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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】トンネル掘削機
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/06 20060101AFI20240520BHJP
【FI】
E21D9/06 301L
E21D9/06 301M
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020141400
(22)【出願日】2020-08-25
(65)【公開番号】P2021038641
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2023-07-28
(31)【優先権主張番号】P 2019157139
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】521478094
【氏名又は名称】地中空間開発株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000201478
【氏名又は名称】前田建設工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小田 誠
(72)【発明者】
【氏名】坂井 保之
(72)【発明者】
【氏名】岸本 公輝
(72)【発明者】
【氏名】保▲土▼田 亮
(72)【発明者】
【氏名】増田 昌昭
(72)【発明者】
【氏名】飯島 規雄
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅一
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-061791(JP,A)
【文献】実開昭55-163395(JP,U)
【文献】特開平09-125880(JP,A)
【文献】特開2016-069822(JP,A)
【文献】実開昭58-054496(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 1/00- 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カッターヘッドと、
前記カッターヘッドとの間にカッターチャンバーを形成する隔壁と、
前記カッターチャンバーへ気泡を供給する気泡供給装置と、
前記カッターチャンバー内の気泡混合土砂を前記隔壁の下部から排出する主スクリューコンベヤと、
前記カッターチャンバー内の気泡混合土砂を前記隔壁の上部から排出する副スクリューコンベヤと、
前記副スクリューコンベヤにより搬送された気泡混合土砂を前記主スクリューコンベヤの下流側に配置された搬送装置へ導く配管と、
前記副スクリューコンベヤにより搬送された気泡混合土砂の見掛比重を検出する検出器と、
を備える、トンネル掘削機。
【請求項2】
記検出器は、前記配管の一部の重量を計測し、その計測された重量から前記気泡混合土砂の見掛比重を算出する、請求項に記載のトンネル掘削機。
【請求項3】
前記検出器により検出された気泡混合土砂の見掛比重が設定値よりも低い場合に前記カッターチャンバーの上部へ充填材を供給する充填材供給装置をさらに備える、請求項またはに記載のトンネル掘削機。
【請求項4】
カッターヘッドと、
前記カッターヘッドとの間にカッターチャンバーを形成する隔壁と、
前記カッターチャンバーへ気泡を供給する気泡供給装置と、
前記カッターチャンバー内の気泡混合土砂を前記隔壁の下部から排出するスクリューコンベヤと、
前記カッターチャンバーの上部と連通するように前記隔壁に接続されたエア抜き配管と、
前記エア抜き配管に設けられた開閉弁と、を備え、
前記エア抜き配管は、前記隔壁を貫通するストレートな第1配管と、前記第1配管の外周面に接続された第2配管を含み、
前記開閉弁は、前記第1配管内に摺動可能に挿入されたピストンと、前記ピストンを、前記第1配管における前記隔壁側の先端部を閉塞する閉位置と、前記第1配管に設けられた前記第2配管用の開口よりも前記隔壁から遠い開位置との間で移動させるジャッキを含む、トンネル掘削機。
【請求項5】
