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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】眼疾患を治療するための装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20240520BHJP
【FI】
A61F9/007 160
【請求項の数】 36
(21)【出願番号】P 2020561580
(86)(22)【出願日】2019-01-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 US2019014663
(87)【国際公開番号】W WO2019147609
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2022-01-21
(31)【優先権主張番号】62/620,922
(32)【優先日】2018-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/794,139
(32)【優先日】2019-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520273474
【氏名又は名称】アヴィジ テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】カオ、ブランドン ウェイ-シアン
(72)【発明者】
【氏名】バッツ、アダーシュ ナラヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジアン、ルイ ジン
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-506139(JP,A)
【文献】国際公開第2016/140334(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/044173(WO,A1)
【文献】特表2017-519592(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0177138(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0249691(US,A1)
【文献】特表2002-521145(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼内圧を低下させるための装置であって、
前記装置は、第1端から第2端に房水が流れることを可能にする連続したプレート構造を備え、
連続した前記プレート構造は、
複数の開放セルを含む、第2主露出面の反対側の第1主露出面と、
前記第2主露出面を構成する複数の開放チャネルを含む流体通路であって、前記複数の開放チャネルは前記第1端から前記第2端まで延びる交差格子パターンで構成される、流体通路と、
を備え、
連続した前記プレート構造は、房水が前記流体通路に沿って流れることを可能にし、それにより眼の眼内圧を低下させ、
連続した前記プレート構造の前記第1端が前記眼の前房に挿入され、連続した前記プレート構造の前記第2端が前記眼のブドウ膜強膜流出路、シュレム管、コレクタチャネル、毛様体上腔、線維柱帯網、結膜下腔、または脈絡膜上腔のうちの少なくとも1つに挿入される、
装置。
【請求項2】
連続した前記プレート構造の厚さが約50nm~約500nmの範囲である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
連続した前記プレート構造が可撓性である、請求項1、2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項4】
連続した前記プレート構造がセラミック材料から形成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記セラミック材料が、アルミナ、窒化ケイ素、シリカ、酸化ハフニウム、窒化チタン、および炭化チタンからなる群から選択される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記プレート構造が前記第1主露出面と前記第2主露出面の間の距離により測定される高さを有し、前記高さは5μm~20μmの範囲である、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
連続した前記プレート構造が長手軸に沿って延び、連続した前記プレート構造は、
遠位端の反対側に近位端を有する本体部であって、当該本体部の近位端と遠位端の間の距離から測定される第1長さを有する、本体部と、
遠位端の反対側に近位端を有する延長部であって、当該延長部の近位端と遠位端の間の距離から測定される第2長さを有する、延長部と、
をさらに備え、
前記長手軸は、前記本体部と前記延長部の両方の近位端および遠位端と交差し、前記延長部の近位端は前記本体部の遠位端から延びる、
請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記第1長さ対前記第2長さの比率が約1:1~約5:1の範囲である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1長さが前記第2長さより大きい、請求項7、8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記本体部が、前記長手軸に垂直な方向において測定される第1幅を有し、前記延長部が前記長手軸に垂直な方向に測定される第2幅を有する、請求項7~9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記第1幅が前記第2幅より大きい、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第1幅対前記第2幅の比率が約1.1:1~約4:1の範囲である、請求項10、11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記本体部が第2主面の反対側に第1主面を含み、
前記延長部が第2主面の反対側に第1主面を含み、
前記本体部の前記第1主面および前記延長部の前記第1主面が実質的に同一平面上にあり、
連続した前記プレート構造が、遠位端の反対側に近位端を有する棘部をさらに備え、前記長手軸が前記棘部の近位端および遠位端と交差し、前記棘部の近位端は前記延長部の遠位端から延びる、
請求項7~12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
連続した前記プレート構造が、遠位端の反対側に近位端を有する棘部をさらに備え、前記長手軸が前記棘部の近位端および遠位端と交差し、前記棘部の近位端は前記延長部の遠位端から延びる、請求項7~12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記棘部が第3長さおよび第3幅を有し、前記第3長さは前記棘部の近位端と遠位端の間の距離から測定され、前記第3幅は長手軸と垂直な方向において測定される最大の距離である、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記第2長さ対前記第3長さの比率が、約1:1~約2:1の範囲である、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記第3幅対前記第2幅の比率が、約1.1:1~約2:1の範囲である、請求項15、16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記棘部が第2主面の反対側に第1主面を含み、前記棘部の前記第1主面が前記本体部の前記第1主面および前記延長部の前記第1主面と実質的に同一平面上にある、請求項13に記載の装置。
【請求項19】
前記プレート構造の前記第1主露出面が、前記本体部の前記第1主面および前記延長部の前記第1主面を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項20】
連続した前記プレート構造の前記第1主露出面に、複数の開放端セルが形成されている、請求項1~19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
前記複数の開放端セルの各々が互いに分離している、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
眼内圧を低下させるための装置であって、
前記装置は、第1端から第2端に房水が流れることを可能にする連続したプレート構造を備え、
連続した前記プレート構造は、
複数の開放セルを含む、最下面の反対側の最上面と、
前記最下面を構成する複数の開放チャネルを含む流体通路であって、前記複数の開放チャネルは前記第1端から前記第2端まで延びる交差格子パターンで構成される、流体通路と、
を備え、
連続した前記プレート構造は、房水が前記流体通路に沿って流れることを可能にし、それにより眼の眼内圧を低下させ、
連続した前記プレート構造の前記第1端が前記眼の前房に挿入され、連続した前記プレート構造の前記第2端が前記眼のブドウ膜強膜流出路、シュレム管、コレクタチャネル、毛様体上腔、線維柱帯網、結膜下腔、または脈絡膜上腔のうちの少なくとも1つに挿入される、
装置。
【請求項23】
連続した前記プレート構造が可撓性である、請求項2に記載の装置。
【請求項24】
連続した前記プレート構造が、アルミナ、窒化ケイ素、シリカ、酸化ハフニウム、窒化チタン、および炭化チタンからなる群から選択されるセラミック材料から形成される、請求項2、2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
眼内圧を低下させるための装置であって、
前記装置は、第1端から第2端に房水が流れることを可能にする連続したプレート構造を備え、
連続した前記プレート構造は、
複数の開放セルを含む、第2主面の反対側の第1主面と、
前記第2主面を構成する複数の開放チャネルを含む流体通路であって、前記複数の開放チャネルは前記第1端から前記第2端まで延びる交差格子パターンで構成される、流体通路と、
前記プレート構造の前記第1主面に固定された貫通要素と、
を備え、
連続した前記プレート構造は、房水が前記流体通路に沿って流れることを可能にし、それにより眼の眼内圧を低下させ、
連続した前記プレート構造の前記第1端が前記眼の前房に挿入され、連続した前記プレート構造の前記第2端が前記眼のブドウ膜強膜流出路、シュレム管、コレクタチャネル、毛様体上腔、線維柱帯網、結膜下腔、または脈絡膜上腔のうちの少なくとも1つに挿入される、
装置。
【請求項26】
連続した前記プレート構造が可撓性である、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
連続した前記プレート構造がセラミック材料から形成される、請求項2526のいずれか1項に記載の装置。
【請求項28】
前記セラミック材料が、アルミナ、シリカ、酸化ハフニウム、窒化チタン、および炭化チタンからなる群から選択される、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記セラミック材料がアルミナである、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記貫通要素が、第1端と第2端の間に延びる細長体を含み、内部チャネルが前記第1端から前記第2端に延びて、前記細長体を通る開放通路を形成する、請求項2529のいずれか1項に記載の装置。
【請求項31】
前記細長体が内表面の反対側に外表面を含み、前記内表面が前記内部チャネルを画定する壁を形成する、請求項3に記載の装置。
【請求項32】
前記貫通要素が高分子材料から形成される、請求項25~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項33】
前記高分子材料が、シリコーンゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリスチレン、ポリエチルシアノアクリレート、ポリ(塩化ビニル)、ポリエーテルエーテルケトン、およびポリエーテルスルホンからなる群から選択される、請求項3に記載の装置。
【請求項34】
前記第1主面の周縁を画定する側面が第1主面と第2主面の間に延び、前記細長体の前記第1端が前記第1主面と重なり、前記細長体の前記第2端が前記第1主面の前記周縁を越えて延びる、請求項3~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項35】
前記プレート構造の前記第1主面が中央領域および周縁領域を含み、前記中央領域は前記周縁領域によって囲まれており、前記周縁領域は前記第1主面の前記周縁に隣接し、前記細長体の前記第1端が前記第1主面の前記中央領域と重なる、請求項334のいずれか1項に記載の装置。
【請求項36】
前記周縁領域が前記第1主面の領域の約1%~約75%と等しい、請求項35に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2018年1月23日に出願された米国仮出願第62/620,922号および2019年1月18日に提出された米国仮出願第62,794,139号のPCT国際出願である。上記出願の開示は参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
