(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】撮像装置、コンピュータプログラムおよび記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04N 23/66 20230101AFI20240520BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20240520BHJP
H04N 23/695 20230101ALI20240520BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240520BHJP
【FI】
H04N23/66
H04N5/222 100
H04N23/695
G03B15/00 S
(21)【出願番号】P 2020030523
(22)【出願日】2020-02-26
【審査請求日】2023-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】糟谷 文月
【審査官】村山 絢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-022052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/00
H04N 23/40-23/76
H04N 23/90-23/959
H04N 5/222-5/257
H04N 7/18
G03B 15/00-15/035
G03B 15/06-15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影範囲を変更するための駆動部をそれぞれ少なくとも一つ有する第1の撮像部および第2の撮像部と、
前記第1の撮像部と前記第2の撮像部の少なくとも一方の、少なくとも一つの駆動部の動作を無効化するための無効化指示と、前記無効化指示による無効化を解除するための解除指示を、外部装置より受信する受信部と、
前記無効化指示によって無効化されている前記駆動部に対して、前記解除指示によって前記無効化を解除するまでは、前記外部装置によって駆動が指示されても前記駆動部の駆動を行わないように制御する制御部と、を有
し、
前記受信部は、選択された撮像部の選択された駆動部を個別に無効化する動作と、前記選択された撮像部の複数の駆動部を一括して無効化する動作のいずれかの前記無効化指示を受信することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
撮影範囲を変更するための駆動部をそれぞれ少なくとも一つ有する第1の撮像部および第2の撮像部と、
前記第1の撮像部と前記第2の撮像部の少なくとも一方の、少なくとも一つの駆動部の動作を無効化するための無効化指示と、前記無効化指示による無効化を解除するための解除指示を、外部装置より受信する受信部と、
前記無効化指示によって無効化されている前記駆動部に対して、前記解除指示によって前記無効化を解除するまでは、前記外部装置によって駆動が指示されても前記駆動部の駆動を行わないように制御する制御部と、を有
し、
前記受信部は、所定の駆動部について、選択された1つの撮像部ごとに無効化する動作と、前記複数の撮像部を一括して無効化する動作のいずれかの前記無効化指示を受信することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
撮影範囲を変更するための駆動部をそれぞれ少なくとも一つ有する第1の撮像部および第2の撮像部と、
前記第1の撮像部と前記第2の撮像部の少なくとも一方の、少なくとも一つの駆動部の動作を無効化するための無効化指示と、前記無効化指示による無効化を解除するための解除指示を、外部装置より受信する受信部と、
前記無効化指示によって無効化されている前記駆動部に対して、前記解除指示によって前記無効化を解除するまでは、前記外部装置によって駆動が指示されても前記駆動部の駆動を行わないように制御する制御部と、を有
し、
前記第1の撮像部および前記第2の撮像部とで、所定の駆動部による駆動範囲に重複範囲がある場合に、前記第2の撮像部の前記所定の駆動部が前記無効化指示によって無効化されている場合に、前記第1の撮像部の前記所定の駆動部による前記駆動範囲を制限することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
撮影範囲を変更するための駆動部をそれぞれ少なくとも一つ有する第1の撮像部および第2の撮像部と、
