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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】サーバ、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20240520BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20240520BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20240520BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20240520BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
G08B25/04 C
G08B25/00 510M
G08B21/00 U
G08B21/02
G07C5/00 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020029353
(22)【出願日】2020-02-25
(65)【公開番号】P2021135574
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】398058588
【氏名又は名称】Dynabook株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高山 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】松野 厚
(72)【発明者】
【氏名】羽禰田 卓志郎
(72)【発明者】
【氏名】吉永 裕嗣
(72)【発明者】
【氏名】榎本 稔
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-186394(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0146809(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C1/00-15/00
G08B19/00-31/00
H04N7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の電源に接続される電源端子と、副電源を具備し、衝撃を検知すると第1検知信号と前記衝撃の検知前後の映像信号を送信し、前記電源端子の電圧低下を検知すると第2検知信号を送信する、電子装置に接続され、前記第1検知信号と前記第2検知信号を受信した場合、情報を出力するサーバであって、
前記第2検知信号を受信し、前記映像信号を全く受信していない場合、前記自動車のドライバへの連絡を促す第1情報を出力し、
前記第2検知信号を受信し、前記映像信号の少なくとも一部を受信している場合、映像確認を促す第2情報を出力する、サーバ。
【請求項2】
前記第1情報と前記第2情報に応じた文字や図形を表示するディスプレイと前記第1情報と前記第2情報に応じた合成音声やサウンドを出力するスピーカの少なくとも一方を具備する請求項1記載のサーバ。
【請求項3】
第1電子装置と第2電子装置を具備するシステムであって、
前記第1電子装置は自動車のエンジンのオン、オフに連動してオン、オフされる電源に接続される電源端子と、副電源を具備し、
前記第1電子装置は、
衝撃を検知すると第1検知信号と前記衝撃の検知前後の映像信号を前記第2電子装置へ送信し、
前記電源端子の電圧低下を検知すると第2検知信号を前記第2電子装置へ送信し、
前記第2電子装置は前記第1検知信号と前記第2検知信号を受信した場合、情報を出力する、システムであって、
前記第2電子装置は、
前記第2検知信号を受信し、前記映像信号を全く受信していない場合、前記自動車のドライバへの連絡を促す第1情報を出力し、
前記第2検知信号を受信し、前記映像信号の少なくとも一部を受信している場合、映像確認を促す第2情報を出力する、システム。
【請求項4】
前記第1電子装置は、
前記映像信号の送信後に前記電源端子の電圧低下を検知すると、前記映像信号の送信を停止してから前記第2検知信号を送信する、請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記第1電子装置は、
映像データを記憶する揮発性メモリと、
前記揮発性メモリに記憶されている映像データから作成された映像ファイルを記憶する不揮発性メモリと、
具備し、
前記第1電子装置は、前記映像信号の送信後に前記電源端子の電圧低下を検知すると、前記映像信号の送信を停止した後に前記第2検知信号を送信し、前記揮発性メモリに記憶されている映像データから映像ファイルを作成し、前記映像ファイルを前記不揮発性メモリに記憶させる、請求項3記載のシステム。
【請求項6】
前記第2電子装置は前記第1情報と前記第2情報に応じた文字や図形を表示するディスプレイと前記第1情報と前記第2情報に応じた合成音声やサウンドを出力するスピーカの少なくとも一方を具備する請求項3記載のシステム。
【請求項7】
自動車の電源に接続される電源端子と、副電源を具備する第1電子装置と、前記第1電子装置と電気的に接続される第2電子装置を具備するシステムにおける方法であって、
前記第1電子装置は、
衝撃を検知すると第1検知信号と前記衝撃の検知前後の映像信号を前記第2電子装置へ送信し、
前記電源端子の電圧低下を検知すると第2検知信号を前記第2電子装置へ送信し、
前記第2電子装置は前記第1検知信号と前記第2検知信号を受信した場合、情報を出力するものであって、前記第2検知信号を受信し、前記映像信号を全く受信していない場合、前記自動車のドライバへの連絡を促す第1情報を出力し、前記第2検知信号を受信し、前記映像信号の少なくとも一部を受信している場合、映像確認を促す第2情報を出力する、方法。
【請求項8】
前記第1電子装置は、
前記映像信号の送信後に前記電源端子の電圧低下を検知すると、前記映像信号の送信を停止してから前記第2検知信号を送信する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記第1電子装置は、
映像データを記憶する揮発性メモリと、
前記揮発性メモリに記憶されている映像データから作成された映像ファイルを記憶する不揮発性メモリと、
具備し、
