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特許7490606アミン含有水濃縮システム及び装置並びに二酸化炭素回収システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】アミン含有水濃縮システム及び装置並びに二酸化炭素回収システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/14 20060101AFI20240520BHJP
   B01D 53/96 20060101ALI20240520BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20240520BHJP
   B01D 53/18 20060101ALI20240520BHJP
   B01D 61/00 20060101ALI20240520BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20240520BHJP
   C02F 1/44 20230101ALI20240520BHJP
【FI】
B01D53/14 220
B01D53/96
B01D53/62 ZAB
B01D53/18 150
B01D61/00 500
B01D53/78
C02F1/44 F
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021048952
(22)【出願日】2021-03-23
(65)【公開番号】P2022147624
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 昭子
(72)【発明者】
【氏名】今田 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】佐野 健二
(72)【発明者】
【氏名】半田 優介
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-100623(JP,A)
【文献】特開2012-223681(JP,A)
【文献】特開2018-202274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/14-18、62、34-85、96
B01D 61/00-58
C01B 32/50
C02F 1/44
C07B 63/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミンを含有する被処理水を濃縮するシステムであって、
処理容器と、前記処理容器内に配置され、前記被処理水が供給される第1のチャンバ、作業媒体を収容可能な第2のチャンバ及び前記第1のチャンバと前記第2のチャンバを区画する半透膜とを含む浸透圧発生器;および
前記被処理水に二酸化炭素を導入可能な二酸化炭素導入手段;
を備え
前記作業媒体は、前記第2チャンバ内で正浸透圧を誘起する、アミン含有水濃縮システム。
【請求項2】
前記第1のチャンバ内に前記被処理水を供給するためのポンプをさらに備え、当該ポンプの最大吐出圧が1MPa以下である請求項1に記載のアミン含有水濃縮システム。
【請求項3】
前記被処理水を前記第1のチャンバに供給する流路に濾過部をさらに備える請求項1又は2に記載のアミン含有水濃縮システム。
【請求項4】
前記作業媒体は、無機塩、アミン化合物、糖類、極性転換化合物、及び下限臨界点溶液温度を持つ化合物の群から選ばれる少なくとも1つを含む請求項1~3いずれか1項に記載のアミン含有水濃縮システム。
【請求項5】
前記第1のチャンバで得られた濃縮水の浸透圧は、800mOsm以上である請求項1~4いずれか1項に記載のアミン含有水濃縮システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載のアミン含有水濃縮システムを備える二酸化炭素回収システム。
【請求項7】
吸収液補給タンクと、吸収塔と、再生塔とをさらに備える請求項6に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項8】
前記アミン含有濃縮システムにより得られる濃縮水は、前記吸収液補給タンク、前記吸収塔及び前記再生塔から選ばれる少なくとも1つに供給される請求項7に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項9】
処理容器と、
前記処理容器内に配置され、被処理水が供給される第1のチャンバ、作業媒体を収容可能な第2のチャンバ及び前記第1のチャンバと前記第2のチャンバを区画する半透膜とを含む浸透圧発生器と、
前記被処理水に二酸化炭素を導入可能な二酸化炭素導入手段と、
を備え、
