(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】矩形導波路を有する光学アパーチャ増倍器
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20240520BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
(21)【出願番号】P 2023549682
(86)(22)【出願日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 IL2022050216
(87)【国際公開番号】W WO2022180634
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-08-16
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518105275
【氏名又は名称】ルーマス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ツィオン・アイゼンフェルト
(72)【発明者】
【氏名】ヨチェイ・ダンジガー
(72)【発明者】
【氏名】エイタン・ロネン
(72)【発明者】
【氏名】ロネン・クリキ
(72)【発明者】
【氏名】モルデハイ・ギロ
(72)【発明者】
【氏名】エラド・シャーリン
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/221026(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/016926(WO,A1)
【文献】特表2018-502762(JP,A)
【文献】特表2020-500166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/02
G02B 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学アパーチャ増倍器であって、
第1の面及び第2の面を含む第1の平行面のペア、並びに第3の面及び第4の面を含む第2の平行面のペアを有する第1の光導波路であって、前記平行面のペアが、矩形断面を共に形成し、前記第1の光導波路が、前記平行面のペアにおける
4重折り曲げ内部反射によって光を導波し、かつ前記第1の光導波路から外部へ、前記第1の光導波路に光学的に結合されている第2の光導波路中に、光を結合させる外部結合構成に関連付けられるように構成されており、前記第1の面又は前記第2の面が、それぞれ異なる光学特性を有する第1の領域及び第2の領域に細分化されている、第1の光導波路と、
前記第1の導波路中に光を透過させる表面を含む光内部結合構成であって、前記表面が、前記第2の領域に隣接する前記第3の面又は前記第4の面の一部と関連して展開され、その結果、前記表面に関連付けられた縁端部が、コリメートされた入力画像を第1の距離で切り落とし、かつ前記第1の領域と前記第2の領域との間の境界が、前記コリメートされた入力画像を第2の距離で切り落として、
4重折り曲げ内部反射によって前記第1の光導波路を通って前進する、切り落とされたコリメートされた画像を生成する、光内部結合構成と、を備える、光学アパーチャ増倍器。
【請求項2】
前記第1の領域と前記第2の領域との間の前記境界が、光学入力軸に沿って見られたときに、前記境界の画像と共に、眼に見える入力光学アパーチャを提示する、請求項1に記載の光学アパーチャ増倍器。
【請求項3】
前記コリメートされた入力画像の一部が、前記縁端部と交差するか、又は前記縁端部によって重複される前記第1の面上の点で反射される、請求項1に記載の光学アパーチャ増倍器。
【請求項4】
前記縁端部が、前記表面の第1の縁端部であり、前記表面が、前記コリメートされた入力画像を光学画像生成器から受け取る光入射表面と共通の縁端部である第2の縁端部を含む、請求項1に記載の光学アパーチャ増倍器。
【請求項5】
前記縁端部が、前記光入射表面に対して平行である、請求項4に記載の光学アパーチャ増倍器。
【請求項6】
前記縁端部が、前記光入射表面に対して非平行である、請求項4に記載の光学アパーチャ増倍器。
【請求項7】
前記表面が、前記コリメートされた入力画像を光学画像生成器から受け取り、前記縁端部が、前記表面の第1の縁端部であり、前記表面が、前記縁端部によって切り落とされるように、受け取った前記コリメートされた入力画像を前記表面に反射させて戻す反射表面と共通の縁端部である第2の縁端部を含む、請求項1に記載の光学アパーチャ増倍器。
【請求項8】
前記第2の光導波路を更に備えており、前記第2の光導波路が、第3の平行面のペアを有し、かつ前記第3の平行面のペアにおける内部反射によって光を導波するように構成されており、前記第2の光導波路が、前記第2の光導波路から外部へ光を結合させる、前記第3の平行面のペアの間にあり、かつ前記第3の平行面のペアに対して傾斜する、複数の部分反射表面を含む、請求項1に記載の光学アパーチャ増倍器。
【請求項9】
コーティング又は材料が、前記第1の面を前記第1の領域及び前記第2の領域に細分化するように、前記第2の面と関連して展開されている、請求項8に記載の光学アパーチャ増倍器。
【請求項10】
第5の面を含み、かつ前記第1の面において前記第1の光導波路に光学的に結合された光学基板を更に備えており、コーティング又は材料が、前記第1の面を前記第1の領域及び前記第2の領域に細分化するように、前記第1の面に関連付けられている、請求項8に記載の光学アパーチャ増倍器。
【請求項11】
前記光外部結合構成が、前記第1の光導波路を少なくとも部分的に横断し、かつ前記第1の光導波路の伸長方向に対して斜め方向に傾斜している複数の部分反射表面を含む、請求項1に記載の光学アパーチャ増倍器。
【請求項12】
前記光外部結合構成が、前記第2の面に関連付けられた部分反射表面を含む、請求項1に記載の光学アパーチャ増倍器。
【請求項13】
光学アパーチャ増倍器であって、
第1の面及び第2の面を含む第1の平行面のペア、並びに第3の面及び第4の面を含む第2の平行面のペアを有する第1の光導波路であって、前記平行面のペアが、矩形断面を共に形成しており、部分反射表面が、前記第2の面に関連付けられ、かつ前記第2の面に対して平行である、第1の光導波路と、
第3の平行面のペアを含む複数の面を有する第2の光導波路であって、前記第2の光導波路が、前記第2の面と、前記第2の光導波路の前記面のうちの1つとの間の境界面において、前記第1の光導波路に光学的に結合されており、光方向転換配置が、前記第2の光導波路の第1の領域に関連付けられ、かつ光外部結合構成が、前記第2の光導波路の第2の領域に関連付けられている、第2の光導波路と、を備え、
前記光結合、前記部分反射表面、前記光方向転換配置、及び前記光外部結合構成は、画像に対応する光が前記第1の光導波路中に結合されたときに、前記光が、前記第2の光導波路の前記第1の領域中に結合されるように、前記部分反射表面において透過された前記光の強度のある割合で、前記第1の光導波路に沿って
4重折り曲げ内部反射によって前進し、前記光導波路の前記第2の領域中に方向転換されるように、前記光方向転換配置によって偏向された前記光の強度のある割合で、前記第3の平行面のペアにおける内部反射によって、前記第2の光導波路の前記第1の領域内で伝播し、前記光外部結合構成によって前記第2の光導波路から外部へ偏向された、前記第2の光導波路の前記第2の領域内で伝播する前記光の強度のある割合で、前記第3の平行面のペアにおける内部反射によって、前記第2の光導波路の前記第2の領域内で伝播するように構成されている、光学アパーチャ増倍器。
【請求項14】
前記光外部結合構成が、前記第3の平行面のペアに対して傾斜する、前記第2の光導波路内に展開された複数の部分反射表面を含む、請求項13に記載の光学アパーチャ増倍器。
【請求項15】
前記光外部結合構成が、前記第3の平行面のペアの前記面のうちの少なくとも1つに関連付けられた回折光学素子を含む、請求項13に記載の光学アパーチャ増倍器。
【請求項16】
前記光方向転換配置が、追加面に対して傾斜する、前記第2の光導波路の前記第1の領域内に展開された複数の部分反射表面を含む、請求項13に記載の光学アパーチャ増倍器。
【請求項17】
前記光方向転換配置が、前記第2の光導波路の前記面のうちの1つに関連付けられた回折光学素子を含む、請求項13に記載の光学アパーチャ増倍器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年2月25日に出願された米国仮特許出願第63/153,433号、及び2022年1月7日に出願された米国仮特許出願第63/297,299号からの優先権を主張し、それらの開示は、参照により、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、光学アパーチャ増倍器、特に、薄いスラブ型光導波路に光学的に結合された矩形光導波路を含む光学アパーチャ増倍器に関する。
【背景技術】
【0003】
二次元の光学アパーチャ拡張(又は増倍)を提供する光学デバイスが、Lumus Ltd(Israel)によって、様々な刊行物に記載されている。そのような光学デバイスの1つの特定のセットにおいて、二次元のアパーチャ拡張は、2つの光導波路を介して達成される。第1の光導波路は、矩形断面を形成する平行面の2つのペアを有し、その第1の光導波路の伸長方向に対して傾斜している、部分反射内面の第1のセットを有する。薄いスラブの形態の第2の光導波路は、第1の(矩形)導波路に光学的に結合され、かつ平行な主外面のペア、及びその主外面に対して傾斜する部分反射内面の第2のセットを有する。光結合、及び部分的に反射する内面のセットは、矩形導波路中に結合された画像光が(平行面の2つのペアにおける)4重折り曲げ内部反射によって矩形導波路に沿って前進し、ある割合の画像強度が、第1のセットの内面において反射され、第2の導波路中に結合されるようになる。次いで、その画像光は、第2の導波路の主外面における内部反射によって前進し、ある割合の画像強度が、内面の第2のセットにおいて反射され、第2の導波路から外部へ結合されて、観察者の眼によって見られる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の態様は、矩形導波路を有する光学アパーチャ増倍器を提供する。本発明の第1の態様による特定の好ましい実施形態は、光学アパーチャ増倍器を提供し、それらの各々は、第2の薄いスラブ型光導波路に光学的に結合されている第1の矩形光導波路中に画像光を送達するための光内部結合構成を有する。矩形導波路は、(矩形断面を形成する)平行面の2つのペアを有し、その平行面の2つのペアにおいて4重折り曲げ内部反射によって光を導波し、かつ矩形導波路の内側の、部分反射表面のセットを介して、その導波された光を第2の導波路中に結合させるように構成される。第2の導波路は、平行面のペアを有し、その平行面のペアにおける内部反射によって内部結合された光を導波し、かつ、第2の導波路の内側の、部分反射表面のセットを介して(又は1つ以上の回折素子を介して)、その導波された光を観察者に向かって外向きに結合させるように構成される。特定の実施形態では、光内部結合構成は、境界面の第1の領域とは異なる光学特性を有する、2つの導波路間の境界面の第2の領域に隣接する矩形導波路の前面又は背面の一部に展開される。1つのセットの実施形態では、境界面の第1の領域は、反射コーティングを含み、第2の領域は、コーティングを施していないか、又は低屈折率の材料若しくはコーティングを含むかのいずれかである。別のセットの実施形態では、境界面の第1の領域は、コーティングされず、かつ第2の領域は、低屈折率材料でコーティングされる。
【0005】
本発明の第2の態様による特定の好ましい実施形態は、矩形導波路の内側の、部分反射表面のセットを含まない矩形導波路を提供する。代わりに、矩形導波路から第2の導波路への光の光結合は、第2の導波路との光結合(境界面)を形成する矩形導波路の下面に関連付けられ、かつその下面に対して平行である、部分反射表面によって行われる。特定の好ましい実施形態では、部分反射表面は、1つ以上の誘電体層で矩形導波路の下面をコーティングすることによって形成され、矩形導波路中に結合される光は、そのコーティングされた下面に対してs偏光される。矩形導波路の内側の部分反射表面のセットの代わりに、部分反射表面を使用することにより、作製プロセスを簡略化し、光学アパーチャ増倍器の製造コストを削減することができる。
【0006】
本発明の実施形態の教示によれば、光学アパーチャ増倍器が提供される。この光学アパーチャ増倍器は、第1の面及び第2の面を含む第1の平行面のペア、並びに第3の面及び第4の面を含む第2の平行面のペアを有する第1の光導波路であって、平行面のそれらのペアは、矩形断面を共に形成し、第1の光導波路は、平行面のペアにおける4重折り曲げ内部反射によって光を導波し、かつ第1の光導波路から外部へ、第1の光導波路に光学的に結合されている第2の光導波路中に、光を結合させる外部結合構成に関連付けられるように構成されており、第1の面又は第2の面は、それぞれ異なる光学特性を有する第1の領域及び第2の領域に細分化されている、第1の光導波路と、第1の導波路中に光を透過させる表面を含む光内部結合構成であって、表面は、第2の領域に隣接する第3の面又は第4の面の一部と関連して展開され、その結果、表面に関連付けられた縁端部は、コリメートされた入力画像を第1の距離で切り落とし、かつ第1の領域と第2の領域との間の境界は、コリメートされた入力画像を第2の距離で切り落として、4重折り曲げ内部反射によって第1の光導波路を通って前進する、切り落とされたコリメートされた画像を生成する、光内部結合構成と、を備える。
【0007】
任意選択的に、第1の領域と第2の領域との間の境界は、光学入力軸に沿って見られたときに、境界の画像と共に、眼に見える入力光学アパーチャを提示する。
【0008】
任意選択的に、コリメートされた入力画像の一部は、縁端部と交差するか、又は縁端部によって重複する第1の面上の点で反射される。
【0009】
任意選択的に、縁端部は、表面の第1の縁端部であり、表面は、コリメートされた入力画像を光学画像生成器から受け取る光入射表面と共通の縁端部である第2の縁端部を含む。
【0010】
任意選択的に、縁端部は、光入射表面に対して平行である。
【0011】
任意選択的に、縁端部は、光入射表面に対して非平行である。
【0012】
任意選択的に、表面は、コリメートされた入力画像を光学画像生成器から受け取り、縁端部は、表面の第1の縁端部であり、表面は、縁端部によって切り落とされるように、受け取ったコリメートされた入力画像を表面に反射させて戻す反射表面と共通の縁端部である第2の縁端部を含む。
【0013】
任意選択的に、光学アパーチャ増倍器は、第2の光導波路を更に備えており、第2の光導波路は、第3の平行面のペアを有し、かつ第3の平行面のペアにおける内部反射によって光を導波するように構成されており、第2の光導波路は、第2の光導波路から外部へ光を結合させる、第3の平行面のペアの間にあり、かつ第3の平行面のペアに対して傾斜する、複数の部分反射表面を含む。
【0014】
任意選択的に、コーティング又は材料は、第1の面を第1の領域及び第2の領域に細分化するように、第2の面と関連して展開される。
【0015】
任意選択的に、光学アパーチャ増倍器は、第5の面を含み、かつ第1の面において第1の光導波路に光学的に結合された光学基板を更に備えており、コーティング又は材料は、第1の面を第1の領域及び第2の領域に細分化するように、第1の面に関連付けられる。
【0016】
任意選択的に、光外部結合構成は、第1の光導波路を少なくとも部分的に横断し、かつ第1の光導波路の伸長方向に対して斜め方向に傾斜している複数の部分反射表面を含む。
【0017】
任意選択的に、光外部結合構成は、第2の面に関連付けられた部分反射表面を含む。
【0018】
また、本発明の教示の実施形態によれば、光学アパーチャ増倍器も提供される。この光学アパーチャ増倍器は、第1の面及び第2の面を含む第1の平行面のペア、並びに第3の面及び第4の面を含む第2の平行面のペアを有する第1の光導波路であって、平行面のそれらのペアは、矩形断面を共に形成し、部分反射表面は、第2の面に関連付けられ、かつ第2の面に対して平行である、第1の光導波路と、画像に対応する偏光を、平行面の第1及び第2のペアの両方に対して傾斜する結合角で、初期伝播方向を有する第1の光導波路中に結合させるための光内部結合構成であって、その偏光は、第2の面に対してs偏光されている、光内部結合構成と、第3の平行面のペアを含む複数の面を有する第2の光導波路であって、第2の光導波路は、第2の面と、第2の光導波路の面のうちの1つとの間の境界面において、第1の光導波路に光学的に結合されており、光外部結合構成は、第2の光導波路に関連付けられている、第2の光導波路と、を備え、光結合及び部分反射表面が、画像に対応する光が第1の光導波路中に結合されたときに、光は、第2の光導波路中に結合されるように、部分反射表面において透過された光の強度のある割合で、第1の光導波路に沿って4重折り曲げ内部反射によって前進し、かつ、光外部結合構成によって第2の光導波路から外部へ偏向された、第2の光導波路内で伝播する光の強度のある割合で、第3の平行面のペアにおける内部反射によって、第2の光導波路内で伝播するように構成されている。
