(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】超音波画像処理装置および超音波画像処理方法
(51)【国際特許分類】
G01N 29/06 20060101AFI20240520BHJP
【FI】
G01N29/06
(21)【出願番号】P 2020182513
(22)【出願日】2020-10-30
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 栞太
(72)【発明者】
【氏名】菅原 あずさ
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-028680(JP,A)
【文献】特開2017-072501(JP,A)
【文献】特開2020-135203(JP,A)
【文献】特開2007-225322(JP,A)
【文献】特表2020-503509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00 - G01N 29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象について超音波探傷器を有する超音波探傷装置の出力を用いて超音波画像処理装置が生成した対象超音波探傷画像に基づいて、前記検査対象内の欠陥の存在の可能性の高い領域を特定する超音波探傷画像処理装置であって、
外部入力を受け入れる入力部と、
ウィンドウを用いて前記対象超音波探傷画像から複数の対象切り出し画像を切り出す切り出し画像生成部と、
前記複数の対象切り出し画像を記憶する切り出し画像記憶部と、
前記切り出し画像記憶部から読み出した前記複数の対象切り出し画像のそれぞれについて、欠陥が存在する確からしさを示す欠陥確信度を導出する欠陥確信度導出部と、
前記欠陥確信度に基づいて前記複数の対象切り出し画像のそれぞれについて重み値を付加する重み付けを行うことにより重み付け切り出し画像を作成する重み付け付与部と、
前記重み付け切り出し画像にもとづいて、前記対象超音波探傷画像に
前記重み付けがなされた対象重み付け探傷画像を作成する重み付け探傷画像作成部と、
を備えることを特徴とする超音波探傷画像処理装置。
【請求項2】
前記重み付け探傷画像作成部が作成した
前記対象重み付け探傷画像を出力する出力部をさらに備え、
前記対象重み付け探傷画像は、前記重み値に応じた透過度を有することを特徴とする請求項1に記載の超音波探傷画像処理装置。
【請求項3】
前記外部入力は、前記ウィンドウの所定の大きさを
含み、
前記ウィンドウの
前記所定の大きさに基づいて、前記ウィンドウのスライド幅および前記
複数の対象切り出し画像の枚数を決定するウィンドウ設定部と、
前記ウィンドウの
前記所定の大きさ、前記スライド幅、および前記
複数の対象切り出し画像の
前記枚数を記憶するウィンドウパラメータ記憶部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波探傷画像処理装置。
【請求項4】
前記外部入力は、学習用超音波画像を
含み、
前記学習用超音波画像を記憶する学習用超音波画像記憶部と、
前記学習用超音波画像記憶部から
前記学習用超音波画像を読み出し前記学習用超音波画像に基づいて学習し前記欠陥確信度を出力する予測器と、
をさらに備え、
前記学習用超音波画像は、その部分的な領域について欠陥の有無についてのラベルが付与されており、
前記学習は、当該ラベルに基づく教師あり学習である、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の超音波探傷画像処理装置。
【請求項5】
前記欠陥確信度と
前記重み値とを対応付けるテーブルを有する重み値記憶部をさらに備え、
前記重み付け付与部は、前記重み値記憶部に記憶された前記欠陥確信度に対応する前記重み値を得て、前記重み付けを行う、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の超音波探傷画像処理装置。
【請求項6】
前記重み付け探傷画像作成部は、互いに隣接する
前記重み付け切り出し画像の重複部の
前記重み値については、
前記重み値が高い方の値とすることを特徴とする請求項5に記載の超音波探傷画像処理装置。
【請求項7】
前記重み付け探傷画像作成部は、互いに隣接する
前記重み付け切り出し画像の重複部の
前記重み値については、その重み値が中間の値とすることを特徴とする請求項5に記載の超音波探傷画像処理装置。
【請求項8】
検査対象について超音波探傷器を有する超音波探傷装置の出力を用いて超音波画像処理装置が生成した対象超音波探傷画像に基づいて、前記検査対象内の欠陥の存在の可能性の高い領域を特定する超音波探傷画像処理方法であって、
入力部が、外部入力を受け入れる入力ステップと、
切り出し画像生成部が、ウィンドウを用いて前記対象超音波探傷画像から複数の対象切り出し画像を切り出す切り出し画像生成ステップと、
切り出し画像記憶部が、前記複数の対象切り出し画像を記憶する切り出し画像記憶ステップと、
