(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】撮像素子パッケージ
(51)【国際特許分類】
H01L 23/02 20060101AFI20240520BHJP
【FI】
H01L23/02 C
H01L23/02 F
(21)【出願番号】P 2020018130
(22)【出願日】2020-02-05
【審査請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】戸田 大介
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-076669(JP,A)
【文献】特開2019-192855(JP,A)
【文献】特開2016-171203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導体層を有するプリント回路基板と、
前記プリント回路基板の外周を取り囲むように設けられた樹脂モールド部と、を有し、
前記複数の導体層のうち、前記樹脂モールド部に最も近い第1導体層は、前記樹脂モールド部の内側の周囲に沿って形成されたダミーパターンを有
し、
前記第1導体層は、前記ダミーパターンの一部と他のパターンの一部とを電気的に接続する接続部を有することを特徴とする撮像素子パッケージ。
【請求項2】
前記ダミーパターンは、前記第1導体層の他のパターンと電気的に接続されていないことを特徴とする請求項1に記載の撮像素子パッケージ。
【請求項3】
前記接続部は、前記ダミーパターンと、前記他のパターンのうち前記ダミーパターンよりも内側のパターンとを電気的に接続していることを特徴とする請求項
1または2に記載の撮像素子パッケージ。
【請求項4】
前記接続部は、前記ダミーパターンと、前記他のパターンのうち前記ダミーパターンよりも外側のパターンとを電気的に接続していることを特徴とする請求項
1または2に記載の撮像素子パッケージ。
【請求項5】
前記ダミーパターンは、前記樹脂モールド部の内側の全周囲に形成されていることを特徴とする請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の撮像素子パッケージ。
【請求項6】
複数の導体層を有するプリント回路基板と、
前記プリント回路基板の外周を取り囲むように設けられた樹脂モールド部と、を有し、
前記複数の導体層のうち、前記樹脂モールド部に最も近い第1導体層は、前記樹脂モールド部の内側の周囲に沿って形成されたダミーパターンを有し、
前記ダミーパターンは、前記樹脂モールド部の内側の周囲の一部に形成されていることを特徴とす
る撮像素子パッケージ。
【請求項7】
前記ダミーパターンの少なくとも一部を覆うソルダーレジスト層を更に有することを特徴とする請求項1乃至
6のいずれか一項に記載の撮像素子パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラスエポキシなどで形成されたプリント基板上に撮像素子を直接実装する構造、いわゆるパッケージレス構造が知られている。特許文献1には、プリント回路基板と、プリント回路基板の外周囲を取り囲む樹脂モールド部とで構成された撮像素子パッケージが開示されている。特許文献2には、金型のプリント回路基板との接触面を丸く面取りし、かつプリント回路基板に凹みを設けることで、プリント回路基板への損傷を防止する樹脂モールド方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-185763号公報
【文献】国際公開第2009/150820号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された撮像素子パッケージでは、プリント回路基板を金型にインサートする際に金型でプリント回路基板をクランプする。このため、金型との当接面でプリント回路基板にクラックが発生する、またはプリント回路基板の内部配線が変形もしくは断線する可能性がある。特許文献2に開示された方法では、プリント回路基板の厚みがばらつく場合、金型とプリント回路基板との接触領域全体でプリント回路基板に加わる圧力が高まり、接触領域の直下に配置された導体層やプリント回路基板の樹脂材料に損傷が生じやすい。
