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特許7490474プログラム、支払管理装置、端末、残高管理装置、支払管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】プログラム、支払管理装置、端末、残高管理装置、支払管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/08 20120101AFI20240520BHJP
【FI】
G06Q40/08
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020117704
(22)【出願日】2020-07-08
(65)【公開番号】P2022015081
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】514020389
【氏名又は名称】TIS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】舘 康二
(72)【発明者】
【氏名】高島 玲
(72)【発明者】
【氏名】阿部 一彬
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-012491(JP,A)
【文献】特開2006-221449(JP,A)
【文献】特開2002-109042(JP,A)
【文献】特開2011-044055(JP,A)
【文献】国際公開第2018/179375(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
保険金の申請金額を含む申請情報を取得する申請情報取得処理と、
前記申請情報と記憶部に記憶される保険契約の契約情報とに基づいて、前記申請金額の電子的価値による支払に用いられる支払情報を生成する支払情報生成処理と、
前記支払情報を前記電子的価値の残高の管理を行う残高管理装置へと送信する支払情報送信処理と、を実行させ、
前記契約情報には、前記保険契約における一時金の一時金額が含まれ、
前記コンピュータに、
前記申請金額と前記一時金額との差額を算出する差額算出処理と、
前記差額に基づいて、前記保険金の精算に用いられる精算情報を生成する精算情報生成処理と、をさらに実行させる、プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のプログラムであって、
前記差額算出処理は、前記申請金額が前記一時金額より高い場合に、前記差額を貸付金額として前記記憶部に記憶する、ことを含む、プログラム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプログラムであって、
前記差額算出処理は、前記申請金額が前記一時金額より低い場合に、前記差額を支払金額として前記記憶部に記憶する、ことを含む、プログラム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記保険契約に基づいて算出された第1保険金額を取得する、保険金額取得処理と、
前記第1保険金額が、前記差額によって調整された第2保険金額を算出する、差額調整処理と、をさらに実行させ、
前記精算情報生成処理は、前記第2保険金額に基づいて、前記精算情報を生成する、プログラム。
【請求項5】
請求項4に記載のプログラムであって、
前記差額調整処理は、前記差額が前記保険契約の契約者への貸付を示す場合に、前記第1保険金額から前記差額を差し引いて前記第2保険金額を算出し、前記差額が前記保険契約の契約者への支払を示す場合に、前記第1保険金額に前記差額を加えて前記第2保険金額を算出して、前記第1保険金額を調整する、プログラム。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記保険金の申請を証明するための証明情報を取得する証明情報取得処理と、
前記申請を前記証明情報に基づいて認めるか否かについての判定結果を取得する判定取得処理と、をさらに実行させ、
前記精算情報生成処理は、前記申請が認められない場合に、前記申請金額を前記保険契約の契約者への貸付金額として精算情報を生成する、プログラム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記契約情報に基づいて、前記保険契約が有効でない場合には、前記申請金額の支払を許可しないことを示す情報を生成し、前記保険契約が有効である場合に前記申請金額の支払を許可することを示す情報を生成する、支払判定処理、をさらに実行させるプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムであって、
前記支払判定処理は、前記保険契約の契約者の信用情報を取得し、前記信用情報が所定の条件を満たさない場合には、前記申請金額の支払を許可しないことを示す情報を生成し、前記信用情報が前記所定の条件を満たす場合に、前記申請金額の支払を許可することを示す情報を生成する、プログラム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のプログラムであって、
前記申請情報には前記電子的価値の種別を示す種別情報が含まれ、
前記支払情報生成処理は、前記種別情報に対応する前記電子的価値を用いる前記支払情報を生成し、
