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特許7490445情報処理方法、プログラム、情報処理装置及び情報処理システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】情報処理方法、プログラム、情報処理装置及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20240520BHJP
【FI】
G06Q50/06
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020083457
(22)【出願日】2020-05-11
(65)【公開番号】P2021179692
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】514105011
【氏名又は名称】株式会社東光高岳
(73)【特許権者】
【識別番号】309042071
【氏名又は名称】東光東芝メーターシステムズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000142425
【氏名又は名称】アズビル金門株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】櫛田 和貴
(72)【発明者】
【氏名】小林 潤一
(72)【発明者】
【氏名】弥栄 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】竹村 正央
(72)【発明者】
【氏名】小川 政雄
(72)【発明者】
【氏名】松尾 和哉
(72)【発明者】
【氏名】田中 巧
(72)【発明者】
【氏名】奥野 啓道
(72)【発明者】
【氏名】藤田 繁晴
(72)【発明者】
【氏名】菊地 和彦
(72)【発明者】
【氏名】岡田 法子
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-060380(JP,A)
【文献】特開2015-049585(JP,A)
【文献】特開2013-101569(JP,A)
【文献】特開2012-128502(JP,A)
【文献】特開2014-232461(JP,A)
【文献】特開2014-174890(JP,A)
【文献】特開2019-067462(JP,A)
【文献】特開2002-169902(JP,A)
【文献】特開2016-035752(JP,A)
【文献】特開2016-018439(JP,A)
【文献】国際公開第2011/070831(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
需要者による電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量に、使用時間帯に関する情報及び、前記需要者を識別する需要者識別情報を関連付けた使用量データを取得し、
取得した前記使用量データに基づき、前記需要者の生活情報を出力し、
取得した前記使用量データに基づき、前記需要者が居住する建物における前記需要者の不在日数を導出し、
前記需要者の不在日数に基づき、前記建物の劣化度に関する情報を導出し、
導出した前記建物の劣化度に関する情報を、前記建物の保険に関するサービス提供者に出力する
情報処理方法。
【請求項2】
需要者による電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量に、使用時間帯に関する情報及び、前記需要者を識別する需要者識別情報を関連付けた使用量データを取得し、
取得した前記使用量データに基づき、前記需要者の生活情報を出力し、
前記需要者が加入する第1事業体から該需要者の運動データを取得し
前記需要者の運動データ、電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量を入力した場合に、前記需要者の生活パターンを出力するよう学習された第2学習モデルに、前記需要者の運動データ、電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量を入力して、前記生活パターンを出力し、
前記需要者毎に複数の期間にわたる生活パターンを記憶し、
前記需要者が加入する前記第1事業体とは異なる第2事業体の端末装置へ、前記複数の期間にわたる生活パターンを出力する
情報処理方法。
【請求項3】
需要者による電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量に、使用時間帯に関する情報及び、前記需要者を識別する需要者識別情報を関連付けた使用量データを取得し、
取得した前記使用量データに基づき、前記需要者の生活情報を出力し、
取得した前記使用量データに基づき、前記需要者の行動異常に関する情報、所定の地域ごとにおける複数の前記需要者の在宅率、及び前記需要者が居住する建物の被災状況に関する情報を導出し、
導出した前記行動異常に関する情報、前記所定の地域ごとにおける複数の前記需要者の在宅率及び前記需要者が居住する建物の被災状況に関する情報を、前記地域の自治体に関するサービス提供者に出力する
情報処理方法。
【請求項4】
前記電力使用量は、電力スマートメータから取得し、
前記ガス使用量は、ガススマートメータから取得し、
前記水道水使用量は、水道水スマートメータから取得する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
取得した前記使用量データを入力した場合に前記生活情報を出力するよう学習された学習モデルを用いて、前記使用量データから前記生活情報を導出し、
前記学習モデルを用いて導出した前記生活情報を出力する
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記生活情報の出力先は、前記需要者の端末装置及び、前記需要者からの使用量データの利用許諾を条件にサービスを提供するサービス提供者の端末装置の少なくとも一つを含む
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記生活情報の出力先となるサービス提供者は、複数登録されており、
前記複数のサービス提供者と、前記需要者とにおける使用量データの利用許諾に関する対応付けに基づき、前記複数のサービス提供者のうちのいずれかのサービス提供者を抽出し、
抽出した前記いずれかのサービス提供者へ、前記需要者の生活情報を出力する
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
取得した前記使用量データに基づき、所定の地域における複数の前記需要者の在宅率に関する情報を導出し、
導出した前記在宅率に関する情報を、前記所定の地域における流通に関するサービス提供者に出力する
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項9】
取得した前記使用量データに基づき、前記需要者の二酸化炭素排出量を導出し、
前記二酸化炭素排出量に基づき、環境貢献ポイントを導出し、
前記環境貢献ポイントを、流通に関するサービス提供者に対し有効となる金銭的ポイントに変換し、
変換した前記金銭的ポイントを出力する
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項10】
取得した前記使用量データに基づき、前記需要者の行動異常に関する情報を導出し、
導出した前記行動異常に関する情報を安全又は介護に関するサービス提供者に出力する
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項11】
取得した前記使用量データに基づき、所定期間における前記需要者による生活習慣に関する情報を導出し、
導出した前記生活習慣に関する情報を、健康に関するサービス提供者に出力する
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記生活習慣に関する情報は、前記需要者が自炊しているか否かを推定した自炊推定情報を含む
請求項11に記載の情報処理方法。
【請求項13】
コンピュータに、
需要者による電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量に、使用時間帯に関する情報及び、前記需要者を識別する需要者識別情報を関連付けた使用量データを取得し、
取得した前記使用量データに基づき、前記需要者の生活情報を出力し、
取得した前記使用量データに基づき、前記需要者が居住する建物における前記需要者の不在日数を導出し、
前記需要者の不在日数に基づき、前記建物の劣化度に関する情報を導出し、
導出した前記建物の劣化度に関する情報を、前記建物の保険に関するサービス提供者に出力する
処理を実行させるプログラム。
【請求項14】
コンピュータに、
需要者による電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量に、使用時間帯に関する情報及び、前記需要者を識別する需要者識別情報を関連付けた使用量データを取得し、
取得した前記使用量データに基づき、前記需要者の生活情報を出力し、
前記需要者が加入する第1事業体から該需要者の運動データを取得し
前記需要者の運動データ、電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量を入力した場合に、前記需要者の生活パターンを出力するよう学習された第2学習モデルに、前記需要者の運動データ、電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量を入力して、前記生活パターンを出力し、
前記需要者毎に複数の期間にわたる生活パターンを記憶し、
前記需要者が加入する前記第1事業体とは異なる第2事業体の端末装置へ、前記複数の期間にわたる生活パターンを出力する
処理を実行させるプログラム。
【請求項15】
コンピュータに、
需要者による電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量に、使用時間帯に関する情報及び、前記需要者を識別する需要者識別情報を関連付けた使用量データを取得し、
取得した前記使用量データに基づき、前記需要者の生活情報を出力し、
取得した前記使用量データに基づき、前記需要者の行動異常に関する情報、所定の地域ごとにおける複数の前記需要者の在宅率、及び前記需要者が居住する建物の被災状況に関する情報を導出し、
導出した前記行動異常に関する情報、前記所定の地域ごとにおける複数の前記需要者の在宅率及び前記需要者が居住する建物の被災状況に関する情報を、前記地域の自治体に関するサービス提供者に出力する
処理を実行させるプログラム。
【請求項16】
需要者による電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量に、使用時間帯に関する情報及び、前記需要者を識別する需要者識別情報を関連付けた使用量データを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記使用量データに基づき、前記需要者の生活情報を出力する出力部とを備え、
取得した前記使用量データに基づき、前記需要者が居住する建物における前記需要者の不在日数を導出し、
前記需要者の不在日数に基づき、前記建物の劣化度に関する情報を導出し、
導出した前記建物の劣化度に関する情報を、前記建物の保険に関するサービス提供者に出力する
情報処理装置。
【請求項17】
需要者による電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量に、使用時間帯に関する情報及び、前記需要者を識別する需要者識別情報を関連付けた使用量データを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記使用量データに基づき、前記需要者の生活情報を出力する出力部とを備え、
