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  • 特許-貼付装置および貼付方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】貼付装置および貼付方法
(51)【国際特許分類】
   B65C 9/26 20060101AFI20240520BHJP
【FI】
B65C9/26
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020163809
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022056034
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】小豆畑 和弘
(72)【発明者】
【氏名】三高 昭裕
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3220260(JP,U)
【文献】特開2001-002312(JP,A)
【文献】特開平03-256833(JP,A)
【文献】特開2011-245772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着面が設けられた粘着シートと前記粘着面を覆う剥離シートとを含むシート片を用いて、移動体の外装部品の表面における貼付対象面に前記粘着シートを貼り付ける貼付装置であって、
前記貼付対象面における貼付方向に沿って配置されたガイド機構と、
前記ガイド機構により前記貼付方向に移動可能に支持されたスライダと、
前記スライダにより回動可能に支持された軸体と、
前記軸体に対して回動方向の付勢力を加える付勢手段と、
前記軸体から前記軸体の径方向に延びた連結部材と、
前記連結部材に支持され弾性ローラと、を備え、
前記弾性ローラは、前記シート片を、前記弾性ローラで折り返し反転される前記粘着シートと前記貼付方向へ送られる前記剥離シートとに分け、前記弾性ローラで反転された前記粘着シートを前記付勢力により前記貼付対象面に圧着させる、貼付装置。
【請求項2】
請求項1に記載の貼付装置において、
前記弾性ローラよりも前記貼付方向の前方において前記連結部材に支持され、前記シート片から分けられた前記剥離シートを前記貼付方向に案内する剥離案内部をさらに備える、貼付装置。
【請求項3】
請求項2に記載の貼付装置において、
前記剥離案内部に設けられ、前記シート片から分けられた前記剥離シートを前記貼付方向に流す空気を噴出する空気噴出部をさらに備える、貼付装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の貼付装置において、
前記付勢手段は、エアシリンダを含んで構成される、貼付装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の貼付装置において、
前記ガイド機構を支持し、かつ、前記外装部品に対して位置決めされるフレームユニットをさらに備える、貼付装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の貼付装置において、
前記弾性ローラの表面材質はスポンジである、貼付装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の貼付装置において、
前記貼付対象面における貼付領域の面積は、0.25m以上である、貼付装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の貼付装置において、
前記外装部品は、四輪自動車のボンネットまたはルーフパネルである、貼付装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項の貼付装置を用いて前記貼付対象面に前記粘着シートを貼り付ける貼付方法であって、
前記スライダが前記ガイド機構に沿って移動することにより、前記軸体、前記付勢手段、前記連結部材および前記弾性ローラが前記貼付方向に移動する移動工程と、
前記付勢手段が前記軸体に対して回動方向の付勢力を与えることにより、前記弾性ローラに対して記貼付対象面に向か付勢力付与される付勢工程と、を含み、
前記移動工程は、
前記弾性ローラが、前記シート片を、前記弾性ローラで折り返し反転される前記粘着シートと前記貼付方向へ送られる前記剥離シートとに分ける分離工程と、
