(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】非対称層構造を有する光学デバイス
(51)【国際特許分類】
G02B 5/28 20060101AFI20240520BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20240520BHJP
G02B 5/22 20060101ALI20240520BHJP
G02B 5/26 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
G02B5/28
B32B7/023
G02B5/22
G02B5/26
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019113887
(22)【出願日】2019-06-19
【審査請求日】2019-08-05
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-23
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502151820
【氏名又は名称】ヴァイアヴィ・ソリューションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Viavi Solutions Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100147692
【氏名又は名称】下地 健一
(72)【発明者】
【氏名】マーク コズロウスキー
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス ピー ザイデル
(72)【発明者】
【氏名】ヤロスロウ ジエバ
【合議体】
【審判長】神谷 健一
【審判官】里村 利光
【審判官】大▲瀬▼ 裕久
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-48302(JP,A)
【文献】特表2003-520986(JP,A)
【文献】国際公開第2017/056803(WO,A1)
【文献】特開平5-134113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B5/20-5/28
C09C3/00-3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面、該第1の表面の反対側の第2の表面、及び第3の表面を有する反射体と、
前記反射体の前記第1の表面の外側にある第1の選択的光変調体層であって、非吸収性である第1の選択的光変調体層と、
前記第1の選択的光変調体層の外側にある第1の吸収体層であって、部分的に吸収性の該第1の吸収体層と、
前記第1の吸収体層の外側にある第2の選択的光変調体層であって、吸収性の該第2の選択的光変調体層と
を備え、
前記反射体の前記第3の表面は開放され、
厚さ対幅が1:1~1:50のアスペクト比を有する非対称層構造を有する物品。
【請求項2】
請求項1に記載の物品において、第1の表面及び該第1の表面の反対側の第2の表面を有する磁性体含有層をさらに備え、
前記反射体層は、前記磁性体含有層の前記第1の表面の外側にある物品。
【請求項3】
第1の表面、該第1の表面の反対側の第2の表面、及び第3の表面を有する透明層と、
前記透明層の前記第1の表面の外側にあり、染料を含む第1の選択的光変調体層であって、第1の色を吸収する第1の選択的光変調体層と、
前記透明層の前記第2の表面の外側にある第2の選択的光変調体層と
を備え、
前記透明層の前記第3の表面は開放され、
前記第1の選択的光変調体層及び前記第2の選択的光変調体層は、(i)光重合開始剤、(ii)酸素阻害緩和組成物、(iii)レベリング剤、及び(iv)消泡剤
から選択される少なくとも1つ
の添加剤を有する組成物を含む物品
であって、
顔料、光学タガント、および光学セキュリティデバイスから選択される光学デバイスである物品。
【請求項4】
剥離層をさらに備えた請求項1に記載の物品。
【請求項5】
請求項1の物品を備えた光学デバイス。
【請求項6】
フレークである請求項1に記載の物品。
【請求項7】
請求項1に記載の物品において、前記第1の選択的光変調体層は、特定の波長のエネルギーを選択的に吸収する物品。
【請求項8】
層状の形状を有する請求項1に記載の物品。
【請求項9】
請求項1に記載の物品において、該物品は、光干渉、光吸収、光反射、光散乱、及びそれらの組み合わせから選択される特性を示す物品。
【請求項10】
反射体層を堆積させるステップと、
非吸収性の第1の選択的光変調体層を前記反射体層の外側に堆積させるステップと、
第1の吸収体層を前記第1の選択的光変調体層の外側に堆積させるステップであって、前記第1の吸収体層は部分的に吸収性であるステップと、
吸収性の第2の選択的光変調体層を前記第1の吸収体層の外側に堆積させ厚さ対幅が1:1~1:50のアスペクト比を有する非対称層構造を形成するステップと
を含み、前記第1の選択的光変調体層は液体コーティングプロセスを用いて堆積される、物品を製造する方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、基板と前記反射体層との間に磁性体含有層を堆積させるステップをさらに含む方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、第1の吸収体層を堆積させるステップをさらに含む方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法において、前記第2の選択的光変調体層は、液体コーティングプロセスを用いて堆積される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、箔、シート、及び/又はフレークの形態の光学デバイス等の物品に関する。光学デバイスは、第1の表面を有する反射体と、第1の表面反射体の外側にある第1の選択的光変調体(selective light modulator)層(「SLML」)とを含み得る。光学デバイスはまた、第1の表面を有する透明層と、透明層の第1の表面の外側にある第1のSLMLとを含み得る。光学デバイスを製造する方法も開示される。
【背景技術】
【0002】
フレーク等の様々な光学デバイスが、光学特性を強化したコンシューマ用途のフィーチャとして使用されている。一部のコンシューマ用途では、カラーシフトが少ないか又は全くない金属効果や光学変化効果が望ましい。残念ながら、現行の製造方法では、十分に有色ではく且つ/又は十分に強力な金属フロップ性が得られない光学デバイスが製造されている。他の方法は多層塗膜系を必要とし、これは製造コストを増加させ、且つ業界標準の製造設備内では機能できない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様では、第1の表面、第1の表面の反対側の第2の表面、及び第3の表面を有する反射体と、反射体の第1の表面の外側にある第1の選択的光変調体層とを備え、反射体の第3の表面は開放されている物品が開示される。
【0004】
一態様では、第1の表面、第1の表面の反対側の第2の表面、及び第3の表面を有する透明層と、透明層の第1の表面の外側にある第1の選択的光変調層とを備え、透明層の第3の表面は開放されている物品が開示される。
【0005】
一態様では、反射体層を堆積させるステップと、第1の選択的光変調体層を堆積させるステップとを含み、第1の選択的光変調体層は液体コーティングプロセスを用いて堆積される、物品を製造する方法が開示される。
【0006】
種々の実施形態のさらに他の特徴及び利点は、一部が以下の説明に記載され一部が説明から明らかとなるか、又は種々の実施形態の実施により会得され得る。種々の実施形態の目的及び他の利点は、本明細書の説明で特に指摘される要素及び組み合わせにより実現及び達成されるであろう。
