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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】農業支援システム
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20240520BHJP
   G06Q 50/02 20240101ALI20240520BHJP
【FI】
A01B69/00 303G
G06Q50/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020219874
(22)【出願日】2020-12-29
(65)【公開番号】P2022104738
(43)【公開日】2022-07-11
【審査請求日】2022-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】森本 孝紀
(72)【発明者】
【氏名】木下 知洋
(72)【発明者】
【氏名】石川 新之助
(72)【発明者】
【氏名】梅本 享
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-028688(JP,A)
【文献】特開2019-166965(JP,A)
【文献】特開2018-027719(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0148348(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0318607(US,A1)
【文献】特開2019-062793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 69/00
G06Q 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センシング装置を備えた無人飛行体と、
圃場を走行可能であって作業装置による作業を行う農業機械と、
前記センシング装置がセンシングした前記作業装置の作業中又は前記作業後の前記圃場の状態に基づいて、当該作業装置による作業の適正を判断する作業判断部と、
を備え、
前記農業機械は、前記作業前の前記圃場の状態を取得した場合は前記作業装置の設定を行い、前記作業中又は作業後の前記圃場の状態を取得した場合は前記圃場の状態に基づいて作業を行い且つ前記作業判断部が前記作業は適正でないと判断すると、当該適正でない作業の位置に戻って前記作業装置による再作業を行う農業支援システム。
【請求項2】
センシング装置を備えた無人飛行体と、
圃場を走行可能であって作業装置による作業を行う農業機械と、
前記センシング装置がセンシングした前記作業装置の作業中又は前記作業後の前記圃場の状態に基づいて、当該作業装置による作業の適正を判断する作業判断部と、
を備え、
前記農業機械は、前記センシング装置がセンシングした前記作業装置による作業中又は作業後の前記圃場の状態に基づいて作業を行い、前記作業判断部が、前記作業が適正でないと判断すると、当該適正でない作業の位置に戻って前記作業装置による再作業を行う農業支援システム。
【請求項3】
前記農業機械は、
自動走行を制御する走行制御部と、前記自動走行の終了後に前記再作業を行うか又は、前記自動走行中に前記再作業を行うかを選択する選択部と、
を備えている請求項1又は2に記載の農業支援システム。
【請求項4】
前記農業機械は、前記圃場を飛行している前記無人飛行体に電力を供給するケーブルを備えている請求項1~のいずれかに記載の農業支援システム。
【請求項5】
前記農業機械は、前記無人飛行体が離着陸する離着陸ステーションを備え、
前記無人飛行体は、少なくとも前記作業前、作業中及び作業後のいずれかに前記離着陸ステーションから離陸し、前記センシング装置によって作業中及び作業後の前記圃場の状態をセンシングする請求項1~のいずれかに記載の農業支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農業機械上にドローンを飛行させる技術として、特許文献1が知られている。特許文献1の作業車両の管理システムでは、圃場を走行する作業車両と、カメラを搭載し作業車両に対応して空中を飛行する無人航空機と、作業車両と無人航空機と通信する携帯端末装置とを備え、携帯端末装置は表示部に無人航空機から受信したカメラ映像に作業車両から受信した車両情報を同時に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-38535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、農業機械の上空をドローンなどの無人航空機を飛行させることが開示されているものの、単に農業機械の上空を飛行するだけであって、作業装置で行った作業との連携(連動)については考慮されていないのが実情である。
本発明は、このような実情に鑑みて、無人飛行体が圃場をセンシングしたときの圃場の状態によって作業装置による作業が行われるため、圃場全体の作業性などを向上させることができる農業支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
農業支援システムは、センシング装置を備えた無人飛行体と、圃場を走行可能であって作業装置による作業を行う農業機械と、前記センシング装置がセンシングした前記作業装置の作業中又は前記作業後の前記圃場の状態に基づいて、当該作業装置による作業の適正を判断する作業判断部と、を備え、前記農業機械は、前記作業前の前記圃場の状態を取得した場合は前記作業装置の設定を行い、前記作業中又は作業後の前記圃場の状態を取得した場合は前記圃場の状態に基づいて作業を行い且つ前記作業判断部が前記作業は適正でないと判断すると、当該適正でない作業の位置に戻って前記作業装置による作業を行う。
農業支援システムは、センシング装置を備えた無人飛行体と、圃場を走行可能であって作業装置による作業を行う農業機械と、前記センシング装置がセンシングした前記作業装置の作業中又は前記作業後の前記圃場の状態に基づいて、当該作業装置による作業の適正を判断する作業判断部と、を備え、前記農業機械は、前記センシング装置がセンシングした前記作業装置による作業中又は作業後の前記圃場の状態に基づいて作業を行い、前記作業判断部が、前記作業が適正でないと判断すると、当該適正でない作業の位置に戻って前記作業装置による再作業を行う。
【0006】
記農業機械は、自動走行を制御する走行制御部と、前記自動走行の終了後に前記再作業を行うか又は、前記自動走行中に前記再作業を行うかを選択する選択部と、を備えている。
前記農業機械は、前記圃場を飛行している前記無人飛行体に電力を供給するケーブルを備えている。
【0007】
前記農業機械は、前記無人飛行体が離着陸する離着陸ステーションを備え、前記無人飛行体は、少なくとも前記作業前、作業中及び作業後のいずれかに前記離着陸ステーションから離陸し、前記センシング装置によって作業中及び作業後の前記圃場の状態をセンシングする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、無人飛行体が圃場をセンシングしたときの圃場の状態によって作業装置による作業が行われるため、圃場全体の作業性などを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態におけるトラクタの全体平面図である。
図2】トラクタの全体側面図である。
図3】昇降装置の斜視図である。
図4】制御ブロック図である。
図5A】無人飛行体のスキッドを示す図である。
図5B図5Aとは異なるスキッドを示す図である。
図5C図5A及び図5Bとは異なるスキッドを示す図である。
図6A】自動走行を説明する説明図である。
図6B】飛行位置D3、D4を推定する説明図である。
図7A】無人飛行体をトラクタの前方に飛行させている側面図である。
図7B】無人飛行体を作業装置の後方に飛行させている側面図である。
図8】トラクタと無人飛行体との連携(連動)しながら飛行する動作を示すフローである。
図9A】トラクタの前進中に生体M1を検出した状態を示す図である。
図9B】トラクタの旋回中等に生体M1を検出した状態を示す図である。
図9C】作業装置を水平に移動したときの無人飛行体の飛行位置を示す図である。
図10】トラクタの前進中に物体M3を検出した状態を側面から見た図である。
図11A】トラクタの前進中に物体M3を検出した状態を上面から見た図である。
図11B】物体M3に向けて検出エリアA1をフォーカスした図である。
図12図8とは異なるトラクタと無人飛行体との連携をしながら飛行する動作フローを示している。
図13】電波WE1の受信強度の一例を示す図である。
図14】トラクタと無人飛行体との水平距離L30を示す図である。
図15図8及び図12とは異なるトラクタと無人飛行体との連携をしながら飛行する動作フローを示している。
図16】第2実施形態における離着陸ステーションを有するトラクタ全体平面図である。
図17】離着陸ステーションを有するトラクタ全体側面図である。
図18A】無人飛行体のスキッドと、着陸ステーションとを示す図である。
図18B図18Aとは異なるスキッドと、着陸ステーションとを示す図である。
図18C図18A及び図18Bとは異なるスキッドと、着陸ステーションとを示す図である。
図19】着陸ステーションの拡大図である。
図20】巻き取り機を示す図である。
図21】第2実施形態において、トラクタが走行及び作業を開始したときの無人飛行体の飛行を示す図である。
図22】不適正範囲W50を示す図である。
図23】選択部の一例を示す図である。
図24】第2実施形態における制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1図2は、農業機械の全体を示している。農業機械は、トラクタ、コンバイン、田植機等である。トラクタ1を例にとり、農業機械について説明する。
