(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】溶接データ処理装置、及び、溶接データ処理方法
(51)【国際特許分類】
B23K 31/00 20060101AFI20240520BHJP
【FI】
B23K31/00 K
(21)【出願番号】P 2023527134
(86)(22)【出願日】2021-06-07
(86)【国際出願番号】 JP2021021508
(87)【国際公開番号】W WO2022259290
(87)【国際公開日】2022-12-15
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】519355493
【氏名又は名称】日揮グローバル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100214248
【氏名又は名称】青山 純
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】周 斌
(72)【発明者】
【氏名】田中 信貴
(72)【発明者】
【氏名】白木 優平
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-010391(JP,A)
【文献】特開平10-148622(JP,A)
【文献】特開平08-096136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 31/00
B23K 9/095
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接箇所毎に、溶接条件と、前記溶接条件に従って実施された溶接工程における溶接実施記録とを溶接工程データベースに登録する溶接工程登録部と、
前記溶接箇所毎に、放射線透過検査工程にて取得された前記溶接箇所の画像データに基づいて前記溶接箇所における溶接の欠陥の有無が判定された結果を示す欠陥判定データを検査工程データベースに登録する検査工程登録部と、
前記溶接工程データベース及び前記検査工程データベースに登録された情報に基づいて、所定の処理を行う情報処理部とを備
え、
前記情報処理部は、
前記溶接条件及び前記溶接実施記録の少なくとも一方と、前記欠陥判定データとに基づいて、前記欠陥が発生したときの傾向を示す欠陥発生傾向を分析する欠陥分析部を備える、
溶接データ処理装置。
【請求項2】
前記溶接工程登録部は、
前記溶接工程を実施した溶接士を特定する溶接士識別情報、前記溶接士を管理する溶接管理者を特定する溶接管理者識別情報、及び、前記溶接士が所属する所属先を特定する所属先識別情報の少なくとも1つを前記溶接工程データベースに登録し、
前記欠陥分析部は、
前記溶接士、前記溶接管理者、及び、前記所属先のうち少なくとも1つを分析軸として、前記欠陥発生傾向を分析する、
請求項
1に記載の溶接データ処理装置。
【請求項3】
前記溶接工程登録部は、
前記溶接箇所が属する溶接現場を特定する溶接現場識別情報、及び、前記溶接現場が複数の溶接エリアに分割されて管理される場合に前記溶接箇所が属する前記溶接エリアを特定する溶接エリア識別情報の少なくとも1つを前記溶接工程データベースに登録し、
前記欠陥分析部は、
前記溶接現場、及び、前記溶接エリアのうち少なくとも1つを分析軸として、前記欠
陥発生傾向を分析する、
請求項
1又は請求項
2に記載の溶接データ処理装置。
【請求項4】
前記溶接工程登録部は、
前記溶接条件に従って前記溶接工程が実施されたときに当該溶接条件に対して前記溶接実施記録が逸脱している逸脱量を前記溶接工程データベースに登録し、
前記欠陥分析部は、
前記逸脱量を分析軸として、前記欠陥発生傾向を分析する、
請求項
1乃至請求項
3のいずれか1項に記載の溶接データ処理装置。
【請求項5】
前記溶接工程登録部は、
前記溶接条件に従って前記溶接工程が実施されたときの実施開始日時及び実施終了日時を、前記溶接実施記録として前記溶接工程データベースに登録し、
前記欠陥分析部は、
前記実施開始日時及び前記実施終了日時に基づく作業時間を分析軸として、前記欠陥発生傾向を分析する、
請求項
1乃至請求項
4のいずれか1項に記載の溶接データ処理装置。
【請求項6】
前記情報処理部は、
アシスト対象とする前記溶接箇所における前記溶接条件と、前記欠陥発生傾向とに基づいて、当該溶接箇所にて前記欠陥が発生すると予測される前記溶接実施記録の特徴を含むアシスト情報を生成する溶接アシスト部を備える、
請求項
1乃至請求項
5のいずれか1項に記載の溶接データ処理装置。
【請求項7】
前記情報処理部は、
予測対象とする前記溶接箇所における前記溶接条件及び前記溶接実施記録と、前記欠陥発生傾向とに基づいて、当該溶接箇所における前記欠陥の有無を予測する欠陥予測部を備える、
請求項
1乃至請求項
6のいずれか1項に記載の溶接データ処理装置。
【請求項8】
溶接箇所毎に、溶接条件と、前記溶接条件に従って実施された溶接工程における溶接実施記録とを溶接工程データベースに登録する溶接工程登録部と、
前記溶接箇所毎に、放射線透過検査工程にて取得された前記溶接箇所の画像データに基づいて前記溶接箇所における溶接の欠陥の有無が判定された結果を示す欠陥判定データを検査工程データベースに登録する検査工程登録部と、
前記溶接工程データベース及び前記検査工程データベースに登録された情報に基づいて、所定の処理を行う情報処理部とを備
え、
前記情報処理部は、
前記溶接条件及び前記溶接実施記録を入力データとし、当該溶接条件及び当該溶接実施記録に対する前記欠陥判定データを教師データとして学習データを構成し、
学習モデルに前記学習データを複数組入力することで、前記入力データと前記教師データとの相関関係を前記学習モデルに機械学習させる機械学習部を備える、
溶接データ処理装置。
【請求項9】
前記情報処理部は、
推論対象とする前記溶接箇所における前記溶接条件及び前記溶接実施記録を前記入力データとして前記学習モデルに入力することで、当該溶接箇所における前記欠陥の有無を推論する欠陥推論部を備える、
請求項
8に記載の溶接データ処理装置。
【請求項10】
溶接箇所毎に、溶接条件と、前記溶接条件に従って実施された溶接工程における溶接実施記録とを溶接工程データベースに登録する溶接工程登録部と、
前記溶接箇所毎に、放射線透過検査工程にて取得された前記溶接箇所の画像データに基づいて前記溶接箇所における溶接の欠陥の有無が判定された結果を示す欠陥判定データを検査工程データベースに登録する検査工程登録部と、
前記溶接工程データベース及び前記検査工程データベースに登録された情報に基づいて、所定の処理を行う情報処理部とを備
え、
前記溶接工程登録部は、
前記溶接箇所にて前記溶接工程を実施する溶接士が当該溶接箇所における前記溶接条件に従って前記溶接工程を実施する資格を保有するか否かの前記資格の適否が判定された結果を示す溶接士資格判定データを、前記溶接実施記録として前記溶接工程データベースに登録し、
前記溶接工程を実施した溶接士を特定する溶接士識別情報、前記溶接士を管理する溶接管理者を特定する溶接管理者識別情報、及び、前記溶接士が所属する所属先を特定する所属先識別情報の少なくとも1つを前記溶接工程データベースに登録し、
前記情報処理部は、
前記溶接実施記録に基づいて、前記溶接士、前記溶接管理者、及び、前記所属先のうち少なくとも1つを分析軸として、前記資格の不適格が発生したときの傾向を示す資格不適格発生傾向を分析する資格不適格分析部を備える、
溶接データ処理装置。
【請求項11】
溶接箇所毎に、溶接条件と、前記溶接条件に従って実施された溶接工程における溶接実施記録とを溶接工程データベースに登録する溶接工程登録部と、
前記溶接箇所毎に、放射線透過検査工程にて取得された前記溶接箇所の画像データに基づいて前記溶接箇所における溶接の欠陥の有無が判定された結果を示す欠陥判定データを検査工程データベースに登録する検査工程登録部と、
前記溶接工程データベース及び前記検査工程データベースに登録された情報に基づいて、所定の処理を行う情報処理部とを備
え、
前記溶接工程登録部は、
前記溶接実施記録が前記溶接条件に対して所定の逸脱判定基準を超えて逸脱しているか否かの逸脱の有無が判定された結果を示す逸脱判定データを、前記溶接実施記録として前記溶接工程データベースに登録し、
前記溶接工程を実施した溶接士を特定する溶接士識別情報、前記溶接士を管理する溶接管理者を特定する溶接管理者識別情報、及び、前記溶接士が所属する所属先を特定する所属先識別情報の少なくとも1つを前記溶接工程データベースに登録し、
前記情報処理部は、
前記溶接実施記録に基づいて、前記溶接士、前記溶接管理者、及び、前記所属先のうち少なくとも1つを分析軸として、前記逸脱が発生したときの傾向を示す逸脱発生傾向を分析する逸脱分析部を備える、
溶接データ処理装置。
【請求項12】
溶接箇所毎に、溶接条件と、前記溶接条件に従って実施された溶接工程における溶接実施記録とを溶接工程データベースに登録する溶接工程登録部と、
前記溶接箇所毎に、放射線透過検査工程にて取得された前記溶接箇所の画像データに基づいて前記溶接箇所における溶接の欠陥の有無が判定された結果を示す欠陥判定データを検査工程データベースに登録する検査工程登録部と、
前記溶接工程データベース及び前記検査工程データベースに登録された情報に基づいて、所定の処理を行う情報処理部とを備
え、
前記溶接工程登録部は、
前記溶接実施記録が前記溶接条件に対して所定の逸脱判定基準を超えて逸脱している
か否かの逸脱の有無が判定された結果を示す逸脱判定データを、前記溶接実施記録として前記溶接工程データベースに登録し、
前記溶接工程を実施した溶接士を特定する溶接士識別情報、前記溶接士を管理する溶接管理者を特定する溶接管理者識別情報、及び、前記溶接士が所属する所属先を特定する所属先識別情報の少なくとも1つを前記溶接工程データベースに登録し、
前記情報処理部は、
前記溶接条件と、前記溶接実施記録と、前記欠陥判定データとに基づいて、前記逸脱判定基準を設定する逸脱判定基準設定部を備える、
溶接データ処理装置。
【請求項13】
前記溶接工程登録部は、
前記溶接工程にて使用された溶接機の動作状態が記録された溶接機動作データを、前記溶接実施記録として前記溶接工程データベースに登録する、
請求項1
乃至請求項12のいずれか1項に記載の溶接データ処理装置。
【請求項14】
前記溶接工程登録部は、
前記溶接箇所の予熱状態が記録された予熱データを、前記溶接実施記録として前記溶接工程データベースに登録する、
請求項1
乃至請求項13のいずれか1項に記載の溶接データ処理装置。
【請求項15】
溶接箇所毎に、溶接条件と、前記溶接条件に従って実施された溶接工程における溶接実施記録とを溶接工程データベースに登録する溶接工程登録ステップと、
前記溶接箇所毎に、放射線透過検査工程にて取得された前記溶接箇所の画像データに基づいて前記溶接箇所における溶接の欠陥の有無が判定された結果を示す欠陥判定データを検査工程データベースに登録する検査工程登録ステップと、
前記溶接工程データベース及び前記検査工程データベースに登録された情報に基づいて、所定の処理を行う情報処理ステップとを備
え、
前記情報処理ステップは、
前記溶接条件及び前記溶接実施記録の少なくとも一方と、前記欠陥判定データとに基づいて、前記欠陥が発生したときの傾向を示す欠陥発生傾向を分析する欠陥分析ステップを備える、
溶接データ処理方法。
【請求項16】
溶接箇所毎に、溶接条件と、前記溶接条件に従って実施された溶接工程における溶接実施記録とを溶接工程データベースに登録する溶接工程登録ステップと、
前記溶接箇所毎に、放射線透過検査工程にて取得された前記溶接箇所の画像データに基づいて前記溶接箇所における溶接の欠陥の有無が判定された結果を示す欠陥判定データを検査工程データベースに登録する検査工程登録ステップと、
前記溶接工程データベース及び前記検査工程データベースに登録された情報に基づいて、所定の処理を行う情報処理ステップとを備
え、
前記情報処理ステップは、
前記溶接条件及び前記溶接実施記録を入力データとし、当該溶接条件及び当該溶接実施記録に対する前記欠陥判定データを教師データとして学習データを構成し、
学習モデルに前記学習データを複数組入力することで、前記入力データと前記教師データとの相関関係を前記学習モデルに機械学習させる機械学習ステップを備える、
溶接データ処理方法。
【請求項17】
溶接箇所毎に、溶接条件と、前記溶接条件に従って実施された溶接工程における溶接実施記録とを溶接工程データベースに登録する溶接工程登録ステップと、
前記溶接箇所毎に、放射線透過検査工程にて取得された前記溶接箇所の画像データに基
づいて前記溶接箇所における溶接の欠陥の有無が判定された結果を示す欠陥判定データを検査工程データベースに登録する検査工程登録ステップと、
前記溶接工程データベース及び前記検査工程データベースに登録された情報に基づいて、所定の処理を行う情報処理ステップとを備
え、
前記溶接工程登録ステップは、
前記溶接箇所にて前記溶接工程を実施する溶接士が当該溶接箇所における前記溶接条件に従って前記溶接工程を実施する資格を保有するか否かの前記資格の適否が判定された結果を示す溶接士資格判定データを、前記溶接実施記録として前記溶接工程データベースに登録し、
前記溶接工程を実施した溶接士を特定する溶接士識別情報、前記溶接士を管理する溶接管理者を特定する溶接管理者識別情報、及び、前記溶接士が所属する所属先を特定する所属先識別情報の少なくとも1つを前記溶接工程データベースに登録し、
前記情報処理ステップは、
前記溶接実施記録に基づいて、前記溶接士、前記溶接管理者、及び、前記所属先のうち少なくとも1つを分析軸として、前記資格の不適格が発生したときの傾向を示す資格不適格発生傾向を分析する資格不適格分析ステップを備える、
溶接データ処理方法。
【請求項18】
溶接箇所毎に、溶接条件と、前記溶接条件に従って実施された溶接工程における溶接実施記録とを溶接工程データベースに登録する溶接工程登録ステップと、
前記溶接箇所毎に、放射線透過検査工程にて取得された前記溶接箇所の画像データに基づいて前記溶接箇所における溶接の欠陥の有無が判定された結果を示す欠陥判定データを検査工程データベースに登録する検査工程登録ステップと、