数百万の人が眼疾患、特に緑内障を患っている。ほとんどの緑内障患者は、線維柱帯網を通して過剰な房水を眼房から排出することができないために、異常に高い眼内圧(IOP)に関連している。適切な治療により眼内圧を下げなければ、病気の進行に伴い、高いIOPは視神経に継続的にダメージを与え続け、視力の低下又は失明につながる。現在の薬物治療、手術、およびインプラントは、何年もの間眼内圧を下げたり、眼内圧を正常に保ったりするのに不十分であることが証明されている。したがって、IOPを緩和し、それにより緑内障を治療する新規な方法が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書で説明されるのは、眼内圧を低下させるための装置であって、該装置は、第2主露出面の反対側に第1主露出面を有するプレート構造を備え、プレート構造は、約1nm~約1,000nmの範囲のプレート厚を有する多方向プレートから形成される。
【0004】
別の実施形態では、本発明は、眼内圧を低下させるための方法を含み、該方法は、a)治療装置を眼に固定することを含み、治療装置は下面の反対側に上面を有するプレート構造を備え、プレート構造は約1nm~約1,000nmの範囲の厚さを有する多方向プレートから形成される。
【0005】
本発明の別の実施形態は、眼内圧を低下させるための装置を含み、該装置は下面の反対側に上面を有するプレート構造を備え、下面は複数の開放チャネルを有し、プレート構造は、プレート構造の上面と下面の間の距離により測定される約5μm~約20μmの高さを有する。
【0006】
本発明の別の実施形態は、眼内圧を低下させるための装置を含み、該装置は、下面の反対側に上面を有する第1プレート構造と、下面の反対側に上面を有する第2プレート構造とを備え、第1プレート構造は約1nm~約1,000nmの範囲のプレート厚を有する第1多方向プレートから形成され、第2プレート構造は下面の反対側に上面を有し、第2プレート構造は約1nm~約1,000nmの範囲のプレート厚を有する第2多方向プレートから形成される。
【0007】
本発明の別の実施形態は、眼内圧を低下させる装置を含み、該装置は第2主面の反対側に第1主面を有するプレート構造と、プレート構造の第1主面に固定された貫通要素とを備え、プレート構造は、約1nm~約1,000nmの範囲の厚さを有する多方向プレートを備える。。
【0008】
本発明の別の実施形態は、眼の前部に治療装置を移植することを含む眼内圧を低下させる方法を含み、治療装置は多方向プレートから形成されるプレート構造を備え、移植後、プレート構造の第1端は、眼の強膜と角膜の間に位置する。
【0009】
本発明の別の実施形態は、眼内圧を低下させる方法を含み、該方法は、a)治療装置を眼に固定することを含み、治療装置は、最下面の反対側に最上面と、最下面に形成される複数の開放チャネルとを備えるプレート構造を備え、プレート構造は、プレート構造の最上面と最下面の間の距離により測定される約5μm~約20μmの範囲の高さを有する。
【0010】
本発明のさらなる適用可能な範囲は、以下に提供される詳細な説明から明らかになる。詳細な説明および実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すものである一方、説明することのみを目的としたものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明は、詳細な説明および添付の図面から、より完全に理解される
【0012】
図1】本発明に係る治療装置の斜視図である。
図2図1の治療装置の上面図である。
図3図1で特定される部分Aに係る治療装置の拡大図である。
図4図3の線IV-IVに沿って示す治療装置の断面図である。
図5】本発明の治療装置が移植された眼の前面斜視図である。
図6】本発明の治療装置が移植された眼の一部の拡大図である。
図7】治療装置が移植された図5の眼の断面図である。
図8】本発明に係る治療装置が移植された図7の眼の拡大断面図である。
図9】本発明の別の実施形態に係る治療装置の斜視図である。
図10図9の治療装置の上面図である。
図11図9の治療装置が移植された眼の前面斜視図である。
図12図9の治療装置が移植された眼の一部の拡大図である。
図13図9の治療装置が移植された眼の一部の別の拡大図である。
図14図9の治療装置が移植された図11の眼の拡大断面図である。
図15】本発明の別の実施形態に係る治療装置の斜視図である。
図16図15で特定される部分Xによる治療装置の拡大図である。
図17図16の腺XVII-XVIIに沿って示す治療装置の断面図である。
図18A】本発明の別の実施形態に係る治療装置の上面図である。
図18B】本発明の別の実施形態に係る治療装置の上面図である。
図18C】本発明の別の実施形態に係る治療装置の上面図である。
図18D】本発明の別の実施形態に係る治療装置の上面図である。
図18E】本発明の別の実施形態に係る治療装置の上面図である。
図18F】本発明の別の実施形態に係る治療装置の上面図である。
図19】本発明の別の実施形態に係る治療装置の斜視図である。
図20図19の治療装置の側面図である。
図21】本発明の別の実施形態に係る治療装置の斜視図である。
図22図21の治療装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
好ましい実施形態の以下の説明は、単に例示的なものであり、本発明、その適用、または使用を制限することを意図するものではない。
【0014】
全体を通して使用されるように、範囲は、範囲内にある各値を記載するための略語として使用される。範囲内の任意の値を、範囲の末端として選択することができる。さらに、本明細書で引用されたすべての参照は、その全体が援用される。本開示の定義と引用された参照の定義との間に矛盾がある場合、本開示に従う。
【0015】
本発明の原理に従った例示的な実施形態の説明は、記載全体の一部であるとみなされるべき添付の図面と関連して読まれることを意図している。本明細書で開示される本発明の実施形態の説明において、方向または向きへの言及は、説明の便宜性のみを意図しており、本発明の範囲を限定することは意図されない。「下方の」「上方の」「横の」「縦の」「上に」「下に」「上へ」「下へ」「上」「下」のような相対的な用語やそれらの派生語(たとえば、「水平に」「下向きに」「上向きに」等)は、その時点で説明されている方向、または言及された図面に示されているような方向を意味すると解釈されるべきである。
【0016】
「取り付けられた」、「添付された」、「連結された」、「結合された」、「相互接続された」及びその類似語は、可動式もしくは固定式の取り付け両方、または関係も含め、特に明記されていない限り、直接的もしくは介在する構造物を介して間接的に相互に固定され、または取り付けられた構造を意味する。さらに、本発明の特徴および利点は、例示された実施形態を参照することにより示される。したがって、本発明は、単独で、または別の特徴との組み合わせで存在し得る特徴の限定されない組み合わせを示す例示的な実施形態に明確に限定されるべきではなく、発明の範囲は添付の特許請求の範囲により定義される。
【0017】
特に明記されていない限り、本明細書および他の場所で表現される全ての百分率および量は、重量百分率を意味すると理解されるべきである。記載されている量は、物質の重量に基づいている。本出願によれば、「約」という用語は参照値の±5%を意味する。本出願によれば、「実質的に含まない」という用語は、総参照量に基づいて約0.1重量%以下であることを意味する。
【0018】
本明細書における「対象」はヒトまたはヒト以外の動物であり、たとえば、マウス、ラット、ハムスターおよびモルモット等のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ、ウマ、ならびに類人猿およびサル等のヒト以外の霊長類等であるが、これらに限定されない。
【0019】
図1~4を参照すると、本発明は眼内圧を低下させるための治療装置1(「装置」ともいう)を含む。さらに、本発明の装置1は眼疾患、特に緑内障の治療における改善を提供し得る。
【0020】
装置1は、第2主露出面202の反対側に第1主露出面201と、それらの間に伸びる側面203とを有するプレート構造200を備えていてもよい。プレート構造200は、最下面207の反対側に最上面206を含んでいてもよい。第1主露出面201は、プレート構造200の最上面206を含んでいてもよい。第2主露出面202は、プレート構造200の最下面207を含んでもよい。
【0021】
プレート構造200の第1主露出面201および第2主露出面202の全体形状は、側面203により規定され得る。側面203は、第1および第2主露出面201、202の周縁を画定し得る。プレート構造の全体形状は、さまざまな形状から選択できる。そのような形状の非減的な例には、多角形、円形、キノコ形状、長円形、長方形(oblong shape)、楕円形、アメーバ形状、または側方に羽を有する蝶形状が含まれる。
【0022】
プレート構造200は、プレート構造200の最上面206と最下面207との間で測定される全体の距離であるプレート構造の高さHを有し得る。プレート構造の高さHは、約5μm~約20μmであってもよく、その間の全ての距離および部分的な範囲が含まれる。
【0023】
プレート構造200は、少なくとも部分的に、多方向プレート210(「プレート」210ともいう)から形成されていてもよい。プレート210は3次元体である。プレート210は、第2主面212の反対側に第1主面211、ならびに第1および第2主面211、212の間に延びる側面213を有していてもよい。肉眼で見ると、プレート210の第1主面211は実質的に連続であり、滑らかに見え得る。肉眼で見ると、プレート210の第2主面は実質的に連続であり、滑らかに見え得る。プレート210は半透明であってもよい。プレート210は光透過性であってもよい。
【0024】
プレート210は、第1および第2主面211、212と直交する方向に、プレート210の第1主面211および第2主面212の間の最も隣接する部分において延びる距離により測定される厚さTを有してもよい。厚さTは、約1nm~約1,000nmの範囲であってもよく、その間の全ての厚さおよび部分的な範囲を含む。いくつかの実施形態では、厚さTは約50nm~約500nmの範囲であってもよく、その間の全ての厚さおよび部分的な範囲を含む。いくつかの実施形態では、厚さTは約100nm~約400nmの範囲であってもよく、その間の全ての厚さおよび部分的な範囲を含む。いくつかの実施形態では、厚さTは約100nm~250nmの範囲であってもよく、その間の全ての厚さおよび部分的な範囲を含む。いくつかの実施形態では、厚さTは約250nm~500nmの範囲であってもよく、その間の全ての厚さおよび部分的な範囲を含む。いくつかの実施形態では、厚さTは約300nm~550nmの範囲であってもよく、その間の全ての厚さおよび部分的な範囲を含む。
【0025】
多方向プレート210は、3次元空間においてパターニングされた単一の層であってもよく、それにより、多方向プレート210の多方向形状を形成する。多方向プレート210の形状が、20μmほどの高さHを有するプレート構造200の全体形状となり得る一方、多方向プレートの厚さ、すなわち、多方向プレート210にパターニングされる単一の層の厚さは、前述の1nm~1,000nmの厚さTの範囲内にとどまる。
【0026】
いくつかの実施形態では、プレート210の第1主面211は、少なくとも部分的にプレート構造200の第1主露出面201を構成し得る。言い換えると、プレート構造200の第1主露出面201は、少なくとも部分的にプレート210の第1主面211を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、プレート210の第2主面212は、少なくとも部分的にプレート構造200の第2主露出面202を構成し得る。言い換えると、プレート構造200の第2主露出面202は、少なくとも部分的にプレート210の第2主面212を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、プレート210の側面213は、少なくとも部分的にプレート構造200の側面203を構成し得る。言い換えると、プレート構造200の側面203は、少なくとも部分的にプレート210の側面213を含んでいてもよい。
【0027】
ここで図4を参照すると、プレート構造の第1主露出面201は、第1トポグラフィ204を有していてもよい。第1トポグラフィ204は、多方向プレート210の多方向のパターニングされた形状の結果として、プレート210の第1主面211により形成されてもよい。第1トポグラフィ204は、プレート構造200の最上面206に形成される表面特徴を含んでいてもよく、それにより、本明細書でより詳細に説明するように、表面特徴は、プレート構造200の最上面206からプレート構造200の最下面207に向かう方向に延び、床224で終端する。
【0028】
プレート構造200は、さらに第2トポグラフィ205を有していてもよい。第2トポグラフィ205は、多方向プレート210の多方向のパターニングされた形状の結果として、プレート210の第2主面212により形成されてもよい。第2トポグラフィ205は、プレート構造200の最下面207に形成される表面特徴を含んでいてもよく、それにより、本明細書でより詳細に説明するように、表面特徴は、プレート構造200の最下面207からプレート構造200の最上面206に向かう方向に延び、天井234で終端する。
【0029】