前記弾性ローラが、前記弾性ローラで反転された前記粘着シートを、前記付勢力によ
り前記貼付対象面に圧着させながら回転する圧着工程と、を含む、貼付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の表面に粘着シートを貼り付ける貼付装置および貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のボンネットやルーフなど、移動体の外装部品に対して、表面を保護または装飾するための粘着シートを貼り付けることがある。一般に、移動体の外装部品は、機能性やデザイン性を実現するための湾曲部位を有している。そして、移動体の外装部品に対する粘着シートの貼付作業では、湾曲部位などでの空気の混入が生じないように、スキージなどの道具を用い、外装部品に対して粘着シートを圧着させる作業が手作業で行われる。
【0003】
また、特許文献1には、外装部品(基材)に対して粘着シート(フィルム)を貼り付ける貼付装置が開示されている。この貼付装置では、粘着シートが外装部品の貼付対象面に対向した状態にセットされる。スキージを有する貼付部は、貼付対象面に沿った貼付方向(X方向)に移動しつつ、貼付対象面と粘着シートとの対向方向(Z方向)に貼付対象面の形状に合わせて移動する。このような貼付装置によれば、外装部品が湾曲部位を有していても、この外装部品に対して粘着シートを圧着させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-174327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の貼付装置では、貼付部を貼付対象面の形状に合わせて駆動するための駆動部が用いられている。そのため、この駆動部の制御が必要となり、装置が複雑化する。
【0006】
また、通常、前述したような粘着シートの粘着面は、作業環境中の浮遊ゴミなどが付着することを防止するための剥離シートに覆われており、貼付作業の直前に剥離シートを剥がすことが望ましい。しかし、特許文献1に記載の貼付装置では、剥離シートを全て剥がされた粘着シートが外装部品の表面に対向するようにセットされる。そのため、セットから貼付作業までの間に作業環境中の浮遊ゴミなどが粘着シートに付着してしまう可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、粘着シートへの作業環境中の浮遊ゴミ付着を抑制し、かつ、粘着シートを空気の混入なく貼り付けることができる貼付方法、および、当該貼付方法を簡易な構成で実施できる貼付装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る貼付装置は、粘着面が設けられた粘着シートと前記粘着面を覆う剥離シートとを含むシート片を用いて、移動体の外装部品の表面における貼付対象面に前記粘着シートを貼り付ける貼付装置であって、前記貼付対象面における貼付方向に沿って配置されたガイド機構と、前記ガイド機構により前記貼付方向に移動可能に支持されたスライダと、前記スライダにより回動可能に支持された軸体と、前記軸体に対して回動方向の付勢力を加える付勢手段と、前記軸体から前記軸体の径方向に延びた連結部材と、前記連結部材に支持され弾性ローラと、を備え、前記弾性ローラは、前記シート片を、前記弾性ローラで折り返し反転される前記粘着シートと、前記貼付方向へ送られる前記剥離シートとに分け、前記弾性ローラで反転された前記粘着シートを前記付勢力により前記貼付対象面に圧着させる。
【0009】
本発明の一態様に係る貼付装置は、前記弾性ローラよりも前記貼付方向の前方において前記連結部材に支持され、前記シート片から分けられた前記剥離シートを前記貼付方向に案内する剥離案内部をさらに備えることが好ましい。
【0010】
本発明の一態様に係る貼付装置は、前記剥離案内部に設けられ、前記シート片から分けられた前記剥離シートを前記貼付方向に流す空気を噴出する空気噴出部をさらに備えることが好ましい。
【0011】
本発明の一態様に係る貼付装置において、前記付勢手段は、エアシリンダを含んで構成されることが好ましい。
【0012】
本発明の一態様に係る貼付装置は、前記ガイド機構を支持し、かつ、前記外装部品に対して位置決めされるフレームユニットをさらに備えることが好ましい。
【0013】
本発明の一態様に係る貼付装置において、前記弾性ローラの表面材質はスポンジであることが好ましい。
【0014】
