(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】キナーゼ阻害剤としてのアミド化合物、組成物および処置方法
(51)【国際特許分類】
C07D 231/12 20060101AFI20240520BHJP
C07D 401/12 20060101ALI20240520BHJP
A61K 31/454 20060101ALI20240520BHJP
A61K 31/415 20060101ALI20240520BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240520BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20240520BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240520BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240520BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240520BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240520BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20240520BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240520BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240520BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240520BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240520BHJP
A61P 19/10 20060101ALI20240520BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20240520BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240520BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20240520BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240520BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20240520BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20240520BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20240520BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240520BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240520BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240520BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20240520BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20240520BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240520BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240520BHJP
A61P 15/10 20060101ALI20240520BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20240520BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20240520BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240520BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240520BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
C07D231/12 A
C07D401/12 CSP
A61K31/454
A61K31/415
A61P43/00 105
A61P7/00
A61P35/00
A61P9/00
A61P25/00
A61P3/10
A61P31/00
A61P29/00
A61P37/02
A61P3/04
A61P27/02
A61P19/10
A61P9/12
A61P35/02
A61P35/04
A61P25/28
A61P25/14
A61P25/16
A61P11/06
A61P13/12
A61P9/10 101
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P17/06
A61P17/04
A61P1/04
A61P37/06
A61P9/10
A61P15/10
A61P9/04
A61P27/06
A61P1/16
A61P11/00
A61P17/00
(21)【出願番号】P 2020559371
(86)(22)【出願日】2019-04-24
(86)【国際出願番号】 US2019029003
(87)【国際公開番号】W WO2019210008
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-04-13
(32)【優先日】2018-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517405149
【氏名又は名称】トランスレイショナル・ドラッグ・ディベロップメント・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ワン,トン
(72)【発明者】
【氏名】ゲイトリー,スティーヴン
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特許第6948398(JP,B2)
【文献】特表2016-510032(JP,A)
【文献】特表2010-536925(JP,A)
【文献】特表2013-531013(JP,A)
【文献】国際公開第2016/187324(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K 31/
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】
[式中、
Z
1はピラゾールであり
、該ピラゾールがピラゾール-3-イル、ピラゾール-4-イル、またはピラゾール-5-イルであり;
Z
2はハロ、-OR’、-C1~C6アルキル、-OR’OR”、または-O(CH
2)
2NR’R”で任意選択で置換されているフェニル、ピリジン、またはピラゾールであり、前記-C1~C6アルキルは、-OR’またはNR’R”の1つまたは複数で任意選択で置換されており、前記R’またはR”は、
Z
2
が-OR’OR”で置換されたフェニル、ピリジン、またはピラゾールである場合はR’またはR”が独立してメチルまたはエチルである以外は独立して、-H、メチルまたはエチルであり;
R
1は、H、-C1~C6アルキルまたは-C3~C7シクロアルキルであり、前記-C1~C6アルキルまたは-C3~C7シクロアルキルは、下記の1つまたは複数:ハロ、-OH、-CN、-COOR’、-OR’、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-S(O)
2NR’R”または-S(O)
2R’で任意選択で置換されており;
Rは、メチルであり;
Xは、結合または-OCH(R
4)であり、R
4は、H、-C1~C6アルキルまたは-C3~C7シクロアルキルであり;
R
2およびR
3は、独立して、H、-C1~C6アルキル、-C3~C7シクロアルキル、アリール、C5~C10員のヘテロ環、
【化2】
であり、
前記-C1~C6アルキル、-C3~C7シクロアルキル、アリール、C5~C10員のヘテロ環は、ハロ、-OH、-CN、-COOR’、-OR’、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-S(O)
2NR’R”、-S(O)
2R’、グアニジノ、ニトロ、ニトロソ、-Cl~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルまたは3から11員のヘテロ環で任意選択で置換されており、
前記-Cl~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルまたは3から11員のヘテロ環は、下記の1つまたは複数:ハロ、-OH、-CN、-COOR’、-CH
2NR’R”、-OR’、-OR’R”、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-S(O)
2NR’R”、-S(O)
2R’、グアニジノ、ニトロ、ニトロソ、-Cl~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルで任意選択で置換されており、
R
5は、-Cl~C6アルキル、-OCH
2CH
2-、-NR
6CH
2CH
2-、であり;R
6は、H、-C1~C6アルキルまたは-C3~C7シクロアルキルであり;
R’またはR”は、独立して、-Hまたは-Cl~C6アルキルであるか、あるいはR’およびR”は、一緒に、任意選択でNまたはO原子と結合して、4から8員の環式構造を形成する]。
【請求項2】
Z
2が、
【化3】
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R
1が、H、非置換のメチル、メトキシエチルまたはジメチルアミノエチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R
1が、Hである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
Rが、R配置を持つメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Xが、結合である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
R
2が、Hである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
R
3が、H、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロブチル、シクロプロピル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、シクロブチルメチル、シクロプロピルメチル、フェニル、ベンジル、ピロリジン-3-イル、ピペリジン-4-イル、(ピロリジン-3-イル)メチル、(ピペリジン-4-イル)メチル、
【化4】
であり、前記シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロブチル、シクロプロピル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、シクロブチルメチル、シクロプロピルメチルフェニル、ベンジル、ピロリジン-3-イル、ピペリジン-4-イル、(ピロリジン-3-イル)メチルまたは(ピペリジン-4-イル)メチルが、ハロ、-OH、-CN、-COOR’、-OR’、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-S(O)
2NR’R”、-S(O)
2R’、グアニジノ、ニトロ、ニトロソ、-Cl~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルまたは3から11員のヘテロ環で任意選択で置換されている、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
R
3が、シクロペンチルまたはシクロヘキシルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
Z
2が、非置換のフェニル、非置換のピリジン、非置換のピラゾール、またはハロ、-OR’、-Cl~C6アルキル、-OR’OR”、-O(CH
2)
2NR’R”で置換されているフェニルであり、前記-Cl~C6アルキルが、-OR’またはNR’R”の1つまたは複数で任意選択で置換されており;
R
1が、H、非置換のメチルまたはジメチルアミンであり;
Xが、結合であり;
R
2が、Hであり;
R’またはR”が、
Z
2
が-OR’OR”で置換されたフェニルである場合はR’またはR”が独立してメチルまたはエチルである以外は独立して、-H、メチルまたはエチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
【化5】
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
【化6】
からなる、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項14】
対象におけるRho関連タンパク質キナーゼ変調に関連する疾患の予防または処置において使用するための請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物であって、前記疾患が、動脈血栓性障害、がん、心血管疾患、中枢神経系障害、グルコース不耐性、血液疾患、血液系悪性新生物障害、高インスリン血症、感染症、炎症性または自己免疫疾患、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、新生物疾患、神経変性疾患、神経発達障害、眼障害、骨粗しょう症、肺動脈性肺高血圧症(PAH)、2型糖尿病、血管平滑筋機能障害、およびそれらの組合せからなる群から選択される、前記化合物。
【請求項15】
対象におけるRho関連タンパク質キナーゼ変調に関連する疾患の予防または処置において使用するための請求項13に記載の医薬組成物であって、前記疾患が、動脈血栓性障害、がん、心血管疾患、中枢神経系障害、グルコース不耐性、血液疾患、血液系悪性新生物障害、高インスリン血症、感染症、炎症性または自己免疫疾患、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、新生物疾患、神経変性疾患、神経発達障害、眼障害、骨粗しょう症、肺動脈性肺高血圧症(PAH)、2型糖尿病、血管平滑筋機能障害、およびそれらの組合せからなる群から選択される、前記医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2018年4月24日に出願された米国仮特許出願第62/662,105号、および2019年1月4日に出願された同第62/788,461号の優先権を主張し、これらのそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
発明の分野
[0002]本発明は、アミド化合物、それらの組成物、およびそれを含有する医薬、ならびに、そのような化合物、組成物および医薬の調製および使用のためのプロセスに関する。そのような化合物は、細胞増殖性疾患(例えば、がん)ならびに神経および炎症性疾患を含む、不適切なチロシンおよび/またはセリン/スレオニンキナーゼ活性に関連する疾患の処置において、潜在的に有用である。具体的には、本開示は、Rho関連タンパク質キナーゼを阻害する化合物および組成物、Rho関連タンパク質キナーゼに関連する疾患を処置する方法、ならびにこれらの化合物を合成する方法に関わる。
【背景技術】
【0002】
[0003]酵素の重要な大ファミリーは、タンパク質キナーゼ酵素ファミリーである。現在、約500の異なる公知のタンパク質キナーゼがある。タンパク質キナーゼは、種々のタンパク質におけるアミノ酸側鎖のリン酸化を、ATP-Mg2+複合体のγ-ホスフェートの、前記アミノ酸側鎖への移動によって、触媒する働きをする。これらの酵素は、細胞内におけるシグナリングプロセスの大多数を制御し、それにより、タンパク質中のセリン、スレオニンおよびチロシン残基のヒドロキシル基の可逆的リン酸化を経由して、細胞機能、成長、分化および破壊(アポトーシス)を支配する。研究は、タンパク質キナーゼが、シグナル伝達、転写調節、細胞運動性および細胞分裂を含む多くの細胞機能の主な調節因子であることを示した。いくつかの発癌遺伝子が、タンパク質キナーゼをコードすることも示され、キナーゼが発癌において役割を果たすことを示唆する。これらのプロセスは、多くの場合、各キナーゼがそれ自体を1つまたは複数のキナーゼにより調節される複雑に絡み合った経路によって、高度に調節されている。その結果として、異常なまたは不適切なタンパク質キナーゼ活性が、そのような異常なキナーゼ活性に関連する病状の出現に寄与し得る。タンパク質キナーゼは、それらの生理的関連性、多様性および普偏性により、生化学および医学研究において最も重要かつ広く研究された酵素のファミリーの1つとなってきた。
【0003】
