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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】パウダー容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 33/00 20060101AFI20240520BHJP
【FI】
A45D33/00 650E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021091415
(22)【出願日】2021-05-31
(65)【公開番号】P2022183893
(43)【公開日】2022-12-13
【審査請求日】2023-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100165607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一成
(74)【代理人】
【識別番号】100196690
【弁理士】
【氏名又は名称】森合 透
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 浩通
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 博
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-016708(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-1013327(KR,B1)
【文献】米国特許第01794344(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 33/00、33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口筒部(13)を有してパウダー(P)を収容する容器本体(10)と、固定側メッシュシート(23)を有して前記口筒部(13)に固定された固定中皿(20)と、前記固定側メッシュシート(23)に上に重ねて配置される回転側メッシュシート(33)を有して前記固定中皿(20)の上部に回転可能に設けられた回転中皿(30)と、前記口筒部(13)に対して螺着される上蓋(40)とを備えるパウダー容器であって、
固定側メッシュシート(23)及び前記回転側メッシュシート(33)は、共に格子状に交差する複数の縦線と横線とを有して形成されており、
前記上蓋(40)で前記口筒部(13)を閉塞した閉蓋状態では、固定側メッシュシート(23)の縦線及び横線によって形成される開孔の上に、回転側メッシュシート(33)の縦線及び横線が夫々傾斜にクロスする状態で配置され、
前記上蓋(40)を回して前記口筒部(13)から取り外した開蓋状態では、前記固定側メッシュシート(23)の縦線及び横線の上に、前記回転側メッシュシート(33)の縦線及び横線の各方向が一致する状態で配置されるようにしたことを特徴とするパウダー容器。
【請求項2】
固定側メッシュシート(23)及び回転側メッシュシート(33)が同じメッシュサイズで形成されている請求項1記載のパウダー容器。
【請求項3】
回転側メッシュシート(33)が固定側メッシュシート(23)の上に、近接する状態又は接触する状態で配置されている請求項1又は2記載のパウダー容器。
【請求項4】
固定中皿(20)と回転中皿(30)の一方に規制リブ(24)を設け、他方に前記規制リブの相対的な周方向への所定範囲内での移動の許容と所定範囲外への移動を規制する規制凹部(35)が設けられている請求項求項1乃至3のいずれか一項に記載のパウダー容器。
【請求項5】
回転中皿(30)の回転側側壁(31)の内周面に回転側リブ(34)を設け、上蓋(40)の頂壁部(41)の下面に前記回転側リブ(34)を周方向に押圧すると共に周方向に乗り越え可能に形成された上蓋側リブ(44)が垂下設されている請求項1乃至4のいずれか一項に記載のパウダー容器。
【請求項6】
閉蓋状態と開蓋状態の間における回転中皿(30)の回転角度が45度に設定されている請求項1乃至5のいずれか一項に記載のパウダー容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッシュシートを備えるパウダー容器に関する。
【背景技術】
【0002】
メッシュシートを備えるパウダー容器は、例えば容器本体10と、パウダー(内容物)を収容する収容空間を備えた内容器と、メッシュシートを底壁に配置したトレイと、容器本体を上方から閉塞する蓋体を有して構成されている(例えば、特許文献1参照)。