前記第1の撮像部と前記第2の撮像部の少なくとも一方の、少なくとも一つの駆動部の動作を無効化するための無効化指示と、前記無効化指示による無効化を解除するための解除指示を、外部装置より受信する受信部と、
前記無効化指示によって無効化されている前記駆動部に対して、前記解除指示によって前記無効化を解除するまでは、前記外部装置によって駆動が指示されても前記駆動部の駆動を行わないように制御する制御部と、を有
し、
前記第1の撮像部および前記第2の撮像部とで、所定の駆動部による駆動範囲が重複範囲を有する場合に、前記重複範囲において、前記第1の撮像部の前記所定の駆動部による駆動に伴って前記第2の撮像部の前記所定の駆動部を連動して駆動することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
撮影範囲を変更するための駆動部をそれぞれ少なくとも一つ有する第1の撮像部および第2の撮像部と、
前記第1の撮像部と前記第2の撮像部の少なくとも一方の、少なくとも一つの駆動部の動作を無効化するための無効化指示と、前記無効化指示による無効化を解除するための解除指示を、外部装置より受信する受信部と、
前記無効化指示によって無効化されている前記駆動部に対して、前記解除指示によって前記無効化を解除するまでは、前記外部装置によって駆動が指示されても前記駆動部の駆動を行わないように制御する制御部と、を有
し、
前記無効化指示によって無効化されている前記駆動部に対して、前記解除指示によって前記無効化を解除するまでは、前記外部装置によって複数の駆動部を同時に駆動するように指示しても前記無効化された駆動部の駆動だけを行わないようにすることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
撮影範囲を変更するための駆動部をそれぞれ少なくとも一つ有する第1の撮像部および第2の撮像部と、
前記第1の撮像部と前記第2の撮像部の少なくとも一方の、少なくとも一つの駆動部の動作を無効化するための無効化指示と、前記無効化指示による無効化を解除するための解除指示を、外部装置より受信する受信部と、
前記無効化指示によって無効化されている前記駆動部に対して、前記解除指示によって前記無効化を解除するまでは、前記外部装置によって駆動が指示されても前記駆動部の駆動を行わないように制御する制御部と、を有
し、
前記無効化指示によって無効化されている前記駆動部に対して、前記解除指示によって前記無効化を解除するまでは、前記外部装置によって前記無効化された駆動部を含む複数の駆動部を同時に駆動するように指示した場合に、前記無効化された駆動部を含む前記複数の駆動部の駆動を行わないようにすることを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか1項に記載の撮像装置と接続されている前記外部装置であって、
前記無効化指示によって無効化されている前記駆動部に対して、前記解除指示によって前記無効化を解除するまで、前記無効化された駆動部について、無効化されていることを通知する通知手段を有することを特徴とする外部装置。
【請求項8】
請求項1~
6のいずれか1項に記載の前記撮像装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項9】
請求項
8に記載のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータで読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の撮像部を有する撮像装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数のカメラを並べて配置した多方向カメラユニット(以下、多眼カメラ)が提案されている。多眼カメラでは、単一のカメラを使用した場合よりも広範囲を同時に撮影することができ、監視等における自由度を高めることができる。
【0003】
例えば、特許文献1では、前後左右にカメラを搭載し、いずれか1方向から4方向のカメラを選択的に作動させることで最大で4方向の同時撮影が可能な多方向カメラが提案されている。
【0004】