前記第1電子装置は、前記映像信号の送信後に前記電源端子の電圧低下を検知すると、前記映像信号の送信を停止した後に前記第2検知信号を送信し、前記揮発性メモリに記憶されている映像データから映像ファイルを作成し、前記映像ファイルを前記不揮発性メモリに記憶させる、請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記第2電子装置は、前記第1情報と前記第2情報に応じた文字や図形を表示することと前記第1情報と前記第2情報に応じた合成音声やサウンドを出力することの少なくとも一方を具備する請求項7記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態はドライブレコーダと呼ばれる車載の電子装置が接続されるサーバ、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体、例えば自動車の運転状況を示す映像を記録するドライブレコーダが開発されている。近年、事故発生時に映像を送信するドライブレコーダと、映像を受信するサーバからなる運転支援システムが開発されている。このシステムでは、ドライブレコーダは、衝撃を検知すると、衝撃検知信号をサーバに通知し、衝撃検知の前後の所定期間の映像をサーバへ送信する。サーバ側のオペレータは、衝撃検知信号を受信すると、その後に送信されてくる映像を確認して、事故の程度に応じた対応を行う。
【0003】
ドライブレコーダは、先ず映像を揮発性メモリに書き込み、その後揮発性メモリ内の映像を不揮発性メモリに書き込む。不揮発性メモリ内の映像は映像ファイルとして保存される。電源がオフされると、揮発性メモリ内のデータは、消えてしまう。これを防ぐために、ドライブレコーダは、電源がオフされても揮発性メモリ内のデータが消えないように、バックアップ電源を備えている。ドライブレコーダは、電源電圧が低下すると、終了処理を行う。終了処理では、揮発性メモリ内に映像が残っていれば、その映像が不揮発性メモリに書き込まれ、不揮発性メモリの映像が映像ファイルとされ、映像がドライブレコーダ内に不揮発に記憶される。
【0004】
ドライブレコーダは、自動車のエンジンに連動して電源が供給されることが多い。このため、エンジンが停止中、ドライブレコーダには電源が供給されない。バックアップ電源は、終了処理が確実に実行できる程度の小電力しか提供しないことが多い。事故等によりエンジンが破損し、電源がオフし、終了処理が開始されると、ドライブレコーダは、サーバに映像を送信することができない場合がある。例えば自動車に搭載された電源が破損するような事故が発生すると、ドライブレコーダはサーバに映像を送信できない。この場合でも、ドライブレコーダは衝撃検知信号を受信すると、オペレータは映像を待ち続けるだけで、事故対応ができず、運転支援システムはサービスを提供できないことがある。
【0005】
ドライブレコーダは、フロントガラスの内側に貼り付けられ、電源ケーブルがシガーソケットに挿入される。自動車の運転中の振動により、ドライブレコーダがフロントガラスから落下し、電源ケーブルがシガーソケットから外れることがある。ドライブレコーダはフロントガラスに貼り付いたままでも、手が電源ケーブルに触ることによって、電源ケーブルがシガーソケットから外れることもある。
【0006】
このようにエンジンが動いており、シガーソケットに電源が供給されていても、電源ケーブルがシガーソケットから外れることにより、ドライブレコーダの電源がオフすることがある。さらに、電源ケーブルがシガーソケットから外れていない場合でも、電気系統の不具合によりシガーソケットに電源が供給されないこともある。このような場合も、運転支援システムはサービスを提供できない。
【0007】
このことは、ドライブレコーダに限らず、車載の他の電子装置でも同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2009-87014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の車載の電子装置は電源がオフされた場合、事故による電源の破損により電力供給がオフされたのか否か判断つかなかった。
【0010】
本発明の目的は、事故による電源オフとそれ以外の電源オフを区別して検出することができるサーバ、システム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態によれば、サーバは、電子装置に接続される。電子装置は、自動車の電源に接続される電源端子と、副電源とを具備し、衝撃を検知すると第1検知信号と衝撃の検知前後の映像信号を送信し、電源端子の電圧低下を検知すると第2検知信号を送信する。サーバは、第1検知信号と第2検知信号を受信した場合、情報を出力する。サーバは、第2検知信号を受信し、映像信号を全く受信していない場合、自動車のドライバへの連絡を促す第1情報を出力し、第2検知信号を受信し、映像信号の少なくとも一部を受信している場合、映像確認を促す第2情報を出力する
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る運転支援システムの一例を示すブロック図である。
図2】第1実施形態に係るドライブレコーダの設置方法の一例を示す図である。
図3】第1実施形態に係るドライブレコーダの一例の斜視図と側面図である。
図4】第1実施形態に係るドライブレコーダの一例のブロック図である。
図5】第1実施形態に係る第1サーバの一例のブロック図である。
図6】第1実施形態に係るドライブレコーダの処理の第1例を示すフローチャートである。
図7】第1実施形態に係る第1サーバの処理の第1例を示すフローチャートである。
図8】従来のシステムと第1実施形態に係る運転支援システムの一例を比較する図である。
図9】第2実施形態に係るドライブレコーダの処理の第2例を示すフローチャートである。
図10】第2実施形態に係る第1サーバの処理の第2例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、実施形態を説明する。以下の説明は、実施形態の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、実施形態の技術的思想は、以下に説明する構成要素の構造、形状、配置、材質等に限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各要素のサイズ、厚み、平面寸法又は形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、互いの寸法の関係や比率が異なる要素が含まれることもある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して重複する説明を省略する場合もある。いくつかの要素に複数の呼称を付す場合があるが、これら呼称の例はあくまで例示であり、これらの要素に他の呼称を付すことを否定するものではない。また、複数の呼称が付されていない要素についても、他の呼称を付すことを否定するものではない。なお、以下の説明において、「接続」は直接的な接続のみならず、他の要素を介して間接的に接続されることも意味する。
【0014】
[第1実施形態]
移動体として自動車を想定して実施形態を説明するが、自動車は4輪の自動車に限られず、車輪の数は任意である。移動体の例は自動車に限らず、オートバイ、バス、電車、ボート、船舶、飛行機等の全ての移動体を含む。さらに、実施形態はドライバを必要としない自動運転の移動体にも適用可能である。
【0015】