前記第1配管の外周面には、前記第1配管へ洗浄水を供給するための洗浄配管が接続されている、請求項に記載のトンネル掘削機。
【請求項6】
前記カッターチャンバーの上部へ充填材を供給可能な充填材供給装置をさらに備える、請求項4または5に記載のトンネル掘削機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル掘削機に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド掘進機などのトンネル掘削機を用いたトンネル掘削工法の一つとして、カッターヘッドと隔壁との間に形成されるカッターチャンバーの圧力を高く保つ土圧式工法がある。この土圧式工法では、カッターチャンバーへシェービングクリーム状の気泡が供給されることがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
カッターチャンバーへ気泡が供給されると、掘削土砂が気泡と混合されて気泡混合土砂となる。このような工法では、掘削土砂の流動性の向上や止水性の向上などの利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-61791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、カッターチャンバーへ気泡が供給される土圧式工法では、カッターチャンバー内で気泡が破泡したり、時間が経過することで消泡し、カッターチャンバーの上部にエア溜りが形成されることがある。このようなエア溜りが形成されると、カッターチャンバーの圧力が高いために、エア溜りのエアが地中を通過して地上に湧き上がって周囲の環境へ影響を及ぼすことがある。従来の技術では、そのようなエア溜りの形成を検出したり、エア溜りが形成されたときにそれを解除することが困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、カッターチャンバーの上部に形成されるエア溜りを解除することができるトンネル掘削機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の1つの側面からのトンネル掘削機は、カッターヘッドと、前記カッターヘッドとの間にカッターチャンバーを形成する隔壁と、前記カッターチャンバーへ気泡を供給する気泡供給装置と、前記カッターチャンバー内の気泡混合土砂を前記隔壁の下部から排出する主スクリューコンベヤと、前記カッターチャンバー内の気泡混合土砂を前記隔壁の上部から排出する副スクリューコンベヤと、を備える、ことを特徴とする。
【0008】
上記の構成によれば、副スクリューコンベヤにより隔壁の上部から気泡混合土砂が排出されるので、たとえカッターチャンバーの上部にエア溜りが形成されたとしても、そのエアを気泡混合土砂と共に排出することができる。これにより、エア溜りを解除することができる。
【0009】
また、本発明の別の側面からのトンネル掘削機は、カッターヘッドと、前記カッターヘッドとの間にカッターチャンバーを形成する隔壁と、前記カッターチャンバーへ気泡を供給する気泡供給装置と、前記カッターチャンバー内の気泡混合土砂を前記隔壁の下部から排出するスクリューコンベヤと、前記カッターチャンバーの上部と連通するように前記隔壁に接続されたエア抜き配管と、前記エア抜き配管に設けられた開閉弁と、を備える、ことを特徴とする。
【0010】
上記の構成によれば、カッターチャンバーの上部にエア溜りが形成されたときに開閉弁を開けば、そのエアをエア抜き配管を通じて排出することができる。これにより、エア溜りを解除することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カッターチャンバーの上部に形成されるエア溜りを解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係るトンネル掘削機の断面図である。
図2図1のII-II線に沿った断面図である。
図3】本発明の第2実施形態に係るトンネル掘削機の断面図である。
図4】エア抜き配管および開閉弁の断面図である。
図5】(a)は開閉弁を開いたときのエアの流れを示す図、(b)は開閉弁を閉じたときの洗浄水の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
