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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】IL-2コンジュゲート
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/55 20060101AFI20240520BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20240520BHJP
   A61K 47/60 20170101ALI20240520BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240520BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240520BHJP
   C12N 15/26 20060101ALN20240520BHJP
【FI】
C07K14/55 ZNA
A61K38/20
A61K47/60
A61P35/00
A61P35/02
C12N15/26
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020552812
(86)(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2019057709
(87)【国際公開番号】W WO2019185705
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-03-02
(31)【優先権主張番号】18164682.9
(32)【優先日】2018-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520369962
【氏名又は名称】アセンディス ファーマ オンコロジー ディヴィジョン エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スプローエ,ケネット
(72)【発明者】
【氏名】ラウ,ハラルド
(72)【発明者】
【氏名】ナッペ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ビセク,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ラウファー,ブルクハルト
【審査官】小林 薫
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-506793(JP,A)
【文献】特表2017-535609(JP,A)
【文献】国際公開第2017/148883(WO,A1)
【文献】特表2007-530485(JP,A)
【文献】特表2005-507870(JP,A)
【文献】特表2016-533167(JP,A)
【文献】特表2014-506116(JP,A)
【文献】特表2017-506264(JP,A)
【文献】特表2013-512200(JP,A)
【文献】特表2017-528444(JP,A)
【文献】特表2007-528728(JP,A)
【文献】Clin. Cancer Res., 2016, Vol.22, No.3, pp.680-690
【文献】PLoS ONE, 2017, Vol.12, No.7, e0179431 (pp.1-24)
【文献】Nat. Biotechnol., 1990, Vol.8, pp.343-346
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00-19/00
C12N 15/00-15/90
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(Ia)
【化1】
(式中、
-Dは、バイアスIL-2部分であり、バイアスIL-2部分は、IL-2部分を含み、バイアスIL-2部分に関して、前記バイアスIL-2のIL-2Rβに対するKDに対する、前記バイアスIL-2のIL-2Rαβに対するKDの比が、アルデスロイキンのIL-2Rβに対するKDに対する、アルデスロイキンのIL-2Rαβに対する平衡解離定数KDの比より大きく、
-Dは、1又は2のアミノ酸変異を含み、そのうちの1つの変異が、配列番号2に基づくR37C変異又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置における変異である;及び、さらに、-Dは、位置37においてアルギニンを置き換えたシステインの硫黄にコンジュゲート化されている部分M mod を含み:
M mod は、式(A-1a)
【化2】
[式中、星印を付けた破線は、システインの硫黄への結合を示し、
b1は、1~4からなる群から選択される整数であり、
b2は、1~4からなる群から選択される整数であり、かつ
b3は、M mod の分子量が5 kDa±25%となる整数である]
により表され、
-L 1 -は、式(IX-c)
【化3】
[式中、星印を付けた破線は、-Dの窒素への結合を示し、
印を付けていない破線は、-L 2 -Zへの結合を示し、
s1は、1、2、3、4、及び5からなる群から選択される整数である)]
により表され、
-L 2 -は、式(IX-e)
【化4】
[式中、星印を付けた破線は、-L 1 -に対する結合を示し、
印の付いていない破線は、-Zに対する結合を示し、
s2は0、1、2、3、4、5、6、7、及び8からなる群から選択される整数である]
により表され、
-Zは、式(A-c)
【化5】
(式中、
p1、p2、p3、p4は、互いに独立して185~450の範囲の整数である)
により表され、
xは、1であ
のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
-L1-が、配列番号2に基づくK7、K8、K31、K34、K42、K47、K48、K53、K63、K75、及びK96からなる群から選択されるリジン残基に結合している、請求項に記載のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
有効量での請求項1又は2に記載のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩、及び少なくとも1つの賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項4】
医薬として使用するための、請求項1又は2に記載のIL-2コンジュゲート若しくはその薬学的に許容される塩、又は請求項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
IL-2によって治療することができる疾患の治療に使用するための、請求項1又は2に記載のIL-2コンジュゲート若しくはその薬学的に許容される塩、又は請求項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
IL-2によって治療することができる疾患が、肉腫、脊索腫、結腸がん、直腸がん、結腸直腸がん、膵臓がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、扁平上皮細胞がん、基底細胞がん、腺がん、汗腺がん、皮脂腺がん、乳頭がん、乳頭腺がん、嚢胞腺がん、髄様がん、気管支原性がん、腎細胞がん、肝がん、胆管がん、絨毛がん、精上皮腫、胎児性がん、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、精巣がん、胃がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、膀胱がん、腎細胞がん、尿路上皮がん、上皮がん、神経膠腫、星細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫、網膜芽腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、及び白血病からなる群から選択される、請求項に記載の使用のためのIL-2コンジュゲート若しくはその薬学的に許容される塩又は医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IL-2コンジュゲート、その薬学的に許容される塩、そのようなIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物、及びそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
健康なヒトでは、免疫系はしばしば、健康な細胞とがん細胞とを識別することができる。所与の細胞をがん性であると同定すると、免疫系は典型的には、それを除去する。しかし、免疫系が、例えば急性若しくは慢性的な欠陥によって不全である場合、又は圧倒されている場合、不全となった免疫系ががん細胞を区別して除去することができないために、がんが発生し得る。がんに罹っている患者では、患者への免疫調節タンパク質の投与は、免疫系のがん細胞を除去する能力が増強されるようにその患者の免疫系を活性化するために役立ち得る。このようにして、がんの更なる成長が遅延され得る、がんの起こり得る拡散が抑制され得る、又はがんが除去さえされ得る。
【0003】
ある特定のがんに罹っている患者の治療に使用される1つのそのような免疫調節タンパク質は、インターロイキン-2である。インターロイキン-2(IL-2)は、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)並びにT細胞増殖及び機能的活性の両方の刺激剤としての活性を有する天然に存在するサイトカインである。IL-2は、免疫エフェクター細胞の生成、分化、生存、及び恒常性において中心的な役割を果たす。IL-2は、活性化CD4+ヘルパーT細胞によって合成され、異なる受容体相互作用を通して、IL-2は免疫応答を免疫又は寛容に向けて調節することができる。
【0004】
IL-2は、IL-2受容体(IL-2R)に結合することによって作用する。α-(CD25)、β-(CD122)、及び共通のγ-(γc、CD132)サブユニットの会合によって、三量体の高親和性IL-2Rがもたらされる。二量体の中親和性のIL-2Rβγは、β-及びγ-サブユニットからなり、50分の1の親和性でIL-2に結合する。CD25は、IL-2シグナル伝達にとって必要ではないが、三量体受容体の高親和性結合を付与する一方、β-及びγ-サブユニットは、シグナル伝達を媒介する。IL-2Rβγは、NK細胞、単球、マクロファージ、並びに休止CD4+及びCD8+T細胞上で発現されるが、IL-2Rαβγは、活性化T及びNK細胞上で一過性に誘導され、制御性T細胞において構成的に発現される。IL-2が自然及び適応エフェクター細胞を増殖及び活性化させる能力は、その抗腫瘍活性の基盤である。
【0005】
患者において、IL-2は、高用量(すなわち、ヒトにおいて600000~720000IU/kg体重を1日3回、最大14用量/サイクル)を投与した場合に、エフェクターT及びNK細胞を含む細胞傷害性リンパ球の増加によって特徴付けられる抗腫瘍有効性を刺激することができる。おそらくこの治療の間、高用量の投与後に全てのT細胞がIL-2によって刺激され、治療サイクルが終了してIL-2レベルがある時点で低下すると、IL-2は限定的となり、IL-2Rαβγを発現する制御性T(Treg)細胞が、残存している野生型IL-2に関してIL-2Rβγを発現するエフェクターT細胞を打ち負かすことになる。
【0006】
組換えヒトIL-2であるアルデスロイキンは、1992年にFDAによって承認された最初のがん免疫療法であった。適切な支持療法を使用することによって、アルデスロイキンは、転移性黒色腫及び腎臓がんに関して治療した患者の約10%において完全ながんの退縮を示した。完全奏効を示した患者のおよそ70%は治癒しており、最初の治療後25年を超えて完全退縮を維持している。
【0007】
その抗腫瘍有効性に基づいて、高用量IL-2(アルデスロイキン)は、転移性腎細胞がん及び悪性黒色腫を有する患者に対して承認されている。しかし、その抗腫瘍免疫は、重度の心血管、肺、肝臓、消化管、神経学的、及び血液学的副作用によって用量が制限されており、そのためこれは、専門の施設の患者に限って投与されている。また、投与されたIL-2レベルが、IL-2Rβγ活性にとって必要なレベルを下回ると、抗腫瘍免疫を制限し得る高親和性IL-2Rαβγを発現するTregの活性化にとって好都合となる。
【0008】
前臨床実験から、IL-2誘導肺浮腫(血管漏出症候群のモデルとして)が、IL-2と肺内皮細胞上のCD25との相互作用によって引き起こされ得ること、及びこれがCD25ブロッキング抗体、遺伝子破壊、又はIL-2-抗体複合体の使用によって抑止され得ることが示された。IL-2が血管漏出症候群を誘導する別の提唱される機構は、好酸球の活性化と関係する。なぜなら、これらの細胞はIL-2Rαβγを発現することができ、患者におけるIL-2治療は、全身性の好酸球及びIL-5レベルの上昇を伴うためである。
【0009】
免疫応答の抑制に関与し免疫寛容をもたらすCD4+制御性T細胞(Treg細胞)は、IL-2RのIL-2Rαβγ型を優先的に発現する。このため、IL-2Rαβγに結合し、そのアゴニストである化合物の投与は、免疫応答を抑制し、それによってがん患者において抗腫瘍応答も妨害すると予想することができる。
【0010】
抗腫瘍免疫応答を有意に増強するエフェクターCD4+ T細胞、CD8+ T細胞、及びNK細胞は、IL-2RのIL-2Rβγ型を優先的に発現する。このため、IL-2Rβγに結合し、そのアゴニストである化合物の投与は、腫瘍に対する免疫応答を増強すると予想することができる(例えば、CD4+T細胞、CD8+T細胞、及びNK細胞の増殖及び作用活性を増加させることによって)。
【0011】
このため、IL-2Rβγ選択的アゴニスト(IL-2Rαに対する結合が低減された若しくはそれに結合しない、又はIL-2Rβγに対する結合が増強された)の投与は、それにより肺浮腫などの全身性の血管漏出副作用を低減し、治療ウィンドウの改善を提供すると予想されることから、ある特定のがんに罹っている患者にとって有益となる。また、IL-2Rβγ選択的アゴニストは、低用量で免疫抑制性の制御性T細胞の選択的活性化を回避するという利益を有し、Treg、及びCD4+エフェクターT細胞、細胞傷害性CD8+エフェクターT細胞、及びNK細胞に対して同様に強力であり、それによって患者の免疫系を増強させて、がん細胞を除去するより多くの機会を提供することになる。
【0012】
最適には、そのようなIL-2Rβγ選択的アゴニストはまた、投与後に比較的長い曝露を示し、それによって治療に対する患者の応答を更に改善することになる。IL-2βγ選択的アゴニストの投与を介してがん患者における免疫系のエフェクターアームを強化することは、免疫抑制経路のアンタゴニスト(例えば、CTLA-4及びPD-1のアンタゴニスト)の投与を通して、又は免疫アゴニスト、例えばTLRリガンド、若しくは免疫活性化受容体を刺激する作用剤、例えば41BB(CD137)、OX40、ICOS、CD40、CD28、NKG2D、NKp30、NKp44、NKp46、LFA1、CD16、CD64、CD32A、及びCD3活性化受容体アゴニスト、又は抗体指向性細胞傷害(ADCC)誘導抗体の投与を通して更に増強することができる。
【0013】
腫瘍反応性T細胞の養子移入は、患者において抗腫瘍免疫を誘導することが可能な臨床的に有用な治療へと進展している。しかし、がんを治療するための養子T細胞移入(ACT)治療を広く適用するには、注入のための十分量の細胞の産生、並びに移入したT細胞がin vivoで存続及び機能的であり続けることができないことを含む幾つかの制限がある。診療所では、T細胞増殖因子インターロイキン-2(IL-2)の同時投与により、移植したT細胞の生存、機能、及び抗腫瘍活性が改善される。しかし、ACTを増強するためのIL-2の使用は、免疫刺激性T細胞応答及び免疫抑制性T細胞応答の両方、並びに潜在的に重度の毒性を誘導するIL-2の多面的性質によって複雑となる。
【0014】
IL-2の毒性の懸念に対処する試みが行われている。一例では、製剤アプローチが試みられており、例えば米国特許第6,706,289号及び国際公開第02/00243号及び国際公開第99/60128号を参照されたい。他のアプローチでは、IL-2のある特定のコンジュゲートが示唆されており、例えば米国特許第4,766,106号、同第5,206,344号、同第5,089,261号、及び同第4,902,502号を参照されたい。加えて、IL-2のある特定の可逆的コンジュゲートが提案されており、例えば国際公開第12065086号A1を参照されたい。
【0015】
しかし、これらのアプローチにもかかわらず、がん患者にとってより安全な治療を提供するIL-2のコンジュゲートがなおも必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明の目的は、上記の欠点を少なくとも部分的に克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の目的は、式(Ia)又は(Ib)
【化1】
(式中、
-Dは、バイアス(biased)IL-2部分であり、バイアスIL-2部分は、IL-2部分を含み、バイアスIL-2部分に関して、前記バイアスIL-2のIL-2Rβに対するKDに対する、前記バイアスIL-2のIL-2Rαβに対するKDの比が、アルデスロイキンのIL-2Rβに対するKDに対する、アルデスロイキンのIL-2Rαβに対するKDの比より大きく、
-L1-は、-Dに共有結合で且つ可逆的に結合したリンカー部分であり、
-L2-は、化学結合、又はスペーサー部分であり、
-Zは、ポリマー部分、又は置換脂肪酸部分であり、
xは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16からなる群から選択される整数であり、
yは、2、3、4、及び5からなる群から選択される整数である)
のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩によって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明において、用語は、以下の意味で使用される。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「インターロイキン-2」又は「IL-2」は、リンパ球の生成、生存、及び恒常性において中心的な役割を果たすことによって特徴付けられる、好ましくは哺乳動物種に由来する、より好ましくは霊長類種に由来する、最も好ましくはヒトに由来する全てのIL-2タンパク質、並びにそのバリアント、アナログ、オルソログ、ホモログ、及び誘導体及びその断片を指す。用語「IL-2」はまた、IL-2の天然に存在するバリアント、例えばスプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。
【0020】
ヒトIL-2は、配列番号1の配列を有する:
【0021】
非プロセシングヒトIL-2は更に、N末端の20アミノ酸のシグナルペプチドを含むが、これは成熟IL-2分子には存在しない。
【0022】
好ましくは、他に明記していない限り、用語「IL-2」は、好ましくはアルデスロイキン、すなわち配列番号1のヒトIL-2に存在する1位のアミノ酸(アラニン)が欠失しており(desA1)、配列番号1のヒトIL-2の125位に存在するシステインがセリンに交換されている(C125S)ヒトIL-2のバリアントを指す。アルデスロイキンの配列を配列番号2に示す:
【0023】
本明細書で使用される「IL-2タンパク質バリアント」又は「IL-2バリアント」という用語は、基準のIL-2タンパク質とは異なる、同一種に由来するタンパク質を指す。好ましくは、このような基準のIL-2タンパク質配列は、配列番号2の配列である。概して、差異は限られており、したがって、基準とバリアントのアミノ酸配列は、全体としてきわめて類似しており、多くの領域において同一である。好ましくは、IL-2タンパク質バリアントは、基準のIL-2タンパク質、好ましくは配列番号2のIL-2タンパク質、と、少なくとも70%、80%、90%若しくは95%同一である。クエリアミノ酸配列と少なくとも、例えば95%「同一な」アミノ酸配列を有するタンパク質は、その対象タンパク質のアミノ酸配列が、クエリアミノ酸配列の100アミノ酸ごとに5つ以下のアミノ酸変化を含有しうることを除いて、クエリ配列と同一であることを意味する。こうした基準配列の変化は、基準アミノ酸配列のアミノ末端(N末端)若しくはカルボキシ末端(C末端)の位置に生じてもよく、あるいは、そうした末端位置の間の任意の場所に、基準配列内の残基の間に個別に散在して、又は基準配列内の1つ若しくは複数の連続的な群中に散在して、生じてもよい。クエリ配列は基準配列の完全なアミノ酸配列であっても、本明細書に記載の特定された任意の断片であってもよい。好ましくは、クエリ配列は配列番号2の配列である。
【0024】
このようなIL-2タンパク質バリアントは、天然のバリアント、例えば染色体若しくは生物の一定の座位を占めるIL-2のいくつかの代替型の1つによってコードされる天然の対立遺伝子バリアント、又は単一の一次転写産物に由来する天然のスプライスバリアントによってコードされるアイソフォームであり得る。あるいは、IL-2タンパク質バリアントは、天然に存在することが知られておらず、当技術分野で公知の変異誘発技術によって作製することができるバリアントであってもよい。
【0025】
生物学的機能を実質的に失うことなく、生理活性ペプチド若しくはタンパク質のN末端若しくはC末端、又は内部の位置、即ち、N末端アミノ酸及びC末端アミノ酸の間の位置から1つ若しくは複数のアミノ酸を欠失させることができることは、当技術分野で知られている。このようなN末端、C末端及び/又は内部の欠失もまた、IL-2タンパク質バリアントという用語に含まれる。
【0026】
ペプチドの構造若しくは機能に有意な影響を及ぼすことなく、IL-2タンパク質の一部のアミノ酸配列を変更することができることも、当業者に認識されている。このような変異体は、活性にほとんど影響を与えないように、当技術分野で公知の原則にしたがって選択される欠失、挿入、逆位、反復、及び置換を含有する。例えば、表現型的にサイレントなアミノ酸置換を行う方法に関する指針は、Bowie et al. (1990), Science 247:1306-1310(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)において与えられ、ここでその著者らは、アミノ酸配列の変化に対する許容度を検討するためには2つの主要なアプローチがあることを示している。
【0027】
本明細書で使用される「IL-2アナログ」という用語は、それぞれの生物において同じ機能を果たすが、その生物の祖先が共通して有していた祖先の構造を起源としない、異なる無関係の生物のIL-2を指す。その代わりに、アナログIL-2は別々に発生し、その後、同一若しくは同様の機能を果たすように進化した。言い換えると、アナログIL-2タンパク質とは、極めて異なるアミノ酸配列を有するが同じ生物活性を達成する、タンパク質である。
【0028】
本明細書で使用される「IL-2オルソログ」という用語は、2つの異なる種に存在するIL-2であって、その配列は祖先種における共通の相同IL-2を通じて互いに関係があるが、進化してそれぞれ異なるようになった、IL-2を指す。
【0029】
本明細書で使用される「IL-2ホモログ」という用語は、異なる生物のIL-2であって、それぞれの生物において同一の機能を果たし、それらの生物の先祖が共通して有していた祖先構造を起源とする、IL-2を指す。言い換えると、相同(homologous)IL-2タンパク質は、同じ生物活性を達成する、きわめて類似したアミノ酸配列を有するタンパク質である。好ましくは、IL-2タンパク質ホモログは、基準IL-2タンパク質、好ましくは配列番号2のIL-2タンパク質に対して、少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%又は95%同一性を示すタンパク質と定義することができる。
【0030】
本明細書で使用される「IL-2タンパク質断片」という用語は、IL-2タンパク質、好ましくは配列番号2のタンパク質の、アミノ酸配列の一部の一続きの範囲を含む、任意のペプチドを指す。より具体的には、IL-2タンパク質断片は、IL-2タンパク質、好ましくは配列番号2のタンパク質の、少なくとも50個、例えば、少なくとも60個、少なくとも70個又は少なくとも80個の連続したアミノ酸を含む。
【0031】
「IL-2」という用語はまた、上記の配列を有するが、アミド結合、並びにエステル結合などの非アミド結合の両者を含む骨格を有する、例えばデプシペプチドのような、ポリ(アミノ酸)コンジュゲートを含む。デプシペプチドは、その骨格がアミド(ペプチド)結合とエステル結合の両者を含有するアミノ酸残基鎖である。したがって、本明細書で使用される「側鎖」という用語は、アミノ酸部分がペプチド又はタンパク質におけるようにアミン結合を通して連結されている場合には、アミノ酸部分のα炭素に結合している部分を指し、又は、例えばデプシペプチドの場合のように、ポリ(アミノ酸)コンジュゲートの骨格に結合している任意の炭素原子含有部分を指す。好ましくは、「IL-2」という用語は、アミド(ペプチド)結合を通して形成される骨格を有するタンパク質を表す。
【0032】
IL-2という用語は、IL-2の上記バリアント、アナログ、オルソログ、ホモログ、誘導体及び断片を含んでいるので、基準配列内の具体的な位置へのすべての言及には、たとえ具体的に触れられなくても、IL-2部分のこれらのバリアント、アナログ、オルソログ、ホモログ、誘導体及び断片における同等の位置も含まれる。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「バイアスIL-2」は、前記バイアスIL-2のIL-2Rβに対するKDに対する、前記バイアスIL-2のIL-2Rαβに対するKDの比が、配列番号2のアルデスロイキンのIL-2Rβに対するKDに対する、アルデスロイキンのIL-2Rαβに対するKDの比より大きい改変IL-2を指す。これは以下の式によって記載される:
【数1】
(式中、
【数2】
であり、
「バイアスIL-2のIL-2Rαβに対するKD」は、バイアスIL-2のIL-2Rαβに対するKDであり、
「バイアスIL-2のIL-2Rαβに対するKD」は、バイアスIL-2のIL-2Rβに対するKDであり、
「アルデスロイキンのIL-2Rαβに対するKD」は、アルデスロイキンのIL-2Rαβに対するKDであり、
「アルデスロイキンのIL-2Rβに対するKD」は、アルデスロイキンのIL-2Rβに対するKDである)。
【0034】
バイアスIL-2のIL-2Rαβに対するKD、バイアスIL-2のIL-2Rβに対するKD、アルデスロイキンのIL-2Rαβに対するKD、及びアルデスロイキンのIL-2Rβに対するKDを決定するために必要な結合親和性/速度論(kinetics)は、以下のようにBiacore機器(GE Healthcare)において測定した表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して評価され得る:CM5(又は代替的にC1若しくはCM4)チップ上のヒトFc捕捉表面を、抗ヒトFc抗体による共有結合性コーティングによって調製するか、又は代替的にプロテインAチップを使用する。次に、IL-2Rβ-Fc、又はIL2-Rα-Fc及びIL2-Rβ-Fcの適切な混合物、例えば1:1混合物をチップ上に固定する。親和性/速度論定数を測定するために、検体の連続希釈液を、IL-2化合物に関して、例えば1.5nMから2μMの間、又は100nM及び1μMから出発して、(例えば、0.03nM~100nM、又は0.1nM~1nMまで)作製する。検体を各々、適切な時間、例えば1~30分間(例えば2分間であってもよく、又は3分間であってもよい)、受容体修飾チップに曝露した後、適切な時間、例えば2~60分間(例えば10分間であってもよい)洗い流す。希釈系列から得た結合曲線を、1:1速度論モデルにフィットさせて、観察された応答ユニット(R)を結合速度定数及び解離速度定数ka及びkdと関連付ける:
【数3】
(式中、
tは、時間であり、
Cは、検体の濃度であり、
Rmaxは、表面の最大結合能である)。
【0035】
速度論1:1モデルを介して決定した場合、解離速度と結合速度との比は、平衡解離定数KDを提供する。
【0036】
或いは、希釈系列から得た結合曲線を、検体濃度(C)に対する定常状態結合レベル(Req)のプロットから1:1相互作用に関するKDを計算する1:1定常状態相互作用モデル:
【数4】
(式中、
Reqは、定常状態結合レベルであり、
Cは、検体の濃度であり、
Rmaxは、表面の最大結合能である)
にフィットさせる。
【0037】
必ずしもあらゆる計算方法があらゆるバイアスIL-2分子について可能であり得るわけではないことが理解される。例えば、反応が速すぎる場合、1:1速度論モデルを使用することが可能ではない場合があり、1:1定常状態相互作用モデルが使用され得る。例えば、平衡が得られない場合、1:1相互作用モデルを使用することは可能ではない場合があり、1:1速度論モデルが使用され得る。
【0038】
バイアスIL-2のIL2Rαβ及びIL2Rβに対するKDは、バイアスIL-2について測定されるが、本発明のIL-2コンジュゲートに関しては測定されないことが理解される。このように、KD測定は、部分-L1-、-L2-、及び-Zの非存在下、好ましくは本発明のIL-2コンジュゲートが合成される前に行われるが、但しIL-2コンジュゲートが翻訳融合タンパク質である場合、KDは、バイアスIL-2が放出された後、例えばプロテアーゼ切断後又は化学切断後に測定される。
【0039】
そのようなバイアスIL-2は、IL-2部分、好ましくは少なくとも1つのアミノ酸変異、又は少なくとも1つの欠失、又は少なくとも1つの修飾部分Mmod、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10個の修飾部分Mmod、又はその任意の組合せを含む配列番号2のアミノ酸配列を有するIL-2部分であるタンパク質部分を含む。部分Mmodは、タンパク質部分又は非タンパク質部分であり得る。バイアスIL-2が1つより多くの部分Mmodを含む場合、これらは同じであっても異なっていてもよい。ある特定の実施形態では、IL-2部分は、配列番号1の配列を有する。
【0040】
本発明のIL-2コンジュゲートにおいて、バイアスIL-2は、対応するバイアスIL-2部分の形態で存在し、本発明のIL-2コンジュゲートは、全ての部分-Zが放出されると、すなわちバイアスIL-2部分、すなわち-Dと-L1-との間の可逆的結合が切断されると、バイアスIL-2を放出する。
【0041】
本明細書で使用される場合、用語「親和性」は、ある分子(例えば、受容体)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、リガンド)との間の非共有結合性相互作用の合計の強度を指す。他に示していない限り、本明細書で使用される場合、「親和性」は、結合ペアのメンバーの間(例えば、受容体とリガンドの間)の1:1相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。ある分子XのそのパートナーYに対する親和性は一般的に、平衡状態で測定した解離速度定数と結合速度定数(それぞれ、kd及びka)との比である平衡解離定数(KD)によって表すことができる。したがって、同等の親和性は、速度定数の比が同じままである限り、異なる速度定数を含み得る。親和性は、本明細書に記載の方法を含む当技術分野で公知の十分に確立された方法によって測定することができる。
【0042】
本明細書で使用される場合、用語「IL-2受容体のαサブユニット」及び「IL-2Rα」は、ヒトCD25を指す。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「IL-2受容体のβサブユニット」及び「IL-2Rβ」は、ヒトCD122を指す。
【0044】
本明細書で使用される場合、用語「IL-2受容体のα及びβサブユニット」、「IL-2Rのα及びβサブユニット」及び「IL-2Rαβ」は、IL-2Rα及びIL-2Rβの混合物、例えば1:1混合物を指す。
【0045】
本発明のIL-2コンジュゲートは、バイアスIL-2を放出し、すなわち本発明のIL-2コンジュゲートは、バイアスIL-2のプロドラッグである。本明細書で使用される場合、用語「プロドラッグ」は、リンカー部分(「可逆的プロドラッグリンカー」とも呼ばれ得る)を通して特殊化された保護基に可逆的且つ共有結合で連結された生物活性部分、例えばバイアスIL-2部分を指し、リンカー部分は、生物活性部分との可逆的結合を含み、特殊化された保護基は、生物活性部分の親分子、すなわち対応する薬物における望ましくない特性を変化させるか又は除去する。これはまた、薬物における望ましい特性の増強及び望ましくない特性の抑制を含む。特殊化された非毒性の保護基は、「担体」と呼ばれる。プロドラッグは、可逆的且つ共有結合で結合した生物活性部分をその対応する薬物の形態で放出する。言い換えれば、プロドラッグは、可逆的なプロドラッグリンカー部分を介して担体部分に共有結合で且つ可逆的にコンジュゲートされた生物活性部分を含むコンジュゲートであり、担体と可逆的プロドラッグリンカー部分との共有結合で且つ可逆的なコンジュゲーションは、直接であるか、又はスペーサー部分を通してである。「生物活性部分」の別の用語は「薬物部分」である。
【0046】
本明細書で使用される場合、第1の部分の第2の部分との結合に関する用語「可逆的」、「可逆的に」、「分解可能」、又は「分解可能に」は、前記第1の部分と第2の部分とを連結する結合が、pH7.4、37℃の水性緩衝液である生理的条件下で切断可能であり、半減期が1時間から3ヶ月、好ましくは1時間から2ヶ月、更により好ましくは1時間から1ヶ月の範囲であることを意味する。切断は、酵素的又は非酵素的であり得、好ましくは非酵素的である。したがって、第1の部分の第2の部分との結合に関する用語「安定な」又は「永続的」は、前記第1の部分と第2の部分とを連結する結合が、生理的条件下で3ヶ月より長い半減期で切断可能であることを意味する。
【0047】
本明細書で使用される場合、用語「修飾部分」は、好ましくは置換基又はポリマー部分を指す。
【0048】
本明細書で使用される場合、用語「ジスルフィド架橋化」は、ジスルフィド架橋の2つの硫黄原子間の1つの部分の挿入を指す。これは、2つのチオール反応性官能基の間に前記部分を有する試薬を使用すること、及び各々のチオール反応性官能基をジスルフィド架橋の硫黄原子の1つと反応させ、それによってジスルフィド結合の事前の還元後に前記硫黄原子間にその部分が挿入されることによって達成される。ペプチド又はタンパク質に1つより多くのジスルフィド架橋が存在する場合、ジスルフィド架橋は、1つのジスルフィド架橋の硫黄原子の間に挿入され得るか、又は異なるジスルフィド架橋の硫黄原子の間に挿入され得る。そのようなジスルフィド架橋は、ペプチド若しくはタンパク質に天然に存在してもよく、又は例えば既存のアミノ酸部分を、システイン部分に置き換えることによって、又はシステイン部分をペプチド若しくはタンパク質に付加することによって人為的に導入されていてもよい。
【0049】
本明細書で使用される場合、用語「試薬」は、別の化学化合物又は薬物の官能基との反応のために少なくとも1つの官能基を含む化学化合物を意味する。官能基(例えば、一級若しくは二級アミン、又はヒドロキシル官能基)を含む薬物もまた、試薬であると理解される。
【0050】
本明細書で使用される場合、用語「部分」は、対応する試薬と比較して1つ以上の原子が欠如している分子の一部を意味する。例えば、式「H-X-H」の試薬が、別の試薬と反応して反応生成物の一部となる場合、反応生成物の対応する部分は、構造「H-X-」又は「-X-」を有し、各々の「-」は、別の部分に対する結合を示す。したがって、生物活性部分は、可逆的結合から薬物として放出される。
【0051】
2つの部分に結合しているか又は部分に割り込んでいる原子群の配列又は化学構造が提供されている場合、前記配列又は化学構造は、他に明白に述べていない限り、いずれの方向でもこの2つの部分に結合させることができると理解される。例えば、部分「-C(O)N(R1)-」は、「-C(O)N(R1)-」若しくは「-N(R1)C(O)-」のいずれかとして2つの部分に結合することができ、又は部分に割り込むことができる。同様に、部分
【化2】
は、
【化3】
若しくは
【化4】
のいずれかとして2つの部分に結合することができ、又は部分に割り込むことができる。
【0052】
本明細書で使用される場合、用語「置換された」は、分子又は部分の1つ以上の-H原子が、「置換基」と呼ばれる異なる原子又は原子群に置き換えられていることを意味する。
【0053】
本明細書で使用される場合、用語「置換基」は、好ましくはハロゲン、-CN、-COORx1、-ORx1、-C(O)Rx1、-C(O)N(Rx1Rx1a)、-S(O)2N(Rx1Rx1a)、-S(O)N(Rx1Rx1a)、-S(O)2Rx1、-S(O)Rx1、-N(Rx1)S(O)2N(Rx1aRx1b)、-SRx1、-N(Rx1Rx1a)、-NO2、-OC(O)Rx1、-N(Rx1)C(O)Rx1a、-N(Rx1)S(O)2Rx1a、-N(Rx1)S(O)Rx1a、-N(Rx1)C(O)ORx1a、-N(Rx1)C(O)N(Rx1aRx1b)、-OC(O)N(Rx1Rx1a)、-T0、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルからなる群から選択される部分を指し、ここで、-T0、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Rx2によって任意選択で置換され、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルは、-T0-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Rx3)-、-S(O)2N(Rx3)-、-S(O)N(Rx3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Rx3)S(O)2N(Rx3a)-、-S-、-N(Rx3)-、-OC(ORx3)(Rx3a)-、-N(Rx3)C(O)N(Rx3a)-、及び-OC(O)N(Rx3)-からなる群から選択される1つ以上の基によって任意選択で割り込まれ、
-Rx1、-Rx1a、-Rx1bは、-H、-T0、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルからなる群から互いに独立して選択され、ここで、-T0、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Rx2によって任意選択で置換され、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルは、-T0-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Rx3)-、-S(O)2N(Rx3)-、-S(O)N(Rx3)-;-S(O)2-、-S(O)-、-N(Rx3)S(O)2N(Rx3a)-、-S-、-N(Rx3)-、-OC(ORx3)(Rx3a)-、-N(Rx3)C(O)N(Rx3a)-、及び-OC(O)N(Rx3)-からなる群から選択される1つ以上の基によって任意選択で割り込まれ、
各々のT0は、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、及び8~11員ヘテロビシクリルからなる群から独立して選択され、各々のT0は、同じ又は異なる1つ以上の-Rx2によって独立して任意選択で置換され、
各々の-Rx2は、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COORx4、-ORx4、-C(O)Rx4、-C(O)N(Rx4Rx4a)、-S(O)2N(Rx4Rx4a)、-S(O)N(Rx4Rx4a)、-S(O)2Rx4、-S(O)Rx4、-N(Rx4)S(O)2N(Rx4aRx4b)、-SRx4、-N(Rx4Rx4a)、-NO2、-OC(O)Rx4、-N(Rx4)C(O)Rx4a、-N(Rx4)S(O)2Rx4a、-N(Rx4)S(O)Rx4a、-N(Rx4)C(O)ORx4a、-N(Rx4)C(O)N(Rx4aRx4b)、-OC(O)N(Rx4Rx4a)、及びC1-6アルキルからなる群から独立して選択され、ここで、C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンによって任意選択で置換され、
各々の-Rx3、-Rx3a、-Rx4、-Rx4a、-Rx4bは、-H及びC1-6アルキルからなる群から独立して選択され、ここで、C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンによって任意選択で置換される。
【0054】
好ましくは、任意選択で置換される分子の最大で6つの-H原子が、置換基によって独立して置き換えられ、例えば5つの-H原子が置換基によって独立して置き換えられ、4つの-H原子が置換基によって独立して置き換えられ、3つの-H原子が置換基によって独立して置き換えられ、2つの-H原子が置換基によって独立して置き換えられ、又は1つの-H原子が置換基によって置き換えられる。
【0055】
本明細書で使用される場合、用語「脂肪酸」は、4~28個の炭素原子を含み得る、脂肪族テールを有する飽和又は不飽和モノカルボン酸を指す。脂肪酸は、飽和又は不飽和、直鎖又は分岐したものであり得る。用語「脂肪酸バリアント」は、置換されていてもよく、ある特定の炭素原子が他の原子又は原子群によって置き換えられてもよい、改変脂肪酸を指す。
【0056】
本明細書で使用される場合、用語「ペプチド」は、ペプチド(アミド)結合によって連結された少なくとも2個及び50個以内のアミノ酸モノマー部分の鎖を指す。用語「ペプチド」はまた、ペプチド模倣体、例えばD-ペプチド、ペプトイド、又はベータ-ペプチドを含み、50個以内のモノマー部分を有するそのようなペプチド模倣鎖を範囲に含む。
【0057】
本明細書で使用される場合、用語「タンパク質」は、ペプチド結合によって連結された、50個より多くのアミノ酸モノマー部分(「アミノ酸残基」とも呼ばれ得る)の鎖を指し、好ましくは12000個以下のアミノ酸モノマー、例えば10000個以下のアミノ酸モノマー部分、8000個以下のアミノ酸モノマー部分、5000個以下のアミノ酸モノマー部分、又は2000個以下のアミノ酸モノマー部分がペプチド結合によって連結される。
【0058】
本明細書において数値と組み合わせて使用される用語「約」は、数値プラス/マイナス前記数値の25%以下、より好ましくは前記数値の20%以下、最も好ましくは前記数値の10%以下の範囲(両端を含む)を示すために使用される。例えば、「約200」という句は、200+/-25%の範囲(両端を含む)、すなわち、150~250の範囲(両端を含む);好ましくは、200+/-20%の範囲(両端を含む)、すなわち、160~240の範囲(両端を含む);更に一層好ましくは、200+/-10%の範囲(両端を含む)、すなわち、180~220の範囲(両端を含む)を示すために使用される。「約50%」として示される百分率は、「50%+/-25%」、すなわち25~75%の範囲(両端を含む)であることを意味するのではなく、「約50%」は、37.5~62.5%、すなわち、50である数値のプラス/マイナス25%の範囲(両端を含む)であることを意味することが理解される。
【0059】
本明細書で使用される場合、用語「ポリマー」は、化学結合によって直鎖状、環状、分岐型、架橋型若しくはデンドリマー状に又はこれらの組合せで連結されている反復構造単位、すなわちモノマーを含む分子であって、合成起源であっても、生体起源であっても、又は両方の組合せであってもよい分子を意味する。ポリマーは、例えば1つ以上の官能基などの、1つ以上の他の化学基及び/又は部分/部分(複数)も含み得るが理解される。同様に、ペプチド又はタンパク質もまた、個々のアミノ酸残基の側鎖は異なり得るが、ポリマーであることが理解される。好ましくは、可溶性ポリマーは、少なくとも0.5kDaの分子量、例えば、少なくとも1kDaの分子量、少なくとも2kDaの分子量、少なくとも3kDaの分子量、又は少なくとも5kDaの分子量を有する。ポリマーが可溶性である場合、ポリマーは、好ましくは最大で1000kDa、例えば最大で750kDa、例えば最大で500kDa、例えば最大で300kDa、例えば最大で200kDa、例えば最大で100kDaの分子量を有する。ハイドロゲルのような不溶性ポリマーについては、意味のある分子量範囲は提供することができないことが理解される。
【0060】
本明細書で使用される場合、用語「ポリマーの」は、1つ以上のポリマー又はポリマー部分/部分(複数)を含む試薬又は部分を意味する。ポリマー試薬又は部分は、1つ以上の他の部分/部分(複数)も任意選択で含んでもよく、それらは、好ましくは、以下からなる群から選択される:
・C1-50アルキル、C2-50アルケニル、C2-50アルキニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル及びテトラリニル、並びに
・以下を含む群から選択される結合:
【化5】
(式中、
破線は、前記部分又は試薬の残部に対する結合を示し、
-R及び-Raは、-H、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から互いに独立して選択される)。
【0061】
当業者には、重合反応から得られる重合生成物は、全て同じ分子量を有するのではなく、むしろ分子量分布を示すことが理解される。それ故、本明細書において使用する分子量範囲、分子量、ポリマー中のモノマー数範囲、及びポリマー中のモノマー数は、数平均分子量及びモノマー数平均を指し、すなわち、ポリマー又はポリマー部分の分子量の算術平均、及びポリマー又はポリマー部分のモノマー数の算術平均を指す。
【0062】