前記溶接工程データベース及び前記検査工程データベースに登録された情報に基づいて、所定の処理を行う情報処理ステップとを備
え、
前記溶接工程登録ステップは、
前記溶接実施記録が前記溶接条件に対して所定の逸脱判定基準を超えて逸脱しているか否かの逸脱の有無が判定された結果を示す逸脱判定データを、前記溶接実施記録として前記溶接工程データベースに登録し、
前記溶接工程を実施した溶接士を特定する溶接士識別情報、前記溶接士を管理する溶接管理者を特定する溶接管理者識別情報、及び、前記溶接士が所属する所属先を特定する所属先識別情報の少なくとも1つを前記溶接工程データベースに登録し、
前記情報処理ステップは、
前記溶接実施記録に基づいて、前記溶接士、前記溶接管理者、及び、前記所属先のうち少なくとも1つを分析軸として、前記逸脱が発生したときの傾向を示す逸脱発生傾向を分析する逸脱分析ステップを備える、
溶接データ処理方法。
【請求項19】
溶接箇所毎に、溶接条件と、前記溶接条件に従って実施された溶接工程における溶接実施記録とを溶接工程データベースに登録する溶接工程登録ステップと、
前記溶接箇所毎に、放射線透過検査工程にて取得された前記溶接箇所の画像データに基づいて前記溶接箇所における溶接の欠陥の有無が判定された結果を示す欠陥判定データを検査工程データベースに登録する検査工程登録ステップと、
前記溶接工程データベース及び前記検査工程データベースに登録された情報に基づいて、所定の処理を行う情報処理ステップとを備
え、
前記溶接工程登録ステップは、
前記溶接実施記録が前記溶接条件に対して所定の逸脱判定基準を超えて逸脱しているか否かの逸脱の有無が判定された結果を示す逸脱判定データを、前記溶接実施記録として前記溶接工程データベースに登録し、
前記溶接工程を実施した溶接士を特定する溶接士識別情報、前記溶接士を管理する溶
接管理者を特定する溶接管理者識別情報、及び、前記溶接士が所属する所属先を特定する所属先識別情報の少なくとも1つを前記溶接工程データベースに登録し、
前記情報処理ステップは、
前記溶接条件と、前記溶接実施記録と、前記欠陥判定データとに基づいて、前記逸脱判定基準を設定する逸脱判定基準設定ステップを備える、
溶接データ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接データ処理装置、及び、溶接データ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、溶接工程の品質管理やトレーサビリティのため、溶接機において、溶接動作時の溶接状態をモニタリングし、溶接実施記録として記録することが行われている。例えば、特許文献1には、溶接動作時に、溶接状態検出装置により電流、電圧、通電時間等の溶接状態を検出し、その検出した溶接状態を溶接情報(溶接実施記録)として記録媒体に記録する溶接機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、プラント施設や船舶等を建設する現場では、複数の溶接箇所が設けられ、溶接機を用いた溶接工程が実施された後、溶接箇所に放射線を照射することで撮像された画像データに基づいて溶接箇所における溶接の欠陥の有無が判定される放射線透過検査工程が実施される。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された溶接機にて溶接情報として取得された溶接実施記録は、放射線透過検査工程にて溶接の欠陥の有無が判定された結果を示す欠陥判定データと対応付けられておらず、両データは統合的に管理されていなかった。そのため、溶接箇所毎の溶接実施記録と欠陥判定データとを併用し、例えば、分析、予測、機械学習等の各種の処理を行うことで導出される知見が有効活用されていなかった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、溶接実施記録と、溶接の欠陥の有無が判定された結果とから導出される知見の有効活用を可能とする溶接データ処理装置、及び、溶接データ処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る溶接データ処理装置は、
溶接箇所毎に、溶接条件と、前記溶接条件に従って実施された溶接工程における溶接実施記録とを溶接工程データベースに登録する溶接工程登録部と、
前記溶接箇所毎に、放射線透過検査工程にて取得された前記溶接箇所の画像データに基づいて前記溶接箇所における溶接の欠陥の有無が判定された結果を示す欠陥判定データを検査工程データベースに登録する検査工程登録部と、
前記溶接工程データベース及び前記検査工程データベースに登録された情報に基づいて、所定の処理を行う情報処理部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る溶接データ処理装置によれば、情報処理部が、溶接工程データベースに登録された溶接実施記録と、検査工程データベースに登録された欠陥判定データとに基づいて、所定の処理を行うので、溶接実施記録と、欠陥判定データとから導出される知見を有効活用することができる。
【0009】
上記以外の課題、構成及び効果は、後述する発明を実施するための形態にて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】溶接統合管理システム1の一例を示す全体図である。
【
図2】溶接現場10に設けられた溶接箇所11の一例を示すスプール図である。
【
図5】溶接データ処理装置2の一例を示すブロック図である。
【
図6】溶接工程データベース211の一例を示すデータ構成図である。
【
図7】検査工程データベース212の一例を示すデータ構成図である。
【
図8】溶接統合管理システム1の各装置を構成するコンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。
【
図9】溶接工程における登録処理、資格判定処理及び逸脱判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】溶接工程における登録処理、資格判定処理及び逸脱判定処理の一例を示すフローチャート(
図9の続き)である。
【
図11】撮像工程における登録処理及び資格判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】画像判定工程における登録処理及び資格判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】欠陥分析処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】分析条件入力画面42の一例を示す図である。
【
図15】欠陥分析処理における分析結果表示画面43の一例を示す図である。
【
図16】資格不適格分析処理の一例を示すフローチャートである。
【
図17】資格不適格分析処理における分析結果表示画面44の一例を示す図である。
【
図18】逸脱分析処理の一例を示すフローチャートである。
【
図19】逸脱分析処理における分析結果表示画面45の一例を示す図である。
【
図20】溶接アシスト処理の一例を示すフローチャートである。
【
図21】欠陥予測処理の一例を示すフローチャートである。
【
図22】機械学習処理及び欠陥推論処理の一例を示す概要図である。
【
図23】欠陥推論処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明を実施するための実施形態について説明する。以下では、本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0012】
図1は、溶接統合管理システム1の一例を示す全体図である。
図2は、溶接現場10に設けられた溶接箇所11の一例を示すスプール図である。溶接統合管理システム1は、溶接現場10の各所に設けられた溶接箇所11にて実施される溶接工程及び放射線透過検査工程を統合的に管理するシステムである。
【0013】
溶接統合管理システム1は、その主要な構成要素として、溶接データ処理装置2、建設プログレス管理装置3、管理者端末装置4、溶接士端末装置5A、溶接管理者端末装置5B、撮像作業者端末装置5C、判定士端末装置5D、及び、検査管理者端末装置5Eを備える。また、溶接統合管理システム1は、溶接工程にて使用される機器として、溶接機6、溶接機モニタリング装置60、温度測定装置61、及び、分電盤62を備えるとともに、放射線透過検査工程にて使用される機器として、検査機7を備える。なお、
図1では、図面の簡略化のため、溶接統合管理システム1を構成する各装置の数を1つずつ図示しているが、各装置の数や配置は
図1の例に限られない。
【0014】
溶接統合管理システム1を構成する上記の各装置は、有線又は無線のネットワーク8に接続されて、各種のデータを相互に送受信可能に構成される。なお、ネットワーク8の形態は、
図1の例に限られず、適宜変更してもよい。例えば、溶接データ処理装置2が形成するサブネットワークや建設プログレス管理装置3が形成するサブネットワークのように、相互に独立した複数のサブネットワークが、管理者端末装置4が形成する統合ネットワークに接続されることで、全体としてネットワーク8が構築されてもよい。
【0015】
溶接現場10は、例えば、天然ガスプラント、石油精製プラント、化学処理プラント、発電プラント、製鉄プラント等のプラント施設や、タンカー、貨物船、客船等の船舶を建設(建造)する現場である。溶接現場10では、溶接工程及び放射線透過検査工程を請け負う複数のサブコントラクタ(請負業者)にそれぞれ所属する溶接士50A、溶接管理者50B、撮像作業者50C、判定士50D、及び、検査管理者50E(以下、「作業者50A~50E」という)が、元請業者の現場管理者40による工程管理下にて溶接工程及び放射線透過検査工程に伴う各種の作業を実施する。そのため、溶接統合管理システム1は、例えば、元請業者が複数のサブコントラクタ(請負業者)にて実施される溶接工程及び放射線透過検査工程を管理するために使用される。
【0016】
溶接現場10は、複数の溶接エリアに分割されて管理される。例えば、溶接現場10は、上記のような建設物を階層別、区画別、使用目的別等の分割基準に従って複数の溶接エリアに分割されて管理される。なお、溶接現場10は、上記のような建設物が新設される場合だけでなく、改修される場合も含まれる。また、溶接現場10は、溶接箇所11が各所に設けられる現場であれば、上記の建設物の例に限られない。
【0017】
溶接箇所11は、
図2に示すように、溶接現場10となるプラントや船舶等の設計図の一部として作成されるスプール図に表される。溶接箇所11は、溶接現場10において、任意の流体が流通する配管同士を溶接する箇所、配管と配管継手部材(例えば、フランジ、エルボ、ティー等)とを溶接する箇所、又は、配管継手部材同士を溶接する箇所である。なお、溶接箇所11は、部材同士を溶接する箇所であれば上記の例に限られない。
【0018】
溶接工程は、溶接士50Aが溶接機6を用いて、溶接箇所11毎に定められた溶接条件に従って実施される作業工程である。本実施形態では、溶接工程は、アーク溶接を用いる場合を中心に説明するが、ガス溶接、レーザ溶接、電子ビーム溶接、抵抗圧接等の任意の溶接方法を用いてもよい。
【0019】
溶接工程における溶接条件としては、例えば、溶接箇所11の口径、肉厚、材質(母材)、継手形状、溶接材料、予熱、溶接後熱処理、シールドガス、電気特性(溶接電流、溶接電圧等)、溶接方法(溶接速度、溶接方向、溶接角度、アークタイム)等が定められる。溶接条件は、例えば、溶接工程の施工指示書等により溶接箇所11毎に定められ、溶接条件の一部の情報は、スプール図(
図2参照)に表される。そして、溶接条件に従って実施された溶接工程における溶接実施記録として、例えば、溶接機6の動作状態が記録された溶接機動作データ、及び、溶接箇所11の予熱状態が記録された予熱データ等が取得される。
【0020】
放射線透過検査工程は、撮像作業者50Cが検査機7を用いて、溶接工程が実施された溶接箇所11に放射線(X線、γ線等)を照射し、その溶接箇所11を透過した放射線の強度を画像データとして撮像する撮像工程と、判定士50Dが判定士端末装置5Dを用いて、その画像データに基づいて溶接箇所11における溶接の欠陥の有無を判定する画像判定工程とからなる。溶接の欠陥は、例えば、ブローホール、ピット、割れ、アンダーカット、オーバーラップ等の欠陥種に分類され、その大きさ、深さ又は形状が許容範囲を超える場合、「欠陥有り」(不合格)と判定され、そうでない場合、「欠陥無し」(合格)と判定される。画像判定工程では、溶接箇所11の画像データに基づいて溶接の欠陥の有無が判定された結果を示す欠陥判定データが取得される。
【0021】
溶接データ処理装置2は、例えば、汎用又は専用のコンピュータ(後述の
図8参照)で構成される。溶接データ処理装置2は、溶接工程及び放射線透過検査工程にて取得される各種のデータを管理する。溶接データ処理装置2の詳細は後述する。
【0022】
建設プログレス管理装置3は、例えば、汎用又は専用のコンピュータ(後述の
図8参照)で構成される。建設プログレス管理装置3は、溶接現場10となる建設物の設計図、スプール図及び施工指示書等が含まれる設計データと、溶接工程及び放射線透過検査工程を含む建設工程全体の作業スケジュールや進捗状況が含まれる進捗管理データとを管理する。設計データや進捗管理データは、管理者端末装置4及び作業者端末装置5A~5Eの表示画面に表示される。また、進捗管理データに基づく通知が、管理者端末装置4及び作業者端末装置5A~5Eを介して現場管理者40及び作業者50A~50Eに行われる。
【0023】
また、建設プログレス管理装置3は、溶接現場10の各所に設置されたビーコン受信装置30に接続される。ビーコン受信装置30は、ビーコンカード31が発信するビーコン信号を受信することで、ビーコン信号に含まれるカード情報を取得するとともに、そのビーコン信号の発信元であるビーコンカード31の位置を取得する。
【0024】