前記作業媒体は、前記第2チャンバ内で正浸透圧を誘起する、アミン含有水濃縮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、アミンを含有する被処理水を濃縮するシステム及び装置、並びに二酸化炭素回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、火力発電所などの燃焼システムから排出される排ガス(燃焼排ガス)中の二酸化炭素成分は、地球温暖化の一因とされており、二酸化炭素成分の排出量の削減や、二酸化炭素成分の回収が求められている。排ガス中の二酸化炭素成分を湿式で回収する湿式回収方法としては、アルカノールアミン水溶液に類する吸収液を用いた化学吸収法が広く知られている。
【0003】
このような化学吸収法を採用する二酸化炭素回収システムは、一般に二酸化炭素の吸収部と再生部とを備えている。吸収部では、排ガスを吸収液に接触させることにより、排ガス中の二酸化炭素を吸収液中に溶解させ、排ガスから二酸化炭素を除去する。二酸化炭素を吸収した吸収液(二酸化炭素リッチ液)は、吸収部から再生部に送出され、当該再生部で二酸化炭素リッチ液を加熱することにより高濃度の二酸化炭素を放出する。二酸化炭素を放出した吸収液(リーン液)は、二酸化炭素を吸収可能な再生済みの吸収液として、再生部から吸収部に送られる。このように二酸化炭素回収システムでは、吸収液が吸収部と再生部との間を循環することにより、排ガス中の二酸化炭素を除去するとともに、吸収液が繰り返し再利用される。
【0004】
二酸化炭素回収システムにおいて、吸収部内で排ガスと吸収液が接触すると、排ガス中の二酸化炭素が吸収液に吸収されると共に、吸収液の一部が排ガスに随伴して吸収部から放出される。排ガスに随伴する吸収液成分が大気中に放散されるのを抑制するために、吸収部の後段に排ガス洗浄部(放散抑制部)に配置されている。排ガス洗浄部は、洗浄水により排ガスを洗浄して吸収液成分が二酸化炭素回収システムから外部に漏洩することを抑制する。排ガスから吸収液成分を回収した洗浄水は、再利用されるか、排水としてまたは廃棄される。
【0005】
また、再生部から放出される高濃度の二酸化炭素ガスも、吸収液成分を随伴することが知られている。このため、二酸化炭素ガスを冷却することにより、二酸化炭素ガスと共に放出された水蒸気が凝縮し、吸収液成分を含む凝縮水が排水として排出される。
【0006】
このように、排ガス洗浄部や再生部では、洗浄水の排水や、凝縮水としての排水が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-202274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
二酸化炭素回収システムの排水はアミン化合物を含むため、そのまま放流できず、多大な排水処理コストが必要になる。
【0009】
本発明の実施形態は、前記排水中の、二酸化炭素と反応する有用アミンを濃縮し、吸収液として再利用すること、アミン化合物を含む排水量を低減にすることが可能なアミン含有濃縮システム及び当該アミン含有濃縮システムを備えた二酸化炭素回収システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態によると、アミンを含有する被処理水を濃縮するシステムであって、処理容器と、処理容器内に配置され、被処理水が供給される第1のチャンバおよび正浸透圧を誘起する作業媒体が供給される第2のチャンバを区画する半透膜とを含む浸透圧発生器、および第1のチャンバ内の被処理水に二酸化炭素を導入するための二酸化炭素導入手段を備えるアミン含有水濃縮システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1の実施形態のアミン含有水濃縮システムを示す概略図である。
図2図2は、第2の実施形態のアミン含有水濃縮システムを示す概略図である。
図3図3は、第3の実施形態のアミン含有水濃縮システムを示す概略図である。
図4図4は、第4の実施形態のアミン含有水濃縮システムを示す概略図である。
図5図5は、第5の実施形態の二酸化炭素回収システムを示す概略図である。
図6図6は、第6の実施形態の二酸化炭素回収システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。特段の断りがなければ、pHや他の測定により得られる値は大気圧、25℃で測定した値である。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態のアミン含有水濃縮システムを示す概略図である。
【0014】
第1の実施形態に係るアミン含有水濃縮システム1は、浸透圧発生器10を備えている。浸透圧発生器10は、処理容器11と、処理容器11内に配置される第1のチャンバ12及び第2のチャンバ13と、第1のチャンバ12及び第2のチャンバ13を区画する半透膜14とを含む。
【0015】
処理容器11の第1のチャンバ12は、被処理水を収容可能であり、被処理水が供給される。処理容器11の第2のチャンバ13は、作業媒体を収容可能である。
【0016】