したがって、「x」個のモノマー単位を含むポリマー部分において、「x」に当てはめられるいずれの整数もモノマーの算術平均数に相当する。「x」に当てはめられる整数のいずれの範囲も、モノマーの算術平均数が存する整数範囲を提供する。「約x」として示される「x」の整数は、モノマーの算術平均数が、x+/-25%、好ましくはx+/-20%、より好ましくはx+/-10%の整数範囲内に存することを意味する。
【0063】
本明細書で使用される場合、用語「数平均分子量」は、個々のポリマーの分子量の通常の算術平均を意味する。
【0064】
本明細書で使用される場合、部分又は試薬に関する用語「PEG系」は、前記部分又は試薬がPEGを含むことを意味する。好ましくは、PEG系部分又は試薬は、少なくとも10%(w/w)PEG、例えば少なくとも20%(w/w)PEG、例えば少なくとも30%(w/w)PEG、例えば少なくとも40%(w/w)PEG、例えば少なくとも50%(w/w)、例えば少なくとも60(w/w)PEG、例えば少なくとも70%(w/w)PEG、例えば少なくとも80%(w/w)PEG、例えば少なくとも90%(w/w)PEG、例えば少なくとも95%を含む。PEG系部分又は試薬の残りの重量百分率は、以下の部分及び結合から好ましくは選択される他の部分である:
・C1-50アルキル、C2-50アルケニル、C2-50アルキニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル及びテトラリニル、並びに
・以下のものを含む群から選択される結合:
【化6】
(式中、
破線は、前記部分又は試薬の残部に対する結合を示し、
-R及び-Raは、-H、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から互いに独立して選択される)。
【0065】
用語「ヒアルロン酸系」はそれに応じて使用される。
【0066】
本明細書で使用される場合、部分又は試薬に関する用語「少なくともX% PEGを含むPEG系」は、前記部分又は試薬が少なくともX%(w/w)エチレングリコール単位(-CH2CH2O-)を含むことを意味し、前記エチレングリコール単位は、交互にブロック状(blockwise)に配列されていてもよく、又は前記部分若しくは試薬内にランダムに分布していてもよく、好ましくは、前記部分又は試薬の全てのエチレングリコール単位が1つのブロック内に存在し、そのPEG系部分又は試薬の残りの重量百分率は、以下の部分及び結合から好ましくは選択される他の部分である:
・C1-50アルキル、C2-50アルケニル、C2-50アルキニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル及びテトラリニル、並びに
・以下を含む群から選択される結合:
【化7】
(式中、
破線は、前記部分又は試薬の残部に対する結合を示し、
-R及び-Raは、-H、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から互いに独立して選択される)。
【0067】
用語「少なくともX%ヒアルロン酸を含むヒアルロン酸系」はそれに応じて使用される。
【0068】
本明細書で使用される場合、用語「ハイドロゲル」は、ホモポリマー又はコポリマーから構成される親水性又は両親媒性ポリマーネットワークを意味し、それは、疎水性相互作用、水素結合、イオン性相互作用、及び/又は共有結合性化学架橋の存在のために不溶性である。架橋は、ネットワーク構造及び物理的完全性(physical integrity)を提供する。
【0069】
用語「割り込まれる」は、ある部分が、2個の炭素原子間に挿入されているか、又は挿入がその部分の末端の一にある場合、炭素又はヘテロ原子と水素原子との間、好ましくは、炭素と水素原子との間に挿入されていることを意味する。
【0070】
本明細書で使用される場合、用語「C1-4アルキル」は、単独で又は組合せで、1~4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル部分を意味する。分子の末端に存在する場合、直鎖又は分岐C1-4アルキルの例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びtert-ブチルである。分子の2つの部分がC1-4アルキルによって結合されている場合には、そのようなC1-4アルキル基の例は、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH(CH3)-、-CH2-CH2-CH2-、-CH(C2H5)-、-C(CH3)2-である。C1-4アルキル炭素の各水素は、上で定義したような置換基によって任意選択で置き換えられてもよい。任意選択で、C1-4アルキルは、下で定義するような1つ以上の部分によって割り込まれてもよい。
【0071】
本明細書で使用される場合、用語「C1-6アルキル」は、単独で又は組合せで、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル部分を意味する。分子の末端に存在する場合、直鎖及び分岐C1-6アルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、2-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル及び3,3-ジメチルプロピルである。分子の2つの部分がC1-6アルキル基によって結合されている場合には、そのようなC1-6アルキル基の例は、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH(CH3)-、-CH2-CH2-CH2-、-CH(C2H5)-及び-C(CH3)2-である。C1-6炭素の各水素原子は、上で定義したような置換基によって任意選択で置き換えられてもよい。任意選択で、C1-6アルキルは、下で定義するような1つ以上の部分によって割り込まれてもよい。
【0072】
したがって、「C1-10アルキル」、「C1-20アルキル」又は「C1-50アルキル」は、それぞれ、1~10、1~20、又は1~50個の炭素原子を有するアルキル鎖を意味し、C1-10、C1-20又はC1-50炭素の各水素原子は、上で定義したような置換基によって任意選択で置き換えられてもよい。任意選択で、C1-10又はC1-50アルキルは、下で定義するような1つ以上の部分によって割り込まれてもよい。
【0073】
本明細書で使用される場合、用語「C2-6アルケニル」は、単独で又は組合せで、2~6個の炭素原子を有する、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む、直鎖又は分岐炭化水素部分を意味する。分子の末端に存在する場合、例は、-CH=CH2、-CH=CH-CH3、-CH2-CH=CH2、-CH=CHCH2-CH3及び-CH=CH-CH=CH2である。分子の2つの部分がC2-6アルケニル基によって結合されている場合には、そのようなC2-6アルケニルの例は、-CH=CH-である。C2-6アルケニル部分の各水素原子は、上で定義したような置換基によって任意選択で置き換えられてもよい。任意選択で、C2-6アルケニルは、下で定義するような1つ以上の部分によって割り込まれてもよい。
【0074】
したがって、用語「C2-10アルケニル」、「C2-20アルケニル」又は「C2-50アルケニル」は、単独で又は組合せで、2~10、2~20、又は2~50個の炭素原子を有する、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む、直鎖又は分岐炭化水素部分を意味する。C2-10アルケニル、C2-20アルケニル又はC2-50アルケニル基の各水素原子は、上で定義したような置換基によって任意選択で置き換えられてもよい。任意選択で、C2-10アルケニル、C2-20アルケニル又はC2-50アルケニルは、下で定義するような1つ以上の部分によって割り込まれてもよい。
【0075】
本明細書で使用される場合、用語「C2-6アルキニル」は、単独で又は組合せで、2~6個の炭素原子を有する、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含む、直鎖又は分岐炭化水素部分を意味する。分子の末端に存在する場合、例は、-C≡CH、-CH2-C≡CH、CH2-CH2-C≡CH及びCH2-C≡C-CH3である。分子の2つの部分がアルキニル基によって結合されている場合には、例は、-C≡C-である。C2-6アルキニル基の各水素原子は、上で定義したような置換基によって任意選択で置き換えられてもよい。任意選択で、1つ以上の二重結合が存在してもよい。任意選択で、C2-6アルキニルは、下で定義するような1つ以上の部分によって割り込まれてもよい。
【0076】
したがって、本明細書で使用される場合、用語「C2-10アルキニル」、「C2-20アルキニル」及び「C2-50アルキニル」は、単独で又は組合せで、それぞれ2~10、2~20、又は2~50個の炭素原子を有する、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含む、直鎖又は分岐炭化水素部分を意味する。C2-10アルキニル、C2-20アルキニル又はC2-50アルキニル基の各水素原子は、上で定義したような置換基によって任意選択で置き換えられてもよい。任意選択で、1つ以上の二重結合が存在してもよい。任意選択で、C2-10アルキニル、C2-20アルキニル又はC2-50アルキニルは、下で定義するような1つ以上の部分によって割り込まれてもよい。
【0077】
上で述べたように、C1-4アルキル、C1-6アルキル、C1-10アルキル、C1-20アルキル、C1-50アルキル、C2-6アルケニル、C2-10アルケニル、C2-20アルケニル、C2-50アルケニル、C2-6アルキニル、C2-10アルキニル、C2-20アルケニル又はC2-50アルキニルは、任意選択で、1つ以上の部分によって割り込まれてもよく、前記1つ以上の部分は、好ましくは、
【化8】
(式中、
破線は、前記部分又は試薬の残部に対する結合を示し、
-R及び-Raは、-H、並びにメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から互いに独立して選択される)
からなる群から選択される。
【0078】
本明細書で使用される場合、用語「C3-10シクロアルキル」は、飽和されていてもよく、又は不飽和であってもよい、3~10個の炭素原子を有する環状アルキル鎖、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル又はシクロデシルを意味する。C3-10シクロアルキル炭素の各水素原子は、上で定義したような置換基によって置き換えられてもよい。用語「C3-10シクロアルキル」は、ノルボルナン又はノルボルネンのような架橋された二環も含む。
【0079】
用語「8~30員カルボポリシクリル」又は「8~30員炭素多環(carbopolycycle)」は、8~30個の環原子を有し、2つの隣接する環が少なくとも1個の環原子を共有している、2環以上の環状部分であって、最大数までの二重結合を含有し得る環状部分(完全に飽和されている、部分的に飽和されている、又は不飽和である、芳香族又は非芳香族環)を意味する。好ましくは、8~30員カルボポリシクリルは、2、3、4又は5環、より好ましくは2、3又は4環の環状部分を意味する。
【0080】
本明細書で使用される場合、用語「3~10員ヘテロシクリル」又は「3~10員複素環」は、3、4、5、6、7、8、9又は10個の環原子を有し、最大数までの二重結合を含有し得る環(完全に飽和されている、部分的に飽和されている、又は不飽和である、芳香族又は非芳香族環)であって、少なくとも1個の環原子、最大で4個までの環原子が、硫黄(-S(O)-、-S(O)2-を含む)、酸素、及び窒素(=N(O)-を含む)からなる群から選択されるヘテロ原子によって置き換えられ、環が炭素又は窒素原子によって分子の残部に結合している、環を意味する。3~10員複素環の例としては、アジリジン、オキシラン、チイラン、アジリン、オキシレン、チイレン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、フラン、チオフェン、ピロール、ピロリン、イミダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、オキサゾール、オキサゾリン、イソオキサゾール、イソオキサゾリン、チアゾール、チアゾリン、イソチアゾール、イソチアゾリン、チアジアゾール、チアジアゾリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、チアゾリジン、イソチアゾリジン、チアジアゾリジン、スルホラン、ピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、イミダゾリジン、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、テトラゾール、トリアゾール、トリアゾリジン、テトラゾリジン、ジアゼパン、アゼピン及びホモピペラジンが挙げられるが、これらに限定されない。3~10員ヘテロシクリル又は3~10員複素環式基の各水素原子は、下で定義するような置換基によって置き換えられてもよい。
【0081】
本明細書で使用される場合、用語「8~11員ヘテロビシクリル」又は「8~11員複素二環(heterobicycle)」は、8~11個の環原子を有し、最大数までの二重結合を含有し得る、2環の複素環式部分(完全に飽和されている、部分的に飽和されている、又は不飽和である、芳香族又は非芳香族環)であって、少なくとも1個の環原子が、両方の環によって共有されており、少なくとも1個の環原子、最大で6個までの環原子が、硫黄(-S(O)-、-S(O)2-を含む)、酸素、及び窒素(=N(O)-を含む)からなる群から選択されるヘテロ原子によって置き換えられており、前記環が、炭素又は窒素原子によって分子の残部に結合している、複素環式部分を意味する。8~11員複素二環の例は、インドール、インドリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾリン、キノリン、キナゾリン、ジヒドロキナゾリン、キノリン、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、デカヒドロキノリン、イソキノリン、デカヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、ジヒドロイソキノリン、ベンザゼピン、プリン及びプテリジンである。用語8~11員複素二環は、1,4-ジオキサ-8-アザスピロ[4.5]デカンのような2環のスピロ構造、又は8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタンのような架橋複素環も含む。8~11員ヘテロビシクリル又は8~11員複素二環炭素の各水素原子は、下で定義するような置換基によって置き換えられてもよい。
【0082】
同様に、用語「8~30員ヘテロポリシクリル」又は「8~30員複素多環(heteropolycycle)」は、8~30個の環原子を有し、最大数までの二重結合を含有し得る、2つより多くの環、好ましくは3、4又は5環の複素環式部分(完全に飽和されている、部分的に飽和されている、又は不飽和である、芳香族又は非芳香族環)であって、2つの隣接する環が、少なくとも1個の環原子を共有しており、少なくとも1個の環原子、最大で10個までの環原子が、硫黄(-S(O)-、-S(O)2-を含む)、酸素、及び窒素(=N(O)-を含む)の群から選択されるヘテロ原子によって置き換えられており、前記環が、炭素又は窒素原子によって分子の残部に結合している、複素環式部分を意味する。
【0083】
構造:
【化9】
の部分に関して、「ペアRx/Ryは、それらが結合している原子と一緒になって、C3-10シクロアルキル又は3~10員ヘテロシクリルを形成する」という句は、Rx及びRyが、下記構造を形成することを意味することが理解される:
【化10】
(式中、Rは、C3-10シクロアルキル又は3~10員ヘテロシクリルである)。
【0084】
構造:
【化11】
の部分に関して、「ペアRx/Ryは、それらが結合している原子と一緒になって、環Aを形成する」という句は、Rx及びRyが、下記構造を形成することを意味することも理解される:
【化12】
【0085】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを意味する。ハロゲンはフルオロ又はクロロであることが一般に好ましい。
【0086】
本明細書で使用される場合、用語「官能基」は、他の原子群と反応することができる原子群を意味する。例示的な官能基は、例えばカルボン酸(-(C=O)OH)、一級又は二級アミン(-NH2、-NH-)、マレイミド、チオール(-SH)、スルホン酸(-(O=S=O)OH)、カーボネート、カルバメート(-O(C=O)N<)、ヒドロキシル(-OH)、アルデヒド(-(C=O)H)、ケトン(-(C=O)-)、ヒドラジン(>N-N<)、イソシアネート、イソチオシアネート、リン酸(-O(P=O)OHOH)、ホスホン酸(-O(P=O)OHH)、ハロアセチル、ハロゲン化アルキル、アクリロイル、フッ化アリール、ヒドロキシルアミン、ジスルフィド、スルホンアミド、硫酸、ビニルスルホン、ビニルケトン、ジアゾアルカン、オキシラン、及びアジリジンである。
【0087】
本発明のIL-2コンジュゲートが1つ以上の酸性又は塩基性基を含む場合、本発明はまた、その対応する薬学的又は毒性学的に許容される塩、特にその薬学的に利用可能な塩も含む。このように、酸性基を含む本発明のIL-2コンジュゲートを、本発明に従って、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、又はアンモニウム塩として使用することができる。そのような塩のより正確な例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、又はアンモニア若しくは有機アミン、例えばエチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミン、若しくはアミノ酸との塩が挙げられる。1つ以上の塩基性基、すなわちプロトン化することができる基を含む本発明のIL-2コンジュゲートは、本発明に従って無機酸又は有機酸とのその付加塩の形態で存在することができ、使用することができる。適切な酸の例としては、塩化水素、臭化水素、リン酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、シュウ酸、酢酸、酒石酸、乳酸、サリチル酸、安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、ピバル酸、ジエチル酢酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、スルファミン酸、フェニルプロピオン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、イソニコチン酸、クエン酸、アジピン酸、及び当業者に公知の他の酸が挙げられる。当業者においては、正電荷を持つアンモニウム基及び塩の適切な対イオンをもたらすアミン基のアルキル化のような、塩基性基を陽イオンに変換する更なる方法が公知である。本発明のIL-2コンジュゲートが、酸性基及び塩基性基を同時に含む場合、本発明はまた、言及した塩の形態に加えて、分子内塩又はベタイン(双性イオン)も含む。それぞれの塩は、当業者に公知である通例の方法によって、例えばこれらのプロドラッグを溶媒若しくは分散剤中で有機若しくは無機の酸若しくは塩基と接触させるステップ、又は他の塩との陰イオン交換若しくは陽イオン交換によって得ることができる。本発明はまた、低い生理学的適合性により、医薬品に使用するためには直接適していないが、例えば化学反応の中間体として、又は薬学的に許容される塩を調製するために使用することができる本発明のIL-2コンジュゲートの全ての塩も含む。
【0088】
用語「薬学的に許容される」とは、患者に投与した場合に害を引き起こさない物質を意味し、好ましくは動物での使用、好ましくはヒトでの使用に関して規制当局、例えばEMA(ヨーロッパ)及び/又はFDA(US)及び/又は他の任意の国の規制当局によって承認されていることを意味する。
【0089】
本明細書で使用される場合、用語「賦形剤」は、それと共に治療剤、例えば薬物若しくはプロドラッグが投与される希釈剤、アジュバント、又は媒体を指す。そのような薬学的賦形剤は、滅菌液、例えば水及び油、例えば石油、動物、植物又は合成起源のもの、例えば、限定されないが、落花生油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油等であり得る。水は、医薬組成物を経口投与する場合の好ましい賦形剤である。食塩水及び水性デキストロースは、医薬組成物を静脈内投与する場合の好ましい賦形剤である。食塩水溶液及び水性デキストロース及びグリセロール溶液は好ましくは、注射用溶液のための液体賦形剤として使用される。適切な薬学的賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、マンニトール、トレハロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール等が挙げられる。所望の場合、医薬組成物はまた、微量の湿潤剤若しくは乳化剤、pH緩衝剤等、例えば酢酸塩、コハク酸塩、トリス、炭酸塩、リン酸塩、HEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)、MES(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸)も含有し得るか、又は界面活性剤、例えばTween、ポロキサマー、ポロキサミン、CHAPS、Igepal、若しくはアミノ酸、例えばグリシン、リジン、若しくはヒスチジンを含有し得る。これらの医薬組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、徐放性製剤等の形態を取り得る。医薬組成物は、通常の結合剤及び賦形剤、例えばトリグリセリドと共に坐剤として製剤化することができる。経口製剤は、標準的な賦形剤、例えば薬学等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム等を含み得る。そのような組成物は、患者に適切に投与するための形態を提供するために適切な量の賦形剤と共に、治療有効量の薬物又は生物活性部分を含有する。製剤は、投与様式に適合すべきである。
【0090】
一般的に、用語「含む(comprise)」又は「含む(comprising)」はまた、「からなる(consist of)」又は「からなる(consisting of)」も包含する。
【0091】
バイアスIL-2の比アルデスロイキンに対する比は、1より大きく、好ましくは2より大きく、好ましくは3より大きく、好ましくは4より大きく、更により好ましくは5より大きい。ある特定の実施形態では、比バイアスIL-2の比アルデスロイキンに対する比は、10より大きく、20より大きく、50より大きく、70より大きく、100より大きく、又は150より大きい。
【0092】
バイアスIL-2部分-Dは、IL-2部分、好ましくは
(a)同じ又は異なり得る修飾部分Mmodの少なくとも1つの安定な結合、又は
(b)少なくとも1つのアミノ酸変異、又は
(c)少なくとも1つの欠失、又は
(a)、(b)、及び(c)の任意の組合せ
を含むアルデスロイキンである。
【0093】
(a)、(b)、及び(c)に記載した改変のうち少なくとも1つは、-Dに存在し、バイアスIL-2部分において比バイアスIL-2が比アルデスロイキンより高いことを確実にする。しかし、IL-2部分はまた、個別に見た場合に比バイアスIL-2が比アルデスロイキンより高いことを確実にしない、(a)、(b)、及び(c)に記載される1つ以上の改変も含み得ることは理解される。そのような追加の改変は、例えば-Dの産生又は貯蔵特性の改善を提供し得る。
【0094】
一実施形態では、バイアスIL-2部分は、修飾部分MmodのIL-2部分に対する少なくとも1つの安定な結合を含む。別の実施形態では、バイアスIL-2部分は、IL-2部分において少なくとも1つのアミノ酸変異を含む。別の実施形態では、バイアスIL-2部分は、IL-2部分において少なくとも1つの欠失を含む。別の実施形態では、バイアスIL-2部分は、修飾部分MmodのIL-2部分に対する少なくとも1つの安定な結合及びIL-2部分において少なくとも1つのアミノ酸変異を含む。別の実施形態では、バイアスIL-2部分は、修飾部分MmodのIL-2部分に対する少なくとも1つの安定な結合及びIL-2部分において少なくとも1つの欠失を含む。別の実施形態では、バイアスIL-2部分は、IL-2部分において少なくとも1つのアミノ酸変異及び少なくとも1つの欠失を含む。別の実施形態では、バイアスIL-2部分は、修飾部分MmodのIL-2部分に対する少なくとも1つの安定な結合、IL-2部分における少なくとも1つのアミノ酸変異及び少なくとも1つの欠失を含む。
【0095】
バイアスIL-2部分は、修飾部分MmodのIL-2部分に対する少なくとも1つの安定な結合を含み得る。Mmodの結合は、IL-2部分のN末端、C末端、アミノ酸側鎖、又は内部部位であり得る。そのような部分Mmodは、好ましくは置換基又はポリマー部分であり得る。ある特定の実施形態では、Mmodの結合は、IL-2部分のN末端である。ある特定の実施形態では、Mmodの結合は、IL-2部分のC末端である。ある特定の実施形態では、Mmodの結合は、IL-2部分のアミノ酸側鎖である。ある特定の実施形態では、Mmodの結合は、IL-2部分の内部部位である。1つより多くの部分MmodがIL-2部分に結合する場合、結合は、N末端、C末端、アミノ酸残基の側鎖、及び内部部位からなる群から選択される結合部位の任意の組合せで起こり得る。
【0096】
一実施形態では、Mmodは置換基である。好ましくは、そのような置換基は、15Da~1kDaの範囲の分子量を有する。
【0097】
そのような部分Mmodは、一実施形態では、ジスルフィド架橋化の形態で導入され得る。好ましくは、そのようなジスルフィド架橋化は、2つのシステイン残基のチオール基の間で形成される。そのようなジスルフィド架橋化は、内部部位で修飾部分を結合するための一例である。一実施形態では、これらのシステイン残基は、天然に存在するシステイン残基であり得る。別の実施形態では、システイン残基の1つ又は両方は天然に存在しないが、IL-2部分、好ましくは配列番号2のIL-2部分に付加若しくは挿入されたか、又はIL-2部分、好ましくは配列番号2のIL-2部分の天然に存在するアミノ酸残基と置き換えられた。
【0098】
そのようなジスルフィド架橋化を得る好ましい方法は、Jones et al.(J. Am. Chem. Soc.、2012、134(3)、pp 1847-1852)、国際公開第2011/018611号、国際公開第2011/018612号、及び国際公開第2011/018613号に開示されている。
【0099】
好ましくは、そのようなジスルフィド架橋化は、IL-2Rαに対する結合に関係する位置で起こる。したがって、好ましくは、ジスルフィド架橋化は、アルデスロイキンと比較してバイアスIL-2部分のIL-2Rαβに対する親和性の低減をもたらす。
【0100】
一実施形態では、ジスルフィド架橋化は、IL-2部分が配列番号2の配列を有する場合、C57とC104との間で形成される。
【0101】
別の実施形態では、Mmodは、ポリマー部分である。そのようなポリマー部分は、直鎖、分岐、又はマルチアームポリマーを含み得る。一実施形態では、ポリマーは、直鎖ポリマーである。別の実施形態では、ポリマーは、分岐ポリマーである。そのような分岐ポリマーは、好ましくは1、2、3、4、又は5つの分岐点を有する。各々の分岐点から、好ましくは2、3、又は4つのポリマーアームが伸長する。別の実施形態では、ポリマーは、マルチアームポリマーである。そのようなマルチアームポリマーは、好ましくは3、4、5、6、7、又は8つのポリマーアームを有する。
【0102】
Mmodがポリマー部分である場合、そのようなポリマー部分は、好ましくは0.5kDa~1000kDa、例えば1kDa~1000kDa、より好ましくは2kDa~500kDa、更により好ましくは3kDa~200kDa、最も好ましくは5kDa~120kDaの範囲の分子量を有するか、又は7~40kDaの範囲の分子量を有する。一実施形態では、そのようなポリマーは、約0.5kDaの分子量を有する。一実施形態では、そのようなポリマーは、約1kDaの分子量を有する。一実施形態では、そのようなポリマーは、約2kDaの分子量を有する。一実施形態では、そのようなポリマーは、約3kDaの分子量を有する。一実施形態では、そのようなポリマーは、約4kDaの分子量を有する。一実施形態では、そのようなポリマーは、約5kDaの分子量を有する。一実施形態では、そのようなポリマーは、約7.5kDaの分子量を有する。別の実施形態では、そのようなポリマー部分は、約10kDaの分子量を有する。別の実施形態では、そのようなポリマー部分は、約15kDaの分子量を有する。別の実施形態では、そのようなポリマー部分は、約20kDaの分子量を有する。別の実施形態では、そのようなポリマー部分は、約30kDaの分子量を有する。別の実施形態では、そのようなポリマー部分は、約40kDaの分子量を有する。別の実施形態では、そのようなポリマー部分は、約50kDaの分子量を有する。別の実施形態では、そのようなポリマー部分は、約70kDaの分子量を有する。別の実施形態では、そのようなポリマー部分は、約80kDaの分子量を有する。別の実施形態では、そのようなポリマー部分は、約90kDaの分子量を有する。別の実施形態では、そのようなポリマー部分は、約100kDaの分子量を有する。一実施形態では、そのようなポリマーは、0.5kDaの分子量を有する。一実施形態では、そのようなポリマーは、1kDaの分子量を有する。一実施形態では、そのようなポリマーは、2kDaの分子量を有する。一実施形態では、そのようなポリマーは、3kDaの分子量を有する。一実施形態では、そのようなポリマーは、4kDaの分子量を有する。一実施形態では、そのようなポリマーは、5kDaの分子量を有する。一実施形態では、そのようなポリマーは、7.5kDaの分子量を有する。別の実施形態では、そのようなポリマー部分は、10kDaの分子量を有する。別の実施形態では、そのようなポリマー部分は、15kDaの分子量を有する。別の実施形態では、そのようなポリマー部分は、20kDaの分子量を有する。別の実施形態では、そのようなポリマー部分は、30kDaの分子量を有する。別の実施形態では、そのようなポリマー部分は、40kDaの分子量を有する。別の実施形態では、そのようなポリマー部分は、50kDaの分子量を有する。別の実施形態では、そのようなポリマー部分は、70kDaの分子量を有する。別の実施形態では、そのようなポリマー部分は、80kDaの分子量を有する。別の実施形態では、そのようなポリマー部分は、90kDaの分子量を有する。別の実施形態では、そのようなポリマー部分は、100kDaの分子量を有する。
【0103】
Modがポリマー部分である場合、そのようなポリマー部分は、好ましくは2-メタクリロイル-オキシエチルホスホリル(phosphoyl)コリン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリレート)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アルキルオキシ)ポリマー、ポリ(アミド)、ポリ(アミドアミン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(酸無水物)、ポリ(アスパルタミド)、ポリ(酪酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(カーボネート)、ポリ(シアノアクリレート)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、ポリ(エステル)、ポリ(エチレン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチルホスフェート)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルオキサゾリン)、ポリ(ヒドロキシメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルオキサゾリン)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(メチルオキサゾリン)、ポリ(オルガノホスファゼン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(オキサゾリン)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(シロキサン)、ポリ(ウレタン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルピロリドン)、シリコーン、セルロース、カルボメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キチン、キトサン、デキストラン、デキストリン、ゼラチン、ヒアルロン酸及び誘導体、官能化ヒアルロン酸、アルギネート、マンナン、ペクチン、ラムノガラクツロナン、デンプン、ヒドロキシアルキルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン、並びに他の炭水化物系のポリマー、キシラン、及びそのコポリマーからなる群から選択されるポリマーを含む。
【0104】
一実施形態では、Mmodは、PEG系のポリマーである。
【0105】
別の実施形態では、Mmodは、ヒアルロン酸系のポリマーである。
【0106】
別の実施形態では、Mmodは、ペプチド又はタンパク質部分を含む。一実施形態では、そのようなペプチド又はタンパク質部分Mmodは、バイアスIL-2に含まれるIL-2部分との翻訳融合体であり得る。別の実施形態では、そのようなペプチド又はタンパク質部分Mmodは、バイアスIL-2に含まれるIL-2部分に化学コンジュゲートされ得る。好ましくは、このペプチド又はタンパク質部分Mmodは、IL-2の断片又はIL-2部分ではない。
【0107】
ペプチド又はタンパク質部分の形態のMmodは、合成又は天然のタンパク質部分又はその一部若しくはバリアントであり得る。例示的な非IL-2部分は、アルブミン、抗体ドメイン、例えば免疫グロブリンのFcドメイン又は抗原結合ドメイン、CTP、及びCD25を、各々その天然に存在する形態で、又はそのバリアント若しくは断片のいずれかとして含む。
【0108】
IL-2部分に融合したペプチド又はタンパク質部分Mmodは、N末端若しくはC末端に結合させてもよく、又はIL-2部分の内部位置に挿入してもよい。1つより多くのペプチド又はタンパク質部分Mmodを、IL-2部分に翻訳融合若しくは化学コンジュゲート及び/又は挿入してもよいことが理解される。前記1つより多くのペプチド又はタンパク質部分Mmodは、同じ又は異なる配列を有し得る。例えば、バイアスIL-2部分は、IL-2部分のN末端に翻訳融合又は化学コンジュゲートされた第1のペプチド又はタンパク質部分Mmod、及びIL-2部分のC末端に翻訳融合又は化学コンジュゲートされた第2のペプチド又はタンパク質部分Mmodを有し得る。別の例では、バイアスIL-2部分は、IL-2部分のN末端に翻訳融合又は化学コンジュゲートされた第1のペプチド又はタンパク質部分Mmod、及びIL-2部分の内部位置に翻訳挿入又は化学コンジュゲートされた第2のペプチド又はタンパク質部分Mmodを含み得る。別の例では、バイアスIL-2部分は、IL-2部分のC末端に翻訳融合又は化学コンジュゲートされた第1のペプチド又はタンパク質部分Mmod、及びIL-2部分の内部位置に翻訳挿入又は化学コンジュゲートされた第2のペプチド又はタンパク質部分Mmodを含み得る。なお更なる例では、バイアスIL-2部分は、IL-2部分のN末端に翻訳融合又は化学コンジュゲートされた第1のペプチド又はタンパク質部分Mmod、IL-2部分のC末端に翻訳融合又は化学コンジュゲートされた第2のペプチド又はタンパク質部分Mmod、及びIL-2部分の内部位置に翻訳挿入又は化学コンジュゲートされた第3のペプチド又はタンパク質部分Mmodを含み得る。
【0109】
Modの結合は、IL-2部分のタンパク質原性又は非タンパク質原性アミノ酸残基であり得る。ある特定の実施形態では、Mmodの結合は、タンパク質原性アミノ酸で起こる。そのようなタンパク質原性アミノ酸残基は、好ましくはシステイン、メチオニン、ヒスチジン、リジン、トリプトファン、セリン、トレオニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、及びアルギニンからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、Mmodの結合は、非タンパク質原性アミノ酸で起こる。修飾部分が非タンパク質原性アミノ酸残基に結合する場合、そのような非タンパク質原性アミノ酸残基は、IL-2部分に人為的に導入されることが理解される。そのような非タンパク質原性アミノ酸残基は、MmodをIL-2部分にコンジュゲートするために利用可能な官能基を有する任意の非タンパク質原性アミノ酸残基であり得る。ある特定の実施形態では、そのような非タンパク質原性アミノ酸は、カルボニル、カルボニル誘導体、例えばカルボニル様基、標識カルボニル基及び保護されたカルボニル基、アジド、オキシム、並びにヒドロキシルアミンからなる群から選択される官能基をその側鎖に含む。
【0110】
ある特定の実施形態では、そのような非タンパク質原性アミノ酸は、国際公開第2006/069246号A2に記載される非タンパク質原性アミノ酸(その非タンパク原質性アミノ酸が参照により本明細書に組み込まれる)である。ある特定の実施形態では、非タンパク質原性アミノ酸は、国際公開第2006/069246号A2(その非タンパク質原性アミノ酸が参照により本明細書に組み込まれる)における、[00265]~[00283]の式(I)に記載の構造、[00284]の式(XXX)の構造、[00285]の式(XXX-A)の構造、[00286]の式(XXX-B)の構造、[00287]の式(XXXI)の構造、[00288]の式(XXXI-A)の構造、[00289]の式(XXXI-B)の構造、[00290]の式(XXXII)の構造、[00291]の式(XXXII-A)の構造、[00292]の式(XXXII-B)の構造、[00293]の式(XXXX)の構造、[00294]の式(XXXXI)の構造、誤って表示された段落[0100]、すなわち[00294]と[00295]との間の段落の式(XXXXII)の構造、[00295]及び[00296]の式(XXXXIII)の構造、[00302]~[00305]の式(XIV)の構造、[00306]及び[00307]の式(XV)の構造、[00310]~[00312]の式(XI)の構造、[00313]の式(XII)の構造、[00314]及び[00315]の式(XII)の構造、[00316]の式(XIV)の構造、[00317]の式(XVI)の構造、[00318]及び[00319]の式(XVI)の構造、[00320]及び[00321]の式(XVIII)の構造、又は[00530]の式(XXIX)の構造を有する。
【0111】
一実施形態では、Mmodの結合は、IL-2部分のリジン残基、例えば配列番号2に基づくK7、K8、K31、K34、K42、K47、K48、K53、K63、K75、及びK96からなる群から選択されるリジン残基、又は配列番号2のホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。IL-2のホモログ又はバリアントが配列番号2と比較して1つ以上の追加のリジン残基を含む場合、結合はまた、そのような追加のリジン残基でも起こり得る。配列番号2の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は11個のリジン残基を、Mmodの結合のために使用してもよいことが理解される。IL-2部分が配列番号2のホモログ又はバリアントであり、配列番号2のIL-2部分より多くのリジン残基を含む場合、11個より多くのリジン残基をMmodの結合のために使用してもよく、すなわち、配列番号2のそのようなホモログ又はバリアントに存在する最大数までのリジン残基をMmodの結合のために使用してもよい。一実施形態では、1つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの1つのリジン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る2つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの2つのリジン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る3つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの3つのリジン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る4つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの4つのリジン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る5つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの5つのリジン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る6つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの6つのリジン残基に結合する。
【0112】
別の実施形態では、Mmodの結合は、IL-2部分のトレオニン残基、例えば配列番号2に基づくT2、T6、T9、T36、T40、T50、T100、T101、T110、T112、T122、T130、及びT132からなる群から選択されるトレオニン残基、又は配列番号2のホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。IL-2のホモログ又はバリアントが配列番号2と比較して1つ以上の追加のトレオニン残基を含む場合、結合はまた、そのような追加のトレオニン残基でも起こり得る。配列番号2の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、又は13個のトレオニン残基を、Mmodの結合のために使用してもよいことが理解される。IL-2部分が配列番号2のホモログ又はバリアントであり、配列番号2のIL-2部分より多くのトレオニン残基を含む場合、13個より多くのトレオニン残基をMmodの結合のために使用してもよく、すなわち、そのようなホモログ又はバリアントに存在する最大数までのトレオニン残基をMmodの結合のために使用してもよい。一実施形態では、1つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの1つのトレオニン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る2つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの2つのトレオニン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る3つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの3つのトレオニン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る4つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの4つのトレオニン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る5つの部分Mmodが、配列番号1又はそのホモログ若しくはバリアントの5つのトレオニン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る6つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの6つのトレオニン残基に結合する。
【0113】
別の実施形態では、Mmodの結合は、IL-2部分のセリン残基、例えば配列番号2に基づくS3、S4、S5、S74、S86、S98、S124、S126、及びS129からなる群から選択されるセリン残基、又は配列番号2のホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。IL-2のホモログ又はバリアントが配列番号2と比較して1つ以上の追加のセリン残基を含む場合、結合はまた、そのような追加のセリン残基でも起こり得る。配列番号2の1、2、3、4、5、6、7、8、又は9個のセリン残基を、Mmodの結合のために使用してもよいことが理解される。IL-2部分が配列番号2のホモログ又はバリアントであり、配列番号2のIL-2部分より多くのセリン残基を含む場合、9個より多くのセリン残基をMmodの結合のために使用してもよく、すなわち、そのようなホモログ又はバリアントに存在する最大数までのセリン残基をMmodの結合のために使用してもよい。一実施形態では、1つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの1つのセリン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る2つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの2つのセリン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る3つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの3つのセリン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る4つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの4つのセリン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る5つの部分Mmodが、配列番号1又はそのホモログ若しくはバリアントの5つのセリン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る6つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの6つのセリン残基に結合する。