ビーコンカード31は、作業者50A~50Eによりそれぞれ所持され、ビーコン受信装置30が、作業者50A~50Eにより所持されたビーコンカード31のカード情報(例えば、作業者50A~50Eを特定する各識別情報(ID))及び現在位置を定期的に取得することで、建設プログレス管理装置3は、作業者50A~50Eの位置履歴データをそれぞれ取得する。また、ビーコンカード31は、溶接機6及び検査機7にそれぞれ取り付けられ、ビーコン受信装置30が、溶接機6及び検査機7に取り付けられたビーコンカード31のカード情報(例えば、溶接機6及び検査機7を特定する各識別情報(ID))及び現在位置を定期的に取得することで、建設プログレス管理装置3は、溶接機6及び検査機7の位置履歴データを取得する。
【0025】
管理者端末装置4は、汎用又は専用のコンピュータ(後述の
図8参照)等で構成され、現場管理者40により使用される。管理者端末装置4は、ビーコンカード31のカード情報を読み取るカード読取部41を備える。また、管理者端末装置4は、入力画面を介して各種の入力操作を受け付けるとともに、アプリやブラウザ等の表示画面を介して各種の情報を表示する。
【0026】
溶接士端末装置5A、溶接管理者端末装置5B、撮像作業者端末装置5C、判定士端末装置5D及び検査管理者端末装置5E(以下、「作業者端末装置5A~5E」という)は、汎用又は専用のコンピュータ(後述の
図8参照)等で構成され、作業者50A~50Eによりそれぞれ使用される。作業者端末装置5A~5Eは、ビーコンカード31のカード情報を読み取るカード読取部51を備える。また、作業者端末装置5A~5Eは、管理者端末装置4と同様に、入力画面を介して各種の入力操作を受け付けるとともに、アプリやブラウザ等の表示画面を介して各種の情報を表示する。
【0027】
溶接士端末装置5A、溶接管理者端末装置5B、撮像作業者端末装置5C及び検査管理者端末装置5Eは、溶接士50A、溶接管理者50B、撮像作業者50C及び検査管理者50Eが各溶接箇所11に移動して作業する際に使用されため、携帯型コンピュータで構成されるのが好ましい。判定士端末装置5Dは、放射線透過検査工程のうちの撮像工程にて取得された画像データを、例えば、ネットワーク8(インターネットを含む)経由で受信し、表示することで、判定士50Dが溶接箇所11とは異なる場所で作業する際に使用されるため、携帯型コンピュータ及び据置型コンピュータのいずれで構成されてもよい。
【0028】
(溶接機6の構成)
図3は、溶接機6の一例を示す構成図である。溶接機6は、溶接士50Aにより把持される溶接トーチ63と、分電盤62から電力の供給を受けて、溶接トーチ63に所定の溶接電流を出力する電源回路64と、各種の入力操作(例えば、溶接条件の電気特性を設定する設定操作等)を受け付けるとともに溶接機6の各部を制御する操作制御盤65とを備える。溶接トーチ63は、放電用の電極630と、ガスタンク66からのシールドガスを供給するノズル631と、オンオフ操作用のスイッチ632とを備える。
【0029】
溶接士50Aは、例えば、作業対象の溶接箇所11におけるスプール図や施工指示書を溶接士端末装置5Aに表示させて、溶接箇所11の溶接条件を確認し、操作制御盤65にてその溶接箇所11の溶接条件を設定する。そして、溶接士50Aが、溶接トーチ63を溶接箇所11に近接させてスイッチ632をオンに操作すると、電源回路64により所定の溶接電圧が印加された溶接トーチ63と溶接箇所11との間にアークが発生し、溶接箇所11の溶接が施工される。
【0030】
溶接機モニタリング装置60は、電源回路64に接続されて、溶接の施工に合わせて、溶接機6の動作状態を記録した溶接機動作データ12を生成する。溶接機動作データ12には、溶接機6の動作状態を表す詳細なデータとして、例えば、溶接電流、溶接電圧、溶接速度、溶接方向及び溶接角度の時系列データや、それらの平均値、最大値、最小値、アークタイム等が記録される。
【0031】
温度測定装置61は、例えば、非接触温度計で構成され、溶接の施工前に、溶接箇所11の予熱状態を記録した予熱データ13を生成する。予熱データ13には、溶接箇所11の予熱状態を表す詳細なデータとして、例えば、配管の表面温度の時系列データや、予熱温度の平均値、最低温度、最高温度、予熱時間が記録される。
【0032】
分電盤62は、溶接機6に電力を供給するための電力線が接続される開閉器620を備える。分電盤62は、溶接データ処理装置2から開閉器制御指令を受信することで、開閉器620を通電状態から遮断状態に切り替える。
【0033】
(検査機7の構成)
図4は、検査機7の一例を示す構成図である。検査機7は、溶接箇所11に向けて放射線を照射する放射線照射部70と、放射線照射部70に対向して配置される検出器71と、溶接箇所11の外周に着脱可能に取り付けられたガイド72と、ガイド72に沿って放射線照射部70及び検出器71を周方向に移動させる駆動部73と、各種の入力操作を受け付けるとともに、検査機7の各部を制御する操作制御盤74とを備える。検出器71は、例えば、フラットパネルディテクタ(FPD)等で構成される。なお、検査機7の上記構成は一例であり、例えば、コンピューテッドラジオグラフィ(CR)で構成される検出器71を備える検査機7を用いてもよい。
【0034】
撮像作業者50Cは、例えば、作業対象の溶接箇所11にガイド72を取り付けて、操作制御盤74にて撮像開始操作を行うと、操作制御盤74は、駆動部73により放射線照射部70及び検出器71をガイド72に沿って周方向に移動させて、放射線照射部70及び検出器71を動作させる。これにより、放射線照射部70が、溶接箇所11に放射線を照射し、検出器71が、溶接箇所11を透過した放射線の強度分布を検出することで、操作制御盤74は、溶接箇所11の周方向全体を記録した画像データ14を生成する。
【0035】
(溶接データ処理装置2の構成)
図5は、溶接データ処理装置2の一例を示すブロック図である。溶接データ処理装置2は、プロセッサ等により構成される制御部20と、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリ等により構成される記憶部21と、ネットワーク8との通信インターフェースである通信部22と、キーボード、マウス等により構成される入力部23と、ディスプレイ等により構成される表示部24とを備える。なお、入力部23及び表示部24は省略されてもよい。
【0036】
記憶部21には、溶接データ処理プログラム210、溶接工程データベース211、及び、検査工程データベース212が記憶される。
【0037】
図6は、溶接工程データベース211の一例を示すデータ構成図である。溶接工程データベース211は、溶接箇所テーブル211A、溶接機テーブル211B、溶接士テーブル211C、及び、溶接管理者テーブル211Dから構成される。
【0038】
溶接箇所テーブル211Aには、溶接現場ID、溶接エリアID、図面番号及び溶接箇所番号により特定される溶接箇所11毎に、溶接条件、要求資格、及び、溶接実施記録が登録される。溶接条件は、そのフィールドとして、口径、肉厚、材質(母材)、継手形状、溶接材料、予熱、溶接後熱処理、シールドガス、溶接電流、溶接電圧、溶接速度、溶接方向、溶接角度、及び、アークタイムを有する。溶接実施記録は、そのフィールドとして、実施開始日時、実施終了日時、実施溶接士ID、実施溶接機ID、溶接士資格判定データ、予熱データ13、溶接機動作データ12、予熱逸脱判定データ、及び、溶接逸脱判定データを有する。
【0039】
溶接機テーブル211Bには、溶接機IDにより特定される溶接機6毎に、メーカ名、機種名、及び、仕様が登録される。溶接士テーブル211Cには、溶接士IDにより特定される溶接士50A毎に、所属ID、氏名、保有資格、及び、溶接管理者IDが登録される。溶接管理者テーブル211Dには、溶接管理者IDにより特定される溶接管理者50B毎に、所属ID、氏名、及び、保有資格が登録される。
【0040】
図7は、検査工程データベース212の一例を示すデータ構成図である。検査工程データベース212は、溶接箇所テーブル212A、検査機テーブル212B、撮像作業者テーブル212C、判定士テーブル212D、及び、検査管理者テーブル212Eから構成される。
【0041】
溶接箇所テーブル212Aには、溶接現場ID、溶接エリアID、図面番号及び溶接箇所番号により特定される溶接箇所11毎に、撮像作業者要求資格、判定士要求資格、検査実施記録、欠陥予測データ、及び、欠陥推論データが登録される。検査実施記録は、そのフィールドとして、撮像日時、実施撮像作業者ID、実施検査機ID、撮像作業者資格判定データ、画像データ14、画像判定日時、実施判定士ID、判定士資格判定データ、及び、欠陥判定データを有する。
【0042】
画像データ14は、1つの溶接箇所11に対して1又は複数の画像を含む。欠陥判定データは、溶接の欠陥の有無(「欠陥有り」又は「欠陥無し」)とともに、「欠陥有り」の場合には、その欠陥の詳細な状況を示す欠陥詳細状況をさらに含む。欠陥詳細状況は、そのフィールドとして、例えば、画像データ14上の位置を示す欠陥位置、欠陥種、大きさ、及び、深さを有する。なお、1つの画像データ14に対して複数の欠陥が撮像されている場合には、欠陥判定データは、欠陥毎に欠陥詳細状況をそれぞれ含む。
【0043】
検査機テーブル212Bには、検査機IDにより特定される検査機7毎に、メーカ名、機種名、及び、仕様が登録される。撮像作業者テーブル212Cは、撮像作業者IDにより特定される撮像作業者50C毎に、所属ID、氏名、保有資格、及び、検査管理者IDが登録される。判定士テーブル212Dは、判定士IDにより特定される判定士50D毎に、所属ID、氏名、保有資格、及び、検査管理者IDが登録される。検査管理者テーブル212Eには、検査管理者IDにより特定される検査管理者50E毎に、所属ID、氏名、及び、保有資格が登録される。
【0044】
なお、溶接工程データベース211、及び、検査工程データベース212のデータ構成は、上記の例に限られず適宜変更してもよく、上記のフィールドの一部が省略されてもよいし、上記以外のフィールドが追加されてもよい。また、溶接工程データベース211、及び、検査工程データベース212は、溶接データ処理装置2の記憶部21に代えて、外部のデータベース管理装置に記憶されていてもよく、その場合には、溶接データ処理装置2は、通信部22を介してデータベース管理装置にアクセスすればよい。
【0045】
制御部20は、記憶部21に記憶された溶接データ処理プログラム210を実行することにより、
図5に示すように、溶接工程登録部200、検査工程登録部201、情報処理部202、溶接工程支援部203、検査工程支援部204、及び、出力処理部205として機能する。
【0046】
溶接工程登録部200は、その基本的な機能として、溶接箇所11毎に、溶接条件と、溶接条件に従って実施された溶接工程における溶接実施記録とを溶接工程データベース211に登録する。
【0047】
検査工程登録部201は、その基本的な機能として、溶接箇所11毎に、放射線透過検査工程にて取得された溶接箇所11の画像データ14に基づいて溶接箇所11における溶接の欠陥の有無が判定された結果を示す欠陥判定データを少なくとも含む検査実施記録を検査工程データベース212に登録する。
【0048】
情報処理部202は、溶接工程データベース211及び検査工程データベース212に登録された情報に基づいて、所定の処理を行う。情報処理部202は、所定の処理を行う各部として、資格判定部202A、逸脱判定部202B、欠陥分析部202C、資格不適格分析部202D、逸脱分析部202E、逸脱判定基準設定部202F、溶接アシスト部202G、欠陥予測部202H、機械学習部202I、及び、欠陥推論部202Jを備える。なお、情報処理部202の各部202A~202Jの詳細は後述する。
【0049】
溶接工程支援部203は、情報処理部202と連携し、溶接工程の実施を支援するための各種の処理を行う。検査工程支援部204は、情報処理部202と連携し、検査工程の実施を支援するための各種の処理を行う。
【0050】
出力処理部205は、情報処理部202による処理結果を、例えば、管理者端末装置4及び作業者端末装置5A~5Eで動作するアプリやブラウザの表示画面に表示させるための表示データを生成し、その生成した表示データを管理者端末装置4及び作業者端末装置5A~5Eに送信(出力)する。出力処理部205は、情報処理部202による処理結果を、プリンタ等で印刷出力するための印刷データを生成してもよいし、記憶部21に記憶してもよい。
【0051】
なお、制御部20が備える各部の機能は、1つの装置(本実施形態の溶接データ処理装置2)で実現されることに代えて、各部の機能が複数の装置に分散されることで複数の装置で実現されてもよい。
【0052】
図8は、溶接統合管理システム1の各装置を構成するコンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。
【0053】
溶接データ処理装置2、建設プログレス管理装置3、管理者端末装置4、作業者端末装置5A~5E、溶接機6の操作制御盤65、及び、検査機7の操作制御盤74の各々は、汎用又は専用のコンピュータ900により構成される。コンピュータ900は、
図8に示すように、その主要な構成要素として、バス910、プロセッサ912、メモリ914、入力デバイス916、出力デバイス917、表示デバイス918、ストレージ装置920、通信I/F(インターフェース)部922、外部機器I/F部924、I/O(入出力)デバイスI/F部926、及び、メディア入出力部928を備える。なお、上記の構成要素は、コンピュータ900が使用される用途に応じて適宜省略されてもよい。
【0054】
プロセッサ912は、1つ又は複数の演算処理装置(CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-processing unit)、DSP(digital signal processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等)で構成され、コンピュータ900全体を統括する制御部として動作する。メモリ914は、各種のデータ及びプログラム930を記憶し、例えば、メインメモリとして機能する揮発性メモリ(DRAM、SRAM等)と、不揮発性メモリ(ROM)、フラッシュメモリ等とで構成される。
【0055】
