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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】ポンプディスペンサ及び吐出容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20240520BHJP
   B05B 11/00 20230101ALI20240520BHJP
   F04B 9/14 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
B65D47/34 110
B05B11/00 101E
F04B9/14 B
B05B11/00 101J
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020092649
(22)【出願日】2020-05-27
(65)【公開番号】P2021186717
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】赤坂 神
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 千織
(72)【発明者】
【氏名】先曽 洋一
(72)【発明者】
【氏名】當麻 徹
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-182801(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0098480(US,A1)
【文献】特開2019-026324(JP,A)
【文献】特開2015-085989(JP,A)
【文献】特開2014-199032(JP,A)
【文献】特開2018-122901(JP,A)
【文献】特開2020-083327(JP,A)
【文献】特開2019-064674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 11/00
B65D 47/34
F04B 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダを有し、容器本体の口部に固定される固定部材と、
前記シリンダと協働してポンプ室を形成するとともに、前記ポンプ室の吐出弁、及び前記吐出弁を介して前記ポンプ室に連通する内部流路を有し、反力に抗して前記シリンダの軸方向に押し下げられることで前記ポンプ室の容積を減少させる作動部材と、
上下方向に延びる棒状をなし、前記ポンプ室の吸い込み弁を構成する棒状弁体とを備え、
前記作動部材が、
前記シリンダの内周面上を前記上下方向に摺動する環状のピストンと、
前記ピストンを押し下げる下端部を有する筒状のステムと、
前記ピストンを着座させて押し上げる前記吐出弁の弁座を有し、前記ステムに固定されるピストンガイドとを備え、
前記ピストンガイドが、前記棒状弁体の外周面上を前記上下方向に摺動する下方のみに開口する有頂筒状のピストンガイド本体を備え
前記作動部材が押し下げられ前記ポンプ室内が加圧される際に、前記棒状弁体の外周面と前記ピストンガイド本体との摺動抵抗によって前記棒状弁体が押し下げられることで、前記吸い込み弁が閉じた状態に維持されることを特徴とするポンプディスペンサ。
【請求項2】
前記ピストンガイド本体の内周面と前記棒状弁体の外周面との一方が、前記ピストンガイド本体の内周面と前記棒状弁体の外周面との他方上を前記上下方向に摺動する周方向に並ぶ複数の摺動突起を備える、請求項1に記載のポンプディスペンサ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のポンプディスペンサと、前記ポンプディスペンサが取り付けられ、液体が収容された容器本体とを備えることを特徴とする吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプディスペンサ及び吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載されるように、シリンダを有し、容器本体の口部に固定される固定部材と、シリンダと協働してポンプ室を形成するとともにポンプ室の吐出弁、及び吐出弁を介してポンプ室に連通する内部流路を有し、反力に抗してシリンダの軸方向に押し下げられることでポンプ室の容積を減少させる作動部材と、上下方向に延びる棒状をなし、ポンプ室の吸い込み弁を構成する棒状弁体とを備え、作動部材が、シリンダの内周面上を上下方向に摺動する環状のピストンと、ピストンを押し下げる下端部を有する筒状のステムと、ピストンを着座させて押し上げる吐出弁の弁座を有し、ステムに固定されるとともに棒状弁体の外周面上を上下方向に摺動するピストンガイドとを備えるポンプディスペンサが知られている。