そして、パフをメッシュシートに当接させ、内容器の底壁に向けて下方に押し込むと、メッシュシートの中央部分が撓むため、メッシュシートの開孔を通してパフにパウダーを適量付着させることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-89013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、パウダーの粉末はその粒径が非常に小さく、容器を持ち運ぶ際にもメッシュシートを通過しやすい。このため、必要以上に過剰な量のパウダーがパフ保管室内の収容されているパフに付着したり、あるいは中皿や蓋の裏面等にパウダーが過剰に付着したりするため、蓋体を開けた際に周囲にパウダーが飛散してしまう虞があった。
この点、開孔が小さく網目の細かいメッシュシートを使用すれば、過剰な量のパウダーの通過を抑制することが可能となるが、メッシュシートを通過するパウダーの量が極端に少なくなって、使用時にパフにパウダーを適量付着させることが困難になり、また目詰まりも発生しやすくなるという問題を生じる。
【0005】
本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、蓋を閉じた不使用時にはパウダーの過剰な通過を抑制することができ、蓋を開けた使用時には適量のパウダーの通過を許容できるようにしたパウダー容器を創出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の主たる手段は、
口筒部を有してパウダーを収容する容器本体と、固定側メッシュシートを有して口筒部に固定された固定中皿と、固定側メッシュシートに上に重ねて配置される回転側メッシュシートを有して固定中皿20の上部に回転可能に設けられた回転中皿と、口筒部に対して螺着される上蓋とを備えるパウダー容器であって、
固定側メッシュシート及び回転側メッシュシートは、共に格子状に交差する複数の縦線と横線とを有して形成されており、
上蓋で口筒部を閉塞した閉蓋状態では、固定側メッシュシートの縦線及び横線によって形成される開孔の上に、回転側メッシュシートの縦線及び横線が夫々傾斜にクロスする状態で配置され、上蓋を回して口筒部から取り外した開蓋状態では、固定側メッシュシートの縦線及び横線の上に、回転側メッシュシートの縦線及び横線の各方向が一致する状態で配置されるようにしたことを特徴とする、と云うものである。
本発明の主たる手段では、閉蓋状態にしたときには両メッシュシートの開孔率を低く(目を細かく)することができるため、不使用状態において必要以上に多量のパウダーがパウダー収容室から両メッシュシートを通過してパフ保管室に入り込むことを抑制することが可能となる。また開蓋状態にしたときには両メッシュシートの開孔率を高く(目を粗く)することができるため、パフを両メッシュシートに押し込んで撓み変形させることにより、パウダーをパフに適量付着させることが可能となる。
【0007】
また本発明の他の手段は、固定側メッシュシート及び回転側メッシュシートが同じメッシュサイズで形成されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、両メッシュシートを構成する縦線と横線の密集度が等しいため、固定側メッシュシートに設けられている多数の開孔の上に、回転側メッシュシートの縦線及び横線を確実に配置することが可能となり、結果として開孔率のばらつきを抑制することができる。
【0008】
また本発明の他の手段は、上記いずれかの手段に、回転側メッシュシートが固定側メッシュシートの上に、近接する状態又は接触する状態で配置されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、回転中皿を回転させると、両メッシュシートがパウダーを介して間接的に又は直接的に擦れ合うことが可能となるため、結果として開孔部分に付着しているパウダーを除去し目詰まりを解消することができる。
【0009】
また本発明の他の手段は、上記いずれかの手段に、固定中皿と回転中皿の一方に規制リブを設け、他方に前記規制リブの相対的な周方向への所定範囲内での移動の許容と所定範囲外への移動を規制する規制凹部が設けられている、との手段を加えたものである。
上記手段では、回転中皿が回転する範囲を設定できるため、閉蓋状態にしたときには確実に両メッシュシートの開孔率を低くすることができ、また開蓋状態にしたときには確実に両メッシュシートの開孔率を高くすることができる。
【0010】
また本発明の他の手段は、上記いずれかの手段に、回転中皿の回転側側壁の内周面に回転側リブを設け、上蓋の頂壁部の下面に回転側リブを周方向に押圧すると共に周方向に乗り越え可能に形成された上蓋側リブが垂下設されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、回転中皿の所定の回転角度内における回転を、上蓋の開蓋操作及び閉蓋操作に連動して行わせることができる。
【0011】