入力デバイス916は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、電子ペン等で構成され、入力部として機能する。出力デバイス917は、例えば、音(音声)出力装置、バイブレーション装置等で構成され、出力部として機能する。表示デバイス918は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、プロジェクタ等で構成され、出力部として機能する。入力デバイス916及び表示デバイス918は、タッチパネルディスプレイのように、一体的に構成されていてもよい。ストレージ装置920は、例えば、HDD、SSD等で構成され、記憶部として機能する。ストレージ装置920は、オペレーティングシステムやプログラム930の実行に必要な各種のデータを記憶する。
【0056】
通信I/F部922は、インターネットやイントラネット等のネットワーク940(
図1のネットワーク8と同じであってもよい)に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って他のコンピュータとの間でデータの送受信を行う通信部として機能する。外部機器I/F部924は、カメラ、プリンタ、スキャナ、リーダライタ等の外部機器950に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って外部機器950との間でデータの送受信を行う通信部として機能する。I/OデバイスI/F部926は、各種のセンサ、アクチュエータ等のI/Oデバイス960に接続され、I/Oデバイス960との間で、例えば、センサによる検出信号やアクチュエータへの制御信号等の各種の信号やデータの送受信を行う通信部として機能する。メディア入出力部928は、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)ドライブ、CD(Compact Disc)ドライブ等のドライブ装置で構成され、DVD、CD等のメディア(非一時的な記憶媒体)970に対してデータの読み書きを行う。
【0057】
上記構成を有するコンピュータ900において、プロセッサ912は、ストレージ装置920に記憶されたプログラム930をメモリ914に呼び出して実行し、バス910を介してコンピュータ900の各部を制御する。なお、プログラム930は、ストレージ装置920に代えて、メモリ914に記憶されていてもよい。プログラム930は、インストール可能なファイル形式又は実行可能なファイル形式でメディア970に記録され、メディア入出力部928を介してコンピュータ900に提供されてもよい。プログラム930は、通信I/F部922を介してネットワーク940経由でダウンロードすることによりコンピュータ900に提供されてもよい。また、コンピュータ900は、プロセッサ912がプログラム930を実行することで実現する各種の機能を、例えば、FPGA(field-programmable gate array)、ASIC(application specific integrated circuit)等のハードウエアで実現するものでもよい。
【0058】
コンピュータ900は、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータで構成され、任意の形態の電子機器である。コンピュータ900は、クライアント型コンピュータでもよいし、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータでもよい。
【0059】
以下、溶接データ処理装置2の各部(溶接データ処理方法により実行される溶接データ処理方法の各ステップ)と、溶接統合管理システム1による一連の動作について、
図9乃至
図25を参照して説明する。
【0060】
(1)溶接工程データベース及び検査工程データベースの事前登録
溶接工程登録部200及び検査工程登録部201は、溶接工程及び検査工程が実施される前に、溶接工程データベース211及び検査工程データベース212に各種の情報(溶接実施記録及び検査実施記録を除く)を事前に登録する事前登録処理を行う。
【0061】
まず、現場管理者40が、管理者端末装置4を操作して、建設プログレス管理装置3にて管理された設計データを溶接データ処理装置2に提供する。溶接工程登録部200は、建設プログレス管理装置3から提供された設計データに基づいて、溶接現場10に設けられた複数の溶接箇所11の各々に対応する複数のレコードを溶接工程データベース211の溶接箇所テーブル211Aに追加する。
【0062】
その際、溶接工程登録部200は、現場管理者40が操作する管理者端末装置4から、例えば、建設物の名称等に基づいて決められた溶接現場IDを受け付けることで、溶接箇所11毎に、共通の溶接現場IDを登録する。溶接工程登録部200は、溶接現場10が所定の分割基準に従って分割された複数の溶接エリアに対してそれぞれ付与された溶接エリアIDを受け付けることで、溶接箇所11毎に、各溶接箇所11が含まれる溶接エリアを特定する溶接エリアIDを登録する。溶接工程登録部200は、各溶接箇所11に割り振られた図面番号及び溶接箇所番号を、例えば、設計データのスプール図から取り込み、各溶接箇所11に定められた溶接条件を設計データのスプール図及び施工指示書から取り込むことで、溶接箇所11毎に、図面番号、溶接箇所番号及び溶接条件を登録する。そして、溶接工程登録部200は、各溶接箇所11の溶接条件に基づいて溶接士50Aに要求される要求資格をそれぞれ特定することで、溶接箇所11毎に、溶接士50Aに要求される要求資格を登録する。
【0063】
また、溶接工程登録部200は、管理者端末装置4から、溶接現場10で使用される溶接機6に関する情報を受け付けることで、溶接機6を特定する溶接機IDを各溶接機6に割り振るとともに、溶接機6毎に、メーカ名、機種名、及び、仕様を溶接機テーブル211Bに登録する。
【0064】
さらに、溶接工程登録部200は、管理者端末装置4から、溶接現場10にて作業する溶接士50Aに関する情報を受け付けることで、溶接士50Aを特定する溶接士IDを各溶接士50Aに割り振るとともに、溶接士50A毎に、溶接士50Aが所属する所属先(サブコントラクタやチーム)を特定する所属ID、氏名、保有資格、及び、溶接士50Aを管理する溶接管理者50Bを特定する溶接管理者IDを溶接士テーブル211Cに登録する。溶接工程登録部200は、管理者端末装置4から、溶接現場10にて作業する溶接士50Aを管理する溶接管理者50Bに関する情報を受け付けることで、溶接管理者50Bを特定する溶接管理者IDを各溶接管理者50Bに割り振るとともに、溶接管理者50B毎に、溶接管理者50Bが所属する所属先を特定する所属ID、氏名、及び、保有資格を溶接管理者テーブル211Dに登録する。
【0065】
検査工程登録部201は、溶接工程登録部200と同様に、建設プログレス管理装置3から提供された設計データに基づいて、溶接現場10に設けられた複数の溶接箇所11の各々に対応する複数のレコードを検査工程データベース212の溶接箇所テーブル212Aに追加する。すなわち、検査工程登録部201は、溶接箇所11毎に、溶接現場ID、溶接エリアID、図面番号及び溶接箇所番号を登録する。そして、検査工程登録部201は、各溶接箇所11の溶接条件に基づいて撮像作業者50C及び判定士50Dに要求される要求資格をそれぞれ特定することで、溶接箇所11毎に、撮像作業者50Cに要求される撮像作業者要求資格、及び、判定士50Dに要求される判定士要求資格を登録する。
【0066】
また、検査工程登録部201は、管理者端末装置4から、溶接現場10で使用される検査機7に関する情報を受け付けることで、検査機7を特定する検査機IDを各検査機7に割り振るとともに、検査機7毎に、メーカ名、機種名、及び、仕様を検査機テーブル212Bに登録する。
【0067】
さらに、検査工程登録部201は、管理者端末装置4から、溶接現場10にて作業する撮像作業者50Cに関する情報を受け付けることで、撮像作業者50Cを特定する撮像作業者IDを各撮像作業者50Cに割り振るとともに、撮像作業者50C毎に、撮像作業者50Cが所属する所属先(サブコントラクタやチーム)を特定する所属ID、氏名、保有資格、及び、撮像作業者50Cを管理する検査管理者50Eを特定する検査管理者IDを撮像作業者テーブル212Cに登録する。検査工程登録部201は、管理者端末装置4から、溶接現場10にて作業する判定士50Dに関する情報を受け付けることで、判定士50Dを特定する判定士IDを各判定士50Dに割り振るとともに、判定士50D毎に、判定士50Dが所属する所属先を特定する所属ID、氏名、保有資格、及び、判定士50Dを管理する検査管理者50Eを特定する検査管理者IDを判定士テーブル212Dに登録する。検査工程登録部201は、管理者端末装置4から、溶接現場10にて作業する撮像作業者50C及び判定士50Dを管理する検査管理者50Eに関する情報を受け付けることで、検査管理者50Eを特定する検査管理者IDを各検査管理者50Eに割り振るとともに、検査管理者50E毎に、検査管理者50Eが所属する所属先を特定する所属ID、氏名、及び、保有資格を検査管理者テーブル212Eに登録する。
【0068】
以上のようにして、溶接工程データベース211及び検査工程データベース212には、溶接工程及び検査工程の実施に際して必要な情報が事前に登録される。なお、事前準備の段階では、溶接実施記録及び検査実施記録は、未登録の状態である。
【0069】
(2)溶接工程における溶接実施記録の登録
溶接工程登録部200は、溶接工程の実施に伴って、溶接実施記録を溶接工程データベース211に登録する登録処理を行う。また、その登録処理と連動して、資格判定部202Aは、溶接士50Aの保有資格に対する資格判定処理を行うとともに、逸脱判定部202Bは、逸脱判定処理を行う。
【0070】
図9及び
図10は、溶接工程における登録処理、資格判定処理及び逸脱判定処理の一例を示すフローチャートである。
図9及び
図10では、溶接工程を実施する予定の溶接士50Aが、作業対象の溶接箇所11に移動し、使用予定の溶接機6を作業対象の溶接箇所11に設置した後の動作について説明する。
【0071】
まず、ステップS101にて、溶接士50Aは、作業対象の溶接箇所11を特定する溶接箇所識別情報として、溶接現場ID、溶接エリアID、図面番号及び溶接箇所番号を溶接士端末装置5Aに入力し、溶接工程を開始する旨の溶接工程開始操作を行う。その際、溶接士50Aは、カード読取部51に自己のビーコンカード31をかざす。
【0072】
次に、ステップS102にて、溶接士端末装置5Aは、その溶接工程開始操作を受け付けることで溶接箇所識別情報を取得する。溶接士端末装置5Aは、カード読取部51により溶接士50Aのビーコンカード31からカード情報を読み取ることで溶接士50Aを特定する溶接士IDを取得する。溶接士端末装置5Aは、カード読取部51により使用予定の溶接機6に取り付けられたビーコンカード31からカード情報を読み取ることで溶接機6を特定する溶接機IDを取得する。なお、溶接士端末装置5Aは、溶接機IDを建設プログレス管理装置3から取得するようにしてもよい。
【0073】
そして、ステップS103にて、溶接士端末装置5Aは、溶接箇所識別情報、溶接士ID及び溶接機IDを含む溶接工程開始通知を溶接データ処理装置2に送信する。
【0074】
次に、ステップS110にて、溶接データ処理装置2が、溶接士端末装置5Aから溶接工程開始通知を受信すると、溶接工程登録部200は、溶接工程データベース211を参照し、溶接箇所テーブル211Aにおいて溶接工程開始通知に含まれる溶接箇所識別情報に対応するレコード(以下、「溶接工程対象レコード」という)を特定する。そして、ステップS111にて、溶接工程登録部200は、溶接工程開始通知の受信日時を溶接工程対象レコードの実施開始日時に登録する。また、溶接工程登録部200は、溶接工程開始通知に含まれる溶接士IDを溶接工程対象レコードの実施溶接士IDに登録するとともに、溶接工程開始通知に含まれる溶接機IDを溶接工程対象レコードの実施溶接機IDに登録する。
【0075】
次に、ステップS120にて、資格判定部202Aは、溶接工程データベース211を参照し、作業対象の溶接箇所11にて溶接工程を実施する溶接士50Aが当該溶接箇所11における溶接条件に従って溶接工程を実施する資格を保有するか否かの資格の適否を判定する。具体的には、資格判定部202Aは、溶接士テーブル211Cにおいて溶接工程開始通知に含まれる溶接士IDに対して登録された保有資格を取得するとともに、溶接箇所テーブル211Aの溶接工程対象レコードに登録された要求資格を取得する。そして、資格判定部202Aは、溶接士50Aの保有資格と、溶接箇所11の要求資格とを比較することで、上記の資格の適否を判定する。
【0076】
その結果、資格判定部202Aが、溶接士50Aの保有資格が溶接箇所11の要求資格に対して適格であると判定した場合(ステップS120:適格)、ステップS121にて、溶接工程登録部200は、資格の適否が「適格」である旨の溶接士資格判定データを溶接工程対象レコードに登録し、ステップS130に進む。
【0077】
一方、資格判定部202Aが、溶接士50Aの保有資格が溶接箇所11の要求資格に対して不適格であると判定した場合(ステップS120:不適格)、ステップS122にて、溶接工程登録部200は、資格の適否が「不適格」である旨の溶接士資格判定データを溶接工程対象レコードに登録する。そして、ステップS123にて、溶接工程支援部203は、溶接士50Aの保有資格が不適格である場合の資格不適格処理を実行する。具体的には、溶接工程支援部203は、溶接士50Aの保有資格が「不適格」である旨の通知を、例えば、溶接士50Aの溶接士端末装置5Aと、溶接士50Aを管理する溶接管理者50Bの溶接管理者端末装置5Bとに送信する。また、溶接工程支援部203は、使用予定の溶接機6に接続された開閉器620を遮断状態に制御する旨の開閉器制御指令を分電盤62に送信する。溶接士50A及び溶接管理者50Bは、当該通知を受けて保有資格を再確認するとともに、開閉器620が遮断されて溶接機6の使用が禁止されるため、無資格者による溶接工程の実施を抑制することができる。
【0078】