【0019】
任意選択的に、第2の面の少なくとも大部分は、部分反射表面を形成するように、かつ部分反射表面がs偏光に対して部分的に反射可能であるように、1つ以上の誘電体コーティング層を含む。
【0020】
任意選択的に、その光学アパーチャ増倍器は、第2の光導波路中に結合されるべき光の偏光状態を回転させるための、境界面に配置された波長板を更に備える。
【0021】
任意選択的に、光外部結合構成は、第3の平行面のペアに対して傾斜する第2の光導波路内に展開された複数の部分反射表面を含む。
【0022】
任意選択的に、光外部結合構成は、第3の平行面のペアの面のうちの少なくとも1つに関連付けられた回折光学素子を含む。
【0023】
また、本発明の教示の実施形態によれば、光学アパーチャ増倍器も提供される。この光学アパーチャ増倍器は、第1の面及び第2の面を含む第1の平行面のペア、並びに第3の面及び第4の面を含む第2の平行面のペアを有する第1の光導波路であって、平行面のそれらペアは、矩形断面を共に形成し、部分反射表面は、第2の面に関連付けられ、かつ第2の面に対して平行である、第1の光導波路と、第3の平行面のペアを含む複数の面を有する第2の光導波路であって、その第2の光導波路は、第2の面と、第2の光導波路の面のうちの1つとの間の境界面において、第1の光導波路に光学的に結合されており、光方向転換配置は、第2の光導波路の第1の領域に関連付けられ、かつ光外部結合構成は、第2の光導波路の第2の領域に関連付けられている、第2の光導波路と、を備え、光結合、部分反射表面、光方向転換配置、及び光外部結合構成は、画像に対応する光が第1の光導波路中に結合されたときに、その光は、第2の光導波路の第1の領域中に結合されるように、部分反射表面において透過された光の強度のある割合で、第1の光導波路に沿って4重折り曲げ内部反射によって前進し、光導波路の第2の領域中に方向転換されるように、光方向転換配置によって偏向された光の強度のある割合で、第3の平行面のペアにおける内部反射によって、第2の光導波路の第1の領域内で伝播し、光外部結合構成によって第2の光導波路から外部へ偏向された、第2の光導波路の第2の領域内で伝播する光の強度のある割合で、第3の平行面のペアにおける内部反射によって、第2の光導波路の第2の領域内で伝播するように構成される。
【0024】
任意選択的に、光外部結合構成は、第3の平行面のペアに対して傾斜する、第2の光導波路内に展開された複数の部分反射表面を含む。
【0025】
任意選択的に、光外部結合構成は、第3の平行面のペアの面のうちの少なくとも1つに関連付けられた回折光学素子を含む。
【0026】
任意選択的に、光方向転換配置は、追加面に対して傾斜する、第2の光導波路の第1の領域内に展開された複数の部分反射表面を含む。
【0027】
任意選択的に、光方向転換配置は、第2の光導波路の面のうちの1つに関連付けられた回折光学素子を含む。
【0028】
また、本発明の教示の実施形態によれば、光学アパーチャ増倍器も提供される。この光学アパーチャ増倍器は、第1の面及び第2の面を含む第1の平行面のペア、並びに第3の面及び第4の面を含む第2の平行面のペアを有する第1の光導波路であって、平行面のそれらのペアは、矩形断面を共に形成し、部分反射表面は、第2の面に関連付けられ、かつ第2の面に対して平行である、第1の光導波路と、第5の面及び第6の面を含む第3の平行面のペアを有する第2の光導波路であって、光外部結合構成は、第2の光導波路に関連付けられており、第1の光導波路は、第2の光導波路に光学的に結合され、かつ第2の面が第5の面に対して斜め方向に傾斜しているように、第2の光導波路に対して傾斜している、第2の光導波路と、を備え、光結合及び部分反射表面は、画像に対応する光が第1の光導波路中に結合されたときに、その光は、第2の光導波路に入射するように部分反射表面において透過された光の強度のある割合で、第1の光導波路に沿って4重折り曲げ内部反射によって前進し、第2の光導波路入射する光の一部は、光外部結合構成によって第2の光導波路から外部へ偏向された第2の光導波路内で伝播する光の強度のある割合で、第3の平行面のペアにおける内部反射によって第2の光導波路内で伝播するように構成される。
【0029】
任意選択的に、その光学アパーチャ増倍器は、第1の光導波路と第2の光導波路との間に光結合を提供する中間ウィンドウを更に備え、その中間ウィンドウは、第2の光導波路に入射する、部分反射表面において透過された光の一部が、第5の面において反射されて中間ウィンドウに向かって戻るように、展開される。
【0030】
本明細書で別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び/又は科学用語は、本発明が関係する当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと同様又は同等の方法及び材料が、本発明の実施形態の実施又は試験に使用され得るが、例示的な方法及び/又は材料が、以下に記載されている。矛盾する場合は、定義を含む特許明細書が支配する。更に、材料、方法、及び例は、例示にすぎず、必ずしも限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明のいくつかの実施形態は、添付の図面を参照して、例としてのみ本明細書に記載されている。詳細な、図面への具体的な言及について、示された細目は、例として、及び本発明の実施形態の例示的な考察の目的のためであることを強調しておく。これに関して、図面と併せてなされた説明により、本発明の実施形態がどのように実施され得るかが当業者に明らかになる。
【0032】
ここで、図面に注意を向けると、図面では、同様の参照番号又は文字は、対応する又は同様の構成要素を示す。図面は以下のとおりである。
【0033】
【
図1A】本発明の第1の態様の実施形態の教示による、複数の部分反射内面を有する第1の矩形光導波路を有し、複数の部分反射内面を有する第2の薄いスラブ型光導波路と光学的に結合された光学アパーチャ増倍器を示す、それぞれ、概略正面図及び概略側面図である。
【
図1B】本発明の第1の態様の実施形態の教示による、複数の部分反射内面を有する第1の矩形光導波路を有し、複数の部分反射内面を有する第2の薄いスラブ型光導波路と光学的に結合された光学アパーチャ増倍器を示す、それぞれ、概略正面図及び概略側面図である。
【
図1C】
図1Bと同様の概略側面図であるが、第2の光導波路を形成する光透過基板の外面において展開されるカバープレートがない第2の光導波路を示す。
【
図2】本発明の実施形態による、2つの光導波路間の境界面領域の大部分における、入射角(AOI)の関数としての反射率のグラフである。
【
図3】本発明の実施形態による、光を矩形光導波路中に結合させるために使用することができる光内部結合構成を示す等角図である。
【
図4A】本発明の実施形態による、ボトムアップ構成で展開された
図3の光内部結合構成と共に、
図1A及び1Bに対応する光学アパーチャ増倍器を示す、それぞれ、概略正面図、概略側面図、及び概略上面図である。
【
図4B】本発明の実施形態による、ボトムアップ構成で展開された
図3の光内部結合構成と共に、
図1A及び1Bに対応する光学アパーチャ増倍器を示す、それぞれ、概略正面図、概略側面図、及び概略上面図である。
【
図4C】本発明の実施形態による、ボトムアップ構成で展開された
図3の光内部結合構成と共に、
図1A及び1Bに対応する光学アパーチャ増倍器を示す、それぞれ、概略正面図、概略側面図、及び概略上面図である。
【
図5】本発明の実施形態による、光内部結合構成の変形例を示す、
図4Aと同様の概略正面図である。
【
図6A】本発明の実施形態による、矩形光導波路に結合された光学基板と共に、トップダウン構成で展開された
図3の光内部結合構成を示す、それぞれ、概略正面図及び概略側面図である。
【
図6B】本発明の実施形態による、矩形光導波路に結合された光学基板と共に、トップダウン構成で展開された
図3の光内部結合構成を示す、それぞれ、概略正面図及び概略側面図である。
【
図7A】本発明の実施形態による、結合反射板を備える結合プリズムとして展開された光内部結合構成を示す、それぞれ、
図4B及び4Cと同様の概略側面図及び概略上面図である。
【
図7B】本発明の実施形態による、結合反射板を備える結合プリズムとして展開された光内部結合構成を示す、それぞれ、
図4B及び4Cと同様の概略側面図及び概略上面図である。
【
図8A】本発明の実施形態による、2つの光導波路間の境界面領域内に展開された部分反射表面を有する光学アパーチャ増倍器を示す、それぞれ、概略正面図及び概略側面図である。
【
図8B】本発明の実施形態による、2つの光導波路間の境界面領域内に展開された部分反射表面を有する光学アパーチャ増倍器を示す、それぞれ、概略正面図及び概略側面図である。
【
図9A】本発明の第2の態様の実施形態の教示による、第2の薄いスラブ型光導波路に光学的に結合され、かつ不活性材料のブロックに更に結合された第1の矩形光導波路を有する光学アパーチャ増倍器を示す、それぞれ、概略正面図及び概略側面図であり、その中で、部分反射表面は、第2の光導波路に光学的に結合されている矩形光導波路の面に対して平行であり、かつ関連付けられており、並びに第2の光導波路は、複数の部分反射内面を有する。
【
図9B】本発明の第2の態様の実施形態の教示による、第2の薄いスラブ型光導波路に光学的に結合され、かつ不活性材料のブロックに更に結合された第1の矩形光導波路を有する光学アパーチャ増倍器を示す、それぞれ、概略正面図及び概略側面図であり、その中で、部分反射表面は、第2の光導波路に光学的に結合されている矩形光導波路の面に対して平行であり、かつ関連付けられており、並びに第2の光導波路は、複数の部分反射内面を有する。
【
図10】本発明の実施形態による、
図9Aの光学アパーチャ増倍器と同様の光学アパーチャ増倍器を示す概略正面図であるが、その中で、矩形光導波路は、第2の光導波路に対して傾斜している。
【
図11】本発明の実施形態による、
図9Aの光学アパーチャ増倍器と同様の光学アパーチャ増倍器を示す概略等角図であり、その中で、2つの光導波路間の境界面領域は、その2つの光導波路間を接続して、
図3の光内部結合構成の展開に適応する面の、全部ではない大部分に沿って延在する材料又はコーティングを有する。
【
図12】本発明の実施形態による、
図11に表された光学アパーチャ増倍器と同様の光学アパーチャ増倍器を示す概略等角図であるが、その中で、矩形光導波路の結合面に関連付けられている部分反射表面は、各領域で異なる反射率を有する複数の非重複領域に分割されている。
【
図13】4つの例示的な入射角(AOI)における、
図12の領域の例示的な反射率のグラフである。
【
図14】本発明の実施形態による、矩形光導波路から外部に結合された画像のうちの1つのみが第2の光導波路中に結合されるように、矩形光導波路が第2の光導波路に対して傾斜している光学アパーチャ増倍器を示す概略側面図である。
【
図15A】本発明の第2の態様の実施形態の教示による、第2の薄いスラブ型光導波路に光学的に結合された第1の矩形光導波路を有する光学アパーチャ増倍器を示す、それぞれ、概略正面図及び概略側面図であり、その中で、部分反射表面は、第2の光導波路に光学的に結合されている矩形光導波路の面に関連付けられ、かつカバー部材は、矩形光導波路の外面の一部をカバーするように展開されている。
【
図15B】本発明の第2の態様の実施形態の教示による、第2の薄いスラブ型光導波路に光学的に結合された第1の矩形光導波路を有する光学アパーチャ増倍器を示す、それぞれ、概略正面図及び概略側面図であり、その中で、部分反射表面は、第2の光導波路に光学的に結合されている矩形光導波路の面に関連付けられ、かつカバー部材は、矩形光導波路の外面の一部をカバーするように展開されている。
【
図16A】左眼及び右眼のために眼上構成で展開された、
図15A及び15Bの光学アパーチャ増倍器をそれぞれ示す。
【
図16B】左眼及び右眼のために眼上構成で展開された、
図15A及び15Bの光学アパーチャ増倍器をそれぞれ示す。
【
図17A】それぞれ左眼及び右眼のために眼下構成で展開された、
図15A及び15Bの光学アパーチャ増倍器を示す。
【
図17B】それぞれ左眼及び右眼のために眼下構成で展開された、
図15A及び15Bの光学アパーチャ増倍器を示す。
【
図18A】本発明の実施形態による、
図15A及び15Bの光学アパーチャ増倍器と同様であるが、カバー部材を備えず、かつ回折内部結合素子及び回折外部結合素子を有する光学アパーチャ増倍器を示す、それぞれ、概略正面図及び概略側面図である。
【
図18B】本発明の実施形態による、
図15A及び15Bの光学アパーチャ増倍器と同様であるが、カバー部材を備えず、かつ回折内部結合素子及び回折外部結合素子を有する光学アパーチャ増倍器を示す、それぞれ、概略正面図及び概略側面図である。
【
図19A】本発明の第2の態様の実施形態の教示による、第2の薄いスラブ型光導波路に光学的に結合された第1の矩形光導波路を有する光学アパーチャ増倍器を示す、それぞれ、概略正面図及び側面図であり、その中で、部分反射表面は、第2の光導波路に光学的に結合されている矩形光導波路の面に関連付けられ、かつ第2の光導波路は、第1の領域内に光方向転換配置、及び第2の領域内に複数の部分反射内面を有する。
【
図19B】本発明の第2の態様の実施形態の教示による、第2の薄いスラブ型光導波路に光学的に結合された第1の矩形光導波路を有する光学アパーチャ増倍器を示す、それぞれ、概略正面図及び側面図であり、その中で、部分反射表面は、第2の光導波路に光学的に結合されている矩形光導波路の面に関連付けられ、かつ第2の光導波路は、第1の領域内に光方向転換配置、及び第2の領域内に複数の部分反射内面を有する。
【
図20A】本発明の実施形態による、
図19A及び19Bに表されるような光学アパーチャ増倍器と同様であり、回折内部結合素子及び回折外部結合素子を有する、光学アパーチャ増倍器を示す、それぞれ、概略正面図及び概略側面図である。
【
図20B】本発明の実施形態による、
図19A及び19Bに表されるような光学アパーチャ増倍器と同様であり、回折内部結合素子及び回折外部結合素子を有する、光学アパーチャ増倍器を示す、それぞれ、概略正面図及び概略側面図である。
【
図21】
図15Aに表された光学アパーチャ増倍器を示す概略正面図であり、矩形導波路の遠端部及び近端部で伝播するビームを示す。
【
図22】
図15A~20Bのいずれかの2つの光導波路間の境界面における部分反射表面のコーティングを設計するために使用することができる、AOIの関数としてのs偏光及びp偏光の反射率のグラフである。
【
図23】本発明の実施形態による、矩形光導波路と薄いスラブ型光導波路との間の種々の結合幾何形状を示す概略等角図である。
【
図24A】本発明の実施形態による光学アパーチャ増倍器の作製プロセスで使用される一連の工程を示す概略等角図である。
【
図24B】本発明の実施形態による光学アパーチャ増倍器の作製プロセスで使用される一連の工程を示す概略等角図である。
【
図24C】本発明の実施形態による光学アパーチャ増倍器の作製プロセスで使用される一連の工程を示す概略等角図である。
【
図24D】本発明の実施形態による光学アパーチャ増倍器の作製プロセスで使用される一連の工程を示す概略等角図である。
【
図24E】本発明の実施形態による光学アパーチャ増倍器の作製プロセスで使用される一連の工程を示す概略等角図である。
【
図24F】本発明の実施形態による光学アパーチャ増倍器の作製プロセスで使用される一連の工程を示す概略等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の態様の実施形態は、矩形導波路を有する光学アパーチャ増倍器の形態で光学デバイスを提供する。
【0035】
本発明による光学デバイス及び方法の原理及び動作は、説明に付随する図面を参照してより良く理解され得る。添付の図面は、任意にラベル付けされているが、各図面の間で首尾一貫しているxyz座標系が提供されている。このxyz座標系は、本明細書において、各図面の間で共通の参照フレームを提供することによって、開示される実施形態をより十分に説明するために使用される。