前記需要者が加入する第1事業体から該需要者の運動データを取得し
前記需要者の運動データ、電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量を入力した場合に、前記需要者の生活パターンを出力するよう学習された第2学習モデルに、前記需要者の運動データ、電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量を入力して、前記生活パターンを出力し、
前記需要者毎に複数の期間にわたる生活パターンを記憶し、
前記需要者が加入する前記第1事業体とは異なる第2事業体の端末装置へ、前記複数の期間にわたる生活パターンを出力する
情報処理装置。
【請求項18】
需要者による電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量に、使用時間帯に関する情報及び、前記需要者を識別する需要者識別情報を関連付けた使用量データを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記使用量データに基づき、前記需要者の生活情報を出力する出力部とを備え、
取得した前記使用量データに基づき、前記需要者の行動異常に関する情報、所定の地域ごとにおける複数の前記需要者の在宅率、及び前記需要者が居住する建物の被災状況に関する情報を導出し、
導出した前記行動異常に関する情報、前記所定の地域ごとにおける複数の前記需要者の在宅率及び前記需要者が居住する建物の被災状況に関する情報を、前記地域の自治体に関するサービス提供者に出力する
情報処理装置。
【請求項19】
需要者による電力使用量を出力する電力スマートメータと、
前記需要者によるガス使用量を出力するガススマートメータと、
前記需要者による水道水使用量を出力する水道水スマートメータと、
前記電力スマートメータ、前記ガススマートメータ及び前記水道水スマートメータと通信可能に接続される情報処理装置と
を含む情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記電力スマートメータから、前記電力使用量を取得し、
前記ガススマートメータから、前記ガス使用量を取得し、
前記水道水スマートメータから、前記水道水使用量を取得し、
取得した前記電力使用量、前記ガス使用量及び前記水道水使用量に、使用時間帯に関する情報及び、前記需要者を識別する需要者識別情報を関連付けた使用量データを、自装置からアクセス可能な記憶領域に記憶し、
前記記憶領域に記憶した使用量データに基づき、前記需要者の生活情報を導出し、
前記生活情報を前記需要者の端末装置又は、前記需要者からの使用量データの利用許諾を条件にサービスを提供するサービス提供者の端末装置に出力し、
取得した前記使用量データに基づき、前記需要者が居住する建物における前記需要者の不在日数を導出し、
前記需要者の不在日数に基づき、前記建物の劣化度に関する情報を導出し、
導出した前記建物の劣化度に関する情報を、前記建物の保険に関するサービス提供者に出力する
情報処理システム。
【請求項20】
需要者による電力使用量を出力する電力スマートメータと、
前記需要者によるガス使用量を出力するガススマートメータと、
前記需要者による水道水使用量を出力する水道水スマートメータと、
前記電力スマートメータ、前記ガススマートメータ及び前記水道水スマートメータと通信可能に接続される情報処理装置と
を含む情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記電力スマートメータから、前記電力使用量を取得し、
前記ガススマートメータから、前記ガス使用量を取得し、
前記水道水スマートメータから、前記水道水使用量を取得し、
取得した前記電力使用量、前記ガス使用量及び前記水道水使用量に、使用時間帯に関する情報及び、前記需要者を識別する需要者識別情報を関連付けた使用量データを、自装置からアクセス可能な記憶領域に記憶し、
前記記憶領域に記憶した使用量データに基づき、前記需要者の生活情報を導出し、
前記生活情報を前記需要者の端末装置又は、前記需要者からの使用量データの利用許諾を条件にサービスを提供するサービス提供者の端末装置に出力し、
前記需要者が加入する第1事業体から該需要者の運動データを取得し
前記需要者の運動データ、電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量を入力した場合に、前記需要者の生活パターンを出力するよう学習された第2学習モデルに、前記需要者の運動データ、電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量を入力して、前記生活パターンを出力し、
前記需要者毎に複数の期間にわたる生活パターンを記憶し、
前記需要者が加入する前記第1事業体とは異なる第2事業体の端末装置へ、前記複数の期間にわたる生活パターンを出力する
情報処理システム。
【請求項21】
需要者による電力使用量を出力する電力スマートメータと、
前記需要者によるガス使用量を出力するガススマートメータと、
前記需要者による水道水使用量を出力する水道水スマートメータと、
前記電力スマートメータ、前記ガススマートメータ及び前記水道水スマートメータと通信可能に接続される情報処理装置と
を含む情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記電力スマートメータから、前記電力使用量を取得し、
前記ガススマートメータから、前記ガス使用量を取得し、
前記水道水スマートメータから、前記水道水使用量を取得し、
取得した前記電力使用量、前記ガス使用量及び前記水道水使用量に、使用時間帯に関する情報及び、前記需要者を識別する需要者識別情報を関連付けた使用量データを、自装置からアクセス可能な記憶領域に記憶し、
前記記憶領域に記憶した使用量データに基づき、前記需要者の生活情報を導出し、
前記生活情報を前記需要者の端末装置又は、前記需要者からの使用量データの利用許諾を条件にサービスを提供するサービス提供者の端末装置に出力し、
取得した前記使用量データに基づき、前記需要者の行動異常に関する情報、所定の地域ごとにおける複数の前記需要者の在宅率、及び前記需要者が居住する建物の被災状況に関する情報を導出し、
導出した前記行動異常に関する情報、前記所定の地域ごとにおける複数の前記需要者の在宅率及び前記需要者が居住する建物の被災状況に関する情報を、前記地域の自治体に関するサービス提供者に出力する
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、プログラム、情報処理装置及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガス・電気・水道等のユーティリティ供給会社とは異なる管理システム運用会社が個人情報を扱うことなくメータ監視を行うことを可能とするエネルギーデータベースシステムが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-173691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムは、ガス、電気及び水道の使用量に基づき、これらガス、電気及び水道を使用する需要者の生活情報を導出する点については、考慮されていない。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、ガス、電気及び水道の使用量に基づき、需要者の生活情報を効率的に出力する情報処理方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、需要者による電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量に、使用時間帯に関する情報及び、前記需要者を識別する需要者識別情報を関連付けた使用量データを取得し、取得した前記使用量データに基づき、前記需要者の生活情報を出力する。
【0007】
本開示の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、需要者による電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量に、使用時間帯に関する情報及び、前記需要者を識別する需要者識別情報を関連付けた使用量データを取得し、取得した前記使用量データに基づき、前記需要者の生活情報を出力する処理を実行させる。
【0008】
本開示の一態様に係る情報処理装置は、需要者による電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量に、使用時間帯に関する情報及び、前記需要者を識別する需要者識別情報を関連付けた使用量データを取得する取得部と、前記取得部が取得した前記使用量データに基づき、前記需要者の生活情報を出力する出力部とを備える。
【0009】
本開示の一態様に係る情報処理システムは、需要者による電力使用量を出力する電力スマートメータと、前記需要者によるガス使用量を出力するガススマートメータと、前記需要者による水道水使用量を出力する水道水スマートメータと、前記電力スマートメータ、前記ガススマートメータ及び前記水道水スマートメータと通信可能に接続される情報処理装置とを含む情報処理システムであって、前記情報処理装置は、前記電力スマートメータから、前記電力使用量を取得し、前記ガススマートメータから、前記ガス使用量を取得し、前記水道水スマートメータから、前記水道水使用量を取得し、取得した前記電力使用量、前記ガス使用量及び前記水道水使用量に、使用時間帯に関する情報及び、前記需要者を識別する需要者識別情報を関連付けた使用量データを、自装置からアクセス可能な記憶領域に記憶し、前記記憶領域に記憶した使用量データに基づき、前記需要者の生活情報を導出し、前記生活情報を前記需要者の端末装置又は、前記需要者からの使用量データの利用許諾を条件にサービスを提供するサービス提供者の端末装置に出力する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様によれば、ガス、電気及び水道の使用量に基づき、需要者の生活情報を効率的に出力する情報処理方法等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態1に係る情報処理システムの概要を示す説明図である。
図2】情報処理装置等の構成例を示すブロック図である。
図3】需要者マスタテーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。
図4】使用量テーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。
図5】情報処理装置の制御部に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。
図6】学習モデルの生成処理に関する説明図である。
図7】情報処理装置の制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
図8】実施形態2に係る情報処理装置の制御部に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。
図9】情報処理装置の制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
図10】実施形態3に係る情報処理装置の制御部に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。
図11】ポイント変換テーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。
図12】情報処理装置の制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
図13】実施形態4に係る情報処理装置の制御部に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。
