(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】通信装置、その制御方法、およびそのプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 76/10 20180101AFI20240520BHJP
H04W 12/02 20090101ALI20240520BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20240520BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20240520BHJP
H04W 36/14 20090101ALI20240520BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W12/02
H04W88/06
H04W84/10 110
H04W36/14
(21)【出願番号】P 2019203426
(22)【出願日】2019-11-08
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】鳥飼 洋行
【審査官】吉村 真治▲郎▼
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-207529(JP,A)
【文献】特開2016-072855(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0198290(US,A1)
【文献】特開2016-054391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置であって、
第一の通信規格に準拠して外部装置と非暗号化通信を行う第一の通信手段と、
前記第一の通信規格とは異なる第二の通信規格に準拠して前記外部装置と暗号化通信を行う第二の通信手段と、
記録媒体と、
報知手段と、
制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記外部装置と前記第二の通信手段によって暗号化通信を行うための接続情報を前記第一の通信手段を介して前記外部装置から受信し、
前記制御手段は、前記接続情報を前記記録媒体に記録する機能、および削除する機能を有し、
前記制御手段は、前記接続情報を受信した前記外部装置と前記第一の通信手段を介して接続を確立した場合、前記接続情報が前記記録媒体に記録されているか否かを判断し、
前記制御手段は、前記接続情報が前記記録媒体に記録されていないと判断した場合、前記接続情報が記録されていないことを前記報知手段によって報知する
ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記外部装置から送信されるアドバタイズパケットへの応答として、前記第一の通信手段により前記第一の通信規格に準拠した接続要求を前記外部装置に送信することで、前記制御手段は、前記第一の通信手段を介して前記外部装置と接続を確立し、
前記制御手段は、前記接続情報が前記記録媒体に記録されていないと判断した場合、さらに前記アドバタイズパケットを送信しないよう前記外部装置に要求し、前記外部装置との前記第一の通信手段を介した接続を切断することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記制御手段は、アプリケーションIDを前記記録媒体に記録し、
前記制御手段は、前記制御手段は前記第一の通信手段によって前記外部装置と接続を確立したことに応じて、前記外部装置へ前記アプリケーションIDを前記外部装置へ送信し、前記外部装置から前記外部装置を識別するための識別情報を受信する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記制御手段は前記外部装置から前記第一の通信規格に準拠したアドバタイズパケットを受信した場合、前記アドバタイズパケットに前記アプリケーションIDが含まれるか否かを判断し、
前記
アドバタイズパケットに前記アプリケーションIDが含まれると判断した場合、前記制御手段は前記第一の通信手段を介して前記外部装置と接続を確立し、前記外部装置を識別するための識別情報を受信する
ことを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記外部装置を識別するための識別情報は前記外部装置の前記暗号化通信におけるMACアドレスであることを特徴とする請求項3または4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記外部装置を識別するための識別情報に対応付けて前記接続情報を前記記録媒体に記録するよう制御することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
第一の通信規格に準拠して外部装置と非暗号化通信を行う第一の通信手段と、
前記第一の通信規格とは異なる第二の通信規格に準拠して外部装置と暗号化通信を行う第二の通信手段と、
記録媒体と、
報知手段と、を有する通信装置の制御方法であって、
前記外部装置と前記第二の通信手段によって暗号化通信を行うための接続情報を前記第一の通信手段を介して前記外部装置から受信するステップと、
前記接続情報を前記記録媒体に記録するステップと、
前記接続情報を前記記録媒体から削除するステップと、
前記接続情報を受信した前記外部装置と前記第一の通信手段を介して接続を確立した場合、前記接続情報が前記記録媒体に記録されているか否かを判断するステップと、
前記接続情報が前記記録媒体に記録されていないと判断した場合、前記接続情報が記録されていないことを前記報知手段によって報知するステップと、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項8】
コンピュータを請求項1乃至6のいずれか1項に記載の通信装置の各手段として機能させるための、コンピュータが読み取り可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信可能な通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラなどの通信装置は、スマートフォン等の外部装置と無線通信することができるものがある。この無線通信の通信規格には例えば、無線LANやBluetooth(登録商標)がある。デジタルカメラは外部装置と無線通信する場合、お互いの接続情報等を交換し記録する必要がある。Bluetoothではお互いの接続情報等を交換し記録することをペアリングという。
【0003】
このような通信装置の中には、複数の通信規格によって無線通信できるものが存在する。例えばデジタルカメラがBluetooth Low Energy(BLE)およびBluetooth Classic(BTC)という二つの通信規格に準拠して無線通信できる場合、デジタルカメラは例えば次のようにこの2つの通信規格を利用する。デジタルカメラはBLEによってスマートフォンと無線接続し、GPS情報や時刻情報等を外部装置から受信する。また、デジタルカメラは必要に応じてBLEに準拠した通信からBTCに準拠した通信にハンドオーバし、画像データをスマートフォンへ送信する。なお、両通信規格はどちらもBluetoothに規定されている規格であるが、互換性はない。特許文献1ではデジタルカメラがスマートフォンとの無線通信において、ハンドオーバすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えばデジタルカメラがBTCのペアリングによって取得したスマートフォンの接続情報を削除した場合、デジタルカメラとスマートフォンはBTCに準拠した無線接続を確立できなくなる。一方、BLEのペアリングはBTCのペアリングとは独立して行われるため、この場合でも、デジタルカメラはスマートフォンとBLEに準拠した無線接続を確立できる。しかし、BTCによる無線接続ができないため、デジタルカメラはスマートフォンとBLEに準拠した無線接続を確立した後、BTCへのハンドオーバはできない。そしてこのように、デジタルカメラおよびスマートフォンがそれぞれ記録する接続情報に齟齬が生じている場合、ユーザは一方の無線規格に準拠してデジタルカメラをあるスマートフォンと無線接続させても、他方の無線通信規格にハンドオーバできない。そしてユーザはハンドオーバ処理を実行させたときにデジタルカメラおよびスマートフォンがハンドオーバできないことに気づくことになるため、そのハンドオーバを利用できない状況に気づくことが遅れるおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、通信装置同士がそれぞれ記録する接続情報に齟齬が生じていることをユーザに気づかせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の通信装置は第一の通信規格に準拠して外部装置と非暗号化通信を行う第一の通信手段と、前記第一の通信規格とは異なる第二の通信規格に準拠して前記外部装置と暗号化通信を行う第二の通信手段と、記録媒体と、報知手段と制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記外部装置と前記第二の通信手段によって暗号化通信を行うための接続情報を前記第一の通信手段を介して前記外部装置から受信し、前記制御手段は、前記接続情報を前記記録媒体に記録する機能、および削除する機能を有し、前記制御手段は、前記接続情報を受信した前記外部装置と前記第一の通信手段を介して接続を確立した場合、前記接続情報が前記記録媒体に記録されているか否かを判断し、前記制御手段は、前記接続情報が前記記録媒体に記録されていないと判断した場合、前記接続情報が記録されていないことを前記報知手段によって報知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によればユーザは通信装置同士がそれぞれ記録する接続情報に齟齬が生じていることに気付くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】(a)第1の実施形態におけるデジタルカメラのブロック図の一例である。(b)デジタルカメラの前面斜視図の一例である。(c)デジタルカメラの背面斜視図の一例である。
【
図2】第1の実施形態のスマートフォンの構成例を示すハードウェア構成図である。
【
図3】第1の実施形におけるデジタルカメラおよびスマートフォンのそれぞれのソフトウェア構成図の一例である。
【
図4】第1の実施形態におけるデジタルカメラおよびスマートフォンがBTCによるペアリング処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図5】(a)第1の実施形態におけるデジタルカメラおよびスマートフォンがBLEによって再接続する処理の一例を示すシーケンス図である。(b)第1の実施形態におけるデジタルカメラがスマートフォンへ画像データを送信する処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図6】(a)第1の実施形態におけるスマートフォンが現在ペアリング済みであるデバイスの一覧を表示する画面の一例である。(b)第1の実施形態におけるスマートフォンがデジタルカメラの接続情報等を表示する画面の一例である。
【
図7】(a)第1の実施形態におけるユーザがスマートフォンに記録されているデジタルカメラの接続情報を削除した場合におけるデジタルカメラおよびスマートフォンのそれぞれのソフトウェア構成図の一例である。(b)第1の実施形態におけるユーザがスマートフォンに記録されているデジタルカメラの接続情報を削除した場合における無線接続処理の一例について示したシーケンス図である。
【
図8】第1の実施形態における、デジタルカメラの接続情報が削除された場合において、スマートフォンがデジタルカメラの接続情報が記録されていないことを報知する処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図9】第1の実施形態におけるスマートフォンが表示する警告メッセージの一例である。
【