前記支払情報送信処理は、前記種別情報に対応する前記電子的価値の残高の管理を行う前記残高管理装置へと前記支払情報を送信する、プログラム。
【請求項10】
保険金の申請金額を含む申請情報を取得する申請情報取得部と、
前記申請情報と記憶部に記憶される保険契約の契約情報とに基づいて、前記申請金額の電子的価値による支払に用いられる支払情報を生成する支払情報生成部と、
前記支払情報を前記電子的価値の残高の管理を行う残高管理装置へと送信する支払情報送信部と、を備え、
前記契約情報には、前記保険契約における一時金の一時金額が含まれ、
前記前記申請金額と前記一時金額との差額を算出する差額算出部と、
前記差額に基づいて、前記保険金の精算に用いられる精算情報を生成する精算情報生成部と、をさらに備える支払管理装置。
【請求項11】
支払管理装置と、
端末と、
残高管理装置と、を備え、
前記支払管理装置は、
保険契約に基づく保険金の申請金額を含む申請情報を取得する申請情報取得部と、
前記申請情報と第1記憶部に記憶される前記保険契約の契約情報とに基づいて、前記申請金額の電子的価値による支払に用いられる支払情報を生成する支払情報生成部と、
前記支払情報を前記残高管理装置へと送信する支払情報送信部と、を有し、
前記契約情報には、前記保険契約における一時金の一時金額が含まれ、
前記支払管理装置は、
前記前記申請金額と前記一時金額との差額を算出する差額算出部と、
前記差額に基づいて、前記保険金の精算に用いられる精算情報を生成する精算情報生成部と、をさらに有し、
前記端末は、
前記申請情報の入力を受け付け、入力された前記申請情報を前記支払管理装置へと送信する申請情報送信部と、
前記残高管理装置から、前記保険契約の契約者に関連付けられた前記電子的価値の残高を取得する残高取得部と、を有し、
前記残高管理装置は、
前記支払情報を、前記支払管理装置から取得する支払情報取得部と、
前記支払情報に基づいて前記契約者に関連付けられて第2記憶部に記憶される前記電子的価値の前記残高を更新する残高更新部と、を有する、支払管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支払管理システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車保険などの保険サービスでは、保険の対象となる事象が発生した後に保険会社への請求が行われ、保険金が支払われる。保険の使用にあたっては、様々な手続をする必要がある。各種手続きは契約者及び保険会社にとって労力を要し、契約者の利便性及び保険会社の業務効率性の向上が求められている。特許文献1には、保険会社の業務効率化のために、自動車事故での保険使用の際に必要となる交通事故証明書を申請するためのシステムが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-152012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
保険契約には、契約者が事故等の発生の申告によって一時金を受け取ることができる種類の契約がある。このような保険契約では、例えば事故等が発生した場合に短時間で入手可能な一時金が契約者に支払われる。一時金が必要となる場面は保険契約の内容ごとに様々である。例えば、自動車事故の場合では、事故直後の通院や移動のためにある程度の資金が必要となる。また、海外旅行で使用される保険では、窃盗等の被害にあった場合に一定量の資金が即座に必要となることがある。
【0005】
保険会社が一時金を契約者に対して支払う方法として契約者の銀行口座への口座振込がある。しかし、契約者が口座から資金を引き出せる環境を近くに有しない場合、口座の一時金は利用できず、契約者は実質的に一時金の支払を受けられない。そのため、保険金を必要とする契約者に対して迅速な保険金の提供ができないことがある。
【0006】
そこで、本発明は、保険契約の契約者に迅速に保険金を支払うことを可能とする支払管理システムに関する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、保険金の申請金額を含む申請情報を取得する申請情報取得処理と、申請情報と記憶部に記憶される保険契約の契約情報とに基づいて、申請金額の電子的価値による支払に用いられる支払情報を生成する支払情報生成処理と、支払情報を電子的価値の残高の管理を行う残高管理装置へと送信する支払情報送信処理と、を実行させる。
【0008】
本発明の他の態様に係る支払管理装置は、保険金の申請金額を含む申請情報を取得する申請情報取得部と、申請情報と記憶部に記憶される保険契約の契約情報とに基づいて、申請金額の電子的価値による支払に用いられる支払情報を生成する支払情報生成部と、支払情報を電子的価値の残高の管理を行う残高管理装置へと送信する支払情報送信部と、を備える。
【0009】
本発明の他の態様に係るプログラムは、コンピュータに、電子的価値により支払われる保険金の申請金額を含む申請情報の入力を受け付け、申請情報を保険金の申請の処理を行う支払管理装置へと送信する申請情報送信処理と、電子的価値の残高の管理を行う残高管理装置から、保険契約の契約者に関連付けられた電子的価値の残高を取得する残高取得処理と、を実行させる。
【0010】
本発明の他の態様に係る端末は、電子的価値により支払われる保険金の申請金額を含む申請情報の入力を受け付け、申請情報を保険金の申請の処理を行う支払管理装置へと送信する申請情報送信部と、電子的価値の残高の管理を行う残高管理装置から、保険契約の契約者に関連付けられた電子的価値の残高を取得する残高取得部と、を備える。
