IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社シマノの特許一覧

特許7490393人力駆動車用推進力付与システムおよび人力駆動車用制御装置
<>
  • 特許-人力駆動車用推進力付与システムおよび人力駆動車用制御装置 図1
  • 特許-人力駆動車用推進力付与システムおよび人力駆動車用制御装置 図2
  • 特許-人力駆動車用推進力付与システムおよび人力駆動車用制御装置 図3
  • 特許-人力駆動車用推進力付与システムおよび人力駆動車用制御装置 図4
  • 特許-人力駆動車用推進力付与システムおよび人力駆動車用制御装置 図5
  • 特許-人力駆動車用推進力付与システムおよび人力駆動車用制御装置 図6
  • 特許-人力駆動車用推進力付与システムおよび人力駆動車用制御装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】人力駆動車用推進力付与システムおよび人力駆動車用制御装置
(51)【国際特許分類】
   B62H 5/20 20060101AFI20240520BHJP
   B60R 25/104 20130101ALI20240520BHJP
   B62J 3/14 20200101ALI20240520BHJP
   B62J 6/26 20200101ALI20240520BHJP
   B62J 43/13 20200101ALI20240520BHJP
   B62J 45/00 20200101ALI20240520BHJP
   B62J 45/41 20200101ALI20240520BHJP
   B62J 50/22 20200101ALI20240520BHJP
   B62J 50/23 20200101ALI20240520BHJP
   B62J 50/25 20200101ALI20240520BHJP
   B62M 6/55 20100101ALI20240520BHJP
【FI】
B62H5/20
B60R25/104
B62J3/14
B62J6/26
B62J43/13
B62J45/00
B62J45/41
B62J50/22
B62J50/23
B62J50/25
B62M6/55
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020036775
(22)【出願日】2020-03-04
(65)【公開番号】P2021138256
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】西野 高史
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 信吾
(72)【発明者】
【氏名】江村 篤裕
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-011583(JP,A)
【文献】特開2007-015567(JP,A)
【文献】特開2008-208649(JP,A)
【文献】特開2012-210854(JP,A)
【文献】特表2020-503210(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1952540(KR,B1)
【文献】登録実用新案第3152075(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62H 5/20
B60R 25/104
B62J 3/14
B62J 6/26
B62J 43/13
B62J 45/00
B62J 45/41
B62J 50/22
B62J 50/23
B62J 50/25
B62M 6/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車に推進力を付与可能に構成される推進力付与装置と、
報知装置と、を含み、
前記推進力付与装置は、
前記人力駆動車に推進力を付与可能に構成されるモータユニットと、
貫通軸を保持する貫通軸保持部と、を含み、
前記貫通軸保持部および前記貫通軸の一方は、前記貫通軸保持部および前記貫通軸の他方に対して、相対回転可能であり、
前記報知装置は、
少なくとも部分的に前記推進力付与装置に配置され、かつ、前記モータユニットの出力伝達経路から独立して配置される報知部と、
前記報知部を制御可能な制御部と、を含み、
前記推進力付与装置は、前記貫通軸を少なくとも部分的に収容する貫通軸収容空間、および、前記モータユニットを少なくとも部分的に収容するモータユニット収容空間の少なくとも一方を形成する、ハウジングを含み、
前記報知部は、
前記貫通軸収容空間、前記モータユニット収容空間、および、前記ハウジングの少なくとも1つに設けられ
液晶表示部、発光部、および、偏心錘を備える電気モータである振動発生部の少なくとも1つを含む、人力駆動車用推進力付与システム。
【請求項2】
前記報知部は、音響発生部をさらに含む、請求項1に記載の人力駆動車用推進力付与システム。
【請求項3】
前記推進力付与装置は、
前記モータユニットに電力を供給可能に構成されるバッテリユニット、をさらに含む、請求項1または2に記載の人力駆動車用推進力付与システム。
【請求項4】
前記貫通軸は、人力駆動車用のクランク軸であり、
前記クランク軸は、フロントスプロケットを保持可能に構成されるフロントスプロケット保持部を含み、
前記報知部は、前記発光部を含み、
前記貫通軸収容空間は、前記クランク軸を少なくとも部分的に収容するクランク軸収容空間であり、