図10】第1の実施形態におけるデジタルカメラがスマートフォンとペアリングする処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】第1の実施形態におけるデジタルカメラがスマートフォンとBLEによって再接続する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】第1の実施形態におけるデジタルカメラがスマートフォンへ画像データを送信する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】第1の実施形態におけるスマートフォンの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図14】第1の実施形態におけるスマートフォンがデジタルカメラとペアリングする処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】(a)第2の実施形態におけるデジタルカメラが表示する通信設定メニューの画面の一例である。(b)第2の実施形態におけるデジタルカメラが表示するペアリング解除画面の一例である。
【
図16】(a)ユーザがデジタルカメラに記録されているスマートフォンの接続情報を削除した場合におけるデジタルカメラおよびスマートフォンのそれぞれのソフトウェア構成図の一例である。(b)ユーザがデジタルカメラに記録されているスマートフォンの接続情報を削除した場合におけるBLE接続処理の一例について示したシーケンス図である。
【
図17】第2の実施形態における、デジタルカメラに記録されているスマートフォンの接続情報が削除された場合において、スマートフォンがデジタルカメラに接続情報が記録されていないことを報知する処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図18】第2の実施形態におけるスマートフォンが表示する警告メッセージの一例である。
【
図19】第2の実施形態におけるスマートフォンの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。
【0011】
[第1の実施形態]
<デジタルカメラの構成>
図1(a)は第1の実施形態における外部装置の一例であるデジタルカメラ100のブロック図の一例である。なお、ここでは外部装置の一例としてデジタルカメラについて述べるが、外部装置はこれに限られない。例えば外部装置は携帯型のメディアプレーヤや、いわゆるタブレットデバイス、スマートフォン、スマートウォッチ、スマートスピーカー、パーソナルコンピュータなどの機器であってもよい。
【0012】
制御部101は、入力された信号や、後述の各処理部を制御する。例えば制御部101はCPUである。また、制御部101は、後述する複数の通信部を用いた、外部装置との通信制御部としても機能する。なお、制御部101が装置全体を制御する代わりに、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体を制御してもよい。
【0013】
撮像部102は、例えば、光学レンズユニットと絞り・ズーム・フォーカスなど制御する光学系を有する。また撮像部102は光学レンズユニットを経て導入された光(映像)を電気的な映像信号に変換するための撮像素子、並びに撮像素子で得たアナログ電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器等を有する。撮像素子としては、一般的には、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)や、CCD(Charge Coupled Device)が知られているが、いずれでも構わない。撮像部102は、制御部101に制御されることにより、撮像部102に含まれるレンズで結像された被写体光を、撮像素子により電気信号に変換し、ノイズ低減処理などを行い、デジタルの画像データとして出力する。本実施形態のデジタルカメラ100は、撮像して得た画像データをJPEG等に従って符号化する。また本実施形態のデジタルカメラ100はその符号化されたデータを画像ファイルとして、DCF(Design Rule for Camera File system)の規格に従って、記録媒体110に記録する。
【0014】
不揮発性メモリ103は、電気的に消去・記録可能な不揮発性のメモリであり、制御部101で実行される後述のプログラムや各種パラメータが格納されている。
【0015】
作業用メモリ104は、撮像部102で撮像された画像データを一時的に保持するバッファメモリや、表示部106の画像表示用メモリ、制御部101の作業領域等として使用される。
【0016】
操作部105は、デジタルカメラ100に対するユーザからの指示を受け付けるユーザインタフェースである。操作部105は、例えば、ユーザがデジタルカメラ100の電源のオン/オフを指示するための電源スイッチや、撮影を指示するためのレリーズスイッチ、画像データの再生を指示するための再生ボタンを含む。また、操作部105は、更に後述の無線通信部111を介して外部装置との通信を開始するための専用の接続ボタンなどの操作部材を含む。また、操作部105は、後述する表示部106に形成されるタッチパネルも操作部105に含まれる。なお、レリーズスイッチは、2つのスイッチを有し、押下状態(解放、半押し、全押し)を制御部101に通知する。具体的には、レリーズスイッチは、いわゆる半押し状態となることにより第1スイッチ信号をオンにする。これにより、制御部101は、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等の撮影準備を行う。また、レリーズスイッチは、全押し状態となると、第2スイッチ信号をオンにする。これにより、制御部101は、撮影及び記録処理を行うことになる。
【0017】
表示部106は、撮影の際のビューファインダー画像の表示、撮影した画像データの表示、対話的な操作のための文字表示(処理メニューの表示を含む)を行う。他にはランプなどによる点灯/点滅/消灯表示も行う。例えば、後述する記録媒体110へのアクセス状態、無線通信部111や近距離無線通信部112の通信状態等が挙げられる。なお、表示部106は必ずしもデジタルカメラ100が内蔵する必要はない。デジタルカメラ100は内部又は外部の表示部106と接続することができ、表示部106の表示を制御する表示制御機能を少なくとも有していればよい。
【0018】
電源部109は制御部101に制御されることでデジタルカメラ100の各要素に電力を供給することができる。電源部109は例えば、リチウムイオン電池やアルカリマンガン乾電池等の電源である。
【0019】
記録媒体110は、撮像部102から出力された画像データを記録することができる。記録媒体110は、デジタルカメラ100に着脱可能なよう構成してもよいし、デジタルカメラ100に内蔵されていてもよい。すなわち、デジタルカメラ100は少なくとも記録媒体110にアクセスする手段を有していればよい。例えば記録媒体110はSDカード、CFカード、Hard Disc Drive(HDD)、およびSolid State Drive(SSD)等である。
【0020】
無線通信部111は、外部装置と接続するためのインターフェースである。本実施形態のデジタルカメラ100は、無線通信部111を介して、外部装置とデータのやりとりを行うことができる。例えば、デジタルカメラ100は撮像部102で生成した画像データを、無線通信部111を介して外部装置に送信することができる。なお、本実施形態では、無線通信部111は外部装置とIEEE802.11の規格に従った、いわゆる無線LANで通信するためのインターフェースを含む。制御部101は、無線通信部111を制御することで外部装置との無線通信を実現する。
【0021】
近距離無線通信部112は、例えば無線通信のためのアンテナと無線信号を処理するため変復調回路や通信コントローラから構成される。近距離無線通信部112は、変調した無線信号をアンテナから出力し、またアンテナで受信した無線信号を復調することによりBluetooth(登録商標)に従った近距離無線通信を実現する。BluetoothはBluetooth Special Interest Group(Bluetooth SIG)が策定している通信規格である。Bluetooth通信は、一般的に無線LAN通信と比べて通信可能な範囲が狭い(つまり、通信可能な距離が短い)。また、Bluetooth通信は、一般的に無線LAN通信と比べて通信速度が遅い。その一方で、Bluetooth通信は、一般的に無線LAN通信と比べて消費電力が少ない。
【0022】
本実施形態において近距離無線通信部112は第一の近距離無線部112aと第二の近距離無線部112bを有している。第一の近距離無線部112aはBluetooth Low Energy(BLE)に準拠して通信するためのインターフェースを含む。第二の近距離無線部112bはBluetooth Classic(BTC)に準拠して通信するためのインターフェースを含む。
【0023】
ここでBluetooth通信について説明する。Bluetooth通信の接続形態はマスタースレーブ方式のスター型ネットワークである。本実施形態では後述するスマートフォン200がマスターとして動作する通信装置(以下、マスター装置という)であり、デジタルカメラ100がスレーブとして動作する通信装置(以下、スレーブ装置という)である。マスター装置は、スレーブ装置のネットワークへの参加の管理やスレーブ装置との無線接続における各種パラメータの設定等をする。マスター装置は複数のスレーブ装置と同時接続できるが、スレーブ装置は一度に1つのマスター装置しか無線接続を確立することはできない。また、マスター装置同士は無線接続を確立することはできず、無線接続を確立するためには片方がマスター装置、もう片方がスレーブ装置とならなければならない。
【0024】
本実施形態ではデジタルカメラ100は後述するスマートフォン200とペアリングし、スマートフォン200の接続情報を不揮発性メモリ103に記録する。ペアリングとは、マスター装置およびスレーブ装置がお互いの接続情報を互いに登録(所定の領域に記録)する処理である。接続情報は例えば暗号鍵やMACアドレス等である。本実施形態では、デジタルカメラ100はスマートフォン200とお互いの接続情報を互いに登録した後、スマートフォン200と無線接続を確立することでペアリングを完了したと判断する。ペアリングについての具体的な処理は後述する。
【0025】
なお、BLEおよびBTCはどちらもBluetoothに規定されている規格であるが、互換性はない。BLE通信では例えば、デジタルカメラ100は時刻情報やGPSの座標情報等の比較的容量の少ないデータをスマートフォンと送受信することができる。また、BTC通信では例えば、デジタルカメラ100は画像データや動画データ等の比較的容量の大きいデータをスマートフォンと送受信することができる。また、BLE通信は、一般的にBTC通信と比べて消費電力が少ない。一方、BTC通信は、一般的にBLE通信と比べて通信速度が高速である。本実施形態のデジタルカメラ100は、スマートフォン200とBLEによって常時接続することができる。そして、デジタルカメラ100またはスマートフォン200からの操作によりBLE通信からBTC通信へ自動で切り替えることができる。
【0026】
次に、デジタルカメラ100の外観の一例について説明する。
図1(b)はデジタルカメラ100の前面斜視図(レンズ側)の一例、
図1(c)はデジタルカメラ100の背面斜視図の一例である。レリーズスイッチ105aや再生ボタン105b、方向キー105c、タッチパネル105d、電源レバー105eは、操作部105に含まれる操作部材である。また、表示部106には、撮像部102による撮像の結果得られた画像や各種メニュー等が表示される。
【0027】
また、本実施形態のデジタルカメラ100は電源オン状態、スタンバイ状態、および電源オフ状態の3つの電源状態を有する。電源オン状態はデジタルカメラ100全体に通電した状態である。ただし、「全体に通電した状態」とは、すべての素子や回路等に電力が供給されている状態ではなく、少なくとも本実施形態の処理に必要な部材に電力を供給されている状態を指すものとする。スタンバイ状態は少なくとも制御部101に通電し、少なくとも撮像部102および表示部106に通電しない状態である。スタンバイ状態は電源オン状態より省電力な状態である。また、電源オフ状態は少なくとも制御部101、撮像部102、および表示部106に通電せず、電源部109の制御に必要な部分に通電した状態である。電源オフ状態はスタンバイ状態よりも電力消費が少ない。