【0036】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明に述べられた、並びに/又は図面及び/若しくは例に示された構成要素及び/又は方法の構築の詳細及び配置への適用に必ずしも限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であるか、又は様々な方式で実践又は実施することができる。まず、この文書全体にわたって、例えば、前及び後、上及び下、上部及び下部などの方向について言及される。これらの方向基準は、単に例示的なものであり、表現を容易にするためのみに使用され、各図面に示されるように、任意の配向を参照する。最終的な光学デバイスは、任意の必要な配向で展開され得る。
【0037】
ここで、図面を参照すると、
図1A~7Bは、本発明の第1の態様の実施形態によって構築され、動作可能な光学アパーチャ増倍器1を示している。一般的な用語において、光学アパーチャ増倍器1(「光学デバイス」とも称される)は、伸長方向(本明細書では、「x軸」に対応するものとして任意に示される)を有する第1の光導波路10、及びコリメートされた画像に対応する画像光60(「光ビーム」又は「ビーム」とも称される)を光導波路10中に結合させる光内部結合構成80を含む。
【0038】
この光導波路10は、光透過材料(光透過基板)から形成され、矩形断面を形成する第1の平行面のペア12a、12b、及び第2の平行面のペア14a、14bを有する(すなわち、第1の面のペア、及び第2のペアは直交する)。光導波路10はまた、(平行面であっても又はなくてもよい)面16a、16bの追加のペアも有する。面16a、16bが平行な面である特定の実施形態では、面16a、16bは、第1の面のペア12a、12b、及び第2の面のペア14a、14bに対して直交する場合がある。本発明の特定の実施形態によれば、光導波路10は、光導波路10を少なくとも部分的に横断し、かつ光導波路10の伸長方向に対して斜め方向に傾斜する(面12a、12bに対して傾斜する)、複数の相互に平行な部分反射内面(「ファセット」とも称される)18を有する。特定の実施形態では、ファセット18は、面12a、12b及び面14a、14bの両方に対して傾斜する。この文書全体にわたって、「面」、「外面」、「外部表面」という用語は、区別なく使用される。明らかになっていくように、そのような面のいくつかは、主面(「主外面」又は「主外部表面」とも称される)である。
【0039】
好ましい実施形態では、光学アパーチャ増倍器1はまた、光導波路10にも光学的に結合され、第3の平行面のペア22a、22bを有する第2の光導波路20も含む。ここでも、本発明の特定の実施形態によれば、複数の相互に平行な部分反射内面(「ファセット」)28は、光導波路20を少なくとも部分的に横断し、面22a、22bに対して斜め方向に傾斜する。光導波路20はまた、面24a、24a、26a、26bの2つの追加のペアも有し、それらの各々は、面22a、22bに対して非平行であり、それらの各々は、平行面のペアであっても又はなくてもよい。特定の実施形態では、面22a、22b、24a、24b、26a、26bの各ペアは、相互に直交する。特定の実施形態では、ファセット28はまた、面24aに対しても斜め方向に傾斜するが、以下で考察されるように、他の実施形態では、ファセット28は、面24aに対して平行である場合がある。
【0040】
光導波路20はまた、光透過材料(光透過基板19)からも形成され、(2つの光導波路10、20が同じ屈折率を有するように)光導波路10を形成するために使用される同じ材料から形成されるが、薄いスラブ型導波路を形成することが好ましく、この場合、面24a、24bのペアと、面26a、26bのペアとの間の距離は、面22a、22bとの間の距離よりも、少なくとも桁の大きい大きさである。
【0041】
面16a、26aは、面16b、26bと同じように、平行であることが好ましい。更に、面14a、22aは、面14b、22bと同じように、平行であることが好ましい。
【0042】
光導波路20は、面12b、24aの間の境界面40において、光導波路10に光学的に結合される。言い替えると、光導波路10、20の間の光結合は、面12b、24aの間に形成されている境界面40を画定する。本発明の特定の実施形態の格別な特徴は、光内部結合構成80が、面12b(したがって、境界面40)の特定の領域46に隣接する導波路20の前面14a、背面14bの一部と関連して展開されて、光ビーム60の注入されたアパーチャで光導波路10を充填することを可能にすることである。光内部結合構成80を導波路10、20に展開する具体例については、特に
図3A~3Eを参照して、本開示の後続のセクションで詳細に説明されるであろう。
【0043】
光導波路10、20の間の光結合、並びに部分反射表面18、28及び光内部結合構成80の展開及び構成は、光内部結合構成80が第1の平行面のペア12a、12b、及び第2の平行面のペア14a、14bの両方に対して傾斜する結合角で伝播する初期方向を有する画像光60を光導波路10中に結合(注入)させたときに、その画像は、光導波路20中に結合されるように、部分反射表面18において反射された画像の強度のある割合で、光導波路10に沿って4重折り曲げ内部反射(画像62a、62b、62c、62d)によって前進し、次いで、観察者の眼2によって見られる可視画像66として、平行面22aのうちの1つから外向きに指向されるように、部分反射表面28において反射された(偏向された)画像の強度のある割合で、光導波路20内で2重折り曲げ内部反射(画像64a、64b)を通じて伝播するようになる。眼2は、眼球運動ボックス(EMB)3(すなわち、眼2の瞳孔が、投影された画像を見ることになる、光導波路20の面22aの平面から離間された、典型的には矩形として表される形状)によって指定された、許容位置範囲内のある位置に置かれる。
【0044】
光導波路10は、それが平行面12a、12b、14a、14bの2つのセットの間の反射によって、注入された画像を二次元で導波するという意味で、本明細書では、二次元(2D)導波路と称され、これに対して、光導波路20は、注入された画像を平行面22a、22bの1つのペアの間の一次元のみで導波する、一次元(1D)導波路又は光導波光学素子(LOE)と称される。光ビーム60(図示されていない光学画像生成器によって生成される)は、光内部結合構成80によって、ある角度で光導波路10中に注入される。その結果、
図1Bの側面図に示されるように、その光は、光導波路10の4つの外面12a、12b、14a、14b全てから内部反射されながら、光導波路10に沿って伝播する。このプロセスでは、面12a、12b、14a、14bによって内部反射されるときと同じ画像を表す4つの共役ビームベクトル62a、62b、62c、62dが生成される。
【0045】
光導波路10内の導波光ビーム(例えば、62a及び62b)の一部は、境界面40を通って、ファセット18によって下向きに、そして光導波路20の入力結合表面(面24a)上に反射される。光導波路20では、これらのビームは、64a及び64bとして画定される。ビーム64a及び64bは、外面22a、22bによって反射されて共役になり、すなわち、ビーム64aは、(
図1Bに図示してあるように)反射されて64bになり、その逆も又同様である。言い替えると、光導波路20は、面22a、22bにおける2
重折り曲げ内部反射によって画像光64a、64bを導波し、その結果、画像光64a、64bは、光導波路20に沿って、2
重折り曲げ内部反射(画像64a、64b)によって前進する。光導波路20内の内部反射は、ファセット18が光ビームを光導波路20に注入する急角度に起因して、TIRによって達成することができるか、又はオプティカルコーティングによって達成することができる。
【0046】
前述したように、光導波路10の外部の前面14a及び背面14bは、互いに平行である必要があり、この実施態様では、光導波路20の対応する外面22a、22bに対して平行である必要がある。平行度からの任意の逸脱により、結合された画像64a及び64bは、正確な共役画像ではないことを引き起こし、画像品質が低下することになる。
【0047】
光導波路20内のファセット28は、可視画像(「投影画像」と称される)として、光導波路の外側に、そして眼2に向かって、ビーム64bを反射させる。例示された実施形態では、ファセット18、28の部分反射率は、ファセット18、28上のオプティカルコーティング(選択的反射コーティング)によって決定される。
【0048】
ファセット18、28のセットの各々は、それぞれの光導波路に関連付けられ、かつ光導波路から外部へ伝播光を結合させるように機能する、光外部結合構成である。しかしながら、本開示の後続のセクションで考察されるように、光外部結合構成が他の形態をとる他の実施形態が想定される。例えば、特定の実施形態では、内部ファセット18の代わりに、第1の光導波路10に関連付けられた光外部結合構成は、導波路10の下面12bに対して平行である、光導波路10、20の間の境界面40において部分反射表面の形態をとることができる。特定の実施形態では、第2の光導波路20に関連付けられた光外部結合構成は、面22a、22bの1つ以上の部分上に、1つ以上の回折素子の形態をとることができる。
【0049】
導波路10及び20の外面及び内部ファセットによって組み合わされた反射は、第1及び第2の次元の両方において、元の注入されたアパーチャを拡張する。導波路10は、(
図1Aでは、x次元である)第1の次元でアパーチャを拡張し、導波路20は、(
図1Aでは、y次元にほぼ沿っているが、例示された実施形態では、より詳細には、y軸からオフセットされているy’に沿っている)ファセット18の平面に対して直交する第2の次元でアパーチャを拡張する。導波路10のアパーチャ拡張は、導波路を画像で充填し、次いで、導波路の長さに沿って連続的な方法で、ファセット18を介して導波路から外部へ画像を結合させることによって達成されることが好ましい。
【0050】
本明細書に例示される実施形態のうちの多くでは、面22a、22bは、実際には、光導波路20が形成されている光透過基板19の外面27a、27bに光学的に取り付けられているカバープレート39a、39bの外面として実際に形成されていることに留意されたい。ファセット28は、概して、基板の外面27a、27bの間に延在し、したがって、カバープレート39a、39bの面22a、22bの間に延在しない。カバープレート39a、39bを使用して、二重反射、すなわち、画像64a又は64bが同じファセットから2回反射される状況を回避することができる。具体的には、カバープレート39a、39bは、ファセット28によって一度反射された後、光の透過部分は、そのファセットの上又は下に伝播し、次のファセットに直接前進することを確実にするのに役立ち、それによって、画像の均一性が強化される。しかしながら、特定の実施形態では、カバープレート39a、39bは、排除され得、基板19の厚さを調整して、基板19の外面27a、27a、及び導波路10の面22a、22bは、同一になる。カバープレートのない薄いスラブ型光導波路20を有する光学アパーチャ増倍器の例が、
図1Cに示されている。カバープレート39a、39bを用いて本明細書に説明されている本発明の実施形態の全てはまた、特段明示的に示されない限り、そのようなカバープレートなしで実践することもできる。
【0051】
また、画像が光導波路10を通って前進するにつれて、照明の強度は、ファセット18による光の漸進的な外部結合に起因して、徐々に減少することにも留意されたい。より良好な均一性及び光効率を達成するために、特定の好ましい実施形態では、ファセット18の反射率は、光導波路10を通る光の伝播方向に沿って増加し、これは、光導波路20中に結合された光の強度を徐々に増加させる。同じやり方で、特定の実施形態では、ファセット28の反射率はまた、光導波路20を通る光の伝播方向に沿って増加して、ファセット28による、光の漸進的な外部結合によって引き起こされる光強度の減少も相殺することが好ましい。
【0052】
ついでながら、本明細書において、画像が光ビームによって表されるいかなる場合であっても、そのビームは、画像のサンプルビームであり、これは、通常、画像の点又は画素に各々対応する、わずかに異なる角度で複数のビームによって形成されることに留意されたい。特に像の端と称される場合を除いて、図示されているビームは、通常は、像の重心である。
【0053】
特に、
図1A及び1Bを参照すると、面12bは、それぞれの第1及び第2の光学特性を有する、非重複の第1の領域45及び第2の領域46に細分化されている。第1の領域45は、伸長方向に沿って面12bの、全部ではない大部分を占有し(すなわち、それに沿って延在し)、これに対して、第2の領域46は、伸長方向に沿って面12bの残りの少数部分を占有している(それに沿って延在している)。領域45は、伸長方向の面12bの少なくとも70%であることが好ましいが、伸長方向の延在の特定の量は、本開示の後続のセクションで考察されるように、光学アパーチャ増倍器の光学設計仕様、特に、光内部結合構成80のサイズ及び展開位置に基づき得る。特定の場合では、伸長方向の延在の量は、少なくとも80%又は少なくとも90%とすることができる。
【0054】
第1の光学特性は、内部反射の条件を保持する部分反射特性であり、このため、領域45内の面12bの一部に入射する面12a、14a、14bのうちの1つから反射された光は、(内部反射によって導波路10を通る伝播を継続するように)面12bにおいて反射されるだけでなく、領域46内の面12bの一部に向かってファセット18によって偏向されるそのような光も、面12bによって導波路20中に透過される。第1の光学特性とは異なる第2の光学特性は、透過特性であり、このため、光内部結合構成80からの光は、領域46に隣接する導波路10の一部分を通る透過を介して、導波路10に入射することができる。
【0055】
更に、光導波路10は、伸長方向に直交し、かつ2つの領域45、46の間の境界47を通過する光導波路10内の(任意にラベル付けされた座標系では、yz片面である)矩形断面Pによって、第1の導波路領域11及び第2の導波路領域13に細分化されている。第1の導波路領域11の下面は、面12bの第1の領域45であり(言い替えると、第1の領域45は、第1の導波路領域11に対応する)、第2の導波路領域13の下面は、面12bの第2の領域46である(言い替えると、第2の領域46は、導波路10の「内部結合領域」とも称される第2の導波路領域13に対応する)。
【0056】
特定の実施形態では、面12の細分化は、面12bの、全部ではないが大部分に沿って、伸長方向に延在する面12bの大部分と関連して展開されるコーティング又は材料44によって、少なくとも部分的に実行される。コーティング又は材料44の延在はまた、
図1B及び1Cに示されるように、(任意にラベル付けされた座標系では、z軸に沿っている)横(又は水平)方向に面12b全体にも沿っていることが好ましい。面12bの第1の領域45は、材料又はコーティング44に関連付けられており、面12bの第2の領域46は、材料又はコーティング44に関連付けられていない。更に、境界面40は、面12b、24aの間に形成されているため、コーティング又は材料44は、境界面40に配置され、境界面40を、前述の2つの領域45、46に対応する2つの領域に効果的に細分化する。
【0057】
特定の実施形態では、材料又はコーティング44の延在は、伸長方向の面12bの少なくとも70%に沿っているが、伸長方向の延在の量は、少なくとも80%又は少なくとも90%であってもよい。
【0058】
材料又はコーティング44は、2つの導波路10、20を共に結合する前に、面12b、24aのいずれか又は両方に適用することができ、その結果、材料又はコーティング44は、面12bの大部分(領域45)に沿って延在し、かつ、材料又はコーティング44は、面12bの少数部分46(例示された実施形態では、面16b、26bに近接する)には存在しない。
【0059】
一例では、材料又はコーティング44は、反射コーティングであり、これは、特定の範囲の入射角(AOI)のみで入射光を反射させ、その範囲以外の入射角の光を透過させる(好ましくは、
