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▶ ホソカワミクロン株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】分級装置
(51)【国際特許分類】
   B07B 7/083 20060101AFI20240520BHJP
【FI】
B07B7/083
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020168511
(22)【出願日】2020-10-05
(65)【公開番号】P2022060810
(43)【公開日】2022-04-15
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000113355
【氏名又は名称】ホソカワミクロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂田 昌史
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-281214(JP,A)
【文献】特開昭58-003680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07B 7/083
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングの内部空間に回転可能に配置されて粉粒体を分級処理する分級部と、
、を有し、
前記分級部は、
軸方向の両端部が回転可能に支持された分級シャフトと、
前記分級シャフトに取り付けられる分級ロータと、を有し、
前記分級ロータは、
前記分級シャフトの中心軸に沿う方向に離れて前記分級シャフトに配置されて前記分級シャフトの外周面から径方向外側に拡がる一対の端部突出部と、
放射状に配列されるとともに少なくとも前記端部突出部によって保持される複数の分級ブレードと、を有し、
前記ハウジングは、前記中心軸に沿う方向において、一対の前記端部突出部の少なくとも一方を挟んで前記内部空間と反対側に配置され、前記内部空間と連通して前記分級部で分級された微粉を外部に取り出す排出部を有し、
前記排出部と隣り合う前記端部突出部は、前記中心軸方向に貫通した貫通孔を有し、前記排出部と連通し、
前記分級シャフトは、一対の前記端部突出部が配置されている部分の間に形成される拡径部を有し、
前記拡径部は、前記中心軸に沿う方向の中央側の外径が端部側の外径以上である分級装置。
【請求項2】
前記分級シャフトの前記拡径部の前記中心軸に沿う方向の中間部に配置されて前記分級シャフトの外周面から径方向外側に拡がる中間突出部を有し、
複数の前記分級ブレードの前記中心軸に沿う方向の中間部が、前記中間突出部に保持される請求項1に記載の分級装置。
【請求項3】
前記中間突出部は、前記分級シャフトと別部材で形成されて前記分級シャフトに固定される請求項2に記載の分級装置。
【請求項4】
前記端部突出部の前記中心軸と直交する断面の外周は、中心が前記中心軸と重なる円形である請求項1から請求項3のいずれかに記載の分級装置。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記中心軸方向に前記内部空間を挟んで配置された一対の前記排出部を有する請求項1から請求項4のいずれかに記載の分級装置。
【請求項6】
前記ハウジングの前記端部突出部の外面と隙間を介して対向する内面に開口し、前記端部突出部の外面に向けてシールエアを吹き付けるシールエア導入部をさらに有する請求項1から請求項5のいずれかに記載の分級装置。
【請求項7】
前記シールエア導入部は、前記端部突出部の外周面と径方向に対向する前記ハウジングの内周面に開口する請求項6に記載の分級装置。
【請求項8】
前記ハウジングの前記内周面と前記端部突出部の外周面との隙間は、前記シールエア導入部よりも前記中心軸に沿う方向の前記内部空間側が、前記排出部側よりも広い請求項7に記載の分級装置。
【請求項9】
前記ハウジングの前記内周面と径方向に対向する部分の外径が、前記中心軸に沿う方向の前記内部空間側の部分の外径よりも大きい請求項7または請求項8に記載の分級装置。
【請求項10】
前記ハウジングは、前記端部突出部の前記排出部側の端面と隙間を介して軸方向に対向する対向面を有する請求項5から請求項9のいずれかに記載の分級装置。
【請求項11】
前記ハウジングの前記対向面から中心軸に沿う方向に突出する環状凸部と、
前記端部突出部の前記中心軸に沿う方向の前記排出部側の端面から前記中心軸に沿う方向に凹み、内部に前記環状凸部が隙間を介して収容可能である環状凹部と、を有する請求項10に記載の分級装置。
【請求項12】
前記分級シャフトの前記拡径部の外径は、前記中心軸に沿う方向の中央から端部に向かって連続的に小さくなる請求項1から請求項11のいずれかに記載の分級装置。
【請求項13】
前記分級シャフトの前記拡径部の外径は、前記中心軸に沿う方向の中央から端部に向かって段階的に小さくなる請求項1から請求項11のいずれかに記載の分級装置。
【請求項14】
複数の前記分級ブレードが前記端部突出部の少なくとも一方に直接配置された分級かご部を有する請求項1から請求項13のいずれかに記載の分級装置。
【請求項15】
前記分級ロータの前記中心軸方向の長さをL、複数の前記分級ブレードの径方向の端部をつないだ円柱状の直径をDとしたとき、L/Dが0.5以上である請求項1から請求項14のいずれかに記載の分級装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体の分級を行う分級装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の分級装置は、特許文献1に開示されている。この分級装置は、複数の羽根と、分級ロータの中心軸芯に沿った方向の一方の側に開口とを有する分級ロータを装置本体の内部に備える。分級ロータは、中心軸芯に沿った方向の他方側に設けられた円板状の部分で駆動モータのシャフトに取り付けられる。そして、分級ロータは、駆動モータによって高速回転される。分級装置では、装置本体の内部の空気をブロア等で吸引しつつ、分級ロータを回転させることで、分級されていない粉粒体を微粉と粗粉に分級する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-212538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の分級装置において、分級ロータは、中心軸芯に沿った方向の他方側のみを駆動モータのシャフトに固定した、いわゆる、片持ち状態で固定されている。そのため、駆動モータのシャフトがたわみやすく、分級ロータの回転数のさらなる増加は困難である。
【0005】
また、駆動モータのシャフトを大径化することで、シャフトの剛性を上げて、たわみを抑制することは可能である。しかしながら、駆動モータのシャフトを大径化すると、分級ロータの駆動モータのシャフトに取り付けられる部分である円筒状のボスが大型化し、分級ロータ自体も大型化する。そのため、分級ロータの重量が増加し、回転数のさらなる増加は困難である。
【0006】
そこで、本発明は上記のような課題を解決するため、分級ロータの回転数を増加させて、多様な粒径の粉粒体を分級することができる分級装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明にかかる分級装置は、ハウジングと、前記ハウジングの内部空間に回転可能に配置されて粉粒体を分級処理する分級部と、を有する。前記分級部は、軸方向の両端部が回転可能に支持された分級シャフトと、前記分級シャフトに取り付けられる分級ロータと、を有する。前記分級ロータは、前記分級シャフトの中心軸に沿う方向に離れて前記分級シャフトに配置されて前記分級シャフトの外周面から径方向外側に拡がる一対の端部突出部と、放射状に配列されるとともに少なくとも前記端部突出部によって保持される複数の分級ブレードと、を有する。前記ハウジングは、前記中心軸に沿う方向において、一対の前記端部突出部の少なくとも一方を挟んで前記内部空間と反対側に配置され、前記内部空間と連通して前記分級部で分級された微粉を外部に取り出す排出部を有する。前記排出部と隣り合う前記端部突出部は、前記中心軸方向に貫通した貫通孔を有し、前記排出部と連通する。前記分級シャフトは、一対の前記端部突出部が配置されている部分の間に形成される拡径部を有し、前記拡径部は、前記中心軸に沿う方向の中央側の外径が端部側の外径以上である。