【0003】
このようなポンプディスペンサと、当該ポンプディスペンサが取り付けられ、液体が収容された容器本体とを備える吐出容器によれば、作動部材に対する押し下げ操作とその解除を繰り返すことでポンプ室の容積を増減させ、それにより容器本体内の液体を作動部材の内部流路を通して吐出することができる。またその際、ピストンガイドが棒状弁体の外周面上を摺動することで上下方向に案内されるため、作動部材のスムーズな押し下げ動作と復帰動作が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-83616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような構造を有する従来のポンプディスペンサでは、ピストンガイドが、作動部材の内部流路の一部を径方向内側に形成する筒状のピストンガイド本体を有し、ピストンガイド本体が棒状弁体の外周面上を密接状態で上下方向に摺動するように構成されている。このため、ピストンガイド及び棒状弁体の材質によっては、液体との接触によってピストンガイドが膨潤し拡径することにより、ピストンガイドと棒状弁体の密接性、つまり気密性が損なわれてポンプ機能に悪影響を及ぼすため、容器本体に収容できる液体の種類が制限されてしまうという問題点があった。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、容器本体に収容できる液体の種類がピストンガイド及び棒状弁体の材質によって制限され難いポンプディスペンサ及び吐出容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のポンプディスペンサは、シリンダを有し、容器本体の口部に固定される固定部材と、前記シリンダと協働してポンプ室を形成するとともに、前記ポンプ室の吐出弁、及び前記吐出弁を介して前記ポンプ室に連通する内部流路を有し、反力に抗して前記シリンダの軸方向に押し下げられることで前記ポンプ室の容積を減少させる作動部材と、上下方向に延びる棒状をなし、前記ポンプ室の吸い込み弁を構成する棒状弁体とを備え、前記作動部材が、前記シリンダの内周面上を前記上下方向に摺動する環状のピストンと、前記ピストンを押し下げる下端部を有する筒状のステムと、前記ピストンを着座させて押し上げる前記吐出弁の弁座を有し、前記ステムに固定されるピストンガイドとを備え、前記ピストンガイドが、前記棒状弁体の外周面上を前記上下方向に摺動する下方のみに開口する有頂筒状のピストンガイド本体を備え、前記作動部材が押し下げられ前記ポンプ室内が加圧される際に、前記棒状弁体の外周面と前記ピストンガイド本体との摺動抵抗によって前記棒状弁体が押し下げられることで、前記吸い込み弁が閉じた状態に維持されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明のポンプディスペンサは、上記構成において、前記ピストンガイド本体の内周面と前記棒状弁体の外周面との一方が、前記ピストンガイド本体の内周面と前記棒状弁体の外周面との他方上を前記上下方向に摺動する周方向に並ぶ複数の摺動突起を備えるのが好ましい。
【0009】
また、本発明の吐出容器は、前記ポンプディスペンサと、前記ポンプディスペンサが取り付けられ、液体が収容された容器本体とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、容器本体に収容できる液体の種類がピストンガイド及び棒状弁体の材質によって制限され難いポンプディスペンサ及び吐出容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態である吐出容器を作動部材の押し下げ操作前の状態で示す縦断面図である。
図2図1のA-A線に沿って示す断面図である。
図3図1に示す吐出容器を作動部材の押し下げ操作時の状態で示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施の形態であるポンプディスペンサ1及び吐出容器2を例示説明する。
【0013】
なお、本明細書において、上下方向はシリンダ18の中心軸線Oに沿う方向、つまりシリンダ18の軸方向を意味し、下方は作動部材5が押し下げられる方向を意味し、上方はその反対方向を意味し、周方向は中心軸線Oを周回する方向を意味し、径方向は中心軸線Oと直交する直線に沿う方向を意味し、縦断面は中心軸線Oを含む断面を意味し、横断面は中心軸線Oに垂直な断面を意味している。