【0011】
本発明の他の態様に係るプログラムは、コンピュータに、保険金の申請金額を含む申請情報と保険契約の契約情報とに基づく申請金額の電子的価値による支払に用いられる支払情報を、保険金の申請の処理を行う支払管理装置から取得する支払情報取得処理と、支払情報に基づいて保険契約の契約者に関連付けられて記憶部に記憶される電子的価値の残高を更新する残高更新処理と、を実行させる。
【0012】
本発明の他の態様に係る残高管理装置は、保険金の申請金額を含む申請情報と保険契約の契約情報とに基づく申請金額の電子的価値による支払に用いられる支払情報を、保険金の申請の処理を行う支払管理装置 から取得する支払情報取得部と、支払情報に基づいて、保険契約の契約者に関連付けられて記憶部に記憶される電子的価値の残高を更新する残高更新部と、を備える。
【0013】
本発明の他の態様に係る支払管理システムは、支払管理装置と、端末と、残高管理装置と、を備え、支払管理装置は、保険契約に基づく保険金の申請金額を含む申請情報を取得する申請情報取得部と、申請情報と第1記憶部に記憶される保険契約の契約情報とに基づいて、申請金額の電子的価値による支払に用いられる支払情報を生成する支払情報生成部と、支払情報を残高管理装置へと送信する支払情報送信部と、を有し、端末は、申請情報の入力を受け付け、入力された申請情報を支払管理装置へと送信する申請情報送信部と、残高管理装置から、保険契約の契約者に関連付けられた電子的価値の残高を取得する残高取得部と、を有し、残高管理装置は、支払情報を、支払管理装置から取得する支払情報取得部と、支払情報に基づいて契約者に関連付けられて第2記憶部に記憶される電子的価値の残高を更新する残高更新部と、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、保険契約の契約者に迅速に保険金を支払うことを可能とする支払管理システムに関する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る支払管理装置を含んで構成される支払管理システムの概略図である。
図2】本実施形態に係る支払管理装置のブロック図である。
図3】本実施形態に係る申請情報の一例である。
図4】本実施形態に係る契約情報の一例である。
図5】本実施形態に係る支払情報の一例である。
図6】本実施形態に係る差額情報の一例である。
図7】本実施形態に係る精算情報の一例である。
図8】本実施形態に係る端末のブロック図である。
図9】本実施形態に係る残高管理装置のブロック図である。
図10】本実施形態に係る残高情報の一例である。
図11】本実施形態に係る支払管理システムにおける処理の概略を説明する図である。
図12】本実施形態に係る支払管理装置における支払処理を説明するフローチャートである。
図13】本実施形態に係る支払管理装置における差額精算処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0017】
図1には、本実施形態に係る支払管理システム10の構成の概略図が示される。支払管理システム10は、支払管理装置101、契約者端末102及び残高管理装置103を備える。支払管理装置101、契約者端末102及び残高管理装置103はネットワークNを通じて互いに通信可能に接続される。
【0018】
支払管理装置101は、所定のプログラムを実行することによって、保険契約の契約者から、契約者端末102を通じて保険金の申請を受け付け、残高管理装置103を通じて保険金を電子的価値として支払うように構成されたサーバ等の情報処理装置である。なお、本実施形態では、電子的価値の一例として電子マネーを用いる場合を示すが、電子的価値は電子マネーに限られず、電子的に価値を表すことが可能であり、取引又は決済に利用できるものであればよい。例えば、電子的価値は、暗号通貨やポイントであってもよい。
【0019】
契約者端末102は、所定のプログラムを実行することによって、支払管理装置101へ保険金の申請を行い、残高管理装置103を通じて保険金を電子的価値として受け取る情報処理装置である。契約者端末102は、例えば、スマートフォン、タブレット端末等の持ち運び可能なコンピュータである。すなわち、支払管理装置101と通信可能であり、各種情報の入出力が可能な端末であればよい。
【0020】
契約者端末102は、契約者以外にも、保険契約に基づく保険金の請求を支払管理装置101を通じて行おうとする者によって操作されることが可能である。なお、図1には図示されていないが、契約者端末102は複数台あり、それぞれの契約者から複数の申請が支払管理装置101に対してなされる。
【0021】
残高管理装置103は、所定のプログラムを実行することによって、支払管理装置101からの支払情報に基づいて、契約者の電子的価値の残高を管理するように構成されたサーバ等の情報処理装置である。なお、残高管理装置は電子的価値の種別それぞれに対して設けられ、複数台ある。
【0022】
図2には、支払管理装置101のブロック図が示される。支払管理装置101は、通信部201、記憶部202、申請情報取得部203、支払判定部204、支払情報生成部205、支払情報送信部206、差額算出部207、証明情報取得部208、判定取得部209、保険金額取得部210、差額調整部211及び精算情報生成部212を有する。
【0023】