【0028】
デジタルカメラ100はユーザに操作される可能性が低い期間においてスタンバイ状態へ遷移する。例えばデジタルカメラ100は電源オン状態において所定時間以上ユーザから操作を受け付けていないと判断した場合、スタンバイ状態へ遷移する。これはデジタルカメラ100がユーザに操作される可能性が低い期間では電力の消費を低減するために実行する処理である。スタンバイ状態では、電源スイッチやメニューボタン等の操作部105の部材が操作された場合、デジタルカメラ100は電源オン状態に遷移する。
【0029】
また、デジタルカメラ100はユーザによる電源オフの指示を受け付けた場合に電源オフ状態へ遷移する。例えば電源オン状態において電源スイッチが押下された場合、デジタルカメラ100は電源オフ状態へ遷移する。電源オフ状態では、電源スイッチを押下された場合、デジタルカメラ100は電源オン状態に遷移する。しかし、電源オフ状態では、レリーズスイッチやタッチパネル等の操作部材を操作されてもデジタルカメラ100は電源オン状態へ遷移しない。この理由は例えば次の通りである。例えばユーザが電源オフ状態のデジタルカメラ100をバッグ等に格納する場合が想定されるため、デジタルカメラ100がバッグ内の物品と衝突した衝撃等によって誤って起動するおそれを低減するためである。なお、スタンバイ状態のデジタルカメラ100は電源オフ状態のデジタルカメラ100よりも短い時間で電源オン状態に遷移することができる。
【0030】
本実施形態のデジタルカメラ100は、例えばユーザから電源オフの指示を受け付けたことをトリガに近距離無線通信部112を介して後述のスマートフォン200へ画像データを送信する機能を有する。以下、この機能を画像自動送信機能という。このとき、デジタルカメラ100は電源オフ状態ではなく電源オン状態において画像データを送信する。ユーザから電源オフの指示を受け付けたことをトリガにする理由は、ユーザが電源オフの操作をした場合、ユーザはデジタルカメラ100をしばらく操作しないと考えられるからである。また電源オン状態において画像データを送信する理由は、電源オフ状態またはスタンバイ状態のように省電力な状態において、画像データの送信処理のような負荷の大きい処理をデジタルカメラ100が実行することは難しいからである。このようにユーザから電源オフの指示を受け付けたことをトリガに画像データを送信することで、デジタルカメラ100はユーザに操作される可能性が低い期間において画像データを送信することができる。
【0031】
なお、デジタルカメラ100は一度電源オフ状態に遷移してから電源オン状態に遷移し、画像データの自動送信を開始してもよい。なぜならデジタルカメラ100が電源オフの操作を受け付けたにもかかわらず電源オン状態のまま画像データを送信した場合、ユーザはデジタルカメラ100が誤動作していると勘違いするおそれがあるからである。これに対し、画像データの送信を開始する前にデジタルカメラ100が一度電源オフ状態に遷移することで、ユーザは自身の操作が受け付けられたことを認識できるようになり、このようなおそれを低減することができる。
【0032】
以上、本実施形態におけるデジタルカメラ100の構成の一例について説明した。
【0033】
<スマートフォンの構成>
図2は、本実施形態の通信装置の一例であるスマートフォン200の構成例を示すハードウェア構成図である。なお、ここでは通信装置の一例としてスマートフォンについて述べるが、通信装置はこれに限られない。例えば通信装置は、デジタルカメラ、タブレットデバイス、スマートウォッチ、およびパーソナルコンピュータなどである。
【0034】
制御部201は、入力された信号や、後述のプログラムに従ってスマートフォン200の各部を制御する。なお、制御部201が装置全体を制御する代わりに、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体を制御してもよい。
【0035】
不揮発性メモリ203は、電気的に消去・記録可能な不揮発性のメモリである。不揮発性メモリ203には、制御部201が実行する基本的なソフトウェアであるOS(オペレーティングシステム)や、このOSと連携して応用的な機能を実現するアプリケーションが記録されている。また、本実施形態では、不揮発性メモリ203には、デジタルカメラ100と通信するためのアプリケーション(以下、通信アプリ)が格納されている。この通信アプリはOS上にインストールされるアプリケーションである。本実施形態ではユーザはこの通信アプリを利用することでスマートフォン200をデジタルカメラ100と無線通信させる。
【0036】
作業用メモリ204は、表示部206の画像表示用メモリや、制御部201の作業領域等として使用される。
【0037】
操作部205は、スマートフォン200に対する指示をユーザから受け付けるために用いられる。操作部205は例えば、ユーザがスマートフォン200の電源のオン/オフを指示するための電源ボタンや、RTC207を設定する操作部材や、表示部206に形成されるタッチパネルなどの操作部材を含む。
【0038】
表示部206は、画像データの表示、対話的な操作のための文字表示などを行う。なお、表示部206は必ずしもスマートフォン200が有する必要はない。スマートフォン200は表示部206と接続することができ、表示部206の表示を制御する表示制御機能を少なくとも有していればよい。
【0039】
RTC207は、時刻管理を行うリアルタイムクロックである。例えばユーザは操作部205を介してRTC207に時刻設定する。また例えば、RTC207は通信部211、近距離無線通信部212、または公衆網接続部213を介して時刻情報を取得して時刻設定することができる。なお、スマートフォン200が標準電波を受信できる場合、RTC207はその標準電波に基づいて時刻設定を行ってもよい。このようにRTC207は時刻を管理することができればよい。他にもスマートフォン200は、アナログ時計のようにメカニカル機構から検出機構によって、時刻を入手することができるものであってもよい。この場合、RTC207は、アナログ時計からの検出機構を含む。
【0040】
記録媒体210は、スマートフォン200が、通信部211を介して、受信した画像データを記録することができる。記録媒体210は、スマートフォン200に着脱可能なよう構成してもよいし、スマートフォン200に内蔵されていてもよい。すなわち、スマートフォン200は少なくとも記録媒体210にアクセスする手段を有していればよい。例えば記録媒体110はSDカード、CFカード、およびSolid State Drive(SSD)等である。
【0041】
通信部211は、外部装置と接続するためのインターフェースである。本実施形態のスマートフォン200は、通信部211を介して、外部装置とデータのやりとりを行うことができる。本実施形態では、通信部211はアンテナであり、制御部201は、アンテナを介して、デジタルカメラ100と接続することができる。なお、本実施形態では、通信部211は外部装置とIEEE802.11の規格に従った、いわゆる無線LANで通信するためのインターフェースを含む。制御部201は、通信部211を制御することで外部装置との無線通信を実現する。
【0042】
近距離無線通信部212は、外部装置と接続するためのインターフェースである。変調した無線信号をアンテナから出力し、またアンテナで受信した無線信号を復調することによりBluetoothに従った近距離無線通信を実現する。本実施形態において近距離無線通信部212は第一の近距離無線部212aと第二の近距離無線部212bを有している。第一の近距離無線部212aはBLEに準拠して通信するためのインターフェースを含む。第二の近距離無線部212bはBTCに準拠して通信するためのインターフェースを含む。
【0043】
なお上述のように、本実施形態におけるスマートフォン200は、マスター装置として動作する。スマートフォン200はデジタルカメラ100とペアリングし、デジタルカメラ100の接続情報を不揮発性メモリ203に記録する。
【0044】
以上、スマートフォン200の構成の一例について説明した。
【0045】
<ソフトウェア構成図>
図3は、デジタルカメラ100およびスマートフォン200のそれぞれのソフトウェア構成図の一例である。
【0046】
ソフトウェアモジュール群311はデジタルカメラ100の制御部101が実行するソフトウェアモジュールの一例である。カメラ制御モジュール312はデジタルカメラ100全体の制御を担うソフトウェアモジュールである。またカメラ制御モジュール312は、通信制御モジュール314と連携することで外部装置と無線通信することができる。通信制御モジュール314はBLE制御モジュールおよびBTC制御モジュールと連携し、BLEおよびBTCによる無線通信を実現する。アプリケーションID313および暗号鍵315については後述する。
【0047】
ソフトウェアモジュール群321はスマートフォン200の制御部201が実行するソフトウェアモジュールの一例である。通信アプリ322はスマートフォン200においてデジタルカメラ100との無線通信機能を実現するためのアプリケーションである。通信アプリ322はOS324と連携することで外部装置と無線通信することができる。OS324はBLE制御モジュールおよびBTC制御モジュールと連携し、BLEおよびBTCによる無線通信を実現する。カメラID323および暗号鍵325については後述する。
【0048】
本実施形態ではデジタルカメラ100およびスマートフォン200は、BLE通信では非暗号化通信を行い、BTC通信では暗号化通信を行う。この理由については後述する。非暗号化通信では、ペアリングは不要であるため、デジタルカメラ100およびスマートフォン200はBLEによるペアリング処理を実行しない。一方暗号化通信ではペアリングが必要であるため、デジタルカメラ100およびスマートフォン200はBTCによるペアリング処理を実行する。
【0049】
<ペアリング処理>
以下、
図4を用いて、デジタルカメラ100とスマートフォン200とがBTCによってペアリングする一連の処理の一例を
図3の説明とともに示す。本実施形態ではデジタルカメラ100およびスマートフォン200はまずBLE接続し、その後BLE通信を介してBTCによるペアリング処理を実行する。以降、BLE通信を介してBTCによる無線接続を確立することをハンドオーバという。このハンドオーバによって、例えばユーザはデジタルカメラ100およびスマートフォン200とをBLEによって無線接続させるだけで、BTCによるペアリング処理も実行することができる。
【0050】
図4は、デジタルカメラ100およびスマートフォン200がBTCによるペアリング処理の一例を示すシーケンス図である。本シーケンスの処理は例えばユーザがデジタルカメラ100を操作してペアリング開始を指示したことに応じて開始される。
【0051】
ステップS401において、デジタルカメラ100はBLEによって、アドバタイズを周囲に発信する。このデジタルカメラ100が発信するアドバタイズは後述のアプリケーションID313を含まない。スマートフォン200はこのアドバタイズを受信する。
【0052】
ステップS402において、スマートフォン200は、BLEによる無線接続をデジタルカメラ100に要求する。例えばスマートフォン200は、ユーザからデジタルカメラ100とのペアリングを開始することを指示する操作を受けつけた場合、デジタルカメラ100へ接続要求を送信する。デジタルカメラ100はこの接続要求を受信する。
【0053】
ステップS403において、デジタルカメラ100とスマートフォン200はBLEによって無線接続を確立する。
【0054】
ステップS404において、スマートフォン200は通信アプリ322のアプリケーションID313をデジタルカメラ100へ送信する。デジタルカメラ100は、アプリケーションID313をスマートフォン200の識別情報として記録する。このアプリケーションID313はカメラ制御モジュール312において利用されるデータである。
【0055】