図2に示されている反射率に従って)角度選択反射(ASR)コーティングなどの選択的反射コーティングとすることができる。コーティング44の反射率は、面12bに入射する面12a、14a、14bのうちの1つから反射される光が、面12bにおいて反射され、ファセット18によって面12bに向かって偏向される光が、面12bによって導波路20中に透過されるようなものである。代替的に、反射コーティングは、面24bに適用することができるか、又は反射コーティングは、面12b、24aの1つ以上の対応する部分に適用することができ、その結果、光導波路10、20が共に接合されるか又は光学的に結合されると、結果として得られる反射コーティングは、面12bの大部分に沿って延在する。
【0060】
別の例では、上で考察したように、選択的反射特性を有する部分反射材料の薄膜が、面12b、24aを共に接合する前に、伸長方向に面12b(又は代替的に、面24a)の大部分に適用することができる。
【0061】
更に別の例では、材料又はコーティング44は、面12b、24aの間に配置され、かつ伸長方向の面12b、24aの大部分に沿って延在する、別個の部分反射表面の形態による、部分反射材料である。この部分反射表面は、上で考察したように、選択的反射特性を有する反射コーティングでコーティングされる任意の薄いプレート材料から形成することができる。
【0062】
特定の実施形態では、領域46は、材料又はコーティング44を、面12b(又は面24a)の大部分に適用し、面12b(又は面24a)の残りの少数部分から材料又はコーティング44を差し控えることのみによって形成され、その結果、第1の領域45は、「コーティングされた部分」であり、第2の領域46は、「コーティングされない部分」であり、それによって、コーティングされた部分及びコーティングされない部分は、異なる光学特性を本質的に有する。しかしながら、特定の好ましい実施形態では、材料又はコーティング44とは異なる光学特性を有する、低屈折率材料又はコーティング(すなわち、光導波路10、20を作製するために使用される材料の屈折率よりも低い屈折率を有する材料又はコーティング)が、面12bの少数部分(領域46)に沿って延在するように、面12bの残りの少数部分に関連付けられる。一例では、低屈折率材料の薄いプレートが使用される。この薄いプレートは、面12b若しくは24aのうちの一方の少数部分上に直接堆積され、次いで薄い接着層で面24a若しくは12bのうちの他方に接着剤で接合され得るか、又は薄い接着剤層を使用して面12b、24aに接着剤で接合され得るかのいずれかである。別の例では、固体誘電体材料の薄いコーティング層である。非常に低い屈折率(1.1~1.2)を有し、並びに機械的性質を安定化する一群のアエロゲル材料が、長年にわたって開発されてきており、領域46を形成するために特に好適であり得る。別の例では、低屈折率光学接合剤が、少数部分46において展開され、これを使用して、光導波路10、20を共に接合することにも役立つ。
【0063】
特定の実施形態では、領域46は、単に、低屈折率材料を面12b(又は面24a)の少数部分に適用し、かつ面12b(又は面24a)の大部分にはいずれのコーティング又は材料も適用しないことによって形成され、その結果、第1の領域45は、「コーティングされない部分」であり、第2の領域46は、「コーティングされた部分」であり、それによって、再び、これらのコーティングされた部分、及びコーティングされない部分が、異なる光学特性を本質的に有する。
【0064】
ファセット18を使用して、光を導波路10から外部へ、そして導波路20中に結合させる実施形態では、材料又はコーティング44は、必ずしも必要ではない場合があり、それによって、面12bにおける伝播光の反射は、全内部反射によるものである。そのような実施形態では、2つの領域への面12bの細分化は、低屈折率材料を面12b(又は面24a)の少数部分に適用し、面12b(又は面24a)の大部分にはいずれのコーティング又は材料も適用しないことによって、実現され得る。導波路10の下面12bが、伝播光の強度の割合を導波路10から外部へ(そして、導波路20中に)結合させるための部分反射板として実装される実施形態では、前述の2つの領域への面12bの細分化は、面12b(又は面24a)の大部分にコーティング又は材料44を適用することによって、少なくとも部分的に実現されることが好ましい。そのような実施形態では、コーティング又は材料44は、以下の後続のセクションで考察されるように、誘電体コーティング及び/又は金属コーティングとして実装されることが好ましい。
【0065】
拡張されたアパーチャにわたって均一な強度を得るために、ビームの注入された初期のアパーチャは、均一である必要があり、導波路を「充填」する必要がある。「充填」という用語は、この文脈では、画像内の各点(画素)に対応する光線が光導波路10の断面全体にわたって存在することを示すために使用される。概念的には、この性質は、光導波路10が任意の点で横方向に切断されたと仮定された場合、次いで、ピンホールを有する不透明な板が切断端部にわたって配置されていると仮定された場合、ピンホールは、その断面にわたってあらゆる所に配置され得、完全に投影された画像を得ることになることを意味する。実際、光導波路10の場合、このことにより、4つの完全な画像62a、62b、62c、及び62dの投影が得られることになり、それらの画像のうちの62b及び62dが反転される。導波路を入力画像60で充填することを確実にするために、わずかに過大な入力画像が、導波路10への入力時のサイズに切り落とされる必要がある。これにより、増倍された隣接するアパーチャは、一方では重複せず、他方では、間隙を有さないことになることが確実になる。画像60の切り落としは、その画像が導波路10に注入されたときに、ただし、画像60が4重折り曲げ内部反射によって導波路10内に導波される前に、光内部結合構成80によって実行される。
【0066】
図1A~1Cを続けて参照しながら、ここで、
図3及び4A~4Cについて言及すると、それらは、本発明の実施形態による、光学アパーチャ増倍器1及び光内部結合構成80の態様を例示している。提示を単純化するために、導波路20のファセット28は、
図4A及び4Cでは示されていないことに留意されたい。まず、
図3を見ると、光内部結合構成80は、概して、面81、83、85、87、89を含む複数の表面(面)を有する結合プリズムとして形成されている。面81及び83は、共通の縁端部82において接合され、面81及び85は、共通の縁端部84において接合されている。頂点86及び88は、縁端部84の両端部にあり、それぞれ、面81、85、87の頂点、及び面81、85、89の頂点として形成されている。
【0067】
ここで、
図4A~4Cを参照すると、光内部結合構成80は、光内部結合構成80が第2の領域46と隣接するように、導波路10、20と関連して展開されている。特に、光内部結合構成80は、第2の領域46に隣接する面14aの一部分と関連して展開されている。より具体的には、その展開は、面81の第1の部分が、第2の導波路領域13内にある前面14aの一部分に関連付けられているように、かつ、面81の残りの第2の部分が、導波路20の面22aの一部分に関連付けられているようになっている。例示された実施形態では、頂点88は、平面Pと位置合わせされている(すなわち、平面Pが導波路20の中に延在されていると仮定した場合、頂点88は、延在された平面P内に置かれることになる)。
【0068】
面81は、光内部結合構成80からの光が導波路10(又は導波路20)に入射する(すなわち、その中に透過する)光透過表面(すなわち、光入射表面)であり、したがって、面81が、面14a、22aに対して屈折率調整されて、導波路への入射時に注入される画像光の屈折を防止することが好ましい。特定の実施形態では、屈折率整合光学接合剤を使用して、面81と導波路10、20との間の屈折率整合及び接合を提供することができる。
【0069】
光内部結合構成80は、所望の視野角以内の全ての光が、境界47と、境界47の画像(眼に見える入力光学アパーチャを提示する)との間で通過して、導波路10に入射し、かつ4重折り曲げ内部反射によって導波路10を通って前進するように構成及び展開されている。以下で考察されるように、この展開は、導波路10に入射する、所望の視野角の周縁光線が境界47に沿ったいくつかの点において入射することを確実にする。
【0070】
図4Aは、面14a、22aの平面内の光内部結合構成80の足跡、及びコリメートされた画像60内の点を表すコリメートされたビームのセットを示している。図面では、分かりやすくするために、各ビームセットの1つの光線のみが示されているが、ビームセット内の多くの光線のうちの1つを表している。実線の光線60Aは、投影されたフィールドの一方の縁端部でのビームを表し、これに対して、点線光線60Cは、投影されたフィールドの他方の縁端部でのビームを表す(これらの光線60A、60Cは、「周縁光線」である)。点線の光線60Bは、フィールドの中心でのビーム(すなわち、画像の重心)を表す。
【0071】
例示された構成では、結合プリズムは、縁端部82、82が相互に平行であるように、かつ、縁端部84が、プリズムの光入射表面である面83の延在方向に対して平行であるように、単純化されている。結合プリズムは、光学収差を低減するために、光入射面83が中心ビーム(光線60B)に対して直角(直交)であるように設計されていることが好ましい。実際には、面83の配向は、(光学画像生成器の位置、及び空間的な配向に基づく)中心光線60Bの伝播方向に従って設定される。
【0072】
ここで、
図4A~4Cを参照して説明されるように、光内部結合構成80の構成及び展開により、光内部結合構成80が入力画像を切り落とすことが可能になる。例示されているように、光線60A、60B、60Cは、面83のそれぞれの点91a、91b、91cにおいて、面83を介して光内部結合構成80に入射し、次いで、面81を通って光内部結合構成80を出射し、それぞれの点93a、93b、93cを介して導波路のうちの一方に入射する。例示された構成では、点93a及び93bは、矩形導波路10の面14a上の異なるそれぞれの点であり、点93cは、第2の導波路20の面22a上の点である。言い替えると、光線60A及び60Bは、面14a上の異なる点を通って導波路10に入射し、光線60Cは、面22aを通って導波路20に入射する。
【0073】
光線60A、60B、60Cが点93a、93b、93cにおいて導波路に入射した後、それらの光線は、導波路が(図面内のy軸に沿って)垂直方向に均一に照明されるように、縁端部86によって第1の次元(垂直の次元)で切り落とされる。次いで、光線60A、60B、60Cは、境界47において、第1の次元に対して直交する第2の次元で(すなわち、横方向に、図面のz軸に沿って)切り落とされ、その結果、全てのビームが横方向次元(z次元)に導波路10を均一に照明する。特に、光線60Aは、(縁端部84と交差するか、又はその縁端部によって重複される)上面12aにおける点92で反射されて、境界47上の点に反射される。光線60Bはまた、上面12aの(異なる点で)、境界47上の点に反射され、周縁光線60Cは、導波路20から面12bを介して境界47上の点を通って、導波路10中に透過される。次いで、切り落とされた画像は、4重折り曲げ内部反射によって、導波路10を通って前進する。
【0074】
概念的には、境界47は、画像60が導入され得る光学入力軸に沿って見られたときに、その画像と共に、所望の視野角全体にわたって、眼に見える入力光学アパーチャを光導波路10に提示する。光内部結合構成80は、入力画像60を切り落とし、その結果、その視野内の全ての光が、眼に見える入力光学アパーチャを通って(すなわち、境界47と、境界47の画像との間を)通過して、導波路10に入射し、4重折り曲げ内部反射によって導波路10を通って前進する。光内部結合構成80によって切り落とされていない任意の他の光線は、眼に見える入力光学アパーチャを通過せず、したがって、導波路10に入射しない。
【0075】
光内部結合構成80の展開及び構成は、表面81が、(任意にラベル付けされた座標系では、xy平面である)面22a、22bに対して平行である平面内のファセット28のいずれの投影とも重複しないようにすることが好ましいことに留意されたい。この非重複の幾何学的形状及び配向は、ファセット28のうちの1つ以上によって外部結合されている光が、その外部結合された光を光導波路10中に再度導入する可能性がある、光内部結合構成80に戻って結合されるという状況を防止するのに役立つ。
【0076】
図5は、本発明の別の実施形態による光内部結合構成80の構成を示している。ここで、縁端部86は、縁端部82及び面83に対して非平行であり、点92から反射される反射光の近くに配置されている。更に、頂点88は、
図4A及び4Cにあるように、平面Pとは位置合わせされていないが、代わりに、境界47を通って延在し、その結果、xz平面内の頂点88の投影は、第1の領域45中に投影する。
【0077】
図5に例示された構成は、
図3~4Cに例示された構成を上回る利点を提供しており、とりわけ、面83が、
図3~4Cに例示された構成で許容されるものよりも、導波路面14a、22aに対してより近くに位置決めされることが可能であることである。これにより、ひいては、画像プロジェクタ(光学画像生成器)が導波路10に対してより近くに位置決めされることが可能になり、
図3~4Cに例示された構成で使用される必要があるものよりも小さい画像プロジェクタを使用することが可能になる。
図3~4Cに例示された構成にあるように、注入された光線は、縁端部86によって垂直次元で切り落とされ、次いで、境界47によって横方向次元で切り落とされる。
【0078】
図4A~5に例示された光内部結合構成は、光内部結合構成を下方から照明する空間配向(
図4Bに最も容易に見られるような「ボトムアップ」構成)で、前面14aに画像プロジェクタの配置を収容するように展開されている。しかしながら、光内部結合構成はまた、例えば、
図6A及び6Bに例示されるように、上方からの照明(「トップダウン」構成)を収容するように展開することもできる。ここで、光内部結合構成は、
図4A及び4Bで例示されている構成に対して反転した空間配向にある。この展開構成では、面12aは、それぞれの第1の光学特性及び第2の光学特性を有する、非重複の第1の領域55及び第2の領域56に細分化される。第1の光学特性は、内部反射の条件を保持する反射特性であり、このため、領域55内の面12aの部分に入射する、面12b、14a、14bのうちの1つから反射された光は、(内部反射によって導波路10を通る伝播を継続するように)面12aにおいて反射される。第1の光学特性とは異なる第2の光学特性は、透過特性であり、このため、光内部結合構成80からの光は、領域56に隣接する導波路10の一部分を通る透過を介して、導波路10に入射することができる。
【0079】
第1の領域55は、伸長方向に沿って、面12aの全部ではない大部分を占有(すなわち、その大部分に沿って延在)し、これに対して、第2の領域56は、伸長方向に沿って、面12aの残りの少数部分を占有(その小数部分に沿って延在)する。しかしながら、領域55は、伸長方向に面12aの少なくとも70%であることが好ましく、本開示の後続のセクションで考察されるように、伸長方向の延在の特定の量は、光学アパーチャ増倍器の光学設計仕様、特に、光内部結合構成80のサイズ及び展開位置に基づき得る。特定の場合では、伸長方向の延在の量は、少なくとも80%又は少なくとも90%とすることができる。
【0080】
特定の実施形態では、細分化は、コーティング又は材料44の方法と同様の方法で、面12aと関連して展開されるコーティング又は材料54によって実行される。具体的には、コーティング又は材料54は、伸長方向に面12aの全部ではない大部分に沿って延在する、面12aの大部分と関連して展開されている。コーティング又は材料54の延在はまた、横(又は水平)方向の面12a全体にも沿っていることが好ましい。コーティング又は材料54の展開は、面12aを、それぞれの第1及び第2の光学特性を有する、非重複の第1の領域55及び第2の領域56に細分化し、それによって、面12aの第1の領域55は、材料又はコーティング54に関連付けられ、かつ面12aの第2の領域56は、材料又はコーティング54には関連付けられない。
【0081】
以前のように、光導波路10は、2つの領域55、56の間の境界57を通過する矩形断面Pによって、第1の導波路領域11及び第2の導波路領域13に細分化されている。第1の導波路領域11の上面は、面12aの第1の領域55であり(言い替えると、第1の領域55は、第1の導波路領域11に対応する)、第2の導波路領域13の上面は、面12aの第2の領域56である(言い替えると、第2の領域56は、第2の導波路領域13に対応する)。
【0082】