【0007】
本開示のいくつかの態様及び実施形態は、詳細な説明及び添付図面からさらに十分に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】本開示の別の態様による物品の断面図である。
【
図3】本開示の別の態様による物品の断面図である。
【
図4】本開示の別の態様による物品の断面図である。
【
図5】本開示の別の態様による物品の断面図である。
【
図6】本開示の別の態様による物品の断面図である。
【
図7】本開示の別の態様による物品の断面図である。
【
図8】本開示の一例による、SLML層等の層の堆積を示す絵基体コーティングプロセスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び図を通して、同じ参照符号は同じ要素を示す。
【0010】
上述の概要及び以下の詳細な説明の両方が、例示及び説明のためのものにすぎず、本教示の種々の実施形態の説明を提供するものであることを理解されたい。広範且つ多様な実施形態において、本明細書には、例えば箔、シート、及びフレークの形態の光学デバイス等の物品と、当該物品を製造する方法とが開示される。一例では、顔料、光学タガント(optical taggants)、及び光学セキュリティデバイスを、構造を簡素化し且つ層数を減らして製造することにより、製造コストを減らすことができる。さらに、フレーク状形態を有する物品は、高アスペクト比粒子をもたらすことにより、アライメントを改善し且つ光学特性を強化することができる。さらに、非対称層構造により、両側で異なる視覚及び非視覚属性を提供し得るフレークを得ることができる。
【0011】
本明細書において、「反射する」及びその変形は光の反射を指す。本明細書において、「吸収する」及びその変形は光の吸収を指す。
【0012】
図示の物品10は、光干渉、光吸収、光反射、光散乱、及びそれらの組み合わせから選択される特性を示すことができる。本明細書に開示する物品10は、いくつかの態様では光干渉を示すことができる。代替的に、いくつかの例では、物品10は光干渉を示すことができない。一態様では、物品10は干渉を利用して色を生成することができる。別の態様では、物品10は干渉を利用して色を生成することができない。例えば、以下でさらに詳細に説明するように、色の見え方は、添加剤、選択的光変調体粒子(SLMP)、又は選択的光変調体分子(SLMM)等の選択的光変調体系(SLMS)を選択的光変調体層(SLML)中に含有させることにより発生させることができる。
【0013】
一態様では、物品10は物体又は基板上で使用できるシートの形態であり得る。別の態様では、物品10は箔又はフレークの形態であり得る。例えば、物品10は層状の形状を有し得る。一態様では、光学デバイスが物品10を含み得る。別の態様では、組成物が光学デバイス及び液体媒体を含み得る。組成物は、インク、ワニス、塗料等であり得る。別の態様では、物品10は、例えば厚さ10nm~100μm、サイズ100nm~100mmのフレークの形態の光学デバイスである。物品10は、カラーシフト着色剤(color shifting colorant)であってもよく、又は通貨のセキュリティフィーチャとして使用してもよい。物品10の使用に共通する属性としては、高色度(すなわち強い色)、視野角に対する色変化(ゴニオクロマティシティ又はイリデッセンスとしても知られている)、及びフロップ性(視野角の変化に伴い明度、色相又は色度が変化する鏡面的且つ金属的な見え方)等が挙げられる。さらに、物品10は金属的な色とすることができ、干渉を利用して色を生成することができない。
【0014】
図は、光学デバイス等の物品10をシートの形態で示しているが、本開示の様々な態様によれば、光学デバイス等の物品10はフレーク及び/又は箔の形態とすることもできる。さらに、図は、特定の順序で特定の層を示しているが、当業者は、物品10が任意の数の層を任意の順序で含むことができることを理解するであろう。さらに、任意の特定の層の組成は、任意の他の層の組成と同じであっても異なっていてもよい。例えば、第1の選択的光変調体層(SLML)は、第2の選択的光変調体層(SLML)と同じであっても異なっていてもよい。さらに、任意の特定の層の物性は、任意の他の層の物性と同じであっても異なっていてもよい。例えば、第1のSLML14は、第1の屈折率を有する組成物を有することができるが、同じ物品10内の第2のSLML14’は、異なる屈折率を有する異なる組成物を有することができる。別の例として、第1のSLML14は、組成物を第1の厚さで有することができるが、第2のSLML14’は、同じ組成物を第1の厚さとは異なる第2の厚さで有することができる。
【0015】
図1に示すように、物品10は、第1の表面、第1の表面の反対側の第2の表面、及び第3の表面を有する反射体16と、反射体16の第1の表面の外側にある第1の選択的光変調体層16とを含むことができ、反射体16の第3の表面は開放されている。
【0016】
反射体16は、広帯域反射体、例えば、スペクトル及びランバート反射体(例えば、白色TiO2)とすることができる。反射体16は、金属、非金属、又は合金とすることができる。一例では、反射体16の材料は、所望のスペクトル範囲内で反射特性を有する任意の材料を含むことができる。例えば、所望のスペクトル範囲において5%~100%の範囲の反射率を有する任意の材料である。反射材料の例は、良好な反射特性を有し、安価であり、薄層として形成又は堆積することが容易なアルミニウムであり得る。アルミニウムの代わりに他の反射材料を使用することもできる。例えば、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、コバルト、ニオブ、クロム、スズ、及びこれらの金属若しくは他の金属の組み合わせ又は合金を反射材料として使用することができる。一態様では、反射体16の材料は、白色又は淡色の金属とすることができる。他の例では、反射体16は、遷移金属、ランタニド金属及びそれらの組み合わせ、並びに金属炭化物、金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物、それらの組み合わせ、又は金属とこれらの材料の1つ又は複数との混合物を含むことができるが、これらに限定されない。
【0017】
反射体16の厚さは、約5nm~約5000nmの範囲とすることができるが、この範囲は限定的に解釈すべきではない。例えば、反射体16が最大透過率0.8を提供できるように厚さの下限を選択することができる。付加的又は代替的に、アルミニウムを含む反射体16の場合、光学密度(OD)は波長約550nmにおいて約0.1~約4とすることができる。
【0018】
十分な光学密度を得るために且つ/又は所望の効果を達成するために、反射体16の組成に応じて、より大きい又はより小さい最小厚さが必要とされ得る。いくつかの例では、上限は、約5000nm、約4000nm、約3000nm、約1500nm、約200nm、及び/又は約100nmとすることができる。一態様では、反射体16の厚さは、約10nm~約5000nm、例えば約15nm~約4000nm、約20nm~約3000nm、約25nm~約2000nm、約30nm~約1000nm、約40nm~約750nm、又は約50nm~約500nm、例えば約60nm~約250nm若しくは約70nm~約200nmの範囲とすることができる。
【0019】