図14】情報処理装置の制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
図15】実施形態5に係る情報処理装置の制御部に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。
図16】情報処理装置の制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
図17】実施形態6に係る情報処理装置の制御部に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。
図18】第2学習モデルの生成処理に関する説明図である。
図19】情報処理装置の制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
図20】実施形態7に係る情報処理装置の制御部に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。
図21】情報処理装置の制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
図22】実施形態1から7に係る許諾情報の送信画面の一例を説明する図である。
図23】需要者側端末装置の制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。本開示の実施形態に係る情報処理装置1等を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0013】
(実施形態1)
以下、本開示に関し、実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。図1は、実施形態1に係る情報処理システムSの概要を示す説明図である。図2は、情報処理装置1等の構成例を示すブロック図である。情報処理システムSは、需要者の建物Hに設けられる電力スマートメータ(Eスマートメータ)H1、ガススマートメータH2(Gスマートメータ)及び水道水スマートメータ(Aスマートメータ)H3と、これらスマートメータから出力される電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量を含む使用量データを取得し、記憶する情報処理装置1とを含む。情報処理装置1は、例えばインターネット等の外部ネットワークNを介して、サービス提供者の端末装置(サービス提供者側端末装置T2)及び、需要者の端末装置(需要者側端末装置T1)と通信可能に接続されており、情報処理装置1から出力された情報は、これら端末装置の表示部に表示される。
【0014】
サービス提供者に対しては、それぞれの需要者によって、当該需要者の使用量データの利用許諾の有無が、設定されている。サービス提供者は、需要者からの使用量データの利用許諾を条件に、当該需要者に種々のサービスを提供する。サービス提供者は、例えば、保険サービス提供者(保険業者)、流通サービス提供者(流通業者)、介護サービス提供者(介護業者)、安全サービス提供者(セキュリティ業者)、健康サービス提供者(健康関連業者、健康保険組合)、及び行政サービスを行う自治体を含む。当該サービス提供者は、これらに限定されず、金融サービス提供者(銀行、信用金庫)、輸送サービス提供者(宅配業者)、テナントサービス提供者、建物管理サービス提供者、不動産業者、広告代理業者、及び決済サービス提供者を含むものであってもよい。
【0015】
複数の需要者ごとに、建物Hに設けられる電力スマートメータH1、ガススマートメータH2及び水道水スマートメータH3から出力される使用量データには、当該需要者を識別するための識別情報(需要者ID)が含まれ又は、関連付けられている。従って、情報処理装置1は、これらスマートメータから出力された電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量を含む使用量データを、当該使用量データに関連付けされている需要者IDに基づき、自装置の記憶部3に記憶されるデータベース(使用量テーブル32)に登録することができる。
【0016】
情報処理装置1は、取得した使用量データに基づき、需要者の生活情報を生成し、生成した生活情報を、サービス提供者側端末装置T2、需要者側端末装置T1又は、両端末装置に出力する。当該生活情報は、後述するが、需要者が居住する建物Hの劣化度、需要者の在宅率等の在否情報、二酸化炭素排出量、行動異常、生活習慣、生活パターン、地域別在宅率、及び自然災害等における被災状況に関する情報のうち、1つ以上を含む。
【0017】
情報処理装置1は、例えば、使用量データを入力した場合、生活情報を出力するように学習された学習モデル221を用いて、使用量データに基づき生活情報を導出するものであってもよい。情報処理装置1は、外部ネットワークNを介して、使用量データとは異なる外部データ(気象データ、物件データ又は、需要者の運動データ等)を保持する外部データサーバGと通信可能に接続されている。情報処理装置1は、生活情報を生成するにあたり、必要に応じて外部データサーバGから、これら外部データを取得し、取得した外部データ及び使用量データに基づき、生活情報を生成するものであってもよい。
【0018】
情報処理装置1は、建物Hの住居人である需要者の需要者側端末装置T1から、当該需要者により使用量データの利用許諾に関する情報(利用許諾データ)を取得し、自装置の記憶部3に記憶されるデータベース(需要者マスタテーブル31)に登録する。当該利用許諾データは、個々のサービス提供者に対して個別に登録されるものとなり、従って、需要者は、自身の使用量データを、いずれのサービス提供者に対し、利用許諾するかを個別に設定(登録)することができる。需要者マスタテーブル31の詳細は後述するが、各需要者からの利用許諾の有無に基づき、各需要者の建物Hの各スマートメータから取得した使用量データの取り扱いにおいて、利用許諾有の需要者の使用量データと、利用許諾無の需要者の使用量データとを区別又は差別化して処理することができる。情報処理装置1は、利用許諾の有無に応じた使用量データの取り扱いの差異に基づき、サービス提供者側端末装置T2へ出力する生活情報の内容を異ならせるものであってもよい。情報処理装置1は、出力する生活情報に利用許諾が無い需要者の使用量データが含まれる場合、当該生活情報において利用許諾が無い需要者が特定されないように、例えば、当該生活情報を統計情報又は傾向情報に加工して、当該加工した生活情報を出力するものであってもよい。
【0019】
情報処理装置1は、利用許諾の有無に応じて、需要者それぞれに対し、当該需要者の需要者側端末装置T1へ出力する内容を異ならせるものであってもよい。すなわち、利用許諾の有無に応じて、出力される内容は、異なるものであってもよい。情報処理装置1は、更に、利用許諾の有無に応じて、需要者それぞれに対し、例えば、電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量の課金に対し有効となる金銭的なポイント等を付与するものであってもよい。
【0020】
情報処理装置1は、電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量を、例えば基地局Kを介して電力スマートメータH1、ガススマートメータH2及び水道水スマートメータH3から直接、取得する場合に限定されず、電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量のうち1つ以上を、電力、ガス及び水道水の供給を行うそれぞれの事業者におけるデータサーバを経由して取得するものであってもよい。
【0021】
建物Hは、例えば需要者の戸建又は集合住宅による住居等の建造物である。又は、建物Hは、ホテル、飲食店、事務所用ビル、テナントビル、工場又は倉庫等の商業施設であってもよい。電力スマートメータH1は、電力使用量を計測し、無線又は有線通信機能を備えた電力メータであり、需要者の建物Hにおける電力使用量を検出し、出力する。ガススマートメータH2は、ガス使用量を計測し、無線又は有線通信機能を備えたガスメータであり、需要者の建物Hにおけるガス使用量を検出し、出力する。水道水スマートメータH3は、水道水使用量を計測し、無線又は有線通信機能を備えた水道水メータであり、需要者の建物Hにおける水道水使用量を検出し、出力する。
【0022】
電力スマートメータH1、ガススマートメータH2及び水道水スマートメータH3は、別個の装置として構成されている場合に限定されない。電力スマートメータH1と、ガスメータ等のガス使用量検出装置、水道メータ等の水道水使用量検出装置とは、有線又は無線により通信可能に接続されており、電力スマートメータH1が、ガス使用量検出装置及び水道水使用量検出装置から出力されたガス使用量、水道水使用量を取得し、電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量と、需要者ID等の識別子と関連付けて、出力(送信)するものであってもよい。電力スマートメータH1、ガススマートメータH2及び水道水スマートメータH3は、電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量を出力するにあたり、各使用量と、使用した時間帯を関連付けて、出力するものであってもよい。
【0023】
需要者側端末装置T1は、例えばパーソナルコンピュータ、タブレットPC又はスマートホン等の携帯端末装置によって構成される。需要者側端末装置T1は、情報処理装置1と同様に制御部T11、記憶部T12及び通信部T13を備え、更にディスプレイ等の表示部T14を備える。需要者側端末装置T1は、通信部T13を介して、情報処理装置1と通信可能に構成されている。需要者側端末装置T1の表示部T14には、情報処理装置1から出力された生活情報が表示される。
【0024】
サービス提供者側端末装置T2は、例えばパーソナルコンピュータ、タブレットPC又はスマートホン等の携帯端末装置によって構成される。サービス提供者側端末装置T2は、需要者側端末装置T1と同様に制御部(図示せず)、記憶部(図示せず)、通信部(図示せず)及び表示部(図示せず)を備える。サービス提供者側端末装置T2は、通信部(図示せず)を介して、情報処理装置1と通信可能に構成されている。サービス提供者側端末装置T2の表示部(図示せず)には、情報処理装置1から出力された生活情報が表示される。
【0025】
個々のサービス提供者に応じて、サービス提供者側端末装置T2は、異なる端末装置となり、情報処理装置1は、予め登録されている個々のサービス提供者と、当該サービス提供者が用いるサービス提供者側端末装置T2の識別番号とを関連づけて、自装置の記憶部3に記憶して保存及び管理している。又は、個々のサービス提供者に対し、ログインID等の認証情報が割り当てられており、個々のサービス提供者は、当該認証情報を用いて、自身のサービス提供者側端末装置T2を介して、情報処理装置1にアクセスするものであってもよい。
【0026】
外部データサーバGは、インターネット等の外部ネットワークNに接続されるクラウドサーバ等のサーバ装置である。外部データサーバGは、例えば気象データ、物件データ、地図情報、行政統計データ、需要者の運動データ等の外部データを保持しており、情報処理装置1は、外部データサーバGから、これら外部データを取得することができる。本実施形態において、外部データサーバGは単一にて例示してあるが、これに限定されず、当該外部データサーバGは、外部データの種類に応じて、異なる複数の外部データサーバGを含むものであることは、言うまでもない。
【0027】
情報処理装置1は、種々の情報処理、情報の送受信が可能なコンピュータであり、例えばサーバ装置、パーソナルコンピュータ等である。サーバ装置は、単体のサーバ装置のみならず、複数台のコンピュータによって構成されるクラウドサーバ装置、又は仮想サーバ装置を含む。情報処理装置1は、制御部2、通信部4及び記憶部3を含む。
【0028】
