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特許7490531超音波探傷画像判定装置、超音波探傷システムおよび超音波探傷画像判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】超音波探傷画像判定装置、超音波探傷システムおよび超音波探傷画像判定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/06 20060101AFI20240520BHJP
   G01N 29/26 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
G01N29/06
G01N29/26
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020177547
(22)【出願日】2020-10-22
(65)【公開番号】P2022068716
(43)【公開日】2022-05-10
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅原 あずさ
(72)【発明者】
【氏名】高橋 栞太
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-279144(JP,A)
【文献】特開2019-049503(JP,A)
【文献】特開平04-019558(JP,A)
【文献】特開2007-101320(JP,A)
【文献】特開2009-204328(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0081468(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00 - G01N 29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象に超音波を所定の方向にスキャンする超音波探傷器を有して前記スキャンする方向に垂直な方向の複数のスキャン位置において探傷する超音波探傷装置の出力を用いて前記所定の方向に沿った面内の超音波探傷画像を生成する超音波画像生成装置からの前記超音波探傷画像、および複数の前記スキャン位置のそれぞれに関するデータである超音波探傷画像データおよびスキャン位置データに基づいて、き裂の有無の判定を行う超音波探傷画像判定装置であって、
前記超音波探傷画像データおよび前記スキャン位置データを受け入れる入力部と、
前記超音波探傷画像を判定用探傷画像要素に分割し、前記超音波探傷画像データに基づいて判定用探傷画像を作成し指示要素領域を明示する判定用探傷画像作成部と、
前記判定用探傷画像に基づき形状データを導出し、前記形状データの特徴を示す指標値の前記スキャン位置への指標値依存性を導出する指標値依存性導出部と、
前記指標値依存性に基づいてき裂か否かの判定を行う判定部と、
を備えることを特徴とする超音波探傷画像判定装置。
【請求項2】
前記形状データは、前記判定用探傷画像の前記指示要素領域における前記判定用探傷画像要素のうち、所定の輝度以上の輝度を有するものを摘出した摘出指示要素の集合であることを特徴とする請求項1に記載の超音波探傷画像判定装置。
【請求項3】
前記指標値は、前記形状データ中の前記摘出指示要素の数であることを特徴とする請求項2に記載の超音波探傷画像判定装置。
【請求項4】
前記指標値は、前記形状データにおける根本側の深さ方向の位置および先端側の深さ方向の位置であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波探傷画像判定装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記形状データを包絡する最小の長方形の外周であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波探傷画像判定装置。
【請求項6】
前記指標値依存性に基づいて指標値変化度を算出する指標値変化度算出部をさらに備え、
前記判定部は、前記指標値変化度に基づいてき裂か否かの判定を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の超音波探傷画像判定装置。
【請求項7】
前記指標値変化度は、互いに隣接する前記スキャン位置における前記指標値間の差であることを特徴とする請求項6に記載の超音波探傷画像判定装置。
【請求項8】
検査対象に超音波を所定の方向にスキャンする超音波探傷器を有して前記スキャンする方向に垂直な方向の複数のスキャン位置において探傷する超音波探傷装置と、
前記超音波探傷装置の出力を用いて前記所定の方向に沿った面内の超音波探傷画像を生成する超音波画像生成装置と、
前記超音波探傷画像および複数の前記スキャン位置のそれぞれに関するデータである超音波探傷画像データおよびスキャン位置データに基づいて、き裂の有無の判定を行う超音波探傷画像判定装置と、