【0008】
この構成によると、分級ロータの大型化および重量増大を抑制しつつ、分級シャフトの剛性を高めることができる。これにより、分級ロータが取り付けられる分級シャフトの固有振動数を高めることができ、共振が発生するまで分級ロータの回転数を上げることができる。
【0009】
また、分級シャフトの前記中心軸方向の両端部を回転可能に支持するため、片持ちで支持する場合に比べて、分級シャフトがたわみにくい。これらのことにより、分級ロータの回転数を高く設定することが可能であり、分級ロータの回転数を増加させて、多様な粒径の粉粒体を分級することが可能である。
【0010】
上記構成において、前記分級シャフトの前記拡径部の前記中心軸に沿う方向の中間部に配置されて前記分級シャフトの外周面から径方向外側に拡がる中間突出部を有し、複数の前記分級ブレードの前記中心軸に沿う方向の中間部が、前記中間突出部に保持されてもよい。このように構成することで、分級ロータの回転時の分級ブレードのたわみを抑制し、分級ロータの回転数を増加させて、多様な粒径の粉粒体を分級することが可能である。
【0011】
上記構成において、前記中間突出部は、前記分級シャフトと別部材で形成されて前記分級シャフトに固定される。このように構成することで、分級シャフトの素材の大きさを小さくでき、また、旋盤によって分級シャフトを製造するときの処理を行う体積を少なくし、製造の手間および時間を短縮することが可能である。
【0012】
上記構成において、前記端部突出部の前記中心軸と直交する断面の外周は、中心が前記中心軸と重なる円形である。このように構成することで、端部突出部が簡単な形状であるため、製造が簡単である。
【0013】
上記構成において、各前記端部突出部には、それぞれ前記中心軸方向に貫通した貫通孔を有し、前記排出部は、前記端部突出部それぞれの前記貫通孔の前記中心軸方向の端部側の開口と連通するように設けられてもよい。このような構成とすることで、分級後の微粉を含む気流が、前記中心軸方向の両端から排出される。これにより、気流から分級ロータが受ける前記中心軸方向の力が相殺されることから、分級シャフトを支持する軸受部の負担を低減するとともに、分級ロータを高回転で回転させることができる。
【0014】
上記構成において、前記ハウジングの前記端部突出部の外面と隙間を介して対向する内面に開口し、前記端部突出部の外面に向けてシールエアを吹き付けるシールエア導入部をさらに有する。このように構成することで、分級ロータとハウジングとが非接触の状態を保ちつつ、ハウジングの内部空間から分級されていない粉粒体と分級後の粗粉とを含む気流が排出部に流入することを抑制できる。分級ロータとハウジングとが非接触であること、かつ、シールエアで隙間をシールできることから、分級ロータを高速回転させることができるとともに、分級の精度を高く維持することが可能である。
【0015】
上記構成において、前記シールエア導入部は、前記端部突出部の外周面と径方向に対向する前記ハウジングの内周面に開口してもよい。このように構成することで、シールエアが端部突出部の外周面に吹き付けられるため、シールエアによる内部空間と排出部とのシール効果を有する。そのため、分級の精度を高く維持することが可能である。
【0016】
上記構成において、前記ハウジングの前記内周面と前記端部突出部の外周面との隙間は、前記シールエア導入部よりも前記中心軸に沿う方向の前記内部空間側が、前記排気部側よりも広い。このように構成されることで、シールエアが前記中心軸に沿う方向の内部空間側に流れやすくなるため、ハウジングの内部空間の分級されていない粉粒体と分級後の粗粉とを含む気流の排出部への流入をより効果的に抑制できる。
【0017】
上記構成において、各前記端部突出部は、前記中心軸に沿う方向において、前記ハウジングの前記内周面と径方向に対向する部分の外径が、前記中心軸に沿う方向の前記内部空間側の部分の外径よりも大きい。このように構成することで、端部突出部のハウジングの内周面と径方向に対向する部分と前記中心軸に沿う方向の内部空間側の外周面とで遠心力に差が生じる。これにより、ハウジングの内部空間の分級されていない粉粒体と分級後の粗粉とを含む気流の排出部への流入をより効果的に抑制できる。
【0018】
上記構成において、前記ハウジングは、前記端部突出部の前記排出部側の端面と隙間を介して軸方向に対向する対向面を有する。これにより、ハウジングと端部突出部との隙間の排出部側の圧力損失を大きくすることができ、排出部側に気流が流れにくくなる。これにより、ハウジングの内部空間の分級されていない粉粒体と分級後の粗粉とを含む気流の排出部への流入をより効果的に抑制できる。
【0019】
上記構成において、前記ハウジングの前記対向面から中心軸に沿う方向に突出する環状凸部と、前記端部突出部の前記中心軸に沿う方向の前記排出部側の端面から前記中心軸に沿う方向に凹み、内部に前記環状凸部が隙間を介して収容可能である環状凹部と、を有する。これにより、環状凸部と環状凹部とでラビリンスシールが形成され、ハウジングと端部突出部との隙間の排出部側の圧力損失を大きくすることができ、排出部側に気流が流れにくくなる。これにより、ハウジングの内部空間の分級されていない粉粒体と分級後の粗粉とを含む気流の排出部への流入をより効果的に抑制できる。
【0020】
上記構成において、前記分級シャフトの前記拡径部の外径は、前記中心軸に沿う方向の中央から端部に向かって連続的に小さくなる。このように構成することで、分級シャフトの外径に沿って軸方向に流れる気流が円滑に流れる。そのため、分級された微粉を含む気流が、中心軸に沿う方向の両端の貫通孔から安定して流出できる。加えて、分級シャフトの剛性が高まるため、分級ロータの回転数を高めることができる。
【0021】
上記構成において、前記分級シャフトの前記拡径部の外径は、前記中心軸に沿う方向の中央から端部に向かって段階的に小さくなる。このように構成することで、旋盤によって分級シャフトを製造するときの製造の手間および時間を短縮することが可能な場合がある。加えて、分級シャフトの剛性が高まるため、分級ロータの回転数を高めることができる。
【0022】
上記構成において、複数の前記分級ブレードが前記端部突出部の少なくとも一方に直接配置された分級かご部を有する。
【0023】
上記構成において、前記分級ロータの前記中心軸方向の長さをL、複数の前記分級ブレードの径方向の外縁をつないだ円柱状の直径をDとしたとき、L/Dが0.5以上であってもよい。分級ブレードの径方向外端を結んだ円形の直径に対して、分級ロータの軸方向の長さがより長くなった場合でも、分級シャフトの剛性を高めて、分級ロータの回転数を高めることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、分級ロータの回転数を増加させて、多様な粒径の粉粒体を分級することができる分級装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明にかかる分級装置の断面図である。
図2】分級装置の分級部を拡大した拡大断面図である。
図3】分級ロータに含まれる分級かご部の斜視図である。
図4】分級装置のシールエア導入部の周辺を拡大した概略図である。
図5】第1変形例の分級部を拡大した拡大断面図である。
図6】第2変形例の分級部を拡大した拡大断面図である。
図7】第3変形例の分級部を拡大した拡大断面図である。
図8】第4変形例の分級部を拡大した拡大断面図である。
図9】第4変形例の分級部に含まれる分級ロータの分解斜視図である。
図10】第5変形例のシールエア導入部の周辺を拡大した概略図である。
図11】第6変形例のシールエア導入部の周辺を拡大した概略図である。
図12】第7変形例のシールエア導入部の周辺を拡大した概略図である。
図13A】第7変形例のシールエア導入部のさらに他の例の周辺を拡大した概略図である。
図13B】第7変形例のシールエア導入部のさらに他の例の周辺を拡大した概略図である。
図13C】第7変形例のシールエア導入部のさらに他の例の周辺を拡大した概略図である。
図13D】第7変形例のシールエア導入部のさらに他の例の周辺を拡大した概略図である。
図14】従来の分級装置の断面図である。
図15】実施例および比較例における粗粉の混入率(D90/D50)とシールエアの導入量との関係を示すグラフである。
