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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】発電素子及び発電システム
(51)【国際特許分類】
   H10N 15/10 20230101AFI20240520BHJP
   H02N 11/00 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
H10N15/10
H02N11/00 A
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020186473
(22)【出願日】2020-11-09
(65)【公開番号】P2022076177
(43)【公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】吉田 学史
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 久生
(72)【発明者】
【氏名】木村 重哉
(72)【発明者】
【氏名】冨田 洋
(72)【発明者】
【氏名】上野 聡一
(72)【発明者】
【氏名】星 岳志
【審査官】宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-228478(JP,A)
【文献】特開2020-170780(JP,A)
【文献】特開2018-195790(JP,A)
【文献】国際公開第2020/071535(WO,A1)
【文献】特開2006-332398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 15/10
H02N 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電層と、
第2導電層であって、前記第2導電層から前記第1導電層への方向は第1方向に沿う、前記第2導電層と、
前記第1導電層と前記第2導電層との間に設けられた結晶部材であって、前記結晶部材は、結晶ペアを含み、前記結晶ペアは、第1結晶部と第2結晶部とを含み、前記第1結晶部から前記第2結晶部への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第1結晶部と前記第2結晶部との間に間隙が設けられ、前記第1導電層は、前記第1結晶部と電気的に接続され、前記第2導電層は、前記第2結晶部と電気的に接続された、前記結晶部材と、
を備え
前記第1結晶部の結晶方位の向きは、前記第2結晶部の結晶方位の向きと逆の成分を含み、
前記第1結晶部の前記結晶方位の前記向きは、前記第2方向に沿う、発電素子。
【請求項2】
前記第1結晶部は、前記第1方向に沿う第1厚さと、前記第2方向に沿う第1幅と、を有し、
前記第1厚さは、前記第1幅よりも大きく、
前記第2結晶部は、前記第1方向に沿う第2厚さと、前記第2方向に沿う第2幅と、を有し、
前記第2厚さは、前記第2幅よりも大きい、請求項1記載の発電素子。
【請求項3】
前記第1結晶部は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿う第1長さを有し、
前記第1長さは、前記第1厚さよりも大きく、
前記第2結晶部は、前記第3方向に沿う第2長さを有し、
前記第2長さは、前記第2厚さよりも大きい、請求項2記載の発電素子。
【請求項4】
前記間隙の前記第2方向に沿う長さは、前記第1幅よりも小さく、前記第2幅よりも小さい、請求項2または3に記載の発電素子。
【請求項5】
前記間隙の前記第2方向に沿う前記長さは、10μm以下である、請求項4記載の発電素子。
【請求項6】
前記第1結晶部の<000-1>方向は、前記第2結晶部の<000-1>方向と逆である、請求項1~5のいずれか1つに記載の発電素子。
【請求項7】
前記第1結晶部の(000-1)面は、前記第2結晶部と対向し、
前記第2結晶部の(000-1)面は、前記第1結晶部と対向し、
前記第1結晶部の前記(000-1)面と、前記第2結晶部の前記(000-1)面との間に前記間隙がある、請求項1~5のいずれか1つに記載の発電素子。
【請求項8】
前記第1結晶部は、B、Al、In及びGaからなる群から選択された少なくとも1つと、窒素と、を含む、
前記第2結晶部は、B、Al、In及びGaからなる群から選択された少なくとも1つと、窒素と、を含む、請求項1~のいずれか1つに記載の発電素子。
【請求項9】
前記第1結晶部は、Alx1Ga1-x1N(1≦x1≦1)を含み、
前記第2結晶部は、Alx2Ga1-x2N(1≦x2≦1)を含む、請求項1~のいずれか1つに記載の発電素子。
【請求項10】
前記第1結晶部は、Si、Ge、Te及びSnよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2結晶部は、Si、Ge、Te及びSnよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、請求項またはに記載の発電素子。
【請求項11】
第1導電層と、
第2導電層であって、前記第2導電層から前記第1導電層への方向は第1方向に沿う、前記第2導電層と、