を備え、
前記超音波探傷画像判定装置は、
前記超音波探傷画像データおよび前記スキャン位置データを受け入れる入力部と、
前記超音波探傷画像を判定用探傷画像要素に分割し、前記超音波探傷画像データに基づいて判定用探傷画像を作成し指示要素領域を明示する判定用探傷画像作成部と、
前記判定用探傷画像に基づき形状データを導出し、前記形状データの特徴を示す指標値の前記スキャン位置への指標値依存性を導出する指標値依存性導出部と、
前記指標値依存性に基づいてき裂か否かの判定を行う判定部と、
を備えることを特徴とする超音波探傷システム。
【請求項9】
検査対象に超音波を所定の方向にスキャンする超音波探傷器を有して前記スキャンする方向に垂直な方向の複数のスキャン位置において探傷する超音波探傷装置の出力を用いて前記所定の方向に沿った面内の超音波探傷画像を生成する超音波画像生成装置からの前記超音波探傷画像、および前記スキャン位置のそれぞれに関するデータに基づいて、き裂の有無の判定を行う超音波探傷画像判定方法であって、
入力部が、前記超音波探傷画像および複数の前記スキャン位置のそれぞれに関するデータである超音波探傷画像データおよびスキャン位置データを受け入れる入力受け入れステップと、
判定用探傷画像作成部が、前記超音波探傷画像を判定用探傷画像要素に分割し、前記超音波探傷画像データに基づいて判定用探傷画像を作成し指示要素領域を明示する判定用探傷画像作成ステップと、
指標値依存性導出部が、前記判定用探傷画像に基づき形状データを導出し、前記形状データの特徴を示す指標値の前記スキャン位置への指標値依存性を導出する指標値依存性導出ステップと、
判定部が、前記指標値依存性に基づいてき裂か否かの判定を行う判定ステップと、
を有することを特徴とする超音波探傷画像判定方法。
【請求項10】
前記指標値依存性導出ステップの後に、指標値変化度算出部が、前記指標値依存性に基づいて指標値変化度を算出する指標値変化度算出ステップをさらに有し、
前記判定部は、前記指標値変化度に基づいてき裂か否かの判定を行うことを特徴とする請求項9に記載の超音波探傷画像判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、超音波探傷画像判定装置、超音波探傷システムおよび超音波探傷画像判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波探傷技術は、構造物の検査を行う手段として広く使われてきた。超音波探傷によって得られる断面画像からき裂があるかないかを判定するのは検査員であり、専門知識と経験をもとに判定している。そのため検査員の技量によって判定結果にばらつきが生じる可能性がある。
【0003】
そこで、超音波探傷データから信号処理やAIなどを用いて自動判定する手法が提案されてきた。たとえば、出現像の画素移動を追跡し、連続する前後の画像に連続して出現する出現像をき裂候補として自動判定する装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4728762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の方法では検査対象の形状による出現像も連続的に出現する可能性があり、これら出現像もき裂候補として判定される可能性がある。
【0006】
そこで、本発明の実施形態は、このような課題を解決するためのなされたものであり、超音波探傷で得られる超音波探傷画像について、ノイズかき裂かを判定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本実施形態に係る超音波探傷画像判定装置は、検査対象に超音波を所定の方向にスキャンする超音波探傷器を有して前記スキャンする方向に垂直な方向の複数のスキャン位置において探傷する超音波探傷装置の出力を用いて前記所定の方向に沿った面内の超音波探傷画像を生成する超音波画像生成装置からの前記超音波探傷画像、および複数の前記スキャン位置のそれぞれに関するデータである超音波探傷画像データおよびスキャン位置データに基づいて、き裂の有無の判定を行う超音波探傷画像判定装置であって、前記超音波探傷画像データおよび前記スキャン位置データを受け入れる入力部と、前記超音波探傷画像を判定用探傷画像要素に分割し、前記超音波探傷画像データに基づいて判定用探傷画像を作成し指示要素領域を明示する判定用探傷画像作成部と、前記判定用探傷画像に基づき形状データを導出し、前記形状データの特徴を示す指標値の前記スキャン位置への指標値依存性を導出する指標値依存性導出部と、前記指標値依存性に基づいてき裂か否かの判定を行う判定部と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る超音波探傷画像判定装置を含む超音波探傷システムの構成を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態に係る超音波探傷画像判定方法の全体の手順を示すフロー図である。