ステップS405において、デジタルカメラ100はカメラID323をスマートフォン200へ送信する。スマートフォン200は、カメラID323を記録する。カメラID323は、BTC通信において通信相手を識別できる識別情報である。また、カメラID323は通信アプリ322において利用される。例えばカメラID323は、デジタルカメラ100のBTC通信におけるMACアドレスや、OS324が割り当てたID等である。
【0056】
ステップS406において、スマートフォン200はBLE通信によってデジタルカメラ100にBTC通信へ切り替えることを要求する要求パケットを送信する。デジタルカメラ100はこの要求パケットを受信したことに応じて、BTCによって接続できる状態に遷移する。
【0057】
ステップS407において、デジタルカメラ100およびスマートフォン200はBLEによる無線接続を切断する。
【0058】
ステップS408において、スマートフォン200はカメラID323を用いてデジタルカメラ100にBTCによる無線接続を要求するパケットを送信する。
【0059】
ステップS409において、デジタルカメラ100およびスマートフォン200はBTCによる無線接続を確立する。ここで、デジタルカメラ100およびスマートフォン200はBTC通信を暗号化するための暗号鍵を交換する。本実施形態ではデジタルカメラ100は暗号鍵315を通信制御モジュール314において利用するデータとして記録する。また本実施形態ではスマートフォン200は暗号鍵325をOS324が利用するデータとして記録する。また本実施形態ではスマートフォン200は暗号鍵325をカメラID323と対応付けて記録する。本ステップの処理においてデジタルカメラ100およびスマートフォン200のBTCによるペアリング処理が完了する。
【0060】
ステップS410において、デジタルカメラ100およびスマートフォン200はペアリング処理が完了したと判断し、BTC通信を切断する。
【0061】
以上、本実施形態におけるデジタルカメラ100およびスマートフォン200のBTCによるペアリング処理の一例を説明した。このように本実施形態では、デジタルカメラ100およびスマートフォン200はBLE通信では非暗号通信を行い、BTC通信では暗号化通信を行う。これは以下の理由による。
【0062】
デジタルカメラ100およびスマートフォン200はBLE通信およびBTC通信の両方において暗号化通信を行うことも可能である。この場合、BLEとBTCに互換性がないため、デジタルカメラ100およびスマートフォン200は、BLEおよびBTCそれぞれによってペアリング処理を実行し、BLE用の接続情報およびBTC用の接続情報をそれぞれ登録する。しかし一般的に接続情報の一覧を表示する場合、スマートフォンはBLEおよびBTCを区別せずに、単にBluetooth通信のペアリング済みの通信装置としてデジタルカメラ100の接続情報を表示する。つまり、スマートフォン200の表示上では、Bluetooth通信のペアリング済みの通信装置としてデジタルカメラ100が重複して表示されることになる。このためユーザがBLEとBTCを混同している場合、Bluetooth通信のペアリング済みの通信装置としてデジタルカメラ100が不必要に重複してスマートフォン200に記録されているとユーザは勘違いするおそれがある。例えばこの勘違いが原因でユーザによってBTC通信用の接続情報が削除された場合、デジタルカメラ100およびスマートフォン200は再度BTCによるペアリング処理を実行する必要がある。本実施形態では、ユーザが上記のように勘違いするおそれを低減するために、デジタルカメラ100およびスマートフォン200はBLE通信またはBTC通信の一方では暗号化通信を行い、他方では非暗号化通信を行う。
【0063】
また、BTC通信ではユーザの個人情報となりうる画像データがデジタルカメラ100およびスマートフォン200の間で送受信される。一方、BLE通信では、画像データと比べて個人情報として扱われる可能性の低い時刻情報やGPSの座標情報等がデジタルカメラ100およびスマートフォン200の間で送受信される。すなわち、BLE通信において送受信されるデータは、BTC通信において送受信されるデータよりもプライバシー性が低いデータである。そのため、本実施形態では、デジタルカメラ100およびスマートフォン200はBLE通信では非暗号化通信を行い、BTC通信では暗号化通信を行う。以上、デジタルカメラ100およびスマートフォン200がBLE通信では非暗号化通信を行い、BTC通信では暗号化通信を行う理由について説明した。
【0064】
<再接続処理・画像送信処理>
次に、
図4に示すペアリング処理を実行した後に、デジタルカメラ100およびスマートフォン200がBLEによって再接続する処理の一例を説明する。また、BTC通信において、デジタルカメラ100がスマートフォン200へ画像データを送信する処理の一例についても説明する。
【0065】
まず
図5(a)を用いて、互いにペアリング済みのデジタルカメラ100およびスマートフォン200がBLEによって接続する処理の一例を説明する。
図5(a)はデジタルカメラ100およびスマートフォン200がBLEによって接続する処理の一例を示すシーケンス図である。本シーケンスの処理は例えば、ユーザがデジタルカメラ100の電源スイッチや無線スイッチをオンしたことに応じて開始される。
【0066】
ステップS501において、デジタルカメラ100はBLEによってアドバタイズを周囲に発信する。このデジタルカメラ100が発信するアドバタイズは、アプリケーションID313を含む。スマートフォン200は、デジタルカメラ100が発信したアドバタイズを受信する。本シーケンスでは、スマートフォン200はこのアドバタイズに含まれるアプリケーションID313と通信アプリ322のIDとが同じIDであると判断する。
【0067】
ステップS502において、スマートフォン200はデジタルカメラ100へBLEによって接続要求する。
【0068】
ステップS503において、デジタルカメラ100およびスマートフォン200はBLE接続を確立する。
【0069】
ステップS504において、スマートフォン200はアプリケーションID313をデジタルカメラ100へ送信する。デジタルカメラ100はこのアプリケーションID313を受信する。また、デジタルカメラ100は本ステップにおいて受信したアプリケーションID313とペアリング処理において受信したアプリケーションIDとが一致するか否かを判断する。本シーケンス図では、デジタルカメラ100は両IDが一致すると判断した場合を例示している。なお、ここで両IDが一致しないと判断した場合は、デジタルカメラ100はスマートフォン200との接続を切断する。
【0070】
ステップS505において、デジタルカメラ100はカメラID323をスマートフォン200へ送信する。スマートフォン200はデジタルカメラ100からカメラID323を受信する。
【0071】
以上、
図5(a)を用いてデジタルカメラ100およびスマートフォン200がBLEによって再接続する処理について説明した。
図5(a)のステップS505以降、デジタルカメラ100およびスマートフォン200はBLEによって接続を維持する。またデジタルカメラ100およびスマートフォン200はBLEによって例えば時刻情報やGPSの座標情報等を送受信する。
【0072】
次に、
図5(b)を用いてデジタルカメラ100およびスマートフォン200がBTCによって画像データをスマートフォン200へ送信する処理の一例について説明する。ここではデジタルカメラ100およびスマートフォン200がハンドオーバを利用してBTCによって接続する。本シーケンスの処理は例えばユーザがデジタルカメラ100を操作して画像データを送信するよう指示したことに応じて開始される。また他にも、本シーケンスの処理は、例えばデジタルカメラ100が画像自動送信機能を実行する場合に開始される。なお、本シーケンスの開始時において、本実施形態ではデジタルカメラ100およびスマートフォン200は例えば
図5(a)に示すBLEによる接続処理によって無線接続を確立している。
【0073】
ステップS551において、デジタルカメラ100はBLE通信を介してスマートフォン200へBTC通信に切り替えることを要求するパケットを送信する。また、デジタルカメラ100は、スマートフォン200からBTCによって接続できる状態に遷移する。なお、本ステップにおいて、デジタルカメラ100およびスマートフォン200とのBLEによる無線接続は切断される。
【0074】
ステップS552において、スマートフォン200はカメラID323を用いて、デジタルカメラ100へBTCによる無線接続を要求するパケットを送信する。
【0075】
ステップS553において、スマートフォン200に記録されている暗号鍵325および、デジタルカメラ100に記録されている暗号鍵315を用いて、デジタルカメラ100およびスマートフォン200はBTCによる無線接続を確立する。
【0076】
ステップS554において、デジタルカメラ100は画像データをスマートフォン200へ送信する。デジタルカメラ100は画像自動送信機能によって送信する画像データをすべて送信し終えたことや、ユーザから画像データの送信をキャンセルするよう操作されるまで本ステップの処理を継続する。
【0077】
ステップS555において、デジタルカメラ100およびスマートフォン200はBTCによる無線接続を切断する。
【0078】
以上、デジタルカメラ100およびスマートフォン200がBTCによって再接続する処理の一例について説明した。また、デジタルカメラ100がBTCによって画像データをスマートフォン200へ送信する処理の一例についても説明した。このようにデジタルカメラ100は、スマートフォン200との接続を維持する場合にはより低消費電力なBLEを利用し、画像データを送信する場合にはより通信速度の速いBTCを利用する。さらに例えば画像データを送信する場合、デジタルカメラ100はBLEからBTCへハンドオーバすることで、BLEからBTCへ接続させるためのユーザ操作を省くことができる。
【0079】
<スマートフォン200における接続情報の削除>
ここで、スマートフォン200のOS324の機能の一つにBluetooth設定機能がある。このBluetooth設定機能では、例えばユーザはスマートフォン200に記録されている接続情報を確認したり削除したりすることができる。
【0080】
図6(a)、(b)は、スマートフォン200のOS324によってBluetooth設定機能を実行している場合における、スマートフォン200の画面表示の一例である。
【0081】
図6(a)では、スマートフォン200は現在ペアリング済みであるデバイスの一覧を表示している。本実施形態では、スマートフォン200はペアリング済みのデバイスとしてデジタルカメラ100等を表示している。項目601にはデジタルカメラ100のデバイス名称が表示されている。この項目601の右側には、ペアリング済みであるデバイスの接続情報や登録状況などを表示するための詳細情報ボタン602を配置されている。
【0082】
ユーザは例えばこの詳細情報ボタン602を選択した場合、スマートフォン200は
図6(b)に示すように、デジタルカメラ100の接続情報等を表示する。この画面では、ユーザはデジタルカメラ100の名称を変更することやデジタルカメラ100のMACアドレス等を確認することができる。また、ユーザが項目603を選択した場合、スマートフォン200はBTC通信におけるデジタルカメラ100の接続情報を削除する。デジタルカメラ100のBTC通信における接続情報を削除した場合、デジタルカメラ100およびスマートフォン200はBTC通信できない状態になる。この場合、デジタルカメラ100およびスマートフォン200がBLEからBTCへのハンドオーバを試みても、BTCによって接続できない。
【0083】
ここでユーザがスマートフォン200に記録されているデジタルカメラ100の接続情報を削除する操作を行った場合における無線接続処理の一例について
図7(a)、(b)を用いて説明する。
図7(a)はこの場合におけるデジタルカメラ100およびスマートフォン200のそれぞれのソフトウェア構成図の一例である。
図7(a)では便宜上、削除された暗号鍵325にバツ印を付けることで、暗号鍵325がスマートフォン200から削除されたことを示している。ユーザがOS324の機能を用いて接続情報を削除する操作を行った場合、スマートフォン200はOS324において利用される接続情報である暗号鍵325を削除する。また、カメラID323は通信アプリ322において利用されるデータであるため、ユーザがOS324から接続情報を削除した場合、スマートフォン200はカメラID323を削除しない。
