(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20240520BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
B41J2/175 305
B41J2/175 141
B41J2/175 133
B41J2/01 301
(21)【出願番号】P 2020014824
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇山 剛矢
(72)【発明者】
【氏名】竹内 創太
(72)【発明者】
【氏名】下田 拓実
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-177565(JP,A)
【文献】特開2004-042279(JP,A)
【文献】特開2008-105333(JP,A)
【文献】特開2017-185747(JP,A)
【文献】特開2013-216035(JP,A)
【文献】特開2018-069513(JP,A)
【文献】特開2021-008106(JP,A)
【文献】特開2019-142116(JP,A)
【文献】特開2019-142115(JP,A)
【文献】特開2004-142325(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0109252(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面と側面とを少なくとも含む筐体と、前記筐体内に配置され、外部から液体を補充可能な
複数の液体タンクと、
前記側面に設けられた操作
パネルと、を有する液体吐出装置であって、
前記筐体における前記上面と
前記操作パネルが設けられた前記側面とを接合し、前記上面と前記側面とに対して傾斜した面である接合部に、
前記複数の液体タンクのそれぞれに対応した前記液体タンク内の液体残量を示す
複数の表示部が配置されており、
複数の前記表示部は、
前記接合部の延在方向に沿って並んで配置され、液体の残量に応じて、残量を示すインジケータの長さが前記接合部の
前記延在方向に変わるように構成されている、液体吐出装置。
【請求項2】
複数の前記表示部は、互いに離れて配置されている、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記接合部は、前記筐体の前記上面と前記側面とで形成される頂点を面取りした領域である、請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記表示部には、残量が示される液体の色に応じた色が用いられている、請求項1乃至
3のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記表示部は、発光により残量を示すメーターである、請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記上面に設けられたスキャナーを有する、請求項1乃至
5のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記液体タンクは、前記筐体内に配置され液体を吐出する状態において、前記筐体の外部から視認できない、請求項1乃至
6のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記筐体は、前記筐体の外部から前記液体タンク内の液体残量を視認可能に構成された窓又は開口を有さない、請求項1乃至
6のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出装置には、液体を貯留する液体タンクが設けられており、液体タンクから液体吐出ヘッドに液体が供給される。液体吐出装置の液体タンクとしては、主にカートリッジ式と液体補充式との2つの方式がある。カートリッジ式の液体タンクは、液体残量が少なくなった(なくなった)場合に、カートリッジごと交換される。一方、液体補充式の液体タンクでは、液体残量が低下した場合、液体タンクに液体が補充され、継続して使用される。
【0003】
特許文献1には、液体補充式の液体タンクを有する液体吐出装置が開示されている。液体補充式の液体タンクを用いる液体吐出装置では、液体を補充するタイミングを把握するために、液体残量をユーザが容易に認識できることが求められる。特許文献1に開示されている液体吐出装置は、その
図1および