前記ハウジングは、前記発光部の光を視認可能な視認部を含む、請求項1または2に記載の人力駆動車用推進力付与システム。
【請求項5】
前記推進力付与装置は、
前記モータユニットに電力を供給可能に構成されるバッテリユニットをさらに含み、
前記報知部は、前記発光部を含み、
前記貫通軸は、前記人力駆動車に取り付けられる車輪の回転軸心と同軸に配置されるハブ軸であり、
前記貫通軸収容空間は、前記ハブ軸を少なくとも部分的に収容するハブ軸収容空間であり、
前記ハウジングは、前記発光部の光を視認可能な視認部を含む、請求項1または2に記載の人力駆動車用推進力付与システム。
【請求項6】
前記推進力付与装置は、無線通信部をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の人力駆動車用推進力付与システム。
【請求項7】
前記制御部は、外部端末と接続可能であり、かつ、前記外部端末と非接続状態において、前記人力駆動車が移動する場合、前記報知部を動作させる、請求項1から6のいずれか一項に記載の人力駆動車用推進力付与システム
【請求項8】
前記制御部は、前記人力駆動車に設けられるGPS(Global Positioning System)装置によって検出される情報に基づいて、前記人力駆動車の移動を検知する、請求項7に記載の人力駆動車用推進力付与システム
【請求項9】
前記報知部は音響発生装置を含み
前記制御部は、前記外部端末と非接続状態において、前記人力駆動車が移動する場合、前記音響発生装置を動作させる、請求項7または8に記載の人力駆動車用推進力付与システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力駆動車用推進力付与システムおよび人力駆動車用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されている人力駆動車は、人力駆動車に推進力を付与可能に構成されるモータユニットを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-24700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的の1つは、人力駆動車に関する情報を報知することができる人力駆動車用推進力付与システムおよび人力駆動車用制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に従う人力駆動車用推進力付与システムは、人力駆動車に推進力を付与可能に構成される推進力付与装置と、報知装置と、を含み、前記推進力付与装置は、前記人力駆動車に推進力を付与可能に構成されるモータユニットと、貫通軸を保持する貫通軸保持部と、を含み、前記貫通軸保持部および前記貫通軸の一方は、前記貫通軸保持部および前記貫通軸の他方に対して、相対回転可能であり、前記報知装置は、少なくとも部分的に前記推進力付与装置に配置され、かつ、前記モータユニットの出力伝達経路から独立して配置される報知部と、前記報知部を制御可能な制御部と、を含む。
上記第1側面の人力駆動車用推進力付与システムによれば、少なくとも部分的に推進力付与装置に配置される報知部によって人力駆動車の近傍にいる人に、人力駆動車の情報を報知できる。
【0006】
前記第1側面に従う第2側面の人力駆動車用推進力付与システムにおいて、前記報知部は、音響発生部、振動発生部、および、液晶表示部、の少なくとも1つを含む。
上記第2側面の人力駆動車用推進力付与システムによれば、音響発生部、振動発生部、および、液晶表示部の少なくとも1つによって人力駆動車の近傍にいる人に、人力駆動車の情報を報知できる。
【0007】
前記第1または第2側面に従う第3側面の人力駆動車用推進力付与システムにおいて、前記推進力付与装置は、前記モータユニットに電力を供給可能に構成されるバッテリユニット、をさらに含む。
上記第3側面の人力駆動車用推進力付与システムによれば、バッテリユニットを含む推進力付与装置に、少なくとも部分的に配置される報知部によって人力駆動車の近傍にいる人に、人力駆動車の情報を報知できる。
【0008】
前記第1または第2側面に従う第4側面の人力駆動車用推進力付与システムにおいて、前記貫通軸は、人力駆動車用のクランク軸であり、前記クランク軸は、フロントスプロケットを保持可能に構成されるフロントスプロケット保持部を含み、前記報知部は、発光部を含み、前記推進力付与装置は、前記クランク軸を少なくとも部分的に収容するクランク軸収容空間、および、前記モータユニットを少なくとも部分的に収容するモータユニット収容空間の少なくとも一方を形成する、ハウジングを含み、前記ハウジングは、前記発光部の光を視認可能な視認部を含む。
上記第4側面の人力駆動車用推進力付与システムによれば、クランク軸を少なくとも部分的に収容するクランク軸収容空間、および、前記モータユニットを少なくとも部分的に収容するモータユニット収容空間の少なくとも一方を形成する、ハウジングを含む推進力付与装置において、発光部の光によって人力駆動車の近傍にいる人に、人力駆動車の情報を報知できる。
【0009】
前記第1または第2側面に従う第5側面の人力駆動車用推進力付与システムにおいて、前記推進力付与装置は、前記モータユニットに電力を供給可能に構成されるバッテリユニットをさらに含み、前記報知部は、発光部を含み、前記貫通軸は、前記人力駆動車に取り付けられる車輪の回転軸心と同軸に配置されるハブ軸であり、前記推進力付与装置は、前記ハブ軸を少なくとも部分的に収容するハブ軸収容空間、および、前記モータユニットを少なくとも部分的に収容するモータユニット収容空間の少なくとも一方を形成する、ハウジングを含み、前記ハウジングは、前記発光部の光を視認可能な視認部を含む。