図3】第1の実施形態に係る超音波探傷画像判定方法における超音波探傷器および超音波探傷装置による超音波探傷の状態を説明するための平面図である。
図4】第1の実施形態に係る超音波探傷画像判定方法における超音波探傷器および超音波探傷装置による超音波探傷の状態を示す図3のIV-IV線矢視断面図である。
図5】第1の実施形態に係る超音波探傷画像判定方法における超音波探傷画像の生成ステップで生成された超音波探傷画像の例を示す図である。
図6】第1の実施形態に係る超音波探傷画像判定方法における判定用探傷画像作成ステップで判定用探傷画像作成部により作成された判定用探傷画像の例を示す図である。
図7】第1の実施形態に係る超音波探傷画像判定方法における判定用探傷画像作成ステップで判定用探傷画像作成部により作成された判定用探傷画像に輝度の区分を表示した例を示す図である。
図8】第1の実施形態に係る超音波探傷画像判定方法における指標値依存性導出ステップにおいて対象とする各スキャン位置における超音波探傷画像の例を示す図である。
図9】第1の実施形態に係る超音波探傷画像判定方法における指標値依存性導出ステップにおいて対象とする各スキャン位置における超音波探傷画像の例に対応する判定用探傷画像を示す図である。
図10】第1の実施形態に係る超音波探傷画像判定方法における指標値依存性導出ステップにおいて作成された形状データの例を示す図である。
図11】第1の実施形態に係る超音波探傷画像判定方法における指標値依存性導出部が導出した形状データに基づくZ方向指標値のX方向のスキャン位置への依存性の例を示すグラフである。
図12】第1の実施形態に係る超音波探傷画像判定方法における判定部によるき裂の判定ステップの詳細な手順を示すフロー図である。
図13】第2の実施形態に係る超音波探傷画像判定装置を含む超音波探傷システムの構成を示すブロック図である。
図14】第2の実施形態に係る超音波探傷画像判定方法の全体の手順を示すフロー図である。
図15】第2の実施形態に係る超音波探傷画像判定装置の指標値依存性導出部による指標値依存性および指標値変化度算出部による指標値変化度を示すグラフである。
図16】第2の実施形態の変形例に係る超音波探傷画像判定装置の指標値依存性導出部による指標値依存性および指標値変化度算出部による指標値変化度を示すグラフである。
図17】第2の実施形態に係る超音波探傷画像判定方法における判定部によるき裂の判定ステップの詳細な手順を示すフロー図である。
図18】第3の実施形態に係る超音波探傷画像判定装置の指標値依存性導出部による指標値依存性および指標値変化度算出部による指標値変化度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る超音波探傷画像判定装置および超音波探傷画像判定方法について説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には、共通の符号を付して、重複する説明は省略する。
[第1の実施形態]
【0010】
図1は、第1の実施形態に係る超音波探傷画像判定装置を含む超音波探傷システム200の構成を示すブロック図である。
【0011】
超音波探傷システム200は、超音波探傷器10を有する超音波探傷装置20、超音波画像生成装置30、および超音波探傷画像判定装置100を有する。
【0012】
超音波探傷器10は、検査対象1に超音波を発し、き裂3から反射した超音波を含めて、反射波を検出する。検査対象1には、図1のように溶接部2が形成されている場合もある。
【0013】
図1では、超音波探傷装置20が、複数の超音波素子11が配列された探触子10aを有する超音波探傷器10の場合を例にとって示している。超音波探傷装置20は、超音波探傷器10の各超音波素子11に印加する電圧を制御して、一定方向に超音波ビームを形成しながら駆動対象の超音波素子を電子走査する。
【0014】
なお、超音波探傷方式としては、図1に示すフェーズドアレイ超音波探傷方式の場合に限定されない。たとえば、駆動させる超音波素子を固定もしくは電子操作しながら超音波ビームを形成する角度を扇状に変化させるセクタ画像方式、任意の座標領域に網羅的に焦点を設けてビームを集束させるTotal Focusing Method(TFM)、あるいは、いわゆる開口合成法等の超音波を用いた映像化方法などでもよい。さらには、単一プローブを用いて機械的に走査し取得した超音波探傷方法でもよい。
【0015】
以下、スキャンする方向、すなわちフェーズドアレイ超音波探傷方式であれば複数の超音波素子11が配列された方向をY方向、検査対象1の深さ方向をZ方向、検査対象1の上面に沿ってY方向に垂直な方向をX方向とする。
【0016】
超音波画像生成装置30は、超音波探傷装置20から受け入れた超音波探傷器10のX方向のスキャン位置、送受信の時刻、反射波に関する情報等のデータに基づいて、それぞれのスキャン位置におけるスキャン方向の超音波探傷画像31(図5)を生成する。