図16】実施例および比較例における粗粉の混入率(D97/D50)とシールエアの導入量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明にかかる分級装置について図面を参照して説明する。
【0027】
<分級装置Aの構成>
図1は、本発明にかかる分級装置の断面図である。図2は、分級装置Aの分級部20の拡大断面図である。図3は、分級ロータ23に含まれる分級かご部230の斜視図である。図4は、分級装置Aのシールエア導入部40の周辺を拡大した概略図である。図4に示す分級装置Aでは、中心軸Cxに沿う方向の中間部分の図示を省略している。
【0028】
分級装置Aは、分級部20で、供給された粉粒体から決められた粒径以下の粒径の微粉を排出部13から取り出す分級処理を行う。図1に示すように、分級装置Aは、ハウジング10と、分級部20と、軸受部30と、シールエア導入部40と、を有する。分級部20に含まれる分級シャフト21は、軸受部30を介して、中心軸Cxに沿う両端部をハウジング10に回転可能な状態で支持される。排出部13に接続された不図示のブロア等で空気を吸引することで排出部13から空気を排出する。この状態で、分級部20を回転しつつ粉粒体を含む気流を分級部20に流入させることで、粉粒体から所定の粒子径の微粉を取り出す、分級処理を行う。そして、シールエア導入部40からシールエアを導入することで、分級部20で分級されていない粉粒体と分級後の粗粉とを含む気流が排出部13に流入することを抑制する。
【0029】
なお、以下の説明において、図1に示す状態を基準とし、中心軸Cxが延びる中心軸に沿う方向を単に軸方向とする。中心軸Cxと直交する方向を径方向とし、中心軸に向う側を内側、中心軸から離れる側を外側とする。また、中心軸Cxを中心とする円周に沿う方向を周方向とする。
【0030】
<ハウジング10の構成>
ハウジング10は、内部空間100を有する。内部空間100には、分級部20が回転可能な状態で収容される。ハウジング10は、シャフト支持包囲部11と、粉粒体受入部12と、排出部13と、シールエア導入部40と、を有する。ハウジング10は、分級シャフト21の中心軸Cxが水平となるように、図示を省略した架台等に固定される。
【0031】
<シャフト支持包囲部11>
図1に示すように、ハウジング10は、2個のシャフト支持包囲部11を有する。2個のシャフト支持包囲部11は、軸方向に離れて配置される。シャフト支持包囲部11には、軸受部30が配置される。軸受部30は、分級部20の分級シャフト21を回転可能に支持する。
【0032】
<粉粒体受入部12>
図1に示すとおり、粉粒体受入部12は、ハウジング10の下部に設けられてハウジング10の内部空間100につながる。粉粒体受入部12は、粉粒体が含まれる気流Fwをハウジング10の内部空間100に受け入れる。粉粒体が含まれる気流Fwは、分級部20に向かって流れる。
【0033】
<排出部13>
ハウジング10には、2個の排出部13を有する。2個の排出部13は、ハウジング10の軸方向の両端部に配置される。2個の排出部13は、分級部20で分級された微粉を含む気流をハウジング10の外部に排出する排出路である。2個の排出部13は、それぞれ、内部空間100と接続されて外部に開口している。排出部13の開口には図示を省略したブロア等の吸引装置が接続される。吸引装置の動作によって排出部13の内部の空気は吸引される。吸引装置の吸引によって外部に排出される気流Scが発生する。なお、吸引装置による吸引の強弱は変更可能である。
【0034】
図1に示すように、排出部13は、排出チャンバ131と、排出流路132とを有する。排出チャンバ131は、分級部20の端部突出部231よりも軸方向の端部側に設けられる。排出チャンバ131は、端部突出部231の貫通孔235から排出される分級された微粉を含む気流を流入させる空間である。排出流路132は、排出チャンバ131の上部と連通する。
【0035】
なお、本実施形態のハウジング10では、軸方向の両端部のそれぞれに排出部13を備える構成としているが、これに限定されない。例えば、軸方向のいずれか一方の端部にのみ排出部13が形成されていてもよい。
【0036】
<シールエア導入部40>
シールエア導入部40の内周面は、端部突出部231の外周面と径方向に対向する(図1図4等参照)。シールエア導入部40には、後述するシールエア吹出部43が開口する。シールエア導入部40の内周面と端部突出部231の外周面との隙間44にシールエアSaを流入させることで、内部空間100の分級されていない粉粒体と分級後の粗粉とを含む気流が排出流路132に流出することを抑制する。
【0037】
シールエア導入部40の内周面の排出部13の近傍の内径は、内部空間100側の内径よりも小さい。そのため、シールエア導入部40の内周面と端部突出部231の外周面との隙間44は、排出部13側が内部空間100側に比べて狭い。シールエア導入部40の詳細な構成については後述する。
【0038】
<分級部20>
図1に示すように、分級部20は、ハウジング10の内部空間100に配置され、水平方向に延びる中心軸Cxの周りに回転可能である。ここで、分級部20の詳細について説明する。図1図2に示すように、分級部20は、分級シャフト21と、中間突出部22と、分級ロータ23と、駆動力伝達部24と、を有する。
【0039】
<分級シャフト21>
分級シャフト21は、中心軸Cxに沿って延びる柱状である。分級シャフト21は、2個の等径部211と、2個の拡径部212と、2個の軸受取付部213と、2個の軸突出部214と、を有する。2個の等径部211は、軸方向に離れて配置される。2個の等径部211は、軸方向に沿って延びる円柱状である。なお、等径部211は、円柱状であるが、一部が段形状またはテーパ状であってもよい。また、これ以外の形状であってもよい。軸方向に延びる柱状の形状を広く採用できる。
【0040】
2個の軸受取付部213は、軸方向において2個の等径部211の軸方向の端部側に連設される。なお、本実施形態の分級シャフト21において、軸受取付部213の外径は、等径部211よりの外径よりも小さい。そのため、等径部211と軸受取付部213との境界部分に段部が形成される。この段部に軸受部30の後述する内輪31を接触させることで、軸受部30の軸方向の位置決めがなされる。
【0041】
また、拡径部212は、等径部211の軸方向の中間突出部22側に配置されて、軸方向の中央に向かって拡径する。拡径部212の軸方向両端部は、等径部211と連結されている。2個の拡径部212は、軸方向の両端部突出部231側から中間突出部22側に向かって外径が大きくなる形状を有する。そして、2個の拡径部212は、軸方向の中央部で接合されており、軸方向の中央部で最大径となる。図1図2に示すように、本実施形態の拡径部212の外径は、軸方向の中央に向かって直線的に大きくなっている。しかしながら、これに限定されず、曲線的または段階的に大きくなるような形状であってもよい。
【0042】
軸突出部214は、軸受取付部213の軸方向端部側に配置される。なお、本実施形態の分級シャフト21は、2個の軸突出部214を有するが、これに限定されず、プーリ241が取り付けられる側のみ備えられてもよい。分級シャフト21において、軸突出部214は軸受取付部213よりも外径が小さいが、これに限定されない。軸突出部214の外径は、軸受取付部213の外径と同じであってもよい。しかしながら、後述する駆動力伝達部24のプーリ241を軸方向に位置決めするための段差を確保するため、軸突出部214の外径は、軸受取付部213の外径よりも小さいことが好ましい。
【0043】
分級シャフト21において、等径部211、拡径部212、軸受取付部213および軸突出部214は、一体で形成される。しかしながら、これに限定されず、少なくとも一か所で分解可能であってもよい。分解可能な構成の場合、部材同士の固定は、ねじで行われてもよいし、圧入等の固定方法で固定してもよい。部材同士の中心軸のずれを抑制し、強固に固定できる固定方法を広く採用できる。
【0044】
分級シャフト21の軸方向の一方側の端部には、駆動力伝達部24が取り付けられる。駆動力伝達部24は、図示を省略したモータから出力された力を分級シャフト21に伝達する。伝達された力によって分級部20は、中心軸Cx周りに回転される。
【0045】
<中間突出部22>