浸透圧発生器10の前段には、二酸化炭素導入手段21が配置されている。アミンを含有する被処理水を導入するための流路31は、二酸化炭素導入手段21に接続されている。二酸化炭素導入手段21は、流路32により第1のチャンバ12が位置する処理容器11に接続されている。第1のチャンバ12が位置する処理容器11には、第1のチャンバ12内に生成された濃縮水を排出するための流路33が接続されている。生成された濃縮水にはアミン化合物が含まれる。本明細書では、アミン化合物を単にアミンと称する場合もある。第2のチャンバ13が位置する処理容器11には、第2のチャンバ13内に作業媒体を送出するための流路34が接続されている。第2のチャンバ13が位置する処理容器11には、第2のチャンバ13内の作業媒体を排出するための流路35が接続されている。
【0017】
半透膜14は、正浸透膜、又は逆浸透膜である。半透膜14は、例えば平膜、中空糸、チューブラタイプでもよい。半透膜14の形状は特に問わないが、例えばスパイラル型、プレート&フレーム型、ストレート型、クロスワインド型が挙げられる。半透膜14に用いられる正浸透膜の断面は、支持層と活性層が一体化した構造を有し、水を選択的に透過する。素材は特に限定されないが、例えば酢酸セルロース、ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリスルホン及びポリベンゾイミダゾル等から形成されることが好ましい。
【0018】
半透膜14に用いられる逆浸透膜は、支持層と活性層を有し、水を選択的に透過する。素材は特に限定されないが、例えば、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリスルホンポリオレフィン、ポリフッ化ビニリデン等から形成されることが好ましい。
【0019】
二酸化炭素導入手段21は、被処理水に二酸化炭素を溶解させる機能を有すれば、形態を問わない。つまり二酸化炭素を導入可能というのは、被処理水に二酸化炭素を溶解させる、含ませる機能を有することである。二酸化炭素を導入させるとは、例えば二酸化炭素を含むガスで満たされたタンク内に被処理水をいれ、二酸化炭素と被処理水を接触させることや、被処理水に対して、二酸化炭素をバブリングすることや、二酸化炭素を圧入して溶解させることである。二酸化炭素導入手段21は、例えば、二酸化炭素を含むガスが満たされたタンク、二酸化炭素を含むガスをバブリングする装置、又は被処理水に二酸化炭素を圧入して溶解する装置等を挙げることができる。また、二酸化炭素導入手段21から導入するガス中の二酸化炭素の体積濃度は、処理速度の観点から高濃度であることが好ましく、5%から100%が好ましく、より好ましくは10%から100%である。
【0020】
図1では、二酸化炭素導入手段21と第1のチャンバ12は流路32により接続されているが、第1のチャンバに直接二酸化炭素を吹き込むなどして、被処理水に二酸化炭素を溶解させてもよい。この場合、流路32は省略され、二酸化炭素導入手段は第1のチャンバ12と一体化している。
【0021】
第1の実施形態に係るアミン含有水濃縮システムによるアミンを含有する被処理水の濃縮操作を説明する。
【0022】
被処理水は、流路31を通して二酸化炭素導入手段21に導入され、ここで被処理水に二酸化炭素が溶解される。二酸化炭素が溶解した、アミンを含有する被処理水は浸透圧発生器10の半透膜14で区画された第1のチャンバ12に流路32を通して供給される。被処理水が第1のチャンバ12に供給されることに前後して、作業媒体を第2のチャンバ13に流路34を通して供給する。このとき、第2のチャンバ13に供給された作業媒体は第1のチャンバ12内に供給された被処理水のアミンの濃度に比べてイオンのモル濃度が高い。このため、第1のチャンバ12内の被処理水と第2のチャンバ13内の作業媒体との間で浸透圧差が生じ、被処理水中の水が半透膜14を透過して第2のチャンバ13内の作業媒体に移動する。このような被処理水中の水が半透膜14を透過した透過水の移動により、第1のチャンバ12内の被処理水は濃縮される。流路33と流路32を接続し、第1のチャンバ12内を循環させることで、より高濃縮することも可能である。他方、第2のチャンバ13内の作業媒体は移動された透過水により希釈され、流路35を通して外部に排出される。流路35と流路34を接続し、第2のチャンバ13内に作業媒体を循環させる運転も可能である。
【0023】
二酸化炭素導入手段21により二酸化炭素が溶解した、アミンを含有する被処理水のpHは6~9の範囲に調整することが好ましい。また、半透膜14の耐久性の観点から、被処理水のpHは7~8に調整することがより好ましい。
【0024】
作業媒体は、第2のチャンバ13内で正浸透圧を誘起することができる。例えば無機塩、アミン化合物、糖類、極性転換化合物および下限臨界点溶液温度(Lower Critical Solution Temperature;LCST)を持つ化合物から選ばれる少なくとも1つの化合物を含む媒体を用いることができる。これらの化合物は、低分子であっても、高分子であってもよい。作業媒体は、海水のような種々の塩の混合溶液を用いてもよい。作業媒体は、水溶液の形態であってもよく、ナノサイズの粒状体、ゲル状体の形態をとってもよい。海水を用いる場合は、海から直接第2のチャンバに供給してもよい。
