(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】測定装置および測定方法、並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 7/483 20060101AFI20240520BHJP
G01S 17/10 20200101ALI20240520BHJP
G01C 3/06 20060101ALI20240520BHJP
G01S 7/497 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
G01S7/483
G01S17/10
G01C3/06 120Q
G01S7/497
(21)【出願番号】P 2021532779
(86)(22)【出願日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 JP2020025981
(87)【国際公開番号】W WO2021010175
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】P 2019130867
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】平野 広之
(72)【発明者】
【氏名】芥川 一樹
(72)【発明者】
【氏名】黒岩 達郎
(72)【発明者】
【氏名】佃 恭範
(72)【発明者】
【氏名】崎村 昇
【審査官】安井 英己
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-048810(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0081041(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0056497(US,A1)
【文献】国際公開第2017/130996(WO,A1)
【文献】米国特許第05023888(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0227315(US,A1)
【文献】特開2019-078602(JP,A)
【文献】特開2013-160769(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109031336(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48- 7/51,
G01S 17/00-17/95,
G01C 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定の対象とする距離が含まれる一定の距離幅を表す測距レンジとの間で光が往復する飛行時間の幅を測距レンジ時間として、1回の前記測距レンジ時間内でパルスの発射回数が2回以上となるレーザ光を出力させる
レーザドライバと、
前記レーザ光のパルスを発射する発射タイミングを指示する信号を生成する発射タイミング信号生成部と、
前記レーザ光が測距対象物で反射して戻ってきた反射光
を受光する複数の受光素子と、
1回目の前記測距レンジ時間が開始されたタイミングから、前記反射光におけるパルスを受光したタイミングを示すカウントコードを、1回の前記測距レンジ時間で前記発射回数に応じて出力するカウントコード出力部と、
複数の前記カウントコードのうちの特定の前記カウントコードに従って、前記測距対象物との間の距離を算出する距離算出部と
を備え
、
前記レーザ光のパルスが発射されるタイミングで、複数の前記受光素子の受光を無効とし、
それぞれの前記受光素子が無効とされたタイミングを示すカウントコードのヒストグラムが、前記発射タイミングに基づいて補正される
測定装置。
【請求項2】
前記発射タイミング信号生成部は、1回の前記測距レンジ時間内で2回以上の発射回数で発射される前記レーザ光のパルスどうしの間隔を均等とする
請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記発射タイミング信号生成部は、1回の前記測距レンジ時間内で2回以上の発射回数で発射される前記レーザ光のパルスどうしの間隔を非均等とする
請求項1に記載の測定装置。
【請求項4】
前記発射タイミング信号生成部は、1回の前記測距レンジ時間ごとに、前記レーザ光のパルスどうしの間隔を変更する
請求項1に記載の測定装置。
【請求項5】
前記発射タイミング信号生成部は、前記レーザ光のパルスどうしの間隔を、所定の乱数に基づいて変更する
請求項4に記載の測定装置。
【請求項6】
1回の前記測距レンジ時間内で前記発射回数に従って発射される前記レーザ光のパルスは、直前に発射されたパルスの反射波が受光されるより前のタイミングで、次のパルスが発射される
請求項1に記載の測定装置。
【請求項7】
前記測距レンジ時間が所定の出力回数に応じて繰り返して行われ、前記カウントコード出力部から出力される複数のカウントコードのヒストグラムを生成するヒストグラム生成部と、
前記ヒストグラム生成部により生成されたヒストグラムに対して、前記発射タイミングから求められる伝達関数に従ったフィルタ処理を施すフィルタ処理部と
をさらに備え、
前記距離算出部は、前記フィルタ処理部においてフィルタ処理が施されたヒストグラムにおいてピークを示す前記カウントコードを用いて前記測距対象物との間の距離を算出する