【0017】
超音波探傷画像判定装置100は、入力部110、演算部120、記憶部130、および出力部140を有する。
【0018】
入力部110は、超音波画像生成装置30により生成された超音波探傷画像31、およびスキャン位置のそれぞれに関するデータを外部入力として受け入れる。受け入れる超音波探傷画像31に関する超音波探傷画像データは、2次元的に配列された各画素のそれぞれに対応する輝度が指定された2次元データである。
【0019】
演算部120は、判定用探傷画像作成部121、指標値依存性導出部122、および判定部123を有する。
【0020】
また、記憶部130は、入力部110が受け入れた超音波探傷画像データを記憶する超音波探傷画像データ記憶部131、入力部110が受け入れた超音波探傷器10のX方向のスキャン位置を記憶するスキャン位置データ記憶部132、演算部120による演算結果を記憶する判定用探傷画像データ記憶部133および形状データ記憶部134を有する。
【0021】
出力部140は、記憶部130に収納されたデータ、演算部120での演算結果等を出力、あるいは表示する。
【0022】
演算部120は、の各部については、以下のとおりである。
【0023】
判定用探傷画像作成部121は、超音波探傷画像データ記憶部131に収納された超音波探傷画像31に基づいて、判定用探傷画像121a(図6)を作成する。
【0024】
指標値依存性導出部122は、判定用探傷画像121aにおける指標値のX方向のスキャン位置に対する依存性を導出する。
【0025】
判定部123は、指標値依存性導出部122により導出された指標値のX方向のスキャン位置に対する依存性に基づいて、き裂3か否かを判定する。
【0026】
以下、超音波探傷画像判定方法について説明するが、この説明に沿って、各部の詳細についても併せて説明する。
【0027】
図2は、第1の実施形態に係る超音波探傷画像判定方法の全体の手順を示すフロー図である。
【0028】
超音波探傷画像判定方法は、超音波探傷装置による超音波探傷ステップS10、超音波画像生成装置による超音波画像生成ステップS20、超音波探傷画像判定装置の入力部による超音波探傷画像データの受け入れステップS30、超音波探傷画像判定装置の判定用画像作成部による判定用画像の作成ステップS40、超音波探傷画像判定装置の指標値依存性導出部による指標値のスキャン位置への依存性の導出ステップS50、および超音波探傷画像判定装置の判定部によるき裂の判定ステップS60を有する。
【0029】
まず、超音波探傷装置20による超音波探傷が実施される(ステップS10)。
【0030】
図3は、第1の実施形態に係る超音波探傷画像判定方法における超音波探傷器10および超音波探傷装置20による超音波探傷の状態を示す平面図である。また、図4は、第1の実施形態に係る超音波探傷画像判定方法における超音波探傷器10および超音波探傷装置20による超音波探傷の状態を示す図3のIV-IV線矢視断面図である。
【0031】
図3において、超音波探傷器10は、前述のように、探触子10aの長手方向がY方向となるように設置されている。超音波探傷器10が設置されているスキャン位置で、超音波探傷器10および超音波探傷装置20は、対象領域1aについての超音波の送受信による探傷を行う。すなわち、超音波探傷器10および超音波探傷装置20は、1つの超音波素子11で超音波を送信し、複数の超音波素子11で超音波を受信し、超音波素子11ごとに独立した状態で超音波波形を保存する。超音波探傷装置20は、送受信の時刻、反射波に関する情報等のデータを超音波画像生成装置30に出力する。
【0032】
超音波探傷器10は、Y方向に垂直なX方向に、当初設置されていたX0から、X1、・・・、Xn、Xn+1、Xn+2等のスキャン位置に順次移動し、それぞれのスキャン位置において、同様に超音波の送受信による探傷を行い、超音波探傷装置20が、超音波探傷器10のX方向のスキャン位置、送受信の時刻、反射波に関する情報等のデータを超音波画像生成装置30に出力する。
【0033】
次に、超音波画像生成装置30(図1)による超音波探傷画像の生成が行われる(ステップS20)。
【0034】
超音波画像生成装置30は、受け入れた反射波の波形を送受信の時刻を考慮しながら合成し、合成された反射波の振幅を、スキャン方向(Y方向)および深さ方向(Z方向)に2次元的に配列された各画素の輝度に対応させ、それぞれのX方向のスキャン位置におけるY-Z方向の断面画像である超音波探傷画像31として2次元の画像として生成する。
【0035】
図5は、第1の実施形態に係る超音波探傷画像判定方法における超音波探傷画像の生成ステップで、超音波画像生成装置30により生成された超音波探傷画像31の例を示す図である。通常、合成された反射波の振幅が大きいほど、輝度が高い画像が生成される。なお、図5および以降の図では、説明の便宜上、輝度が高くなるほど図においては濃度が高くなるような表示としている。
【0036】