また、撮像装置の設置後に、ユーザーが監視する方向を変更したい場合などに使用される撮像装置として、所謂PTZ(パン・チルト・ズーム)機と呼ばれる、撮像装置の撮影方向を制御可能な撮像装置が提案されている。さらには、撮像装置の撮影方向の制御を外部装置のユーザーインターフェース上で遠隔に行うことができる撮像装置も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示す撮像装置では、各々のカメラの位置が固定されている。それに対し、各々のカメラの撮影方向を制御する機構と、前記機構を制御するためのユーザーインターフェースを追加することで、ユーザーが監視したい場所をユーザー端末のユーザーインターフェース上で容易に変更することができる。
【0007】
しかしながら、ユーザーインターフェース上で画角の変更が容易に行える撮像装置では、一度定めた画角がユーザーインターフェース上での誤操作によってずれてしまう場合がある。また、多眼カメラでは、複数カメラの画角変更がそれぞれ独立してできるために、一度設置したカメラの画角を誤操作してしまう可能性はさらに高くなる。
そこで、本発明は、所定の撮像部に対して一旦設定した撮影範囲が他の撮像部への操作の際に誤って操作されにくくした撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の1側面に係る撮像装置は、
撮影範囲を変更するための駆動部をそれぞれ少なくとも一つ有する第1の撮像部および第2の撮像部と、
前記第1の撮像部と前記第2の撮像部の少なくとも一方の、少なくとも一つの駆動部の動作を無効化するための無効化指示と、前記無効化指示による無効化を解除するための解除指示を、外部装置より受信する受信部と、
前記無効化指示によって無効化されている前記駆動部に対して、前記解除指示によって前記無効化を解除するまでは、前記外部装置によって駆動が指示されても前記駆動部の駆動を行わないように制御する制御部と、を有し、
前記受信部は、選択された撮像部の選択された駆動部を個別に無効化する動作と、前記選択された撮像部の複数の駆動部を一括して無効化する動作のいずれかの前記無効化指示を受信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、所定の撮像部に対して一旦設定した撮影範囲が他の撮像部への操作の際に誤って操作されにくくした撮像装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】実施例1のユーザーインターフェースと撮像装置の関係を説明する図である。
【
図4】実施例1の撮像装置における撮影方向の変更を説明する図である。
【
図5】実施例1の撮像装置における撮像部の固定方法を説明する図である。
【
図8】実施例1の撮像装置の無効化に関する動作フローを示すフローチャートである。
【
図9】実施例2の撮像装置における2軸同時駆動について説明する図である。
【
図10】実施例3の撮像装置におけるユーザーインターフェースを説明する図である。
【
図11】実施例4の撮像装置におけるユーザーインターフェースを説明する図である。
【
図12】実施例5の撮像装置における実施例5のユーザーインターフェースと撮影方向について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について実施例を用いて説明する。なお、各図において、同一の部材ないし要素については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略ないし簡略化する。
また、実施例においては、撮像装置としてネットワークカメラに適用した例について説明する。しかし、撮像装置は複数の撮像部を有するデジタルスチルカメラ、デジタルムービーカメラ、カメラ付きのスマートフォン、カメラ付きのタブレットコンピュータ、車載カメラなど撮像機能を有する電子機器等を含む。
【実施例1】
【0012】
実施例1における撮像装置100、およびそれを用いた監視システムを
図1および
図2に示す。
図1は撮像装置100を上側(+Z軸側)から見た配置図、
図2は実施例1の撮像装置のブロック図である。撮像装置100は、第1の撮像部110および第2の撮像部120、第1の駆動機構111、第2の駆動機構121、制御部130、転送部140を備えている。制御部130にはコンピュータとしてのCPUが内蔵されており、メモリに記憶されたコンピュータプログラムに基づき装置全体の各種動作を実行する制御手段として機能する。
【0013】
第1の駆動機構111、第2の駆動機構121は、各々、第1の撮像部110、第2の撮像部120の撮影方向(撮影範囲)を、同じ平面内(XY平面内)で制御できるようになっている。具体的には、第1の駆動機構111、第2の駆動機構121はモーターとギアを備え、モーターを駆動する電力を制御することで、第1の撮像部110、第2の撮像部120を、軸101を中心に回転可能な構成となっている。