欠陥確信度導出部が、前記切り出し画像記憶部から読み出した前記複数の対象切り出し画像のそれぞれについて、欠陥が存在する確からしさを示す欠陥確信度を導出する欠陥確信度導出ステップと、
重み付け付与部が、前記欠陥確信度に基づいて前記複数の対象切り出し画像のそれぞれについて重み付けを行うことにより重み付け切り出し画像を作成する重み付け付与ステップと、
重み付け探傷画像作成部が、前記重み付け切り出し画像にもとづいて、前記対象超音波探傷画像に
前記重み付けがなされた対象重み付け探傷画像を作成する重み付け探傷画像作成ステップと、
を有することを特徴とする超音波探傷画像処理方法。
【請求項9】
前記外部入力は、前記ウィンドウの所定の大きさを含み、
前記切り出し画像生成ステップの前に
、
ウィンドウ設定部が、前記ウィンドウの
前記所定の大きさに基づいて、前記ウィンドウのスライド幅および前記
複数の対象切り出し画像の枚数を決定するウィンドウ設定ステップと、
ウィンドウパラメータ記憶部が、前記ウィンドウの
前記所定の大きさ、前記スライド幅、および前記
複数の対象切り出し画像の
前記枚数を記憶するウィンドウパラメータ記憶ステップと、
をさらに有することを特徴とする請求項8に記載の超音波探傷画像処理方法。
【請求項10】
前記外部入力は、学習用超音波画像を含み、
前記欠陥確信度導出ステップの前に
、
学習用超音波画像記憶部が、前記学習用超音波画像を記憶する学習用超音波画像記憶ステップと、
予測器が、前記学習用超音波画像記憶部から
前記学習用超音波画像を読み出し前記学習用超音波画像に基づいて学習し前記欠陥確信度を出力する学習ステップと、
をさらに有し、
前記学習用超音波画像は、その部分的な領域について欠陥の有無についてのラベルが付与されており、
前記学習は、当該ラベルに基づく教師あり学習である、
ことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の超音波探傷画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、超音波画像処理装置および超音波画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波検査技術は、構造物の検査を行う手段として広く使われている。超音波検査によって得られる断面画像から欠陥があるかないかを判定するのは検査員であり、専門知識と経験に基づいて判定を行っている。そのため、検査員の技量によって判定結果にばらつきが生じる場合がある。そこで、超音波検査において、信号処理またはAIなどを用いて自動判定する技術が知られている。
【0003】
第1の例としては、超音波画像を機械学習の入力として欠陥検出する技術が知られている。この技術は、超音波画像に欠陥が含まれるか否かを判定するもので、画像中の欠陥の位置までは特定できない。
【0004】
第2の例としては、超音波の応答波形から探傷画像を生成し、パターン認識アルゴリズムを用いて、この探傷画像を正常パターン画像と比較し、正常パターン画像と異なる探傷画像であった場合、その探傷画像内の形状エコーと欠陥エコーを判定することで、欠陥位置を検出する技術が知られている。この技術は欠陥の位置まで特定可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2020-503509号公報
【文献】国際公開第2015/001624号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の第2の例では、探傷画像に基づいて個々のエコーを含む画像を切り出す作業があるとされているが、作業のアルゴリズムは明記されていない。仮にノイズの強度が大きく、欠陥エコーが不明瞭な画像であった場合や、形状エコーと欠陥エコーが重なり合っている場合には、切出し作業が困難になる可能性があり、欠陥を見逃すおそれがある。
【0007】
また、切り出したエコーを形状エコーと欠陥エコーに分類し、教師データを作成しているが、欠陥エコーか形状エコーかの判断は、常に表示されているか否かで判断しており、溶接部の組織や内在物由来のエコーなども欠陥エコーと判断される可能性がある。
【0008】
そこで、本発明の実施形態は、超音波画像処理において、欠陥の存在の可能性の高い領域をより確実に特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本実施形態に係る超音波画像処理装置は、検査対象について超音波探傷器を有する超音波探傷装置の出力を用いて超音波画像処理装置が生成した対象超音波探傷画像に基づいて、前記検査対象内の欠陥の存在の可能性の高い領域を特定する超音波探傷画像処理装置であって、外部入力を受け入れる入力部と、ウィンドウを用いて前記対象超音波探傷画像から複数の対象切り出し画像を切り出す切り出し画像生成部と、前記複数の対象切り出し画像を記憶する切り出し画像記憶部と、前記切り出し画像記憶部から読み出した前記複数の対象切り出し画像のそれぞれについて、欠陥が存在する確からしさを示す欠陥確信度を導出する欠陥確信度導出部と、前記欠陥確信度に基づいて前記複数の対象切り出し画像のそれぞれについて重み付けを行うことにより重み付け切り出し画像を作成する重み付け付与部と、前記重み付け切り出し画像にもとづいて、前記対象超音波探傷画像に前記重み付けがなされた対象重み付け探傷画像を作成する重み付け探傷画像作成部と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る超音波画像処理装置を含む超音波探傷システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る超音波画像処理装置が対象とする超音波探傷画像の生成のための超音波探傷器および検査対象を示す断面図であり、検査対象の表面に垂直方向に超音波送信を行った場合を示す。