制御部2は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の計時機能を備えた演算処理装置を有し、記憶部3に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、情報処理装置1に係る種々の情報処理、制御処理等を行う。
【0029】
記憶部3は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の揮発性記憶領域及び、EEPROM又はハードディスク等の不揮発性記憶領域を含む。記憶部3には、プログラム及び処理時に参照するデータが予め記憶してある。記憶部3に記憶されたプログラムは、情報処理装置1が読み取り可能な記録媒体(図示せず)から読み出されたプログラムを記憶したものであってもよい。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部コンピュータからプログラムをダウンロードし、記憶部3に記憶させたものであってもよい。記憶部3には、使用量データ等を保存及び管理するデータベース(需要者マスタテーブル31、使用量テーブル32)が記憶されている。記憶部3には、学習済みモデルを構成する実体ファイルが保存されている。当該実体ファイルは、プログラムの一部位として構成されるものであってもよい。
【0030】
通信部4は、有線又は無線により、各スマートメータ、需要者側端末装置T1又はサービス提供者側端末装置T2と通信するための通信モジュール又は通信インターフェイスであり、例えばWi-Fi(登録商標)、 Bluetooth(登録商標)等の狭域無線通信モジュール、又は4G、5G等の広域無線通信モジュールである。制御部2は、通信部4を介し、例えばインターネット等の外部ネットワークNを通じて、各スマートメータ、需要者側端末装置T1及びサービス提供者側端末装置T2と通信する。
【0031】
このように構成された情報処理装置1には、電力スマートメータH1、ガススマートメータH2及び、水道水スマートメータH3から出力(送信)された電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量と、需要者ID等の識別子とが、関連付けられて、記憶される。すなわち、情報処理装置1は、これら使用量データを保存及び管理するデータベースサーバとして機能を有することにより、当該データベースサーバを核としたエネルギーマネージメント分野における情報銀行等の設立又は、情報銀行等の一部の機能を担うことができる。情報処理装置1は、BI(ビジネスインテリジェンス)サーバとしての機能を有し、当該機能に含まれるドリルダウン、スライシング、ダイシング等によって、取得した使用量データを分析するものであってもよい。本実施形態においては、情報処理装置1は、使用量データを保持する情報銀行を含むものとしているがこれに限定されない。使用量データを保持する情報銀行は他のサーバ装置によって担われ、情報処理装置1は、当該他のサーバ装置から、需要者の利用許諾を得た使用量データを取得するものであってもよい。
【0032】
図3は、需要者マスタテーブル31のデータレイアウトを例示する説明図である。図4は、使用量テーブル32のデータレイアウトを例示する説明図である。需要者マスタテーブル31及び使用量テーブル32は、情報処理装置1の記憶部3に記憶されており、情報処理装置1に実装されているRDBMS(Relational DataBase Management System)等のデータベース管理ソフトウェアにより構成される。
【0033】
需要者マスタテーブル31にて管理される項目の種類(メタデータ)は、例えば、需要者ID、氏名、住所、家族構成、建物区分、電力契約番号、ガス契約番号、水道契約番号、及び利用許諾したサービス提供会社を含む。
【0034】
需要者IDの項目(フィールド)には、需要者を識別するための識別番号が、格納される。氏名の項目(フィールド)には、需要者の氏名が格納される。住所の項目(フィールド)には、需要者の建物Hの所在地が格納される。家族構成の項目(フィールド)には、家族の人数が格納される。更に、家族構成の項目(フィールド)には、年齢構成、男女比率、国籍、要介護状態等区分及び障害支援区分等が、格納されるものであってもよい。
【0035】
建物区分の項目(フィールド)には、需要者の建物区分が格納される。当該建物区分は、例えば、戸建、集合住宅、二世代住宅、鉄筋、木造、分譲、賃貸等の建物Hの種類を示す情報を含む。更に建物区分は、例えば、熱損失係数(Q値)、外皮平均熱貫流率(UA値)及び、相当すき間面積(C値)等の建物における高気密高断熱を示す指標値を含むものであってもよい。情報処理システムSは、使用量データを分析又は解析して、生活情報を導出するにあたり、このような機微に亘る情報を含む建物区分を加味することにより、当該生活情報の精度を向上させることができる。
【0036】
電力契約番号の項目(フィールド)には、需要者が契約している電力小売り事業者との契約番号が格納される。ガス契約番号の項目(フィールド)には、需要者が契約しているガス小売り事業者との契約番号が格納される。水道契約番号の項目(フィールド)には、需要者が契約している水道事業者との契約番号が格納される。これら契約番号と、需要者IDとを関連付けて管理することにより、各スマートメータから出力された電力、ガス及び水道水の使用量を効率的に関連付けて、使用量データを保存することができる。
【0037】
利用許諾したサービス提供会社の項目(フィールド)には、それぞれの需要者における使用量データの利用許諾の有無に関する情報(利用許諾データ)が格納される。すなわち、需要者が、自身の使用量データの利用許諾を行ったサービス提供会社の名称等が格納される。
【0038】
複数存在するサービス提供会社の内、需要者は、自身の趣向等に沿ったいずれかのサービス提供会社に対し、自身の使用量データの利用許諾を行うことにより、当該使用量データに基づく個人データの利用制限を適切に行うことができる。情報処理装置1において、需要者からの許諾をもって設定される利用許諾データは、当該需要者による使用量データと関連付けられて記憶されることにより、利用許諾の有無に応じて当該使用量データを峻別して管理でき、需要者に係る個人情報の保護を効率的に行うことができる。
【0039】
使用量テーブル32にて管理される項目の種類(メタデータ)は、例えば、需要者ID、使用期間、電力使用量、ガス使用量、及び水道使用量を含む。需要者IDの項目(フィールド)には、需要者マスタテーブル31と同様に、需要者を識別するための識別番号が格納され、当該需要者IDによって使用量テーブル32は、正規化される。
【0040】
使用期間の項目(フィールド)には、電力、ガス及び水道水の使用量を測定する上で定められる単位時間の時間帯を示す時刻情報が格納される。当該単位時間は、例えば30分単位に設定することにより、1日において、48の時間帯に区分された各時間帯が、定義される。本実施形態の図示のとおり、使用期間の項目は、年月日のサブ項目と、時間帯のサブ項目とを含むものであってもよい。
【0041】
電力使用量の項目(フィールド)には、各使用期間において使用された電力量の合計値が格納される。ガス使用量の項目(フィールド)には、各使用期間において使用されたガスの使用量の合計値が格納される。水道使用量の項目(フィールド)には、各使用期間において使用された水道水の使用量の合計値が格納される。このように単位時間ごとの使用期間における電力、ガス及び水道水のそれぞれの使用量を関連付けて保存することにより、各需要者における所定期間におけるこれら使用量を、当該所定期間に含まれる単位時間ごと時間帯によって、マトリックス形式(縦軸:時間帯、横軸:各使用量)のデータにて保存、検索及び抽出することができる。
【0042】
図5は、情報処理装置1の制御部2に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。情報処理装置1の制御部2は、記憶部3に記憶されているプログラムを実行することにより、需要者マスタテーブル31又は使用量テーブル32にデータを登録する登録系機能部として機能する。登録系機能部は、使用量データ取得部201、及び利用許諾データ取得部202を含む。
【0043】
使用量データ取得部201は、需要者の建物Hに設けられた電力スマートメータH1、ガススマートメータH2及び水道水スマートメータH3から出力された使用量データを取得し、使用量データに含まれ、又は関連付けられている需要者IDに基づき、取得した使用量データを、記憶部3に記憶されている使用量テーブル32の各フィールドに格納する。
【0044】
利用許諾データ取得部202は、例えば需要者側端末装置T1から送信された利用許諾データを取得し、当該利用許諾データに含まれ、又は関連付けられている需要者IDに基づき、記憶部3に記憶されている需要者マスタテーブル31の利用許諾したサービス提供会社の項目(フィールド)に格納されている利用許諾に関する情報(利用許諾データ)を変更する。利用許諾の設定(登録、変更及び抹消)の詳細は、後述する。
【0045】
情報処理装置1の制御部2は、記憶部3に記憶されているプログラムを実行することにより、需要者側端末装置T1又はサービス提供者側端末装置T2に生活情報を出力する出力系機能部として機能する。出力系機能部は、対象需要者特定部203、使用量データ抽出部204、在宅率導出部205、不在日数導出部206、劣化度導出部207を含む。
【0046】
対象需要者特定部203は、出力する生活情報の対象となる需要者を特定するための情報(対象需要者情報)を、例えばサービス提供者側端末装置T2から送信された要求内容に基づき、生成し出力する。生活情報の対象となる需要者を特定するための情報とは、例えば、当該需要者をピンポイントで特定するための需要者ID、所定の地域に住む多数の需要者を特定するための地理情報、戸建又は集合住宅等に居住する需要者を特定するための建物区分を含む。更に、当該需要者を特定するにあたり、対象となる使用期間を対象需要者情報に付随させて、特定するものであってもよい。
【0047】
使用量データ抽出部204は、対象需要者特定部203から出力された対象需要者情報に基づき、需要者マスタテーブル31及び使用量テーブル32を検索し、当該対象需要者情報に対応する使用量データを抽出する。
【0048】
在宅率導出部205は、使用量データ抽出部204が抽出した使用量データに基づき、各需要者の建物Hにおける在宅率を導出する。在宅率導出部205は、ある使用期間における電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量のいずれか単体または2つ以上の組み合わせ、または電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量の全て、または電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量の和が、予め定めた所定値以下である場合、需要者は、当該使用期間において不在であると判定するものであってもよい。在宅率導出部205は、需要者の在宅又は不在による在否の判定結果に基づき、所定期間における当該需要者の在宅率を導出する。
【0049】
不在日数導出部206は、使用量データ抽出部204が抽出した使用量データに基づき、在宅率導出部205と同様に在否の判定を行い、各需要者の建物Hにおける不在日数を導出する。不在日数導出部206は、例えば、所定期間における需要者の連続不在日数を導出するものであってもよい。
【0050】
劣化度導出部207は、在宅率導出部205及び/又は不在日数導出部206が導出した在宅率、又は不在日数(連続不在日数)に基づき、当該判定結果の対象となった需要者の建物Hの劣化度に関する情報を導出する。劣化度導出部207は、例えば、在宅率が低くなるにつれ、劣化度として低評価となるように出力するものであってもよい。劣化度導出部207は、例えば、連続不在日数が大きくなるにつれ、劣化度の値を大きくして、すなわち劣化度(物件評価)として低評価となるように出力するものであってもよい。住居等の建物Hは、居住者がおらず留守宅となると老朽化が進行する傾向にあるところ、このように需要者の在否に関する推定情報を用いることにより、建物Hの劣化度を効率的に導出することができる。