【0005】
そこで本発明は、プリント回路基板に損傷が生じても電気的に不良がなく、プリント回路基板の外周囲に樹脂モールド部を形成することが可能な撮像素子パッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての撮像素子パッケージは、複数の導体層を有するプリント回路基板と、前記プリント回路基板の外周を取り囲むように設けられた樹脂モールド部とを有し、前記複数の導体層のうち、前記樹脂モールド部に最も近い第1導体層は、前記樹脂モールド部の内側の周囲に沿って形成されたダミーパターンを有し、前記第1導体層は、前記ダミーパターンの一部と他のパターンの一部とを電気的に接続する接続部を有する。
【0007】
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施形態において説明される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、プリント回路基板に損傷が生じても電気的に不良がなく、プリント回路基板の外周囲に樹脂モールド部を形成することが可能な撮像素子パッケージを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態におけるプリント回路基板の構成図である。
【
図3】第1実施形態における金型にプリント回路基板をインサートした状態の説明図である。
【
図4】第1実施形態における撮像素子パッケージの構成図である。
【
図5】第1実施形態における撮像素子パッケージの構成図である。
【
図6】第1実施形態における撮像素子パッケージの製造方法の説明図である。
【
図7】第2実施形態における撮像素子パッケージの構成図である。
【
図8】第3実施形態における撮像素子パッケージの構成図である。
【
図9】比較例1における撮像素子パッケージの構成図である。
【
図10】比較例2における金型にプリント回路基板をインサートした状態の説明図である。
【
図11】比較例2における撮像素子パッケージの構成図である。
【
図12】比較例2における撮像素子パッケージの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
(第1実施形態)
まず、
図1(a)、(b)を参照して、本発明の第1実施形態における撮像素子パッケージについて説明する。
図1(a)、(b)は、撮像素子パッケージのプリント回路基板の構成図(断面図)であり、撮像素子パッケージの製造工程を順に示している。
【0012】
図1(a)は、プリント回路基板1を準備した段階を示し、図中に示される座標系XYZにおけるプリント回路基板1の断面図である。プリント回路基板1は、回路導体を含む板状の基板であればよく、例えばシリコン基板やセラミック基板などのリジッドな基板、または樹脂基板が電気抵抗率の小さい銅箔を回路導体として容易に利用可能であるため好適である。なお
図1(a)は、プリント回路基板1として樹脂基板を用いた場合の例を示している。
【0013】
図1(a)の右側に、A部断面拡大図として、プリント回路基板1の層構造詳細を示す。プリント回路基板1は、複数の導体層14(4層の銅箔)を含むコア層と、コア層の表裏面にビルドアップ層として導体層14を2層ずつ設けた所謂2-4-2のビルドアップ基板の例である。複数の導体層14はそれぞれ、リソグラフィーによって所望のパターンにパターニングされている。コア層およびビルドアップ層は、プリプレグ層18を含んでいてもよい。プリプレグ層18は、繊維をクロス上に織った、あるいは編んだものに樹脂を含侵させて形成される。樹脂の主成分は、例えばエポキシやフェノールである。また樹脂は、紙やガラス等の絶縁フィラーを含有している。繊維は、例えばガラス繊維であるが、絶縁性であれば、これに限定されるものではない。
【0014】