上記第5側面の人力駆動車用推進力付与システムによれば、ハブ軸を少なくとも部分的に収容するハブ軸収容空間、および、モータユニットを少なくとも部分的に収容するモータユニット収容空間の少なくとも一方を形成する、ハウジングを含む推進力付与装置において、発光部の光によって人力駆動車の近傍にいる人に、人力駆動車の情報を報知できる。
【0010】
前記第1から第5側面のいずれか1つに従う第6側面の人力駆動車用推進力付与システムにおいて、前記推進力付与装置は、無線通信部をさらに含む。
上記第6側面の人力駆動車用推進力付与システムによれば、発光部の光によって人力駆動車の近傍にいる人に、人力駆動車の情報を報知できる。
【0011】
本発明の第7側面に従う人力駆動車用制御装置において、人力駆動車に設けられる報知部を制御する人力駆動車用制御装置であって、前記人力駆動車用制御装置は、外部端末と接続可能であり、かつ、前記外部端末と非接続状態において、前記人力駆動車が移動する場合、前記報知部を動作させる。
上記第7側面の人力駆動車用制御装置によれば、外部端末と非接続状態において、人力駆動車が移動する場合、報知部を動作させることができる。
【0012】
前記第7側面に従う第8側面の人力駆動車用制御装置において、前記人力駆動車用制御装置は、前記人力駆動車に設けられるGPS(Global Positioning System)装置によって検出される情報に基づいて、前記人力駆動車の移動を検知する。
上記第8側面の人力駆動車用制御装置によれば、GPS装置によって検出される情報に基づいて、人力駆動車の移動を検知できる。
【0013】
前記第7または第8側面に従う第9側面の人力駆動車用制御装置において、前記報知部は音響発生装置であり、前記人力駆動車用制御装置は、前記外部端末と非接続状態において、前記人力駆動車が移動する場合、前記音響発生装置を動作させる。
上記第9側面の人力駆動車用制御装置によれば、音響発生装置によって人力駆動車の移動を報知できる。
【発明の効果】
【0014】
本開示の人力駆動車用推進力付与システムおよび人力駆動車用制御装置は、人力駆動車に関する情報を報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態の人力駆動車用の変速システムを含む人力駆動車の側面図。
図2】実施形態の推進力付与装置の一部を示す斜視図。
図3図2の推進力付与装置の一部の断面図。
図4】実施形態の人力駆動車用の変速システムの一部の電気的な構成を示すブロック図。
図5】実施形態の報知装置の電気的な構成を示すブロック図。
図6図5の人力駆動車用制御装置によって実行される報知部を制御する処理のフローチャート。
図7】変形例の推進力付与装置の一部を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態>
図1から図6を参照して、実施形態の人力駆動車用推進力付与システム40および人力駆動車用制御装置80について説明する。人力駆動車10は、少なくとも1つの車輪を有し、少なくとも人力駆動力によって駆動できる乗り物である。人力駆動車10は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、および、ハンドバイク、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。人力駆動車10が有する車輪の数は限定されない。人力駆動車10は、例えば1輪車および3輪以上の車輪を有する乗り物も含む。人力駆動車10は、人力駆動力のみによって駆動できる乗り物に限定されない。人力駆動車10は、人力駆動力だけではなく、電気モータの駆動力を推進に利用するイーバイク(E-bike)を含む。イーバイクは、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、実施形態において、人力駆動車10を、自転車として説明する。
【0017】
人力駆動車10は、人力駆動力が入力されるクランク12を備える。人力駆動車10は、車輪14と、車体16と、を、さらに備える。車輪14は、後輪14Aと、前輪14Bと、を含む。車体16は、フレーム18を含む。クランク12は、フレーム18に対して回転可能なクランク軸12Aと、クランク軸12Aの軸方向の端部にそれぞれ設けられる一対のクランクアーム12Bとを含む。各クランクアーム12Bには、一対のペダル20がそれぞれ連結される。後輪14Aは、クランク12が回転することによって駆動される。後輪14Aは、フレーム18に支持される。クランク12と後輪14Aとは、駆動機構22によって連結される。駆動機構22は、クランク軸12Aに連結されるフロントスプロケット24を含む。クランク軸12Aとフロントスプロケット24とは、一体回転するように連結されてもよく、第1ワンウェイクラッチを介して連結されていてもよい。第1ワンウェイクラッチは、クランク12が前転した場合に、フロントスプロケット24を前転させ、クランク12が後転した場合に、クランク12とフロントスプロケット24との相対回転を許容するように構成される。フロントスプロケット24は、プーリ、または、ベベルギアであってもよい。駆動機構22は、リアスプロケット26と、連結部材28とをさらに含む。連結部材28は、フロントスプロケット24の回転力をリアスプロケット26に伝達する。連結部材28は、例えば、チェーン、ベルト、または、シャフトを含む。