コーティング又は材料54は、様々な方法で実現することができる。一例では、金属コーティングが、面12aの大部分に適用される。別の例では、低屈折率材料又はコーティング(アエロゲル材料又は低屈折率光学接合剤など)が、面12aの大部分に適用され、面12bの少数部分(領域46)に沿って延在するように、面12bの残りの少数部分に関連付けられる。他の実施形態では、材料54は、基板30が構築されている材料自体であり、これは、面12aでの内部反射が保持されるように、導波路10の屈折率よりも小さい屈折率を有する。
【0083】
図6A及び6Bに例示された実施形態では、コーティング又は材料54は、光導波路10と、別の光学基板30との間の境界面50(光透過材料からも形成された)に配置されている。この光学基板30は、(平行であり得る)面32a、32bのペア、及び平行面34a、34bのペア(並びに面36a、36bの追加のペアも含み得る)を有し、導波路10は、面12a、32bの間に形成されている境界面50(すなわち、導波路10と基板30との間の光結合が、面12a、32bの間に形成されている境界面50を画定する)で基板30に光学的に結合されている。コーティング又は材料54は、代替的に、面32bの必要不可欠な大部分に適用することができる。
【0084】
図3及び4A~4Cに例示された構成内のものと同様に、
図6A及び6Bに例示された光内部結合構成は、光内部結合構成80が第2の領域56に隣接するように、導波路10、20と関連付けて展開されている。特に、光内部結合構成80は、第2の領域56に隣接する面14bの一部分と関連付けて展開されている。より具体的には、この展開は、面81の第1の部分が、第2の導波路領域13内にある前面14aの一部分に関連付けられるように、かつ、面81の残りの第2の部分が、基板30の面34aの一部分に関連付けられるようになっている。また、例示された実施形態では、頂点88は、平面Pと位置合わせされている(すなわち、平面Pが導波路20中に延在するものと仮定した場合、頂点88は、延在した平面P内に置かれることになる)。
【0085】
図6A及び6Bにおける光線60A、60B、60Cの挙動は、
図4A~4Cを参照して上述したものと同様であり、わずかな相違を有する。ここで、光線60Cは、面34a上の点93cにおいて、基板30に入射する。光線60A、60Bが導波路10に入射し、光線60Cが(点93a、93b、93cにおいて)基板に入射した後、それらの光線は、導波路10が(図面のy軸に沿って)垂直方向に均一に照明されるように、縁端部86によって切り落とされる。次いで、光線60A、60B、60Cは、境界57において、(図面のz軸に沿って)横方向に切り落とされ、その結果、全てのビームは、横方向次元(z次元)に導波路10を均一に照明する。特に、光線60Aは、(縁端部84と交差するか、又はその縁端部によって重複される)下面12bの点92において反射されて、境界57上の点に反射される。光線60Bもまた、下面12b(の異なる点)において反射されて、境界57上の点に反射され、周縁光線60Cは、基板30から面12aを介して境界57上の点を通って導波路10中に透過される。
【0086】
図6A及び6Bに例示されたトップダウン構成では、研磨面(
図6Bの点線95によって示されている)に沿って面83を研磨することによって、光学画像生成器(画像プロジェクタ)と導波路10との間の距離を更に短縮することが可能であり得、それによって、投影光学素子のサイズを更に低減することに留意されたい。研磨面95は、結合プリズム80の面83に対しておおむね平行であり、点93c(すなわち、ビーム60Cが基板30に入射するところ)をほぼ通過する。その結果、研磨された表面83は、点93cにおいて、基板30とほぼ同一平面上にあるか、又は一致するように作製することができる。特定の実施形態では、「研磨」は、好適な研磨装置若しくは工具を使用して結合プリズム80を研磨することによって、又は好適な研削/切断装置若しくは工具を用いて結合プリズム80を研削/切断した後に切断表面を研磨することによって実行することができる。
【0087】
明らかであるように、
図5に例示された構成の反転された変形例は、
図6A及び6Bを参照して説明された方法と同様の方法で、面12aにおいてコーティング又は材料54を有する光導波路10の実施形態に従って、展開することができる。
【0088】
画像光の一部を、プリズムを介して導波路10中に透過させることに加えて、基板30はまた、例えば、面81の部分と、面34aの部分との間に(屈折率整合光学接着剤を介した)接合を可能にすることによって、構造上及び/又は接合上の支持を光内部結合構成に提供することもできる。また、基板30は、ここでは、面16a、26a、及び16b、26bに一致し、かつ平行である平行面36a、36bを有するものとして表されているが、基板30は、基板が領域56に隣接する導波路10の部分にのみ配置されるように、そのサイズを低減することができることにも留意されたい。そのような低減されたサイズの実施形態では、面36aは、光内部結合構成の頂点88に存在するか、又はその頂点の直前に存在することができる。
【0089】
ここまで説明された光内部結合構成の実施形態は、(前面14aと関連して展開された)光学画像生成器から光60を受け取る光入射面83を有する結合プリズムとして、非限定的な実施態様に関係してきたが、光内部結合構成が結合反射板として動作する他の実施形態が、本明細書において想定される。そのような実施形態では、面83は、反射面であり、光内部結合構成80は、導波路10、20(又は導波路10及び基板30)と関連付けて展開され、その結果、面81の一部分は、第2の領域46/57に隣接し、特に、面81の第1の部分は、第2の導波路領域13内にある背面14bの一部分に関連付けられ、かつ面81の残りの第2の部分は、導波路20(又は基板30の面34b)の面22bの一部分に関連付けられている。
【0090】
そのような反射可能な実施形態における光内部結合構成の動作原理は、
図3及び4A~6Bを参照して上述したものとおおむね同様であり、いくつかのわずかな相違を有する。これらの相違をより明確に説明するために、
図7A及び7Bは、光内部結合構成が反射面83を用いて構成されている、
図4B及び4Cの変形例をそれぞれ例示している。1つの相違は、光線が、面83の代わりに面81を通ってプリズムに入射する(すなわち、面81は、光学画像生成器から、コリメートされた画像を受け取る)ことである。別の相違としては、光線が
図4A~6Bのプリズムに入射する面83上の点91a、91b、91cは、代わりに、光線が面81に向かって反射されて、縁端部84によって切り落とされる面83上の点であることである。
【0091】
最後に、前面14aと関連付けられて画像プロジェクタの展開に適応するために、
図7A及び7Bの光内部結合構成80は、背面14bと関連付けられて展開されている。特に、光内部結合構成80は、第2の領域46に隣接する面14bの一部分と関連付けて展開されている。背面14b上の(すなわち、ユーザの眼から離れた)光内部結合構成のこの展開構成は、特定の人間工学的な利点を提供する。しかしながら、これはまた、光学画像生成器から遠く離れた光内部結合構成の配置も必要とし、したがって、これは、
図3及び4A~6Bに例示された透過性プリズム構成で使用される必要があるものよりも大きい光学画像生成器を使用する必要があり得る。
【0092】
図3~7Bに例示された光内部結合構成は、光導波路10を、光ビーム60の注入されたアパーチャで充填することを達成することができる、本発明の実施形態による1つのセットの解決策を表している。
【0093】
図8A及び8Bは、光学アパーチャ増倍器の別の実施形態を例示しており、この場合、アパーチャ充填が、ファセット18、28の間の導波路領域で展開された部分反射表面94を使用することによって、達成又は支援することができる。部分反射表面94は、面14a、14b、22a、22bに対して平行に展開され、また、面14a(又は22a)と14b(又は22b)との間の中間面に存在することが好ましい。更に、部分反射表面94は、ファセット18、28のない領域内に存在する。この実施形態では、部分反射表面94は、実際には、光透過材料(基板)から形成される境界面40の境界面領域70内で展開されている。この境界面領域70は、面72a、72b、74a、74b、76a、76bの3つのペアを含み、面74a、74b、76a、76bは、矩形断面を共に形成する平行面のペアである。面72a、72bもまた、平行面であってもよく、この場合、面72a、72b、74a、74b、76a、76bの3つのペアは、相互に直交し得る。面74a及び74bは、それぞれ、面12a、24a、32a、及び12b、24b、32bに対して平行であり、かつ、面76a及び76bは、それぞれ、面14a、22a、34a、及び14b、22b、34bに対して平行であることが好ましい。同様に、面72a及び72bは、それぞれ、面16a、26a、36a、及び16b、26b、36bに対して平行であることが好ましい。例示された実施形態では、以前に説明された実施形態において面12b、24aのいずれか又は両方に適用された材料又はコーティング44は、代わりに、面12b、74aのいずれか又は両方に適用されている。更に、選択的反射コーティング78は、伸長方向に、面24a、74bの全部(又は大部分)に沿って延在するように、面24a、74bのいずれか又は両方に適用することができる。
【0094】
部分反射表面94の構成は、画像が導波路10から結合されたときに、外部結合画像の強度のある割合が、第2の導波路20に入射する前に、部分反射表面94で反射され、それによって、共役ビームベクトル64a、64bが生成されて、導波路20内にアパーチャを充填させることを確実にするようになる。
【0095】
導波路アパーチャの充填を確実にするために、導波路の主表面に対して平行に展開された部分反射表面(ビームスプリッタ表面)の追加の考察については、共有されているPCT特許公開第2021/001841A1号に見出すことができる。
【0096】
ここまで説明された実施形態は、導波路10の内側にある、相互に平行な部分反射表面(ファセット)18のセットとして実装された光外部結合構成に関連付けられた矩形光導波路(光導波路10)を使用する光学アパーチャ増倍器に関係するものであった。しかしながら、上述したように、矩形導波路から外部に伝播光を結合させるように機能する他のタイプの外部結合配置が想定され、これらは、矩形導波路の底面に関連付けられ、かつその底面に対して平行であり、並びに2つの導波路10、20の間の境界面に配置されている、部分反射表面の形態の光外部結合構成を含む。境界面40において適用され(かつ面12b、24aの全部又は大部分に沿って延在して)そのような部分反射表面を形成する材料又はコーティングの実施態様の例は、材料又はコーティング44に関して上で考察されてきた。以下の段落は、本発明の第2の態様の実施形態による光学アパーチャ増倍器について説明しており、この光学アパーチャ増倍器は、傾斜するファセットを全く含まないが、代わりに、矩形導波路の底面に関連付けられ、かつその底面に対して平行である部分反射表面を使用して光外部結合機能を実行する、矩形光導波路を有する。
【0097】
上記を念頭に置きながら、ここで、
図9A及び9Bを参照すると、これらの図は、本発明の第2の態様の実施形態による光学アパーチャを例示している。例示された実施形態では、面12bは、(境界面40において)部分反射表面96に関連付けられている。光導波路10、20と、部分反射表面96の展開及び構成との間の光結合は、画像光60が、第1の平行面のペア12a、12b、及び第2の平行面のペア14a、14bの両方に対して傾斜する結合角での伝播の初期方向で光導波路10中に結合されたときに、光導波路20中に結合されるように部分反射表面96において透過される画像(すなわち、例えば、62d)の強度のある割合で、その画像は、以前に説明されたように、光導波路10に沿って4
重折り曲げ内部反射によって前進し(すなわち、共役の画像62a、62b、62c、62dが生成される)、次いで、可視画像66として平行面22aのうちの1つから外向きに指向されるように、部分反射表面28において反射された(偏向された)画像の強度のある割合で、2
重折り曲げ内部反射(画像64a、64b)を通って光導波路20中に伝播する、ようになっている。
【0098】
図9Aでは、画像60の2つのサンプル画像光ビーム60a、60bが、光導波路10に入射するように示されている。このビーム60a、60bは、生成された画像の同じ画素の2つのサンプルビームに対応するFOVの末端の一部を、2つの末端角度で表している。ビーム60a、60bの両方は、以前説明されたように、光導波路20中に結合されるように部分反射表面96において透過されるビームの各々からの強度のある割合で、面12a、12b、14a、14bにおいて4
重折り曲げ内部反射によって前進する(すなわち、両方のビームが、共役の画像62a、62b、62c、62dを生成する)。次いで、画像(64a、64b)は、可視画像66として平行面22aのうちの1つから外向きに指向されるように、部分反射表面28において反射された(偏向された)画像の強度のある割合で、第2の導波路20の面22a、22bにおいて2
重折り曲げ内部反射によって前進する(この場合、EMB3の下部コーナーに到達する注入されたビーム60a、60bに対応する)。
【0099】
光導波路10に注入される光ビーム60の角度は、光導波路10の4つの外面12a、12b、14a、14b全てから反射するように設定されている。光ビームは、浅い(限界見通し)角度で底面12b(及び/又は部分反射表面96)から部分的に反射する必要があり、したがって、光導波路10から光導波路20中に急角度で部分的に透過する必要がある。言い替えると、ビームの強度のある割合が、面12b/部分反射表面96/境界面40において導波路20に透過される必要があり、ビームの強度のある割合が、面12b/部分反射表面96/境界面40において反射されて、内部反射によって導波路10を通って前進し続ける必要がある。この部分的透過/反射の性質は、面12b、24aにおいて展開されて、部分反射表面96を形成する材料又はコーティング44によって達成することができる。
【0100】
ついでながら、ビームは、光内部結合構成(図示せず)によって注入され、本実施形態では、側面照明注入を提供する結合配置として実装されている。側面照明を提供する内部結合構成の例については、例えば、
図19A~21B、23A、23B、25A、及び25Bを参照して、本開示の後続のセクションで提供されるであろう。この目的のために、境界面40の全体は、前述の部分反射表面96を含むことができ、すなわち、材料又はコーティング44は、伸長方向に面12bの全体に沿って延在することができる。ただし、前述した光内部結合構成80を介して前面/背面注入を採用する他の実施形態もまた、
図11~16を参照して本明細書に提示されることに留意されたい。
【0101】
ここで、
図9A及び9Bに戻ると、面12bは、光(例えば、画像62d)が面12b上に衝突するたびに、実質上、部分反射表面であるため、光の強度のある割合が、面12bを通って光導波路20中に透過され、強度の残りの割合は、面12bにおいて反射され、光導波路10を通って前進し続ける。したがって、面12bにおける各透過/反射は、伝播する画像の全体的な強度を低下させ、したがって、(画像のアパーチャ拡張を犠牲にすることなく)反射又はその回数を低減して、光効率を改善することが望ましい場合がある。光効率を改善するための1つの方法は、
図10に例示された実施形態で示されており、そこでは、光導波路10が、光導波路20に対してある角度で配向されている(すなわち、傾斜している)。特に、面12a、12bは、面24bに対して斜め方向に傾斜している。5°~45°の範囲の傾斜角が、アパーチャ拡張に悪影響を及ぼさずに光効率を向上させるために、特に好適であることが見出された。例示された実施形態では、光導波路10の伸長方向は、もはやx軸に沿ってではなく、むしろ、面24bに対して面12a、12bの傾斜角だけ、x軸に対して傾斜している方向に沿っている。
【0102】
ここで、
図11を参照すると、本発明の別の実施形態による光学アパーチャ増倍器の等角図が例示されており、
図9Aに示された実施形態と同様であるが、その中で、部分反射表面96は、面12bの全部ではなく大部分に沿って延在し、
図3~5、7A、及び7Bの光内部結合構成80を用いた使用に適応している。特に好ましいが非限定的な実施態様では、部分反射表面96は、光導波路10、20を結合する前に、面12bに適用される選択的反射コーティングとして実装される。ここで、部分反射表面96は、面12bの大部分45に沿って(伸長方向に)延在する。面12bの内部結合領域46(又は「非コーティング部分」)は、面12bの残りの少数部分(側面16b、26bの近位)に対応する。ここで、画像光60a、60bは、非コーティング部分46を通って光導波路10に入射する。平面P、及び2つの部分45、46を分ける臨界境界47は、この等角図に、より明確に例示されている。