【0114】
別の実施形態では、Mmodの結合は、IL-2部分のチロシン残基、例えば配列番号2に基づくY30、Y44、及びY106からなる群から選択されるチロシン残基、又は配列番号2のホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。IL-2のホモログ又はバリアントが配列番号2と比較して1つ以上の追加のチロシン残基を含む場合、結合はまた、そのような追加のチロシン残基でも起こり得る。配列番号2の1、2、又は3個のチロシン残基を、Mmodの結合のために使用してもよいことが理解される。IL-2部分が配列番号2のホモログ又はバリアントであり、配列番号2のIL-2部分より多くのチロシン残基を含む場合、3個より多くのチロシン残基をMmodの結合のために使用してもよく、すなわち、そのようなホモログ又はバリアントに存在する最大数までのチロシン残基をMmodの結合のために使用してもよい。一実施形態では、1つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの1つのチロシン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る2つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの2つのチロシン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る3つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの3つのチロシン残基に結合する。
【0115】
別の実施形態では、Mmodの結合は、IL-2部分のヒスチジン残基、例えば配列番号2に基づくH15、H54、及びH78からなる群から選択されるヒスチジン残基、又は配列番号2のホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。IL-2のホモログ又はバリアントが配列番号2と比較して1つ以上の追加のヒスチジン残基を含む場合、結合はまた、そのような追加のヒスチジン残基でも起こり得る。配列番号2の1、2、又は3個のヒスチジン残基を、Mmodの結合のために使用してもよいことが理解される。IL-2部分が配列番号2のホモログ又はバリアントであり、配列番号2のIL-2部分より多くのヒスチジン残基を含む場合、3個より多くのヒスチジン残基をMmodの結合のために使用してもよく、すなわち、そのようなホモログ又はバリアントに存在する最大数までのヒスチジン残基をMmodの結合のために使用してもよい。一実施形態では、1つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの1つのヒスチジン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る2つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの2つのヒスチジン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る3つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの3つのヒスチジン残基に結合する。
【0116】
別の実施形態では、Mmodの結合は、IL-2部分のトリプトファン残基、例えば配列番号2に基づくW120位のトリプトファン残基、又は配列番号2のホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。IL-2のホモログ又はバリアントが配列番号2と比較して1つ以上の追加のトリプトファン残基を含む場合、結合はまた、そのような追加のトリプトファン残基でも起こり得る。IL-2部分が配列番号2のホモログ又はバリアントであり、配列番号2のIL-2部分より多くのトリプトファン残基を含む場合、1つより多くのトリプトファン残基をMmodの結合のために使用してもよく、すなわち、そのようなホモログ又はバリアントに存在する最大数までのトリプトファン残基をMmodの結合のために使用してもよい。一実施形態では、1つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの1つのトリプトファン残基に結合する。
【0117】
別の実施形態では、Mmodの結合は、IL-2部分のアスパラギン酸残基、例えば配列番号2に基づくD19、D83、及びD108からなる群から選択されるアスパラギン酸残基、又は配列番号2のホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。IL-2のホモログ又はバリアントが配列番号2と比較して1つ以上の追加のアスパラギン酸残基を含む場合、結合はまた、そのような追加のアスパラギン酸残基でも起こり得る。配列番号2の1、2、又は3個のアスパラギン酸残基を、Mmodの結合のために使用してもよいことが理解される。IL-2部分が配列番号2のホモログ又はバリアントであり、配列番号2のIL-2部分より多くのアスパラギン酸残基を含む場合、3個より多くのアスパラギン酸残基をMmodの結合のために使用してもよく、すなわち、そのようなホモログ又はバリアントに存在する最大数までのアスパラギン酸残基をMmodの結合のために使用してもよい。一実施形態では、1つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの1つのアスパラギン酸残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る2つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの2つのアスパラギン酸残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る3つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの3つのアスパラギン酸残基に結合する。
【0118】
一実施形態では、Mmodの結合は、IL-2部分のグルタミン酸残基、例えば配列番号2に基づくE14、E51、E59、E60、E61、E66、E67、E94、E99、E105、E109、及びE115からなる群から選択されるグルタミン酸残基、又は配列番号2のホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。IL-2のホモログ又はバリアントが配列番号2と比較して1つ以上の追加のグルタミン酸残基を含む場合、結合はまた、そのような追加のグルタミン酸残基でも起こり得る。配列番号2の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12個のグルタミン酸残基を、Mmodの結合のために使用してもよいことが理解される。IL-2部分が配列番号2のホモログ又はバリアントであり、配列番号2のIL-2部分より多くのグルタミン酸残基を含む場合、12個より多くのグルタミン酸残基をMmodの結合のために使用してもよく、すなわち、配列番号2のそのようなホモログ又はバリアントに存在する最大数までのグルタミン酸残基を1つ以上の修飾部分の結合のために使用してもよい。一実施形態では、1つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの1つのグルタミン酸残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る2つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの2つのグルタミン酸残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る3つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの3つのグルタミン酸残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る4つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの4つのグルタミン酸残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る5つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの5つのグルタミン酸残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る6つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの6つのグルタミン酸残基に結合する。
【0119】
別の実施形態では、Mmodの結合は、IL-2部分のアルギニン残基、例えば配列番号2に基づくR37、R80、R82、及びR119からなる群から選択されるアルギニン残基、又は配列番号2のホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。IL-2のホモログ又はバリアントが配列番号2と比較して1つ以上の追加のアルギニン残基を含む場合、結合はまた、そのような追加のアルギニン残基でも起こり得る。配列番号2の1、2、3、又は4個のアルギニン残基を、Mmodの結合のために使用してもよいことが理解される。IL-2部分が配列番号2のホモログ又はバリアントであり、配列番号2のIL-2部分より多くのアルギニン残基を含む場合、4個より多くのアルギニン残基をMmodの結合のために使用してもよく、すなわち、そのようなホモログ又はバリアントに存在する最大数までのアルギニン残基をMmodの結合のために使用してもよい。一実施形態では、1つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの1つのアルギニン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る2つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの2つのアルギニン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る3つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの3つのアルギニン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る4つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの4つのアルギニン残基に結合する。
【0120】
別の実施形態では、Mmodの結合は、IL-2部分のシステイン残基、例えば配列番号2に基づくC57及びC104からなる群から選択されるシステイン残基、又は配列番号2のホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。IL-2のホモログ又はバリアントが配列番号2と比較して1つ以上の追加のシステイン残基を含む場合、結合はまた、そのような追加のシステイン残基でも起こり得る。配列番号2の1又は2個のシステイン残基を、Mmodの結合のために使用してもよいことが理解される。IL-2部分が配列番号2のホモログ又はバリアントであり、配列番号2のIL-2部分より多くのシステイン残基を含む場合、2個より多くのシステイン残基をMmodの結合のために使用してもよく、すなわち、そのようなホモログ又はバリアントに存在する最大数までのシステイン残基をMmodの結合のために使用してもよい。一実施形態では、1つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの1つのシステイン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る2つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの2つのシステイン残基に結合する。
【0121】
別の実施形態では、Mmodの結合は、IL-2部分のメチオニン残基、例えば配列番号2に基づくM22、M38、M45、及びM103からなる群から選択されるメチオニン残基、又は配列番号2のホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。IL-2のホモログ又はバリアントが配列番号2と比較して1つ以上の追加のメチオニン残基を含む場合、結合はまた、そのような追加のメチオニン残基でも起こり得る。配列番号2の1、2、3、又は4個のメチオニン残基を、1つ以上の修飾部分の結合のために使用してもよいことが理解される。IL-2部分が配列番号2のホモログ又はバリアントであり、配列番号2のIL-2部分より多くのメチオニン残基を含む場合、4個より多くのメチオニン残基をMmodの結合のために使用してもよく、すなわち、そのようなホモログ又はバリアントに存在する最大数までのメチオニン残基をMmodの結合のために使用してもよい。一実施形態では、1つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの1つのメチオニン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る2つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの2つのメチオニン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る3つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの3つのメチオニン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る4つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの4つのメチオニン残基に結合する。
【0122】
別の実施形態では、Mmodの結合は、IL-2部分のグルタミン残基、例えば配列番号2に基づくQ10、Q12、Q21、Q56、Q73、及びQ125からなる群から選択されるグルタミン残基、又は配列番号2のホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。IL-2のホモログ又はバリアントが配列番号2と比較して1つ以上の追加のグルタミン残基を含む場合、結合はまた、そのような追加のグルタミン残基でも起こり得る。配列番号2の1、2、3、4、5、6、7、8、又は9個のグルタミン残基を、Mmodの結合のために使用してもよいことが理解される。IL-2部分が配列番号2のホモログ又はバリアントであり、配列番号2のIL-2部分より多くのグルタミン残基を含む場合、6個より多くのグルタミン残基をMmodの結合のために使用してもよく、すなわち、そのようなホモログ又はバリアントに存在する最大数までのグルタミン残基をMmodの結合のために使用してもよい。一実施形態では、1つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの1つのグルタミン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る2つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの2つのグルタミン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る3つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの3つのグルタミン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る4つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの4つのグルタミン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る5つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの5つのグルタミン残基に結合する。別の実施形態では、同じ又は異なり得る6つの部分Mmodが、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの6つのグルタミン残基に結合する。
【0123】
ある特定の実施形態では、バイアスIL-2部分は、1つより多くのタイプのアミノ酸残基、例えばシステイン及びリジンに結合した部分Mmodを有し得ることが理解される。
【0124】
M modのIL-2部分に対する結合は、安定な共有結合を介する。ある特定の実施形態では、IL-2部分と部分Mmodとの間の結合は、アミドを介する。ある特定の実施形態では、IL-2部分と部分Mmodとの間の結合は、部分
【化13】
を介する。
【0125】
好ましくは、少なくとも1つの部分Mmodの結合は、IL-2Rαに対する結合に関与することが公知であるIL-2部分のアミノ酸位置で起こる。このように、好ましくは少なくとも1つの部分Mmodの結合によって、アルデスロイキンと比較してIL-2部分、好ましくは配列番号2のIL-2部分のバリアントのIL-2Rαβに対する親和性の実質的な低減がもたらされ、すなわちバイアスIL-2部分がもたらされる。
【0126】
好ましくは、Mmodの結合は、配列番号2に基づくK34、R37、M38、T40、F41、K42、F43、Y44、E61、及びL71からなる群から選択されるアミノ酸位置、又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。更により好ましくは、Mmodの結合は、配列番号2に基づくF41、Y44、E61、及びL71からなる群から選択されるアミノ酸位置、又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。これらのアミノ酸位置の全てがMmodの直接コンジュゲーションを可能にする官能基を含むわけではないこと、及びMmodをこれらのアミノ酸位置で結合する前にある特定のステップ、例えば天然に存在するアミノ酸を異なるアミノ酸に置き換えるステップ又はある特定の化学修飾を行うステップが必要であり得ることが理解される。したがって、Mmodの結合は、それらの位置において、天然に存在するアミノ酸、又はその特定の位置で天然に存在するアミノ酸と置き換わったアミノ酸のいずれかで起こり得、結合部位は、タンパク質原性アミノ酸又は非タンパク質原性アミノ酸であってもよく、両方の実施形態は上記で記載した通りである。ある特定の実施形態では、Mmodの結合は、配列番号2に基づくアミノ酸位置K34又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。ある特定の実施形態では、Mmodの結合は、配列番号2に基づくアミノ酸位置R37又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。ある特定の実施形態では、Mmodの結合は、配列番号2に基づくアミノ酸位置M38又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。ある特定の実施形態では、Mmodの結合は、配列番号2に基づくアミノ酸位置T40又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。ある特定の実施形態では、Mmodの結合は、配列番号2に基づくアミノ酸位置F41又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。ある特定の実施形態では、Mmodの結合は、配列番号2に基づくアミノ酸位置K42又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。ある特定の実施形態では、Mmodの結合は、配列番号2に基づくアミノ酸位置F43又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。ある特定の実施形態では、Mmodの結合は、配列番号2に基づくアミノ酸位置Y44又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。ある特定の実施形態では、Mmodの結合は、配列番号2に基づくアミノ酸位置E61又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。ある特定の実施形態では、Mmodの結合は、配列番号2に基づくアミノ酸位置L71又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。
【0127】
ある特定の実施形態では、Mmodは、式(A-1)
【化14】
(式中、
-FG-は、結合であり、
-SP-は、スペーサー部分であり、
-POLは、ポリマーである)
のものである。
【0128】
ある特定の実施形態では、式(A-1)の-FG-は、
【化15】
であり、
式中、星印を付けた破線は、IL-2部分の硫黄に対する結合を示し、印を付けていない破線は、-SP-に対する結合を示す。前記硫黄は、システインの側鎖によって提供された硫黄であり得る。
【0129】
ある特定の実施形態では、式(A-1)の-FG-は、
【化16】
(式中、星印を付けた破線は、IL-2部分の窒素に対する結合を示し、印を付けていない破線は、-SP-に対する結合を示す)
である。前記窒素は、IL-2部分のN末端アミンの窒素又はリジンの側鎖の窒素であり得る。ある特定の実施形態では、前記窒素は、IL-2部分のN末端アミンの窒素である。ある特定の実施形態では、そのような窒素は、IL-2部分のリジンの側鎖の窒素である。
【0130】
ある特定の実施形態では、式(A-1)の-FG-は、
【化17】
(式中、星印を付けた破線は、IL-2部分の窒素の硫黄に対する結合を示し、印を付けていない破線は、-SP-に対する結合を示し、a1は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、及び20からなる群から選択される)
である。前記硫黄は、システインの側鎖によって提供された硫黄であってもよく、前記窒素は、IL-2部分のN末端アミンからの窒素又はリジンの側鎖の窒素であってもよい。ある特定の実施形態では、星印を付けた破線は、硫黄に対する結合を示し、硫黄はシステインの側鎖によって提供される。ある特定の実施形態では、a1は、1~8の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、a1は、1~6の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、a1は、1~4の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、a1は1である。ある特定の実施形態では、a1は2である。ある特定の実施形態では、a1は3である。ある特定の実施形態では、a1は4である。ある特定の実施形態では、a1は5である。ある特定の実施形態では、a1は6である。
【0131】
ある特定の実施形態では、式(A-1)の-FG-は、
【化18】
(式中、星印を付けた破線は、IL-2部分の窒素の硫黄に対する結合を示し、印を付けていない破線は、-SP-に対する結合を示し、a2は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、及び20からなる群から選択される整数である)
である。ある特定の実施形態では、a2は、1~8の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、a2は、1~6の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、a2は、1~4の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、a2は1である。ある特定の実施形態では、a2は2である。ある特定の実施形態では、a2は3である。ある特定の実施形態では、a2は4である。ある特定の実施形態では、a2は5である。ある特定の実施形態では、a2は6である。前記硫黄は、システインの側鎖によって提供された硫黄であってもよく、前記窒素は、IL-2部分のN末端アミンからの窒素又はリジンの側鎖の窒素であってもよい。ある特定の実施形態では、星印を付けた破線は、硫黄に対する結合を示し、硫黄はシステインの側鎖によって提供される。
【0132】
ある特定の実施形態では、式(A-1)の-SP-は、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルからなる群から選択され、ここで、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上のR9によって任意選択で置換され、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルは、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R10)-、-S(O)2N(R10)-、-S(O)N(R10)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(R10)S(O)2N(R10a)-、-S-、-N(R10)-、-OC(OR10)(R10a)-、-N(R10)C(O)N(R10a)-、及び-OC(O)N(R10)-からなる群から選択される1つ以上の基によって任意選択で割り込まれ、
各々のTは、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル、及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から独立して選択され、各々のTは、同じ又は異なる1つ以上のR9によって独立して任意選択で置換され、
各々の-R9は、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COOR11、-OR11、-C(O)R11、-C(O)N(R11R11a)、-S(O)2N(R11R11a)、-S(O)N(R11R11a)、-S(O)2R11、-S(O)R11、-N(R11)S(O)2N(R11aR11b)、-SR11、-N(R11R11a)、-NO2、-OC(O)R11、-N(R11)C(O)R11a、-N(R11)S(O)2R11a、-N(R11)S(O)R11a、-N(R11)C(O)OR11a、-N(R11)C(O)N(R11aR11b)、-OC(O)N(R11R11a)、及びC1-6アルキルからなる群から独立して選択され、ここで、C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンによって任意選択で置換され、
各々の-R10、-R10a、-R11、-R11a、及び-R11bは、-H及びC1-6アルキルからなる群から独立して選択され、ここで、C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンによって任意選択で置換される。
【0133】
ある特定の実施形態では、式(A-1)の-SP-は、C1-20アルキルであり、C1-20アルキルは、1つ以上の-R9によって任意選択で置換され、C1-20アルキルは、-O-、-C(O)N(R10)-、-S(O)2-、-S(O)-、-S-、-N(R10)-、-OC(OR10)(R10a)-、-N(R10)C(O)N(R10a)-、及び-OC(O)N(R10)-からなる群から選択される1つ以上の基によって任意選択で割り込まれ、ここで、各々の-R9は、C1-6アルキルからなる群から選択され、各々の-R10及び-R10aは、-H及びC1-6アルキルからなる群から独立して選択される。
【0134】
ある特定の実施形態では、式(A-1)の-SP-は、C1-10アルキルであり、C1-10アルキルは、1つ以上の-R9によって任意選択で置換され、C1-10アルキルは、-O-、-C(O)N(R10)-、-S(O)2-、-S(O)-、-S-、-N(R10)-、-OC(OR10)(R10a)-、-N(R10)C(O)N(R10a)-、及び-OC(O)N(R10)-からなる群から選択される1つ以上の基によって任意選択で割り込まれ、ここで、各々の-R9は、C1-6アルキルからなる群から選択され、各々の-R10及び-R10aは、-H及びC1-6アルキルからなる群から独立して選択される。
【0135】
ある特定の実施形態では、式(A-1)の-POLは、PEG系のポリマーである。ある特定の実施形態では、-POLは、式(A-1i)のものである
【化19】
(式中、
破線は、-SP-に対する結合を示し、
mは、0又は1であり、
pは、12~22700の整数であり、
qは、1、2、3、4、5、及び6からなる群から選択される)。
【0136】
ある特定の実施形態では、式(A-1i)のmは0である。ある特定の実施形態では、式(A-1i)のmは1である。
【0137】
ある特定の実施形態では、式(A-1i)のpは、23~227000の範囲、例えば45~11300、又は69~4540、又は114~2700の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-1i)のpは約12である。ある特定の実施形態では、式(A-1i)のpは約23である。ある特定の実施形態では、式(A-1i)のpは約46である。ある特定の実施形態では、式(A-1i)のpは約68である。ある特定の実施形態では、式(A-1i)のpは約90である。ある特定の実施形態では、式(A-1i)のpは約112である。ある特定の実施形態では、式(A-1i)のpは約170である。ある特定の実施形態では、式(A-1i)のpは約227である。ある特定の実施形態では、式(A-1i)のpは約340である。ある特定の実施形態では、式(A-1i)のpは約450である。ある特定の実施形態では、式(A-1i)のpは約680である。ある特定の実施形態では、式(A-1i)のpは約900である。ある特定の実施形態では、式(A-1i)のpは約1130である。ある特定の実施形態では、式(A-1i)のpは約1350である。ある特定の実施形態では、式(A-1i)のpは約1590である。ある特定の実施形態では、式(A-1i)のpは約1800である。ある特定の実施形態では、式(A-1i)のpは約2045である。ある特定の実施形態では、式(A-1i)のpは約2275である。
【0138】
ある特定の実施形態では、式(A-1i)のqは1である。ある特定の実施形態では、式(A-1i)のqは2である。ある特定の実施形態では、式(A-1i)のqは3である。ある特定の実施形態では、式(A-1i)のqは4である。ある特定の実施形態では、式(A-1i)のqは5である。ある特定の実施形態では、式(A-1i)のqは6である。
【0139】
ある特定の実施形態では、式(A-1)の-POLは、式(A-1ii)
【化20】
(式中、
破線は、-SP-に対する結合を示し、
FGは、官能基であり、
mは、0又は1であり、
pは、12~22700の範囲の整数であり、
qは、1、2、3、4、5、及び6からなる群から選択される)
のものである。
【0140】
式(A-1)の部分Mmodが、更なる部分、例えば1つ以上の部分-L1-L2-Zにコンジュゲートされる場合、部分-POLが官能基で終われば有利である。-POLが式(A-1ii)のものである場合、そのような化合物は試薬であり、そのような1つ以上の部分、例えば1つ以上の部分-L1-L2-Zの前記試薬の官能基に対するコンジュゲーション後では、FGはもはや存在しないが、1つ以上の更なる部分の試薬形態に存在する適切な官能基と共に結合を形成していることが理解される。
【0141】
Mmodにコンジュゲートされる部分、例えば部分-L1-L2-Zの他の結合部位も可能であり得ることもまた理解される。
【0142】
ある特定の実施形態では、式(A-1ii)のmは0である。ある特定の実施形態では、式(A-1ii)のmは1である。
【0143】
ある特定の実施形態では、式(A-1ii)のpは、23~227000の範囲、例えば45~11300、又は69~4540、又は114~2700の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-1ii)のpは約12である。ある特定の実施形態では、式(A-1ii)のpは約23である。ある特定の実施形態では、式(A-1ii)のpは約46である。ある特定の実施形態では、式(A-1ii)のpは約68である。ある特定の実施形態では、式(A-1ii)のpは約90である。ある特定の実施形態では、式(A-1ii)のpは約112である。ある特定の実施形態では、式(A-1ii)のpは約170である。ある特定の実施形態では、式(A-1ii)のpは約227である。ある特定の実施形態では、式(A-1ii)のpは約340である。ある特定の実施形態では、式(A-1ii)のpは約450である。ある特定の実施形態では、式(A-1ii)のpは約680である。ある特定の実施形態では、式(A-1ii)のpは約900である。ある特定の実施形態では、式(A-1ii)のpは約1130である。ある特定の実施形態では、式(A-1ii)のpは約1350である。ある特定の実施形態では、式(A-1ii)のpは約1590である。ある特定の実施形態では、式(A-1ii)のpは約1800である。ある特定の実施形態では、式(A-1ii)のpは約2045である。ある特定の実施形態では、式(A-1ii)のpは約2275である。
【0144】
ある特定の実施形態では、式(A-1ii)のqは1である。ある特定の実施形態では、式(A-1ii)のqは2である。ある特定の実施形態では、式(A-1ii)のqは3である。ある特定の実施形態では、式(A-1ii)のqは4である。ある特定の実施形態では、式(A-1ii)のqは5である。ある特定の実施形態では、式(A-1ii)のqは6である。
【0145】
更なる部分、例えば部分-L1-L2-Zが、式(A-1)の部分-POLを介してMmodにコンジュゲートされる場合、部分-POLは、式(A-1iii)、(A-1iv)、(A-1v)、又は(A-1vi)
【化21】
(式中、
星印を付けた破線は、更なる部分、例えば部分-L1-L2-Zに対する結合を示し、
印を付けていない破線は、-SP-に対する結合を示し、
m、p、及びqは、式(A-1i)において定義した通りに使用する)
のものであり得る。
【0146】
ある特定の実施形態では、更なる部分、例えば部分-L1-L2-Zは、式(A-1)の部分-POLを介してMmodにコンジュゲートされ、式(A-1iii)の-POLの部分をもたらす。ある特定の実施形態では、更なる部分、例えば部分-L1-L2-Zは、式(A-1)の部分-POLを介してMmodにコンジュゲートされ、式(A-1iv)の-POLの部分をもたらす。ある特定の実施形態では、更なる部分、例えば部分-L1-L2-Zは、式(A-1)の部分-POLを介してMmodにコンジュゲートされ、式(A-1v)の-POLの部分をもたらす。ある特定の実施形態では、更なる部分、例えば部分-L1-L2-Zは、式(A-1)の部分-POLを介してMmodにコンジュゲートされ、式(A-1vi)の-POLの部分をもたらす。
【0147】
ある特定の実施形態では、式(A-1)の-POLは、ヒアルロン酸系のポリマーである。
【0148】
ある特定の実施形態では、Mmodは、式(A-1a)
【化22】
(式中、
星印を付けた破線は、IL-2部分のアミノ酸残基の側鎖の硫黄に対する結合を示し、
b1は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、及び20からなる群から選択される整数であり、
b2は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、及び20からなる群から選択される整数であり、
b3は、12~22700の範囲の整数である)
のものである。
【0149】
ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb1は、1~8の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb1は、1~6の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb1は、1~4の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb1は1である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb1は2である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb1は3である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb1は4である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb1は5である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb1は6である。
【0150】
ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb2は、1~8の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb2は、1~6の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb2は、1~4の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb2は1である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb2は2である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb2は3である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb2は4である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb2は5である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb2は6である。
【0151】
ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb3は、23~227000の範囲、例えば45~11300、又は69~4540、又は114~2700の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb3は、約12である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb3は、約23である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb3は、約46である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb3は、約68である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb3は、約90である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb3は、約112である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb3は、約170である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb3は、約227である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb3は、約340である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb3は、約450である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb3は、約680である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb3は、約900である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb3は、約1130である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb3は、約1350である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb3は、約1590である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb3は、約1800である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb3は、約2045である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb3は、約2275である。
【0152】
ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb1は2であり、式(A-1a)のb2は3であり、式(A-1a)のb3は約12である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb1は2であり、式(A-1a)のb2は3であり、式(A-1a)のb3は約23である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb1は2であり、式(A-1a)のb2は3であり、式(A-1a)のb3は約46である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb1は2であり、式(A-1a)のb2は3であり、式(A-1a)のb3は約68である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb1は2であり、式(A-1a)のb2は3であり、式(A-1a)のb3は約90である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb1は2であり、式(A-1a)のb2は3であり、式(A-1a)のb3は約112である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb1は2であり、式(A-1a)のb2は3であり、式(A-1a)のb3は約170である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb1は2であり、式(A-1a)のb2は3であり、式(A-1a)のb3は約227である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)のb1は2であり、式(A-1a)のb2は3であり、式(A-1a)のb3は約340である。ある特定の実施形態では、式(A-1a)の2であり、式(A-1a)のb2は3であり、式(A-1a)のb3は約450である。
【0153】
ある特定の実施形態では、Mmodは、式(A-1b)
【化23】
(式中、
星印を付けた破線は、IL-2部分のアミノ酸残基の側鎖の硫黄に対する結合を示し、
c1は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、及び20からなる群から選択される整数であり、
c2は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、及び20からなる群から選択される整数であり、
c3は、12~22700の範囲の整数である)
のものである。
【0154】
ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc1は、1~8の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc1は、1~6の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc1は、1~4の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc1は1である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc1は2である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc1は3である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc1は4である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc1は5である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc1は6である。
【0155】
ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc2は、1~8の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc2は、1~6の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc2は、1~4の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc2は1である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc2は2である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc2は3である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc2は4である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc2は5である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc2は6である。
【0156】
ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc3は、23~227000の範囲、例えば45~11300、又は69~4540、又は114~2700の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc3は約12である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc3は約23である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc3は約46である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc3は約68である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc3は約90である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc3は約112である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc3は約170である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc3は約227である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc3は約340である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc3は約450である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc3は約680である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc3は約900である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc3は約1130である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc3は約1350である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc3は約1590である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc3は約1800である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc3は約2045である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc3は約2275である。
【0157】
ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc1は2であり、式(A-1b)のc2は3であり、式(A-1b)のc3は約12である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc1は2であり、式(A-1b)のc2は3であり、式(A-1b)のc3は約23である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc1は2であり、式(A-1b)のc2は3であり、式(A-1b)のc3は約46である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc1は2であり、式(A-1b)のc2は3であり、式(A-1b)のc3は約68である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc1は2であり、式(A-1b)のc2は3であり、式(A-1b)のc3は約90である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc1は2であり、式(A-1b)のc2は3であり、式(A-1b)のc3は約112である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc1は2であり、式(A-1b)のc2は3であり、式(A-1b)のc3は約170である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc1は2であり、式(A-1b)のc2は3であり、式(A-1b)のc3は、約227である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc1は2であり、式(A-1b)のc2は3であり、式(A-1b)のc3は約340である。ある特定の実施形態では、式(A-1b)のc1は2であり、式(A-1b)のc2は3であり、式(A-1b)のc3は約450である。
【0158】
ある特定の実施形態では、Mmodは、式(A-1c)
【化24】
(式中、
星印を付けた破線は、IL-2部分のアミノ酸残基の側鎖の硫黄に対する結合を示し、
d1は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、及び20からなる群から選択される整数であり、
d2は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、及び20からなる群から選択される整数であり、
d3は、12~22700の範囲の整数である)
のものである。
【0159】
ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd1は、1~8の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd1は、1~6の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd1は、1~4の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd1は1である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd1は2である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd1は3である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd1は4である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd1は5である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd1は6である。
【0160】
ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd2は、1~8の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd2は、1~6の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd2は、1~4の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd2は1である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd2は2である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd2は3である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd2は4である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd2は5である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd2は6である。
【0161】
ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd3は、23~227000の範囲、例えば45~11300、又は69~4540、114~2700、又は160~900の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd3は約12である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd3は約23である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd3は約46である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd3は約68である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd3は約90である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd3は約112である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd3は約170である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd3は約227である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd3は約340である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd3は約450である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd3は約680である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd3は約900である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd3は約1130である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd3は約1350である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd3は約1590である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd3は約1800である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd3は約2045である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd3は約2275である。
【0162】
ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd1は2であり、式(A-1c)のd2は3であり、式(A-1cd)のd3は約12である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd1は2であり、式(A-1c)のd2は3であり、式(A-1c)のd3は約23である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd1は2であり、式(A-1c)のd2は3であり、式(A-1c)のd3は約46である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd1は2であり、式(A-1c)のd2は3であり、式(A-1c)のd3は約68である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd1は2であり、式(A-1c)のd2は3であり、式(A-1c)のd3は約90である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd1は2であり、式(A-1c)のd2は3であり、式(A-1c)のd3は約112である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd1は2であり、式(A-1c)のd2は3であり、式(A-1c)のd3は約170である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd1は2であり、式(A-1c)のd2は3であり、式(A-1c)のd3は約227である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd1は2であり、式(A-1c)のd2は3であり、式(A-1c)のd3は約340である。ある特定の実施形態では、式(A-1c)のd1は2であり、式(A-1c)のd2は3であり、式(A-1c)のd3は約450である。
【0163】
バイアスIL-2部分は、少なくとも1つのアミノ酸変異、例えば1つのアミノ酸変異、2つのアミノ酸変異、3つのアミノ酸変異、4つのアミノ酸変異、5つのアミノ酸変異、6つのアミノ酸変異、7つのアミノ酸変異、8つのアミノ酸変異、9つのアミノ酸変異、又は10個のアミノ酸変異を含むIL-2部分を含み得る。そのようなアミノ酸変異は好ましくは、IL-2Rαに対する結合に関与する位置で起こる。したがって、好ましくは、少なくともアミノ酸変異は、アルデスロイキンと比較してバイアスIL-2部分のIL-2Rαβに対する親和性の低減をもたらす。
【0164】
好ましくは、少なくとも1つのアミノ酸変異は、配列番号2に基づくK34、R37、M38、T40、F41、K42、F43、Y44、E61、及びL71からなる群から選択されるアミノ酸位置、又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。更により好ましくは、少なくとも1つのアミノ酸変異は、配列番号2に基づくF41、Y44、E61、及びL71からなる群から選択されるアミノ酸位置、又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸変異は、配列番号2に基づくアミノ酸位置K34、又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸変異は、配列番号2に基づくアミノ酸位置R37、又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸変異は、配列番号2に基づくアミノ酸位置M38、又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸変異は、配列番号2に基づくアミノ酸位置T40、又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸変異は、配列番号2に基づくアミノ酸位置F41、又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸変異は、配列番号2に基づくアミノ酸位置K42、又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸変異は、配列番号2に基づくアミノ酸位置F43、又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸変異は、配列番号2に基づくアミノ酸位置Y44、又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸変異は、配列番号2に基づくアミノ酸位置E61、又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸変異は、配列番号2に基づくアミノ酸位置L71、又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置で起こる。
【0165】
ある特定の実施形態では、そのような変異は、天然に存在するアミノ酸の、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、リジン、セリン、トレオニン、トリプトファン、及びチロシンからなる群から選択されるアミノ酸残基による置き換えである。ある特定の実施形態では、天然に存在するアミノ酸は、アラニンに置き換えられる。ある特定の実施形態では、天然に存在するアミノ酸は、アルギニンに置き換えられる。ある特定の実施形態では、天然に存在するアミノ酸は、アスパラギンに置き換えられる。ある特定の実施形態では、天然に存在するアミノ酸は、アスパラギン酸に置き換えられる。ある特定の実施形態では、天然に存在するアミノ酸は、システインに置き換えられる。ある特定の実施形態では、天然に存在するアミノ酸は、グルタミンに置き換えられる。ある特定の実施形態では、天然に存在するアミノ酸は、グルタミン酸に置き換えられる。ある特定の実施形態では、天然に存在するアミノ酸は、グリシンに置き換えられる。ある特定の実施形態では、天然に存在するアミノ酸は、ヒスチジンに置き換えられる。ある特定の実施形態では、天然に存在するアミノ酸は、リジンに置き換えられる。ある特定の実施形態では、天然に存在するアミノ酸は、セリンに置き換えられる。ある特定の実施形態では、天然に存在するアミノ酸は、トレオニンに置き換えられる。ある特定の実施形態では、天然に存在するアミノ酸は、トリプトファンに置き換えられる。ある特定の実施形態では、天然に存在するアミノ酸は、チロシンに置き換えられる。ある特定の実施形態では、そのような変異は、天然に存在するアミノ酸の、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、リジン、セリン、トレオニン、トリプトファン、及びチロシンからなる群から選択されるアミノ酸残基による置き換えである。ある特定の実施形態では、そのような変異は、天然に存在するアミノ酸の、システイン、グルタミン酸、リジン、セリン、トレオニン、及びチロシンからなる群から選択されるアミノ酸残基による置き換えである。ある特定の実施形態では、天然に存在するアミノ酸は、非タンパク質原性アミノ酸に置き換えられる。そのような非タンパク質原性アミノ酸の実施形態は、上記の通りである。
【0166】
一実施形態では、バイアスIL-2部分のIL-2は、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置に基づくK34A、K34C、K34G、K34S、K34T、K34Q、K34E、K34N、K34D、K34H、K34W、K34Y、及びK34Rからなる群から選択されるアミノ酸変異を含む。ある特定の実施形態では、IL-2部分はK34A変異を含む。ある特定の実施形態では、IL-2部分はK34C変異を含む。ある特定の実施形態では、IL-2部分はK34G変異を含む。ある特定の実施形態では、IL-2部分はK34S変異を含む。ある特定の実施形態では、IL-2部分はK34T変異を含む。ある特定の実施形態では、IL-2部分はK34Q変異を含む。ある特定の実施形態では、IL-2部分はK34E変異を含む。ある特定の実施形態では、IL-2部分はK34D変異を含む。ある特定の実施形態では、IL-2部分はK34H変異を含む。ある特定の実施形態では、IL-2部分はK34W変異を含む。ある特定の実施形態では、IL-2部分はK34Y変異を含む。ある特定の実施形態では、IL-2部分はK34R変異を含む。
【0167】
一実施形態では、バイアスIL-2のIL-2部分は、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置に基づくR37A、R37C、R37G、R37S、R37T、R37Q、R37E、R37N、R37D、R37H、R37W、R37Y、及びR37Kからなる群から選択されるアミノ酸変異を含む。ある特定の実施形態では、IL-2部分はR37A変異を含む。ある特定の実施形態では、IL-2部分はR37C変異を含む。ある特定の実施形態では、IL-2部分はR37G変異を含む。ある特定の実施形態では、IL-2部分はR37S変異を含む。ある特定の実施形態では、IL-2部分はR37T変異を含む。ある特定の実施形態では、IL-2部分はR37Q変異を含む。ある特定の実施形態では、IL-2部分はR37E変異を含む。ある特定の実施形態では、IL-2部分はR37N変異を含む。ある特定の実施形態では、IL-2部分はR37D変異を含む。ある特定の実施形態では、IL-2部分はR37H変異を含む。ある特定の実施形態では、IL-2部分はR37K変異を含む。ある特定の実施形態では、IL-2部分はR37W変異を含む。ある特定の実施形態では、IL-2部分はR37Y変異を含む。ある特定の実施形態では、IL-2部分はR37K変異を含む。
【0168】
一実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸変異は、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置に基づくF41A、F41C、F41G、F41S、F41T、F41Q、F41E、F41N、F41D、F41R、F41K、Y44A、Y44C、Y44G、Y44S、Y44T、Y44Q、Y44E、Y44N、Y44D、Y44R、Y44K、L71C、L71G、L71A、L71S、L71T、L71Q、L71E、L71N、L71D、L71R、及びL71Kからなる群から選択される。
【0169】
ある特定の実施形態では、バイアスIL-2のIL-2部分は、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置に基づくF41A、F41C、F41G、F41S、F41T、F41Q、F41E、F41N、F41D、F41R、F41H、F41W、F41Y、及びF41Kからなる群から選択されるアミノ酸変異を含む。ある特定の実施形態では、IL-2部分は、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置に基づくF41A、F41C、F41G、F41S、F41T、F41Q、F41E、F41N、F41D、F41R、及びF41Kからなる群から選択されるアミノ酸変異を含む。一実施形態では、IL-2部分はF41A変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はF41C変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はF41G変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はF41S変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はF41T変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はF41Q変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はF41E変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はF41N変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はF41D変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はF41R変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はF41H変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はF41W変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はF41Y変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はF41K変異を含む。
【0170】
ある特定の実施形態では、IL-2部分は、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置に基づくY44A、Y44C、Y44G、Y44S、Y44T、Y44Q、Y44E、Y44N、Y44D、Y44R、Y44H、Y44W、及びY44Kからなる群から選択されるアミノ酸変異を含む。ある特定の実施形態では、IL-2部分は、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置に基づくY44A、Y44C、Y44G、Y44S、Y44T、Y44Q、Y44E、Y44N、Y44D、Y44R、及びY44Kからなる群から選択されるアミノ酸変異を含む。一実施形態では、IL-2部分はY44A変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はY44C変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はY44G変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はY44S変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はY44T変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はY44Q変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はY44E変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はY44N変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はY44D変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はY44R変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はY44H変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はY44W変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はY44K変異を含む。
【0171】
ある特定の実施形態では、IL-2部分は、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置に基づくL71G、L71C、L71A、L71S、L71T、L71Q、L71E、L71N、L71D、L71R、L71H、L71W、L71Y、及びL71Kからなる群から選択されるアミノ酸変異を含む。ある特定の実施形態では、IL-2部分は、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置に基づくL71G、L71C、L71A、L71S、L71T、L71Q、L71E、L71N、L71D、L71R、及びL71Kからなる群から選択されるアミノ酸変異を含む。一実施形態では、IL-2部分はL72G変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はL72C変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はL72A変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はL72S変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はL72T変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はL72Q変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はL72E変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はL72N変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はL72D変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はL72R変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はL72H変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はL72W変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はL72Y変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分はL72K変異を含む。
【0172】
別の実施形態では、IL-2部分は、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置に基づくF41A、F41C、F41G、F41S、F41T、F41Q、F41E、F41N、F41D、F41R、及びF41Kからなる群から選択されるアミノ酸変異、並びにY44A、Y44C、Y44G、Y44S、Y44T、Y44Q、Y44E、Y44N、Y44D、Y44R、及びY44Kからなる群から選択される更なるアミノ酸変異を含む。一実施形態では、IL-2部分は、F41A及びY44A変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分は、F41C変異及びY44A変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分は、F41A及びY44C変異を含む。
【0173】
別の実施形態では、IL-2部分は、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置に基づくF41A、F41C、F41G、F41S、F41T、F41Q、F41E、F41N、F41D、F41R、及びF41Kからなる群から選択されるアミノ酸変異、並びにL71G、L71C、L71A、L71S、L71T、L71Q、L71E、L71N、L71D、L71R、及びL71Kからなる群から選択される更なるアミノ酸変異を含む。一実施形態では、IL-2部分は、F42A及びL72G変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分は、F42C及びL72G変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分は、F42A及びL72C変異を含む。
【0174】
別の実施形態では、IL-2部分は、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置に基づくY44A、Y44C、Y44G、Y44S、Y44T、Y44Q、Y44E、Y44N、Y44D、Y44R、及びY44Kからなる群から選択されるアミノ酸変異、並びにL71G、L71C、L71A、L71S、L71T、L71Q、L71E、L71N、L71D、L71R、及びL71Kからなる群から選択される更なるアミノ酸変異を含む。一実施形態では、IL-2部分は、Y45A及びL72G変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分は、Y45C及びL72G変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分は、Y45A及びL72C変異を含む。
【0175】
別の実施形態では、IL-2部分は、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置に基づくF41A、F41C、F41G、F41S、F41T、F41Q、F41E、F41N、F41D、F41R、及びF41Kからなる群から選択されるアミノ酸変異、Y44A、Y41C、Y44G、Y44S、Y44T、Y44Q、Y44E、Y44N、Y44D、Y44R、及びY44Kからなる群から選択される更なるアミノ酸変異、並びにL71G、L71C、L71A、L71S、L71T、L71Q、L71E、L71N、L71D、L71R、及びL71Kからなる群から選択される更なるアミノ酸変異を含む。一実施形態では、IL-2部分は、F41A、Y44A、及びL71G変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分は、F41C、Y44A、及びL71G変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分は、F41A、Y44C、及びL71G変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分は、F41A、Y44C、及びL71C変異を含む。
【0176】
IL-2部分は、更に又は或いは、O-グリコシル化部位を除去するアミノ酸変異を含み得る。好ましくは、そのようなアミノ酸変異は、アルデスロイキンの残基2に対応する位置におけるものであり、更により好ましくは、そのようなアミノ酸変異は、配列番号2又はそのホモログ若しくはバリアントの対応する位置に基づくT2A、T2G、T2Q、T2E、T2N、T2D、T2R、T2K、及びT2Pからなる群から選択され、最も好ましくはT2Aである。
【0177】
IL-2部分は、更に又は或いは、追加の利点、例えば発現又は安定性の増加を提供し得る1つ以上の更なるアミノ酸変異を含み得る。例えば、アルデスロイキンの103位のメチオニンを、米国特許第5,206,344号に記載されるように、中性アミノ酸、例えばアラニンに置き換えてもよい。
【0178】
ある特定の実施形態では、バイアスIL-2部分は、少なくとも1つのアミノ酸変異及び修飾部分Mmodの少なくとも1つの安定な結合、例えば1つのアミノ酸変異及び1つの部分Mmod、1つのアミノ酸変異及び2つの部分Mmod、2つのアミノ酸変異及び1つの部分Mmod、3つのアミノ酸変異及び1つの部分Mmod、又は1つのアミノ酸変異及び3つの部分Mmodを含むIL-2部分である。アミノ酸変異及び部分Mmodの数は、互いに独立して選択することができ、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、及び15からなる群から選択され得ることが理解される。ある特定の実施形態では、アミノ酸変異及び部分Mmodの数は、1、2、3、4、5、6、7、及び8からなる群から互いに独立して選択される。ある特定の実施形態では、アミノ酸変異の数は1である。ある特定の実施形態では、アミノ酸変異の数は2である。ある特定の実施形態では、アミノ酸変異の数は3である。ある特定の実施形態では、アミノ酸変異の数は4である。ある特定の実施形態では、アミノ酸変異の数は5である。ある特定の実施形態では、アミノ酸変異の数は6である。ある特定の実施形態では、部分Mmodの数は1である。ある特定の実施形態では、部分Mmodの数は2である。ある特定の実施形態では、部分Mmodの数は3である。ある特定の実施形態では、部分Mmodの数は4である。ある特定の実施形態では、部分Mmodの数は5である。ある特定の実施形態では、部分Mmodの数は6である。部分Mmod及び変異部位/変異の実施形態は、上記の通りである。
【0179】
ある特定の実施形態では、バイアスIL-2部分は、少なくとも1つのアミノ酸変異、及びそのような変異アミノ酸に結合した少なくとも1つの部分Mmodを含むIL-2部分である。アミノ酸変異及び部分Mmodの数は同一でなくてもよく、更なる部分Mmodが非変異アミノ酸残基でIL-2部分にコンジュゲートされてもよく、少なくとも1つの部分Mmodが1つの変異アミノ酸残基にコンジュゲートされる限り、必ずしも全ての変異アミノ酸残基が部分Mmodにコンジュゲートされなくてもよいことが理解される。したがって、アミノ酸変異及び部分Mmodの数は、互いに独立して選択してもよく、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、及び15からなる群から選択してもよい。ある特定の実施形態では、アミノ酸変異及び部分Mmodの数は、1、2、3、4、5、6、7、及び8からなる群から互いに独立して選択される。ある特定の実施形態では、アミノ酸変異の数は1である。ある特定の実施形態では、アミノ酸変異の数は2である。ある特定の実施形態では、アミノ酸変異の数は3である。ある特定の実施形態では、アミノ酸変異の数は4である。ある特定の実施形態では、アミノ酸変異の数は5である。ある特定の実施形態では、アミノ酸変異の数は6である。ある特定の実施形態では、部分Mmodの数は1である。ある特定の実施形態では、部分Mmodの数は2である。ある特定の実施形態では、部分Mmodの数は3である。ある特定の実施形態では、部分Mmodの数は4である。ある特定の実施形態では、部分Mmodの数は5である。ある特定の実施形態では、部分Mmodの数は6である。部分Mmod及び変異部位/変異の実施形態は、上記の通りである。
【0180】
ある特定の実施形態では、バイアスIL-2部分は、K34、R37、M38、T40、F41、K42、F43、Y44、E61、及びL71からなる群から選択される位置で少なくとも1つのアミノ酸変異を含むIL-2部分であって、天然に存在するアミノ酸が、システインに置き換えられて、変異K34C、R37C、M38C、T40C、F41C、K42C、F43C、Y44C、E61C、及びL71Cをもたらし、少なくとも1つの部分Mmodが、そのようなシステインの硫黄にコンジュゲートされる、IL-2部分である。ある特定の実施形態では、バイアスIL-2部分は、K34C変異、及び更に34位でリジンと置き換わったシステインの硫黄にコンジュゲートされた部分Mmodを含む。ある特定の実施形態では、バイアスIL-2部分は、R37C変異、及び更に37位でアルギニンと置き換わったシステインの硫黄にコンジュゲートされた部分Mmodを含む。ある特定の実施形態では、バイアスIL-2部分は、M38C変異、及び更に38位でメチオニンと置き換わったシステインの硫黄にコンジュゲートされた部分Mmodを含む。ある特定の実施形態では、バイアスIL-2部分は、T40C変異、及び更に40位でトレオニンと置き換わったシステインの硫黄にコンジュゲートされた部分Mmodを含む。ある特定の実施形態では、バイアスIL-2部分は、F41C変異、及び更に41位でフェニルアラニンと置き換わったシステインの硫黄にコンジュゲートされた部分Mmodを含む。ある特定の実施形態では、バイアスIL-2部分は、K42C変異、及び更に42位でリジンと置き換わったシステインの硫黄にコンジュゲートされた部分Mmodを含む。ある特定の実施形態では、バイアスIL-2部分は、F43C変異、及び更に43位でフェニルアラニンと置き換わったシステインの硫黄にコンジュゲートされた部分Mmodを含む。ある特定の実施形態では、バイアスIL-2部分は、Y44C変異、及び更に44位でチロシンと置き換わったシステインの硫黄にコンジュゲートされた部分Mmodを含む。ある特定の実施形態では、バイアスIL-2部分は、E61C変異、及び更に61位でグルタミン酸と置き換わったシステインの硫黄にコンジュゲートされた部分Mmodを含む。ある特定の実施形態では、バイアスIL-2部分は、L71C変異、及
び更に71位でリジンと置き換わったシステインの硫黄にコンジュゲートされた部分Mmodを含む。ある特定の実施形態では、バイアスIL-2部分は、K34C、R37C、M38C、T40C、F41C、K42C、F43C、Y44C、E61C、及びL71Cからなる群から選択される1つの変異を含み、1つの部分Mmodは、天然に存在するアミノ酸、すなわち、例えばR37C変異の場合では、37位のアルギニンと置き換わったシステインの硫黄にコンジュゲートされる。
【0181】
IL-2部分は、少なくとも1つの欠失を含み得る(ポイント(c)を参照されたい)。そのような欠失は、好ましくは配列番号2の配列を参照されることが理解される。そのような欠失は、天然に存在する欠失、例えばスプライスバリアントの形態であり得るか、又は人為的に導入された欠失であり得る。1つのそのような天然に存在するスプライスバリアントは、エクソン2が除外され、配列番号2の配列に基づくアミノ酸残基N29~K48の欠失に対応する、配列番号1の配列に基づくアミノ酸残基N30~K49の欠失をもたらすIL-2δ2変異体である(Tsytsikov et al.、JBC 1996、271(38): 23055-23060を参照されたい)。
【0182】
好ましくはそのような欠失は、IL-2Rαに対する結合に関係する位置で起こる。したがって、好ましくは、少なくとも1つの欠失は、アルデスロイキンと比較してバイアスIL-2部分のIL-2Rαβに対する親和性の低減をもたらす。
【0183】
一実施形態では、-Dは、システイン残基を導入する少なくとも1つの変異を含み、前記システイン変異に結合した修飾部分Mmodを更に含む、IL-2部分、好ましくは配列番号2の配列を有するIL-2部分を含む。好ましくは、システイン変異は、K34C、R37C、M38C、T40C、F41C、K42C、F43C、Y44C、E61C、及びL71Cを含む群から選択される。ある特定の実施形態では、システイン変異はK34C変異である。ある特定の実施形態では、システイン変異はR37C変異である。ある特定の実施形態では、システイン変異はM38C変異である。ある特定の実施形態では、システイン変異はT40C変異である。ある特定の実施形態では、システイン変異はF41C変異である。ある特定の実施形態では、システイン変異はK42C変異である。ある特定の実施形態では、システイン変異はF43C変異である。ある特定の実施形態では、システイン変異はY44C変異である。ある特定の実施形態では、システイン変異はE61C変異である。ある特定の実施形態では、システイン変異はL71C変異である。
【0184】
一実施形態では、IL-2部分は、Levin et al.(Nature、2012、484: 529-535)に記載のスーパーカイン(superkine)である。好ましくは、そのようなIL-2部分は、上記の改変に加えて又は上記の改変の代わりに、アミノ酸残基Q73、L79、R80、L84、I85、及びI91の1つ以上の変異を含み、特にQ73H、L79F、R80D、L84V、I85V、及びI91Fからなる群から選択される変異の1つ以上を含む。一実施形態では、IL-2部分は、上記の改変に加えて又は上記の改変の代わりに、Q73H、L79F、R80D、L84V、I85V、及びI91F変異を含む。別の実施形態では、IL-2部分は、上記の改変に加えて又は上記の改変の代わりに、L79F、R80D、L84V、I85V、及びI91F変異を含む。IL-2部分がスーパーカインに基づく場合、対応するバイアスIL-2は、IL-2Rβに対してアルデスロイキンより高い親和性を有する。
【0185】
本発明のIL-2コンジュゲートは、少なくとも1つの共有結合で且つ可逆的に結合したポリマー部分及び/又は置換脂肪酸部分-Zを含む。
【0186】
そのような少なくとも1つの共有結合で且つ可逆的に結合したポリマー部分及び/又は置換脂肪酸部分の付加は、バイアスIL-2部分の循環半減期を更に延長させることが可能であり、その可逆的結合は、少なくとも1つの共有結合で且つ可逆的に結合したポリマー部分又は置換脂肪酸部分の切断後にIL-2Rβに対して十分な親和性を確保することが意外にも見出された。
【0187】
一実施形態では、本発明のIL-2コンジュゲートは、置換脂肪酸又はポリマー部分のいずれかである1つの部分-Zを含む。一実施形態では、-Zは置換脂肪酸である。別の実施形態では、-Zはポリマー部分である。
【0188】
別の実施形態では、本発明のIL-2コンジュゲートは、同じ又は異なり得る2つの部分-Zを含む。一実施形態では、両方の部分-Zが、同じ又は異なり得る置換脂肪酸である。別の実施形態では、両方の部分-Zが、同じ又は異なり得るポリマー部分である。別の実施形態では、一方の部分-Zが置換脂肪酸であり、他方の部分-Zがポリマー部分である。
【0189】
別の実施形態では、本発明のIL-2コンジュゲートは、同じ又は異なり得る3つの部分-Zを含む。一実施形態では、3つ全ての部分-Zが、同じ又は異なり得る置換脂肪酸である。別の実施形態では、3つ全ての部分-Zが、同じ又は異なり得るポリマー部分である。別の実施形態では、1つ又は2つの部分-Zが置換脂肪酸であり、残りの部分/部分(複数)-Zがポリマー部分である。
【0190】
別の実施形態では、本発明のIL-2コンジュゲートは、同じ又は異なり得る4つの部分-Zを含む。一実施形態では、4つ全ての部分-Zが、同じ又は異なり得る置換脂肪酸である。別の実施形態では、4つ全ての部分-Zが、同じ又は異なり得るポリマー部分である。別の実施形態では、1、2、又は3つの部分-Zが置換脂肪酸であり、残りの部分/部分(複数)-Zがポリマー部分である。
【0191】
-Zが置換脂肪酸部分である場合、これは好ましくは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2005/027978号A2及び国際公開第2014/060512号A1に開示される置換脂肪酸部分である。
【0192】