プリント回路基板1の表裏面には、ソルダーレジスト層11が設けられている。ソルダーレジスト層11は、プリント回路基板1の表裏面にドライフィルムを貼り合せた後、リソグラフィーでパターニングを実施して所望の箇所に開口を設けることにより形成される。ただし、これに限定されるものではなく、液体レジストをロールコーターやスプレーコーターを使って塗布し、UVや熱で硬化させた後に同様にパターニングを実施する方法などの他の方法を用いて形成することもできる。表面電極12は、撮像素子からの配線を接続するための電極である。裏面電極13は、電子部品を接続するための電極である。表面電極12と裏面電極13との間は、導体層14、レーザービア16、およびドリルビア15を介して所望の経路で導通されている。
【0015】
図1(b)は、プリント回路基板1の裏面に電子部品2を搭載する工程を示す。電子部品2は、公知の表面実装方法にてプリント回路基板1の裏面に半田接続される。具体的には、まず、プリント回路基板1の裏面を上面とし、設けられた裏面電極13の配置と一致した開口を有する印刷マスクを準備する。次に、印刷マスクを、その開口と裏面電極13とが一致するように、裏面に当接させる。その状態で半田ペーストをマスク上に配し、スキージを使用して半田ペーストをプリント回路基板1の裏面に印刷する。次に、公知のマウンターを使用して、裏面電極13と、各電子部品の端子とが一致するように、所望の部品をプリント回路基板1の裏面に搭載する。最後に、その状態でリフロー炉に通し、裏面電極13と各電子部品の端子との半田接合を完成させる。
【0016】
半田ペーストに含まれるフラックスは、後の工程でプリント回路基板1から脱離し、撮像素子上に付着すると歩留まりを低下させる原因となる。そのため、公知の洗浄機と、公知の洗浄液を使用してフラックスを洗浄することが望ましい。なお、電子部品としては表面実装用のものが好適に用いられる。電子部品は、例えば、セラミックコンデンサ、タンタル等の有機コンデンサ、チップ抵抗、BtoBコネクタ、電源用のレギュレーターIC、コモンモードフィルタコイル、温度計測IC、またはEPROMなどであるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
次に、
図2(a)、(b)を参照して、本実施形態における金型3について説明する。
図2(a)、(b)は金型3の構成図であり、
図2(a)は金型3が開いた状態の断面図、
図2(b)は金型3が閉じた状態の断面図およびZ方向平面視図をそれぞれ示す。
図2(a)に示されるように、金型3に関しても
図1(a)と同様に座標系XYZを用いている。金型3は、上金型31と下金型32とを有する。
図2(b)の断面図に示されるように、金型3が閉じた状態において、金型3の内部にキャビティーが形成される。
図2(b)のZ方向平面視図は、
図2(a)に示される座標系のZ方向から金型3を見た図であり、図中の破線は金型3の内部に形成されたキャビティーを3つの部分に分ける境界線を表している。
図2(b)に示されるように、キャビティーは、中央キャビティー33と、中央キャビティー33の外周囲に設けられた枠状狭小キャビティー34と、枠状狭小キャビティー34の外周囲に設けられた枠状キャビティー35とを有する。
【0018】
また、
図2(b)中の矢印36aで示される方向に樹脂を注入するためのゲート(不図示)と、矢印36bで示される方向に樹脂によって追い出されるエアーを抜くためのエアベント(不図示)とがそれぞれ金型3に設けられている。金型3のキャビティー内には、枠状凸部39が形成されている。枠状凸部39の頂上枠状平面37と、頂上枠状平面37に対向して設けられた対向平面38とで、プリント回路基板1を挟持する。
【0019】
次に、
図3および
図4を参照して、プリント回路基板1の製造方法について説明する。
図3(a)~(e)は、金型3にプリント回路基板1をインサートした状態の説明図である。
図4(a)~(f)および
図5(a)~(g)は、撮像素子パッケージの説明図である。
図4(a)~(f)の断面図は、
図4(b)中のプリント回路基板_Z方向平面視図に示される線D2に相当する断面の拡大図である。
【0020】
プリント回路基板1は、所謂2-4-2のビルドアップ基板であり、
図4(a)に示される工程aは、コア層の両面に2層ずつビルドアップ層を形成する工程である。
図4(b)に示される工程bは、工程aで形成された最上層の導体層141をリソグラフィーでパターニングした状態を示している。導体層141は、