【
図3】実施形態に係る超音波画像処理装置が対象とする対象超音波探傷画像を示す図であり、検査対象の表面に垂直方向に超音波送信を行った場合を示す。
【
図4】実施形態に係る超音波画像処理装置による
図3に示す対象超音波探傷画像から対象切り出し画像を生成するウィンドウの説明図である。
【
図5】実施形態に係る超音波画像処理装置が対象とする超音波探傷画像の生成のための超音波探傷器および検査対象を示す断面図であり、検査対象の表面に斜め方向に超音波送信を行った場合を示す。
【
図6】実施形態に係る超音波画像処理装置が対象とする対象超音波探傷画像を示す図であり、検査対の表面象に斜め方向に超音波送信を行った場合を示す。
【
図7】実施形態に係る超音波画像処理装置による
図6に示す対象超音波探傷画像から対象切り出し画像を生成するウィンドウの説明図である。
【
図8】実施形態に係る超音波画像処理装置を含む超音波画像処理方法の手順を示すフロー図である。
【
図9】実施形態に係る超音波画像処理方法における学習用切り出し画像生成ステップの詳細な手順を示すフロー図である。
【
図10】実施形態に係る超音波画像処理方法における学習用切り出し画像へのラベル付与に関連する詳細な手順を示すフロー図である。
【
図11】実施形態に係る超音波画像処理方法における対象切り出し画像を受け入れた後の、予測器を用いての欠陥確信度計算ステップおよび重み付け探傷画像生成ステップの詳細な手順を示すフロー図である。
【
図12】実施形態に係る超音波画像処理方法における対象超音波探傷画像から対象切り出し画像の生成を説明する概念図である。
【
図13】実施形態に係る超音波画像処理方法における対象超音波探傷画像から生成した対象切り出し画像を示す概念図である。
【
図14】実施形態に係る超音波画像処理方法における対象切り出し画像の予測器により得られた欠陥確信度の例を示す概念図である。
【
図15】実施形態に係る超音波画像処理方法における欠陥確信度に基づき重み付けされた重み付け切り出し画像の例を示す概念図である。
【
図16】実施形態に係る超音波画像処理方法における欠陥確信度に基づき重み付けされた重み付け切り出し画像の重ね合わせの例を示す概念図である。
【
図17】実施形態に係る超音波画像処理方法により得られた対象重み付け探傷画像の例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る超音波画像処理装置および超音波画像処理方法について説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には、共通の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0012】
図1は、実施形態に係る超音波画像処理装置を含む超音波探傷システム200の構成を示すブロック図である。
【0013】
超音波探傷システム200は、超音波探傷器10、超音波探傷装置20、超音波画像処理装置30、および超音波画像処理装置100を有する。
【0014】
超音波探傷器10は、検査対象1に超音波を発し、欠陥2から反射した超音波を含めて、反射波を検出する。
【0015】
図1では、超音波探傷器10として、複数の超音波素子11が配列された探触子10aを有して、超音波探傷装置20によって電圧の印加が制御され、一定方向に超音波ビームを形成しながら駆動対象の超音波素子を電子走査するフェーズドアレイ超音波探傷方式の場合を例にとって示しているが、これに限定されない。たとえば、駆動させる超音波素子を固定もしくは電子操作しながら超音波ビームを形成する角度を扇状に変化させるセクタ画像方式、任意の座標領域に網羅的に焦点を設けてビームを集束させるTotal Focusing Method(TFM)、あるいは、いわゆる開口合成法等の超音波を用いた映像化方法などでもよい。さらには、単一プローブを用いて機械的に走査し取得した超音波探傷方法でもよい。
【0016】
超音波画像処理装置30は、超音波探傷器10が受信した反射波に基づいて、スキャン方向に沿った対象超音波探傷画像31(
図3)を与える。ここで行う超音波送受信は、1つの超音波素子で超音波を送信し、複数の超音波素子で超音波を受信し、超音波素子ごとに独立した状態で超音波波形を保持することである。超音波波形の振幅を輝度に対応させ、2次元に表示することで断面画像である対象超音波探傷画像31が得られる。
【0017】
