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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240520BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240520BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20240520BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
H01L29/78 652K
H01L29/78 652M
H01L29/78 653C
H01L29/78 652H
H01L29/78 652F
H01L29/78 652S
H01L29/78 658F
H01L29/44 L
H01L29/50 M
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021035045
(22)【出願日】2021-03-05
(65)【公開番号】P2022135310
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】加藤 浩朗
(72)【発明者】
【氏名】下村 紗矢
(72)【発明者】
【氏名】馬場 祥太郎
(72)【発明者】
【氏名】稲田 充郎
(72)【発明者】
【氏名】吉田 裕史
(72)【発明者】
【氏名】河井 康宏
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-022858(JP,A)
【文献】特開2020-004883(JP,A)
【文献】特開2012-009545(JP,A)
【文献】特開2019-057537(JP,A)
【文献】特開2012-204590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 21/336
H01L 29/41
H01L 29/417
H01L 29/739
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電形の第1半導体層と、第2導電形の第2半導体層と、第1導電形の第3半導体層と、を含む半導体部と、
前記半導体部の裏面に設けられた第1電極と、
前記半導体部の表面側に設けられた第2電極であって、前記第1半導体層は、前記第1電極と前記第2電極との間に延在し、前記第2半導体層は、前記第1半導体層と前記第2電極との間に設けられ、前記第3半導体層は、前記第2半導体層と前記第2電極との間に設けられる、第2電極と、
前記半導体部内に設けられ、前記第1電極から前記第2電極に向かう第2方向と交差する第1方向において並ぶ第1制御部および第2制御部と、前記第1制御部および前記第2制御部を一体化する接続部と、を含む制御電極と、
前記制御電極の第1制御部または第2制御部と第2半導体層との間に設けられる第1絶縁膜と、
前記第1制御部と前記第2制御部との間に設けられ、前記第1制御部および前記第2制御部を覆う第2絶縁膜と、
前記第1制御部と前記第2電極との間に位置する第1部分と、前記第2制御部と前記第2電極との間に位置する第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間に位置し、前記第1制御部と前記第2制御部との間に延在する第3部分と、を含む第3絶縁膜であって、前記第2絶縁膜は、前記制御電極と前記第3絶縁膜との間に設けられる、第3絶縁膜と、 前記半導体部内に設けられ、前記第2方向に延在する第3電極であって、前記第1電極と前記第3絶縁膜の前記第3部分との間に位置する部分と、前記第1電極と前記制御電極の前記接続部との間に位置する部分と、を有する第3電極と、
前記第1半導体層と前記第3電極との間に位置する第4絶縁膜であって、前記制御電極の前記第1制御部および前記第2制御部は、前記第2電極と前記第4絶縁膜との間に設けられる第4絶縁膜と、
前記第3絶縁膜の前記第3部分と前記第3電極との間、および、前記制御電極の前記接続部と前記第3電極との間に設けられる第5絶縁膜と、
前記制御電極の前記接続部と前記第5絶縁膜との間に設けられ、前記第5絶縁膜の材料とは異なる材料を含む第6絶縁膜と、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記第3電極から前記第1電極に至る距離は、前記制御電極から前記第1電極に至る距離よりも短い請求項記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2絶縁膜は、前記第3電極と前記第3絶縁膜との間に位置する部分を有し、
前記第2絶縁膜の前記部分は、前記第4絶縁膜中に延在する請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第3絶縁膜は、ボロンおよびリンを含むシリケートガラスである請求項1~のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記制御電極の前記第1制御部および前記第2制御部は、それぞれ、前記第1方向の第1幅を有し、前記第4絶縁膜に接するように設けられ、