図1は、実施形態に係る運転支援システムの一例を示すブロック図である。多数のドライブレコーダ10-1、10-2、…がネットワーク12を介して第1サーバ14と第2サーバ16に接続される。ドライブレコーダ10-1、10-2、…とネットワーク12は、無線で接続される。ネットワーク12と第1サーバ14及び第2サーバ16は無線又は有線で接続される。
【0016】
このシステムを提供するのは、例えば自動車損害保険会社であるとすると、第1サーバ14は、自動車損害保険会社のサーバである。自動車損害保険会社は、事故発生時にドライバの安否を確認する、ガードマンを事故現場に派遣してドライバを支援する、又は家族に連絡する等のサービスを提供する。第2サーバ16は、自動車損害保険会社からの要請に応じてガードマンを実際に現地に派遣する警備会社等のサーバである。なお、自動車損害保険会社が自らガードマンを派遣する場合は、第2サーバ16は不要である。
【0017】
ドライブレコーダ10-1、10-2、…にはそれぞれ識別番号が割り当てられ、ドライブレコーダ10-1、10-2、…は第1サーバ14に信号を送信する際、信号に識別番号を付して送信する。第1サーバ14は、ドライブレコーダ10からの信号を受信した際、どのドライブレコーダ10から送信された信号であるかを識別番号に基づき認識する。
【0018】
ネットワーク12には、スマートフォン18-1、18-2、…等の通信機器も接続される。通信機器は、ドライバのスマートフォンや携帯電話、ドライバの家族や同僚のスマートフォンや固定電話、救急車を発動させる消防署等の組織の固定電話を含んでもよい。
【0019】
ドライブレコーダ10は映像を撮影するカメラと衝撃を検知するセンサを備え、衝撃を検知すると、衝撃検知信号と映像を第1サーバ14へ送信する。映像は衝撃検知の前後の所定期間の映像である。第1サーバ14は、検知信号を受信すると、映像を確認することを促す通知をオペレータに送る。オペレータは、この通知を受けると、映像を確認し、確認結果に基づいて、ドライバや同乗者の安否を確認する、又は第2サーバ16へガードマンの派遣を要請する等の対応をとる。安否確認は、例えばドライバのスマートフォン18に電話をかける、またはメッセージを送信することを含んでもよい。さらに、オペレータは、ドライバの家族や同僚のスマートフォンや固定電話に事故の連絡をしてもよいし、消防署等へ通報し、救急車の手配をしてもよい。このように、映像を確認することにより、第1サーバ14のオペレータは、事故の際にドライバを迅速にサポートすることができる。
【0020】
図2は、ドライブレコーダ10の設置方法の一例を示す。ドライブレコーダ10は、ビデオカメラのような外観形状であることが多い。ドライブレコーダ10は、運転席から見た前方の風景及び後方の風景を撮影し、映像データを記録するとともに、第1サーバ14に送信する。ドライブレコーダ10は、本体から突出したブラケット32を備える。ブラケット32は、両面テープ等の接着部材により自動車の運転席側のフロントガラス22の内側に貼り付けられる。後方の映像データの記録は省略可能である。ドライブレコーダ10は、例えば加速度センサやGPSセンサ等の自動車やドライバの状態を示すデータを出力するセンサを備え、これらのセンサの出力データも記録するとともに、第1サーバ14に送信する。
【0021】
図3(a)は自動車の前方から見たドライブレコーダ10の斜視図、図3(b)は右側の側面図である。以下、ドライブレコーダ10の左右は、自動車の前方から見た場合の左右である。ドライブレコーダ10の本体は、略円柱状の第1本体24と、略円柱状の第2本体26と、直方体状のブラケット32とを含む。第1本体24および第2本体26は、同じ直径を有する円筒筐体をそれぞれ有する。第2本体26は、ドライブレコーダ10の長手方向に沿った中心軸Cを中心として回転するように第1本体24に回動自在に取付けられている。つまり、第2本体26は、第1本体24が固定されている状態で中心軸Cを中心として回転可能である。
【0022】
第2本体26には、第2本体26の表面の一部を凹ませることによって形成された凹部40aが設けられる。凹部40a内には、マイク42aとアウトカメラのレンズ44aが配置される。凹部40aの反対側の第2本体26の表面にも、一部を凹ませることによって形成された凹部40b(図2に示す)が設けられる。凹部40b内には、図2に示すように、マイク42bとインカメラのレンズ44bが配置される。なお、インカメラは省略可能であり、アウトカメラのみでもよい。また、マイク42a、42bも省略可能である。
【0023】
凹部40aは、レンズ44aの厚み以上の深さを有していてもよいし、凹部40bは、レンズ44bの厚み以上の深さを有していてもよい。中心軸Cを中心に第2本体26を回転させることにより、第1本体24に対する第2本体26のアウトカメラのレンズ44aの相対位置を変化させることができる。これにより、アウトカメラの視野方向を調整することができる。インカメラの視野方向は運転席に向けられている。
【0024】
第2本体26の右側面には、カードスロット46、電源コネクタ48が配置されている。カードスロット46には、SDカード(登録商標)のようなメモリカードが挿入される。SDカードはフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを備え、ドライブレコーダ10によって撮影される映像データやドライブレコーダ10によって得られるドライバの状態に関するデータや自動車の走行に関するデータを保存するためのリムーバブルな不揮発性記憶メディアである。SDカードは無線LAN機能付きのSDカードであってもよい。
【0025】
電源コネクタ48は、図2に示すように、電源ケーブル28を介して自動車内の電源端子、例えばシガーソケット30に接続される。電源ケーブル28は電源コネクタ48に固定されていてもよいし、着脱可能でもよい。電源端子はシガーソケットに限らず、USB端子等でもよい。
【0026】
ブラケット32は、所定の厚みを有する箱状の部材であり、その底面は第1本体24に固定される。第1本体24の表面の一部に形成された平坦な装着部分にブラケット32の底面が接合されてもよい。ブラケット32の上面の平坦面は、両面テープ34を介してフロントガラス22に貼り付けられる。
【0027】
ブラケット32はある程度の厚みを有し、レンズ44aは第2本体26の凹部40aに配置されているので、ブラケット32がフロントガラス22に取付けられた時にレンズ44aがフロントガラス22に接することが防止される。ブラケット32をフロントガラス22に取付けるだけで、レンズ44aを撮影に好適なフロントガラス22近傍の位置に取付けることができる。
【0028】
ブラケット32には、GPSアンテナを内蔵、またはGPSアンテナとGPSセンサとを含むGPSモジュールを内蔵してもよい。ドライブレコーダ10の他のモジュールは、第1本体24又は第2本体26内に設けられる。ブラケット32の上面はフロントガラス22と接するので、ブラケット32にGPSアンテナを内蔵することにより、GPSアンテナをフロントガラス22に最も近い位置に配置し且つGPSアンテナの指向性の向きを自動的に最適化することができ、GPSアンテナの受信感度の向上に寄与することができる。ブラケット32内のGPSアンテナ(またはGPSモジュール)は、ケーブル36を介して、第1本体24の左側に接続される。