超音波画像処理装置100は、対象超音波探傷画像31を受け入れて、検査対象1内の欠陥2の存在の可能性の高い領域を特定する。超音波画像処理装置100は、入力部110、演算部120、予測器130、記憶部140、および出力部150を有する。なお、以下に、超音波画像処理装置100の構成について一通り説明するが、その各要素間の関係は、
図8以降を引用しながら後述する超音波画像処理方法のフローの説明において具体的に示す。
【0018】
入力部110は、後述するウィンドウ121a(
図4)に関するパラメータ等を外部から受け入れる。
【0019】
演算部120は、ウィンドウ設定部121、切り出し画像生成部122、ラベル付与部123、欠陥確信度導出部124、重み付け付与部125、および重み付け探傷画像作成部126を有する。
【0020】
記憶部140は、学習用超音波画像記憶部141、ウィンドウパラメータ記憶部142、対象超音波探傷画像記憶部143、切り出し画像記憶部144、および重み値記憶部145を有する。
【0021】
出力部150は、重み付け探傷画像作成部126が作成した対象重み付け探傷画像128(
図16)を出力する。出力部150は、デジタルデータを表示できるものであればよく、いわゆるPCモニタ、テレビジョン、プロジェクタ等が考えられ、ブラウン管のように一度アナログ信号化してから表示させるものでもよい。また、出力部150は、設定した条件に応じて音や発光によりアラームを生じさせたり、タッチパネルとして操作を入力したりするいわゆるユーザインタフェース機能を有してもよい。
【0022】
次に、演算部120の各要素について順次説明する。
【0023】
ウィンドウ設定部121は、ウィンドウの所定の大きさに基づいて、ウィンドウのスライド幅および対象切り出し画像の枚数を決定する。
【0024】
図2は、実施形態に係る超音波画像処理装置100が対象とする対象超音波探傷画像31(
図3)の生成のための超音波探傷器10および検査対象1を示す断面図であり、検査対象1の表面に対し垂直方向に超音波送信を行った場合を示す。この場合の、検査対象1における検査の対象範囲1aは、
図2に示すように矩形形状となる。
【0025】
破線は、超音波探傷器10で超音波を垂直入射した場合の、欠陥2での超音波の反射散乱の様子を概念的に示している。検査対象1に対して超音波を入射した場合、欠陥2の上端2aで超音波が散乱する。また、隣の素子で励起された超音波は欠陥2には当たらず、検査対象の底面に当たって反射する。
【0026】
図3は、実施形態に係る超音波画像処理装置100が対象とする対象超音波探傷画像31を示す図であり、検査対象1の表面に垂直方向に超音波送信を行った場合を示す。この場合の対象超音波探傷画像31の形状は、対象範囲1aの形状に対応して矩形形状となる。
【0027】
図3に示すように、対象超音波探傷画像31において、欠陥2の部分は。出現像DB1として現れる。
【0028】
図4は、実施形態に係る超音波画像処理装置100による
図3に示す対象超音波探傷画像31から対象切り出し画像32を生成するウィンドウ121aの説明図である。
【0029】
今、
図4において、対象超音波探傷画像31の左上の端部Oから、右方向、すなわち超音波素子11の配列方向をx方向、下方向をy方向とする。また、対象超音波探傷画像31のx方向の長さをWox、y方向の長さをWoyとする。
【0030】
ここで、ウィンドウ121aとして、x方向の長さをWdx、y方向の長さをWdyとする矩形の枠を導入する。x方向の長さWdxおよびy方向の長さWdyは、たとえば、入力部110が外部入力として受け入れる。ここで、x方向のウィンドウの大きさWdxの下限は、超音波素子11の2個分に相当する画素以上の大きさとする。また、ウィンドウ121aのx方向の長さWdxおよびy方向の長さWdyは、想定される欠陥2の最大サイズより大きくすることが好ましい。
【0031】
ウィンドウ121aは、まず、その左上端部を対象超音波探傷画像31の左上の端部Oの位置に合わせて配される。
【0032】
その後、このウィンドウ121aの位置を、y方向にSyずつ、および、x方向にSxずつ順次ずらしていく。なお、この詳細については、
図9を引用しながら後述する。
【0033】
図5は、実施形態に係る超音波画像処理装置100が対象とする対象超音波探傷画像31の生成のための超音波探傷器10および検査対象1を示す断面図であり、検査対象1の表面に対して斜め方向に超音波送信を行った場合を示す。この場合の、検査対象1における検査の対象範囲1aは、
図5に示すように平行四辺形の形状となる。
【0034】
検査対象1の表面に対して斜め方向に超音波送信を行った場合、欠陥2に対して垂直方向に近づくため、欠陥2に当たった超音波の反射波の超音波探傷器10の方に戻る割合が増加する。
【0035】
図6は、実施形態に係る超音波画像処理装置100が検査対象1の表面に斜め方向に超音波送信を行った場合の対象超音波探傷画像31を示す図である。この場合の対象超音波探傷画像31は、対象範囲1aの形状に対応して、平行四辺形となる。
【0036】
この場合に得られる対象超音波探傷画像31における欠陥2に対応する部分である出現像DB2は、