前記第1導電層と前記第2導電層との間に設けられた結晶部材であって、前記結晶部材は、結晶ペアを含み、前記結晶ペアは、第1結晶部と第2結晶部とを含み、前記第1結晶部から前記第2結晶部への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第1結晶部と前記第2結晶部との間に間隙が設けられ、前記第1導電層は、前記第1結晶部と電気的に接続され、前記第2導電層は、前記第2結晶部と電気的に接続された、前記結晶部材と、
を備え
前記第1結晶部は、B、Al、In及びGaからなる群から選択された少なくとも1つと、窒素と、を含む、
前記第2結晶部は、B、Al、In及びGaからなる群から選択された少なくとも1つと、窒素と、を含み、
前記第1結晶部は、Si、Ge、Te及びSnよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2結晶部は、Si、Ge、Te及びSnよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、発電素子。
【請求項12】
第1導電層と、
第2導電層であって、前記第2導電層から前記第1導電層への方向は第1方向に沿う、前記第2導電層と、
前記第1導電層と前記第2導電層との間に設けられた結晶部材であって、前記結晶部材は、結晶ペアを含み、前記結晶ペアは、第1結晶部と第2結晶部とを含み、前記第1結晶部から前記第2結晶部への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第1結晶部と前記第2結晶部との間に間隙が設けられ、前記第1導電層は、前記第1結晶部と電気的に接続され、前記第2導電層は、前記第2結晶部と電気的に接続された、前記結晶部材と、
を備え
前記第1結晶部は、Al x1 Ga 1-x1 N(1≦x1≦1)を含み、
前記第2結晶部は、Al x2 Ga 1-x2 N(1≦x2≦1)を含み、
前記第1結晶部は、Si、Ge、Te及びSnよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2結晶部は、Si、Ge、Te及びSnよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、発電素子。
【請求項13】
前記第1結晶部は、ZnO及びZnMgOからなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2結晶部は、ZnO及びZnMgOからなる群から選択された少なくとも1つを含む、請求項1~のいずれか1つに記載の発電素子。
【請求項14】
前記第1結晶部は、
第1部分と、
前記第1部分の表面に設けられた第1表面層と、
を含み、
前記第1表面層は、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba及びRaよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、請求項1~13のいずれか1つに記載の発電素子。
【請求項15】
前記第2結晶部と、前記第1導電層の少なくとも一部と、の間に設けられた第1絶縁部材と、
前記第1結晶部と、前記第2導電層の少なくとも一部と、の間に設けられた第2絶縁部材と、
をさらに備えた、請求項1~14のいずれか1つに記載の発電素子。
【請求項16】
前記結晶部材は、複数の前記結晶ペアを含み、
前記複数の結晶ペアは、前記第2方向に沿って並ぶ、請求項1~15のいずれか1つに記載の発電素子。
【請求項17】
前記複数の結晶ペアの1つの前記第2結晶部は、前記複数の結晶ペアの1つの前記第1結晶部と、前記複数の結晶ペアの別の1つの前記第1結晶部と、の間にあり、
前記複数の結晶ペアの前記1つの前記第2結晶部と、前記複数の結晶ペアの前記1つの前記第1結晶部と、の間に前記間隙がある、請求項16記載の発電素子。
【請求項18】
前記複数の結晶ペアの前記1つの前記第2結晶部の少なくとも一部は、前記複数の結晶ペアの前記別の1つの前記第1結晶部の少なくとも一部と接した、請求項17記載の発電素子。
【請求項19】
第1導電層と、
第2導電層であって、前記第2導電層から前記第1導電層への方向は第1方向に沿う、前記第2導電層と、
前記第1導電層と前記第2導電層との間に設けられた結晶部材であって、前記結晶部材は、結晶ペアを含み、前記結晶ペアは、第1結晶部と第2結晶部とを含み、前記第1結晶部から前記第2結晶部への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第1結晶部と前記第2結晶部との間に間隙が設けられ、前記第1導電層は、前記第1結晶部と電気的に接続され、前記第2導電層は、前記第2結晶部と電気的に接続された、前記結晶部材と、
を備え
前記結晶部材は、複数の前記結晶ペアを含み、
前記複数の結晶ペアは、前記第2方向に沿って並び、
前記複数の結晶ペアの1つの前記第2結晶部は、前記複数の結晶ペアの1つの前記第1結晶部と、前記複数の結晶ペアの別の1つの前記第1結晶部と、の間にあり、
前記複数の結晶ペアの前記1つの前記第2結晶部と、前記複数の結晶ペアの前記1つの前記第1結晶部と、の間に前記間隙があり、