本発明の一態様に係る貼付装置において、前記貼付対象面における貼付領域の面積は、0.25m以上であることが好ましい。
【0015】
本発明の一態様に係る貼付装置において、前記外装部品は、四輪自動車のボンネットまたはルーフパネルであることが好ましい。
【0016】
本発明の一態様に係る貼付方法は、粘着面が設けられた粘着シートと前記粘着面を覆う剥離シートとを含むシート片を用いて、移動体の外装部品の表面における貼付対象面に前記粘着シートを貼り付ける貼付方法であって、前記貼付対象面における貼付方向に弾性ローラを移動させる移動工程と、前記弾性ローラに対して、前記弾性ローラを前記貼付対象面に向かって付勢する付勢力を付与する付勢工程と、を含み、前記移動工程は、前記弾性ローラが、前記シート片を、前記弾性ローラで折り返し反転される前記粘着シートと前記貼付方向へ送られる前記剥離シートとに分ける分離工程と、前記弾性ローラが、前記弾性ローラで反転された前記粘着シートを、前記付勢力により前記貼付対象面に圧着させながら回転する圧着工程と、を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、粘着シートへの作業環境中の浮遊ゴミ付着を抑制し、かつ、粘着シートを空気の混入なく貼り付けることができる貼付方法、および、当該貼付方法を簡易な構成で実施できる貼付装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態にかかる貼付装置を示す斜視図
図2図1における貼付装置の部分拡大図。
図3図1における貼付装置の部分拡大図。
図4】本実施形態の貼付装置の動作を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる貼付装置100を示す斜視図である。この貼付装置100は、対象物Wの貼付対象面Pに対して、枚葉状の粘着シートS1を貼り付ける装置である。
ここで、対象物Wは、移動体(二輪自動車、四輪自動車、電車、船舶または飛行機など)の筐体を構成する外装部品である。具体的には、四輪自動車のボンネットまたはルーフパネルなどが挙げられる。貼付対象面Pにおける貼付領域Rの面積は、0.25m以上であることが好ましく、0.5m以上であることがより好ましく、1m以上であることが特に好ましい。
【0020】
なお、本実施形態の貼付装置100には、図4に示すように、粘着シートS1を含む枚葉状のシート片Sが利用される。このシート片Sは、粘着面S11を有する粘着シートS1と、粘着シートS1の粘着面S11を覆う剥離シートS2と、粘着シートS1の粘着面S11とは反対側の粘着シートS1の表面を覆う保護シートS3とが積層されることで形成されている。粘着シートS1は、例えば、外装部品に対する塗装の代替として使用されるシートや外装部品の表面を保護または装飾するために使用されるシートである。
以下では、粘着シートS1および保護シートS3をまとめてシート本体SBと称する場合がある。
【0021】
[貼付装置の構成]
本実施形態の貼付装置100の構成について、図1図3に基づいて説明する。
図1に示すように、貼付装置100は、対象物Wの載置台10に対して設置されるフレームユニット1と、フレームユニット1に設けられたシート保持部2およびガイド機構3と、ガイド機構3により一方向に移動可能に支持されたスライダ4と、スライダ4と共に移動する各要素(軸体5、弾性ローラ6、連結部材7、付勢手段8および剥離案内部9等)を備える。
なお、本実施形態では、対象物Wの貼付対象面Pに沿った一方向が貼付方向となる。以下では、貼付方向をX方向とし、貼付対象面Pに沿った方向であってかつX方向に直交する方向をY方向とする。また、X方向およびY方向に直交する方向をZ方向とする。
また、X方向について、貼付方向前方をX方向+側とし、貼付方向後方をX方向-側とする。
【0022】
フレームユニット1は、Z方向に沿って配置された4本の柱フレーム11と、X方向に沿って配置された2本の支持フレーム12と、Y方向に沿って配置された2本の補助フレーム13と、補助フレーム13に設けられた複数の位置決め治具14とを備える。
2本の支持フレーム12は、Y方向に間隔を空けて配置され、それぞれ、Y方向に隣り合う2本の柱フレーム11に対してX方向に掛け渡されるように設けられている。
2本の補助フレーム13は、X方向に間隔を空けて配置され、それぞれ、2本の支持フレーム12の間にY方向に掛け渡されるように設けられている。