図3に示した出現像DB1より、強く、大きいものとなり、より明確な像が得られる。すなわち、欠陥2が同じ形状であっても、超音波の入射角度を変えることにより、で断面画像の出現像が変化する。
【0037】
図7は、実施形態に係る超音波画像処理装置100による
図6に示す対象超音波探傷画像31から対象切り出し画像32を生成するウィンドウ121bの説明図である。
【0038】
この場合のウィンドウ121bの形状は、平行四辺形であり、各辺は、対象超音波探傷画像31の各辺にそれぞれ平行である。
また、x方向およびy方向は、端部Oから、対象超音波探傷画像31の辺にそれぞれ平行にとるものとする。
【0039】
ウィンドウ121bの最初の設置位置、および順次ずらしていく内容は、
図4で説明した内容と同様である。
【0040】
切り出し画像生成部122は、ウィンドウ121aまたは121bのそれぞれの位置において、ウィンドウ121aまたはウィンドウ121bに囲まれた範囲を、対象切り出し画像32として切り出す。具体的には、対象超音波探傷画像記憶部143に記憶、収納されている対象超音波探傷画像31の画像データのうち、このウィンドウ121aまたは121bに囲まれた範囲の画像データを、対象切り出し画像32の画像データとする。
【0041】
ラベル付与部123は、予測器130による教師あり学習に際して、学習用切り出し画像のそれぞれについての欠陥の有無を評価した結果を、教師内容であるラベルとして付する。
【0042】
欠陥確信度導出部124は、切り出し画像生成部122によって、対象超音波探傷画像31から生成された複数の対象切り出し画像32のそれぞれについて、欠陥2が存在する確からしさを示す欠陥確信度Xdを、予測器130を用いて導出する。
【0043】
重み付け付与部125は、欠陥確信度導出部124により導出された欠陥確信度Xdに基づいて、複数の対象切り出し画像32のそれぞれについて重み付けを行うことにより重み付け切り出し画像127(
図15)を作成する。
【0044】
重み付け探傷画像作成部126は、重み付け切り出し画像127にもとづいて、対象超音波探傷画像31に重み付けがなされた対象重み付け探傷画像128(
図16)を作成する。
【0045】
次に、記憶部140の各要素について説明する。
【0046】
学習用超音波画像記憶部141は、予測器130の機械学習のために入力部110が受け入れた学習用超音波画像を記憶、収納する。
【0047】
ウィンドウパラメータ記憶部142は、ウィンドウ121aに関する入力部110が受け入れたパラメータおよびウィンドウ設定部121が設定したウィンドウ121aに関するパラメータを記憶、収納する。
【0048】
対象超音波探傷画像記憶部143は、入力部110が超音波画像処理装置30から受け入れた、検査対象1に関する対象超音波探傷画像31を記憶、収納する。
【0049】
切り出し画像記憶部144は、切り出し画像生成部122が生成した対象超音波探傷画像31に基づく対象切り出し画像32、および学習用超音波画像に基づく切り出し画像を、記憶、収納する。
【0050】
重み値記憶部145は、欠陥確信度Xdと重み値との一対一の対応関係を、たとえばテーブルあるいは関数の形で記憶、収納する。ここで、重み値は、それが大きくなると、画像の透過度が下がる、すなわち濃度が増加する関係にあり、透過度あるいは濃度は、検査官にとっての判別のしやすさ等を考慮して経験的に設定してもよい。
【0051】
予測器130は、学習用超音波画像記憶部141に収納された学習用超音波画像を読み出し、この学習用超音波画像に基づいて機械学習し、欠陥確信度Xdを出力する。ここで、学習用超音波画像は、たとえば、入力部110により読み込まれた超音波画像に基づいて、切り出し画像生成部122が生成した複数の切り出し画像であって、かつ、ラベル付与部123によりラベルが付加されたものである。予測器130は、このラベルに基づいて、教師あり学習を行う。この結果、予測器130は、切り出し画像の情報を受け入れて、欠陥確信度Xdを目的変数として出力可能となる。
【0052】
次に、超音波画像処理方法のフローについて説明する。以下では、前述のように、超音波画像処理装置100の各要素における処理内容、あるいは各要素間の関係についても、補足的に説明する。
【0053】
図8は、実施形態に係る超音波画像処理装置を含む超音波画像処理方法の手順を示すフロー図である。
【0054】
超音波画像処理方法は、機械学習により超音波画像から欠陥確信度Xdを出力する予測器130を作成する予測器作成ステップS10、入力部110が超音波画像処理装置30から受け入れた検査対象1に関する対象超音波探傷画像31に基づいて欠陥確信度Xdを導出し重み付けを行う対象超音波探傷画像処理ステップS20、および対象超音波探傷画像処理ステップS20により得られた重み付け超音波探傷画像の表示ステップS30を有する。
【0055】
予測器作成ステップS10は、学習用超音波画像等を読み込むステップS11、ウィンドウパラメータを設定するステップS12、学習用超音波画像から学習用切り出し画像を生成するステップS13、各学習用切り出し画像にラベルを付与するステップS14、予測器130が学習するステップS15、および予測器130が収納されるステップS16を有する。