【0051】
劣化度導出部207は、更に建物Hの築年数、地域、又は当該地域の気候を加味して、劣化度を導出してもよい。すなわち、劣化度導出部207は、外部データサーバGから、気象データ又は物件データ等の外部データを取得し、取得した外部データを加味して、需要者の在否に関する推定情報に基づき、劣化度を導出するものであってもよい。当該物件データは、当該建物Hの不動産業者等が管理する外部データサーバGに保存されているものであってもよい。一般的に建物Hの築年数に応じて物件評価は異なるものとなるところ、劣化度導出部207は、当該築年数に基づき定められる係数を加味して、建物Hの劣化度を導出するものであってもよい。需要者が不在にしていた期間が、例えば、豪雪又は台風等の悪天候の場合、建物Hの劣化進行は増加することが想定されるものであり、需要者が不在にしていた期間の天候を加味して建物Hの劣化度を導出するものであってもよい。劣化度導出部207は、連続不在日数が同じ場合であっても、当該不在期間が悪天候の場合の劣化度は、当該不在期間が好天候の場合の劣化度よりも大きい値として、導出するものであってもよい。劣化度導出部207は、過去から現時点までにおける在宅率又は不在日数に基づき導出した劣化度に関する情報を用いて、現時点より未来、すなわち将来の劣化度に関する情報を推定するものであってもよい。
【0052】
図6は、学習モデル221の生成処理に関する説明図である。本実施形態において、情報処理装置1は、在否に関する情報を導出する在宅率導出部205及び不在日数導出部206と、劣化度導出部207とを用いて、生活情報である劣化度を導出するとしたが、これに限定されない。情報処理装置1は、在宅率導出部205、不在日数導出部206及び劣化度導出部207に替えて、使用量データを入力された場合、劣化度(生活情報)を出力するように学習された学習モデル221を用いて、劣化度(生活情報)を導出するものであってもよい。
【0053】
情報処理装置1は、取得した使用量データ、すなわち電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量を問題データとし、劣化度を回答データとする教師データに基づき学習することで、当該使用量データを入力とし、劣化度を出力とするニューラルネットワークを構築(生成)する。情報処理装置1の制御部2は、記憶部3に記憶されているプログラムを実行することにより、学習モデル221として機能する。このような教師データは、大量の物件における電力、ガス及び水道水の使用量データに基づき、例えば不動産鑑定の見識者等により判定された個々の物件に対する劣化度を付与(ラベル付け)することにより、作成することができる。情報処理装置1は、上述の問題データに更に、建物Hの築年数、地域、又は当該地域の気候を加えたものであってもよい。
【0054】
教師データを用いて学習されたニューラルネットワーク(学習モデル221)は、人工知能ソフトウェアの一部であるプログラムモジュールとして利用が想定される。学習モデル221は、上述のごとく制御部2(CPU等)及び記憶部3を備える情報処理装置1にて用いられるものであり、このように演算処理能力を有する情報処理装置1にて実行されることにより、ニューラルネットワークシステムが構成される。すなわち、情報処理装置1の制御部2が、記憶部3に記憶された学習モデル221からの指令に従って入力層に入力された使用量データの特徴量を抽出する演算を行い、出力層から劣化度を出力するように動作する。
【0055】
入力層に入力された使用量データは、例えば、縦軸を時刻、すなわち電力、ガス及び水道水が使用された時間帯を示す複数の時刻又は時点とし、横軸をこれら電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量としたマトリックス形式のデータとするものであってもよい。このように使用量データを、複数の時点を含む例えば、1年分の所定期間の電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量によるマトリックス形式のデータとすることにより、ニューラルネットワークとして、例えばCNN(Convolution Neural Network)を用いることができる。例えばCNNを用いたニューラルネットワークは、マトリックス形式の使用量データの入力を受け付ける入力層と、劣化度を出力とする出力層と、当該使用量データの特徴量を抽出する中間層とを有する。
【0056】
入力層は、使用量データに含まれるそれぞれの使用量の値の入力を受け付ける複数のニューロンを有し、入力された値を中間層に受け渡す。中間層は、例えばコンボリューション層及びプーリング層を含み、それぞれの使用量の特徴量を抽出する複数のニューロンを有し、抽出した特徴量を出力層に受け渡す。出力層は、例えば全結合層により構成され、中間層から出力された特徴量に基づいて劣化度を出力する。学習モデル221から出力される劣化度は、上述の劣化度導出部207と同様に、当該建物Hの劣化度と同様のものであってもよい。
【0057】
なお、本実施形態では学習モデル221がCNNであるものとして説明するが、学習モデル221はCNNに限定されず、CNN以外のニューラルネットワーク、RNN(Recurrent Neural Network),LSTM(Long-short term model)、SVM(Support Vector Machine)、ベイジアンネットワーク、回帰木など、他の学習アルゴリズムで構築された学習モデル221であってよい。学習モデル221は、教師なし学習又は強化学習によって学習されるものであってもよい。
【0058】
図7は、情報処理装置1の制御部2による処理手順の一例を示すフローチャートである。情報処理装置1の制御部2は、例えば、情報処理装置1と通信可能に接続された需要者側端末装置T1又はサービス提供者側端末装置T2から送信された要求内容に基づき、当該フローチャートの処理を開始する。
【0059】
情報処理装置1の制御部2は、物件評価に関する情報の対象となる需要者を特定するための対象需要者情報を取得する(S101)。情報処理装置1の制御部2は、需要者側端末装置T1又はサービス提供者側端末装置T2から、例えば需要者を特定する氏名、家族構成、建物区分、又は需要者の建物Hが位置する地域名称(住所)等の対象需要者情報を取得する。
【0060】
情報処理装置1の制御部2は、取得した対象需要者情報に基づき、対象需要者情報の使用量データを取得する(S102)。情報処理装置1の制御部2は、対象需要者情報に基づき、記憶部3に記憶されている需要者マスタテーブル31及び使用量テーブル32を検索し、当該対象需要者情報の使用量データを取得する。対象需要者情報に使用期間に関する情報が含まれている場合、情報処理装置1の制御部2は、当該使用期間における使用量データを取得するものであってもよい。需要者マスタテーブル31及び使用量テーブル32は、自装置である情報処理装置1の記憶部3に記憶されている場合に限定されず、需要者マスタテーブル31及び使用量テーブル32は、情報処理装置1からアクセス可能なストレージサーバ等に記憶されており、情報処理装置1は、当該ストレージサーバにアクセスして需要者マスタテーブル31及び使用量テーブル32を参照するものであってもよい。
【0061】
情報処理装置1の制御部2は、取得した使用量データに基づき、対象需要者の在否に関する情報を導出する(S103)。対象需要者の在否に関する情報は、例えば、前述した在宅率導出部205又は不在日数導出部206によって得られた所定期間における在宅率又は不在日数(連続不在日数)を含む。
【0062】
情報処理装置1の制御部2は、導出した在否に関する情報に基づき、需要者が居住する建物Hの劣化度を導出する(S104)。情報処理装置1の制御部2は、在宅率、不在日数(連続不在日数)又は、在宅率及び不在日数に基づき、当該判定結果の対象となった需要者の建物Hの劣化度に関する情報を導出する。
【0063】
情報処理装置1の制御部2は、建物Hの劣化度情報をサービス提供者(一例として保険サービス提供者)に出力する(S105)。情報処理装置1の制御部2は、劣化度に関する情報を、保険サービス提供者のサービス提供者側端末装置T2に出力(送信)する。情報処理装置1の制御部2は、当該劣化度に関する情報を、更に需要者側端末装置T1に出力(送信)するものであってもよい。需要者側端末装置T1又はサービス提供者側端末装置T2は、情報処理装置1から取得(受信)した劣化度を自装置のディスプレイ等の表示部に表示する。保険サービス提供者のサービス提供者側端末装置T2は、取得(受信)した建物Hの劣化度に関する情報に基づき、当該建物Hの損害保険の掛け金等の契約条件を導出し、導出した契約条件を当該建物Hの需要者の需要者側端末装置T1に出力してもよい。
【0064】
本実施形態によれば、情報処理装置1に蓄積された各需要者の使用量データ(電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量)に基づき、劣化度に関する情報を含む生活情報を導出し、当該生活情報を需要者側端末装置T1又はサービス提供者側端末装置T2に出力することにより、需要者又は保険サービス提供者に有益な情報を提供することができる。
【0065】
(実施形態2)
図8は、実施形態2に係る情報処理装置1の制御部2に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。情報処理装置1の制御部2は、実施形態1と同様に記憶部3に記憶されているプログラムを実行することにより、各機能部として機能する。
【0066】
在宅率導出部205は、実施形態1と同様に、使用量データ抽出部204が抽出した使用量データに基づき、各需要者の建物Hにおける在宅率を導出する。対象需要者特定部203による需要者の特定が、例えば、当該需要者の住所によって行われ、所定の地域に含まれる複数の建物Hの需要者が特定される場合、在宅率導出部205は、当該地域における需要者の在宅率の平均値を導出するものであってもよい。当該所定の地域は、例えば、後述する流通サービス提供者の店舗が設けられている場所を含む地域である。
【0067】
在宅率導出部205は、使用量データに関連付けられている使用時間に基づき、例えば、曜日単位又は時間帯ごとの在宅率を導出するものであってもよい。在宅率導出部205は、外部サーバから気象データを取得し、日々の気象状態(天候、気温)と、当該日の在宅率とを関連付けた気象特性を加味した在宅率を導出するものであってもよい。在宅率導出部205は、導出した在宅率に関する情報を、流通サービス提供者等のサービス提供者側端末装置T2に出力する。
【0068】
図9は、情報処理装置1の制御部2による処理手順の一例を示すフローチャートである。情報処理装置1の制御部2は、例えば、情報処理装置1と通信可能に接続されたサービス提供者側端末装置T2から送信された要求内容に基づき、当該フローチャートの処理を開始する。
【0069】
情報処理装置1の制御部2は、物件評価に関する情報の対象となる需要者を特定するための対象需要者情報を取得する(S201)。情報処理装置1の制御部2は、取得した対象需要者情報に基づき、対象需要者情報の使用量データを取得する(S202)。情報処理装置1の制御部2は、実施形態1の処理S101からS102と同様にS201からS202の処理を行う。
【0070】
情報処理装置1の制御部2は、取得した使用量データに基づき、対象需要者の在宅率に関する情報を導出する(S203)。情報処理装置1の制御部2は、取得した使用量データに基づき、例えば、所定の地域に含まれる複数の建物Hの需要者の在宅率の平均値を導出する。
【0071】