【0014】
図1に示すように、本発明の一実施の形態であるポンプディスペンサ1は、ポンプディスペンサ1が取り付けられ、液体Lが収容された容器本体3とともに、本発明の一実施の形態である吐出容器2を構成している。
【0015】
容器本体3は、円筒状の口部3aと、口部3aの下端に連なる胴部3bと、胴部3bの下端に連なる図示しない底部とを有し、内部に液体Lが収容される収容空間Sを形成している。なお、口部3aは円筒状以外の筒状であってもよい。
【0016】
容器本体3に収容される液体Lは、洗浄剤又は化粧料であるが、これに限らず、例えば食品、薬剤等であってもよい。
【0017】
ポンプディスペンサ1は、固定部材4、作動部材5、棒状弁体6、バネ7及びカバー8を備えている。固定部材4は、シリンダ部材9、吸い上げパイプ10、キャップ11、抜け止め部材12及びパッキン13で構成されている。作動部材5は、ピストン14、ステム15、ピストンガイド16及びノズルヘッド17で構成されている。
【0018】
シリンダ部材9、吸い上げパイプ10、キャップ11、抜け止め部材12、ピストン14、ステム15、ピストンガイド16、ノズルヘッド17、棒状弁体6及びカバー8はそれぞれ、合成樹脂材料の射出成形によって一体成形されている。また、バネ7は金属製であるが、合成樹脂製等であってもよい。
【0019】
シリンダ部材9、棒状弁体6及びステム15はポリブチレンテレフタレート樹脂製であり、ピストン14は直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂製であり、ピストンガイド16は高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂製である。
【0020】
固定部材4は、シリンダ18を有し、容器本体3の口部3aに固定される部材である。
【0021】
シリンダ18は、シリンダ部材9に設けられており、中心軸線Oを中心とする筒状をなす周壁18aと、周壁18aの下端に連なる底壁18bとで構成されている。
【0022】
周壁18aは、延長部9aを介して口部3aの上端面にキャップ11によって固定されている。延長部9aは、周壁18aの上端から上方に延び、中心軸線Oと同軸の筒状をなす上側周壁9bと、上側周壁9bの外周面から突出するフランジ9cとで構成されている。フランジ9cの下面にはパッキン13が配置されている。キャップ11は、口部3aの外周面にねじ部を介して取り付けられる筒壁11aと、筒壁11aの上端から径方向内側に突出する環状の天壁11bと、天壁11bの内周縁から上方に延び、中心軸線Oと同軸の筒状をなす上筒11cとを有している。筒壁11aが口部3aに取り付けられることにより、天壁11bと口部3aの上端面との間にフランジ9cが挟まれ、これにより、シリンダ18が口部3aに固定されている。なお、シリンダ18は、口部3aと同軸状に配置されている。
【0023】
延長部9aの内周面には、ステム15が上方に抜け出さないようにするための抜け止め部材12が嵌合により固定されている。ステム15は、中心軸線Oと同軸に配置されるとともに下端部15aが拡径した2段筒状をなす本体周壁15bを有しており、抜け止め部材12は、ステム15の下端部15aの外径以上の内径を有する下筒壁12aと、ステム15の下端部15aの外径よりも小さい内径を有する上筒壁12bとを有している。
【0024】
シリンダ18の底壁18bは、中心軸線Oと同軸状に配置された吸い込み口18cを有している。吸い込み口18cには、吸い上げパイプ10が取り付けられている。吸い上げパイプ10は、吸い込み口18cから容器本体3の底部に向けて延びている。また、吸い込み口18cには、棒状弁体6を上方から着座させる吸い込み弁座18dが設けられている。棒状弁体6は、吸い込み弁座18dに対して上下方向に移動可能であり、その下端部が弁座18dに着座する着座部6aを有している。つまり、棒状弁体6は吸い込み弁座18dとともに後述するポンプ室19の吸い込み弁20を構成している。吸い込み弁20は、収容空間Sからポンプ室19に向かう液体Lの流れを許容する一方、ポンプ室19から収容空間Sに向かう液体Lの流れを阻止する逆止弁として機能する。
【0025】
作動部材5は、シリンダ18と協働してポンプ室19を形成するとともに、ポンプ室19の吐出弁21、及び吐出弁21を介してポンプ室19に連通する内部流路22を有し、反力に抗してシリンダ18の軸方向に押し下げられることでポンプ室19の容積を減少させる部材である。