支払管理装置101の各部は、例えば、支払管理装置101において、メモリ等の記憶領域を用いたり、記憶領域に格納されたプログラムをプロセッサが実行したりすることによって、実現することができる。後述する契約者端末102及び残高管理装置103の各部についても同様である。
【0024】
通信部201は、ネットワークNを通じた支払管理装置101の外部との通信を制御する。
【0025】
記憶部202は、支払管理装置101での処理に用いられる各種情報を記憶する。
【0026】
申請情報取得部203は、契約者端末102から保険金の申請金額を含む申請情報を取得する。申請情報の一例が図3に示される。申請情報は、「契約者ID」、「契約プラン」、「申請金額」、「電子マネー種別」及び「電子マネーウォレット情報」の項目を有する。
【0027】
「契約者ID」は、保険契約の契約者を管理するための識別情報である。「契約プラン」は、保険契約の契約内容を示す情報である。「申請金額」は、契約者が一時金として支払を申請する金額である。「電子マネー種別」は、申請金額の支払に用いられる電子マネーの種別を示す情報である。「電子マネーウォレット情報」は、電子マネーによる一時金の入金先を識別するための情報である。なお、「電子マネー種別」及び「電子マネーウォレット情報」は、他の電子的価値を用いる場合には、それぞれの電子的価値に応じた種別情報及びウォレット情報とすることができる。
【0028】
図3では、契約者ID「Aaa-aaa」で管理される契約者から、契約プラン「プランA」に基づいて、申請金額「50000円」の一時金を、電子マネー「マネーA」によって、電子マネーウォレット情報「Xxx-xxx-xxx」で管理される入金先に入金する申請がなされた場合が示される。
【0029】
支払判定部204は、記憶部202に記憶される保険契約の契約情報に基づいて、保険契約が有効であるか否かを判断する。図4には契約情報の一例が示される。契約情報は、「契約者ID」、「契約プラン」、「一時金額」、「プラン上限額」及び「掛金支払状況」の項目を有する。
【0030】
「契約者ID」及び「契約プラン」は、申請情報における項目と同じである。「一時金額」は、保険の使用のための詳細な証明プロセスを経る前に、契約者からの申請によって短時間で支払われる保険金である一時金の金額である。「プラン上限額」は、各プランにおいて必要な証明等を終えた後に支払われる保険金の金額である。「掛金支払状況」は、契約者が保険契約に対する掛金を支払っているか否かを示す情報である。「掛金支払情報」では、支払がなされている場合は「継続中」、支払がなされていない場合は「未払あり」という情報が記録される。
【0031】
支払判定部204は、申請情報の「契約者ID」及び「契約プラン」の情報に基づいて、対象となる契約の「掛金支払情報」の内容を参照する。支払判定部204は、「掛金支払情報」が「継続中」であれば契約が有効であるとして申請金額の支払を許可することを示す情報を生成し、支払情報生成部205によって支払情報の生成が行われる。支払判定部204は、「掛金支払情報」が「未払あり」の場合、契約が有効でないとして申請金額の支払を許可しないことを示す情報を生成する。申請金額の支払の可否を示す情報は、記憶部202に記憶される
【0032】
また、支払判定部204は、外部端末(不図示)から契約者の信用情報を取得し、信用情報が所定の条件を満たさない場合には、申請金額の支払を許可しないことを示す情報を生成し、信用情報が所定の条件を満たす場合に、申請金額の支払を許可することを示す情報を生成するようにしてもよい。信用情報は、例えば他社の保険契約における掛金の未払履歴等である。なお、信用情報は外部から取得せずに記憶部202に記憶されるものを用いてもよい。
【0033】
例えば、図3の申請情報による申請が行われた場合、支払判定部204は、契約者ID「Aaa-aaa」、契約プラン「プランA」について、掛金支払情報が「継続中」であるので、申請金額の支払を許可することを示す情報を生成する。
【0034】
支払情報生成部205は、申請情報と記憶部202に記憶される契約情報とに基づいて、申請金額の電子的価値による支払に用いられる支払情報を生成する。図5には支払情報の一例が示される。支払情報には、上述の「支払金額」、「電子マネー種別」、「電子マネーウォレット情報」の各項目が含まれる。ここでは、図3の申請情報に基づいて生成された支払情報の例が示される。
【0035】
支払情報送信部206は、支払情報生成部205が生成した支払情報を残高管理装置103に送信する。支払情報送信部206は、申請情報の「電子マネー種別」の情報に基づいて、支払情報の送信先の残高管理装置を選択する。
【0036】
差額算出部207は、申請金額と一時金額との差額を算出し、申請金額が一時金額より高い場合に、差額を貸付金額として記憶部202に記憶し、申請金額が一時金額より低い場合に、差額を支払金額として記憶部202に記憶する。ここで、貸付金額とは、予め保険約款で定められた契約者貸付における貸付金額であり、契約者が保険会社に返済する必要がある金額のことである。支払金額とは、同じく保険約款で定められた保険金または給付金の金額であり、保険会社が契約者に支払う必要がある金額のことである。
【0037】