図示のように、反射体16の少なくとも2つの表面/側面、例えば図示のような右側(第3)及び左側(第4)の表面/側面を、SLML14無しとすることができる。一態様では、物品10がフレーク又は箔の形態である場合、反射体16は、図に例示された4つの表面よりも多くの表面を含むことができる。このような場合には、例えば、反射体16の1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つの表面をSLML14無しとすることができる。いくつかの例では、反射体16の1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つの表面、よって物品10を大気に開放することができる。一例では、開放側面、すなわち外側のSLML14を含まない反射体16の表面はフロップ性に有利であり得る。
【0020】
図1を再度参照すると、物品10は、反射体16の第1の表面の外側に第1の選択的光変調体層(SLML)14を含み得る。SLMLは、約0.2μm~約20μmの範囲の波長を有する電磁放射のスペクトルの種々の選択領域において光強度を変調(吸収及び/又は放出)することを目的とする複数の光学機能を備える物理層である。
図1の物品10は、選択的SLMS(より詳細に後述)がもたらす吸収によりSLML14が光を選択的に変調することができる非対称層構造を含む。特に、物品10は、光等の特定の波長のエネルギーを選択的に吸収するSLML14を含むことができる。
【0021】
SLML14(及び/又はSLML14内の材料)は、光を選択的に変調することができる。例えば、SLML14は、特定の波長における透過量を制御することができる。いくつかの例では、SLML14は、特定の波長(例えば、可視領域及び/又は非可視領域)のエネルギーを選択的に吸収することができる。例えば、SLML14は、「着色層」及び/又は「波長選択性吸収層」とすることができる。いくつかの例では、吸収された特定の波長により、物品10が特定の色を呈することができる。例えば、SLML14は、人間の目には赤色に見え得る(例えば、SLML14は、約620nm未満の光の波長を吸収し、したがって赤色に見えるエネルギーの波長を反射又は透過することができる)。これは、着色剤(例えば、有機及び/又は無機顔料及び/又は染料)である選択的光変調体粒子(SLMP)を、ポリマーを含むがこれに限定されない誘電体等のホスト材料に添加することによって達成することができる。例えば、いくつかの例では、SLML14は着色プラスチックとすることができる。
【0022】
いくつかの例では、吸収される特定の波長の一部又は全部が可視領域内にあり得る(例えば、SLML14は、可視領域では吸収し得るが赤外領域では透明であり得る)。得られた物品10は黒く見えるが、赤外領域の光を反射する。上述のいくつかの例では、物品10及び/又はSLML14の吸収波長(及び/又は特定の可視色)は、少なくともある程度はSLML14の厚さに依存し得る。付加的又は代替的に、SLML14により吸収されるエネルギーの波長(及び/又はこれらの層及び/又はフレークが呈する色)は、SLML14に添加するものにある程度は依存し得る。特定の波長のエネルギーを吸収することに加えて、SLML14は、劣化に対して反射体16を強化すること、基板からの剥離を可能にすること、サイジングを可能にすること、反射体16で用いられるアルミニウム又は他の金属及び材料の酸化等の環境劣化に対して若干の耐性を与えること、及びSLML14’の組成及び厚さに基づく光の高い透過性能、反射性能、及び吸収性能のうちの少なくとも1つを達成することができる。
【0023】
いくつかの例では、特定波長のエネルギー及び/又は可視光の波長を選択的に吸収するSLML14に加えて、又はこれに代えて、物品10のSLML14は、屈折率を制御することができ、且つ/又はSLML14は、屈折率を制御することができるSLMPを含むことができる。SLML14の屈折率を制御することができるSLMPは、吸収制御SLMP(例えば、着色剤)に加えて、又はこれに代えて、ホスト材料に含有させることができる。いくつかの例では、ホスト材料は、SLML14中で吸収制御SLMP及び屈折率SLMPの両方と組み合わせることができる。いくつかの例では、同じSLMPが吸収及び屈折率の両方を制御することができる
【0024】
SLML14の性能は、SLML14に存在する材料の選択に基づいて決定することができる。一態様では、SLML14は、物品10内の任意の他の層、例えば反射体16のフレークハンドリング性、腐食、位置合わせ、及び環境性能のうちの少なくとも1つの特性を改善することができる
【0025】
第1(及び場合によっては第2、第3、第4等の)SLML14は、それぞれ独立して、ホスト材料のみ又は選択的光変調体系(SLMS)と組み合わせたホスト材料を含むことができる。一態様では、第1のSLML14の少なくとも1つがホスト材料を含むことができる。別の態様では、第1のSLML14の少なくとも1つがホスト材料及びSLMSを含むことができる。SLMSは、選択的光変調体分子(SLMM)、選択的光変調体粒子(SLMP)、添加剤、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0026】
SLML14の組成物は、約0.01%~約100%、例えば約0.05%~約80%、またさらなる例として約1%~約30%の範囲の固形分を有することができる。いくつかの態様では、固形分は3%よりも大きくすることができる。いくつかの態様では、SLML14の組成物は、約3%~約100%、例えば約4%~50%の範囲の固形分を有することができる。
【0027】
第1のSLML14のホスト材料は、独立して、コーティング液として塗布され且つ光学的及び構造的な目的を果たす成膜材料であり得る。ホスト材料は、追加の光変調特性を物品10に付与するために選択的光変調体系(SLMS)等のゲスト系を必要に応じて導入するためのホスト(マトリックス)として使用することができる。
【0028】
ホスト材料は誘電材料とすることができる。付加的又は代替的に、ホスト材料は、有機ポリマー、無機ポリマー、及び複合材料のうちの少なくとも1つとすることができる。有機ポリマーの非限定的な例には、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アクリル、アクリレート、ポリビニルエステル、ポリエーテル、ポリチオール、シリコーン、フルオロカーボン、及びそれらの種々のコポリマー等の熱可塑性プラスチック;エポキシ、ポリウレタン、アクリレート、メラミンホルムアルデヒド、尿素ホルムアルデヒド、及びフェノールホルムアルデヒド等の熱硬化性樹脂;及びアクリレート、エポキシ、ビニル、ビニルエステル、スチレン、及びシラン等のエネルギー硬化性材料が含まれる。無機ポリマーの非限定的な例には、シラン、シロキサン、チタン酸塩、ジルコン酸塩、アルミン酸塩、ケイ酸塩、ホスファザン、ポリボラジレン、ポリチアジルが含まれる。
【0029】
第1のSLML14は、約0.001重量%~約100重量%のホスト材料を含むことができる。一態様では、ホスト材料は、SLML14の約0.01重量%~約95重量%、例えば約0.1重量%~約90重量%、またさらなる例として約1重量%~約87重量%の範囲の量でSLML14中に存在することができる。
【0030】
SLMSは、ホスト材料と共にSLML14で使用するために、選択的光変調体粒子(SLMP)、選択的光変調体分子(SLMM)、添加剤、又はそれらの組み合わせをそれぞれ独立して含むことができる。SLMSは他の材料を含むこともできる。SLMSは、選択領域又は対象の全スペクトル範囲(0.2μm~20μm)において電磁放射の振幅を(吸収、反射、蛍光等により)変調することができる。
【0031】