【0029】
図4は、ドライブレコーダ10のシステム構成の一例を示す。ドライブレコーダ10は、電源コネクタ48に接続される電源ケーブル28を介してシガーソケット30に接続される。電源コネクタ48は、DC/DCコンバータ102に接続される。シガーソケット30は、例えばDC24VまたはDC12Vの電圧を出力し、DC/DCコンバータ102は入力電圧をDC5V程度に降圧する。
【0030】
DC/DCコンバータ102の出力は、充電・電源切替回路104に入力される。充電・電源切替回路104には大容量のキャパシタ106が接続される。キャパシタ106の一例は、スーパーキャパシタとも称される電気二重層キャパシタを含んでもよい。充電・電源切替回路104は、DC/DCコンバータ102からDC5Vが供給されている期間は、システムコントローラ110を含む各種デバイスにDC5Vを供給するとともに、キャパシタ106を充電する。DC/DCコンバータ102からDC5Vが供給されていない期間は、充電・電源切替回路104は、キャパシタ106を放電させ、システムコントローラ110を含む各種デバイスに放電電流に応じた電圧を供給する。このため、事故が発生し、エンジンが破損するなどして、シガーソケット30からの電源供給が断たれても、ドライブレコーダ10は、キャパシタ106の放電電流を利用する電力により、暫くの期間動作することができる。暫くの期間は、終了処理に要する時間以上であるように設定されている。
【0031】
このように、キャパシタ106は、シガーソケット30からの電源が遮断された際の予備電源として動作する。予備電源は、キャパシタ108に限らず、乾電池や充電電池(リチウムイオンバッテリ等)等の電池を用いるバッテリパックや、光発電、熱電発電、振動発電、電磁波発電等の環境発電によるサブ電源を用いてもよい。
【0032】
システムコントローラ110はSoC(System on Chip)で構成される。SoCは、1つの半導体チップ上にCPUとドライブレコーダ10の制御に必要な機能を実現するハードウェアロジックが搭載されて構成される。システムコントローラ110には、主メモリ112、不揮発性メモリ114、DDR(Double Data Rate)のSDRAM(Synchronous DRAM)116、アウトカメラ122、インカメラ124、カードスロット46、マイク42a、マイク42b、加速度センサ132、ジャイロセンサ134、無線通信デバイス(4G/5Gデバイス)136、GPSセンサ138等が接続される。
【0033】
不揮発性メモリ114は、オペレーティングシステム(OS)152、運転状況記録プログラム154等を記憶する。不揮発性メモリ114は、例えばフラッシュメモリから構成してもよい。電源がオンされると、OS152、運転状況記録プログラム154等は主メモリ112にロードされる。システムコントローラ110は、主メモリ112にロードされたOS152、運転状況記録プログラム154等を実行することにより、運転状況記録処理を実行する。
【0034】
カードスロット46にはSDカード142が挿入可能である。運転状況を示す映像やセンサの出力データはSDカード142に記憶される。データを記憶するメディアはリムーバブルメディアに限らず、不揮発性メモリ114にデータを記憶してもよい。
【0035】
アウトカメラ122は、レンズ44aに入射された運転席前方の映像を撮影するイメージセンサ126を含む。インカメラ124は、レンズ44bに入射された映像を撮影するイメージセンサ128を含む。ドライバのみを撮影する場合と同乗者も含めた搭乗者全員を撮影する場合に対処できるように、インカメラ124の撮影画角は変更可能である。イメージセンサ126、128はCCD型、CMOS型のイメージセンサを利用してもよい。イメージセンサ126、128が撮影する映像は動画に限らず、静止画でもよい。動画に音声も併せて記録するためにマイク42a、22bが設けられていてもよい。音声も記録しておくと、事故が発生した場合、発生原因の解明に役立つことがあるし、ドライバの状況を判断することもできる。
【0036】
アウトカメラ122とインカメラ124は電源がオンの間、常時映像を撮影しており、アウトカメラ122、124から出力される映像データはSDRAM116に常時書き込まれる。SDRAM116の映像データは定期的に読み出され、SDカード142に書き込まれる。SDカード142へ書き込まれた映像データは、一定時間毎に映像ファイルとされる。
【0037】
加速度センサ132は、3軸の加速度データをシステムコントローラ110に入力する。システムコントローラ110は、加速度センサ132の出力データをSDRAM116に書き込むとともに、SDカード142にも書き込む。
【0038】
ジャイロセンサ134は、3軸の角速度データをシステムコントローラ110に入力する。システムコントローラ110は、ジャイロセンサ134の出力データをSDRAM116に書き込むとともに、SDカード142にも書き込む。
【0039】
GPSアンテナ144は、図示しないGPS衛星から送信されるGPS信号を受信する。GPSセンサ138は、GPSアンテナ144から取得される複数の人工衛星からの受信信号の受信タイミングや受信信号が受信された周波数に基づいて、位置データ、速度データ、移動方向データをシステムコントローラ110に入力する。システムコントローラ110は、GPSセンサ138の出力データをSDRAM116に書き込むとともに、SDカード142にも書き込む。
【0040】
システムコントローラ110は、衝撃検知時に、無線通信デバイス136により衝撃検知通知、映像データ及び運転状況データ等を、携帯電話回線を介して、第1サーバ14へ自動的に送信する。
【0041】
システムコントローラ110は、運転状況記録プログラム154の実行中に、アウトカメラ122、インカメラ124からの映像信号と、マイク42a、マイク42bからの映像、音声信号をSDRAM116に書き込み、さらにSDカード142に書き込む。システムコントローラ110は、運転状況記録プログラム154の実行中に、GPSセンサ138、加速度センサ132、ジャイロセンサ134の出力データもSDRAM116に書き込み、さらにSDカード142に書き込む。
【0042】
図5は、第1サーバ14の一例を示す。図4に示したドライブレコーダ10の一例では、CPUはシステムコントローラ110に含まれるが、図5は、CPU202とシステムコントローラ204が別体の例を示す。図4のドライブレコーダをCPUとシステムコントローラが別体の例に変更すること、又は図5のサーバドをCPUがシステムコントローラに含まれる例に変更することは可能である。システムコントローラ204には、CPU202、主メモリ206、ストレージ208、通信デバイス210、表示部214、キーボード216、スピーカ218等が接続される。