【0025】
第1の実施形態によれば、アミンを含有する被処理水は二酸化炭素導入手段21により二酸化炭素が導入される。被処理水中のアミン化合物の一部は、導入された二酸化炭素と反応する、有用なアミン化合物である。一般的に25℃、大気下、及び酸解離定数pKa=7以上の条件下において、二酸化炭素と反応したアミン化合物は、重炭酸をカウンターイオンとする陽イオンとなるか、又は二酸化炭素が付加してカルバメート体になることが知られている。すなわち、被処理水中のアミン化合物のうち、二酸化炭素と反応したアミン化合物は電離して電荷を帯びる。一方で、被処理水中のアミン化合物のうち、二酸化炭素と反応しない、不用なアミン化合物である。この不用なアミン化合物は、前述の条件の下で電荷を帯び難い。
【0026】
このような有用なアミン化合物及び不用なアミン化合物を含む被処理水を第1の実施形態に係るアミン含有水濃縮システムに適用した場合、有用なアミン化合物は二酸化炭素導入手段21から導入された二酸化炭素と反応して電荷を帯び、不用なアミン化合物は導入された二酸化炭素と反応せず、電荷を帯び難い。二酸化炭素が導入された有用なアミン化合物及び不用なアミン化合物を含む被処理水を浸透圧発生器10の第1のチャンバ12に送出すると共に、作業媒体を第2のチャンバ13に送出した場合、有用なアミン化合物は電荷を帯びているため、半透膜14に対して反発力が生じて半透膜14を透過し難くなり、被処理水に留まり易くなる。被処理水の不用なアミン化合物は、電荷が帯び難いため、半透膜14を透過し易くなり、半透膜14を透過して第2のチャンバ13の作業媒体に移動しやすい。
【0027】
その結果、浸透圧発生器10の第1のチャンバ12から排出された被処理水は、第1のチャンバ12に導入される前の被処理水と比較して水及び不用なアミン化合物の含有量は少なく、有用なアミン化合物の含有量が維持される。すなわち、第1のチャンバ12内の被処理水は、有用なアミン化合物の含有量が相対的に増加して濃縮された状態で排出することが可能になる。
【0028】
なお、二酸化炭素と反応しない、不用なアミン化合物は、例えば、1-ニトロソピペリジン、1、4-ジホルミルピペラジン、バイシン、2,5-ピロリジンジオン、等が挙げられる。他方、二酸化炭素と反応する、有用なアミン化合物は例えばアルカノールアミン類、環状アミン類及びジアミン類などが挙げられる。
【0029】
前述したように第1の実施形態に係るアミン含有水濃縮システム1は、電荷を帯びた化合物と電荷を帯びていない化合物との間で膜透過性に差を生じる、半透膜14の性質を利用することによって、被処理水に含有されるアミン化合物のうち二酸化炭素と反応する有用なアミン化合物を選択的に濃縮することができる。
【0030】
また、第1の実施形態に係るアミン含有水濃縮システム1において、半透膜14に正浸透膜を備えた浸透圧発生器10は、より低圧で運転することが可能である。そのような条件下であっても、上述の半透膜14の性質、及び作業媒体に誘起された浸透圧によって、アミンを含有する被処理水の高濃縮化を達成することができる。低圧で運転する正浸透膜法は、逆浸透膜と比べて薄い支持層とルーズな活性層構造を有する正浸透膜を用いることができる。逆浸透膜でも、正浸透現象は生じるが、同じ流束で運転する際は、正浸透膜のほうが逆浸透膜よりも効率よくアミンを回収することができる。
【0031】
発明者らは、半透膜を用いると二酸化炭素を吸収するアミンと二酸化炭素を吸収しないアミンの膜透過速度が異なることを見出した。それゆえ、半透膜を用いることで、二酸化炭素を吸収するアミンと二酸化炭素を吸収しないアミンを分けることができ、25℃において800mOsm以上の浸透圧を示す有用なアミンを含む濃縮水を得ることができる。
【0032】
さらに、第1の実施形態に係るアミン含有水濃縮システム1から得られた濃縮水には、二酸化炭素と反応し得る有用なアミン化合物、すなわち二酸化炭素の回収能を有するアミン化合物が多く濃縮されているため、当該濃縮水は後述の第5、第6の実施形態に係る二酸化炭素回収システムにおける吸収液として再利用することができる。
【0033】
第1の実施形態に係るアミン含有水濃縮システム1は、複数の浸透圧発生器10を備える構成にしてもよい。複数の浸透圧発生器10の配置形態は、直列型、もしくは並列型、その混合型を採用することができる。
【0034】
第1の実施形態では第2のチャンバ13に作業媒体を供給したが、これに限定されず、第2のチャンバは作業媒体を収容可能であればよい。つまり、第2のチャンバは、第2のチャンバに作業媒体を送出する流路34と必ずしも接続する必要はない。また、第2のチャンバ内に作業媒体を後述する作業媒体再生装置と接続されていてもよいし、接続されなくともよい。
【0035】
以上説明した第1の実施形態に係るアミン含有水濃縮システムは、ひとつの装置としてもよい。つまり、アミン含有水濃縮装置として、処理容器と、処理容器内に配置され、被処理水が供給される第1のチャンバ、作業媒体を収容可能な第2のチャンバ及び第1のチャンバと第2のチャンバを区画する半透膜とを含む浸透圧発生器と、被処理水に二酸化炭素を導入可能な二酸化炭素導入手段と、を備えてもよい。