第1のSLML14は、それぞれ独立してSLMS中にSLMPを含むことができる。SLMPは、ホスト材料と組み合わされて光変調を選択的に制御する任意の粒子とすることができ、限定されないが、カラーシフト粒子、染料、着色剤が含まれ、着色剤は染料、顔料、反射顔料、カラーシフト顔料、量子ドット、及び、選択的反射体のうちの1つ又は複数を含む。SLMPの非限定的な例としては、有機顔料、無機顔料、量子ドット、ナノ粒子(選択的に反射及び/又は吸収するもの)、ミセル等が挙げられる。ナノ粒子は、高屈折率(波長約550nmでn>1.6)の有機材料及び金属有機材料;TiO2、ZrO2、In2O3、In2O3-SnO、SnO2、FexOy(x及びyはそれぞれ独立して0より大きい整数)、及びWO3等の金属酸化物;ZnS及びCuxSy(x及びyはそれぞれ独立して0より大きい整数である)等の金属硫化物;カルコゲニド、量子ドット、金属ナノ粒子;カーボネート;フッ化物;及びそれらの混合物を含むことができるが、これらに限定されない。
【0032】
SLMMの例には、有機染料、無機染料、ミセル、及び発色団を含む他の分子系が含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
いくつかの態様では、第1のSLML14のSLMSは、硬化剤及びコーティング助剤等の少なくとも1つの添加剤を含むことができる。
【0034】
硬化剤は、ホスト材料の硬化、ガラス化、架橋、又は重合を開始することができる化合物又は材料とすることができる。硬化剤の非限定的な例としては、溶媒、ラジカル発生剤(エネルギー又は化学物質による)、酸発生剤(エネルギー又は化学物質による)、縮合開始剤、及び酸/塩基触媒が挙げられる。
【0035】
コーティング助剤の非限定的な例としては、レベリング剤、湿潤剤、消泡剤、接着促進剤、酸化防止剤、UV安定剤、硬化阻害緩和剤、防汚剤、腐食防止剤、光増感剤、二次架橋剤、及び赤外線乾燥の強化のための赤外線吸収剤が挙げられる。一態様では、酸化防止剤は、SLML14の組成物中に約25ppm~約5重量%の範囲の量で存在することができる。
【0036】
第1のSLML14は、それぞれ独立して溶媒を含むことができる。溶媒の非限定的な例には、酢酸エチル、酢酸プロピル、及び酢酸ブチル等の酢酸エステル;アセトン;水;ジメチルケトン(DMK)、メチルエチルケトン(MEK)、sec-ブチルメチルケトン(SBMK)、ter-ブチルメチルケトン(TBMK)、シクロペンタノン、及びアニソール等のケトン;プロピレングリコールメチルエーテル及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のグリコール及びグリコール誘導体;イソプロピルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール;マロン酸エステル等のエステル;n-メチルピロリドン等の複素環式溶媒;トルエン及びキシレン等の炭化水素;グリコールエーテル等の凝集溶媒;及び、それらの混合物が挙げられる。一態様では、溶媒は、第1のSLML14’中に、SLML14の総重量に対して約0重量%~約99.9重量%、例えば約0.005重量%~約99重量%、またさらなる例として約0.05重量%~約90重量%の範囲の量で存在することができる。
【0037】
いくつかの例では、第1のSLML14は、(i)光重合開始剤、(ii)酸素阻害緩和組成物、(iii)レベリング剤、及び(iv)消泡剤のうちの少なくとも1つを有する組成物を含むことができる。
【0038】
酸素阻害緩和組成物は、フリーラジカル物質の酸素阻害を緩和するために使用することができる。分子状酸素は、光重合開始剤/増感剤の三重項状態を消滅させるか、又はフリーラジカルを捕捉することができるため、コーティング特性の低減及び/又は未硬化液体表面が生じる。酸素阻害緩和組成物は、酸素阻害を低減させることができるか、又はいずれのSLML14’の硬化も改善することができる。
【0039】
酸素阻害組成物は、2つ以上の化合物を含むことができる。酸素阻害緩和組成物は、少なくとも1つのアクリレート、例えば少なくとも1つのアクリレートモノマー及び少なくとも1つのアクリレートオリゴマーを含むことができる。一態様では、酸素阻害緩和組成物は、少なくとも1つのアクリレートモノマー及び2つのアクリレートオリゴマーを含むことができる。酸素阻害緩和組成物に使用するためのアクリレートの非限定的な例としては、アクリレート;メタクリレート;変性エポキシアクリレート等のエポキシアクリレート;酸官能性ポリエステルアクリレート、4官能ポリエステルアクリレート、変性ポリエステルアクリレート、及びバイオ由来ポリエステルアクリレート等のポリエステルアクリレート;アミン官能性アクリレート共開始剤及び第3級アミン共開始剤を含む、アミン変性ポリエーテルアクリレート等のポリエーテルアクリレート;芳香族ウレタンアクリレート、変性脂肪族ウレタンアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、及び脂肪族アロファネート系ウレタンアクリレート等のウレタンアクリレート;及びそれらのモノマー及びオリゴマーが挙げられる。一態様では、酸素阻害緩和組成物は、少なくとも1つのアクリレートオリゴマー、例えば2つのオリゴマーを含むことができる。少なくとも1つのアクリレートオリゴマーは、メルカプト変性ポリエステルアクリレート及びアミン変性ポリエーテルテトラアクリレート等の、ポリエステルアクリレート及びポリエーテルアクリレートから選択することができる。酸素阻害緩和組成物はまた、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート等の少なくとも1つのモノマーを含むことができる。酸素阻害緩和組成物は、第1のSLML14中に、SLML14’の総重量に対して約5重量%~約95重量%、例えば約10重量%~約90重量%、またさらなる例として約15重量%~約85重量%の量で存在することができる。
【0040】
いくつかの例では、SLML14のホスト材料は、カチオン系などの非ラジカル硬化系を使用することができる。カチオン系は、フリーラジカルプロセスの酸素阻害の緩和の影響を受けにくいため、酸素阻害緩和組成物を必要としなくてよい。一例では、モノマーである3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンの使用は酸素緩和組成物を必要としない。
【0041】
一態様では、第1のSLML14は、それぞれ独立して、少なくとも1つの光重合開始剤、例えば、2つの光重合開始剤又は3つの光重合開始剤を含むことができる。光重合開始剤は、短波長用に使用することができる。光重合開始剤は、化学線波長に対して活性であり得る。光重合開始剤は、タイプI光重合開始剤又はタイプII光重合開始剤とすることができる。SLML14は、タイプI光重合開始剤のみを、タイプII光重合開始剤のみを、又はタイプI光重合開始剤及びタイプII光重合開始剤の両方の組み合わせを含むことができる。光重合開始剤は、SLML14の組成物中に、SLML14の組成物の総重量に対して約0.25重量%~約15重量%、例えば約0.5重量%~約10重量%、またさらなる例として約1重量%~約5重量%の範囲の量で存在することができる。
【0042】
光重合開始剤はホスフィンオキシドとすることができる。ホスフィンオキシドは、モノアシルホスフィンオキシド及びビスアシルホスフィンオキシドを含むことができるが、これらに限定されない。モノアシルホスフィンオキシドは、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドとすることができる。ビスアシルホスフィンオキシドは、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドとすることができる。一態様では、少なくとも1つのホスフィンオキシドがSLML14の組成物中に存在することができる。例えば、2つのホスフィンオキシドがSLML14の組成物中に存在することができる。
【0043】