第1トポグラフィ204および/または第2トポグラフィ205の表面特徴は、1以上のセル222を含んでいてもよい。本明細書でより詳細に説明するように、セル222は開放セルであってもよい。別の実施形態では、第1トポグラフィ204および/または第2トポグラフィ205の表面特徴は、1以上のチャネル232を含んでいてもよい。本明細書でより詳細に説明するように、チャネル232は開放チャネルであってもよい。
【0030】
限定されないが、前述の説明は、1以上のセル222を含む第1トポグラフィ204および1以上のチャネルを含む第2トポグラフィ205を参照する。図示されないが、本発明の別の実施形態は、第1トポグラフィ204は1以上のチャネル232を含んでいてもよく、第2トポグラフィ205は1以上のセル222を含んでいてもよい。
【0031】
各セル222はセル床224および少なくとも1つのセル壁226を備えていてもよい。セル壁226はセル床224を取り囲んでいてもよい。セル壁226はプレート構造200の最上面206からセル床224まで、プレート構造200の最下面207のほうに下方に延びていてもよく、それにより、セル壁226はセル床224で終端してもよい。セル壁226はセル床224からプレート構造200の最上端206のほうに上方に延びていてもよく、それにより、セル壁226はプレート構造200の最上端206で終端してもよい。
【0032】
各セル222はセル軸C-Cを有していてもよい。セル軸C-Cは床面224に対し実質的に垂直に配向される。セル壁面226はセル軸の近くに配向されてもよい。
【0033】
セル壁226は各セル222の周長を形成してもよい。図示されないが、セル壁226は単一の連続した壁面であってもよく、それにより、セル222は筒形状を形成する。非限定の筒形状の例には、円筒や楕円筒が含まれる。図3に示すように、別の実施形態では、各セル222は、互いに交差して多角形の周縁を形成する複数のセル壁226から形成されていてもよい。そのような実施形態では、限定されないが、多角形の周囲を形成するセル壁226の数は3~20辺の範囲であってもよく、その間の全ての辺および部分的な範囲を含む。図3に例示する実施形態では、各セル222は、六角形の周囲を形成する6つの交差するセル壁226から形成される。
【0034】
まとめると、最上面206、セル壁226、およびセル床224は、プレート構造200の第1主露出面201の少なくとも一部を形成し得る。プレート210の第1主面211はプレート構造200の第1主露出面201を構成し得る。言い換えると、プレート210の第1主面211は、最上面206および、第1トポグラフィ204により形成されるセル壁226およびセル床224を含んでいてもよい。
【0035】
各セル222はセル床224の反対側に位置する開放端228をさらに有していてもよい。セル軸C-Cは、開放端228と交差していてもよい。開放端228は、セル壁面226とセル床面224の間に位置するセル222の開放容積へのアクセスを提供する流体通路であってもよい。言い換えると、各セル222は、セル床224の反対側に天井が存在しない開放(「開放端」ともいう)であってもよく、そうでなければ、セル222を閉じ、セル222の開放容積を封入するであろう。
【0036】
各セル222の開放容積が他のセル222の開放容積と流体連通しないように、各セル222は、それぞれのセル壁226によって互いに分離されていてもよい。
【0037】
第1トポグラフィ204は多方向プレート210の多方向性により形成され得る。結果として、プレート構造200の大きさ、特に第1トポグラフィ204の大きさは、プレート210の厚さTに関連して決定され得る。
【0038】
各セル222について、セル床224は、プレート構造200の最上面206から第1距離D(本明細書で「セル深」ともいう)だけオフセットされていてもよい。限定されないが、最上面206と床面224の間のオフセットは、「縦のオフセット」「垂直オフセット」と言われ得る。第1距離Dはゼロではない値である。第1距離Dは、プレート構造200の第1高さHとプレート210の厚さTの差と等しくてもよく、これにより、第1距離Dは以下の式:
=H-T
に従って計算される。
【0039】
各セル222について、セル床224は、最下面207から第2距離Dだけオフセットされていてもよい。限定されないが、最下面207と床面224の間のオフセットは、「縦のオフセット」「垂直オフセット」と言われ得る。第2距離Dはゼロでなない値である。第2距離Dは、プレート210の厚さTと実質的に等しくてもよい。第1距離Dと第2距離Dの和は第1高さHと実質的に等しくてもよい。
【0040】
図3および4を参照すると、各セル222は、各セル222の対向するセル壁226の間に延びる距離により測定されるセル長Lおよびセル幅Wを有し得る。いくつかの実施形態では、セル長Lおよびセル幅Wは等しくてもよい。別の実施形態では、セル長Lおよびセル幅Wは異なってもよい。セル長Lは約10μm~110μmの範囲であってもよく、その間の全ての長さおよび部分的な範囲が含まれる。いくつかの実施形態では、セル長Lは約30μm~70μm、好ましくは約40μm~60μmの範囲であってもよく、その間の全ての長さおよび部分的な範囲が含まれる。セル幅Wは約10μm~110μmの範囲であってもよく、その間の全ての長さおよび部分的な範囲が含まれる。いくつかの実施形態では、セル幅Wは約30μm~70μm、好ましくは約40μm~60μmの範囲であってもよく、その間の全ての長さおよび部分的な範囲が含まれる。
【0041】
各チャネル232は、チャネル天井234および少なくとも1つのチャネル壁236により形成され得る。チャネル壁236は、チャネル天井234からプレート構造200の最下面207のほうに下方に延びていてもよく、それにより、チャネル壁236はプレート構造200の最下面207で終端する。チャネル壁236は最下面207からチャネル天井234のほうに上方に延びていてもよく、それにより、チャネル壁236はチャネル天井234で終端してもよい。
【0042】
まとめると、最下面207、チャネル壁236、およびチャネル天井234は、プレート構造200の第2主露出面202の少なくとも一部を形成し得る。プレート210の第2主面212は、プレート構造200の第2主露出面202を構成し得る。言い換えると、プレート210の第2露出面212は最下面207および、第2トポグラフィ205により形成されるチャネル壁236およびチャネル床234を含んでいてもよい。
【0043】
各チャネル232は、チャネル天井234の反対側に位置する開放端238をさらに有していてもよい。開放端238は、チャネル壁面236とチャネル天井234の間に位置するチャネル232の開放容積へのアクセスを提供する流体通路であってもよい。言い換えると、各チャネル232は、チャネル天井234の反対側に床が存在しない開放(「開放端」ともいう)であってもよく、それによりチャネル232を閉じるか、またはチャネル壁236およびチャネル床234によりつくられるチャネル容積を封入してもよい。
【0044】
交差する複数のチャネル234がプレート構造200の第2主面202上にあってもよく、それにより、チャネルのネットワークを形成する。ネットワーク中の各チャネルは互いに流体連通が可能であり、それにより、流体がチャネル232を介してプレート構造200の第2主面202に沿って流れることを可能にする。
【0045】
第2トポグラフィ205は多方向プレート210の多方向性により形成され得る。結果として、プレート構造200の大きさ、特に第2トポグラフィ205の大きさは、プレート210の厚さTに関連して決定され得る。
【0046】
本発明の各チャネル232について、チャネル天井234は、プレート構造200の最下面207から第1距離D(本明細書で「チャネル深」ともいう)だけオフセットされていてもよい。限定されないが、最下面207とチャネル天井234の間のオフセットは、「縦のオフセット」「垂直オフセット」と言われ得る。第3距離Dはゼロではない値である。第3距離Dは、プレート構造200の第1高さHとプレート210の厚さTの差と等しくてもよく、これにより、第3距離Dは以下の式:
=H-T
に従って計算される。
【0047】
各チャネル232について、チャネル天井234は、最上面206から第4距離Dだけオフセットされていてもよい。限定されないが、最上面206とチャネル天井234の間のオフセットは、「縦のオフセット」「垂直オフセット」と言われ得る。第4距離Dはゼロでなない値である。第4距離Dは、プレート210の厚さTと実質的に等しくてもよい。第3距離Dと第4距離Dの和は第1高さHと実質的に等しくてもよい。
【0048】
各チャネル232は、チャネル長およびチャネル幅Wを有し得る。チャネル幅Wは、各チャネル222の対向するチャネル壁236の間に延びる距離により測定される。チャネル長は、交差する他のチャネル232間のチャネル232に沿って延びる距離によって測定される。いくつかの実施形態では、チャネル長はチャネル幅Wより大きい。チャネル長は約10μm~110μmの範囲であってもよく、その間の全ての長さおよび部分的な範囲が含まれる。いくつかの実施形態では、チャネル長は約30μm~70μm、好ましくは約40μm~60μmの範囲であってもよく、その間の全ての長さおよび部分的な範囲が含まれる。チャネル幅Wは約10μm~40μmの範囲であってもよく、その間の全ての長さおよび部分的な範囲が含まれる。好ましくは、チャネル幅Wは約10μm~15μmの範囲であってもよく、その間の全ての長さおよび部分的な範囲が含まれる。
【0049】
チャネル深およびチャネル幅Wが約10μm~15μmであると、房水がプレート構造200に沿って正常な生理的流れを提供することがわかった。そのようなプレートに沿った房水の流量は、約1.75μL/分~2.75μL/分であってもよく、好ましくは約2μL/分~2.5μL/分であり、この間の全ての流量および部分的な範囲を含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、プレート210、および結果として形成されるプレート構造200は、さまざまな材料から形成され得る。プレートを形成する材料は、好ましくは生体適合性の材料である。本明細書で使用される場合、「生体適合性」という用語は、毒性、有害性、または生理的反応性がなく、免疫拒絶反応を起こさないことによる、生体組織または生体システムとの適合性を意味する。プレート210を形成する材料の非限定的な例には、セラミック材料、高分子材料、金属材料、およびそれらの複合材料が含まれる。
【0051】
セラミック材料の非限定的な例には、アルミナ(Al)、窒化ケイ素(Si)、シリカ(SiO)、酸化ハフニウム(HfO)、窒化チタン(TiN)、炭化チタン(TiC)、それらの誘導体、およびそれらの組み合わせが含まれる。好ましい実施形態では、セラミック材料はアルミナである。別の実施形態では、セラミック材料は窒化ケイ素を含む。金属材料の非限定的な例には、プラチナ、金、またはタングステンが含まれる。
【0052】
プレート210、および結果として形成されるプレート構造200は、平面のフィルムに比べて高い曲げ剛性を有し得る。たとえばプレート210は、カンチレバーおよび/または二重クランプされたビームとして使用される場合、平面構造と同じ厚さを有し、はるかに高いばね定数を有してもよい。同様に、プレート210は、平面構造と同じばね定数を有していてもよく、その場合はるかに薄くすることができる。たとえば、本発明のプレート210は同じ曲げ剛性を有する平面構造より少なくとも約20倍薄く、少なくとも約15倍薄く、少なくとも約10倍薄く、または少なくとも5倍薄くてもよい。
【0053】
本発明のプレート210は可撓性があってもよい。本発明によれば、「可撓性」という用語は、破損または恒久的な変形を全く、または実質的に伴わずに、プレート210を変形させることができることを意味し、また、形状回復性を有することを意味する。特に、プレート210の可撓性は、プレート210が破損することなく第1および第2主面211、212が少なくとも90°折り畳まれることを可能にする。いくつかの実施形態では、プレート210の可撓性は、プレート210が破損することなく第1および第2主面211、212が180°まで折り畳まれることを可能にする。同様に、プレート構造200の可撓性は、プレート構造200が破損することなく第1および第2主露出面201、202が少なくとも90°折り畳まれることを可能にする。いくつかの実施形態では、プレート構造200の可撓性は、プレート構造200が破損することなく第1および第2主露出面201、202が180°まで折り畳まれることを可能にする。
【0054】
したがって本発明は、可撓性がある(すなわち、破損することなく180°まで、好ましくは少なくとも90°折り畳むことができる)金属材料および/またはセラミック材料から全体的に形成され得るプレート210、および結果として形成されるプレート200を提供する。
【0055】
いくつかの実施形態では、プレート構造200は超軽量であってもよい。「超軽量」という用語は、およそ10-4オーダーの相対密度を有するプレート構造200、および対応するプレート210を意味する。また、プレート構造200は、1平方メートルあたり100ミリグラムのオーダーの面密度を有していてもよい。たとえば、プレート構造200は、約10mg/mと1000mg/mの間の面密度を有していてもよく、その間の全ての密度および部分的な範囲が含まれる。
【0056】