中間突出部22は、軸方向の両端から中央に向かって延びる拡径部212の接合部分から径方向に延びる。換言すると、中間突出部22は、分級シャフト21の最大外径部分に配置される。中間突出部22は、中心軸Cxと直交する円板状であるが、これに限定されない。例えば、六角形等の多角形の板状であってもよいし、周方向に等間隔に配列された板状の部材であってもよい。本実施形態の分級シャフト21において、中間突出部22は、分級シャフト21と一体である。
【0046】
中間突出部22は、軸方向の両端側の面から軸方向に中央部側に凹む円環状の凹溝221を有する(図2参照)。凹溝221には、後述する分級ロータ23の分級ブレード232を保持する分級リング233が挿入される。分級リング233は、凹溝221に挿入されるとともに、中間突出部22に固定されてもよい。固定方法としては、圧入、溶接、接着、ねじ止め等を挙げることができるが、これに限定されない。なお、中間突出部22が、周方向に配列される構成の場合、凹溝221は、周方向に延びる溝であり、円環の一部を構成するように形成される。
【0047】
<分級ロータ23>
分級ロータ23は、中間突出部22の軸方向の両側に配置される2個の分級かご部230を有する。図1図3に示すように、分級かご部230は、端部突出部231と、複数の分級ブレード232と、分級リング233とを有する。
【0048】
端部突出部231は、円板状であるが、これに限定されない。例えば、六角形等の多角形の板状であってもよいし、周方向に等間隔に配列された板状の部材であってもよい。端部突出部231の形状は、中間突出部22の形状に合わせた形状であってもよい。端部突出部231には、いずれも、厚み方向、すなわち、軸方向に貫通した軸孔234と、貫通孔235とが形成される。軸孔234は、端部突出部231を軸方向から見たときに中央部分に形成される。軸孔234は、中心軸Cxと直交する切断面の断面形状は円形である。軸孔234には、分級シャフト21の等径部211が挿入されるとともに、固定される。なお、分級シャフト21の等径部211を軸孔234に圧入することで、端部突出部231は、分級シャフト21に固定される。端部突出部231の分級シャフト21への固定は、圧入に限定されず、接着、溶接、ねじ止め等、強固に固定できる固定方法を広く採用することができる。
【0049】
軸方向から見て、貫通孔235は、周方向に延びるアーチ状であり、端部突出部231に4個形成される。なお、貫通孔235の形状は、アーチ状に限定されず、例えば、丸穴を周方向に配列した構成、長穴を周方向に配列した構成等を挙げることができる。内部空間100から排出部13に気流が円滑に流れる構成を広く採用することができる。また、
貫通孔235の個数は、4個に限定されず、5個以上であってもよいし、3個以下であってもよい。貫通孔235は、周方向に等間隔で形成されるが、配列間隔は、等間隔でなくてもよい。
【0050】
端部突出部231の貫通孔235よりも径方向外側には、複数個(ここでは、20個)の分級ブレード232が配置される。なお、複数個の分級ブレード232の配置は、周方向に等間隔でなくてもよい。例えば、一部の隣り合う分級ブレード232の間の間隔が他の部分に比べて広いまたは狭くてもよい。また、分級ブレード232の個数は、20個に限定されず、20個よりも多くても少なくてもよい。複数個の分級ブレード232は、軸方向に延びる長尺状であり、等間隔且つ放射状に端部突出部231の軸方向の端部の他方側の面に固定されている。複数枚の分級ブレード232は、例えば、端部突出部231の軸方向の端部の他方側の面に形成された凹溝に挿入した後、溶接、接着、ねじ止め等で固定してもよい。
【0051】
なお、図示は省略するが、複数の分級ブレード232は径方向に対して傾斜して配置されてもよい。また、分級ブレード232は、径方向に対して一部が傾斜していてもよい。さらに、複数の分級ブレード232の形状は平板に限定されない。例えば、中心軸と直交する断面が湾曲した形状、径方向の中間部で折り曲げられた形状等、周方向に延びる方向が変化する形状を採用することができる。また、周方向に湾曲したまたは折り曲げられた形状であってもよい。
【0052】
分級リング233には、分級ブレード232の端部突出部231に固定される部分と反対側の先端部分が固定される。分級ブレード232と分級リング233との固定は、端部突出部231と分級ブレード232との固定と同様の固定方法を採用してもよい。また、異なる固定方法であってもよい。放射状に配列された複数の分級ブレード232を分級リング233に固定することで、分級かご部230の剛性を高めることができる。これにより、分級ロータ23が回転するときの分級ブレード232の変形を抑制できる。分級リング233は、中間突出部22の凹溝221に挿入されるとともに、中間突出部22に固定される。なお、分級ブレード232は、中間突出部22に、例えば、端部突出部231の軸方向の端部の他方側の面に形成された凹溝に挿入した後、溶接、接着、ねじ止め等で固定してもよい。
【0053】
分級かご部230の分級リング233側から分級シャフト21の端部が挿入される。これにより、分級かご部230は、分級シャフト21に固定される。2個の分級かご部230は、分級シャフト21の軸方向の両端側から取り付けられる。分級ロータ23は、中間突出部22を挟んで対称となっている。
【0054】
本実施形態の分級かご部230は、端部突出部231の軸孔234に分級シャフト21の等径部211を固定するとともに、分級リング233を分級シャフト21に配置された中間突出部に固定することで、分級シャフト21に固定される。つまり、分級かご部230では、軸方向の両端で分級シャフト21に固定されるため、端部突出部231にボス部が不要である。そのため、分級かご部230の重量の増加を抑制しつつ、分級かご部230を分級シャフト21に強固に固定することができる。これにより、2個の分級かご部230を有する分級ロータ23の重量の増加を抑制することが可能である。
【0055】
なお、本実施形態において、分級かご部230は、分級ブレード232が端部突出部231に取り付けられる構成を挙げているがこれに限定されない。例えば、中間突出部22に分級ブレード232が取り付けられ、分級ブレード232の端部突出部側に分級リング233を設け、複数の分級ブレード232が固定されてもよい。なお、本実施形態の分級かご部230では、分級ブレード232の端部突出部231と反対側の端部が分級リング233に固定され、分級リング233を中間突出部22に固定する構成としていたが、これに限定されない。分級リング233を省略し、分級ブレード232を中間突出部22に直接固定してもよい。固定方法については、端部突出部231と同じ方法を採用することができる。
【0056】
<駆動力伝達部24>
図1に示すように、駆動力伝達部24は、プーリ241と、ベルト242とを有する。プーリ241は、分級シャフト21の軸方向の両端部に配置された軸突出部214の一方に固定される。プーリ241の外周面には周方向につながった複数本(ここでは、3本)の溝を有する。ベルト242は、プーリ241に巻き架けられている。ベルト242は、図示を省略したモータ等の動力源と接続されている。モータの動力は、ベルト242、プーリ241、すなわち、駆動力伝達部24を介して分級シャフト21に伝達される。換言すると、駆動力伝達部24を介してモータの動力が伝達されることで、分級部20が中心軸Cx周りに回転する。なお、本実施形態の駆動力伝達部24では、ベルト242を介して、動力源の動力が伝達されているが、これに限定されない。動力源、ここでは、モータの出力軸を分級シャフト21に直接接続する、いわゆる、モータ直結駆動であってもよい。
【0057】
<軸受部30>
軸受部30は、ハウジング10のシャフト支持包囲部11に取り付けられて、分級シャフト21の軸方向の両端部に設けられる。軸受部30は、ラジアル軸受であり、各軸受取付部213の外周面に軸方向に並んで2個ずつ取り付けられる。軸受部30は、ころがり軸受であり、内輪31と、外輪32と、複数個のボール33とを有する。内輪31および外輪32は、同一の中心軸を有する円筒状である。内輪31は、軸受取付部213の外周面に固定される。外輪32は、ハウジング10のシャフト支持包囲部11に固定される。
【0058】