増感剤がSLML14の組成物中に存在することができ、タイプI光重合開始剤及び/又はタイプII光重合開始剤の増感剤として作用することができる。増感剤はタイプII光重合開始剤としても作用することができる。一態様では、増感剤は、SLML14の組成物中に、SLML14の組成物の総重量に対して約0.05重量%~約10重量%、例えば約0.1重量%~約7重量%、またさらなる例として約1重量%~約5重量%の量で存在することができる。増感剤は、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン等のチオキサントンとすることができる。
【0044】
一態様では、SLML14はレベリング剤を含むことができる。レベリング剤はポリアクリレートとすることができる。レベリング剤は、SLML14の組成物のクレーター化を排除することができる。レベリング剤は、SLML14の組成物中に、SLML14の組成物の総重量に対して約0.05重量%~約10重量%の範囲、例えば約1重量%~約7重量%、またさらなる例では約2重量%~約5重量%の範囲の量で存在することができる。
【0045】
SLML14は消泡剤を含むこともできる。消泡剤は表面張力を低下させることができる。消泡剤はシリコーンを含まない液状有機ポリマーとすることができる。消泡剤は、SLML14の組成物中に、SLML14の組成物の総重量に対して約0.05重量%~約5重量%、例えば約0.2重量%~約4重量%、またさらなる例として約0.4重量%~約3重量%の範囲の量で存在することができる。
【0046】
第1のSLML14は、それぞれ独立して、約1.5より大きいか又は小さい屈折率を有することができる。例えば、各SLML14’は、約1.5の屈折率を有することができる。各SLML14の屈折率は、必要とされるカラートラベル度が得られるように選択することができ、カラートラベルは、L*a*b*色空間において測定される色相角の視野角による変化として定義することができる。いくつかの例では、各SLML14’は、約1.1~約3.0、約1.0~約1.3、又は約1.1~約1.2の範囲の屈折率を有することができる。いくつかの例では、各SLML14の屈折率は、約1.5未満、約1.3未満、又は、約1.2未満とすることができる。いくつかの例では、2つ以上のSLMLが物品10にある場合、SLML14は、実質的に等しい屈折率又は互いに異なる屈折率を有することができる。
【0047】
第1のSLML14は、約1nm~約10000nm、約10nm~約1000nm、約20nm~約500nm、約1nm~約100nm、約10nm~約1000nm、約1nm~約5000nmの厚さを有することができる。一態様では、光学デバイス等の物品10は、厚さ対幅が1:1~1:50のアスペクト比を有することができる。
【0048】
しかしながら、本明細書に記載の物品10の利点の1つは、いくつかの例では、光学的効果が厚さの変動の影響を比較的受けないと思われることである。したがって、いくつかの態様では、各SLML14は、独立して、約5%未満の光学厚さ変動を有し得る。一態様では、各SLML14は、独立して、層全体で約3%未満の光学厚さ変動を有し得る。一態様では、各SLML14は、独立して、厚さ約50nmの層全体で約1%未満の光学厚さ変動を有し得る。
【0049】
図2に示すように、物品10は、第1の選択的光変調体層14の外側にある第1の吸収体層18も含むことができ、第1の選択的光変調体層14は、非吸収性及び吸収性の少なくとも一方である。例えば、第1の選択的光変調体層14は吸収性であり得る。別の例では、第1の選択的光変調体層14は非吸収性であり得る。さらなる例として、第1の選択的光変調体層14は、吸収性SLML14及び非吸収性SLML14の交互層を含み得る。
【0050】
図2に関して、物品10は、第1の表面、第1の表面の反対側の第2の表面、及び第3の表面を有する反射体16と、反射体16の第1の表面の外側にある非吸収性の第1のSLML14と、第1のSLML14の外側にある部分吸収体18層とを含むことができる。
図2の物品10は、光干渉効果を有する非対称層構造であり得る。
【0051】
同じく
図2に関して、物品10は、第1の表面、第1の表面の反対側の第2の表面、及び第3の表面を有する反射体16と、反射体16の第1の表面の外側にあり、吸収性SLML及び非吸収性SLMLの交互層を含むSLML14と、第1のSLML14の外側にある吸収体層18とを含むことができる。吸収体層18は、部分吸収層18であり得る。この態様では、SLMSを、光干渉設計に必要であり得る光学層に直接導入することができる。SLML14は、吸収効果及び干渉効果の組み合わせにより電磁放射の振幅を変えることができる。特に、
図2の物品10は、光干渉効果及び光吸収効果を有する非対称層構造でもあり得る。
【0052】
図3に示すように、物品10は、第1の吸収体層18の外側にある第2の選択的光変調体層14’も含むことができ、第1の選択的光変調体層14は非吸収性とすることができ、第2の選択的光変調体層14’は吸収性である。特に、物品10は、第1の表面、第1の表面の反対側の第2の表面、及び第3の表面を有する反射体16と、反射体16の第1の表面の外側にあり、非吸収性SLMLを含む第1のSLML14と、第1のSLML14の外側にある部分吸収性の吸収体層18と、吸収体層18の外側にある吸収性の第2のSLML14’とを含むことができる。
【0053】
第1の吸収体層18の材料は、選択的吸収材料及び非選択的吸収材料の両方を含む任意の吸収体材料を含むことができる。例えば、第1の吸収体層18は、吸収体層18が少なくとも部分吸収性すなわち半透明となる厚さまで堆積された非選択的吸収金属材料から形成され得る。非選択的吸収材料の例は、クロム又はニッケル等の灰色金属であり得る。選択的吸収材料の例は、銅又は金であり得る。一態様では、吸収材料はクロムであり得る。適当な吸収材料の非限定的な例としては、クロム、アルミニウム、銀、ニッケル、パラジウム、白金、チタン、バナジウム、コバルト、鉄、スズ、タングステン、モリブデン、ロジウム、ニオブ等の金属吸収体、並びに炭素、グラファイト、シリコン、ゲルマニウム、サーメット、酸化第二鉄又は他の金属酸化物等の吸収体、誘電体マトリックス中で混合された金属、及び可視スペクトルにおいて均一又は選択的な吸収体として作用可能な他の物質が挙げられる。上記吸収体材料の様々な組み合わせ、混合物、化合物、又は合金を使用して、吸収体層18が形成され得る。
【0054】
上記吸収体材料の適切な合金の例として、インコネル(Ni-Cr-Fe)、ステンレス鋼、ハステロイ(Ni-Mo-Fe;Ni-Mo-Fe-Cr;Ni-Si-Cu)、及びチタン系合金、例えば、炭素混合チタン(Ti/C)、タングステン混合チタン(Ti/W)、ニオブ混合チタン(Ti/Nb)、シリコン混合チタン(Ti/Si)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。吸収体層18に適した化合物の他の例には、ケイ化チタン(TiSi2)、ホウ化チタン(TiB2)、及びそれらの組み合わせ等のチタン系化合物が含まれるが、これらに限定されない。あるいは、第1の吸収体層18は、Tiのマトリックス中に配置されたチタン系合金から構成することができるか、又はチタン系合金のマトリックス中に配置されたTiから構成することができる。例えば、第1の吸収体層18はクロムを含むことができる。
【0055】
第1の吸収体層18は、コバルトニッケル合金等の磁性材料で形成することもできる。これにより、必要な材料数を減らすことによって磁性カラーシフトデバイス又は構造体の製造を単純化することができる。
【0056】
第1の吸収体層18は、吸収体層材料の光学定数及び所望のピークシフトに応じて、約1nm~約50nm、例えば約5nm~約10nmの範囲の物理的厚さを有するように形成することができる。2つ以上の吸収体層18が物品10にある場合、各吸収体層18は、同一材料又は異なる材料で構成することができ、且つ各層が同一の又は異なる物理的厚さを有することができる。
【0057】