図2に示されているように、装置前面の下部において装置内の液体タンクと対向する位置に窓が形成されている。ユーザは、その窓を通じて、透明部材で形成されている液体タンク内の液体の残量を認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の液体吐出装置においては、液体吐出装置の下部に残量表示が設けられている。このため、ユーザが液体タンク内の残量を確認し難い場合がある。また、液体残量を正確に把握しようとすると、真横から液体吐出装置を覗きこむ必要があり、利便性に欠ける。
【0006】
本開示は、ユーザが液体タンク内の液体残量を容易に把握することができる液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る液体吐出装置は、上面と側面とを少なくとも含む筐体と、前記筐体内に配置され、外部から液体を補充可能な複数の液体タンクと、前記側面に設けられた操作パネルと、を有する液体吐出装置であって、前記筐体における前記上面と前記操作パネルが設けられた前記側面とを接合し、前記上面と前記側面とに対して傾斜した面である接合部に、前記複数の液体タンクのそれぞれに対応した前記液体タンク内の液体残量を示す複数の表示部が配置されており、複数の前記表示部は、前記接合部の延在方向に沿って並んで配置され、液体の残量に応じて、残量を示すインジケータの長さが前記接合部の前記延在方向に変わるように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ユーザが液体タンク内の液体残量を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図8】液体タンクを前面または上面から観察する場合の見え方を示す図である。
【
図9】仕切り部材の傾きを変更した例を示す図である。
【
図10】観察窓を通じて液体タンクを観察した場合の見え方を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。尚、同一の構成については、同じ符号を付して説明する。また、実施形態に記載されている構成要素の相対配置、形状などは、あくまで例示である。尚、本明細書において、構成の参照符号の末尾にアルファベットを付している場合には、それぞれの構成を個別に参照しているものとし、共通している事項を説明する際には、符号の末尾を省略する場合がある。
【0011】
<<第1実施形態>>
図1は、本実施形態の液体吐出装置10の一例を示す概略斜視図である。本実施形態の液体吐出装置10は、記録装置である。液体吐出装置10は、液体であるインクを吐出する装置である。液体吐出装置10は、外部から液体を補充可能である。液体吐出装置10は、液体吐出ヘッド17と、液体吐出ヘッド17が搭載されたキャリッジ18と、液体タンク16と、筐体19とを備えている。
【0012】
液体タンク16は、液体吐出装置10の右前付近に設けられている。尚、本明細書において言及する、前後、左右、および上下方向は、各図に示す方向であるものとする。
図1は、液体吐出装置10の使用時における姿勢を示しており、上方向が重力方向上方、下方向が重力方向下方、左右および前後方向が水平方向となっている。液体吐出装置10は、液体タンク補充用の不図示のカバーを備えている。ユーザは、補充用のカバーを空けて液体タンク16に液体ボトルを差し込んで液体を補充することができる。
【0013】
キャリッジ18は、筐体19内部を左右に動くことが可能であり、キャリッジ18よりも重力方向の下方に配置された紙などの記録媒体に対して、液体を吐出しながら左右にスキャンすることで画像を記録する。紙を送りながらキャリッジ18のスキャンと液体吐出とを繰り返すことで紙面上に画像が記録される。キャリッジ18には、一時的にインクを貯蔵するサブタンクが設置されていてもよい。
【0014】
筐体19には、不図示の給紙トレーが設けられている。ユーザが、給紙トレーを開けて、紙をセットすることで紙が供給される。紙は、キャリッジ18の下に送られて記録が行われ、画像が記録された紙が排出される。
【0015】
キャリッジ18と液体タンク16とは、不図示のチューブなどで連結され、液体タンク16からキャリッジ18へインクが供給される。チューブは、十分な長さを有しており、キャリッジ18が左右にスキャンしても、チューブとの連結部およびチューブ自身が破損しないように設計されている。
【0016】
筐体19は、上面11と側面12(12a、12b)とを有する。側面12とは、筐体19を構成する面であって、筐体19を構成する上面11と、直接的にまたは任意の部材を介して間接的に接合する面のことである。側面12は、液体吐出装置10の操作パネル15などが配置されている側面(前面12a)であってもよいし、前面とは反対側の背面(不図示)であってもよいし、前面からみて左右にある側面12bであってもよい。
【0017】