超音波探傷画像31が表示する範囲は、検査対象1の対象領域1aに対応し、対象領域1aが平行四辺形の場合は、図5に示すように超音波探傷画像31も平行四辺形であり対象領域1aと同様の形状である。ここで、超音波探傷画像31の外枠の両辺に沿った方向について、超音波探傷器10の長手方向をY方向、深さ方向をZ方向とする。
【0037】
図5は、超音波探傷画像31には、2つの指示部32、すなわち図の表示上は濃度が高い部分が存在する場合を示している。ここで、指示部32とは、割れなどのき裂の兆候を示す模様である指示(インディケーション)が示された部分を言うものとする。
【0038】
次に、超音波探傷画像判定装置100の入力部110が超音波探傷画像データ等を受け入れる(ステップS30)。超音波探傷画像データ等としては、X方向の各スキャン位置データ、およびそれぞれのスキャン位置においての超音波探傷画像データである。
【0039】
超音波探傷画像データは前述のように、それぞれのX方向のスキャン位置におけるY-Z方向の断面画像である超音波探傷画像31の情報を有する2次元的データである。具体的には、Y-Z方向に配列された各画素の輝度データである。
【0040】
入力部110により読み込まれたX方向の各スキャン位置データは超音波探傷画像判定装置100のスキャン位置データ記憶部132に、また、超音波探傷画像データは超音波探傷画像判定装置100の超音波探傷画像データ記憶部131に、それぞれ収納、記憶される。
【0041】
次に、超音波探傷画像判定装置100の判定用探傷画像作成部121が、判定用探傷画像121a(図6)を作成する(ステップS40)。すなわち、判定用探傷画像作成部121が、超音波探傷画像データ記憶部131に記憶された超音波探傷画像31に関する超音波探傷画像データに基づいて、判定用探傷画像121aを作成する。
【0042】
図6は、第1の実施形態に係る超音波探傷画像判定方法における判定用探傷画像作成ステップで判定用探傷画像作成部121により作成された判定用探傷画像121aの例を示す図である。
【0043】
判定用探傷画像作成部121は、まず、超音波探傷画像31をY方向にm個に、またZ方向にn個に、それぞれ等分割する。分割された(m×n)個の分割部分には、それぞれ、複数の画素が含まれる。
【0044】
次に、判定用探傷画像作成部121は、y方向にm個、z方向にn個に分割された長方形の領域を設定する。ここで、y方向にi番目、z方向にj番目の判定用探傷画像要素121bに、超音波探傷画像31内のY方向にI番目、Z方向にJ番目の分割部分に属する画素に基づいて算出した合成輝度を対応付ける。このようにして、すべての判定用探傷画像要素121bに合成輝度を対応付けた結果を、判定用探傷画像121aとして出力する。
【0045】
合成輝度は、超音波探傷画像31内のそれぞれの分割部分に属する全ての画素の輝度に基づいて設定するが、具体的には、この全ての画素の輝度の平均値、ピーク値、あるいは中間値などを用いることができる。
【0046】
判定用探傷画像作成部121により作成された判定用探傷画像121aは、判定用探傷画像データ記憶部133に記憶、収納される。
【0047】
図6に示す判定用探傷画像121aにおいては、図5で示された超音波探傷画像31中の2つの指示部32に対応して、2つの指示要素領域121dが明示されている。それぞれの指示要素領域121dは、複数の指示要素121cを有する。
【0048】
図7は、第1の実施形態に係る超音波探傷画像判定方法における判定用探傷画像作成ステップで判定用探傷画像作成部により作成された判定用探傷画像に輝度の区分を表示した例を示す図である。図7では、図6で示した判定用探傷画像121aにおける指示要素領域121dを含む一部の範囲のみを表示している。図7においては、V0は最も低い輝度であり、V1、V2、V3となるにつれて輝度が高くなる。V0は、超音波探傷装置20における処理上、反射波がほとんどない場合に対応する。
【0049】
次に、超音波探傷画像判定装置100の指標値依存性導出部122が、指標値値のスキャン位置Xへの依存性を導出する(ステップS50)。
【0050】
ここで、指標値とは、超音波探傷画像31中の指示部32に対応する判定用探傷画像121a中の指示要素領域121dについて、その特徴を示すものとして選定された指標を数量化したものとする。
【0051】
指標値依存性導出部122は、判定用探傷画像121aにおける指示要素領域121dに関する指標値の超音波探傷器10のスキャン位置X方向への依存性を導出する。指標値依存性導出部122は、形状データ121f(図10)を導出したうえで、その特徴量として指標値を数値化する。以下、この手順形および形状データ121fについて説明する。
【0052】
図8は、第1の実施形態に係る超音波探傷画像判定方法における指標値依存性導出ステップにおいて対象とする各スキャン位置における超音波探傷画像31の例を示す図であり、(a)はXn、(b)はXn+1、(c)はXn+2の各X方向のスキャン位置においての超音波探傷画像31中の指示部32の近傍を示す。