情報処理装置1の制御部2は、導出した在宅率に関する情報をサービス提供者(一例として流通サービス提供者)に出力する(S204)。情報処理装置1の制御部2は、在宅率に関する情報を、流通サービス提供者のサービス提供者側端末装置T2に出力(送信)する。情報処理装置1の制御部2は、当該在宅率に関する情報を、更に需要者側端末装置T1に出力(送信)するものであってもよい。需要者側端末装置T1又はサービス提供者側端末装置T2は、情報処理装置1から取得(受信)した在宅率に関する情報を自装置のディスプレイ等の表示部に表示する。流通サービス提供者のサービス提供者側端末装置T2は、取得(受信)した在宅率に関する情報に基づき、例えば、お得な買い物情報を導出し、導出したお得な買い物情報を、当該在宅率の対象となる地域の需要者の需要者側端末装置T1に出力してもよい。
【0072】
(実施形態3)
図10は、実施形態3に係る情報処理装置1の制御部2に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。図11は、ポイント変換テーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。情報処理装置1の制御部2は、実施形態1と同様に記憶部3に記憶されているプログラムを実行することにより、各機能部として機能する。情報処理装置1の制御部2は、記憶部3に記憶されているプログラムを実行することにより、更に二酸化炭素排出量導出部208及びポイント変換部209として機能する。
【0073】
二酸化炭素排出量導出部208は、建物Hにおける使用量データに基づき、当該建物Hの需要者による電力、ガス及び水道水の使用に関連して排出された二酸化炭素量(二酸化炭素排出量)を導出する。電力及びガスによる二酸化炭素排出量は、使用する化石燃料等に応じたCO2排出係数によって算出されるものであってもよい。水道水によって排出された二酸化炭素量は、例えば、水道事業ガイドラインによって定められる基準「水道水が1立方メートルあたり270gの二酸化炭素量が排出」を用いるものであってもよい。二酸化炭素排出量導出部208は、導出した二酸化炭素量を、建物Hを管理する不動産業者等のサービス提供者側端末装置T2、又は当該建物Hに居住する需要者の需要者側端末装置T1に出力するものであってもよい。
【0074】
ポイント変換部209は、二酸化炭素排出量導出部208が導出した二酸化炭素排出量に基づき、流通サービス提供者に対し有効となる金銭的ポイントに変換し、当該金銭的ポイントを需要者に付与する。ポイント変換部209は、例えば、二酸化炭素排出量が少ないほど、付与する金銭的ポイントが多くなるようにポイント変換するものであってもよい。当該ポイント変換に関する算式又は変換係数は、例えば、記憶部3に記憶されているポイント変換テーブルにて予め定義されており、ポイント変換部209は、当該ポイント変換テーブルを参照することにより、二酸化炭素排出量を金銭的ポイントに変換するものであってもよい。ポイント変換テーブルは、本実施形態における図示のとおり、在宅率及び二酸化炭素排出量に基づき、ポイント変換を定めるものであってもよい。すなわち、同じ二酸化炭素排出量に対し、在宅率が高いほど、付与する金銭的ポイントが多くなるようにポイント変換するものであってもよい。当該例示のポイント変換テーブルにおいて、マトリックス状に表示されるセルに含まれる値は、在宅率及び二酸化炭素排出量に基づき、付与されるポイントである。在宅率が高い需要者ほど、流通サービス提供者にとって優良顧客となる傾向にあり、このように在宅率が高い需要者に金銭的ポイントを付与することにより、当該流通サービス提供者に対する購買意欲を喚起させることができる。
【0075】
図12は、情報処理装置1の制御部2による処理手順の一例を示すフローチャートである。情報処理装置1の制御部2は、例えば、情報処理装置1と通信可能に接続された需要者側端末装置T1から送信された要求内容に基づき、当該フローチャートの処理を開始する。
【0076】
情報処理装置1の制御部2は、対象となる需要者を特定するための対象需要者情報を取得する(S301)。情報処理装置1の制御部2は、取得した対象需要者情報に基づき、対象需要者情報の使用量データを取得する(S302)。情報処理装置1の制御部2は、実施形態1の処理S101からS102と同様にS301からS302の処理を行う。
【0077】
情報処理装置1の制御部2は、取得した使用量データに基づき、二酸化炭素排出量を導出する(S303)。情報処理装置1の制御部2は、建物Hにおける使用量データに基づき、例えば、電力及びガスにおいては使用する化石燃料等に応じたCO2排出係数を用いて、水道水においては水道事業ガイドラインによって定められる基準を用いて、二酸化炭素排出量を導出する。対象となる建物Hが、集合住宅又は、ホテル等の商業施設の場合、情報処理装置1の制御部2は、集合住宅又はホテル等の全体における使用量データの合計値を取得し、当該使用量データの合計値に基づき、二酸化炭素排出量の合計値を導出するものであってもよい。
【0078】
情報処理装置1の制御部2は、二酸化炭素排出量を金銭的ポイントに変換する(S304)。情報処理装置1の制御部2は、例えば、記憶部3に記憶されているポイント変換テーブルを参照することにより、二酸化炭素排出量を金銭的ポイントに変換する。ポイント変換テーブルは、二酸化炭素排出量が少ないほど、付与する金銭的ポイントが多くなるように設定されている。このように設定することにより、二酸化炭素排出量が比較的に少ない需要者は、エコ意識が高い需要者であるとみなして金銭的ポイントを多めに付与し、これら需要者に対するエコ意識の向上を図ることができる。
【0079】
情報処理装置1の制御部2は、金銭的ポイントを対象需要者に出力する(S305)。情報処理装置1の制御部2は、対象需要者の需要者側端末装置T1に対し、金銭的ポイントを出力することにより、これら需要者に対し、金銭的ポイントを付与する。情報処理装置1の制御部2は、例えば、需要者マスタテーブル31に格納されている需要者IDに、付与する金銭的ポイントを関連付けて、記憶部3に記憶することにより、当該金銭的ポイントを需要者に付与するものであってもよいし、流通業者等が独自に構築している金銭的ポイントの外部管理システム(図示せず)又は、当該流通業者等が加盟又は提携している決済サービス業者の決済システムに対し、需要者IDに付与する金銭的ポイントに係る情報を送信することにより、当該外部管理システム又は決済システムの中で、需要者が金銭的ポイントを得られる形としてもよい。
【0080】
(実施形態4)
図13は、実施形態4に係る情報処理装置1の制御部2に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。情報処理装置1の制御部2は、実施形態1と同様に記憶部3に記憶されているプログラムを実行することにより、各機能部として機能する。情報処理装置1の制御部2は、記憶部3に記憶されているプログラムを実行することにより、更に行動異常導出部210として機能する。
【0081】
行動異常導出部210は、建物Hにおける使用量データに基づき、当該建物Hの需要者の行動異常に関する情報を導出する。行動異常導出部210は、例えば、所定期間において、水道水の使用量が継続的に上昇している場合、水道水が出しっぱなしの状態で放置されているとみなし、需要者に行動異常が発生したと判定し、行動異常に関する情報を導出する。又は、行動異常導出部210は、過去における使用量データと、現時点の使用量データとを比較し、これらデータ間の差異が所定値以上となった場合、需要者に行動異常が発生したと判定し、行動異常に関する情報を導出するものであってもよい。行動異常導出部210は、周期的又は定期的に所定の単位期間における使用量データを取得し、各単位期間における行動異常の有無を導出するものであってもよい。
【0082】
図14は、情報処理装置1の制御部2による処理手順の一例を示すフローチャートである。情報処理装置1の制御部2は、例えば、情報処理装置1と通信可能に接続されたサービス提供者側端末装置T2から送信された要求内容に基づき、当該フローチャートの処理を開始する。
【0083】
情報処理装置1の制御部2は、対象となる需要者を特定するための対象需要者情報を取得する(S401)。情報処理装置1の制御部2は、取得した対象需要者情報に基づき、対象需要者情報の使用量データを取得する(S402)。情報処理装置1の制御部2は、実施形態1の処理S101からS102と同様にS401からS402の処理を行う。
【0084】
情報処理装置1の制御部2は、取得した使用量データに基づき、対象需要者の行動異常に関する情報を導出する(S403)。情報処理装置1の制御部2は、例えば、所定期間にて水道水の使用量が継続的に上昇している場合、又は過去における使用量データと現時点の使用量データとの差異が所定値以上となった場合、需要者に行動異常が発生したと判定し当該行動異常に関する情報を導出する。情報処理装置1の制御部2は、周期的又は定期的に所定の単位期間における使用量データを取得し、各単位期間における行動異常の有無を判定し導出するものであってもよい。情報処理装置1の制御部2は、行動異常の種類を導出するものであってもよい。当該行動異常の種類は、例えば、水道水が出された状態で放置、又は需要者の活動が無い等と、正常状態とを含むものであってもよい。
【0085】
情報処理装置1の制御部2は、行動異常に関する情報をサービス提供者(一例として介護サービス提供者)に出力する(S404)。情報処理装置1の制御部2は、行動異常に関する情報を介護サービス提供者のサービス提供者側端末装置T2に出力(送信)する。情報処理装置1の制御部2は、当該行動異常に関する情報を、更に需要者側端末装置T1に出力(送信)するものであってもよい。需要者側端末装置T1又はサービス提供者側端末装置T2は、情報処理装置1から取得(受信)した行動異常に関する情報を自装置のディスプレイ等の表示部に表示する。介護サービス提供者のサービス提供者側端末装置T2は、取得(受信)した行動異常に関する情報に基づき、例えば、安否確認メールを生成し、当該安否確認メールを、需要者の需要者側端末装置T1又は、当該需要者の親族等の関連者の端末装置に出力(送信)してもよい。情報処理装置1の制御部2は、実施形態1と同様に学習モデル221を用いて、行動異常に関する情報を導出するものであってもよい。本実施形態における学習モデル221は、使用量データを入力した場合、行動異常に関する情報を出力するように学習されている。学習モデル221が出力する行動異常に関する情報には、例えば、水道水が出された状態で放置、又は需要者の活動が無い等と、正常状態とを含むものであってもよい。
【0086】
(実施形態5)
図15は、実施形態5に係る情報処理装置1の制御部2に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。情報処理装置1の制御部2は、実施形態1と同様に記憶部3に記憶されているプログラムを実行することにより、各機能部として機能する。情報処理装置1の制御部2は、記憶部3に記憶されているプログラムを実行することにより、更に生活習慣導出部211として機能する。
【0087】
生活習慣導出部211は、建物Hにおける使用量データに基づき、当該建物Hの需要者の生活習慣に関する情報を導出する。生活習慣導出部211は、例えば、所定期間において、電気、ガス及び水道水の使用量及び、これら使用量の比率関係に基づき、需要者の生活習慣に関する情報を導出する。又は、生活習慣導出部211は、電気、ガス及び水道水が使用された時間帯に基づき、夜型又は昼型を判定し当該判定結果を含めて生活習慣を導出するものであってもよい。
【0088】
生活習慣導出部211は、例えば、電気の使用量に対し、ガス及び水道水の使用量の比率が所定値以上であるか否かに基づき、当該比率が所定値以上である場合は自炊が行われたとみなして、需要者による自炊率を推定し、当該自炊率を含めて、生活習慣に関する情報を導出してもよい。生活習慣導出部211は、例えば、ガスを使用した時間帯と、所定値以上となる多量の水道水を使用した時間帯との前後関係に基づき、需要者が、夕飯の前後いずれにおいて入浴するかを推定し、当該入浴タイミングを含めて、生活習慣に関する情報を導出してもよい。ちなみに自炊率が高いほど、生活習慣の良好指数は高くなる。また、入浴を夕飯よりも前に済ますことによって過度な食欲を抑制できるとされ、この場合も生活習慣の良好指数は高くなる。生活習慣導出部211は、需要者の生活習慣に関す各種情報に基づき、統一的な指針となる生活習慣の良好指数を導出するものあってもよい。