本実施形態の液体吐出装置10において、上面11と側面12とが直接的にまたは任意の部材を介して間接的に接合する辺を、接合部13(13a、13b)と称する。そして、本実施形態の液体吐出装置10においては、液体残量を表示する表示部14が、接合部13に配置される。つまり、液体残量を表示する表示部14が、上面11と側面12とが接合する領域に配置される。
図1の例では、表示部14は、前面12aと上面11とによって構成される接合部13aに配置されている。尚、表示部14は、少なくとも上面11と側面12とが接合する領域に配置されていればよく、表示部14が上面11または側面12のうちの少なくとも一方に延在して配置されていてもよい。液体残量を表示する表示部14が接合部13に配置されることで、液体タンク16の液体残量をユーザが容易に認識可能となる。つまり、
図1の例では、ユーザは、液体吐出装置10の前面側からであっても、上面側からであっても、左右の側面側からであっても、表示部14によって液体タンク16の液体残量を認識することができる。一般的に、液体吐出装置10は、ユーザの目線よりも下方に位置するように、所定の台などに設置されている。ユーザが操作パネル15などを操作したり、液体吐出装置10に記録媒体をセットしたりするからである。このため、少なくとも上面11と側面12とが接合する領域に表示部14を配置することで、ユーザが液体タンク16の液体残量を容易に認識することができるようになる。
【0018】
尚、表示部14は、上面11と前面12aとによって構成される接合部13aだけでなく、上面11と、左右の側面12bとによって構成される接合部13bに配置されてもよい。また、表示部14は、上面11と背面(不図示)とによって構成される接合部(不図示)に配置されてもよい。このように、筐体19の上面11と側面12とが接合する側の辺に対応する領域(例えば接合部13b上と側面12bにまたがる領域)に表示部14が配置されることで、ユーザは、広い角度から液体タンク16の液体残量を認識可能となる。尚、
図1では、接合部13bは、側面12bの延長上(側面12bを拡張した面内)に設けられている。このような接合部13bに表示部14を設けてもよいが、特に上方からの視認性の観点から、接合部13aのような上下方向に対して傾斜した面に表示部14を設けることが好ましい。
【0019】
上述のように、
図1に示す液体吐出装置10においては、接合部13aは、上下方向に対して傾斜した面、言い換えれば上面11と前面12aとで形成される頂点を面取りした領域である。そして、この面取りした領域に表示部14が配置されている。即ち、筐体19においては、上面11と前面12aとで形成される頂点を面取りした接合部13aを通じて上面11と前面12aとが接合されている。しかしながら、接合部13は、この例に限られない。液体吐出装置10のデザインによっては、上面11と前面12aとで形成される頂点を接合部とし、その接合部に表示部14が配置されてもよい。また、接合部(表示部14)は、曲面となっていてもよい。
【0020】
液体吐出装置10は、一般的に、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックなど、複数の液体を有することが多い。この場合、それぞれの色に対応した液体残量の表示部14が設けられる。
図1の液体吐出装置10では、4色分の液体残量の表示部14が設けられている例を示している。ある一辺の接合部13aに全ての色の表示部14が設けられていてもよいし、複数の辺の接合部に、各色の表示部が分散して配置されていてもよい。
【0021】
また、接合部13bに表示部14を配置する場合、液体吐出装置10の上面にスキャナーなどを有している場合、上面と側面との接合部をスキャナーの蓋の淵とし、そこに表示部14を配置してもよい。即ち、スキャナーを用いる際に可動するスキャナーの蓋に表示部14が配置されてもよい。あるいは、スキャナーを用いる際に、蓋の開閉の軸となる淵に、表示部14が配置されてもよい。
【0022】
図2は、表示部14の一例を示す図である。
図1および
図2に示すように、表示部14は、横方向(
図1の左右方向に相当)に、残量の多い、または、少ないが視覚的に認識しやすいように表示されることが好ましい。
図2(a)は、液体タンク16内の液体残量が比較的多い場合の表示部14を示している。
図2(b)は、液体タンク16内の液体残量が比較的少なくなっている場合の表示部14を示している。接合部13は、筐体19の上面11と側面12とに沿って形成されている。このため、接合部13に配される表示部14を、上面11と側面12とが接合されている接合部13の延在方向(
図1の左右方向)に配置することで、残量を視覚的に認識しやすい表示領域を設けることができる。
図2の例では、液体タンク16の残量に応じて、残量を示すインジケータの長さが接合部の延在方向において変わるような表示部14の例を示している。
【0023】