前記複数の結晶ペアの前記1つの前記第2結晶部の少なくとも一部は、前記複数の結晶ペアの前記別の1つの前記第1結晶部の少なくとも一部と接した、発電素子。
【請求項20】
前記第1導電層の温度が前記第2導電層の温度よりも高いときに、
前記第1結晶部から前記第2結晶部に向けて電子が放出され、
前記第2導電層の前記温度が前記第1導電層の前記温度よりも高いときに、
前記第2結晶部から前記第1結晶部に向けて電子が放出される、請求項1~1のいずれか1つに記載の発電素子。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか1つに記載の発電素子を備えた発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発電素子及び発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、熱電子素子などの発電素子がある。発電素子において、効率の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-248618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、効率を向上可能な発電素子及び発電システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、発電素子は、第1導電層、第2導電層及び結晶部材を含む。前記第2導電層から前記第1導電層への方向は第1方向に沿う。前記結晶部材は、前記第1導電層と前記第2導電層との間に設けられる。前記結晶部材は、結晶ペアを含む。前記結晶ペアは、第1結晶部と第2結晶部とを含む。前記第1結晶部から前記第2結晶部への第2方向は、前記第1方向と交差する。前記第1結晶部と前記第2結晶部との間に間隙が設けられる。前記第1導電層は、前記第1結晶部と電気的に接続される。前記第2導電層は、前記第2結晶部と電気的に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1(a)及び図1(b)は、第1実施形態に係る発電素子を例示する模式的断面図である。
図2図2(a)及び図2(b)は、第1実施形態に係る発電素子を例示する模式的断面図である。
図3図3(a)~図3(c)は、第1実施形態に係る発電素子の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図4図4(a)~図4(c)は、第1実施形態に係る発電素子の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図5図5(a)~図5(c)は、第1実施形態に係る発電素子の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図6図6(a)~図6(c)は、第1実施形態に係る発電素子の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図7図7(a)~図7(c)は、第1実施形態に係る発電素子の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図8図8(a)~図8(c)は、第1実施形態に係る発電素子の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図9図9(a)~図9(c)は、第1実施形態に係る発電素子の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図10図10(a)~図10(c)は、第1実施形態に係る発電素子の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図11図11(a)~図11(c)は、第1実施形態に係る発電素子の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図12図12(a)~図12(c)は、第1実施形態に係る発電素子の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図13図13(a)~図13(c)は、第1実施形態に係る発電素子の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図14図14(a)~図14(c)は、第1実施形態に係る発電素子の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図15図15は、第1実施形態に係る発電素子の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図16図16は、第2実施形態に係る発電素子を例示する模式的断面図である。
図17図17(a)及び図17(b)は、実施形態に係る発電モジュール及び発電装置を示す模式図的断面図である。
図18図18(a)及び図18(b)は、実施形態に係る発電装置及び発電システムを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1(a)及び図1(b)は、第1実施形態に係る発電素子を例示する模式的断面図である。