図3(a)~(e)に示される金型3にプリント回路基板1をインサートした状態において、最も頂上枠状平面37に近接する導体層(換言すると、樹脂モールド部4に最も近い導体層)である。
図4(a)中のプリント回路基板_Z方向平面視図(工程b)は、工程bにおいて、プリント回路基板1をZ方向から平面視した図である。導体層141は、二つのロの字状破線で挟まれた部分に、ダミーパターンとしての枠下導体層1412を有する。
【0021】
図4(b)中のD2部断面拡大図(工程b)にも同様に、枠下導体層1412を示している。
図4(b)と
図3(c)のA2部断面拡大図とを比較して分かるように、枠下導体層1412は、金型3の頂上枠状平面37と導体層141とが対向する部分である。その部分に枠下導体層1412が設けられ、平面方向では頂上枠状平面37と枠下導体層1412とは少なくとも一部分が重なって配置される。また枠下導体層1412は、周辺パターンから分離した電気的に接続されていないダミーパターンとして設けられる。枠下導体層1412は、Z方向から平面視して、四角形状、または、四角形状を少なくとも1ヶ所以上分断した部分的に配置された形状を有する。
【0022】
図4(c)に示される工程cは、ソルダーレジスト層11を形成する工程である。ソルダーレジスト層11は、液体レジストを公知のロールコーターやスピンコーターやスプレーコーター等を使用して塗布したものに、熱やUVを加えて固めて形成される。
図4(d)に示される工程dは、硬化後のソルダーレジスト層11に露光、現像処理を行い、所望の部分に開口を設けてプリント回路基板1を完成させる工程である。
図4(e)は、プリント回路基板1を金型3にインサートし、頂上枠状平面37と対向平面38とで挟持した状態を示し、
図3(c)のA2部断面拡大図と同様の図に相当する。この状態で枠状凸部39がソルダーレジスト層11に食い込み、ソルダーレジスト層11および枠下導体層1412が変形する場合がある。その場合、プリプレグ層18にも
図4(e)中の矢印19の部分で若干の凹みが生じる。
【0023】
本実施形態において、枠下導体層1412は、周辺パターンから分離した電気的に接続されていないダミーパターンとして設けられている。このため、枠下導体層1412が変形してクラックや断線などのダメージが発生した場合でも、枠下導体層1412は電気的なダミーパターンであるため、電気的な変化が生じない。また、枠下導体層1412は所定の厚みを有するため、下層のプリプレグ層18の凹みを軽減することが可能である。その結果、撮像素子パッケージとして電気的に不良が発生することが無い範囲、またはプリント回路基板1にクラックが発生することが無い範囲に留めることが可能である。
【0024】
図4(f)に示される工程fは、金型3のキャビティーの一部である枠状キャビティー35に樹脂41を流し込む工程である。
図5(a)中の左側の断面図は、撮像素子パッケージ(撮像素子を実装していない状態)の完成図である。撮像素子パッケージは、複数の導体層14を有するプリント回路基板1、および、プリント回路基板1の外周部を取り囲むように設けられた樹脂モールド部(枠状樹脂モールド部)4を有する。
【0025】
本実施形態において、複数の導体層14のうち、樹脂モールド部4に最も近い第1導体層(導体層141)は、樹脂モールド部4の内側の周囲に沿って形成されたダミーパターン(枠下導体層1412)を有する。枠下導体層1412は、第1導体層の他のパターン(導体層141のうち枠下導体層1412を除く他の導体)と電気的に接続されていない。また枠下導体層1412は、樹脂モールド部4の内側の全周囲または一部に形成されている。
【0026】
本実施形態において、枠下導体層1412の少なくとも一部は液体レジストを硬化させたソルダーレジスト層11に覆われているが、枠下導体層1412の上にソルダーレジスト層11が存在しなくてもよい。前述のように、
図5(a)に示される撮像素子パッケージは枠下導体層1412が変形し、
図4(e)に示されるプリプレグ層18にも矢印19の部分で若干の凹みを生じている。しかし、本実施形態の構成によれば、撮像素子パッケージとして電気的に不良が発生することは無く、また、プリント回路基板1にクラックが発生したりすることも無い。