前記第4絶縁膜は、前記制御電極に接する部分において、前記第1方向の第2幅を有し、前記第2幅は、前記第1幅よりも広い請求項1~のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
第1制御部および第2制御部を有するゲート電極と、フィールドプレートと、を含むトレンチゲート構造を有する半導体装置の製造方法であって、
半導体ウェーハにトレンチを形成する工程と、
前記トレンチの内部に第1スペースを残して、前記トレンチの内面を覆うフィールドプレート絶縁膜を形成する工程と、
前記第1スペースを埋め込んだ第1導電膜を形成する工程と、
前記第1導電膜の前記トレンチの底部に位置する部分を残して、前記第1導電膜を除去することにより、前記トレンチの底部に前記フィールドプレートを形成する工程と、
前記第1導電膜の除去により前記フィールドプレート絶縁膜中に形成された第2スペース内において、前記フィールドプレートを熱酸化し、前記フィールドプレート上に第1中間絶縁膜を形成する工程と、
前記第2スペースを埋め込んだ第2中間絶縁膜を、前記第1中間絶縁膜上に形成する工程と、
前記トレンチの上部において、前記第2中間絶縁膜および前記フィールドプレート絶縁膜のそれぞれを部分的に除去することにより、前記半導体ウェーハの一部を露出させた第3スペースを形成する工程と、
前記第3スペースに露出された前記第2中間絶縁膜の残りの部分を除去する工程と、
前記第3スペースに露出された前記半導体ウェーハの前記一部を熱酸化してゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記第3スペース内に、前記ゲート絶縁膜、前記フィールドプレート絶縁膜および前記第1中間絶縁膜を覆う第2導電膜を形成する工程と、
前記第2導電膜の前記第1中間絶縁膜上に形成された部分を選択的に除去し、前記ゲート電極の前記第1制御部および前記第2制御部を形成する工程と、
を備えた方法。
【請求項7】
前記ゲート電極は、前記第1制御部と前記第2制御部とをつなぐ接続部を有するように形成され、
前記第2中間絶縁膜の前記残りの部分は、前記ゲート電極の前記接続部と前記第1中間絶縁膜との間に残るように除去される請求項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MOSFETなど電力制御に用いられる半導体装置には、早いスイッチング速度を有し、スイッチング損失を低減することが望まれる。例えば、トレンチゲート構造を有するMOSFETでは、ソース電極と同電位のフィールドプレートを、ゲート電極と共にゲートトレンチの内部に配置する構造が広く用いられている。このようなトレンチゲート構造では、ゲート・ソース間の寄生容量が大きくなり、スイッチング速度が遅くなる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-59783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、スイッチング速度を向上させる半導体装置およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、半導体部と、第1電極と、第2電極と、第3電極と、制御電極と、第1~第4絶縁膜と、を備える。前記半導体部は、第1導電形の第1半導体層と、第2導電形の第2半導体層と、第1導電形の第3半導体層と、を含む。前記第1電極は、前記半導体部の裏面上に設けられ、前記第2電極は、前記半導体部の表面側に設けられる。前記第1半導体層は、前記第1電極と前記第2電極との間に延在し、前記第2半導体層は、前記第1半導体層と前記第2電極との間に設けられる。前記第3半導体層は、前記第2半導体層と前記第2電極との間に設けられる。前記制御電極は、前記半導体部と前記第2電極との間において、前記半導体部の前記表面側から前記第1半導体層中に至る深さを有するトレンチの内部に設けられる。前記制御電極は、前記第1半導体層と前記第2半導体層との境界に沿った第1方向に並ぶ第1制御部と第2制御部とを含む。前記第1絶縁膜は、前記制御電極の前記第1制御部または前記第2制御部と前記半導体部の前記第2半導体層との間に設けられる。前記第2絶縁膜は、前記制御電極の前記第1制御部と前記第2制御部との間に設けられ、前記第1制御部および前記第2制御部を覆う。前記第3絶縁膜は、前記第1制御部と前記第2電極との間に位置する第1部分と、前記第2制御部と前記第2電極との間に位置する第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間に位置し、前記第1制御部と前記第2制御部との間に延在する第3部分と、を含む。前記第2絶縁膜は、前記制御電極と前記第3絶縁膜との間に設けられる。前記第3電極は、前記トレンチの内部に設けられ、前記第1電極から前記第2電極に向かう第2方向に延在し、前記第1電極と前記第3絶縁膜の前記第3部分との間に位置し、前記第2方向における前記制御電極と前記第1電極との間のレベルに位置する。前記第4絶縁膜は、前記トレンチの内面に沿って設けられ、前記半導体部の前記第1半導体層と前記第3電極との間に位置する。前記制御電極の前記第1制御部および前記第2制御部は、前記第2電極と前記第4絶縁膜との間に設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る半導体装置を示す模式断面図である。
図2】実施形態に係る半導体装置を示す別の模式断面図である。