【0036】
(第2の実施形態)
図2は、第2の実施形態のアミン含有水濃縮システム1を示す概略図である。図2において、第1の実施形態で説明した図1と同様な部材は、同符号を付して説明を省略する。
第2の実施形態に係るアミン含有水濃縮システム1において、二酸化炭素導入手段21と第1のチャンバ12を繋ぐ流路32にはポンプ22が介装されている。ポンプ22は、二酸化炭素導入手段21により二酸化炭素を溶解させた被処理水を、流路32を通して浸透圧発生器10の第1のチャンバ12に送出する際、当該被処理水を昇圧する機能を有する。
【0037】
ポンプ22により被処理水を昇圧する圧力は、比較的低い圧力に設定することが好ましい。そのため、例えば最大吐出圧力を1MPa以下に設定することが好ましい。
【0038】
第2の実施形態によれば、二酸化炭素が導入された、アミンを含有する被処理水をポンプ22で昇圧して第1のチャンバ12に導入することによって、第1のチャンバ12内の被処理水中の水を半透膜14から第2のチャンバ13により効率的に透過させることができる。
【0039】
(第3の実施形態)
図3は、第3の実施形態のアミン含有水濃縮システム1を示す概略図である。図3において、第1実施形態で説明した図1と同様な部材は、同符号を付して説明を省略する。
【0040】
第3の実施形態に係るアミン含有水濃縮システム1は、被処理水の固形物を濾過する濾過部23が第1の流路31に介装されている。
【0041】
このような第3の実施形態に係るアミン含有水濃縮システム1によれば、被処理水の含まれる固形物を濾過部23で除去でき、より清浄な被処理水を浸透圧発生器10の第1のチャンバ12に送出することができるため、膜のメンテナンス頻度を減らすことができる。
【0042】
第3の実施形態では、第2の実施形態で説明したポンプを備えてもよい。
【0043】
(第4の実施形態)
図4は、第4の実施形態に係るアミン含有水濃縮システム1を示す概略図である。図4において、第1の実施形態で説明した図1と同様な部材は、同符号を付して説明を省略する。
【0044】
第4の実施形態に係るアミン含有水濃縮システム1は、作業媒体再生装置24をさらに備える。作業媒体再生装置24は、流路34により浸透圧発生器10の第2のチャンバ13が位置する処理容器11に接続されている。第2のチャンバ13が位置する処理容器11は、流路35により作業媒体再生装置24に接続されている。すなわち、作業媒体は作業媒体再生装置24、流路34、第2のチャンバ13及び流路35を流れ、再び、作業媒体再生装置24に戻る、作業媒体循環系を形成している。
【0045】
作業媒体再生装置24は、第1のチャンバ12の被処理水の水が半透膜14を透過して移動することにより希釈された作業媒体が循環され、当該作動媒体の水を分離して高濃度の作業媒体を再生することができる。作業媒体として例えば温度応答性、磁場応答性、電場応答性、pH応答性、揮発性、及びCO応答性などの刺激応答性を有するものを使用した場合、作業媒体再生装置24は、希釈された作業媒体に刺激を加えることによって、作業媒体中の水を分離し、第6の流路36を通して除去し、再生する構成であってもよい。また、作業媒体再生装置24は、例えば膜蒸留法等を利用して希釈された作業媒体中の水を除去して高濃度の作業媒体に再生する構成であってもよい。流路36から排出された水をCCUS(Carbon Capture Utility System)プラント内の水補給タンク等に戻し、再利用しても良い。
【0046】
このような第4の実施形態によれば、作業媒体循環系において作業媒体再生装置24から作業媒体を第4の流路34を通して第2のチャンバ13に供給することにより、第1のチャンバ12の被処理水の水を半透膜14から透過し、その水により希釈された作業媒体を第5の流路35を通して作業媒体再生装置24に送出し、ここで、水を除去して高濃度の作業媒体に再生する。再生した作業媒体は、第4の流路34を通して第2のチャンバ13に循環させ、再利用する。
【0047】
従って、作業媒体の使用量及び廃棄量を低減して低コスト化を達成したアミン含有水濃縮システム1を実現できる。
【0048】
なお、第4の実施形態において、第6の流路36から回収した透過水中に混入した少量の作業媒体を除去するための浄化装置(図示せず)を例えば第6の流路36に介装してもよい。このようにして透過水の純度を高めることができる。除去した作業媒体は、第2のチャンバ13もしくはその流路に戻されることが好ましい。作業媒体は、透過水への混入によって循環の過程で徐々に減少し、減少分を補填しなくてはならないため、回収して繰り返し使用することが好ましい。浄化装置は、作業媒体の性質に合わせた構成であることが好ましい。この浄化装置を導入することにより、作業媒体の回収率を高めることができる。
【0049】
第4の実施形態では、第2の実施形態で説明したポンプや、第3の実施形態で説明した濾過部を備えてもよい。