【0103】
図11を参照して説明される実施形態が、
図6A及び6Bに例示された「トップダウン」内部結合構成を採用する実施形態が、本明細書に想定されていることに留意されたい。そのように実施形態では、上述したように、コーティング又は材料54は、面12aの大部分に沿って延在するように展開される。
【0104】
以前に考察したように、光導波路10の光外部結合構成が傾斜するファセット18のセットとして実装されている実施形態では、光導波路20中に結合される光の強度を徐々に増加させるために、ファセット18の反射率が光導波路10を通る光の伝播方向に沿って減少するように、ファセット18を設計することが好ましい場合がある。同じ意味で、部分反射表面96の反射率が光導波路10を通る光の伝播方向に沿って減少する(かつ等価的に透過率を増加させる)ように、部分反射表面96を設計することが好ましい場合がある。
図12は、そのような光学アパーチャ増倍器の実施形態を例示しており、そこでは、反射率の減少は、光導波路10を通る光の伝播方向に沿って(伸長方向であり、すなわち、任意にラベル付けされたxyz座標系のx軸に沿って)、部分反射表面96を複数の領域(好ましくは、離散的で、非重複の領域)97a、97b、97c、97d、97e、97fに分割することによって達成され、この場合、領域97a、97b、97c、97d、97e、97fの反射率は、光導波路10を通る光の伝播方向に沿って減少する。ただし、例示された実施形態では、6つの離散的な領域97a、97b、97c、97d、97e、97fは、例示を目的に示されており、任意の好適な数の領域を使用することができることを理解されたい。反射率の変動は、面12bにおいて(又は、場合によってはあまり好ましくない特定の実施態様では、面24aにおいて)適用される好適な反射コーティングによって提供することができる。
【0105】
均一なビームが(矩形導波路10から)光導波路20中に結合されることを確実にするために、部分反射表面96を形成する反射コーティングは、好ましくは、反射率が面12bの長さにわたって(したがって、境界面40に横切って)導波路10の伸長方向に変化するように設計される必要がある。ここで、反射率とは、電磁スペクトルの可視光領域の少なくとも大部分にわたって平均化された非偏光の反射を指し、この場合、「大部分」とは、少なくとも430~660ナノメートル(nm)の波長範囲をカバーすることが好ましいが、最大750nmまでの波長も含み得る。反射コーティングは、色に依存しない反射及び透過特性を有する必要があり、このため、入射光ビームは、部分反射表面96における反射に起因する、いかなる色の変化の影響も受けない。
【0106】
特定の実施形態では、反射コーティングは、面12bの長さにわたる(すなわち、境界面40を横切る)反射率変動が、好ましくは、35°~55°の範囲のAOIにおいて、(可能な限り吸収の低い)50%~80%であるように設計されている多層コーティングである。非限定的な実施態様の1つのセットでは、多層コーティングは、金属(例えば、銀)層及び1つ以上の誘電体コーティング層から形成され、この場合、反射率の変動は、金属層決定の厚さによって決定される。非限定的な実施態様の別のセットでは、多層コーティングは、金属(例えば、銀)層及び1つ以上の誘電体コーティング層で形成され、この場合、反射率の変動は、金属層及び誘電体コーティング層の各々の厚さを所定の因子によって調整することによって決定される。更に別の非限定的な実施態様のセットでは、多層コーティングは、金属層の全くない複数の誘電体コーティング層で形成される。誘電体のみの多層コーティングを使用する場合、隣接する層の間の境界の厚さは、好ましくは、可能な限り小さく保たれる必要があり、これは、マスキング法を使用して達成することができる。本開示の後続のセクションで考察されるように、特に好ましい実施形態は、偏光注入方式の一部として、誘電体のみの多層コーティングを採用する。
【0107】
15~35nmの範囲の厚さの銀層を有する多層コーティングを使用することは、典型的には、約4%~8%の範囲の銀層における光吸収をもたらすことになることに留意されたい。多層コーティングに使用される層の数は、2~7層と比較的少なくてもよく、反射率及び透過率が電磁スペクトルの可視光領域で比較的「平坦」であり得、結果として、色に依存しない光の反射及び透過をもたらすという利点を提供する。また、金属層のない(すなわち、誘電体材料層のみの)多層コーティングを使用することにより、典型的には、約5%未満の低い吸収を提供することができることにも留意されたい。誘電体のみの多層コーティングにおいて、(層の厚さを変化させることによって)所望の反射率を達成するために必要とされる層の数によっては、通常、コーティングの平坦性は保たれず、このことは、結果として、色に依存する反射及び透過をもたらし得る。
【0108】
図13は、4つの例示的なAOI(35°、42°、49°、及び55°)において、6つの領域97a、97b、97c、97d、97e、97fにわたる例示的な多層コーティングの反射率のグラフを示している。より高いAOI、例えば55°で、部分反射表面96に入射する光は、より低いAOIで部分反射表面96に入射する光よりも早く光導波路10を出射する。したがって、領域97aは、より低いAOIについては、高い反射率(低い透過率)で設計され、より高いAOI(例えば、55°)については、より低い反射率(より高い透過率)で設計される。より高いAOIの透過は、領域97b及び97cにおいて徐々に減少し、より高いAOIの光は、領域97d、97e、及び97fにおいて、実質的に透過されない(すなわち、実質的に完全に反射される)ようになる。次の最も高いAOI(例えば、49°)での光の透過は、透過が最も高い領域97bで開始し、次いで、領域97c及び97dにおいて徐々に減少し、そのようなAOIでの光は、領域97e及び97fにおいて、実質的に透過されない(すなわち、実質的に完全に反射される)ようになる。次の最も高いAOIでの、又は最も低いAOIから2番目のAOI(例えば、42°)での光の透過は、透過が最も高い領域97cで開始し、次いで、領域97d及び97eにおいて徐々に減少し、そのようなAOIでの光は、領域97fにおいて実質的に透過されない(すなわち、実質的に完全に反射される)ようになる。最も低いAOI(例えば、35°)における光の透過は、透過が最も高い領域97dでのみ開始し、次いで、領域97e及び97fにおいて徐々に減少し、そこでは、透過は、領域97fにおいて最も低いが、依然として非ゼロである。
【0109】
他の実施形態では、部分反射表面96は、誘電体コーティングを用いて面12bをコーティングすることによって形成される。誘電体コーティングは、第1の偏光方向に偏光されている入射光(例えば、p偏光)の反射率が低く、第1の偏光方向に対して直交する第2の偏光方向に偏光されている入射光(例えば、s偏光)の反射率が高い。第2の偏光方向の初期偏光を伴う光導波路10中に結合される光(例えば、s偏光)が4
重折り曲げ内部反射によって光導波路を通って前進するときに、4
重折り曲げ内部反射は、部分反射表面96に対して伝播光の偏光方向を保持し、その結果、s偏光は、部分反射表面96において導波路10中に透過される。特定の偏光方式に基づくコーティングの設計については、本開示の後続のセクションで説明される、本発明の第2の態様による実施形態の第2のセット(
図15A~22)の文脈内で、後に詳細に考察されるであろう。
【0110】
一般に、画像が光導波路20のアパーチャを充填するために、画像及びその共役の両方(すなわち、画像64a及び64bの両方)が、導波路20内に存在しなければならないことに留意されたい。下部導波路20のアパーチャ充填を達成するための1つの方法は、画像及びその共役(すなわち、4つの共役ビームベクトル62a、62b、62c、62d)の両方を、導波路10を通って伝播させ、並びに画像及びその共役(例えば、62a及び62bの両方)の両方を下部導波路20中に結合させることによってである。しかしながら、面12a、12b、14a、14bの角度の配向が、面12a、12bが非平行であり、かつ/又は面14a、14bが非平行であり、かつ/又は面12a、12bのうちの一方若しくは両方が面14a、14bのうちの一方若しくは両方に対して垂直ではないようになる場合、画像及び共役画像は、非垂直面からの反射時に反対方向に角度的にシフトされる。非垂直面からのいくつかの反射の後、角度シフトは、累積する。したがって、平行度又は垂直度の偏差につながるわずかな製造誤差でさえ、画像と共役画像との間に顕著な角度差をもたらす可能性があり、これは、ゴースト画像を生じさせ、かつ/又は光学解像度を低下させる可能性がある。その結果、平行度及び垂直度に対する製造許容誤差は、極端に厳しい。
【0111】
図14は、導波路10から外部結合された画像(画像及びその共役の両方ではない)のうちの1つのみが、導波路20内に結合されて導波路20内に包含及び導波されるように、光導波路20に対して光導波路10を傾斜させることによって、アパーチャ充填のための厳しい製造許容誤差を改善する実施形態を例示している。
図14に例示された非限定的な実施態様では、導波路20に対して導波路10の必要な傾斜角は、第2の導波路結合表面(面24a)の角度αと一致し、この表面は、面22aに対してαだけ傾斜している。言い替えると、導波路10は、面12bが面22aに対して(角度αだけ)斜め方向に傾くように、傾斜している。この傾斜は、導波路10から一方の画像(例えて言えば、62a)を結合させ、かつ導波路10から他の画像を結合させないように選択され、そして、内部結合された画像の光線が面22aにおいて反射され、次いで面22bにおいて反射され、それによって、共役画像のペア64a、64bを生成し、下部導波路20のアパーチャを充填するように選択される。好ましい実施形態では、面98a、98bを有する光透過型光学素子として形成された中間ウィンドウ98が、導波路10、20の間に展開されて、導波路10、20の間の光結合を提供し、ゴースト画像(面24aにおいて望ましくない反射をもたらす)を防止する。この中間ウィンドウ98は、導波路20の入力アパーチャを上回って投影するように展開される。例示された実施形態では、この展開は、面98aが面12bに対して平行であり、かつ面12bの全体を超えて延在し、並びに面98bが面24aに対して平行であり、かつ好ましくは、また、面12bの全体も超えて延在する(並びに面24aの全体にわたって、その全体の近くに、又はその全体を超えて、延在する)ようになる。特定の実施形態では、中間ウィンドウ98は、屈折層とすることができる。導波路10から外部結合された画像光の一部は、中間ウィンドウ98を通過して導波路20中に結合され、これに対して、導波路10から外部結合された画像光の一部は、中間ウィンドウ98を通過するが、導波路20中には結合されない。特に、中間ウィンドウ98を通過して導波路20に入射し、面22aにおいて反射し、次いで面22bにおいて反射するビーム(実線矢印)は、導波路20中に結合されて、面22a、22bにおける(全)内部反射によって導波路20を通って導波される。しかしながら、中間ウィンドウ98を通過して導波路20に入射するが、面22aにおいて中間ウィンドウ98に向かって反射するビーム(点線矢印)は、導波路20中には結合されない。代わりに、中間ウィンドウ98に向かって反射されるこれらのビームは、傾斜する(傾いた)表面24a及び面98bを介して中間ウィンドウ98に再入射し、好ましくは、中間ウィンドウ98の縁端部又は側面を通って外部結合される。特定の実施形態では、光吸収体(図示せず)が、透明なウィンドウ98の外部結合縁端部/表面に配置されて、外光を吸収することができる。特定の実施形態では、この光吸収体は、光吸収材料を用いて中間ウィンドウ98の外部結合縁端部/表面をコーティングすることによって実現することができる。中間ウィンドウ98は、面98a、98bが面12b、24aに対して平行であり、かつ導波路20の入力アパーチャを上回って投影する限り、任意の好適な幾何学的形状を有することができる。例えば、別の実施態様では、中間ウィンドウ98は、中間くさびの形態をとることができ、これはまた、導波路20に対して必要な傾斜角で導波路10を取り付けるために使用することもできる。
【0112】
同様の効果は、(
図8A及び8Bに例示されたもの、並びにPCT特許公開第2021/001841A1号に記載されたものと同様に)2つの導波路10、20の間の境界面に、面22a、22bに対して平行である少なくとも1つの部分反射表面を導入することによって生成することができる。画像のうちの一方のみが導波路20中に導入されるこの内部結合の方法を採用することは、著しく高い光学効率を伴う、より小型の内部結合アパーチャを必要とする。アパーチャサイズの相対的な低減、及び効率の相対的な改善は、FOVと共にスケーリングし、典型的には、斜めに沿って約50°~60°のFOVの場合、約2倍に到達することができる。
【0113】
図1A~14を続けて参照しながら、ここで、本発明の第2の態様の実施形態による光学アパーチャを例示する
図15A及び15Bについて記述する。
図15A及び15Bに例示された実施形態における光学アパーチャ増倍器は、
図9A~14を参照して以前に説明された光学アパーチャ増倍器と同様であり、いくつかの注目すべき相違を有する。
【0114】
まず、
図15A及び15Bの光学アパーチャ増倍器は、側面照明を介してコリメートされた画像60を光導波路10中に導入する結合プリズム100を用いて動作するように構成されている。上述した光内部結合構成80と同様に、この結合プリズム100は、入力画像を入口で切り落として導波路10に入るように構成されている。結合プリズム100は、
図15Aには、単におおまかに例示されているが、画像注入及び切り落としを提供する様々な形態をとることができる。そのような結合プリズムの構造及び動作の詳細は、共有された米国特許第10,133,070号を含む、Lumus Ltd(Israel)による様々な刊行物に見出すことができ、その特許文献は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0115】
別の注目すべき相違は、本実施形態の光学アパーチャ増倍器が、上面12aに配置された保護層37を有することであり、その保護層は、光導波路10の上面に機械的な保護を提供することができることである。例えば、保護層37は、画像品質の劣化につながる、望ましくない方向への反射を導入する可能性がある傷又は摩耗に対して、導波路10の上面(面12a)を保護することができる。更に、面12a及び部分反射表面96の反射性は、外部背景から眼への望ましくない反射を引き起こす可能性がある。したがって、反射を低減するために、不透明なカバー部材38(
図15B)が、導波路10の面14a、14b、及び保護層37をカバーするように展開されることが好ましい。例示されているように、カバー38は、上下逆さの、U字形を有し、保護層37(したがって、面12a)をカバーする上部38c、及び面14a、14bをそれぞれカバーする脚部38a、38bのペアを含む。脚部38a、38bの端部におけるカバー38の部分はまた、第2の導波路20の面22a、22bの上部もカバーすることができる。反射コーティング又は低屈折率材料層などの材料41は、脚部38a、38bの部分と、導波路10、20の接触部分との間に適用することができる。材料41はまた、脚部38a、38bの部分と、保護層37の側面接触部分との間に適用することもできる。特定の実施形態では、低屈折率材料41は、低屈折率光学接合剤であり、これはまた、導波路へのカバー38の接着接合を実現するために使用することもできる。
【0116】
別の相違は、第2の光導波路20に関するものであり、この導波路は、例示された実施形態では、より一般的な四辺形断面を形成する面24a、24b、26a、26bを有する。面24a及び26aは、互いに直交し、それぞれ、面12b及び16aに対して平行であり、面24aは、2つの導波路10、20の間の境界面を(面12bと共に)画定することが好ましい。面24b及び26bは、互いに直交することができるか、又は、傾斜する角度ではあるが依然として90°に近い角度にあり、かつそれぞれの面26a及び24aと鈍角及び鋭角をそれぞれ形成することができる。光学アパーチャ増倍器は、出力画像66の配向(ファセット28によって外部結合されている)に対して斜めである配向を有し、これは、光学アパーチャ増倍器の小型でかつ審美的に快適な設計を提供することができ、光導波路10が、眼の上方又は下方のいずれかに展開された導波路10の遠位端(導波路10の近位端の反対側)と共に、眼に対して斜めに配向されている様々な展開構成を容易にすることができる。本文書の文脈では、導波路10の近位端は、画像60が導波路10中に注入(結合)される端部である。
