーションMPに配置され、鋳物砂CSの造型空間への充填が、圧縮空気で圧力を加えて行ういわゆるブローイングで行う。
【0166】
そのために、鋳型造型装置101は、第一実施形態とは異なる構成となっている。
以下、主に第一実施形態と相違する点について説明する。
第二実施形態の鋳型造型装置101は、図18に示すように、ブロータンク110と、スクイズシリンダ120と、盛枠130と、スクイズプレート140とを備えている。
【0167】
に配置されたキャリアプレートCPおよび鋳枠MFに盛枠130を重ねるように、ブロータンク110を降下させる。
そして、エアポンプを駆動させて、鋳物砂CSを砂噴き出し穴から噴き出して、キャリアプレートCP,鋳枠MFおよび盛枠130で形成した造型空間に充填させる。
【0168】
次に、さらにブロータンク110を降下させ、ブロータンク110と一体となったスクイズプレート140で、造型空間に充填された鋳物砂CSをスクイズする。
【0169】
これによれば、鋳物砂充填装置(ブロータンク110)を造型ステーションMPに配置したことで、特にブローイング式の鋳物砂充填装置の設置が容易となり、投入完了後の余剰砂の発生を防止することができる。
なお、鋳物砂押圧装置61において、鋳物砂CSを油圧シリンダ61cで行うものとしたが、これに限定されない。例えば、電動シリンダ、空圧シリンダなどを使用してもよい。
また、重合装置移動機構7の回転駆動装置75を、電動モータとしたが、これに限定されない。例えば、油圧モータ、空圧モータを使用することができる。
また、鋳物砂押圧装置61について、スクイズフート61bを下降させて上方から押圧するものとしたが、これに限定されない。例えばスクイズテーブルを上昇させて、下方から押圧するもの、さらに上方からと下方からとの二段階で押圧するもの(ダブルスクイズ方式)としてもよい。
【0170】
本発明は、上記しかつ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0171】
1:鋳型造型装置、2:キャリアプレート交換装置、24:ローラコンベヤ(移動用ローラコンベヤ)、25:係止装置、26:解除装置、3:鋳枠搬入搬出装置、31:鋳枠搬入装置、4:キャリアプレート重合装置、41:鋳枠搬送フレーム、412:ローラコンベヤ部、413:上盛枠保持部、42:鋳枠搬送フレーム昇降装置、424:第一上部ローラコンベヤ部、43:横ずれ防止装置、5:鋳物砂充填装置、6:造型ステーション、61:鋳物砂押圧装置、61b:スクイズフート(鋳物砂押圧部材)、61d:スクイズテーブル、62:造型ステーションコンベヤ、63:上部造型ステーションコンベヤ、64:コンベヤ昇降装置、7:重合装置移動機構、71:溝部、71a:挿入部、72:スライダー部、73:回転軸、74:クランクアーム部、75:回転駆動装置、101:鋳型造型装置、110:鋳物砂充填装置、120:スクイズシリンダ(鋳物砂押圧装置)、130:盛枠、140:スクイズプレート(鋳物砂押圧部材)、AWP:補助作業位置、CP:キャリアプレート、CPG:被係止溝、CPK:被係合部、CS:鋳物砂、DCP:下鋳枠用キャリアプレート、UCP:上鋳枠用キャリアプレート、MF:鋳枠、MP:造型鋳位置、SFP:造型空間形成位置、TF:上盛枠。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19