表示部14の表示方法は、LEDなどを用いた発光により残量を示すメーターを増減させたり、液体タンク16にフロートを配置し、液面の高さを検知してその量を表示させたりしてもよい。また、液体タンク16が複数備えられている場合、表示部14は、液体の色に対応した残量メーターとしてもよい。
【0024】
図1の例では、前面12aと上面11とが接合する接合部13aに4色分の液体の表示部14が設けられている例を説明したが、上面11と側面12とが接合する複数の接合部13のうちの少なくとも1か所に表示部14が設けられていればよい。即ち、複数個所の接合部13に表示部14が設けられていてもよい。例えば、上面11と側面12bとの間の接合部13bと、接合部13aとに、2色分の表示部14がそれぞれ設けられていてもよい。
【0025】
本実施形態は、カートリッジ式の液体タンクを有する液体吐出装置に適用してもよいが、液体補充式の液体タンク16を有する液体吐出装置10に適用すると、より効果的である。液体吐出装置を使用するユーザは、液体吐出装置の液体タンクがカートリッジ式の場合、液体がなくなりそうになった時、新しいカートリッジを準備しておくなどの対応をして、実際に液体がなくなってからカートリッジを交換する。一方、液体タンクが補充式の場合、ユーザは、液体がなくなりそうになったら、その都度、液体を補充することが可能である。従って、特に補充可能な液体タンク16を有する液体吐出装置10の場合、液体残量を容易に認識できることが、ユーザにとって有益となり得る。
【0026】
尚、本実施形態では、筐体19には、液体タンク16の液体残量を覗き見るための窓(開口)が形成されていない例を説明したが、液体タンク16の液体残量を覗き見るための窓が形成されていてもよい。また、液体タンク16が、筐体19に固定されているタンク収容部(不図示)に収容される場合には、上記の窓は、そのタンク収容部材に形成されてもよい。
【0027】
以上説明したように、本実施形態では、液体残量の表示部14が、筐体19の上面11と側面12とが接合する接合部13に配置されている。このため、筐体19の横(左右)からも、上からも、斜めからも、液体残量の表示部が認識可能となり、ユーザが液体残量を容易に把握可能となる。
【0028】
<<第2実施形態>>
第1実施形態では、筐体の上面と側面とが接合する接合部に、液体タンクの残量を表示する表示部を設ける例を説明した。本実施形態では、筐体の複数の面に、液体タンクの残量を視認可能にする構成を設ける例を説明する。尚、本実施形態では、液面センサ等に拠らずに、液体タンク内の液面の高さをユーザが目視して確認して、液体の残量を把握する例を説明する。
【0029】
図3は、本実施形態の液体吐出装置10を示す概略斜視図である。本実施形態の液体吐出装置10も、第1実施形態で説明した例のように、筐体19を備えている。筐体19は、上面11および側面12(12a、12b)を含む。筐体19は、全体形状が略直方体となっている。筐体内には、液体タンク16が配されている。液体タンク16は、全体形状が略直方体となっている。尚、液体吐出装置10は、第1実施形態で説明したように、液体吐出ヘッドおよび操作部などを有し得るが、説明を簡略にする趣旨で、
図3には示していない。
【0030】
本実施形態の液体吐出装置10においては、筐体19の前面12aに、液体タンク16の残量を確認するための前面観察窓31(開口)が形成されている。前面12aは、例えば不図示の操作部などが配されている面とすることができる。また、筐体19の上面11にも液体タンク16の残量を確認するための上面観察窓32が形成されている。
【0031】
図4は、
図3の液体吐出装置10の断面図であり、
図3の液体タンク16、前面観察窓31、および上面観察窓32を通る平面で切断した例を示している。液体タンク16の内部空間には、所定の容量の液体33が収容されている。液体タンク16を構成する複数の面のうち、液体吐出装置10の前面12aと平行となる少なくとも二つの面(面38aおよび面38b)は、例えば光透過性の透明部材で形成されている。即ち、これら二つの面から、液体タンク16の内部の液体33の液面高さが、視認可能に構成されている。
【0032】
液体タンク16は、液体吐出装置10内において前面観察窓31に対向する位置に配置されている。即ち、液体吐出装置10の前面観察窓31は、液体吐出装置に配置される液体タンク16の前面に対応する位置に設けられている。ユーザは、液体タンク16内に収容された液体33の液面高さを、前面観察窓31を通じて視認することができる。
【0033】
また、液体吐出装置10内には、液体タンク16と液体吐出装置10の背面12cとの間に、例えば直角プリズムで形成された、光反射部材34が設置されている。光反射部材34は、ユーザが上面観察窓32を覗き込んだときに、視線の先に位置するように、設置される。つまり、光反射部材34は、液体吐出装置10の前面観察窓31を介した視線と上面観察窓32を介した視線とが交わる点を含む位置に設けられる。