【0027】
図5(d)、(e)は、枠下導体層1412の形状の一例として、枠下導体層1412を樹脂モールド部4の内側に沿って全周囲に設けた四角形状のパターンとした場合のG1部およびG2部(
図5(a)~(c)参照)のそれぞれのZ方向平面視図を示す。枠下導体層1412は、周辺パターンから分離した電気的に接続されていない四角形状のダミーパターンとしている。
図5(f)、(g)は、枠下導体層1412の形状の他の一例として、枠下導体層1412が樹脂モールド部4の内側に沿って部分的に設けられた場合のG1部およびG2部それぞれのZ方向平面視図を示す。枠下導体層1412は、周辺パターンから分離した電気的に接続されていないダミーパターンとして部分的に配置されている。
【0028】
次に、
図6(a)~(c)を参照して、本実施形態における撮像素子パッケージ100(撮像素子を実装した状態)の製造方法について説明する。
図6(a)~(c)は、撮像素子パッケージ100の製造方法の説明図である。まず、
図6(a)に示されるように、公知の吸着ステージ7の上に、プリント回路基板1と樹脂モールド部4とを有する撮像素子パッケージ100を固定する。そして、半導体チップである撮像素子5を撮像素子パッケージ100の中央部に公知の接着剤6を介して接着固定する。続いて、
図6(b)に示されるように、公知のワイヤー8を使用して、公知のワイヤーボンディングの手法で撮像素子5の電極PADと撮像素子パッケージ100の表面電極12とを結線する。最後に、
図6(c)に示されるように、公知の透光性LID10を公知の接着剤9を介して樹脂モールド部4に接着固定することにより、撮像素子パッケージ100が完成する。
【0029】
(第2実施形態)
次に、
図7(a)~(e)を参照して、本発明の第2実施形態における撮像素子パッケージについて説明する。
図7(a)~(e)は、本実施形態における撮像素子パッケージの説明図である。
図7(a)~(e)は、第1実施形態にて説明した
図5(a)~(e)にそれぞれ相当し、本実施形態の撮像素子パッケージ(撮像素子が実装されていない状態)の完成図である。なお、本実施形態における撮像素子パッケージの製造方法は第1実施形態と同一であるため、その説明を省略する。
【0030】
本実施形態の撮像素子パッケージは、複数の導体層14を有するプリント回路基板1、および、プリント回路基板1の外周部を取り囲むように設けられた樹脂モールド部4を有する。複数の導体層14のうち最も樹脂モールド部4に近接する導体層141において、樹脂モールド部4の内側に沿って全周囲または部分的に枠下導体層1412が設けられている。また枠下導体層1412は、周辺パターンと部分的に接続されたパターンとして配置されている。枠下導体層1412は、四角形状、または四角形状を少なくとも1ヶ所以上分断した部分的に配置された形状を有する。本実施形態において、枠下導体層1412の少なくとも一部は、液体レジストを硬化させたソルダーレジスト層11に覆われているが、枠下導体層1412の上にソルダーレジスト層11が存在しなくてもよい。
【0031】
図7(d)、(e)は、枠下導体層1412の形状の一例として、枠下導体層1412を樹脂モールド部4の内側に沿って全周囲に設けた四角形状のパターンとした場合のG1部およびG2部(
図7(a)~(c)参照)のそれぞれのZ方向平面視図を示す。枠下導体層1412は、樹脂モールド部4の内側に沿って全周囲に設けられた四角形状のパターンが枠下導体層1412よりも内側の導体層141と接続部1413で部分的に接続されたパターンとなっている。すなわち導体層141は、枠下導体層1412の一部と導体層141における他のパターンのうち枠下導体層1412よりも内側のパターンの一部とを電気的に接続する接続部1413を有する。
【0032】
前述のように、
図7(a)~(e)に示される構成の撮像素子パッケージは、枠下導体層1412が変形し、プリプレグ層18にも矢印19の部分で若干の凹みが生じている。本実施形態において、枠下導体層1412は、枠下導体層1412よりも内側の導体層141と接続部1413で部分的に接続されたパターンとして設けられている。このため、枠下導体層1412が変形により、接続部1413にクラックが発生し、ダメージを受け周辺パターンから分断される可能性がある。接続部1413にクラックや断線などのダメージが発生した場合、枠下導体層1412は、電気的にダミーパターンとして構成され、電気的に変化することがない構成が可能である。また、枠下導体層1412が所定の厚みを有することで、下層のプリプレグ層18の凹みを軽減することが可能である。