請求項1に記載の測定装置。
【請求項8】
1回の前記測距レンジ時間ごとに、前記レーザ光のパルスどうしの間隔が変更されている場合、
前記フィルタ処理部は、それぞれの前記測距レンジ時間ごとに発射タイミングから求められる伝達関数を求めてフィルタ処理を施した後、前記ヒストグラムをマージする
請求項7に記載の測定装置。
【請求項9】
前記フィルタ処理部が用いる伝達関数は、機械学習によって決定されたものである
請求項8に記載の測定装置。
【請求項10】
前記フィルタ処理部は、前記フィルタ処理が施されたヒストグラムにおいてピークが特定されない場合、前記レーザ光のパルスの発射回数を増加させて、前記測距レンジ時間を繰り返させる
請求項7に記載の測定装置。
【請求項11】
前記カウントコード出力部から出力される複数のカウントコードごとに、1回の前記測距レンジ時間内で発射された全てのパルスについての前記発射タイミングそれぞれを、そのカウントコードから減算した演算結果を求める演算を行う演算部と、
前記演算部により求められた複数の前記演算結果のヒストグラムを生成するヒストグラム生成部と
をさらに備え、
前記距離算出部は、前記ヒストグラム生成部が生成した前記ヒストグラムでピークを示す前記演算結果を用いて前記測距対象物との間の距離を算出する
請求項1に記載の測定装置。
【請求項12】
複数の前記カウントコード出力部を備え、
それぞれの前記カウントコード出力部は、前記発射タイミングに従ったタイミングで前記カウントコードのカウントを開始し、
前記距離算出部は、複数の前記カウントコード出力部から出力される全ての前記カウントコードを用いて生成されるヒストグラムでピークを示す前記カウントコードを用いて前記測距対象物との間の距離を算出する
請求項1に記載の測定装置。
【請求項13】
測定装置が、
測定の対象とする距離が含まれる一定の距離幅を表す測距レンジとの間で光が往復する飛行時間の幅を測距レンジ時間として、1回の前記測距レンジ時間内でパルスの発射回数が2回以上となるレーザ光を出力させる
ことと、
前記レーザ光のパルスを発射する発射タイミングを指示する信号を生成することと、
前記レーザ光が測距対象物で反射して戻ってきた反射光を
、複数の受光素子で受光することと、
1回目の前記測距レンジ時間が開始されたタイミングから、前記反射光におけるパルスを受光したタイミングを示すカウントコードを、1回の前記測距レンジ時間で前記発射回数に応じて出力することと、
複数の前記カウントコードのうちの特定の前記カウントコードに従って、前記測距対象物との間の距離を算出することと
を含
み、
前記レーザ光のパルスが発射されるタイミングで、複数の前記受光素子の受光を無効とし、
それぞれの前記受光素子が無効とされたタイミングを示すカウントコードのヒストグラムが、前記発射タイミングに基づいて補正される
測定方法。
【請求項14】
測定装置のコンピュータに、
測定の対象とする距離が含まれる一定の距離幅を表す測距レンジとの間で光が往復する飛行時間の幅を測距レンジ時間として、1回の前記測距レンジ時間内でパルスの発射回数が2回以上となるレーザ光を出力させる
ことと、
前記レーザ光のパルスを発射する発射タイミングを指示する信号を生成することと、
前記レーザ光が測距対象物で反射して戻ってきた反射光を
、複数の受光素子で受光することと、
1回目の前記測距レンジ時間が開始されたタイミングから、前記反射光におけるパルスを受光したタイミングを示すカウントコードを、1回の前記測距レンジ時間で前記発射回数に応じて出力することと、
複数の前記カウントコードのうちの特定の前記カウントコードに従って、前記測距対象物との間の距離を算出することと
を含
み、
前記レーザ光のパルスが発射されるタイミングで、複数の前記受光素子の受光を無効とし、
それぞれの前記受光素子が無効とされたタイミングを示すカウントコードのヒストグラムが、前記発射タイミングに基づいて補正される
を含む測定処理を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定装置および測定方法、並びにプログラムに関し、特に、より短時間で測定を行うことができるようにした測定装置および測定方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光の飛行時間を利用して距離を測定する技術であるTOF(Time of Flight)では、測距対象物に向かってパルス状のレーザ光を出力してから、そのレーザ光が測距対象物で反射して戻ってくる反射光のパルスが受光されるまでの時間が測定される。そして、パルス状のレーザ光を出力する処理周期を繰り返し、複数の処理周期で測定される測定値のヒストグラムを生成して、そのヒストグラムのピークを示す測定値に基づいて測距対象物までの距離が算出される。
【0003】
例えば、特許文献1には、パルス光のスキャン速度および発光周期を、パルス光が測定点を通過する時間内に、その測定点が複数回多重照射されるように設定し、複数回多重照射して得られる受光信号を蓄積して測距を実行するレーザ測定方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、予め設定されている測距周期に対応する測距期間において、パルス光を投光させるタイミングをランダムとするレーザレーダ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-60644号公報