図4に示すように、物品10は、第1の表面及び第1の表面の反対側の第2の表面を有する磁性体含有(magnetic-containing)層12をさらに含むことができ、反射体層16は、磁性体含有層12の第1の表面の外側にある。特に、物品10は、第1の表面、第1の表面の反対側の第2の表面、及び第3の表面を有する反射体16と、反射体16の第1の表面の外側にある第1のSLML14と、第1の表面及び第1の表面の反対側の第2の表面を有する磁性体含有層12とを含むことができ、反射体層16は、磁性体含有層12の第1の表面の外側にある。物品10は、構造的機能を果たすか又は磁気、バリア、化学作用等の他の可視的又は非可視的機能を果たす付加的なキャリアによりSLMLが強化される、吸収性の非対称層構造であり得る。
【0058】
磁性体含有層12は、透磁性、磁気配向性材料、磁性材料、及びそれらの組み合わせを含むことができる。強磁性材料及びフェリ磁性材料等の磁石材料には、ニッケル、コバルト、鉄、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、エルビウム、及びそれらの合金や酸化物が含まれるが、これらに限定されない。例えば、コバルト及びニッケルの重量比をそれぞれ約80%及び約20%としたコバルトニッケル合金を採用することができる。コバルトニッケル合金中のこれらの金属それぞれの上記比は、±約10%変化し得る。合金の他の例には、Fe/Si、Fe/Ni、Fe/Co、Fe/Ni/Mo、Fe/Cr、Ni/Cr、及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。一態様では、磁性体含有層12は、酸化鉄粒子含有ポリマーを含むことができる。SmCo5、NdCo5、Sm2Co17、Nd2Fe14B、Sr6Fe2O3、TbFe2、Al-Ni-Co、及びこれらの組み合わせの種類の硬質磁性体、並びにFe3O4、NiFe2O4、MnFe2O4、CoFe2O4の種類のスピネルフェライト、又はYIG又はGdIGの種類のガーネット、及びそれらの組み合わせも使用することができる。一態様では、磁性材料はフェライトステンレス鋼であってもよい。磁性材料は、磁気特性だけでなくその反射特性又は吸収特性で選択することができる。磁性体含有層12は、磁性粒子及び非磁性粒子を有するか又は非磁性媒体中に磁性粒子を有する材料、例えば、ゾルゲル技術を用いて堆積させたコバルトドープ酸化亜鉛膜により形成することができる。
【0059】
この広範囲の磁性材料を使用することができるが、一態様では「軟質」磁性体を使用することができる。本明細書において「軟質磁性体」という用語は、強磁性を示すが磁力に曝された後は残留磁気が実質的にゼロである任意の材料を指す。軟質磁性体は印加磁場に迅速に応答することができるが、磁場が除去された後は、非常に低い(保磁場(Hc)=0.05~300エルステッド(Oe))か又はゼロの磁気シグネチャ(magnetic signature)を有し、すなわち非常に少ない磁力線を保持する。同様に、本明細書において「硬質磁性体」(永久磁石とも呼ばれる)という用語は、強磁性を示し、磁化力に曝された後も残留磁気を長時間保持する任意の材料を指す。強磁性材料は、1よりも実質的に大きい透磁率を有し、磁気ヒステリシス特性を示す任意の材料である。一態様では、物品10の配向を可能にする限り、任意の磁性材料を磁性体含有層12に使用することができる。
【0060】
磁性体含有層12は、約10nm~約100nmの範囲、例えば約35nm~約45nmの範囲、またさらなる例として約40nmからの厚さを有することができる。磁性体含有層12は、実質的に不透明となるような厚さに堆積させることができる。一態様では、磁性体含有層12は、実質的に不透明にならないような厚さに堆積させることができる。
【0061】
磁性体含有層12は、従来の堆積プロセスを用いて形成することができ、例えば、物理蒸着法、並びにマグネトロンスパッタリングを含むスパッタリング法、熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、及び陰極アーク蒸着法が挙げられる。一態様では、液体コーティングプロセスを用いて磁性体含有層12を形成することもできる。
【0062】
図5に示すように、物品10は、第1のSLML14の外側にある第1の吸収体層18をさらに含むことができ、第1のSLML14は非吸収性である。特に、物品10は、第1の表面、第1の表面の反対側の第2の表面、及び第3の表面を有する反射体16と、反射体16の第1の表面の外側にある第1のSLML14と、第1の表面及び第1の表面の反対側の第2の表面を有し、第1の表面の外側に反射体層16がある磁性体含有層12と、第1のSLML14の外側にある第1の吸収体層18とを含むことができる。一態様では、第1のSLML14は非吸収性であり、吸収体層18は部分吸収性であることにより、干渉効果を有する物品10が作製される。
【0063】
図6に示すように、物品10は、第1の表面、第1の表面の反対側の第2の表面、及び第3の表面を有する透明層20と、透明層20の第1の表面の外側にある第1のSLML14とを含むことができ、透明層20の第3の表面は開放されている。例えば、第1のSLML14は、吸収性の赤色を提供し得る。
図7に示すように、物品10は、透明層20の第2の表面の外側にある第2のSLML14’をさらに含むことができる。例えば、この物品10は、透明層20を挟む2つの異なる吸収SLML14、14’を含み得る。第1のSLML14は赤色とすることができ、第2のSLML14’は青色とすることができる。
【0064】
別の態様では、開示される物品10は、第1の表面、第1の表面の反対側の第2の表面、及び第3の表面を有する反射体16と、反射体16の第1の表面の外側にある第1のSLML14と、反射体16の第2の表面の外側にある第2のSLML14’とを含む。第1のSLML14は、例えば、層に存在する材料及び/又は各層の物性に関して第2のSLML14’と同じであっても異なっていてもよい。
【0065】
一態様では、フレーク、箔、又はシートの形態の光学デバイス等の物品10は、基板及び/又は剥離層を含むことができる。一態様では、剥離層は、基板と物品10との間に配置することができる。
【0066】
付加的又は代替的に、フレーク、シート、又は箔の形態の物品10は、物品10上のハードコート又は保護層を含むこともできる。いくつかの例では、これらの層(ハードコート又は保護層)は光学品質を必要としない。
【0067】
本明細書に記載の光学デバイス等の物品10は、任意の方法で製造することができる。例えば、シートを製造してから、分割、破断、粉砕等を施して、光学デバイスを形成するより小さな断片にすることができる。いくつかの例では、シートは、以下で且つ/又は
図8に関して説明するプロセス等の液体コーティングプロセスにより製造することができるが、これに限定されない。
【0068】
本明細書に記載するように、例えばシート、フレーク、又は箔の形態の物品10を製造する方法が開示される。本明細書に記載の方法は、別の層の上に層を堆積させることにより形成することができる。例えば、反射体層16が基板上に堆積され得る。別の例として、第1の選択的光変調体層14が反射体層16上に堆積され得る。2つの特定された層間に追加の層を堆積させることができることも理解されよう。例えば、反射体層16を基板上に堆積させることができるが、磁性体含有層を反射体層16と基板との間に堆積させることができる。例えば本明細書に開示される物品10を製造するために本明細書に開示される堆積技術を用いて、層が連続手順で、すなわち基板、磁性体含有層、及び反射体層の「上に堆積」又は「間に堆積」されることが、当業者には理解されよう。
【0069】
本方法は、反射体層16を堆積させるステップと、第1の選択的光変調体層14を堆積させるステップとを含むことができ、第1の選択的光変調体層14は、液体コーティングプロセスを用いて堆積される。本方法は、第1の吸収体層18を堆積させるステップをさらに含むことができ、第1の選択的光変調体層14は、非吸収性及び吸収性の少なくとも一方である。付加的又は代替的に、本方法は、第2の選択的光変調体層14’を堆積させるステップをさらに含むことができ、第1の選択的光変調体層14は非吸収性である。