図1(b)は、図1(a)のA1-A2線断面図である。図1(a)は、図1(b)のB1-B2線断面図である。
【0009】
図1(a)及び図1(b)に示すように、実施形態に係る発電素子110は、第1導電層21、第2導電層22及び結晶部材10を含む。
【0010】
第2導電層22から第1導電層21への方向は、第1方向に沿う。第1方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0011】
第1導電層21及び第2導電層22は、例えば、X-Y平面に沿って広がる。
【0012】
結晶部材10は、第1導電層21と第2導電層22との間に設けられる。結晶部材10は、結晶ペア10Pを含む。結晶ペア10Pは、第1結晶部11及び第2結晶部12を含む。第1結晶部11から第2結晶部12への第2方向は、第1方向と交差する。第2方向は、例えば、X軸方向である。第1結晶部11と第2結晶部12との間に、間隙18が設けられる。例えば、間隙18における気圧は、1気圧よりも低い。間隙18は、例えば、減圧状態である。
【0013】
この例では、結晶部材10は、複数の結晶ペア10Pを含む。複数の結晶ペア10Pは、第2方向(例えばX軸方向)に沿って並ぶ。
【0014】
例えば、複数の結晶ペア10Pの1つの第2結晶部12は、複数の結晶ペア10Pのその1つの第1結晶部11と、複数の結晶ペア10Pの別の1つの第1結晶部11と、の間にある。複数の結晶ペア10Pの上記の1つの第2結晶部12と、複数の結晶ペア10Pの上記の1つの第1結晶部11と、の間に間隙18がある。例えば、複数の結晶ペア10Pの上記の1つの第2結晶部12の少なくとも一部は、複数の結晶ペア10Pの上記の別の1つの第1結晶部11の少なくとも一部と接する。
【0015】
1つの第1結晶部11と、1つの第2結晶部12と、それらの間の間隙18とが、1つの結晶ペア10Pとなる。
【0016】
第1導電層21は、複数の結晶ペア10Pの上記の1つの第1結晶部11と電気的に接続される。第2導電層22は、複数の結晶ペア10Pの上記1つの第2結晶部12と電気的に接続される。複数の結晶ペア10Pの上記の別の1つの第1結晶部11は、第2導電層22と電気的に接続される。複数の結晶ペア10Pの別の1つの第2結晶部12は、第1導電層21と電気的に接続される。
【0017】
例えば、第1導電層21の温度が第2導電層22の温度よりも高いときに、第1結晶部11から第2結晶部12に向けて電子が放出される。電子は、間隙18を通過して、第2結晶部12に到達する。第2導電層22の温度が第1導電層21の温度よりも高いときに、第2結晶部12から第1結晶部11に向けて電子が放出される。電子は、間隙18を通過して、第1結晶部11に到達する。
【0018】
例えば、第1導電層21に電気的に接続された第1端子21Tと、第2導電層22に電気的に接続された第2端子22Tと、が設けられても良い。電子に伴う電流が、これらの端子を介して取り出される。電流を電力として利用できる。発電素子110において、電子は、例えば、熱電子である。
【0019】
第1結晶部11及び第2結晶部12が互いに対向する領域において発電が行われる。実施形態においては、第1結晶部11及び第2結晶部12が互いに対向する方向が、第1導電層21及び第2導電層21の積層方向と交差する。これにより、第1結晶部11及び第2結晶部12が互いに対向する領域の密度を高くすることができる。これにより、体積当たり(または面積当たり)の発電量を大きくできる。実施形態においては、効率を向上可能な発電素子を提供できる。
【0020】
図2(a)及び図2(b)は、第1実施形態に係る発電素子を例示する模式的断面図である。
図2(b)は、図2(a)の一部の拡大図である。
図2(a)に示すように、第1結晶部11は、第1方向(Z軸方向)に沿う第1厚さt1と、第2方向(例えばX軸方向)に沿う第1幅w1と、を有する。第1厚さt1は、第1幅w1よりも大きい。第2結晶部12は、第1方向に沿う第2厚さt2と、第2方向に沿う第2幅w2と、を有する。第2厚さt2は、第2幅w2よりも大きい。第1厚さt1及び第2厚さt2が大きいことにより、第1結晶部11及び第2結晶部12が互いに対向する領域を大きくできる。高い効率が得易くできる。
【0021】
図1(b)に示すように、第1結晶部11は、第3方向に沿う第1長さL1を有する。第3方向は、第1方向及び第2方向を含む平面と交差する。第3方向は、例えば、Y軸方向である。第1長さL1は、第1厚さt1よりも大きい。第2結晶部12は、第3方向に沿う第2長さL2を有する。第2長さL2は、第2厚さt1よりも大きい。第1結晶部11及び第2結晶部12は、Y軸方向に沿う帯状である。第1長さL1及び第2長さL2が長いことで、第1結晶部11及び第2結晶部12が互いに対向する領域を大きくできる。高い効率が得易くできる。
【0022】
図2(a)に示すように、間隙18の第2方向(例えばX軸方向)に沿う長さd1を有する。長さd1は、ギャップ長に対応する。1つの例において、長さd1は、第1幅w1よりも小さく、第2幅w2よりも小さい。長さd1が短いことで、電子が効率良く間隙18を通過できる。高い効率が得易い。
【0023】
例えば、間隙18の第2方向に沿う長さd1は、10μm以下である。例えば、長さd1は、5μm以下でも良い。