図1および図2に、本発明の第1実施形態に係るトンネル掘削機1Aを示す。本実施形態では、トンネル掘削機1Aが内部でセグメント11を組み立てるシールド掘進機である。ただし、本発明は、シールド掘進機以外のトンネル掘削機にも適用可能である。
【0014】
具体的に、トンネル掘削機1Aは、地山を掘削するカッターヘッド21と、カッターヘッド21を後述するカッタードラム23を介して回転可能に支持する掘削機本体10を含む。
【0015】
本実施形態では、トンネル掘削機1Aの断面形状が円形状である。ただし、トンネル掘削機1Aの断面形状は、矩形状などのその他の形状であってもよい。以下では、説明の便宜上、トンネル掘削機1Aの進行方向を前方、その反対方向を後方という。
【0016】
掘削機本体10は、筒状の胴体4と、胴体4の前側開口を閉塞する隔壁3を含む。隔壁3はカッターヘッド21と対向しており、隔壁3とカッターヘッド21との間にはカッターチャンバー20が形成されている。
【0017】
カッターヘッド21の後方には、環状のカッタードラム23が配置されている。カッターヘッド21とカッタードラム23とは複数の支柱22により連結されている。
【0018】
カッタードラム23は、隔壁3をリング状の外側隔壁31と円盤状の内側隔壁32とに分断するように設けられている。図示は省略するが、外側隔壁31の内周縁からはカッタードラム23の外周面と対向する周壁が延びており、それらの間が複数の土砂シールでシールされる。同様に、内側隔壁32の外周縁からはカッタードラム23の内周面と対向する周壁が延びており、それらの間が複数の土砂シールでシールされる。
【0019】
また、カッターヘッド21の中央部は、内側隔壁32の中央部とロータリジョイント24によって接続されている。ロータリジョイント24は中空であり、内部に配管などが配索可能である。
【0020】
さらに、トンネル掘削機1Aは、カッターヘッド21の前方の空間およびカッターチャンバー20へ気泡を供給する気泡供給装置7と、カッターチャンバー20の上部へ充填材を供給可能な充填材供給装置8を含む。例えば、「カッターチャンバー20の上部」とは、カッターチャンバー20の中心を通る鉛直線上でカッターチャンバー20の直径を三等分したときの上側1/3の領域をいう。
【0021】
気泡供給装置7は、気泡発生装置71と、内側隔壁32に設けられた気泡供給口7aと気泡発生装置71とを接続する第1気泡供給ライン72と、カッターヘッド21に設けられた気泡供給口7bと気泡発生装置71とを接続する第2気泡供給ライン73を含む。第2気泡供給ライン73は、上述したロータリジョイント24の内部を通って延びている。
【0022】
気泡発生装置71は、界面活性剤を含む気泡剤(水溶液)と空気とを混合することで、シェービングクリーム状の気泡を発生させる。図示は省略するが、気泡剤を貯留する気泡剤タンクは地上に設置され、この気泡剤タンクと気泡発生装置71とが縦穴を通って延びる気泡剤供給ラインにより接続される。カッターチャンバー20内では、掘削土砂が気泡と混合されて気泡混合土砂となる。
【0023】
充填材供給装置8は、カッターチャンバー20の上部と連通する1つまたは複数の充填材供給口80と充填材を貯留する充填材タンク81とを接続する充填材供給ライン82と、充填材供給ライン82に設けられたポンプ83を含む。また、充填材供給ライン82には、充填材供給口80近くに開閉弁84が設けられている。
【0024】
本実施形態では、2つの充填材供給口80が外側隔壁31の上部に設けられている。ただし、充填材供給口80は、後ろ向きに開口するようにカッターヘッド21に設けられてもよい。この場合、充填材供給ライン82は、ロータリジョイント24の内部を通って延びるように配索される。あるいは、充填材供給口80は、胴体4における隔壁3よりも前側部分(カッターチャンバー20を径方向外側から取り囲む部分、いわゆるフード)に設けられてもよい。
【0025】
充填材としては、各種の加泥材(例えばベントナイトなど)が採用可能である。充填材タンク81は、地上に設置されてもよいし掘削機本体10内に設置されてもよい。あるいは、充填材タンク81は、トンネル掘削機1Aに牽引される後続台車に設置されてもよい。
【0026】