【0018】
リアスプロケット26は、後輪14Aに連結される。リアスプロケット26は、プーリ、または、ベベルギアであってもよい。リアスプロケット26と後輪14Aとの間には、好ましくは、第2ワンウェイクラッチが設けられている。第2ワンウェイクラッチは、リアスプロケット26が前転した場合に、後輪14Aを前転させ、リアスプロケット26が後転した場合に、リアスプロケット26と後輪14Aとの相対回転を許容するように構成される。
【0019】
フレーム18には、フロントフォーク30を介して前輪14Bが取り付けられている。フロントフォーク30には、ハンドルバー34がステム32を介して連結されている。本実施形態では、後輪14Aが駆動機構22によってクランク12に連結されるが、後輪14Aおよび前輪14Bの少なくとも1つが、駆動機構22によってクランク12に連結されてもよい。
【0020】
人力駆動車用推進力付与システム40は、人力駆動車10に推進力を付与可能に構成される推進力付与装置50と、報知装置70と、を含む。推進力付与装置50は、人力駆動車10に推進力を付与可能に構成されるモータユニット52と、貫通軸54を保持する貫通軸保持部56と、を含む。貫通軸保持部56および貫通軸54の一方は、貫通軸保持部56および貫通軸54の他方に対して、相対回転可能である。報知装置70は、少なくとも部分的に推進力付与装置50に配置され、かつ、モータユニット52の出力伝達経路から独立して配置される報知部72と、報知部72を制御可能な制御部74と、を含む。
【0021】
好ましくは、報知部72は、音響発生部72A、振動発生部72B、および、液晶表示部72C、の少なくとも1つを含む。音響発生部72Aは、例えばスピーカおよびブザーの少なくとも1つを含む。音響発生部72Aは、音声または音楽を出力するものであってもよく、ビープ音を発生するものであってもよい。振動発生部72Bは、例えば、偏心錘を備える電気モータである。液晶表示部72Cは、液晶ディスプレイを含んでいてもよく、液晶ディスプレイに代えてまたは加えて、プラズマディスプレイおよび有機EL(electro-luminescence)ディスプレイ等であってもよい。要するに、液晶表示部72Cは、画像を表示する表示部であればよい。
【0022】
制御部74は、予め定める制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。演算処理装置は、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。制御部74は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。好ましくは、報知装置70は、記憶部76をさらに含む。記憶部76には、各種の制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部76は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random access memory)を含む。
【0023】
モータユニット52は、モータ52Aを含む。モータ52Aは、人力駆動車10に推進力を付与する。モータ52Aは、1または複数の電気モータを含む。電気モータは、例えば、ブラシレスモータである。モータ52Aは、ペダル20から後輪14Aまでの人力駆動力の動力伝達経路、および、前輪14Bの少なくとも1つに回転力を伝達するように構成される。ペダル20から後輪14Aまでの人力駆動力の動力伝達経路には、後輪14Aも含まれる。
【0024】
好ましくは、推進力付与装置50は、貫通軸54を含む。本実施形態では、貫通軸54は、人力駆動車用のクランク軸12Aである。クランク軸12Aは、フロントスプロケット24を保持可能に構成されるフロントスプロケット保持部54Aを含む。報知部72は、発光部72Dを含む。推進力付与装置50は、ハウジング58を含む。ハウジング58は、クランク軸12Aを少なくとも部分的に収容するクランク軸収容空間50A、および、モータユニット52を少なくとも部分的に収容するモータユニット収容空間50Bの少なくとも一方を形成する。ハウジング58は、発光部72Dの光を視認可能な視認部58Aを含む。ハウジング58は、貫通軸保持部56を含む。貫通軸保持部56は、ハウジング58に設けられる貫通軸54が配置される貫通孔を含む。貫通軸54は、ベアリングを介して貫通軸保持部56に保持される。フロントスプロケット保持部54Aは、例えば、スプライン部を含む。
【0025】
好ましくは、ハウジング58は、モータユニット52の全体を収容する。好ましくは、ハウジング58は、貫通軸54の軸方向における中間部分を収容する。本実施形態では、モータ52Aは、人力駆動車10のフレーム18に設けられ、フロントスプロケット24に回転を伝達するように構成される。ハウジング58は、例えばフレーム18に着脱可能に取り付けられる。モータ52Aおよびハウジング58を含んで、ドライブユニットが構成される。モータ52Aとクランク軸12Aとの間の動力伝達経路には、好ましくは、クランク軸12Aを人力駆動車10が前進する方向に回転させた場合にクランク12の回転力のモータ52Aへの伝達を抑制する第3ワンウェイクラッチが設けられる。
【0026】