図1図2に示すように、トラクタ1は、車体(走行車体)3と、原動機4と、変速装置5とを備えている。車体3には、走行装置7が設けられている。走行装置7は、車体3を走行可能に支持しており、前輪7F及び後輪7Rを有している。前輪7F及び後輪7Rは、本実施形態の場合はタイヤ型であるが、クローラ型であってもよい。原動機4は、エンジン(ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン)、電動モータ等である。変速装置5は、変速によって走行装置7の推進力を切り換え可能であると共に、走行装置7の前進、後進の切り換えが可能である。車体3には運転席10が設けられている。運転席10は、保護装置9により保護されている。保護装置9は、運転席10を保護するキャビン、又は、少なくとも運転席10の上方を覆うことにより運転席10を保護するロプス等である。
【0011】
図1、2に示すように、保護装置9は、車体3に固定された複数の支柱9aと、複数の支柱9aによって支持され且つ運転席10の上方に配置されたルーフ9bとを含んでいる。保護装置9がキャビンである場合、複数の支柱9aの間にガラス、ドア等が設けられ、ガラス及びドア等によって運転席10を覆っている。保護装置9の下方には、フェンダ13が取り付けられており、フェンダ13は後輪7Rの上部を覆っている。
【0012】
図1に示すように、車体3は、車体フレーム20を有している。車体フレーム20は、左側に設けられた車体フレーム20Lと、右側に設けられた車体フレーム20Rとを含む。車体フレーム20L及び車体フレーム20Rは、それぞれは変速装置5側から前方に延設されていて、原動機4の下部を支持している。車体フレーム20Lと車体フレーム20Rとは車体幅方向に離間している。車体フレーム20Lの前端部と車体フレーム20Rの前端部とは、前連結板20Fにより連結されている。車体フレーム20Lの中途部と車体フレーム20Rの中途部とは、中途連結板20Mにより連結されている。車体フレーム20L及び車体フレーム20Rは、前車軸ケース29を支持している。前車軸ケース29内には、前輪7Fを回転自在に支持する前車軸が収容されている。つまり、本実施形態の場合、車体フレーム20は、前車軸を支持する前車軸フレームである。なお、車体フレーム20は、前車軸ケース29以外の構造体を支持するフレーム(前車軸フレーム以外のフレーム)であってもよい。
【0013】
図1図2に示すように、車体フレーム20の上方にはボンネット25が設けられている。ボンネット25は、車体フレーム20に沿って前後方向に延設されている。ボンネット25は、保護装置9の幅方向の中央部の前方に配置されている。ボンネット25は、左側に設けられた左側壁25Lと、右側に設けられた右側壁25Rと、左側壁25Lと右側壁25Rとの上部を連結する上壁部25Uとを有している。左側壁25L、右側壁25R及び上壁部25Uによってエンジンルームが形成され、エンジンルームに原動機4、冷却ファン、ラジエータ、バッテリ等が収容されている。左側壁25Lの左側方と右側壁25Rの右側方には、それぞれ前輪7Fが配置されている。
【0014】
ボンネット25の前側、即ち、車体フレーム20L、20Rの前側には、ウエイト26が設けられている。ウエイト26は、車体3の前部に設けられたウエイトブラケット(ウエイト取付部)27に取り付けられている。ウエイトブラケット27は、車体フレーム20Lの前連結板20Fにボルト等の締結具により取り付けられている。
なお、トラクタ1は、車体3の後部に突出したPTO軸を備え、PTO軸の動力を作業装置2に伝達することによって作業装置2は駆動する。PTO軸の駆動は、原動機4からPTO軸に動力が伝達され、PTO軸の中途部にはPTO駆動装置が設けられている。PTO駆動装置は、油圧クラッチ等であってPTO軸に動力を伝達する伝達位置と、PTO軸に動力を伝達しない遮断位置とに切換え可能である。PTO駆動装置(油圧クラッチ)を遮断位置に切り換えることによってPTO軸の回転を停止することができる。
【0015】
車体3の後部には、連結装置8が設けられている。連結装置8は、車体3に作業装置(インプルメント等)2を着脱可能に連結する装置である。連結装置8は、作業装置2と車体3とを連結し且つ昇降を行わないスイングドローバ、3点リンク機構等で構成されて昇降を行う昇降装置等である。なお、作業装置2は、耕耘する耕耘装置、肥料を散布する肥料散布装置、農薬を散布する農薬散布装置、収穫を行う収穫装置、畝立てをする畝立装置、牧草等の刈取を行う刈取装置、牧草等の拡散を行う拡散装置、牧草等の集草を行う集草装置、牧草等の成形を行う成形装置等である。
【0016】
図3は、昇降装置で構成した連結装置8を示している。図3に示すように、連結装置(昇降装置)8は、リフトアーム8a、ロアリンク8b、トップリンク8c、リフトロッド8d、リフトシリンダ8eを有している。リフトアーム8aの前端部は、変速装置5を収容するケース(ミッションケース)の後上部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。リフトアーム8aは、リフトシリンダ8eの駆動によって揺動(昇降)する。リフトシリンダ8eは、油圧シリンダから構成されている。リフトシリンダ8eは、制御弁36を介して油圧ポンプと接続されている。制御弁36は、電磁弁等であって、リフトシリンダ8eを伸縮させる。
【0017】
ロアリンク8bの前端部は、変速装置5の後下部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。トップリンク8cの前端部は、ロアリンク8bよりも上方において、変速装置5の後部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。リフトロッド8dは、リフトアーム8aとロアリンク8bとを連結している。ロアリンク8bの後部及びトップリンク8cの後部には、作業装置2が連結される。リフトシリンダ8eが駆動(伸縮)すると、リフトアーム8aが昇降するとともに、リフトロッド8dを介してリフトアーム8aと連結されたロアリンク8bが昇降する。これにより、作業装置2がロアリンク8bの前部を支点として、上方又は下方に揺動(昇降)する。
【0018】
図1図2に示すように、トラクタ1は、位置検出装置30を備えている。位置検出装置30は、保護装置9のルーフ9bの前方に装着体31を介して装着されている。但し、位置検出装置30の装着位置は、図示の位置には限定されず、保護装置9のルーフ9b上に装着してもよいし、車体3の別の場所に装着してもよい。また、位置検出装置30は、上述した耕耘装置等の作業装置2に装着されていてもよい。
【0019】
位置検出装置30は、衛星測位システムによって自己の位置(緯度、経度を含む測位情報)を検出する装置である。即ち、位置検出装置30は、測位衛星から送信された信号(測位衛星の位置、送信時刻、補正情報等)を受信し、受信した信号に基づいて位置(緯度、経度)を検出する。位置検出装置30は、測位衛星からの信号を受信可能な基地局(基準局)からの補正等の信号に基づいて補正した位置を、自己の位置(緯度、経度)として検出してもよい。また、位置検出装置30がジャイロセンサや加速度センサ等の慣性計測装置を有し、慣性計測装置によって補正した位置を、自己の位置として検出してもよい。位置検出装置30によって、トラクタ1の車体3の位置(走行位置)を検出することができる。
【0020】
図1に示すように、トラクタ1は、複数の障害物検出装置45を備えている。複数の障害物検出装置45のそれぞれは、トラクタ1の周囲に存在する物体、即ち、障害物を検出可能である。複数の障害物検出装置45のうち、少なくとも1つは、保護装置9の前方で且つボンネット25の外方に設けられている。即ち、少なくとも1つの障害物検出装置45は、トラクタ1の保護装置9の前方の領域において、ボンネット25の左側壁25Lよりも左側の領域、或いは、ボンネット25の右側壁25Rよりも右側の領域に配置されている。本実施形態の場合、複数の障害物検出装置45は、車体3の左側(ボンネット25の左側)に設けられた障害物検出装置45Lと、車体3の右側(ボンネット25の右側)に設けられた障害物検出装置45Rとを含む。
【0021】
障害物検出装置45は、レーザスキャナ45A、ソナー45B等である。レーザスキャナ45Aは、検出波としてレーザを照射することによって物体(障害物)を検出する。レーザスキャナ45Aは、レーザの照射から受光までの時間に基づいて障害物までの距離を検出する。ソナー45Bは、検出波として音波を照射することによって物体(障害物)を検出する。なお、上述した実施形態の複数の障害物検出装置45は、ボンネット25の外方に設けられていなくてもよく、複数の障害物検出装置45の配置等は、限定されない。
【0022】
図4に示すように、トラクタ1は、操舵装置11を備えている。操舵装置11は、ハンドル(ステアリングホイール)11aと、ハンドル11aの回転に伴って回転する回転軸(操舵軸)11bと、ハンドル11aの操舵を補助する補助機構(パワーステアリング機構)11cと、を有している。補助機構11cは、油圧ポンプ21と、油圧ポンプ21から吐出した作動油が供給される制御弁22と、制御弁22により作動するステアリングシリンダ23とを含む。制御弁22は、制御信号に基づいて作動する電磁弁である。制御弁22は、例えば、スプール等の移動によって切り換え可能な3位置切換弁である。また、制御弁22は、操舵軸11bの操舵によっても切り換え可能である。ステアリングシリンダ23は、前輪7Fの向きを変えるアーム(ナックルアーム)に接続されている。
【0023】
したがって、ハンドル11aを操作すれば、ハンドル11aに応じて制御弁22の切換位置及び開度が切り換わり、制御弁22の切換位置及び開度に応じてステアリングシリンダ23が左又は右に伸縮することによって、前輪7Fの操舵方向を変更することができる。なお、上述した操舵装置11は一例であり、操舵装置11の構成は上述した構成に限定されない。
【0024】