-Zがポリマー部分である場合、そのようなポリマー部分は好ましくは、1kDa~1000kDa、より好ましくは2kDa~500kDa、更により好ましくは3kDa~200kDa、更により好ましくは5kDa~120kDa、更により好ましくは10kDa~100kDa、最も好ましくは15kDa~80kDaの範囲の分子量を有する。一実施形態では、-Zは、約2kDaの分子量を有するポリマー部分である。別の実施形態では、-Zは、約5kDaの分子量を有するポリマー部分である。別の実施形態では、-Zは、約10kDaの分子量を有するポリマー部分である。別の実施形態では、-Zは、約15kDaの分子量を有するポリマー部分である。別の実施形態では、-Zは、約20kDaの分子量を有するポリマー部分である。別の実施形態では、-Zは、約30kDaの分子量を有するポリマー部分である。別の実施形態では、-Zは、約40kDaの分子量を有するポリマー部分である。別の実施形態では、-Zは、約50kDaの分子量を有するポリマー部分である。別の実施形態では、-Zは、約60kDaの分子量を有するポリマー部分である。別の実施形態では、-Zは、約70kDaの分子量を有するポリマー部分である。別の実施形態では、-Zは、約80kDaの分子量を有するポリマー部分である。別の実施形態では、-Zは、約90kDaの分子量を有するポリマー部分である。別の実施形態では、-Zは、約100kDaの分子量を有するポリマー部分である。一実施形態では、-Zは、2kDaの分子量を有するポリマー部分である。別の実施形態では、-Zは、5kDaの分子量を有するポリマー部分である。別の実施形態では、-Zは、10kDaの分子量を有するポリマー部分である。別の実施形態では、-Zは、15kDaの分子量を有するポリマー部分である。別の実施形態では、-Zは、20kDaの分子量を有するポリマー部分である。別の実施形態では、-Zは、30kDaの分子量を有するポリマー部分である。別の実施形態では、-Zは、40kDaの分子量を有するポリマー部分である。別の実施形態では、-Zは、50kDaの分子量を有するポリマー部分である。別の実施形態では、-Zは、60kDaの分子量を有するポリマー部分である。別の実施形態では、-Zは、70kDaの分子量を有するポリマー部分である。別の実施
形態では、-Zは、80kDaの分子量を有するポリマー部分である。別の実施形態では、-Zは、90kDaの分子量を有するポリマー部分である。別の実施形態では、-Zは、100kDaの分子量を有するポリマー部分である。
【0193】
-Zがポリマー部分である場合、そのようなポリマー部分は、好ましくは2-メタクリロイル-オキシエチルホスホリル(phosphoyl)コリン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリレート)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アルキルオキシ)ポリマー、ポリ(アミド)、ポリ(アミドアミン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(酸無水物)、ポリ(アスパルタミド)、ポリ(酪酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(カーボネート)、ポリ(シアノアクリレート)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、ポリ(エステル)、ポリ(エチレン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチルホスフェート)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルオキサゾリン)、ポリ(ヒドロキシメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルオキサゾリン)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(メチルオキサゾリン)、ポリ(オルガノホスファゼン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(オキサゾリン)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(シロキサン)、ポリ(ウレタン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルピロリドン)、シリコーン、セルロース、カルボメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キチン、キトサン、デキストラン、デキストリン、ゼラチン、ヒアルロン酸及び誘導体、官能化ヒアルロン酸、アルギネート、マンナン、ペクチン、ラムノガラクツロナン、デンプン、ヒドロキシアルキルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン、並びに他の炭水化物系のポリマー、キシラン、及びそのコポリマーからなる群から選択されるポリマーを含む。
【0194】
一実施形態では、-Zは、ペプチド又はタンパク質部分である。好ましくは、そのようなペプチド又はタンパク質部分は、IL-2部分又はその断片ではない。そのようなペプチド又はタンパク質部分-Zは、-L1-L2-を介して-Dに化学コンジュゲートされてもよく、又は可逆的リンカー部分-L1-を介して-Dに翻訳融合されてもよく、ここで、-L1-は、ペプチド又はタンパク質部分であり、-L2-は好ましくは化学結合である。一実施形態では、そのようなペプチド又はタンパク質部分-Zは、-L1-L2-を介して-Dに化学コンジュゲートされる。別の実施形態では、そのようなペプチド又はタンパク質部分-Zは、可逆的リンカー部分-L1-を介して-Dに翻訳融合され、ここで、-L1-はペプチド又はタンパク質であり、-L2-は好ましくは化学結合である。そのようなペプチド又はタンパク質可逆的リンカー部分-L1-は、酵素的又は非酵素的に分解可能であり得ることが理解される。酵素的分解を促進するため、-L1-は、プロテアーゼ認識部位を含んでもよい。
【0195】
-Zがペプチド又はタンパク質部分である場合、好ましくは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2012/0035101号A1に記載の絨毛性ゴナドトロピンのカルボキシル末端ペプチドを含む部分、アルブミン部分、ランダムコイルタンパク質部分、及びFc融合タンパク質部分からなる群から選択される。
【0196】
一実施形態では、-Zは、ランダムコイルペプチド又はタンパク質部分を含む。
【0197】
好ましくは、そのようなランダムコイルタンパク質部分は、少なくとも25個のアミノ酸残基及び多くとも2000個のアミノ酸を含む。更により好ましくは、そのようなランダムコイルペプチド又はタンパク質部分は、少なくとも30個のアミノ酸残基及び多くとも1500個のアミノ酸残基を含む。更により好ましくは、そのようなランダムコイルペプチド又はタンパク質部分は、少なくとも50個のアミノ酸残基及び多くとも500個のアミノ酸残基を含む。
【0198】
好ましい実施形態では、-Zは、前記ランダムコイルタンパク質部分を形成するアミノ酸の総数の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%がアラニン及びプロリンから選択されるランダムコイルタンパク質部分を含む。更により好ましくは、そのようなランダムコイルタンパク質部分のアミノ酸残基の総数の少なくとも10%であるが75%未満、好ましくは65%未満がプロリン残基である。好ましくは、そのようなランダムコイルタンパク質部分は、WO2011/144756A1(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載のものである。更により好ましくは、-Zは、WO2011/144756(参照により本明細書に組み込まれる)に開示の配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号51及び配列番号61からなる群から選択される少なくとも1つの部分を含む。アラニン及びプロリンを含むそのようなランダムコイルタンパク質を含む部分は、「PA」又は「PA部分」と称される。
【0199】
従って、一実施形態では、-Zは、PA部分を含む。
【0200】
別の実施形態では、-Zは、前記ランダムコイルタンパク質部分を形成するアミノ酸の総数の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%がアラニン、セリン及びプロリンから選択されるランダムコイルタンパク質部分を含む。更により好ましくは、そのようなランダムコイルタンパク質部分のアミノ酸残基の総数の少なくとも4%であるが40%未満がプロリン残基である。好ましくは、そのようなランダムコイルタンパク質部分は、WO2008/155134A1(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている通りのものである。更により好ましくは-Zは、WO2008/155134A1(参照により本明細書に組み込まれる)に開示の配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号50、配列番号52、配列番号54及び配列番号56からなる群から選択される少なくとも1つの部分を含む。アラニン、セリン及びプロリンを含むそのようなランダムコイルタンパク質部分を含む部分は、「PAS」又は「PAS部分」と称される。
【0201】
従って、一実施形態では、-Zは、PAS部分を含む。
【0202】
別の実施形態では、-Zは、前記ランダムコイルタンパク質部分を形成するアミノ酸の総数の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%及び最も好ましくは少なくとも99%がアラニン、グリシン、セリン、トレオニン、グルタミン酸及びプロリンから選択されるランダムコイルタンパク質部分を含む。好ましくは、そのようなランダムコイルタンパク質部分は、WO2010/091122A1(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている通りのものである。更により好ましくは-Zは、WO2010/091122A1(参照により本明細書に組み込まれる)に開示の配列番号182、配列番号183、配列番号184;配列番号185、配列番号186、配列番号187、配列番号188、配列番号189、配列番号190、配列番号191、配列番号192、配列番号193、配列番号194、配列番号195、配列番号196、配列番号197、配列番号198、配列番号199、配列番号200、配列番号201、配列番号202、配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、配列番号207、配列番号208、配列番号209、配列番号210、配列番号211、配列番号212、配列番号213、配列番号214、配列番号215、配列番号216、配列番号217、配列番号218、配列番号219、配列番号220、配列番号221、配列番号759、配列番号760、配列番号761、配列番号762、配列番号763、配列番号764、配列番号765、配列番号766、配列番号767、配列番号768、配列番号769、配列番号770、配列番号771、配列番号772、配列番号773、配列番号774、配列番号775、配列番号776、配列番号777、配列番号778、配列番号779、配列番号1715、配列番号1716、配列番号1718、配列番号1719、配列番号1720、配列番号1721及び配列番号1722からなる群から選択される少なくとも1つの部分を含む。アラニン、グリシン、セリン、トレオニン、グルタミン酸及びプロリンを含むそのようなランダムコイルタンパク質部分を含む部分は、WO2010/091122A1での名称に従って「XTEN」又は「XTEN部分」と称される。
【0203】
従って、一実施形態では、-Zは、XTEN部分を含む。
【0204】
別の実施形態では、-Zは、ヒアルロン酸系ポリマーである。
【0205】
別の実施形態では、-ZはPEG系部分、例えば直鎖、分岐、又はマルチアームPEG系部分である。一実施形態では、-Zは分岐PEG系部分である。好ましくは、そのような分岐PEG系部分-Zは、1、2、3、4、5若しくは6つの分岐点を有する分岐PEG系部分である。好ましくは、-Zは、1、2若しくは3つの分岐点を有する分岐PEG系部分である。一実施形態では、-Zは、1つの分岐点を有する分岐PEG系部分である。別の実施形態では、-Zは、2つの分岐点を有する分岐PEG系部分である。別の実施形態では、-Zは、3つの分岐点を有する分岐PEG系部分である。
【0206】
各分岐点は好ましくは、-N<、-CH<及び>C<からなる群から独立して選択される。
【0207】
ある特定の実施形態では、-Zは、式(A)
【化25】
(式中、
-BP1<、-BP2<、-BP3<が、-N<及び-C(R8)<からなる群から互いに独立して選択され、
R8が、H、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、及びC2-6アルキニルからなる群から選択され、
-P1、-P2、-P3、-P4が、互いに独立して、少なくとも40%PEGを含み、3~40kDaの範囲の分子量を有するPEG系の鎖であり、
-C1-、-C2-が、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルからなる群から互いに独立して選択され、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルが、同じ又は異なる1つ以上のR9によって任意選択で置換され、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルが、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R10)-、-S(O)2N(R10)-、-S(O)N(R10)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(R10)S(O)2N(R10a)-、-S-、-N(R10)-、-OC(OR10)(R10a)-、-N(R10)C(O)N(R10a)-、及び-OC(O)N(R10)-からなる群から選択される1つ以上の基によって任意選択で割り込まれ、
各々のTが、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル、及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から独立して選択され、各々のTが、同じ又は異なる1つ以上のR9によって独立して任意選択で置換され、
各々のR9が、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COOR11、-OR11、-C(O)R11、-C(O)N(R11R11a)、-S(O)2N(R11R11a)、-S(O)N(R11R11a)、-S(O)2R11、-S(O)R11、-N(R11)S(O)2N(R11aR11b)、-SR11、-N(R11R11a)、-NO2、-OC(O)R11、-N(R11)C(O)R11a、-N(R11)S(O)2R11a、-N(R11)S(O)R11a、-N(R11)C(O)OR11a、-N(R11)C(O)N(R11aR11b)、-OC(O)N(R11R11a)、及びC1-6アルキルからなる群から独立して選択され、ここで、C1-6アルキルが、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンによって任意選択で置換され、
各々のR10、R10a、R11、R11a、及びR11bが、-H及びC1-6アルキルからなる群から独立して選択され、ここで、C1-6アルキルが、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンによって任意選択で置換される)
の部分を含む。
【0208】
ある特定の実施形態では、-P1、-P2、-P3、-P4は、互いに独立して、少なくとも50%PEGを含み、3~40kDaの範囲の分子量を有するPEG系の鎖である。ある特定の実施形態では、-P1、-P2、-P3、-P4は、互いに独立して、少なくとも60%PEGを含み、3~40kDaの範囲の分子量を有するPEG系の鎖である。ある特定の実施形態では、-P1、-P2、-P3、-P4は、互いに独立して、少なくとも70%PEGを含み、3~40kDaの範囲の分子量を有するPEG系の鎖である。ある特定の実施形態では、-P1、-P2、-P3、-P4は、互いに独立して、少なくとも80%PEGを含み、3~40kDaの範囲の分子量を有するPEG系の鎖である。
【0209】
ある特定の実施形態では、式(A)の部分P1、P2、P3、及びP4の分子量は、互いに独立して5~30kDa、例えば5~25kDa、又は8~20kDaの範囲である。ある特定の実施形態では、部分P1、P2、P3、又はP4の分子量は約5kDaであり得る。ある特定の実施形態では、部分P1、P2、P3、又はP4の分子量は約7kDaであり得る。ある特定の実施形態では、部分P1、P2、P3、又はP4の分子量は約10kDaであり得る。ある特定の実施形態では、部分P1、P2、P3、又はP4の分子量は約12kDaであり得る。ある特定の実施形態では、部分P1、P2、P3、又はP4の分子量は約15kDaであり得る。ある特定の実施形態では、部分P1、P2、P3、又はP4の分子量は約20kDaであり得る。ある特定の実施形態では、部分P1、P2、P3、又はP4の分子量は約25kDaであり得る。ある特定の実施形態では、部分P1、P2、P3、又はP4の分子量は約30kDaであり得る。ある特定の実施形態では、部分P1、P2、P3、又はP4の分子量は7kDaであり得る。ある特定の実施形態では、部分P1、P2、P3、又はP4の分子量は10kDaであり得る。ある特定の実施形態では、部分P1、P2、P3、又はP4の分子量は12kDaであり得る。ある特定の実施形態では、部分P1、P2、P3、又はP4の分子量は15kDaであり得る。ある特定の実施形態では、部分P1、P2、P3、又はP4の分子量は20kDaであり得る。ある特定の実施形態では、部分P1、P2、P3、又はP4の分子量は25kDaであり得る。ある特定の実施形態では、部分P1、P2、P3、又はP4の分子量は30kDaであり得る。
【0210】
ある特定の実施形態では、式(A)のP1、P2、P3、及びP4は、同じ構造を有する。
【0211】
ある特定の実施形態では、式(A)のBP1は、-N<である。
【0212】
ある特定の実施形態では、式(A)のBP2及びBP2は、同じ構造を有する。ある特定の実施形態では、式(A)のBP2及びBP2は、いずれも-CH<である。
【0213】
ある特定の実施形態では、式(A)のC1及びC2は同じ構造を有する。ある特定の実施形態では、式(A)のC1及びC2は、-O-、-C(O)N(R10)-、及び3~10員ヘテロシクリルからなる群から選択される1つ以上の基によって割り込まれるC1-50アルキルであり、ここで、3~10員ヘテロシクリルは、少なくとも1つのオキソ(=O)によって置換される。
【0214】
ある特定の実施形態では、式(A)のC1及びC2は、式(A-a)
【化26】
(式中、
星印を付けた破線は、BP1に対する結合を示し、
印を付けていない破線はそれぞれ、BP2又はBP3に対する結合を示し、
q1は、1、2、3、4、5、6、7、及び8からなる群から選択され、
q2は、1、2、3、4、及び5からなる群から選択され、
q3は、1、2、3、4、5、6、7、及び8からなる群から選択され、
q4は、1、2、及び3からなる群から選択される)
のものである。
【0215】
ある特定の実施形態では、式(A-a)のq1は、4、5、6、7、及び8からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、式(A-a)のq1は、5、6、及び7からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、式(A-a)のq1は1である。ある特定の実施形態では、式(A-a)のq1は2である。ある特定の実施形態では、式(A-a)のq1は3である。ある特定の実施形態では、式(A-a)のq1は4である。ある特定の実施形態では、式(A-a)のq1は5である。ある特定の実施形態では、式(A-a)のq1は6である。ある特定の実施形態では、式(A-a)のq1は7である。ある特定の実施形態では、式(A-a)のq1は8である。
【0216】
ある特定の実施形態では、式(A-a)のq2は、1、2、及び3からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、式(A-a)のq2は1である。ある特定の実施形態では、式(A-a)のq2は2である。ある特定の実施形態では、式(A-a)のq2は3である。ある特定の実施形態では、式(A-a)のq2は4である。ある特定の実施形態では、式(A-a)のq2は5である。
【0217】
ある特定の実施形態では、式(A-a)のq3は、2、3、4、及び5からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、式(A-a)のq3は、2、3、及び4からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、式(A-a)のq3は1である。ある特定の実施形態では、式(A-a)のq3は2である。ある特定の実施形態では、式(A-a)のq3は3である。ある特定の実施形態では、式(A-a)のq3は4である。ある特定の実施形態では、式(A-a)のq3は5である。ある特定の実施形態では、式(A-a)のq3は6である。ある特定の実施形態では、式(A-a)のq3は7である。ある特定の実施形態では、式(A-a)のq3は8である。
【0218】
ある特定の実施形態では、式(A-a)のq4は1である。ある特定の実施形態では、式(A-a)のq4は2である。ある特定の実施形態では、式(A-a)のq4は3である。
【0219】
ある特定の実施形態では、式(A)のP1、P2、P3、及びP4は、互いに独立して式(A-b)
【化27】
(式中、
破線は、-Zの残部に対する結合を示し、
mは、0又は1であり、
pは、70~900の範囲の整数であり、
qは、1、2、3、4、5、及び6からなる群から選択される)
のものである。
【0220】
ある特定の実施形態では、式(A-b)のmは0である。ある特定の実施形態では、式(A-b)のmは1である。
【0221】
ある特定の実施形態では、式(A-b)のpは、115~680の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-b)のpは、115~560の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-b)のpは、185~450の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-b)のpは約115である。ある特定の実施形態では、式(A-b)のpは約160である。ある特定の実施形態では、式(A-b)のpは約225である。ある特定の実施形態では、式(A-b)のpは約270である。ある特定の実施形態では、式(A-b)のpは約340である。ある特定の実施形態では、式(A-b)のpは約450である。ある特定の実施形態では、式(A-b)のpは約560である。
【0222】
ある特定の実施形態では、式(A-b)のqは1である。ある特定の実施形態では、式(A-b)のqは2である。ある特定の実施形態では、式(A-b)のqは3である。ある特定の実施形態では、式(A-b)のqは4である。ある特定の実施形態では、式(A-b)のqは5である。ある特定の実施形態では、式(A-b)のqは6である。
【0223】
ある特定の実施形態では、-Zは、式(A-c)
【化28】
(式中、
p1、p2、p3、p4は、互いに独立して70~900の範囲の整数である)
の部分を含む。
【0224】
ある特定の実施形態では、式(A-c)のp1は、115~680の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp1は、115~560の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp1は、185~450の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp1は、220~240の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp1は約115である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp1は約160である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp1は約225である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp1は約270である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp1は約340である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp1は約450である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp1は約560である。
【0225】
ある特定の実施形態では、式(A-c)のp2は、115~680の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp2は、115~560の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp2は、185~450の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp2は、220~240の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp2は約115である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp2は約160である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp2は約225である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp2は約270である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp2は約340である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp2は約450である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp2は約560である。
【0226】
ある特定の実施形態では、式(A-c)のp3は、115~680の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp3は、115~560の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp3は、185~450の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp3は、220~240の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp3は約115である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp3は約160である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp3は約225である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp3は約270である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp3は約340である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp3は約450である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp3は約560である。
【0227】
ある特定の実施形態では、式(A-c)のp4は115~680の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp4は115~560の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp4は185~450の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp4は220~240の範囲の整数である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp4は約115である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp4は約160である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp4は約225である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp4は約270である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp4は約340である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp4は約450である。ある特定の実施形態では、式(A-c)のp4は約560である。
【0228】
ある特定の実施形態では、式(A-c)のp1、p2、p3、及びp4は同一である。ある特定の実施形態では、p1、p2、p3、及びp4は、220~240の範囲である。
【0229】
一実施形態では、-Zは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2012/02047号A1に開示される部分である。
【0230】
別の実施形態では、-Zは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2013/024048号A1に開示される部分である。
【0231】
ある特定の実施形態では、-Zは水不溶性である。ある特定の実施形態では、-Zはハイドロゲルである。
【0232】
ある特定の実施形態では、そのようなハイドロゲルは、2-メタクリロイル-オキシエチルホスホリルコリン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリレート)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アルキルオキシ)ポリマー、ポリ(アミド)、ポリ(アミドアミン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(酸無水物)、ポリ(アスパルタミド)、ポリ(酪酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(カーボネート)、ポリ(シアノアクリレート)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、ポリ(エステル)、ポリ(エチレン)、ポリ(アルキレングリコール)、例えばポリ(エチレングリコール)及びポリ(プロピレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチルホスフェート)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルオキサゾリン)、ポリ(ヒドロキシメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルオキサゾリン)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(メチルオキサゾリン)、ポリ(オルガノホスファゼン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(オキサゾリン)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(シロキサン)、ポリ(ウレタン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルピロリドン)、シリコーン、セルロース、カルボメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キチン、キトサン、デキストラン、デキストリン、ゼラチン、ヒアルロン酸及び誘導体、官能化ヒアルロン酸、マンナン、ペクチン、ラムノガラクツロナン、デンプン、ヒドロキシアルキルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン、並びに他の炭水化物系のポリマー、キシラン、及びそのコポリマーからなる群から選択されるポリマーを含む。
【0233】
ある特定の実施形態では、-Zは、ポリ(アルキレングリコール)系又はヒアルロン酸系のハイドロゲルである。
【0234】
ある特定の実施形態では、-Zは、ポリ(プロピレングリコール)系のハイドロゲルである。
【0235】
ある特定の実施形態では、-Zは、PEG系のハイドロゲルである。
【0236】
ある特定の実施形態では、-Zは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2011/012715号A1又は国際公開第2014/056926号A1に開示されるPEG系のハイドロゲルである。
【0237】
ある特定の実施形態では、-Zは、ヒアルロン酸系のハイドロゲルである。
【0238】
ある特定の実施形態では、-Zは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2018/175788号A1に開示されるヒアルロン酸系のハイドロゲルである。
【0239】
部分-L1-は、IL-2部分を通して、特にIL-2部分のアミノ酸残基を通して、又は-Dに存在する修飾部分Mmodを通して-Dに結合してもよい。一実施形態では、-L1-は、IL-2部分を通して、特にIL-2部分のアミノ酸残基を通して-Dに結合する。別の実施形態では、-L1-は、-Dに存在する修飾部分Mmodを通して-Dに結合する。1つ以上の部分-L1-が部分Mmodに結合してもよいことが理解される。
【0240】
一実施形態では、本発明のIL-2コンジュゲートに存在する全ての部分-L1-が、-Dのアミノ酸残基に結合する。
【0241】
-L1-がIL-2部分のアミノ酸残基に結合する場合、そのようなアミノ酸残基は、-Dのタンパク質原性又は非タンパク質原性アミノ酸残基であり得る。一実施形態では、-L1-は、非タンパク質原性アミノ酸残基、好ましくは上記の非タンパク質原性アミノ酸に結合する。別の実施形態では、-L1-の結合は、タンパク質原性アミノ酸残基に対するものである。結合がタンパク質原性アミノ酸残基で起こる場合、前記タンパク質原性アミノ酸残基は、ある特定の実施形態では、システイン、メチオニン、ヒスチジン、リジン、トリプトファン、セリン、トレオニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、及びアルギニンからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、そのようなタンパク質原性アミノ酸残基は、システイン、ヒスチジン、リジン、トリプトファン、セリン、トレオニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、及びアルギニンからなる群から選択される。
【0242】
一実施形態では、-L1-は、-Dのシステイン残基、例えば配列番号2に基づくC57及びC104からなる群から選択されるシステイン残基、又は配列番号2のホモログ若しくはバリアントの対応する位置に結合する。IL-2のホモログ又はバリアントが、配列番号2と比較して1つ以上の追加のシステイン残基を含む場合、結合はまた、天然に存在し得るか、又は付加、挿入、若しくは変異の結果であり得るそのようなシステイン残基でも起こり得る。配列番号2の1つ又は2つのシステイン残基をそれぞれ、-Dに対する1つ又は2つの部分-Zの結合のために使用してもよいことが理解される。IL-2部分が配列番号2のホモログ又はバリアントであり、配列番号2のIL-2部分より多くのシステイン残基を有する場合、2つより多くのシステイン残基を-Zの結合のために使用してもよく、すなわち、そのようなホモログ又はバリアントに存在する最大数までのシステイン残基を、-Zの結合のために使用してもよい。一実施形態では、1つの部分-Zが1つのシステイン残基に結合する。別の実施形態では、全体で2つの部分-Zが2つのシステイン残基に結合する。
【0243】
別の実施形態では、-L1-は、-Dのヒスチジン残基、例えば配列番号2に基づくH15、H54、及びH78からなる群から選択されるヒスチジン残基、又は配列番号2のホモログ若しくはバリアントの対応する位置に結合する。IL-2のホモログ又はバリアントが、配列番号2と比較して1つ以上の追加のヒスチジン残基を含む場合、結合はまた、天然に存在し得るか、又は付加、挿入、若しくは変異の結果であり得るそのようなヒスチジン残基でも起こり得る。配列番号2の1、2、又は3つのヒスチジン残基をそれぞれ、1、2、又は3つの部分-L1-の結合のために使用してもよいことが理解される。IL-2部分が配列番号2のホモログ又はバリアントであり、配列番号2のIL-2部分より多くのヒスチジン残基を有する場合、3つより多くのヒスチジン残基を、-Dに対する-L1-の結合のために使用してもよく、すなわち、そのようなホモログ又はバリアントに存在する最大数までのヒスチジン残基のを、-L1-の結合のために使用してもよい。一実施形態では、1つの部分-L1-が1つのヒスチジン残基に結合する。別の実施形態では、全体で2つの部分-L1-が2つのヒスチジン残基に結合する。別の実施形態では、全体で3つの部分-L1-が3つのヒスチジン残基に結合する。
【0244】
別の実施形態では、-L1-は、リジン残基、例えば配列番号2に基づくK7、K8、K31、K34、K42、K47、K48、K53、K63、K75、又はK96からなる群から選択されるリジン残基、又は配列番号2のホモログ若しくはバリアントの対応する位置に結合する。IL-2のホモログ又はバリアントが、配列番号2と比較して1つ以上の追加のリジン残基を含む場合、結合はまた、天然に存在し得るか、又は付加、挿入、若しくは変異の結果であり得るそのようなリジン残基でも起こり得る。配列番号2の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は11個のリジン残基をそれぞれ、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は11個の部分-L1-の結合のために使用してもよいことが理解される。IL-2部分が配列番号2のホモログ又はバリアントであり、配列番号2のIL-2部分より多くのリジン残基を有する場合、11個より多くのリジン残基を、-L1-の結合のために使用してもよく、すなわち、そのようなホモログ又はバリアントに存在する最大数までのリジン残基を、-L1-の結合のために使用してもよい。一実施形態では、1つの部分-L1-が1つのリジン残基に結合する。別の実施形態では、全体で2つの部分-L1-が2つのリジン残基に結合する。別の実施形態では、全体で3つの部分-L1-が3つのリジン残基に結合する。別の実施形態では、全体で4つの部分-L1-が4つのリジン残基に結合する。別の実施形態では、全体で5つの部分-L1-が5つのリジン残基に結合する。別の実施形態では、全体で6つの部分-L1-が6つのリジン残基に結合する。
【0245】
別の実施形態では、-L1-は、トリプトファン残基、例えば配列番号2に基づくW120位のトリプトファン残基、又は配列番号2のホモログ若しくはバリアントの対応する位置に結合する。IL-2のホモログ又はバリアントが、配列番号2と比較して1つ以上の追加のトリプトファン残基を含む場合、結合はまた、天然に存在し得るか、又は付加、挿入、若しくは変異の結果であり得るそのようなトリプトファン残基でも起こり得る。IL-2部分が配列番号2のホモログ又はバリアントであり、配列番号2のIL-2部分より多くのトリプトファン残基を有する場合、1つより多くのトリプトファン残基を、-L1-の結合のために使用してもよく、すなわち、そのようなホモログ又はバリアントに存在する最大数までのトリプトファン残基を、-L1-の結合のために使用してもよい。一実施形態では、1つの部分-L1-が1つのトリプトファン残基に結合する。
【0246】
別の実施形態では、-L1-は、セリン残基、例えば配列番号2に基づくS3、S4、S5、S74、S86、S98、S124、S126、及びS129からなる群から選択されるセリン残基、又は配列番号2のホモログ若しくはバリアントの対応する位置に結合する。IL-2のホモログ又はバリアントが、配列番号2と比較して1つ以上の追加のセリン残基を含む場合、結合はまた、天然に存在し得るか、又は付加、挿入、若しくは変異の結果であり得るそのようなセリン残基でも起こり得る。配列番号2の1、2、3、4、5、6、7、8、又は9個のセリン残基を、-L1-の結合のために使用してもよいことが理解される。IL-2部分が配列番号2のホモログ又はバリアントであり、配列番号2のIL-2部分より多くのセリン残基を有する場合、9個より多くのセリン残基を、-Dに対する-L1-の結合のために使用してもよく、すなわち、そのようなホモログ又はバリアントに存在する最大数までのセリン残基を、-L1-の結合のために使用してもよい。一実施形態では、1つの部分-L1-が1つのセリン残基に結合する。別の実施形態では、全体で2つの部分-L1-が2つのセリン残基に結合する。別の実施形態では、全体で3つの部分-L1-が3つのセリン残基に結合する。別の実施形態では、全体で4つの部分-L1-が4つのセリン残基に結合する。別の実施形態では、全体で5つの部分-L1-が5つのセリン残基に結合する。別の実施形態では、全体で6つの部分-L1-が6つのセリン残基に結合する。
【0247】
別の実施形態では、-L1-は、トレオニン残基、例えば配列番号2に基づくT2、T6、T9、T36、T40、T50、T100、T102、T110、T112、T122、T130、及びT132からなる群から選択されるトレオニン残基、又は配列番号2のホモログ若しくはバリアントの対応する位置に結合する。IL-2のホモログ又はバリアントが、配列番号2と比較して1つ以上の追加のトレオニン残基を含む場合、結合はまた、天然に存在し得るか、又は付加、挿入、若しくは変異の結果であり得るそのようなトレオニン残基でも起こり得る。配列番号2の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、又は13個のトレオニン残基をそれぞれ、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、又は13個の部分-L1-の結合のために使用してもよいことが理解される。IL-2部分が配列番号2のホモログ又はバリアントであり、配列番号2のIL-2部分より多くのトレオニン残基を有する場合、13個より多くのトレオニン残基を、-Dに対する-L1-の結合のために使用してもよく、すなわち、そのようなホモログ又はバリアントに存在する最大数までのトレオニン残基を、-L1-の結合のために使用してもよい。一実施形態では、1つの部分-L1-が1つのトレオニン残基に結合する。別の実施形態では、全体で2つの部分-L1-が2つのトレオニン残基に結合する。別の実施形態では、全体で3つの部分-L1-が3つのトレオニン残基に結合する。別の実施形態では、全体で4つの部分-L1-が4つのトレオニン残基に結合する。別の実施形態では、全体で5つの部分-L1-が5つのトレオニン残基に結合する。別の実施形態では、全体で6つの部分-L1-が6つのトレオニン残基に結合する。
【0248】
別の実施形態では、-L1-は、チロシン残基、例えば配列番号2に基づくY30、Y44、及びY106からなる群から選択されるチロシン残基、又は配列番号2のホモログ若しくはバリアントの対応する位置に結合する。IL-2のホモログ又はバリアントが、配列番号2と比較して1つ以上の追加のチロシン残基を含む場合、結合はまた、天然に存在し得るか、又は付加、挿入、若しくは変異の結果であり得るそのようなチロシン残基でも起こり得る。配列番号2の1、2、又は3つのチロシン残基を、-Dに対する1、2、又は3つの部分-L1-の結合のために使用してもよいことが理解される。IL-2部分が配列番号2のホモログ又はバリアントであり、配列番号2のIL-2部分より多くのチロシン残基を有する場合、3つより多くのチロシン残基を、-L1-の結合のために使用してもよく、すなわち、そのようなホモログ又はバリアントに存在する最大数までのチロシン残基を、-Dに対する-L1-の結合のために使用してもよい。一実施形態では、1つの部分-L1-が1つのチロシン残基に結合する。別の実施形態では、全体で2つの部分-L1-が2つのチロシン残基に結合する。別の実施形態では、全体で3つの部分-L1-が3つのチロシン残基に結合する。
【0249】
別の実施形態では、-L1-は、アスパラギン酸残基、例えば配列番号2に基づくD19、D83、及びD108からなる群から選択されるアスパラギン酸残基、又は配列番号2のホモログ若しくはバリアントの対応する位置に結合する。IL-2のホモログ又はバリアントが、配列番号2と比較して1つ以上の追加のアスパラギン酸残基を含む場合、結合はまた、天然に存在し得るか、又は付加、挿入、若しくは変異の結果であり得るそのようなアスパラギン酸残基でも起こり得る。配列番号2の1、2、又は3つのアスパラギン酸残基をそれぞれ、1、2、又は3つの部分-L1-の結合のために使用してもよいことが理解される。IL-2部分が配列番号2のホモログ又はバリアントであり、配列番号2のIL-2部分より多くのアスパラギン酸残基を有する場合、3つより多くのアスパラギン酸残基を、-L1-の結合のために使用してもよく、すなわち、そのようなホモログ又はバリアントに存在する最大数までのアスパラギン酸残基を、-Dに対する-L1-の結合のために使用してもよい。一実施形態では、1つの部分-L1-が1つのアスパラギン酸残基に結合する。別の実施形態では、全体で2つの部分-L1-が2つのアスパラギン酸残基に結合する。別の実施形態では、全体で3つの部分-L1-が3つのアスパラギン酸残基に結合する。