充填材が加泥材である場合、充填材供給口80は、外側隔壁31の全周に亘って所定のピッチで設けられてもよい。この場合、充填材供給ライン82が充填材供給口80と同数の分岐路を含み、これらの分岐路のそれぞれに開閉弁84が設けられてもよい。さらに、充填材が加泥材である場合、充填材供給口80は、隔壁3だけでなくカッターヘッド21にも設けられてもよい。つまり、充填材が加泥材である場合は、カッターチャンバー20へ加泥材を供給する加泥材供給装置の一部を充填材供給装置8として用いてもよい。
【0027】
掘削機本体10の内部には、気泡混合土砂を搬送するための第1主スクリューコンベヤ51、第2主スクリューコンベヤ52および副スクリューコンベヤ61が設けられている。これらのスクリューコンベヤ51,52,61のそれぞれは、管状のケーシングと、当該ケーシング内に配置されたオーガを含む。
【0028】
第1主スクリューコンベヤ51は、外側隔壁31の下部から斜め上向きに延びており、カッターチャンバー20内の気泡混合土砂を外側隔壁31の下部から排出する。第2主スクリューコンベヤ52は、第1主スクリューコンベヤ51の下流側に配置された搬送装置である。
【0029】
第2主スクリューコンベヤ52は、第1主スクリューコンベヤ51と接続されており、第1主スクリューコンベヤ51の下流側開口(ケーシングの後側開口)から後向きに延びている。第2主スクリューコンベヤ52は、第1主スクリューコンベヤ51により搬送された気泡混合土砂を後方に搬送する。
【0030】
副スクリューコンベヤ61は、外側隔壁31の上部から後向きに延びており、カッターチャンバー20内の気泡混合土砂を外側隔壁31の上部から排出する。本実施形態では、上述した2つの充填材供給口80が、副スクリューコンベヤ61の水平方向の両側に位置する。
【0031】
第2主スクリューコンベヤ52には中間投入口53が設けられており、この中間投入口53が配管62により副スクリューコンベヤ61の下流側開口(ケーシングの後側開口)と接続されている。つまり、配管62は、副スクリューコンベヤ61により搬送された気泡混合土砂を第2主スクリューコンベヤ52へ導く役割を果たす。
【0032】
本実施形態では、配管62が、全長に亘ってフレキシブルに構成されている。例えば、配管62は、蛇腹ホースである。ただし、配管62は、一部のみがフレキシブルに構成されてもよい。あるいは、配管62は、全長に亘って折れ曲がり不能な固定配管であってもよい。
【0033】
さらに、本実施形態では、副スクリューコンベヤ61により搬送された気泡混合土砂の見掛比重を検出する検出器65が採用されている。本実施形態では、検出器65が、配管62の一部の重量を計測し、その計測された重量から気泡混合土砂の見掛比重を算出する。ただし、検出器65はこれに限られるものではない。例えば、検出器65は、γ線により気泡混合土砂の密度を計測し、その計測された密度から気泡混合土砂の見掛比重を算出してもよい。
【0034】
上述した充填材供給装置8は、検出器65により検出された気泡混合土砂の見掛比重が設定値よりも低い場合にカッターチャンバー20の上部へ充填材を供給し、検出された見掛比重が設定値よりも高い場合は充填材の供給を行わない。
【0035】
以上説明したように、本実施形態のトンネル掘削機1Aでは、副スクリューコンベヤ61により隔壁3の上部から気泡混合土砂が排出されるので、たとえカッターチャンバー20の上部にエア溜りが形成されたとしても、そのエアを気泡混合土砂と共に排出することができる。これにより、エア溜りを解除することができる。
【0036】
また、本実施形態では、配管62により副スクリューコンベヤ61が第2主スクリューコンベヤ52と接続されているので、副スクリューコンベヤ61により搬送された気泡混合土砂を第1主スクリューコンベヤ51を含む主排出経路に投入することができる。
【0037】
さらに、本実施形態では、副スクリューコンベヤ61により搬送された気泡混合土砂の見掛比重を検出する検出器65が採用されているので、気泡混合土砂中のエアの混入量を把握することができる。これにより、カッターチャンバー20の上部にエア溜りが形成されたか否かを検出できるとともに、エア溜りが形成された場合はその状態を監視することができる。
【0038】
検出器65により検出された気泡混合土砂の見掛比重が設定値よりも低い場合は、気泡混合土砂中に比較的に多くのエアが混入しており、カッターチャンバー20の上部にエア溜りが形成されていると判定可能である。従って、その場合に、充填材供給装置8がカッターチャンバー20の上部へ充填材を供給するとともに、副スクリューコンベヤ61によりエア溜りのエアを排出すれば、エア溜りを充填材に置換することができる。