本実施形態では、クランク軸収容空間50Aおよびモータユニット収容空間50Bは連通する。好ましくは、発光部72Dは、少なくとも一部がクランク軸収容空間50Aおよびモータユニット収容空間50Bの少なくとも1つに配置される。好ましくは、制御部74および記憶部76は、クランク軸収容空間50Aおよびモータユニット収容空間50Bの少なくとも1つに配置される。
【0027】
好ましくは、発光部72Dは、発光素子を含む。発光素子は、例えば、LED(light emitting diode)を含む。好ましくは、視認部58Aは、ハウジング58のユーザが確認しやすい場所に設けられる。例えば、視認部58Aは、ハウジング58の人力駆動車10の左右方向の一方の側面に設けられる。視認部58Aは、ハウジング58に設けられる孔であってもよく、透明部材によって構成される窓であってもよい。好ましくは、発光部72Dは、ハウジング58の内部において、視認部58Aと隣接する位置に配置される。視認部58Aが孔である場合、発光部72Dは、少なくとも一部が視認部58Aの孔の内部に配置されるようにしてもよい。
【0028】
報知部72が液晶表示部72Cを含む場合、好ましくは、液晶表示部72Cは、ハウジング58の内部において、視認部58Aから液晶表示部72Cを視認できるように、視認部58Aと隣接する位置に配置される。視認部58Aが孔である場合、液晶表示部72Cは、少なくとも一部が視認部58Aの孔と重複するように配置されるようにしてもよい。報知部72が音響発生部72Aを含む場合、音響発生部72Aは、ハウジング58の内部に配置されてもよく、ハウジング58の外面に設けられてもよい。報知部72が振動発生部72Bを含む場合、振動発生部72Bは、ハウジング58の内部に配置されてもよく、ハウジング58の外面に設けられてもよい。
【0029】
好ましくは、推進力付与装置50は、モータユニット52に電力を供給可能に構成されるバッテリユニット60、をさらに含む。好ましくは、バッテリユニット60は、ハウジング58の外部に設けられる。バッテリユニット60は、モータユニット52とは別体に構成される。好ましくは、バッテリユニット60は複数のバッテリ素子を含む。バッテリ素子は、充電池を含む。好ましくは、バッテリユニット60は、モータユニット52に電力を供給する。好ましくは、バッテリユニット60は、好ましくは、モータユニット52と電気ケーブルまたは無線通信装置を介して通信可能に接続される。バッテリユニット60は、例えば電力線通信(PLC;power line communication)、CAN(Controller Area Network)、または、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)によってモータユニット52と通信可能である。
【0030】
好ましくは、推進力付与装置50は、モータ52Aを制御する制御部62を含む。制御部62は、予め定める制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えばCPUまたはMPUを含む。演算処理装置は、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。制御部62は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。好ましくは、推進力付与装置50は、記憶部64をさらに含む。記憶部64には、各種の制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部64は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM、EPROM、EEPROM、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAMを含む。推進力付与装置50の制御部62は、報知装置70の制御部74と一体に構成されてもよく、別体に構成されてもよい。推進力付与装置50の記憶部64は、報知装置70の記憶部76と一体に構成されてもよく、別体に構成されてもよい。
【0031】
推進力付与装置50は、好ましくは、モータ52Aの駆動回路66をさらに備える。駆動回路66と、制御部62とは、好ましくは、ハウジング58に設けられる。駆動回路66と、制御部62とは、例えば同一の回路基板に設けられてもよい。駆動回路66は、インバータ回路を含む。駆動回路66は、バッテリユニット60からモータ52Aに供給される電力を制御する。駆動回路66は、制御部62と、導電線、電気ケーブルまたは無線通信装置などを介して接続されている。駆動回路66は、制御部62からの制御信号に応じてモータ52Aを駆動させる。
【0032】
好ましくは、推進力付与システム40は、車速センサ42、クランク回転センサ44、および、人力駆動力検出部46の少なくとも1つをさらに含む。制御部62は、車速センサ42、クランク回転センサ44、および、人力駆動力検出部46の少なくとも1つの出力に応じてモータ52Aを制御する。
【0033】