【0089】
図16は、情報処理装置1の制御部2による処理手順の一例を示すフローチャートである。情報処理装置1の制御部2は、例えば、情報処理装置1と通信可能に接続されたサービス提供者側端末装置T2から送信された要求内容に基づき、当該フローチャートの処理を開始する。
【0090】
情報処理装置1の制御部2は、対象となる需要者を特定するための対象需要者情報を取得する(S501)。情報処理装置1の制御部2は、取得した対象需要者情報に基づき、対象需要者情報の使用量データを取得する(S502)。情報処理装置1の制御部2は、実施形態1の処理S101からS102と同様にS501からS502の処理を行う。
【0091】
情報処理装置1の制御部2は、取得した使用量データに基づき、対象需要者の生活習慣に関する情報を導出する(S503)。情報処理装置1の制御部2は、取得した使用量データに基づき、例えば自炊率を推定し、当該自炊率を含めて、生活習慣に関する情報を導出する。
【0092】
情報処理装置1の制御部2は、生活習慣に関する情報をサービス提供者(一例として健康サービス提供者)に出力する(S504)。情報処理装置1の制御部2は、生活習慣に関する情報を健康サービス提供者のサービス提供者側端末装置T2に出力(送信)する。情報処理装置1の制御部2は、当該行生活習慣に関する情報を、更に需要者側端末装置T1に出力(送信)するものであってもよい。需要者側端末装置T1又はサービス提供者側端末装置T2は、情報処理装置1から取得(受信)した生活習慣に関する情報を自装置のディスプレイ等の表示部に表示する。健康サービス提供者のサービス提供者側端末装置T2は、取得(受信)した生活習慣に関する情報に基づき、例えば、生活習慣を改善するための改善情報を生成し、当該改善情報を、需要者の需要者側端末装置T1に出力してもよい。情報処理装置1の制御部2は、実施形態1と同様に学習モデル221を用いて、生活習慣に関する情報を導出するものであってもよい。本実施形態における学習モデル221は、使用量データを入力した場合、生活習慣に関する情報を出力するように学習されている。学習モデル221が出力する生活習慣に関する情報には、例えば、自炊比率、夜型又は昼型を示す情報、及び生活習慣病や認知症のリスクを示す情報等を含むものであってもよい。
【0093】
(実施形態6)
図17は、実施形態6に係る情報処理装置1の制御部2に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。図18は、第2学習モデル222の生成処理に関する説明図である。情報処理装置1の制御部2は、実施形態1と同様に記憶部3に記憶されているプログラムを実行することにより、各機能部として機能する。情報処理装置1の制御部2は、記憶部3に記憶されているプログラムを実行することにより、更に第2学習モデル222及び運動データ取得部212として機能する。
【0094】
第2学習モデル222は、実施形態1の学習モデル221と同様に例えば、CNN等のニューラルネットワークにより構成される。情報処理装置1は、例えば1年分等の所定の期間における使用量データ、すなわち電力使用量、ガス使用量、及び水道水使用量と、需要者の運動データとを問題データとし、需要者の生活パターンを回答データとする教師データに基づき学習することで、当該使用量データ及び運動データを入力とし、生活パターンを出力とするニューラルネットワークを構築(生成)する。問題データは、実施形態1と同様に例えば、1年分の所定期間の電力使用量、ガス使用量、水道水使用量及び運動データによるマトリックス形式のデータとするものであってもよい。
【0095】
需要者の運動データは、例えばスポーツ施設において施設の利用者のトレーイング履歴等のデータ、又は需要者が身に着けたウェラブル装置から出力され、クラウドサーバ等に保存されている需要者の運動データを用いて、収集することができる。生活パターンは、例えば、運動の時間帯とガスの使用時間帯との関係による食事のタイミング、自炊率及び定期的な運動の有無に基づく生活の規則性等を含む。当該生活の規則性については、例えば、引きこもり等による運動不足に関する事項を含むものであってもよい。回答データである生活パターンに関する情報は、これらスポーツ施設又はウェラブル装置の利用者からのヒヤリング等に基づき、収集することができる。第2学習モデル222を学習させるための教師データは、実施形態1の学習モデル221と同様に大量の物件における電力、ガス、及び水道水の使用量データと、需要者の運動データ等とに基づき、作成することができる。第2学習モデル222は、学習モデル221と同じくCNNに限定されず、CNN以外のニューラルネットワーク、SVM等の他の学習アルゴリズムで構築された第2学習モデル222であってもよく、更には第2学習モデル222は、教師なし学習又は強化学習によって学習されるものであってもよい。
【0096】
運動データ取得部212は、需要者が加入するスポーツ施設、介護施設、リハビリセンター又は、需要者が用いるウェラブル装置から出力されたデータが保存されるクラウドサーバの管理業者等の外部データサーバGから、当該需要者の運動データを取得する。運動データ取得部212は、対象需要者特定部203から出力される需要者の氏名等、対象需要者情報に基づき、当該外部データサーバGから、当該需要者(対象需要者)の運動データを取得する。
【0097】
図19は、情報処理装置1の制御部2による処理手順の一例を示すフローチャートである。情報処理装置1の制御部2は、例えば、情報処理装置1と通信可能に接続されたサービス提供者側端末装置T2から送信された要求内容に基づき、当該フローチャートの処理を開始する。
【0098】
情報処理装置1の制御部2は、対象となる需要者を特定するための対象需要者情報を取得する(S601)。情報処理装置1の制御部2は、取得した対象需要者情報に基づき、対象需要者情報の使用量データを取得する(S602)。情報処理装置1の制御部2は、実施形態1の処理S101からS102と同様にS601からS602の処理を行う。
【0099】
情報処理装置1の制御部2は、対象需要者の運動データを取得する(S603)。情報処理装置1の制御部2は、需要者が所属するスポーツ施設又は、需要者が用いるウェラブル装置から出力されたデータが保存されるクラウドサーバの管理業者等の第1事業体の外部データサーバGから、当該需要者の運動データを取得する。
【0100】
情報処理装置1の制御部2は、使用量データに含まれる電力、ガス及び水道水の使用量夫々と、運動データとを第2学習モデル222に入力する(S604)。情報処理装置1の制御部2は、第2学習モデル222から出力された生活パターンを取得する(S605)。
【0101】
情報処理装置1の制御部2は、対象需要者の生活パターンをサービス提供者(一例として健康サービス提供者)に出力する(S606)。情報処理装置1の制御部2は、需要者の生活パターンを、健康サービス提供者のサービス提供者側端末装置T2に出力(送信)する。健康サービス提供者とは、例えば、健康関連業者又は健康保険組合であり、上述の第1事業体とは異なる第2事業体である。サービス提供者側端末装置T2は、情報処理装置1から取得(受信)した需要者の生活パターンを自装置のディスプレイ等の表示部に表示する。健康サービス提供者のサービス提供者側端末装置T2は、取得(受信)した生活パターンに関する情報に基づき、例えば、生活パターンに適合した健康アドバイスまたは保険商品に関する情報を生成し、当該情報を、需要者の需要者側端末装置T1に出力してもよい。
【0102】
(実施形態7)
図20は、実施形態7(自治体)に係る情報処理装置1の制御部に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。情報処理装置1の制御部2は、記憶部3に記憶されているプログラムを実行することにより、行動異常導出部210、更に地域別在宅率導出部213及び被災状況導出部214として機能する。
【0103】
行動異常導出部210は、実施形態4と同様に建物Hにおける使用量データに基づき、当該建物Hの需要者の行動異常に関する情報を導出する。行動異常導出部210は、導出した需要者の行動異常に関する情報をサービス提供者(一例として自治体のサービス提供者)のサービス提供者側端末装置T2に出力する。このように需要者の行動異常に関する情報を自治体のサービス提供者側端末装置T2に出力することにより、当該行動異常に関する情報を早期に自治体に連絡することができ、例えば、万が一の需要者の孤独死等の重大事に対する予防に貢献できることが期待される。
【0104】
地域別在宅率導出部213は、所定の地域ごとの需要者の在宅率を導出する。地域別在宅率導出部213は、在宅率導出部又205は不在日数導出部206と同様に建物Hにおける使用量データに基づき、当該建物Hに居住する需要者の在否情報を導出する。地域別在宅率導出部213は、例えば、各自治体において定められている所定の地域ごとに、当該所定の地域の複数の需要者の在宅率の平均値を算出し、現時点における当該所定の地域ごとの在宅率の平均値を導出する。地域別在宅率導出部213は、例えば1時間等の所定時間ごとの時間帯における、地域ごとの在宅率の平均値を導出するものであってもよい。地域別在宅率導出部213は、導出した地域ごとの需要者の在宅率を自治体のサービス提供者側端末装置T2に出力する。このように地域ごとの需要者の在宅率を自治体のサービス提供者側端末装置T2に出力することにより、地域ごとの需要者の在宅率をタイムリーに自治体に連絡することができ、例えば、自治体が気象状況に応じた避難勧告を行うにあたり、有益な情報を提供することができる。
【0105】
被災状況導出部214は、建物Hにおける使用量データに基づき、当該建物Hに設けられている電力ケーブル、ガス管及び水道管等の設備が正常動作しているか否かを判定し、例えば、建物Hが自然災害により被災した場合において、当該建物Hのこれら設備の死活、すなわち被災状態にあるか、又は復旧しているかを示す被災状況に関する情報を導出する。被災状況導出部214は、例えば、1日等の所定期間において、電力、ガス及び水道水の使用量が増加した場合、使用された設備は動作している(復旧状態)と判定して被災状況に関する情報を導出するものであってもよい。当該被災状況に関する情報は、個々の建物ごとの情報に限定されず、所定の地域に含まれる複数の建物の被災状況を集約した情報であってもよい。当該集約した情報は、例えば、所定の地域に含まれる複数の建物の復旧率であってもよい。このように例えば、建物Hが自然災害により被災した場合において、被災状況に関する情報を自治体のサービス提供者側端末装置T2に出力することにより、被災状況に関する情報をタイムリーに自治体に連絡することができ、自治体が地域における復旧作業を行うにあたり、有益な情報を提供することができる。当該被災状況に関する情報は、建物Hの保険業者(損害保険業者)のサービス提供者側端末装置T2に出力されるものであってもよい。
【0106】
図21は、情報処理装置1の制御部2による処理手順の一例を示すフローチャートである。情報処理装置1の制御部2は、例えば、情報処理装置1と通信可能に接続されたサービス提供者側端末装置T2から送信された要求内容に基づき、当該フローチャートの処理を開始する。
【0107】
情報処理装置1の制御部2は、対象となる需要者を特定するための対象需要者情報を取得する(S701)。情報処理装置1の制御部2は、取得した対象需要者情報に基づき、対象需要者情報の使用量データを取得する(S702)。情報処理装置1の制御部2は、実施形態1の処理S101からS102と同様にS701からS702の処理を行う。
【0108】
情報処理装置1の制御部2は、取得した使用量データに基づき、対象需要者の行動異常に関する情報を導出する(S703)。情報処理装置1の制御部2は、実施形態4のS403と同様に対象需要者の行動異常に関する情報を導出する。
【0109】