図16A及び16Bは、左眼2L及び右眼2Rのための例示的な眼上展開構成を示しており、そこでは、各々の眼2L、2Rが、独自の光学アパーチャ増倍器1LA、1RAを有している。
図17A及び17Bは、左眼2L及び右眼2Rのための例示的な眼下展開構成を示しており、そこでは、各々の眼2L、2Rが、独自の光学アパーチャ増倍器1LB、1RBを有している。光学アパーチャ増倍器1RA、1LA、1RB、1LBの各々は、
図15A及び15Bに例示された光学アパーチャ増倍器に従って構築され、かつ動作可能であり、外部結合画像(例えば、
図15Bの画像66)を関連した眼に提供する。更に、
図16Bの右眼上光学アパーチャ増倍器1RAは、
図15Aに例示された光学アパーチャ増倍器であり、
図16Aの左眼上光学アパーチャ増倍器1LAは、y軸を中心に光学アパーチャ増倍器1RAをミラーリングすることによって達成することができることに留意されたい。
図17A及び17Bの左及び右の眼下光学アパーチャ増倍器(1LB、1RB)は、同様に、3つの軸のうちの1つ以上を中心に光学アパーチャ増倍器1RA及び1LAを適切にミラーリングすることによって達成することができる。
図17A及び17Bの眼下展開構成では、導波路10の遠位端は、眼下に位置決めされ、これに対して、導波路10の中間部分及び近位端は、眼の高さ又は眼の高さを上回って位置決めされていることに留意されたい。しかしながら、特定の非限定的な実施態様では、導波路10、20のいずれか又は両方の幾何学的形状は、矩形導波路10の全体がユーザの眼の下に展開されるように修正することができる。
【0117】
図18A及び18Bは、回折素子が、光を光導波路10中にかつ光導波路20から外部へ結合させるために使用されていることを除いて、
図15A及び15Bに例示された実施形態と同様の実施形態を示している。特に、光内部結合構成110が、面14bのうちの1つと関連して展開された回折素子(例えば、回折格子)の形態で使用されて、画像60を光導波路10中に結合している。内部結合回折素子は、面14bと関連して展開されているものとして示されて、光学アパーチャ増倍器の背面に光学画像生成器の好ましい展開を収容している。
【0118】
外部結合回折光学素子29、例えば、回折格子は、面22aの一方と関連して展開され、光64a、64bを光導波路20から眼2に向かって結合する。その回折素子は、面22aに関連付けられているものとして示されているが、この回折素子はまた、面22bとも関連して展開され得る。更に、単一の回折素子29が
図18A及び18Bに示されているが、複数の回折素子を使用することができ、その各々は、面22a又は面22bのそれぞれの部分(又は面22a、22bのそれぞれの非重複部分)に関連付けられる。
【0119】
光導波路10の光外部結合構成が、例えば、
図1A及び1Bを参照して説明された実施形態のように、傾斜するファセット18のセットとして実装されている実施形態では、光導波路20のファセット28は、面24aに対して傾斜する角度の有無で(すなわち、面24aに対して斜めに、又は面24aに対して平行に、また、面26aに対して垂直に)展開され、依然として完全なFOV画像を外部結合することができることに留意されたい。これは、共役画像のペア(例えば、画像62a及び62b)がファセット18によって光導波路20中に偏向されるという事実に部分的に起因する。しかしながら、光導波路10の光外部結合構成が、(例えば、
図9A~12及び
図14のように)面12bに関連付けられ、かつその面に対して平行である部分反射表面96として実装されている実施形態では、下方前進ビームベクトル(例えば、画像62d)のみが、光導波路20中に結合される。したがって、画像FOVのうちのできるだけ多くを維持するために、ファセット28は、面24a(又は24a)に対して傾斜する角度を有する必要がある。特定の場合では、ファセット28の傾斜角は、光学アパーチャ増倍器のサイズ及びフォームファクタの増加をもたらす場合があり、したがって、光学アパーチャ増倍器のサイズを低減するために、部分反射表面96として実装される外部結合構成に関連付けられた光導波路10と組み合わせて、薄いスラブ型導波路内に展開された、傾斜角のないファセット28を使用することが望ましい場合がある。
【0120】
図19A及び19Bは、(傾斜するファセットの代わりに)部分反射表面96を備える矩形導波路10を有する光学アパーチャの実施形態を例示しており、この導波路は、傾斜角を有さないファセット28を有する第2の光導波路20に光学的に結合されている。前述した光内部結合構成100はまた、ここでも例示されており、画像60を光導波路10中に結合させる。
【0121】
例示された実施形態では、光導波路20は、平行面22a、22bのペア、及び平行面のペアとして例示されている、面24a、24b、26a、26bの2つの追加のペアを有する薄いスラブ型導波路である。光方向転換配置120は、光導波路20の第1の領域121に関連付けられ、光導波路20に結合された光をファセット28に向かって方向転換(偏向)するように機能し、そのファセットは、光導波路20の第2の領域122内に配置されている。
【0122】
第1の領域121は、面26a、26bの間の光導波路20の全長にわたることが好ましく、光導波路20の上部、典型的には、光導波路20の上部10%~25%を占有し、これは、面24aから面24bに向かう方向(本明細書では、「y」方向に対応するものとして任意に示される)に測定される。第2の領域122はまた、面26a、26bの間の光導波路20の全長にもまたがっていることが好ましい。これらの2つの領域121、122は、非重複領域であってもよく、このため、第2の領域122は、第1の領域121によって占有されていない、光導波路20の下部を占有する。ただし、特定の実施形態では、2つの領域121、122は、(「y」方向に沿って)部分的に重複してもよい。
【0123】
好ましい実施形態では、光方向転換配置120は、面26a、26bの間に光導波路20の長さの大部分又は全部にまたがる。特定の実施形態では、光方向転換配置120は、面26a、26bの間で(すなわち、任意にラベル付けされたxyz座標系のx軸に沿って)光導波路20の長さを少なくとも部分的に横断し、かつ、面12b、24aに対して斜め方向に(好ましくは、急角度、かつ鋭角で)傾斜している、相互に平行な部分反射表面(ファセット)のセットとして実装される。他の実施形態では、光方向転換配置は、光導波路20の面22a、22b、24a、24b、26a、26bのうちの1つ以上に関連付けられた1つ以上の回折素子として実装することができる。
【0124】
光方向転換配置120がファセット120のセットとして実装されている実施形態では、ファセット120は、(面22a、22bに対して斜め方向に傾斜する)ファセット28の配向に対して非平行である第1の配向を有する。例示された実施形態では、ファセット120、28の2つのセットは、非重複であるが、ファセット28のうちの1つ以上が、面22a、22bの平面(図面では、xy平面である)上に投影してファセット120と重複する他の実施形態が可能である。
【0125】
光方向転換配置120及びファセット28の構成は、部分反射表面96が、光導波路10を通って伝播する画像を4重折り曲げ内部反射(画像62a、62、62c、62d)によって光導波路20中に結合させたときに、画像が光導波路20の第2の領域122中に第2の導波方向に方向転換されるように、光方向転換配置120において反射された(偏向された)強度のある割合で、内部結合画像は、面22a、22bにおける内部反射(画像63a、63b)によって、光導波路20の第1の領域121内を第1の導波方向に伝播し、次いで、画像が、観察者の眼2によって分かる可視画像66として、平行面22aのうちの一方から外向きに指向されるように、部分反射表面28において反射された(偏向された)強度のある割合で、内部結合画像は、面22a、22bにおける内部反射(画像64a、64b)によって光導波路20の第2の領域122内を伝播するようになる。第1の導波方向は、導波路10の伸長方向に対しておおむね斜めである(すなわち、面12b、24aに対して斜めである)。第2の導波方向は、第1の導波方向とは異なり、導波路10(及び面12b、24a)の伸長方向に対して垂直であるか、又はほぼ垂直であることが好ましく、面26a、26bに対して平行であるか、又はほぼ平行であることが好ましい。
【0126】
図20A及び20Bは、
図18A及び18Bを参照して説明されたものと同様に、回折素子が光を光導波路10中に、そして光導波路20から外部へ結合させるために使用されることを除いて、
図19A及び19Bに例示された実施形態と同様の実施形態を示している。特に、光内部結合構成110は、面14bのうちの1つにおいて展開された回折素子(例えば、回折格子)の形態で、画像60を光導波路10中に結合するために使用される。内部結合回折素子は、面14bと関連して展開されているものとして示されて、光学アパーチャ増倍器の背面に光学画像生成器の好ましい展開を収容している。
【0127】
外部結合回折光学素子29、例えば、回折格子は、第2の領域122内にある面22aのうちの1つの一部分と関連して展開され、光64a、64bを光導波路20から、そして眼2に向かって結合させる。回折素子は、面22aに関連付けられているものとして示されているが、回折素子はまた、第2の領域122内にある面22bの一部分と関連して展開され得る。更に、単一の回折素子29が、
図20A及び20Bに示されているが、複数の回折素子を使用することができ、その各々は、第2の領域122内にある面22a又は面22bのそれぞれの部分(又は面22a、22bのそれぞれの非重複部分)に関連付けられている。
【0128】
開示された実施形態の全てにおいて、光ビーム60は、光学画像生成器によって生成されるコリメートされた画像からの光に対応する。添付図面には示されていないが、光学画像生成器(「画像プロジェクタ」とも称される)は、一般に、少なくとも1つの光源、典型的には、液晶オンシリコン(LCoS)チップなどの空間光変調器を照明するために展開される偏光源を含む。空間光変調器は、画像の各画素の投影強度を変調し、それによって、画像を生成する。代替的に、画像プロジェクタは、典型的には、高速スキャンニングミラーを使用して実装されるスキャンニング配置を含むことができ、その高速スキャンニングミラーは、ビームの強度がスキャンニング運動と同期して画素単位で変化しながら、プロジェクタの画像平面を横切ってレーザ光源からの照明をスキャンニングし、それによって、各画素に所望の強度を投影する。いずれにしても、コリメート光学素子を提供して、無限にコリメートされる出力投影画像(すなわち、画像光60)を生成する。画像プロジェクタの上記の部品のいくつか又は全てが、典型的には、当技術分野では周知であるように、1つ以上の偏光ビームスプリッタ(PBS)立方体、又は他のプリズム配置の表面上に配置される。したがって、画像プロジェクタによって生成されたコリメートされた光60は、典型的には、偏光されていてもよく、光導波路10への注入時に、導波路10の面のうちの1つに対して初期偏光を有してもよい。光学画像生成器については、例えば、米国特許第8,643,948号、米国特許出願公開第2019/0391408号、及び米国特許出願公開第2021/0072553号を含む、Lumus Ltd(Israel)による様々な刊行物に記載されている。
【0129】
光が、導波路10内に展開される傾斜するファセットではなく、面12bに関連付けられた部分反射表面(例えば、表面96)によって、光導波路20中に結合される、特定の実施形態において光学アパーチャ増倍器によって採用される偏光方式は、特に妥当であり、かつ、注入された光が画像品質の劣化なしに2D及び1Dの両方の導波路を通って伝播することを確実にするように設計される必要がある。
【0130】
部分反射表面96が、金属層を有する多層コーティングを使用して形成される実施形態では、導波路10中に注入される画像光60の偏光に関して、ある程度の柔軟性がある。特に、部分反射表面96によって外部結合されるための動作入射角の範囲では、金属コーティングは、一般に、p偏光に対しては好適な部分反射率(したがって、部分透過率)を提供し、s偏光に対しては高い反射率を提供する。したがって、部分反射表面96(金属層を使用して形成された場合)は、導波路10から光を伝播するp偏光成分を効率的に結合し、導波路10内のs偏光成分を保持することができる。したがって、任意の好適な偏光方式を使用して、導波路10中に注入されるべき光ビーム60を生成することができる。
【0131】
一例では、光ビーム60は、面12b(すなわち、表面96)に対して非偏光であり(したがって、s偏光成分及びp偏光成分を有する)、その結果、p偏光成分の強度のある割合が、部分反射表面96によって導波路10から透過され、s偏光成分が、表面96によって反射される。特定の非限定的な実施形態では、光学画像生成器は、光源の特定の構成を採用することによって、光ビーム60を非偏光ビームとして出力する。特に、光学画像生成器は、互いに直交するように偏光されたレーザ光源を組み合わせて、非偏光画像ビームを生成することができる。別の実施形態では、光学画像生成器は、偏光された画像ビームを出力するが、デポラライザが、光学画像生成器と、導波路10の入力アパーチャとの間の光路内に、例えば、光内部結合構成の前か、又は光内部結合構成の出力側のいずれかに展開される。デポラライザ展開構成の例が、米国特許第10,133,070号に詳細に記載されている。
【0132】
別の例では、光ビーム60は、例えば、光学画像生成器の出力側(若しくは光内部結合構成への入力側)に、又は代替的に光内部結合構成の出力側に、直線偏光フィルタ及び4分の1波長板を展開することによって、面12bに対して円偏光にすることができる。
【0133】
更に別の例では、光ビーム60は、面12bに対してp偏光にすることができる。これは、p偏光の光を出力する光学画像生成器のいずれかを採用することによって達成することができる。しかしながら、典型的な構成では、光学画像生成器は、s偏光の光を出力するため、波長板が、光学画像生成器の出力側(若しくは光内部結合構成への入力側)に、又は代替的に光内部結合構成の出力側に展開されて、出力光の偏光をs偏光からp偏光に回転させることができる。
【0134】
部分反射表面96が1つ以上の誘電体コーティング層を使用して形成される実施形態では、合理的な光効率を達成するために、面12b(部分反射表面96)に対する注入されたビーム60の偏光方向の管理が重要である。そのような実施形態では、光学画像生成器は、面12bに対してs偏光される偏光された画像照明を生成するように構成される。米国特許第8,643,948号に記載されている光学画像生成器は、s偏光された画像光を生成する光学画像生成器の一例である。
【0135】
特定の実施形態では、ファセット28の反射率に対応して、ファセット28が1D導波路から伝播光を十分に反射することを確実にするために、(半波長板などの)波長板を、2つの導波路10及び20の間の境界面に展開することができる。
図15A及び15Bを再度参照すると、光導波路20中に結合されるべき光の偏光状態を回転させるための波長板130が、導波路10、20の間の境界面に、かつ部分反射表面96と関連して、任意選択的に展開されている。特に、波長板130は、部分反射表面96と、導波路20の上面24aとの間の境界面40に配置されている。波長板130は、部分反射表面96が誘電体コーティングを使用して形成される(かつ注入されたビーム60が面12bに対してs偏光される)実施形態と組み合わせて使用されるときに、特に価値がある。そのような実施形態では、表面96によって導波路10から結合された照明は、表面96/面12bに対してs偏光される。しかしながら、ファセット28は、典型的には、面12bに直交する面22a、22bに対してs偏光される光の反射率を設計したオプティカルコーティングを使用して形成される。したがって、導波路10から外部結合される光の偏光方向は、面22a、22bに対してp偏光される。波長板130を導波路10、20の間に展開することによって、波長板130は、面22a、22bに対してs偏光されるように外部結合された光の偏光方向を回転させ、これは、ファセット28によって外部結合された光の効率を増加させる。
【0136】
明らかであるように、波長板130は、
図18A~20Bに例示された実施形態では、部分反射表面96と、導波路20の上面24aとの間の同様な場所に展開することができる。