軸方向の両端部を軸受部30で回転可能に支持されることで、分級シャフト21は、低抵抗で精度よく回転する。図1に示すように、2個の軸受部30の軸方向の中間には、間座が配置される。間座によって軸受30の予圧設定や潤滑剤の保持等がなされる。なお、本実施形態では、軸受取付部213毎に、2個の軸受部30を取り付けているが、これに限定されず、分級シャフト21を目的の回転数で回転可能に支持できる場合、1個であってもよいし、3個以上であってもよい。複数の軸受を配置する場合、軸受の間の間座の有無は、必要性、すなわち、予圧設定や潤滑剤の保持等の必要性によって決定される。
【0059】
<分級処理>
分級装置Aによる分級処理について説明する。分級装置Aの上流工程では、粉砕装置等の粉粒体を製造する装置が配置される。上流工程で製造された粉粒体は、気流Fwに含まれた状態で、粉粒体受入部12から分級装置Aに受け入れられる。粉粒体受入部12から流入した気流Fwには、さまざまな粒径の粉粒体が含まれており、分級装置Aでは、流入した粉粒体から所定の粒形以下の微粉のみを取り出す分級処理を行う。以下に分級処理について説明する。
【0060】
排出部13には吸引装置が接続されており、排出部13は、分級部20が配置されたハウジング10の内部空間100と連接される。分級装置Aでは、分級ロータ23が中心軸Cx周りに回転している状態で、吸引装置を駆動して、排出部13の空気を吸引する。これにより、分級ロータ23の内部の空気が吸引される。
【0061】
これにより、粉粒体受入部12に流入した気流Fwが、回転する分級ロータ23の分級ブレード232の間を通って分級ロータ23の内部に引き込まれる。このとき、所定の粒径以下の粉粒体は分級ロータ23の内部に取り込まれ、粒径が過大な粉粒体は回転する分級ブレード232によって分級ロータ23の内部への流入が阻止される。
【0062】
分級ロータ23によって、数百nmから数十μm程度の粒径の粉粒体を分級することができる。分級ロータ23で分級された微粉は、端部突出部231の貫通孔235から排出チャンバ131に流出し、さらに、排出流路132から外部に気流Scとともに分級装置Aの外部に排出される。排出流路132の外部側には、例えば、バグフィルタ等の微粉を捕集する捕集装置(不図示)が配置され、分級された微粉は捕集装置にて製品として捕集される。
【0063】
さらに詳しく説明すると、排出部13から排出される分級された微粉の粒径は、一般的に、分級ロータ23に流入する気流の流量の平方根に比例し、分級ロータ23の回転数に反比例する。分級装置Aでは、分級ロータ23の回転数を可変とすることで、分級される微粉の粒径を調整している。例えば、分級装置Aでは、分級ロータ23の回転数が速いときほど、遅いときよりも分級された微粉の粒径を小さくできる。そのため、分級装置Aでは、要求される粒径に応じて、分級ロータ23の回転数および吸引装置の吸引力を変更することで調整している。
【0064】
また、分級装置Aにおいて、分級部20では、分級ロータ23の径方向に粉粒体を含む気流を受け入れ、軸方向の両端から分級された微粉を含む気流を外部に送る。分級装置Aにおいて、分級ロータ23が中間突出部22を挟んで対称であり、排出部13を軸方向の両端に配置することで、気流の流れによって分級部20に作用する軸方向の力が相殺される。そのため、分級シャフト21を支持している軸受部30における内輪31と外輪32との軸方向に沿う方向のずれが抑制され、軸受部30の負担が低減される。これにより、分級ロータ23をより高い回転数で回転させることが可能になる。
【0065】
なお、分級ロータ23は、中間突出部22を挟んで非対称であってもよい。このように構成した場合であっても、分級部20に流入する気流の流量を軸方向の分布を調整することで、分級部20に作用する軸方向の力を相殺することが可能である。また、逆に、分級部20に流入する気流の流量の分布が軸方向に偏っている場合、その偏りに応じて中間突出部22を軸方向の中央から一方にずらして形成することで、分級部20に作用する軸方向の力を相殺することが可能である。すなわち、分級部20における中間突出部22の軸方向の位置は、中央に限定されない。
【0066】
本実施形態の分級装置Aでは、分級部20の分級シャフト21の軸方向の両端部に設けられた軸受取付部213のそれぞれを軸受部30で回転可能に支持している。分級シャフト21の端部突出部231から中間突出部22までの間の部分は、中央側の外径が端部側の外径よりも大きい拡径部212である。分級シャフト21の拡径部212は、曲げモーメントが大きくなる部分に向かって外径が大きくなるため、分級シャフト21のたわみが抑制される。結果として、分級シャフト21の固有振動数を高めることができる。
【0067】
分級シャフト21の固有振動数を高めることで、共振するまで分級部20を高速回転させることができる。以上により、本実施形態にかかる分級装置Aでは、分級ロータ23の回転速度を高く設定して運転することが可能である。
【0068】
また、拡径部212は、軸方向の中間側が端部側よりも大径になる形状であるため、単純に分級シャフト21を、拡径部212の最大径と同じ径で軸方向に均一の外径とした場合に比べ、分級ロータ23の端部突出部231、分級ブレード232、分級シャフト21の拡径部212および中間突出部22で囲まれる領域、すなわち、分級ロータ23の気流が通過する部分の体積を大きくできる。そのため、分級処理時に分級ロータ23の内部を流れる気流の流量を増やすことができる。つまり、本実施形態の分級シャフト21および分級ロータ23を用いることで、圧力損失を抑えて運転することが可能になる。
【0069】
以上のことより、本実施形態の分級装置Aによれば、分級ロータ23を高速回転させた場合でも、圧力損失を抑えて運転することが可能であり、多様な粒径の分級処理が可能である。
【0070】
<シールエア導入部40>
端部突出部231の外周面がハウジング10のシールエア導入部40の内周面と径方向に対向するように配置される。端部突出部231の外周面とシールエア導入部40の内周面との間には隙間44が形成される。分級装置Aでは、端部突出部231とシールエア導入部40とが、ハウジング10の内部空間100と排出部13の排出チャンバ131との境界に配置される。
【0071】
排出チャンバ131から排出される気流Scには、分級された微粉が含まれている。一方で、内部空間100には、分級部20で分級されない所定粒径以上の粉粒体と分級後の粗粉とが含まれる。分級装置Aでは、端部突出部231の外周面とハウジング10のシールエア導入部40の内周面との隙間44をシールして、分級されていない粉粒体と分級後の粗粉とが内部空間100から排出部13に流入することを抑制している。分級部20が高速で回転しており、分級シャフト21よりも外径が大きい端部突出部231の外周面では、周速度が高く接触型のシールは困難である。そこで、本実施形態の分級装置Aでは、空気(シールエアSa)を用いて、シールしている。ここで、シールエアSaを導入するシールエア導入部40について、説明する。
【0072】
分級装置Aでは、図示を省略したコンプレッサ等の空気圧縮装置からの空気をシールエア導入部40の後述するシールエア導入流路41に供給している。そして、シールエア導入部40の後述するシールエア吹出部43からの空気は、端部突出部231の外周面とシールエア導入部40の内周面との間に導入される。この導入された空気が、端部突出部231の外周面とシールエア導入部40の内周面との隙間44をシールする。
【0073】
図4に示すように、シールエア導入部40は、シールエア導入流路41と、シールエア導入チャンバ42と、円環状のシールエア吹出部43とを有する。シールエア導入流路41は、ハウジング10に形成されて径方向に延びる配管であり、空気圧縮装置からの空気が流入する。シールエア導入流路41は、シールエア導入チャンバ42に接続される。
【0074】
シールエア導入チャンバ42は、ハウジング10の内部に形成された円環状の空間である。なお、ハウジング10では、複数の部材を組み合わせることで、シールエア導入チャンバ42を形成している。シールエア導入流路41から供給された空気は、シールエア導入チャンバ42に流入して、シールエア導入チャンバ42内に貯留される。このとき、シールエア導入チャンバ42内の空気の圧力は、均一または略均一となっている。
【0075】
シールエア導入流路41は複数個設けられていてもよい。複数個設けることで、シールエア導入チャンバ42内の空気の圧力が、より早く均一または略均一になる。シールエア導入チャンバ42は径方向に1箇所設けられているが、径方向に別のシールエア導入チャンバが設けられていてもよい。複数個設けることで、シールエア導入チャンバ内の空気の圧力が、より均一または略均一になる。