図3】実施形態に係る半導体装置を示す他の模式断面図である。
図4】実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す模式断面図である。
図5図4に続く製造過程を示す模式断面図である。
図6図5に続く製造過程を示す模式断面図である。
図7図6に続く製造過程を示す模式断面図である。
図8図7に続く製造過程を示す模式断面図である。
図9図8に続く製造過程を示す模式断面図である。
図10図9に続く製造過程を示す模式断面図である。
図11図10に続く製造過程を示す模式断面図である。
図12図11に続く製造過程を示す模式断面図である。
図13図12に続く製造過程を示す模式断面図である。
図14】実施形態の変形例に係る製造過程を示す模式断面図である。
図15】実施形態の変形例に係る半導体装置を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。図面中の同一部分には、同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
【0008】
さらに、各図中に示すX軸、Y軸およびZ軸を用いて各部分の配置および構成を説明する。X軸、Y軸、Z軸は、相互に直交し、それぞれX方向、Y方向、Z方向を表す。また、Z方向を上方、その反対方向を下方として説明する場合がある。
【0009】
図1は、実施形態に係る半導体装置1を示す模式断面図である。半導体装置1は、例えば、MOSFETである。半導体装置1は、トレンチゲート構造を有する。半導体装置1は、半導体部10と、第1電極20と、第2電極30と、制御電極40(図2参照)と、第3電極50と、を含む。半導体部10は、例えば、シリコンである。
【0010】
半導体部10は、例えば、第1電極20が設けられる裏面と、その反対側の表面を有する。第2電極30は、半導体部10の表面側に設けられる。第1電極20は、ドレイン電極である。第1電極20は、半導体部10の裏面上に設けられる。第2電極30は、ソース電極である。
【0011】
半導体部10は、第1導電形の第1半導体層11と、第2導電形の第2半導体層13と、第1導電形の第3半導体層15と、第2導電形の第4半導体層17と、第1導電形の第5半導体層19と、を含む。例えば、第1導電形は、n形であり、第2導電形は、p形である。
【0012】
第1半導体層11は、所謂、ドリフト層である。第1半導体層11は、第1電極20と第2電極30との間に延在する。
【0013】
第2半導体層13は、所謂、p形拡散層である。第2半導体層13は、第1半導体層11と第2電極30との間に設けられる。
【0014】
第3半導体層15は、所謂、n形ソース層である。第3半導体層15は、第2半導体層13と第2電極30との間に設けられる。第3半導体層15は、第1半導体層11の第1導電形不純物濃度よりも高濃度の第1導電形不純物を含み、第2電極30に電気的に接続される。
【0015】
第4半導体層17は、所謂、p形コンタクト層である。第4半導体層17は、第2半導体層13と第2電極30との間に設けられる。第4半導体層17は、第2半導体層13の第2導電形不純物よりも高濃度の第2導電形不純物を含み、第2電極30に電気的に接続される。この例では、第4半導体層17は、第2半導体層13中に設けられる。第2半導体層13は、第4半導体層17を介して、第2電極30に電気的に接続される。
【0016】
第5半導体層19は、所謂、n形ドレイン層である。第5半導体層19は、第1半導体層11と第1電極20との間に設けられる。第5半導体層19は、第1半導体層11の第1導電形不純物濃度よりも高濃度の第1導電形不純物を含み、第1電極20に電気的に接続される。
【0017】
制御電極40は、ゲート電極である。制御電極40は、第1電極20と第2電極30との間に位置し、半導体部10に設けられたトレンチTRの内部に設けられる。第3電極50は、所謂、フィールドプレートである。第3電極50は、ソース電極30に電気的に接続され、制御電極40と共に、トレンチTRの内部に設けられる。
【0018】
図1に示すように、制御電極40は、第1電極20から第2電極30に向かう方向、例えば、Z方向において、第2半導体層13と同じレベルに設けられる。制御電極40は、第1制御部40Aと第2制御部40Bとを含む。第1制御部40Aおよび第2制御部40Bは、トレンチTRの内部において、第1半導体層11と第2半導体層13との境界に沿った方向、例えば、X方向に並ぶ。
【0019】
トレンチTRは、第2電極30から第1電極20に向かう方向に延在し、半導体部10の表面側から第1半導体層11中に至る深さを有する。第3電極50は、例えば、第1半導体層11中に位置するように設けられる。トレンチTR内において、第3電極50から第1電極20に至る距離は、制御電極40から第1電極20に至る距離よりも短い。
【0020】
第3電極50のZ方向の長さLEは、第5半導体層19と第3電極50との間の間隔LDよりも長い。また、第3電極50のZ方向の長さLEは、制御電極40のZ方向の長さLGよりも長い。
【0021】
図1に示すように、半導体装置1は、第1絶縁膜41と、第2絶縁膜43と、第3絶縁膜45と、第4絶縁膜55と、第5絶縁膜57と、をさらに備える。
【0022】