次に、ステップS130にて、溶接工程支援部203は、溶接箇所テーブル211Aの溶接工程対象レコードに登録された溶接条件を溶接士端末装置5Aに送信する。
【0079】
次に、ステップS131にて、溶接士端末装置5Aが、溶接データ処理装置2から溶接条件を受信すると、その溶接条件に基づく予熱支援画面を表示する。ステップS132にて、溶接士50Aは、その予熱支援画面に表示された表示内容(溶接条件の予熱等)に従って溶接予熱装置(不図示)を用いて溶接箇所11を予熱しながら、温度測定装置61を用いて溶接箇所11の温度を測定する。そして、ステップS133にて、温度測定装置61が、その測定した温度を、溶接箇所11の予熱状態として記録した予熱データ13を溶接データ処理装置2に送信する。
【0080】
次に、ステップS140にて、溶接データ処理装置2が、温度測定装置61から予熱データ13を受信すると、溶接工程登録部200は、その予熱データ13を溶接工程対象レコードに登録する。
【0081】
次に、ステップS141にて、逸脱判定部202Bは、溶接工程データベース211を参照し、温度測定装置61から受信した予熱データ13が溶接箇所テーブル211Aの溶接工程対象レコードに登録された溶接条件(予熱)に対して予熱逸脱判定基準を超えて逸脱しているか否かの逸脱の有無を判定する。溶接条件の予熱として、例えば、予熱温度や予熱時間が定められている場合には、逸脱判定部202Bは、例えば、予熱データ13が示す予熱温度や予熱時間を、溶接条件の予熱温度や予熱時間と比較し、それらの差分が予熱逸脱判定基準(所定の閾値)を超えている場合に、予熱データ13が逸脱していると判定する。
【0082】
そして、逸脱判定部202Bが、予熱データ13が逸脱していないと判定した場合(ステップS141:無し)、ステップS142にて、溶接工程登録部200は、逸脱の有無が「逸脱無し」である旨の予熱逸脱判定データを溶接工程対象レコードに登録し、ステップS150に進む。
【0083】
一方、逸脱判定部202Bが、予熱データ13が逸脱していると判定した場合(ステップS141:有り)、ステップS143にて、溶接工程登録部200は、逸脱の有無が「逸脱有り」である旨の予熱逸脱判定データを溶接工程対象レコードに登録する。そして、ステップS144にて、溶接工程支援部203は、予熱データ13が逸脱している場合の予熱逸脱処理を実行する。具体的には、溶接工程支援部203は、逸脱の有無が「逸脱有り」である旨の通知を、例えば、溶接士50Aの溶接士端末装置5Aと、溶接士50Aを管理する溶接管理者50Bの溶接管理者端末装置5Bとに送信する。また、溶接工程支援部203は、使用予定の溶接機6に接続された開閉器620を遮断状態に制御する旨の開閉器制御指令を分電盤62に送信する。溶接士50A及び溶接管理者50Bは、当該通知を受けて予熱を再実施するとともに、開閉器620が遮断されて溶接機6の使用が禁止されるため、溶接品質の向上を図ることができる。
【0084】
なお、予熱逸脱判定データは、逸脱の有無だけでなく、その詳細なデータとして、溶接条件に対して予熱データ13が逸脱している逸脱量を含むものでもよい。逸脱量には、例えば、溶接条件の予熱温度を基準としたときの予熱温度逸脱量(差分値、割合等)が含まれる。
【0085】
次に、ステップS150にて、溶接工程支援部203は、溶接箇所テーブル211Aの溶接工程対象レコードに登録された溶接条件を溶接士端末装置5Aに送信する。
【0086】
次に、ステップS151にて、溶接士端末装置5Aが、溶接データ処理装置2から溶接条件を受信すると、その溶接条件に基づく溶接支援画面に表示する。ステップS152にて、溶接士50Aは、その溶接支援画面に表示された表示内容(溶接条件の電気特性、溶接方法等)に従って溶接機6の操作制御盤65を操作する。そして、溶接士50Aが、溶接トーチ63を溶接箇所11に近接させてスイッチ632をオンに操作すると、溶接箇所11の溶接が施工される。その際、ステップS153にて、溶接機モニタリング装置60が、溶接機6の動作状態を記録し、その動作状態を記録した溶接機動作データ12を溶接データ処理装置2に送信する。
【0087】
次に、ステップS160にて、溶接データ処理装置2が、溶接機モニタリング装置60から溶接機動作データ12を受信すると、溶接工程登録部200は、その溶接機動作データ12を溶接工程対象レコードに登録する。その際、溶接工程登録部200は、溶接機動作データ12において溶接機6の動作状態が終了した日時を溶接工程対象レコードの実施終了日時に登録する。
【0088】
次に、ステップS161にて、逸脱判定部202Bは、溶接工程データベース211を参照し、溶接機モニタリング装置60から受信した溶接機動作データ12が溶接箇所テーブル211Aの溶接工程対象レコードに登録された溶接条件(溶接電流、溶接電圧、溶接速度、溶接方向及び溶接角度の少なくとも1つ)に対して溶接逸脱判定基準を超えて逸脱しているか否かの逸脱の有無を判定する。逸脱判定部202Bは、例えば、溶接機動作データ12が示す溶接電流、溶接電圧、溶接速度、溶接方向及び溶接角度を、溶接条件における溶接電流、溶接電圧、溶接速度、溶接方向及び溶接角度とそれぞれ比較し、それらの差分の少なくとも1つが溶接逸脱判定基準(所定の閾値)を超えている場合に、溶接機動作データ12が逸脱していると判定する。
【0089】
そして、逸脱判定部202Bが、溶接機動作データ12が逸脱していないと判定した場合(ステップS161:無し)、ステップS162にて、溶接工程登録部200は、逸脱の有無が「逸脱無し」である旨の溶接逸脱判定データを溶接工程対象レコードに登録し、一連の処理を終了する。
【0090】
一方、逸脱判定部202Bが、溶接機動作データ12が逸脱していると判定した場合(ステップS161:有り)、ステップS163にて、溶接工程登録部200は、逸脱の有無が「逸脱有り」である旨の溶接逸脱判定データを溶接工程対象レコードに登録する。そして、ステップS164にて、溶接工程支援部203は、溶接機動作データ12が逸脱している場合の溶接逸脱処理を実行する。具体的には、溶接工程支援部203は、逸脱の有無が「逸脱有り」である旨の通知を、例えば、溶接士50Aの溶接士端末装置5Aと、溶接士50Aを管理する溶接管理者50Bの溶接管理者端末装置5Bとに送信する。溶接士50A及び溶接管理者50Bは、当該通知を受けて、例えば、溶接補修又は再溶接の必要性、放射線透過検査の優先度等を判断するため、意思決定の迅速化と溶接品質の向上を図ることができる。
【0091】
なお、溶接逸脱判定データは、逸脱の有無だけでなく、詳細なデータとして、溶接条件に対して溶接機動作データ12が逸脱している逸脱量を含むものでもよい。逸脱量には、例えば、溶接条件の溶接電圧を基準としたときの溶接電圧逸脱量(差分値、割合等)、溶接条件の溶接電流を基準としたときの溶接電流逸脱量(差分値、割合等)、溶接条件の溶接速度を基準としたときの溶接速度逸脱量(差分値、割合等)、溶接条件の溶接方向を基準としたときの溶接方向逸脱量(差分値、割合等)、又は、溶接条件の溶接角度を基準としたときの溶接角度逸脱量(差分値、割合等)が含まれる。
【0092】
以上のようにして、各溶接箇所11において溶接工程が実施されることで、溶接工程データベース211(具体的には、各溶接箇所11にそれぞれ対応する各溶接工程対象レコード)に、溶接機動作データ12及び予熱データ13を含む溶接実施記録が随時登録されて蓄積される。
【0093】
(3)撮像工程における検査実施記録の登録
検査工程登録部201は、放射線透過検査工程に含まれる撮像工程の実施に伴って、検査実施記録を検査工程データベース212に登録する登録処理を行う。また、その登録処理と連動して、資格判定部202Aは、撮像作業者50Cの保有資格に対する資格判定処理を行う。
【0094】
図11は、放射線透過検査工程に含まれる撮像工程における登録処理及び資格判定処理の一例を示すフローチャートである。
図11では、撮像工程を実施する撮像作業者50Cが、作業対象の溶接箇所11に移動し、使用予定の検査機7を作業対象の溶接箇所11に設置した後の動作について説明する。
【0095】
まず、ステップS201にて、撮像作業者50Cは、作業対象の溶接箇所11を特定する溶接箇所識別情報として、溶接現場ID、溶接エリアID、図面番号及び溶接箇所番号を撮像作業者端末装置5Cに入力し、撮像工程を開始する旨の撮像工程開始操作を行う。その際、撮像作業者50Cは、カード読取部51に自己のビーコンカード31をかざす。
【0096】
次に、ステップS202にて、撮像作業者端末装置5Cは、その撮像工程開始操作を受け付けることで溶接箇所識別情報を取得する。撮像作業者端末装置5Cは、カード読取部51により撮像作業者50Cのビーコンカード31からカード情報を読み取ることで撮像作業者50Cを特定する撮像作業者IDを取得する。撮像作業者端末装置5Cは、カード読取部51により使用予定の検査機7に取り付けられたビーコンカード31からカード情報を読み取ることで検査機7を特定する検査機IDを取得する。なお、撮像作業者端末装置5Cは、検査機IDを建設プログレス管理装置3から取得するようにしてもよい。
【0097】
そして、ステップS203にて、撮像作業者端末装置5Cは、溶接箇所識別情報、撮像作業者ID及び検査機IDを含む撮像工程開始通知を溶接データ処理装置2に送信する。
【0098】
次に、ステップS210にて、溶接データ処理装置2が、撮像作業者端末装置5Cから撮像工程開始通知を受信すると、検査工程登録部201は、検査工程データベース212を参照し、溶接箇所テーブル212Aにおいて撮像工程開始通知に含まれる溶接箇所識別情報に対応するレコード(以下、「撮像工程対象レコード」という)を特定する。そして、ステップS211にて、検査工程登録部201は、撮像工程開始通知の受信日時を撮像工程対象レコードの撮像日時に登録する。また、検査工程登録部201は、撮像工程開始通知に含まれる撮像作業者IDを撮像工程対象レコードの実施撮像作業者IDに登録するとともに、撮像工程開始通知に含まれる検査機IDを撮像工程対象レコードの実施検査機IDに登録する。
【0099】
次に、ステップS220にて、資格判定部202Aは、検査工程データベース212を参照し、作業対象の溶接箇所11にて撮像工程を実施する撮像作業者50Cが当該溶接箇所11における撮像工程を実施する資格を保有するか否かの資格の適否を判定する。具体的には、資格判定部202Aは、撮像作業者テーブル212Cにおいて撮像工程開始通知に含まれる撮像作業者IDに対して登録された保有資格を取得するとともに、溶接箇所テーブル212Aの撮像工程対象レコードに登録された撮像作業者要求資格を取得する。そして、資格判定部202Aは、撮像作業者50Cの保有資格と、溶接箇所11の撮像作業者要求資格とを比較することで、上記の資格の適否を判定する。
【0100】
その結果、資格判定部202Aが、撮像作業者50Cの保有資格が溶接箇所11の撮像作業者要求資格に対して適格であると判定した場合(ステップS220:適格)、ステップS211にて、検査工程登録部201は、資格の適否が「適格」である旨の撮像作業者資格判定データを撮像工程対象レコードに登録し、ステップS230に進む。
【0101】
一方、資格判定部202Aが、撮像作業者50Cの保有資格が溶接箇所11の撮像作業者要求資格に対して不適格であると判定した場合(ステップS220:不適格)、ステップS222にて、検査工程登録部201は、資格の適否が「不適格」である旨の撮像作業者資格判定データを撮像工程対象レコードに登録する。そして、ステップS223にて、検査工程支援部204は、撮像作業者50Cの保有資格が不適格である場合の資格不適格処理を実行する。具体的には、検査工程支援部204は、資格の適否が「不適格」である旨の通知を、例えば、撮像作業者50Cの撮像作業者端末装置5Cと、撮像作業者50Cを管理する検査管理者50Eの検査管理者端末装置5Eとに送信する。撮像作業者50C及び検査管理者50Eは、当該通知を受けて保有資格を再確認するため、無資格者による撮像工程の実施を抑制することができる。
【0102】
次に、ステップS230にて、検査工程支援部204は、溶接工程データベース211を参照し、溶接箇所テーブル211Aにおいて撮像工程開始通知に含まれる溶接箇所識別情報に対応するレコード(以下、「溶接工程参照レコード」という)を特定し、その溶接工程参照レコードに登録された溶接条件を取得する。そして、検査工程支援部204は、その溶接条件を撮像作業者端末装置5Cに送信する。
【0103】
次に、ステップS231にて、撮像作業者端末装置5Cが、溶接データ処理装置2から溶接条件を受信すると、その溶接条件に基づく撮像工程支援画面を表示する。ステップS232にて、撮像作業者50Cは、その撮像工程支援画面に表示された表示内容(溶接条件の口径、肉厚、材質、継手形状、溶接材料等)を参考にして検査機7の操作制御盤74を操作し、放射線照射部70、検出器71及び駆動部73の動作パラメータを設定する。そして、撮像作業者50Cが、操作制御盤74にて撮像開始操作を行うと、ステップS233にて、検査機7は、溶接箇所11の周方向全体を撮像し、画像データ14を生成する。そして、検査機7は、その画像データ14を溶接データ処理装置2に送信する。
【0104】
次に、ステップS240にて、溶接データ処理装置2が、検査機7から画像データ14を受信すると、検査工程登録部201は、その画像データ14を撮像工程対象レコードに登録し、一連の処理を終了する。
【0105】
以上のようにして、各溶接箇所11において撮像工程が実施されることで、検査工程データベース212(具体的には、各溶接箇所11にそれぞれ対応する各撮像工程対象レコード)に、画像データ14を含む検査実施記録が随時登録されて蓄積される。
【0106】
(4)画像判定工程における検査実施記録の登録
検査工程登録部201は、放射線透過検査工程に含まれる画像判定工程の実施に伴って、検査実施記録を検査工程データベース212に登録する登録処理を行う。また、その登録処理と連動して、資格判定部202Aは、判定士50Dの保有資格に対する資格判定処理を行う。
【0107】
図12は、放射線透過検査工程に含まれる画像判定工程における登録処理及び資格判定処理の一例を示すフローチャートである。
図12では、画像判定工程を実施する判定士50Dが、溶接箇所11とは異なる場所にて作業する場合の動作について説明する。