【0014】
モーターを駆動する電力は、制御部130によって制御されている。即ち、撮像装置100は、第1の撮像部110、第2の撮像部120の内、少なくとも一方の撮影方向(撮影範囲)を制御可能な駆動機構を備えている。なお、撮影範囲を変更するための機構として、パン機構やチルト機構の他にズーム機構を有していても良い。
このように、第1の撮像部110および第2の撮像部120はそれぞれ撮影範囲を変更するための駆動部をそれぞれ少なくとも一つ有する。
【0015】
第1の撮像部110、第2の撮像部120は、各々、結像光学系112、122、CMOSイメージセンサ等の固体撮像素子113、123を有している。また、結像光学系112、122を介して被写体像を固体撮像素子113、123上にそれぞれ結像させることで、画像を取得している。各々の固体撮像素子113、123の駆動と信号読み出しは、制御部130によって制御されており、読み出された信号は転送部140に送られる。
【0016】
転送部140は、固体撮像素子113、123から読み出された第1の画像114および第2の画像124を、制御部130を介し受け取り、有線又は無線などのネットワークを介して接続されたクライアント装置(外部装置)に転送する。
外部装置は、撮像装置100を制御するコマンドを、ネットワークを介して転送部140に送信し、それを受信して、撮像装置100は、コマンドに対する動作を実行すると共に、コマンドに対するレスポンスをクライアント装置に送信する。
【0017】
クライアント装置は例えばPCなどの外部装置であり、コンピュータとしてのCPUが内蔵されている。外部装置のCPUはメモリに記憶されたコンピュータプログラムに基づき外部装置全体の各種動作を実行する制御手段として機能する。また、外部装置のCPUはユーザーが撮影範囲を指定するためのユーザーインターフェース150を前記コンピュータプログラムに基づき不図示の表示部に表示させるように構成されている。
【0018】
本実施例の撮像装置100では、ユーザーが表示部の画面上に表示されたユーザーインターフェース150を介して、駆動部の制御を行うことで、第1の撮像部110、第2の撮像部120の撮影方向や撮影範囲を、変更および固定することができる。
ネットワークは、有線LAN、無線LAN等により構成されている。また、ネットワークを介して撮像装置100に電源を供給する構成となっていても良い。
【0019】
本実施例に示す撮像装置100は、ユーザーインターフェース150上でのユーザーからの無効化指示を受信し、駆動部としての第1の駆動機構111、第2の駆動機構121の内、少なくとも一方の動作を固定(無効化)することができる。具体的には、ユーザーにより所定の駆動機構を固定(駆動を無効化)する無効化指示があった場合には、ユーザーから新たに前記固定(無効化)を解除する解除指示があるまで、当該駆動機構(モーター)への電力供給を行わない。
【0020】
従って、外部装置によって駆動が指示されても駆動部の駆動を行わない。このとき、転送部140は第1の撮像部と第2の撮像部の少なくとも一方の、少なくとも一つの駆動部の動作を無効化するための無効化指示を外部装置より受信する受信部として機能している。また、転送部140は無効化指示による無効化を解除するための解除指示を、外部装置より受信する受信部としても機能している。
【0021】
これにより、ユーザーによってユーザーインターフェース150上で、固定されている駆動機構に対して駆動させるような誤操作がなされた場合でも、当該駆動部は駆動制御がされずに固定されたままとなる。
図3~8を参照して、駆動機構の駆動および固定について説明する。
【0022】
図3は外部装置のユーザーインターフェースと撮像装置の関係を説明する図である。
図3(A)はユーザーインターフェース150の例を示す図であり、
図3(B)は、第1の撮像部110および第2の撮像部120の撮影方向の関係を示す図である。
【0023】
図3(B)は、ユーザーが撮影方向の変更や撮像部の固定を指示する前の、デフォルトの初期状態の撮影方向を示している。
図3(A)では、ユーザーインターフェース150に、第1の撮像部110から得られる第1の画像114と第2の撮像部120から得られる第2の画像124がそれぞれ表示されている。
【0024】
また、ユーザーが各撮像部の撮影方向を変更するための制御ボタン151、撮像部ごとに撮像部固定などの詳細設定を行うための選択ボタン152、および現在の表示内容を示すタブ153がそれぞれ表示されている。