【0050】
(第5の実施形態)
第5の実施形態に係る二酸化炭素回収システムについて図5を参照して詳細に説明する。
【0051】
図5は、第5の実施形態に係る二酸化炭素回収システムの概略図である。二酸化炭素回収システム40は、上部に図示しない液分散器を有する吸収塔50及び再生塔60と、アミン含有水濃縮システム70とを備えている。
【0052】
吸収塔50の下部付近には、排ガス導入流路101が接続されている。吸収液補給タンク51は、流路102により吸収塔50の下部付近で排ガス導入流路101の接続部より上方に接続され、吸収液補給タンク51内の吸収液が当該流路102を通して吸収塔50内に送出される。流路103は、一端が吸収塔50の下部に接続され、他端が再生塔60の図示しない第2の液分散器に接続されている。吸収塔50の下部に貯留された二酸化炭素リッチ液は、当該流路103を通して再生塔60の上部に送出される。流路103には、熱交換器52が介装されている。
【0053】
吸収塔50の頂部は、流路104により放散抑制部53に接続され、吸収塔50内の吸収液を随伴する二酸化炭素脱離ガスが当該流路104を通して放散抑制部53に送出される。放散抑制部53では、二酸化炭素脱離ガスに随伴する吸収液成分(アミン)が環境中に放散するのを回避するために洗浄水で洗浄される。このため、放散抑制部53にはアミンを含有する洗浄水(後述する被処理水)が一時貯留される。また、放散抑制部53の処理済みガスは、流路105から系外に放出される。
【0054】
再生塔60は、リボイラー61の熱により加温され、流路103から送出された二酸化炭素リッチ液は二酸化炭素を放出する。流路108は、一端が再生塔60の下部に接続され、他端が吸収塔50の図示しない液分散器が接続されている。再生塔60の下部に貯留された二酸化炭素リーン液は、当該流路108を通して吸収塔50の上部の液分散器(図示せず)に送出される。流路108は、熱交換器52を通過する流路103と交差している。
【0055】
再生塔60の頂部は、流路109によりガス精製部62に接続されている。再生塔60内の脱離された二酸化炭素は、流路109を通してガス精製部62に送出され、ここで、脱離された二酸化炭素が精製される、精製された二酸化炭素は、流路110を通して図示しない二酸化炭素回収部に回収される。
【0056】
アミン含有水濃縮システム70は、浸透圧発生器71を備える。浸透圧発生器71は、処理容器72内に配置され、第1のチャンバ73および正浸透圧を誘起する作業媒体を収容可能な第2のチャンバ74と、第1のチャンバと第2のチャンバを区画する半透膜75とを含む。
【0057】
放散抑制部53は、流路111により洗浄水貯留タンク76に接続され、放散抑制部53内のアミンを含有する洗浄水(被処理水)が流路111を通して洗浄水貯留タンク76に送出される。洗浄水貯留タンク76は、流路112により被処理水タンク77に接続され、かつ、流路118により吸収液補給タンク51と接続されている。被処理水タンク77は流路113により浸透圧発生器71の第1のチャンバ73が位置する処理容器72に接続されている。また、この被処理水タンク77は、二酸化炭素導入手段を含む。すなわち、洗浄水貯留タンク76内の洗浄水(被処理水)は、吸収液として吸収液補給タンク51に供給される一方で、その一部は被処理水タンク77において二酸化炭素導入手段によって二酸化炭素が導入されたのち、第1のチャンバ73に送出される。被処理水タンク77の二酸化炭素導入手段は、第1の実施形態で説明したものと同様のものを用いることができる。第1のチャンバ73が位置する処理容器72は、流路114により被処理水タンク77に接続されている。第1のチャンバ73内の、水を半透膜75から第2のチャンバ74に透過した濃縮水は、流路114を通して被処理水タンク77へと返送(循環)され、流路121を通して洗浄水貯留タンク76に返送される。
【0058】
高濃度の作業媒体(例えば海水)が収容された作業媒体収容タンク78は、流路115により第2のチャンバ74が位置する処理容器72に接続され、作業媒体収容タンク78内の作業媒体は流路115を通して第2のチャンバ74に送出される。第2のチャンバ74が位置する処理容器72は、流路116が接続され、第2のチャンバ74の、水の透過により希釈された作業媒体が流路116から系外に排出される、つまりかけ流しされる。また、高濃度の作業媒体は流路117から作業媒体収容タンク78に補給される。
【0059】
次に、第5の実施形態に係る二酸化炭素回収システムの操作手順を説明する。
【0060】
排ガスは、排ガス導入流路101を通して吸収塔50の下部付近から導入される。吸収液(アミン含有水)が不足した場合は、吸収液補給タンク51から流路102を通して吸収塔50の下部付近から供給される。また、吸収液は吸収塔50上部の液分散器(図示せず)から散布され、吸収塔50内を上昇する排ガス中の二酸化炭素と接触して反応し、吸収液中の大部分は吸収塔50の下部に二酸化炭素リッチ液として貯留される。二酸化炭素リッチ液は、熱交換器52が介装された流路103を通して再生塔60の上部に送出される。