[0004]酵素のタンパク質キナーゼファミリーは、典型的には、それらがリン酸化するアミノ酸残基に基づき、2つの主要なサブファミリー:タンパク質チロシンキナーゼおよびタンパク質セリン/スレオニンキナーゼに分類される。セリン/スレオニンキナーゼ(PSTK)は、環式AMPおよび環式GMP依存性タンパク質キナーゼ、カルシウムおよびリン脂質依存性タンパク質キナーゼ、カルシウムおよびカルモジュリン依存性タンパク質キナーゼ、カゼインキナーゼ、細胞分裂周期タンパク質キナーゼならびに他を含む。これらのキナーゼは、通常、細胞質性であるか、または、おそらくタンパク質を定着させることによって、細胞の粒子画分と会合する。異常なタンパク質セリン/スレオニンキナーゼ活性は、関節リウマチ、乾癬、敗血症性ショック、骨喪失、多くのがん、および他の増殖性疾患等の若干数の病理に関与してきたまたは疑われる。したがって、セリン/スレオニンキナーゼおよびそれらが一部であるシグナル伝達経路は、薬物設計のための重要な標的である。チロシンキナーゼは、チロシン残基をリン酸化する。チロシンキナーゼは、細胞調節において等しく重要な役割を果たす。これらのキナーゼは、上皮成長因子受容体、インスリン受容体、血小板由来成長因子受容体および他を含む、成長因子およびホルモン等の分子のためのいくつかの受容体を含む。研究は、多くのチロシンキナーゼが、細胞の外側に位置するそれらの受容体ドメインおよび内側に位置するそれらのキナーゼドメインを持つ、膜貫通タンパク質であることを指し示した。チロシンキナーゼのモジュレーターを同定するためにも、多くの作業が進行中である。
【0004】
[0005]細胞によって利用される主要なシグナル伝達系は、RhoAシグナリング経路である。RhoAは、成長因子、ホルモン、機械的ストレス、浸透圧変化等のいくつかの細胞外刺激、ならびにグルコースのような高濃度の代謝物によって活性化され得る、小GTP結合タンパク質である。RhoA活性化は、GTP結合、立体配座変化、翻訳後修飾(ゲラニルゲラニル化(geranylgeranyllization)およびファルネシル化(famesylation))、およびその内因性GTPアーゼ活性の活性化を伴う。活性化RhoAは、ROCKを含むいくつかのエフェクタータンパク質と相互作用することができ、細胞質および核へシグナルを伝える。
【0005】
[0006]Rho関連タンパク質キナーゼ、ROCK1およびROCK2は、物理的会合を介してRhoA-GTP複合体によって活性化され得るキナーゼのファミリーを構成する。活性化ROCKは、若干数の基質をリン酸化し、極めて重要な細胞機能において重要な役割を果たす。ROCKのための基質は、ミオシン軽鎖ホスファターゼのミオシン結合サブユニット(MBS、MYPT1とも称される)、アデュシン、モエシン、ミオシン軽鎖(MLC)、LIMキナーゼおよび転写因子FHLを含む。これらの基質のリン酸化は、タンパク質の生物活性を変調し、故に、外部刺激に対する細胞の応答を変更する手段を提供する。
【0006】
[0007]1つの十分に文書化された例は、平滑筋収縮におけるROCKの関わりである。フェニレフリンによる刺激時に、血管平滑筋は収縮する。研究は、フェニレフリンが、アルファ-アドレナリン受容体を刺激し、RhoAの活性化につながることを示した。活性化RhoAが次にROCK1のキナーゼ活性を刺激し、これが次にMBSをリン酸化する。そのようなリン酸化は、ミオシン軽鎖ホスファターゼの酵素活性を阻害し、カルシウム依存性ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)によってミオシン軽鎖自体のリン酸化を増大させ、その結果としてミオシン-アクチン束の収縮性を増大させて、平滑筋収縮につながる。この現象は、時にカルシウム感作と呼ばれる。平滑筋収縮に加えて、ROCKは、アポトーシス、細胞移動、転写活性化、線維化、細胞質分裂、炎症および細胞増殖を含む細胞機能に関与することも示された。その上、ニューロンでは、ROCKは、ミエリン関連糖タンパク質(MAG)等のミエリン関連阻害因子による軸索成長の阻害において重大な役割を果たす。ROCK活性は、発達中のニューロンにおける成長円錐の崩壊も媒介する。両方のプロセスは、LIMキナーゼおよびミオシン軽鎖ホスファターゼ等の基質のROCK誘導性リン酸化によって媒介されて、ニューロンのアクチン-ミオシン系の収縮性増大をもたらすと考えられる。
【0007】
[0008]ROCKの阻害剤は、様々な疾患の処置において使用するために提案されてきた。それらは、心血管疾患、例を挙げると、高血圧症、慢性およびうっ血性心不全、心肥大、再狭窄、慢性腎不全ならびにアテローム性動脈硬化症を含む。加えて、その筋弛緩特性により、喘息、男性勃起機能障害、女性性機能不全および過活動膀胱症候群にも好適である。ROCK阻害剤は、抗炎症特性を保有することが示された。故に、これらは、神経炎症性疾患、例を挙げると、脳卒中、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症および炎症性疼痛、ならびに、他の炎症性疾患、例を挙げると、関節リウマチ、過敏性腸症候群および炎症性腸疾患の処置として使用され得る。加えて、ROCK阻害剤は、それらの神経突起伸長誘導効果に基づき、CNS内における、神経再生、新たな軸索成長の誘導および病変全体にわたる軸索の再配線のための有用な薬物となり得る。したがって、ROCK阻害剤は、CNS疾患、例を挙げると、脊髄損傷、急性神経損傷(脳卒中、外傷性脳損傷)、パーキンソン病、アルツハイマー病、および他の神経変性障害の再生(回復)処置のために有用となる可能性が高い。ROCK阻害剤は、細胞増殖および細胞移動を低減させることから、がんおよび腫瘍転移を処置する際に有用となり得る。さらに、ROCK阻害剤が、ウイルス侵入時に細胞骨格再配列を抑制し、故に、抗ウイルスおよび抗菌用途における潜在的な治療的価値も有することを示唆する証拠がある。ROCK阻害剤は、インスリン抵抗性および糖尿病の処置にも有用となることがある。
【0008】
[0009]肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、肺循環の圧力が増大する状態であり、最終的には心不全および死を引き起こす。多くの原因および条件はPAHに関連することが分かっているが、それらの多くは、共通したいくつかの基本的な病態生理学的特徴を共有する。これらのプロセスの中で1つの重要な特色は、すべての血管壁の内部細胞層である内皮の機能障害であり、これは通例、血管緊張性を調節し血栓形成を修復および阻害する、多岐にわたる物質の産生および代謝を司る。PAHの設定において、内皮機能障害は、劇物の過剰産生および保護物質の産生低下につながり得る。これがPAHの発症における初期事象であるか下流カスケードの一部が不明のままであるかにかかわらず、いずれの事例においても、疾患を特徴付ける進行性血管収縮および血管増殖における重要因子である。最近のインビボ研究は、Rho GTPアーゼ/RhoA経路およびその下流エフェクターであるRhoキナーゼ(ROCK-1およびROCK-2)が、血管リモデリングにつながる血管収縮および肺細胞増殖に対するそれらの永続効果により、PAHにおいて重要な役割を有することを示した(例えば、Wangら、Inhibition of RhoA/ROCK signaling pathway ameliorates hypoxic pulmonary hypertension via HIF-1α-dependent functional TRPC channels、Toxicol Appl Pharmacol.369:60~72(2019);Cantoniら、Pharmacological characterization of a highly selective Rho kinase(ROCK)inhibitor and its therapeutic effects in experimental pulmonary hypertension、Eur J Pharmacol.850:126~34;Zhuangら、Fasudil preserves lung endothelial function and reduces pulmonary vascular remodeling in a rat model of end-stage pulmonary hypertension with left heart disease、Int J Mol Med.42(3):1341~52(2018)を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[0010]本発明者らは、ROCK活性の阻害剤である新規ヘテロ環式化合物を発見した。そのような誘導体は、不適切なまたは調節不全のROCK活性に関連する障害の処置において有用である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[0011]本発明の第一の態様において、式(I)の化合物:
[0012]
【0011】
【0012】
[式中、
[0013]Z1は、OR’、フェニル、ナフチルまたはC5~C10員のヘテロ環であり、フェニル、ナフチルまたはC5~C10員のヘテロ環は、H、ハロ、-OH、-CN、-COOR’、-OR’、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-NS(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-S(O)2R’、グアニジノ、ニトロ、ニトロソ、-Cl~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルまたは3から10員のヘテロ環で任意選択で置換されており、-Cl~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルまたは3から10員のヘテロ環は、下記の1つまたは複数:ハロ、-OH、-CN、-COOR’、-OR’、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-NS(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-S(O)2R’、グアニジノ、ニトロ、ニトロソ、-Cl~C6アルキル、アリールまたは-C3~C7シクロアルキルで任意選択で置換されており;
[0014]Z2は、フェニル、ナフチルまたはC5~C10員のヘテロ環であり、フェニル、ナフチルまたはC5~C10員のヘテロ環は、H、ハロ、-OH、-CN、-COOR’、-OR’、-OR’OR”、-O(CH2)2NR’R”、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-NS(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-S(O)2R’、グアニジノ、ニトロ、ニトロソ、-Cl~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルまたは3から10員のヘテロ環で任意選択で置換されており、-Cl~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルまたは3から10員のヘテロ環は、下記の1つまたは複数:ハロ、-OH、-CN、-COOR’、-OR’、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-NS(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-S(O)2R’、グアニジノ、ニトロ、ニトロソ、-Cl~C6アルキル、アリールまたは-C3~C7シクロアルキルで任意選択で置換されており;
[0015]R1は、H、-C1~C6アルキルまたは-C3~C7シクロアルキルであり、-C1~C6アルキルまたは-C3~C7シクロアルキルは、下記の1つまたは複数:ハロ、-OH、-CN、-COOR’、-OR’、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-NS(O)2R’、-S(O)2NR’R”または-S(O)2R’で任意選択で置換されており;
[0016]Rは、-C1~C6アルキルであり、-C1~C6アルキルは、下記の1つまたは複数:H、ハロ、-OH、-CN、-COOR’、-OR’、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-NS(O)2R’、-S(O)2NR’R”または-S(O)2R’で任意選択で置換されており;
[0017]Xは、結合または-OCH(R
4
)であり、R4は、H、-C1~C6アルキルまたは-C3~C7シクロアルキルであり;
[0018]R2およびR3は、独立して、H、-C1~C6アルキル、-C3~C7シクロアルキル、アリール、C5~C10員のヘテロ環、
【0013】
【0014】
であり、
-C1~C6アルキル、-C3~C7シクロアルキル、アリール、C5~C10員のヘテロ環は、H、ハロ、-OH、-CN、-COOR’、-OR’、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-CNR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-NS(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-S(O)2R’、グアニジノ、ニトロ、ニトロソ、-Cl~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルまたは3から11員のヘテロ環で任意選択で置換されており、-Cl~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルまたは3から11員のヘテロ環は、下記の1つまたは複数:ハロ、-OH、-CN、-COOR’、-CH2NR’R”、-OR’、-OR’R”、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-NS(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-S(O)2R’、グアニジノ、ニトロ、ニトロソ、-Cl~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルで任意選択で置換されており、R5は、-Cl~C6アルキル、-OCH2CH2-、-NR6CH2CH2-、-NC(O)CH2CH2-であり;R6は、H、-C1~C6アルキルまたは-C3~C7シクロアルキルであり;
[0019]R’またはR”は、独立して、-Hまたは-Cl~C6アルキルであるか、あるいはR’およびR”は、一緒に、任意選択でNまたはO原子と結合して、4から8員の環式構造を形成する]
が提供される。
【0015】
[0020]一部の非限定的な実施形態において、Z1は、任意選択で置換されているC5~C10員のヘテロ環である。ある特定の非限定的な実装において、Z1は、任意選択で置換されているピリジン、ピリミジン、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、インダゾールまたはテトラゾールである。さらなる非限定的な実装において、Z1は、任意選択で置換されているピリジンまたはピラゾールである。C5~C10員のヘテロ環、ピリジン、ピリミジン、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、インダゾールまたはテトラゾールは、H、ハロ、-OH、-CN、-COOR’、-OR’、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-NS(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-S(O)2R’、グアニジノ、ニトロ、ニトロソ、-Cl~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルまたは3から10員のヘテロ環で任意選択で置換されており、-Cl~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルまたは3から10員のヘテロ環は、下記の1つまたは複数:ハロ、-OH、-CN、-COOR’、-OR’、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-NS(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-S(O)2R’、グアニジノ、ニトロ、ニトロソ、-Cl~C6アルキル、アリールまたは-C3~C7シクロアルキルで任意選択で置換されている。
【0016】
[0021]他の非限定的な実施形態において、Z1は、非置換のC5~C10員のヘテロ環である。ある特定の非限定的な実装において、Z1は、非置換のピリジン、ピリミジン、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、インダゾールまたはテトラゾールである。さらなる非限定的な実装において、Z1は、非置換のピリジンまたはピラゾールである。またさらなる非限定的な実装において、Z1は、非置換の
【0017】
【0018】
である。一部の実施形態において、Z1は、-OR’であり、R’は、メチルである(すなわち、Z1は、メトキシである)。
[0022]一部の非限定的な実施形態において、Z2は、任意選択で置換されているC5~C10員のヘテロ環である。ある特定の非限定的な実装において、Z2は、任意選択で置換されているフェニル、ピリジンまたはピラゾールである。C5~C10員のヘテロ環、フェニル、ピリジンまたはピラゾールは、H、ハロ、-OH、-CN、-COOR’、-OR’、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-NS(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-S(O)2R’、グアニジノ、ニトロ、ニトロソ、-Cl~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルまたは3から10員のヘテロ環で任意選択で置換されている。さらなる非限定的な実装において、Z2は、ハロ、-OR’、-Cl~C6アルキル、-OR’OR”または-O(CH2)2NR’R”で任意選択で置換されている、フェニル、ピリジンまたはピラゾールであり、-Cl~C6アルキルは、-OR’またはNR’R”の1つまたは複数で任意選択で置換されており、R’またはR”は、独立して、-H、メチルまたはエチルである。またさらなる非限定的な実装において、Z2は、ハロ、-OR’、-Cl~C6アルキル、-OR’OR”または-O(CH2)2NR’R”で置換されている、フェニルであり、-Cl~C6アルキルは、-OR’またはNR’R”の1つまたは複数で任意選択で置換されており、R’またはR”は、独立して、-H、メチルまたはエチルである。