また本発明の他の手段は、上記いずれかの手段に、閉蓋状態と開蓋状態の間における回転中皿の回転角度が45度に設定されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、回転中皿を反時計回り方向に45度回転させることにより両メッシュシートの開孔率を高くすることができ、また時計回り方向に45度回転させることにより両メッシュシートの開孔率を低くすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、上蓋を開蓋状態に設定すると内部に設けられた両メッシュシートの開孔率を高く(目を粗くする)することができるため、両メッシュシートを通過するパウダーの量を適量に設定することが可能となる。また上蓋を閉蓋状態に設定すると両メッシュシートの開孔率を低く(目を細く)することができるため、過剰な量のパウダーが両メッシュシートを通過することを抑制することができ、中皿や上蓋の裏面等にパウダーが過剰に付着すること及び上蓋を開けた際に周囲にパウダーが飛散してしまうことを防止することができる。
また回転側メッシュシートは固定側メッシュシートの上に、接触する状態で又は近接する状態で配置されているので、回転中皿を回転させると、両メッシュシートはパウダーを介して間接的に又は直接的に擦れ合うことが可能となるため、両メッシュシートの開孔部分に付着しているパウダーを除去して目詰まりを解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例としてのパウダー容器を示し、(a)は閉蓋状態(不使用時)における縦断面図、(b)は(a)のb-b線における平断面図である。
図2図1(b)に示すII部の部分拡大図である。
図3】(a)は開蓋時を示すパウダー容器の縦断面図、(b)は(a)のb-b線における平断面図である。
図4】(a)は開蓋後の使用状態を示すパウダー容器の断面図、(b)は(a)のb-b線における平断面図である。
図5】(a)は閉蓋時の状態を示すパウダー容器の縦断面図、(b)は(a)のb-b線における平断面図である。
図6図5(b)に示すVI部の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
以下の説明において、回転方向(周方向)とは容器軸Oを中心とする時計回り方向又は反時計回り方向を意味する。また径方向とは容器軸Oに直交する方向を意味する。尚、容器軸Oは互いに直交するx軸とy軸の交点に対して鉛直方向に延びて垂直に交差する軸である。
【0015】
パウダー容器1は、粉末状の化粧料(パウダーP)を収容するための容器であり、容器本体10と、中皿を構成する固定中皿20及び回転中皿30と、容器本体10を閉塞する上蓋40とを有して構成される。
図1(a)(b)に示すように、容器本体10は、円板状の底部11の外周縁に円筒状の側壁12が起立する有底筒状の部材であり、この内部のパウダー収容室S1内にパウダーPを収容することが可能となっている。側壁12の上部には外周面に雄ネジ14が刻設された口筒部13が形成され、更に口筒部13の上端には環状に形成された被嵌合壁15が周設されている。
【0016】
中皿を構成する一方の固定中皿20は、短円筒状の固定側側壁21と、固定側側壁21の外周面の中間位置から先端が下方に向かって直角に屈曲する断面鈎状を有して周設された固定側嵌合部22と、固定側側壁21の下端に水平に配置された固定側メッシュシート23とを有して形成されている。また固定側嵌合部22の上面で且つ固定側側壁21の外周面上の一箇所の位置には径方向外側に向かって突出する規制リブ24が形成されている。固定側嵌合部22が容器本体10側の被嵌合壁15に嵌合することにより、固定中皿20は容器本体10に対して不動に組み付き固定されている。
【0017】
図1(a)に示すように、中皿を構成する他方の回転中皿30は、短円筒状の回転側側壁31と、回転側側壁31から径方向外側に向かって延び得ると共に先端が下方に向かって直角の屈曲する断面鈎状を有して周設された回転側嵌合部32と、回転側側壁31の下端に水平に配置された回転側メッシュシート33とを有して形成されている。
【0018】
回転側側壁31の内周面上の一箇所の位置には、径方向内側に向かって突出すると共に鉛直方向に延びる回転側リブ34が形成されている。また図1(b)及び図2に示すように、回転側嵌合部32の下端側の内周面の一箇所の位置には、中心角θ(本実施例ではθ=45度)の範囲に亘って円弧状に切欠かれて成る規制凹部35が形成されている。規制凹部35の内周面で且つ周方向の両端近傍の位置には径方向内側に向かって突出する保持凸部36a、36bが形成されている。
回転側嵌合部32は、固定中皿20の固定側側壁21の上端に嵌合可能であると共に、嵌合した状態で固定側側壁21に沿って周方向に摺動可能に構成されている。
【0019】
固定中皿20の規制リブ24は、回転中皿30の規制凹部35内に配置されている。回転中皿30は、規制凹部35の一方の端部35aが規制リブ24に当接する位置まで時計回り方向に回転することが可能であり、同様に規制凹部35の他方の端部35bが規制リブ24に当接する位置まで反時計回り方向に回転することが可能である。すなわち、回転中皿30は固定中皿20に対して周方向に中心角θ(=45度)の範囲で回転することが可能に構成されている。
【0020】