【0039】
(第2実施形態)
図3に、本発明の第2実施形態に係るトンネル掘削機1Bを示す。このトンネル掘削機1Bでは、副スクリューコンベヤ61の代わりに、エア抜き配管91が採用されている。エア抜き配管91は、カッターチャンバー20の上部と連通するように外側隔壁31に接続されている。エア抜き配管91には、開閉弁94が設けられている。
【0040】
本実施形態では、エア抜き配管91が、図4に示すように、外側隔壁31を貫通するストレートな第1配管92と、第1配管92の外周面に接続された、屈曲する第2配管93を含む。第1配管92には第2配管93用の開口92aが設けられており、この開口92aを通じて第1配管92の内部と第2配管93の内部とが連通している。
【0041】
また、本実施形態では、開閉弁94が、第1配管92内に摺動可能に挿入されたピストン95と、第1配管92と同軸上に配置されたジャッキ96を含む。ジャッキ96は、ピストン95を図4及び図5(b)に示す閉位置と図5(a)に示す開位置との間で移動させる。閉位置は、ピストン5が第1配管92における外側隔壁31側の先端部を閉塞する位置であり、開位置は、外側隔壁31から開口92aよりも遠い位置である。
【0042】
さらに、本実施形態では、第1配管92の外周面に、第1配管92へ洗浄水を供給するための洗浄配管97が接続されている。第1配管92には洗浄配管97用の開口92bが設けられており、この開口92bを通じて第1配管92の内部と洗浄配管97の内部とが連通している。なお、図示は省略するが、第2配管93はドレンタンクまで延びており、このドレンタンクに洗浄水が貯留可能である。
【0043】
本実施形態のトンネル掘削機1Bでは、カッターチャンバー20の上部にエア溜りが形成されたときに開閉弁94を開けば、そのエアを図5(a)に示すようにエア抜き配管91を通じて排出することができる。これにより、エア溜りを解除することができる。
【0044】
さらに、開閉弁94を開いたときに、充填材供給装置8がカッターチャンバー20の上部へ充填材を供給すれば、エア溜りを充填材に置換することができる。
【0045】
ところで、開閉弁94はバタフライ弁であってもよいが、この場合には、バタフライ弁を閉じる際にエア抜き配管91とバタフライ弁との間に土砂が噛み込むことによってバタフライ弁が完全に閉じないおそれがある。これに対し、本実施形態のように開閉弁94がピストン式であれば、ピストン95が開位置に位置するときに第1配管92内に土砂が流入していても、ピストン95を閉位置に移動することで、その土砂を第1配管92から押し出すことができる。しかも、閉位置ではピストン95によって第1配管92の先端部が閉塞されるので、第1配管92内に掘削土砂が溜まることが防止される。
【0046】
さらに、本実施形態では、洗浄配管97が採用されているので、図5(b)に示すようにピストン95が閉位置に位置するときに洗浄配管97から第1配管92を通じて第2配管93へ洗浄水を流せば、第1配管92および第2配管93内に土砂が溜まっていても、それを洗い流すことができる。
【0047】
(変形例)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0048】
例えば、第2主スクリューコンベヤ52は省略されてもよい。第1実施形態で第2主スクリューコンベヤ52が省略される場合、第1主スクリューコンベヤ51に中間投入口が設けられ、配管62が副スクリューコンベヤ61により搬送された気泡混合土砂を第1主スクリューコンベヤ51へ導いてもよい。
【0049】
また、充填材供給装置8は必ずしも必要ではなく、省略可能である。
【0050】
(まとめ)
本発明の1つの側面からのトンネル掘削機は、カッターヘッドと、前記カッターヘッドとの間にカッターチャンバーを形成する隔壁と、前記カッターチャンバーへ気泡を供給する気泡供給装置と、前記カッターチャンバー内の気泡混合土砂を前記隔壁の下部から排出する主スクリューコンベヤと、前記カッターチャンバー内の気泡混合土砂を前記隔壁の上部から排出する副スクリューコンベヤと、を備える、ことを特徴とする。
【0051】
上記の構成によれば、副スクリューコンベヤにより隔壁の上部から気泡混合土砂が排出されるので、たとえカッターチャンバーの上部にエア溜りが形成されたとしても、そのエアを気泡混合土砂と共に排出することができる。これにより、エア溜りを解除することができる。