【0024】
図2(b)に示すように、第1結晶部11は、第2結晶部12と対向する第1面11fを含む。第1面11fは、凹凸11dpを含んでも良い。凹凸11dpの第2方向(例えばX軸方向)に沿う高さh1は、例えば、0.01μm以上10μm以下である。
【0025】
図2(b)に示すように、第2結晶部12は、第1結晶部11と対向する第2面12fを含む。第2面12fは、凹凸12dpを含んでも良い。凹凸12dpの第2方向(例えばX軸方向)に沿う高さh2は、例えば、0.01μm以上10μm以下である。
【0026】
第1面11f及び第2面12fに凹凸が設けられる場合、間隙18の第2方向に沿う長さd1は、実用的に、第1面11fと第2面12fとの間の第2方向に沿う距離の平均として良い。
【0027】
図2(b)に示すように、第1結晶部11は、第1部分11aと、第1表面層11sと、を含んでも良い。第1表面層11sは、第1部分11aの表面に設けられる。例えば、第1表面層11sは、第1部分11aと第2結晶部12との間にある。第1部分11aは、結晶部分である。第1部分11aは、例えば、窒化物半導体などを含む。第1表面層11sは、例えば、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba及びRaよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1表面層11sは、例えば、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba及びRaよりなる群から選択された少なくとも1つを含む吸着物を含む。第1表面層11sとして、例えば、第1部分11aの表面にCsが吸着していても良い。
【0028】
図2(b)に示すように、第2結晶部12は、第2部分12aと、第2表面層12sと、を含んでも良い。第1表面層12sは、第2部分12aの表面に設けられる。例えば、第2表面層12sは、第2部分12aと第1結晶部11との間にある。第2部分12aは、結晶部分である。第2部分12aは、例えば、窒化物半導体などを含む。第2表面層12sは、例えば、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba及びRaよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2表面層12sは、例えば、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba及びRaよりなる群から選択された少なくとも1つを含む吸着物を含む。第2表面層12sとして、例えば、第2部分12aの表面にCsが吸着していても良い。このような表面層が設けられることで、例えば、電子放出効率が向上する。
【0029】
図1(a)に示すように、この例では、発電素子110は、第1絶縁部材31及び第2絶縁部材32を含む。第1絶縁部材31は、第2結晶部12と、第1導電層21の少なくとも一部と、の間に設けられる。第2絶縁部材32は、第1結晶部11と、第2導電層22の少なくとも一部と、の間に設けられる。この例では、第1絶縁部材31の一部は、第1結晶部11と第1導電層21との間にある。このような絶縁部材が設けられている状態で、第1導電層21は、第1結晶部11と電気的に接続され、第2導電層22は、第2結晶部12と電気的に接続される。このような構成により、1つの結晶ペア10Pで得られた電流が、第1導電層21及び第2導電層22を介して、適切に外部に取り出される。
【0030】
図1(a)に示すように、1つの例において、第1結晶部11の結晶方位11Aの向きは、第2結晶部12の結晶方位12Aの向きと逆の成分を含む。例えば、第1結晶部11の結晶方位11Aの向きは、第2方向に沿う。例えば、第1結晶部11の結晶方位11Aの向きは、第2結晶部12から第1結晶部11への向きに沿う。例えば、第2結晶部12の結晶方位12Aの向きは、第1結晶部11から第2結晶部12への向きに沿う。
【0031】
例えば、第1結晶部11の<000-1>方向は、第2結晶部12の<000-1>方向と逆である。
【0032】
図1(b)に示すように、例えば、第1結晶部11の(000-1)面11Cは、第2結晶部12と対向する。第2結晶部12の(000-1)面12Cは、第1結晶部11と対向する。第1結晶部11の(000-1)面11Cと、第2結晶部12の(000-1)面12Cとの間に、間隙18がある。互いに対向する面が、(000-1)面であることにより、電子が放出され易くなる。これにより、より高い効率が得られる。
【0033】
第1結晶部11及び第2結晶部12は、例えば、窒化物半導体を含む。例えば、第1結晶部11は、B、Al、In及びGaからなる群から選択された少なくとも1つと、窒素と、を含む。例えば、第2結晶部12は、B、Al、In及びGaからなる群から選択された少なくとも1つと、窒素と、を含む。
【0034】
例えば、第1結晶部11は、Alx1Ga1-x1N(1≦x1≦1)を含む。第2結晶部12は、Alx2Ga1-x2N(1≦x2≦1)を含む。組成比x1は、組成比x2と実質的に同じでよい。第1結晶部11におけるAlの組成比x1は、例えば、0以上0.75以下であることが好ましい。第2結晶部12におけるAlの組成比x1は、例えば、0以上0.75以下であることが好ましい。このような材料において、より高い効率が得易い。