情報処理装置1の制御部2は、取得した使用量データに基づき、地域別の在宅率を導出する(S704)。 情報処理装置1の制御部2は、例えば、各自治体において定められている所定の地域ごとに、当該所定の地域の複数の需要者の在宅率の平均値を算出し、現時点における当該所定の地域ごとの在宅率の平均値を導出する。
【0110】
情報処理装置1の制御部2は、取得した使用量データに基づき、被災状況に関する情報を導出する(S705)。情報処理装置1の制御部2は、例えば、1日等の所定期間において、電力、ガス及び水道水の使用量が増加した場合、使用された設備は動作している(復旧状態)と判定して被災状況に関する情報を導出する。
【0111】
情報処理装置1の制御部2は、行動異常に関する情報、地域別の在宅率、及び被災状況に関する情報を自治体に出力する(S706)。情報処理装置1の制御部2は、行動異常に関する情報、地域別の在宅率、及び被災状況に関する情報を自治体のサービス提供者側端末装置T2に出力(送信)する。被災状況に関する情報は、需要者それぞれの情報であってもよく、または地域ごとに集約された情報であってもよい。これら地域ごとに関する情報は、例えばリスト形式で表示されるものであってもよい。自治体のサービス提供者側端末装置T2は、情報処理装置1から取得(受信)した行動異常に関する情報、地域別の在宅率、及び被災状況に関する情報を自装置のディスプレイ等の表示部に表示する。自治体のサービス提供者側端末装置T2は、情報処理装置1から取得(受信)したこれら情報に基づき、例えば、安否確認メール、避難勧告メール等の行政サービス情報を需要者側端末装置T1に出力してもよい。
【0112】
(許諾情報の送信画面)
図22は、実施形態1から7に係る許諾情報の送信画面の一例を説明する図である。情報処理装置1は、需要者側端末装置T1から送信された要求内容を取得する。当該要求内容には、需要者ID等の需要者を特定する情報が含まれる。情報処理装置1は、当該要求内容に基づき、記憶部3に記憶されている需要者マスタテーブル31及び使用量テーブル32を参照し、特定される需要者の使用量データ等を含む生活情報を出力する。情報処理装置1は、当該生活情報に加え、サービス提供者に対する使用量データの利用許諾を受け付ける画面(許諾情報の送信画面)を構成するための画面情報を、需要者側端末装置T1に送信する。需要者側端末装置T1は、情報処理装置1から出力された画面情報に基づき、ディスプレイ等の表示部に許諾情報の送信画面を表示する。
【0113】
許諾情報の送信画面は、需要者情報表示エリア、使用量データ表示エリア、在否情報表示エリア、建物の劣化度表示エリア、許諾情報の入力エリア、及びポイントの表示エリアを含む。
【0114】
需要者情報表示エリアには、需要者に関する書誌事項として、需要者ID、氏名、住所、及び建物区分の項目の情報が表示される。表示されている需要者ID及び氏名等は、需要者側端末装置T1から情報処理装置1にログインした需要者自身の需要者ID及び氏名等であることは、言うまでもない。需要者情報表示エリアにて表示される各項目の情報により、需要者は、自身に関する情報を確認することができる。
【0115】
使用量データ表示エリアには、需要者が居住する建物Hにおける電気、ガス及び水道水の使用量データが表示される。本実施形態の図示による例示としては、現時点を基準に、所定期間として1週間、1か月、及び1年における各使用量及び二酸化炭素排出量を表示している。電気、ガス及び水道水の使用量を上述した所定基準にて二酸化炭素排出量に換算し、これら使用量による二酸化炭素排出量の合計値を算出することにより、建物Hにおける二酸化炭素排出量の合計値を容易に把握することができる。本実施形態においては、特定の需要者の戸建における使用量データを例示しているが、これに限定されず、複数の需要者が居住するマンション等の集合住宅全体における使用量データ及び二酸化炭素排出量の合計値を表示するものであってもよい。
【0116】
ポイントの表示エリアには、二酸化炭素排出量に基づき、流通サービス提供者において有効となる金銭的ポイントが付与されている場合、ポイントの表示エリアにて、当該付与された付与ポイント(EGAポイント)が、表示される。ポイントの表示エリアにおいては、二酸化炭素排出量に基づき変換及び付与された付与ポイント(EGAポイント)に加え、例えば需要者が購入した購入ポイント及び、当該購入ポイントと付与ポイント(EGAポイント)の合計のポイントが表示されるものであってもよい。当該購入ポイントは、需要者が購入したポイントに限定されず、流通サービス提供者から商品を購入した場合に所定の比率で与えられるポイントを含む。このように特定の流通サービス提供者に対し、有効となるポイントにおいて、二酸化炭素排出量に基づき変換された付与ポイント(EGAポイント)と、例えば需要者が購入した購入ポイントとの双方を表示することにより、需要者は、当該流通サービス提供者にて有効となる金銭的ポイントを容易に把握することができる。更に、複数の流通サービス提供者において、有効となる金銭的ポイントが異なる種類である場合、これら流通サービス提供者をリスト表示し、各流通サービス提供者において有効な金銭的ポイントをそれぞれ表示するものであってもよい。
【0117】
在否情報表示エリアには、需要者が居住する建物Hにおいて、現時点を基準に、所定期間として1週間、1か月、及び1年における当該需要者の在宅率及び不在日数が、表示される。在宅率及び不在日数は、上述のとおり、日々における使用量データが、所定値以上であるか否かに基づき導出される。不在日数については、例えば、当該所定期間において、最も長い連続不在日数を表示するものであってもよい。
【0118】
建物の劣化度表示エリアには、上述の在宅率又は不在日数と、建物Hの築年数及び建物区分等に基づき、当該建物Hの物件評価、及び劣化度が、グラフ形式で表示される。本実施形態の図示による例示としては、グラフの横軸は、経過期間(時間軸)であり、縦軸は、物件評価及び劣化度を示す。物件評価と劣化度とは、例えば反比例又は逆数の関係にあり、物件評価が低いほど、劣化度は高い値となる。本実施形態における図示としては、劣化度の逆数となる値を線図にて示している。
【0119】
許諾情報の入力エリアには、サービス提供者名、提供されるサービス内容及び、許諾情報が表示される。サービス提供者名のフィールドには、情報処理装置1に保存されている使用量データの利用許諾を条件にサービスを提供する全てのサービス提供者の名称がリスト形式で表示される。すなわち、これらサービス提供者は、所定の契約に基づき、情報処理装置1にアクセスが許可されたサービス提供者(事業者)である。提供されるサービス内容のフィールドには、それぞれのサービス提供者が、需要者に提供することができるサービスの内容が示されている。
【0120】
許諾情報のフィールドには、利用許諾の有無を示すトグルスイッチ(図22ではチェックボックスで表示)が配置されている。トグルスイッチにチェックが入っている場合、このフィールドのサービス提供者に対して、利用許諾を行っていること(許諾:有)を意味する。トグルスイッチにチェックが入っていない場合、このフィールドのサービス提供者に対して、利用許諾を行っていないこと(許諾:無)を意味する。本実施形態にて図示されるトグルスイッチは一例であり、利用許諾の有無を示すために、例えば、ラジオボタン、プルダウンメニュ又は表示反転等の表示形態を用いてもよいことは、言うまでもない。
【0121】
許諾情報のフィールドに配置される個々のトグルスイッチは、それぞれのサービス提供者に対する利用許諾(許諾の有無)を受け付ける受付部に相当する。需要者は、許諾情報の入力エリアにて表示されている情報を確認し、必要に応じて、それぞれのサービス提供者に対する許諾情報を追加又は変更し、許諾情報の送信画面上に配置されている送信ボタンを押下することができる。当該送信ボタンの押下により、受付部によって受け付けられたそれぞれのサービス提供者に対する利用許諾に関する情報(利用許諾データ)は、需要者情報表示エリアに表示されている需要者IDと関連付けられ、当該需要者IDと共に需要者側端末装置T1から情報処理装置1に送信される。
【0122】
需要者側端末装置T1から送信された利用許諾データは、送信元の需要者側端末装置T1の需要者IDと関連付けられている。情報処理装置1は、需要者側端末装置T1から取得した利用許諾データに基づき、需要者マスタテーブル31に保存されている当該需要者IDの利用許諾したサービス提供会社のフィールドに格納されている利用許諾データを変更する。
【0123】
このような許諾情報の送信画面を用いることにより、需要者は、複数存在するサービス提供会社の内、自身の趣向等に沿ったいずれかのサービス提供会社に対し、自身の使用量データの利用許諾を効率的に行うことができる。
【0124】
図23は、需要者側端末装置T1の制御部T11による処理手順の一例を示すフローチャートである。需要者側端末装置T1の制御部T11は、例えば、需要者の所定の操作に応じて、当該フローチャートの処理を開始する。
【0125】
需要者側端末装置T1の制御部T11は、情報処理装置1から、使用量データ等を含む生活情報を取得する(S801)。需要者側端末装置T1の制御部T11は、例えば、需要者の操作にて入力された需要者IDにより特定される生活情報を、情報処理装置1から取得する。
【0126】
需要者側端末装置T1の制御部T11は、使用量データ等を含む生活情報を表示部T14に表示させる(S802)。情報処理装置1から取得した生活情報は、例えば、許諾情報の送信画面を構成する画面情報に含まれている。需要者側端末装置T1の制御部T11は、情報処理装置1から取得した画面情報に基づき、自装置の表示部T14に許諾情報の送信画面を表示させる。
【0127】
需要者側端末装置T1の制御部T11は、利用許諾に関する情報を受け付ける(S803)。許諾情報の送信画面には、例えば、許諾情報の入力エリアが配置されており、当該許諾情報の入力エリアは、それぞれのサービス提供者の名称がリスト形式で表示される。これらサービス提供者に対応して、利用許諾の有無を示すトグルスイッチが、受付部として配置されている。需要者側端末装置T1の制御部T11は、当該受付部にて、操作者である需要者によって行われる利用許諾の有無を、受け付ける。
【0128】
需要者側端末装置T1の制御部T11は、需要者IDと関連付けて、利用許諾に関する情報を情報処理装置1に送信する(S804)。需要者側端末装置T1の制御部T11は、受付部にて受け付けられた利用許諾の有無を含む利用許諾に関する情報(利用許諾データ)を需要者IDと関連付けて、情報処理装置1に送信(出力)する。当該需要者IDは、需要者側端末装置T1を操作している需要者の需要者IDであり、需要者側端末装置T1の記憶部T12に記憶されている。情報処理装置1は、需要者側端末装置T1から取得した利用許諾データに基づき、需要者マスタテーブル31に保存されている当該需要者IDの利用許諾したサービス提供会社のフィールドに格納されている利用許諾データを変更する。
【0129】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0130】
S 情報処理システム
H 建物
H1 電力スマートメータ
H2 ガススマートメータ
H3 水道水スマートメータ
N 外部ネットワーク
K 基地局
T1 需要者側端末装置
T11 制御部
T12 記憶部
T13 通信部
T14 表示部
T2 サービス提供者側端末装置
G 外部データサーバ
1 情報処理装置
2 制御部
201 使用量データ取得部
202 利用許諾データ取得部
203 対象需要者特定部
204 使用量データ抽出部
205 在宅率導出部
206 不在日数導出部
207 劣化度導出部
208 二酸化炭素排出量導出部
209 ポイント変換部
210 行動異常導出部
211 生活習慣導出部
212 運動データ取得部
213 地域別在宅率導出部
214 被災状況導出部
221 学習モデル
222 第2学習モデル
3 記憶部
31 需要者マスタテーブル
32 使用量テーブル
4 通信部
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