位置決め治具14の具体的構成は、特に限定されないが、対象物Wに係合可能な構造を有していることが好ましい。複数の位置決め治具14が対象物Wの任意の部位に係合することで、対象物Wをフレームユニット1に対して位置決めすることができる。
【0023】
シート保持部2は、2本の補助フレーム13のうち、X方向-側に配置される一方の補助フレーム13に設けられている。このシート保持部2は、図2に示すように、XY平面に平行な平板部21と、平板部21からZ方向上側に突出した複数の突起部22とを有する。
ここで、保護シートS3は、粘着シートS1の一端部からはみ出した余剰部分S31を有しており(図4参照)、この余剰部分S31には、複数の孔S32が形成されている。シート保持部2は、各突起部22が保護シートS3の各孔S32を挿通することで、シート本体SBの一端部を保持する。
【0024】
ガイド機構3は、スライダ4をX方向に案内する機構である。本実施形態のガイド機構3は、互いに対を成すガイドレール31を有する。各ガイドレール31は、各支持フレーム12に設けられている。
【0025】
スライダ4は、一対のガイドレール31に対してそれぞれ摺動可能に取り付けられた2つのスライダブロック41と、2つのスライダブロック41を連結する連結バー42と、貼付前のシート片Sが載置されるシート載置部43と、を有する。
スライダブロック41は、後述の軸体5の端部51を回転可能に支持する軸保持部411を有する。なお、図1および図3では、2つのスライダブロック41のうちの一方が軸保持部411を有する様子が図示されるが、他方のスライダブロック41も同様に軸保持部411を有する。
連結バー42は、2つのスライダブロック41を連結すると共に、シート載置部43から弾性ローラ6にシート片Sを導く案内部材としても機能する。
シート載置部43は、弾性ローラ6のX方向-側に配置される。シート載置部43の具体的構成は、シート片Sが載置可能な構成であれば、特に限定されない。
【0026】
軸体5は、支持フレーム12よりもZ方向下側において、Y方向に沿って配置されている。この軸体5は、一対の端部51を有しており、各端部51は、各スライダブロック41の軸保持部411により、回転可能に支持されている。また、軸体5には、複数の補助ローラ52が設けられている。
弾性ローラ6は、軸体5よりもX方向+側であって、かつ、支持フレーム12よりもZ方向下側において、Y方向に沿って配置されている。
【0027】
弾性ローラ6は、例えば、図3に示すように、軸部61と、当該軸部61に対してベアリング等を介して装着されたローラ部62とを有する。
軸部61は、当該軸部61の両端部において2つの連結部材7に接続されている。すなわち、軸部61の両端部は、それぞれ、連結部材7を介して軸体5の端部51に支持されている。
ローラ部62は、スポンジなどの弾性材料により形成されている。換言すると、弾性ローラ6の表面材質は、スポンジなどの弾性材料である。
連結部材7は、軸体5の端部51から軸体5の径方向に延びており、軸体5の端部51と弾性ローラ6の軸部61とを連結している。
【0028】
なお、図1および図3では、軸体5が有する一対の端部51のうちの一方の端部51を示しており、この端部51に連結された連結部材7を図示しているが、他方の端部51に対しても、同様に、連結部材7が連結されている。
【0029】
付勢手段8は、軸体5に対して回動方向の付勢力を加えるものである。本実施形態の貼付装置100は、軸体5が有する一対の端部51のそれぞれに接続される2つの付勢手段8を有している。
付勢手段8は、図3に示すように、エアシリンダ81と、エアシリンダ81と軸体5の端部51とを連結するリンクロッド82とを有する。
エアシリンダ81は、例えば、シリンダボディ811と、シリンダボディ811内を移動可能なピストンと、ピストンに連結されたピストンロッド813とを有する。ピストンロッド813は、軸体5の径方向に延びるリンクロッド82を介して、軸体5の端部51に接続されている。
また、エアシリンダ81は、空気供給路83を介して、図示を省略する空気供給源に接続されている。エアシリンダ81は、空気供給源から圧縮空気の供給を受けることによって、ピストンロッド813をシリンダボディ811内に引き込む方向の引張力を発生させる。この引張力は、リンクロッド82を介して軸体5の端部51に伝達され、軸体5を回動方向に回動させる付勢力となる。
なお、エアシリンダ81と空気供給源との間には、エアシリンダ81に供給される圧縮空気の圧力を調整可能なレギュレータが設けられていてもよい。
【0030】