【0070】
付加的又は代替的に、本方法は、基板と反射体層16との間に磁性体含有層12を堆積させるステップをさらに含むことができる。付加的又は代替的に、この態様では、本方法は、第1の吸収体層18を堆積させるステップをさらに含むことができ、第1の選択的光変調体層14は非吸収性である。
【0071】
別の態様では、本方法は、透明層20を堆積させるステップと、第1の選択的光変調体層14を堆積させるステップとを含むことができ、第1の選択的光変調体層14は、液体コーティングプロセスを用いて堆積される。本方法は、基板と透明層20との間に第2の選択的光変調体層14’を堆積させるステップをさらに含むことができる。第1の選択的光変調体層14及び第2の選択的光変調体層14’は、例えば材料組成及び/又は物性に関して同じであっても異なっていてもよい。
【0072】
本方法では、基板は剥離層を含み得る。開示の方法では、透明層20、反射体層16、吸収体層18、及び/又は磁性体含有層20等の層を、物理蒸着法、化学蒸着法、薄膜堆積法、原子層堆積法等の既知の従来の堆積プロセスを用いて堆積させることができ、これは、プラズマ増強及び流動床等の改良技術を含む。
【0073】
基板は、可撓性材料製とすることができる。基板は、堆積された層を受容できる任意の適切な材料とすることができる。適切な基板材料の非限定的な例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリマーウェブ、ガラス箔、ガラスシート、ポリマー箔、ポリマーシート、金属箔、金属シート、セラミック箔、セラミックシート、イオン液体、紙、シリコンウェーハ等が挙げられる。基板の厚さは変動し得るが、例えば約2μm~約100μm、またさらなる例として約10μm~約50μmの範囲とすることができる。
【0074】
第1及び/又は第2のSLML14、14’は、スロットダイプロセス等の液体コーティングプロセスにより堆積させることができる。液体コーティングプロセスには、単層及び多層でのスロットビードコーティング、スライドビードコーティング、スロットカーテンコーティング、スライドカーテンコーティング、テンションウェブスロット(tensioned web slot)、グラビア、ロールコーティング、及び液体を基板又は先に堆積させた層に塗布して液体層又は膜を形成し、これをその後乾燥及び/又は硬化させる他の液体コーティング及び印刷プロセスが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0075】
続いて、基板を堆積層から剥離して物品10を作製することができる。一態様では、基板を冷却して、関連する剥離層があればそれを脆化することができる。別の態様では、例えば加熱及び/又は光子若しくは電子ビームエネルギーによる硬化によって架橋度を高くして剥離層を脆化し、これにより剥離が可能となる。次に、堆積層を表面の急曲げ又はブラッシング等で機械的に剥がすことができる。剥離された層は、既知の技術を用いてフレーク、箔、又はシートの形態の光学デバイス等の物品10にサイジングすることができる。
【0076】
別の態様では、堆積層を基板から別の表面に転写することができる。堆積層を打ち抜き又は切断して、十分に規定されたサイズ及び形状を有する大きなフレークを製造することができる。
【0077】
液体コーティングプロセスでは、蒸着法等の他の堆積技術よりも速い速度でSLML14、14’の組成物を転写することができる。さらに、液体コーティングプロセスでは、単純な装置設備でより多様な材料をSLML14、14’に使用することができる。開示された液体コーティングプロセスを用いて形成されたSLML14、14’は、改善された光学性能を示すことができると考えられる。
【0078】
図8は、液体コーティングプロセスを用いたSLML14、14’の形成を示す。SLMLの組成物(液体コーティング組成物)は、スロットダイ320に挿入され、基板340上に堆積されて、ウェットフィルムが得られる。上記に開示したプロセスを参照すると、基板340は、基板、剥離層、透明層20、反射体層16、吸収体層18、及び先に堆積された層のうちの少なくとも1つを含み得る。スロットダイ320の底部から基板340までの距離はスロットギャップGである。
図8からわかるように、液体コーティング組成物はドライ膜厚Hよりも大きいウェット膜厚Dで堆積させることができる。SLML14、14’のウェットフィルムを基板340上に堆積させた後、SLML14、14’のウェットフィルム中に存在する全ての溶媒を蒸発させることができる。液体コーティングプロセスは、SLML14、14’のウェットフィルムの硬化を続け、正しい光学厚さH(約30nm~約700nmの範囲)を有する硬化され自己平坦化されたSLML14、14’が得られる。SLML14、14’の自己平坦化能により、層全体で光学厚さの変動が低減した層が得られると考えられる。最終的に、自己平坦化されたSLML14、14’を備えた光学デバイス等の物品10は、向上した光学精度を示すことができる。理解を容易にするために、「ウェットフィルム」及び「ドライフィルム」という用語は、SLML14、14’を生じる液体コーティングプロセスの様々な段階での組成物を指すために使用される。
【0079】
液体コーティングプロセスは、所定の厚さDを有するウェットフィルムを達成するために、コーティング速度及びスロットギャップGの少なくとも1つを調整するステップを含むことができる。SLML14、14’は、約0.1μm~約500μm、例えば約0.1μm~約5μmの範囲のウェット膜厚Dで堆積させることができる。開示された範囲内のウェット膜厚Dで形成されたSLML14、14’は、安定した、すなわちリビング(ribbing)やスジ等の破損や欠陥がない、誘電体層等のSLML層をもたらすことができる。一態様では、ウェットフィルムは、最大約100m/分のコーティング速度のスロットダイビードモードを使用して安定したウェットフィルムを得る場合、約10μmの厚さを有することができる。別の態様では、ウェットフィルムは、最大約1200m/分のコーティング速度のスロットダイカーテンモードを使用して安定したウェットフィルムを得る場合、約6μm~7μmの厚さを有することができる。
【0080】
液体コーティングプロセスでは、約0.1m/分~約1000m/分の速度でウェット膜厚Dに対するスロットギャップGの比を約1~約100とすることができる。一態様では、当該比は約100m/分のコーティング速度で約9である。一態様では、当該比は約50m/分のコーティング速度で約20とすることができる。液体コーティングプロセスでは、スロットギャップGを約0μm~約1000μmの範囲とすることができる。スロットギャップGが小さいほど、ウェットフィルムの厚さを減らすことができる。スロットビードモードでは、10μmよりも大きいウェット膜厚さでより速いコーティング速度を達成することができる。
【0081】
液体コーティングプロセスでは、コーティング速度を約0.1m/分~約1000m/分、例えば約25m/分~約950m/分、例えば約100m/分~約900m/分、またさらなる例として約200m/分~約850m/分の範囲とすることができる。一態様では、コーティング速度は約150m/分よりも速く、さらなる例では約500m/分よりも速い。
【0082】
一態様では、ビードモード液体コーティングプロセスのコーティング速度は、約0.1m/分~約600m/分、例えば約50~約150m/分の範囲とすることができる。別の態様では、カーテンモード液体コーティングプロセスのコーティング速度は、約200m/分~約1500m/分、例えば約300m/分~約1200m/分の範囲とすることができる。
【0083】