【0035】
実施形態に係る1つの例において、第1結晶部11及び第2結晶部12は、Si、Ge、Te及びSnよりなる群から選択された少なくとも1つの元素を含む。この元素は、例えば、n形不純物として機能する。例えば、第1結晶部11及び第2結晶部12は、このn形不純物(Si、Ge、Te及びSnよりなる群から選択された少なくとも1つの元素)を含む。
【0036】
1つの例において、第1結晶部11及び第2結晶部12のn形不純物の濃度は、例えば、1×1017/cm以上1×1020/cm以下である。例えば、第1結晶部11及び第2結晶部12における電気抵抗が低くでき、良好な発電特性が得られる。
【0037】
実施形態において、第1結晶部11及び第2結晶部12は、ZnO及びZnMgOからなる群から選択された少なくとも1つを含んでも良い。実施形態において、第1結晶部11及び第2結晶部12は、BaTiO、PbTiO、Pb(Zr,Ti1-x)O、KNbO、LiNbO、LiTaO、NaWO、Zn、BaNaNb、PbKNb15及びLiからなる群から選択された少なくとも1つを含んでも良い。このような材料において、分極が生じる。分極により、電子がより効率的に放出される。
【0038】
第1絶縁部材31及び第2絶縁部材32は、例えば、Al及びSiOよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。これにより、例えば、低い熱伝導率が得られる。例えば、高い断熱性が得られる。第1導電層21及び第2導電層22は、Mo及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0039】
以下、実施形態に係る発電素子の製造方法の例について説明する。
【0040】
図3(a)~図3(c)、図4(a)~図4(c)、図5(a)~図5(c)、及び、図6(a)~図6(c)は、第1実施形態に係る発電素子の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図3(a)に示すように、基板40sを準備する。基板40sは、例えば、シリコンの(110)基板、または、シリコンの(112)基板などで良い。
【0041】
図3(b)に示すように、基板40sにマスク材40Mを形成する。マスク材40Mは、例えば、SiOなどを含む。マスク材40Mは、Y軸方向に沿って延びる。複数のマスク材40Mが設けられる。
【0042】
図3(c)に示すように、マスク材40Mを用いて、基板40sの一部を除去する。除去は、例えばKOHなどを含む溶液を用いた処理などにより行われても良い。基板40sに形成される。凹部の側面40fは、例えば、Si(111)面である。凹部の底部に、酸化シリコン膜41などが形成されても良い。
【0043】
図4(a)に示すように、側面40fから、結晶部材10となる結晶を成長させる。結晶は、例えば、AlGaNである。これにより、第1結晶部11及び第2結晶部12が形成される。第1結晶部11の結晶方位11Aの向きは、第2結晶部12の結晶方位12Aの向きと逆になる。
【0044】
図4(b)に示すように、第1絶縁部材31を形成する。第1絶縁部材31は、例えば、Alを含む。
【0045】
図4(c)に示すように、第1導電層21を形成する。第1導電層21の少なくとも一部は、例えば、接合により形成されても良い。
【0046】
図5(a)に示すように、基板40sを除去する。除去は、例えば、研削及びドライエッチングの少なくともいずれかにより行われる。
【0047】
図5(b)に示すように、第2絶縁部材32を形成する。第2絶縁部材32は、例えば、Alを含む。
【0048】
図5(c)に示すように、ウエットエッチングを行う。ウエットエッチングは、例えば、KOHなどのアルカリ溶液によるエッチングを含む。これにより、間隙18が形成される。間隙18の部分において、第1結晶部11及び第2結晶部12の表面に凹凸が形成されても良い。
【0049】
図6(a)に示すように、マスク材35Mを形成する。マスク材35Mは、第2絶縁部材32を覆う。マスク材35Mは、第1結晶部11の一部及び第2結晶部12の一部を露出させる。マスク材35Mは、例えば、レジストマスクである。
【0050】
図6(b)に示すように、マスク材35Mに覆われていない部分に導電膜22aを形成する。導電膜22aは、第1結晶部11と第2結晶部12の下面に形成される。導電膜22aは、例えば、蒸着などにより形成できる。導電膜22aの形成の後に、マスク材35Mを除去する。
【0051】
図6(c)に示すように、導電膜22bを形成する。導電膜22a及び導電膜22bにより、第2導電層22が得られる。
【0052】
間隙18に、Csなどを導入した後に、導電膜22bなどで金属接合することにより封止しても良い。このような方法により、例えば、発電素子110が得られる。
【0053】