図4に示すように、トラクタ1は、制御装置40と表示装置50と、通信装置51とを備えている。制御装置40は、CPU、電気回路、電子回路等で構成されていて、トラクタ1の様々な制御を行う。表示装置50は、液晶パネル、有機ELパネル等を有していて様々な情報を表示する。通信装置51は、外部との通信を行う装置である。通信装置51は、外部機器に対して直接通信及び間接通信のいずれかを行う通信装置(通信モジュール)であって、例えば、通信規格であるIEEE802.11シリーズのWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、LPWA(Low Power, Wide Area)、LPWAN(Low-Power Wide-Area Network)等により無線通信を行うことができる。また、通信装置51は、携帯電話通信網又はデータ通信網などにより無線通信を行う通信装置(通信モジュール)であってもよい。
【0025】
制御装置40には、トラクタ1の駆動状態等を検出する状態検出装置41が接続されている。
状態検出装置41は、例えば、走行系の状態を検出する装置等であって、例えば、クランクセンサ、カムセンサ、エンジン回転センサ、アクセルセンサ、車速センサ、操舵角センサ、位置検出装置30)等の状態を検出する。状態検出装置41は、走行系の状態以外を検出する装置、例えば、昇降操作部材の操作方向、操作量等を検出する昇降操作検出センサ、PTO回転検出センサ等も含んでいる。
【0026】
図4に示すように、制御装置40は、トラクタ1における走行系、作業系の制御を行う。制御装置40は、走行制御部40Aと、昇降制御部40Bとを備えている。走行制御部40A及び昇降制御部40Bは、制御装置40に設けられた電気電子回路、制御装置40に格納されたプログラム等から構成されている。
図6Aに示すように、走行制御部40Aは、自動走行制御を行う。走行制御部40Aは、自動走行制御において、少なくとも車体3の走行位置(位置検出装置30で検出された位置)P1と、予め設定された走行予定ライン(走行経路)L1が一致するように、制御弁22の切換位置及び開度を設定する。言い換えれば、制御装置40は、トラクタ1の走行位置P1と走行予定ラインとが一致するように、ステアリングシリンダ23の移動方向及び移動量(前輪7Fの操舵方向及び操舵角)を設定する。
【0027】
詳しくは、走行制御部40Aは、車体3の走行位置P1と、走行予定ラインL1とを比較し、走行位置P1と走行予定位置とが一致している場合は、操舵装置11におけるハンドル11aの操舵角及び操舵方向(前輪7Fの操舵角及び操舵方向)を変更せずに保持する(制御弁22の開度及び切換位置を変更せずに維持する)。走行制御部40Aは、走行位置P1と走行予定ラインL1とが一致していない場合、当該走行位置P1と走行予定ラインL1との偏差(ズレ量)が零となるように、操舵装置11におけるハンドル11aの操舵角及び/又は操舵方向を変更する(制御弁22の開度及び/又は切換位置を変更する)。
【0028】
なお、上述した実施形態では、走行制御部40Aは、自動走行制御において、走行位置と走行予定ラインL1との偏差に基づいて操舵装置11の操舵角を変更するものであるが、走行予定ラインの方位とトラクタ1(車体3)の進行方向(走行方向)の方位(車体方位)とが異なる場合、走行制御部40Aは、車体方位が走行予定ラインの方位に一致するように操舵角を設定してもよい。また、走行制御部40Aは、自動走行制御において、偏差(位置偏差)に基づいて求めた操舵角と、方位偏差に基づいて求めた操舵角とに基づいて、自動走行制御における最終の操舵角を設定してもよい。また、上記した自動走行制御における操舵角の設定方法とは異なる方法で操舵角を設定してもよい。
【0029】
また、走行制御部40Aは、自動走行制御において、トラクタ1(車体3)の実際の車速が、予め設定された走行予定ラインに対応する車速に一致するように、走行装置7、即ち、前輪7F及び/又は後輪7Rの回転数を制御してもよい。
また、走行制御部40Aは、障害物検出装置45による障害物の検出結果に基づいて自動走行を制御する。例えば、障害物検出装置45が障害物を検出していない場合は自動走行を継続して行い、障害物検出装置45が障害物を検出した場合に自動走行を停止する。より具体的には、障害物検出装置45が障害物を検出した場合に、走行制御部40Aは、障害物とトラクタ1との距離が予め定められた閾値(停止閾値)以下である場合に、トラクタ1の走行を停止することで自動走行を停止する。
【0030】
上述した実施形態では、走行制御部40Aは、障害物とトラクタ1との距離が予め定められた閾値(停止閾値)以下である場合に、自動走行において、トラクタ1の走行を停止していたが、障害物を回避してもよいし、速度を低下させて徐行を行ってもよい。
また、走行制御部40Aは、自動走行時において着座検出装置43が着座していると検出している場合は自動走行を継続し且つ、着座検出装置43が着座していないと検出した場合は自動走行を停止する。
【0031】
昇降制御部40Bは、昇降制御を行う。昇降制御部40Bは、手動昇降機能が有効である場合、昇降操作部材が上昇させる方向(上昇側)に操作された場合、制御弁34を制御することでリフトシリンダ8eを伸長させ、リフトアーム8aの後端部(作業装置2側の端部)を上昇させる。昇降制御では、手動昇降機能が有効である場合、昇降操作部材が下降させる方向(下降側)に操作された場合、制御弁34を制御することでリフトシリンダ8eを収縮させ、リフトアーム8aの後端部(作業装置2側の端部)を下降させる。連結装置(昇降装置)8によって作業装置2を上昇させている場合に、当該作業装置2の位置、即ち、リフトアーム8aの角度が高さ設定ダイヤルで設定された上限(高さ上限値)に達すると、連結装置(昇降装置)8における上昇動作を停止する。
【0032】
昇降制御では、バックアップ機能が有効である場合、車体3が後進した場合に自動的に制御弁34を制御することでリフトシリンダ8eを伸長させ、リフトアーム8aの後端部(作業装置2側の端部)を上昇させる。昇降制御では、オートアップ機能が有効である場合、操舵装置11の操舵角が所定以上になると、自動的に制御弁34を制御することでリフトシリンダ8eを伸長させ、リフトアーム8aの後端部(作業装置2側の端部)を上昇させる。
【0033】
図4は、無人飛行体70がトラクタ1に連動して飛行位置を変更する農業支援システムを示している。無人飛行体70は、例えば、マルチコプターである。
以下、マルチコプターを例にとり、無人飛行体70について説明する。
図1、2に示すように、無人飛行体(マルチコプター)70は、本体70aと、本体70aに設けられたアーム70bと、アーム70bに設けられた複数の回転翼70cと、本体70aに設けられたスキッド70dとを有している。複数の回転翼70cは、飛行するための揚力を発生させる装置である。無人飛行体70には、少なくとも2以上、好ましくは、4以上の回転翼70cが設けられている。複数の回転翼70cのそれぞれは、回転力を付与するロータとロータの駆動によって回転するブレード(プロペラ)とを含んでいる。
【0034】
図5A図5Cは、スキッド70dの一例を示している。この実施形態では、無人飛行体70は、図5A図5Cに示したいずれかのスキッド70dを有しているが、スキッド70dの構造は、図5A図5Cに限定されない。
図5Aに示すように、スキッド70dは、複数の脚部80a、80bを含んでいる。複数の脚部80a、80bの基端部は、本体70aに固定されていて、脚部80a、80bの先端部は、自由端となっている。複数の脚部80a、80bは、金属等で構成されていて、変形不能である。複数の脚部80a、80bのそれぞれは、本体70aから離れるにしたがって徐々に外側に移行していて、脚部80a、80bによって逆V字状になっている。
【0035】
図5Bは、図5Aとは異なるスキッド70dを示している。図5Bに示すように、スキッド70dは、複数の脚部80a、80bと、アクチュエータ81a、81bと、を含んでいる。
複数の脚部80a、80bの基端部は、本体70aに揺動自在に取り付けられていて、脚部80a、80bの先端部は、自由端となっている。
【0036】
アクチュエータ81a、81bは、複数の脚部80a、80bを揺動させる装置であって、例えば、電動等によって伸縮自在なシリンダ等で構成されている。アクチュエータ81aの基端部は、本体70aに固定されていて、アクチュエータ81aの先端部は、脚部80aに連結している。また、アクチュエータ81bの基端部は、本体70aに固定されていて、アクチュエータ81bの先端部は、脚部80bに連結している。
【0037】
したがって、アクチュエータ81aを伸縮すると、脚部80aが基端部を揺動支点として当該アクチュエータ81aの伸縮によって揺動する。また、アクチュエータ81bを伸縮すると、脚部80bが基端部を揺動支点として当該アクチュエータ81bの伸縮によって揺動する。
図5Cは、図5A及び図5Bとは異なるスキッド70dを示している。複数の脚部80a、80bを含んでいる。複数の脚部80a、80bの基端部は、本体70aに固定されていて、脚部80a、80bの先端部は、自由端となっている。複数の脚部80a、80bは、金属、又は、樹脂等で構成されていて、変形自在となっている。複数の脚部80a、80bのそれぞれは、図5A及び図5Bとは異なっていて、本体70aから離れるにしたがって徐々に外側に移行した後、中途部から先端部に行くにしたがって内側に移行していて、脚部80a、80bによって円弧状になっている。
【0038】
図4に示すように、無人飛行体70は、蓄電装置71と、センシング装置72と、位置検出装置73と、記憶装置74と、通信装置75と、制御装置76とを有している。蓄電装置71は、バッテリ、コンデンサ等であって電力を蓄電する装置である。蓄電装置71は、例えば、本体70aの内部、又は、本体70aに取り付けられている。