【0056】
対象超音波探傷画像処理ステップS20は、対象超音波探傷画像を読み込むステップS21、ウィンドウパラメータを設定するステップS22、対象超音波探傷画像から対象切り出し画像を生成するステップS23、予測器130を用いて欠陥確信度Xdを算出するステップS24、対象切り出し画像に重み付けを行うステップS25、および対象重み付け探傷画像を作成するステップS26を有する。
【0057】
以下、まず、予測器作成ステップS10の各ステップについて説明する。
【0058】
予測器作成ステップS10においては、まず、入力部110が、学習用超音波画像およびウィンドウに関する条件を外部入力として受け入れ、学習用超音波画像記憶部141が記憶、収納する(ステップS11)。
【0059】
図9は、実施形態に係る超音波画像処理方法における学習用切り出し画像生成ステップの詳細な手順を示すフロー図である。すなわち、
図9は、ステップS11から、ステップS14までの流れにおいて、ステップS13の内容を詳細化したものである。
【0060】
図9のステップS11に示すように、ウィンドウに関する条件として、学習用超音波画像そのものに加えて、たとえば学習用超音波画像および切り出し画面それぞれの画面サイズを読み込む。
【0061】
次に、ウィンドウ設定部121が、ウィンドウパラメータを設定する(ステップS12)。ここで、ステップS11で読み込んだ学習用超音波画像の画面サイズがWox、Woy、および切り出し画面の画面サイズがWdx、Wdyであるとする。ここで、ウィンドウ設定部121は、m0およびn0を次の式(1)により算出する。ここで、(m0-1)および(n0-1)はそれぞれy方向およびx方向の移動回数の最大値である。
m0=ROUNDUP(Wox/Wdx、0)
n0=ROUNDUP(Woy/Wdy、0)
…(1)
ここで、ROUNDUP(V、0)は、数値Vの小数点以下を繰り上げた値である。
【0062】
また、ウィンドウ設定部121は、RxおよびRyを次の式(2)により算出する。
Rx=(m0・Wdx-Wox)/(m0-1)
Ry=(n0・Wdy-Woy)/(n0-1)
…(2)
RxおよびRyは、切り出し画像を一定のピッチで並べた場合の、それぞれx方向およびy方向に互いに隣接する切り出し画像同士が重複する幅である。
【0063】
次に、ウィンドウ設定部121は、移動量SxおよびSyを、次の式(3)により算出する。
Sx=Wdx-Rx
Sy=Wdy-Ry
…(3)
【0064】
以上の算出された値は、学習用超音波画像および切り出し画面の画面サイズとともにウィンドウパラメータ記憶部142に記憶収納される。
【0065】
なお、移動量SxおよびSyは、少なくとも超音波画像データを取得する1個以上の素子を有する超音波探触子の素子1個分に相当する画素以上の大きさとし、また、ウィンドウの大きさよりも1つ以上の素子分に相当する画素だけ小さい値以下とする。
【0066】
なお、以上は、学習用超音波画像の画面サイズWox、Woy、および切り出し画面の画面サイズWdx、Wdyを条件として、移動量SxおよびSyならびにm0およびn0を算出する場合を例にとって示したが、これに限定されない。たとえば、逆に、移動量SxおよびSyならびにm0およびn0を条件として、切り出し画面の画面サイズWdx、Wdyすなわちウィンドウ121aの大きさを算出してもよい。あるいは、これらのパラメータをすべて、外部入力として読み込んでもよい。
【0067】
次に、切り出し画像生成部122が、学習用超音波画像から学習用切出し画像を生成する(ステップS13)。以下に詳細を説明する。
【0068】
まず、n=0とする(ステップS13a)。ここで、nは、それぞれのxの位置におけるウィンドウ121aのy方向への移動回数である。
【0069】
次に、m=0とする(ステップS13b)。ここで、mは、ウィンドウ121aのx方向への移動回数である。
【0070】
次に、学習用超音波画像のうちウィンドウ121aにより囲まれた範囲を切り出して学習用切出し画像を生成する(ステップS13c)。
【0071】
次に、mが(m0-1)になったか否かを判定する(ステップS13d)。
mが(m0-1)になったと判定されなかった場合(ステップS13d NO)には、m=m+1、すなわち、mを1つ増加させ(ステップS13e)、x方向にSx移動(ステップS13f)した上で、ステップS13d以下を繰り返す。
【0072】
mが(m0-1)になったと判定された場合(ステップS13d YES)には、nが(n0-1)になったか否かを判定する(ステップS13g)。
【0073】
nが(n0-1)になったと判定されなかった場合(ステップS13g NO)には、n=n+1、すなわち、nを1つ増加させ(ステップS13h)、y方向にSy移動(ステップS13i)した上で、ステップS13b以下を繰り返す。
【0074】
nが(n0-1)になったと判定された場合(ステップS13g YES)には、ラベル付与部123が、各学習用切り出し画像にラベルを付与する(ステップS14)。
【0075】