【0076】
シールエア吹出部43は、シールエア導入チャンバ42に接続されて、シールエア導入チャンバ42内の空気が流入する。そして、シールエア吹出部43は、シールエア導入部40の内周面に開口を有する。シールエア吹出部43の開口から空気をシールエアSaとして、シールエア導入部40の内周面と端部突出部231の外周面との隙間44に吹き出す。
【0077】
シールエア導入部40の内周面の排出部13側の内径が、内部空間100側の内径よりも小さいため、シールエア導入部40の内周面と端部突出部231の外周面との隙間44の排出部13側は、内部空間100側よりも狭くなる。これにより、隙間44において、排出部13側の圧力損失は内部空間100側に比べて大きい。そのため、シールエアSaの多くは内部空間100側に流れる。
【0078】
シールエア導入部40の内周面と端部突出部231の外周面との隙間44において、内部空間100の分級されていない粉粒体と分級後の粗粉とを含む気流は、シールエアSaに押されて内部空間100から排出部13に流れ込みにくい。これにより、分級されていない粉粒体と分級後の粗粉とが内部空間100から排出部13に流入することを抑制し、分級の精度を高く維持することが可能である。
【0079】
このように、シールエアSaをシールエア導入部40の内周面と端部突出部231の外周面との間に供給することで、シールエア導入部40と端部突出部231とを非接触に維持しつつ、分級されていない粉粒体と分級後の粗粉とを含む気流が排出部13に流入することを抑制できる。
【0080】
以上説明では、コンプレッサ等の空気圧縮装置からの空気を導入する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、コンプレッサにて、不活性ガス(窒素、アルゴン等)を導入してもよいし、圧送ブロワより空気を導入してもよい。分級されていない粉粒体と分級後の粗粉とを含む気流の流れを制限できる気体を導入する方法を広く採用することができる。
【0081】
本実施形態において、中間突出部22および端部突出部231はともに、円板状であったが、これに限定されない。例えば、径方向に延びる棒状、いわゆる、スポーク状の部材を周方向に配列して形成してもよい。なお、スポーク状の部材を用いる場合、径方向の外縁部をつなぐ環状の部材を含んでいてもよい。
【0082】
上述したとおり、本実施形態の分級部20において、分級シャフト21の拡径部212は、軸方向の中間部分が端部よりも太く構成されている。分級ロータ23の軸方向の長さをL、複数の分級ブレード232の径方向の外縁をつないだ円柱状の直径をDとしたとき(図2参照)、L/Dの値は0.5以上であることが好ましく、1.0以上であることがより好ましく、1.5以上であることがさらに好ましい。
【0083】
<第1変形例>
図5は第1変形例の分級部20Aを拡大した拡大断面図である。図5に示すように分級部20Aは、分級シャフト21aの拡径部212aの形状が、図2等に示す分級部20の分級シャフト21の拡径部212と異なる。分級部20Aのこれ以外の点については、分級部20と同様の構成を有する。そのため、分級部20Aの分級部20と実質的に同じ部分には同じ符号を付すとともに、同じ部分についての詳細な説明は省略する。
【0084】
図5に示すように、分級部20Aの分級シャフト21aの拡径部212aは、外径が3段階に変化している。つまり、拡径部212aでは、軸方向の端部に最も小さい外径の円柱状の第1部分2121が設けられる。そして、第1部分2121よりも中央側に、第1部分2121よりも外径が大きい第2部分2122が設けられる。さらに、第2部分2122よりも外径が大きい第3部分2123が設けられる。分級シャフト21aにおいて、第3部分2123が最大外径部であり、第3部分2123に中間突出部22が形成される。
【0085】
このような形状とすることで、旋盤によって分級シャフトを製造するときの製造の手間および時間を短縮することが可能になる場合がある。また、このような形状の分級シャフト21aを用いた分級部20Aであっても、分級部20と同様の効果を奏する。
【0086】
<第2変形例>
図6は、第2変形例の分級部20Bを拡大した拡大断面図である。図6に示すように分級部20Bは中間突出部22bが、図2等に示す分級部20の中間突出部22と異なる。分級部20Bのこれ以外の点については、分級部20と同様の構成を有する。そのため、分級部20Bの分級部20と実質的に同じ部分には同じ符号を付すとともに、同じ部分についての詳細な説明は省略する。
【0087】
図6に示すように、中間突出部22bは、分級シャフト21の外周面から径方向に突出する係合凸部222と、係合凸部222に係合される本体部223と、係合凸部222に係合された本体部223を固定するための固定リング224とを有している。中間突出部22bは、分級シャフト21から分離可能である。中間突出部22bを分離可能とすることで、分級シャフト21の素材の大きさを小さくでき、また、旋盤による切削にて製造するときの切削量を減らすことができる。これにより、分級部20Bの製造に要する手間と時間を短縮することが可能である。なお、中間突出部22bは、分級シャフト21から分離可能なように、固定リング224にねじで固定されてもよいし、溶接等の固定方法により固定されてもよい。また、中間突出部22bを分級シャフト21に圧入、溶接、ねじ止め等の固定方法を利用して固定してもよい。
【0088】
<第3変形例>
図7は第3変形例の分級部20Cを拡大した拡大断面図である。図7に示すように分級部20Cは分級シャフト21cおよび分級ロータ23cの端部突出部231cが、図2等に示す分級部20の分級シャフト21および分級ロータ23の端部突出部231と異なる。分級部20Cのこれ以外の点については、分級部20と同様の構成を有する。そのため、分級部20Cの分級部20と実質的に同じ部分には同じ符号を付すとともに、同じ部分についての詳細な説明は省略する。
【0089】
図7に示す分級部20Cでは、分級ロータ23cの端部突出部231cが分級シャフト21cと一体である。このように、端部突出部231cが分級シャフト21cと一体であることで、分級部20Cの剛性をさらに高め、分級部20Cの固有振動数をさらに高めることができ、これにより、共振するまで分級ロータ23cの回転数を上げることができる。なお、本変形例では、分級シャフト21cと一体に形成された中間突出部22と、端部突出部231cとに、分級ブレード232を取り付ける構成であるが、分級ブレード232も分級シャフト21cと一体であってもよい。ここで、一体とは、単一の部材で形成される場合を含むとともに、溶接、溶着等の方法を用いて、別部材を一体不可分に接合した場合も含まれる。
【0090】
<第4変形例>
図8は第4変形例の分級部20Dを拡大した拡大断面図である。図9は、第4変形例の分級部20Dに含まれる分級ロータ23dの分解斜視図である。図8図9に示すように分級部20Dの分級シャフト21dから突出する中間突出部および分級ロータ23dの分級かご部230dの分級リングが省略されている点で、図2等に示す分級部20の分級シャフト21および分級ロータ23と異なる。分級部20Dのこれ以外の点については、分級部20と同様の構成を有する。そのため、分級部20Dの分級部20と実質的に同じ部分には同じ符号を付すとともに、同じ部分についての詳細な説明は省略する。
【0091】
図8に示すように、分級部20Dの分級シャフト21dでは、中間突出部が省略されている。そのため、分級シャフト21dの拡径部212dは、軸方向の中央部分が最大外径部分であり、最大外径部分から軸方向端部側、すなわち、等径部211に向かって外径が小さくなる。
【0092】
図9に示すように、分級ロータ23dは、2個の分級かご部230dを有する。分級かご部230dは、それぞれ、端部突出部231と、分級ブレード232dとを有する。分級ブレード232dの軸方向の一方の端部が端部突出部231に固定される。なお、分級ブレード232dと端部突出部231との固定方法としては、圧入、溶接、接着、ねじ止め等を挙げることができるが、これに限定されない。
【0093】
2個の分級かご部230dは分級ブレード232dが周方向に交互に配置されるように、軸方向に組み合わせる。このとき、一方の分級かご部230dの分級ブレード232dの自由端部は、他方の分級かご部230dの端部突出部231に固定される。なお、一方の分級かご部230dの分級ブレード232dと他方の分級かご部230dの端部突出部231との固定方法としては、圧入、溶接、接着、ねじ止め等を挙げることができるが、これに限定されない。