【0108】
まず、ステップS301にて、判定士50Dは、作業対象の溶接箇所11を特定する溶接箇所識別情報として、溶接現場ID、溶接エリアID、図面番号及び溶接箇所番号を判定士端末装置5Dに入力し、判定工程を開始する旨の画像判定工程開始操作を行う。その際、判定士50Dは、カード読取部51に自己のビーコンカード31をかざす。
【0109】
次に、ステップS302にて、判定士端末装置5Dは、その画像判定工程開始操作を受け付けることで溶接箇所識別情報を取得する。判定士端末装置5Dは、カード読取部51により判定士50Dのビーコンカード31からカード情報を読み取ることで判定士50Dを特定する判定士IDを取得する。
【0110】
そして、ステップS303にて、判定士端末装置5Dは、溶接箇所識別情報及び判定士IDを含む画像判定工程開始通知を溶接データ処理装置2に送信する。
【0111】
次に、ステップS310にて、溶接データ処理装置2が、判定士端末装置5Dから画像判定工程開始通知を受信すると、検査工程登録部201は、検査工程データベース212を参照し、溶接箇所テーブル212Aにおいて画像判定工程開始通知に含まれる溶接箇所識別情報に対応するレコード(以下、「画像判定工程対象レコード」という)を特定する。そして、ステップS311にて、検査工程登録部201は、画像判定工程開始通知の受信日時を画像判定工程対象レコードの画像判定日時に登録するとともに、画像判定工程開始通知に含まれる判定士IDを画像判定工程対象レコードの実施判定士IDに登録する。
【0112】
次に、ステップS320にて、資格判定部202Aは、検査工程データベース212を参照し、作業対象の溶接箇所11にて画像判定工程を実施する判定士50Dが当該溶接箇所11における画像判定工程を実施する資格を保有するか否かの資格の適否を判定する。具体的には、資格判定部202Aは、判定士テーブル212Dにおいて画像判定工程開始通知に含まれる判定士IDに対して登録された保有資格を取得するとともに、溶接箇所テーブル212Aの画像判定工程対象レコードに登録された判定士要求資格を取得する。そして、資格判定部202Aは、判定士50Dの保有資格と、溶接箇所11の判定士要求資格とを比較することで、上記の資格の適否を判定する。
【0113】
その結果、資格判定部202Aが、判定士50Dの保有資格が溶接箇所11の判定士要求資格に対して適格であると判定した場合(ステップS320:適格)、ステップS321にて、検査工程登録部201は、資格の適否が「適格」である旨の判定士資格判定データを画像判定工程対象レコードに登録し、ステップS330に進む。
【0114】
一方、資格判定部202Aが、判定士50Dの保有資格が溶接箇所11の判定士要求資格に対して不適格であると判定した場合(ステップS320:不適格)、ステップS322にて、検査工程登録部201は、資格の適否が「不適格」である旨の判定士資格判定データを画像判定工程対象レコードに登録する。そして、ステップS323にて、検査工程支援部204は、判定士50Dの保有資格が不適格である場合の資格不適格処理を実行する。具体的には、検査工程支援部204は、資格の適否が「不適格」である旨の通知を、例えば、判定士50Dの判定士端末装置5Dと、判定士50Dを管理する検査管理者50Eの検査管理者端末装置5Eとに送信する。判定士50D及び検査管理者50Eは、当該通知を受けて保有資格を再確認するため、無資格者による画像判定工程の実施を抑制することができる。
【0115】
次に、ステップS330にて、検査工程支援部204は、溶接箇所テーブル212Aの画像判定工程対象レコードに登録された画像データ14を取得する。また、検査工程支援部204は、溶接工程データベース211を参照し、溶接箇所テーブル211Aにおいて画像判定工程開始通知に含まれる溶接箇所識別情報に対応するレコード(以下、「溶接工程参照レコード」という)を特定し、その溶接工程参照レコードに登録された溶接条件及び溶接実施記録を取得する。そして、検査工程支援部204は、その取得した画像データ14、溶接条件及び溶接実施記録を含む判定対象データを判定士端末装置5Dに送信する。
【0116】
次に、ステップS331にて、判定士端末装置5Dが、溶接データ処理装置2から判定対象データを受信すると、その判定対象データに基づく画像判定工程支援画面を表示する。ステップS332にて、判定士50Dは、その画像判定工程支援画面に表示された画像データ14を目視確認し、溶接箇所11における溶接の欠陥の有無を判定する。その際、判定士50Dは、画像判定工程支援画面に表示された溶接条件及び溶接実施記録の内容を参考にすることができる。そして、ステップS333にて、判定士50Dが、画像判定工程支援画面にて溶接の欠陥の有無を判定した結果を入力する欠陥判定結果入力操作を行うと、ステップS334にて、判定士端末装置5Dは、その欠陥判定結果入力操作に基づいて欠陥判定データを生成し、その欠陥判定データを溶接データ処理装置2に送信する。
【0117】
次に、ステップS340にて、溶接データ処理装置2が、判定士端末装置5Dから欠陥判定データを受信すると、検査工程登録部201は、その欠陥判定データを画像判定工程対象レコードに登録し、一連の処理を終了する。
【0118】
以上のようにして、各溶接箇所11において画像判定工程が実施されることで、検査工程データベース212(具体的には、各溶接箇所11にそれぞれ対応する各画像判定工程対象レコード)に欠陥判定データを含む検査実施記録が随時登録されて蓄積される。
【0119】
(5)欠陥発生傾向の分析
欠陥分析部202Cは、溶接工程データベース211及び検査工程データベース212に登録された各レコードの情報に基づいて、欠陥発生傾向を分析する欠陥分析処理を行う。
【0120】
欠陥分析部202Cは、各レコードの情報として、溶接条件及び溶接実施記録の少なくとも一方と、欠陥判定データとに基づいて、欠陥発生傾向を分析する。その際、欠陥分析部202Cは、所定の分析条件を受け付けて、その分析条件に従って統計処理することで、欠陥発生傾向を分析する。
【0121】
欠陥発生傾向は、溶接箇所11にて溶接の欠陥が発生したときの傾向を示すものであり、例えば、平均値、中央値、最大値、最小値、分散、標準偏差、比率、度数等の統計指標値で表される。欠陥発生傾向は、例えば、単純集計、クロス集計、度数分布、パレート分析、マトリックス分析、回帰分析、因子分析等の統計手法により求められる。
【0122】
分析条件は、上記の統計手法及び統計指標値の他に、例えば、分析対象範囲と、分析軸とが指定される。
【0123】
分析対象範囲は、溶接工程データベース211及び検査工程データベース212に登録された各レコードのうち、欠陥分析部202Cにより分析対象とするレコードの範囲を指定する。分析対象範囲は、例えば、場所、期間、作業者50A~50E、作業時間、所属先、溶接条件、溶接実施記録、溶接の欠陥の有無、欠陥詳細状況、溶接機6、若しくは、検査機7、又は、これらの組み合わせにより指定される。分析対象範囲は、例えば、溶接工程データベース211の各テーブル211A~221D及び検査工程データベース212の各テーブル212A~222Eが有する1又は複数のフィールドの変数により指定される。なお、分析対象範囲の指定は省略されてもよい。
【0124】
例えば、分析対象範囲として、溶接箇所テーブル211Aの溶接現場ID、及び、溶接エリアIDのうち少なくとも1つが指定された場合、欠陥分析部202Cは、その指定された溶接現場10、及び、溶接エリアに合致するレコードを分析対象として抽出する。分析対象範囲として、期間(例えば、過去1週間、1か月、1年等)が指定された場合、欠陥分析部202Cは、その指定された期間に合致するレコードを分析対象として抽出する。分析対象範囲として、溶接箇所テーブル211Aの実施溶接士ID、溶接管理者テーブル211Dの溶接管理者ID及び所属IDのうち少なくとも1つが指定された場合、欠陥分析部202Cは、その指定された実施溶接士ID、溶接管理者ID及び所属IDのうち少なくとも1つに合致するレコードを分析対象として抽出する。分析対象範囲として、実施開始日時及び実施終了日時に基づく作業時間(例えば、作業実時間(実施開始日時から実施終了日時までの経過時間)、作業前待機時間(前回溶接時の実施終了日時から今回の実施開始日時までの経過時間)、作業時間帯(食後、休憩後、シフト帯等))が指定された場合、欠陥分析部202Cは、その指定された期間に合致するレコードを分析対象として抽出する。分析対象範囲として、溶接箇所テーブル211Aの溶接条件に含まれるフィールド(口径、肉厚、材質(母材)、継手形状、溶接材料、予熱、溶接後熱処理、シールドガス、溶接電流、溶接電圧、溶接速度、溶接方向、溶接角度、及び、アークタイム)のうち少なくとも1つのフィールドと、当該フィールドに対する変数とが指定された場合、欠陥分析部202Cは、その指定されたフィールドの変数に合致するレコードを分析対象として抽出する。分析対象範囲として、溶接箇所テーブル211Aの溶接実施記録に含まれるフィールド(予熱データ13、溶接機動作データ12、予熱逸脱判定データ、及び、溶接逸脱判定データ)のうち少なくとも1つのフィールドと、当該フィールドに対する変数とが指定された場合、欠陥分析部202Cは、その指定されたフィールドの変数に合致するレコードを分析対象として抽出する。その際、分析対象範囲は、予熱データ13、溶接機動作データ12、予熱逸脱判定データ、及び、溶接逸脱判定データにそれぞれ含まれる詳細なデータのいずれかにより指定されてもよい。
【0125】
分析軸は、欠陥分析部202Cが分析対象範囲に含まれる複数のレコードを所定の統計手法で分析する際に使用するフィールドを指定する。分析軸は、例えば、場所、期間、作業者50A~50E、作業時間、所属先、溶接条件、溶接実施記録、溶接の欠陥の有無、欠陥詳細状況、溶接機6、若しくは、検査機7、又は、これらの組み合わせにより指定される。分析軸は、例えば、溶接工程データベース211の各テーブル211A~221D及び検査工程データベース212の各テーブル212A~222Eが有する1又は複数のフィールドにより指定される。なお、分析軸の指定は省略されてもよい。
【0126】
例えば、分析軸として、溶接箇所テーブル211Aの溶接現場ID、及び、溶接エリアIDのうち少なくとも1つが指定された場合、欠陥分析部202Cは、その指定された溶接現場10、及び、溶接エリアのうち少なくとも1つを分析軸として、欠陥発生傾向を分析する。分析軸として、期間(例えば、1日単位、1週間単位、1か月単位)が指定された場合、欠陥分析部202Cは、その指定された期間を分析軸として、欠陥発生傾向を分析する。分析軸として、溶接箇所テーブル211Aの実施溶接士ID、管理者テーブル211Dの溶接管理者ID及び所属IDのうち少なくとも1つが指定された場合、欠陥分析部202Cは、その指定された溶接士50A、溶接管理者50B、及び、所属先のうち少なくとも1つを分析軸として、欠陥発生傾向を分析する。分析軸として、実施開始日時及び実施終了日時に基づく作業時間(例えば、作業実時間、作業前待機時間、作業時間帯等)が指定された場合、欠陥分析部202Cは、その指定された作業時間を分析軸として、欠陥発生傾向を分析する。分析軸として、溶接箇所テーブル211Aの溶接条件に含まれるフィールド(口径、肉厚、材質(母材)、継手形状、溶接材料、予熱、溶接後熱処理、シールドガス、溶接電流、溶接電圧、溶接速度、溶接方向、溶接角度、及び、アークタイム)のうち少なくとも1つが指定された場合、欠陥分析部202Cは、その指定された少なくとも1つのフィールドを分析軸として、欠陥発生傾向を分析する。分析軸として、溶接箇所テーブル211Aの溶接実施記録に含まれるフィールド(予熱データ13、溶接機動作データ12、予熱逸脱判定データ、及び、溶接逸脱判定データ)のうち少なくとも1つが指定された場合、欠陥分析部202Cは、その指定された少なくとも1つのフィールドを分析軸として、欠陥発生傾向を分析する。その際、分析軸は、予熱データ13、溶接機動作データ12、予熱逸脱判定データ、及び、溶接逸脱判定データにそれぞれ含まれる詳細なデータのいずれかにより指定されてもよい。
【0127】
なお、分析条件として、欠陥発生傾向を定期的に分析し、その分析結果を定期的に通知する分析頻度や、例えば、欠陥発生比率が所定値より高い場合のように、欠陥発生傾向を分析した分析結果を通知する通知条件が指定されてもよい。
【0128】
図13は、欠陥分析処理の一例を示すフローチャートである。
図13では、欠陥分析部202Cが、管理者端末装置4から欠陥分析処理における分析条件を受け付けて、その分析条件に従って欠陥発生傾向を分析する場合の動作について説明する。
【0129】
まず、ステップS401にて、管理者端末装置4は、現場管理者40からの欠陥分析処理の要求操作を受け付けると、分析条件入力画面42を表示する。そして、ステップS402にて、現場管理者40が、その分析条件入力画面42にて分析条件を入力する分析条件入力操作を行うと、ステップS403にて、管理者端末装置4は、その分析条件を受け付けて、溶接データ処理装置2に送信する。
【0130】
図14は、分析条件入力画面42の一例を示す図である。分析条件入力画面42は、欠陥分析部202Cが欠陥発生傾向を分析する際の分析条件を指定するための入力欄420~423を備える。
【0131】
図14に示す分析条件入力画面42では、統計手法の入力欄420にて「クロス集計」が指定され、統計指標値の入力欄421にて「比率」が指定され、分析対象範囲の入力欄422にて、場所「溶接現場AAA」、期間「過去3か月」、溶接条件「口径:3インチ以上」が指定され、分析軸の入力欄423にて、期間「1月単位」、作業者「溶接士単位」、欠陥詳細状況「欠陥種」が指定されている。
【0132】
図13に戻り、ステップS410にて、溶接データ処理装置2が、管理者端末装置4から分析条件を受信すると、欠陥分析部202Cは、その分析条件に従って、欠陥判定傾向を分析する。具体的には、欠陥分析部202Cは、溶接工程データベース211の溶接箇所テーブル211A及び検査工程データベース212の溶接箇所テーブル212Aから、分析条件として指定された分析対象範囲に合致するレコードを抽出する。分析条件が、