図1および2を参照すると、装置1は長手方向軸A-Aに沿って延びるプレート構造200を備え得る。プレート構造200は、遠位端209の反対側に近位端208をさらに有していてもよく、それにより、長手方向軸A-Aはプレート構造200の近位端208および遠位端209の両方と交差する。プレート構造200は、プレート構造200の近位端208から遠位端209までの距離にわたるプレート構造長LPSを有し得る。プレート構造長LPSは、約10mm~約24mmの範囲であってもよく、この間の全ての長さおよび部分的な範囲を含む。好ましい実施形態では、プレート構造長LPSは、約17mmであってもよい。
【0057】
プレート構造200は本体部240および延長部250をさらに備えていてもよい。本体部240は、遠位端242の反対側に近位端241を有していてもよい。延長部250は、遠位端252の反対側に近位端251を有していてもよい。延長部250の近位端251は、本体部240の遠位端242から延びていてもよい。本体部240の近位端241は、プレート構造200の近位端208と重なっていてもよい。延長部250の遠位端252は、プレート構造200の遠位端209と重なっていてもよい。
【0058】
本体部240は第2主面244の反対側に第1主面243を有していてもよい。プレート構造200の第1主露出面201は、本体部240の第1主面243を含んでいてもよい。プレート構造200の第2主露出面202は、本体部240の第2主面244を含んでいてもよい。
【0059】
本体部240は、本体部240の近位端241から遠位端242までの距離にわたる本体長LMBを有し得る。本体長LMBは、約8mm~約16mmの範囲であってもよく、この間の全ての長さおよび部分的な範囲を含む。好ましい実施形態では、本体長LMBは、約12mmであってもよい。
【0060】
本体部240は、長手方向軸A-Aに垂直に延びる方向にわたる距離によって測定される本体幅WMBを有していてもよい。本体幅WMBは、約4mm~約8mmの範囲であってもよく、この間の全ての長さおよび部分的な範囲を含む。好ましい実施形態では、本体幅WMBは、約6mmであってもよい。
【0061】
延長部250は、第2主面254の反対側に第1主面253を有していてもよい。プレート構造200の第1主露出面201は、延長部250の第1主面253を含んでいてもよい。プレート構造200の第2主露出面202は、延長部250の第2主面254を含んでいてもよい。
【0062】
延長部250は、延長部250の近位端251から遠位端252までの距離にわたる延長長Lを延長してもよい。延長長Lは、約1mm~約4mmの範囲であってもよく、この間の全ての長さおよび部分的な範囲を含む。好ましい実施形態では、延長長Lは、約2mmであってもよい。
【0063】
延長部250は、長手方向軸A-Aに垂直に延びる方向にわたる距離によって測定される延長幅Wを有していてもよい。延長幅Wは、約1.0mm~約6.0mmの範囲であってもよく、この間の全ての長さおよび部分的な範囲を含む。好ましい実施形態では、延長幅Wは、約2.6mmであってもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、本体長LMBおよび延長長Lは等しくてもよい。いくつかの実施形態では、本体長LMBおよび延長長Lは異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、本体長LMBとの延長長Lの比率は約1:1~5:1の範囲であってもよく、この間の全ての比率および部分的な範囲を含む。いくつかの実施形態では、本体長LMBとの延長長Lの比率は1:1より大きい。いくつかの実施形態では、本体長LMBとの延長長Lの比率は約3:1~約5:1の範囲であってもよく、この間の全ての比率および部分的な範囲を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、本体幅WMBおよび延長幅Wは等しくてもよい。いくつかの実施形態では、本体幅WMBおよび延長幅Wは異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、本体幅WMBは延長幅Wより大きくてもよい。いくつかの実施形態では、本体幅WMBと延長幅Wの比率は、約1:1~約4:1の範囲であってもよく、この間の全ての比率および部分的な範囲を含む。いくつかの実施形態では、本体幅WMBと延長幅Wの比率は、約1.1:1~約4:1の範囲であってもよく、この間の全ての比率および部分的な範囲を含む。いくつかの実施形態では、本体幅WMBと延長幅Wの比率は、約1.5:1~約3:1の範囲であってもよく、この間の全ての比率および部分的な範囲を含む。
【0066】
延長部250の第1主面253は、本体部240の第1主面243と実質的に同一平面上にあってもよい。延長部250の第2主面254は、本体部240の第2主面244と実質的に同一平面上にあってもよい。
【0067】
本体部240は、本体部240の第1および第2主面243、244の間の距離により測定される高さを有してもよく、これはプレート構造200の第1高さHと実質的に等しい。延長部250は、延長部250の第1および第2主面243、244の間の距離により測定される高さを有してもよく、これはプレート構造200の第1高さHと実質的に等しい。
【0068】
図5~8を参照すると、本発明の治療装置1は、眼疾患の治療のために眼900と接触している。そのような眼疾患の非限定的な例には、緑内障が含まれる。眼900は、一般的に、強膜913、角膜910、結膜950、および輪部を含む外組織を含む。眼900の内部には、眼900の水晶体930の後部に位置する後房995、および眼900の水晶体930の前部に位置する前房990を含む2つの眼房がある。後房995は硝子体液を収容しており、前房990は房水を収容している。
【0069】
本明細書に記載されるように、眼900は前部領域901および後部領域902を含み、これにより、前部領域901と後部領域902の間には、境界903が一般的に存在する。眼900の前部領域901は、角膜910、虹彩911、瞳孔912、結膜組織950、毛様体915、および水晶体930を含み、強膜913の一部および眼900の前房990を取り囲んでいる。前部領域901は、輪部領域980、角膜輪部領域982、および前強膜領域950をさらに含み得る。
【0070】
後部領域902は、眼筋組織920(「眼筋」ともいう)、強膜913の一部、視神経942、網膜941を含み、眼900の後房995を取り囲んでいる。眼筋920は、対象の眼窩内に存在する。眼筋920は、眼900の上部に位置する上直筋921、眼900の下部に位置する下直筋922、上直筋921と下直筋922の間に位置する外直筋923を含む。
【0071】
本発明は、治療装置1を用いて対象の眼内圧を低下させることによる、緑内障のような眼疾患を治療するための方法を含む。特に、治療装置1は、前房990および/または後房995に存在する過剰な流体を眼900から出すための流体通路を提供する。好ましい実施形態では、治療装置1は、過剰な流体を前房990から強膜913の外側に出すための流体通路を提供することにより、対象の眼内圧を低下させる。
【0072】
「過剰な流体」という用語は、眼内圧を健康な目の正常な眼内圧より高くする、前房990内の追加容積の房水を意味する。そのような過剰な流体を放出できない眼900にとって、眼内圧の上昇は緑内障患者における失明の要因となる。したがって、眼900の前房990から過剰な流体を排出するための流体通路の提供は、眼内圧を下げる一助となり、それにより緑内障の治療を助けることができる。
【0073】
非限定的な実施形態では、本明細書に記載される方法は、眼内圧に関連するあらゆるタイプの眼の状態の治療に適用可能であってもよい。眼の状態の非限定的な例には、原発性開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、高眼圧症、原発性閉塞隅角緑内障、先天的および若年性緑内障、ならびに剥脱性、ブドウ膜炎、血管新生、色素性、および他の続発性緑内障を含む続発性緑内障等がある。特に、眼の状態には、緑内障およびすべての緑内障のサブタイプが含まれる。
【0074】
本発明の治療装置1は、過剰な流体を眼900から出すためのそのような流体通路を提供する。具体的には、治療装置1は、前房990から強膜913の外部への流体経路を作成して結膜下水泡を形成するように、眼球900に移植されてもよい。「結膜下水泡」という用語は、房水を含む流体ポケットを意味し、この流体ポケットは結膜組織と強膜組織の間に位置する。一旦強膜913の外表面に出ると、過剰な流体は対象における周囲の組織に吸収されて眼900からなくなる。
【0075】
特に、治療装置1は、プレート構造200が強膜913と結膜950組織の間に配置されるように眼900に移植されてもよい。プレート構造200の遠位端209が前房990内に配置されるように、延長部250は、本体部240から強膜913を通って眼900の前房990に延びていてもよい。この構成で、プレート構造200は、過剰な流体が対象の周囲の組織に吸収されるまで過剰な流体のための外部リザーバとして機能する。ある実施形態では、治療装置1を移植する前に、術後合併症を最小限にするためにプレート構造を滅菌してもよい。
【0076】
延長部250は、本体部240から強膜913を通って眼900の前房990に延びていてもよく(図に示すように)、または本体部240から強膜913を通って、眼900の前房990の後房989に延びていてもよい。治療装置1は、延長部250が輪部980、角膜輪部981、または強膜前部982を通って延びるように移植されてもよい。
【0077】
そのような実施形態では、プレート構造200の第1および/または第2トポグラフィ204、205は、過剰な流体を眼900の前房990から出すための流体通路を提供することができ、これにより過剰な眼内圧を緩和する。
【0078】
治療装置1は、治療装置1が眼900に固定されるように移植されてもよい。いくつかの実施形態では、治療装置1は結膜950と強膜913の間に移植されてもよい。非限定的な例では、結膜切開を作成して、治療装置1の挿入のための適切な露出を可能にすることができる。非限定的な実施形態では、治療装置1は、縫合またはプレート構造200を通って強膜913に延びることにより、眼900に固定されてもよい。
【0079】
移植されると、プレート構造200の第1主露出面201は強膜913に面してもよく、プレート構造200の第2主露出面202は結膜950に面してもよい。そのような実施形態では、プレート構造200の第1主露出面201は強膜913と接触してもよく、プレート構造200の第2主露出面202は結膜950と接触してもよい。別の実施形態では、治療装置1は、プレート構造200の第1主露出面201が結膜950に面し、プレート構造200の第2主露出面202が強膜913に面するように移植されてもよい。そのような実施形態では、プレート構造200の第1主露出面201は結膜950と接触してもよく、プレート構造200の第2主露出面202は強膜913と接触してもよい。
【0080】
別の実施形態では、治療デバイス1は、強膜913の外表面から強膜913を通って、眼900の前房990に延びるプレート構造200を備えていてもよく、これにより、プレート構造200自体が過剰な流体を眼900の中から排出する流体通路を提供する。そのような実施形態では、過剰な眼内流体は、治療装置1に沿って移動し、毛細管現象により眼900を出ることができる。
【0081】
本発明によれば、前述の厚さTおよび材料特性を有するプレート構造200は、眼900の前部領域901に、少なくとも部分的に治療装置1を配置することを可能にする。いくつかの実施形態では、治療装置1は眼900の前部領域901内に完全に移植されてもよく、本明細書では「前方配置」という。このような前方配置は、本明細書でさらに説明するように、治療装置1の少なくとも一部が眼900の前部領域901上に存在することを可能にする。さらに、そのような治療装置1の前方配置により、以前の移植装置と比べて、侵襲の少ない移植手順を可能にし得る。さらに、そのような前方配置は、対象とってより快適さを提供し得る。さらに、半透明外観のプレート構造200は、対象の眼900が裸眼で視力を有しているときに治療装置をすぐに視認されることなく、治療装置1を少なくとも部分的に眼の前部領域901内に移植することを提供し得る。
【0082】
図5および6を参照すると、治療装置1は、治療装置1が少なくとも部分的に上直筋921と外直筋923の間に配置されるように、眼900上に移植されてもよい。そのような実施形態では、治療装置1は、上直筋921または外直筋923との重複がないように、上直筋921と外直筋923の間に完全に配置されてもよい。別の実施形態では、治療装置1は、治療装置1が少なくとも部分的に下直筋922と外直筋923の間に配置されるように、眼900上に移植されてもよい。そのような実施形態では、治療装置1は、下直筋923または外直筋923との重複がないように、下直筋922と外直筋923の間に完全に配置されてもよい。
【0083】
図18A~18Fを同時に参照すると、本発明の別の実施形態による複数の治療装置1d~1iが示されている。装置1d、1e、1f、1g、1h、1iは、以下で説明することを除いて、装置1と同様である。上述の装置1の説明は、以下に具体的に記載する相違点に関する場合を除いて、以下で説明する装置1d、1e、1f、1g、1h、1iに一般的に適用される。d、e、f、g、hという接尾辞が使用されることを除き、装置1d、1e、1f、1g、1h、1iについて、装置1の場合と同様の番号のつけ方が用いられる。
【0084】
述べたように、プレート構造200、200d、200e、200f、200g、200h、200iの全体形状は様々な形状から選択することができる。そのような形状の非減的な例には、多角形、円形、キノコ形状、長円形、長方形、楕円形、アメーバ形状、または側方に羽を有する蝶形状が含まれる