車速センサ42は、人力駆動車10の車速Vに関する情報を検出するように構成される。本実施形態では、車速センサ42は、人力駆動車10の車輪14の回転速度Wに関する情報を検出するように構成される。車速センサ42は、例えば、人力駆動車10の車輪14に設けられる磁石を検出するように構成される。車速センサ42は、例えば、車輪14が1回転する間に、予め定める回数の検出信号を出力するように構成される。予め定める回数は、例えば、1である。車速センサ42は、車輪14の回転速度Wに応じた信号を出力する。制御部62は、車輪14の回転速度Wと、車輪14の周長に関する情報とに基づいて人力駆動車10の車速Vを算出できる。記憶部64には車輪14の周長に関する情報が記憶される。車速センサ42は、例えばリードスイッチを構成する磁性リード、または、ホール素子を含む。車速センサ42は、人力駆動車10のフレーム18のチェーンステイに取り付けられ、後輪14Aに取り付けられる磁石を検出する構成としてもよく、フロントフォーク30に設けられ、前輪14Bに取り付けられる磁石を検出する構成としてもよい。本実施形態において、車速センサ42は、車輪14が一回転した場合に、リードスイッチが磁石を1回検出するように構成される。車速センサ42は、人力駆動車10の車速Vに関する情報を取得できればどのような構成であってもよく、車輪14に設けられる磁石を検出する構成に限らず、例えば、ディスクブレーキに設けられるスリットを検出するように構成されてもよく、光学センサなどを含んで構成されてもよく、GPS受信機を含んで構成されてもよい。車速センサ42は、無線通信装置または電気ケーブルを介して、制御部62に接続される。
【0034】
クランク回転センサ44は、クランク軸12Aの回転速度NCに関する情報を検出するように構成される。クランク回転センサ44は、例えば、人力駆動車10のフレーム18またはハウジング58に設けられる。クランク回転センサ44は、磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを含んで構成される。周方向に磁界の強度が変化する環状の磁石が、クランク軸12A、クランク軸12Aに連動して回転する部材、または、クランク軸12Aからフロントスプロケット24までの間の動力伝達経路に設けられる。クランク軸12Aに連動して回転する部材は、モータ52Aの出力軸を含んでもよい。クランク回転センサ44は、クランク軸12Aの回転速度NCに応じた信号を出力する。磁石は、クランク軸12Aからフロントスプロケット24までの人力駆動力の動力伝達経路において、クランク軸12Aと一体に回転する部材に設けられてもよい。例えば、磁石は、クランク軸12Aとフロントスプロケット24との間に第1ワンウェイクラッチが設けられない場合、フロントスプロケット24に設けられてもよい。クランク回転センサ44は、クランク軸12Aの回転速度NCに関する情報を取得できればどのような構成であってもよく、磁気センサに代えて光学センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、またはトルクセンサなどを含んでいてもよい。クランク回転センサ44は、無線通信装置または電気ケーブルを介して、制御部62に接続される。
【0035】
人力駆動力検出部46は、人力駆動力に関する情報を検出するように構成される。人力駆動力検出部46は、例えば、トルクセンサを含む。トルクセンサは、人力駆動力によってクランク12に与えられるトルクに応じた信号を出力するように構成される。トルクセンサは、例えば、動力伝達経路に第1ワンウェイクラッチが設けられる場合、好ましくは、第1ワンウェイクラッチよりも動力伝達経路の上流側に設けられる。トルクセンサは、歪センサ、磁歪センサ、または、圧力センサなどを含む。歪センサは、歪ゲージを含む。トルクセンサは、動力伝達経路、または、動力伝達経路に含まれる部材の近傍に含まれる部材に設けられる。動力伝達経路に含まれる部材は、例えば、クランク軸12A、クランク軸12Aとフロントスプロケット24との間において人力駆動力を伝達する部材、クランクアーム12B、または、ペダル20である。トルクセンサは、無線通信装置または電気ケーブルを介して、制御部62に接続される。人力駆動力検出部46は、人力駆動力に関する情報を取得できればどのような構成であってもよく、例えば、ペダル20に与えられる圧力を検出するセンサ、または、チェーンの張力を検出するセンサなどを含んでいてもよい。
【0036】
制御部62は、例えば、人力駆動力と予め定める比率との対応関係の少なくとも一部が互いに異なる複数の制御状態から選択される1つの制御状態によって、モータ52Aを制御するように構成される。制御部62は、人力駆動力に加えて、クランク軸12Aの回転速度に応じて、モータ52Aを制御するように構成されてもよい。例えば、制御部62は、クランク軸12Aの回転速度が予め定める回転速度未満の場合、クランク軸12Aの回転速度NCおよび人力駆動力の少なくとも1つに応じたモータ52Aの駆動を停止する。予め定める回転速度は、例えば、0以上、かつ、5rpmの範囲の速度である。例えば、制御部62は、クランク軸12Aの回転速度NCが予め定める回転速度NCY以上になると、モータ52Aを停止する、または、アシスト力が小さくなるようにモータ52Aを制御してもよい。例えば、制御部62は、車速Vが第1車速V1以上になると、モータ52Aを停止する。第1車速V1は、例えば、時速25Kmである。第1車速V1は、時速25Km未満であってもよく、例えば、時速24Kmであってもよい。第1車速V1は、時速25Kmよりも大きくてもよく、例えば、時速45Kmであってもよい。
【0037】
好ましくは、推進力付与装置50は、無線通信部68をさらに含む。無線通信部68は、推進力付与装置50の外部装置と無線通信を行う。無線通信部68は、例えば、Bluetooth(登録商標)、ANT+(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、および、赤外線通信の少なくとも1つを含む。外部装置は、例えば、人力駆動車10のシフタ、人力駆動車10のサイクルコンピュータ、スマートフォン、および、パーソナルコンピュータの少なくとも1つを含む。