剥離案内部9は、弾性ローラ6でシート片Sから分けられた剥離シートS2をX方向に案内する部材である。剥離案内部9は、例えば細長い板形状を有し、弾性ローラ6よりもX方向+側において、Y方向に沿って配置されている。また、剥離案内部9の両端部は、それぞれ、連結部材7に支持されている。
また、剥離案内部9のZ方向下側の部位には、空気噴出部92が設けられている。空気噴出部92は、空気供給路921を介して空気供給源に接続されており、X方向に向かって圧縮空気を噴出する。
なお、剥離案内部9に対する空気噴出部92の具体的な数や配置は、特に限定されないが、例えば、剥離案内部9に対するY方向の中央部に少なくとも1つの空気噴出部92が設けられている。
【0031】
〔貼付方法〕
次に、貼付装置100を用いた貼付方法について、図1および図4を参照して説明する。
まず、作業者は、図1に示すように、対象物Wを載置台10にセットし、貼付装置100と対象物Wとを位置合わせする。ここで、対象物Wのうち例えば角部などの任意の部位を、フレームユニット1の位置決め治具14に係合させることにより、対象物Wを位置合わせすることができる。
【0032】
次に、作業者は、スライダ4をシート保持部2の近傍である貼付開始位置に位置させ、シート片Sをシート載置部43に載置する。
次に、作業者は、図4に示すように、シート片Sの一端部から他端部に向かって、剥離シートS2の一部をシート本体SBから剥がし、シート片Sを、弾性ローラ6で反転されるシート本体SBと、X方向へ送られる剥離シートS2とに分ける。そして、作業者は、弾性ローラ6で反転されたシート本体SBの一端部をシート保持部2に位置合わせし、保護シートS3の各孔S32に対して、シート保持部2の突起部22を挿入させる。このとき、シート片Sの一端部における粘着シートS1の粘着面S11は、貼付対象面Pに対面する。また、作業者は、シート本体SBから剥がされた剥離シートS2の部分を、剥離案内部9のZ方向上側に通してX方向へ流す。
【0033】
次に、作業者は、空気供給源やレギュレータを操作することで、各エアシリンダ81から軸体5に対して回動方向の付勢力を与える(付勢工程)。各エアシリンダ81から軸体5に与えられる付勢力により、軸体5に連結された弾性ローラ6は、Z方向下側に向かって回動し、当該弾性ローラ6と貼付対象面Pとの間にシート本体SBを挟む。これにより、弾性ローラ6は、粘着シートS1の粘着面S11を貼付対象面Pに圧着させる。
【0034】
次に、作業者は、スライダ4をガイド機構3に沿ってX方向に移動させる(移動工程)。
このとき、弾性ローラ6には、上述の付勢力が与えられており、弾性ローラ6とシート本体SBとの間には摩擦力が生じている。このため、弾性ローラ6は、粘着シートS1の粘着面S11を貼付対象面Pに圧着させながら貼付方向へ回転移動する(圧着工程)。
また、弾性ローラ6は、弾性ローラ6の回転によってシート片SをX方向へ搬送すると共に、このシート片Sを、弾性ローラ6で折り返し反転されるシート本体SBと、X方向へ送られる剥離シートS2とに分ける(分離工程)。ここで、弾性ローラ6からX方向へ送られる剥離シートS2は、空気噴出部92から噴出される空気の流れに乗って、さらにX方向へ案内される。
そして、スライダ4がガイド機構3による案内終点まで移動することにより、粘着シートS1を含むシート本体SBの貼付が終了する。
【0035】
以上によれば、粘着シートS1を含むシート本体SBが、貼付対象面Pに対してX方向に沿って貼り付けられる。その後、作業者は、保護シートS3をシート保持部2から外すことで、対象物Wを貼付装置100から取り外すことができる。
【0036】
〔本実施形態の効果〕
本実施形態の貼付装置100では、弾性ローラ6が、シート片Sを弾性ローラ6で折り返し反転されるシート本体SBとX方向へ送られる剥離シートS2とに分けつつ、弾性ローラ6で反転されたシート本体SBを対象面に貼り付ける。すなわち、剥離シートS2は、貼付対象面Pに貼り付けられる直前にシート本体SBから徐々に剥離される。これにより、貼り付け前の粘着シートS1の粘着面S11に対して作業環境中の浮遊ゴミが付着することを抑制することができる。
【0037】
また、本実施形態の貼付装置100において、弾性ローラ6は、X方向へ移動する間、弾性ローラ6の弾性と弾性ローラ6に付与される付勢力とによって、貼付対象面Pの形状に合わせて弾性変形し、かつ、貼付対象面Pの形状に沿ってZ方向に移動することができる。これにより、弾性ローラ6は、貼付対象面Pに湾曲部位が形成されている場合であっても、シート本体SBを貼付対象面Pに対して略一定の圧力で圧着させることができる。その結果、弾性ローラ6は、シート本体SBを貼付対象面Pに対して空気の混入なく貼り付けることができる。