【0043】
ストレージ208は、OS222、運転支援プログラム224等を記憶するハードディスクやSSD(Solid State Drive)等の大容量の不揮発性記憶装置である。OS222、運転支援プログラム224は主メモリ206にロードされる。主メモリ206はDRAM等の高速の揮発性メモリである。システムコントローラ204は、主メモリ206にロードされたOS222、運転支援プログラム224を実行することにより、運転支援システムを実現する。
【0044】
通信デバイス212は、ネットワーク12を介してドライブレコーダ10、スマートフォン18等と通信する装置であり、有線通信デバイスにより実現してもよいし、無線通信デバイスにより実現してもよい。
【0045】
表示部214は、ドライブレコーダ10から送信された検知結果、映像や、後述するオペレータへの通知を表示する。スピーカ218は、ドライブレコーダ10から送信された検知結果やオペレータへの通知を合成音声として出力したり、通知音を発する。
【0046】
第1サーバ14の各構成要素は物理的に同じ場所に配置される必要はなく、離れた場所に配置され、ネットワークを介して接続されていてもよい。例えば、表示部214、キーボード216、スピーカ218がストレージ208等から離れた部屋にあってもよい。さらに、オペレータも表示部214、スピーカ218等から離れた場所に居る可能性がある場合は、オペレータへの通知を通信デバイス212を介してオペレータのスマートフォン等に送信してもよい。
【0047】
第2サーバ16も第1サーバ14と同様に構成される。
【0048】
実施形態の動作を説明する。
【0049】
図6は、ドライブレコーダ10の動作の一例を示すフローチャートである。ドライブレコーダ10は、電源ケーブル28を介してシガーソケット30から電源電圧が供給されるので、エンジンがスタートすると、ドライブレコーダ10も電源オンとなる。ドライブレコーダ10は、少なくともエンジンが動いている間は、電源オン状態である。ドライブレコーダ10の電源がオンすると、アウトカメラ122とインカメラ124が撮影を開始し、マイク24aと24bが音の収集を開始し、システムコントローラ110は、録画を開始する(S102)。
【0050】
録画中は、システムコントローラ110は、アウトカメラ122とインカメラ124で撮影された映像データ(マイク24aが実装されている場合は、マイク24aと24bで収集された音声データ)を連続的にSDRAM116に書き込む。SDRAM116は映像データと音声データに対して別々の記憶領域が設定されている。システムコントローラ110は、SDRAM116それぞれの記憶領域の空き領域をモニタし、空き領域が無くなると、最も過去に書き込まれた映像データ又は音声データを消去する。
【0051】
システムコントローラ110は、SDRAM116への書き込みと同時にSDRAM116から映像データ及び音声データを読み出し、所定サイズの映像データと音声データをエンコードして1つの映像ファイルを作成し、SDカード142に書き込む。これにより、電源がオフされても、映像ファイルがSDカードに保存される。所定サイズは例えば10分間分のデータである。システムコントローラ110は、SDカード142の空き領域もモニタし、空き領域が無くなると、最も過去に書き込まれた映像ファイルを消去する。
【0052】
システムコントローラ110は、録画中に限らず常時、充電・電源切替回路104の出力電圧である電源電圧と閾値電圧を比較する。システムコントローラ110は、電源電圧が閾値電圧以下となったことを検知すると、終了処理を開始する。説明の便宜上、図6の説明では、録画中には電源電圧が閾値電圧以下にならないと仮定する。
【0053】
さらに、システムコントローラ110は、録画中に限らず常時、加速度センサ132により測定される加速度を閾値としての第1加速度と比較する。加速度センサ132が3軸の加速度を測定する場合、システムコントローラ110は、3軸の加速度の少なくとも1つ又は複数の軸における加速度をベクトルで表現し、それらの合成ベクトルの大きさを第1加速度と比較する。
【0054】
加速度センサ132により測定される加速度が第1加速度以上である場合(S104の判定がYESの場合)、すなわち衝撃を検知した場合、システムコントローラ110は、無線通信デバイス136により衝撃検知信号を、携帯電話回線を介して、第1サーバ14へ送信する(S106)。速報性が要求されるので、衝撃検知信号は、出来るだけ少ない情報から構成され、例えば時刻データとセンサデータからなる。センサデータは、加速度センサ132から出力される加速度データ、ジャイロセンサ134から出力される角加速度データ、GPSセンサ138から出力される位置データ、速度データ等からなる。
【0055】
システムコントローラ110は、検知時刻の前後の一定期間の映像ファイル及び検知時刻の前後の一定期間のセンサデータを第1サーバ14へ送信することになっている。先ず、システムコントローラ110は、センサデータの送信を開始する。一方、システムコントローラ110は、検知時刻の前の一定期間の映像データと音声データをエンコードして映像ファイルとする。この映像ファイルとセンサデータの第1サーバ14への送信を開始する(S108)。映像ファイルとセンサデータの送信開始後、システムコントローラ110は、アウトカメラ122とインカメラ124で撮影された映像データ及びマイク24aと24bで収集された音声データの録画処理を実行し、検知時刻の後の一定期間の映像ファイルとセンサデータをSDカード142に書き込むとともに、第1サーバ14へ送信する。検知時刻の前後の一定期間は同じでもよいし、違っていてもよい。例えば、検知時刻の前の一定期間は10秒、検知時刻の後の一定期間は5秒間でもよい。
【0056】
センサデータは比較的短時間へ送信完了するが、映像ファイルの送信は時間が係る。しかも、衝撃検知後の映像ファイル、センサデータを送信するので、上記の例では、送信完了までの時間は、衝撃検知後少なくとも5分は必要である。映像データはファイル化してから送信するので、さらに時間が係る。事故が発生し、エンジンが破損し、電源電圧が0になった場合、映像ファイルの送信を継続していると、キャパシタ106の放電電流が0になり、終了処理を完了する前にドライブレコーダ10の動作が停止してしまう。この場合、映像ファイルが作成されず、SDカード142内の映像データと音声データが消えてしまう。
【0057】
これを防ぐために、システムコントローラ110は、衝撃検知後で映像ファイルの送信完了前(送信開始前も含む)に電源電圧が閾値電圧以下となったか否かを判定する(S112)。映像ファイルの送信完了前に電源電圧が閾値電圧以下となっていない場合(S112の判定がNOの場合)、システムコントローラ110は、映像ファイルとセンサデータは正常に送信されたと判断し、録画を継続する。
【0058】