【0052】
上記のトンネル掘削機は、前記副スクリューコンベヤにより搬送された気泡混合土砂を前記主スクリューコンベヤまたは前記主スクリューコンベヤの下流側に配置された搬送装置へ導く配管をさらに備えてもよい。この構成によれば、副スクリューコンベヤにより搬送された気泡混合土砂を主スクリューコンベヤを含む主排出経路に投入することができる。
【0053】
上記のトンネル掘削機は、前記副スクリューコンベヤにより搬送された気泡混合土砂の見掛比重を検出する検出器をさらに備えてもよい。この構成によれば、気泡混合土砂中のエアの混入量を把握することができる。これにより、カッターチャンバーの上部にエア溜りが形成されたか否かを検出できるとともに、エア溜りが形成された場合はその状態を監視することができる。
【0054】
例えば、前記検出器は、前記配管の一部の重量を計測し、その計測された重量から前記気泡混合土砂の見掛比重を算出してもよい。
【0055】
上記のトンネル掘削機は、前記検出器により検出された気泡混合土砂の見掛比重が設定値よりも低い場合に前記カッターチャンバーの上部へ充填材を供給する充填材供給装置をさらに備えてもよい。検出器により検出された気泡混合土砂の見掛比重が設定値よりも低い場合は、気泡混合土砂中に比較的に多くのエアが混入しており、カッターチャンバーの上部にエア溜りが形成されていると判定可能である。そして、このような場合に、カッターチャンバーの上部へ充填材を供給するとともに、副スクリューコンベヤによりエア溜りのエアを排出すれば、エア溜りを充填材に置換することができる。
【0056】
また、本発明の別の側面からのトンネル掘削機は、カッターヘッドと、前記カッターヘッドとの間にカッターチャンバーを形成する隔壁と、前記カッターチャンバーへ気泡を供給する気泡供給装置と、前記カッターチャンバー内の気泡混合土砂を前記隔壁の下部から排出するスクリューコンベヤと、前記カッターチャンバーの上部と連通するように前記隔壁に接続されたエア抜き配管と、前記エア抜き配管に設けられた開閉弁と、を備える、ことを特徴とする。
【0057】
上記の構成によれば、カッターチャンバーの上部にエア溜りが形成されたときに開閉弁を開けば、そのエアをエア抜き配管を通じて排出することができる。これにより、エア溜りを解除することができる。
【0058】
エア抜き配管は、前記隔壁を貫通するストレートな第1配管と、前記第1配管の外周面に接続された第2配管を含み、前記開閉弁は、前記第1配管内に摺動可能に挿入されたピストンと、前記ピストンを、前記第1配管における前記隔壁側の先端部を閉塞する閉位置と、前記第1配管に設けられた前記第2配管用の開口よりも前記隔壁から遠い開位置との間で移動させるジャッキを含んでもよい。開閉弁はバタフライ弁であってもよいが、この場合には、バタフライ弁を閉じる際にエア抜き配管とバタフライ弁との間に土砂が噛み込むことによってバタフライ弁が完全に閉じないおそれがある。これに対し、上記の構成のように開閉弁がピストン式であれば、ピストンが開位置に位置するときに第1配管内に土砂が流入していても、ピストンを閉位置に移動することで、その土砂を第1配管から押し出すことができる。しかも、閉位置ではピストンによって第1配管の先端部が閉塞されるので、第1配管内に掘削土砂が溜まることが防止される。
【0059】
前記第1配管の外周面には、前記第1配管へ洗浄水を供給するための洗浄配管が接続されてもよい。この構成によれば、ピストンが閉位置に位置するときに洗浄配管から第1配管を通じて第2配管へ洗浄水を流せば、第1配管および第2配管内に土砂が溜まっていても、それを洗い流すことができる。
【0060】
上記のトンネル掘削機は、前記カッターチャンバーの上部へ充填材を供給可能な充填材供給装置をさらに備えてもよい。この構成によれば、エア溜りを充填材に置換することができる。
【符号の説明】
【0061】
1A,1B トンネル掘削機
20 カッターチャンバー
21 カッターヘッド
3 隔壁
51 第1主スクリューコンベヤ
52 第2主スクリューコンベヤ
61 副スクリューコンベヤ
62 配管
65 検出器
7 気泡供給装置
8 充填材供給装置
91 エア抜き配管
92 第1配管
92a,92b 開口
93 第2配管
94 開閉弁
95 ピストン
96 ジャッキ
97 洗浄配管
図1
図2
図3
図4
図5