尚、一方の端部35aから時計回り方向に少し離れた規制凹部35の内周面には、規制リブ24が乗り越え可能であると共に一方の端部35aとの間に規制リブ24を保持する保持凸部36aが突設され、同様に他方の端部35bから反時計回り方向に少し離れた規制凹部35の内周面には、規制リブ24が乗り越え可能であると共に他方の端部35bとの間に規制リブ24を保持する保持凸部36bが突設されている。
【0021】
固定側メッシュシート23と回転側メッシュシート33とは、共に格子状に交差する複数の縦線と横線を有して伸縮可能な合成樹脂材料で形成されている。両メッシュシート23、33のメッシュサイズは収容されるパウダーPの平均粒径によって異なるが、本実施例では線径0.3mm、目開き(隣接する線間の距離)0.6mmと同一サイズのメッシュシートが使用されている。
このように両メッシュシート23、33のメッシュサイズを同一とすると、両メッシュシート23、33の縦線と横線の密集度が等しくなることから、固定側メッシュシート23に設けられている多数の開孔の上に、回転側メッシュシート33の縦線及び横線を確実に配置することが可能となり、結果として開孔率のばらつきを抑制することができる。
【0022】
一方の固定側メッシュシート23は、固定中皿20の下端に、縦線及び横線をx軸及びy軸に対して夫々平行に設定された状態で固定されている。これに対し、他方の回転側メッシュシート33は、図1(b)の閉蓋状態において、すなわち一方の端部35aと保持凸部36aとの間に規制リブ24が固定されている状態(図2参照)において、縦線及び横線がx軸及びy軸に対して夫々45度傾く状態に設定されている。
【0023】
図1(a)に示すように、上蓋40は円板状の頂壁部41の外周端に短筒状の側壁42が垂下設された有頂円筒状の部材であり、その側壁42の内周面の下端側には容器本体10の口筒部13に形成された雄ネジ14に螺合する雌ネジ43が刻設されている。また頂壁部41の内面には、下方に延びて回転中皿30の回転側リブ34に周方向から当接可能な上蓋側リブ44が垂下設されている。尚、上蓋側リブ44は基端(上端)を支点として先端(下端)側が周方向に弾性変形可能に構成されている。
そして、上蓋40は、側壁42を容器本体10の口筒部13に外挿させながら雄ネジ14と雌ネジ43とを螺合させることにより、容器本体10に装着することが可能となっている。
【0024】
図1(a)に示すように、容器本体10に固定中皿20を取り付けて固定し、固定中皿20の上に回転中皿30を回転可能に組み付けた状態では、回転側メッシュシート33は固定側メッシュシート23に対して高さ方向において近接する状態又は接触する状態で配置される。尚、回転側メッシュシート33と固定側メッシュシート23との高さ方向の対向間隔は、0mm以上で且つパウダーPの平均粒径以下が好ましいが、これに限られるものではない。
【0025】
パウダーPは、両メッシュシート23、33と容器本体10の底部11とが高さ方向において対向するパウダー収容室S1に収容される。また上蓋40を容器本体10に装着させた状態において、上蓋40の頂壁部41と両メッシュシート23、33とが高さ方向において対向する部分にはパフ保管室S2が形成されており、このパフ保管室S2内にはパフPfが収容される。
【0026】
次に、上記構成からなるパウダー容器の使用方法について説明する。
図1(a)に示す閉蓋状態(不使用時(流通時や携行時))では、固定側メッシュシート23の縦線及び横線はx軸及びy軸に対して夫々平行に配置されているのに対し、回転側メッシュシート33の縦線及び横線はx軸及びy軸に対して夫々45度傾斜した状態にある。このため、両メッシュシート23、33を上方から覗くと、下側の固定側メッシュシート23の縦線と横線との開孔の上に、上側の回転側メッシュシート33の縦線及び横線が傾斜状にクロスする状態で配置され、全体的に目が細かい状態にある。すなわち、両メッシュシート23、33が上下に重なったメッシュシート全体の開孔率を、各メッシュシート23、33単独の場合に比較して低下させた状態に設定されている。
【0027】
このため、図1(a)(b)に示す閉蓋状態においては、必要以上に過剰な量のパウダーPがパウダー収容室S1から両メッシュシート23、33を通過してパフ保管室S2に入り込むことを抑制することが可能である。これにより、過剰な量のパウダーPが両メッシュシート23、33を通過することを抑制することができ、パフ保管室S2を構成する頂壁部41の裏面にパウダーPが過剰に付着すること及び上蓋40を開けた際に周囲にパウダーが飛散してしまうことを防止することができる。
【0028】
上蓋40を容器本体10から取り外して開蓋状態とするには、上蓋40を反時計回り方向に回転させることにより行う。
図1(a)(b)に示す閉蓋状態から上蓋40を反時計回り方向に回転させると、上蓋側リブ44が回転側リブ34に当接して周方向に押圧するため、回転中皿30は上蓋40と一緒に反時計回り方向に回転する。この際、規制リブ24が、回転中皿30の一方の保持凸部36aを相対的に時計回り方向に乗り越え、更に規制凹部35内を移動する。そして、図3(a)(b)に示すように、上蓋40の反時計回り方向への回転角度が45度になると、規制リブ24は他方の保持凸部36bを相対的に乗り越え、他方の端部35bに当接するため、回転中皿30の反時計回り方向への回転が規制される。この間、回転中皿30は上蓋40と一緒に反時計回り方向に45度回転することになる。尚、規制リブ24は保持凸部36bと他方の端部35bとの間に保持される。