図10は、実施形態に係る超音波画像処理方法における学習用切り出し画像へのラベル付与に関連する詳細な手順を示すフロー図である。
【0076】
学習用切り出し画像生成ステップS13により生成された複数の学習用切り出し画像のそれぞれについて、ラベル値の導出が行われる(ステップS100)。
【0077】
具体的には、まず、検査員等、すなわち、検査員あるいは研究者等の専門家により、学習用切り出し画像の確認が行われる(ステップS101)。すなわち、検査員等は、複数の学習用切り出し画像のそれぞれについて、欠陥の有無を精査する。
【0078】
次に、検査員等は、複数の学習用切り出し画像のそれぞれについて、欠陥の存在の有無を決定する(ステップS102)。検査員等は、欠陥の存在の可能性の有無に応じたラベル値を決定する。ここで、ラベル値Lbは、欠陥有りと決定した場合はLbの値を1、欠陥無しと決定した場合のLbの値を0とする。
【0079】
次に、ラベル付与部123は、対応するそれぞれの学習用切り出し画像のそれぞれにラベルを付与する(ステップS14)。すなわち、ラベル付与部123は、対応するそれぞれの学習用切り出し画像のそれぞれに、ラベル値導出ステップにおいて得られたラベル値Lbを、順次、対応付ける。
【0080】
次に、予測器130は、ラベルが付与された複数の学習用切り出し画像に基づいて、教師あり学習を行う(ステップS15)。なお、予測器130の学習のための学習用超音波画像は、予測器130による欠陥確信度Xdが十分な精度を確保するために必要な数だけ準備するものとする。
【0081】
教師有り学習としては、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を使用する。ただし、これに限定されず、複数のタイプの機械学習方法を組み合わせてもよい。CNN以外の機械学習方法としては、ディープラーニング、k-最近傍法、サポートベクターマシン(SVM)などを用いることができる。
機械学習を行った予測器130は、超音波画像処理装置100内に収納される(ステップS16)。
【0082】
このように機械学習を行った予測器130は、学習用超音波画像について、欠陥2がありそうな画像はたとえば0.9、欠陥2がなさそうな画像はたとえば0.1、どっちつかずの微妙な画像はたとえば0.5など、欠陥2の存在の可能性を0~1の間の連続的な確率値で示す欠陥確信度Xdを出力可能となる。
【0083】
なお、上述の機械学習においては、検査員等が、複数の学習用切り出し画像のそれぞれについて、欠陥の存在の有無を決定し、ラベル値Lbとして0または1を付する場合を例にとって示したが、これに限定されない。すなわち、教師あり学習の教師データとして、欠陥2が存在する可能性と考えられる0から1までの連続的な値を、ラベル値Lbとして付してもよい。
【0084】
次に、以下、対象超音波探傷画像処理ステップS20の詳細について説明する。
【0085】
まず、入力部110が、対象超音波探傷画像31およびウィンドウに関する条件を外部入力として受け入れ、対象超音波探傷画像記憶部143が記憶、収納する(ステップS21)。ここで、ウィンドウの条件としての対象切り出し画像の大きさ、すなわちウィンドウの大きさは、学習用超音波画像に関するものと同じ条件とすることが好ましい。
【0086】
次に、ウィンドウ設定部121は、ウィンドウパラメータを設定する(ステップS22)。
図12は、実施形態に係る超音波画像処理方法における対象超音波探傷画像から対象切り出し画像の生成を説明する概念図である。また、
図13は、実施形態に係る超音波画像処理方法における対象超音波探傷画像から生成した対象切り出し画像を示す概念図である。
【0087】
切り出し画像生成部122は、ウィンドウ121aを用いて、対象超音波探傷画像31に基づいて対象切り出し画像32a、32b、32c、32d、32e、32f、および32gを生成する(ステップS23)。なお、
図2ないし
図7を引用しながら切り出し画像生成部122による学習用超音波画像から学習用切出し画像の生成について説明したが、
図12以降は説明を簡便とするために、x方向のみについて示しており、y方向についても同様であるのでy方向については説明を省略している。
生成されたこれらの対象切り出し画像の一式は、対象切り出し画像セット33として切り出し画像記憶部144に記憶、収納される。
【0088】
ステップS22およびステップS23のそれぞれにおけるウィンドウ設定部121および切り出し画像生成部122の処理内容は、ステップS12およびステップS13のそれぞれにおけるウィンドウ設定部121および切り出し画像生成部122の処理内容と同様である。
【0089】
次に、欠陥確信度導出部124が、予測器130を用いて欠陥確信度Xdを算出する(ステップS24)。
図11は、実施形態に係る超音波画像処理方法における対象切り出し画像32を受け入れた後の、予測器130を用いての欠陥確信度計算ステップS24および重み付け探傷画像生成ステップS25の詳細な手順を示すフロー図である。
【0090】