図14に示すように、指定された場合には、溶接箇所テーブル211Aにおいて、溶接現場IDが「溶接現場AAA」であり、実施開始日時が「過去3か月」、及び、溶接条件の口径が「3インチ以上」に該当するレコードが抽出される。
【0133】
そして、欠陥分析部202Cは、その抽出したレコードを、分析条件として指定された統計手法、統計指標値及び分析軸に従って統計処理することで、欠陥判定傾向の分析結果を導出する。分析条件が、
図14に示すように、指定された場合には、期間「1か月単位」、作業者「溶接士単位」、及び、欠陥詳細状況「欠陥種」という3つの分析軸により、「比率」に対する「クロス集計」が行われる。
【0134】
次に、ステップS411にて、出力処理部205は、その欠陥判定傾向の分析結果を管理者端末装置4に送信する。そして、ステップS420にて、管理者端末装置4は、分析条件に対する応答として、溶接データ処理装置2から欠陥判定傾向の分析結果を受信すると、その分析結果に基づく分析結果表示画面43を表示する。
【0135】
図15は、欠陥分析処理における分析結果表示画面43の一例を示す図である。分析結果表示画面43は、欠陥分析部202Cの分析結果である欠陥発生傾向を、所定の表形式やグラフ形式にて表示する表示領域430を備える。
【0136】
図15に示す分析結果表示画面43は、分析条件が、
図14に示すように指定された場合に表示される画面である。そのため、表示領域430には、「溶接士単位」、「1か月単位」、「欠陥種」という3つの分析軸により、「クロス集計」が行われた分析結果が、円グラフ形式で示されている。円グラフには、「欠陥種」毎の欠陥発生比率が表されるとともに、その大きさにより度数が表されている。なお、分析結果表示画面43は、表形式やグラフ形式を変更可能に構成されていてもよい。また、分析結果表示画面43は、分析条件入力画面42を表示させるボタンを有し、分析条件が変更された場合には、変更後の分析条件に基づく分析結果を表示するようにしてもよい。
【0137】
他の分析条件として、例えば、溶接実施記録の予熱データ13に含まれる予熱温度の平均値、最低温度、最高温度、又は、予熱時間が分析軸として指定された場合には、それらに対する欠陥判定傾向の分析結果が導出されて表示される。また、予熱逸脱判定データに含まれる逸脱量(予熱温度逸脱量)や溶接逸脱判定データに含まれる逸脱量(溶接電圧逸脱量、溶接電流逸脱量、溶接速度逸脱量、溶接方向逸脱量又は溶接角度逸脱量)が分析軸として指定された場合には、それらに対する欠陥判定傾向の分析結果が導出されて表示される。さらに、実施開始日時及び実施終了日時に基づく作業時間(作業実時間、作業前待機時間又は作業時間帯)が分析軸として指定された場合には、それらに対する欠陥判定傾向の分析結果が導出されて表示される。
【0138】
以上のようにして、欠陥分析部202Cにより溶接工程データベース211及び検査工程データベース212に登録された情報に基づいて欠陥発生傾向が分析される。現場管理者40(作業者50A~50Eでもよい)は、欠陥発生傾向の分析結果を参考にして、溶接の欠陥が発生する状況や原因を調査し、早期に発見するとともに、作業者50A~50Eに対する教育や指導、各溶接箇所11に対する作業者50A~50Eの割当等に反映することができるので、溶接品質及び生産性の向上を図ることができる。
【0139】
(6)資格不適格発生傾向の分析
資格不適格分析部202Dは、溶接工程データベース211及び検査工程データベース212に登録された各レコードの情報に基づいて、作業者50A~50Eの保有資格に関する資格不適格発生傾向を分析する資格不適格分析処理を行う。なお、作業者50A~50Eの保有資格が、溶接箇所11の要求資格に対して不適格である場合、ステップS123、S223、S323の資格不適格処理を行うことで、無資格の作業者50A~50Eによる作業を抑制している。そのため、資格不適格分析部202Dによる資格不適格分析処理は、作業者50A~50Eが無資格であるにもかかわらず、誤って作業を実行してしまった場合において、その状況を分析することを想定したものである。
【0140】
資格不適格分析部202Dは、各レコードの情報として、溶接条件及び溶接実施記録の少なくとも一方と、溶接士資格判定データとに基づいて、資格不適格発生傾向を分析する。その際、資格不適格分析部202Dは、欠陥分析部202Cと同様に、所定の分析条件を受け付けて、その分析条件に従って統計処理することで、資格不適格発生傾向を分析する。資格不適格発生傾向は、溶接士50Aの保有資格と溶接箇所11の要求資格とを比較した際に不適格が発生したときの傾向を示すものであり、欠陥発生傾向と同様に、各種の統計指標値で表されるとともに、各種の統計手法により求められる。また、資格不適格発生傾向における分析条件は、欠陥発生傾向における分析条件と同様に、統計手法、統計指標値、分析対象範囲及び分析軸が指定される。
【0141】
なお、資格不適格分析部202Dは、溶接条件、溶接実施記録及び検査実施記録の少なくとも1つと、撮像作業者資格判定データとに基づいて、撮像作業者50Cの保有資格と溶接箇所11の要求資格とを比較した際に不適格が発生したときの傾向を示す資格不適格発生傾向を分析するようにしてもよい。また、資格不適格分析部202Dは、溶接条件、溶接実施記録及び検査実施記録の少なくとも1つと、判定士資格判定データとに基づいて、判定士50Dの保有資格と溶接箇所11の要求資格とを比較した際に不適格が発生したときの傾向を示す資格不適格発生傾向を分析するようにしてもよい。
【0142】
図16は、資格不適格分析処理の一例を示すフローチャートである。
図16では、資格不適格分析部202Dが、管理者端末装置4から資格不適格分析処理における分析条件を受け付けて、その分析条件に従って資格不適格発生傾向を分析する場合の動作を示している。基本的な動作は、
図13に示す欠陥分析処理と同様のため、詳細な説明は省略する。
【0143】
図17は、資格不適格分析処理における分析結果表示画面44の一例を示す図である。分析結果表示画面44は、資格不適格分析部202Dの分析結果である資格不適格発生傾向を、所定の表形式やグラフ形式にて表示する表示領域440を備える。
図17に示す表示領域440には、「溶接現場単位」、「所属先単位」という2つの分析軸により、判定士資格判定データの「クロス集計」が行われた分析結果が、棒グラフ形式で示されている。
【0144】
以上のようにして、資格不適格分析部202Dにより溶接工程データベース211及び検査工程データベース212に登録された情報に基づいて資格不適格発生傾向が分析される。現場管理者40(作業者50A~50Eでもよい)は、資格不適格発生傾向の分析結果を参考にして、例えば、無資格のまま誤って溶接工程を実施してしまったような溶接士50A、その溶接士50Aを管理する溶接管理者50B、その溶接士50Aが所属する所属先を把握し、教育や指導を行うことができるので、溶接品質及び生産性の向上を図ることができる。
【0145】
(7)逸脱発生傾向の分析
逸脱分析部202Eは、溶接工程データベース211及び検査工程データベース212に登録された各レコードの情報に基づいて、溶接条件に対する溶接実施記録の逸脱に関する逸脱発生傾向を分析する逸脱分析処理を行う。
【0146】
逸脱分析部202Eは、各レコードの情報として、溶接条件及び溶接実施記録の少なくとも一方と、予熱逸脱判定データ及び溶接逸脱判定データの少なくとも一方とに基づいて、逸脱発生傾向を分析する。その際、逸脱分析部202Eは、欠陥分析部202Cと同様に、所定の分析条件を受け付けて、その分析条件に従って統計処理することで、逸脱発生傾向を分析する。逸脱発生傾向は、溶接実施記録(溶接機動作データ12又は予熱データ13)と、溶接箇所11の溶接条件とを比較した際に逸脱が発生したときの傾向を示すものであり、欠陥発生傾向と同様に、各種の統計指標値で表されるとともに、各種の統計手法により求められる。また、逸脱発生傾向における分析条件は、欠陥発生傾向における分析条件と同様に、統計手法、統計指標値、分析対象範囲及び分析軸が指定される。
【0147】
逸脱判定基準設定部202Fは、溶接条件と、溶接実施記録と、欠陥判定データとに基づいて、逸脱判定部202Bが逸脱の有無を判定するときに用いる逸脱判定基準を設定する。逸脱判定基準設定部202Fは、溶接逸脱判定基準を設定する場合には、例えば、検査工程データベース212の溶接箇所テーブル212Aにおいて欠陥判定データに「欠陥無し」と登録された溶接箇所11に対応する溶接条件(溶接電流及び溶接電圧)及び溶接機動作データ12を溶接工程データベース211の溶接箇所テーブル211Aから取得し、その取得した溶接条件の溶接電流及び溶接電圧と溶接機動作データ12との差分(例えば、最大値や信頼区間)に基づいて、溶接逸脱判定基準を設定する。逸脱判定基準設定部202Fは、予熱逸脱判定基準を設定する場合には、例えば、検査工程データベース212の溶接箇所テーブル212Aにおいて欠陥判定データに「欠陥無し」と登録された溶接箇所11に対応する溶接条件(予熱)及び予熱データ13を溶接工程データベース211の溶接箇所テーブル211Aから取得し、その取得した溶接条件の予熱と、予熱データ13との差分(例えば、最大値や信頼区間)に基づいて、予熱逸脱判定基準を設定する。
【0148】
図18は、逸脱分析処理の一例を示すフローチャートである。
図18では、逸脱分析部202Eが、管理者端末装置4から逸脱分析処理における分析条件を受け付けて、その分析条件に従って逸脱発生傾向を分析する場合の動作を示している。基本的な動作は、
図13に示す欠陥分析処理と同様のため、詳細な説明は省略する。
【0149】
図19は、逸脱分析処理における分析結果表示画面45の一例を示す図である。分析結果表示画面45は、逸脱分析部202Eの分析結果である逸脱発生傾向を、所定の表形式やグラフ形式にて表示する表示領域450を備える。
図19に示す表示領域450には、「溶接管理者単位」、「溶接士単位」という2つの分析軸により、予熱逸脱判定データ及び溶接逸脱判定データの「クロス集計」が行われた分析結果が、棒グラフ形式で示されている。
【0150】
以上のようにして、逸脱分析部202Eにより溶接工程データベース211及び検査工程データベース212に登録された情報に基づいて逸脱発生傾向が分析される。現場管理者40(作業者50A~50Eでもよい)は、逸脱発生傾向の分析結果を参考にして、例えば、溶接箇所11の溶接条件に対して逸脱が発生した状態で溶接工程を実施した溶接士50A、その溶接士50Aを管理する溶接管理者50B、その溶接士50Aが所属する所属先を把握し、教育や指導を行うことができるので、溶接品質及び生産性の向上を図ることができる。
【0151】
(8)欠陥発生傾向を用いた溶接工程実施前の溶接アシスト機能
溶接アシスト部202Gは、アシスト対象とする溶接箇所11における溶接条件と、欠陥分析部202Cが溶接工程データベース211及び検査工程データベース212に登録された情報を分析することで得られた欠陥発生傾向とに基づいて、当該溶接箇所11にて溶接の欠陥が発生すると予測される溶接実施記録の特徴を含むアシスト情報を生成する溶接アシスト処理を行う。アシスト対象とする溶接箇所11は、溶接工程データベース211の溶接箇所テーブル211Aにおいて溶接条件が登録されたレコードに対応する溶接箇所11であればよい。そのため、溶接アシスト処理は、アシスト対象とする溶接箇所における溶接工程の実施前の任意のタイミングにて行われる。
【0152】
図20は、溶接アシスト処理の一例を示すフローチャートである。
図20では、溶接アシスト部202Gが、
図9のステップS130又は
図10のS150にて溶接アシスト処理によるアシスト情報を送信し、ステップS131又はS151にてアシスト情報を表示する場合の動作について説明する。
【0153】
まず、ステップS701にて、溶接アシスト部202Gは、溶接工程対象レコードにより特定される溶接箇所11を、アシスト対象の溶接箇所11として受け付けることで、溶接箇所テーブル211Aの溶接工程対象レコードに登録された溶接条件を取得する。
【0154】
次に、ステップS702にて、溶接アシスト部202Gは、そのアシスト対象とする溶接箇所11における溶接条件に基づいて、欠陥分析部202Cによる欠陥分析処理の分析条件を生成する。ここでの分析条件は、例えば、統計手法及び統計指標値として、単純集計による溶接の欠陥が発生したときの最小値が指定され、分析対象範囲として、アシスト対象とする溶接箇所11における溶接条件に対して同一又は所定の類似範囲が指定され、分析軸として、予熱逸脱判定データに含まれる逸脱量、又は、溶接逸脱判定データに含まれる逸脱量が分析軸として指定される。
【0155】
次に、ステップS703にて、欠陥分析部202Cは、溶接アシスト部202Gにより生成された分析条件に従って欠陥発生傾向を分析し、その分析結果を導出する。上記の分析条件の例では、欠陥分析部202Cは、溶接工程データベース211の溶接箇所テーブル211A及び検査工程データベース212の溶接箇所テーブル212Aから、アシスト対象とする溶接箇所11における溶接条件と同一又は所定の類似範囲に含まれるレコードを抽出する。そして、欠陥分析部202Cは、その抽出したレコードのうち欠陥判定データが「欠陥有り」を示すレコードの溶接実施記録における逸脱量を参照し、逸脱量の最小値(欠陥発生傾向の分析結果)を導出する。そして、ステップS704にて、溶接アシスト部202Gは、欠陥分析部202Cにより導出された欠陥発生傾向の分析結果に基づいて、アシスト情報を生成する。
【0156】
次に、ステップS710(S130又はS150)にて、出力処理部205は、溶接条件と、溶接アシスト部202Gによるアシスト情報とを、溶接士50Aの溶接士端末装置5Aに送信する。そして、ステップS711(S131又はS151)にて、溶接士端末装置5Aは、溶接データ処理装置2から溶接条件及びアシスト情報を受信すると、その溶接条件及びアシスト情報に基づく予熱支援画面又は溶接支援画面を表示する。溶接士50Aは、予熱支援画面又は溶接支援画面に表示されたアシスト情報(例えば、逸脱量の最小値)を確認することで、どの程度の逸脱量により溶接の欠陥が発生するのかを事前に把握することができる。なお、溶接アシスト部202Gは、溶接工程を実施する予定の溶接士50Aが、アシスト対象とする溶接箇所11における溶接条件と同一の溶接条件に従って過去に溶接工程を実施したときの欠陥発生比率を含むアシスト情報を生成するようにしてもよい。溶接士50Aは、自己の欠陥発生比率を事前に把握し、欠陥発生比率が高い場合には溶接工程を慎重に実施するように促されるので、溶接品質の向上を図ることができる。