【0084】
図7(b)はユーザがOS324から接続情報を削除した場合における無線接続処理の一例について示したシーケンス図である。
図7(b)に示すシーケンスの処理は例えばユーザがデジタルカメラ100を操作してBTCによって画像データを送信するよう指示したことに応じて開始される。また他にも、本シーケンスの処理は、例えばユーザが画像自動送信機能を開始するよう操作したことに応じて開始される。なお、本シーケンスの開始時において、本実施形態ではデジタルカメラ100およびスマートフォン200はBLEによって無線接続を確立している。
【0085】
ステップS701において、デジタルカメラ100はBLE通信を介してスマートフォン200へBTC通信に切り替えることを要求するパケットを送信する。また、デジタルカメラ100は、スマートフォン200からBTCによって接続できる状態に遷移する。なお、本ステップにおいて、デジタルカメラ100およびスマートフォン200とのBLEによる無線接続は切断される。
【0086】
ステップS702において、スマートフォン200は、カメラID323を用いて、デジタルカメラ100へBTCによる無線接続を要求するパケットを送信する。
【0087】
ステップS703において、デジタルカメラ100およびスマートフォン200はBTCによる無線接続の確立に失敗する。なぜなら、
図7(a)において説明したように、スマートフォン200にはデジタルカメラ100とBTCによる無線接続を確立するために必要な暗号鍵325が削除されているからである。
【0088】
このように、スマートフォン200の暗号鍵325が削除された場合、デジタルカメラ100およびスマートフォン200とのBTCによる無線接続の確立ができない。再度デジタルカメラ100およびスマートフォン200がBTC通信するためには、デジタルカメラ100およびスマートフォン200は再度BTCによってペアリング処理を実行することが必要になる。
【0089】
なお、本シーケンスの前におけるデジタルカメラ100およびスマートフォン200のBLEによる無線接続処理は例えば
図5(a)に示すシーケンスの処理と同様である。BLEによる無線接続には接続情報が不要であるため、デジタルカメラ100およびスマートフォン200はBTCの接続情報によらずBLEによって無線接続を確立できる。
【0090】
このように、スマートフォン200に記録されている接続情報をOS324の機能によって削除した場合、ユーザはデジタルカメラ100によって撮影した画像データをスマートフォン200へ送信できない。特に画像自動送信機能によって画像データをデジタルカメラ100からスマートフォン200へ送信する場合、ユーザは画像データをスマートフォン200へ送信できていないことに気づけないおそれがある。なぜならこの機能は例えばユーザによる電源オフの操作によって開始されるため、ユーザはデジタルカメラ100をカバンにしまうなど、デジタルカメラ100を使用していない状態にあることが想定されるからである。この状態ではデジタルカメラ100がエラーメッセージを表示していても、ユーザはそのメッセージを見落とし得る。そこで本実施形態では無線接続できない状態をユーザに気づかせやすくする処理をデジタルカメラ100およびスマートフォン200は実行する。
【0091】
<警告処理>
図8は、本実施形態において、デジタルカメラ100の接続情報が削除された場合における、スマートフォン200がデジタルカメラ100の接続情報が記録されていないことを報知する処理の一例を示すシーケンス図である。本シーケンスの処理は例えば、ユーザがデジタルカメラ100の電源スイッチや無線スイッチをオンしたことに応じて開始される。
【0092】
ステップS801において、デジタルカメラ100はBLEによってアドバタイズを周囲に発信する。このデジタルカメラ100が発信するアドバタイズは、アプリケーションID313を含む。スマートフォン200は、デジタルカメラ100が発信したアドバタイズを受信する。本シーケンスでは、スマートフォン200はこのアドバタイズに含まれるアプリケーションID313と通信アプリ322のIDとが同じIDであると判断する。
【0093】
ステップS802において、スマートフォン200はデジタルカメラ100へBLEによって接続要求する。
【0094】
ステップS803において、デジタルカメラ100およびスマートフォン200はBLE接続を確立する。
【0095】
ステップS804において、スマートフォン200はアプリケーションID313をデジタルカメラ100へ送信する。デジタルカメラ100はこのアプリケーションID313を受信する。デジタルカメラ100は本ステップにおいて受信したアプリケーションID313と本体に記録されているアプリケーションID313を比較し、BTCによってペアリング済みのスマートフォン200であると判断する。
【0096】
ステップS805において、デジタルカメラ100はカメラID323をスマートフォン200へ送信する。スマートフォン200はこのカメラID323を受信する。
【0097】
ステップS806において、スマートフォン200は受信したカメラID323から、以前にBTCによってペアリングしたことのあるデジタルカメラ100と判断する。そしてスマートフォン200は接続情報が記録されているか否かを判断する。本実施形態ではスマートフォン200は不揮発性メモリ203を参照し、暗号鍵325が記録されているか否かを判断する。本シーケンスではスマートフォン200は暗号鍵325が記録されていないと判断する。
【0098】
ステップS807において、スマートフォン200は、デジタルカメラ100の接続情報が記録されていないことを警告するメッセージをユーザに報知する。
図9は、スマートフォン200が表示する警告メッセージの一例である。この警告メッセージの内容は例えば、デジタルカメラ100に記録されているスマートフォンの接続情報を削除することおよびデジタルカメラ100と再度ペアリングするようユーザに促す内容である。
【0099】
以上、デジタルカメラ100の接続情報が削除された場合における、スマートフォン200がデジタルカメラ100の接続情報が記録されていないことを報知する処理の一例について説明した。このようにスマートフォン200がBLEによって接続したことに応じて、BTCの接続情報が記録されているか否かを判断することで、ユーザはBTC通信を利用できない状態に気づきやすくなる。
【0100】
一方、ユーザが通信アプリ322の機能を用いて接続情報を削除する操作を行った場合、スマートフォン200は接続情報及び識別情報を削除する。本実施形態ではこの場合、スマートフォン200は暗号鍵325およびカメラID323を削除する。この場合、スマートフォン200はデジタルカメラ100とBLEによって無線接続を確立した際に、カメラID323が記録されていないことから接続情報が削除されたことを判断できる。そのため、スマートフォン200はデジタルカメラ100とBLEによって接続を確立した際に警告を報知できる。すなわち
図8に示すような警告処理は、ユーザがスマートフォン200のOS324の機能を利用して接続情報を削除した場合において特に効果を奏する処理である。
【0101】
<デジタルカメラ100の動作>
図10~12を用いて、本実施形態におけるデジタルカメラ100の一連の無線接続処理について説明する。
【0102】
図10は、デジタルカメラ100がスマートフォン200とペアリングする処理の一例を示すフローチャートである。本処理は、不揮発性メモリ103に記録されたプログラムを作業用メモリ104に展開して制御部101が実行することで実現する。本フローチャートの処理は例えば操作部105を介してユーザからペアリング開始を指示されたことをトリガに開始される。
【0103】
ステップS1001において、制御部101は第一の近距離無線部112aを介してBLEによってアドバタイズを発信する。このアドバタイズは、デジタルカメラ100の機器名、カメラID323、およびサービスID等を含む。本ステップの処理は例えば
図4のステップS401の処理に相当する。
【0104】
ステップS1002において、制御部101はステップS1001において送信したアドバタイズに対する接続要求を受信するまで待機する。接続要求を受信した場合、処理はステップS1003に進む。本実施形態では制御部101はこの接続要求をスマートフォン200から受信する。本ステップの処理は例えば
図4のステップS402の処理に相当する。
【0105】
ステップS1003において、制御部101は第一の近距離無線部112aを介してスマートフォン200とBLEによって無線接続を確立する。本ステップの処理は例えば
図4のステップS403の処理に相当する。
【0106】
ステップS1004において、制御部101はスマートフォン200からアプリケーションID313を第一の近距離無線部112aを介して受信するまで待機する。アプリケーションID313を受信した場合、処理はステップS1005に進む。本ステップの処理は例えば
図4のステップS404の処理に相当する。
【0107】
ステップS1005において、制御部101はカメラ制御モジュール312において利用するデータとしてアプリケーションID313を不揮発性メモリ103に記録する。
【0108】
ステップS1006において、制御部101はカメラID323を第一の近距離無線部112aを介してスマートフォン200へ送信する。例えばカメラID323は、デジタルカメラ100のBTC通信におけるMACアドレスや、OS324が割り当てたID等である。本ステップの処理は例えば
図4のステップS405の処理に相当する。
【0109】
ステップS1007において、制御部101はスマートフォン200から第一の近距離無線部112aを介してBTC通信へ切り替えることを要求するパケットを受信するまで待機する。この要求パケットを受信した場合、制御部101はBTCのよる無線接続処理を開始する。また、この要求パケットを受信した場合、処理はステップS1008に進む。本ステップの処理は例えば
図4のステップS406の処理に相当する。
【0110】
ステップS1008において、制御部101はBLEによるスマートフォン200との無線接続を切断する。本ステップの処理は例えば
図4のステップS407の処理に相当する。
【0111】
ステップS1009において、制御部101はスマートフォン200からBTCによって無線接続できるように第二の近距離無線部112bを制御する。
【0112】
ステップS1010において、制御部101はスマートフォン200からBTCによって無線接続を要求するパケットを第二の近距離無線部112bを介して受信するまで待機する。この要求パケットを受信した場合、処理はステップS1011に進む。本ステップの処理は例えば
図4のステップS408の処理に相当する。
【0113】
ステップS1011において、制御部101は第二の近距離無線部112bを介してスマートフォン200とBTCによる無線接続を確立する。本ステップの処理は例えば
図4のステップS409の処理に相当する。
【0114】
ステップS1012において、制御部101はスマートフォン200とBTC通信によって暗号化通信を行うための暗号鍵を交換する。本ステップにおいて制御部101は不揮発性メモリ103に暗号鍵315を記録する。暗号鍵315は通信制御モジュール314によって利用されるデータである。本ステップの処理は例えば
図4のステップS409の処理に相当する。
【0115】
ステップS1013において、制御部101はスマートフォン200とのBTCによる無線接続を切断する。本ステップの処理は例えば
図4のステップS410の処理に相当する。
【0116】
以上、デジタルカメラ100がスマートフォン200とペアリングする処理の一例について説明した。
【0117】
図11は、デジタルカメラ100がスマートフォン200とBLEによって再接続する処理の一例を示すフローチャートである。本処理は、不揮発性メモリ103に記録されたプログラムを作業用メモリ104に展開して制御部101が実行することで実現する。本フローチャートの処理は例えばユーザが操作部105を操作して電源オンしたことをトリガに開始される。