図6には、差額算出部207によって生成される差額情報の一例が示される。差額情報は、「申請ID」、「契約者ID」、「契約プラン」、「一時金額」、「プラン上限額」、「申請金額」、「支払判定」、「支払金額」、「一時金差額」及び「差額状態」の項目を有する。「申請ID」は、申請を識別して管理するための情報である。「契約者ID」、「契約プラン」、「一時金額」、「プラン上限額」及び「申請金額」は、上述の申請情報及び契約情報に基づく各項目と同じである。「支払判定」は、支払判定部204による申請金額の支払に関する判定結果を示す情報である。「支払金額」は、支払が許可された場合に、申請に対して支払われた金額である。「一時金差額」は、各契約における一時金額と申請金額との差額である。ここでは、一時金差額は一時金額から申請金額を引いて算出される。「差額状態」は、差額が貸付金額であるか、支払金額であるかを「一時金差額」の正負に基づいて示す情報である。また、「差額状態」には、「支払判定」が不許可である場合には、支払なしであることを示す情報が記録される。
【0038】
例えば、図3の申請情報及び図4の契約情報に基づいて生成される、申請IDが「P001」の申請についての差額情報では、一時金差額が「30000円」であり、その差額は支払金額であることが示される。また、申請IDが「P002」である申請の差額情報は、一時金差額が「-20000円」であり、その差額は貸付金額であることが示される。
【0039】
証明情報取得部208は、保険金の申請を証明するための証明情報を、契約者や他の必要な機関等から取得する。証明情報には例えば、自動車事故における交通事故証明書が含まれる。証明情報は、保険の使用が必要となる事象が発生した後に期間を空けて取得される。
【0040】
判定取得部209は、申請を証明情報取得部208が取得した証明情報に基づいて認めるか否かについての判定結果を取得する。判定結果は、ネットワークNを通じて証明情報を確認した担当者からの入力を受け付けて取得されてもよく、記憶部202に記憶されるプログラムによって証明情報に基づいて処理された判定結果を取得してもよい。
【0041】
保険金額取得部210は、保険契約に基づいて算出された第1保険金額を取得する。ここで、第1保険金額とは、保険を使用する対象となる事象に対して、保険会社が保険契約に基づいて算出する保険金額である。第1保険金額は、保険会社による精査を経て決定される金額である点で一時金とは異なる。第1保険金額は、保険会社の担当者によって証明情報等が参照されて算出される。あるいは、第1保険金額は、証明情報取得部208が取得した証明情報に基づいて、支払管理装置101の内部のプログラムによって算出されてもよい。
【0042】
差額調整部211は、第1保険金額が、差額算出部207が算出した差額によって調整された第2保険金額を算出する。差額調整部211は、差額が保険契約の契約者への貸付を示す場合に、第1保険金額から差額を差し引いて第2保険金額を算出し、差額が契約者への支払を示す場合に、第1保険金額に差額を加えて第2保険金額を算出する。差額調整部211は、差額算出部207からの差額情報と保険金額取得部210からの第1保険金額とを入力として、第2保険金額を出力する。第2保険金額によって最終的な保険の精算が行われる。なお、差額調整部211による差額調整において、差額が貸付である場合には、利子を考慮して差額の調整が行われてもよい。
【0043】
精算情報生成部212は、差額調整部211が算出した第2保険金額に基づいて、保険金の精算に用いられる精算情報を生成する。また、精算情報生成部212は、判定取得部209によって申請が認められないと判定された場合に、申請金額を保険契約の契約者への貸付金額として精算情報を生成する。
【0044】
図7には精算情報の一例が示される。精算情報は、「申請ID」、「一時金差額」、「差額状態」、「申請判定」、「保険支払額」、「支払・貸付金額」、「支払・貸付状態」の項目を有する。
【0045】
「申請ID」、「一時金差額」、「差額状態」の項目は差額情報における項目と同じである。「申請判定」は、判定取得部209によって取得された保険金の申請に対しての判定結果を示す情報である。「保険支払額」は、保険金額取得部210によって取得された第1保険金額である。「支払・貸付金額」は、差額調整部211によって算出された第2保険金額である。「支払・貸付状態」は、「支払・貸付金額」が、契約者に対する支払か貸付かを示す情報である。また、「支払・貸付状態」には、「支払・貸付金額」が0円である場合には、支払・貸付がなしであることを示す情報が記録される。差額情報の生成及び精算情報の生成の処理は後述する。
【0046】
図8には、契約者端末102のブロック図が示される。契約者端末102は、通信部801、記憶部802、申請情報送信部803及び残高取得部804を有する。
【0047】
通信部801は、ネットワークNを通じた契約者端末102の外部との通信を制御する。記憶部802は、契約者端末102での処理に用いられる各種情報を記憶する。
【0048】
申請情報送信部803は、契約者端末102の操作者から申請情報の入力を受け付け、申請情報を支払管理装置101へと送信する。
【0049】
申請情報における「申請金額」は、契約者端末102の操作者から入力されない場合があってもよい。例えば、申請が一時金を交通機関の利用に用いる保険契約について行われた場合、契約者端末102の位置情報に基づいて、必要な費用を算出するなどしてもよい。
【0050】
残高取得部804は、後述する残高管理装置103から、保険契約の契約者に関連付けられた電子的価値の残高を取得する。
【0051】
図9には、残高管理装置103のブロック図が示される。残高管理装置103は、通信部901、記憶部902、支払情報取得部903及び残高更新部904を有する。