【0026】
作動部材5のピストン14は、シリンダ18の内周面上を上下方向に摺動する環状の部材である。ピストン14は、シリンダ18の内周面に密接した状態で当該内周面上を上下方向に摺動する筒状をなす外側摺動部14aと、ステム15の下端部15aの内周面に密接した状態で当該内周面上を上下方向に摺動する筒状をなす内側摺動部14bと、外側摺動部14aと内側摺動部14bの間を閉塞する隔壁14cとを有している。
【0027】
また、ピストン14の内側摺動部14bの下端部は、ピストンガイド16の弁座16aに着座する着座部14dを有している。ピストン14は、作動部材5への押し下げ操作により、ピストンガイド16に対して上方に相対移動することができ、押し下げ操作の解除により、ピストンガイド16に対して下方に相対移動することができる。したがって、ピストン14は、ピストンガイド16の弁座16aとともに、ポンプ室19の吐出弁21を構成している。吐出弁21は、ポンプ室19から内部流路22に向かう液体Lの流れを許容する一方、内部流路22からポンプ室19に向かう液体Lの流れを阻止する逆止弁として機能する。
【0028】
作動部材5のステム15は、ピストン14を押し下げる下端部15aを有する筒状の部材である。ステム15は、前述した本体周壁15bと、本体周壁15bの内周面に周方向に並べて設けられた複数の縦リブ15cとを有している。
【0029】
作動部材5のノズルヘッド17は、ステム15の本体周壁15bの上端部に取り付けられ、液体Lの吐出口17aを有する部材である。ノズルヘッド17は、中心軸線Oと同軸状に配置された筒状をなす内周壁17bと、内周壁17bの径方向外側に同軸状に配置された外周壁17cと、内周壁17bと外周壁17cの上端部を連ねるとともに押し下げ操作を受ける頂壁17dと、内周壁17bの側面から側方に延びる筒状をなし、先端部が吐出口17aを有する先端ノズル17eとを有している。内周壁17bはステム15の本体周壁15bの上端部に嵌合により取り付けられており、内周壁17bの内部空間は先端ノズル17eの内部を通して吐出口17aに連通している。外周壁17cは、キャップ11の上筒11cの外径以上の内径を有しており、外周壁17cの下端部は、キャップ11の天壁11bの真上に位置している。
【0030】
作動部材5のピストンガイド16は、ピストン14を着座させて押し上げる吐出弁21の弁座16aを有し、ステム15に固定される部材である。ピストンガイド16は、棒状弁体6の外周面上を上下方向に摺動する下方のみに開口する有頂筒状のピストンガイド本体16bを有している。
【0031】
また、ピストンガイド16は、ピストンガイド本体16bの下端部から径方向外側に延びる拡径部16cを有している。拡径部16cの上面には、吐出弁21の弁座16aが設けられている。拡径部16cの外周縁部は、シリンダ18の内周面に上下方向に案内される被案内部16dを有している。また、拡径部16cは、その下面側の空間を弁座16aよりも径方向外側でその上面側の空間に連通させる液体Lの通過口16eを有している。
【0032】
ピストンガイド本体16bの外周面には、ピストン14の内側摺動部14bを上下方向に案内する上下方向に延びる複数の案内リブ16fが周方向に並べて設けられている。また、ピストンガイド本体16bの上端部には、ピストンガイド本体16bと同軸状の筒状をなす上端筒壁16gが設けられている。ピストンガイド本体16bの上端部と上端筒壁16gは、ステム15の複数の縦リブ15cに嵌合により取り付けられている。
【0033】
したがって、作動部材5の内部流路22は、ピストン14の内側摺動部14bとピストンガイド本体16bとの間の空間と、ステム15とピストンガイド本体16b及び上端筒壁16gとの間の空間(複数の縦リブ15cの間の空間)と、上端筒壁16gよりも上方におけるステム15の内部の空間と、ノズルヘッド17の内周壁17bの内部の空間と、先端ノズル17eの内部の空間とで構成されている。
【0034】
バネ7は、押し下げ操作された作動部材5に反力を与える部材である。バネ7は、中心軸線Oと同軸状に配置されるコイル状をなす圧縮バネである。シリンダ18の周壁18aの下端部には上下方向に延びる複数の縦リブ18eが周方向に並べて設けられており、これら縦リブ18eの上面にバネ7の下端部が当接している。また、バネ7の上端部は、ピストンガイド16の拡径部16cの下面に当接している。
【0035】