センシング装置72は、CCDカメラ、赤外線カメラ等で構成され、本体70aの下部に着脱自在、或いは、本体70aにブラケット(図示省略)を介して設けられている。センシング装置72は、ブラケットに対して垂直方向又は水平方向に揺動自在であって、センシングする方向を変更することができる。なお、センシング装置72の水平方向、垂直方向の揺動の制御は、制御装置76によって行うことができる。例えば、遠隔操縦装置によって無人飛行体70を操縦する場合、制御装置76は、遠隔操縦装置から送信された制御信号を、通信装置75を介して取得すると、取得した制御信号に応じてセンシング装置72を水平方向又は垂直方向に揺動させる。
【0039】
例えば、無人飛行体70を圃場上に飛行させると、センシング装置72によって圃場をセンシングすることができる。センシング装置72がCCDカメラである場合、例えば、圃場の上空約100mの高さから、当該圃場を空撮することによって、圃場の断片画像を数十枚~数百枚撮像する。空撮した複数枚の画像、即ち、センシング装置72で撮像した複数枚の画像(空撮画像)は、無人飛行体70に設けられた記憶装置74に記憶される。無人飛行体70の記憶装置74に記憶された複数枚の空撮画像は通信装置75によって外部に出力することができる。
【0040】
また、位置検出装置73は、位置検出装置30と同様に、衛星測位システムによって自己の位置(緯度、経度を含む測位情報)を検出する装置であり位置検出装置30と同様の構成である。位置検出装置73で検出した自己の位置のことを「飛行位置」ということがある。また、位置検出装置73によって、高さ情報、即ち、高度を検出することができる。
【0041】
通信装置75は、外部機器に対して直接通信及び間接通信のいずれかを行う通信装置(通信モジュール)であって、例えば、通信規格であるIEEE802.11シリーズのWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、LPWA(Low Power, Wide Area)、LPWAN(Low-Power Wide-Area Network)等により無線通信を行うことができる。また、通信装置75は、携帯電話通信網又はデータ通信網などにより無線通信を行う通信装置(通信モジュール)であってもよい。
【0042】
制御装置76は、複数の回転翼70cを制御する装置であり、CPU等から構成されている。制御装置76は、無人飛行体70が、少なくとも2つの回転翼70cを有している場合、ロータに制御信号を出力することにより、一方側のブレードの回転数を、他方のブレードの回転数よりも小さくすることによって、一方側のブレード側に無人飛行体を進行させたり、他方側のブレードの回転数を、一方のブレードの回転数よりも小さくすることによって、他方側のブレード側に無人飛行体を進行させる。即ち、制御装置76は、複数のブレードのうち、進行方向側のブレードの回転数を、進行方向とは反対側のブレードの回転数よりも小さくすることによって、無人飛行体70の進行方向を制御する。また、制御装置76は、複数のブレードの回転数を一定にすることによって、無人飛行体70をホバリングさせる。
【0043】
なお、無人飛行体70は、遠隔操縦装置によって操縦される飛行体であっても、自立して飛行する飛行体であってもよく、限定されない。
さて、無人飛行体70は、トラクタ1と連動して飛行を行う飛行体である。例えば、トラクタ1が圃場を走行しながら作業装置2によって作業を行っている場合、無人飛行体70は、センシング装置72によってトラクタ1の周囲、トラクタ1、作業装置2をセンシングしながら飛行を行う。
【0044】
無人飛行体70の制御装置76は、トラクタ1の動作に連動して、当該無人飛行体70の飛行位置を変更する。無人飛行体70は、トラクタ1の自動走行の開始前等に予め定められた離陸場所100(図6A参照)からトラクタ1が作業を行っている圃場H1に飛行する。トラクタ1の自動走行が開始され、当該トラクタ1が作業を開始すると、無人飛行体70はトラクタ1又は作業装置2等の周囲を飛行する。
【0045】
例えば、図6Aに示すように、トラクタ1が走行予定ラインL1の直進部L1aを走行しながら作業装置2によって対地作業を行っている場合、即ち、連結装置(昇降装置)8を下降させて作業装置2によって圃場に対して耕耘等の対地作業を行っている場合、図6A及び図7Aに示すように、無人飛行体70は、トラクタ1の進行方向の前方を飛行していて、トラクタ1の前方の飛行位置D2において、トラクタ1の進行方向側の周囲をセンシングする。即ち、センシング装置72は、トラクタ1の自動走行中であって作業中は進行方向をセンシングする。即ち、無人飛行体70の制御装置76は、作業装置2が対地作業を行う際は車体3の進行方向側をセンシング可能な位置に飛行位置を変更する。
【0046】
一方、トラクタ1が走行予定ラインL1の旋回部L1bを走行しているとき、即ち、連結装置(昇降装置)8を上昇させて作業装置2によって耕耘等の対地作業を行っていない場合、図6A及び図7Bに示すように、無人飛行体70は、トラクタ1の前方から作業装置2の後方に移動し、作業装置2の後方である飛行位置D2において、作業装置2の周囲をセンシングする。
【0047】
また、無人飛行体70は、トラクタ1が停止しているとき、例えば、トラクタ1が作業開始前に作業開始地点P2にて停止しているとき、或いは、トラクタ1が何らかの事情によって圃場H1で停止しているときは、当該トラクタ1の周囲をセンシング可能な位置に飛行位置を変更する。
図8は、トラクタと無人飛行体との連携(連動)しながら飛行する動作を示すフローである。
【0048】
図8に示すように、トラクタ1が駆動すると、当該トラクタ1の通信装置51は、位置検出装置30が検出した走行位置P1と、当該トラクタ1の作業を行う圃場H1の位置を含む圃場情報を無人飛行体70に送信する(S1)。加えて、トラクタ1の通信装置51は、当該トラクタ1の車速、連結装置(昇降装置)8が上昇しているのか下降しているかなどの稼働情報を、無人飛行体70に送信する(S2)。つまり、トラクタ1は、走行位置P1、圃場情報、稼働情報等の当該トラクタ1の作業に関する作業情報を無人飛行体70に送信する。
【0049】
一方、無人飛行体70の通信装置75は、トラクタ1から送信された作業情報(走行位置P1、圃場情報、稼働情報)を受信する(S3)と、作業情報に基づいて、飛行などの動作を決定する。例えば、制御装置76は、作業情報を参照し、作業情報から走行位置P1が作業を行う圃場H1に近づいていると判断した場合(S4、Yes)、制御装置76は、回転翼70cを制御することにより、無人飛行体70を離陸場所100から離陸させてから、トラクタ1の作業を行う圃場H1に飛行を行う(S5)。
【0050】
制御装置76は、作業情報を参照し、作業情報からトラクタ1が所定時間以上停車していると判断した場合(S6、Yes)、無人飛行体70によってトラクタ1の周り(トラクタ1から数メータ離れた範囲)をセンシングする制御を行う。(S7:第1センシング)。第1センシングでは、センシング装置72をトラクタ1側に向けて、トラクタ1から数メータ離れた範囲を撮像して、動物、人間などの生体M1が範囲に居るか否かを監視する。第1センシングにおいて、生体M1が検出された場合、通信装置75は、通信装置51に警告信号を送信する(S8)。トラクタ1の走行制御部40Aは、通信装置51を介して警告信号を取得すると、自動走行の開始を行わず停止を維持する(S9)。トラクタ1の走行制御部40Aは、所定時間以上、警告信号を取得しなかったり、或いは、無人飛行体70から警告を解除する解除信号を受信した場合、自動走行を開始する(S10)。
【0051】
制御装置76は、作業情報を参照し、作業情報からトラクタ1が対地作業を行いながら走行していると判断した場合(S11、Yes)、制御装置76は、無人飛行体70の飛行位置をトラクタ1の前方にして当該トラクタ1の前方をセンシングする制御を行う(S12:第2センシング)。
第2センシングでは、図7Aに示すように、センシング装置72をトラクタ1側の前方に向けて、トラクタ1の前方を撮像して、生体M1や障害物などが当該トラクタ1の前方に居るか否かを監視する。第2センシングにおいて、生体M1又は障害物が検出された場合、通信装置75は、通信装置51に警告信号を送信する(S13)。トラクタ1の走行制御部40Aは、通信装置51を介して警告信号を取得すると、自動走行を停止して、トラクタ1を停止させる(S14)。トラクタ1の走行制御部40Aは、所定時間以上、警告信号を取得しなかったり、或いは、無人飛行体70から警告を解除する解除信号を受信した場合、自動走行を再開する(S15)。
【0052】
制御装置76は、作業情報を参照し、作業情報からトラクタ1が対地作業を行わずに走行していると判断した場合(S16、Yes)、制御装置76は、無人飛行体70の飛行位置を作業装置2の後方にして当該作業装置2をセンシングする制御を行う(S17:第3センシング)。
第3センシングでは、図7Bに示すように、センシング装置72を作業装置2側に向けて、作業装置2の周囲を撮像して、生体M1や障害物M2が周囲に居るか否かを監視する。第3センシングにおいて、生体M1又は障害物M2が検出された場合、通信装置75は、通信装置51に警告信号を送信する(S18)。トラクタ1の制御装置40は、通信装置51を介して警告信号を取得すると、PTO軸等の駆動を停止する、或いは、トラクタ1を停止させる(S19)。トラクタ1の制御装置40は、所定時間以上、警告信号を取得しなかったり、或いは、無人飛行体70から警告を解除する解除信号を受信した場合、PTO軸の駆動又は、自動走行を再開する(S20)。
【0053】
以上のように、無人飛行体70をトラクタ1に連動させながら飛行することによって、トラクタ1が自動走行しながら作業を行うにあたって、スムーズに作業を行うことができる。即ち、トラクタ1又は作業装置2の死角を無人飛行体70のセンシングによって補うことができ、作業性を向上させることができる。
さて、上述した実施形態では、無人飛行体70が生体M1又は障害物M2を検出した場合に、トラクタ1に警告信号を出力していたが、図4図9A図9Bに示すように、無人飛行体70が警告を出力する(発生させる)警告装置79を備えていてもよい。警告装置79は、光源(光)を発生させるライト、音声、音などを発生させるスピーカ等である。