図7(a)~図7(c)、図8(a)~図8(c)、図9(a)~図9(c)、及び、図10(a)~図10(c)は、第1実施形態に係る発電素子の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図7(a)~図7(c)に示すように、基板40sにマスク材40Mを形成し、マスク材40Mを用いて基板40sの一部を除去する。基板40sの凹部が形成される。凹部の側面40fは、例えば、Si(111)面である。
【0054】
図8(a)に示すように、側面40fから、結晶部材10となる結晶を成長させる。結晶は、例えば、AlGaNである。これにより、第1結晶部11及び第2結晶部12が形成される。第1結晶部11の結晶方位11Aの向きは、第2結晶部12の結晶方位12Aの向きと逆になる。図8(a)に示すように、他の結晶領域13が形成されても良い。他の結晶領域13における結晶方位は、第1結晶部11及び第2結晶部12の結方位とは異なる。図8(a)の例のように、マスク材40Mの上に結晶部17が形成されても良い。
【0055】
図8(b)に示すように、例えば、HF処理などにより、表面を平坦化する。
【0056】
図8(c)に示すように、第1絶縁部材31を形成する。第1絶縁部材31は、例えば、Alを含む。
【0057】
図9(a)に示すように、第1導電層21を形成する。第1導電層21は、例えば、接合などにより形成できる。
【0058】
図9(b)に示すように、基板40sを除去する。除去は、例えば、研削及びドライエッチングの少なくともいずれかにより行われる。この工程において、他の結晶領域13も除去される。これにより、結晶部材10に凹部が形成される。
【0059】
図9(c)に示すように、第2絶縁部材32を形成する。第2絶縁部材32は、例えば、Alを含む。第2絶縁部材32は、結晶部材10の凹部にも形成される。
【0060】
図10(a)に示すように、ドライエッチングまたはウエットエッチングの実施などにより、間隙18を形成する。間隙18の部分において、第1結晶部11及び第2結晶部12の表面に凹凸が形成されても良い。
【0061】
図10(b)に示すように、マスク材35M(図6(a)参照)を用いて、マスク材35Mに覆われていない部分に導電膜22aを形成し、その後、マスク材35Mを除去する。
【0062】
図10(c)に示すように、導電膜22bを形成する。導電膜22a及び導電膜22bにより、第2導電層22が得られる。その後、間隙18に、Csなどを導入し、金属接合などにより封止する。このような方法により、例えば、発電素子111が得られる。
【0063】
図11(a)~図11(c)、図12(a)~図12(c)、図13(a)~図13(c)、図14(a)~図14(c)、及び、図15は、第1実施形態に係る発電素子の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図11(a)~図11(c)に示すように、基板40sにマスク材40Mを形成し、マスク材40Mを用いて基板40sの一部を除去する。基板40sの凹部が形成される。凹部の側面40fは、例えば、Si(111)面である。
【0064】
図12(a)~図12(c)に示すように、側面40fから、結晶部材10となる結晶(例えばAlGaN)を成長させ、表面を平坦化し、第1絶縁部材31を形成する。図12(a)に示すように、この例では、他の結晶領域13が形成される。
【0065】
図13(a)~図13(c)に示すように、第1導電層21を形成し、基板40s及び他の結晶領域13を除去し、第2絶縁部材32を形成する。
【0066】
図14(a)に示すように、ドライエッチングまたはウエットエッチングの実施などにより、間隙18を形成する。間隙18の部分において、第1結晶部11及び第2結晶部12の表面に凹凸が形成されても良い。
【0067】
図14(b)に示すように、間隙18にレジストマスク35を埋め込む。さらに、マスク材36を形成する。マスク材36は、例えば、SiOを含む。
【0068】
図14(c)に示すように、マスク材36のレジストマスク35と重なる領域、及び、マスク材36の第2絶縁部材32が設けられていない領域を除去する。除去は、例えば、別のマスク材を用いたエッチングになどにより行われる。レジストマスク35の除去により、間隙18が露出する。貫通穴が形成される。さらに、第2絶縁部材32が設けられていない、第1結晶部11の一部及び第2結晶部12の一部の下面が露出する。
【0069】
図15に示すように、例えば、蒸着などにより第2導電層22を形成する。第2導電層22となる材料は、貫通穴の開口部を塞ぐ。第2導電層22を形成する前に、間隙18に、Csなどを導入しても良い。このような方法により、例えば、発電素子112が得られる。
【0070】
(第2実施形態)
図16は、第2実施形態に係る発電素子を例示する模式的断面図である。
図16に示すように、発電素子110は、容器60を含んでも良い。容器60の中に第1導電層21、第2導電層22及び結晶部材10が設けられる。容器60の中の気圧は、大気圧よりも低い。例えば、空隙18は、減圧状態である。1つの結晶部から放出された電子が効率的に他の結晶部に届く。
【0071】
以下、発電素子の応用の例について説明する。
【0072】
図17(a)及び図17(b)は、実施形態に係る発電モジュール及び発電装置を示す模式図的断面図である。
図17(a)に示すように、実施形態に係る発電モジュール210においては、第2実施形態に係る発電素子(例えば発電素子110など)を含む。この例では、基板120の上において、複数の発電素子110が並ぶ。