【0250】
別の実施形態では、-L1-は、グルタミン酸残基、例えば配列番号2に基づくE14、E51、E59、E60、E61、E66、E67、E94、E99、E105、E109、及びE115からなる群から選択されるグルタミン酸残基、又は配列番号2のホモログ若しくはバリアントの対応する位置に結合する。IL-2のホモログ又はバリアントが、配列番号2と比較して1つ以上の追加のグルタミン酸残基を含む場合、結合はまた、天然に存在し得るか、又は付加、挿入、若しくは変異の結果であり得るそのようなグルタミン酸残基でも起こり得る。配列番号2の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12個のグルタミン酸残基を、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12個の部分-L1-の結合のために使用してもよいことが理解される。IL-2部分が配列番号2のホモログ又はバリアントであり、配列番号2のIL-2部分より多くのグルタミン酸残基を有する場合、12個より多くのグルタミン酸残基を、-L1-の結合のために使用してもよく、すなわち、そのようなホモログ又はバリアントに存在する最大数までのグルタミン酸残基を、-L1-の結合のために使用してもよい。一実施形態では、1つの部分-L1-が1つのグルタミン酸残基に結合する。別の実施形態では、全体で2つの部分-L1-が2つのグルタミン酸残基に結合する。別の実施形態では、全体で3つの部分-L1-が3つのグルタミン酸残基に結合する。別の実施形態では、全体で4つの部分-L1-が4つのグルタミン酸残基に結合する。別の実施形態では、全体で5つの部分-L1-が5つのグルタミン酸残基に結合する。別の実施形態では、全体で6つの部分-L1-が6つのグルタミン酸残基に結合する。
【0251】
別の実施形態では、-L1-は、アルギニン残基、例えば配列番号2に基づくR37、R80、R82、及びR119からなる群から選択されるアルギニン残基、又は配列番号2のホモログ若しくはバリアントの対応する位置に結合する。IL-2のホモログ又はバリアントが、配列番号2と比較して1つ以上の追加のアルギニン残基を含む場合、結合はまた、天然に存在し得るか、又は付加、挿入、若しくは変異の結果であり得るそのようなアルギニン残基でも起こり得る。配列番号2の1、2、3、又は4つのアルギニン残基を、1、2、3、又は4つの部分-L1-の結合のために使用してもよいことが理解される。IL-2部分が配列番号2のホモログ又はバリアントであり、配列番号2のIL-2部分より多くのアルギニン残基を有する場合、4つより多くのアルギニン残基を、-L1-の結合のために使用してもよく、すなわち、そのようなホモログ又はバリアントに存在する最大数までのアルギニン残基を、-L1-の結合のために使用してもよい。一実施形態では、1つの部分-L1-が1つのアルギニン残基に結合する。別の実施形態では、全体で2つの部分-L1-が2つのアルギニン残基に結合する。別の実施形態では、全体で3つの部分-L1-が4つのアルギニン残基に結合する。別の実施形態では、全体で4つの部分-L1-が4つのアルギニン残基に結合する。
【0252】
別の実施形態では、少なくとも1つの部分-L1-が、-Dのアミノ酸残基に結合し、残りの部分/部分(複数)-L1-が、-Dに存在する修飾部分に結合する。
【0253】
別の実施形態では、本発明のIL-2コンジュゲートに存在する全ての部分-L1-が、-Dに存在する修飾部分に結合する。一実施形態では、1つの部分-L1-が、-Dの1つの修飾部分に結合する。別の実施形態では、全体で2つの部分-L1-が1つの修飾部分、すなわち同じ修飾部分に結合する。別の実施形態では、全体で3つの部分-L1-が1つの修飾部分に結合する。別の実施形態では、全体で4つの部分-L1-が1つの修飾部分に結合する。別の実施形態では、全体で5つの部分-L1-が1つの修飾部分に結合する。別の実施形態では、全体で6つの部分-L1-が1つの修飾部分に結合する。別の実施形態では、全体で2つの部分-L1-が2つの修飾部分に結合し、すなわち修飾部分あたり1つの部分-L1-が結合する。別の実施形態では、全体で3つの部分-L1-が3つの修飾部分に結合し、すなわち修飾部分あたり1つの部分-L1-が結合する。別の実施形態では、全体で4つの部分-L1-が4つの修飾部分に結合し、すなわち修飾部分あたり1つの部分-L1-が結合する。別の実施形態では、全体で5つの部分-L1-が5つの修飾部分に結合し、すなわち修飾部分あたり1つの部分が結合する。別の実施形態では、全体で6つの部分-L1-が6つの修飾部分に結合し、すなわち修飾部分あたり1つの-L1が結合する。
【0254】
一実施形態では、-L1-は、WO 2009/095479 A2に開示されている構造を有する。したがって、一実施形態では、部分-L1-は、式(II):
【化29】
(式中、
破線は、アミド結合を形成することによる、-Dの窒素に対する結合を示し、
-X-は、-C(R4R4a)-、-N(R4)-、-O-、-C(R4R4a)-C(R5R5a)-、-C(R5R5a)-C(R4R4a)-、-C(R4R4a)-N(R6)-、-N(R6)-C(R4R4a)-、-C(R4R4a)-O-、-O-C(R4R4a)-、又は-C(R7R7a)-であり、
X1は、C、又はS(O)であり、
-X2-は、-C(R8R8a)-、又は-C(R8R8a)-C(R9R9a)-であり、
=X3は、=O、=S、又は=N-CNであり、
-R1、-R1a、-R2、-R2a、-R4、-R4a、-R5、-R5a、-R6、-R8、-R8a、-R9、-R9aは、-H及びC1-6アルキルからなる群から独立して選択され、
-R3、-R3aは、-H及びC1-6アルキルからなる群から独立して選択され、但し、-R3、-R3aの一方又は両方が-H以外である場合、それらは、それらが結合しているNに、SP3混成炭素原子を通して連結され、
-R7は、-N(R10R10a)、又は-NR10-(C=O)-R11であり、
-R7a、-R10、-R10a、-R11は、互いに独立して、-H、又はC1-6アルキルであり、
任意選択で、ペア-R1a/-R4a、-R1a/-R5a、-R1a/-R7a、-R4a/-R5a、-R8a/-R9aのうちの1つ以上は、化学結合を形成し、
任意選択で、ペア-R1/-R1a、-R2/-R2a、-R4/-R4a、-R5/-R5a、-R8/-R8a、-R9/-R9aのうちの1つ以上は、それらが結合している原子と一緒になって、C3-10シクロアルキル又は3~10員ヘテロシクリルを形成し、
任意選択で、ペア-R1/-R4、-R1/-R5、-R1/-R6、-R1/-R7a、-R4/-R5、-R4/-R6、-R8/-R9、-R2/-R3のうちの1つ以上は、それらが結合している原子と一緒になって、環Aを形成し、
任意選択で、R3/R3aは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3~10員複素環を形成し、
Aは、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル及び8~11員ヘテロビシクリルからなる群から選択される)
のものであり、
-L1-は、少なくとも1つの-L2-Zで置換され、任意選択で、-L1-は更に置換され、但し式(II)中の星印を付けた水素は、-L2-Z又は置換基によって置き換えられない。
【0255】
好ましくは、式(II)の-L1-は、1つの部分-L2-Zで置換される。
【0256】
一実施形態では、式(II)の-L1-は、更に置換されない。
【0257】
式(II)の-R3/-R3aが、それらが結合している窒素原子と一緒になって3~10員複素環を形成する場合、窒素に直接結合している原子がSP3混成炭素原子である、そのような3~10員複素環のみが形成されうることが理解される。言い換えると、-R3/-R3aとそれらが結合している窒素原子とによって形成されるそのような3~10員複素環は、以下の構造を有する:
【化30】
(式中、
破線は、-L1-の残部に対する結合を示し、
環は、少なくとも1個の窒素原子を含む、3~10個の原子を含み、並びに
R#及びR##は、SP3混成炭素原子を表す)。
【0258】
3~10員複素環が更に置換されてもよいことも理解される。
【0259】
式(II)の-R3/-R3aとそれらが結合している窒素原子とによって形成される適切な3~10員複素環の例示的実施形態は、下記のものである:
【化31】
(式中、
破線は、分子の残部に対する結合を示し、
-Rは、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択される)。
【0260】
式(II)の-L1-は、任意選択で、更に置換されてもよい。一般に、切断の原則に影響を与えない限りいずれの置換基を使用してもよく、すなわち、式(II)中の星印を付けた水素は置き換えられず、式(II)の部分
【化32】
の窒素は、一級、二級又は三級アミンの一部のままであり、すなわち、-R3及び-R3aは、互いに独立して-Hであるか、又はSP3混成炭素原子を通して-N<に連結されている。
【0261】
一実施形態では、式(II)の-R1又は-R1aは、-L2-Z又は-L2-Z'で置換される。別の実施形態では、式(II)の-R2又は-R2aは、-L2-Z又は-L2-Z'で置換される。別の実施形態では、式(II)の-R3又は-R3aは、-L2-Z又は-L2-Z'で置換される。別の実施形態では、式(II)の-R4は、-L2-Z又は-L2-Z'で置換される。別の実施形態では、式(II)の-R5又は-R5aは、-L2-Z又は-L2-Z'で置換される。別の実施形態では、式(II)の-R6は、-L2-Z又は-L2-Z'で置換される。別の実施形態では、式(II)の-R7又は-R7aは、-L2-Z又は-L2-Z'で置換される。別の実施形態では、式(II)の-R8又は-R8aは、-L2-Z又は-L2-Z'で置換される。別の実施形態では、式(II)の-R9又は-R9aは、-L2-Z又は-L2-Z'で置換される。
【0262】
別の実施形態では、-L1-は、国際公開第2016/020373号A1に開示されている構造を有する。したがって、別の実施形態では、部分-L1-は、式(III):
【化33】
(式中、
破線は、それぞれ、-Dの一級若しくは二級アミン又はヒドロキシルへのアミド又はエステル結合を形成することによる結合を示し、
-R1、-R1a、-R2、-R2a、-R3及び-R3aは、-H、-C(R8R8aR8b)、-C(=O)R8、-C≡N、-C(=NR8)R8a、-CR8(=CR8aR8b)、-C≡CR8及び-Tからなる群から互いに独立して選択され、
-R4、-R5及び-R5aは、-H、-C(R9R9aR9b)及び-Tからなる群から互いに独立して選択され、
a1及びa2は、互いに独立して、0又は1であり、
各-R6、-R6a、-R7、-R7a、-R8、-R8a、-R8b、-R9、-R9a、-R9bは、-H、ハロゲン、-CN、-COOR10、-OR10、-C(O)R10、-C(O)N(R10R10a)、-S(O)2N(R10R10a)、-S(O)N(R10R10a)、-S(O)2R10、-S(O)R10、-N(R10)S(O)2N(R10aR10b)、-SR10、-N(R10R10a)、-NO2、-OC(O)R10、-N(R10)C(O)R10a、-N(R10)S(O)2R10a、-N(R10)S(O)R10a、-N(R10)C(O)OR10a、-N(R10)C(O)N(R10aR10b)、-OC(O)N(R10R10a)、-T、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、及びC2-20アルキニルからなる群から互いに独立して選択され、ここで、-T、C1-20アルキル、C2-20アルケニル及びC2-20アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-R11によって任意選択で置換され、C1-20アルキル、C2-20アルケニル及びC2-20アルキニルは、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R12)-、-S(O)2N(R12)-、-S(O)N(R12)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(R12)S(O)2N(R12a)-、-S-、-N(R12)-、-OC(OR12)(R12a)-、-N(R12)C(O)N(R12a)-、及び-OC(O)N(R12)-からなる群から選択される1つ以上の基によって任意選択で割り込まれ、
各-R10、-R10a、-R10bは、-H、-T、C1-20アルキル、C2-20アルケニル及びC2-20アルキニルからなる群から独立して選択され、-T、C1-20アルキル、C2-20アルケニル及びC2-20アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-R11によって任意選択で置換され、C1-20アルキル、C2-20アルケニル及びC2-20アルキニルは、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R12)-、-S(O)2N(R12)-、-S(O)N(R12)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(R12)S(O)2N(R12a)-、-S-、-N(R12)-、-OC(OR12)(R12a)-、-N(R12)C(O)N(R12a)-、及び-OC(O)N(R12)-からなる群から選択される1つ以上の基によって任意選択で割り込まれ、
各Tは、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、及び8~11員ヘテロビシクリルからなる群から互いに独立して選択され、各Tは、独立して、同じ又は異なる1つ以上の-R11によって任意選択で置換され、
各-R11は、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COOR13、-OR13、-C(O)R13、-C(O)N(R13R13a)、-S(O)2N(R13R13a)、-S(O)N(R13R13a)、-S(O)2R13、-S(O)R13、-N(R13)S(O)2N(R13aR13b)、-SR13、-N(R13R13a)、-NO2、-OC(O)R13、-N(R13)C(O)R13a、-N(R13)S(O)2R13a、-N(R13)S(O)R13a、-N(R13)C(O)OR13a、-N(R13)C(O)N(R13aR13b)、-OC(O)N(R13R13a)、及びC1-6アルキルから互いに独立して選択され、C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンによって任意選択で置換され、
各-R12、-R12a、-R13、-R13a、-R13bは、-H及びC1-6アルキルからなる群から独立して選択され、C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンによって任意選択で置換され、
任意選択で、ペア-R1/-R1a、-R2/-R2a、-R3/-R3a、-R6/-R6a、-R7/-R7aのうちの1つ以上は、それらが結合している原子と一緒になって、C3-10シクロアルキル又は3~10員ヘテロシクリルを形成し、
任意選択で、ペア-R1/-R2、-R1/-R3、-R1/-R4、-R1/-R5、-R1/-R6、-R1/-R7、-R2/-R3、-R2/-R4、-R2/-R5、-R2/-R6、-R2/-R7、-R3/-R4、-R3/-R5、-R3/-R6、-R3/-R7、-R4/-R5、-R4/-R6、-R4/-R7、-R5/-R6、-R5/-R7、-R6/-R7のうちの1つ以上は、それらが結合している原子と一緒になって、環Aを形成し、
Aは、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、及び8~11員ヘテロビシクリルからなる群から選択される)
のものであり、
-L1-は、少なくとも1つの-L2-Zで置換され、任意選択で、-L1-は更に置換される。
【0263】
式(III)の-L1-の任意選択のさらなる置換基は、好ましくは、上に記載した通りである。
【0264】
好ましくは、式(III)の-L1-は、1つの部分-L2-Zで置換される。
【0265】
一実施形態では、式(III)の-L1-は、更に置換されない。
【0266】
別の実施形態では、-L1-は、参照により本明細書に組み込まれる欧州特許第1536334号B1、WO2009/009712A1、WO2008/034122A1、WO2009/143412A2、WO2011/082368A2、及び米国特許第8,618,124号B2に開示されている構造を有する。
【0267】
別の実施形態では、-L1-は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,946,405号B2及び米国特許第8,754,190号B2に開示されている構造を有する。したがって、別の実施形態では、-L1-は、式(IV):
【化34】
(式中、
破線は、-OH、-SH及び-NH2からなる群から選択される-Dの官能基を通した-Dに対する結合を示し、
mは、0又は1であり、
-R1及び-R2の少なくとも一方又は両方は、-CN、-NO2、任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリール、任意選択で置換されているアルケニル、任意選択で置換されているアルキニル、-C(O)R3、-S(O)R3、-S(O)2R3、及び-SR4からなる群から互いに独立して選択され、
-R1及び-R2の一方及び一方のみは、-H、任意選択で置換されているアルキル、任意選択で置換されているアリールアルキル、及び任意選択で置換されているヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、
-R3は、-H、任意選択で置換されているアルキル、任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているアリールアルキル、任意選択で置換されているヘテロアリール、任意選択で置換されているヘテロアリールアルキル、-OR9及び-N(R9)2からなる群から選択され、
-R4は、任意選択で置換されているアルキル、任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているアリールアルキル、任意選択で置換されているヘテロアリール、及び任意選択で置換されているヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、
各-R5は、-H、任意選択で置換されているアルキル、任意選択で置換されているアルケニルアルキル、任意選択で置換されているアルキニルアルキル、任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているアリールアルキル、任意選択で置換されているヘテロアリール、及び任意選択で置換されているヘテロアリールアルキルからなる群から独立して選択され、
-R9は、-H及び任意選択で置換されているアルキルからなる群から選択され、
-Y-は、存在せず、-X-は、-O-若しくは-S-であるか、又は
-Y-は、-N(Q)CH2-であり、-X-は、-O-であり、
Qは、任意選択で置換されているアルキル、任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているアリールアルキル、任意選択で置換されているヘテロアリール、及び任意選択で置換されているヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、
任意選択で、-R1と-R2が一緒になって、3~8員環を形成してもよく、
任意選択で、両方の-R9は、それらが結合している窒素と一緒になって、複素環式環を形成する)
のものであり、
-L1-は、-L2-Zで置換され、任意選択で、-L1-は更に置換される。
【0268】
式(IV)との関連でのみ、使用される用語は、以下の意味を有する:
【0269】
ここで使用される用語「アルキル」は、炭素1~8個、又は一部の実施形態では炭素原子1~6個又は1~4個の直鎖、分岐又は環状飽和炭化水素基を含む。
【0270】
用語「アルコキシ」は、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、シクロプロポキシ、シクロブトキシ及びこれらに類するものをはじめとする、酸素に結合しているアルキル基を含む。
【0271】
用語「アルケニル」は、炭素-炭素二重結合を有する非芳香族不飽和炭化水素を含む。
【0272】
用語「アルキニル」は、炭素-炭素三重結合を有する非芳香族不飽和炭化水素を含む。
【0273】
用語「アリール」は、フェニル、ナフチル及びアントラセニルなどの基をはじめとする、炭素6~18個、好ましくは炭素6~10個の芳香族炭化水素基を含む。用語「ヘテロアリール」は、ピロリル、ピリジル、ピリミジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、キノリル、インドリル、インデニル及びこれらに類するものなどの基をはじめとする、3~15個の炭素原子を含み、少なくとも1個のN、O又はS原子を含有する、好ましくは、3~7個の炭素原子を含み、少なくとも1個のN、O又はS原子を含有する、芳香族環を含む。
【0274】
場合によっては、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリール部分は、アルキレン結合を通して分子の残部にカップリングされていることもある。これらの状況下では置換基はアルケニルアルキル、アルキニルアルキル、アリールアルキル又はヘテロアリールアルキルと称され、これらは、アルキレン部分が、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリール部分と、該アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールがカップリングされている分子との間にあることを示す。
【0275】
用語「ハロゲン」は、ブロモ、フルオロ、クロロ及びヨードを含む。
【0276】
用語「複素環式環」は、3~7個の炭素原子と少なくとも1個のN、O又はS原子とを含む、4~8員芳香族又は非芳香族環を指す。例は、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジン及びテトラヒドロフラニル、並びに用語「ヘテロアリール」について上で提供した例示的な基である。
【0277】
環系が任意選択で置換されているとき、適切な置換基は、アルキル、アルケニル、アルキニル又はさらなる環からなる群から選択され、これらの各々は、任意選択で更に置換されている。上記のものを含むいずれかの基に対する任意選択の置換基としては、ハロ、ニトロ、シアノ、-OR、-SR、-NR2、-OCOR、-NRCOR、-COOR、-CONR2、-SOR、-SO2R、-SONR2、-SO2NR2が挙げられ、ここで各Rは、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくはヘテロアリールであるか、又は2つのR基は、それらが結合している原子と協働して環を形成する。
【0278】
好ましくは、式(IV)の-L1-は1つの部分-L2-Zで置換されている。
【0279】
別の実施形態では、-L1-は、参照により本明細書に組み込まれるWO2013/036857A1に開示されている構造を有する。したがって、別の実施形態では、-L1-は、式(V):
【化35】
(式中、
破線は、-Dのアミン官能基を通した-Dに対する結合を示し、、
-R1は、任意選択で置換されているC1-C6直鎖、分岐又は環状アルキル、任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリール、アルコキシ、及び-NR5 2からなる群から選択され、
-R2は、-H、任意選択で置換されているC1-C6アルキル、任意選択で置換されているアリール、及び任意選択で置換されているヘテロアリールからなる群から選択され、
-R3は、-H、任意選択で置換されているC1-C6アルキル、任意選択で置換されているアリール、及び任意選択で置換されているヘテロアリールからなる群から選択され、
-R4は、-H、任意選択で置換されているC1-C6アルキル、任意選択で置換されているアリール、及び任意選択で置換されているヘテロアリールからなる群から選択され、
各-R5は、-H、任意選択で置換されているC1-C6アルキル、任意選択で置換されているアリール、及び任意選択で置換されているヘテロアリールからなる群から互いに独立して選択され、又は協働する場合、2つの-R5がシクロアルキル若しくはシクロヘテロアルキルになりうる)
のものであり、
-L1-は、-L2-Zで置換され、任意選択で、-L1-は更に置換される。
【0280】
式(V)との関連でのみ、使用される用語は、以下の意味を有する:
【0281】
「アルキル」、「アルケニル」及び「アルキニル」は、炭素1~8個、又は1~6個、又は1~4個の直鎖、分岐又は環状炭化水素基を含み、ここで、アルキルは飽和炭化水素であり、アルケニルは1つ以上の炭素-炭素二重結合を含み、及びアルキニルは1以上の炭素-炭素三重結合を含む。他に明記していない限り、これらは1~6個のCを含有する。
【0282】
「アリール」は、フェニル、ナフチル及びアントラセニンなどの基をはじめとする、炭素6~18個、好ましくは炭素6~10個の芳香族炭化水素基を含む。「ヘテロアリール」は、ピロリル、ピリジル、ピリミジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、キノリル、インドリル、インデニル及びこれらに類するものなどの基をはじめとする、3~15個の炭素を含み、少なくとも1個のN、O又はS原子を含有する、好ましくは、3~7個の炭素を含み、少なくとも1個のN、O又はS原子を含有する、芳香族環を含む。
【0283】
用語「置換されている」は、1個以上の水素原子の代わりに1つ以上の置換基を含む、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリール基を意味する。置換基は、一般に、ハロゲン(F、Cl、Br及びIを含む)、低級アルキル(直鎖状のもの、分岐したもの及び環状のものを含む)、低級ハロアルキル(フルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル及びヨードアルキルを含む)、OH、低級アルコキシ(直鎖状のもの、分岐したもの及び環状のものを含む)、SH、低級アルキルチオ(直鎖状のもの、分岐したもの及び環状のものを含む)、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シリル(アルキルシリル、アルコキシシリル及びアリールシリルを含む)、ニトロ、シアノ、カルボニル、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド、アミノカルボニル、アミノアシル、カルバメート、尿素、チオカルバメート、チオ尿素、ケトン(ketne)、スルホン、スルホンアミド、アリール(フェニル、ナフチル及びアントラセニルを含む)、ヘテロアリール(ピロール、イミダゾール、フラン、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、オキサジアゾール及びテトラゾールをはじめとする5員ヘテロアリール、ピリジン、ピリミジン及びピラジンをはじめとする6員ヘテロアリール、並びにベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、インドール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソオキサゾール及びベンゾイソチアゾールをはじめとする融合ヘテロアリールを含む)から選択され得る。
【0284】
好ましくは、式(V)の-L1-は1つの部分-L2-Zで置換される。
【0285】
別の実施形態では、-L1-は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,585,837号B2に開示されている構造を有する。したがって、別の実施形態では、-L1-は、下記の式(VI):
【化36】
(式中、
破線は、-Dのアミン官能基を通した-Dに対する結合を示し、
R1及びR2は、水素、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリール、アルカリル、アラルキル、ハロゲン、ニトロ、-SO3H、-SO2NHR5、アミノ、アンモニウム、カルボキシル、PO3H2及びOPO3H2からなる群から独立して選択され、
R3、R4及びR5は、水素、アルキル及びアリールからなる群から独立して選択される)
のものであり、
-L1-は、-L2-Z oで置換され、任意選択で、-L1-は更に置換される。
【0286】
式(VI)の適切な置換基は、アルキル(例えば、C1-6アルキル)、アルケニル(例えば、C2-6アルケニル)、アルキニル(例えば、C2-6アルキニル)、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアリール(例えば、芳香族4~7員複素環)又はハロゲン部分である。
【0287】
式(VI)との関連でのみ、使用される用語は、以下の意味を有する:
【0288】
用語「アルキル」、「アルコキシ」、「アルコキシアルキル」、「アリール」、「アルカリル」及び「アラルキル」は、炭素原子1~8個、好ましくは1~4個のアルキルラジカル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル及びブチル、並びに炭素原子6~10個のアリールラジカル、例えば、フェニル及びナフチルを意味する。用語「ハロゲン」は、ブロモ、フルオロ、クロロ及びヨードを含む。
【0289】
好ましくは、式(VI)の-L1-は1つの部分-L2-Zで置換されている。
【0290】
別の実施形態では、-L1-は、参照により本明細書に組み込まれるWO2002/089789A1に開示されている構造を有する。したがって、別の実施形態では、-L1-は、下記の式(VII):
【化37】
(式中、
破線は、-Dのアミン官能基を通した-Dに対する結合を示し、
L1は、二官能性結合基であり、
Y1及びY2は、独立して、O、S又はNR7であり、
R2、R3、R4、R5、R6及びR7は、水素、C1-6アルキル、C3-12分岐アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、フェノキシ及びC1-6ヘテロアルコキシからなる群から独立して選択され、
Arは、式(VII)に含まれる場合、多置換芳香族炭化水素又は多置換複素環式基を形成する部分であり、
Xは、化学結合、又は標的細胞に能動輸送される部分、疎水性部分、又はこれらの組合せであり、
yは、0又は1である)
のものであり、
-L1-は、-L2-Zで置換され、任意選択で、-L1-は更に置換される。
【0291】
式(VII)との関連でのみ、使用される用語は、以下の意味を有する:
【0292】
用語「アルキル」は、例えば、アルコキシ、C3-8シクロアルキル又は置換シクロアルキルなどをはじめとする直鎖、分岐、置換C1-12アルキルを含むことが理解されるものとする。
【0293】
用語「置換されている」は、1個以上の異なる原子を付加すること、又は1個以上の異なる原子で官能基又は化合物に含有される1個以上の原子を置き換えることを含むことが理解されるものとする。
【0294】
置換アルキルは、カルボキシアルキル、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、ヒドロキシアルキル及びメルカプトアルキルを含み、置換シクロアルキルは、4-クロロシクロヘキシルなどの部分を含み、アリールは、ナフチルなどの部分を含み、置換アリールは、3-ブロモ-フェニルなどの部分を含み、アラルキルは、トルイルなどの部分を含み、ヘテロアルキルは、エチルチオフェンなどの部分を含み、置換ヘテロアルキルは、3-メトキシチオフェンなどの部分を含み、アルコキシは、メトキシなどの部分を含み、及びフェノキシは、3-ニトロフェノキシなどの部分を含む。ハロ-は、フルオロ、クロロ、ヨード及びブロモを含むことが理解されるものとする。
【0295】
好ましくは式(VII)の-L1-は1つの部分-L2-Zで置換されている。
【0296】
別の実施形態では、-L1-は、式(VIII)のサブ構造
【化38】
(式中、
星印を付けた破線は、アミド結合を形成することによる、-Dの窒素に対する結合を示し、
印の付いていない破線は、-L1-の残部に対する結合を示す)
を含み、
-L1-は、-L2-Zで置換され、任意選択で、-L1-は更に置換される。
【0297】
好ましくは、式(VIII)の-L1-は、1つの部分-L2-Zで置換される。
【0298】
一実施形態では、式(VIII)の-L1-は、更に置換されない。
【0299】
別の実施形態では、-L1-は、式(IX)のサブ構造
【化39】
(式中、
星印を付けた破線は、-Dの窒素へのカルバメート結合を形成することによる結合を示し、
印の付いていない破線は、-L1-の残部に対する結合を示す)
を含み、
-L1-は、-L2-Zで置換され、任意選択で、-L1-は更に置換される。
【0300】
好ましくは、式(IX)の-L1-は、1つの部分-L2-Zで置換される。
【0301】
一実施形態では、式(IX)の-L1-は、更に置換されない。
【0302】
一実施形態では、-L1-は、式(IX-a)
【化40】
(式中、
星印を付けた破線は、-Dの窒素に対する結合を示し、印を付けていない破線は、-L2-Zに対する結合を示し、
nは、0、1、2、3、又は4であり、
=Y1は、=O及び=Sからなる群から選択され、
-Y2-は、-O-及び-S-からなる群から選択され、
-Y3-は、-O-及び-S-からなる群から選択され、
-Y4-は、-O-、-NR5-、及び-C(R6R6a)-からなる群から選択され、
=Y5は、=O及び=Sからなる群から選択され、
-R3、-R5、-R6、-R6aは、-H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、2-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、及び3,3-ジメチルプロピルからなる群から互いに独立して選択され、
-R4は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、2-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、及び3,3-ジメチルプロピルからなる群から選択され、
-W-は、C3-10シクロアルキル、8~30員カルボポリシクリル、3~10員ヘテロシクリル、-C(O)-、-C(O)N(R7)-、-O-、-S-、及び-N(R7)-からなる群から選択される1つ以上の基によって任意選択で割り込まれるC1-20アルキルからなる群から選択され、
-Nuは、-N(R7R7a)、-N(R7OH)、-N(R7)-N(R7aR7b)、-S(R7)、-COOH、
【化41】
からなる群から選択される求核剤であり、
-Ar-は、
【化42】
(式中、
破線は、-L1-の残部に対する結合を示し、
-Z1-は、-O-、-S-、及び-N(R7)-からなる群から選択され、
-Z2-は、-N(R7)-である)
からなる群から選択され、
-R7、-R7a、-R7bは、-H、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、及びC2-6アルキニルからなる群から互いに独立して選択される)
のものであり、
-L1-は、任意選択で更に置換される。
【0303】
一実施形態では、式(IX-a)の-L1-は、更に置換されない。
【0304】
別の実施形態では、-L1-は、式(IX-b)
【化43】
(式中、
星印を付けた破線は、-Dの窒素に対する結合を示し、印を付けていない破線は、-L2-Zに対する結合を示し、
nは、0、1、2、3、又は4であり、
=Y1は、=O及び=Sからなる群から選択され、
-Y2-は、-O-及び-S-からなる群から選択され、
-Y3-は、-O-及び-S-からなる群から選択され、
-Y4-は、-O-、-NR5-、及び-C(R6R6a)-からなる群から選択され、
=Y5は、=O及び=Sからなる群から選択され、
-R2、-R3、-R5、-R6、-R6aは、-H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、2-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、及び3,3-ジメチルプロピルからなる群から互いに独立して選択され、
-R4は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、2-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、及び3,3-ジメチルプロピルからなる群から選択され、
-W-は、C3-10シクロアルキル、8~30員カルボポリシクリル、3~10員ヘテロシクリル、-C(O)-、-C(O)N(R7)-、-O-、-S-、及び-N(R7)-からなる群から選択される1つ以上の基によって任意選択で中断されるC1-20アルキルからなる群から選択され、
-Nuは、-N(R7R7a)、-N(R7OH)、-N(R7)-N(R7aR7b)、-S(R7)、-COOH、
【化44】
からなる群から選択される求核剤であり、
-Ar-は、
【化45】
(式中、
破線は、-L1-の残部に対する結合を示し、
-Z1-は、-O-、-S-、及び-N(R7)-からなる群から選択され、
-Z2-は、-N(R7)-である)
からなる群から選択され、
-R7、-R7a、-R7bは、-H、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、及びC2-6アルキニルからなる群から互いに独立して選択される)
のものであり、
-L1-は、任意選択で更に置換される。
【0305】
一実施形態では、式(IX-b)の-L1-は、更に置換されない。
【0306】
ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)の=Y1は=Oである。
【0307】
ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)-の-Y2-は-O-である。
【0308】
ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)の-Y3-は-O-である。
【0309】
ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)の-Y4-は-NR5-である。
【0310】
ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)の=Y5は=Oである。
【0311】
ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)のnは0又は1である。ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)のnは0である。ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)のnは1である。
【0312】
ある特定の実施形態では、(IX-b)の-R2は、-H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、式(IX-b)の-R2は、-H、メチル、エチル、n-プロピル、及びイソプロピルからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、式(IX-b)の-R2は、-H、メチル、及びエチルから選択される。ある特定の実施形態では、式(IX-b)の-R2は-Hである。
【0313】
ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)の-R3は、-H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)の-R3は、-H、メチル、エチル、n-プロピル、及びイソプロピルからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)の-R3は、-H、メチル、及びエチルから選択される。ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)の-R3は-Hである。
【0314】
好ましい実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)の各々の-R4は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルから独立して選択される。ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)の-R4は、メチル、エチル、n-プロピル、及びイソプロピルからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)の-R4は、メチル及びエチルから選択される。
【0315】
ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)の-R5は、-H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)の-R5は、-H、メチル、エチル、n-プロピル、及びイソプロピルからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)の-R5は、メチル及びエチルから選択される。ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)の-R5は、メチルである。
【0316】
ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)の-R6及び-R6aは、-H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルからなる群から独立して選択される。ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)の-R6及び-R6aは、-H、メチル、エチル、n-プロピル、及びイソプロピルからなる群から独立して選択される。ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)の-R6及び-R6aは、-H、メチル、及びエチルから独立して選択される。ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)の-R6及び-R6aは、いずれも-Hである。
【0317】
ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)のArはフェニルである。ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)のArは、
【化46】
(式中、破線は、式(IX-a)及び(IX-b)の部分の残部に対する結合を示す)
である。
【0318】
ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)のWは、C3-10シクロアルキル、-C(O)-、-C(O)N(R7)-、-O-、-S-、及び-N(R7)-によって任意選択で割り込まれるC1-20アルキルである。ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)のWは、C3-10シクロアルキル、-C(O)-、-C(O)N(R7)-、-O-、-S-、及び-N(R7)-によって任意選択で割り込まれるC1-10アルキルである。ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)のWは、C3-10シクロアルキル、-C(O)-、-C(O)N(R7)-、-O-、-S-、及び-N(R7)-によって任意選択で割り込まれるC1-6アルキルである。ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)のWは、
【化47】
(式中、
破線は、それぞれ、式(IX-a)又は(IX-b)の部分の残部に対する結合を示す)
である。
【0319】
ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)の-Nuは、-N(R7R7a)である。
【0320】
ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)の-R7、-R7a、及び-R7bは、-H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルからなる群から互いに独立して選択される。ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)の-R7、-R7a、及び-R7bは、-H、メチル、エチル、n-プロピル、及びイソプロピルから互いに独立して選択される。ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)の-R7、-R7a、及び-R7bは、メチル又はエチルから互いに独立して選択される。ある特定の実施形態では、式(IX-a)及び(IX-b)の-R7、-R7a、及び-R7bは、いずれもメチルである。
【0321】
ある特定の実施形態では、-L1-は、式(IX-c)
【化48】
(式中、
星印を付けた破線は、-Dの窒素に対する結合を示し、
印を付けていない破線は、-L2-Zに対する結合を示し、