【0054】
図9Aに示すように、トラクタ1の走行中で且つセンシング装置72がトラクタ1の前方を撮像している状況、即ち、第2センシング中に、センシング装置72が生体M1を検出した場合は、無人飛行体70は、生体M1に近づいて、警告装置79によって警告を発生させる。
或いは、図9Bに示すように、トラクタ1の走行中で且つセンシング装置72が作業装置2を撮像している状況、即ち、第3センシング中に、センシング装置72が生体M1を検出した場合は、無人飛行体70は、生体M1に近づいて、警告装置79によって警告を発生させる。
【0055】
また、上述したように、トラクタ1が停止中で且つセンシング装置72が作業装置2を撮像している状況、即ち、第1センシング中に、センシング装置72が生体M1を検出した場合は、無人飛行体70は、生体M1に近づいて、警告装置79によって警告を発生させる。
上述した実施形態では、作業装置2において、無人飛行体70は、対地作業を行っているときは、トラクタ1の前方を飛行していたが、作業装置2がプラウ等である場合には、対地作業時にトラクタ1の後方を飛行してもよい。
【0056】
また、作業装置2の昇降に応じて無人飛行体70の飛行位置を変更していたが、作業装置2の水平方向の動作する際に、無人飛行体70の飛行位置を変更してもよい。図9Cに示すように、例えば、作業装置2がプラウなどであって圃場を耕耘している状態で圃場の端で旋回をすることによって、作業装置2をトラクタ1の進行方向の左側から進行方向の右側に変更した場合、無人飛行体70も、トラクタ1の進行方向の左側から進行方向の右側に水平方向に飛行位置を変更する。
【0057】
また、無人飛行体70のセンシング装置72が複数の生体M1を検出した場合には、無人飛行体70は、トラクタ1(車体3)に最も近い生体M1に優先的に警告をするか、或いは、生体M1が移動している場合は当該生体M1の移動速度が最も早い生体M1に優先的に警告をする。また、無人飛行体70は、生体M1が人間、動物、鳥の場合は、人間を優先的に警告を行う。
【0058】
無人飛行体70は、本体70aと、本体70aに設けられたアーム70bと、アーム70bに設けられた回転翼70cと、農業機械(トラクタ1)の周囲を飛行したときに、農業機械(トラクタ1)をセンシング可能なセンシング装置72と、回転翼70cを制御することで飛行位置を変更可能な制御装置76と、を備え、制御装置76は、農業機械(トラクタ1)の動作に連動して飛行位置を変更する。これによれば、農業機械(トラクタ1)が圃場で作業を行うときに無人飛行体70が農業機械(トラクタ1)の動作に連動して飛行位置を変更することができるため、農業機械(トラクタ1)の作業に応じて監視を行うことができる。即ち、農業機械(トラクタ1)の動作に連動しながら飛行位置を変更することで無人飛行体70における監視の精度を向上させることができる。
【0059】
農業機械(トラクタ1)は、作業装置を昇降可能な走行車体3を備え、制御装置76は、作業装置2が昇降する際、又は、又は、水平方向に動作する際は、作業装置2側に飛行位置を変更する。例えば、作業装置2が上昇又は下降する際は、無人飛行体70の制御装置76は、無人飛行体70を作業装置2の周囲を飛行させることで作業装置2の全体をセンシングしたり、作業装置2が上昇位置から下降するときは、無人飛行体70の飛行位置を作業装置2の下方にすることで、作業装置2の死角を中心にセンシングすることができる。
【0060】
或いは、無人飛行体70の制御装置76は、作業装置2が水平方向に動作したときに、無人飛行体70の飛行位置を変更するため、作業装置2における対地作業が変化しても当該対地作業を確認することができる。
農業機械(トラクタ1)は、作業装置2を昇降可能な走行車体3を備え、制御装置76は、作業装置2が対地作業を行う際は走行車体3の進行方向側をセンシング可能な位置に飛行位置を変更する。これによれば、作業装置2が対地作業を行っているときは、農業機械(トラクタ1)の進行方向側を監視することで、作業装置2の作業前の状況を把握することができる。
【0061】
制御装置76は、農業機械(トラクタ1)が停止時には、当該農業機械(トラクタ1)の周囲をセンシング可能な位置に飛行位置を変更する。これによれば、農業機械(トラクタ1)が停止中は、周囲を監視することができる。
無人飛行体70は、警告を出力する警告装置79を備え、センシング装置72は、農業機械(トラクタ1)の停止又は走行中に、農業機械(トラクタ1)の周囲を撮像し、警告装置79は、センシング装置72が生体を検出した場合は、警告を出力する。これによれば、動物や人間など生体が農業機械(トラクタ1)にいることを検知した場合には、警告を出力することで、農業機械(トラクタ1)から生体を遠ざけることができる。
【0062】
制御装置76は、センシング装置72が生体を検出した場合は、生体の周囲に飛行位置を変更する。これによれば、無人飛行体70が生体に近づいて警告をすることができる。
農業機械(トラクタ1)が走行中にセンシング装置72が生体を検出した場合は、農業機械(トラクタ1)に走行の停止を送信する通信装置75を備えている。これによれば、農業機械(トラクタ1)が走行中に生体を検出した場合は、無人飛行体70によって農業機械(トラクタ1)を停止させることができる。
【0063】
農業支援システムは、センシング装置72を備えた無人飛行体70と、作業装置2を連結可能な走行車体3を有する農業機械(トラクタ1)と、を備え、無人飛行体70は、農業機械(トラクタ1)の動作に連動して農業機械(トラクタ1)に対する飛行位置を変更する。
これによれば、農業機械(トラクタ1)が圃場で作業を行うときに無人飛行体70が農業機械(トラクタ1)の動作に連動して飛行位置を変更することができるため、農業機械(トラクタ1)の作業に応じて監視を行うことができる。
【0064】
農業支援システムは、警告を出力する警告装置79を備え、センシング装置72は、農業機械(トラクタ1)の停止又は走行中に、農業機械(トラクタ1)の周囲を撮像し、警告装置79は、センシング装置72が生体を検出した場合は、警告を出力する。これによれば、動物や人間など生体が農業機械(トラクタ1)にいることを検知した場合には、警告を出力することで、農業機械(トラクタ1)から生体を遠ざけることができる。
【0065】
さて、上述した実施形態では、トラクタ1の自動走行中に、無人飛行体70のセンシング装置72によって、トラクタ1の進行方向の状況をセンシングしていたが、トラクタ1の障害物検出装置45は、無人飛行体70のセンシング装置72でセンシングした結果に基づいて障害物M2を検出する検出エリアを変更する。
図10図11Aに示すように、トラクタ1の走行中で且つセンシング装置72がトラクタ1の前方を撮像している状況において、センシング装置72が生体M1、障害物M2などの物体M3を検出すると、物体M3を検出したことを示す情報、例えば、物体M3の大きさ(高さH10、幅L10、奥行きW10)及び位置を、検出結果として、無人飛行体70の通信装置75は、トラクタ1に送信する。
【0066】
障害物検出装置45L、45Rは、物体M3の大きさ(高さH10、幅L10、奥行きW10)及び位置に基づいて、検出エリアA1を変更する。例えば、センシング装置72が物体M3を検出していないときの検出エリアA1が「A11」である場合、障害物検出装置45L、45Rは、物体M3を検出したときの検出エリアA1を「A12」に変更する。
【0067】
より詳しくは、障害物検出装置45L、45Rは、物体M3の大きさ(高さH10、幅L10、奥行きW10)及び位置から、物体M3の全体が入るようなエリアを演算し、演算したエリアを検出エリアA12として設定する。つまり、センシング装置72が物体M3を検出したときの検出エリアA12は、センシング装置72が物体M3を検出しなかったときの検出エリアA11に比べて、物体M3の全体が入るようなエリアに設定される。
【0068】
図10に示すように、無人飛行体70は、照射装置93を備えていてもよい。照射装置93は、光源(光)を発生させるライト、レーザ等である。照射装置93は、センシング装置72が検出した物体M3の大きさ(高さH10、幅L10、奥行きW10)が所定以上である場合、例えば、物体M3の高さH10、幅L10、奥行きW10のそれぞれが、所定以上である場合、照射装置93は、物体M3に向けて光源を照射する。即ち、照射装置93は、物体M3の方向に向けられて、当該照射装置93から光が照射される。
【0069】
障害物検出装置45L、45Rは、物体M3に光源(光)が照射された場合、物体M3への光が検出エリアA12に入るように、当該検出エリアA12を調整する。つまり、障害物検出装置45L、45Rは、物体M3及び照射装置93からの照射光が検出エリアA12に入るようにする。
上述した実施形態では、無人飛行体70の照射装置93は、物体M3を検出したときに、物体M3に向けて光を照射していたが、物体M3を検出しない状態、即ち、トラクタ1に追随して無人飛行体70が飛行している状態において、トラクタ1の進行方向に向けて光源を照射してもよい。
【0070】
図12は、無人飛行体70とトラクタ1との連動における動作フローを示している。図12では、説明の便宜上、無人飛行体70はトラクタ1の走行に追随して当該トラクタ1の進行方向と同じ方向に飛行しているものとする。
図12に示すように、無人飛行体70のセンシング装置72が物体M3を検出すると(S30)、物体M3を検出した検出結果をトラクタ1に送信する(S31)。トラクタ1は、無人飛行体70から物体M3を検出した検出結果を取得したか否かを判断し(S32)、検出結果を取得した場合(S32、Yes)は、検出結果に基づいて、検出エリアA11から検出エリアA12に変更を行う(S33)。一方、トラクタ1は、無人飛行体70から物体M3を検出した検出結果を取得しなかった場合(S32、No)は、検出エリアA11を保持する(S34)。
【0071】
なお、無人飛行体70が照射装置93を有する場合、当該無人飛行体70は、物体M3に光を照射したか否かの情報も検出結果としてトラクタ1に送信する。トラクタ1は、照射装置93から物体M3に向けて光が照射されたことを取得すると、少なくとも物体M3に照射した一部の光と物体M3とが入るように検出エリアA12を設定する。