図3(A)においては、タブ153によって、現在の表示内容がライブビュー中であることが示されている。
【0025】
ここで、
図4(A)、(B)を参照して、ユーザーが第1の撮像部110の撮影方向を変更する手段について説明する。
図4は実施例1の撮像装置における撮影方向変更手段を説明する図である。
ユーザーが撮影方向の変更を行いたい場合、ユーザーインターフェース150上でまず、撮影方向を変更したい撮像部から得られる画像をマウスや画面タッチなどの入力装置を用いて選択する。ここでは、ユーザーによって第1の画像114が選択される。
【0026】
次に、ユーザーは制御ボタン151の黒矢印を押下することで、選択した画像の方向すなわち撮像部の撮影方向(撮影範囲)を変更できる。このとき制御ボタン151の黒矢印は、表示されている画像の方向に対応しており、例えば
図4(A)のように左向き矢印を押下すれば、
図4(B)に示すように、第1の撮像部110は軸101を中心に左へ回転する。第1の撮像部110の向きと表示画像の向きは対応しているので、表示されている画像の範囲は左にシフトされる。
【0027】
次に、
図5~
図8を参照して、ユーザーが第1の撮像部110の撮影方向を固定する手段について説明する。
図5は実施例1の撮像装置における撮像部固定方法を説明する図であり、
図6は
図5の続きを説明する図であり、
図7は
図6の続きを説明する図である。また、
図8は撮像装置100の無効化に関する動作フローを示すフローチャートであり、制御部130がコンピュータプログラムに基づき動作するフローを示している。
【0028】
ユーザーが撮像部の撮影方向を固定する場合、まず、
図5において、選択ボタン152より撮影方向を固定したい撮像部を選択する。
この実施例では、選択ボタン152のCamera1が第1の撮像部110に、Camera2が第2の撮像部120に対応している。
【0029】
選択ボタン152によってCamera1が選択されると、
図6に示すように、ユーザーインターフェース150上の表示がCamera1の設定画面へ移行する。
なおこの時、撮像装置100の制御部130は、
図8のステップS801で撮像部の選択指示を受信したかを判別しており、YesであればステップS802に進み、NoであればステップS801に戻り待機する。
【0030】
設定画面上には、撮像部の撮影方向の固定(無効化)、または固定(無効化)の解除を行う固定制御ボタン154(Lockボタン、Unlockボタン)が表示されている。この場合、ユーザーが固定制御ボタン154のうちLockボタンを押下することで第1の撮像部110の撮影方向が固定される。ここで、Lockボタンは撮影範囲の変更をするための駆動を無効化する無効化手段として機能している。
【0031】
なおこの時、撮像装置100の制御部130は、
図8のステップS802で選択された撮像部の制御が無効化中か否かを判別し、Yes(無効化中)であればステップS803に進み、NoであればステップS805に進む。また、ステップS803において、無効化解除指示を受信したか否かを判別し、YesであればステップS804に進み、NoであればステップS801に戻る。
【0032】
ユーザーが固定制御ボタン154のうちUnlockボタンを押下することで、撮影範囲の変更をするための駆動の無効化が解除される。ここで、Unlockボタンは無効化手段による無効化を解除するための解除手段として機能している。このとき、撮像装置100の制御部130は、
図8のステップS803において、無効化解除指示を受信したと判別しステップS804に進み、ステップS804で撮像部の制御の無効化を解除し、ステップS801に戻る。
【0033】
なお、撮像部の撮影方向の固定後は、ユーザーインターフェース150上のタブ153上でLiveViewをクリックすることによって、
図6に示す詳細設定画面から
図7の表示画面に移行する。
図7は
図6の続きの動作を説明するための図である。
図7では、ユーザーインターフェース150のLiveView表示画面上で、撮影方向を固定した第1の撮像部110から得られる第1の画像114が選択されている。
【0034】
このとき、第1の画像114の表示枠が第2の画像124の表示枠とは異なるように表示される。この実施例では第1の画像114の表示枠が第2の画像124の表示枠より太く表示される。また、このとき、制御ボタン151の内、固定(無効化)されている水平方向の制御ボタン151はグレーアウトされる。これにより、ユーザーはユーザーインターフェース150上で第1の撮像部110の撮影方向が固定されていることを認識できる。