図8に示すように、ウェットフィルムの硬化前等に、ウェットフィルムから溶媒を蒸発させることができる。一態様では、SLML14、14’の硬化前に、溶媒の約100%、例えば約99.9%を、またさらなる例として約99.8%を、SLML14、14’の組成物から蒸発させることができる。さらなる一態様では、微量の溶媒が硬化/乾燥SLML14、14’中に存在することができる。一態様では、ウェットフィルムの溶媒の元の重量パーセントが大きいほど、ドライフィルムの膜厚Hが小さくなり得る。特に、高い重量パーセントの溶媒を有し且つ大きいウェット膜厚Dで堆積されたウェットフィルムからは、ドライ膜厚Hが小さいSLML14、14’が得られる。なお、溶媒蒸発後は、ウェットフィルムが液体のままであることにより、皮張り及び液体コーティングプロセスにおけるその後の硬化ステップ中の島形成等の問題が回避される。
【0084】
ウェットフィルムの動的粘度は、約0.5cP~約50cP、例えば約1cP~約45cP、またさらなる例として約2cP~約40cPの範囲とすることができる。粘度測定温度は25℃であり、0.025mmのギャップ設定で角度0.3°の直径40mmのコーン/プレートを用いた溶媒トラップを備えたAnton Paar MCR101レオメーターで、レオロジーを測定した。
【0085】
一態様では、SLML14、14’の組成及び溶媒は、液体コーティングプロセスを用いたSLMLの精密コーティングのためにウェットフィルムがニュートン挙動を示すように選択することができる。ウェットフィルムは、最大10,000s-1以上のニュートン挙動せん断速度を示すことができる。一態様では、液体コーティングプロセスのせん断速度は、最大25m/分のコーティング速度では1000s-1、例えば、最大100m/分のコーティング速度では3900s-1、またさらなる例として最大200m/分のコーティング速度では7900s-1とすることができる。厚さ1μm等の非常に薄いウェットフィルム上で最大せん断速度が生じ得ることが理解されるであろう。
【0086】
ウェットフィルムの厚さが増加するにつれて、せん断速度は低下する、例えば10μmのウェットフィルムでは15%低下、またさらなる例として20μmのウェットフィルムでは30%低下すると予想され得る。
【0087】
ウェットフィルムからの溶媒の蒸発は、擬塑性挙動への粘度挙動の変化を引き起こすことができ、これは精密SLMLを得るのに有益であり得る。溶媒蒸発後の堆積された第1及び第2のSLML14、14’の動的粘度は、約10cP~約3000cP、例えば約20cP~約2500cP、またさらなる例として約30cP~約2000cPの範囲とすることができる。溶媒が存在する場合、ウェットフィルムから蒸発させると、擬塑性挙動まで粘度が増加し得る。擬塑性挙動はウェットフィルムの自己平坦化を可能にすることができる。
【0088】
一態様では、本方法は、既知の技術を用いてウェットフィルム中に存在する溶媒を蒸発させるステップを含むことができる。溶媒の蒸発に要する時間は、ウェブ/基板の速度及び乾燥機の能力に依存し得る。一態様では、乾燥機(図示せず)の温度は、約120℃未満、例えば約100℃未満、またさらなる例として約80℃未満とすることができる。
【0089】
液体コーティングプロセスを用いて堆積されたウェットフィルムは、既知の技術を用いて硬化させることができる。一態様では、ウェットフィルムは、紫外線、可視光線、赤外線、及び電子ビームのうちの少なくとも1つを利用する硬化剤を使用して硬化させることができる。硬化は、不活性又は周囲雰囲気中で進行することができる。一態様では、硬化ステップは、波長約395nmの紫外線光源を利用する。紫外線光源は、約200mJ/cm2~約1000mJ/cm2、例えば約250mJ/cm2~約900mJ/cm2、またさらなる例としてmJ/cm2~約850mJ/cm2の範囲の線量でウェットフィルムに適用することができる。
【0090】
ウェットフィルムは既知の技術によって架橋することができる。非限定的な例としては、フリーラジカル重合、分光増感光誘起フリーラジカル重合、光誘起カチオン重合、分光増感光誘起カチオン重合、及び光誘起付加環化等の光誘起重合;電子ビーム誘起フリーラジカル重合、電子ビーム誘起カチオン重合、及び電子ビーム誘起付加環化等の電子ビーム誘起重合;及び熱誘起カチオン重合等の熱誘起重合が挙げられる。
【0091】
液体コーティングプロセスを用いて形成されたSLML14、14’は、改善された光学性能を示すことができ、すなわち精密SLMLであり得る。いくつかの例では、精密SLML14、14’は、層全体の光学厚さ変動が約3%未満、約5%未満、又は、約7%未満であるSLMLを意味すると理解することができる。
【0092】
一態様では、液体コーティングプロセスは、約5m/分~約100m/分の速度及び約50μm~約100μmのコーティングギャップの少なくとも一方を調整して、選択的光変調体層の約2μm~約10μmのウェットフィルムを約500nm~約1500nmの所定の厚さで堆積させることを含み得る。さらなる一態様では、プロセスは、速度30m/分、ギャップ75μm、ウェットフィルム10μm、ドライ膜厚1.25μmを含むことができる。
【0093】
一例では、SLMLは、SLMMとして溶剤染料を用いた脂環式エポキシ樹脂ホストを含み、反射体はアルミニウムを含む。
【0094】
一例では、SLMLは、SLMPとしてジケトピロロピロール不溶性赤色染料を用いた脂環式エポキシ樹脂ホストを含み、反射体はアルミニウムを含む。
【0095】
一例では、SLMLは、SLMPとして白色顔料(チタニア)を用いたアクリレートオリゴマー樹脂ホストを含む。
【0096】
一例では、SLMLは、SLMLとして黒色の赤外線透過性顔料を用いたアクリレートオリゴマー樹脂ホストを含み、反射体はアルミニウムを含む。
【0097】
別の態様では、得られる顔料フレークがその面を塗面と整列できるようにリーフィング剤を層として塗布することができる。顔料フレークは、非対称層スタックであり得る。非対称スタックを有する顔料とリーフィング剤とは、材料費及びコーティング費を削減することができ、液体媒体中で自己配向することにより顔料フレークアスペクト比に対する制約を低減することができ、且つ本明細書に記載の液体コーティングプロセスを用いて形成することができる。
【0098】
上述した説明から、本教示をさまざまな形態で実施できることが当業者には理解され得る。したがって、これらの教示を特定の実施形態及びその例に関連して説明したが、本教示の真の範囲をそれに限定すべきではない。本明細書中の教示の範囲から逸脱せずに、種々の変更及び修正を行うことができる。
【0099】
この範囲開示は、広義に解釈されるものとする。本開示は、本明細書に開示されたデバイス、活動、及び機械的作用を達成するための等価物、手段、システム、及び方法を開示するためのものである。開示された各デバイス、製品、方法、手段、機械要素、又は機構について、本開示は、本明細書に開示された多くの態様、機構、及びデバイスを実施する等価物、手段、システム、及び方法を同じくその開示に包含し且つ教示することが意図される。さらに、本開示は、コーティング及びその多くの態様、特徴、及び要素に関する。このようなデバイスの使用及び動作は動的なものとすることができ、本開示は、デバイス及び/又は光学デバイスの使用の等価物、手段、システム、及び方法、並びに本明細書に開示された動作及び機能の説明及び趣旨と一致したその多くの態様を包含することが意図される。本願の特許請求の範囲も同様に、広義に解釈されるものとする。本明細書中の発明の多くの実施形態での説明は、例示的なものにすぎず、したがって、本発明の要旨から逸脱しない変形形態は、本発明の範囲内にあることが意図される。このような変形形態は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱するものとみなされないものとする。