【0053】
図9は、第1の実施形態に係る超音波探傷画像判定方法における指標値依存性導出ステップにおいて対象とする各スキャン位置における超音波探傷画像31の例に対応する判定用探傷画像121aを示す図であり、(a)はXn、(b)はXn+1、(c)はXn+2の各X方向のスキャン位置においての判定用探傷画像121a中の指示要素領域121dの近傍を示す。
【0054】
図10は、第1の実施形態に係る超音波探傷画像判定方法における指標値依存性導出ステップにおいて作成された形状データ121fの例を示す図である。
【0055】
ここで、形状データ121fは、判定用探傷画像121aの指示要素領域121dの判定用探傷画像要素121bのうち、所定の輝度以上の輝度を有するものを摘出した摘出指示要素121gの集合を言うものとする。指標値依存性導出部122により導出された形状データ121fは、形状データ記憶部134に記憶、収納される。
【0056】
図10では、所定の輝度をV2として、図9に示す指示要素領域121dの判定用探傷画像要素121bのうちV2以上の輝度を有するものを摘出指示要素121gとして摘出して形状データ121fを形成している。なお、所定の輝度を、V1としてもよいし、V3としてもよい。ただし、所定の輝度を低くしすぎると、ノイズとの区別がつきにくくなる。また、所定の輝度を高くしすぎると、き裂3のY方向の端部の見落としの原因となるので、両者を勘案して適度のレベルに設定する。
【0057】
指標値依存性導出部122は、形状データ121fに基づいて、Z方向指標値を算出する。Z方向指標値は、第1の指標値としての形状データの根本側のZ方向の位置、第2の指標値としての形状データの先端側の位置からなる。
【0058】
図11は、第1の実施形態に係る超音波探傷画像判定方法における指標値依存性導出部が導出した形状データに基づくZ方向指標値のX方向のスキャン位置への依存性の例を示すグラフである。横軸は、X方向のスキャン位置、縦軸はZ方向指標値であり、一目盛が判定用探傷画像要素121bの1つ分に相当する。実線は、第1の指標値としての形状データの根本側のZ方向の位置、破線は、第2の指標値としての形状データの先端側の位置を示す。
【0059】
図11に示すように、X方向のスキャン位置のXn、Xn+1、Xn+2と変化する場合に、根本側の位置のZ方向の変化は判定用探傷画像要素121bの1つ分にとどまっているが、先端側の位置のZ方向の変化は判定用探傷画像要素121bの5つ分となっている。
【0060】
次に、超音波探傷画像判定装置100の判定部123がき裂3か否かの判定を行う(ステップS60)。判定部123は、図11に示す第1のしきい値ZThLおよび第2のしきい値ZThHを用いて判定する。
【0061】
図12は、第1の実施形態に係る超音波探傷画像判定方法における判定部123によるき裂の判定ステップS60の詳細な手順を示すフロー図である。
【0062】
まず、判定部123は、第1の指標値が第1のしきい値以下であるか否かを判定する(ステップS61)。すなわち、図11において、破線で示す第1の指標値が第1のしきい値ZThL以下であるかを判定する。第1の指標値が第1のしきい値ZThL以下であると判定されなかった場合(ステップS61 NO)は、ステップS65に移行する。図11で示す場合は、破線で示す第1の指標値が第1のしきい値ZThL以下となっている。
【0063】
第1の指標値が第1のしきい値ZThL以下であると判定された場合(ステップS61 YES)は、判定部123は、第2の指標値が第2のしきい値ZThH以上であるか否かを判定する(ステップS62)。第2の指標値が第2のしきい値ZThH以上であると判定されなかった場合(ステップS62 NO)は、ステップS65に移行する。図11で示す場合は、破線で示す第2の指標値が第2のしきい値ZThH以上となっている。
【0064】
第2の指標値が第2のしきい値ZThH以上であると判定された場合(ステップS62 YES)は、判定部123は、対象とする指示要素領域121dがき裂3に対応するものと判定する(ステップS63)。また、判定部123は、対象とする指示要素領域121dがき裂3に対応するものと判定し場合、実線で示す第2の指標値がしきい値ZThH以上であるX方向領域ΔXrとともに出力部140に出力し、出力部140は、その旨を表示する。ここで、X方向領域ΔXrは、き裂3が存在すると推定される領域である
【0065】
次に、判定部123は、全ての指示要素領域121dを終了したか否かを判定する(ステップS65)。全ての指示要素領域121dを終了したと判定(ステップS65 YES)した場合は、結果の判定ステップS60を終了する。
【0066】
全ての指示要素領域121dを終了したと判定されない(ステップS65 NO)場合は、対象とする指示要素領域121dを変更して、ステップS61以下を繰り返す。
【0067】