【0035】
ここで、グレーアウトされた制御ボタン151は、無効化指示によって無効化された駆動部に対して、解除指示によって無効化を解除するまで、無効化されていることを通知する通知手段としても機能している。
このように、無効化されている駆動部に対して、解除手段によって無効化を解除するまでは、仮に、グレーアウトされた制御ボタン151をクリックして駆動を指示しても、無効化された駆動部の駆動は実行されない。
【0036】
なお、固定された撮像部について、固定されていることをユーザーに通知する手段として、実施例では制御ボタン151における当該方向の矢印をグレーアウトしているが、「水平方向固定中」のような表示をしても良い。あるいは、音による通知や当該方向の矢印やメニューを表示しないなどの手段でもよい。
【0037】
以上により、ユーザーは撮像装置100に対して、撮影部毎に撮影方向の変更および固定をユーザーインターフェース150上で行うことができ、且つ、撮影方向の固定されている撮像部と撮影方向の変更可能な撮像部を容易に識別することが可能となる。
ここで、前述した第1の撮像部110の撮影方向変更を行った後に、第2の撮像部120の撮影方向を変更する場合を考える。その場合、変更するための方法は第1の撮像部110の撮影方向変更時と同様であるが、ユーザーインターフェース150上において選択する画像は第2の画像124となる。
【0038】
しかし、その際、例えばユーザーが誤って第1の画像114が選択された状態で、第1の撮像部110の撮影方向が固定されていなかった場合には、制御ボタン151を押下した時点で、一旦設定した第1の撮像部110の撮影方向が変更されてしまう。しかし、本実施例では、第1の撮像部110の撮影方向に対して前述した固定がなされているので、第1の画像114を選択されている状態で制御ボタン151を誤って押下しても、第1の駆動機構111への電力供給は行われない。従って、第1の撮像部110の撮影方向は固定されたままとなる。
【0039】
このように本実施例では、撮影方向を一旦設定した第1の撮像部110の画角が誤操作によってずれてしまうリスクを軽減できる。
なお、撮影方向を固定した第1の撮像部110に対して、ユーザーが意図的に撮影方向の変更を行いたい場合には、第1の撮像部110の詳細設定画面において固定制御ボタン154のUnlockを押下することで固定が解除され、撮影方向の変更が可能となる。
【0040】
即ち、
図8のステップS803において、無効化解除指示を受信したと判別しステップS804に進み、ステップS804では撮像部の制御の無効化を解除し、ステップS801に戻る。
なお、
図8のステップS802でNoだった場合(無効化中でない場合)にはステップS805に進み、無効化指示を受信したか否かを判別し、Yes(無効化指示を受信)の場合はステップS806に進み、NoであればステップS801に戻る。
ステップS806では撮像部の制御を無効化し、その後、ステップS801に戻る。
【実施例2】
【0041】
次に、
図9を参照して、2軸の回転方向に関して、1つの軸が固定、もう一方の軸が固定されていない場合の動作について説明する。
図9は実施例2の撮像装置における2軸同時駆動について説明する図である。
実施例1では、撮像装置100が水平方向(パン方向)のみ回転できる場合を示したが、
図9では、撮像装置100が水平方向の回転および垂直方向(チルト方向)の回転ができる場合を示している。
【0042】
図9の制御ボタン151において、右方向および左方向の矢印は水平回転を、上方向および下方向の矢印は垂直回転を指示する制御ボタンを示している。さらに、斜め方向の矢印は水平回転および垂直回転の同時駆動を指示する制御ボタンである。
【0043】
ここで、
図7で示したような水平回転の駆動が固定されている状態で、
図9に示すような左上斜め方向の矢印の制御ボタンが押されて水平回転および垂直回転の同時駆動指示がなされた場合について説明する。この場合、既に水平方向の駆動機構が固定されているため、撮像装置100は垂直方向についてのみ駆動される。
【0044】
また、仮に垂直方向のみが固定されている場合には、水平方向についてのみ駆動される。このように駆動方向ごとに固定が可能である。これはすなわち、ユーザーが撮像部毎に任意の撮影方向だけを固定することが可能であることを示している。