棒状弁体6は、上下方向に延びる棒状をなし、ポンプ室19の吸い込み弁20を構成する部材である。棒状弁体6は下端部が中心軸線Oと同軸状に配置される筒状をなす中空柱状の弁本体6bと、弁本体6bの上端部から同軸状に上方に延び、弁本体6bよりも縮径された柱状体6cとを有している。弁本体6bの下端部は前述した着座部6aを有している。また、弁本体6bの外周面には、バネ7の下端部に当接することで棒状弁体6の上方への移動を停止させる複数の係止突起6dが周方向に並べて設けられている。
【0036】
ピストンガイド本体16bは、ピストンガイド本体16bの径方向内側の空間がポンプ室19と連通した状態で棒状弁体6の柱状体6cの外周面上を上下方向に摺動するように構成されている。より具体的には、図2に示すように、ピストンガイド本体16bの下端部における内周面には、複数(4つ)の摺動突起16hが周方向に並べて設けられており、各々の摺動突起16hが柱状体6cの外周面上を上下方向に摺動することができる。また、複数の摺動突起16hの間の周方向隙間を介してピストンガイド本体16bの径方向内側の空間がポンプ室19と連通している。なお、摺動突起16hの数、形状及び配置は適宜変更が可能である。また、摺動突起16hをピストンガイド本体16bの内周面に設ける代りに柱状体6cの外周面に設けてもよい。ピストンガイド本体16bが棒状弁体6の柱状体6cの外周面上を複数の摺動突起16hを介して上下方向に摺動する構成とすることで、作動部材5を押し下げポンプ室19内を加圧する際に、複数の摺動突起16hの摺動抵抗によって棒状弁体6を押し下げ、吸い込み弁20を閉じた状態に維持することができる。またその際、ピストンガイド本体16bと棒状弁体6とが複数の摺動突起16hを介して局所的に摺動することで過度な摺動抵抗が生じることが抑制されており、また、ピストンガイド本体16bの径方向内側の空間がポンプ室19と連通していることにより、作動部材5のスムーズな押し下げが可能である。
【0037】
図1に示すように、カバー8は、固定部材4に着脱可能に取り付けられることでノズルヘッド17を覆う部材である。カバー8は、キャップ11の上筒11cに着脱可能に取り付けられる横断面形状が略C字形状をなすストッパ部8aを有している。ストッパ部8aは、上筒11cに取り付けられた状態で、キャップ11の天壁11bの上面とノズルヘッド17の外周壁17cの下端部との間に介在し、それによりノズルヘッド17の意図しない押し下げを阻止することができる。ストッパ部8aの上端部には、ストッパ部8aが上筒11cに取り付けられた状態でノズルヘッド17の先端ノズル17eと頂壁17dを覆うカバー本体8bが連なっている。
【0038】
したがって、吐出容器2は、図1に示す状態からカバー8を取り外し、ノズルヘッド17の頂壁17dを押し下げ操作することにより、図3に示すように、作動部材5をバネ7が与える反力に抗して押し下げ、それによりポンプ室19の容積を減少させ、吸い込み弁20を閉じ、吐出弁21を開き、ポンプ室19内の液体Lを作動部材5の内部流路22を通して吐出口17aから吐出することができる。また、押し下げ操作の解除により、バネ7が与える反力によって作動部材5を上方に復帰させ、それによりポンプ室19の容積を増加させ、吸い込み弁20を開き、吐出弁21を閉じ、収容空間S内の液体Lをポンプ室19内に吸い上げることができる。またその際、ピストンガイド16が棒状弁体6の外周面上を摺動することで上下方向に案内されるため、作動部材5のスムーズな押し下げ動作と復帰動作が可能になる。
【0039】
また、前述したように本実施の形態では、ピストンガイド16が、棒状弁体6の外周面上を上下方向に摺動する下方のみに開口する有頂筒状のピストンガイド本体16bを備えている。したがって、作動部材5の内部流路22はピストンガイド本体16bの外側のみに形成され、内側には形成されないので、ピストンガイド本体16bの内周面と棒状弁体6の外周面との摺接部を密接させて封止する必要がない。このため、液体Lとの接触によりピストンガイド16及び棒状弁体6が膨潤し、これらの接触状態が変化したとしても、ポンプ機能を良好に維持することができる。
【0040】
したがって、容器本体3に収容できる液体Lの種類がピストンガイド16及び棒状弁体6を膨潤させないものに制限されることを抑制することができる。なお、ポリブチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル樹脂はこのような膨潤を生じ難いが、摺動抵抗が比較的大きいため、密着状態で互いに摺動させる2つの部材をポリブチレンテレフタレート樹脂製とすることは好ましくない。また、洗浄剤又は化粧料としての液体Lに機能上含有させることが好ましいものの、高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂などのポリオレフィン樹脂を膨潤ないし軟化させ易い成分としては、例えば、炭化水素油、エステル油、ポリオールなどが挙げられる。