【0019】
[0023]他の非限定的な実施形態において、Z2は、非置換のC5~C10員のヘテロ環である。ある特定の非限定的な実装において、Z2は、非置換のフェニル、ピリジンまたはピラゾールである。さらなる非限定的な実装において、Z2は、
【0020】
【0021】
からなる群から選択される。
[0024]一部の非限定的な実施形態において、R1は、H、非置換のメチル、メトキシエチルまたはジメチルアミノエチルである。一部の非限定的な実装において、R1は、Hまたは
【0022】
【0023】
である。
[0025]一部の非限定的な実施形態において、Rは、メチルである。他の非限定的な実施形態において、Rは、ヒドロキシメチルであり、化合物は、式(III):
【0024】
【0025】
の構造を有する。さらなる非限定的な実装において、Rは、S配置を持つヒドロキシメチルまたはR配置を持つメチルである。
[0026]一部の非限定的な実施形態において、Xは、結合である。
【0026】
[0027]他の非限定的な実施形態において、Xは、-OCH(R
4
)であり、化合物は、式(II):
【0027】
【0028】
の構造を有する。
[0028]一部の非限定的な実施形態において、R2は、Hであり、R3は、H、-C1~C6アルキル、-C3~C7シクロアルキル、アリール、C5~C10員のヘテロ環、
【0029】
【0030】
であり、
-C1~C6アルキル、-C3~C7シクロアルキル、アリール、C5~C10員のヘテロ環は、H、ハロ、-OH、-CN、-COOR’、-OR’、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-CNR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-NS(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-S(O)2R’、グアニジノ、ニトロ、ニトロソ、-Cl~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルまたは3から11員のヘテロ環で任意選択で置換されており、-Cl~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルまたは3から11員のヘテロ環は、下記の1つまたは複数:ハロ、-OH、-CN、-COOR’、-CH2NR’R”、-OR’、-OR’R”、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-NS(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-S(O)2R’、グアニジノ、ニトロ、ニトロソ、-Cl~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルで任意選択で置換されており、R5は、-Cl~C6アルキル、-OCH2CH2-、-NR6CH2CH2-、-NC(O)CH2CH2-であり、R6は、H、-C1~C6アルキルまたは-C3~C7シクロアルキルである。
【0031】
[0029]ある特定の非限定的な実装において、R2は、Hであり、R3は、-C3~C7シクロアルキルまたは-C3~C7シクロアルキルメチルであり、-C3~C7シクロアルキルまたは-C3~C7シクロアルキルメチルは、H、ハロ、-OH、-CN、-COOR’、-OR’、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-CNR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-NS(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-S(O)2R’、グアニジノ、ニトロ、ニトロソ、-Cl~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルまたは3から11員のヘテロ環で任意選択で置換されている。
【0032】
[0030]さらなる非限定的な実装において、R2は、Hであり、R3は、
【0033】
【0034】
;シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロブチル、シクロプロピル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、シクロブチルメチル、シクロプロピルメチルからなる群から選択される-C3~C7シクロアルキル;フェニルおよびベンジルからなる群から選択されるアリール;またはピロリジン-3-イル、ピペリジン-4-イル、(ピロリジン-3-イル)メチル、(ピペリジン-4-イル)メチルからなる群から選択されるC5~C10員のヘテロ環であり、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロブチル、シクロプロピル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、シクロブチルメチル、シクロプロピルメチルフェニル、ベンジル、ピロリジン-3-イル、ピペリジン-4-イル、(ピロリジン-3-イル)メチルまたは(ピペリジン-4-イル)メチルは、H、ハロ、-OH、-CN、-COOR’、-OR’、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-CNR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-NS(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-S(O)2R’、グアニジノ、ニトロ、ニトロソ、-Cl~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルまたは3から11員のヘテロ環で任意選択で置換されている。またさらなる非限定的な実装において、R2は、Hであり、R3は、シクロペンチルまたはシクロヘキシルである。
【0035】
[0031]他の非限定的な実施形態において、R2およびR3は、独立して、H、-C3~C7シクロアルキルまたは-C3~C7シクロアルキルメチルであり;-C3~C7シクロアルキルまたは-C3~C7シクロアルキルメチルは、H、ハロ、-OH、-CN、-COOR’、-OR’、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-CNR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-NS(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-S(O)2R’、グアニジノ、ニトロ、ニトロソ、-Cl~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルまたは3から11員のヘテロ環で任意選択で置換されており;ただし、R2およびR3が両方Hであることはない。
【0036】
[0032]ある特定の非限定的な実装において、R2およびR3は、独立して、H、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロブチル、シクロプロピル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、シクロブチルメチルまたはシクロプロピルメチルであり;R2およびR3は、独立して、H、ハロ、-OH、-CN、-COOR’、-OR’、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-CNR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-NS(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-S(O)2R’、グアニジノ、ニトロ、ニトロソ、-Cl~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルまたは3から11員のヘテロ環で任意選択で置換されている。
【0037】
[0033]他の非限定的な実装において、R2およびR3は、独立して、H、フェニルまたはベンジルであり;フェニルまたはベンジルは、H、ハロ、-OH、-CN、-COOR’、-OR’、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-CNR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-NS(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-S(O)2R’、グアニジノ、ニトロ、ニトロソ、-Cl~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルまたは3から11員のヘテロ環で任意選択で置換されており;ただし、R2およびR3が両方Hであることはない。
【0038】
[0034]一部の実施形態において、R1、R2、または両方は、Hである。
[0035]ある特定の非限定的な実装において、Z1は、ピリジンまたはピラゾールであり;Z2は、非置換のフェニル、ピリジンもしくはピラゾール、またはハロ、-OR’、-Cl~C6アルキル、-OR’OR”もしくは-O(CH2)2NR’R”で置換されているフェニルであり、-Cl~C6アルキルは、-OR’またはNR’R”の1つまたは複数で任意選択で置換されており;R1は、H、非置換のメチルまたはジメチルアミンであり;Xは、結合であり;R2は、Hであり;R’またはR”は、独立して、-H、メチルまたはエチルである。
【0039】
[0036]他の非限定的な実装において、Z1は、下記の1つまたは複数:ハロ、-OH、-CN、-COOR’、-OR’、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-NS(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-S(O)2R’、グアニジノ、ニトロ、ニトロソ、-Cl~C6アルキル、アリールまたは-C3~C7シクロアルキルで任意選択で置換されている、ピリジンであり;Z2は、H、ハロ、-OH、-CN、-COOR’、-OR’、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-NS(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-S(O)2R’、グアニジノ、ニトロ、ニトロソ、-Cl~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルまたは3から11員のヘテロ環で任意選択で置換されている、C5~C10員のヘテロ環であり;R2およびR3は、独立して、H、フェニル、ベンジル、-C3~C7シクロアルキルまたは-C3~C7シクロアルキルメチルであり、フェニル、ベンジル、-C3~C7シクロアルキルまたは-C3~C7シクロアルキルメチルは、H、ハロ、-OH、-CN、-COOR’、-OR’、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-NS(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-S(O)2R’、グアニジノ、ニトロ、ニトロソ、-Cl~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルまたは3から11員のヘテロ環で任意選択で置換されており;ただし、R2およびR3が両方Hであることはない。
【0040】
[0037]さらなる実施形態において、Rは、ヒドロキシメチルであり、化合物は、式(IV):
【0041】
【0042】
の構造を有する
[式中、
[0038]Z1は、-ピリジン、-ピリミジン、-ピラゾール、-イミダゾール、-オキサゾール、-チアゾール、-インダゾールまたは-テトラゾールであり、-ピリジン、-ピリミジン、-ピラゾール、-イミダゾール、-オキサゾール、-チアゾール、-インダゾールまたは-テトラゾールは、非置換であるか、あるいは下記の1つまたは複数:-ハロ、-OH、-CN、-COOR’、-OR’、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-NS(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-S(O)2R’、-グアニジノ、-ニトロ、-ニトロソ、-Cl~C6アルキル、-アリール、-C3~C7シクロアルキルおよび3から10員のヘテロ環で置換されており、-Cl~C6アルキル、-アリール、-C3~C7シクロアルキルまたは3から10員のヘテロ環は、非置換であるか、あるいは下記の1つまたは複数:-ハロ、-OH、-CN、-COOR’、-OR’、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-NS(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-S(O)2R’、-グアニジノ、-ニトロ、-ニトロソ、-Cl~C6アルキル、-アリールおよび-C3~C7シクロアルキルで置換されており;
[0039]R1は、-H、-C1~C6アルキルまたは-C3~C7シクロアルキルであり、-C1~C6アルキルまたは-C3~C7シクロアルキルは、非置換であるか、あるいは下記の1つまたは複数:-ハロ、-OH、-CN、-COOR’、-OR’、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-NS(O)2R’、-S(O)2NR’R”および-S(O)2R’で置換されており;
[0040]R2およびR3は、独立して、-H、-C1~C6アルキル、-C3~C7シクロアルキル、-アリール、5から10個の炭素を含有するヘテロ環、
【0043】
【0044】
であり、-C1~C6アルキル、-C3~C7シクロアルキル、-アリールまたは5から10個の炭素を含有するヘテロ環は、非置換であるか、あるいは下記の1つまたは複数:-ハロ、-OH、-CN、-CNR’R”、-COOR’、-OR’、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-NS(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-S(O)2R’、-グアニジノ、-ニトロ、-ニトロソ、-Cl~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルおよび3から11員のヘテロ環で置換されており、-Cl~C6アルキル、アリール、-C3~C7シクロアルキルまたは3から11員のヘテロ環は、非置換であるか、あるいは下記の1つまたは複数:-ハロ、-CNR’R”、-OH、-CN、-COOR’、-OR’、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-NS(O)2R’、-OR’OR”、-S(O)2NR’R”、-S(O)2R’、-グアニジノ、-ニトロ、-ニトロソ、-Cl~C6アルキル、-アリールおよび-C3~C7シクロアルキルで置換されており;R5は、-Cl~C6アルキル、-OCH2CH2-、-NR6CH2CH2-または-NC(O)CH2CH2-であり、R6は、-H、-C1~C6アルキルまたは-C3~C7シクロアルキルであり;
[0041]R’およびR”は、独立して、-Hまたは-Cl~C6アルキルであるか、あるいはR’およびR”は、一緒に、任意選択でNまたはO原子に結合されて、4から8員の環式構造を形成し;
[0042]R7は、-H、-ハロ、-OH、-CN、-COOR’、-OR’、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-NS(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-S(O)2R’、-C1~C6アルキル、-C3~C7シクロアルキル、-アリールまたは5から10個の炭素を含有するヘテロ環であり、-C1~C6アルキル、-C3~C7シクロアルキル、-アリールまたは5から10個の炭素を含有するヘテロ環は、非置換であるか、あるいは-ハロ、-OH、-CN、-COOR’、-OR’、-SR’、-OC(O)R’、-NHR’、-NR’R”、-NHC(O)R’、-NHC(O)NR’R”、-C(O)NR’R”、-NS(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-S(O)2R’、-グアニジノ、-ニトロ、-ニトロソ、-Cl~C6アルキル、-アリール、-C3~C7シクロアルキルまたは3から10員のヘテロ環で置換されている]。
【0045】
[0043]一部の非限定的な実装において、化合物の少なくとも1つは、
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
からなる群から選択される。
[0044]他の非限定的な実装において、化合物の少なくとも1つは、
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
からなる群から選択される。
[0045]さらなる実装において、化合物の少なくとも1つは、
【0061】
【0062】
からなる群から選択される。
[0046]またさらなる実装において、化合物の少なくとも1つは、
【0063】
【0064】
からなる群から選択される。
[0047]好ましい非限定的な実装において、化合物は、
【0065】
【0066】
からなる。
[0048]異なる好ましい非限定的な実装において、化合物は、
【0067】
【0068】
からなる。
[0049]本発明の第二の態様において、本発明の第一の態様において開示される化合物と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物が提供される。
【0069】