このように、無効化指示によって無効化されている駆動部に対して、解除指示によって無効化を解除するまでは、外部装置によって複数の駆動部を同時に駆動するように指示しても無効化された駆動部の駆動だけを行わないようにしている。
【0045】
このとき、ユーザーは2軸の駆動部に同時に駆動指示を出しているにもかかわらず、一方の駆動部が駆動しないために指示通りの動作をしていないことに違和感を覚える可能性がある。従って、このような場合には「水平方向固定中」のように固定されている撮影方向についてユーザーに通知することで、ユーザーが指示通りに動作しないことが、固定設定によるものであると認識できるようにすることが望ましい。
なお、水平回転もしくは垂直回転の一方が固定されている場合に、水平回転および垂直回転の両方を固定するようにしてもよい。
【0046】
即ち、無効化指示によって無効化されている駆動部に対して、解除指示によって無効化を解除するまでは、無効化された駆動部を含む複数の駆動部を同時に駆動するように指示しても無効化された駆動部を含む複数の駆動部の駆動を行わないようにしても良い。
これにより、ユーザーが一方だけの駆動部が固定されていることによる動作に違和感を覚えにくくなる。
【実施例3】
【0047】
次に、
図10は
図9に対して撮影範囲を変更するための1手段としてズーム機能が追加された、実施例3の撮像装置におけるユーザーインターフェースを説明する図である。撮像装置100にズーム機能が搭載されている場合には、
図10に示すように、ユーザーインターフェースにおいて、制御ボタン151の例えば下にズームを指示するためのボタンやバー156を表示する。
【0048】
このとき、ズームの駆動機構についても固定を可能にすることによって、ユーザーの誤操作を抑制することができる。ズーム機能に関しても、水平回転や垂直回転と同様に扱うことができる。
なお、
図10において、ズームを指示するためのバー156は、白丸部をドラッグすることでズーム倍率を変更可能である。但し、ズームを指示するための手段は、このような制御ボタンに限らず、倍率を数値で指定するなどの手段でもよい。
【実施例4】
【0049】
次に
図11は、実施例4の撮像装置の、設定画面におけるユーザーインターフェースを説明する図である。実施例4の撮像装置においては、
図10と同様、水平回転の駆動機構、垂直回転の駆動機構、ズームの駆動機構を有する。更に
図11に示される設定画面において、155のプルダウンメニューで、一部の駆動機構または複数(全部)の駆動機構を指定することができ、指定された駆動機構に対して更に固定制御ボタン154によって固定または固定の解除ができるようになっている。
【0050】
155のプルダウンメニューにおいて、水平回転の駆動機構がPAN、垂直回転の駆動機構がTILT、ズームの駆動機構がZOOMに対応している。さらに全ての駆動機構に対応するALLにより、同時に全ての駆動機構を選択することが可能となる。なお、全ての駆動機構でなくても、複数の駆動機構を同時に選択できるようにしても良い。
【0051】
155のプルダウンメニューにおいて、駆動機構を選択したうえで、固定制御ボタン154によって、予め指定した一部の駆動機構または全部(複数)の駆動機構に対してロックをかけたり、ロックを解除したりすることができるように構成されている。
【実施例5】
【0052】
図12を用いて、実施例5について説明する。
図12は実施例5のユーザーインターフェースと撮影方向について説明する図である。
図12(A)は実施例5のユーザーインターフェースを説明する図であり、
図12(B)は制御される撮影方向について説明する図である。
【0053】
実施例5の撮像装置においては、第1の撮像部110と第2の撮像部120の水平回転の駆動範囲に重複範囲があるように構成されている。
実施例5では、例えば第1の撮像部110を、第2の撮像部120と重複する範囲において駆動しようとするときに、第2の撮像部120が固定されていなければ、第1の撮像部110の回転に連動して第2の撮像部120を駆動する。
【0054】
即ち、第1の撮像部110を回転することによって前記重複範囲に入ってきた場合には、所定角度ずれた状態で第2の撮像部も同時に同じ角度回転開始させる。それによって第1の撮像部110と第2の撮像部120とがぶつかることがなくなり、しかも両者によるトータルの撮影画角範囲を広い状態で維持することも可能になる。
【0055】
しかし、第2の撮像部120が固定されている場合には、第2の撮像部120と衝突する可能性があるので、第1の撮像部110の駆動範囲を制限し、第2の撮像部と衝突しないようにする。即ち、第1の撮像部および第2の撮像部とで、所定の駆動部による駆動範囲に重複範囲がある場合に、第2の撮像部の所定の駆動部が無効化指示によって無効化されている場合には、第1の撮像部の所定の駆動部による駆動範囲を制限している。