【0033】
本実施形態において、枠下導体層1412が周辺パターンから分断された場合、第1実施形態と同等の構成となり、枠下導体層1412はダミーパターンとなるため、電気的に影響のない構成が可能である。その結果、撮像素子パッケージとして電気的に不良が発生することが無く、また、プリント回路基板1にクラックが発生することが無い構成を実現することができる。
【0034】
(第3実施形態)
次に、
図8(a)~(e)を参照して、本発明の第3実施形態における撮像素子パッケージについて説明する。
図8(a)~(e)は、本実施形態における撮像素子パッケージの説明図である。
図8(a)~(e)は、第1実施形態にて説明した
図5(a)~(e)にそれぞれ相当し、本実施形態の撮像素子パッケージ(撮像素子が実装されていない状態)の完成図である。なお、本実施形態における撮像素子パッケージの製造方法は第1実施形態と同一であるため、その説明を省略する。
【0035】
本実施形態の撮像素子パッケージは、複数の導体層14を有するプリント回路基板1、および、プリント回路基板1の外周部を取り囲むように設けられた樹脂モールド部4を有する。複数の導体層14のうち最も樹脂モールド部4に近接する導体層141において、樹脂モールド部4の内側に沿って全周囲または部分的に枠下導体層1412が設けられている。また枠下導体層1412は、周辺パターンと部分的に接続されたパターンとして配置されている。枠下導体層1412は、四角形状を少なくとも1ヶ所以上分断して部分的に配置された形状を有する。本実施形態において、枠下導体層1412の少なくとも一部は、液体レジストを硬化させたソルダーレジスト層11に覆われているが、枠下導体層1412の上にソルダーレジスト層11が存在しなくてもよい。
【0036】
図8(d)、(e)は、枠下導体層1412の形状の一例として、枠下導体層1412を樹脂モールド部4の内側に沿って部分的に設けた四角形状のパターンとした場合のG1部およびG2部(
図8(a)~(c)参照)のそれぞれのZ方向平面視図を示す。枠下導体層1412は、樹脂モールド部4の内側に沿って部分的に設けられたパターンが枠下導体層1412よりも外側の導体層141と接続部1413で接続されたパターンとなっている。すなわち導体層141は、枠下導体層1412の一部と導体層141における他のパターンのうち枠下導体層1412よりも外側のパターンの一部とを電気的に接続する接続部1413を有する。
【0037】
前述のように、
図8(a)~(e)に示される構成の撮像素子パッケージは、枠下導体層1412が変形し、プリプレグ層18にも矢印19の部分で若干の凹みが生じている。本実施形態において、枠下導体層1412は、枠下導体層1412よりも外側の導体層141と接続部1413で部分的に接続されたパターンとして設けられている。このため、枠下導体層1412が変形により、接続部1413にクラックが発生し、ダメージを受け周辺パターンから分断される可能性がある。接続部1413にクラックや断線などのダメージが発生した場合、枠下導体層1412は、電気的にダミーパターンとして構成され、電気的に変化することがない構成が可能である。また、枠下導体層1412が所定の厚みを有することで、下層のプリプレグ層18の凹みを軽減することが可能である。
【0038】
本実施形態において、枠下導体層1412が周辺パターンから分断された場合、第1実施形態と同等の構成となり、枠下導体層1412はダミーパターンとなるため、電気的に影響のない構成が可能である。その結果、撮像素子パッケージとして電気的に不良が発生することが無く、また、プリント回路基板1にクラックが発生することが無い構成を実現することができる。
【0039】
(第1比較例)
次に、
図9(a)~(c)を参照して、第1比較例について説明する。
図9(a)~(c)は、本比較例における撮像素子パッケージの構成図である。