[0050]本発明の第三の態様において、Rho関連タンパク質キナーゼを阻害する方法であって、有効量の式Iの化合物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法が提供される。
【0070】
[0051]本発明の第四の態様において、Rho関連タンパク質キナーゼを阻害する際に使用するための、式Iの化合物を含む組成物が提供される。
[0052]本発明の第五の態様において、Rho関連タンパク質キナーゼを阻害するための医薬の製造における、式Iの化合物を含む組成物の使用が提供される。
【0071】
[0053]本発明の第六の態様において、疾患の処置または状態の改良を必要とする対象において、Rho関連タンパク質キナーゼ(例えば、ROCK-1、ROCK2、または両方)の変調に関連する疾患を処置するまたは状態を改良する方法であって、有効量の式Iの化合物を必要とする対象に投与するステップを含む、方法が提供される。
【0072】
[0054]本発明の第七の態様において、Rho関連タンパク質キナーゼ変調に関連する疾患を処置するまたは予防する際に使用するための、式Iの化合物を含む組成物が提供される。
【0073】
[0055]本発明の第八の態様において、Rho関連タンパク質キナーゼ変調に関連する疾患を処置するまたは予防するための医薬の製造における、式Iの化合物を含む組成物の使用が提供される。
【0074】
[0056]一部の非限定的な実施形態において、化合物または(医薬)組成物は、Rho関連タンパク質キナーゼの活性を変調することができるまたは変調する。ある特定の非限定的な実装において、Rho関連タンパク質キナーゼの活性を変調することは、Rho関連タンパク質キナーゼの活性を阻害することを含む。さらなる非限定的な実装において、Rho関連タンパク質キナーゼは、ROCK-1、ROCK2、または両方を含む。
【0075】
[0057]一部の非限定的な実施形態において、(医薬)組成物は、薬学的に許容されるその塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体または互変異性体をさらに含む。
[0058]一部の非限定的な実施形態において、疾患は、動脈血栓性障害、がん、心血管疾患、中枢神経系障害、グルコース不耐性、血液疾患、血液系悪性新生物障害、高インスリン血症、感染症、炎症性または自己免疫疾患、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、新生物疾患、神経変性疾患、神経発達障害、眼障害、骨粗しょう症、2型糖尿病、血管平滑筋機能障害、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0076】
[0059]ある特定の非限定的な実装において、がんは、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、乳がん、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、肝細胞がん、胃がん、白血病、肺がん、リンパ腫、多発性骨髄腫、卵巣がん、膵臓がん、黒色腫、アメーバ状がん細胞、アメーバ様移動を特徴とするがん、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)、前立腺がん、腎がん、およびそれらの組合せからなる群から選択される。一部の実装において、胃がんは、rhoA変異胃がんを含む。
【0077】
[0060]他の非限定的な実装において、神経変性疾患は、アルツハイマー、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン、パーキンソン、脊髄性筋萎縮症、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0078】
[0061]さらに他の非限定的な実装において、神経発達障害は、レット症候群、ニーマン・ピック病C型、または両方を含む。
[0062]さらなる非限定的な実装において、炎症性または自己免疫疾患は、喘息、心血管炎症、腎臓の炎症、動脈硬化症、関節リウマチ、脊椎関節炎、乾癬性関節炎、乾癬、アトピー性皮膚炎、湿疹、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、クローン病、移植片対宿主病、移植拒絶反応、線維性障害、およびそれらの組合せからなる群から選択される。好ましい非限定的な実装において、線維性障害は、肝線維症、肺線維症、皮膚線維症、心筋線維症、腎線維症、およびそれらの組合せからなる群から選択される。さらなる好ましい非限定的な実装において、線維性障害は、肺線維症を含む。またさらなる好ましい非限定的な実装において、肺線維症は、特発性肺線維症を含む。
【0079】
[0063]ある特定の実装において、心血管疾患または血管平滑筋機能障害は、アテローム性動脈硬化症、心肥大、心血管ストレス、脳虚血、脳血管けいれん、慢性虚血、勃起機能障害、心不全、高血圧症、梗塞再灌流傷害、高眼圧症、末梢動脈疾患、圧負荷、再狭窄、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0080】
[0064]一部の非限定的な実施形態において、Rho関連タンパク質キナーゼ変調に関連する疾患は、血液系悪性新生物障害を含む。一部の非限定的な実装において、方法は、血液系悪性新生物障害のための療法を必要とする対象を同定するステップをさらに含む。
【0081】
[0065]一部の非限定的な実施形態において、血液系悪性新生物障害は、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病(APL)、急性未分化白血病(AUL)、成人T細胞ALL、三血球系骨髄異形成を伴うAML(AMLITMDS)、未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、本態性血小板血症(ET)および原発性骨髄線維症(MF)、ホジキン病、若年性骨髄単球性白血病(JMML)、白血病、混合系統白血病(MLL)、多発性骨髄腫(MM)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄腫、骨髄増殖性疾患、骨髄増殖性新生物(MPN)、真性多血症(PV)を含む疾患カテゴリー、前リンパ球性白血病(PML)、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される。他の実施形態において、血液系悪性新生物障害は、脱調節FLT3受容体チロシンキナーゼ活性を特徴とする。
【0082】
[0066]一部の非限定的な実施形態において、眼障害は、高眼圧症、加齢黄斑変性(AMD)、脈絡膜血管新生(CNV)、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、虹彩血管新生、ブドウ膜炎、緑内障、未熟児網膜症(ROP)、およびそれらの組合せからなる群から選択される。一部の実装において、緑内障は、原発性開放隅角緑内障、急性閉塞隅角緑内障、色素性緑内障、先天性緑内障、正常眼圧緑内障、続発性緑内障、新生血管緑内障、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0083】
[0067]一部の非限定的な実施形態において、Rho関連タンパク質キナーゼの変調に関連する疾患は、脱調節FLT3受容体チロシンキナーゼ活性を特徴とする血液系悪性新生物障害、眼障害、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0084】
[0068]一部の非限定的な実施形態において、Rho関連タンパク質キナーゼの変調に関連する疾患は、血液系悪性新生物障害、眼障害、肺動脈性肺高血圧症(PAH)、またはそれらの組合せからなる群から選択され、血液系悪性新生物障害は、脱調節FLT3受容体チロシンキナーゼ活性を特徴とする。
【0085】
[0069]一部の非限定的な実施形態において、Rho関連タンパク質キナーゼの変調に関連する疾患は、肺動脈性肺高血圧症、アメーバ状がん細胞、アメーバ状がん細胞移動を特徴とするがん、特発性肺線維症および原発性骨髄線維症からなる群から選択される。
【0086】
[0070]一部の好ましい非限定的な実装において、Rho関連タンパク質キナーゼの変調に関連する疾患は、胃がん、膵臓がん、黒色腫、アメーバ状がん細胞、アメーバ様移動を特徴とするがん、移植片対宿主病(GVHD)、乾癬、緑内障、原発性骨髄線維症(MF)、肝線維症、特発性肺線維症、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0087】
[0071]疾患が、胃がん、緑内障、移植片対宿主病(GVHD)、黒色腫、膵臓がん、原発性骨髄線維症(MF)、乾癬、アメーバ状がん細胞、アメーバ状がん細胞移動を特徴とするがん、肝線維症、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項10に従って使用するための、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物または請求項9に記載の医薬組成物。
【0088】
[0072]他の好ましい非限定的な実装において、Rho関連タンパク質キナーゼの変調に関連する疾患は、rhoA変異胃がん、特発性肺線維症、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【発明を実施するための形態】
【0089】
[0073]本明細書において使用される場合、冠詞「a」または「an」は、該冠詞の1つまたは1つ超(例えば、少なくとも1つ)の文法的目的語を指す。例として、「元素」は、1つの元素または1つ超の元素を意味する。
【0090】
[0074]本明細書において使用される場合、用語「および/または」は、別段の指示がない限り、「および」または「または」のいずれかを指す。
[0075]本明細書において使用される場合、用語「任意選択で置換されている」は、所与の化学部分(例えば、アルキル基)が、他の置換基(例えば、ヘテロ原子)と結合され得る(が必須ではない)ことを指す。例えば、任意選択で置換されているアルキル基は、完全飽和アルキル鎖(例えば、純粋な炭化水素)であることができる。代替として、同じ任意選択で置換されているアルキル基は、水素とは異なる置換基を有することができる。例えば、これは、鎖に沿った任意の点で、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、または本明細書において記述される任意の他の置換基と結合され得る。故に、用語「任意選択で置換されている」は、所与の化学部分が、他の官能基を含有する潜在性を有するが、任意のさらなる官能基を必ずしも有するとは限らないことを意味する。
【0091】
[0076]本明細書において使用される場合、用語「アリール」は、単環式または二環式基を含む1から2個の芳香族環を有する環式芳香族炭化水素基、例を挙げると、フェニル、ビフェニルまたはナフチルを指す。2個の芳香族環(二環式等)を含有する場合、アリール基の芳香族環は、単一点において接合(例えば、ビフェニル)、または縮合(例えば、ナフチル)していてよい。アリール基は、任意の結合点で、1個または複数の置換基、例えば、1から5個の置換基によって任意選択で置換されていてよい。例示的な置換基は、-H、-ハロゲン、-0-Ci~C6アルキル、-CC6アルキル、-OC2~C6アルケニル、-OC2~C6アルキニル、-C2~C6アルケニル、-C2~C6アルキニル、-OH、-OP(0)(OH)2、-OC(0)Ci~C6アルキル、-C(0)Ci~C6アルキル、-OC(0)OCi~C6アルキル、-H2、-H(Ci~C6アルキル)、-N(Ci~C6アルキル)2、-S(0)2-Ci~C6アルキル、-S(0)HCi~C6アルキルおよび-S(0)N(Ci~C6アルキル)2を含むがこれらに限定されない。置換基は、それら自体が任意選択で置換され得る。さらに、2つの縮合環を含有する場合、本明細書において定義されるアリール基は、完全飽和環と縮合された不飽和または部分飽和環を有してよい。これらのアリール基の例示的な環系は、インダニル、インデニル、テトラヒドロナフタレニルおよびテトラヒドロベンゾアヌレニルを含む。
【0092】
[0077]具体的に定義されない限り、「ヘテロアリール」は、5から24個の環原子の一価単環式芳香族ラジカル、あるいは、N、S、PおよびOから選択される1個または複数の環ヘテロ原子を含有し、残りの環原子がCである、多環式芳香族ラジカルを意味する。本明細書において定義される通りのヘテロアリールは、ヘテロ原子がN、S、PおよびOから選択される、二環式ヘテロ芳香族基も意味する。芳香族ラジカルは、本明細書において記述される1個または複数の置換基で任意選択で独立して置換されている。例は、フリル、チエニル、ピロリル、ピリジル、ピラゾリル、ピリミジニル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、ピラジニル、インドリル、チオフェン-2-イル、キノリル、ベンゾピラニル、イソチアゾリル、チアゾリル、チアジアゾール、インダゾール、ベンゾイミダゾリル、チエノ[3,2-b]チオフェン、トリアゾリル、トリアジニル、イミダゾ[1,2-b]ピラゾリル、フロ[2,3-c]ピリジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、インダゾリル、ピロロ[2,3-c]ピリジニル、ピロロ[3,2-c]ピリジニル、ピラゾロ[3,4-c]ピリジニル、チエノ[3,2-c]ピリジニル、チエノ[2,3-c]ピリジニル、チエノ[2,3-b]ピリジニル、ベンゾチアゾリル、インドリル、インドリニル、インドリノニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾフラン、クロマニル、チオクロマニル、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロベンゾチアジン、ジヒドロベンゾオキサニル、キノリニル、イソキノリニル、1,6-ナフチリジニル、ベンゾ[de]イソキノリニル、ピリド[4,3-b][1,6]ナフチリジニル、チエノ[2,3-b]ピラジニル、キナゾリニル、テトラゾロ[1,5-a]ピリジニル、[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジニル、イソインドリル、ピロロ[2,3-b]ピリジニル、ピロロ[3,4-b]ピリジニル、ピロロ[3,2-b]ピリジニル、イミダゾ[5,4-b]ピリジニル、ピロロ[1,2-a]ピリミジニル、テトラヒドロピロロ[l,2-a]ピリミジニル、3,4-ジヒドロ-2H-l2-ピロロ[2,1-b]ピリミジン、ジベンゾ[b,d]チオフェン、ピリジン-2-オン、フロ[3,2-c]ピリジニル、フロ[2,3-c]ピリジニル、1H-ピリド[3,4-b][1,4]チアジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、フロ[2,3-b]ピリジニル、ベンゾチオフェニル、1,5-ナフチリジニル、フロ[3,2-b]ピリジン、[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジニル、ベンゾ[1,2,3]トリアゾリル、イミダゾ[1,2-a]ピリミジニル、[1,2,4]トリアゾロ[4,3-b]ピリダジニル、ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾリル、ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール、1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-オン、3,4-ジヒドロ-2H-ピラゾロ、[1,5-b][1,2]オキサジニル、4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリジニル、チアゾロ[5,4-d]チアゾリル、イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾリル、チエノ[2,3-b]ピロリル、3H-インドリル、およびそれらの誘導体を含むがこれらに限定されない。
【0093】
[0078]さらに、2個の縮合環を含有する場合、本明細書において定義されるヘテロアリール基は、完全飽和環と縮合された不飽和または部分飽和環を有してよい。これらのヘテロアリール基の例示的な環系は、インドリニル、インドリノニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾフラン、クロマニル、チオクロマニル、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロベンゾチアジン、3,4-ジヒドロ-lH~イソキノリニル、2,3-ジヒドロベンゾフラン、インドリニル、インドリルおよびジヒドロベンゾオキサニルを含む。
【0094】
[0079]本明細書において使用される場合、用語「アルキル」は、直鎖または分枝鎖飽和炭化水素を指す。Ci~C6アルキル基は、1から6個の炭素原子を含有する。Ci~C6アルキル基の非限定的な例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソペンチルおよびネオペンチルを含む。
【0095】
[0080]本明細書において使用される場合、用語「アルケニル」は、炭素-炭素二重結合を含有し、鎖中に約2から約6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖状であってよい、脂肪族炭化水素基を指す。アルケニル基は、鎖中に2から約4個の炭素原子を有することができる。分枝鎖状は、1個または複数の低級アルキル基、例を挙げると、メチル、エチルまたはプロピルが、線状アルケニル鎖に結合されていることを意味する。例示的なアルケニル基は、エテニル、プロペニル、n-ブテニルおよびi-ブテニルを含む。C2~C6アルケニル基は、2から6個の間の炭素原子を含有するアルケニル基である。
【0096】