第1絶縁膜41は、所謂、ゲート絶縁膜である。第1絶縁膜41は、半導体部10と制御電極40との間に設けられ、制御電極40を半導体部10から電気的に絶縁する。第2半導体層13は、第1絶縁膜41を介して、制御電極40に向き合うように設けられる。第3半導体層15は、第2半導体層13と第2電極30との間において、第1絶縁膜41に接する。
【0023】
トレンチTRは、複数設けられ、例えば、X方向に並ぶ。第2半導体層13は、複数のトレンチTRの間にそれぞれ設けられ、制御電極40の第1制御部40Aおよび第2制御部40Bに第1絶縁膜41を介して向き合う。
【0024】
第2絶縁膜43は、トレンチTRの内部において、制御電極40の第1制御部40Aおよび第2制御部40Bを覆うように設けられる。
【0025】
第3絶縁膜45は、第2電極30と制御電極40との間に設けられ、制御電極40を第2電極30から電気的に絶縁する。第2絶縁膜43は、制御電極40と第3絶縁膜45との間に位置する。第3絶縁膜45は、制御電極40の第1制御部40Aと第2電極30との間に位置する第1部分と、第2制御部40Bと第2電極30との間に位置する第2部分と、第1制御部40Aと第2制御部40Bとの間に延在する第3部分とを有する。
【0026】
第2絶縁膜43および第3絶縁膜45は、制御電極40を第2電極30から電気的に絶縁する層間絶縁膜の役割を果たす。
【0027】
第4絶縁膜55は、半導体部10と第3電極30との間に設けられ、第3電極30を半導体部10から電気的に絶縁する。第3電極30は、例えば、第1半導体層11中に位置し、第4絶縁膜55は、第1半導体層11と第3電極30との間に位置する。
【0028】
第4絶縁膜55は、例えば、制御電極40に接するように設けられる。第4絶縁膜55の制御電極40に接する部分のX方向の幅は、制御電極40の第1制御部40AのX方向の幅および第2制御部40BのX方向の幅よりも広い。第3絶縁膜45は、第2絶縁膜43を介して、第4絶縁膜55に向き合う。
【0029】
第5絶縁膜57は、第3絶縁膜45の第3部分と第3電極30との間に設けられる。第2絶縁膜43は、第3絶縁膜45の第3部分と第5絶縁膜57との間に位置する部分を含む。第2絶縁膜43の第3絶縁膜45の第3部分と第5絶縁膜57との間に位置する部分は、第4絶縁膜55の第1制御部40Aに接する部分と、第4絶縁膜55の第2制御部40Bに接する部分との間に位置する。
【0030】
図1に示すように、第2電極30は、第1金属層31と、第2金属層33と、第3金属層35と、を含む。第1金属層31は、第3絶縁膜45の上に設けられる。第2金属層33および第3金属層35は、第1金属層31の上に順に積層される。
【0031】
第1金属層31は、半導体部10への金属原子の拡散を抑制する、所謂、バリア層の役割を果たす。第2金属層33は、第3絶縁膜45から半導体部10に至るコンタクトトレンチCT(図12(b)参照)の内部に充填される。第2金属層33は、所謂、埋め込み層として設けられる。第3金属層35は、所謂、ボンディング層として設けられ、金属ワイヤ等の導電体に接続される。
【0032】
第2電極30は、第3絶縁膜45の上面から半導体部10中に延在するコンタクト部30cpを含む。コンタクト部30cpは、コンタクトトレンチCT(図12(b)参照)の内面において、第3半導体層15および第4半導体層17に接し、且つ、電気的に接続される。
【0033】
実施形態において、第3電極50は、第1電極20側の第1端と、第2電極30側の第2端とを有する。第3電極50の第2端は、例えば、Z方向において、制御電極40と第4絶縁膜55との境界のレベルよりも下に位置する。第3電極50は、例えば、X方向に見て、制御電極40と重ならないように設けられる。なお、実施形態は、これに限定される訳ではなく、第3電極50の第2端は、制御電極40の第1制御部40Aと第2制御部40Bとの間に位置しても良い。
【0034】
図2(a)および(b)は、実施形態に係る半導体装置1を示す別の模式断面図である。図2(a)は、図2(b)中に示すA-A線に沿った断面図である。図2(b)は、図2(a)中に示すB-B線に沿った断面図である。
【0035】
図2(a)に示すように、トレンチTRは、Y方向に延在する。制御電極40は、複数設けられ、トレンチTRの内部には、例えば、2つの制御電極40が設けられる。制御電極40の第1制御部40Aおよび第2制御部40Bは、それぞれY方向に延在し、制御電極40のY方向の端において一体化される。
【0036】
図2(b)に示すように、制御電極40の一体化された部分と、第3電極50と、の間には、第6絶縁膜59が設けられる。第6絶縁膜59は、第5絶縁膜57と制御電極40との間に設けられる。第6絶縁膜59は、第5絶縁膜57と異なる材料を含む。第6絶縁膜59は、例えば、ボロン(B)およびリン(P)を含むシリケートガラス(Boron Phosphor Silicate Grass:BPSG)である。
【0037】
第3電極50は、Z方向において、例えば、制御電極40と同じレベルに位置する延伸部50ea、50ebおよび50ecを含む。延伸部50eaおよび50ecは、トレンチTRのY方向の両端にそれぞれ設けられる。延伸部50ebは、2つの制御電極40の間に設けられる。第3電極50は、例えば、延伸部50ebにおいて、第2電極30に電気的に接続される。
【0038】
半導体装置1は、配線60をさらに備える。配線60は、第3絶縁膜45の上に設けられる。配線60は、第2電極30から離間して設けられ、制御電極40に電気的に接続される。配線60は、第2電極30から電気的に絶縁されるように設けられる。