【0094】
2個の分級かご部230dを組み合わせて分級ロータ23dを形成するとき、端部突出部231の軸孔234に分級シャフト21dの等径部211が固定される。これにより、分級ロータ23dは、分級シャフト21dに固定される。
【0095】
中間突出部を省略した分級ロータ23dを用いることで、分級ロータ23dを軽量化することが可能である。なお、本変形例の分級ロータ23dは、分級ブレード232dの軸方向の長さが短い分級部20Dを構成するのに好適である。
【0096】
なお、本変形例の分級部23dでは、両端の端部突出部231にそれぞれ分級ブレード232dが固定された2個の分級かご部230dを有する構成としているが、これに限定されない。一方の端部突出部231に全ての分級ブレード232dが固定されて、反対側を端部突出部231で固定する構成であってもよい。
【0097】
<第5変形例>
図10は、第5変形例のシールエア導入部の周辺を拡大した概略図である。図10に示すように分級装置Eでは分級ロータ23eの端部突出部231eが、図1等に示す分級装置Aの分級ロータ23の端部突出部231と異なる。分級装置Eのこれ以外の点については、分級装置Aと同様の構成を有する。そのため、分級装置Eの分級装置Aと実質的に同じ部分には同じ符号を付すとともに、同じ部分についての詳細な説明は省略する。
【0098】
図10に示すように、分級部20Eの分級ロータ23eの端部突出部231eは、シールエア導入部40と径方向に対向する第1端部2311と、第1端部2311よりも内部空間100側に配置される第2端部2312とを有する。第1端部2311の外径は、第2端部2312の外径よりも大きい。
【0099】
分級ロータ23eが中心軸Cx周りに回転するとき、第1端部2311の外周面の遠心力は、第2端部2312の外周面の遠心力よりも大きい。第1端部2311の外周面と第2端部2312の外周面の遠心力の差によって、ハウジング10の内部空間100の分級されていない粉粒体と分級後の粗粉との、内部空間100側から排出部13側への流入が抑制される。
【0100】
<第6変形例>
図11は、第6変形例のシールエア導入部の周辺を拡大した概略図である。図11に示すように分級装置Fはシールエア導入部40fの軸方向の端部側に、径方向内側に拡がる内フランジ部45が形成されている点で、図10に示す分級装置Eと異なる。分級装置Fのこれ以外の点については、分級装置Eと同様の構成を有する。そのため、分級装置Fの分級装置Eと実質的に同じ部分には同じ符号を付すとともに、同じ部分についての詳細な説明は省略する。
【0101】
図11に示すように、分級装置Fでは、シールエア導入部40fが内フランジ部45を有する。内フランジ部45の内周面の内径は、分級部20Eの分級ロータ23eの端部突出部231eの外周面の外径よりも小さい。そして、内フランジ部45と端部突出部231eの軸方向の端部側の面と隙間44eを介して軸方向に対向する。これにより、シールエア導入部40fと端部突出部231eとの隙間44eのシールエア吹出部43から排出部13に至る部分の長さが長くなり、シールエア吹出部43より軸方向の中央側よりも圧力損失を大きくできる。これにより、シールエア吹出部43から噴出されたシールエアSaのより多くを内部空間100側に流すことができ、内部空間100の分級されていない粉粒体と分級後の粗粉とを含む気流の排出部13への流入をより強固に抑制することができる。
【0102】
なお、内フランジ部45の軸方向中央側の面と、端部突出部231eの軸方向端部側の面との隙間44eは、左右で異なる。このように構成することで、温度変化によって分級ロータ23eが軸方向に延びた場合であっても、内フランジ部45と端部突出部231eとの接触を抑制できる。
【0103】
本実施形態では、端部突出部23eの外周面に向かってシールエアSaが吹き付けられるように、シールエア吹出部43を配置しているがこれに限定されない。端部突出部23eの軸方向の端部側の面に向かってシールエアSaが吹き付けられるように、シールエア吹出部43を配置してもよい。また、両方に配置してもよい。
【0104】
<第7変形例>
図12は、第7変形例のシールエア導入部の周辺を拡大した概略図である。図12に示すように分級装置Gはシールエア導入部40gの内フランジ部45の軸方向中央側の面から軸方向中央側に突出する環状凸部46を有する。また、分級部20Gの分級ロータ23gの端部突出部231gは、軸方向の端部側に環状凸部46が配置される環状凹部2313を有する。これ以外の点については、図11に示す分級装置Fと同様の構成を有する。そのため、分級装置Gの分級装置Fと実質的に同じ部分には同じ符号を付すとともに、同じ部分についての詳細な説明は省略する。
【0105】
内フランジ部45の環状凸部46は環状凹部2313の内部に、隙間44fを介して配置される。これにより、環状凸部46と環状凹部2313でラビリンスシールが形成される。ラビリンスシールを有することで、シールエア吹出部43から排出部13に至る隙間44の圧力損失が大きくなるため、排出部13に流れるシールエアSaをより減少させることができる。これにより、内部空間100により多くのシールエアSaを流入させて、分級されていない粉粒体と分級後の粗粉とを含む気流が、内部空間100から排出部13に流入することを抑制する効果を高めることができる。加えて、内フランジ部45の環状凸部46と環状凹部2313で形成されるラビリンスシールの軸方向の隙間44fは、左右で同じにできる。これにより、シールエア導入部40gと端部突出部231gは左右で同じ構造で形成でき、部品を共用することができる。
【0106】
分級装置Gの変形例について説明する。図13A図13Dは、分級装置Gの変形例の断面図である。ここで示す各変形例の分級装置G1~G4は、環状凸部および環状凹部が異なる以外、分級装置Gと同じ構成である。そのため、分級装置G1~G4の分級装置Gと実質上同じ部分に同じ符号を付すとともに、実質上同じ部分の詳細な説明を省略する。
【0107】
図13Aに示す分級装置G1の端部突出部231gは、排出部13側の外周面の外径が階段状である外段状部2314を有する。外段状部2314の外径は、排出部13側に向かって段階的に小径となる。そして、内フランジ部45には、軸方向中央側の面から軸方向端部側にかけて内径が階段状である内段状部461が形成される。外段状部2314は、内段状部461と隙間441fを介して配置される。図13Aに示すように、隙間441fが段状であることで、隙間441fの圧力損失が大きくなり、排出部13に流れるシールエアSaを減少させることができる。これにより、内部空間100により多くのシールエアSaを流入させて、分級されていない粉粒体と分級後の粗粉とを含む気流が、内部空間100から排出部13に流入することを抑制する効果を高めることができる。外段状部2314および内段状部461の段数は3段であるが、これに限定されず、それ以上でもそれ以下でもよい。
【0108】
また、図13Bに示す分級装置G2の端部突出部231gは、軸方向端部側の面から排出部13側に突出する内段状凸部2315を有する。内段状凸部2315は、内径が排出部13側に向かって段階的に大径となる。そして、内フランジ部45には、軸方向中央側の面から排出部13側に凹む外段状凹部462を有する。外段状凹部462は、外径が排出部13側に向かって段階的に大径となる。内段状凸部2315は、外段状凹部462と隙間442fを介して配置される。図13Bに示すように、隙間442fが段状であることで、隙間442fの圧力損失が大きくなり、排出部13に流れるシールエアSaを減少させることができる。これにより、内部空間100により多くのシールエアSaを流入させて、分級されていない粉粒体と分級後の粗粉とを含む気流が、内部空間100から排出部13に流入することを抑制する効果を高めることができる。内段状凸部2315および外段状凹部462の段数は3段であるが、これに限定されず、それ以上でもそれ以下でもよい。
【0109】