【0038】
好ましくは、人力駆動車用推進力付与システム40は、GPS(Global Positioning System)装置48を含む。好ましくは、GPS装置48は、推進力付与装置50に設けられる。好ましくは、GPS装置48は、ハウジング58のクランク軸収容空間50Aおよびモータユニット収容空間50Bの少なくとも1つに設けられる。
【0039】
好ましくは、人力駆動車10は、人力駆動車用制御装置80を含む。人力駆動車用制御装置80は、人力駆動車10に設けられる報知部72を制御する人力駆動車用制御装置80は、外部端末と接続可能であり、かつ、外部端末と非接続状態において、人力駆動車10が移動する場合、報知部72を動作させる。好ましくは、人力駆動車用制御装置80は、報知装置70の制御部74と一体に形成される。好ましくは、人力駆動車用制御装置80は、記憶部76をさらに含む。
【0040】
好ましくは、人力駆動車用制御装置80は、人力駆動車10に設けられるGPS装置48によって検出される情報に基づいて、人力駆動車10の移動を検知する。例えば、報知部72は音響発生装置であり、人力駆動車用制御装置80は、外部端末と非接続状態において、人力駆動車10が移動する場合、音響発生装置を動作させる。音響発生装置は、音響発生部72Aである。
【0041】
制御部74は、例えば、無線通信部68を用いて外部端末と接続する。例えば、無線通信部68と外部端末とが接続された状態において、外部端末が無線通信部68から離れ、接続不能な位置に移動した場合、人力駆動車用制御装置80は、外部端末と非接続状態になる。
【0042】
図6を参照して、音響発生部72Aを制御する処理について説明する。報知装置70の制御部74は、制御部74に電力が供給されると、処理を開始して図6に示すフローチャートのステップS11に移行する。制御部74は、図6のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS11からの処理を繰り返す。
【0043】
制御部74は、ステップS11において、無線通信部68が外部端末と非接続状態か否かを判定する。制御部74は、外部端末と非接続状態ではない場合、処理を終了する。制御部74は、外部端末と非接続状態の場合、ステップS12に移行する。制御部74は、ステップS12において、人力駆動車10が移動したか否かを判定する。制御部74は、例えば、GPS装置48によって検出される人力駆動車10の位置が変化した場合、人力駆動車10が移動したと判定する。制御部74は、人力駆動車10が移動しない場合、処理を終了する。制御部74は、人力駆動車10が移動する場合、ステップS13に移行する。
【0044】
制御部74は、ステップS13において、報知部72を動作させ、処理を終了する。制御部74は、例えば、音響発生部72Aによって音を発生させる。例えば、ユーザが外部端末を持って人力駆動車10から離れた状態において、盗難等によって人力駆動車10が移動した場合、音響発生部72Aから音が発生する。このため、盗難を抑制できる。
【0045】
人力駆動車10、または、人力駆動車10に装着されるコンポーネントは、コンポーネントの動作状態を制限する第1状態と、動作状態の制限が解除されている第2状態とに切り替えるロック装置を含んでもよい。ロック装置によってコンポーネントが第1状態にある場合に、人力駆動車10が移動すると、制御部74が報知部72を動作させてもよい。ロック装置によって動作状態が切り替えられるコンポーネントは、例えば、推進力付与装置50である。
【0046】
制御部74は、無線通信部68が外部端末と非接続状態において、制御部74と有線接続されるコンポーネントとの接続が解除された場合、報知部72を動作させるようにしてもよい。制御部74と有線接続されるコンポーネントは、例えば、バッテリユニット60である。
【0047】
制御部74は、無線通信部68が外部端末と非接続状態であっても、報知部72を動作させないモードを有していてもよい。制御部74は、例えば、外部端末の操作部、サイクルコンピュータの操作部、推進力付与装置50に設けられる操作部、および、推進力付与装置50のユーザ認証部、の操作によって、報知部72を動作させないモードに切り替えるように構成される。ユーザ認証部は、例えば、指紋認証部を含む。
【0048】
制御部74は、制御部74と電気的に接続される人力駆動車10のコンポーネントが故障した場合、報知部72を動作させるようにしてもよい。この場合、人力駆動車10のコンポーネントは、例えば、推進力付与装置50、バッテリユニット60、変速機、ブレーキ装置、アジャスタブルシートポスト、サスペンション装置、操作装置、ランプ、サイクルコンピュータ、および、各種センサの少なくとも1つを含む。人力駆動車10のコンポーネントの故障は、例えば、通信不能状態、制御信号に応じて人力駆動車用コンポーネントが動作しない場合、および、コンポーネントからエラー信号が出力された場合の少なくとも1つを含む。報知部72が液晶表示部72Cを含む場合、例えば、報知部72は、コンポーネントが故障すると、文字または画像によってコンポーネントの故障をユーザに報知する。報知部72が発光部72Dを含む場合、報知部72は、例えば、発光部72Dの点灯状態を変更する。点灯状態は、点灯させる発光素子の数、発光素子の点灯色の種類、および、発光素子の点滅タイミングの少なくとも1つを含む。報知部72が音響発生部72Aを含む場合、報知部72は、例えば、音声またはビープ音によってコンポーネントの故障をユーザに報知する。報知部72が振動発生部72Bを含む場合、報知部72は、例えば、振動によってコンポーネントの故障をユーザに報知する。