また、照射装置93は、例えば、無人飛行体70が物体を検出していないとき、或いは、トラクタ1の周りが暗くなったときなどに、トラクタ1の進行方向に向けて光源を照射してもよい。
【0072】
農業支援システムは、農業機械(トラクタ1)に設けられ且つ障害物を検出する障害物検出装置45と、農業機械(トラクタ1)に設けられ且つ障害物検出装置45が障害物を検出していない場合に当該農業機械(トラクタ1)の自動走行を行い且つ障害物を検出した場合に自動走行を変更する走行制御部40Aと、無人飛行体70に設けられ且つ農業機械(トラクタ1)の自動走行時に当該農業機械(トラクタ1)の進行方向の状況をセンシングするセンシング装置72と、を備え、障害物検出装置45は、センシング装置72でセンシングした結果に基づいて障害物を検出する検出エリアを変更する。これによれば、農業機械(トラクタ1)が自動走行中において、まず、無人飛行体70によって農業機械(トラクタ1)の進行方向の状況をセンシングすることで、農業機械(トラクタ1)の進行方向の状況を先に監視することができ、無人飛行体70が状況を判断したうえで、農業機械(トラクタ1)の障害物検出装置45は、障害物がないかを把握することができ、スムーズに自動走行を行うことができる。即ち、農業機械(トラクタ1)の自動走行時において無人飛行体70のセンシング装置72によってセンシングした結果で障害物検出装置45は障害物を検出する検出エリアを変更するため、自動走行の障害物の検知をより向上させることができる。
【0073】
農業支援システムは、無人飛行体70に設けられ且つセンシング装置72でセンシングした結果を農業機械(トラクタ1)に送信する通信装置75を備えている。これによれば、簡単に、農業機械(トラクタ1)の進行方向の状況を無人飛行体70から知らせることができる。
通信装置は、結果として、センシングした物体の大きさ及び位置に関する情報を農業機械(トラクタ1)に送信し、障害物検出装置45は、物体の大きさ及び位置に基づいて、検出エリアを変更する。これによれば、障害物検出装置45による物体の検出の精度を向上させることができる。
【0074】
農業支援システムは、無人飛行体70に設けられ且つセンシング装置72がセンシングした物体の大きさが所定以上である場合、物体に向けて光源を照射する照射装置93を備えている。これによれば、照射装置93によって物体に光源を照射することで、センシング装置72が物体の輪郭等を把握しやすくなり、検出の精度を向上させることができる。
障害物検出装置45は、物体に光源が照射された場合、物体に検出エリアを設定する。これによれば、物体が障害物であるか否かをより正確に判断することができる。
【0075】
農業支援システムは、無人飛行体70に設けられ且つ農業機械(トラクタ1)の進行方向に向けて光源を照射する照射装置93を備えている。これによれば、夜など暗い場所で作業を行うときに、照射装置93の光源によって、農業機械(トラクタ1)の進行方向の状況を把握しやすくすることができる。
上述した実施形態では、図11Aに示したように、障害物検出装置45L、45Rは、物体M3を検出したときの検出エリアA12に変更していたが、図11Bに示すように、物体M3をフォーカスするように、検出エリアA12を絞ることで検出精度を向上させてもよい。また、上述した照射装置93において、赤外光を物体M3に照射することによって、トラクタ1に搭載したカメラ等から物体M3を認識しやすいようにしてもよい。
【0076】
上述した実施形態では、無人飛行体70とトラクタ1とを連動(連携)させながら作業を行っていたが、圃場の作業時での連携中に無人飛行体70に異常が発生した場合、無人飛行体70又はトラクタ1は、作業時の動作と異なる動作を行う。
上述したように、無人飛行体70は、圃場H1においてトラクタ1の作業時(トラクタ1が圃場H1を走行中)は、位置検出装置73で検出された飛行位置D2に基づいて圃場H1の上空を飛行し、異常時には飛行位置D2による飛行を停止して、センシング装置72でセンシングした情報に基づいて飛行を行う。
【0077】
具体的には、無人飛行体70の制御装置76は、当該無人飛行体70の飛行中に、図13に示すように、測位衛星からの電波WE1の受信強度を監視している。制御装置76は、電波WE1の受信強度が閾値V1未満となった場合、当該受信強度が閾値V1未満となった経過時間T1を演算する。制御装置76は、経過時間T1が所定時間T2以上である場合に異常であると判断し、経過時間T1が所定時間T2未満である場合に異常ではなく不調であると判断する。
【0078】
上述したように、電波WE1の受信強度が閾値V1以下の経過時間T1が長いと、位置検出装置73によって正確に飛行位置D2を検出することができないため、制御装置76は、無人飛行体70に異常が発生したと判断し、センシング装置72で無人飛行体70の進行方向をセンシングする。例えば、センシング装置72は、無人飛行体70の進行方向の撮像画像を取得して、図6Bに示すように、制御装置76は、撮像画像から無人飛行体70の少なくとも飛行位置D3を推定し、予め定められた帰還場所101に向けて飛行する。制御装置76は、帰還場所101の上空に到達すると、無人飛行体70を帰還場所101に着陸させる。なお、制御装置76による撮像画像からの飛行位置D3の推定は、例えば、予め記憶装置74に、圃場、構造物(道路、建物、電柱)、地形(山、川)等を有する地図データを格納しておき、地図データと撮像画像とを比較してマッチング等を行うことで飛行位置D3を推定してもよいし、撮像画像の変化に基づいて現在位置からの飛行方向及び飛行位置D3を計算することで飛行位置D3を求めてもよく限定されない。
【0079】
一方、制御装置76は、無人飛行体70が不調である場合、位置検出装置73で検出された飛行位置D2と、センシング装置72でセンシングした情報に基づいて、無人飛行体70の飛行を行ってもよい。例えば、制御装置76は、位置検出装置73で検出された飛行位置D2を取得する一方、センシング装置72でセンシングした撮像画像などの情報を取得する。制御装置76は、撮像画像の変化から現在位置からの飛行方向及び飛行位置を演算して、演算した飛行位置(第1推定位置)D3と、位置検出装置73で検出された飛行位置(第2推定位置)D2を比較し、第1推定位置D3と第2推定位置D2との差が閾値以下であれば、第2推定位置D2を採用して飛行の制御を続ける。図6Bに示すように、制御装置76は、第1推定位置D3と第2推定位置D2との差が閾値よりも大きい場合、例えば、第1推定位置D3と第2推定位置D2とを結ぶ中間点を飛行位置D4として補正し、補正した飛行位置D4で飛行の制御を続ける。或いは、第1推定位置D3と第2推定位置D2との差が閾値よりも大きい場合、制御装置76は、数秒前の第2推定位置D2の推移を参照して、第2推定位置D2が大きく変化している場合は、第1推定位置D3を飛行位置D4として採用し、採用した飛行位置D4で飛行の制御を続ける。なお、上述した飛行位置の推定等は、一例であり限定されない。
【0080】
さて、制御装置76は、無人飛行体70が不調である場合、経過時間T1に応じて飛行中におけるトラクタ1との距離を制限する。図14に示すように、制御装置76は、無人飛行体70が不調である場合、第1推定位置D3及び第2推定位置D2によって得られた飛行位置D4と、トラクタ1から送信された走行位置P1とに基づいて、トラクタ1と無人飛行体70との水平距離[(進行方向(前後方向)の水平距離、幅方向の水平距離)]L30を演算する。制御装置76は、演算した水平距離L30が制限距離以下であるか否かを判断する。制御装置76は、水平距離L30が制限距離以下である場合、トラクタ1から遠ざかるように無人飛行体70を飛行させる。一方、制御装置76は、水平距離L30が制限距離以下でない場合は、第1推定位置D3及び第2推定位置D2によって得られた飛行位置を参照しながら飛行を継続する。なお、制御装置76は、制限距離を経過時間T1に応じて増減しており、経過時間T1が短くなるほど制限距離は長く、経過時間T1が長くなるほど、制限距離を短く設定する。
【0081】
なお、トラクタ1は、作業装置2に動力を伝達するPTO軸と、作業装置2を昇降する昇降装置8と、走行装置7とを有し、作業時には当該作業に応じてPTO軸の回転、昇降装置8及び走行装置7を作動させる。無人飛行体70が異常時には、トラクタ1は、少なくともPTO軸の回転、昇降装置8及び走行装置7のいずれかを停止する。なお、PTO軸の回転、昇降装置8及び走行装置7の作動及び停止の制御は、制御装置40によって行うことができる。
【0082】
図15は、無人飛行体70とトラクタ1との連動における動作フローを示している。図15でも、説明の便宜上、不調又は異常が発生していない場合は、無人飛行体70はトラクタ1の走行に追随して当該トラクタ1の進行方向と同じ方向に飛行しているものとする。
図15に示すように、無人飛行体70は、トラクタ1の前方をセンシング装置72によってセンシングを行いながら飛行を行っている状況下において、制御装置76は、測位衛星からの電波WE1の受信強度を監視する(S40)。制御装置76は、電波WE1の受信強度が閾値V1以下になった経過時間T1を演算する(S41)。制御装置76は、経過時間T1が所定時間T2以上であるかを判断する(S42)。制御装置76は、経過時間T1が所定時間T2以上である場合(S42、Yes)、異常であると判断し(S43)、センシング装置72による飛行位置の推定を行う(S44)。制御装置76は、飛行位置の推定を行いながら飛行の制御を続け、無人飛行体70を帰還場所101に着陸させる(S45)。一方で、制御装置76は、経過時間T1が所定時間T2未満である場合(S42、No)、不調であると判断し(S46)、第1推定位置D3と第2推定位置)D2を用いて飛行位置D4を推定して、無人飛行体70をトラクタ1に追随させながらの飛行を続ける(S47)。制御装置76は、飛行位置D4と走行位置P1との水平距離L30を演算し(S48)、水平距離L30が制限距離以下である場合(S49、Yes)、無人飛行体70をトラクタ1から遠ざけるように飛行させる(S50)。