s1は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10からなる群から選択される整数である)
のものである。
【0322】
ある特定の実施形態では、式(IX-c)のs1は、1、2、3、4、及び5からなる群から選択される整数である。ある特定の実施形態では、式(IX-c)のs1は1である。ある特定の実施形態では、式(IX-c)のs1は2である。ある特定の実施形態では、式(IX-c)のs1は3である。ある特定の実施形態では、式(IX-c)のs1は4である。ある特定の実施形態では、式(IX-c)のs1は5である。
【0323】
ある特定の実施形態では、式(IX-d)の-L1-は、
【化49】
(式中、
星印を付けた破線は、-Dの窒素に対する結合を示し、
印を付けていない破線は、-L2-Zに対する結合を示す)
である。
【0324】
部分-L1-は、可逆的である限り、任意のタイプの結合を通して-Dに連結され得る。好ましくは、-L1-は、アミド、エステル、カルバメート、アセタール、アミナール、イミン、オキシム、ヒドラゾン、ジスルフィド、及びアシルグアニジンからなる群から選択される結合を通して-Dに連結される。更により好ましくは、-L1-は、アミド、エステル、カルバメート、及びアシルグアニジンからなる群から選択される結合を通して-Dに連結される。これらの結合は、それ自体可逆的でなくてもよいが、可逆性は、-L1-に存在するある特定の原子群又は部分の作用であり得ることが理解される。
【0325】
一実施形態では、-L1-は、エステル結合を通して-Dに連結される。
【0326】
別の実施形態では、-L1-は、カルバメート結合を通して-Dに連結される。
【0327】
別の実施形態では、-L1-は、アシルグアニジンを通して-Dに連結される。
【0328】
好ましい実施形態では、-L1-は、アミド結合を通して-Dに連結される。
【0329】
ある特定の実施形態では、-L1-は、-Dのリジン残基の側鎖のアミン官能基の窒素を介して-Dに連結される。ある特定の実施形態では、-L1-は、-Dのリジン残基の側鎖のアミン官能基の窒素を介して-Dに連結され、-Dと-L1-との間で形成される結合は、カルバメートである。そのようなリジン残基の実施形態は、上記の通りである。
【0330】
一実施形態では、-L2-は、化学結合である。
【0331】
別の実施形態では、-L2-は、スペーサー部分である。
【0332】
ある特定の実施形態では、-L2-は、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry1)-、-S(O)2N(Ry1)-、-S(O)N(Ry1)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry1)S(O)2N(Ry1a)-、-S-、-N(Ry1)-、-OC(ORy1)(Ry1a)-、-N(Ry1)C(O)N(Ry1a)-、-OC(O)N(Ry1)-、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルからなる群から選択され、ここで、-T-、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2によって任意選択で置換され、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルは、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry3)-、-S(O)2N(Ry3)-、-S(O)N(Ry3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry3)S(O)2N(Ry3a)-、-S-、-N(Ry3)-、-OC(ORy3)(Ry3a)-、-N(Ry3)C(O)N(Ry3a)-、及び-OC(O)N(Ry3)-からなる群から選択される1つ以上の基によって任意選択で割り込まれ、
-Ry1及び-Ry1aは、-H、-T、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルからなる群から互いに独立して選択され、ここで、-T、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルは同じ又は異なる1つ以上の-Ry2によって任意選択で置換され、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルは、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry4)-、-S(O)2N(Ry4)-、-S(O)N(Ry4)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry4)S(O)2N(Ry4a)-、-S-、-N(Ry4)-、-OC(ORy4)(Ry4a)-、-N(Ry4)C(O)N(Ry4a)-、及び-OC(O)N(Ry4)-からなる群から選択される1以上の基によって任意選択で割り込まれ、
各々のTは、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル、及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から独立して選択され、各々のTは、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2によって独立して任意選択で置換され、
各々の-Ry2は、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COORy5、-ORy5、-C(O)Ry5、-C(O)N(Ry5Ry5a)、-S(O)2N(Ry5Ry5a)、-S(O)N(Ry5Ry5a)、-S(O)2Ry5、-S(O)Ry5、-N(Ry5)S(O)2N(Ry5aRy5b)、-SRy5、-N(Ry5Ry5a)、-NO2、-OC(O)Ry5、-N(Ry5)C(O)Ry5a、-N(Ry5)S(O)2Ry5a、-N(Ry5)S(O)Ry5a、-N(Ry5)C(O)ORy5a、-N(Ry5)C(O)N(Ry5aRy5b)、-OC(O)N(Ry5Ry5a)、及びC1-6アルキルからなる群から独立して選択され、ここで、C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンによって任意選択で置換され、
各々の-Ry3、-Ry3a、-Ry4、-Ry4a、-Ry5、-Ry5a及び-Ry5bは、-H、及びC1-6アルキルからなる群から独立して選択され、ここで、C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンによって任意選択で置換される。
【0333】
ある特定の実施形態では、-L2-は、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry1)-、-S(O)2N(Ry1)-、-S(O)N(Ry1)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry1)S(O)2N(Ry1a)-、-S-、-N(Ry1)-、-OC(ORy1)(Ry1a)-、-N(Ry1)C(O)N(Ry1a)-、-OC(O)N(Ry1)-、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルからなる群から選択され、ここで、-T-、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、及びC2-20アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2によって任意選択で置換され、C1-20アルキル、C2-20アルケニル及びC2-20アルキニルは、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry3)-、-S(O)2N(Ry3)-、-S(O)N(Ry3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry3)S(O)2N(Ry3a)-、-S-、-N(Ry3)-、-OC(ORy3)(Ry3a)-、-N(Ry3)C(O)N(Ry3a)-、及び-OC(O)N(Ry3)-からなる群から選択される1つ以上の基によって任意選択で割り込まれ、
-Ry1及び-Ry1aは、-H、-T、C1-10アルキル、C2-10アルケニル及びC2-10アルキニルからなる群から互いに独立して選択され、ここで、-T、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、及びC2-10アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2によって任意選択で置換され、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、及びC2-10アルキニルは、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry4)-、-S(O)2N(Ry4)-、-S(O)N(Ry4)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry4)S(O)2N(Ry4a)-、-S-、-N(Ry4)-、-OC(ORy4)(Ry4a)-、-N(Ry4)C(O)N(Ry4a)-、及び-OC(O)N(Ry4)-からなる群から選択される1つ以上の基によって任意選択で割り込まれ、;
各々のTは、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル、及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から独立して選択され、各々のTは、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2によって独立して任意選択で置換され、
-Ry2は、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COORy5、-ORy5、-C(O)Ry5、-C(O)N(Ry5Ry5a)、-S(O)2N(Ry5Ry5a)、-S(O)N(Ry5Ry5a)、-S(O)2Ry5、-S(O)Ry5、-N(Ry5)S(O)2N(Ry5aRy5b)、-SRy5、-N(Ry5Ry5a)、-NO2、-OC(O)Ry5、-N(Ry5)C(O)Ry5a、-N(Ry5)S(O)2Ry5a、-N(Ry5)S(O)Ry5a、-N(Ry5)C(O)ORy5a、-N(Ry5)C(O)N(Ry5aRy5b)、-OC(O)N(Ry5Ry5a)、及びC1-6アルキルからなる群から選択され、ここで、C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンによって任意選択で置換され、
各々の-Ry3、-Ry3a、-Ry4、-Ry4a、-Ry5、-Ry5a及び-Ry5bは、-H、及びC1-6アルキルからなる群から互いに独立して選択され、ここで、C1-6アルキルは同じ又は異なる1つ以上のハロゲンによって任意選択で置換される。
【0334】
ある特定の実施形態では、-L2-は、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry1)-、-S(O)2N(Ry1)-、-S(O)N(Ry1)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry1)S(O)2N(Ry1a)-、-S-、-N(Ry1)-、-OC(ORy1)(Ry1a)-、-N(Ry1)C(O)N(Ry1a)-、-OC(O)N(Ry1)-、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルからなる群から選択され、ここで、-T-、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2によって任意選択で置換され、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルは、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry3)-、-S(O)2N(Ry3)-、-S(O)N(Ry3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry3)S(O)2N(Ry3a)-、-S-、-N(Ry3)-、-OC(ORy3)(Ry3a)-、-N(Ry3)C(O)N(Ry3a)-、及び-OC(O)N(Ry3)-からなる群から選択される1つ以上の基によって任意選択で割り込まれ、
-Ry1及び-Ry1aは、-H、-T、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、及びC2-10アルキニルからなる群から独立して選択され、
各々のTは、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル、及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から独立して選択され、
各-Ry2は、ハロゲン及びC1-6アルキルからなる群から独立して選択され、
各-Ry3、-Ry3a、-Ry4、-Ry4a、-Ry5、-Ry5a及び-Ry5bは、-H及びC1-6アルキルからなる群から互いに独立して選択され、ここで、C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンによって任意選択置換される。
【0335】
ある特定の実施形態では、-L2-はC1-20アルキル鎖であり、それは-O-、-T-及び-C(O)N(Ry1)-から独立して選択される1つ以上の基によって任意選択で割り込まれ、そのC1-20アルキル鎖は、-OH、-T及び-C(O)N(Ry6Ry6a)から独立して選択される1つ以上の基によって任意選択で置換され、ここで、-Ry1、-Ry6、-Ry6aは、H及びC1-4アルキルからなる群から独立して選択され、Tはフェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル、及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から選択される。
【0336】
ある特定の実施形態では、-L2-は、14g/mol~750g/molの範囲の分子量を有する。
【0337】
ある特定の実施形態では、-L2-は、
【化50】
(式中、
破線は、それぞれ、-L1-、-L2-の残部に対する、又は-Zに対する結合を示し、
-R及び-Raは、-H、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から互いに独立して選択される)
からなる群から選択される部分を含む。
【0338】
ある特定の実施形態では、-L2-は、式(IX-e):
【化51】
(式中、星印を付けた破線は、-L1-に対する結合を示し、
印の付いていない破線は、-Zに対する結合を示し、
s2は0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19及び20からなる群から選択される整数である)
のものである。
【0339】
ある特定の実施形態では、式(IX-e)のs2は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11及び12からなる群から選択される整数である。ある特定の実施形態では、式(IX-e)のs2は、1、2、3、4、5、6、7及び8からなる群から選択される整数である。ある特定の実施形態では、式(IX-e)のs2は、1である。ある特定の実施形態では、式(IX-e)のs2は、2である。ある特定の実施形態では、式(IX-e)のs2は、3である。ある特定の実施形態では、式(IX-e)のs2は、4である。ある特定の実施形態では、式(IX-e)のs2は、5である。ある特定の実施形態では、式(IX-e)のs2は、6である。ある特定の実施形態では、式(IX-e)のs2は、7である。ある特定の実施形態では、式(IX-e)のs2は、8である。
【0340】
ある特定の実施形態では、部分-L1-L2-は、式(IX-f)
【化52】
(式中、星印を付けた破線は、-Dの窒素に対する結合を示し、
印の付いていない破線は、-Zに対する結合を示し、
s1は1、2、3、4、5、6、7、8、9及び10からなる群から選択される整数であり、
s2は0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19及び20からなる群から選択される整数である)
のものである。
【0341】
したがって、式(IX-f)の化合物において形成される部分-L1と-Dとの間の結合は、カルバメートである。
【0342】
ある特定の実施形態では、式(IX-f)のs1は、1、2、3、4及び5からなる群から選択される整数である。ある特定の実施形態では、式(IX-f)のs1は、1である。ある特定の実施形態では、式(IX-f)のs1は、2である。ある特定の実施形態では、式(IX-f)のs1は、3である。特定の実施形態では、式(IX-f)のs1は、4である。ある特定の実施形態では、式(IX-f)のs1は、5である。
【0343】
ある特定の実施形態では、式(IX-f)のs2は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11及び12からなる群から選択される整数である。ある特定の実施形態では、式(IX-f)のs2は、1、2、3、4、5、6、7及び8からなる群から選択される整数である。ある特定の実施形態では、式(IX-f)のs2は、1である。ある特定の実施形態では、式(IX-f)のs2は、2である。ある特定の実施形態では、式(IX-f)のs2は、3である。ある特定の実施形態では、式(IX-e)のs2は、4である。ある特定の実施形態では、式(IX-f)のs2は、5である。ある特定の実施形態では、式(IX-e)のs2は、6である。ある特定の実施形態では、式(IX-f)のs2は、7である。ある特定の実施形態では、式(IX-f)のs2は、8である。
【0344】
ある特定の実施形態では、式(IX-f)のs1は3であり、式(IX-f)のs2は3である。
【0345】
一実施形態では、本発明のIL-2コンジュゲートは、式(Ia)のものである。一実施形態では、xは1である。別の実施形態では、xは2である。別の実施形態では、xは3である。別の実施形態では、xは4である。
【0346】
別の実施形態では、本発明のIL-2コンジュゲートは、式(Ib)のものである。一実施形態では、yは2である。別の実施形態では、yは3である。別の実施形態では、yは4である。
【0347】
本発明の別の態様は、少なくとも1つの本発明のIL-2コンジュゲート及び少なくとも1つの賦形剤を含む医薬組成物である。
【0348】
好ましくは、少なくとも1つの本発明のIL-2コンジュゲートを含む医薬組成物は、pH3~pH8の範囲(両端を含む)のpHを有する。
【0349】
一実施形態では、少なくとも1つの本発明のIL-2コンジュゲート及び少なくとも1つの賦形剤を含む医薬組成物は、液体製剤である。
【0350】
別の実施形態では、少なくとも1つの本発明のIL-2コンジュゲート及び少なくとも1つの賦形剤を含む医薬組成物は、乾燥製剤である。
【0351】
そのような液体又は乾燥医薬組成物は、少なくとも1つの賦形剤を含む。非経口製剤に使用される賦形剤は、例えば、緩衝剤、等張性調節剤、保存剤、安定剤、吸着防止剤(anti-adsorption agent)、酸化保護剤、増粘剤(viscosifier)/粘度増強剤(viscosity enhancing agent)、又は他の助剤として分類されうる。しかし、場合によっては、1つの賦形剤が二重又は三重の機能を有することもある。好ましくは、本発明の医薬組成物に含まれる少なくとも1つの賦形剤は、以下からなる群から選択される:
(i)緩衝剤:pHを所望の範囲内で維持するための生理学的に許容される緩衝剤、例えば、リン酸ナトリウム、重炭酸塩、コハク酸塩、ヒスチジン、クエン酸塩及び酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、ピルビン酸塩;制酸剤、例えばMg(OH)2又はZnCO3も使用され得る;
(ii)等張性調節剤:注射デポーでの浸透圧差に起因する細胞損傷の結果として生じうる疼痛を最小にするためのもの;グリセリン及び塩化ナトリウムが例である;有効濃度は、血清についての285~315mOsmol/kgの想定されるモル浸透圧濃度を使用して浸透圧測定により決定することができる;
(iii)保存剤及び/又は抗菌剤:複数回投与用非経口製剤には注射によって患者が感染するリスクを最小にするために十分な濃度の保存剤の添加が必要であり、対応する規制要件は確立されている;典型的な保存剤としては、m-クレゾール、フェノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、クロロブタノール、ベンジルアルコール、硝酸フェニル水銀、チメロサール(thimerosol)、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸、クロロクレゾール及び塩化ベンザルコニウムが挙げられる;
(iv)安定剤:安定化は、タンパク質安定化力の強化によって、変性状態の不安定化によって、又は賦形剤のタンパク質への直接結合によって達成される;安定剤は、アミノ酸(例えば、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グリシン、ヒスチジン、リジン、プロリン)、糖(例えば、グルコース、スクロース、トレハロース)、ポリオール(例えば、グリセロール、マンニトール、ソルビトール)、塩(例えば、リン酸カリウム、硫酸ナトリウム)、キレート剤(例えば、EDTA、六リン酸塩)、配位子(例えば、二価金属イオン(亜鉛、カルシウムなど))、他の塩又は有機分子(例えば、フェノール系誘導体)であり得る;加えて、オリゴマー又はポリマー、例えば、シクロデキストリン、デキストラン、デンドリマー、PEG若しくはPVP又はプロタミン若しくはHSAが使用され得る;
(v)吸着防止剤:主としてイオン性若しくは非イオン性界面活性剤又は他のタンパク質若しくは可溶性ポリマーが、製剤容器の内面を被覆するため、又は該内面に競合的に吸着させるために使用される;例えば、ポロキサマー(Pluronic F-68)、PEGドデシルエーテル(Brij 35)、ポリソルベート20及び80、デキストラン、ポリエチレングリコール、PEG-ポリヒスチジン、BSA及びHSA並びにゼラチン;選択される賦形剤濃度及びタイプは、回避すべき作用に依存するが、典型的には、CMC値直上で界面活性剤の単層が界面に形成される;
(vi)酸化保護剤:酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸、エクトイン、メチオニン、グルタチオン、モノチオグリセロール、モリン、ポリエチレンイミン(PEI)、没食子酸プロピル及びビタミンE;キレート剤、例えば、クエン酸、EDTA、六リン酸塩、及びチオグリコール酸も使用され得る;
(vii)増粘剤又は粘度増強剤:バイアル及び注射器内での粒子の沈降を遅延させるものであり、粒子の混合及び再懸濁を助長するために並びに懸濁液をより注射しやすく(すなわち、注射器プランジャーに対する力が小さい)するために使用される;適切な増粘剤又は粘度増強剤は、例えば、カルボマー増粘剤(例えば、Carbopol 940、Carbopol Ultrez 10)、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース、HPMC)又はジエチルアミノエチルセルロース(DEAE若しくはDEAE-C))、コロイド状ケイ酸マグネシウム(Veegum)又はケイ酸ナトリウム、ヒドロキシアパタイトゲル、リン酸三カルシウムゲル、キサンタン、カラギーナン(例えば、Satia gum UTC 30)、脂肪族ポリ(ヒドロキシ酸)(例えば、ポリ(D,L-又はL-乳酸)(PLA)及びポリ(グリコール酸)(PGA)並びにこれらのコポリマー(PLGA)、D,L-ラクチドとグリコリドとカプロラクトンのターポリマー)、ポロキサマー、ポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)-ポリ(オキシエチレン)の3ブロック(triblock)(例えば、Pluronic(登録商標))を構成するための親水性ポリ(オキシエチレン)ブロック及び疎水性ポリ(オキシプロピレン)ブロック、ポリエーテルエステルコポリマー(例えば、ポリエチレングリコールテレフタレート/ポリブチレンテレフタレートコポリマー)、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル(SAIB)、デキストラン又はその誘導体、デキストランとPEGの組合せ、ポリジメチルシロキサン、コラーゲン、キトサン、ビニルアルコール(PVA)及び誘導体、ポリアルキルイミド、ポリ(アクリルアミド-co-ジアリルジメチルアンモニウム(DADMA))、ポリビニルピロリドン(PVP)、グリコサミノグリカン(GAG)(例えば、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ヒアルロナン)、疎水性Aブロック(例えばポリラクチド(PLA)又はポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA))と親水性Bブロック(例えばポリエチレングリコール(PEG)又はポリビニルピロリドン)とで構成される、ABAトリブロック又はABブロックコポリマーである;そのようなブロックコポリマー
及び上述のポロキサマーは、逆熱ゲル化挙動(投与を助長するように室温では流動状態、及び注射後に体温でのゾル-ゲル転移温度より高い温度ではゲル状態)を示し得る;
(viii)展着(spreading)又は拡散剤:組織の繊維内空間(intrastitial space)の細胞外マトリックスの成分(例えば、限定されないが、結合組織の細胞間空間において見いだされる多糖類であるヒアルロン酸)の加水分解により結合組織の透過性を調節する;展着剤、例えば、限定されないが、ヒアルロニダーゼは、細胞外マトリックスの粘度を減少させ、注射された薬物の拡散を促進する;及び
(ix)他の助剤:湿潤剤、粘度調節剤、抗生物質、ヒアルロニダーゼなど;塩酸及び水酸化ナトリウムなどの酸及び塩基は、製造中のpH調整に必要な助剤である。
【0352】
本発明の別の態様は、医薬としての使用するための、本発明のIL-2コンジュゲート若しくはその薬学的に許容される塩又は少なくとも1つのIL-2コンジュゲートを含む医薬組成物である。
【0353】
本発明の別の態様は、IL-2で治療することができる疾患の治療に使用するための、本発明のIL-2コンジュゲート若しくはその薬学的に許容される塩又は少なくとも1つのIL-2コンジュゲートを含む医薬組成物である。
【0354】
好ましくは、前記疾患はがんである。更により好ましくは、前記疾患は、肉腫、脊索腫、結腸がん、直腸がん、結腸直腸がん、膵臓がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、扁平上皮細胞がん、基底細胞がん、腺がん、汗腺がん、皮脂腺がん、乳頭がん、乳頭腺がん、嚢胞腺がん、髄様がん、気管支原性がん、腎細胞がん、肝がん、胆管がん、絨毛がん、精上皮腫、胎児性がん、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、精巣がん、胃がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、膀胱がん、腎細胞がん、尿路上皮がん、上皮がん、神経膠腫、星細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫、網膜芽腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、及び白血病からなる群から選択される。更により好ましいのは、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、黒色腫、腎細胞がん、尿路上皮がん、乳がん、結腸直腸がん、胃がん、及び肉腫からなる群から選択される疾患である。
【0355】
好ましいタイプの肉腫には、線維肉腫、粘液肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、血管肉腫、内皮肉腫、消化管間質腫瘍、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、及び横紋筋肉腫が挙げられる。
【0356】
一実施形態では、IL-2によって治療することができる疾患の治療に使用するための本発明のIL-2コンジュゲート若しくはその薬学的に許容される塩、又は少なくとも1つのIL-2コンジュゲートを含む医薬組成物は、1つ以上の更なる薬物の投与前、投与と同時、又は投与後に患者に投与され、1つ以上の更なる薬物は、好ましくは、PD-1阻害剤;PD-L1阻害剤;CTLA-4阻害剤;がんワクチン、例えば腫瘍細胞ワクチン、抗原ワクチン、樹状細胞ワクチン、ベクターベースのワクチン;TLR2、TLR3、TLR2/4、TLR4、TLR5、TLR7/8、及びTLR9を標的とするアゴニストを含むToll様受容体アゴニスト(TLR);並びに免疫活性化受容体、例えば41BB(CD137)、OX40、ICOS、CD40、CD28、NKG2D、NKp30、NKp44、NKp46、LFA1、CD16、CD64、CD32A、及びCD3を刺激する作用剤からなる群から選択される。一実施形態では、IL-2によって治療することができる疾患の治療に使用するための本発明のIL-2コンジュゲート若しくはその薬学的に許容される塩、又は少なくとも1つのIL-2コンジュゲートを含む医薬組成物は、1つ以上の更なる薬物の投与前、投与と同時、又は投与後に患者に投与され、1つ以上の更なる薬物は、好ましくは、PD-1阻害剤;PD-L1阻害剤;CTLA-4阻害剤;がんワクチン、例えば腫瘍細胞ワクチン、抗原ワクチン、樹状細胞ワクチン、ベクターベースのワクチン;並びにTLR2、TLR3、TLR2/4、TLR4、TLR5、TLR7/8、及びTLR9を標的とするアゴニストを含むToll様受容体アゴニスト(TLR)からなる群から選択される。1つ以上の更なる薬物と共に、本発明のIL-2コンジュゲート若しくはその薬学的に許容される塩、又は少なくとも1つのIL-2コンジュゲートを含む医薬組成物をそのように投与することは、1回事象であってもよく、又は複数回繰り返してもよい。
【0357】
一実施形態では、PD-1阻害剤はペンブロリズマブである。別の実施形態では、PD-1阻害剤はニボルマブである。
【0358】
一実施形態では、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。別の実施形態では、PD-L1阻害剤はアベルマブである。別の実施形態では、PD-L1阻害剤は、デュルバルマブである。
【0359】
一実施形態では、CTLA-4阻害剤はイピリムマブである。別の実施形態では、CTLA-4阻害剤はトレメリムマブである。
【0360】
別の実施形態では、本発明のIL-2コンジュゲート若しくはその薬学的に許容される塩、又は少なくとも1つのIL-2コンジュゲートを含む医薬組成物は、CAR-T治療の前、それと同時、又はその後に患者に投与される。CAR-T治療と組み合わせた、本発明のIL-2コンジュゲート若しくはその薬学的に許容される塩、又は少なくとも1つのIL-2コンジュゲートを含む医薬組成物のそのような投与は、1回事象であってもよく、又は複数回繰り返してもよい。
【0361】
好ましくは、治療に使用するための本発明のIL-2コンジュゲート、その薬学的に許容される塩、又は少なくとも1つのIL-2コンジュゲートを含む医薬組成物は、哺乳動物患者、好ましくはヒト患者に投与される。
【0362】
本発明の別の態様は、IL-2によって治療することができる疾患を治療するための医薬の製造のための本発明のIL-2コンジュゲート若しくはその薬学的に許容される塩、又は少なくとも1つのIL-2コンジュゲートを含む医薬組成物の使用である。
【0363】
好ましくは、前記疾患はがんである。更により好ましくは、前記疾患は、肉腫、脊索腫、結腸がん、直腸がん、結腸直腸がん、膵臓がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、扁平上皮細胞がん、基底細胞がん、腺がん、汗腺がん、皮脂腺がん、乳頭がん、乳頭腺がん、嚢胞腺がん、髄様がん、気管支原性がん、腎細胞がん、肝がん、胆管がん、絨毛がん、精上皮腫、胎児性がん、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、精巣がん、胃がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、膀胱がん、腎細胞がん、尿路上皮がん、上皮がん、神経膠腫、星細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫、網膜芽腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、及び白血病からなる群から選択される。更により好ましいのは、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、黒色腫、腎細胞がん、尿路上皮がん、乳がん、結腸直腸がん、胃がん、及び肉腫からなる群から選択される疾患である。
【0364】
好ましいタイプの肉腫には、線維肉腫、粘液肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、血管肉腫、内皮肉腫、消化管間質腫瘍、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、及び横紋筋肉腫が挙げられる。
【0365】
一実施形態では、医薬は、1つ以上の更なる薬物の投与前、投与と同時、又は投与後に患者に投与され、1つ以上の更なる薬物は、好ましくは、PD-1阻害剤;PD-L1阻害剤;CTLA-4阻害剤;がんワクチン、例えば腫瘍細胞ワクチン、抗原ワクチン、樹状細胞ワクチン、ベクターベースのワクチン;TLR2、TLR3、TLR2/4、TLR4、TLR5、TLR7/8、及びTLR9を標的とするアゴニストを含むToll様受容体アゴニスト(TLR);並びに免疫活性化受容体、例えば41BB(CD137)、OX40、ICOS、CD40、CD28、NKG2D、NKp30、NKp44、NKp46、LFA1、CD16、CD64、CD32A、及びCD3を刺激する作用剤からなる群から選択される。1つ以上の更なる薬物と共に医薬をそのように投与することは、1回事象であってもよく、又は複数回繰り返してもよい。一実施形態では、医薬は、1つ以上の更なる薬物の投与前、投与と同時、又は投与後に患者に投与され、1つ以上の更なる薬物は、好ましくは、PD-1阻害剤;PD-L1阻害剤;CTLA-4阻害剤;がんワクチン、例えば腫瘍細胞ワクチン、抗原ワクチン、樹状細胞ワクチン、ベクターベースのワクチン;並びにTLR2、TLR3、TLR2/4、TLR4、TLR5、TLR7/8、及びTLR9を標的とするアゴニストを含むToll様受容体アゴニスト(TLR)からなる群から選択される。1つ以上の更なる薬物と共に医薬をそのように投与することは、1回事象であってもよく、又は複数回繰り返してもよい。
【0366】
一実施形態では、PD-1阻害剤はペンブロリズマブである。別の実施形態では、PD-1阻害剤はニボルマブである。
【0367】
一実施形態では、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。別の実施形態では、PD-L1阻害剤はアベルマブである。別の実施形態では、PD-L1阻害剤は、デュルバルマブである。
【0368】
一実施形態では、CTLA-4阻害剤はイピリムマブである。別の実施形態では、CTLA-4阻害剤はトレメリムマブである。
【0369】
別の実施形態では、医薬は、CAR-T治療の前、それと同時、又はその後に患者に投与される。CAR-T治療と組み合わせた医薬のそのような投与は、1回事象であってもよく、又は複数回繰り返してもよい。
【0370】
好ましくは、医薬は、哺乳動物患者、より好ましくはヒト患者に投与される。
【0371】
本発明の更なる態様は、IL-2によって治療することができる1つ以上の疾患の治療を必要とする哺乳動物患者、好ましくはヒト患者において治療する、制御する、遅延させる、又は予防する方法であって、それを必要とする前記患者に、治療有効量の本発明のIL-2コンジュゲート若しくはその薬学的に許容される塩、又はIL-2コンジュゲートを含む医薬組成物を投与するステップを含む方法である。
【0372】
好ましくは、IL-2によって治療することができる1つ以上の疾患は、がんである。更により好ましくは、前記疾患は、肉腫、脊索腫、結腸がん、直腸がん、結腸直腸がん、膵臓がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、扁平上皮細胞がん、基底細胞がん、腺がん、汗腺がん、皮脂腺がん、乳頭がん、乳頭腺がん、嚢胞腺がん、髄様がん、気管支原性がん、腎細胞がん、肝がん、胆管がん、絨毛がん、精上皮腫、胎児性がん、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、精巣がん、胃がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、膀胱がん、腎細胞がん、尿路上皮がん、上皮がん、神経膠腫、星細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫、網膜芽腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、及び白血病からなる群から選択される。更により好ましいのは、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、黒色腫、腎細胞がん、尿路上皮がん、乳がん、結腸直腸がん、胃がん、及び肉腫からなる群から選択される疾患である。
【0373】
好ましいタイプの肉腫には、線維肉腫、粘液肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、血管肉腫、内皮肉腫、消化管間質腫瘍、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、及び横紋筋肉腫が挙げられる。
【0374】
一実施形態では、本発明のIL-2コンジュゲート若しくはその薬学的に許容される塩、又はIL-2コンジュゲートを含む医薬組成物は、1つ以上の更なる薬物の投与前、投与と同時、又は投与後に患者に投与され、1つ以上の更なる薬物は、好ましくは、PD-1阻害剤;PD-L1阻害剤;CTLA-4阻害剤;がんワクチン、例えば腫瘍細胞ワクチン、抗原ワクチン、樹状細胞ワクチン、ベクターベースのワクチン;TLR2、TLR3、TLR2/4、TLR4、TLR5、TLR7/8、及びTLR9を標的とするアゴニストを含むToll様受容体アゴニスト(TLR);並びに免疫活性化受容体、例えば41BB(CD137)、OX40、ICOS、CD40、CD28、NKG2D、NKp30、NKp44、NKp46、LFA1、CD16、CD64、CD32A、及びCD3を刺激する作用剤からなる群から選択される。1つ以上の更なる薬物と共に、本発明のIL-2コンジュゲート若しくはその薬学的に許容される塩、又は少なくとも1つのIL-2コンジュゲートを含む医薬組成物をそのように投与することは、1回事象であってもよく、又は複数回繰り返してもよい。一実施形態では、本発明のIL-2コンジュゲート若しくはその薬学的に許容される塩、又はIL-2コンジュゲートを含む医薬組成物は、1つ以上の更なる薬物の投与前、投与と同時、又は投与後に患者に投与され、1つ以上の更なる薬物は、好ましくは、PD-1阻害剤;PD-L1阻害剤;CTLA-4阻害剤;がんワクチン、例えば腫瘍細胞ワクチン、抗原ワクチン、樹状細胞ワクチン、ベクターベースのワクチン;並びにTLR2、TLR3、TLR2/4、TLR4、TLR5、TLR7/8、及びTLR9を標的とするアゴニストを含むToll様受容体アゴニスト(TLR)からなる群から選択される。1つ以上の更なる薬物と共に、本発明のIL-2コンジュゲート若しくはその薬学的に許容される塩、又は少なくとも1つのIL-2コンジュゲートを含む医薬組成物をそのように投与することは、1回事象であってもよく、又は複数回繰り返してもよい。
【0375】
一実施形態では、PD-1阻害剤はペンブロリズマブである。別の実施形態では、PD-1阻害剤はニボルマブである。
【0376】
一実施形態では、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。別の実施形態では、PD-L1阻害剤はアベルマブである。別の実施形態では、PD-L1阻害剤は、デュルバルマブである。
【0377】
一実施形態では、CTLA-4阻害剤はイピリムマブである。別の実施形態では、CTLA-4阻害剤はトレメリムマブである。
【0378】
別の実施形態では、本発明のIL-2コンジュゲート若しくはその薬学的に許容される塩、又は少なくとも1つのIL-2コンジュゲートを含む医薬組成物は、CAR-T治療の前、それと同時、又はその後に患者に投与される。CAR-T治療と組み合わせた、本発明のIL-2コンジュゲート若しくはその薬学的に許容される塩、又は少なくとも1つのIL-2コンジュゲートを含む医薬組成物のそのような投与は、1回事象であってもよく、又は複数回繰り返してもよい。
【0379】
本発明の追加の態様は、本発明のIL-2コンジュゲート、その薬学的に許容される塩、又は医薬組成物を投与する方法であって、本発明のIL-2コンジュゲート、その薬学的に許容される塩、又は医薬組成物を、局所、腸内、又は非経口投与を介して、外用塗布、注射、又は注入(infusion)方法によって、例えば関節内、関節周囲、皮内、皮下、筋肉内、静脈内、骨内、腹腔内、髄腔内、嚢内、眼窩内、硝子体内、鼓室内、膀胱内、心臓内、経気管、表皮下、被膜下、クモ膜下、脊髄内、脳室内(intraventricular)、胸骨内注射及び注入、脳組織又は脳液への本発明の送達等を可能にする埋め込みデバイス(例えば、オンマイヤーレザバー)を介した脳への直接送達、直接脳室内注射又は注入、脳又は脳関連領域への注射又は注入、脈絡膜下腔への注射、後眼窩注射及び点眼によって、好ましくは皮下注射を介して投与するステップを含む、方法である。
【0380】
一実施形態では、本発明は、皮下注射を介してIL-2によって治療することができる1つ以上の疾患の治療に使用するための、本発明のIL-2コンジュゲート若しくはその薬学的に許容される塩、又は医薬組成物に関する。別の実施形態では、本発明は、皮下注射を介してIL-2によって治療することができる1つ以上の疾患の治療に使用するための、本発明のIL-2コンジュゲート若しくはその薬学的に許容される塩、又は医薬組成物に関する。
【実施例
【0381】
材料
0.7kDa PEGマレイミド(MeO-dPEG(12)-mal、マレイミジル-N-(2,5,8,11,14,17,20,23,26,29,32,35-ドデカオキサヘプタトリアコンタン-37-イル)プロパンアミド、CAS 724722-89-8)は、Iris Biotech GmbH、Marktredwitz、Germanyから得た。2kDa PEG-マレイミド(Sunbright ME-020-MA、CAS 883993-35-9)、5kDa PEG-マレイミド(Sunbright ME-050MA、CAS 883993-35-9)、10kDa PEG-マレイミド(Sunbright ME-100MA、CAS 883993-35-9)、及び20kDa PEG-マレイミド(Sunbright ME-200MA0B、CAS 883993-35-9)は、NOF Europe N.V.、Grobbendonk、Belgiumから得た。
【0382】
10kDa PEGアミン(Sunbright ME-100EA、CAS 80506-64-5)は、NOF Europe N.V.、Grobbendonk、Belgiumから得ることができる。
【0383】
組換えヒトIL-2(アルデスロイキン、カタログ番号AF-200-02)は、Peprotech、Rocky Hill、NJ、USAから得た。
【0384】
微生物トランスグルタミナーゼ(カタログ番号T001)及びMTG遮断剤(カタログ番号C102)は、Zedira GmbH、Darmstadt、Germanyから得た。
【0385】
10kDa Mal-PEG-NH2(カタログ番号PHB-943)は、例えばCreative PEGWorks、Chapell Hill、NC、USAから得てもよい。
【0386】
方法
[実施例1]
IL-2バリアントの調製
IL-2バリアント(ムテイン)は、オーダーメイドであり、外部供給元から供給され、大腸菌(E. coli)からタンパク質を発現させた後、当業者に公知の標準的な精製戦略を行った。以下のタンパク質を調製した:
【0387】
[実施例2]
0.7kDa PEG-IL-2ムテインコンジュゲート2の調製
50mM酢酸、pH3中で製剤化した0.2mg/mLのIL-2ムテイン1aおよそ2mLを、遠心分離フィルターを介して濃縮し、最終体積0.47mLを、UV(A280)によって決定した濃度0.85mg/mLで得た。コンジュゲーションは以下のようにおよそpH7.5で行った。50mM酢酸、pH3中の1a 0.385mg(0.85mg/mLで0.455mL)を、0.36体積当量(vol. eq.)(164μL)の、0.5Mリン酸ナトリウム、pH8、16μLの37mM酢酸、132mMリン酸ナトリウム、pH7、及び3モル当量(mol eq.)(5μL)の水中の15.1mMマレイミジル-N-(2,5,8,11,14,17,20,23,26,29,32,35-ドデカオキサヘプタトリアコンタン-37-イル)プロパンアミドと混合した。溶液を注意深く振とうし、周囲温度で15分間放置した。1aのそれぞれのモノコンジュゲートへの定量的変換を、MSにより確認した。コンジュゲートを、Aktaシステムに接続したGE Healthcare Superdex 200 Increase 10/300 GL(体積24mL)カラムを用い、移動相として10mM HEPES、150mM塩化ナトリウム、0.05%Tween20、pH7.4を用い流速0.75mL/分で、反応混合物からサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により単離した。コンジュゲートを主に含有する1つの分画を、遠心分離フィルターを使用して濃縮し、最終的に2を、タンパク質含有量0.22mg/mL、及びSECによって決定したおよその純度79%のタンパク質溶液0.45mLとして得た。