【0056】
これにより、ユーザーによる第1の撮像部110の回転誤操作によって、第2の撮像部120と衝突して破損したり、モーターに過大な負荷電流が流れたり、第2の撮像部120が第1の撮像部によって押されてずれてしまったりすることを抑制できる。
また、駆動範囲の制限については、ユーザーが固定している範囲がわかるように表示することが好ましい。
【0057】
図12(A)に示すように、全駆動範囲がわかるバーを表示できるようにし、現在の撮像部の回転位置および駆動可能な全範囲を同時に表示してもよい。これにより、ユーザーは撮像部の固定の状況や撮像部の角度変更が可能な範囲を認識することができ、操作性が向上する。
【0058】
なお、以上説明したように、第1の撮像部110、第2の撮像部120は軸101を回転の中心軸としてそれぞれ水平回転が可能な構成でも良いし、更にそれぞれ垂直に回転可能な構成を有してよい。更に、各撮像部内の結像光学系112、122を駆動してズームが行えるようにしても良い。なお、その場合には、それぞれの駆動のために、第1の駆動機構111、第2の駆動機構121は各構成に対応したモーターとギアをそれぞれ備え、制御部130によって各モーターを駆動する電力を制御する。
【0059】
また、このとき撮像装置100は、外部装置からの指示に基づき、第1の撮像部110、第2の撮像部120の、少なくとも一方の撮像部を選択したうえで、その選択された撮像部の水平回転、垂直回転、ズーム制御の内、少なくとも一つを選択的に駆動する。あるいは選択的に固定(無効化)したりすることができるように構成されている。即ち、受信部としての転送部140は、選択された撮像部の選択された駆動部を個別に無効化する動作を選択するための無効化指示を外部装置から受信できる。
【0060】
更に、選択された一つ撮像部の上記3つの駆動機構すべてを一括して固定する機能を有している。即ち、受信部としての転送部140は、選択された撮像部の複数の駆動部を一括して無効化する動作も選択するための無効化指示を外部装置から受信できる。
また、すべての撮像部に対して、一括して、上記の3つの駆動機構の内の選択された1つまたは複数の駆動機構を固定できるようにしても良い。
【0061】
即ち、所定の選択された1つまたは複数の駆動部について、選択された1つの撮像部ごとに無効化する動作と、前記複数の撮像部を一括して無効化する動作を選択可能としても良い。即ち、受信部としての転送部140は、上記のような無効化指示を外部装置から受信した場合に、それに応じてそれぞれの無効化動作を実行する。
【0062】
このようにすることで、ユーザーによる固定のための指示を簡略化することが可能となる。なお、固定の解除についても上記のような固定操作と同様な方法を選択できるようにする。また、実施例では、固定(無効化)の具体的な方法として、固定指示のあった撮像部を回転させる駆動機構(モーター)への電力供給を行わない構成にしている。しかし、これに限らず、プランジャー等を用いて電磁気的に回転位置やズーム位置を固定させても良いし、あるいはメカ的にロック(固定)させるための係止機構を設けても良い。
【0063】
以上、本発明をその好適な実施例に基づいて詳述してきたが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨に基づき種々の変形が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
なお、本実施例における制御の一部または全部を上述した実施例の機能を実現するコンピュータプログラムをネットワーク又は各種記憶媒体を介して撮像装置に供給するようにしてもよい。そしてその撮像装置におけるコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。その場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することとなる。
【符号の説明】
【0064】
100:撮像装置
110:第1の撮像部
111:第1の駆動機構、
112、122:結像光学系
113、123:固体撮像素子
114、124:画像
120:第2の撮像部
121:第2の駆動機構
130:制御部
140:転送部
150:ユーザーインターフェース
151、154:制御ボタン
152、155:選択ボタン
153:タブ