[0081]本明細書において使用される場合、用語「アルキニル」は、炭素-炭素三重結合を含有し、鎖中に約2から約6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖状であってよい、脂肪族炭化水素基を指す。アルキニル基は、鎖中に2から約4個の炭素原子を有することができる。分枝鎖状は、1個または複数の低級アルキル基、例を挙げると、メチル、エチルまたはプロピルが、線状アルキニル鎖に結合されていることを意味する。例示的なアルキニル基は、エチニル、プロピニル、n-ブチニル、2-ブチニル、3-メチルブチニルおよびn-ペンチニルを含む。C2~C6アルキニル基は、2から6個の間の炭素原子を含有するアルキニル基である。
【0097】
[0082]本明細書において使用される場合、用語「シクロアルキル」は、3~18個の炭素原子を含有する単環式または多環式飽和炭素環を指す。シクロアルキル基の例は、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプタニル、シクロオクタニル、ノルボラニル(norboranyl)、ノルボレニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニルまたはビシクロ[2.2.2]オクテニルを含む。C3~C8シクロアルキルは、3から8個の間の炭素原子を含有するシクロアルキル基である。シクロアルキル基は、縮合(例えば、デカリン)または架橋(または、ノルボルナン)され得る。
【0098】
[0083]本明細書において使用される場合、用語「シクロアルケニル」は、3~18個の炭素原子を含有する単環式非芳香族不飽和炭素環を指す。シクロアルケニル基の例は、限定されないが、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニルおよびノルボレニルを含む。C3~C8シクロアルケニルは、3~8個の間の炭素原子を含有するシクロアルケニル基である。
【0099】
[0084]本明細書において使用される場合、用語「ヘテロシクロアルキル」は、炭素、および酸素、窒素または硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有し、環炭素またはヘテロ原子間で共有される非局在化π電子がない(芳香族性)、単環式または多環式3から24員環を指す。ヘテロシクロアルキル環は、オキセタニル、アゼタジニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、ピラニル、チオピラニル、テトラヒドロピラニル、ジオキサリニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオモルホリニルS-オキシド、チオモルホリニルS-ジオキシド、ピペラジニル、アゼピニル、オキセピニル、ジアゼピニル、トロパニルおよびホモトロパニルを含むがこれらに限定されない。ヘテロシクロアルキル環は、縮合または架橋されることもでき、例えば、二環式環であることができる。
【0100】
[0085]用語「カルボニル」は、酸素原子と二重結合された炭素原子を構成している官能基を指す。これは、本明細書において、「オキソ」として、C(O)として、またはC=0として略され得る。
【0101】
[0086]「スピロ環」または「スピロ環式」は、両方の環が単一原子を経由して接続された炭素生成二環式環系を意味する。該環は、サイズおよび性質が異なっていることもでき、またはサイズおよび性質が同一であることもできる。例は、スピロペンタン、スピロヘキサン、スピロヘプタン、スピロオクタン、スピロノナンまたはスピロデカンを含む。スピロ環中の環の一方または両方は、別の環、炭素環式、ヘテロ環式、芳香族またはヘテロ芳香族環と縮合され得る。スピロ環中の炭素原子の1つまたは複数は、ヘテロ原子(例えば、O、N、SまたはP)で置換され得る。C3~C12スピロ環は、5から12個の間の炭素原子を含有するスピロ環である。炭素原子の1つまたは複数は、ヘテロ原子で置換され得る。
【0102】
[0087]用語「スピロ環式ヘテロ環」または「スピロヘテロ環」は、環の少なくとも1つがヘテロ環である(例えば、環の少なくとも1つが、フラニル、モルホリニルまたはピペラジニルである)、スピロ環を意味することが理解される。
【0103】
[0088]本明細書において使用される場合、ハロ基は、任意のハロゲンを含む。非限定的な例は、-F、-Cl、-Brまたは-Iを含む。
[0089]-Cl~C6アルキル基は、1から6個の間の炭素原子で構成される、任意の直鎖または分枝鎖状、飽和または不飽和、置換または非置換の炭化水素を含む。-C1~C6アルキル基の非限定的な例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ネオヘキシル、エチレニル、プロピレニル、1-ブテニル、2-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、アセチレニル、ペンチニル、1-ブチニル、2-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニルおよび3-ヘキシニル基を含む。置換-C1~C6アルキル基は、任意の適用可能な化学部分を含んでよい。上記で挙げた-C1~C6アルキル基のいずれかに置換されてよい基の非限定的な例は、ハロ、-Cl~C6アルキル、-O-(Cl~C6アルキル)、C3~C7シクロアルキル、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、-NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’または-C(O)NHR’基を含む。上記でR’と表示された基は、-H、任意の-Cl~C6アルキルであってよく、または、置換が-N(R’)2である場合、2つのR’が、任意選択で、それらが結合している窒素または酸素原子と、3、4、5、6、7員の環系を形成してよい。
【0104】
[0090]アリール基は、任意の非置換または置換フェニルまたはナフチル(napthyl)基を含む。アリール基に置換されてよい基の非限定的な例は、ハロ、-C1~C6アルキル、-O-(C1~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)、R’または-C(O)NEtR’を含む。R’と表示された基は、-Hまたは任意の-Cl~C6アルキルであってよい。
【0105】
[0091]C3~C7シクロアルキル基は、任意の3、4、5、6または7員の置換または非置換の非芳香族炭素環式環を含む。C3~C7シクロアルキル基の非限定的な例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンタジエニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロヘプタニル、1,3-シクロヘキサジエニル、1,4-シクロヘキサジエニル、1,3-シクロヘプタジエニルおよび1,3,5-シクロヘプタトリエニル基を含む。C3~C7シクロアルキル基に置換されてよい基の非限定的な例は、-ハロ、-Cl~C6アルキル、-O-(Cl~C6アルキル)、-OH、-CN、-COOR’、-OC(O)R’、NHR’、N(R’)2、-NHC(O)R’または-C(O)NHR’基を含む。上記でR’と表示された基は、-Hまたは任意の非置換の-Cl~C6アルキルを含み、その例は、上記で挙げられている。ハロ基は、任意のハロゲンを含む。非限定的な例は、-F、-Cl、-Brまたは-Iを含む。
【0106】
[0092]ヘテロ環は、任意の任意選択で置換されている飽和、不飽和または芳香族環式部分であってよく、前記環式部分は、酸素(O)、硫黄(S)または窒素(N)から選択される少なくとも1個のヘテロ原子によって中断される。ヘテロ環は、単環式または多環式環であってよい。例えば、好適な置換基は、ハロゲン、ハロゲン化C1~6アルキル、ハロゲン化C1~6アルコキシ、アミノ、アミジノ、アジド、シアノ、グアニジノ、ヒドロキシル、ニトロ、ニトロソ、尿素、OS(O)2R;OS(O)2OR、S(O)2OR、S(O)0~2R、C(O)OR(Rは、H、C1~C6アルキル、アリールまたは3から10員のヘテロ環であってよい)、OP(O)OR1OR2、P(O)OR1OR2、SO2NR1R2、NR1SO2R2、C(R1)NR2、C(R1)NOR2(R1およびR2は、独立して、H、C1~C6アルキル、アリールまたは3から10員のヘテロ環であってよい)、NR1C(O)R2、NR1C(O)OR2、NR3C(O)NR2R1、C(O)NR1R2、OC(O)NR1R2を含む。これらの基について、R1、R2およびR3は、H、C1~C6アルキル、アリールまたは3から10員のヘテロ環からそれぞれ独立して選択されるか、あるいはR1およびR2は、それらが結合している原子と一緒になって、3から10員のヘテロ環を形成する。
【0107】
[0093]ヘテロ環基の可能な置換基は、ハロゲン(Br、Cl、IまたはF)、シアノ、ニトロ、オキソ、アミノ、C1~4アルキル(例えば、CH3、C2H5、イソプロピル)C1~4アルコキシ(例えば、OCH3、OC2H5)、ハロゲン化C1~4アルキル(例えば、CF3、CHF2)、ハロゲン化C1~4アルコキシ(例えば、OCF3、OC2F5)、COOH、COO-C1~4アルキル、CO-C1~4アルキル、C1~4アルキル-S-(例えば、CH3S、C2H5S)、ハロゲン化C1~4アルキル-S-(例えば、CF3S、C2F5S)、ベンジルオキシおよびピラゾリルを含む。
【0108】
[0094]ヘテロ環の非限定的な例は、アゼピニル、アジリジニル、アゼチル(azetyl)、アゼチジニル、ジアゼピニル、ジチアジアジニル、ジオキサゼピニル、ジオキソラニル、ジチアゾリル、フラニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、モルホリニル、モルホリノ、オキセタニル、オキサジアゾリル、オキシラニル、オキサジニル、オキサゾリル、ピペラジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピペリジル、ピペリジノ、ピリジル、ピラニル、ピラゾリル、ピロリル、ピロリジニル、チアトリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、チアゾリル、チエニル、テトラジニル、チアジアジニル、トリアジニル、チアジニル、チオピラニルフロイソオキサゾリル、イミダゾチアゾリル、チエノイソチアゾリル、チエノチアゾリル、イミダゾピラゾリル、シクロペンタピラゾリル、ピロロピロリル、チエノチエニル、チアジアゾロピリミジニル、チアゾロチアジニル、チアゾロピリミジニル、チアゾロピリジニル、オキサゾロピリミジニル、オキサゾロピリジル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾチアゾリル、イミダゾピラジニル、プリニル、ピラゾロピリミジニル、イミダゾピリジニル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾオキサチオリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジチオリル、インドリジニル、インドリニル、イソインドリニル、フロピリミジニル、フロピリジル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、チエノピリミジニル、チエノピリジル、ベンゾチエニル、シクロペンタオキサジニル、シクロペンタフラニル、ベンゾオキサジニル、ベンゾチアジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾピラニル、ピリドピリダジニルおよびピリドピリミジニル基を含む。
【0109】
[0095]本発明は、化合物が想定してよい任意の他の生理化学的または立体化学的(sterochemical)形態をさらに包括する。そのような形態は、ジアステレオマー、ラセミ体、単離されたエナンチオマー、水和形態、溶媒和形態、すべての多形結晶形態を含む任意の公知のまたは未だ開示されていない結晶性または非晶形態を含む。非晶形態は、区別可能な結晶格子を欠き、したがって、構造単位の整然とした配列を欠く。多くの医薬化合物は、非晶形態を有する。そのような化学的形態を生成する方法は、当業者に周知であろう。
【0110】
[0096]本発明の別の態様は、式I、IIまたはIII中のRまたは-CH2OHまたはR4を付帯する炭素原子が、「S」または「R」配置を有してよいことである。すべてのジアステレオマー、ラセミ体、単離されたエナンチオマーは、本発明の範囲内である。
【0111】
[0097]化合物のラセミ体、個々のエナンチオマーまたはジアステレオマー(diasteromer)は、現在公知のまたは未だ開示されていない任意の方法を経由する特異的な合成または分割によって調製されてよい。例えば、化合物は、光学活性酸を使用する塩形成を経由するジアステレオマー対の形成によって、その(it)エナンチオマーに分割されてよい。エナンチオマーは断片的に結晶化され、遊離塩基が再生される。別の例において、エナンチオマーは、クロマトグラフィーによって分離されてよい。そのようなクロマトグラフィーは、エナンチオマーを分離するために適切である現在公知のまたは未だ開示されていない任意の適切な方法、例を挙げると、キラルカラム上でのHPLCであってよい。
【0112】
[0098]一部の実施形態において、化合物は、薬学的に許容される塩の形態である。薬学的に許容される塩は、有機または無機酸に由来する任意の塩を含む。そのような塩の非限定的な例は、臭化水素酸、塩酸、硝酸、リン酸および硫酸の塩を含む。有機酸付加塩は、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、2-(4-クロロフェノキシ)-2-メチルプロピオン酸、1,2-エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、N-グリコリルサニル酸、4-ヘキシルレゾルシノール、馬尿酸、2-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ラクトビオン酸、n-ドデシル硫酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、メチル硫酸(methyl sulpuric acid)、粘液酸、2-ナフタレンスルホン酸、パモ酸、パントテン酸、ホスファニル酸((4-アミノフェニル)ホスホン酸)、ピクリン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、テレフタル酸、p-トルエンスルホン酸、10-ウンデセン酸、または現在公知のもしくは未だ開示されていない任意の他のそのような酸の塩を含む。そのような塩は、それらが薬学的に許容されるものであるならば、療法において使用されてよいことが分かるであろう。そのような塩は、化合物を好適な酸と、当業者に公知の様式で反応させることによって、調製されてよい。
【0113】
[0099]本開示は、有効量の開示される化合物と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物も含む。代表的な「薬学的に許容される塩」は、例えば、水溶性および水不溶性塩、例を挙げると、酢酸塩、アムソン酸塩(4,4-ジアミノスチルベン-2,2-ジスルホネート)、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩(benzonate)、重炭酸塩、重硫酸塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、酪酸塩、カルシウム、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、クラブラン酸塩(clavulariate)、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、マグネシウム、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、粘液酸塩(mucate)、ナプシル酸塩、硝酸塩、N-メチルグルカミンアンモニウム塩、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩(1,1-メテン-ビス-2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩、エインボネート(einbonate))、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ピクリン酸塩、ポリガラクツロ酸塩、プロピオン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、次サリチル酸塩、スラメート(suramate)、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオジドおよび吉草酸塩を含む。
【0114】
[00100]本明細書において使用される場合、用語「立体異性体」は、同じ数および種類の原子を有し、それらの原子間で同じ結合接続性を共有するが、三次元構造が異なる、化合物のセットを指す。用語「立体異性体」は、化合物のこのセットの任意のメンバーを指す。
【0115】
[00101]本明細書において使用される場合、用語「ジアステレオマー」は、単結合の周りでの回転によって重ね合わせることができるようにならない立体異性体のセットを指す。例えば、シスおよびトランス二重結合、二環式環系上でのエンドおよびエキソ置換、ならびに異なる相対配置を持つ複数の立体中心を含有する化合物は、ジアステレオマーであるとみなされる。本明細書において使用される場合、用語「ジアステレオマー」は、化合物のこのセットの任意のメンバーを指す。提示される一部の例において、合成ルートは、単一のジアステレオマーまたはジアステレオマーの混合物を産生してよい。一部の事例において、これらのジアステレオマーは分離され、他の事例において、配置が可変である構造要素を指し示すために波状の結合が使用される。
【0116】
[00102]本明細書において使用される場合、用語「エナンチオマー」は、互いの重ね合わせることができない鏡像である立体異性体の対を指す。本明細書において使用される場合、用語「エナンチオマー」は、立体異性体のこの対の単一のメンバーを指す。本明細書において使用される場合、用語「ラセミ」は、エナンチオマーの対の1:1混合物を指す。