【0085】
非限定的な実施形態では、治療装置1d~1iは、多角形の延長部250d、250e、250f、250g、250h、250iを備えていてもよい。これらの実施形態によれば、延長部250d、250e、250f、250g、250h、250iは、実質的に直線部を含む周辺部255d、255e、255f、255g、255h、255iを含んでいてもよく、これにより、延長部250d、250e、250f、250g、250h、250iの多角形形状を形成する。延長部250d、250e、250f、250g、250h、250iの周辺部255d、255e、255f、255g、255h、255iは、プレート構造200d、200e、200f、200g、200h、200iの周辺部203d、203e、203f、203g、203h、203iの一部を形成する。
【0086】
非限定的な実施形態では、延長部250d、250e、250f、250g、250h、250iの周辺部255d、255e、255f、255g、255h、255iは、長方形、正方形、または三角形の一部を形成し得る。図18Dを参照すると、延長部250gは長方形部分、および頂点257gで終端する三角形の先端256gを含んでいてもよく、これにより、頂点257gは治療装置1gの遠位端209gと一致する。図示されないが、延長部250d、250e、250f、250g、250h、250iの周辺部255d、255e、255f、255g、255h、255iは、曲線または非多角形であってもよい。別の実施形態では、遠位端209d、209e、209f、209h、209iは、直線から形成される周辺部255d、255e、255f、255h、255iを含んでいてもよい。
【0087】
非限定的な実施形態では、治療装置1d~1iは、周辺部245d、245e、245f、245g、245h、245iを含む本体部240d、240e、240f、240g、240h、240iを備えていてもよい。本体部240d、240e、240f、240g、240h、240iの周辺部245d、245e、245f、245g、245h、245iは、プレート構造200d、200e、200f、200g、200h、200iの周辺部203d、203e、203f、203g、203h、203iの一部を形成する。
【0088】
本体部240d、240e、240f、240g、240h、240iの周辺部245d、245e、245f、245g、245h、245iは、延長部250d、250e、250f、250g、250h、250iの周辺部255d、255e、255f、255g、255h、255iと交差する。
【0089】
非限定的な実施形態では、本体部240d、240e、240f、240g、240h、240iの周辺部245d、245e、245f、245g、245h、245iは、曲線または非多角形であってもよい。特に図18Cを参照すると、本体部240f、240gの周辺部245f、245gは、直線部分と曲線部分の両方を含んでいてもよく、これにより、直線部分は延長部250f、250gの周辺部255f、255gと交差する。近位端208d、208e、208f、208g、208h、208iは、曲線から形成される周辺部245d、245e、245f、245g、245h、245iを含んでいてもよい。
【0090】
本体部240d、240e、240f、240g、240h、240iの周辺部245d、245e、245f、245g、245h、245iの曲線形状は、完全な円形または楕円形であってもよい。
【0091】
図18Fを参照すると、治療装置1iは、複数のローブの形状を備える本体部240iを有してもよい。具体的には、本体部240iは、外側に広がって本体部240iの周辺部245iの一部を形成する2つ以上のローブ246iを備えていてもよい。各ローブ246iは、円形状の一部、すなわち、円の一部、楕円の一部を含んでいてもよい。各ローブは、対称形状または非対称形状であってもよい。各ローブ246iは、本体部分240i上の中心点249iについて対称的に配向してもよい。
【0092】
非限定的な例では、本体部240iの複数のローブの形状は、3つのローブの形状であってもよい。複数のローブの形状は、眼筋間で、2つのローブは眼筋の前方に存在し、3番目のローブは眼の後方へ延びるように、眼筋を避けつつ治療デバイス1iの表面積を増大させることができる。そのような増大した表面積は、眼内圧を低下させる際の流体の吸収に有利であり得る。複数のローブの形状が3つのローブである実施形態によれば、本体部240iは略三角形であってもよく、角が丸まっていてもよい。
【0093】
図9および10を参照すると、治療装置1001は本発明の別の実施形態に従って示されている。装置1001は、以下で説明することを除いて、装置1と同様である。上述の装置1および1d~1iの説明は、以下に具体的に記載する相違点に関する場合を除いて、以下で説明する装置1001に一般的に適用される。1000番台の数字が用いられることを除き、装置1001について、装置1、1d~1iの場合と同様の番号のつけ方が用いられる。
【0094】
装置1001は、本体部1240、延長部1250を備えていてもよく、棘部1260をさらに備えていてもよい。棘部1260は、遠位端1262の反対側に遠位端1261を有していてもよい。棘部1260の近位端1261は、延長部1240の遠位端1252から延びていてもよい。この実施形態によれば、棘部1260の遠位端1262は、プレート構造1200の遠位端1209と重なってもよい。長手軸A-Aは、棘部1260の近位端1261および遠位端1262の両方と交差する。
【0095】
棘部1260は第2主面1264の反対側に第1主面1263を備えていてもよい。プレート構造1200の第1主露出面1201は、棘部1260の第1主面1263を含んでいてもよい。プレート構造1200の第2主露出面1202は、棘部1260の第2主面1264を含んでいてもよい。
【0096】
棘部1260は、棘部1260の近位端1261から遠位端1262までの距離にわたる棘長Lだけ延び得る。棘長Lは、約1mm~約3mmの範囲であってもよく、この間の全ての長さおよび部分的な範囲を含む。好ましい実施形態では、棘長LMは、約2mmであってもよい。
【0097】
棘部1260は、長手方向軸A-Aに垂直に延びる方向にわたる最大距離によって測定される最大棘幅Wを有していてもよい。最大棘幅Wは、約1.0mm~約54.0mmの範囲であってもよく、この間の全ての長さおよび部分的な範囲を含む。好ましい実施形態では、棘幅Wは、約3.6mmであってもよい。
【0098】
最大棘幅Wは、延長幅Wより大きくてもよい。いくつかの実施形態では、棘幅Wと延長幅Wの比率は約1.01:1~約3:1の範囲であってもよく、この間の全ての比率および部分的な範囲を含む。いくつかの実施形態では、棘幅Wと延長幅Wの比率は約1.1:1~約2:1の範囲であってもよく、この間の全ての比率および部分的な範囲を含む。好ましい実施形態では、棘幅Wと延長幅Wの比率は約1.4:1であってもよい。
【0099】
棘部1260の第1主面1263は、延長部1250の第1主面1253と実質的に同一平面上にあってもよい。棘部1260の第2主面1264は、延長部1250の第2主面1254と実質的に同一平面上にあってもよい。
【0100】
棘部1260は、棘部1260の第1および第2主面1263、1264の間の距離により測定される高さを有してもよく、これはプレート構造1200の第1高さHと実質的に等しい。棘部1260は、頂点1265を含む三角形形状を含んでいてもよい。頂点1265は、プレート構造1200の遠位端1209と重なってもよい。
【0101】
図11、12、および14を参照すると、治療装置1001は、過剰な流体を眼990から出すための流体通路を提供する。具体的には、治療装置1は、前房990から強膜913の外部への流体経路を作成して、泡を形成するように眼球900に移植されてもよい。一旦強膜913の外表面に出ると、過剰な流体は対象における周囲の組織に吸収されて眼900からなくなる。
【0102】
特に、治療装置1001は、プレート構造1200が強膜913と結膜950組織の間に配置されるように眼900に移植されてもよい。プレート構造200の遠位端1209が前房990内に配置されるように、棘部1260は、延長部1250から強膜913を通って眼900の前房990に延びていてもよい。
【0103】
図13を参照すると、強膜913の一部を切ってスリット914を形成してもよく、棘部1260をスリット914を通して挿入して、これにより装置1を強膜913に固定してもよい。スリット913は、棘部1260および本体部1240がスリット914を取り囲む強膜組織913に隣接し、延長部1250が強膜組織913の下でスリットの内側に固定されるように、延長幅Wと実質的に等しい幅を有してもよい。この実施形態による装置1001の移植は、スリット914の幅と等しいまたはそれより小さく棘幅WBを減少させて、棘部1260がスリット914に入るように、棘部1260を一時的に変形させることにより行われてもよい。一旦スリット914を通過すると、棘部1260は棘部1260が未変形状態の棘幅Wを有するように、元の形状に回復することができる。
【0104】
図15~17を参照すると、治療装置2001は、本発明の別の実施形態に従って示されている。装置2001は、以下で説明することを除いて、装置1、1001と同様である。上述の装置1、1d~1i、および1001の説明は、以下に具体的に記載する相違点に関する場合を除いて、以下で説明する装置2001に一般的に適用される。2000番台の数字が用いられることを除き、装置2001について、装置1、1d~1i、1001の場合と同様の番号のつけ方が用いられる。
【0105】
装置2001は、複数のプレート構造2200を備えていてもよい。2つのプレート構造に限定されないが、上述の議論は第1プレート構造2200aおよび第2プレート構造2200bを参照する。上述のプレート構造200、1200の説明は、以下に具体的に記載する相違点に関する場合を除いて、以下で説明する第1プレート構造2200aおよび第2プレート構造2200bに一般的に適用される。2000番台の数字およびaという接尾辞が用いられることを除き、第1プレート構造2200aについて、プレート構造200、1200の場合と同様の番号のつけ方が用いられる。2000番台の数字およびbという接尾辞が用いられることを除き、第2プレート構造2200bについて、プレート構造200、1200の場合と同様の番号のつけ方が用いられる。
【0106】
装置2001は、合わせて積み重ねられた第1プレート構造2200aおよび第2プレート構造2200bを備えていてもよい。図17で説明されるように、第1プレート構造2200aの第2主面2202aは第2プレート構造2200bの第2主面2202bと面していてもよい。第1プレート構造2200aの第2主面2202aは、第2プレート構造2200bの第2主面2202bと直接接触していてもよい。別の実施形態では、この実施形態の装置は、第1プレート構造2200aの第2主面2202aと第2プレート構造2200bの第2主面2202bとの間に1つ以上の中間層を備えていてもよい。追加の中間層の非限定的な例には、接着剤、薬理層、追加の本発明による多方向プレートが含まれる。
【0107】
第1プレート構造2200aの第2主面2202aは、第1プレート構造2200aの第2主面2202a上にある開放チャネル2232aが、第2プレート構造2200bの第2主面2202b上にある開放チャネル2232bと鏡映しになるように、第2プレート構造2200bの第2主面2202bと面していてもよい。「鏡映しになる」という用語は、第1および第2プレート構造2200a、2200bの開放チャネル2232a、2232bの組み合わせが、合わさって閉鎖チャンネルを形成するように、各開放チャネル2232a、2232bの開放端が互いに完全に重なることを意味する。このように、治療装置2001は隔離特性を有する複合構造であってもよい。
【0108】
図示されないが、別の実施形態では、第1プレート構造2200aの第2主面2202aは、第1プレート構造2200aの第2主面2202a上にある開放チャネル2232aが、第2プレート構造2200bの第2主面2202b上にある開放チャネル2232bから水平にオフセットするように、第2プレート構造2200bの第2主面2202bと面していてもよい。「水平にオフセットする」という用語は、各開放チャネル2232a、2232bの開放端が部分的に重なるだけか、または各開放チャネル2232a、2232bの開放端が全く重ならないことを意味する。
【0109】
図示されないが、別の実施形態では、第1プレート構造2200aの第2主面2202aは、第1プレート構造2200aの第2主面2202a上にある開放チャネル2232aが、第2プレート構造2200bの第1主面2201b上にある開放セル2228aと面するように、第2プレート構造2200bの第1主面2201bと面してもよい。別の実施形態では、第1プレート構造2200aの第1主面2201aは、第1プレート構造2200aの第1主面2201a上にある開放セル2228aが、第2プレート構造2200bの第2主面2202b上にある開放チャネル2232bと面するように、第2プレート構造2200bの第2主面2202bと面してもよい。
【0110】