き裂3がX方向に連続して存在している場合に、根本の位置がある一定の範囲内でのみ推移し、先端の位置は浅い位置から深い位置に徐々に変化する。このようなき裂特有の傾向が得られた場合は、き裂3であると判定できる。したがって、図11に示した場合は、対象とする指示要素領域121dはき裂3に対応するものと判定される。
【0068】
以上のように、本実施形態による超音波探傷画像判定装置、超音波探傷システムおよび超音波探傷画像判定方法によって、超音波探傷で得られる超音波探傷画像31について、ノイズかき裂かを判定することができる。
[第2の実施形態]
【0069】
本実施形態は、第1の実施形態の変形である。
図13は、第2の実施形態に係る超音波探傷画像判定装置100aを含む超音波探傷システム200の構成を示すブロック図である。
【0070】
本実施形態における超音波探傷システム200の超音波探傷画像判定装置100aは、その構成において、指標値変化度算出部124を新たに有し、また、第1の実施形態における指標値依存性導出部122および判定部123に代えて指標値依存性導出部122aおよび判定部123aを有する。
【0071】
図14は、第2の実施形態に係る超音波探傷画像判定方法の全体の手順を示すフロー図である。本実施形態における超音波探傷画像判定方法においては、第1の実施形態における指標値依存性導出部122による指標値のスキャン位置への依存性の導出ステップS50、および判定部123による判定ステップS60に代えて、指標値依存性導出部122aによる指標値のスキャン位置への依存性の導出ステップS50a、および判定部123aによる判定ステップS80を有し、また、新たに、指標値変化度算出部124による指標値変化度の算出ステップS70を有する。
【0072】
その他の点については、第1の実施形態と同様である。以下、第1の実施形態と異なる部分についてのみ、説明する。
【0073】
指標値依存性導出部122aは、図10に示した形状データ121fに着目し、その特徴量を数量化する点では第1の実施形態の指標値依存性導出部122と同様であるが、特徴量として注目する指標は、第1の実施形態とは異なっている。
【0074】
本実施形態における超音波探傷画像判定方法の指標値依存性導出部122aによる
指標値のスキャン位置への依存性の導出ステップS50aにおいては、指標値依存性導出部122aは、特徴量として注目する指標値として、図10に示した形状データ121fに含まれている摘出指示要素121gの数を用いる。
【0075】
図15は、第2の実施形態に係る超音波探傷画像判定装置100aの指標値依存性導出部122aによる指標値依存性および指標値変化度算出部124による指標値変化度を示すグラフである。横軸は、X方向のスキャン位置、縦軸は、グラフの左側の主軸がレベル超え面積A、右側の副軸がレベル超え面積変化度ΔAである。
【0076】
指標値依存性導出部122aは、判定用探傷画像121aに基づいて、形状データ121fを導き出した後、指標値としてレベル超え面積Aを算出し、図15の実線に示すように、レベル超え面積AのX方向のスキャン位置に対する依存性を導出する。ここでレベル超え面積Aとしては、図10に示した形状データ121fにおける摘出指示要素121gの数としている。
【0077】
指標値変化度算出部124による指標値変化度の算出ステップS70において、指標値変化度算出部124は、互いに隣接するX方向のスキャン位置における指標値間の差を指標値変化度として算出する。具体的には、たとえば、Xn+1での指標値からXnでの指標値を減ずる。指標値変化度算出部124は、図15の破線に示すように、指標値変化度(図15ではΔA)のX方向のスキャン位置に対する依存性を導出する。
【0078】
判定部123aによるき裂の判定ステップS80において、判定部123aは、所定の、正の値を有する正側しきい値Thp、および負の値を有する負側しきい値Thnを用いて、指標値変化度のX方向のスキャン位置に対する依存性から、き裂3の有無を判定する。
【0079】
図16は、第2の実施形態の変形例に係る超音波探傷画像判定装置の指標値依存性導出部による指標値依存性および指標値変化度算出部による指標値変化度を示すグラフである。横軸はX方向のスキャン位置、縦軸は、グラフの左側の主軸がポイントPt、右側の副軸がポイント変化度ΔPtである。
【0080】
指標値依存性導出部122aは、判定用探傷画像121aに基づいて、形状データ121fを導き出した後、指標値としてポイントPtを算出し、図15の実線に示すように、ポイントPtのX方向のスキャン位置に対する依存性を導出する。ここでポイントPtとしては、図10に示した形状データ121fにおける摘出指示要素121gの輝度レベルにおいて時それぞれの面積に重み値を乗じたものである。図15では、輝度V2の摘出指示要素121gには重み値2を、輝度V3の摘出指示要素121gには重み値3を、それぞれ乗じた場合を示している。
【0081】
指標値変化度算出部124および判定部123については、図16に示した場合と同様であるので、説明を省略する。
【0082】