【0118】
ステップS1101において、制御部101は不揮発性メモリ103に記録されているアプリケーションID313を読み込む。
【0119】
ステップS1102において、制御部101はBLEによってアドバタイズを第一の近距離無線部112aによって発信する。このアドバタイズはステップS1101において制御部101が読み込んだアプリケーションID313を含む。本ステップの処理は例えば
図5(a)のステップS501の処理に相当する。
【0120】
ステップS1103において、制御部101はステップS1102において発信したアドバタイズに対する接続要求パケットを受信するまで待機する。本実施形態ではこの接続要求パケットはスマートフォン200によって送信される。制御部101が接続要求パケットを受信したと判断した場合、処理はステップS1104に進む。本ステップの処理は例えば
図5(a)のステップS502の処理に相当する。
【0121】
ステップS1104において、制御部101は第一の近距離無線部112aを介してスマートフォン200とBLE接続を確立する。本ステップの処理は例えば
図5(a)のステップS503の処理に相当する。
【0122】
ステップS1105において、制御部101は第一の近距離無線部112aを介してスマートフォン200からアプリケーションIDを受信するまで待機する。制御部101がアプリケーションIDを受信したと判断した場合、処理はステップS1106に進む。本ステップの処理は例えば
図5(a)のステップS504の処理に相当する。
【0123】
ステップS1106において、制御部101はステップS1105において受信したアプリケーションIDがアプリケーションID313と一致するか否かを判断する。制御部101が両IDが一致すると判断した場合、処理はステップS1107に進む。制御部101が両IDが一致しないと判断した場合、処理はステップS1108に進む。
【0124】
ステップS1107において、制御部101は接続要求パケットを送信したデバイスはスマートフォン200であると判断し、カメラID323を第一の近距離無線部112aを介してスマートフォン200へ送信する。本ステップの処理は例えば
図5(a)のステップS505の処理に相当する。
【0125】
ステップS1108において、制御部101は接続要求パケットを送信したデバイスはスマートフォン200ではないと判断し、BLE接続を切断する。
【0126】
以上、デジタルカメラ100がスマートフォン200と再接続する処理の一例について説明した。
【0127】
図12は、デジタルカメラ100がスマートフォン200へ画像データを送信する処理の一例を示すフローチャートである。本処理は、不揮発性メモリ103に記録されたプログラムを作業用メモリ104に展開して制御部101が実行することで実現する。本フローチャートの処理は例えばユーザが操作部105を操作して電源オンしたことをトリガに開始される。本フローチャートの処理は例えばユーザが操作部105を操作して画像データを送信するよう指示したことに応じて開始される。また他にも、本フローチャートの処理は、例えば制御部101が画像自動送信機能を実行する場合に開始される。なお、本フローチャートの開始時において、本実施形態ではデジタルカメラ100およびスマートフォン200はBLEによって無線接続を確立している。
【0128】
ステップS1201において、制御部101はスマートフォン200へ送信する対象である画像データがあるか否かを判断する。この画像データは例えば、記録媒体110に記録されている画像データおよび、不揮発性メモリ103に記録されているスマートフォン200へまだ送信されていない画像データ等である。また例えば制御部101は、デジタルカメラ100に記録されている画像データの管理情報に基づいて、スマートフォン200へ送信する画像データがあるか否かを判断する。制御部101がスマートフォン200へ送信する画像データがあると判断した場合、処理はステップS1202へ進む。制御部101がスマートフォン200へ送信する画像データがないと判断した場合、処理は終了する。
【0129】
ステップS1202において、制御部101は第一の近距離無線部112aを介してBTC通信に切り替えることを要求するパケットをスマートフォン200へ送信する。本ステップの処理は例えば、
図5(b)のステップS551の処理に相当する。
【0130】
ステップS1203において、制御部101はBTCによって接続できる状態になるように第二の近距離無線部112bを制御する。本ステップの処理は例えば、
図5(b)のステップS551の処理に相当する。
【0131】
ステップS1204において、制御部101はBTCによる無線接続を要求するパケットを第二の近距離無線部112bを介して受信する。ここで制御部101は、この要求パケットに含まれるカメラID323に基づいて、送信元がスマートフォン200であると判断する。本ステップの処理は例えば、
図5(b)のステップS552の処理に相当する。
【0132】
ステップS1205において、制御部101はデジタルカメラ100の不揮発性メモリ103に記録されている暗号鍵315を用いて、BTCによる無線接続を第二の近距離無線部112bを介して確立する。本ステップの処理は例えば、
図5(b)のステップS553の処理に相当する。
【0133】
ステップS1206において、制御部101は画像データをBTCによってスマートフォン200へ第二の近距離無線部112bを介して送信する。例えば制御部101はスマートフォン200へ送信する対象である画像データをすべて送り終えたことや操作部105を介してキャンセル操作を受け付けたことに応じて、画像データの送信を終了する。本ステップ処理は例えば
図5(b)のステップS554の処理に相当する。
【0134】
ステップS1207において、制御部101はスマートフォン200とのBTCによる無線接続を切断し、処理を終了する。本ステップ処理は例えば
図5(b)のステップS555の処理に相当する。
【0135】
以上、デジタルカメラ100がスマートフォン200へ画像データを送信する処理の一例について説明した。
【0136】
<スマートフォン200の動作>
本実施形態におけるスマートフォン200の動作について説明する。
図13は本実施形態におけるスマートフォン200の動作の一例を示すフローチャートである。本処理は、不揮発性メモリ203に記録されたプログラムを作業用メモリ204に展開して制御部201が実行することで実現する。本フローチャートの処理は例えば制御部201が通信アプリ322を起動したことに応じて開始される。
【0137】
ステップS1301において、制御部201はOS324の機能によって第一の近距離無線部212aを介してアドバタイズを受信したか否かを判断する。制御部201がアドバタイズを受信したと判断した場合、アドバタイズに含まれる情報がOS324から通信アプリ322に通知され、処理はステップS1302へ進む。
【0138】
ステップS1302において、制御部201はステップS1301において受信したアドバタイズにアプリケーションIDが含まれるか否かを判断する。また、制御部201はアドバタイズにアプリケーションIDが含まれる場合、そのアプリケーションIDがアプリケーションID313と一致するか否かを判断する。本ステップの処理は通信アプリ322に従って制御部201が動作することにより実現される。
【0139】
制御部201がアドバタイズにアプリケーションIDが含まれていないと判断した場合、処理はステップS1316に進む。制御部201がアドバタイズに含まれるアプリケーションIDがアプリケーションID313と異なると判断した場合、処理は終了する。制御部201がアドバタイズに含まれるアプリケーションIDとアプリケーションID313とが一致すると判断した場合、処理はステップS1303に進む。まず制御部201がアドバタイズに含まれるアプリケーションIDとアプリケーションID313とが一致すると判断した場合について説明する。
【0140】
ステップS1303において、制御部201は通信アプリ322に従って、ステップS1301において受信したアドバタイズに対して接続要求を第一の近距離無線部212aを介して送信するようOS324に要求する。これによってOS324に従った制御により接続要求が第一の近距離無線部212aを介して送信される。本ステップの処理は例えば、
図5(a)のステップS502の処理に相当する。
【0141】
ステップS1304において、制御部201はOS324の機能に従って第一の近距離無線部212aを介してデジタルカメラ100とのBLE接続を確立する。本ステップの処理は例えば、
図5(a)のステップS503の処理に相当する。
【0142】
ステップS1305において、制御部201は通信アプリ322に従って、アプリケーションID313を第一の近距離無線部212aを介してデジタルカメラ100へ送信するようOS324に要求する。これによってOS324に従った制御によりアプリケーションID313が第一の近距離無線部212aを介してデジタルカメラ100に送信される。本ステップの処理は例えば、
図5(a)のステップS504の処理に相当する。
【0143】
ステップS1306において、制御部201はOS324の機能に従ってデジタルカメラ100から第一の近距離無線部212aを介してカメラID323を受信する。本ステップの処理は例えば、
図5(a)のステップS505の処理に相当する。なお、本ステップで受信したカメラID323は、過去にペアリング済みであれば通信アプリ322が保持している。そこで、例えば過去に保持している情報と本ステップで受信したカメラID323とが一致するかどうかを判断し、一致していなければ適切な通信相手ではないとしてこのステップで第一の近距離無線部212aを介した通信を切断してもよい。その場合、本フローチャートの処理は終了する。一方、一致している場合は処理はステップS1307に進む。
【0144】
ステップS1307において、制御部201は通信アプリ322に従って、デジタルカメラ100とのBTC通信に用いられる暗号鍵325が不揮発性メモリ203に記録されているか否かを判断する。例えば制御部201は通信アプリ322に従って、ステップS1306において受信したカメラID323に対応する暗号鍵325が記録されているか否かをOS324に問い合わせる。この問い合わせに対してOS324が通信アプリ322に回答する。この回答を受け取ることで、通信アプリ322はステップS1306において受信したカメラID323に対応する暗号鍵325が記録されているか否かを把握する。制御部201が暗号鍵325が記録されていると判断した場合、処理はステップS1308に進む。制御部201が暗号鍵325が記録されていないと判断した場合、処理はステップS1313に進む。先に制御部201が暗号鍵325が記録されていると判断した場合について説明する。
【0145】
ステップS1308において、制御部201は通信アプリ322に従って、第一の近距離無線部212aを介してデジタルカメラ100からBTC通信に切り替えることを要求するパケットを受信したか否かを判断する。なお、OS324に従って第一の近距離無線部212aを介して受信したBLEのパケットの内容は、OS324から通信アプリ322に通知される。受信していない場合、制御部201はBTC通信に切り替えることを要求するパケットを受信するまで待機する。制御部201がBTC通信に切り替えることを要求するパケットを受信した場合、処理はステップS1309に進む。本ステップの処理は例えば、
図5(b)のステップS551の処理に相当する。
【0146】
ステップS1309において、制御部201は通信アプリ322に従って、BTCによる無線接続を要求するパケットを第二の近距離無線部212bを介してデジタルカメラ100へ送信するようOS324に要求する。これによってOS324に従った制御により、無線接続を要求するパケットが第二の近距離無線部212bを介してデジタルカメラ100に送信される。本実施形態では制御部201はこのパケットにカメラID323を含めて送信する。本ステップの処理は例えば、
図5(b)のステップS552の処理に相当する。
【0147】
ステップS1310において、制御部201はOS324の機能に従って第二の近距離無線部212bを介してスマートフォン200とのBTCによる無線接続を確立する。ここで制御部201はBTCによる無線接続を確立する際に、暗号鍵325を用いる。本ステップの処理は例えば、