【0083】
上述した実施形態では、受信強度に基づいて異常又は不調等を判断していたが、受信強度の代わりに、蓄電装置71の残量(充電残量)に基づいて異常又は不調等を判断してもよい。この場合、受信強度を充電残量に読み替えればよい。
また、作業条件によって、受信強度又は充電残量に対応する閾値V1を変更してもよい。例えば、作業装置2がハロー、田植機等などであり、水がある場所で作業する場合は、閾値V1を増加させることで、基準を厳しくする。
【0084】
農業支援システムは、センシング装置72を備えた無人飛行体70と、作業装置2を連結可能な走行車体3し且つ、圃場を走行可能な農業機械(トラクタ1)と、を備え、無人飛行体70と農業機械(トラクタ1)とが連携しながら圃場の作業を行っている際に、当該無人飛行体70に異常が発生した場合、無人飛行体70又は農業機械(トラクタ1)は、作業時の動作と異なる動作を行う。これによれば、無人飛行体70と農業機械(トラクタ1)とが連携しながら圃場の作業を行っている状況において、無人飛行体70又は農業機械(トラクタ1)は、作業時の動作と異なる動作を行うことによって互いが干渉してしまうことを抑制することができる。即ち、農業機械(トラクタ1)と無人飛行体70とが連携しながら圃場の作業を行うという場合に、無人飛行体に異常があった場合に適正に対処を行うことができる。
【0085】
無人飛行体70は、位置を検出する位置検出装置73を備え、作業時には位置検出装置73で検出された位置に基づいて圃場の上空を飛行し且つ異常時には位置による飛行を停止してセンシング装置72でセンシングした情報に基づいて飛行を行う。これによれば、無人飛行体70が位置検出装置73によって位置を検出しながら飛行を行う場合に、異常の場合は位置による飛行ではなくセンシング装置72でセンシングした情報に基づいて飛行を行うことで、無人飛行体70の飛行を安定化させることができる。
【0086】
無人飛行体70は、異常時には情報に基づいて予め定められた帰還場所に向けて飛行して帰還場所に着陸する。これによれば、異常時には、無人飛行体70を帰還場所に帰還させることができる。
位置検出装置73は、測位衛星の電波に基づいて位置を検出する装置であり、無人飛行体70は、測位衛星からの電波の受信強度が閾値未満となった経過時間に基づいて異常であるか否かを判断する。これによれば、測位衛星の電波の受信強度の変化、即ち、受信強度が閾値未満になって正確な位置が求められない場合に異常と判断することで、無人飛行体70の飛行を通常とは異なる状態に素早くかえることができる。
【0087】
無人飛行体70は、経過時間が所定時間以上である場合に異常であると判断し、経過時間が所定未満である場合に異常ではなく不調であると判断する。これによれば、無人飛行体70が異常であるか不調であるかを素早く判断することができる。
無人飛行体70は、不調である場合、位置検出装置73で検出された位置と、センシング装置72でセンシングした情報に基づいて飛行を行う。これによれば、無人飛行体70が不要である場合には、安定した飛行を継続することができる。
【0088】
無人飛行体70は、不調である場合、経過時間に応じて飛行中における農業機械(トラクタ1)との距離を制限する。これによれば、無人飛行体70と農業機械(トラクタ1)とが干渉してしまうことを防止することができる。
農業機械(トラクタ1)は、作業装置2に動力を伝達するPTO駆動装置と、作業装置2を昇降する昇降装置8と、走行装置7とを有し、作業時には当該作業に応じてPTO駆動装置、昇降装置8及び走行装置7を作動させ、異常時には少なくともPTO駆動装置、昇降装置8及び走行装置7のいずれかを停止する。これによれば、PTO駆動装置、昇降装置8及び走行装置7のいずれかを停止することで、簡単に作業を停止することができる。
[第2実施形態]
図16図19は、第2実施形態における農業機械(トラクタ1)を示している。なお、図16図19に示すトラクタ1等を第1実施形態に適用してもよい。
【0089】
トラクタ1は、離着陸ステーション60を備えている。離着陸ステーション60は、保護装置9のルーフ9bに設けられ、無人飛行体70が着陸したときにスキッド70dを規制可能である。離着陸ステーション60は、図18A図18Cに示すように、無人飛行体70が離着したときには、当該離着陸ステーション60の一部が、スキッド70dの脚部80a、80bに接触することによって、スキッド70dの水平方向の移動を規制することが可能である。
【0090】
図16図17に示すように、具体的には、離着陸ステーション60は、支持部材61と、アーム62とを有している。支持部材61は、アーム62を保護装置9のルーフ9bに支持する部材であって、ルーフ9bの前側及び後側にそれぞれ設けられている。アーム62は、支持部材61を介してルーフ9b上に支持されていて、水平方向に延びている。詳しくは、アーム62の一端は、ルーフ9bの前端に位置し、アーム62の他端は、ルーフ9bの後端に位置している。
【0091】
アーム62は、例えば、円弧状又は四角状の筒体で構成されていて、中空状であって、空間部63が形成されている。図18A図18Cに示すように、無人飛行体70において、着陸時における一方の脚部80aから他方の脚部80bまでの距離L40を基準にした場合、アーム62の幅L41は、距離L40以下に設定されている。
図16に示すように、アーム62は、無人飛行体70が視認可能なマーカ64を有している。マーカ64は、アーム62の外面に形成されていて、当該アーム62を平面視したときに、上方から無人飛行体70のセンシング装置72によって認識することが可能である。
無人飛行体70が着陸を行うにあたって、まず、圃場の上空からセンシング装置72によってトラクタ1の有無、即ち、アーム62に設けたマーカ64の位置を認識する。無人飛行体70の制御装置76は、マーカ64を認識すると、当該マーカ64の位置に向けて無人飛行体70を飛行させ、マーカ64の上空に達したところで、無人飛行体70の高度を徐々に下げながら、アーム62(マーカ64)に向けて着陸を行う。
スキッド70dが図18Aの場合、無人飛行体70は、スキッド70dの脚部80a、80bをアーム62に接触したところで着陸を終了する。また、スキッド70dが図18Bの場合、無人飛行体70は、スキッド70dがアーム62に達した時点で、アクチュエータ81a、81bの伸縮によって、脚部80a、80bをアーム62に向けて揺動させ、脚部80a、80bがアーム62に接触したところで着陸を終了する。なお、アクチュエータ81a、81bの伸縮は、制御装置76がアクチュエータ81a、81bに制御信号を出力することによって行う。
スキッド70dが図18Cの場合、無人飛行体70は、スキッド70dがアーム62に達して脚部80a、80bが接触すると、当該脚部80a、80bがアーム62への接触によって変形する。無人飛行体70は、脚部80a、80bによってアーム62を挟み込んだところで着陸を終了する。
以上のように、トラクタ1に離着陸ステーション60を設けることによって、無人飛行体70を当該トラクタ1に着陸させることができる。
さて、無人飛行体70がケーブル77を有してもよい。次に、無人飛行体70がケーブル77を有している場合について説明する。
ケーブル77は、無人飛行体70に電力を供給するケーブルである。図24に示すように、ケーブル77の一端は、本体70aの内部に設けられていて、制御装置76等に電力を供給する電源ラインPW1にコネクタ等を介して接続されている。或いは、ケーブル77の一端は、蓄電装置71に接続されていてもよい。また、ケーブル77の他端は、制御装置40等に電力を供給する電源ラインPW2にコネクタ等を介して接続されている。ケーブル77の他端は、トラクタ1に設けられたバッテリ等に接続されていてもよい。
したがって、ケーブル77を介して、トラクタ1の電力を無人飛行体70に供給することができ、長時間にわたって、無人飛行体70を飛行させることができる。
図18A図18C及び図19に示すように、離着陸ステーション60のアーム62には、ケーブル77を通す、貫通穴65が設けられ、アーム62の空間部63がケーブル77を収容可能な収容部とされている。収容部には、ケーブル77を巻き取る巻き取り機66が設けられている。図20に示すように、巻き取り機66は、回転自在に支持され且つ回転によってケーブル77を巻き取る筒状のボビン(巻取部)66aと、ボビン66aを回転させるモータ66bと、を備えている。ケーブル77は、ボビン66aの回転軸66cを通過して、トラクタ1の内部に至っている。
したがって、巻き取り機66のボビン66aをモータ66bによって回転させることにより、ケーブル77を巻き取ることができる。ボビン66aにケーブル77を巻き取った状態において、無人飛行体70の移動によってケーブル77が引っ張られると、引っ張り力によってボビン66aが任意に回転してケーブル77を繰り出すことができる。巻き取り機66において、モータ66bの回転軸とボビン66aの回転軸66cとの接続を遮断することができるクラッチ66dを設けてもよい。
以上のように、巻き取り機66を設けた場合、トラクタ1の制御装置40は、モータ66bに制御信号を出力して、モータ66bの回転軸を、ケーブル77を巻き取る方向(巻き取り方向)に回転させる。モータ66bの回転軸を巻き取り方向に回転させている状況において、モータ66bの回転軸へ作用する力(第1負荷)又はボビン66aの回転軸66cへ作用する力(第2負荷)を参照する。例えば、無人飛行体70の移動によってケーブル77が引っ張られ、第1負荷又は第2負荷が所定以上になると、制御装置40は、モータ66bの駆動を停止、即ち、モータ66bを巻き取る方向に回転させることを停止する。或いは、第1負荷又は第2負荷が所定以上になると、制御装置40は、モータ66bの回転の方向を巻き取り方向と反対側に回転させて、ケーブル77を繰り出す。
つまり、制御装置40は、巻き取り機66を駆動させることによって、ケーブル77に作用するテンションが略一定になるようにする。