電源電圧は変動することがあるので、S112の判定では、システムコントローラ110は、電源電圧が瞬間的に閾値電圧低下となっても電圧低下を検知しない。システムコントローラ110は、電源電圧が閾値電圧以下である状態が一定時間経過すると、電圧低下を検知する。なお、電源電圧が閾値電圧以下となる回数を所定期間に亘って計数し、所定期間の計数回数が一定回数以上の場合、電圧低下を検知するようにしても、誤検知は防止できる。
【0059】
システムコントローラ110は、映像ファイルの送信を完了する前に電源電圧が閾値電圧以下となった場合(S112の判定がYESの場合)、映像ファイルの第1サーバ14への送信を停止する(S114)。これにより、キャパシタ106の放電電流を終了処理のみに使用することができる。
【0060】
映像ファイルの送信を停止してしまうと、第1サーバ14のオペレータは映像を確認することができないので、運転支援システムのサービスを提供できなくなる。これを防止するために、映像ファイルの送信停止の原因を第1サーバ14へ通知するために、システムコントローラ110は、無線通信デバイス136により電圧低下検知信号を、携帯電話回線を介して、第1サーバ14へ送信する(S116)。電圧低下検知信号を第1サーバ14へ送信する理由は、第1サーバ14のオペレータへドライブレコーダ10の状況を伝えるためである。第1サーバ14のオペレータは、衝撃検知信号の受信後で映像ファイルの受信完了前に電圧低下検知信号を受信したということは、事故の発生によりエンジンが破損し、ドライブレコーダ10の電源がオフになり、映像ファイルが受信できない可能性が高いことを認識する。すなわち、S116で送信される電圧低下検知信号は、単に電源電圧が低下したことだけではなく、エンジン停止により電源電圧が低下したので映像を送れないことも意味する。
【0061】
その後、システムコントローラ110は、キャパシタ106の放電電流を利用する電力を用いて終了処理を実行する(S118)。終了処理では、システムコントローラ110は、SDRAM116内に映像データと音声データが残っていれば、その映像データと音声データを先ずSDカード142に書き込み、SDカード142内の映像データと音声データをエンコードし、映像ファイルを作り、映像ファイルをSDカード142に書き込む。
【0062】
これにより、衝撃検知後の映像ファイルの送信中又は送信開始前に電源電圧が低下した場合、映像ファイルの送信が停止されるので、キャパシタ106の放電電流を電圧低下検知信号の送信と終了処理に集中して利用することができ、これらの処理が実行できなくなる可能性が低くなる。
【0063】
図7は、第1サーバ14の処理の一例を示すフローチャートである。第1サーバ14は、ドライブレコーダ10から衝撃検知信号を受信すると、図7に示す処理を開始する。
【0064】
システムコントローラ204は、衝撃検知信号を受信すると、映像ファイルの受信待機中となる(S130)。なお、ドライブレコーダ10の電源がオンの場合、第1サーバ14は、自動車の位置をドライブレコーダ10のGPSデータにより求めることができる。しかし、ドライブレコーダ10の電源がオフの場合、GPSデータは第1サーバ14に送信されない。ドライブレコーダ10の電源がオフの場合、第1サーバ14が自動車の位置を求められるように、第1サーバ14は、常時、ドライバのスマートフォン18と連携し、スマートフォン18の位置データを取得する。ドライブレコーダ10の電源がオフの場合、第1サーバ14は、自動車の位置をこの位置データにより求める。
【0065】
衝撃検知信号を受信すると、システムコントローラ204は、衝撃検知信号から位置データを取り出し、衝撃検知位置は道路であるか否かを判定する(S132)。衝撃検知位置は道路ではない、例えば駐車場とか自宅の場合(S132の判定がNOの場合)、衝撃検知時に自動車は徐行していた可能性が高いので、システムコントローラ204は、今回受信した衝撃検知信号に対する処理を終了する。
【0066】
衝撃検知位置は道路である場合(S132の判定がYESの場合)、システムコントローラ204は、衝撃検知信号から速度データを取り出し、衝撃検知時の速度が閾値としての第1速度以上であるか否かを判定する(S134)。第1速度は自動車が走行中か否かを判定するためのものであり、例えば時速10Km程度である。S132の判定とS134の判定の実行順序はこの逆でもよい。
【0067】
衝撃検知時の速度が第1速度以上でない場合(S134の判定がNOの場合)、衝撃検知時に自動車は走行していなかった可能性が高いので、システムコントローラ204は、今回受信した衝撃検知信号に対する処理を終了する。
【0068】
速度が第1速度以上である場合(S134の判定がYESの場合)、システムコントローラ204は、映像ファイルの受信を完了したか否かを判定する(S136)。
【0069】
システムコントローラ204は、常時、電圧低下検知信号を受信待機している。映像ファイルの受信を完了していない場合(S136の判定がNOの場合)、システムコントローラ204は、電圧低下検知信号を受信したか否かを判定する(S138)。
【0070】
映像ファイルの受信完了の前に電圧低下検知信号を受信しない場合(S138の判定がNOの場合)、システムコントローラ204は、映像ファイルの受信を待機する(S130)。
【0071】
映像ファイルの受信完了の前に電圧低下検知信号を受信した場合(S138の判定がYESの場合)、システムコントローラ204は、衝撃検知信号からセンサデータ(加速度データ、角加速度データ、速度データ、位置データ)を取り出し、映像ファイル(受信していれば)とセンサデータを入力とする機械学習により、衝撃の原因はドライブレコーダ10の単なる落下か否かを判定する(S140)。
【0072】
衝撃の原因はドライブレコーダ10の単なる落下である場合(S140の判定がYESの場合)、システムコントローラ204は、事故は発生していなかったと判断し、今回受信した衝撃検知信号に対する処理を終了する。
【0073】
衝撃はドライブレコーダ10の単なる落下によるものではない場合(S140の判定がNOの場合)、システムコントローラ204は、ドライバのスマートフォンから取得した位置データに基づいて、自動車は走行中であるか否かを判定する(S142)。S140の判定とS142の実行順序はこの逆でもよい。
【0074】
自動車は走行中ではない場合(S142の判定がNOの場合)、システムコントローラ204は、今回受信した衝撃検知信号に対する処理を終了する。
【0075】
自動車は走行中である場合(S142の判定がYESの場合)、システムコントローラ204は、受信した衝撃検知信号から加速度データを取り出し、加速度が閾値としての第2加速度以上であるか否かを判定する(S146)。第2加速度は、ドライブレコーダ10で衝撃検知に使われた第1加速度より大きい。例えば第1加速度は単なる落下も検出できるように2G程度、第2加速度は事故を検出するように5G程度でもよい。すなわち、ドライブレコーダ10側の衝撃検知の閾値は低めにして検出ミスを防ぎ、第1サーバ14側で事故を判断するようにしている。
【0076】
加速度が第2加速度以上ではない場合(S146の判定がNOの場合)、事故ではない可能性が高いので、システムコントローラ204は、今回受信した衝撃検知信号に対する処理を終了する。