図9(a)は、工程aにおけるA2部断面拡大図およびプリント回路基板_Z方向平面視図を示す。
図9(b)は、A2部断面拡大図およびプリント回路基板_Z方向平面視図を示す。
図9(c)は、A2部断面拡大図を示す。
【0040】
図9(a)は、
図4(b)に示される工程bの際に、枠下導体層1412を設けた部分において、枠下導体層1412が周辺パターンと樹脂モールド部4の内側に沿って全周囲で電気的に接続されていることを示している。
図9(b)は、ソルダーレジスト層11を形成する工程を示す。
図9(c)は、プリント回路基板1を第1実施形態と同じ金型3にインサートした状態を示す。金型3のキャビティー内には、枠状凸部39が設けられている。枠状凸部39がソルダーレジスト層11に食い込み、ソルダーレジスト層11と導体層141の変形が生じる場合がある。その場合、プリプレグ層18にも矢印19の部分で若干の凹みを生じている。
【0041】
図9(a)~(c)に示されるように、本比較例では、最近接導体層である導体層141に枠状凸部39から加わる応力がプリント回路基板1に加わるため、プリプレグ層18に若干の凹みを生じる。また、導体層141は枠状凸部39に対抗する部分全面に設けられているため、導体層141のクラックの発生する箇所を制御することはできない。導体層141にクラック142を生じ、部分的に断線し周辺パターンとの接続が不安定になってしまうため好ましくない。導体層のクラック142の発生する場所によっては、電気的な特性が変化する場合がある。
【0042】
(第2比較例)
次に、
図10(a)~(e)、
図11(a)~(f)、
図12(a)~(c)を参照して、第2比較例について説明する。
図10(a)~(e)は、本比較例における金型3にプリント回路基板1をインサートした状態の説明図である。
図11(a)~(f)および
図12(a)~(c)は、本比較例における撮像素子パッケージの構成図である。
【0043】
図11(a)中のプリント回路基板_Z方向平面視図(工程b)は、プリント回路基板1をZ方向から平面視した図である。
図11(a)に示されるように、導体層141には二つのロの字状破線で挟まれた部分に枠状開口1411が設けられている。
図11(b)のD2部断面拡大図(工程b)にも同様に、枠状開口1411を示している。
図11(b)と
図3(c)のA2部断面拡大図とを比較して分かるように、枠状開口1411は、金型3の頂上枠状平面37と導体層141とが対向する部分である。その部分に枠状開口1411が設けられ、枠状開口1411の幅kwは頂上枠状平面37の幅wよりも広い。
【0044】
図12(a)~(c)は、本比較例の撮像素子パッケージ(撮像素子が実装されていない状態)の完成図である。撮像素子パッケージは、複数の導体層14を有するプリント回路基板1、および、プリント回路基板1の外周部を取り囲むように設けられた樹脂モールド部4を有する。複数の導体層14のうち最も樹脂モールド部4に近接する最近接導体層である導体層141において、樹脂モールド部4の内側の全周囲に沿って枠状開口1411を設けている。また、枠状開口1411と導体層141の少なくとも一部は、液体レジストを硬化させたソルダーレジスト層11に覆われている。
【0045】
図12(a)~(c)に示されるように、本比較例では、枠状凸部39により押圧される位置に枠状開口1411が設けられており、導体層141が形成されていない。このため、導体層141にクラックや断線などのダメージが発生しないが、枠状凸部39から加わる応力がプリント回路基板1に加わるため、プリプレグ層18に凹みを生じる。また、他の導体層141が断線する可能性があり、電気的な特性が変化する場合がある。
【0046】
各実施形態によれば、プリント回路基板に損傷が生じても電気的に不良がなく、プリント回路基板の外周囲に樹脂モールド部を形成することが可能な撮像素子パッケージを提供することができる。
【0047】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 プリント回路基板
4 樹脂モールド部
14 導体層
100 撮像素子パッケージ
141 導体層(第1導体層)
1412 枠下導体層(ダミーパターン)