さらに、図13Cに示す分級装置G3のように、端部突出部231gの排出部13側の端面から軸方向中央側に凹む第1凹部2316と、内フランジ部45の内部空間100側の面の第1凹部2316と軸方向に対向する部分から軸方向端部側に凹む第2凹部463を有する。すなわち、分級装置G3では、第1凹部2316および第2凹部463によって、端部突出部231gと内フランジ部45との間の隙間443fにチャンバ444fが形成される。これにより、隙間443fの圧力損失を大きくし、排出部13に流れるシールエアSaを減少させることができる。これにより、内部空間100により多くのシールエアSaを流入させて、分級されていない粉粒体と分級後の粗粉とを含む気流が、内部空間100から排出部13に流入することを抑制する効果を高めることができる。チャンバ444fは径方向に1個設けられているが、径方向に複数個設けれられていてもよい。
【0110】
また、分級装置G4では、図13Dの左側に示すように、チャンバ444fを第2凹部463で形成してもよい。また、図13Dの右側に示すように、チャンバ444fを第1凹部2316で形成してもよい。このようにすることで、隙間443fの圧力損失を大きくし、排出部13に流れるシールエアSaを減少させることができる。これにより、内部空間100により多くのシールエアSaを流入させて、分級されていない粉粒体と分級後の粗粉とを含む気流が、内部空間100から排出部13に流入することを抑制する効果を高めることができる。チャンバ444fは径方向に1個設けられているが、径方向に複数個設けれられていてもよい。
【0111】
<本発明にかかる分級装置の評価>
本発明にかかる分級装置A(実施例)と、従来の分級装置P(比較例)とについて、分級性能を測定して比較を行った。実施例の分級装置Aは、上述の構成である。
【0112】
<比較例>
図14は、従来の分級装置の断面図である。図14に示すように、分級装置Pは、ハウジング80の内部空間800に、分級部81が配置されている。分級部81は、分級シャフト811と、分級ロータ812とを有する。分級シャフト811は、軸方向に均一な円柱状である。分級シャフト811は、回転駆動手段(モータM)から突出した構成であり、軸方向の一方側の端部のみを回転可能に支持された、いわゆる、片持ち梁状となっている。
【0113】
また、分級ロータ812は、分級シャフト811から径方向外方に向かって広がるフランジ部813と、フランジ部813の径方向外側から軸方向に延びる複数の分級ブレード814を有する。分級ブレード814は、放射状に配置される。分級ロータ812は、分級シャフト811にフランジ部813が固定されることで、取り付けられる。そのため、フランジ部813には、分級シャフト811との接触面積を大きくし、強固に固定するためのボス部815が備えられている。分級ロータ812の軸方向の端部に設けられた開口部には、排出部82が接続されている。
【0114】
分級装置Pは、分級ロータ812の分級ブレード814が固定される分級リング816と、軸方向に対向して分級リング816にシールエアSaを吹き付けるシールエア吹出部817を有する。分級装置Pでは、排出部82につながる部分と内部空間800とが、径方向に配置されており、シールエアSaを分級ロータ812の端部の軸方向に面する面に吹き付けている。
【0115】
<試験1>
試験1では、重質炭酸カルシウム(メジアン径D50=73μm)を粉砕して粉粒体とし、粉粒体を含む気流(以下、試験気流とする)を分級装置Aおよび分級装置Pで分級し、そのときの分級ロータの外周面の周速の最大値と、分級された微粒子のメジアン径D50をそれぞれ測定して比較を行った。なお、メジアン径D50とは、粉粒体を粒径順に並べたとき、その粒径よりも小さい径の粉粒体の数と大きい径の粉粒体の数とが同じになる粒径である。
【0116】
実施例と比較例との測定結果を表1に示す。
【表1】
【0117】
表1に示すように、比較例の分級装置Pでは、分級ロータ812の外周面の最大周速は71m/sであった。このとき、比較例の分級装置Pで分級されて取り出された製品のメジアン径D50は1.478μmであった。一方で、実施例の分級装置Aでは、分級ロータ23の外周面の最大周速は190m/sであった。このとき、実施例の分級装置Aで分級されて取り出された製品のメジアン径D50は0.400μmであった。
【0118】
以上の試験より、実施例の分級装置Aを用いることで、比較例の分級装置Pに比べて、分級ロータを高速回転させることができることがわかる。その結果、実施例の分級装置Aは、比較例の分級装置Pに比べて、小さいメジアン径D50の製品を取得することが可能であることが分かった。
【0119】
<試験2>
分級装置A(実施例)と、分級装置P(比較例)とでシールエアの導入量を変化させて、分級性能を測定して比較を行った。実施例の試験では、重質炭酸カルシウム(メジアン径D50=73μm)を粉砕した粉粒体を使用した。また、比較例の試験では、タルク(メジアン径D50=20μm)を粉砕した粉粒体を使用した。
【0120】
より具体的には、次のとおりである。各分級装置において、分級ロータを最大の回転数で回転させた状態で、粉粒体を含む気流を供給する。そして、シールエアの導入量を段階的に少なくして、分級後の製品を取得し、粒子径分布に基づいてD90/D50、D97/D50を算出し、粒子径が大きい粗粉の混入率を実施例と比較例とで比較した。
【0121】
なお、D90、D97は、粒子径分布を細かい側から累積した場合にそれぞれ、90%、97%となるときの分級後の製品粒子径を意味する。また、D90/D50、D97/D50の値は、いずれも、分級後の製品中に含まれる粗粉の混入率を示すものであり、この値が1に近いほど粗粉の混入が少なく、分級性能が高いことを意味する。実施例および比較例の試験結果について図15および図16に示す。図15は、実施例および比較例における粗粉の混入率(D90/D50)とシールエアの導入量との関係を示すグラフである。図16は、実施例および比較例における粗粉の混入率(D97/D50)とシールエアの導入量との関係を示すグラフである。
【0122】
図15の縦軸は、粗粉の混入率(D90/D50)を示し、横軸は、シールエアの導入量(Nm3/min)を示す。また、図16の縦軸は、粗粉の混入率(D97/D50)を示し、横軸は、シールエアの導入量(Nm3/min)を示す。
【0123】
図15図16に示すように、比較例において、シールエア導入量が少ない場合、粗粉の混入量が増加することがわかる。実施例においても、シールエア導入量が少ない場合、比較例と同様、粗粉の混入量が増加している。一方で、実施例では、比較例よりも少ないシールエア導入量でも、粗粉の混入量が低い。つまり、本発明の分級装置Aでは、分級装置Pを用いる場合に比べて、少ないシールエアで、高い分級性能を発揮できることがわかる。加えて、分級装置Aは分級装置Pと比べて、分級ロータを高速回転しているため、より小さいメジアン径D50の製品を、高い分級性能を維持しながら取得できることが可能であることがわかった(表1参照)。
【0124】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0125】
A 分級装置
10 ハウジング
100 内部空間
11 シャフト支持包囲部
12 粉粒体受入部
13 排出部
131 排出チャンバ
132 排出流路
20 分級部
21 分級シャフト
211 等径部
212 拡径部
213 軸受取付部
214 軸突出部
22 中間突出部
221 凹溝
222 係合凸部
23 分級ロータ
230 分級かご部
231 端部突出部
232 分級ブレード
233 分級リング
234 軸孔
235 貫通孔
24 駆動力伝達部
241 プーリ
242 ベルト
30 軸受部
31 内輪
32 外輪
33 ボール
40 シールエア導入部
41 シールエア導入流路
42 シールエア導入チャンバ
43 シールエア吹出部
44 隙間
20A 分級部
21a 分級シャフト
212a 拡径部
2121 第1部分
2122 第2部分
2123 第3部分
20B 分級部
22b 中間突出部
223 本体部
224 固定リング
20C 分級部
21c 分級シャフト
23c 分級ロータ
231c 端部突出部
20D 分級部
21d 分級シャフト
212d 拡径部
23d 分級ロータ
230d 分級かご部
232d 分級ブレード
23e 分級ロータ
231e 端部突出部
2311 第1端部
2312 第2端部
40f シールエア導入部
45 内フランジ部
23g 分級ロータ
231g 端部突出部
2313 環状凹部
40g シールエア導入部
46 環状凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図14
図15
図16