【0039】
図2(b)に示すように、配線60は、第1金属層61と、第2金属層63と、第3金属層65と、を含む。配線60は、例えば、第2電極30と同じ積層構造を有する。第1金属層61は、所謂、バリア層である。第2金属層63は、所謂、埋め込み層であり、第3金属層65は、所謂、ボンディング層である。
【0040】
図3(a)~(c)は、実施形態に係る半導体装置1を示す他の模式断面図である。図3(a)は、図2(b)中に示すC-C線に沿った断面図である。図3(b)は、図2(b)中に示すD-D線に沿った断面図である。図3(c)は、図2(b)中に示すE-E線に沿った断面図である。
【0041】
図3(a)に示すように、第2電極30は、第3絶縁膜45および第2絶縁膜43中に延在し、第3電極50に至るコンタクト部30cfをさらに含む。コンタクト部30cfは、第3電極50の延伸部50ebに接し、且つ、電気的に接続される。第2電極30は、コンタクト部30cfを介して第3電極50に電気的に接続される。
【0042】
図3(b)に示すように、配線60は、第3絶縁膜45および第2絶縁膜43中に延在し、制御電極40に至るコンタクト部60cgを含む。コンタクト部60cgは、例えば、第1制御部40Aおよび第2制御部40Bが一体化された部分において、制御電極40に接し、且つ、電気的に接続される。
【0043】
制御電極40と第3電極50との間には、第5絶縁膜57および第6絶縁膜59が設けられる。このように、2層構造の絶縁膜を設けることにより、制御電極40と第3電極50との間隔を広げることができる。このため、制御電極40と第3電極50との間の絶縁耐量を向上させると共に、寄生容量を低減することができる。
【0044】
図3(c)に示すように、第3電極50の延伸部50ecは、第2電極30に電気的に接続されない。延伸部50ecの上方には、第2絶縁膜43、第3絶縁膜45および第5絶縁膜57を介して、配線60が設けられる。第3電極50は、第2絶縁膜43、第3絶縁膜45および第5絶縁膜57により、配線60から電気的に絶縁される。第3電極50の延伸部50eaの上方にも、第2絶縁膜43、第3絶縁膜45および第5絶縁膜57を介して、配線60が設けられる(図2(b)参照)。
【0045】
次に、図4(a)~図13(b)を参照して、実施形態に係る半導体装置1の製造方法を説明する。図4(a)~図13(b)は、半導体装置1の製造過程を示す模式断面図である。
【0046】
図4(a)に示すように、第1導電形の半導体基板100と、第1半導体層11と、を含む半導体ウェーハを準備する。半導体基板100は、例えば、n形シリコン基板である。第1半導体層11は、例えば、n形シリコン層であり、半導体基板100上にエピタキシャル成長される。第1半導体層11は、半導体基板100の第1導電形不純物濃度よりも低濃度の第1導電形不純物を含む。
【0047】
続いて、第1半導体層11中にトレンチTRを形成する。トレンチTRは、例えば、異方性RIE(Reactive Ion Etching)を用いて、第1半導体層11を選択的にエッチングすることにより形成される。第1半導体層11は、例えば、図示しないエッチングマスクを用いて選択的にエッチングされる。
【0048】
図4(b)に示すように、第4絶縁膜55を第1半導体層11上に形成する。第4絶縁膜55は、トレンチTRの内面を覆うように形成される。第4絶縁膜55は、第1スペースSP1をトレンチTRの内部に残すように形成される。第4絶縁膜55は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)を用いて形成される。第4絶縁膜55は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0049】
なお、第4絶縁膜55は、第1半導体層11を熱酸化することにより形成されるシリコン酸化膜と、CVDを用いて形成されるシリコン酸化膜と、を含む2層構造であっても良い。
【0050】
図5(a)に示すように、導電膜105を第4絶縁膜55上に形成する。導電膜105は、第1スペースSP1(図4(b)参照)を埋め込むように形成される。導電膜105は、例えば、ポリシリコン膜である。導電膜105は、例えば、CVDを用いて、導電性を有するように形成される。
【0051】
図5(b)に示すように、導電膜105を、その一部がトレンチTR内に残るようにエッチングする。導電膜105は、例えば、ウェットエッチングにより除去される。トレンチTR内に残る導電膜105の一部は、第3電極50である。トレンチTR内において、第2スペースSP2が第3電極50の上に形成される。また、導電膜105は、トレンチTRの内部に形成された部分を残して、第1半導体層11の上に形成された部分を除去した後、第3電極50の延伸部50ea、50ebおよび50ec(図2(b)参照)になる部分を残すように、エッチングマスク(図示しない)を用いて選択的に除去される。
【0052】
図6(a)に示すように、第5絶縁膜57を第3電極50上に形成する。第5絶縁膜57は、例えば、第2スペースSP2を介して、第3電極50を熱酸化することにより形成される。第5絶縁膜57は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0053】