【0388】
[実施例3]
2kDa PEG-IL-2ムテインコンジュゲート3の調製
50mM酢酸、pH3中で製剤化した0.2mg/mLのIL-2ムテイン1aおよそ2mLを、遠心分離フィルターを介して濃縮し、最終体積0.34mLを、A280によって決定した濃度1.16mg/mLで得た。コンジュゲーションは以下のようにおよそpH7で行った。50mM酢酸、pH3中の1a 0.38mg(1.16mg/mLで0.33mL)を、0.36体積当量(118μL)の、0.5Mリン酸ナトリウム、pH8、及び20モル当量(20μL)の水中の24.8mM 2kDa PEG-Malと混合した。溶液を注意深く振とうし、周囲温度で15分間インキュベートした。国際公開第2014056923号の実施例29、159頁に記載される通り、21.8mg/mLのハイドロゲル含有量及び3μモル/mLのチオール含有量(2kDa PEGマレイミドに対して5モル当量のチオールに対応する)のチオール官能化ハイドロゲル懸濁液0.82mLを、PEフリットを備えた2mL PPリアクターに移した。反応混合物を反応容器に移して、過剰量のPEG-マレイミドがハイドロゲルに結合することができるよう、軽く撹拌しながら周囲温度で30分間インキュベートした。タンパク質含有溶液を取り出し、タンパク質コンジュゲートを、Aktaシステムに接続したGE Healthcare Superdex 75 Increase 10/300 GL(体積24mL)カラムを用い、移動相として10mM HEPES、150mM塩化ナトリウム、0.05%Tween20、pH7.4を用い流速0.75mL/分で、コンジュゲーション混合物からサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により単離した。コンジュゲート含有分画を、遠心分離フィルターを使用して濃縮し、0.37mLの2kDa PEG IL-2ムテインコンジュゲート3を、0.27mg/mLのタンパク質濃度、及びSECによる純度78%で得た。
【0389】
[実施例4]
5kDa PEG-IL-2ムテインコンジュゲート4の調製
50mM酢酸、pH3中で製剤化した0.2mg/mLのIL-2ムテイン1aおよそ2mLを、遠心分離フィルターを介して濃縮し、最終体積0.36mLを、A280によって決定した濃度1.01mg/mLで得た。コンジュゲーションは以下のようにおよそpH7.5で行った。50mM酢酸、pH3中のタンパク質0.35mg(1.01mg/mLで0.35mL)を、0.36体積当量(125μL)の、0.5Mリン酸ナトリウム、pH8、及び3モル当量(9.8μL、活性補正)の水中の7.49mM 5kDa PEG-マレイミドと混合した。溶液を注意深く振とうし、周囲温度で15分間インキュベートした。過剰量のPEG-マレイミドをクエンチするために、1aに対し6モル当量(10μl)の水中の13.8mM L-システインを、コンジュゲーション混合物に添加した。溶液を注意深く振とうし、周囲温度で2.5時間インキュベートした。コンジュゲートを、Aktaシステムに接続したGE Healthcare Superdex 75 Increase 10/300 GL(体積24mL)カラムを用い、移動相として10mM HEPES、150mM塩化ナトリウム、0.05%Tween20、pH7.4を用い流速0.75mL/分で、コンジュゲーション混合物からサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって単離した。コンジュゲートを主に含有する分画をプールし、遠心分離フィルターを使用して濃縮し、0.42mLの5kDa PEG IL-2ムテインコンジュゲート4を、タンパク質濃度0.30mg/mLで得た。単離したコンジュゲートの分析は、SEC及びRP-HPLCにより行った。不純物の定量的枯渇は、RP-HPLCによって示されるように、精製ステップによって達成することができなかった。コンジュゲート4のおよその純度は、215nmでのSEC分析により68%と決定された。
【0390】
[実施例5]
10kDa PEG-IL-2ムテインコンジュゲート5の調製
50mM酢酸、pH3中で製剤化した0.2mg/mLのIL-2ムテイン1aおよそ2mLを、遠心分離フィルターを介して濃縮し、最終体積0.35mLを、A280によって決定した濃度1.03mg/mLで得た。コンジュゲーションは以下のようにおよそpH7.5で行った。50mM酢酸、pH3中のタンパク質0.34mg(1.03mg/mLで0.33mL)を、0.36体積当量(120μL)の、0.5Mリン酸ナトリウム、pH8、及び3モル当量(5μL)の水中の13.54mM 10kDa PEG-マレイミドと混合した。溶液を注意深く振とうし、周囲温度で15分間インキュベートした。コンジュゲートを、Aktaシステムに接続したGE Healthcare Superdex 200 Increase 10/300 GL(体積24mL)カラムを用い、移動相として10mM HEPES、150mM塩化ナトリウム、0.05%Tween20、pH7.4を用い流速0.75mL/分で、コンジュゲーション混合物からサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって単離した。コンジュゲートを主に含有する分画をプールし、遠心分離フィルターを使用して濃縮し、0.55mLの10kDa PEG IL-2ムテインコンジュゲート5を、タンパク質濃度0.22mg/mLで得た。単離したコンジュゲートの分析は、SEC及びRP-HPLCにより行った。不純物の定量的枯渇は、精製ステップによって達成することができなかった。コンジュゲート5のおよその純度は、215nmでのSEC分析により57%と決定され、過剰量のPEG-Malが主な不純物であった。
【0391】
[実施例6]
20kDa PEG-IL-2ムテインコンジュゲート6の調製
50mM酢酸、pH3中で製剤化した0.2mg/mLのIL-2ムテイン1aおよそ2mLを、遠心分離フィルターを介して濃縮し、最終体積0.33mLを、A280によって決定した濃度1.11mg/mLで得た。コンジュゲーションは以下のようにおよそpH7.5で実施した。50mM酢酸、pH3中のタンパク質0.35mg(1.11mg/mLで0.32mL)を、0.36体積当量(115μL)の、0.5Mリン酸ナトリウム、pH8、6μLの37mM酢酸、132mMリン酸ナトリウム、pH7、及び3モル当量(10μL)の水中の6.96mM 20kDa PEG-マレイミドと混合した。溶液を注意深く振とうし、周囲温度で15分間インキュベートした。コンジュゲートを、Aktaシステムに接続したGE Healthcare Superdex 200 Increase 10/300 GL(体積24mL)カラムを用い、移動相として10mM HEPES、150mM塩化ナトリウム、0.05%Tween20、pH7.4を用い流速0.75mL/分で、コンジュゲーション混合物からサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって単離した。コンジュゲートを主に含有する分画をプールし、遠心分離フィルターを使用して濃縮し、0.67mLの20kDa PEG IL-2ムテインコンジュゲート6を、タンパク質濃度0.18mg/mLで得た。単離したコンジュゲートの分析は、SEC及びRP-HPLCを介して行った。不純物の定量的枯渇は、精製ステップによって達成することができなかった。コンジュゲート6のおよその純度は、215nmでのRP-HPLC分析により44%と決定され、過剰量のPEG-Malが主な不純物であった。
【0392】
[実施例7]
5kDa PEG-IL-2ムテインコンジュゲート7の調製
50mM酢酸、pH3中で製剤化した0.66mg/mLのIL-2ムテイン1c1.1mLを、0.15体積当量(165μL)の、0.5Mリン酸ナトリウム、pH8、及び141μLの0.6M塩酸ヒドロキシルアミン、0.5Mリン酸ナトリウム、pH6.4と混合した。得られた反応混合物を25℃で一晩インキュベートした。溶液を、遠心分離フィルターを使用して濃縮し、最終体積0.67mLを、A280によって決定した濃度0.99mg/mLで得た。コンジュゲーションは以下のように行った。58mMリン酸ナトリウム、およそ57mM塩酸ヒドロキシルアミン、39mM酢酸、pH6.5中のタンパク質0.65mg(0.99mg/mLで0.66mL)を、6モル当量(320μL)の水中の81mM 5kDa PEG-マレイミドと混合した。得られた反応混合物を、周囲温度で2.25時間インキュベートした。次に、遠心分離フィルターを使用して37mM酢酸、132mMリン酸塩、pH7への緩衝液交換を行い、最終体積0.75mLを得た。1.5モル当量(80μL)の水中の81mM 5kDa PEG-マレイミドを反応溶液に添加した後、3.5時間後に3モル当量(160μL)の水中の81mM 5kDa PEG-マレイミドを添加した。得られた反応混合物を周囲温度で一晩インキュベートした。コンジュゲートを、Aktaシステムに接続したGE Healthcare Superdex 75 Increase 10/300 GL(体積24mL)カラムを用い、移動相として10mM HEPES、150mM塩化ナトリウム、0.05%Tween20、pH7.4を用い流速0.75mL/分で、コンジュゲーション混合物からサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により単離した。回収したコンジュゲートを含有する分画を、遠心分離フィルターを使用して濃縮し、0.45mLの5kDa PEG IL-2ムテイン7を0.25mg/mLで得た。単離したコンジュゲートの分析は、SEC及びRP-HPLCによって行った。不純物の枯渇は、精製ステップによって定量的に達成することができず、コンジュゲート試料中のその存在により、SECによるコンジュゲート7のおよその純度は60%であった。
【0393】
[実施例8]
10kDa PEG-IL-2ムテインコンジュゲート8の調製
50mM酢酸、pH3中で製剤化した0.66mg/mLのIL-2ムテイン1c 1.1mLを、0.15体積当量(165μL)の、0.5Mリン酸ナトリウム、pH8、及び141μLの0.5M塩酸ヒドロキシルアミン、0.05Mリン酸ナトリウム、pH7と混合した。得られた反応混合物を25℃で一晩インキュベートした。溶液を、遠心分離フィルターを使用して濃縮し、最終体積0.48mLを、A280によって決定した濃度1.42mg/mLで得た。コンジュゲーションは以下のように行った。64mMリン酸ナトリウム、50mM塩酸ヒドロキシルアミン、39mM酢酸、pH6.5~7.0中のタンパク質0.678mg(1.42mg/mLで0.48mL)を、3モル当量(18μL)の水中の7.42mM 10kDa PEG10-マレイミドと混合した。得られた反応混合物を、注意深く振とうし、周囲温度で15分間インキュベートした。水中の7.42mM PEG-マレイミドの追加の3モル当量(17.9μL)をコンジュゲーション混合物に添加した後、周囲温度で15分間インキュベートした。コンジュゲートを、Aktaシステムに接続したGE Healthcare Superdex 200 Increase 10/300 GL(体積24mL)カラムを用い、移動相として10mM HEPES、150mM塩化ナトリウム、0.05%Tween20、pH7.4を用い流速0.75mL/分で、コンジュゲーション混合物からサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により単離した。回収した分画を、RP-HPLCによって分析し、コンジュゲートを含有する分画をプールし、遠心分離フィルターを使用して濃縮し、0.57mLの10kDa PEG IL-2ムテイン8を0.50mg/mLで得た。単離したコンジュゲートの分析は、SEC及びRP-HPLCによって行った。出発材料からの不純物の枯渇は、精製ステップによって定量的に達成することができず、RP-HPLCによって示されるように、コンジュゲート試料中に不純物が存在した。コンジュゲート8のおよその純度は、280nmでのRP-HPLCによって25%と決定され、過剰量のPEG-Malが主な不純物であった。
【0394】
[実施例9]
PEG-IL-2ムテインコンジュゲートのSPR分析
アルデスロイキン及びバイアスIL-2化合物の結合速度論を、IL-2受容体サブユニットの固定された細胞外ドメインを用いたBiacore機器(T200、GE Healthcare)による表面プラズモン共鳴(SPR)分光法を使用して評価した。簡単に説明すると、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、GE Healthcare)を、供給元の使用説明書に従ってN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド(EDC)、及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)によって活性化した。モノクローナルマウス抗ヒトIgG(Fc)抗体の固定もまた、供給元の使用説明書(GE Healthcare、注文番号BR-1008-39)に従って行った。
【0395】
IL-2Rαに対する結合速度論を決定するために、以下のチップ調製物を使用した:ヒトIL-2受容体アルファ、Fc-Tag(Symansis、New Zealand)を、HBS-EPランニングバッファー(GE Healthcare、10mM HEPES、150mM NaCl、3mM EDTA、0.05%サーファクタントP20、pH7.4)中で、およそ0.67μg/mLに希釈し、流速10μL/分で60秒間固定し、80~100応答ユニット(RU)を達成した。
【0396】
IL-2Rβに対する結合速度論を決定するために、以下のチップ調製物を使用した:ヒトIL-2受容体ベータ、Fc-Tag(Symansis、New Zealand)を、HBS-EPランニングバッファー(GE Healthcare、10mM HEPES、150mM NaCl、3mM EDTA、0.05%サーファクタントP20、pH7.4)中で、およそ0.80μg/mLに希釈し、流速10μL/分で60秒間固定し、140~180応答ユニット(RU)を達成した。
【0397】
IL-2Rαβ複合体に対する結合速度論を決定するために、以下のチップ調製物を使用した:ヒトIL-2受容体アルファ、Fc-Tag(Symansis、New Zealand)、及びヒトIL-2受容体ベータ、Fc-Tag(Symansis、New Zealand)を混合し、HBS-EPランニングバッファー(GE Healthcare、10mM HEPES、150mM NaCl、3mM EDTA、0.05%サーファクタントP20、pH7.4)中で、各々およそ1.33μg/mLに希釈し、流速10μL/分で60秒間固定し、360~440応答ユニット(RU)を達成した。
【0398】
3つ全ての受容体サブユニット構成(setup)に関する速度論測定については、アルデスロイキン又はバイアスIL-2化合物を、マルチサイクル速度論において分析し、したがってHBS-EPランニングバッファー中、25°Cで少なくとも5つの異なる濃度で注入した(流速30μL/分、接触時間120秒、解離時間600秒)。二重参照(double referenced)データ(参照フローセル及びバッファーのみの試料から差し引いたデータ)は、可能であれば1:1結合モデルを介して、又は定常状態解析を介して速度論によって分析し(Biacore T200 Evaluation Software、バージョン3.1)、KD、及び可能であれば、ka及びkdを決定した。各サイクル後の再生は、3M MgCl2によって流速30μL/分で30秒間行った。
【0399】
得られたデータを表1に要約する。
【0400】
【表1】
【0401】
[実施例10]
バイアス比の計算
本明細書で使用される場合、用語「バイアスIL-2」は、前記バイアスIL-2のIL-2Rβに対するKDに対する、前記バイアスIL-2のIL-2Rαβに対するKDの比が、アルデスロイキンのIL-2Rβに対するKDに対する、アルデスロイキンのIL-2Rαβに対するKDの比より大きい改変IL-2を指す。これは、以下の式によって記載される:
【数5】
(式中、
【数6】
であり、
「バイアスIL-2のIL-2Rαβに対するKD」は、バイアスIL-2のIL-2Rαβに対するKDであり、
「バイアスIL-2のIL-2Rαβに対するKD」は、バイアスIL-2のIL-2Rβに対するKDであり、
「アルデスロイキンのIL-2Rαβに対するKD」は、アルデスロイキンのIL-2Rαβに対するKDであり、
「アルデスロイキンのIL-2Rβに対するKD」は、アルデスロイキンのIL-2Rβに対するKDである)。
【0402】
上記の式を使用して、以下の比を計算し、表2に要約した。
【0403】
【表2】
【0404】
[実施例11]
10kDa PEG-IL-2コンジュゲート9の調製
組換えヒトIL-2を、Aktaシステムに接続したHiTrap脱塩カラムを使用して0.2Mトリス/HCl、pH7.5に緩衝液交換する。その後、IL-2を、Sato et al.、Bioconjugate Chem 2001、12(5)、701-710に記載の手順に基づいて、微生物トランスグルタミナーゼ(MTG)を使用して酵素的にPEG化する。濃度5μMのIL-2を、濃度1.25mMの10kDa PEGアミン(10kDaメトキシ-PEG-(CH2)2-NH2)、及び濃度0.2ユニット/mLのMTGの存在下、0.2Mトリス/HCl、pH7.5中、25℃で12時間インキュベートする。10kDa PEG IL-2コンジュゲート(9)を、Aktaシステムに接続したGE Healthcare Superdex 200 Increase 10/300 GLカラムを用い、移動相として10mM HEPES、150mM塩化ナトリウム、0.05%Tween20、pH7.4を用い流速0.75mL/分で、反応混合物からサイズ排除クロマトグラフィーによって精製する。
【0405】
[実施例12]
10kDa PEG-IL-2コンジュゲート10の調製
組換えヒトIL-2(50mM酢酸、pH3.0中2.7mg/mL)を、1体積当量の、140mM HEPES、300mM NaCl、6mM EDTAナトリウム、0.1%Tween20、pH8.2と混合し、70mM HEPES、150mM NaCl、3mM EDTAナトリウム、0.05%Tween20、25mM AcOH、pH7.4中の1.35mg/mLのIL-2を得る。IL-2を、微生物トランスグルタミナーゼ(MTG)を使用して酵素的にPEG化する。この目的のために、濃度0.1mg/mLのIL-2を、70mM HEPES、150mM NaCl、3mM EDTAナトリウム、0.05%Tween20、25mM AcOH、pH7.4中、1mM 10kDa PEGアミン(10kDaメトキシ-PEG-(CH2)2-NH2)、及び1U/mL MTGの存在下、37℃で4時間インキュベートする。その後、MTG遮断剤を最終濃度0.5mMで添加し、反応混合物を更に30分間インキュベートする。10kDa PEG IL-2コンジュゲート(10)を、Aktaシステムに接続したGE Healthcare Superdex 200 Increase 10/300 GLカラムを用い、移動相として10mM HEPES、150mM塩化ナトリウム、0.05%Tween20、pH7.4を用い流速0.75mL/分で、反応混合物からサイズ排除クロマトグラフィーによって精製する。
【0406】
[実施例13]
バイアスIL-2ムテインポリマープロドラッグ11の調製
PEG IL-2ムテインを、100mMホウ酸ナトリウムpH9に緩衝液交換し、濃度およそ2.5mg/mL IL-2当量となるように濃縮する。IL-2ムテインの量に対して5倍モル過剰量の40kDa mPEG-リンカー試薬(特許国際公開第2016079114号の実施例2に記載される通り)を、コンジュゲーション反応のために使用されるタンパク質溶液と比較して等量の水に溶解する。タンパク質溶液(2.5mg/mL IL-2当量)と40kDa mPEG-リンカー溶液(32g/L)とを混合し、14~16℃で2時間インキュベートする。バイアスIL-2ムテインポリマープロドラッグ11を、CIEXにより単離し、SECにより分析する。
【0407】
[実施例14]
新規コンジュゲート12の調製
40kDa mPEG-リンカー試薬(特許国際公開第2016079114号の実施例2に記載される通り)を水に溶解し、32g/L溶液を得る。10kDa Mal-PEG-NH2を、0.1Mリン酸ナトリウム、6mM EDTAナトリウム、pH7.4に最終濃度1mMとなるように溶解する。両方の溶液を体積比1対1で混合し、周囲温度で2時間インキュベートする。その後、50mMリン酸ナトリウム、3mM EDTAナトリウム、pH7.4中の、0.5体積当量(40kDa mPEG-リンカー試薬と10kDa Mal-PEG-NH2との反応混合物の体積に対して)の濃度2mg/mLのIL-2ムテイン1a溶液を、反応混合物に添加し、周囲温度で1時間インキュベートする。40+10kDa PEG IL-2ムテインコンジュゲート12を、陽イオン交換クロマトグラフィーによって反応混合物から単離し、サイズ排除クロマトグラフィーによって分析する。
【0408】
【表3】
本開示は以下の実施形態を包含する。
[1] 式(Ia)又は(Ib)
[1]
(式中、
-Dは、バイアスIL-2部分であり、バイアスIL-2部分は、IL-2部分を含み、バイアスIL-2部分に関して、前記バイアスIL-2のIL-2Rβに対するK D に対する、前記バイアスIL-2のIL-2Rαβに対するK D の比が、アルデスロイキンのIL-2Rβに対するK D に対する、アルデスロイキンのIL-2Rαβに対するK D の比より大きく、
-L 1 -は、-Dに共有結合で且つ可逆的に結合したリンカー部分であり、
-L 2 -は、化学結合、又はスペーサー部分であり、
-Zは、ポリマー部分、又は置換脂肪酸部分であり、
xは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16からなる群から選択される整数であり、
yは、2、3、4、及び5からなる群から選択される整数である)
のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
[2] バイアスIL-2部分-Dが、
(a)同じ又は異なり得る修飾部分M mod の少なくとも1つの安定な結合、又は
(b)少なくとも1つのアミノ酸変異、又は
(c)少なくとも1つの欠失、又は
(a)、(b)、及び(c)の任意の組合せ
を含むIL-2部分である、実施形態1に記載のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
[3] IL-2部分が、配列番号2に基づく位置K34、R37、M38、T40、F41、K42、F43、Y44、E61、又はL71で少なくとも1つのアミノ酸変異を含む、実施形態1又は2に記載のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
[4] IL-2部分が、配列番号2に基づくK34C、R37C、M38C、T40C、F41C、K42C、F43C、Y44C、E61C、及びL71Cからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸変異を含む、実施形態1から3のいずれかに記載のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
[5] IL-2部分が、配列番号2の配列を有し、R37C変異を含む、実施形態1から4のいずれかに記載のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
[6] IL-2部分が、修飾部分M mod の少なくとも1つの安定な結合及び少なくとも1つのアミノ酸変異の組合せを含む、実施形態1から5のいずれかに記載のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
[7] 部分M mod がシステインに結合している、実施形態2から6のいずれかに記載のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
[8] IL-2部分が、配列番号2の配列を有し、R37C変異を含み、部分M mod が、位置R37Cでシステインの硫黄にコンジュゲートされる、実施形態2から7のいずれかに記載のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
[9] IL-2コンジュゲートが、式(Ia)のものであり、xが1である、実施形態1から8のいずれかに記載のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
[10] M mod がポリマー部分である、実施形態2から9のいずれかに記載のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
[11] M mod が、式(A-1)
[2]
(式中、
-FG-が、結合であり、
-SP-が、スペーサー部分であり、
-POLが、ポリマーである)
のものである、
実施形態2から10のいずれかに記載のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
[12] M mod が、式(A-1a)
[3]
(式中、
星印を付けた破線が、IL-2部分のアミノ酸残基の側鎖の硫黄に対する結合を示し、
b1が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、及び20からなる群から選択される整数であり、
b2が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、及び20からなる群から選択される整数であり、
b3が、12~22700の範囲の整数である)
のものである、実施形態2から11のいずれかに記載のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
[13] -Zがポリマー部分である、実施形態1から12のいずれかに記載のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
[14] -Zが、式(A)
[4]
(式中、
-BP 1 <、-BP 2 <、-BP 3 <が、-N<及び-C(R 8 )<からなる群から互いに独立して選択され、
R 8 が、H、C 1-6 アルキル、C 2-6 アルケニル、及びC 2-6 アルキニルからなる群から選択され、
-P 1 、-P 2 、-P 3 、-P 4 が、互いに独立して、少なくとも40%PEGを含み、3~40kDaの範囲の分子量を有するPEG系の鎖であり、
-C 1 -、-C 2 -が、C 1-50 アルキル、C 2-50 アルケニル、及びC 2-50 アルキニルからなる群から互いに独立して選択され、C 1-50 アルキル、C 2-50 アルケニル、及びC 2-50 アルキニルが、同じ又は異なる1つ以上のR 9 によって任意選択で置換され、C 1-50 アルキル、C 2-50 アルケニル、及びC 2-50 アルキニルが、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R 10 )-、-S(O) 2 N(R 10 )-、-S(O)N(R 10 )-、-S(O) 2 -、-S(O)-、-N(R 10 )S(O) 2 N(R 10a )-、-S-、-N(R 10 )-、-OC(OR 10 )(R 10a )-、-N(R 10 )C(O)N(R 10a )-、及び-OC(O)N(R 10 )-からなる群から選択される1つ以上の基によって任意選択で割り込まれ、
各々のTが、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C 3-10 シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル、及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から独立して選択され、各々のTが、同じ又は異なる1つ以上のR 9 によって独立して任意選択で置換され、
各々のR 9 が、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COOR 11 、-OR 11 、-C(O)R 11 、-C(O)N(R 11 R 11a )、-S(O) 2 N(R 11 R 11a )、-S(O)N(R 11 R 11a )、-S(O) 2 R 11 、-S(O)R 11 、-N(R 11 )S(O) 2 N(R 11a R 11b )、-SR 11 、-N(R 11 R 11a )、-NO 2 、-OC(O)R 11 、-N(R 11 )C(O)R 11a 、-N(R 11 )S(O) 2 R 11a 、-N(R 11 )S(O)R 11a 、-N(R 11 )C(O)OR 11a 、-N(R 11 )C(O)N(R 11a R 11b )、-OC(O)N(R 11 R 11a )、及びC 1-6 アルキルからなる群から独立して選択され、ここで、C 1-6 アルキルが、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンによって任意選択で置換され、
各々のR 10 、R 10a 、R 11 、R 11a 、及びR 11b が、-H及びC 1-6 アルキルからなる群から独立して選択され、ここで、C 1-6 アルキルが、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンによって任意選択で置換される)
の部分を含む、実施形態1から13のいずれかに記載のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
[15] 式(A)のC 1 及びC 2 が、式(A-a)
[5]
(式中、
星印を付けた破線が、BP 1 に対する結合を示し、
印を付けていない破線がそれぞれ、BP 2 又はBP 3 に対する結合を示し、
q1が、1、2、3、4、5、6、7、及び8からなる群から選択され、
q2が、1、2、3、4、及び5からなる群から選択され、
q3が、1、2、3、4、5、6、7、及び8からなる群から選択され、
q4が、1、2、及び3からなる群から選択される)
のものである、
実施形態14に記載のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
[16] 式(A)のP 1 、P 2 、P 3 、及びP 4 が、互いに独立して式(A-b)
[6]
(式中、
破線が、-Zの残部に対する結合を示し、
mが、0又は1であり、
pが、70~900の範囲の整数であり、
qが、1、2、3、4、5、及び6からなる群から選択される)、
のものである、実施形態14又は15に記載のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
[17] 式(A)のBP 1 が-N<である、実施形態14から16のいずれかに記載のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
[18] 式(A)のBP 2 及びBP 2 が、いずれも-CH<である、実施形態14から17のいずれかに記載のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
[19] -Zが、式(A-c)
[7]
(式中、
p1、p2、p3、p4が、互いに独立して70~900の範囲の整数である)、
の部分を含む、実施形態1から18のいずれかに記載のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
[20] -L 1 -が、IL-2部分のアミノ酸残基に結合している、実施形態1から19のいずれかに記載のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
[21] -L 1 -が、システイン、メチオニン、ヒスチジン、リジン、トリプトファン、セリン、トレオニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、及びアルギニンからなる群から選択されるIL-2部分のアミノ酸残基に結合している、実施形態1から20のいずれかに記載のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
[22] L 1 -が、配列番号2に基づくK7、K8、K31、K34、K42、K47、K48、K53、K63、K75、及びK96からなる群から選択されるリジン残基に結合している、実施形態1から21のいずれかに記載のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
[23] -L 1 -が、式(IX-a)
[8]
(式中、
星印を付けた破線が、-Dの窒素に対する結合を示し、印を付けていない破線が、-L 2 -Zに対する結合を示し、
nが、0、1、2、3、又は4であり、
=Y 1 が、=O及び=Sからなる群から選択され、
-Y 2 -が、-O-及び-S-からなる群から選択され、
-Y 3 -、-Y 5 -が、-O-及び-S-からなる群から互いに独立して選択され、
-Y 4 -が、-O-、-NR 5 -、及び-C(R 6 R 6a )-からなる群から選択され、
-R 3 、-R 5 、-R 6 、-R 6a が、-H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、2-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、及び3,3-ジメチルプロピルからなる群から互いに独立して選択され、
-R 4 が、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、2-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、及び3,3-ジメチルプロピルからなる群から選択され、
-W-が、C 3-10 シクロアルキル、8~30員カルボポリシクリル、3~10員ヘテロシクリル、-C(O)-、-C(O)N(R 7 )-、-O-、-S-、及び-N(R 7 )-からなる群から選択される1つ以上の基によって任意選択で割り込まれるC 1-20 アルキルからなる群から選択され、
-Nuが、-N(R 7 R 7a )、-N(R 7 OH)、-N(R 7 )-N(R 7a R 7b )、-S(R 7 )、-COOH、
[9]
からなる群から選択される求核剤であり、
-Ar-が、
[10]
(式中、
破線が、-L 1 -の残部に対する結合を示し、
-Z 1 -が、-O-、-S-、及び-N(R 7 )-からなる群から選択され、
-Z 2 -が、-N(R 7 )-であり、
-R 7 、-R 7a 、-R 7b が、-H、C 1-6 アルキル、C 2-6 アルケニル、及びC 2-6 アルキニルからなる群から互いに独立して選択される)
からなる群から選択される)
のものであり、
-L 1 -が、任意選択で更に置換される、
実施形態1から22のいずれかに記載のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
[24] -L 1 -が、式(IX-c)
[11]
(式中、
星印を付けた破線が、-Dの窒素に対する結合を示し、
印を付けていない破線、が-L 2 -Zに対する結合を示し、
s1が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10からなる群から選択される整数である)
のものである、実施形態1から23のいずれかに記載のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
[25] -L 2 -が、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R y1 )-、-S(O) 2 N(R y1 )-、-S(O)N(R y1 )-、-S(O) 2 -、-S(O)-、-N(R y1 )S(O) 2 N(R y1a )-、-S-、-N(R y1 )-、-OC(OR y1 )(R y1a )-、-N(R y1 )C(O)N(R y1a )-、-OC(O)N(R y1 )-、C 1-50 アルキル、C 2-50 アルケニル、及びC 2-50 アルキニルからなる群から選択され、ここで、-T-、C 1-50 アルキル、C 2-50 アルケニル、及びC 2-50 アルキニルが、同じ又は異なる1つ以上の-R y2 によって任意選択で置換され、C 1-50 アルキル、C 2-50 アルケニル、及びC 2-50 アルキニルが、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R y3 )-、-S(O) 2 N(R y3 )-、-S(O)N(R y3 )-、-S(O) 2 -、-S(O)-、-N(R y3 )S(O) 2 N(R y3a )-、-S-、-N(R y3 )-、-OC(OR y3 )(R y3a )-、-N(R y3 )C(O)N(R y3a )-、及び-OC(O)N(R y3 )-からなる群から選択される1つ以上の基によって任意選択で割り込まれ、
-R y1 及び-R y1a が、-H、-T、C 1-50 アルキル、C 2-50 アルケニル、及びC 2-50 アルキニルからなる群から互いに独立して選択され、ここで、-T、C 1-50 アルキル、C 2-50 アルケニル、及びC 2-50 アルキニルが、同じ又は異なる1つ以上の-R y2 によって任意選択で置換され、C 1-50 アルキル、C 2-50 アルケニル、及びC 2-50 アルキニルが、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R y4 )-、-S(O) 2 N(R y4 )-、-S(O)N(R y4 )-、-S(O) 2 -、-S(O)-、-N(R y4 )S(O) 2 N(R y4a )-、-S-、-N(R y4 )-、-OC(OR y4 )(R y4a )-、-N(R y4 )C(O)N(R y4a )-、及び-OC(O)N(R y4 )-からなる群から選択される1つ以上の基によって任意選択で割り込まれ、
各々のTが、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C 3-10 シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル、及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から独立して選択され、各々のTは、同じ又は異なる1つ以上の-R y2 によって独立して任意選択で置換され、
各々の-R y2 が、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COOR y5 、-OR y5 、-C(O)R y5 、-C(O)N(R y5 R y5a )、-S(O) 2 N(R y5 R y5a )、-S(O)N(R y5 R y5a )、-S(O) 2 R y5 、-S(O)R y5 、-N(R y5 )S(O) 2 N(R y5a R y5b )、-SR y5 、-N(R y5 R y5a )、-NO 2 、-OC(O)R y5 、-N(R y5 )C(O)R y5a 、-N(R y5 )S(O) 2 R y5a 、-N(R y5 )S(O)R y5a 、-N(R y5 )C(O)OR y5a 、-N(R y5 )C(O)N(R y5a R y5b )、-OC(O)N(R y5 R y5a )、及びC 1-6 アルキルからなる群から独立して選択され、ここで、C 1-6 アルキルが、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンによって任意選択で置換され、
各々の-R y3 、-R y3a 、-R y4 、-R y4a 、-R y5 、-R y5a 、及び-R y5b が、-H及びC 1-6 アルキルからなる群から独立して選択され、ここで、C 1-6 アルキルが、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンによって任意選択で置換される、
実施形態1から24のいずれかに記載のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
[26] -L 2 -が、-O-、-T-、及び-C(O)N(R y1 )-から独立して選択される1つ以上の基によって任意選択で割り込まれるC 1-20 アルキル鎖であり、C 1-20 アルキル鎖が、-OH、-T、及び-C(O)N(R y6 R y6a )から独立して選択される1つ以上の基によって任意選択で置換され、-R y1 、-R y6 、-R y6a が、H及びC 1-4 アルキルからなる群から独立して選択され、Tがフェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C 3-10 シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル、及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から選択される、実施形態1から25のいずれかに記載のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
[27] -L 2 -が、式(IX-e)
[12]
(式中、
星印を付けた破線が、-L 1 -に対する結合を示し、
印を付けていない破線が、-Zに対する結合を示し、
s2が、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、及び20からなる群から選択される整数である)
のものである、実施形態1から26のいずれかに記載のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
[28] 実施形態1から27のいずれかに記載のIL-2コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩、及び少なくとも1つの賦形剤を含む、医薬組成物。
[29] 医薬として使用するための、実施形態1から27のいずれかに記載のIL-2コンジュゲート若しくはその薬学的に許容される塩、又は実施形態28に記載の医薬組成物。
[30] IL-2によって治療することができる疾患の治療に使用するための、実施形態1から27のいずれかに記載のIL-2コンジュゲート若しくはその薬学的に許容される塩、又は実施形態28に記載の医薬組成物。
[31] IL-2によって治療することができる疾患が、肉腫、脊索腫、結腸がん、直腸がん、結腸直腸がん、膵臓がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、扁平上皮細胞がん、基底細胞がん、腺がん、汗腺がん、皮脂腺がん、乳頭がん、乳頭腺がん、嚢胞腺がん、髄様がん、気管支原性がん、腎細胞がん、肝がん、胆管がん、絨毛がん、精上皮腫、胎児性がん、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、精巣がん、胃がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、膀胱がん、腎細胞がん、尿路上皮がん、上皮がん、神経膠腫、星細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫、網膜芽腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、及び白血病からなる群から選択される、実施形態30に記載の使用のためのIL-2コンジュゲート若しくはその薬学的に許容される塩又は医薬組成物。
[32] IL-2によって治療することができる1つ以上の疾患の治療を必要とする哺乳動物患者、好ましくはヒト患者において治療する、制御する、遅延させる、又は予防する方法であって、それを必要とする前記患者に、治療有効量の実施形態1から27のいずれかに記載のIL-2コンジュゲート若しくはその薬学的に許容される塩、又は実施形態28に記載の医薬組成物を投与するステップを含む方法。
[33] 疾患が、肉腫、脊索腫、結腸がん、直腸がん、結腸直腸がん、膵臓がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、扁平上皮細胞がん、基底細胞がん、腺がん、汗腺がん、皮脂腺がん、乳頭がん、乳頭腺がん、嚢胞腺がん、髄様がん、気管支原性がん、腎細胞がん、肝がん、胆管がん、絨毛がん、精上皮腫、胎児性がん、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、精巣がん、胃がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、膀胱がん、腎細胞がん、尿路上皮がん、上皮がん、神経膠腫、星細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫、網膜芽腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、及び白血病からなる群から選択される、実施形態32に記載の方法。
【配列表】
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