【0117】
[00103]本明細書において使用される場合、用語「互変異性体」は、同じ数および種類の原子を有するが、結合接続性が異なり、互いに平衡である、化合物のセットを指す。「互変異性体」は、化合物のこのセットの単一のメンバーである。典型的には、単一の互変異性体は、描画されているが、この単一の構造は存在するかもしれないすべての可能な互変異性体を表すようになっていることが理解される。例は、エノール-ケトン互変異性を含む。ケトンが描画されている場合、エノールおよびケトン形態の両方が本開示の一部であることが理解される。
【0118】
[00104]「有効量」は、化合物に関連して使用される場合、本明細書において記述される通りの対象において疾患を処置するまたは予防するために有効な量である。
[00105]本明細書において使用される場合、用語「担体」は、担体、賦形剤および希釈剤を包括し、医薬剤を、対象の1つの臓器または体の一部から別の臓器または体の一部へ運搬するまたは輸送することに関与する、材料、組成物またはビヒクル、例を挙げると、液体もしくは固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒または封入材料を意味する。
【0119】
[00106]本明細書において使用される場合、対象に関して用語「処置すること」は、対象の障害の少なくとも1つの症状を改良することを指す。処置することは、障害を、治癒させること、改良することまたは少なくとも部分的に改善することを含む。
【0120】
[00107]本明細書において使用される場合、用語「障害」は、本開示において、別段の指示がない限り、疾患、状態または疾病という用語を意味するために使用され、それらと交換可能に使用される。
【0121】
[00108]本明細書において使用される場合、用語「投与する」、「投与すること」または「投与」は、本開示において使用される場合、開示される化合物もしくは開示される化合物の薬学的に許容される塩または組成物を、対象に直接投与すること、あるいは、対象の体内で当量の活性化合物を形成することができる、化合物もしくは化合物の薬学的に許容される塩または組成物のプロドラッグ誘導体または類似体を、対象に投与することのいずれかを指す。
【0122】
[00109]本明細書において使用される場合、用語「プロドラッグ」は、代謝的手段によって(例えば、加水分解によって)、開示される化合物にインビボで変換可能である化合物を意味する。さらに、本明細書において使用される場合、プロドラッグは、体内では不活性であるが、典型的には消化管からの吸収中または吸収後のいずれかに、体内で活性化合物に転換される薬物である。体内におけるプロドラッグの活性化合物への変換は、化学的にまたは生物学的に(例えば、酵素を使用して)為されてよい。
【0123】
[00110]本明細書において使用される場合、用語「溶媒和物」は、溶質および溶媒によって形成された可変化学量論の複合体を指す。そのような溶媒は、本開示の目的のために、溶質の生物活性に干渉しないことがある。好適な溶媒の例は、水、MeOH、EtOHおよびAcOHを含むがこれらに限定されない。水が溶媒分子である場合の溶媒和物は、典型的には、水和物と称される。水和物は、化学量論量の水を含有する組成物および可変量の水を含有する組成物を含む。
【0124】
[00111]本明細書において使用される場合、用語「異性体」は、同じ組成および分子量を有するが物理的および/または化学的特性が異なる化合物を指す。構造的差異は、構成に(幾何異性体)または平面偏光を回転させる能力に(立体異性体)あってよい。立体異性体に関して、開示される化合物は、1個または複数の不斉炭素原子を有してよく、ラセミ体、ラセミ混合物として、および個々のエナンチオマーまたはジアステレオマーとして発生してよい。
【0125】
[00112]「患者」または「対象」は、哺乳動物、例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、雌ウシ、ブタ、または非ヒト霊長類、例を挙げると、サル、チンパンジー、ヒヒもしくはアカゲザルである。
【0126】
[00113]本明細書において使用される場合、用語「FLT3変異増殖性障害」、「FLT3に関係する障害」、「FLT3受容体に関係する障害」、「FLT3受容体チロシンキナーゼに関係する障害」、「脱調節FLT3受容体チロシンキナーゼ疾患」または「FLT3駆動細胞増殖性障害」は、FLT3活性、例えば、FLT3の構成的活性化につながる突然変異に関連するまたは関与する疾患を含む。「FLT3変異増殖性障害」の非限定的な例は、FLT3における突然変異によるFLT3の刺激過度から生じる障害、またはFLT3における異常に高い量の突然変異による異常に高い量のFLT3活性から生じる障害を含む。FLT3の過活性は、下記に挙げられる細胞増殖性障害、新生物障害およびがんを含む多くの疾患の病因に関与してきたことが公知である。本発明による処置のための増殖性障害の非限定的な例は、白血病、骨髄腫、骨髄増殖性疾患、骨髄異形成症候群、特発性好酸球増多症候群(HES)、膀胱がん、乳がん、子宮頸がん、CNSがん、結腸がん、食道がん、頭頸部がん、肝臓がん、肺がん、鼻咽頭がん、神経内分泌がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、腎がん、唾液腺がん、小細胞肺がん、皮膚がん、胃がん(stomach cancer)、精巣がん、甲状腺がん、子宮がんおよび血液悪性腫瘍を含む。
【0127】
[00114]本明細書において使用される場合、用語「増殖性障害」および「細胞増殖性障害」は、多細胞生物に危害(すなわち、不快感または平均余命の減少)をもたらす、多細胞生物における細胞の1つまたは複数のサブセットの過剰な細胞増殖を指す。細胞増殖性障害は、異なる種類の動物およびヒトにおいて発生することができる。本明細書において使用される場合、「細胞増殖性障害」は、新生物障害を含む。
【0128】
[00115]本明細書において使用される場合、用語「新生物障害」は、異常または制御されない細胞成長から生じる腫瘍を指す。新生物障害の例は、下記の障害、例えば:骨髄増殖性障害、例を挙げると、血小板減少症、本態性血小板血症(ET)、原因不明骨髄化生、骨髄線維症(MF)、骨髄化生を伴う骨髄線維症(MMM)、慢性特発性骨髄線維症(UIMF)および真性多血症(PV)、血球減少症および前悪性骨髄異形成症候群;がん、例を挙げると、グリオーマがん、肺がん、乳がん、大腸がん、前立腺がん、胃がん、食道がん、結腸がん、膵臓がん、卵巣がん、ならびに、骨髄異形成、多発性骨髄腫、白血病およびリンパ腫を含む血液悪性腫瘍を含むがこれらに限定されない。血液悪性腫瘍の例は、例えば、白血病、リンパ腫、ホジキン病および骨髄腫を含む。また、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病(APL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、急性未分化白血病(AUL)、未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)、前リンパ球性白血病(PML)、若年性骨髄単球性白血病(JMML)、成人T細胞ALL、三血球系骨髄異形成を伴うAML(AMLITMDS)、混合系統白血病(MLL)、骨髄異形成症候群(MDSs)、骨髄増殖性障害(MPD)および多発性骨髄腫(MM)も含む。ある特定の実施形態において、本発明は、新生物障害の処置に十分な量での、本明細書において開示される化合物または薬学的に許容されるその塩の使用に向けられる。
【0129】
[00116]ある特定の実施形態は、脱調節受容体チロシンキナーゼを具体的に阻害する方法であって、対象の試料を取得するステップと、いずれの受容体チロシンキナーゼが試料において脱調節されるかを決定するステップと、対象に、有効量の式Iの化合物またはその塩を投与するステップとを含み、脱調節受容体チロシンキナーゼがFLT3受容体チロシンキナーゼである、方法を含む。一部の実装において、式Iの化合物またはその塩の有効量は、対象の循環末梢血芽球数を減少させる量である。他の実装において、式Iの化合物またはその塩の有効量の有効量は、対象の骨髄芽球数を減少させる量である。また他の実装において、増殖性疾患は、白血病、骨髄腫、骨髄増殖性疾患、骨髄異形成症候群、特発性好酸球増多症候群(HES)、膀胱がん、乳がん、子宮頸がん、CNSがん、結腸がん、食道がん、頭頸部がん、肝臓がん、肺がん、鼻咽頭がん、神経内分泌がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、腎がん、唾液腺がん、小細胞肺がん、皮膚がん、胃がん、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、血液悪性腫瘍、およびそれらの組合せから選択される。
【0130】
[00117]一部の実施形態において、式Iの化合物は、エナンチオマーである。一部の実装において、化合物は、(S)-エナンチオマーである。他の実装において、化合物は、(R)-エナンチオマーである。一部の実施形態において、(R)-または(S)-エナンチオ的配置が分子に割り当てられる。他の実施形態において、分子のエナンチオ的精製または分離にもかかわらず、(R)-または(S)-エナンチオ的配置が分子に割り当てられない。さらに他の実施形態において、開示される化合物は、(+)または(-)エナンチオマーである。
【0131】
[00118]すべての異性形態は、それらの混合物を含み、本開示内に含まれることが理解されるべきである。化合物が二重結合を含有する場合、置換基は、EもしくはZ配置またはシスもしくはトランス配置であってよい。化合物が二置換シクロアルキルを含有する場合、シクロアルキル置換基は、シスまたはトランス配置を有してよい。すべての互変異性形態も含まれることが意図される。一部の実施形態において、シスまたはトランス配置が、各分子に割り当てられてよい。他の実施形態において、ジアステレオマーの化学的精製または分離にもかかわらず、シスまたはトランス配置が分子に割り当てられないことがある。
【0132】
[00119]本発明の異なる態様を表す例が次に続く。そのような例は、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本発明の範囲内の代替的な機械的経路および類似の構造は、当業者には明らかであろう。
【0133】
[00120]例における要素および行為は、簡単にするために、本発明を例証することが意図されており、必ずしも任意の特定のシーケンスまたは実施形態に従って与えられたものとは限らない。
【0134】
[00121]
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】
【0141】
【0142】
【0143】
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
【0149】
[00122]指定されない限り、キラル中心を持つ化合物例は、対応するRおよびSエナンチオマーのラセミ混合物を表し、すべてのラセミ体および単離されたエナンチオマーは、本発明の範囲内である。
【0150】
[00123]追加の非限定的な例は、
【0151】
【0152】
【0153】
である。
[00124]本発明の化合物は、ROCK酵素阻害活性の改良、がん細胞成長および生存能力の阻害、ならびにFLT3-ITD突然変異体選択性を実証する。加えて、化合物は、優れた薬物動態特性を実証する。基準点として、2つの以前に特徴付けられた化合物(すなわち、表2における化合物AおよびB)が分析された。加えて、本明細書において開示される化合物は、概して、臨床ROCK阻害剤であるリパスジルよりも大きいROCK阻害を実証し、比較的弱い活性を持つ(ROCK1 IC50=51nMおよびROCK2 IC50=19nM)。
【0154】
[00125]本開示の化合物は、標準的な化学を含む様々な方法によって作製されてよい。好適な合成ルートが、以下に記載されるスキームにおいて描写される。
[00126]化合物は、下記の合成スキームおよび例によって一部分が明記される通り、有機合成の分野において公知の方法によって調製されてよい。後述されるスキームにおいて、一般的原理または化学に従い必要な場合、感受性または反応性基のための保護基が用いられることがよく理解される。保護基は、有機合成の標準的な方法に従って操作される(T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、「Protective Groups in Organic Synthesis」、第3版、Wiley、New York 1999)。これらの基は、当業者には容易に明らかである方法を使用して、化合物合成の好都合な段階で除去される。選択プロセス、ならびに反応条件およびそれらの実行順序は、式Iの化合物の調製と一致するものとする。
【0155】
[00127]当業者ならば、立体中心が式Iの化合物中に存在するか否かを認識するであろう。したがって、本開示は、両方の可能な立体異性体を含み(合成において指定されない限り)、ラセミ化合物だけでなく、個々のエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーも含む。化合物が単一のエナンチオマーまたはジアステレオマーとして所望される場合、化合物は、立体特異的合成によって、または最終生成物もしくは任意の好都合な中間体の分割によって取得されてよい。最終生成物、中間体または出発材料の分割は、当技術分野において公知である任意の好適な方法によって影響を受けてよい。例えば、「Stereochemistry of Organic Compounds」、E.L.Eliel、S.H.WilenおよびL.N.Mander著(Wiley-lnterscience、1994)を参照されたい。
【0156】
[00128]本明細書において記述される化合物は、市販の出発材料から作製されるか、または公知の有機、無機および/もしくは酵素的プロセスを使用して合成されてよい。
[00129]本開示の第二の態様は、Rho関連タンパク質キナーゼ(例えば、ROCK-1、ROCK2、または両方)の活性を変調する(例えば、阻害する)ことができる組成物に関する。本開示は、そのような組成物の治療的使用にも関する。
【0157】
[00130]本開示の第三の態様は、Rho関連タンパク質キナーゼを阻害する方法であって、有効量の式Iの化合物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、方法に関する。一部の実施形態において、Rho関連タンパク質キナーゼは、ROCK1を含む。
【0158】
[00131]本開示の第四の態様は、Rho関連タンパク質キナーゼを阻害する際に使用するための、式Iの化合物、および任意選択で薬学的に許容されるその塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体または互変異性体に関する。
【0159】
[00132]本開示の第五の態様は、Rho関連タンパク質キナーゼを阻害するための医薬の製造における、式Iの化合物、および任意選択で薬学的に許容されるその塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体または互変異性体の使用に関する。
【0160】
[00133]他の実施形態において、Rho関連タンパク質キナーゼは、ROCK2を含む。さらに他の実施形態において、Rho関連タンパク質キナーゼは、ROCK1およびROCK2を含む。
【0161】
[00134]本開示の第六の態様は、疾患の処置または状態の改良を必要とする対象において、Rho関連タンパク質キナーゼ(例えば、ROCK-1、ROCK2、または両方)の変調に関連する疾患を処置するまたは状態を改良する方法であって、有効量の式Iの化合物を必要とする対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0162】
[00135]本開示の第七の態様は、Rho関連タンパク質キナーゼ変調に関連する疾患を処置するまたは予防する際に使用するための、式Iの化合物、および任意選択で薬学的に許容されるその塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体または互変異性体に関する。
【0163】
[00136]本開示の第八の態様は、Rho関連タンパク質キナーゼ変調に関連する疾患を処置するもしくは予防するまたはRho関連タンパク質キナーゼを阻害するための医薬の製造における、式Iの化合物、および任意選択で薬学的に許容されるその塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体または互変異性体の使用に関する。
【0164】
[00137]Rho関連タンパク質キナーゼの変調に関連する疾患の非限定的な例は、動脈血栓性障害、心血管疾患、中枢神経系障害、グルコース不耐性、血液疾患、血液系悪性新生物障害、高インスリン血症、感染症、炎症性または自己免疫疾患、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、新生物疾患、神経変性疾患、神経発達障害、眼障害、骨粗しょう症、増殖性疾患、またはがん、肺動脈性肺高血圧症(PAH)、2型糖尿病、血管平滑筋機能障害等の障害を含む。
【0165】
[00138]Rho関連タンパク質キナーゼの変調に関連する状態の非限定的な例は、骨形成の促進および眼内圧の調節等を含む。
[00139]本明細書において使用される場合、用語「がん」は、対象内の異常または無秩序な細胞成長を指す。がんの非限定的な例は、アメーバ状がん細胞、アメーバ様移動を特徴とするがん、乳がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、胃がん(rhoA変異胃がんを含む)、肝細胞がん、白血病、肺がん、リンパ腫、黒色腫、多発性骨髄腫、卵巣がん、膵臓がん、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)、前立腺がん、腎がん、T細胞リンパ腫等を含む。胃がんは、rhoA変異胃がんを含む。白血病の非限定的な例は、急性骨髄性白血病および急性リンパ芽球性白血病等を含む。T細胞リンパ腫の非限定的な例は、血管免疫芽球性、皮膚T細胞リンパ腫および末梢性T細胞リンパ腫等を含む。一部の実施形態において、Rho関連タンパク質キナーゼの変調に関連する疾患は、胃がん、膵臓がん、黒色腫、アメーバ状がん細胞(アメーバ様移動を特徴とするがん)、およびそれらの組合せからなる群から選択される。一部の実装において、Rho関連タンパク質キナーゼの変調に関連する疾患は、rhoA変異胃がんである。