図6(b)に示すように、第4絶縁膜55および第5絶縁膜57の上に第6絶縁膜59を形成する。第6絶縁膜59は、第2スペースSP2を埋め込むように形成される。第6絶縁膜59は、例えば、CVDを用いて形成される。
【0054】
第6絶縁膜59は、例えば、BPSGである。第6絶縁膜59にBPSGを用いることにより、第2スペースSP2を均一に埋め込むことができる。例えば、BPSGは、1000℃以下の軟化点を有する。このため、熱処理によりBPSGを軟化させ、第2スペースSP2内に形成された第6絶縁膜59のシームやボイドなどを除くことができる。
【0055】
図7(a)に示すように、第2スペースSP2を埋め込んだ部分を残して、第6絶縁膜59を除去する。第6絶縁膜59は、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)を用いて除去される。この際、第4絶縁膜55は、CMPストッパの役割を果たす。
【0056】
図7(b)に示すように、第3スペースSP3をトレンチTRの上部に形成する。第3スペースSP3は、例えば、等方性のドライエッチングを用いて、第4絶縁膜55および第6絶縁膜59を部分的に除去することにより形成される(図7(b)参照)。
【0057】
例えば、第6絶縁膜59にシームやボイドがあると、第4絶縁膜55および第6絶縁膜59を均等にエッチングすることが難しくなり、第3スペースSP3の深さ制御が難しくなる。実施形態では、第6絶縁膜59にBPSGを用いることによりシームやボイドをなくし、エッチング制御を容易にする。第3スペースSP3は、第1半導体層11を露出させるように形成される。
【0058】
図8(a)に示すように、第5絶縁膜57の上に残る第6絶縁膜59を除去する。第6絶縁膜59は、例えば、ウェットエッチングにより除去される。例えば、エッチング液として、フッ化水素酸の希釈液を用いることにより、第6絶縁膜59を選択的に除去することができる。第3スペースSP3の底面には、第4絶縁膜55および第5絶縁膜57が露出される。また、第6絶縁膜59は、その一部がトレンチTRの延在方向(Y方向)における第3スペースSP3の端に残るように、図示しないエッチングマスクを用いて選択的に除去される(図2(b)参照)。
【0059】
図8(b)に示すように、第1絶縁膜41を第1半導体層11上に形成する。第1絶縁膜41は、例えば、第1半導体層11を熱酸化することにより形成される。第1絶縁膜41は、例えば、シリコン酸化膜である。また、第1絶縁膜41を熱酸化により形成する過程において、第3電極50も酸化され、第5絶縁膜57のZ方向の厚さも厚くなる。
【0060】
第6絶縁膜59が、例えば、BPSGの場合、第1絶縁膜41を形成する熱酸化の過程において、意図しない部分にボロンやリンが拡散される。図8(a)に示す過程において、第6絶縁膜59を選択的に除去することにより、このような不純物の拡散を防ぐことができる。
【0061】
図9(a)に示すように、導電膜110を形成し、第3スペースSP3を埋め込む。導電膜110は、例えば、リン(P)もしくは砒素(As)などの第1導電形の不純物を含むポリシリコン膜である。導電膜110は、例えば、CVDを用いて形成される。導電膜110は、例えば、CVDの過程において第1導電形の不純物をドーピングすることにより導電性を有するように形成しても良い。また、導電膜110となるポリシリコン膜を形成した後に、第1導電形の不純物をポリシリコン中に拡散させても良い。
【0062】
図9(b)に示すように、第3スペースSP3を埋め込んだ部分を残して、導電膜110を除去する。導電膜110は、例えば、CMPを用いて除去される。第1絶縁膜41は、第1半導体層11の上面において、CMPストッパの役割を果たす。
【0063】
図10(a)に示すように、第2半導体層13を第1半導体層11の上に形成する。第2半導体層13は、第1半導体層11上の第1絶縁膜41を通してイオン注入された第2導電形不純物を、熱処理により活性化させ、拡散させることにより形成される。第2導電形不純物として、例えば、ボロン(B)を第1半導体層11にイオン注入する。第1半導体層11と第2半導体層13との境界は、例えば、Z方向において、第4絶縁膜55と導電膜110との境界よりも上のレベルに位置するように設けられる。
【0064】
図10(b)に示すように、第2半導体層13および導電膜110の上に、エッチングマスク115を形成する。エッチングマスク115は、導電膜110の上に開口115sを有する。エッチングマスク115は、例えば、フォトリソグラフィを用いて形成される。
【0065】
図11(a)に示すように、制御電極40の第1制御部40Aおよび第2制御部40BをトレンチTR内に形成する。第1制御部40Aおよび第2制御部40Bは、導電膜110を選択的にエッチングすることにより形成される。導電膜110は、例えば、エッチングマスク115を用いたウェットエッチングにより選択的に除去される。第1制御部40Aと第2制御部40Bとの間のスペースには、第4絶縁膜55および第5絶縁膜57が露出される。
【0066】
第1制御部40Aおよび第2制御部40Bは、それぞれ、平坦な上面を有するように形成される。第1制御部40Aおよび第2制御部40BのZ方向の長さLGは、例えば、0.4~1.5マイクロメートル(μm)である。また、第1制御部40Aおよび第2制御部40BのX方向の幅WGは、例えば、0.1~0.5μmである。
【0067】