【0034】
ユーザが、上面観察窓32から液体吐出装置10内を見ると、光反射部材34を通して液体タンク16の透明部材で形成された一面(面38a)を観察することができる。このため、ユーザは、上面観察窓32を通じて液体吐出装置10を観察することによっても、液体33の液面高さを視認することができる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態では、液体タンク16内の液体残量を示す液面高さを、前面および上面のそれぞれからユーザが視認可能な視認手段を設けている。視認手段は、前述したように前面観察窓31、上面観察窓32、および光反射部材34を含むものである。視認手段が設けられていることにより、ユーザは、液体吐出装置10の前面以外の面からも液体タンク16の残量を観察することができる。即ち、ユーザは、液体吐出装置10の複数の面から、液体タンク16の残量を観察することができる。このため、ユーザは、液体吐出装置10の前面を横から覗き込まなくても、液体タンク16の残量を観察することができる。
【0036】
尚、液体タンク16の面38a、38bは、少なくとも一部が透明部材で形成されていればよく、全面が透明部材で形成されていなくてもよい。例えば、光反射部材34に対応する領域が透明部材で形成されていればよい。また、液体吐出装置10内において、上面観察窓32と光反射部材34との間、および、液体タンク16の面38aと光反射部材34との間には、遮蔽物がない空間が形成されている。前面観察窓31および上面観察窓32は、単なる開口であってもよいし、開口部に光透過性の透明部材がはめ込まれていてもよい。また、前面観察窓31が、液体タンク16と一体化されていてもよい。
【0037】
図5は、
図4に示す構成に角度可変ミラー39を設けた例を示している。
図5に示すように、上面観察窓32の四辺の内の一辺に角度可変ミラー39を取り付けることで、上方向以外からの方向から液体33の残量をユーザが視認可能にすることができる。角度可変ミラー39を上面観察窓32の四辺に取り付ける位置に応じて、左右、または、背面側からも、ユーザが液体33の残量を視認することが可能となる。また、角度可変ミラー39は、角度が調整可能に構成されており、角度を変えることによって、ユーザが、自分の見やすい姿勢のまま液体33の残量を観察することが可能となる。
【0038】
尚、
図3から
図5に示す例では、前面観察窓31と上面観察窓32とが設けられている例を説明したが、前面観察窓31は設けられていなくてもよい。即ち、液体吐出装置10の前面12a以外の面から液体タンク16の液体33の残量が観察できるように構成されていればよい。
【0039】
<<第3実施形態>>
第2実施形態では、光反射部材34を備えている液体吐出装置の例を説明した。本実施形態では、光反射部材34を用いずに、液体吐出装置10の複数の面から、ユーザが液体残量を確認できる例を説明する。
【0040】
図6は、
図3の液体吐出装置10の断面図であり、
図3の液体タンク16、前面観察窓31、および上面観察窓32を通る平面で切断した例を示している。
図7は、本実施形態における液体タンク16の概略図を示している。
【0041】
図6および
図7に示すように、本実施形態の液体タンク16には、所定の容量の液体33が収容されている。液体タンク16は、液体吐出装置10の筐体内に配置可能であり、筐体内に配置された状態において外部から液体を補充可能である。また、液体タンク16は、孔の開いた有色のプレート(以降、仕切り部材35と略す)を含んでいる。液体タンク16内において、液体33は、仕切り部材35の孔を通して、仕切られた両側の領域を行き来することができる。
図6および
図7に示すように、仕切り部材35は、液体タンク16の底面から重力方向(上下方向)に対して所定の傾きを有するように配置されている。
図6および
図7の例では、仕切り部材35の下部は、液体タンク16の前面側の底面に設置され、仕切り部材35の上部は、液体タンク16の前面および背面の中間部の上面に設置されている。液体タンク16を構成する複数の面のうち、液体吐出装置10の前面に対向する面38aおよび液体吐出装置10の上面に対向する面38cは、例えば光透過性の透明部材で形成されている。
【0042】
図8は、
図7に示す液体タンク16を前面または上面から観察する場合の見え方を示す図である。尚、
図8は、液体タンク16単体を観察する場合の見え方を示すものである。ユーザは、液体タンク16を前面から観察した場合に、
図8(a)に示すように仕切り部材35が見える面積によって、液体タンク16内に収容された液体33の残量を視認することができる。つまり、ユーザは、液体タンク16が収容されている液体吐出装置10の前面観察窓31から液体タンク16を観察することで、液体33の残量(液面高さ)を視認することができる。