【0049】
報知部72は、人力駆動車10の移動およびコンポーネントの故障以外の情報をユーザに報知するようにしてもよい。例えば、制御部74は、コンポーネントの状態に関する情報、推進力付与装置50と他のコンポーネントとの通信に関する情報、推進力付与装置50と他のコンポーネントまたは外部端末とのペアリングに関する情報、バッテリユニット60のバッテリ残量情報、および、モータ52Aによるアシストモードに関する情報、を報知部72に報知させるようにしてもよい。制御部74は、例えば、人力駆動車10の車速Vが第1車速V1以上になることによってモータ52Aを停止する場合、報知部72にモータ52Aの停止を報知させるようにしてもよい。
【0050】
報知部72は、推進力付与装置50に設けられるため、例えば、サイクルコンピュータおよび外部端末を用いずに、報知部72が報知する情報をユーザが把握できる。
【0051】
<変形例>
実施形態に関する説明は、本開示に従う人力駆動車用推進力付与システムおよび人力駆動車用制御装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従う人力駆動車用推進力付与システムおよび人力駆動車用制御装置は、例えば以下に示される実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0052】
図7に示されるように、推進力付与装置50は、ハブに設けられて、ハブと共にハブモータを構成してもよい。この場合、例えば、推進力付与装置50は、モータユニット52に電力を供給可能に構成されるバッテリユニット60をさらに含み、報知部72は、発光部72Dを含み、貫通軸54は、人力駆動車10に取り付けられる車輪14の回転軸心と同軸に配置されるハブ軸82であり、推進力付与装置50は、ハブ軸82を少なくとも部分的に収容するハブ軸収容空間50C、および、モータユニット52を少なくとも部分的に収容するモータユニット収容空間50Dの少なくとも一方を形成する、ハウジング84を含み、ハウジング84は、発光部72Dの光を視認可能な視認部86を含んでもよい。好ましくは、バッテリユニット60は、ハウジング84の外部に設けられる。ハウジング84は、貫通軸保持部56を含む。貫通軸保持部56は、ハウジング84に設けられる貫通軸54が配置される貫通孔を含む。貫通軸54は、ベアリングを介して貫通軸保持部56に保持される。好ましくは、ハウジング84は、モータユニット52の全体を収容する。好ましくは、ハウジング84は、貫通軸54の軸方向における中間部分を収容する。本変形例では、モータ52Aは、リアスプロケット26に回転を伝達するように構成される。ハウジング84は、例えば車輪14に設けられる。モータ52Aおよびハウジング84を含んで、ドライブユニットが構成される。本変形例では、ハブ軸収容空間50Cおよびモータユニット収容空間50Dは連通する。
【0053】
図7の変形例において、好ましくは、発光部72Dは、少なくとも一部がハブ軸収容空間50Cおよびモータユニット収容空間50Dの少なくとも1つに配置される。好ましくは、制御部74および記憶部76は、ハブ軸収容空間50Cおよびモータユニット収容空間50Dの少なくとも1つに配置される。好ましくは、視認部58Aは、ハウジング84においてユーザが確認しやすい場所に設けられる。例えば、視認部58Aは、ハウジング84の人力駆動車10の左右方向の一方の側面に設けられる。視認部58Aは、ハウジング84に設けられる孔であってもよく、透明部材によって構成される窓であってもよい。好ましくは、発光部72Dは、ハウジング84の内部において、視認部58Aと隣接する位置に配置される。視認部58Aが孔である場合、発光部72Dは、少なくとも一部が視認部58Aの孔の内部に配置されるようにしてもよい。報知部72が液晶表示部72Cを含む場合、好ましくは、液晶表示部72Cは、ハウジング84の内部において、視認部58Aから液晶表示部72Cを視認できるように、視認部58Aと隣接する位置に配置される。視認部58Aが孔である場合、液晶表示部72Cは、少なくとも一部が視認部58Aの孔と重複するように配置されるようにしてもよい。報知部72が音響発生部72Aを含む場合、音響発生部72Aは、ハウジング84の内部に配置されてもよく、ハウジング84の外面に設けられてもよい。報知部72が振動発生部72Bを含む場合、振動発生部72Bは、ハウジング84の内部に配置されてもよく、ハウジング84の外面に設けられてもよい。
【0054】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0055】
10…人力駆動車、12A…クランク軸、14…車輪、24…フロントスプロケット、40…人力駆動車用推進力付与システム、48…GPS装置、50…推進力付与装置、50A…クランク軸収容空間、50B,50D…モータユニット収容空間、50C…ハブ軸収容空間、52…モータユニット、54…貫通軸、54A…フロントスプロケット保持部、56…貫通軸保持部、58,84…ハウジング、58A,86…視認部、60…バッテリユニット、68…無線通信部、70…報知装置、72…報知部、72A…音響発生部、72B…振動発生部、72C…液晶表示部、72D…発光部、74…制御部、76…記憶部、80…人力駆動車用制御装置、82…ハブ軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7