図示されないが、別の実施形態では、第1プレート構造2200aの第1主面2201aは、第1プレート構造2200aの第1主面2201a上にある開放セル2228aが、第2プレート構造2200bの第1主面2201b上にある開放セル2228bと鏡映しになるように、第2プレート構造2200bの第1主面2201bと面していてもよい。「鏡映しになる」という用語は、第1および第2プレート構造2200a、2200bの開放セル2228a、2228bの組み合わせが、合わさって閉鎖セルを形成するように、各開放セル2228a、2228bの開放端が互いに完全に重なることを意味する。このように、治療装置2001は隔離特性を有する複合構造であってもよい。
【0111】
図示されないが、別の実施形態では、第1プレート構造2200aの第1主面2201aは、第1プレート構造2200aの第1主面2201a上にある開放セル2228aが、第2プレート構造2200bの第1主面2201b上にある開放セル2228bから水平にオフセットするように、第2プレート構造2200bの第1主面2201bと面していてもよい。「水平にオフセットする」という用語は、各開放セル2228a、2228bの開放端が部分的に重なるだけか、または各開放チャネル2228a、2228bの開放端が全く重ならないことを意味する。
【0112】
この実施形態による装置2001は、第1および第2プレート構造2200a、2200bをそれぞれ別々に製造した後、第1および第2プレート構造2200a、2200bを手作業で積層することによって形成されてもよい。別の方法として、2以上のプレート構造があらかじめ積層された状態で組み立てられてもよい。この実施形態による装置2001は、積層プレート構造を形成するフォトリソグラフィー法またはエッチング法により形成されてもよい。
【0113】
図19を参照すると、装置3001は、本発明の別の実施形態に従って示されている。装置3001は、以下で説明することを除いて、装置1、1d~1i、1001、2001と同様である。上述の装置1、1d~1i、1001、2001の説明は、以下に具体的に記載する相違点に関する場合を除いて、以下で説明する装置3001に一般的に適用される。3000番台の数字が用いられることを除き、装置3001について、装置1、1d~1i、1001と、2001同様の番号のつけ方が用いられる。
【0114】
治療装置2001は、プレート構造3200および貫通要素3100を備えていてもよい。貫通要素3100およびプレート構造3200は、別々の構成要素として提供されてもよく、それにより、貫通要素3100はプレート構造3200に結合される。貫通要素3100およびプレート構造3200は、接着剤、ファスナーなどの任意の適切な手段によって、共に結合されてもよいが、手段はこれに限定されない。ファスナーの非限定的な例には、小型のアンカー、ストラップ、バックル、テープ、または他のあらゆる拘束具が含まれる。接着剤の非限定的な例には、シアノアクリル酸エステル、エポキシ樹脂、熱硬化物、熱可塑物、エラストマー、PDMS、エポキシ、シリコーン系、ポリウレタン等が含まれる。
【0115】
貫通要素3100は外表面および内表面を含んでいてもよい。貫通要素は可撓性があってもよく、長手軸に沿って延びる細長体3110を備えていてもよい。細長体3110は、第2端3130(「近位端」ともいう)の反対側に第1端3120(「遠位端」ともいう)を備えていてもよく、長手軸は細長体3110の第1端3120と第2端3130の両方と交差する。細長体3110は第1端3120から第2端3130までの測定による長さLだけ延びてもよく、Lは約5mm~約32mmの範囲であり、その間の全ての長さおよび部分的な範囲を含む。
【0116】
細長体3110は、外表面および内表面を含んでいてもよく、それにより、内表面は、長手軸に沿って細長体3110と通って延びる通路3140(本明細書で「管腔通路」ともいう)を画定する。内表面は連続的で、円の断面を形成してもよい。通路3140は、細長体3110の第1端3120と交差してもよい。通路3140は、細長体3110の第2端3130と交差してもよい。細長体3110の内表面は、細長体3110の第1端3120と第2端3130との間の流体連通を提供する通路3140である開放管を形成してもよい。貫通要素3100の外表面は、細長体3110の外表面を含んでいてもよい。
【0117】
いくつかの実施形態では、貫通要素の内表面がコーティングされるように、細長体3110の内表面にコーティングを適用してもよい。いくつかの実施形態では、コーティングが、管腔通路を画定する内表面を形成してもよい。いくつかの実施形態では、貫通要素3100の外表面がコーティングされるように、細長体3110の外表面にコーティングを適用してもよい。
【0118】
細長体3110の外表面は、細長体3110の内表面の周囲を囲んでいてもよく、それにより、内表面と外表面の両方が長手軸を中心に配向されてもよい。細長体3110の内表面および外表面は、長手軸に同心円状に配向されてもよい。
【0119】
細長体3110は、中空の円筒形状を形成してもよい。通路3140は、長手軸から貫通要素3100の内表面まで半径方向に測定される内径を有していてもよい。通路3140の内径は、約0.01mm~約5mmの範囲であってもよく、その間の全ての径および部分的な範囲を含む。好ましい実施形態では、通路3140の内径は、約1mmより小さくてもよい。非限定的な例では、通路3140の内径は、0.01mm、0.05mm、0.11mm、0.15mm、0.2mm、0.25mm、0.3mm、0.35mm、0.4mm、0.45mm、0.5mm、0.55mm、0.6mm、0.65mm、0.7mm、0.75mm、0.8mm、0.85mm、0.9mm、0.95mm、1mm、2mm、3mm、4mm、および5mmであってもよい。
【0120】
細長体3110は、長手軸から半径方向に測定される外径を有していてもよい。外径は、細長体3110の外表面3111の対向する部分にわたる距離である。外径は、内径の約101%~約150%に等しくてもよく、この間の全ての百分率および部分的な範囲を含む。言い換えると、通路3140の内径は通路3140の外径より小さい。
【0121】
細長体3110を含む貫通要素3100は、高分子材料から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、細長体3110は管腔を有するポリマー管であってもよい。本明細書で具体化されるように、ポリマーは生体適合性ポリマーであってもよい。生体適合性ポリマーは、有機ポリマー、無機ポリマー、またはそれらの混合物であってもよい。生体適合性ポリマーの非限定的な例には、シリコーンゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)、ポリスチレン、ポリエチルシアノアクリレート、ポリ(塩化ビニル)(PVC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリマーゲル、およびそれらの組み合わせが含まれる。ある実施形態では、生体適合性ポリマーは、単一のタイプのポリマーまたは異なるポリマーの組み合わせ、例えば、ポリマーブレンドおよび/または共重合体を含むことができる。ある実施形態では、ポリマーマトリックスは、1つ以上の可撓性ポリマーおよび/または1つ以上の硬質ポリマーであってもよい。
【0122】
図示されないが、貫通要素3100は、細長体3110上の少なくとも1つの穿孔をさらに備えていてもよい。具体的には、穿孔は長手軸から半径方向に外側に延びていてもよい。穿孔は、細長体3110の内表面から細長体3110の外表面まで連続して延びていてもよい。穿孔は、細長体3110の内表面と外表面の間の流体連通を作り出す通路を提供する。穿孔は、貫通要素3100の内表面から貫通要素3100の外表面まで連続して延びていてもよい。穿孔は、貫通要素3100の内表面と貫通要素3100の外表面の間の流体連通を作り出す通路を提供する。
【0123】
穿孔は、貫通要素3100上の、細長体3110の第1端3120に隣接した位置に存在してもよい。穿孔は、貫通要素3100上の、細長体3110の第2端3130に隣接した位置に存在してもよい。穿孔は、通路3140を介して貫通要素3100を通る流体(たとえば、房水)の流量を増加させることができる。
【0124】
本発明のいくつかの実施形態によれば、治療装置3001は、プレート構造3200に結合した貫通要素3100を備えていてもよい。具体的には、貫通要素3100の外表面の少なくとも一部が、プレート構造3200の第1主露出面3201と直接接触していてもよい。直接の接触は、2つの表面を熱接着または溶接することで維持されてもよい。
【0125】
別の実施形態では、貫通要素3100の外表面の少なくとも一部が、プレート構造3200の第1主露出面3201と間接的に接触していてもよく、間接的な接触は、結合要素が、貫通要素3100の外表面とプレート構造3200の第1主露出面3201の間に存在することによる結果である。結合要素の非限定的な例には、接着剤、または1以上のアンカー(たとえば、多方向プレート上に形成されたシリコンアンカー)、ストラップ、バックル、弾性バンド、テープ、または他のあらゆる適切な固定具等のような別個のファスナーが含まれる。本明細書でさらに説明されるように、貫通要素3100はまた、管をプレートに固定することを目的とした形状の変更によってプレート構造に結合されてもよい。
【0126】
貫通要素3100がプレート構造3200に結合している場合、貫通要素3100は、プレート構造3200の第1主露出面3201の一部がもはや露出しない(すなわち、その部分が貫通要素3100により覆われている)ように、プレート構造3200の第1主露出面3201の少なくとも一部を覆っていてもよい。そのような形状では、第1トポグラフィ上の少なくとも1つの開放セルが、貫通要素3100の外表面によって閉じられていてもよい。
【0127】
図示されないが、別の実施形態では、貫通要素3100は、プレート構造3200の第2主露出面3202の一部がもはや露出しない(すなわち、その部分が貫通要素3100により覆われている)ように、貫通要素3100がプレート構造3200の第2主露出面3202の少なくとも一部を覆いうるように、プレート構造3200に結合されていてもよい。そのような形状では、第2トポグラフィ上の少なくとも1つの開放チャネルが、貫通要素3100の外表面によって閉じられていてもよい。
【0128】
貫通要素3100は、細長体3110の長手軸がプレート構造3200のセル軸A-Aと実質的に直交して配向するように、プレート構造3200に対して配置されてもよい。別の実施形態では、貫通要素3100は、細長体3110の長手軸A-Aがプレート構造3200のセル軸A-Aに対して斜めに配向するように、プレート構造3200に対して配置されてもよい。
【0129】
プレート構造3200の側面3203は、プレート構造3200の第1主露出面3201の周縁を形成してもよく、同様に、側露出面3203は、プレート構造3200の第2主露出面3202の周縁を形成してもよい。
【0130】
以下の説明は第1主露出面3201についてのものであるが、第2主露出面3202についても適用される。プレート構造3200の第1主露出面3201は、側面3203により形成される周縁に隣接する周縁領域Pを含む。プレート構造3200の第1主露出面3201は、周縁領域Pによって囲まれた中央領域Cを含む。
【0131】
プレート構造3200の周縁は、対称または非対称の境界を形成してもよい。どちらの実施形態でも、プレート構造3200は、略中心点3208を中心としてもよい。周縁領域Pおよび中央領域Cは、中心点208と同心としてもよい。非限定的な実施形態では、周縁領域Pと中央領域Cの間の遷移は、中央領域Cと周縁領域Pの間の点線の境界3209によって表現されてもよい。
【0132】
境界3209は、プレート構造3200の周縁から周縁距離Dだけ挿入されてもよく、周縁距離Dはゼロではない値である。境界3209は、周縁の形状と一致してもよいが、本発明は点線の境界3209の形状をいかなる特定の形状(たとえば、多角形、円形、楕円形、非幾何学的形状等)にも限定しない。
【0133】
プレート構造3200の第1主露出面3201は、第1面領域を有してもよい。周縁距離Dは、周縁領域Pが第1面領域の約1%~約50%に等しくなるような値であってもよい。周縁距離Dは、中央領域Cが第1面領域の約50%~約99%に等しくなるような値であってもよい。
【0134】
治療装置1は、細長体3110の第2端3130が周縁領域P内に置かれ、第1端3120がプレート構造200の第1主露出面3201の周縁を越えて延びるように、貫通要素3100を備えていてもよい。言い換えると、図19に示すように、貫通要素3100はプレート構造3200の中央領域Cを覆っていなくてもよい。そのような実施形態では、貫通要素3100とプレート構造3200の第1主露出面3201との間が重なり合う量は、周縁距離Dの1%~約99%に等しく、その間の全ての量および部分的な範囲を含む。
【0135】
この実施形態によれば、治療装置3001は、プレート構造3200が強膜913組織と結膜950組織の間に位置するように、眼900に移植され得る。貫通要素3100は、貫通要素3100の第1端3120が前房990内に配置されるように、プレート構造3200から強膜913を通り、眼900の前房990内に延びることができる。この形状では、貫通要素3100は、過剰な流体を前腔から、過剰な流体が対象の周囲の組織に吸収されるまで過剰な流体のための外部リザーバとして機能するプレート構造3200に運ぶ通路として機能し得る。
【0136】
3つのローブである複数のローブの形状をプレート構造3200が備える実施形態によれば、プレート構造3200は略三角形であってもよく、角が丸まっていてもよい。そのような実施形態では、貫通要素3100は、貫通要素3100がローブのいずれかと交差しないように、周縁領域PR(および任意で中央領域CR)を覆っていてもよい。