欠陥確信度導出部124は、予測器130を用いて、欠陥確信度Xdを算出する(ステップS24)。すなわち、欠陥確信度導出部124は、切り出し画像記憶部144に収納されている対象切り出し画像セット33の中の対象切り出し画像32を順次読み出し、予測器130に入力する。予測器130は、対象切り出し画像32を入力としてこれに対応する欠陥確信度Xdを出力し、欠陥確信度導出部124がこの欠陥確信度Xdを得る。
【0091】
図14は、実施形態に係る超音波画像処理方法における対象切り出し画像の予測器により得られた欠陥確信度Xdの例を示す概念図である。
【0092】
次に、重み付け付与部125が、対象切り出し画像32とその欠陥確信度Xdに対応する重み値とを対応付ける(ステップS25)。
【0093】
詳細には、まず、重み付け付与部125は、重み値記憶部145にアクセスして、欠陥確信度Xdに対応する重み値を読み取る(ステップS25a)。
重み値は、例えば、欠陥確信度Xdに応じて原画像の透過度の変更程度である。欠陥確信度Xdが1に近いほど対象切り出し画像32の透過度を小さくする。すなわち、視覚的には、対象切り出し画像32の濃度が大きくなる。欠陥が存在する可能性が高い領域ほど、透過されず、可能性が低い領域は透過されることになる。
【0094】
次に、重み付け付与部125は、読み取った重み値と対象切り出し画像32とを対応付ける(ステップS25b)。対象切り出し画像32と重み値とのセットは、切り出し画像記憶部144に記憶、収納される。
【0095】
図15は、実施形態に係る超音波画像処理方法における欠陥確信度に基づき重み付けされた重み付け切り出し画像の例を示す概念図である。
【0096】
ここで、重み付け切り出し画像127bおよび127fでは、
図14に示すように欠陥確信度Xdの値はゼロであるが、それぞれ、欠陥確信度Xdの値がゼロではない重み付け切り出し画像127cおよび127eに隣接しているため注意を喚起する主旨で、0ではない重み付けをしている。なお、このようにせずに、欠陥確信度Xdの値はゼロに対応する表示としてもよい。
【0097】
次に、重み付け探傷画像作成部126が、対象重み付け探傷画像128(
図17)を作成する。
図16は、実施形態に係る超音波画像処理方法における欠陥確信度に基づき重み付けされた重み付け切り出し画像の重ね合わせの例を示す概念図である。
【0098】
詳細には、まず、対象切り出し画像32の重ね合わせを行う(ステップS26a)。重ね合わせは、当初の対象超音波探傷画像31からウィンドウ121aを用いて切り出した際のそれぞれの対象切り出し画像32の相対的な位置となるように行う。
【0099】
次に、互いに隣接する対象切り出し画像32の重複部の重み値の指定を行う(ステップS26b)。重複部の重み値は、たとえば、互いに隣接する対象切り出し画像32のそれぞれの重み値のうち、値が大きい方の重み値としてもよい。あるいは、重複部の重み値は、たとえば、互いに隣接する対象切り出し画像32のそれぞれの重み値の平均値としてもよい。
【0100】
図17は、実施形態に係る超音波画像処理方法により得られた対象重み付け探傷画像の例を示す概念図である。
以上のようにして、
図17に示すような対象重み付け探傷画像128が得られる。
図17の場合は、重複部の重み値は、たとえば、互いに隣接する対象切り出し画像32のそれぞれの重み値のうち、値が大きい方の重み値とした場合を示している。
【0101】
以上のように、対象重み付け探傷画像128において、それぞれの対象切り出し画像32には、欠陥確信度Xdに応じた注目度が確保される。
【0102】
以上説明したように、本実施形態によれば、超音波画像処理において、欠陥の存在の可能性の高い領域が視覚的に把握できることから、不要な領域に注意を向ける必要がないので、欠陥の存在の可能性の高い領域に注意を集中することができ、欠陥2を確実に特定することができる。
[その他の実施形態]
【0103】
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。また、各実施形態の特徴を組み合わせてもよい。また、実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0104】
1…検査対象、1a…対象範囲、2…欠陥、2a…上端、10…超音波探傷器、10a…探触子、11…超音波素子、20…超音波探傷装置、30…超音波画像処理装置、31…対象超音波探傷画像、32、32a、32b、32c、32d、32e、32f、32g…対象切り出し画像、33…対象切り出し画像セット、51…学習用超音波画像、52…学習用切り出し画像、52a…学習用切り出し画像セット、100…超音波画像処理装置、110…入力部、120…演算部、121…ウィンドウ設定部、121a、121b…ウィンドウ、122…切り出し画像生成部、123…ラベル付与部、124…欠陥確信度導出部、125…重み付け付与部、126…重み付け探傷画像作成部、127…重み付け切り出し画像、128…対象重み付け探傷画像、130…予測器、140…記憶部、141…学習用超音波画像記憶部、142…ウィンドウパラメータ記憶部、143…対象超音波探傷画像記憶部、144…切り出し画像記憶部、145…重み値記憶部、150…出力部、200…超音波探傷システム