【0092】
さて、無人飛行体70は、トラクタ1が自動走行によって、圃場H1で作業を行う前、即ち、作業装置2によって圃場H1に対して対地作業を行う前に、トラクタ1の上空から圃場H1をセンシングする。例えば、無人飛行体70は、トラクタ1が圃場H1にて停止している状態で、トラクタ1から離陸し、センシング装置72によって、例えば、圃場H1の作業前の状態、例えば、圃場H1の土壌状態を撮像する。
【0093】
また、図21に示すように、トラクタ1が走行及び作業を開始する(自動走行を開始する)と、無人飛行体70は、作業装置2の後方側にセンシング装置72を向けて、作業中又は作業後の圃場H1の状態をセンシングする。例えば、無人飛行体70は、トラクタ1が圃場H1を走行し且つ作業装置2によって作業を行っている場合、トラクタ1の走行に追随しながら飛行する一方で、センシング装置72にて、圃場H1の作業後の状態、例えば、圃場H1の土壌状態(表面の凸凹の状態)を撮像する。即ち、無人飛行体70は、トラクタ1の作業中又は作業後の撮像画像を取得する。
【0094】
無人飛行体70が撮像した作業中の撮像画像(作業中画像)、作業後の撮像画像(作業後画像)は、それぞれ通信装置75等を介してトラクタ1に送信される。
トラクタ1は、無人飛行体70が圃場H1をセンシングしたときの圃場H1の状態(作業前の表面の凸凹の状態、作業中の表面の凸凹の状態、作業後の表面の凸凹の状態)に基づいて、作業装置2による作業を行う。具体的には、トラクタ1は、作業前に作業前画像を取得すると、作業前画像に基づいて、作業装置2の設定を行う。例えば、制御装置40は、作業前画像から、土壌の硬さ、土壌の凹凸の度合、土壌の地質等を推定する。なお、土壌の硬さ、土壌の凹凸の度合、土壌の地質の推定は、予め制御装置40等に格納された土壌情報のデータベースと、作業前画像とを比較することにより推定を行う。土壌情報には、過去の撮像画像と、土壌の硬さ、土壌の凹凸の度合、土壌の地質等が対応付けられていて、これにより、作業前画像から、土壌の硬さ、土壌の凹凸の度合、土壌の地質等を推定することができる。なお、作業前画像を、土壌の硬さ、土壌の凹凸の度合、土壌の地質を推定する学習済みモデルに適用することによって、土壌の硬さ、土壌の凹凸の度合、土壌の地質を推定してもよい。
【0095】
作業装置2が耕耘装置である場合、土壌の硬さが閾値以上であると推定される場合は、作業装置2で行う耕耘の速度(耕耘爪の回転数)を予め定められた設定値よりも小さくし、土壌の硬さが閾値未満であれば、耕耘の速度を設定値に設定する。或いは、作業装置2が耕耘装置である場合、制御装置40は、土壌の凹凸の度合いが閾値以上である場合、作業装置2は、単位時間当たりの耕耘の面積、即ち、耕耘装置の移動速度を予め定められた設定値よりも小さくし、土壌の凹凸の度合いが閾値未満であれば、耕耘装置の移動速度を設定値に設定する。上述した実施形態では、耕耘装置を例にとり説明をしたが、作業装置2は何でもよく、限定されない。
【0096】
図24に示すように、トラクタ1の制御装置40は、作業判断部40Cを備えている。作業判断部40Cは、制御装置40に設けられた電気電子回路、制御装置40に格納されたプログラム等から構成されている。
作業判断部40Cは、作業中又は作業後の圃場H1の状態に基づいて、作業装置2による作業の適正を判断する。具体的には、作業判断部40Cは、作業中画像又は作業後画像を取得し、作業中画像又は作業後画像から作業の適正を判断する。
【0097】
作業装置2が散布装置(肥料散布装置、農薬散布装置)である場合、作業判断部40Cは作業中画像から肥料散布又は薬剤散布が適正に行われているか否かを判断する。例えば、作業判断部40Cは、作業中画像から散布状態を監視し、肥料散布又は薬剤散布を行うノズルから、肥料又は薬剤が適正に散布されている場合は、作業は適正であると判断する。一方、作業判断部40Cは、肥料散布又は薬剤散布を行うノズルから、肥料又は薬剤が放出されていなかったり、肥料散布又は薬剤散布を行うノズルから放出される肥料又は薬剤が規定よりも少なかったりすると、作業は適正でないと判断する。
【0098】
或いは、作業装置2が耕耘装置、収穫装置、畝立装置等である場合、作業判断部40Cは作業後画像から耕耘、収穫、畝立て等が適正に行われているか否かを判断する。例えば、作業判断部40Cは、作業後画像から耕耘状態、収穫状態、畝立状態のそれぞれを監視し、耕耘状態、収穫状態、畝立状態が、予め定められた状態と略同じ場合は、作業は適正であると判断し、耕耘状態、収穫状態、畝立状態が、予め定められた状態と大きく異なる場合は、作業は適正でないと判断する。
【0099】
なお、耕耘状態、収穫状態、畝立状態が適正であるか否かは、予め適正とされる耕耘状態、耕耘状態、収穫状態、畝立状態を示す作業状態が予めデータベースとして制御装置40等に格納されていて、データベースの耕耘状態、収穫状態、畝立状態と、作業後画像から得られた耕耘状態、収穫状態、畝立状態とをマッチングさせることで判断することができる。或いは、作業判断部40Cは、作業後画像を、耕耘状態、収穫状態、畝立状態のそれぞれを推定することができる学習済みモデルに適用することで、作業後の耕耘状態、収穫状態、畝立状態が適正であるか否かを判断してもよい。
【0100】
トラクタ1は、作業が適正である場合は作業を継続し、作業判断部40Cが、作業が適正でないと判断した場合に、当該適正でない作業の位置に戻って作業装置2による再作業を行う。図22に示すように、トラクタ1が自動走行しながら作業を行っている状況において、作業が適正でない位置が連続した圃場H1の不適正範囲W50がある場合、トラクタ1は、現在の作業装置2の作業を停止して、作業装置2の作業を停止した状態で不適正範囲W50まで戻り、不適正範囲W50の作業開始点W50aで作業装置2を再開し、不適正範囲W50の作業開終了点W50bまで走行しながら再作業を行う。
【0101】
図23に示すように、農業支援システムは、選択部46を備えている。選択部46は、トラクタ1に設けられた表示装置50又は、トラクタ1と接続を行うことができるスマートフォン、タブレット、ノートパソコン等の携帯型コンピュータの携帯端末に設けられている。具体的には、表示装置50又は携帯端末に設けられたハードウェアスイッチ、又は、ソフトウェアスイッチである。例えば、表示装置50又は携帯端末に選択部46が設けられている場合、所定の操作を行うと、図23に示すように、表示装置50又は携帯端末に、選択部46が表示される。選択部46は、自動走行の終了後に再作業を行うか、自動走行中に再作業を行うかを選択するスイッチであって、「自動走行終了後」、「自動走行中」のいずれかを選択することができる。自動走行終了後を選択した場合は、図22に示すように、自動走行の終了点E1を通過した後に、トラクタ1は、不適正範囲W50に自動的に移動して再作業を行う。自動走行中を選択した場合は、図22に示すように、トラクタ1は、不適正範囲W50があったことを作業判断部40Cから取得後に、不適正範囲W50に自動的に戻り再作業を行う。
【0102】
農業支援システムは、センシング装置72を備えた無人飛行体70と、作業装置2を連結可能な走行車体3し且つ、圃場を走行可能な農業機械(トラクタ1)と、を備え、農業機械(トラクタ1)は、無人飛行体70が圃場をセンシングしたときの当該圃場の状態に基づいて作業装置2による作業を行う。これによれば、作業装置2は、無人飛行体70が圃場のセンシングした状態に応じて作業を行うことができるため、作業性を向上させることができる。
【0103】
農業機械(トラクタ1)は、作業前の圃場の状態を取得した場合は作業装置2の設定を行い、作業中又は作業後の圃場の状態を取得した場合は圃場の状態に基づいて作業を行う。これによれば、作業前、作業中、作業後のいずれであっても、無人飛行体70が検出した圃場の状態に応じて作業を行うことができる。
農業支援システムは、作業中又は作業後の圃場の状態に基づいて、作業装置2による作業の適正を判断する作業判断部40Cを備え、農業機械(トラクタ1)は、作業判断部40Cが、作業が適正でないと判断した場合に、当該適正でない作業の位置に戻って作業装置2による再作業を行う。これによれば、作業装置2によって作業を行った後に、当該作業が適正でないかを簡単に判断することができ、作業が適正でない場合には、再作業を行うことで、最終的に圃場の全体の適正な作業度合いを向上させることができる。
【0104】
農業機械(トラクタ1)は、自動走行を制御する走行制御部40Aと、自動走行の終了後に再作業を行うか又は、自動走行中に再作業を行うかを選択する選択部46と、を備えている。これによれば、自動走行で作業を行う場合に、自走走行後、自動走行中のいずれかで再作業を行うかを簡単に変更することができる。
農業機械(トラクタ1)は、圃場を飛行している無人飛行体70に電力を供給するケーブル77を備えている。これによれば、無人飛行体70を長時間に亘って飛行させることができる。
【0105】
農業機械(トラクタ1)は、無人飛行体70が離着陸する離着陸ステーション60を備え、無人飛行体70は、少なくとも作業前、作業中及び作業後のいずれかに離着陸ステーション60から離陸し、センシング装置72によって作業中及び作業後の圃場の状態をセンシングする。これによれば、作業前、作業中及び作業後のいずれの場合にも、農業機械(トラクタ1)から無人飛行体70を離陸させることができ、必要であるときに、圃場、農業機械等の監視を行うことができる。
【0106】
以上、本発明の実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0107】
1 :農業機械(トラクタ)
2 :作業装置
40A :走行制御部
40C :作業判断部
46 :選択部
60 :離着陸ステーション
70 :無人飛行体
72 :センシング装置
77 :ケーブル
H1 :圃場
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図18C
図19
図20
図21
図22
図23
図24