図5(b)のステップS553の処理に相当する。
【0148】
ステップS1311において、制御部201は通信アプリ322およびOS324機能に従ってデジタルカメラ100から第二の近距離無線部212bを介して画像データを受信する。本ステップにおいて、制御部201はデジタルカメラ100から複数の画像データを送信される場合、その画像データをすべて受信する。本ステップの処理は例えば、
図5(b)のステップS554の処理に相当する。
【0149】
ステップS1312において、制御部201は通信アプリ322に従って、デジタルカメラ100とのBTCによる無線接続を切断して、処理を終了するようOS324に要求する。これによってOS324に従った制御により、BTCによる無線接続が切断される。本ステップの処理は例えば、
図5(b)のステップS555の処理に相当する。
【0150】
また、ステップS1307において、制御部201が暗号鍵325が記録されていないと判断した場合について説明する。
【0151】
ステップS1313において、制御部201は通信アプリ322に従って、表示部206に警告メッセージを報知する。例えば制御部201は
図9に示すように警告メッセージを表示する。本実施形態では
図9に示すように制御部201は警告メッセージに、ペアリング操作を再びやり直すように促す内容を含める。
【0152】
ステップS1314において、制御部201は通信アプリ322に従って、BLEによる再接続のためのアドバタイズの発信を停止する要求パケットを第二の近距離無線部212bを介して送信するようOS324に要求する。これによってOS324に従った制御により、アドバタイズの発信を停止する要求パケットが第二の近距離無線部212bを介してデジタルカメラ100に送信される。この結果、デジタルカメラ100がBLE接続を切断後にアドバタイズを発信しないよう制御される。これにより、ステップS1315以降にデジタルカメラ100はBLEによる再接続のためのアドバタイズを発信しないため、デジタルカメラ100の消費電力を低減することができる。本ステップの処理はS1313と並行して実行されてもよい。
【0153】
ステップS1315において、制御部201は通信アプリ322に従って、デジタルカメラ100とのBLE接続を切断するようOS324に要求する。これによってOS324に従った制御により、BLE接続が切断される。その後、処理を終了する。
【0154】
次に、ステップS1302において制御部201がアドバタイズにアプリケーションIDが含まれていないと判断した場合について説明する。本実施形態ではこのアドバタイズを送信したデバイスをデジタルカメラ100とする。アドバタイズにアプリケーションIDがない場合、制御部201はデジタルカメラ100とペアリング済みではないと判断する。
【0155】
ステップS1316において、制御部201は通信アプリ322に従って、表示部206にアドバタイズを送信したデバイス名を表示する。本実施形態では制御部201は表示部206にデジタルカメラ100の識別名を表示する。
【0156】
ステップS1317において、制御部201は通信アプリ322に従って、デジタルカメラ100とペアリングするか否かを指示するユーザ操作を操作部205を介して受け付ける。制御部201がユーザによってペアリングするよう指示された場合、処理はステップS1318に進む。制御部201がユーザによってペアリングしないよう指示された場合、処理は終了する。
【0157】
ステップS1318において、制御部201は通信アプリ322に従って、デジタルカメラ100とのペアリング処理を開始するようOS324に要求する。これによってOS324に従った制御により、ペアリング処理が開始される。ペアリング処理については後述する。
【0158】
以上、スマートフォン200の動作の一例について説明した。
【0159】
なお、ステップS1302において、制御部201はアドバタイズにアプリケーションIDが含まれていないことを示す値が含まれていることを検出した場合、アドバタイズにアプリケーションIDが含まれていないと判断してもよい。
【0160】
なお、ステップS1314において、制御部201は警告メッセージを表示することに加えて、デジタルカメラ100へ警告メッセージを表示することを要求するパケットを送信してもよい。このパケットを受信したデジタルカメラ100は、
図9に示すような内容の警告メッセージを表示する。これによりユーザはデジタルカメラ100からも警告メッセージに気づくことができる。
【0161】
なお、ステップS1314において、制御部201は警告メッセージを表示せず、デジタルカメラ100にペアリング処理を再度実行するように要求してもよい。この場合、デジタルカメラ100は不揮発性メモリ103に記録されているスマートフォン200の接続情報を削除してから、再度スマートフォン200とのペアリング処理を開始する。
【0162】
ここで、スマートフォン200のペアリング処理について説明する。この処理は
図13のステップS1318の処理に相当する。
図14はスマートフォン200がデジタルカメラ100とペアリングする処理の一例を示すフローチャートである。本処理は、不揮発性メモリ203に記録されたプログラムを作業用メモリ204に展開して制御部201が実行することで実現する。本シーケンスの処理は例えばユーザから操作部205を介してペアリング開始の指示を受け付けたことに応じて開始される。
【0163】
ステップS1401において、制御部201は通信アプリ322に従って、第一の近距離無線部212aを介してデジタルカメラ100へ接続要求を送信するようOS324に要求する。これによってOS324に従った制御により、接続要求が第一の近距離無線部212aを介してデジタルカメラ100へ送信される。本ステップの処理は例えば
図4のステップS402の処理に相当する。
【0164】
ステップS1402において、制御部201はOS324に従って、第一の近距離無線部212aを介してデジタルカメラ100とBLE接続を確立する。本ステップの処理は例えば
図4のステップS403の処理に相当する。
【0165】
ステップS1403において、制御部201は通信アプリ322に従って、通信アプリ322のアプリケーションID313を第一の近距離無線部212aを介してデジタルカメラ100へ送信する。本ステップの処理は例えば
図4のステップS404の処理に相当する。
【0166】
ステップS1404において、制御部201は通信アプリ322に従って、第一の近距離無線部212aを介してデジタルカメラ100からカメラIDを受信したか否かを判断する。制御部201はカメラIDを受信するまで待機する。制御部201がカメラIDを受信したと判断した場合、処理はステップS1405に進む。本ステップの処理は例えば
図4のステップS405およびステップS406の処理に相当する。
【0167】
ステップS1405において、制御部201は通信アプリ322とOS324に従って、ステップS1404において受信したカメラID323を不揮発性メモリ203に記録する。
【0168】
ステップS1406において、制御部201は通信アプリ322に従って、第一の近距離無線部212aを介して、デジタルカメラ100へBTC通信に切り替えることを要求する要求パケットを送信するようOS324に要求する。これによってOS324に従った制御により、デジタルカメラ100へBTC通信に切り替えることを要求する要求パケットが送信される。本ステップの処理は例えば
図4のステップS406の処理に相当する。
【0169】
ステップS1407において、制御部201は通信アプリ322に従って、デジタルカメラ100とのBLE接続を切断するようOS324に要求する。これによってOS324に従った制御により、BLE接続が切断される。本ステップの処理は例えば
図4のステップS407の処理に相当する。
【0170】
ステップS1408において、制御部201は通信アプリ322に従って、第二の近距離無線部212bを介して、デジタルカメラ100へBTCによる無線接続を要求するパケットを送信するようOS324に要求する。これによってOS324に従った制御により、BTCによる無線接続を要求するパケットが送信される。制御部201はこのパケットにステップS1404において受信したカメラIDを含める。本ステップの処理は例えば
図4のステップS408の処理に相当する。
【0171】
ステップS1409において、制御部201はOS324に従って、第二の近距離無線部212bを介して、デジタルカメラ100へBTCによる無線接続を確立する。本ステップの処理は例えば
図4のステップS409の処理に相当する。
【0172】
ステップS1410において、制御部201は通信アプリ322とOS324に従って、第二の近距離無線部212bを介して、デジタルカメラ100から暗号鍵325を受信する。制御部201は暗号鍵325を不揮発性メモリ203に記録する。本ステップの処理は例えば
図4のステップS409の処理に相当する。
【0173】
ステップS1411において、制御部201は通信アプリ322に従って、デジタルカメラ100とのBTC接続を切断するようOS324に要求する。これによってOS324に従った制御により、BTC接続が切断される。その後、処理を終了する。本ステップの処理は例えば
図4のステップS410の処理に相当する。
【0174】
以上、スマートフォン200のペアリング処理の一例について説明した。
【0175】
以上、第1の実施形態について説明した。本実施形態においてスマートフォン200はBTCの暗号鍵が削除されている状態においてデジタルカメラ100とBLEによって接続を確立した場合、デジタルカメラ100と再度ペアリングすることを促す警告メッセージを表示する。これにより、スマートフォン200に記録されている接続情報とデジタルカメラ100に記録されている接続情報とに齟齬が生じていることについてユーザは気づくことができる。
【0176】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、スマートフォン200においてデジタルカメラ100とのペアリングが解除された場合において、スマートフォン200がユーザに警告を表示する手法の一例について説明した。第2の実施形態では、デジタルカメラ100においてユーザがスマートフォン200とのペアリングを解除した場合、デジタルカメラ100が警告を表示する手法の一例について説明する。
【0177】
本実施形態において、デジタルカメラ100の構成、スマートフォン200の構成、およびシステム構成は第1の実施形態と同様である。
【0178】
ユーザはデジタルカメラ100の通信設定メニューを操作することで、ペアリング済みのスマートフォン200の接続情報を削除することができる。
【0179】
図15(a)は、デジタルカメラ100の表示部106に表示された通信設定メニューの画面の一例である。この画面ではデジタルカメラ100はペアリング登録の項目やペアリング解除の項目を表示する。ユーザが操作部105を用いてペアリング解除の項目を選択した場合、デジタルカメラ100は
図15(b)に示すようなペアリング解除画面を表示する。ユーザはペアリング済みのスマートフォン200の情報をこの画面上で確認し、スマートフォン200とのペアリングを解除できる。一方、本実施形態においてスマートフォン200は、デジタルカメラ100の接続情報が記録されているものとする。
【0180】
ここでユーザがデジタルカメラ100に記録されているスマートフォン200の接続情報を削除した場合における無線接続処理の一例について
図16(a)、(b)を用いて説明する。
図16(a)はこの場合におけるデジタルカメラ100およびスマートフォン200のそれぞれのソフトウェア構成図の一例である。
図16(a)では便宜上、削除されたアプリケーションID313および暗号鍵315にバツ印を付けることで、アプリケーションID313および暗号鍵315がデジタルカメラ100から削除されたことを示している。
【0181】
図16(b)はこの場合におけるBLE接続処理の一例について示したシーケンス図である。
図16(b)に示すシーケンスの処理は例えばユーザがデジタルカメラ100を操作してBTCによって画像データを送信するよう指示したことに応じて開始される。また他にも、本シーケンスの処理は、例えばユーザが画像自動送信機能を開始するよう操作したことに応じて開始される。