【0137】
以下の段落は、
図21及び22を参照して、部分反射表面96を形成するために使用することができる誘電体コーティングの設計態様のいくつかについて説明する。まず、コーティングは、導波路20の遠端部で伝播するビームの最大パワー(強度)を達成し、同時に、導波路20の近端部で反射されるビームに対して同じパワー(強度)を達成するように、最適に設計される必要がある。導波路20の「遠端部」は、おおむね、面24bに近い面26aの領域であり、導波路20の「近端部」は、おおむね、面26bに近い面24bの領域である。
図21では、導波路20の遠端部で伝播するビームは、実線矢印として示され、光内部結合構成100への入力側において、第1の導波路10を通って光線60Fまで遡ることができる。導波路20の近端部で伝播するビームは、点線矢印として示され、光内部結合構成100への入力側において、光線60Nまで遡ることができる。
【0138】
一例として、遠端部におけるビームが所望の角度で導波路20を出射するようにコーティングによって提供される反射率がRによって示され、導波路10内の反射の数がNによって示され、2つの反射間の透過率がTによって示される場合、導波路20の遠端側で注入されたビーム60Fに対応するビームのパワー出力は、次式で表すことができる。
P=(1-R)(R*T)N。
【0139】
明らかであるように、パワーPは、多変数関数であり、例えば、T及びNを固定し、次いでPを最大化して、Pを最大化するRの値を識別することによる方法を含む、様々な方法で最大化することができる。例えば、T=0.98、かつN=8である場合、Pは、Rが約0.88のときに、ほぼ0.0367の最大値Pmaxを達成する。一般に、導波路10の入口における60Nに対応する光のコーティングの反射率は、1-Pmaxである必要があり、Pmax=0.0367である今の例では、ほぼ0.9633(96.33%)の反射率をもたらす。
【0140】
図22は、s偏光及びp偏光の反射率の、AOIを関数とするグラフを例示している。グラフから分かるように、P
max=0.0367である本例を続けると、s偏光は、(ブルースター角の近くで急激に降下するp偏光の反射率とは対照的に)ほぼ96.33%の所望の反射率を達成している。したがって、P
max=0.0367である特定の例の場合、面12bに対してs偏光されているビームを注入することは、最適かつ均一な照明を達成するであろう。このような偏光方式では、s偏光ビーム60Fに対する部分反射表面96の反射率は、ほぼ88%であり、s偏光ビーム60Nに対する部分反射表面96の反射率は、ほぼ96.33%であろう。
【0141】
第2の態様による実施形態は、これまで、導波路10、20が面12b、24aにおいて光学的に結合されているという文脈の中で説明されてきたが、光結合が面12bと、平行面22a、22bのうちの一方の一部との間にあるように、光導波路10が展開される他の実施形態が可能である。そのような実施形態では、面22a(又は22b)は、導波路20への入力結合表面として機能する。そのような実施形態の単純化された等角図が、
図23に例示されており、その図は、面12b、22aにおいて共に結合された導波路10、20を示している。中間屈折層99が、面12b、22aの間に展開されており、それらの面を通って、導波路10から外部結合されている画像は、面22aを通って導波路20中に結合される前に通過する。導波路10中に導入されるビームは、屈折層99との境界面によって反射される必要があり、導波路10を通る内部反射によって伝播する光ビームは、面22aを介して屈折層99を通って導波路20中に(ファセット18か、又は部分反射表面96のいずれかによって)外部結合される必要がある。屈折層の更なる詳細については、米国特許第10,133,070号の中に見出すことができる。
【0142】
以下の段落は、本発明の実施形態による光学アパーチャ増倍器、特に、
図9A~12を参照して説明された光学アパーチャ増倍器のいくつかを作製するための様々な方法について説明する。
【0143】
図24Aに示すように、複数のLOE(すなわち、第2の光導波路)20が得られる。各LOE20は、例えば、
図1A及び1Bを参照して上述したようなものであり、主平行面22a、22bのペア(カバープレート39a、39b上に形成することができる)、及び面22a、22bに対して傾斜する複数の相互に平行な部分反射内面(ファセット)を有する。ただし、特定の実施形態では、各LOE20は、例えば、
図1Cに例示されているように、カバープレートなしで形成されてもよいことに留意されたい。各LOE20はまた、面24a、24b、26a、26bの別の2つのペア(それらの各々は、平行面のペアであっても又はなくてもよい)、及び面22a、22bに対して傾斜する複数の部分反射内面(ファセット)も含む。明確にするために、LOEの内部ファセットは、
図24A~24Fには図示されていないが、LOE内の内部ファセットの展開は、本明細書に添付する他の図面から十分に理解することができる。
【0144】
各LOE20の作製のための好適な技法は、一般に既知であり、例えば、
図18~23を参照してそこに説明されているように、共有された先の米国特許第8,432,614号の中に見出すことができる。
【0145】
複数のLOE20は、位置合わせされ、次いで積層体に構成されて、隣接するLOEのカバープレート39a、39bが共に結合されるように、共に接合される。
図24Bは、位置合わせされたLOE20の、得られた接合された積層体200を示しており、その積層体は、面222a、222b、224a、224b、226a、226bの3つのペアを有する。面222a、222bは、平行面のペアであり、他の2つの面のペアは、平行面のペアであっても又はなくてもよい。特定の実施形態では、接合された積層体200の面の3つのペアは、相互に直交する(垂直である)。LOE20の位置合わせは、全てのLOE20の面22a、22bが相互に平行(xy平面に対して平行)であるようにする。積層体の一方の端部におけるLOEの面22aは、実際には、面222aを形成し、積層体の他方の端部におけるLOEの面22は、面222bを形成する。面224a、224b及び226a、226bのペアの各々が平行面のペアである実施形態では、LOE20の位置合わせは、LOE20の面24aが同一平面上にあり(かつxz平面に対して平行であり)、LOE20の面24bは、位置合わせされたLOE20の面24a及び24bが、接合された積層体200の面224a及び224b(xz平面に対して平行である)をそれぞれ形成するように、同一平面上にあり(かつxz平面に対して平行であり)、位置合わせされたLOE20の面26a及び26bが、接合された積層体200の面226a及び226b(yz平面に対して平行である)をそれぞれ形成するように、LOE20の面26aは、同一平面上にあり(かつyz平面に対して平行であり)、並びにLOE20の面26bは、同一平面上にある(かつyz平面に対して平行である)、ように更になっている。面222a、222b、及び224a、224bのペアの各々が平行面のペアである実施形態では、面222a、222b、及び224a、224bのペアの各々は、LOE20の各々の面22a、22bに対して直交する(垂直である)(したがって、積層体200の面222a、222bに対して直交する)。
【0146】
図24Cに例示されているように、面312a、312b、314a、314b、316a、316bの3つのペアを有する、コーティングされた透明な厚いプレート300が得られる。面312a、312b、及び314a、314bのペアの各々は、平行面のペアであり、平行面312a、312b、314a、314bの2つのペアは、矩形断面(yz平面内)を共に形成する。面316a、316bのペアは、平行面のペアであっても又はなくてもよい。特定の実施形態では、下面312bは、選択的反射コーティング(例えば、誘電体層の有無にかかわらず、金属コーティング)を用いてコーティングされ、その結果、コーティングされた面312bは、部分反射表面になる。他の実施形態では、選択的反射コーティングを用いてコーティングされた薄いプレートが、面312bと位置合わせされて接合される。更に他の実施形態では、部分反射材料の薄膜が、面312bに取り付けられる。そのような全ての実施形態では、コーティング又は材料は、面312b上に展開され、その結果、コーティング又は材料は、(「z」方向に)面312bの全幅に沿って延在する。特定の実施形態では、コーティング又は材料が、面312b上に展開され、その結果、コーティング又は材料は、面312bの全長に沿って(「x」方向に)延在する。そのような実施形態は、最終的な導波路構造が(
図15Aの結合プリズム100などの)側面照明を提供する光内部結合構成を用いて使用される必要がある場合に、特に好適である。他の実施形態では、コーティング又は材料は、面312b上に展開され、その結果、コーティング又は材料は、面312bの、大部分ではあるが全部ではない、長さに沿って延在する。そのような実施形態は、最終的な導波路構造が前面/背面照明を提供する「ボトムアップ」光内部結合構成(
図3~5、7A、及び7Bの光内部結合構成など)を用いて使用される必要がある場合に、特に好適である。
【0147】
他の実施形態では、金属コーティングを適用して、面312aの全幅に沿って(「z」方向に)延在し、面312aの、大部分ではあるが(全部ではない)長さに沿って(「x」方向に)延在する。そのような実施形態は、最終的な導波路構造が「トップダウン」光内部結合構成(
図6A及び6Bの光内部結合構成など)を用いて使用される必要がある場合に、特に好適である。
【0148】
図24Dでは、コーティングされた透明なプレート300は、位置合わせされたLOE20の接合された積層体200と位置合わせされる。
【0149】
図面内で使用される任意にラベル付けされたxyz座標系を参照すると、(透明なプレート300及び接合された積層体200の各々が平行面の3つのペアを有する実施形態では)コーティングされた透明なプレート300と、接合された積層体200との位置合わせは、以下のように最もよく理解することができる。面312a、312b、224a、224bの各々は、xz平面に対して平行であり、面214a、222aの各々は、xy平面に対して平行であって、かつ好ましくは、同一平面上にあり、面314b、222bの各々は、xy平面に対して平行であって、かつ好ましくは、同一平面上にあり、面316a、226aの各々は、yz平面に対して平行であって、かつ好ましくは同一平面上にあり、面316b、226bの各々は、yz平面に対して平行であって、かつ好ましくは同一平面上にある。
【0150】
接合された積層体200は、コーティングされた透明なプレート300に光学的に結合され、それによって、
図24Eに例示されるように、コーティングされた透明なプレート300と、前の段落で説明された接合された積層体200との位置合わせを維持しながら、光学ブロック280を形成する。接合された積層体200は、コーティングされた透明なプレート300に光学的に結合されて、面312bと224aとの間に境界面240を形成する(すなわち、面312b、224aが互いに対面する関係になるように)。境界面240は、上で考察したように、面312bに適用されるか、ないし関連付けられるコーティング又は材料を含む。代替的に、材料又はコーティングは、接合された積層体200を、コーティングされた透明なプレート300に光学的に結合する前に、面312bの代わりに面224aに適用することができる。
【0151】
任意選択的に、面312aは、上面312a及び下面312bが同じ入射角で伝播光を反射することを確実にするために、金属コーティングなどの反射コーティングを用いてコーティングされてもよい。コーティングは、コーティングされた透明なプレート300を、接合された積層体200に光学的に結合する前又は後に、面312aに適用することができる。
【0152】
図24Eに示すように、光学ブロック280は、少なくとも2つの平行な切断面(
図24Eの点線245によって示されている)に沿って切断されて、光学ブロック280から少なくとも1つの光学アパーチャ増倍器を切り出す(単一の光学アパーチャ増倍器が、
図24Fに示されているが、複数のそのような光学アパーチャ増倍器を、光学ブロック280から切り出すことができる)。
【0153】
切断面245は、接合された積層体200の連続したLOE20の平行面22a、22bに対して平行であり、かつコーティングされた透明なプレート300の面314a、314bに対して平行である。したがって、切断面245は、透明なプレート300の面312a、312bに対して直交する。
【0154】
切り出された各光学アパーチャ増倍器は、境界面40においてLOE20(1D光導波路)に光学的に結合された矩形光導波路10(2D光導波路)を有し、かつ導波路10の結合表面(
図9A~12の面12b)に関連付けられている境界面40に部分反射表面を有する。LOE20の各々がカバープレート39a、39bのペアを含む実施形態では、切断面245の各々は、連続する(すなわち、隣接する)カバープレート39a、39bの間を通過することが好ましい。LOE20が(
図1Cのように)いずれのカバープレートも含まない実施形態では、切断面245の各々は、連続するLOE基板19の隣接する主外部表面(面)の間の接合領域に配置されることが好ましい。
【0155】
上記の作製方法では、当業者によって理解される必要があるように、本明細書に記載された様々な光学構造体の切断又は切り出しは、任意の好適な切断装置/デバイス/工具によって実行することができる。特定の実施形態では、これらの切断/切り出し工程の時点で生産される光学構造体の表面/面のうちのいくつか又は全てを研磨することができる。本明細書に記載された様々な光学構造体の面及び表面の研磨は、当業者によって理解される必要があるように、任意の好適な研磨装置/デバイス/工具によって実行することができる。
【0156】
本開示の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されてきたが、網羅的であることも、開示される実施形態に限定されることも意図されていない。記載された実施形態の範囲及び趣旨から逸脱しない多くの修正及び変形が、当業者には明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、市場で見出される技術に対する実用的な応用又は技術的な改善を最良に説明するために、又は当業者が本明細書に開示される実施形態を理解することを可能にするために選択された。
【0157】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の参照を含む。
【0158】
「例示的」という言葉は、本明細書では、「例、実例、又は例示として役立つ」ことを意味するために使用される。「例示的」として記載される任意の実施形態は、必ずしも他の実施形態よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではなく、及び/又は他の実施形態からの特徴の組み込みを除外するものではない。
【0159】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で記載される本発明の特定の特徴はまた、単一の実施形態で組み合わせて提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で記載される本発明の様々な特徴はまた、別個に、又は任意の好適な部分的な組み合わせで、又は本発明の他の任意の記載された実施形態で好適であるとして提供され得る。様々な実施形態の文脈で記載される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは動作しない場合を除いて、それらの実施形態の本質的な特徴とみなされるべきではない。
【0160】
添付の特許請求の範囲が多重の依存関係なしに起草されている点において、これは、このような複数の依存関係を許可しない法域の正式な要件に対応するためにのみ行われている。特許請求の範囲を多重依存にすることによって暗示されるであろう特徴の全ての可能な組み合わせが明示的に想定されており、本発明の一部とみなされるべきであることに留意されたい。
【0161】
本発明は、その特定の実施形態と併せて記載されてきたが、多くの代替、修正、及び変形が当業者には明らかになるであろうことは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び広い範囲内に収まる全てのこのような代替、修正、及び変形を包含することが意図されている。