【0137】
このような形状では、貫通要素3100の細長体3110はプレート構造3200の周縁3203と交差してもよく、第3ローブと交差することなく第1および第2ローブの間に位置してもよい。別の実施形態では、貫通要素3100の細長体3110はプレート構造3200の周縁3203と交差してもよく、第2ローブと交差することなく第1および第3ローブの間に位置してもよい。別の実施形態では、貫通要素3100の細長体3110はプレート構造3200の周縁3203と交差してもよく、第1ローブと交差することなく第2および第3ローブの間に位置してもよい。
【0138】
図21および22を参照すると、治療装置4001は本発明の別の実施形態に従って示されている。装置4001は、以下で説明することを除いて、装置1、1d~1i、2001、3001と同様である。上述の装置1、1d~1i、2001、3001の説明は、以下に具体的に記載する相違点に関する場合を除いて、以下で説明する装置4001に一般的に適用される。4000番台の数字が用いられることを除き、装置4001について、装置1、1d~1i、2001と、3001同様の番号のつけ方が用いられる。
【0139】
この実施形態によれば、治療装置4001は、プレート構造4200の主面4201、4202の少なくとも1つから突起を形成する貫通要素4100を備え得る。この実施形態による貫通要素4200は、プレート構造4200と結合、または別の方法としてはプレート構造4200と一体的に形成されていてもよい。そのような実施形態では、突起部4100は、プレート構造4200を形成するために用いられる材料と同じものから形成されてもよい。別の実施形態では、貫通要素4200はプレート構造4200を形成するために用いられる材料と同じクラス(たとえば、セラミック材料)であってもよいが、それぞれの特定の材料はことなっていてもよい。非限定的な例では、プレート構造4200および貫通要素4200の両方がセラミック材料から形成されており、多方向プレートは第1セラミック材料(たとえば、アルミナ)から形成されており、貫通要素4200は第2セラミック材料(たとえば、シリカ)から形成され、第1および第2セラミック材料が異なっていてもよい。
【0140】
貫通要素4200は、プレート構造4200の第1および第2主露出面4201、4202と実質的に直交する長手軸に沿って延びていてもよい。貫通要素4200は、近位端4330から遠位端4320に延びていてもよく、近位端4330はプレート構造4200と結合、または一体的に形成されている。
【0141】
貫通要素4300は、プレート構造4200を介して、またはプレート構造4200に沿って、一体的に形成された流路または通路として機能してもよい。流路4340は、プレート構造4200の第1および第2主露出面4201、4202に直交するように、長手軸に沿って延びてもよい。別の方法としては、貫通要素4300の外表面は、眼内流体が沿って流れるための通路を形成してもよい。
【0142】
別の実施形態では、本発明の治療装置1は、角膜910、網膜941、水晶体930を含むがこれらに限定されない眼の他の領域への移植に適した材料であってもよく、様々な眼組織間の安定化構造、および眼の部位間で流体、化学物質、および/またはシグナルを移動させるための構造であってもよい。補足;本発明の治療装置1での移植に適し得る空間には、ブドウ膜強膜流出路、シュレム管およびコレクタチャネル、線維柱帯網、脈絡膜上腔が含まれる。ある実施形態では、2以上の治療装置1が、眼900の1または複数の象限に移植され得る。
【0143】
(実施例)
この実施例は、ニュージーランド白ウサギの結膜下に移植する場合の、眼内圧を低下させるドレナージ装置の使用および装置の忍容性を説明する。
【0144】
(材料と方法)
ドレナージ装置の製作:ハニカム構造は、53nm厚のALDアルミナ(Al)およびシリカ(SiO)で設計され、製作された。ハニカム構造は、横寸法が0.5mm~10mmの間で変化する異なる形状で作製された。3つのかすがい形状が用いられた:カンチレバー、二重梁、および四方全てをクランプした長方形のプレートである。
【0145】
両面研磨Siウェハで製作を始めた。PECVDを用いて、厚さ180nmのSiNフィルムを両面に成膜した。高さ10μmのハニカム構造は、フォトリソグラフィーおよび反応性イオンエッチング(RIE)を用いてシリコンにパターニングされた。裏面はフォトリソグラフィーによってパターニングされ、開口部はSiNのRIEエッチングによって得られた。上面のSiN被覆を除去し、ALD層を成膜した。アルミナ蒸着には、前駆体としてトリメチルアルミニウム(TMA)と水を用い、150℃と250℃の2つの異なる温度を用いた。成膜速度は、エリプソメーターを用いて測定し、150℃で0.91Å/サイクルおよび250℃で1.18Å/サイクルであった。
【0146】
ALD層をパターニングするために、構造上にSPR220レジストの厚い層をスピンコートした。レジストの厚さを測定し、14μmであった。スピンコートし、105℃でソフトベークした後、フォトレジストが割れないようにするためにウェハをゆっくりと冷却した。フォトリソグラフィー後、BCl3を用いた化学プロセスによる誘導結合プラズマエッチング(ICP)を用いてアルミナALD層をパターニングした。一方、シリカALD層のパターニングにはRIEを用いた。 次に異方性KOHエッチングを行った。ウェハをKOH中入れる前に、ALD層がKOH溶液中でエッチングされるのを防ぐために、上面をProTekで覆った。シリコンエッチング速度は、80℃の30%KOH溶液中で75μm/時であった。KOHエッチング工程のタイミングを正確に行うことで、上面から20μm程度で工程を停止させることが可能であった。正確な深さは、Zygo社のプロファイロメーターを使用して測定した。その後、ProTek層を除去し、酸素プラズマを用いてウェハの表面を完全に清浄にし、ポリマー残留物がないことを確認した。いくつかの実施形態では、KOHエッチングの代替として、IPGフォトニクスIX-280-DSFのようなレーザー微細加工装置を用いてシリコン基板を部分的に除去することができる。XeFエッチングは最終的な構造体のリリースに用いた。構造体の完全なリリースには、3.2:2(XeF:N)の比率でおよそ100サイクル(それぞれ30秒間)のXeFエッチングが必要であった。シリコンアンカーを介して、シリコンチューブをプレート構造に結合させた。チューブの内径は0.5mmであった。手術前に、プレート構造の形状を修正し、チューブを平衡塩類溶液でプライミングして、所望の長さおよび形状を得た。
【0147】
手術方法:試験開始時に、まだ実験に使われていない3匹のニュージーランド白ウサギ(オス1匹、およびメス2匹)で、およそ5月齢、2.8~3.3キログラムのオスおよびメスを、以下の表1に示すように処理群に割り当てた
【0148】
【表1】
【0149】
治療装置を移植するために、各ウサギに、ケタミン(40mg/kg)およびキシラジン(4mg/kg)の組み合わせで皮下麻酔した。必要に応じて麻酔薬を補充した。薬物使用は全て生データで記録した。この時、1%プロパラカイン(局所麻酔)も両眼に数滴入れた。麻酔後、ウサギを側臥位にし、目の周りの領域に10%プロビドンヨードを含むスワップスティックを準備した。眼を0.9%滅菌生理食塩水でリンスし、プロパラカインをさらに数滴入れた。滅菌ドレープをウサギの上に置いて、目を露出させた。滅菌器具(最初の手順の前に蒸気オートクレーブし、その後、動物間では、クロルヘキシジン溶液で化学的に滅菌し、滅菌水/生理食塩水でリンスした)。滅菌手袋を着用した。
【0150】
まぶたは、手動で、または開瞼器を使用して、手術のために開いたままにした。コリブリ鑷子を用いて眼を内側に回転させ、虹彩の側方に小さく結膜切開した。腹側に結膜下ポケットを作り、中に治療装置を配置した。配置の際、眼を通常の位置に回転させて戻し、治療装置が結膜下ポケットに適切に置かれていることを確認するために、治療装置の配置を観察した。ウサギを逆側に回転させ、治療装置または他の材料を移植することなく、反対側の眼に同様の手順を行った。回復期間にわたり滅菌した眼用軟膏を両眼に塗った。
【0151】
観察と測定:1日目に、強膜と結膜の間の結膜切開を介して、治療装置を対象に移植した。死亡率および臨床所見を毎日評価した。1日目の投与前、2~5日目、12日目、19日目に眼刺激性スコアを記録した。体重を毎週記録した。食物消費量を毎日記録した。21日目に全ての動物を犠牲にした。全ての動物の視神経を有する眼を剖検時に収集し、顕微鏡で評価した。
【0152】
組織学的解析:21日目に、過剰量のバルビツール酸塩の静脈注射により動物を犠牲にした。全ての動物を剖検した。視神経を有する眼を収集し、すぐに24~48時間ダビットソン固定液で固定した。エタノールの濃度を上げて(30~100%)神経標本を脱水した後、神経を鋭い剃刀で切片化した。切片を大きい順でパラフィンに包埋し、3mmの厚さの切片にした。切片をヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。瞳孔-視神経乳頭方向の2つの部分(眼球の半分)を各眼から切り取り、パラフィンブロックごとに2つのレベルでマイクロトームで薄片化し、その結果、マイクロフォニック検査のための、1つの眼あたり4つのスライドを得た。
【0153】
(結果と考察)
1日目に1匹のオスおよび2匹のメスのニュージーランド白ウサギに、強膜と結膜のあいだの結膜切開を介して治療装置を投与した。
【0154】
致死率/疾病率:研究期間での早期死亡はなかった。全ての動物は、屠殺予定の21日目まで生存した。
【0155】
臨床所見:1日目に、軽度から中等度の行動の低下が術後に認められ、投与2~4時間後にはすべての動物が目を閉じていたか、または部分的に閉じていた。これらの所見は、試験物質とは無関係と考えられ、麻酔および手術による二次的なものであった。研究の2~21日目はすべての動物が正常に見え、臨床症状は認められなかった。
【0156】
眼球観察:1日目の投与前は、全ての動物の眼(左および右)では、眼球ドレイズスコアは0であった。研究の2日目および3日目は、全体的に最小限のドレイズスコアが記録された。スコアは、左目と右目の両方で記録された(それぞれ、ドレナージ装置移植および疑似手順)。4日目までに、眼球スコアは認められなかった。以下の表2は、研究中に記録された全体的な眼球ドレイズスコアをまとめたものである。
【0157】
【表2】
【0158】
体重:体重または体重増加に対する試験物質関連の影響はみられなかった。
【0159】
食物消費量:食物消費量に対する試験物質関連の影響はみられなかった。動物は、基本的に全ての日に自分の食べ物を全て食べた。
【0160】
(死後の観察)
全体的な剖検所見:屠殺予定の21日目では、全体的な剖検所見は認められなかった。
【0161】
組織病理学的:治療装置は、どの動物でも顕微鏡では見えなかった。いくつかの眼の縁付近では、結膜および表在性コラーゲン線維が強膜の深部コラーゲン線維から隆起して分離し、空洞を形成することからなる限局性の強膜「欠陥」(または「変化」、「欠陥」は問題を意味する可能性があるため)が認められた。コラーゲンの断片化は別として、目立った組織反応はみられなかった。最小限(グレード1)の重症度の欠陥が2つの対象眼(右眼)で認められた一方、軽度(グレード2)から中等度(グレード3)の重症度の欠陥が3つの治療した眼(左眼)のうち2つで明らかであったことから、治療装置を受け入れた眼の組織欠陥は、少なくとも部分的には、処理中にインプラントが断片化したり、洗浄されたりした移植部位を表しているという疑念が生じた。結膜過形成、リンパ形質細胞浸潤、および/または最小限の重症度の線維化が、3匹の動物の右目および左目の縁付近に認められた。これらの病変は、自然発生的な背景所見および/または外科的操作に関連したものとして説明できる。
【0162】
要約すると、どの試験関連の臨床所見でも、体重もしくは体重の増加に対する影響、または食物消費量に対する影響は認められなかった。手術後、4日目までは全体的なドレイズスコアは最小限であり、全ての眼が正常に見えた。屠殺予定の21日目では、全体的な剖検所見は認められなかった。組織処理後、治療装置は見えず、移植部位に組織反応は認められなかった。結論として、ニュージーランド白ウサギの結膜下に移植した場合の治療装置は、良好な忍容性があった。
【0163】
上記は、眼に移植された場合の治療装置の忍容性を説明しているに過ぎず、本開示の原理の単なる例示であり、本開示の範囲と精神を逸脱することなく当業者によってさまざまな修正がなされ得ることが理解される。
【0164】
(付記)
(付記1)
眼内圧を低下させる装置であって、
前記装置は、第2主露出面の反対側に第1主露出面を含むプレート構造を備え、前記プレート構造は、約1nm~約1,000nmの範囲のプレート厚を有する多方向プレートから形成される、
装置。
【0165】
(付記2)
前記プレート厚が約50nm~約500nmの範囲である、付記1に記載の装置。
【0166】
(付記3)
前記多方向プレートが可撓性である、付記1、2のいずれか1つに記載の装置。
【0167】
(付記4)
前記多方向プレートがセラミック材料から形成される、付記1~3のいずれか1つに記載の装置。
【0168】
(付記5)
前記セラミック材料が、アルミナ、窒化ケイ素、シリカ、酸化ハフニウム、窒化チタン、および炭化チタンからなる群から選択される、付記4に記載の装置。
【0169】
(付記6)
前記プレート構造が前記第1主露出面と前記第2主露出面の間の距離により測定される高さを有し、前記高さは5μm~20μmの範囲である、付記1~4のいずれか1つに記載の装置。