【0166】
[00140]新生物疾患の非限定的な例は、星状細胞腫、腎臓の腺癌、肺の腺癌、膀胱がん、芽細胞腫、脳腫瘍、乳がん、癌腫、腹膜のがん、子宮頸がん、胆管癌、結腸がん、大腸がん、子宮内膜がん、子宮内膜癌、食道がん、胆嚢癌、胃がん、消化管がん、膠芽腫、頭頸部がん、肝癌、肝細胞がん、ヘパトーマ、腎臓がん、白血病、肝臓がん、リンパ腫、黒色腫、非小細胞肺がん、卵巣がん、膵臓がん、下垂体がん、前立腺がん、唾液腺癌、肉腫、小細胞キング(king)がん、軟部組織肉腫、腎臓の扁平上皮癌、肺の扁平上皮癌、扁平上皮細胞がん、精巣がん、甲状腺がん、子宮癌および外陰(vulval)がん等を含む。
【0167】
[00141]眼障害の非限定的な例は、加齢黄斑変性(AMD)、脈絡膜血管新生(CNV)、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、緑内障、虹彩血管新生、高眼圧症、未熟児網膜症(ROP)およびブドウ膜炎等を含む。緑内障の非限定的な例は、急性閉塞隅角緑内障、先天性緑内障、新生血管緑内障、正常眼圧緑内障、色素性緑内障、原発性開放隅角緑内障および続発性緑内障等を含む。一部の実施形態において、Rho関連タンパク質キナーゼの変調に関連する疾患は、緑内障である。一部の実施形態において、処置は、眼内圧を調節する。一部の実施形態において、眼障害は、血管新生成分を有し、方法は、対象に血管新生阻害剤を投与するステップをさらに含む。ある特定の実装において、眼障害は、加齢黄斑変性(AMD)、脈絡膜血管新生(CNV)、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、虹彩血管新生、ブドウ膜炎、新生血管緑内障、未熟児網膜症(ROP)、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0168】
[00142]本明細書において使用される場合、用語「神経障害」は、神経系(例えば、脳および脊髄)の障害を指す。神経障害または神経変性疾患の非限定的な例は、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、注意欠陥障害(ADD)、てんかん、本態性振戦、ハンチントン病、多発性硬化症、パーキンソン病、脊髄性筋萎縮症、組織傷害によって引き起こされた中枢神経系の外傷、および酸化ストレス誘導性神経または軸索変性等を含む。
【0169】
[00143]神経発達障害の非限定的な例は、レット症候群およびニーマン・ピック病C型等を含む。
[00144]一部の実施形態において、中枢神経系障害は、神経変性、脊髄損傷、または両方を含む。別の態様において、中枢神経系障害は、ハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー、筋萎縮性側索硬化症(ALS)または多発性硬化症である。
【0170】
[00145]本明細書において使用される場合、用語「炎症」は、初期の傷害または感染に対する宿主の応答を指す。炎症の症状の非限定的な例は、熱、機能喪失、疼痛、発赤および腫脹等を含む。炎症の原因の非限定的な例は、炎症誘発性サイトカイン、例を挙げるとIL-1βの上方調節、およびFOXP3転写因子の発現増大等を含む。
【0171】
[00146]本明細書において使用される場合、用語「自己免疫障害」は、宿主の体内で自然に発生する組織および物質に対して宿主自身の免疫系が応答する障害を指す。
[00147]炎症性または自己免疫疾患の非限定的な例は、動脈硬化症、関節リウマチ、脊椎関節炎、乾癬性関節炎、喘息、アトピー性皮膚炎、心血管炎症、クローン病、湿疹、線維性障害、移植片対宿主病(GVHD)、炎症性腸疾患、多発性硬化症、乾癬、腎臓の炎症、全身性エリテマトーデス(SLE)、1型糖尿病、移植拒絶反応等を含む。線維性障害の非限定的な例は、肝線維症、肺線維症、皮膚、心臓および腎線維症等を含む。肺線維症の非限定的な例は、特発性肺線維症を含む。一部の実施形態において、Rho関連タンパク質キナーゼの変調に関連する疾患は、GVHD、線維性障害、およびそれらの組合せからなる群から選択される。一部の実装において、線維性障害は、肝線維症、肺線維症、腎線維症、またはそれらの組合せである。一部の実装において、肺線維症は、特発性肺線維症である。
【0172】
[00148]一部の実施形態において、Rho関連タンパク質キナーゼの変調に関連する疾患は、外来病原体(例えば、細菌、真菌またはウイルス等)の侵入によって引き起こされた感染症(例えば、感染性疾患または障害)である。一部の実装において、細菌感染症は、E.coliによって引き起こされる。
【0173】
[00149]本明細書において使用される場合、用語「代謝性障害」または「代謝性疾患」は、対象がエネルギーを貯蔵する手法における異常を指す。代謝性障害の非限定的な例は、メタボリックシンドローム、糖尿病、肥満、高血圧および心不全等を含む。
【0174】
[00150]血液疾患は、血液に主として影響を及ぼし、血液障害の非限定的な例は、貧血、リンパ腫および白血病等を含む。
[00151]心血管疾患、障害もしくは状態または血管平滑筋機能障害は、対象の心臓および血管に影響を及ぼす。非限定的な例は、アテローム性動脈硬化症、心肥大、心血管ストレス、脳虚血、脳血管けいれん、慢性虚血、勃起機能障害、心不全、高血圧症、梗塞再灌流傷害、高眼圧症、圧負荷、末梢動脈疾患および再狭窄等を含む。
【0175】
[00152]一部の実装において、疾患は、眼障害、胃がん、膵臓がん、黒色腫、移植片対宿主病、肝線維症、骨髄線維症(MF)、骨髄化生を伴う骨髄線維症(MMM)、慢性特発性骨髄線維症(UIMF)、脱調節FLT3受容体チロシンキナーゼ活性を特徴とする血液系悪性新生物障害、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0176】
[00153]ある特定の実装において、疾患は、Rhoキナーゼシグナリング経路の上方調節に関連している。
[00154]一実施形態において、動脈血栓性障害は、血小板凝集、白血球凝集、または両方である。
【0177】
[00155]一部の実施形態において、式Iの化合物は、対象において、疾患もしくは障害を処置する、疾患もしくは障害を予防する、またはその発症を予防するために、有効量で投与される。
【0178】
[00156]式Iの化合物の投与は、治療剤のための任意の投与モードを介して遂行され得る。モードの非限定的な例は、全身投与または局部的投与、例を挙げると、経口、経鼻、非経口、経皮、皮下、膣内、口腔、直腸または局所投与モードを含む。
【0179】
[00157]意図される投与モードに応じて、開示される組成物は、時に単位投薬量であり慣例的な医薬実務と一致する、固体、半固体または液体剤形、例を挙げると、例えば、注射液、錠剤、坐剤、丸剤、徐放性カプセル剤、エリキシル剤、チンキ剤、乳剤、シロップ剤、散剤、液剤、懸濁剤等であることができる。同様に、それらは、静脈内(ボーラス剤および注入の両方)、腹腔内、皮下または筋肉内形態で、いずれも医薬分野の当業者に周知である形態を使用して、投与されることもできる。
【0180】
[00158]例証的な医薬組成物は、本開示の化合物、ならびに、薬学的に許容される担体、例を挙げると、a)希釈剤、例えば、精製水、トリグリセリド油、例を挙げると、水素化もしくは部分水素化植物油、またはそれらの混合物、コーン油、オリーブ油、ヒマワリ油、サフラワー油、魚油、例を挙げると、EPAもしくはDHA、またはそれらのエステルもしくはトリグリセリドまたはそれらの混合物、オメガ3脂肪酸もしくはその誘導体、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、ナトリウム、サッカリン、グルコースおよび/またはグリシン;b)滑沢剤、例えば、シリカ、タルカム、ステアリン酸、そのマグネシウムもしくはカルシウム塩、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよび/またはポリエチレングリコール;錠剤ではまた;c)結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプン糊、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、炭酸マグネシウム、天然糖、例を挙げると、グルコースまたはベータ-ラクトース、トウモロコシ甘味料、天然および合成ガム、例を挙げると、アカシア、トラガカントもしくはアルギン酸ナトリウム、ワックスおよび/またはポリビニルピロリドン、所望ならば;d)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、メチルセルロース、ベントナイト、キサンタンガム、アルギン酸もしくはそのナトリウム塩、または発泡性混合物;e)吸収剤、着色剤、香味料および甘味料;f)乳化剤または分散剤、例を挙げると、ツイーン80、ラブラソール、HPMC、DOSS、カプロイル909、ラブラファク、ラブラフィル、ペセオール、トランスクトール、カプムルMCM、カプムルPG-12、カプテクス355、ゲルシア、ビタミンE TGPSまたは他の許容される乳化剤;ならびに/あるいは、g)化合物の吸収を増強する薬剤、例を挙げると、シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-シクロデキストリン、PEG400、PEG200を含む、錠剤およびゼラチンカプセル剤である。
【0181】
[00159]液体、特に注射用組成物は、例えば、溶解、分散等によって調製され得る。例えば、開示される化合物は、薬学的に許容される溶媒、例を挙げると、例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、エタノール等に溶解されるかまたはそれらと混合されて、それにより、注射用等張溶液または懸濁液を形成する。アルブミン、カイロミクロン粒子または血清タンパク質等のタンパク質が、開示される化合物を可溶化するために使用され得る。
【0182】
[00160]開示される化合物は、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコールを担体として使用して、脂肪エマルションまたは懸濁液から調製され得る坐剤として、製剤化されることもできる。
【0183】
[00161]開示される化合物は、リポソーム送達システム、例を挙げると、小型単層ベシクル、大型単層ベシクルおよび多層ベシクルの形態で、投与されることもできる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンを含有する様々なリン脂質から形成され得る。一部の実施形態において、脂質成分のフィルムは、米国特許第5,262,564号において記述される通り、薬物の水溶液と水和されて、薬物を封入する脂質層を形成する。
【0184】
[00162]開示される化合物は、開示される化合物がカップリングされる個々の担体としてのモノクローナル抗体の使用によって、送達されることもできる。開示される化合物は、標的化可能な薬物担体としての可溶性ポリマーとカップリングされることもできる。そのようなポリマーは、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリル-アミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパンアミドフェノール、またはパルミトイル残基で置換されているポリエチレンオキシドポリリジンを含むことができるがこれらに限定されない。さらに、開示される化合物は、薬物の制御放出を実現する際に有用なクラスの生分解性ポリマー、例えば、ポリ乳酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロックコポリマーとカップリングされ得る。一実施形態において、開示される化合物は、ポリマー、例えばポリカルボン酸ポリマーともポリアクリレートとも共有結合していない。
【0185】
[00163]非経口(Parental)注射液投与は、概して、皮下、筋肉内または静脈内注射および注入に使用される。注射液は、液体溶液もしくは懸濁液、または注射前に液体に溶解するのに好適な固体形態としてのいずれかで、従来の形態で調製され得る。
【0186】
[00164]本開示の別の態様は、開示される化合物と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物に関する。薬学的に許容される担体は、賦形剤、希釈剤または界面活性剤をさらに含むことができる。
【0187】
[00165]組成物は、従来の混合、造粒またはコーティング方法に従ってそれぞれ調製され得、本発明の医薬組成物は、重量または体積で約0.1%から約99%まで、約5%から約90%まで、または約1%から約20%までの開示される化合物を含有することができる。
【0188】
[00166]開示される化合物を利用する投薬量レジメンは、患者の種類、種、年齢、重量、性別および医学的状態;処置される状態の重症度;投与ルート;患者の腎または肝機能;ならびに用いられる特定の開示される化合物を含む、様々な要因に従い選択される。当技術分野における通常の技量の医師または獣医は、状態を予防する、対抗するまたはその進行を停止させるために必要とされる薬物の有効量を、容易に決定および処方することができる。
【0189】
[00167]開示される化合物の有効な投薬量は、指示された効果のために使用される場合、状態を処置するために必要に応じて、約0.5mgから約5000mgまでの開示される化合物の範囲となる。インビボまたはインビトロ使用のための組成物は、約0.5、5、20、50、75、100、150、250、500、750、1000、1250、2500、3500または5000mgの、または、用量のリストにおける1つの量から別の量までの範囲内の、開示される化合物を含有することができる。一実施形態において、組成物は、切り込み線が入れられ得る錠剤の形態である。
【0190】
[00168]いかなる特定の理論によっても拘束されることは望まないが、本開示の化合物は、ROCK-1およびROCK-2等のRho関連タンパク質キナーゼを阻害することができる。
【実施例】
【0191】
[00169]本開示が、下記の例および合成例によってさらに例証され、これらは本開示の範囲または趣旨を本明細書において記述される具体的な手順に限定するものとして解釈されるべきではない。例は、ある特定の実施形態を例証するために提供されること、およびそれにより本開示の範囲への限定は意図されないことが理解されるべきである。本開示の趣旨および/または添付の請求項の範囲から逸脱することなく、当業者に提案してよい、種々の他の実施形態、修正形態およびそれらの均等物に頼らなくてはならない場合があることがさらに理解されるべきである。
【0192】
実施例1
化合物ID1番の合成
[00170]
【0193】
【0194】
[00171]ステップ1.
[00172]
【0195】
【0196】
[00173]DMF中の4-(ピリジン-4-イル)安息香酸(100mg、0.50mmol)およびメチル3-(アミノメチル)ベンゾエート(99mg、0.6mmol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA、0.26mL、1.5mmol)および1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU、247mg、0.65mmol)を添加した。反応物を室温で2時間にわたって撹拌し、水で希釈した。混合物を濃縮し、C-18カラムクロマトグラフィーによって精製して、1A(141mg)を得た。
【0197】
[00174]ステップ2.
[00175]
【0198】
【0199】
[00176]THF中の1A(141mg、0.41mmol)の溶液に、LiOH溶液(1M、2.0mL)を添加した。反応物を室温で終夜撹拌し、HCl溶液で中和した。混合物を濃縮し、C-18カラムクロマトグラフィーによって精製して、1B(97mg)を得た。
【0200】
[00177]ステップ3.
[00178]DMF中の1B(7mg、0.02mmol)および5-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-2-アミン(6mg、0.04mmol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA、0.007mL、0.04mmol)およびHATU(15mg、0.04mmol)を添加した。反応物を室温で2時間にわたって撹拌し、水で希釈した。混合物を濃縮し、C-18カラムクロマトグラフィーによって精製して、ID1番(8mg)を得た。
【0201】
実施例2
化合物ID10番の合成
[00179]
【0202】
【0203】
[00180]ステップ1.
[00181]
【0204】
【0205】
[00182]DMF中の4-(ピリジン-4-イル)安息香酸(50mg、0.25mmol)およびメチル3-((1S)-1-アミノ-2-ヒドロキシエチル)ベンゾエートHCl塩(75mg、0.3mmol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA、0.13mL、0.75mmol)およびHATU(123mg、0.32mmol)を添加した。反応物を室温で2時間にわたって撹拌し、水で希釈した。混合物を濃縮し、C-18カラムクロマトグラフィーによって精製して、2A(68mg)を得た。
【0206】
[00183]ステップ2.
[00184]
【0207】
【0208】
[00185]THF中の1A(68mg、0.17mmol)の溶液に、LiOH溶液(1M、0.85mL)を添加した。反応物を室温で終夜撹拌し、HCl溶液で中和した。混合物を濃縮し、C-18カラムクロマトグラフィーによって精製して、2B(40mg)を得た。
【0209】
[00186]ステップ3.