【0077】
加速度が第2加速度以上である場合(S146の判定がYESの場合)、システムコントローラ204は、映像ファイルの一部を受信しているか否かを判定する(S148)。映像ファイルの一部を受信している場合(S148の判定がYESの場合)、システムコントローラ204は、映像確認を促す通知をオペレータへ送信する(S152)。衝撃検知信号を受信した後、映像ファイルの一部を受信してから電圧低下検知信号を受信した場合、ドライバが車を路肩に停車し、エンジンをオフした可能性が高いと判断できる。そのため、システムコントローラ204は、安否確認ではなく、映像確認を促す。
【0078】
通知の送信は、例えば表示部214に通知を示す文字や図形を表示する、スピーカ218から通知を示す合成音声やサウンドを出す、図示しないランプを点灯させる、図示しないブザーを鳴らすこと等を含む。さらに、通知の送信は、オペレータのスマートフォン等に通知を送信することを含んでもよい。この後、システムコントローラ204は、今回受信した衝撃検知信号に対する処理を終了する。
【0079】
S146の判定で加速度が第2加速度以上である場合、事故が発生した可能性が高い。そのため、映像ファイルの一部でも受信している場合、オペレータは、S152で送信された通知に基づいて映像を確認することにより、事故の深刻度合いを的確に判断することができ、判断結果に応じて適切に対応することができる。
【0080】
映像確認のための映像表示は、第1サーバ14が受信した映像ファイルを表示部214に自動的に表示する、映像確認を促すメッセージが表示部214で表示される場合は、オペレータが確認したい映像ファイルを開くことにより表示する等を含んでもよい、
映像確認後のオペレータの対応例は、例えばドライバと通話する、警備会社の第2サーバ16にガードマンの派遣を要請する、救急車の出動を要請する、家族に連絡する等を含む。これらの要請、連絡は、オペレータが電話を掛けたり、テキストを入力することなく、ワンタッチのボタン/キー操作で自動的に実行してもよい。
【0081】
加速度が第2加速度以上であっても、映像ファイルを全く受信していない場合(S148の判定がNOの場合)、システムコントローラ204は、ドライバの安否確認を促す通知をオペレータへ送信する(S154)。通知の送信例は、映像確認を促す通知の場合と同様である。この後、システムコントローラ204は、今回受信した衝撃検知信号に対する処理を終了する。
【0082】
S146の判定で加速度が第2加速度以上である場合、事故が発生した可能性が高い。そのため、映像ファイルを全く受信していない場合、オペレータは、S154で送信された通知に基づいてドライバの安否を確認することにより、事故の深刻度合いを的確に判断することができ、判断結果に応じて適切に対応することができる。
【0083】
安否確認後のオペレータの対応例は、映像確認後のオペレータの対応例と同様である。
【0084】
加速度が第2加速度以上であるが、映像ファイルを全く受信していない場合、オペレータは映像を確認することが出来ない。従来のドライブレコーダは、衝撃検知信号の送信後に電源電圧が低下すると、終了処理をするだけであるので、第1サーバ1のオペレータは映像信号を待ち続ける。しかし、実施形態のドライブレコーダは、衝撃検知信号の送信後に電源電圧が低下した場合、電圧低下検知信号を第1サーバ14へ送信する。
【0085】
第1サーバ14は衝撃検知信号の受信後の映像ファイルの受信待機中に電圧低下検知信号を受信すると、事故によりエンジンが破損し、ドライブレコーダ10は電源がオフとなり、映像ファイルを送信できない可能性があることを認識し、ドライバの安否確認を促す通知をオペレータへ送信する。この通知を貰うことにより、オペレータは、映像ファイルの受信待機を中止し、ドライバに直接安否確認をすることができる。
【0086】
衝撃検知信号受信後、映像ファイルの受信を完了した場合(S136の判定がYESの場合)、システムコントローラ204は、受信した衝撃検知信号から加速度データを取り出し、加速度が第2加速度以上であるか否かを判定する(S156)。
【0087】
加速度が第2加速度以上ではない場合(S156の判定がNOの場合)、システムコントローラ204は、今回受信した衝撃検知信号に対する処理を終了する。
【0088】
加速度が第2加速度以上である場合(S156の判定がYESの場合)、映像ファイルの受信か完了しているので、システムコントローラ204は、映像の確認を促す通知をオペレータへ送信する(S152)。
【0089】
以上説明したように、第1実施形態においては、ドライブレコーダ10は、衝撃検知信号を第1サーバ14へ送信した後電源電圧の低下を検知した場合、第1サーバ14への映像ファイルの送信を停止し、電圧低下検知信号を第1サーバ14へ送信してから、終了処理を実行する。
【0090】
ドライブレコーダ10の動作が正常であれば、第1サーバ14は、衝撃検知信号の受信後に映像ファイルを受信する。しかし、第1サーバ14は、映像ファイルの受信完了前に電圧低下検知信号を受信した場合、電源電圧低下の原因は衝撃であり、事故が発生したと判断できる。この場合、第1サーバ14は、映像ファイルを一部受信していれば、映像確認を促す通知をオペレータへ送信し、映像ファイルを全く受信していなければ、ドライバの安否確認を促す通知をオペレータへ送信する。これにより、オペレータは状況に応じた対応を行うことができる。
【0091】
また、第1サーバ14は、衝撃検知信号受信後、映像ファイルの受信を完了するまでに電圧低下検知信号を受信しない場合、映像ファイルが受信できているので、映像確認を促す通知をオペレータへ送信する。これにより、第1サーバ14は、衝撃検知後に映像ファイルを受信できない原因を推定することができ、推定結果に応じた適切な対応をオペレータに指示することができる。
【0092】
図8は、従来例による運転支援システム(図8(a))と実施形態による運転支援システム(図8(b))を比較するための図である。
【0093】
図8(a)に示すように、従来例によれば、自動車の事故が発生した場合、加速度センサ132が衝撃を検知すると、ドライブレコーダ10から第1サーバ14に衝撃検知信号が通知される。ドライブレコーダ10の電源がオンであれば、その後ドライブレコーダ10から第1サーバ14に映像ファイルとセンサデータが送信される。しかし、事故によりエンジンが破損し、ドライブレコーダ10の電源がオフになると、映像ファイルとセンサデータは送信されない。
【0094】
第1サーバ14は、衝撃検知信号を受信すると、映像ファイルを受信完了したか否かを判定し続ける。第1サーバ14は、映像ファイルを受信完了したと判定すると、オペレータに受信完了を通知する。オペレータは、受信完了通知を受けると、映像を確認し、事故の深刻度合いを判断する。判断結果によっては、オペレータは、ドライバの安否確認を行う。
【0095】