【0061】
吸収塔50の頂部からは、二酸化炭素脱離ガスが流路104を通して放散抑制部53に送出される。二酸化炭素脱離ガスは、吸収液の一部が随伴する。このため、放散抑制部53では吸収液成分が環境中に放散しないように、洗浄水で洗浄される。洗浄後の洗浄水は、吸収液成分を含むため、後述するように吸収液として再利用される。
【0062】
再生塔60の上部に送出された二酸化炭素リッチ液は、リボイラー61の熱により加温され、流路103から送出された二酸化炭素リッチ液は二酸化炭素を放出し、吸収液として再生される。この吸収液は二酸化炭素リーン液として再生塔の下部に貯留され、熱交換器52と交差接続された流路108を通して吸収塔50の液分散器に循環され、前述した排ガス中の二酸化炭素の吸収に利用される。なお、熱交換器52は流路103に流れる二酸化炭素リッチ液を流路108に流れる加熱された二酸化炭素リーン液で加熱するとともに、二酸化炭素リーン液自身を冷却する働きをなす。また、再生塔60内の二酸化炭素は、流路109を通してガス精製部62に送出され、ここで精製された後、流路110を通して、図示しない二酸化炭素回収部に回収される。
【0063】
放散抑制部53の吸収液成分(アミン化合物)を含む洗浄水は、被処理水として洗浄水貯留タンク76に送出して貯留する。
【0064】
洗浄水貯留タンク76内の被処理水は、流路112を通して二酸化炭素導入手段を含む被処理水タンク77に導入され、ここで被処理水に二酸化炭素が溶解される。二酸化炭素を溶解させた、アミンを含有する被処理水は、浸透圧発生器71の半透膜75で区画された第1のチャンバ73に流路113を通して供給される。被処理水の供給と前後して、作業媒体収容タンク78から高濃度の作業媒体を第2のチャンバ74に流路115を通して供給する。このとき、第2のチャンバ74に供給された作業媒体の濃度は、第1のチャンバ73内に供給された被処理水のアミンの濃度に比べてイオンモル濃度が高い。このため、第1のチャンバ73内の被処理水と第2のチャンバ74内の作業媒体との間で浸透圧差が生じ、被処理水中の水が半透膜75を透過して第2のチャンバ74内の作業媒体側に移動する。このような透過水の移動により、第1のチャンバ73内の被処理水は濃縮され、流路114を通して被処理水タンク77に循環される。他方、第2のチャンバ74内の作業媒体は移動された透過水により希釈され、流路116を通して外部に排出される。なお、作業媒体収容タンク78内の作業媒体の容量が減少した場合、流路117を通して高濃度の作業媒体を作業媒体収容タンク78に補給する。
【0065】
このように洗浄水貯留タンク76に貯留したアミンを含有する洗浄水を被処理水として用い、二酸化炭素導入手段を含む被処理水タンク77において被処理水に二酸化炭素を導入し、その被処理水を浸透圧発生器71に供給してアミンを濃縮する過程において、第1の実施形態で説明したのと同様、浸透圧発生器71の第1のチャンバ73から洗浄水貯留タンク76に循環される被処理水は、第1のチャンバ73に導入される前の被処理水と比較して水及び不用なアミン化合物の含有量は低減するが、有用なアミン化合物の含有量は維持される。すなわち、第1のチャンバ73内の被処理水は有用なアミン化合物の含有量が相対的に増加して濃縮された状態で被処理水タンク77に戻される。二酸化炭素導入手段を含む被処理水タンク77と浸透圧発生器71の間で循環され、被処理水中の有用なアミン化合物が十分に濃縮された濃縮水は、被処理水タンク77から流路118121を通して、洗浄水貯留タンク76に返送される。アミン含有水濃縮システム70により、その一部が濃縮された洗浄水貯留タンク76内の洗浄水は、例えば吸収液補給タンク51に送出され、吸収液として再利用される。
【0066】
従って、第5の実施形態によれば吸収塔50の頂部から吸収液の一部が随伴する二酸化炭素脱離ガスを放散抑制部53に送出し、ここで吸収液成分(アミン)を水で洗浄し、その洗浄水を排水処理して系外に排出せずに、被処理水として二酸化炭素導入手段を含む被処理水タンク77と浸透圧発生器71の間で濃縮、循環させることによって、吸収塔50の排ガス処理の吸収液として再利用することができる。その結果、アミンを含む洗浄水の排水処理設備を省略できると同時に、吸収液は再利用されるため、経済性の高い二酸化炭素回収システムを提供できる。
【0067】
なお、第5の実施形態は、濃縮した被処理水を被処理水タンク77から洗浄水貯留タンク76へと返送し、洗浄水貯留タンク76から吸収液補給タンク51に送出する形態に限定されない。例えば、濃縮した被処理水を被処理水タンク77から直接、吸収液補給タンク51に送出する形態をとってもよい。洗浄水貯留タンク76内の未濃縮の洗浄水と混合されないため、より高濃度のアミンを含む濃縮水を吸収液補給タンク51に供給できる。また、濃縮した被処理水を洗浄水貯留タンク76から吸収塔50上部の図示しない液分散器又は再生塔60の上部に送出することで、吸収液として再利用する形態であってもよい。
【0068】