【0157】
以上のようにして、溶接アシスト部202Gにより溶接工程データベース211及び検査工程データベース212に登録された情報に基づいてアシスト対象とする溶接箇所11にて溶接の欠陥が発生すると予測される溶接実施記録の特徴を含むアシスト情報が生成される。溶接士50Aは、溶接工程の実施前に提供されるアシスト情報を参考にして、溶接工程を実施することができるので、溶接品質及び生産性の向上を図ることができる。
【0158】
(9)欠陥発生傾向を用いた溶接工程実施後の欠陥予測アドバイス機能
欠陥予測部202Hは、予測対象とする溶接箇所11における溶接条件及び溶接実施記録と、欠陥分析部202Cが溶接工程データベース211及び検査工程データベース212に登録された情報を分析することで得られた欠陥発生傾向とに基づいて、当該溶接箇所11における溶接の欠陥の有無を予測し、その予測結果を含むアドバイス情報を生成する欠陥予測処理を行う。予測対象とする溶接箇所11は、溶接工程データベース211の溶接箇所テーブル211Aにおいて溶接条件及び溶接実施記録が登録されたレコードに対応する溶接箇所11であればよい。そのため、欠陥予測処理は、予測対象とする溶接箇所11における溶接工程の実施後の任意のタイミングにて行われる。
【0159】
図21は、欠陥予測処理の一例を示すフローチャートである。
図21では、欠陥予測部202Hが、
図10のステップS162又はS164の後に続けて欠陥予測処理を行う場合の動作について説明する。
【0160】
まず、ステップS801にて、欠陥予測部202Hは、溶接工程対象レコードにより特定される溶接箇所11を、予測対象の溶接箇所11として受け付けることで、溶接箇所テーブル211Aの溶接工程対象レコードに登録された溶接条件及び溶接実施記録を取得する。
【0161】
次に、ステップS802にて、欠陥予測部202Hは、その予測対象とする溶接箇所11における溶接条件及び溶接実施記録に基づいて、欠陥分析部202Cによる欠陥分析処理の分析条件を生成する。ここでの分析条件は、例えば、統計手法及び統計指標値として、単純集計による溶接の欠陥発生比率が指定され、分析対象範囲として、予測対象とする溶接箇所11における溶接条件及び溶接実施記録に対して同一又は所定の類似範囲が指定され、分析軸の指定は省略される。
【0162】
次に、ステップS803にて、欠陥分析部202Cは、欠陥予測部202Hにより生成された分析条件に従って欠陥発生傾向を分析し、その分析結果を導出する。上記の分析条件の例では、欠陥分析部202Cは、溶接工程データベース211の溶接箇所テーブル211A及び検査工程データベース212の溶接箇所テーブル212Aから、予測対象とする溶接箇所11における溶接条件及び溶接実施記録と同一又は所定の類似範囲に含まれるレコードを抽出する。そして、欠陥分析部202Cは、その抽出したレコードの総数を分母とし、その抽出したレコードのうち欠陥判定データが「欠陥有り」を示すレコードの総数を分子とする比率、すなわち、溶接の欠陥発生比率(欠陥発生傾向の分析結果)を導出する。
【0163】
次に、ステップS804にて、欠陥予測部202Hは、欠陥分析部202Cにより導出された欠陥発生傾向の分析結果に基づいて、溶接の欠陥の有無を予測する。上記の分析条件の例では、欠陥予測部202Hは、溶接の欠陥発生比率が所定の基準値以上の場合には、「欠陥有り」と予測し、所定の基準値未満の場合には、「欠陥無し」と予測する。なお、欠陥予測部202Hは、溶接の欠陥発生比率を、溶接の欠陥の有無の予測結果としてもよい。
【0164】
次に、ステップS810にて、欠陥予測部202Hは、溶接工程データベース211を参照し、溶接箇所テーブル212Aにおいて予測対象とする溶接箇所11に対応するレコードを特定する。そして、欠陥予測部202Hは、その溶接の欠陥の有無を予測した予測結果を示す欠陥予測データを、その特定したレコードに登録する。
【0165】
次に、ステップS820にて、出力処理部205は、欠陥予測部202Hによる欠陥予測データを、溶接士50Aの溶接士端末装置5Aと、溶接士50Aを管理する溶接管理者50Bの溶接管理者端末装置5Bとに送信する。
【0166】
そして、ステップS821、S822にて、溶接士端末装置5A及び溶接管理者端末装置5Bは、溶接データ処理装置2から欠陥予測データを受信すると、その欠陥予測データに基づく予測結果表示画面を表示する。
【0167】
以上のようにして、欠陥予測部202Hにより溶接工程データベース211及び検査工程データベース212に登録された情報に基づいて予測対象とする溶接箇所11における溶接の欠陥の有無が予測される。溶接士50A及び溶接管理者50B(現場管理者40や作業者50C~50Eでもよい)は、その予測結果に基づく予測結果表示画面の表示を受けて、例えば、溶接補修又は再溶接の必要性、放射線透過検査の優先度等を判断するため、意思決定の迅速化と溶接品質の向上を図ることができる。
【0168】
(10)学習モデルを用いた溶接工程実施後の欠陥推論アドバイス機能
図22は、機械学習処理及び欠陥推論処理の一例を示す概要図である。
【0169】
機械学習部202Iは、学習モデル25に学習データを複数組入力することで、入力データと教師データとの相関関係を学習モデル25に機械学習させる機械学習処理を行う。学習データは、溶接工程データベース211及び検査工程データベース212において、共通の溶接箇所11に対して、溶接箇所テーブル211Aに登録された溶接条件及び溶接実施記録を入力データとし、溶接箇所テーブル212Aに登録された欠陥判定データを教師データとして対応付けることで構成される。
【0170】
学習モデル25は、例えば、ニューラルネットワーク(ディープラーニングを含む)で構成される。学習モデル25の入力層は、溶接条件及び溶接実施記録(一部のデータでもよい)が入力され、学習モデル25の出力層は、その溶接条件及び溶接実施記録に対する欠陥推論データを出力する。学習モデル25は、例えば、溶接の欠陥の有無を判定した推論結果(二値分類)を欠陥推論データとして出力するものでもよいし、溶接の欠陥の有無とともに溶接の欠陥種を判定した推論結果(多値分類)を欠陥推論データとして出力するものでもよい。なお、溶接機動作データ12及び予熱データ13を時系列データとして扱う場合には、学習モデル25は、再帰型ニューラルネットワークで構成されるのが好ましい。また、機械学習の手法は、ニューラルネットワークを用いた機械学習に限られず、他の機械学習の手法を採用してもよい。他の機械学習の手法としては、例えば、決定木等のツリー型、アンサンブル学習、クラスタリング、多変量解析、サポートベクターマシン等が挙げられる。
【0171】
機械学習部202Iは、学習データを構成する入力データを、学習モデル25の入力層に入力する。そして、学習モデル25の出力層から出力された欠陥推論データと、当該学習データを構成する教師データとを比較する誤差関数を用いて、誤差関数の評価値が小さくなるように、各層の間に対応付けられた重みパラメータを調整する。機械学習部202Iは、複数組の学習データを用いて上記の操作を反復し、所定の学習終了条件が満たされたときの重みパラメータを、学習済みの学習モデル25として、例えば、記憶部21に記憶する。
【0172】
欠陥推論部202Jは、推論対象とする溶接箇所11aにおける溶接条件及び溶接実施記録を入力データとして学習モデル25(重みパラメータが調整済み)に入力することで、当該溶接箇所11aにおける溶接の欠陥の有無を推論し、その推論結果を含むアドバイス情報を生成する欠陥推論処理を行う。推論対象とする溶接箇所11aは、溶接工程データベース211の溶接箇所テーブル211Aにおいて溶接条件及び溶接実施記録が登録されたレコードに対応する溶接箇所11であればよい。そのため、欠陥推論処理は、推論対象とする溶接箇所11aにおける溶接工程の実施後の任意のタイミングにて行われる。
【0173】
図23は、欠陥推論処理の一例を示すフローチャートである。
図23では、欠陥推論部202Jが、
図10のステップS162又はS164の後に続けて欠陥推論処理を行う場合の動作について説明する。
【0174】
まず、ステップS901にて、欠陥推論部202Jは、溶接工程対象レコードにより特定される溶接箇所11を、推論対象の溶接箇所11aとして受け付けることで、溶接箇所テーブル211Aの溶接工程対象レコードに登録された溶接条件及び溶接実施記録を取得する。
【0175】
次に、ステップS902にて、欠陥推論部202Jは、その推論対象とする溶接箇所11aにおける溶接条件及び溶接実施記録を学習モデル25の入力層に入力し、その学習モデル25の出力層から欠陥推論データを出力させる。
【0176】
次に、ステップS910にて、欠陥推論部202Jは、溶接工程データベース211を参照し、溶接箇所テーブル212Aにおいて溶接工程対象レコードにより特定される溶接箇所11に対応するレコードを特定する。そして、欠陥推論部202Jは、学習モデル25から出力された欠陥推論データを、その特定したレコードに登録する。
【0177】
次に、ステップS920にて、出力処理部205は、学習モデル25から出力された欠陥推論データを、溶接士50Aの溶接士端末装置5Aと、溶接士50Aを管理する溶接管理者50Bの溶接管理者端末装置5Bとに送信する。
【0178】
そして、ステップS921、S922にて、溶接士端末装置5A及び溶接管理者50Bは、溶接データ処理装置2から欠陥推論データを受信すると、その欠陥推論データに基づく推論結果表示画面を表示する。
【0179】
以上のようにして、欠陥推論部202Jにより溶接工程データベース211及び検査工程データベース212に登録された情報に基づいて推論対象とする溶接箇所11aにおける溶接の欠陥の有無が推論される。溶接士50A及び溶接管理者50B(現場管理者40や作業者50C~50Eでもよい)は、その推論結果に基づく推論結果表示画面の表示を受けて、例えば、溶接補修又は再溶接の必要性、放射線透過検査の優先度等を判断するため、意思決定の迅速化と溶接品質の向上を図ることができる。
【0180】
(他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に制約されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれるものである。
【0181】
例えば、上記実施形態では、情報処理部202は、
図5に示すように、各部202A~202Jを備えるものとして説明したが、各部202A~202Jのうち一部だけを備えるものでもよい。また、情報処理部202の各部202A~202Jがそれぞれ実行する処理を示すフローチャートにおいて、各ステップの実行順序を適宜入れ替えてもよいし、一部のステップを省略してもよい。
【0182】
また、上記実施形態では、画像データ14は、検査機7により生成されたものとして説明した。これに対し、画像データ14は、溶接箇所の透過放射線が撮像されたフィルムを、例えば、スキャナ等の画像読取装置によりスキャンすることで生成されたものでもよい。
【0183】
また、上記実施形態では、機械学習部202I及び欠陥推論部202Jにおける学習モデル25の入力データは、溶接箇所11における溶接条件及び溶接実施記録であるものとして説明したが、学習モデルの入力データは、溶接箇所11における画像データ14であってもよい。その場合、情報処理部202は、機械学習部202I及び欠陥推論部202Jとは別に、機械学習部及び欠陥推論部をさらに備え、当該機械学習部は、画像データ14を入力データとし、欠陥判定データを教師データとして構成される学習データに基づいて入力データと教師データとの相関関係を学習モデルに機械学習させて、当該欠陥推論部は、推論対象とする溶接箇所11aにおける画像データ14を入力データとして学習済みの学習モデルに入力することで当該溶接箇所11aにおける欠陥推論データを出力するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0184】
1…溶接統合管理システム、2…溶接データ処理装置、3…建設プログレス管理装置、4…管理者端末装置、5A…溶接士端末装置、5B…溶接管理者端末装置、5C…撮像作業者端末装置、5D…判定士端末装置、5E…検査管理者端末装置、6…溶接機、7…検査機、8…ネットワーク、10…溶接現場、11、11a…溶接箇所、12…溶接機動作データ、13…予熱データ、14…画像データ、20…制御部、21…記憶部、22…通信部、23…入力部、24…表示部、25…学習モデル、30…ビーコン受信装置、31…ビーコンカード、40…現場管理者、41…カード読取部、42…分析条件入力画面、43~45…分析結果表示画面、50A…溶接士、50B…溶接管理者、50C…撮像作業者、50D…判定士、50E…検査管理者、51…カード読取部、60…溶接機モニタリング装置、61…温度測定装置、62…分電盤、63…溶接トーチ、64…電源回路、65…操作制御盤、66…ガスタンク、70…放射線照射部、71…検出器、72…ガイド、73…駆動部、74…操作制御盤、200…溶接工程登録部、201…検査工程登録部、202…情報処理部、202A…資格判定部、202B…逸脱判定部、202C…欠陥分析部、202D…資格不適格分析部、202E…逸脱分析部、202F…逸脱判定基準設定部、202G…溶接アシスト部、202H…欠陥予測部、202I…機械学習部、202J…欠陥推論部、203…溶接工程支援部、204…検査工程支援部、205…出力処理部、210…溶接データ処理プログラム、211…溶接工程データベース、211A…溶接箇所テーブル、211B…溶接機テーブル、211C…溶接士テーブル、211D…溶接管理者テーブル、212…検査工程データベース212A…溶接箇所テーブル、212B…検査機テーブル、212C…撮像作業者テーブル、212D…判定士テーブル、212E…検査管理者テーブル、420~423…入力欄、430~450…表示領域、620…開閉器、630…電極、631…ノズル、632…スイッチ、900…コンピュータ