【0052】
通信部901は、ネットワークNを通じた契約者端末102の外部との通信を制御する。記憶部902は、残高管理装置103での処理に用いられる各種情報を記憶する。
【0053】
支払情報取得部903は、支払情報生成部205によって生成された支払情報を支払管理装置101から取得する。
【0054】
残高更新部904は、支払情報取得部903が取得した支払情報に基づいて、契約者に関連付けられて記憶部902に記憶される電子的価値の残高を更新する。残高更新部904による残高の更新は図10に示されるような残高情報によって行われる。残高情報は記憶部902に記憶されている。
【0055】
残高情報は、「利用者ID」、「ウォレット情報」及び「残高」の項目を有する。「利用者ID」は電子的価値の利用者を識別するための情報である。「ウォレット情報」は、利用者が電子的価値の授受に用いるウォレットを識別するための情報である。「残高」は電子的価値の残高である。なお、「残高」は円を基準とするものではなく独自の単位によって管理されてもよい。
【0056】
例えば、図10において、利用者IDが「ID001」で管理される者が、図3の申請情報による申請を行った契約者であるとする。このとき、申請が支払管理装置101において処理される前の残高は「5000円」であったとする。支払管理装置101によって、申請金額「50000円」の申請が許可され、図5の支払情報が残高管理装置103に送信されると、残高更新部904は、支払情報の「電子マネーウォレット情報」に基づいて、対象の「ウォレット情報」で管理される残高を更新し、残高が「55000円」となる。契約者は更新された額の電子マネーを用いて各種決済を行うことが可能となる。
【0057】
図11を参照して、支払管理システム10における処理の概略について説明する。契約者が保険を使用して一時金を受け取りたいと思う状況が発生すると、ステップS1101において、申請情報送信部803は、申請情報の入力を受け付ける。
【0058】
ステップS1102において、申請情報送信部803は、支払管理装置101に申請情報を送信する。申請情報は申請情報取得部203によって取得される。
【0059】
ステップS1103において、支払管理装置101は、後述する支払処理を行う。ステップS1104において、支払情報送信部206は、支払処理で生成された支払情報を残高管理装置103に送信する。支払情報は、支払情報取得部903によって取得される。なお、ここでは、申請が許可されるものとして説明するが、ステップS1103において、申請が許可されなかった場合は、残高管理装置103への支払情報の送信は行われず、処理は終了する。その場合、契約者端末102に申請が許可されなかったことが通知されるようにしてもよい。
【0060】
ステップS1105において、残高更新部904は、支払情報に基づいて電子マネーの残高を更新する。
【0061】
ステップS1106において、残高取得部804は、残高管理装置103から契約者の電子マネーの残高を取得する。
【0062】
ステップS1107において、契約者によって契約者端末102を通じた電子マネーの利用が行われる。なお、電子マネーの利用は、契約者のウォレットに紐づけられた他の端末によって行われることも可能である。
【0063】
ステップS1108において、支払管理装置101は、後述する差額精算処理を行う。
【0064】
図12のフローチャートを参照して、図11の支払処理について説明する。
【0065】
ステップS1201において、申請情報取得部203は、契約者端末102から申請情報を取得する。
【0066】
ステップS1202において、支払判定部204は、記憶部202に記憶される契約情報を取得する。
【0067】
ステップS1203において、支払判定部204は、契約情報に基づいて、契約が有効であるか否かを判断する。
【0068】
ステップS1203にて契約が有効であると判断されると、ステップS1204において、支払判定部204は、外部の端末から信用情報を取得する。
【0069】
ステップS1205において、支払判定部204は、信用情報が所定の条件を満たすか否かを判断する。
【0070】
ステップS1205にて信用情報が所定の条件を満たすと判断されると、ステップS1206において、支払判定部204は、申請金額の支払を許可することを示す情報を生成する。
【0071】
ステップS1207において、支払情報生成部205は、申請情報に基づいて支払情報を生成する。
【0072】
ステップS1208において、支払情報送信部206は、支払情報を残高管理装置103へ送信する。
【0073】
ステップS1209において、差額算出部207は、申請金額と一時金額との一時金差額を算出し、差額情報を生成する。生成された差額情報は記憶部202に記憶される。
【0074】
例えば、図6の差額情報では、申請IDが「P001」の申請では、一時金額が「80000円」、申請金額が「50000円」であるので、一時金差額が「30000円」の支払金額となる。申請IDが「P002」の申請では、一時金額が「30000円」、申請金額が「50000円」であるので、一時金差額が「-20000円」の貸付金額となる。「P003」及び「P004」のそれぞれの申請についても、一時金差額が、「-50000円」、「-50000円」として算出される。
【0075】