【0073】
図17(b)に示すように、実施形態に係る発電装置310は、上記の発電モジュール210を含む。複数の発電モジュール210が設けられても良い。この例では、基板220の上において、複数の発電モジュール210が並ぶ。
【0074】
図18(a)及び図18(b)は、実施形態に係る発電装置及び発電システムを示す模式図である。
図18(a)及び図18(b)に示すように、実施形態に係る発電装置310(すなわち、実施形態に係る発電素子110など)は、太陽熱発電に応用できる。
【0075】
図18(a)に示すように、例えば、太陽61からの光は、ヘリオスタット62で反射し、発電装置310(発電素子110または発電モジュール210)に入射する。光は、発電素子の温度を上昇させる。熱が、電流に変換される。電流が、電線65などにより送電される。
【0076】
図18(b)に示すように、例えば、太陽61からの光は、集光ミラー63で集光され、発電装置310(発電素子110または発電モジュール210)に入射する。光による熱が、電流に変換される。電流が、電線65などにより送電される。
【0077】
例えば、発電システム410は、発電装置310を含む。この例では、複数の発電装置310が設けられる。この例では、発電システム410は、発電装置310と、駆動装置66と、を含む。駆動装置66は、発電装置310を太陽61の動きに追尾させる。追尾により、効率的な発電が実施できる。発電システム410は、例えば、太陽光発電システムである。発電システム410は、発電設備の1つの例である。
【0078】
実施形態に係る発電素子(例えば発電素子110など)を用いることで、高効率の発電が実施できる。
【0079】
実施形態によれば、効率を向上可能な発電素子及び発電システムを提供することができる。
【0080】
本願明細書において、「電気的に接続される状態」は、複数の導電体が物理的に接してこれら複数の導電体の間に電流が流れる状態を含む。「電気的に接続される状態」は、複数の導電体の間に、別の導電体が挿入されて、これらの複数の導電体の間に電流が流れる状態を含む。
【0081】
本明細書において「窒化物半導体」とは、BInAlGa1-x-y-zN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦1,x+y+z≦1)なる化学式において組成比x、y及びzをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含むものとする。またさらに、上記化学式において、N(窒素)以外のV族元素もさらに含むもの、導電形などの各種の物性を制御するために添加される各種の元素をさらに含むもの、及び、意図せずに含まれる各種の元素をさらに含むものも、「窒化物半導体」に含まれるものとする。
【0082】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、発電素子に含まれる、導電層及び結晶部材などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0083】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0084】
その他、本発明の実施の形態として上述した発電素子及び発電システムを基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての発電素子及び発電システムも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0085】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと解される。
【0086】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
10…結晶部材、 10P…結晶ペア、 11、12…第1、第2結晶部、 11A、12A…結晶方位、 11C、12C…(000-1)面、 11a、12a…第1、第2部分、 11dp、12dp…凹凸、 11f、12f…第1、第2面、 11s、12s…表面層、 13…他の結晶領域、 17…結晶部、 18…間隙、 21、22…第1、第2導電層、 21T、22T…端子、 22a、22b…導電膜、 31、32…第1、第2絶縁部材、 35…有機部材、 35M…マスク材、 36…マスク材、 40M…マスク材、 40f…側面、 40s…基板、 41…酸化シリコン膜、 60…容器、 61…太陽、 62…ヘリオスタット、 63…集光ミラー、 65…電線、 66…駆動装置、 110~112…発電素子、 120…基板、 210…発電モジュール、 220…基板、 310…発電装置、 410…発電システム、 L1、L2…第1、第2長さ、 d1…長さ、 h1、h2…高さ、 t1、t2…第1、第2厚さ、 w1、w2…第1、第2幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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