【0182】
ステップS1601において、デジタルカメラ100はBLEによって、ペアリングを要求するアドバタイズを周囲に発信する。スマートフォン200はこのアドバタイズを受信する。
【0183】
ステップS1602において、スマートフォン200は、BLEによる無線接続をデジタルカメラ100に要求する。例えばスマートフォン200は、ユーザからデジタルカメラ100とのペアリングを開始することを指示する操作を受けつけた場合、デジタルカメラ100へ接続要求を送信する。デジタルカメラ100はこの接続要求を受信する。
【0184】
ステップS1603において、デジタルカメラ100とスマートフォン200はBLEによって無線接続を確立する。本実施形態においてデジタルカメラ100およびスマートフォン200は、BLEによる無線接続では非暗号化通信を行うため、デジタルカメラ100に暗号鍵が記録されていなくともBLE接続ができる。
【0185】
ステップS1604において、スマートフォン200は通信アプリ322のアプリケーションID313をデジタルカメラ100へ送信する。デジタルカメラ100は、アプリケーションID313をスマートフォン200の識別情報として記録する。
【0186】
ステップS1605において、デジタルカメラ100はカメラID323をスマートフォン200へ送信する。スマートフォン200は、本ステップにおいて受信したカメラID323に基づいて、BLE接続した接続相手がデジタルカメラ100であると判断する。
【0187】
ステップS1606において、スマートフォン200はBLE通信によってデジタルカメラ100にBTC通信へ切り替えることを要求する要求パケットを送信する。デジタルカメラ100はこの要求パケットを受信したことに応じて、BTCによって接続できる状態に遷移する。
【0188】
ステップS1607において、デジタルカメラ100およびスマートフォン200はBLEによる無線接続を切断する。
【0189】
ステップS1608において、スマートフォン200はカメラID323を用いてデジタルカメラ100にBTCによる無線接続を要求するパケットを送信する。
【0190】
ステップS1609において、デジタルカメラ100およびスマートフォン200はBTCによる無線接続を確立に失敗する。なぜならスマートフォン200は以前のデジタルカメラ100の接続情報である暗号鍵325を記録しているため、さらにデジタルカメラ100の暗号鍵を生成することができないからである。このとき、スマートフォン200は、例えば1分ほどの所定時間が経過するまでこのエラーを報知できないおそれがある。この場合、ユーザはBTC接続に失敗していることにすぐに気づくことができない。
【0191】
そこでスマートフォン200はデジタルカメラ100とのBTC接続を試みる前にユーザにBTC接続できないことを報知する。
図17は本実施形態において、デジタルカメラ100に記録されているスマートフォン200の接続情報が削除された場合におけるスマートフォン200がデジタルカメラ100に接続情報が記録されていないことを報知する処理の一例を示すシーケンス図である。本シーケンスの処理は例えばユーザがデジタルカメラ100を操作してペアリング開始を指示したことに応じて開始される。
【0192】
ステップS1701において、デジタルカメラ100はBLEによって、ペアリングを要求するアドバタイズを周囲に発信する。
図8のステップS801の処理と異なり、このデジタルカメラ100が発信するアドバタイズは、アプリケーションID313を含まない。スマートフォン200は、デジタルカメラ100が発信したアドバタイズを受信する。本シーケンスでは、スマートフォン200はデジタルカメラ100とのペアリング処理を開始すると判断する。
【0193】
ステップS1702において、スマートフォン200はデジタルカメラ100へBLEによって接続要求する。
【0194】
ステップS1703において、デジタルカメラ100およびスマートフォン200はBLE接続を確立する。
【0195】
ステップS1704において、スマートフォン200はアプリケーションID313をデジタルカメラ100へ送信する。デジタルカメラ100はこのアプリケーションID313を受信する。またデジタルカメラ100は受信したアプリケーションID313をスマートフォン200の識別情報として記録する。
【0196】
ステップS1705において、デジタルカメラ100はカメラID323をスマートフォン200へ送信する。スマートフォン200はこのカメラID323を受信する。
【0197】
ステップS1706において、スマートフォン200はステップS1705において受信したカメラID323から、以前にBTCによってペアリングしたことのあるデジタルカメラ100と判断する。そしてスマートフォン200はデジタルカメラ100の接続情報が記録されているか否かを判断する。本実施形態ではスマートフォン200は暗号鍵325が記録されているか否かを不揮発性メモリ203を参照し、判断する。本シーケンスではスマートフォン200は暗号鍵325が記録されていると判断する。上述したように、暗号鍵325が記録されている場合、デジタルカメラ100およびスマートフォン200は後のBTCによるペアリング処理に失敗する。
【0198】
そのためステップS1707において、スマートフォン200は、デジタルカメラ100とペアリングできないことを警告するメッセージをユーザに報知する。
図18は、スマートフォン200が表示する警告メッセージの一例である。この警告メッセージの内容は例えば、スマートフォン200に記録されているスマートフォンの接続情報を削除することおよびデジタルカメラ100と再度ペアリングするようユーザに促す内容である。
【0199】
以上、デジタルカメラ100に記録されているスマートフォン200の接続情報が削除された場合における、スマートフォン200がデジタルカメラ100に接続情報が記録されていないことを報知する処理の一例について説明した。これにより、スマートフォン200はBLE接続を確立したことに応じてBTC接続できないことをユーザに報知することができる。
【0200】
<デジタルカメラ100の動作>
本実施形態におけるデジタルカメラ100の動作は、第1の実施形態において
図10~12を用いて説明した動作と同様である。
【0201】
<スマートフォン200の動作>
本実施形態におけるスマートフォン200の動作について説明する。
図19は本実施形態におけるスマートフォン200の動作の一例を示すフローチャートである。本処理は、不揮発性メモリ203に記録されたプログラムを作業用メモリ204に展開して制御部201が実行することで実現する。本フローチャートの処理は例えば制御部201が通信アプリ322を起動したことに応じて開始される。
【0202】
ステップS1901において、制御部201は第一の近距離無線部212aを介してアドバタイズを受信したか否かを判断する。制御部201はアドバタイズを受信するまで待機する。制御部201がアドバタイズを受信したと判断した場合、処理はステップS1902へ進む。
【0203】
ステップS1902において、制御部201はステップS1901において受信したアドバタイズにアプリケーションIDが含まれるか否かを判断する。また、制御部201はアドバタイズにアプリケーションIDが含まれる場合、そのアプリケーションIDがアプリケーションID313と一致するか否かを判断する。
【0204】
制御部201がアドバタイズにアプリケーションIDが含まれていないと判断した場合、処理はステップS1903に進む。制御部201がアドバタイズに含まれるアプリケーションIDがアプリケーションID313と異なると判断した場合、処理は終了する。制御部201がアドバタイズに含まれるアプリケーションIDとアプリケーションID313とが一致すると判断した場合、処理は
図13のステップS1303に進む。本実施形態では、制御部201がアドバタイズにアプリケーションIDが含まれないと判断した場合について説明する。
【0205】
ステップS1903において、制御部201は表示部206にアドバタイズを送信したデバイス名を表示する。本実施形態では制御部201は表示部206にデジタルカメラ100の識別名を表示する。
【0206】
ステップS1904において、制御部201はデジタルカメラ100とペアリングするか否かを指示するユーザ操作を操作部205を介して受け付ける。制御部201がユーザによってペアリングするよう指示された場合、処理はステップS1905に進む。制御部201がユーザによってペアリングしないよう指示された場合、処理は終了する。
【0207】
ステップS1905において、制御部201は第一の近距離無線部212aを介してデジタルカメラ100へ接続要求を送信する。本ステップの処理は例えば
図4のステップS402の処理に相当する。
【0208】
ステップS1906において、制御部201は第一の近距離無線部212aを介してデジタルカメラ100とBLE接続を確立する。
【0209】
ステップS1907において、制御部201は通信アプリ322のアプリケーションID313を第一の近距離無線部212aを介してデジタルカメラ100へ送信する。
【0210】
ステップS1908において、制御部201は第一の近距離無線部212aを介してデジタルカメラ100からカメラIDを受信したか否かを判断する。制御部201はカメラIDを受信するまで待機する。制御部201がカメラIDを受信したと判断した場合、処理はステップS1909に進む。
【0211】
ステップS1909において、制御部201はデジタルカメラ100の暗号鍵325が不揮発性メモリ203に記録されているか否かを判断する。制御部201が暗号鍵が記録されていないと判断した場合、処理はステップS1910に進む。制御部201が暗号鍵が記録されていると判断した場合、処理はステップS1916に進む。
【0212】
ステップS1910からステップS1915の処理はそれぞれ
図14のステップS1406からステップS1411の処理と同様であるため説明を省略する。
【0213】
ステップS1916において、制御部201は表示部206に警告メッセージを報知する。例えば制御部201は
図18に示すように警告メッセージを表示する。本実施形態では
図18に示すように制御部201は警告メッセージに、ペアリング操作を再びやり直すように促す内容を含める。
【0214】
ステップS1917において、制御部201はデジタルカメラ100がBLE接続を切断後にアドバタイズを発信しないように、BLEによる再接続のためのアドバタイズの発信を停止する要求パケットを第二の近距離無線部212bを介して送信する。これにより、ステップS1918以降にデジタルカメラ100はBLEによる再接続のためのアドバタイズを発信しないため、デジタルカメラ100の消費電力を低減することができる。
【0215】
ステップS1918において、制御部201はデジタルカメラ100とのBLE接続を切断し、処理を終了する。
【0216】
以上、スマートフォン200の動作の一例について説明した。
【0217】
なお、ステップS1916において、制御部201は警告メッセージを報知したが、デジタルカメラ100に警告メッセージを表示させるために、デジタルカメラ100へ警告メッセージを表示するよう要求するパケットを送信してもよい。
【0218】
また、制御部201はステップS1916において警告メッセージを表示するのではなく、暗号鍵325を削除してもよい。この場合、処理はステップS1910へ進み、制御部201は自動的にペアリング処理を実行してもよい。
【0219】
以上、第2の実施形態について説明した。本実施形態においてスマートフォン200はBTCの暗号鍵が削除されているデジタルカメラ100とBLEによって接続を確立した場合、デジタルカメラ100と再度ペアリングすることを促す警告メッセージを表示する。これにより、スマートフォン200に記録されている接続情報とデジタルカメラ100に記録されている接続情報とに齟齬が生じていることについてユーザは気づくことができる。
【0220】
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0221】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。