ステップS1203及びステップS1205にて否定判断された場合、支払判定部204は、一時金としての申請金額の支払を許可しないことを示す情報を生成し、処理は終了する。このとき、契約者端末102に申請が許可されなかったことが通知されるようにしてもよい。
【0076】
図13のフローチャートを参照して、図11の差額精算処理について説明する。
【0077】
ステップS1301において、証明情報取得部208は、証明情報を取得する。
【0078】
ステップS1302において、判定取得部209は、申請に対する判定結果を取得する。
【0079】
ステップS1303において、判定取得部209は、判定結果が申請を認めるものであるか否かを判断する。
【0080】
ステップS1303にて申請が認められると判断されると、ステップS1304において、保険金額取得部210は、保険支払額(第1保険金額)を取得する。
【0081】
ステップS1305において、差額調整部211は、記憶部202から差額情報を取得する。なお、ステップS1304とステップS1305の順序は入れ替えられてもよい。
【0082】
ステップS1306において、差額調整部211は、保険支払額から一時金差額を差し引くことによって、支払・貸付金額(第2保険金額)を算出する。
【0083】
ステップS1307において、精算情報生成部212は、支払・貸付金額が正の値であるかを判断する。支払・貸付金額が正の値の場合、ステップS1308において、差額調整部211は、支払・貸付金額を契約者に対する支払金として、精算情報を更新する。
【0084】
ステップS1307にて否定判断された場合、ステップS1309において、精算情報生成部212は、支払・貸付金額が負の値であるかを判断する。支払・貸付金額が正の値の場合、ステップS1310において、差額調整部211は、支払・貸付金額を契約者に対する貸付金として、精算情報を更新する。
【0085】
ステップS1309にて否定判断された場合、ステップS1311において、精算情報生成部212は、支払・貸付金額がないとして精算情報を更新する。
【0086】
また、ステップS1303にて否定判断された場合、ステップS1312において、精算情報生成部212は、記憶部202に記憶される申請金額を取得し、申請金額が契約者に対する貸付金となるように申請金額分の金額を支払・貸付金額として精算情報を更新する。
【0087】
例えば、図7では、申請IDが「P001」の申請では、一時金差額が「30000円」の支払金額であり、保険支払額が「100000円」であるので、両者が合計された「支払・貸付金額」は「130000円」の支払金額となる。
【0088】
申請IDが「P002」の申請では、一時金差額が「-20000円」の貸付金額であり、保険支払額が「100000円」であるので、一時金差額が相殺されて、「支払・貸付金額」は「80000円」の支払金額となる。
【0089】
申請IDが「P003」の申請では、一時金差額が「-50000円」の貸付金額であり、保険支払額が「30000円」であるので、一時金差額の一部が保険支払額によって相殺されて、「支払・貸付金額」は「-20000円」の貸付金額となる。
【0090】
なお、図7には示されていないが、一時金差額と保険支払額とが相殺された結果、支払・貸付金額が「0円」となると「支払・貸付状態」には、「なし」という情報が記録される。これは、支払も貸付も発生していないことを示す情報である。
【0091】
申請IDが「P004」の申請では、一時金差額が「-50000円」の貸付金額であり、申請判定の結果が不許可であったため、申請金額である「60000円」が貸付金となり、「支払・貸付金額」は「-60000円」の貸付金額となる。
【0092】
申請IDが「P005」の申請では、一時金の支払判定において支払が許可されなかったため、一時金差額は「0円」であり、申請判定の結果も不許可であったため、支払又は貸付が発生せず、「支払・貸付金額」は「0円」となる。
【0093】
以上本実施形態について説明した。本実施形態に係る支払管理装置101は、保険金の申請金額を含む申請情報を取得する申請情報取得部203と、申請情報と記憶部202に記憶される保険契約の契約情報とに基づいて、申請金額の電子的価値による支払に用いられる支払情報を生成する支払情報生成部205と、支払情報を電子的価値の残高の管理を行う残高管理装置103へと送信する支払情報送信部206と、を備える。
【0094】
これにより、契約者からの保険金の申請に対して電子的価値による支払を行うことが可能となるので、保険契約の契約者に迅速に保険金を支払うことが可能となる。
【0095】
また、本実施形態において、契約情報には、保険契約における一時金の一時金額が含まれ、支払管理装置101は、申請金額と一時金額との差額を算出し、申請金額が一時金額より高い場合に、差額を貸付金額として記憶部202に記憶する、差額算出部207、をさらに備える。
【0096】
保険会社における一時金の支払可否の判断は、契約者が短時間で資金を必要とする場合では素早く行われることが好ましい。契約者からの請求に対して迅速に応えるために保険の審査過程を簡略化する場合、契約者が過大な申請金額による申請を行うことが想定される。このような場合、契約者の要求通り支払を行うことは保険会社にとってリスクである。支払管理装置101では、差額算出部207によって申請金額が保険契約での一時金を上回る場合は貸付金額とすることで、契約者が保険を使用する際に短時間で必要とする一時金の支払を迅速に可能としつつ、契約の範囲を超える申請により生じる保険会社のリスクを低減させることができる。