続けて上蓋40を反時計回り方向に回転させると、上蓋側リブ44が回転側リブ34を反時計回り方向の乗り越えるため、上蓋40を容器本体10から取り外すことができる。
【0029】
図4(a)(b)に示すように、開蓋後の使用状態では、回転中皿30が反時計回り方向に45度回転しているため、回転側メッシュシート33の縦線及び横線をx軸及びy軸に対して平行を成す状態に設定される。これにより、固定側メッシュシート23の縦線及び横線の上に、回転側メッシュシート33の縦線及び横線の各方向が一致する状態で重なるため、閉蓋状態の場合に比較し、両メッシュシート23、33の全体の目を粗くすることができる。すなわち、両メッシュシート23、33が上下に重なったメッシュシート全体の開孔率を、各メッシュシート23、33単独の場合と同等となる程度に高めることが可能となる。
【0030】
よって、図4(a)に示すように、上からパフPfを両メッシュシート23、33に押し込んで撓み変形させることにより、両メッシュシート23、33の粗い目の開孔を通してパウダーPをパフPfに適量付着させることが可能となる。
【0031】
使用後は、上蓋40を容器本体10の口筒部13上に載せて雄ネジ14と雌ネジ43とをかみ合わせ、上蓋40を時計回り方向に回して螺着させる閉蓋操作を行うことにより、上蓋40を容器本体10に再装着することができる。尚、使用後に上蓋40を容器本体10の口筒部13上に載せた直後の状態は、図3(b)と同様である。
【0032】
容器本体10の口筒部13上に載せた上蓋40を時計回り方向に回転させると、上蓋側リブ44が回転側リブ34に当接して押圧するため、上蓋40と一緒に回転中皿30を時計回り方向に回転させることができる。図5(a)(b)及び図6に示すように、図3(b)同様の位置から回転中皿30が時計回り方向に45度回転すると、回転中皿30側の規制凹部35の一方の端部35aが、規制リブ24に当接するため、回転中皿30の時計回り方向への回転が規制される。続けて上蓋40を時計回り方向に回転させると、上蓋40のみが回転し、上蓋側リブ44が回転側リブ34を時計回り方向に乗り越えるため、パウダー容器1を図1(a)(b)に示す閉蓋状態に戻すことができる。
【0033】
上記のように、本発明では、上蓋40を介して回転中皿30を45度の範囲で回転させることにより、固定側メッシュシート23と回転側メッシュシート33の開孔率を調整することが可能となっている。
また回転側メッシュシート33は固定側メッシュシート23の上に、接触する状態で又は近接する状態で配置されているので、回転中皿30を回転させると、両メッシュシート23、33はパウダーPを介して間接的に又は直接的に擦れ合うことが可能であり、結果として開孔部分に付着しているパウダーPを除去し目詰まりを解消することができる。
【0034】
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
【0035】
例えば、上記実施例では固定中皿20に規制リブ24を設け、回転中皿30側に規制リブ24の相対的な周方向への所定範囲内での移動の許容と所定範囲外への移動を規制する規制凹部35を設けた場合を示して説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではなく、固定中皿20に円弧状の規制凹部を設け、回転中皿30側に規制凹部内を周方向に移動可能な規制リブを設ける構成であってもよい。
【0036】
また上記実施例では、固定側メッシュシート23と回転側メッシュシート33は同じメッシュサイズの場合を好ましい例として説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではなく、異なるサイズのメッシュシートを使用する構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、メッシュシートを備えるパウダー容器の分野における用途展開を更に広い領域で図ることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 : パウダー容器
10 : 容器本体
11 : 底部
12 : 側壁
13 : 口筒部
14 : 雄ネジ
15 : 被嵌合壁
20 : 固定中皿
21 : 固定側側壁
22 : 固定側嵌合部
23 : 固定側メッシュシート
24 : 規制リブ
30 : 回転中皿
31 : 回転側側壁
32 : 回転側嵌合部
33 : 回転側メッシュシート
34 : 回転側リブ
35 : 規制凹部
35a : 規制凹部の一方の端部
35b: 規制凹部の他方の端部
36a、36b : 保持凸部
40 : 上蓋
41 : 頂壁部
42 : 側壁
43 : 雌ネジ
44 : 上蓋側リブ
O : 容器軸
P : パウダー
Pf : パフ
S1 : パウダー収容室
S2 : パフ保管室
図1
図2
図3
図4
図5
図6