【0038】
以上により、本実施形態の貼付装置100によれば、粘着シートS1の粘着面S11への作業環境中の浮遊ゴミ付着を抑制し、かつ、簡易な構成で粘着シートS1を空気の混入なく貼り付けることができる。
また、本実施形態の貼付方法による効果も、本実施形態の貼付装置100の効果と同様である。
【0039】
本実施形態の貼付装置100は、弾性ローラ6よりもX方向+側において連結部材7に支持され、シート片Sから分けられた剥離シートS2をX方向に案内する剥離案内部9をさらに備える。
このような構成によれば、剥離シートS2が弾性ローラ6に巻き込まれることを防止できる。
【0040】
本実施形態の貼付装置100は、剥離案内部9に設けられ、シート片Sから分けられた剥離シートS2をX方向に流す空気を噴出する空気噴出部92をさらに備える。
このような構成によれば、剥離シートS2が弾性ローラ6に巻き込まれることを、より好適に防止できる。
【0041】
本実施形態の貼付装置100において、付勢手段8は、エアシリンダ81を含んで構成されるため、弾性ローラ6に伝達される付勢力を精度よく管理することができる。
【0042】
本実施形態の貼付装置100は、ガイド機構3を支持し、かつ、対象物Wに対して位置決めされるフレームユニット1をさらに備える。
このような構成によれば、対象物Wに対するシート本体SBの貼り付け位置を安定させることができる。
【0043】
本実施形態の貼付装置100において、弾性ローラ6の表面材質はスポンジであるため、弾性ローラ6は、貼付対象面Pの形状に合わせて好適に弾性変形することができる。
【0044】
本実施形態の貼付装置100において、貼付対象面Pの面積は、0.25m以上であることが好ましい。すなわち、本実施形態の貼付装置100は、大面積の貼付対象面Pにシート本体SBを貼り付ける場合において好適に利用できる。
【0045】
本実施形態の貼付装置100において、対象物Wは、四輪自動車のボンネットまたはルーフパネルであることが好ましい。すなわち、ボンネットやルーフにおいて、シート本体SBを貼り付ける貼付対象面Pは、大面積であり、かつ、空気抵抗を低減させる機能性などのための湾曲部位を有するため、本実施形態の貼付装置100を用いてシート本体SBを好適に貼り付けることができる。また、従来、ボンネットやルーフに対する貼付作業は手作業であるが、本実施形態の貼付装置100を用いることで、貼付作業に必要な作業員の人数や時間を大幅に低減させることができる。
【0046】
[変形例]
本発明は前述の実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態では、ガイド機構3として一対のガイドレール31を有するが、他の形態のガイド機構であってもよい。
また、前記実施形態では、作業者がスライダ4をガイド機構3に沿って移動させるが、貼付装置100は、スライダ4をガイド機構3に沿って移動させる駆動手段を備えていてもよい。この駆動手段としては、例えば、送りねじ機構およびモータを利用できる。
【0047】
前記実施形態では、付勢手段8がエアシリンダ81を含んで構成されているが、バネなどの弾性体を用いて構成されてもよい。
前記実施形態では、2つの連結部材7が軸体5の各端部と弾性ローラ6の各端部とを介して連結されているが、連結部材7の数および配置はこれに限られない。すなわち、前記実施形態では、1以上の連結部材7がY方向における任意の位置で軸体5と弾性ローラ6とを連結していればよい。
【符号の説明】
【0048】
1…フレームユニット、10…載置台、100…貼付装置、11…柱フレーム、12…支持フレーム、13…補助フレーム、14…位置決め治具、2…シート保持部、21…平板部、22…突起部、3…ガイド機構、31…ガイドレール、4…スライダ、41…スライダブロック、42…連結バー、43…シート載置部、5…軸体、51…端部、52…補助ローラ、6…弾性ローラ、61…軸部、62…ローラ部、7…連結部材、8…付勢手段、81…エアシリンダ、811…シリンダボディ、813…ピストンロッド、82…リンクロッド、83…空気供給路、9…剥離案内部、92…空気噴出部、P…貼付対象面、S…シート片、S1…粘着シート、S11…粘着面、S2…剥離シート、S3…保護シート、S31…余剰部分、S32…孔、SB…シート本体、W…対象物。
図1
図2
図3
図4