【0043】
また、ユーザは、液体タンク16を上面から観察した場合に、
図8(b)に示すように、仕切り部材35が見える面積によって、液体33の残量を視認することができる。つまり、ユーザは、液体タンク16が収容されている液体吐出装置10の上面観察窓32から液体タンク16を観察することで、上方向からも液体33の残量(液面高さ)を視認することができる。
【0044】
図9は、
図6に示す仕切り部材35の傾きを変更した例を示している。
図9に示すように、前面観察窓31の上側において液体タンク側に延びる辺の延長線と、上面観察窓32の背面側において液体タンク側に延びる辺の延長線とが交わる点を通るように仕切り部材35を設置している。このように仕切り部材35を設置すると、どちらの観察窓から観察した場合でも、ユーザが視認する残量表示を同等の表示にすることができる。
【0045】
図10は、観察窓を通じて
図9に示す構成の液体タンク16を観察した場合の見え方を示す図である。
図10(a)は、前面観察窓31から液体タンク16を観察した場合の見え方を示し、
図10(b)は、上面観察窓32から液体タンク16を観察した場合の見え方を示している。
図10に示すように、仕切り部材35が見える面積が、前面観察窓31から見た場合と上面観察窓32から見た場合とで同じ面積となる。このような構成は、ユーザが、前面から観察する場合と上面から観察する場合との両方を行うような場合に有用である。
【0046】
図11は、仕切り部材の各種の例を示す図である。仕切り部材35は、仕切られた領域を液体が連通(通過)できればよく、
図7などに示す形状に限られない。
図11(a)に示すように、円形の孔を散りばめたものでもよい。
図11(b)に示すように、線状の孔を開けたものでもよい。線状の孔は、目盛り代わりに用いることもできる。また、
図11(c)に示すように、仕切り部材35の側面に孔を設けたものであってもよい。また、仕切り部材35は、直線状のプレートである例を説明したが、これに限られない。階段状に形成されているプレートであってもよいし、曲線状のプレートであってもよい。また、仕切り部材35によって仕切られた領域を液体が連通可能であればよく、仕切り部材35の側面と液体タンク16の側面とが接していなくてもよい。即ち、仕切り部材35は、仕切られた領域を液体が連通可能な空間を形成しているような部材であればよい。
【0047】
また、
図7などの例では、仕切り部材35の下部が液体タンク16の前面側の底面に設置され、上部が液体タンク16の前面および背面の中間部の上面に設置されている例を説明したが、これに限られない。仕切り部材35の上部が液体タンク16の前面側の底面に設置され、下部が液体タンク16の前面および背面の中間部の上面に設置されていてもよい。つまり、仕切り部材35の傾きが逆になっていてもよい。また、液体タンク16内の仕切り部材35の設置位置は、前面観察窓31および上面観察窓32との関係で、適宜変更可能である。例えば、
図9に示す位置よりも、上面観察窓32が背面寄りに所定距離だけ離れて形成されている場合、仕切り部材35もまた、
図9に示す位置よりも背面よりに所定距離だけ離れて設ければよい。
【0048】
以上説明したように、本実施形態における視認手段は、前面観察窓31、上面観察窓32、および液体タンク16内の仕切り部材35を含むものである。本実施形態では、液体タンク16内に、孔が形成されている仕切り部材35を設けている。液体吐出装置10の前面観察窓31または上面観察窓32から液体タンク16を観察すると、仕切り部材35の見え方が液体33の残量に応じて変わる。このため、ユーザは、仕切り部材35の見え方によって、液体タンク16の残量(液面高さ)を視認することができる。
【0049】
<<その他の実施形態>>
上述した各実施形態では、液体吐出装置10が記録装置である例を説明したが、液体吐出装置10は、記録装置に限られない。ユーザが、液体の残量を確認して、必要に応じて液体を補充するような装置であれば、いずれの装置においても適用することができる。
【0050】
また、第2実施形態および第3実施形態では、液体吐出装置10に設置される液体タンクが一つである例を説明したが、液体タンクは複数設置されてもよい。この場合、一つの前面観察窓31および上面観察窓32から、各液体の液体残量をユーザが視認可能とするように、各液体タンクが並んで設置されるとよい。また、仕切り部材35は、各液体タンクの液体の収容量に応じて、傾きを変えてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 液体吐出装置
14 表示部
16 液体タンク
31 前面観察窓
32 上面観察窓