図11(b)に示すように、第3半導体層15を第2半導体層13の上に形成する。第3半導体層15は、例えば、リン(P)などの第1導電形不純物を、第1絶縁膜41を通して第2半導体層13中にイオン注入し、熱処理により活性化することにより形成される。
【0068】
図12(a)に示すように、第2絶縁膜43および第3絶縁膜45を制御電極40および第1絶縁膜41の上に形成する。第2絶縁膜43は、制御電極40の第1制御部40Aおよび第2制御部40Bを覆うと共に、第1制御部40Aと第2制御部40Bとの間のスペースに露出した第4絶縁膜55および第5絶縁膜57も覆う。また、第2絶縁膜43は、第1絶縁膜41を介して、第3半導体層15も覆う。第2絶縁膜43は、例えば、シリコン酸化膜であり、CVDを用いて形成される。
【0069】
第3絶縁膜45は、第2絶縁膜43上に形成され、第1制御部40Aと第2制御部40Bとの間のスペースを埋め込むように形成される。第3絶縁膜45は、第1制御部40Aと第2制御部40Bとの間に延在する部分を含む。第3絶縁膜45は、例えば、BPSGである。第3絶縁膜45は、例えば、CVDを用いて形成される。
【0070】
図12(b)に示すように、第3絶縁膜45の上面から第2半導体層13中に延在するコンタクトトレンチCTを形成する。コンタクトトレンチCTは、例えば、異方性RIEおよび図示しないエッチングマスクを用いて、第3絶縁膜45、第2絶縁膜43、第1絶縁膜41、および第3半導体層15を選択的にエッチングすることにより形成される。コンタクトトレンチCTは、例えば、第2半導体層13中に底面を有するように形成される。
【0071】
さらに、第2半導体層13中に第4半導体層17を形成する。第4半導体層17は、コンタクトトレンチCTを介して、例えば、ボロン(B)などの第2導電形不純物を第2半導体層13にイオン注入した後、熱処理により第2導電形不純物を活性化することにより形成される。第4半導体層17は、例えば、第3半導体層15から離れた位置に設けられる。また、第4半導体層17は、第3半導体層15とつながるように形成されても良い。
【0072】
図13(a)に示すように、コンタクトトレンチCTを、例えば、X方向に拡張する。これにより、第3半導体層15の上面の一部を露出させる。コンタクトトレンチCTは、例えば、第3半導体層15上の第1絶縁膜41、第2絶縁膜43および第3絶縁膜45をエッチングすることにより拡張される。
【0073】
図13(b)に示すように、第2電極30を第3絶縁膜45の上に形成する。第2電極30は、第1金属層31、第2金属層33および第3金属層35を含む。また、第2電極30は、コンタクトトレンチCTの内部を埋め込むように形成される。
【0074】
第1金属層31は、第3絶縁膜45の上面およびコンタクトトレンチCTの内面を覆うように形成される。第1金属層31は、例えば、窒化チタニウム層(TiN)である。第1金属層31は、例えば、反応性スパッタリング法を用いて形成される。
【0075】
第2金属層33は、第1金属層31上に形成される。第2金属層33は、コンタクトトレンチCTを埋め込むように形成される。第2金属層33は、例えば、タングステン層(W)であり、CVDを用いて形成される。
【0076】
第3金属層35は、第2金属層33上に形成される。第3金属層35は、例えば、アルミニウム層(Al)であり、スパッタ法を用いて形成される。
【0077】
続いて、半導体基板100の裏面側を研削し、所定の厚さの第5半導体層19を形成する。さらに、第1電極20を第5半導体層19の裏面上に形成し、半導体装置1を完成させる。第1電極20は、例えば、ニッケル、アルミニウム等を含む金属層である。
【0078】
上記の製造方法は例示であり、実施形態は、これに限定される訳ではない。例えば、第3絶縁膜45は、シリコン酸化膜であっても良い。
【0079】
例えば、第1絶縁膜41、第2絶縁膜43および第3絶縁膜45は、製造方法が異なるシリコン酸化膜である。第1絶縁膜41は、例えば、熱酸化により形成され、シリコンの未結合手が最も少ない膜密度の高い酸化膜である。第2絶縁膜43および第3絶縁膜45は、それぞれ、CVD、HDP(High Density Plasma)、HARP(High Aspect Ratio Process)のうちの1つを用いて形成される。これらの製造方法を用いたシリコン酸化膜は、例えば、水素原子で終端されたシリコンの未結合手を含む。このため、第2絶縁膜43および第3絶縁膜45は、熱酸化により形成されるシリコン酸化膜に比べて低い膜密度を有する。結果として、第1絶縁膜41、第2絶縁膜43および第3絶縁膜45は、相互に膜密度が異なるシリコン酸化膜となる。
【0080】
例えば、第2絶縁膜43の膜密度は、第1絶縁膜41の膜密度よりも低く、第3絶縁膜45よりも高い。また、第3絶縁膜45の膜密度は、第1絶縁膜41の膜密度よりも低く、第2絶縁膜43の膜密度と同じ、もしくは、第2絶縁膜43の膜密度よりも高くなるように形成しても良い。「膜密度」の違いは、例えば、RBS(Rutherford Backscattering)もしくはXRR(X-ray Reflection)などを用いて検出できる。また、HAADF-STEM(High Angle Annular Dark-Field Scanning Transmission Electron Microscopy)像のコントラストの違いにより「膜密度」の違いを検出することもできる。
【0081】