しかし、事故によりエンジンが破損するなどして、ドライブレコーダ10の電源がオフとなると、映像ファイルの受信を完了しない。この場合、第1サーバ14は映像ファイルを受信完了したか否かを判定し続け、オペレータに受信完了を通知できず、オペレータの対応が遅れる又は不可となる。さらに、オペレータは、映像を確認できないので、事故の深刻度合いを判断できない。
【0096】
これに対して、図8(b)に示すように、実施形態によれば、自動車の事故が発生した場合、加速度センサ132が衝撃を検知すると、ドライブレコーダ10から第1サーバ14に衝撃検知が通知される。その後、電源電圧の低下が検知されると、ドライブレコーダ10から第1サーバ14に電圧低下検知も通知される。ドライブレコーダ10の電源がオンであれば、従来例と同様に、その後、ドライブレコーダ10から第1サーバ14に映像ファイルとセンサデータが送信される。しかし、事故によりドライブレコーダ10の電源がオフになると、映像ファイルとセンサデータは送信されないが、電圧低下検知は通知される。
【0097】
第1サーバ14は、衝撃検知信号と電圧低下検知信号の受信タイミングに基づき、電圧低下の原因を判断し、映像ファイルを受信完了しない場合でも、判断結果と映像ファイルの受信状況に応じた対応を促す通知をオペレータへ送信する。そのため、オペレータは映像ファイルの受信完了を待たずに、通知の内容に応じて、映像の確認又はドライバの安否確認を行う。これにより、事故によりドライブレコーダ10の電源がオフし、映像ファイルが送信されて来ない場合でも、オペレータは迅速にかつ適切に対応することができる。
【0098】
また、ドライブレコーダ10(自動車)が無線通信の圏内から圏外に移動すると、電源が正常であっても、通信ができなくなる。例えば、衝撃発生時は衝撃検知信号は第1サーバ14に送信できたが、その後圏外になると、映像ファイルとセンサデータが第1サーバ14に送信できない。さらに、事故が発生した時、ドライバが車を安全な場所に駐車してエンジンを切ることがある。これらの場合も、映像ファイルとセンサデータは第1サーバ14に送信されない。これらの場合を識別するために、第1サーバ14は、図7の動作において、衝撃検知してから一定時間経過しても電圧低下検知信号も映像ファイルも受信しないことを検知すると、その検知結果に応じた通知をオペレータに送信してもよい。
【0099】
図7に示す第1サーバ14の動作における衝撃検知の例外処理は、ドライブレコーダ10の処理としてもよい。すなわち、図7のS132の道路判定、S134の速度判定、S140の落下判定、S142の走行判定は、図6のS104とS106の間で実行してもよい。
【0100】
上述の説明は、事故の衝撃によりエンジンが破損し、その後電源電圧が低下する場合について説明したが、事故の発生と電源電圧の低下がほぼ同時に起こる場合もある。また、玉突き事故等のように、事故により電源電圧が低下した後、衝撃が再度検知されることがある。このように、電圧低下検知と衝撃検知のタイミングが第1実施形態と入れ替わる場合も考えられる。
【0101】
図9は、電圧低下検知後に衝撃が検知される場合のドライブレコーダ10の動作の一例を示すフローチャートである。ドライブレコーダ10は、電源がオンすると、アウトカメラ122とインカメラ124が撮影を開始し、マイク24aと24bが音の収集を開始し、システムコントローラ110は、録画を開始する(S202)。
【0102】
録画中は、第1実施形態と同様に、S102と同様に、システムコントローラ110は、映像データ及び音声データを連続的にSDRAM116に書き込む。システムコントローラ110は、SDRAM116への書き込みと同時にSDRAM116から映像データ及び音声データを読み出し、読み出した映像データ及び音声データをSDカード142に書き込む。システムコントローラ110は、SDカード142に所定サイズの映像データ及び音声データが書き込まれると、所定サイズの映像データと音声データをエンコードして1つの映像ファイルを作成し、映像ファイルをSDカード142に書き込む。
【0103】
システムコントローラ110は、録画中に限らず常時、充電・電源切替回路104の出力電圧である電源電圧と閾値電圧を比較する(S204)。電源電圧が閾値電圧以下である場合(S204の判定がYESの場合)、システムコントローラ110は、無線通信デバイス136により電圧低下検知信号を携帯電話回線を介して第1サーバ14へ送信する(S206)。
【0104】
システムコントローラ110は、電圧低下検知から一定期間内に加速度センサ132が測定した加速度(3軸の加速度の少なくとも1つ又は複数の軸における加速度の合成ベクトルの大きさなど)が閾値である第1加速度以上であることを検知したか否かを判定する(S212)。システムコントローラ110は、電圧低下検知から一定期間内に加速度が第1加速度以上であることを検知しないと判定した場合(S212の判定がNOの場合)、終了処理を実行する(S218)。
【0105】
システムコントローラ110は、電圧低下検知から一定期間内に加速度が第1加速度以上であることを検知したと判定した場合(S212の判定がYESの場合)、無線通信デバイス136により衝撃検知信号を、携帯電話回線を介して第1サーバ14へ送信する(S216)。システムコントローラ110は、キャパシタ106の放電電流を利用する電力により、終了処理を実行する(S218)。
【0106】
図10は、図9のような事故を識別できる動作を検出できる第1サーバ14の処理の一例を示すフローチャートである。図10のフローチャートは、図7に示すフローチャートのS138の判定のみ異なり、他の処理は図7に示すフローチャートと同じである。
【0107】
S136の判定がNOの場合、図7ではシステムコントローラ204は、電圧低下検知信号を受信したか否かを判定したが(S138)、図10では、システムコントローラ204は、衝撃検知前後の一定期間に電圧低下検知信号を受信したか否かを判定する(S138A)。衝撃検知前後の一定期間に電圧低下検知信号を受信しない場合(S138Aの判定がNOの場合)、システムコントローラ204は、映像ファイルの受信を待機する(S130)。衝撃検知前後の一定期間に電圧低下検知信号を受信した場合(S138AのYESの場合)、システムコントローラ204は、S140の判定を行う。衝撃検知前の一定期間と衝撃検知後の一定期間は同じでも、異なっていてもよい。例えば、衝撃検知前の一定期間は数秒であり、衝撃検知後の一定期間は数ミリ秒でもよい。
【0108】
第1サーバ14は、S138Aの判定によっても、事故が発生したことを推定し、衝撃検知信号が含む加速度のレベルに応じて、オペレータに適切な対応を促すことができる。
【0109】
なお、本発明は上記の各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0110】
10…ドライブレコーダ、12…ネットワーク、14…第1サーバ、28…電源ケーブル、30…シガーソケット、106…キャパシタ、124…アウトカメラ、132…加速度センサ、142…SDカード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10