[00187]DMF中の2B(5mg、0.014mmol)およびシクロペンチルアミン(3mg、0.035mmol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA、5マイクロL、0.028mmol)およびHATU(7mg、0.018mmol)を添加した。反応物を室温で2時間にわたって撹拌し、水で希釈した。混合物を濃縮し、C-18カラムクロマトグラフィーによって精製して、ID10番(5mg)を得た。
【0210】
実施例3
化合物ID3番の合成
[00188]
【0211】
【0212】
[00189]ステップ1.
[00190]
【0213】
【0214】
[00191]DMF中の4-(ピリジン-4-イル)安息香酸(50mg、0.25mmol)および3-(アミノメチル)フェノール(37mg、0.3mmol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA、0.13mL、0.75mmol)およびHATU(123mg、0.32mmol)を添加した。反応物を室温で2時間にわたって撹拌し、水で希釈した。混合物を濃縮し、C-18カラムクロマトグラフィーによって精製して、3A(62mg)を得た。
【0215】
[00192]ステップ2.
[00193]
【0216】
【0217】
[00194]アセトニトリル中の3A(62mg、0.20mmol)およびクロロ酢酸エチル(25mg、0.20mmol)の混合物に、炭酸カリウム(33mg、0.24mmol)を添加した。反応物を55℃に加熱し、終夜撹拌し、濾過し、濃縮した。残留物をC-18カラムクロマトグラフィーによって精製して、3B(55mg)を得た。
【0218】
[00195]ステップ3.
[00196]
【0219】
【0220】
[00197]THF中の3B(55mg、0.14mmol)の溶液に、LiOH溶液(1M、0.7mL)を添加した。反応物を室温で終夜撹拌し、HCl溶液で中和した。混合物を濃縮し、C-18カラムクロマトグラフィーによって精製して、3C(50mg)を得た。
【0221】
[00198]ステップ4.
[00199]DMF中の3C(10mg、0.028mmol)およびシクロプロピルアミン(5mg、0.084mmol)の溶液に、HATU(13mg、0.034mmol)を添加した。反応物を室温で2時間にわたって撹拌し、水で希釈した。混合物を濃縮し、C-18カラムクロマトグラフィーによって精製して、ID3番(10mg)を得た。
【0222】
実施例4
ROCK1およびROCK2キナーゼ阻害アッセイ
[00200]下記のアッセイプロトコールは、ペプチド基質(FAM-KKLRRTLSVA-OH、ここで、FAMは、カルボキシフルオレセインである)のリン酸化を測定するためのものである。ペプチドは、キャピラリー電気泳動によって純度98%超である。ペプチドを、タンパク質キナーゼROCK1またはROCK2によってリン酸化する。ROCK1またはROCK2酵素、基質、および補因子(ATPおよびMg2+)をマイクロタイタープレートのウェル内で合わせ、阻害剤化合物の存在下または非存在下、25℃で3時間にわたってインキュベートする。インキュベーションの終わりに、反応物を、EDTA含有緩衝液の添加によってクエンチする。基質および生成物を分離し、Caliper Life Sciences(Hopkinton、Massachusetts)製のマイクロ流体ベースのLABCHIP(登録商標)3000創薬システムを使用して電気泳動的に定量化する。
【0223】
[00201]アッセイ混合物の成分は、以下である。
[00202]100mMのHEPES、pH7.5
[00203]0.1%のBSA
[00204]0.01%のトリトンX-100
[00205]1mMのDTT
[00206]10mMのMgCl2
[00207]10μMのオルトバナジウム酸ナトリウム
[00208]10μMのベータ-グリセロホスフェート
[00209]5μMのATP(ROCK1について)または7μMのATP(ROCK2について)
[00210]1%のDMSO(化合物から)
[00211]1.25μMのFAM-KKLRRTLSVA-OH
[00212]3nMのROCK1または2.5nMのROCK2酵素
[00213]LABCHIP(登録商標)3000キャピラリー電気泳動機器を使用して、各試料中に存在する基質および生成物ペプチドを電気泳動的に分離する。基質および生成物ペプチドが分離されると、蛍光の2つのピークが観察される。基質および生成物ピークの相対蛍光強度における変化は、酵素活性を反映して測定されるパラメーターである。HTSウェルアナライザーソフトウェア(Caliper Life Sciences、Hopkinton、Massachusetts)を使用して、キャピラリー電気泳動図(RDA取得ファイル)を分析する。各試料におけるキナーゼ活性を、生成物の和に対する比(PSR):P/(S+P)[式中、Pは、生成物ペプチドのピーク高さであり、Sは、基質ペプチドのピーク高さである]として決定する。各化合物について、酵素活性を、種々の濃度で測定する(3倍希釈間隔で離して12の濃度の化合物)。陰性対照試料(0%-阻害剤の非存在下での阻害)および陽性対照試料(100%-20mMのEDTAの存在下での阻害)を四連で組み立て、各濃度における各化合物についての阻害%値を計算するために使用する。阻害パーセント(Pinh)は、下記の方程式を使用して決定される:
[00214]Pinh=(PSR0%-PSRinh)/(PSR0%-PSR100%)×100
[00215][式中、PSRinhは、阻害剤の存在下での生成物と和との比であり、PSR0%は、阻害剤の非存在下での平均した生成物と和との比であり、PSR100%は、100%阻害対照試料における平均した生成物と和との比である]。阻害剤のIC50値は、XLfit4ソフトウェア(IBDS)を使用する4パラメーターシグモイド用量応答モデルによって阻害曲線(Pinh対阻害剤濃度)を当てはめることにより、決定される。
【0224】
[00216]このアッセイは、表2において同定される例示的な化合物のそれぞれの活性を試験するために使用され得る。これらの化合物のそれぞれが、タンパク質キナーゼROCK1および/またはROCK2の阻害を実証するであろうことが期待される。
【0225】
実施例5
細胞生存アッセイ
[00217]様々な濃度の上記で挙げた化合物の存在下、異なる時点における細胞生存を使用して、細胞毒性および細胞増殖に対する化合物の効果を評価した。K562またはMV411細胞株における本発明の化合物についてのIC50(または活性パーセント)データが、表2にまとめられる。
【0226】
[00218]細胞生存アッセイ-細胞生存は、Promega(Madison、WI)製のCELLTITER-GlO(登録商標)細胞生存アッセイによって測定した。CELLTITER-GlO(登録商標)発光細胞生存アッセイは、代謝的に活性な細胞の存在をシグナル送信する、存在するATPの定量化に基づく培養物中の生存細胞の数を決定するための均質な方法である。処置の後、CELLTITER-GlO(登録商標)を処置ウェルに添加し、37℃でインキュベートする。Molecular Devicesのスペクトラマックスマイクロプレートリーダーを使用して、発光値を測定した。
【0227】
[00219]実験的設計
[00220]単剤研究-細胞を70%の集密度まで成長させ、トリプシン処理し、カウントし、96ウェル平底プレートに2.5×103~5×103細胞/ウェルの最終濃度で播種した(0日目)。細胞を、成長培地中、24時間にわたってインキュベートさせた。試験薬剤または標準薬剤による処置は、1日目に始め、72時間にわたって続けた。72時間の時点で、処置剤含有培地を除去した。生存細胞数を、上述した通り、CELLTITER-GLO(登録商標)細胞生存アッセイによって定量化した。これらの研究からの結果を、各化合物についてのIC50値(細胞成長を対照の50パーセントだけ阻害する薬物の濃度)を計算するために使用した。
【0228】
[00221]データ収集-単剤および組合せ研究のために、各実験からのデータを収集し、下記の計算を使用して細胞成長%として表現した:
[00222]細胞成長%=(ftest/fvehicle)×100
[00223][式中、ftestは、試験試料の発光であり、fvehicleは、薬物が溶解されているビヒクルの発光である]。用量応答グラフおよびIC50値は、プリズム6ソフトウェア(GraphPad)を使用し、下記の方程式を使用して生成した:
[00224]Y=(上部-下部)/(1+10((logIC50-X)-HillSlope))
[00225][式中、Xは、濃度の対数であり、Yは、応答である]。Yは、下部から開始し、シグモイド形状で上部に行く。
【0229】
実施例6
ROCK1およびROCK2キナーゼ阻害および細胞生存アッセイ結果
[00226]概して、キナーゼは、細胞成長、シグナリング、代謝等を含む多くの重要な細胞活性を調節する。異なるキナーゼは、別々の機能および経路を有する。ROCK1およびROCK2の選択的阻害は、毒性等の望ましくない副作用を引き起こす場合があるオフターゲット活性を回避する。
【0230】
[00227]実施例5および6で概説されているプロトコールに準拠して、表1からの化合物により、ROCK1およびROCK2キナーゼ阻害ならびにがん細胞生存を試験した。表2に示される通り、化合物は、ROCK1およびROCK2キナーゼならびにがん細胞の成長の阻害を実証した。
【0231】
[00228]実験は、Flt3遺伝子中に突然変異を担持するがん細胞の成長を阻害するための化合物の選択性も評価した。MV411細胞株は、遺伝子の遺伝子内縦列重複(ITD)を持つFlt3の突然変異対立遺伝子を発現する。Quentmeierら、「FLT3 Mutations in Acute Myeloid Leukemia Cell Lines」、Leukemia 17(1)、2003、120~124を参照されたい。K562は、FLT3タンパク質を発現しない慢性骨髄性白血病細胞株である。Grafoneら、「Monitoring of FLT3 Phosphorylation Status and Its Response to Drugs By Flow Cytometry in AML Blast Cells」、Hematol Oncol.26(3)、2008、159~166を参照されたい。FLT3-ITD+選択性を実証する化合物は、表2におけるより大きいK562/MV411比によって同定される。
【0232】
[00229]FLT3/ITD遺伝子突然変異は、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性期における慢性骨髄性白血病(CML)(CML-CP)、急性転化におけるCML症例(CML-BC)、慢性リンパ性白血病(CLL)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、多発性骨髄腫(MM)症例および骨髄浸潤を伴う非ホジキンリンパ腫(NHL)において、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって検出されてきた。ITD-FLT3+急性骨髄性白血病(AML)を持つ患者は、極めて不良な予後を経験する。
【0233】
[00230]驚くべきことに、化合物の多くは、K562細胞よりもMV11細胞でより大きい有効性を実証し、これらの化合物が、ITD-FLT3+AMLを含むFLT3-ITD+がんを有効に処置するために使用され得ることを示唆した。
【0234】
[00231]
【0235】
【0236】
【0237】
【0238】
[00232]*MV411はITD-FLT3+であり、K562はITD-FLT3を発現しない。Rho関連キナーゼは、Onishら、「Internal Tandem Duplication Mutations in FLT3 Gene Augment Chemotaxis to Cxcl12 Protein by Blocking the Down-regulation of the Rho-associated Kinase via the Cxcl12/Cxcr4 Signaling Axis」、J.Biol.Chem.289(45)、2014、31053~31065において報告される通り、ITD-FLT3+AMLの処置のために操作されてよい。
【0239】
[00233]**化合物Aは、陽性対照であった(以下に示され、Schirokら、「Design and Synthesis of Potent and Selective Azaindole-Based Rho Kinase(ROCK)Inhibitors」、ChemMedChem 3、2008、1893~1904によって記述されている)。
【0240】
[00234]
【0241】
【0242】
[00235]***化合物Bは、もう1つの陽性対照である(以下に示され、Cookら、「RHO KINASE INHIBITORS」、米国特許第8,697,911号において記述されている)。
【0243】
[00236]
【0244】
【0245】
実施例7
薬物動態活性
[00237]化合物を個々にかつ正確に検量して、ジメチル-スルホキシド(DMSO)中ストック溶液を2mg/mLの濃度で産生し、-20℃で貯蔵した。ストック溶液から、それをメタノール-水 50:50(v/v)中、20μg/mLに希釈することによって、較正曲線調製のために作業ストックを調製し、4℃で貯蔵した。定量化および品質管理試料(QCs)に使用される標準物質は、試料処理の同日に、未処置マウスから取得したブランク血漿を使用して調製した。各分析物について、標準物質を、0.1、0.5、1.0、10、50、100、500および1000ng/mLの濃度での作業ストックの連続希釈を経由して調製し;QCsを、0.75、7.5、75および750ng/mLの中間濃度で調製した。血漿試料を、分析の準備が整うまで-80℃で貯蔵し、次いで、解凍のために氷上に載置した。20μLの試料のアリコート、標準物質、またはQCsを、事前定義されたレイアウトに従って96ウェル抽出プレートに移した。内部標準(25ng/mLのベラパミル)を含有する適切な体積のメタノール-ギ酸 99.9-0.1を各ウェルに添加し、試料を真空下で抽出した。次いで、溶離液を、分離およびMRM検出用の好適なカラムを使用して、分析のためにLCMSプレートに移した。較正曲線に基づいて分析物の濃度を計算し、非コンパートメント分析(NCA)を使用することによって薬物動態パラメーターについて分析した。Cmax、Tmax、半減期、AUC(0-last)、AUC(0-∞)、分布容積(Vss)およびクリアランス(Cl/F)等のパラメーターが報告された。
【0246】
【0247】
[00238]別段の定義がない限り、本明細書におけるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。引用されるすべての刊行物、特許および特許公報は、あらゆる目的のための参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0248】
[00239]開示される発明は、記述される特定の方法論、プロトコールおよび材料に限定されず、何故ならこれらは変動することができるためであることが理解される。本明細書において使用される術語は、特定の実施形態を記述することのみを目的とし、添付の請求項によってのみ限定されることになる本発明の範囲を限定することは意図されていないことも理解される。
【0249】
[00240]当業者は、日常実験以上のものを使用することなく、本明細書において記述される発明の具体的な実施形態の多くの均等物を認識する、または解明することができるであろう。そのような均等物は、下記の請求項によって包括されることが意図される。