【0170】
(付記7)
前記多方向プレートが長手軸に沿って延び、前記多方向プレートは、
遠位端の反対側に近位端を有する本体部であって、当該本体部の近位端と遠位端の間の距離から測定される第1長さを有する、本体部と、
遠位端の反対側に近位端を有する延長部であって、当該延長部の近位端と遠位端の間の距離から測定される第2長さを有する、延長部と、
をさらに備え、
前記長手軸は、前記本体部と前記延長部の両方の近位端および遠位端と交差し、前記延長部の近位端は前記本体部の遠位端から延びる、
付記1~6のいずれか1つに記載の装置。
【0171】
(付記8)
前記第1長さ対前記第2長さの比率が約1:1~約5:1の範囲である、付記7に記載の装置。
【0172】
(付記9)
前記第1長さが前記第2長さより大きい、付記7、8のいずれか1つに記載の装置。
【0173】
(付記10)
前記本体部が、前記長手軸に垂直な方向において測定される第1幅を有し、前記延長部が前記長手軸に垂直な方向に測定される第2幅を有する、付記7~9のいずれか1つに記載の装置。
【0174】
(付記11)
前記第1幅が前記第2幅より大きい、付記10に記載の装置。
【0175】
(付記12)
前記第1幅対前記第2幅の比率が約1.1:1~約4:1の範囲である、付記10、11のいずれか1つに記載の装置。
【0176】
(付記13)
前記本体部が第2主面の反対側に第1主面を含み、
前記延長部が第2主面の反対側に第1主面を含み、
前記本体部の前記第1主面および前記延長部の前記第1主面が実質的に同一平面上にある、
付記7~12のいずれか1つに記載の装置。
【0177】
(付記14)
前記多方向プレートが、遠位端の反対側に近位端を有する棘部をさらに備え、前記長手軸が前記棘部の近位端および遠位端と交差し、前記棘部の近位端は前記本体部の遠位端から延びる、付記7~13のいずれか1つに記載の装置。
【0178】
(付記15)
前記棘部が第3長さおよび第3幅を有し、前記第3長さは前記棘部の近位端と遠位端の間の距離から測定され、前記第3幅は長手軸と垂直な方向において測定される最大の距離である、付記14に記載の装置。
【0179】
(付記16)
前記第2長さ対前記第3長さの比率が、約1:1~約2:1の範囲である、付記15に記載の装置。
【0180】
(付記17)
前記第3幅対前記第2幅の比率が、約1.1:1~約2:1の範囲である、付記15、16のいずれか1つに記載の装置。
【0181】
(付記18)
前記棘部が第2主面の反対側に第1主面を含み、前記棘部の前記第1主面が前記本体部の前記第1主面および前記延長部の前記第1主面と実質的に同一平面上にある、付記14~17のいずれか1つに記載の装置。
【0182】
(付記19)
前記プレート構造の前記第1主露出面が、前記本体部の前記第1主面および前記延長部の上面を含む、付記7~18のいずれか1つに記載の装置。
【0183】
(付記20)
前記プレート構造の前記第1主露出面に、複数の開放端セルが形成されている、付記1~19のいずれか1つに記載の装置。
【0184】
(付記21)
前記複数の開放端セルの各々が互いに分離している、付記20に記載の装置。
【0185】
(付記22)
前記プレート構造の下面に、複数の開放端チャネルが形成されている、付記1~21のいずれか1つに記載の装置。
【0186】
(付記23)
前記複数の開放端チャネルの各々が互いに連結して流体通路の交差ネットワークを形成する、付記22に記載の装置。
【0187】
(付記24)
眼内圧を低下させる方法であって、
a)治療装置を眼に固定することを含み、
前記治療装置は、第2主露出面の反対側に第1主露出面を有するプレート構造を備え、前記プレート構造は、約1nm~約1,000nmの範囲の厚さを有する多方向プレートから形成される、
方法。
【0188】
(付記25)
前記治療装置は眼の強膜上に固定される、付記24に記載の方法。
【0189】
(付記26)
ステップa)の後に、前記プレート構造の前記第1主露出面の少なくとも一部が眼の結膜に面し、前記プレート構造の前記第2主露出面の少なくとも一部が眼の強膜に面するように、前記治療装置が眼の移植部位に位置する、付記25に記載の方法。
【0190】
(付記27)
前記プレート構造の前記第1主露出面または前記第2主露出面の少なくとも1つが、眼の前房と移植部位の間の流体連通を提供する流体通路を含む、付記26に記載の方法。
【0191】
(付記28)
前記流体通路が、前記治療装置の上面または下面の少なくとも1つにある第1トポグラフィにより形成される開放チャネルを含む、付記27に記載の方法。
【0192】
(付記29)
前記流体通路に沿って房液が流れ、それにより眼の眼内圧を低下させる、付記27、28のいずれか1つに記載の方法。
【0193】
(付記30)
眼内圧の低下が緑内障の治療である、付記29に記載の方法。
【0194】
(付記31)
ステップa)の後に、前記治療装置の少なくとも一部が、隣接する2つの眼筋の間に位置する、付記24~30のいずれか1つに記載の方法。
【0195】
(付記32)
前記治療装置の少なくとも一部が、外直筋と上直筋の間に位置する、付記31に記載の方法。
【0196】
(付記33)
眼内圧を低下させるための装置であって、
前記装置は、
最下面の反対側の最上面と、
前記最下面を形成する複数の開放チャネルと、
を含むプレート構造を備え、
前記プレート構造は、前記プレート構造の前記最上面と前記最下面の間の距離により測定される、約5μm~約20μmの範囲の高さを有する、
装置。
【0197】
(付記34)
前記多方向プレートが可撓性である、付記33に記載の装置。
【0198】
(付記35)
前記多方向プレートが、アルミナ、窒化ケイ素、シリカ、酸化ハフニウム、窒化チタン、および炭化チタンからなる群から選択されるセラミック材料から形成される、付記33、34のいずれか1つに記載の装置。
【0199】
(付記36)
複数の開放セルが前記最上面を形成する、付記33~35のいずれか1つに記載の装置。
【0200】
(付記37)
前記プレート構造が、中央領域のまわりに非対称的に配置された、少なくとも第1ローブおよび第2ローブを含む複数のローブ形状を有する、付記33~36のいずれか1つに記載の装置。
【0201】
(付記38)
眼内圧を低下させるための装置であって、
前記装置は、
第2主露出面の反対側に第1主露出面を含む第1プレート構造であって、約1nm~約1,000nmの範囲のプレート厚を有する第1多方向プレートから形成される、第1プレート構造と、
第2主露出面の反対側に第1主露出面を含む第2プレート構造であって、約1nm~約1,000nmの範囲のプレート厚を有する第2多方向プレートから形成される、第2プレート構造と、
を備える、装置。
【0202】
(付記39)
前記第1プレート構造の前記第2主露出面が複数の開放チャネルを含み、前記第1プレート構造の前記第1主露出面が複数の開放セルを含む、付記38に記載の装置。
【0203】
(付記40)
前記第2プレート構造の前記第2主露出面が複数の開放チャネルを含み、前記第1プレート構造の前記第1主露出面が複数の開放セルを含む、付記38、39のいずれか1つに記載の装置。
【0204】
(付記41)
前記第1プレート構造の第2主露出面が前記第2プレート構造の第1主露出面に面する、付記39、40のいずれか1つに記載の装置。
【0205】
(付記42)
前記第1プレート構造の前記第2主露出面が前記第2プレート構造の前記第2主露出面に接触する、付記41に記載の装置。
【0206】
(付記43)
前記第1プレート構造の前記第1主露出面が、前記第2プレート構造の前記第1主露出面に面する、付記39、40のいずれか1つに記載の装置。
【0207】
(付記44)
前記第1プレート構造の前記第1主露出面が前記第2プレート構造の前記第1主露出面と接触する、付記43に記載の装置。
【0208】
(付記45)
前記第1プレート構造および前記第2プレート構造が接着されている、付記38~44のいずれか1つに記載の装置。
【0209】
(付記46)
前記第1プレート構造と前記第2プレート構造の間に1以上の中間層が配置される、付記38~41、45、44、45のいずれか1つに記載の装置。
【0210】
(付記47)
眼内圧を低下させるための装置であって、
前記装置は、
第2主面の反対側に第1主面を有するプレート構造であって、約1nm~約1,000nmの範囲の厚さを有する多方向プレートを含む、プレート構造と、
前記プレート構造の第1主面に固定された貫通要素と、
を備える、装置。
【0211】
(付記48)
前記多方向プレートが可撓性である、付記47に記載の装置。
【0212】
(付記49)
前記多方向プレートがセラミック材料から形成される、付記47~58のいずれか1つに記載の装置。
【0213】
(付記50)
前記セラミック材料が、アルミナ、シリカ、酸化ハフニウム、窒化チタン、および炭化チタンからなる群から選択される、付記49に記載の装置。
【0214】
(付記51)
前記セラミック材料がアルミナである、付記50に記載の装置。
【0215】
(付記52)
前記貫通要素が、第1端と第2端の間に延びる細長体を含み、内部チャネルが前記第1端から前記第2端に延びて、前記細長体を通る開放通路を形成する、付記47~51のいずれか1つに記載の装置。
【0216】
(付記53)
前記細長体が内表面の反対側に外表面を含み、前記内表面が前記内部チャネルを画定する壁を形成する、付記52に記載の装置。
【0217】
(付記54)
前記貫通要素が高分子材料から形成される、付記47~53のいずれか1つに記載の装置。
【0218】
(付記55)
前記高分子材料が、シリコーンゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリスチレン、ポリエチルシアノアクリレート、ポリ(塩化ビニル)、ポリエーテルエーテルケトン、およびポリエーテルスルホンからなる群から選択される、付記54に記載の装置。
【0219】
(付記56)
前記第1主面の周縁を画定する側面が第1主面と第2主面の間に延び、前記細長体の前記第1端が前記第1主露出面と重なり、前記細長体の前記第2端が前記第1主面の前記周縁を越えて延びる、付記52~55のいずれか1つに記載の装置。
【0220】
(付記57)
前記プレート構造の前記第1主面が中央領域および周縁領域を含み、前記中央領域は前記周縁領域によって囲まれており、前記周縁領域は前記第1主面の前記周縁に隣接し、前記細長体の前記第1端が前記第1主面の前記中央領域と重なる、付記52~56のいずれか1つに記載の装置。
【0221】
(付記58)
前記周縁領域が前記第1面領域の約1%~約75%と等しい、付記57に記載の装置。
【0222】
(付記59)
眼内圧を低下させる方法であって、
眼の前房上に治療装置を移植することを含み、
前記治療装置は多方向プレートから形成されるプレート構造を備え、
移植後、前記プレート構造の第1端が眼の強膜と結膜の間に位置する、
方法。
【0223】
(付記60)
移植、前記治療装置の第2端が眼の前房内に位置し、前記第1端は前記治療装置の前記第2端の反対側にある、付記59に記載の方法。
【0224】
(付記61)
前記プレート構造の前記第1端が、前房と前記プレート構造の前記第2端の間の流体連通を提供する、付記60に記載の方法。
【0225】
(付記62)
前房内の房液が、強膜上の前記プレート構造の前記第2端から前記第1端に流れ、それにより眼の眼内圧を低下させる、付記60に記載の方法。
【0226】
(付記63)
眼内圧の低下が緑内障の治療である、付記59~62のいずれか1つに記載の方法。
【0227】
(付記64)
前記多方向プレートが約1nm~約1,000nmの範囲の厚さを有する、付記59~63のいずれか1つに記載の方法。
【0228】
(付記65)
眼内圧を低下させる方法であって、
a)治療装置を眼に固定させることを含み、
前記治療装置は、
最下面の反対側の最上面と、
前記最下面を形成する複数の開放チャネルと、
を含むプレート構造を備え、
前記プレート構造は、前記プレート構造の前記最上面と前記最下面の間の距離によって測定される、約5μm~約20μmの範囲の高さを有する、
方法。
【0229】
(付記66)
前記治療装置が眼の強膜上に固定される、付記65に記載の方法。
【0230】
(付記67)
ステップa)の後に、前記プレート構造の前記第1主露出面の少なくとも一部が眼の結膜に面し、前記プレート構造の前記第2主露出面の少なくとも一部が眼の強膜に面するように、前記治療装置が眼の移植部位に位置する、付記66に記載の方法。
【0231】
(付記68)
前記プレート構造の前記第1主露出面または前記第2主露出面の少なくとも1つが、眼の前房と移植部位の間の流体連通を提供する流体通路を含む、付記67に記載の方法。
【0232】
(付記69)
前記流体通路が、前記治療装置の上面または下面の少なくとも1つにある第1トポグラフィにより形成される開放チャネルを含む、付記68に記載の方法。
【0233】
(付記70)
前記流体通路に沿って房液が流れ、それにより眼の眼内圧を低下させる、付記68、69のいずれか1つに記載の方法。
【0234】
(付記71)
眼内圧の低下が緑内障の治療である、付記70に記載の方法。
【0235】
(付記72)
ステップa)の後に、前記治療装置の少なくとも一部が、隣接する2つの眼筋の間に位置する、付記65~71のいずれか1つに記載の方法。
【0236】
(付記73)
前記治療装置の少なくとも一部が、外直筋と上直筋の間に位置する、付記72に記載の方法。
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