【0097】
また、差額算出部207は、申請金額が一時金額より低い場合に、差額を支払金額として記憶部202に記憶する。これにより、契約者が申請金額を契約での一時金の上限より低い金額とした場合であっても、差額を支払分として記憶することで契約者にとって不利益とならないようにしつつ、一時金の迅速な支払が可能となる。
【0098】
また、支払管理装置101は、保険契約に基づいて算出された第1保険金額を取得する、保険金額取得部210と、第1保険金額が、差額によって調整された第2保険金額を算出する、差額調整部211と、第2保険金額に基づいて、保険金の精算に用いられる精算情報を生成する、精算情報生成部212と、をさらに備える。
【0099】
保険契約にて算出された一時金とは異なる第1保険金額と一時金の支払によって生じた差額とによって第2保険金額が算出される。よって、一時金を契約者の申請どおりに支払うことによる初期対応の利便性を確保しつつ、調整された第2保険金額によって保険金の精算を行うことが可能となる。これにより、保険会社の一時金支払におけるリスクを低減させつつ、迅速な一時金の支払が可能となる。
【0100】
また、差額調整部211は、差額が保険契約の契約者への貸付を示す場合に、第1保険金額から差額を差し引いて第2保険金額を算出し、差額が契約者への支払を示す場合に、第1保険金額に差額を加えて第2保険金額を算出して、第1保険金額を調整する。これにより、一時金の支払によって生じた差額を適切に取り扱うことが可能となる。
【0101】
また、支払管理装置101は、保険金の申請を証明するための証明情報を取得する証明情報取得部208と、申請を証明情報に基いて認めるか否かについての判定結果を取得する判定取得部209と、をさらに備え、精算情報生成部212は、申請が認められない場合に、申請金額を保険契約の契約者への貸付金額として精算情報を生成する。これにより、一旦は申請金額どおりに一時金の支払がなされた後に、虚偽の申請であったことが発覚したような場合に、支払った金額を契約者への貸付金として精算することが可能となる。よって、保険会社の一時金支払におけるリスクを低減させつつ、迅速な一時金の支払が可能となる。
【0102】
また、支払管理装置101は、契約情報に基づいて、保険契約が有効でない場合には、申請金額の支払を許可しないことを示す情報を生成し、保険契約が有効である場合に申請金額の支払を許可することを示す情報を生成する、支払判定部204をさらに備える。これにより、無効な契約に対しての一時金の支払を避けることができ、保険会社のリスクを低減させつつ、迅速な一時金の支払が可能となる。
【0103】
また、支払判定部204は、保険契約の契約者の信用情報を取得し、信用情報が所定の条件を満たさない場合には、申請金額の支払を許可しないことを示す情報を生成し、信用情報が所定の条件を満たす場合に、申請金額の支払を許可することを示す情報を生成してもよい。これにより、信用情報に問題がある契約者からの申請に基づく一時金の支払を避けることができ、保険会社のリスクを低減させつつ、迅速な一時金の支払が可能となる。
【0104】
また、本実施形態では、申請情報には電子的価値の種別を示す種別情報が含まれ、支払情報生成部205は、種別情報に対応する電子的価値を用いる支払情報を生成し、支払情報送信部206は、種別情報に対応する電子的価値の残高の管理を行う残高管理装置へと支払情報を送信する。これにより、複数の電子的価値に対応して一時金の支払が可能となり、利便性が向上する。
【0105】
また、本実施形態に係る契約者端末102は、申請情報の入力を受け付け、申請情報を支払管理装置101へと送信する申請情報送信部803と、残高管理装置103から、保険契約の契約者に関連付けられた電子的価値の残高を取得する残高取得部804と、を備える。これにより契約者は、支払申請の送信及び支払申請の結果の把握が、自身の端末によって可能となる。これにより、申請によって支払われた電子的価値を契約者が即座に利用可能とすることが可能となり、利便性が向上する。
【0106】
また、本実施形態に係る残高管理装置103は、申請情報と保険契約の契約情報とに基づく支払情報を、支払管理装置101から取得する支払情報取得部903と、支払情報に基づいて、保険契約の契約者に関連付けられて記憶部902に記憶される電子的価値の残高を更新する残高更新部904と、を備える。これにより、契約者からの申請金額の支払を電子的価値によって行うことが可能となり、契約者に迅速に保険金を支払うことが可能となる。
【0107】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその条件、個数等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0108】
10…支払管理システム、101…支払管理装置、102…契約者端末、103…残高管理装置、201,801,901…通信部、202,802,902…記憶部、203…申請情報取得部、204…支払判定部、205…支払情報生成部、206…支払情報送信部、207…差額算出部、208…証明情報取得部、209…判定取得部、210…保険金額取得部、211…差額調整部、212…精算情報生成部、803…申請情報送信部、804…残高取得部、903…支払情報取得部、904…残高更新部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13