【0041】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0042】
したがって、前記実施の形態であるポンプディスペンサ1及び吐出容器2は、例えば以下に述べるような種々の変更が可能である。
【0043】
ポンプディスペンサ1は、固定部材4、作動部材5及び棒状弁体6を備える限り、種々の変更が可能である。固定部材4は、シリンダ18を有し、容器本体3の口部3aに固定される限り、種々の変更が可能である。作動部材5は、シリンダ18と協働してポンプ室19を形成するとともに、ポンプ室19の吐出弁21、及び吐出弁21を介してポンプ室19に連通する内部流路22を有し、反力に抗してシリンダ18の軸方向に押し下げられることでポンプ室19の容積を減少させるものであって、ピストン14、ステム15及びピストンガイド16を備えるものである限り、種々の変更が可能である。ピストン14は、シリンダ18の内周面上を上下方向に摺動する環状のものである限り、種々の変更が可能である。ステム15は、ピストン14を押し下げる下端部15aを有する筒状のものである限り、種々の変更が可能である。ピストンガイド16は、ピストン14を着座させて押し上げる吐出弁21の弁座16aを有し、ステム15に固定されるものであって、ピストンガイド本体16bを備えるものである限り、種々の変更が可能である。ピストンガイド本体16bは、棒状弁体6の外周面上を上下方向に摺動する下方のみに開口する有頂筒状のものである限り、種々の変更が可能である。棒状弁体6は、上下方向に延びる棒状をなし、ポンプ室19の吸い込み弁20を構成する限り、種々の変更が可能である。
【0044】
しかし、ピストンガイド本体16bの内周面と棒状弁体6の外周面との一方が、ピストンガイド本体16bの内周面と棒状弁体6の外周面との他方上を上下方向に摺動する周方向に並ぶ複数の摺動突起16hを備えるのが好ましい。
【0045】
吐出容器2は、ポンプディスペンサ1と、ポンプディスペンサ1が取り付けられ、液体Lが収容された容器本体3とを備える限り、種々の変更が可能である。
【0046】
前記実施の形態では、固定部材4は、シリンダ部材9、吸い上げパイプ10、キャップ11、抜け止め部材12及びパッキン13で構成されているが、これに限らない。また、前記実施の形態では、作動部材5は、ピストン14、ステム15、ピストンガイド16及びノズルヘッド17で構成されているが、これに限らない。
【0047】
前記実施の形態では、シリンダ部材9、棒状弁体6及びステム15はポリブチレンテレフタレート樹脂製であり、ピストン14は直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂製であり、ピストンガイド16は高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂製であるが、これに限らない。しかし、シリンダ部材9、棒状弁体6及びステム15はポリエステル樹脂製であり、ピストン14及びピストンガイド16はポリオレフィン樹脂製であるのが好ましい。
【符号の説明】
【0048】
1 ポンプディスペンサ
2 吐出容器
3 容器本体
3a 口部
3b 胴部
4 固定部材
5 作動部材
6 棒状弁体
6a 着座部
6b 弁本体
6c 柱状体
6d 係止突起
7 バネ
8 カバー
8a ストッパ部
8b カバー本体
9 シリンダ部材
9a 延長部
9b 上側周壁
9c フランジ
10 吸い上げパイプ
11 キャップ
11a 筒壁
11b 天壁
11c 上筒
12 抜け止め部材
12a 下筒壁
12b 上筒壁
13 パッキン
14 ピストン
14a 外側摺動部
14b 内側摺動部
14c 隔壁
14d 着座部
15 ステム
15a 下端部
15b 本体周壁
15c 縦リブ
16 ピストンガイド
16a 弁座
16b ピストンガイド本体
16c 拡径部
16d 被案内部
16e 通過口
16f 案内リブ
16g 上端筒壁
16h 摺動突起
17 ノズルヘッド
17a 吐出口
17b 内周壁
17c 外周壁
17d 頂壁
17e 先端ノズル
18 シリンダ
18a 周壁
18b 底壁
18c 吸い込み口
18d 吸い込み弁座
18e 縦リブ
19 ポンプ室
20 吸い込み弁
21 吐出弁
22 内部流路
L 液体
O 中心軸線
S 収容空間
図1
図2
図3