第5の実施形態において、第2の実施形態と同様に、二酸化炭素導入手段を含む被処理水タンク77と浸透圧発生器71の第1のチャンバ73とを繋ぐ流路113にポンプを介装したり、第3の実施形態と同様に、洗浄水貯留タンク76と被処理水タンク77とを繋ぐ流路112に濾過部を介装したりしてもよい。ポンプは、最大吐出圧を1MPa以下に設定することが好ましい。
【0069】
(第6の実施形態)
第6の実施形態に係る二酸化炭素回収システムについて図6を参照して詳細に説明する。
【0070】
図6は、第6の実施形態に係る二酸化炭素回収システムを示す概略図である。なお、図6において、第5の実施形態で説明した図5と同様な部材は、同符号を付して説明を省略する。
【0071】
図6に示す第6の実施形態に係る二酸化炭素回収システム40は、作業媒体収容タンク78の代わりに作業媒体再生装置79を備える。作業媒体再生装置79は、流路115により浸透圧発生器71の第2のチャンバ74に接続されている。第2のチャンバ74は、流路116により作業媒体再生装置79に接続されている。すなわち、作業媒体は作業媒体再生装置79、流路115、第2のチャンバ74及び流路116を流れ、再び、作業媒体再生装置79に戻る、作業媒体循環系を形成している。
【0072】
作業媒体再生装置79は、第4の実施形態で説明した再生装置と同様、第1のチャンバ73の被処理水の水が半透膜75を透過して移動することにより希釈された作業媒体が循環され、希釈された作動媒体中の水を分離して高濃度の作業媒体を再生する。この水の分離過程で発生した水の大部分は、流路119を通して洗浄水貯留タンク76に供給され、洗浄水として利用される。なお、作業媒体再生装置79で生成された水の一部は、流路120を通して系外に排出される。作業媒体再生装置79は、例えば膜蒸留法等を利用して希釈された作業媒体中の水を除去して高濃度の作業媒体に再生する構成を有する。
【0073】
このような第6の実施形態によれば、作業媒体循環系において作業媒体を作業媒体再生装置79から流路115を通して第2のチャンバ74に供給することにより、第1のチャンバ73の被処理水の水を半透膜75から透過し、その水により希釈された作業媒体を流路116を通して作業媒体再生装置79に送出し、ここで、水を除去して高濃度の作業媒体に再生する。再生した作業媒体は、流路115を通して第2のチャンバ74に循環させ、再利用する。
【0074】
従って、第5の実施形態と同様、アミンを含む洗浄水の排水処理設備を省略でき、同時に吸収液として再利用でき、さらに作業媒体の使用量及び廃棄量を低減して低コスト化を達成した二酸化炭素回収システム40を実現できる。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
アミンを含有する被処理水を濃縮するシステムであって、
処理容器と、前記処理容器内に配置され、前記被処理水が供給される第1のチャンバ、作業媒体を収容可能な第2のチャンバ及び前記第1のチャンバと前記第2のチャンバを区画する半透膜とを含む浸透圧発生器;および
前記被処理水に二酸化炭素を導入可能な二酸化炭素導入手段;
を備えるアミン含有水濃縮システム。
[2]
前記第1のチャンバ内に前記被処理水を供給するためのポンプをさらに備え、当該ポンプの最大吐出圧が1MPa以下である[1]に記載のアミン含有水濃縮システム。
[3]
前記被処理水を前記第1のチャンバに供給する流路に濾過部をさらに備える[1]又は[2]に記載のアミン含有水濃縮システム。
[4]
前記作業媒体は、無機塩、アミン化合物、糖類、極性転換化合物、及び下限臨界点溶液温度を持つ化合物の群から選ばれる少なくとも1つを含む[1]~[3]いずれか1つに記載のアミン含有水濃縮システム。
[5]
前記第1のチャンバで得られた濃縮水の浸透圧は、800mOsm以上である[1]~[4]いずれか1つに記載のアミン含有水濃縮システム。
[6]
[1]乃至[5]のうちいずれか1つに記載のアミン含有水濃縮システムを備える二酸化炭素回収システム。
[7]
吸収液補給タンクと、吸収塔と、再生塔とをさらに備える[6]に記載の二酸化炭素回収システム。
[8]
前記アミン含有濃縮システムにより得られる濃縮水は、前記吸収液補給タンク、前記吸収塔及び前記再生塔から選ばれる少なくとも1つに供給される[7]に記載の二酸化炭素回収システム。
[9]
処理容器と、
前記処理容器内に配置され、被処理水が供給される第1のチャンバ、作業媒体を収容可能な第2のチャンバ及び前記第1のチャンバと前記第2のチャンバを区画する半透膜とを含む浸透圧発生器と、
前記被処理水に二酸化炭素を導入可能な二酸化炭素導入手段と、
を備えるアミン含有水濃縮装置。
【符号の説明】
【0076】
1…アミン含有水濃縮システム、10,71…浸透圧発生器、12,73…第1のチャンバ、13,74…第2のチャンバ、14,75…半透膜、21,77…二酸化炭素導入手段、22…ポンプ、23…濾過部、24,79…作業媒体再生装置、40…二酸化炭素回収システム、50…吸収塔、60…再生塔、76…洗浄水貯留タンク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6