第3絶縁膜45として、BPSG膜を用いた場合、シリコン酸化膜中の可動イオン、例えば、ナトリウム(Na)をゲッタリング(捕獲)すること可能となり、半導体装置1の信頼性を向上させる。
【0082】
例えば、第4絶縁膜55は、第1電極20に近いトレンチTRの底部において、高い絶縁耐圧を得るために厚く形成される。第4絶縁膜55を、例えば、熱酸化を用いて形成すると、膜中の応力に起因したウェーハの反りが大きくなる。これを回避するために、第4絶縁膜55には、例えば、CVDを用いて形成したシリコン酸化膜を用いるか、熱酸化により形成されるシリコン酸化膜と、CVDにより形成されるシリコン酸化膜と、を積層した2層構造を用いる。しかしながら、CVDを用いて形成されるシリコン酸化膜は、Naイオンを含み、その膜厚が厚くなるほど膜中に含まれるNaの量が多くなる。
【0083】
実施形態に係る半導体装置1は、制御電極40の第1制御部40Aと第2制御部40Bとの間に延在する第3絶縁膜45(BPSG膜)を含む。このBPSG膜は、第2絶縁膜43を介して、第4絶縁膜55に近接するように設けられる。このため、BPSG膜によるNaイオンのゲッタリング効率を向上させ、第4絶縁膜55中のNaイオンのゲート絶縁膜へ移動を抑制できる。その結果、半導体装置1の特性変動を抑制し、信頼性を向上させることができる。
【0084】
図14(a)および(b)は、実施形態の変形例に係る製造方法を示す模式断面図である。図14(a)および(b)に示す製造過程は、図9(a)~図11(a)に示す製造過程に代えて実施される。
【0085】
図14(a)に示すように、導電膜110を形成する。導電膜110は、第1絶縁膜41、第3スペースSP3(図9(a)参照)に露出された第4絶縁膜55および第5絶縁膜57を覆うように形成される。導電膜110は、例えば、導電性を有するポリシリコン膜である。導電膜110は、トレンチTRの上部に、第4スペースSP4を残すように形成される。
【0086】
図14(b)に示すように、トレンチTRの壁面上に形成された部分を残して、導電膜110を選択的に除去する。導電膜110は、例えば、異方性RIEを用いて除去される。導電膜110のトレンチTRの壁面上に残された部分は、制御電極40の第1制御部40Aおよび第2制御部40Bとなる。第1制御部40Aおよび第2制御部40Bは、それぞれ、第1絶縁膜41を介して、第1半導体層11に向き合うように形成される。また、第1制御部40Aおよび第2制御部40Bは、トレンチTRの壁面に対して傾斜した上端を有するように形成される。
【0087】
さらに、第2半導体層13を第1半導体層11の上に形成する。第2半導体層13は、第1半導体層11上の第1絶縁膜41を通してイオン注入された第2導電形不純物を、熱処理により活性化させ、拡散させることにより形成される。第1半導体層11と第2半導体層13との境界は、第1制御部40Aおよび第2制御部40Bのそれぞれと第4絶縁膜55との境界のレベルよりも上に位置するように形成される。第2半導体層13は、第1絶縁膜41を介して、第1制御部40Aおよび第2制御部40Bに向き合うように形成される。
【0088】
図15は、実施形態の変形例に係る半導体装置2を示す模式断面図である。半導体装置2は、半導体装置1と同じトレンチゲート構造を有する。
【0089】
図15に示すように、半導体装置2の第2電極30は、第1金属層31と、第2金属層34と、第3金属層35と、を含む。第1金属層31は、第3絶縁膜45上に設けられ、コンタクトトレンチCT(図13(a)参照)の内面を覆う。
【0090】
第2金属層34は、コンタクトトレンチCTを埋め込むように設けられる。第2金属層34は、例えば、CVDを用いて形成されるタングステン層である。第2金属層34は、コンタクトトレンチCTを埋め込んだ部分を残して除去される。第3金属層35は、第1金属層31および第2金属層34の上に設けられる。この例では、第3金属層35は、第3絶縁膜45上に設けられた第1金属層31に接する。
【0091】
実施形態に係る半導体装置1および2では、第3電極50の上端を制御電極40の下端のレベルよりも下に設けることにより、制御電極40から第3電極50に至る距離を長くすることができる。これにより、ゲート・ソース間の寄生容量を低減し、スイッチング速度を速くすることができる。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0093】
1、2…半導体装置、 10…半導体部、 11…第1半導体層、 13…第2半導体層、 15…第3半導体層、 17…第4半導体層、 19…第5半導体層、 20…第1電極、 30…第2電極、 30cf、30cp、60cg…コンタクト部、 31、61…第1金属層、 33、34、63…第2金属層、 35、65…第3金属層、 40…制御電極、 40A…第1制御部、 40B…第2制御部、 41…第1絶縁膜、 43…第2絶縁膜、 45…第3絶縁膜、 50…第3電極、 50ea、50eb、50ec…延伸部、 55…第4絶縁膜、 57…第5絶縁膜、 59…第6絶縁膜、 60…配線、 100…半導体基板、 105、110…導電膜、 115…エッチングマスク、 115s…開口、 CT…コンタクトトレンチ、 SP1、SP2、SP3、SP4…スペース、 TR…トレンチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15