図17は、第2の実施形態に係る超音波探傷画像判定方法における判定部123aによるき裂の判定ステップ80の詳細な手順を示すフロー図である。
【0083】
まず、判定部123aは、指標値変化度が正側しきい値Thpを超える部分があるか否かを判定する(ステップS81)。すなわち、図15、16において、破線で示す指標値変化度が正側しきい値Thpを超える部分があるか否かを判定する。指標値変化度が正側しきい値Thpを超える部分があると判定されなかった場合(ステップS81 NO)は、ステップS85に移行する。図15、16で示す場合は、いずれも、破線で示す指標値変化度が正側しきい値Thpを超え部分がある。
【0084】
指標値変化度が正側しきい値Thpを超える部分があると判定された場合(ステップS81 YES)は、判定部123aは、指標値変化度が負側しきい値Thnを下回る部分があるか否かを判定する(ステップS82)。指標値変化度が負側しきい値Thnを下回る部分があると判定されなかった場合(ステップS82 NO)は、ステップS85に移行する。図15、16で示す場合は、いずれも、破線で示す指標値変化度が負側しきい値Thnを下回る部分がある。
【0085】
指標値変化度が負側しきい値Thnを下回る部分があると判定された場合(ステップS82 YES)は、判定部123aは、対象とする指示要素領域121dがき裂3に対応するものと判定する(ステップS83)。また、判定部123aは、対象とする指示要素領域121dがき裂3に対応するものと判定し場合、破線で示す指標値変化度が正側しきい値Thpを越える位置から負側しきい値Thnを下回る位置までのX方向領域ΔXrとともに出力部140に出力し、出力部140は、その旨を表示する。ここで、X方向領域ΔXrは、き裂3が存在すると推定される領域である
【0086】
次に、判定部123aは、全ての指示要素領域121dを終了したか否かを判定する(ステップS85)。全ての指示要素領域121dを終了したと判定(ステップS85 YES)した場合は、結果の判定ステップS80を終了する。
【0087】
以上のように、本実施形態による超音波探傷画像判定装置100a、超音波探傷システム200および超音波探傷画像判定方法においては、指標値変化度算出部124を設けることにより、ノイズかき裂かの判定をさらに確実とすることができる。
[第3の実施形態]
【0088】
本実施形態は、第2の実施形態の変形である。本実施形態では、指標値依存性導出部122aが、用いる指標が別の指標となっている
【0089】
図18は、第3の実施形態に係る超音波探傷画像判定装置の指標値依存性導出部による指標値依存性および指標値変化度算出部による指標値変化度を示すグラフである。横軸は、X方向のスキャン位置、縦軸は、グラフの左側の主軸が枠長L、右側の副軸が枠長変化度ΔLである。
【0090】
指標値依存性導出部122aは、判定用探傷画像121aに基づいて、形状データ121fを導き出した後、指標値として枠長Lを算出し、図18の実線に示すように、枠長LのX方向のスキャン位置に対する依存性を導出する。ここで枠長Lとしては、図10に示した形状データ121fにおける指示要素領域121dの枠の長さ、すなわち、指示要素領域121dを囲む最小の長方形の枠の長さとしている。言い換えれば、枠長Lは、指示要素領域121dのy方向の幅とz方向の深さの合計の2倍(単位は摘出指示要素の数)である。
【0091】
指標値変化度算出部124および判定部123については、図16に示した場合と同様であるので、説明を省略するが、本実施形態によっても、同様の効果が得られ、かつ、指標に関する選択肢を増やす効果がある。
[その他の実施形態]
【0092】
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。
【0093】
また、各実施形態の特徴を組み合わせてもよい。また、実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0094】
実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0095】
1…検査対象、1a…対象領域、2…溶接部、3…き裂、10…超音波探傷器、10a…探触子、11…超音波素子、20…超音波探傷装置、30…超音波画像生成装置、31…超音波探傷画像、32…指示部、100、100a…超音波探傷画像判定装置、110…入力部、120…演算部、121…判定用探傷画像作成部、121a…判定用探傷画像、121b…判定用探傷画像要素、121c…指示要素、121d…指示要素領域、121f…形状データ、121g…摘出指示要素、122、122a…指標値依存性導出部、123、123a…判定部、124…指標値変化度算出部、130…記憶部、131…超音波探傷画像データ記憶部、132…スキャン位置データ記憶部、133…判定用探傷画像データ記憶部、134…形状データ記憶部、140…出力部、200…超音波探傷システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18