【文献】特開2017-125682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、従来のTOFでは、1回の測距レンジに対応する時間においてパルス光の照射が1回だけ行われる。即ち、上述の特許文献1では、1測距レンジに対応する短周期T1あたりで1回のパルス光の投光が行われ、上述の特許文献2では、1測距レンジに対応するパルス光の投光周期Tmあたりで1回のパルス光の投光が行われる。
【0007】
ところで、従来のTOFよりも、より短時間で測定を行えるようにすることが求められている。
【0008】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、より短時間で測定を行うことができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一側面の測定装置は、測定の対象とする距離が含まれる一定の距離幅を表す測距レンジとの間で光が往復する飛行時間の幅を測距レンジ時間として、1回の前記測距レンジ時間内でパルスの発射回数が2回以上となるレーザ光を出力させるレーザドライバと、前記レーザ光のパルスを発射する発射タイミングを指示する信号を生成する発射タイミング信号生成部と、前記レーザ光が測距対象物で反射して戻ってきた反射光を受光する複数の受光素子と、1回目の前記測距レンジ時間が開始されたタイミングから、前記反射光におけるパルスを受光したタイミングを示すカウントコードを、1回の前記測距レンジ時間で前記発射回数に応じて出力するカウントコード出力部と、複数の前記カウントコードのうちの特定の前記カウントコードに従って、前記測距対象物との間の距離を算出する距離算出部とを備え、前記レーザ光のパルスが発射されるタイミングで、複数の前記受光素子の受光を無効とし、それぞれの前記受光素子が無効とされたタイミングを示すカウントコードのヒストグラムが、前記発射タイミングに基づいて補正される。
【0010】
本開示の一側面の測定方法またはプログラムは、測定の対象とする距離が含まれる一定の距離幅を表す測距レンジとの間で光が往復する飛行時間の幅を測距レンジ時間として、1回の前記測距レンジ時間内でパルスの発射回数が2回以上となるレーザ光を出力させることと、前記レーザ光のパルスを発射する発射タイミングを指示する信号を生成することと、前記レーザ光が測距対象物で反射して戻ってきた反射光を、複数の受光素子で受光することと、1回目の前記測距レンジ時間が開始されたタイミングから、前記反射光におけるパルスを受光したタイミングを示すカウントコードを、1回の前記測距レンジ時間で前記発射回数に応じて出力することと、複数の前記カウントコードのうちの特定の前記カウントコードに従って、前記測距対象物との間の距離を算出することとを含み、前記レーザ光のパルスが発射されるタイミングで、複数の前記受光素子の受光を無効とし、それぞれの前記受光素子が無効とされたタイミングを示すカウントコードのヒストグラムが、前記発射タイミングに基づいて補正される。
【0011】
本開示の一側面においては、測定の対象とする距離が含まれる一定の距離幅を表す測距レンジとの間で光が往復する飛行時間の幅を測距レンジ時間として、1回の測距レンジ時間内でパルスの発射回数が2回以上となるレーザ光を出力させ、そのレーザ光のパルスを発射する発射タイミングを指示する信号が生成され、レーザ光が測距対象物で反射して戻ってきた反射光が複数の受光素子で受光され、1回目の測距レンジ時間が開始されたタイミングから、反射光におけるパルスを受光したタイミングを示すカウントコードが、1回の測距レンジ時間で発射回数に応じて出力され、複数のカウントコードのうちの特定のカウントコードに従って、測距対象物との間の距離が算出される。そして、レーザ光のパルスが発射されるタイミングで、複数の受光素子の受光が無効とされ、それぞれの受光素子が無効とされたタイミングを示すカウントコードのヒストグラムが、発射タイミングに基づいて補正される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本技術を適用した測定装置の第1の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【
図2】1測距レンジ時間において2回以上の発射回数でパルス状のレーザ光を発射する処理の一例について説明する図である。
【
図3】発射タイミング情報を用いたフィルタ処理について説明する図である。
【
図4】測距処理の第1の処理例を説明するフローチャートである。
【
図5】測距処理の第2の処理例を説明するフローチャートである。
【
図6】異なる発射間隔パターンでパルス状のレーザ光を発射したときのフィルタ処理について説明する図である。
【
図7】異なる発射間隔パターンでパルスが発射される例について説明する図である。
【
図8】本技術を適用した測定装置の第2の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【
図10】演算結果のヒストグラムについて説明する図である。
【
図11】本技術を適用した測定装置の第3の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【
図12】複数のTDCから出力されるカウントコードについて説明する図である。
【
図13】複数のTDCから出力されるカウントコードのヒストグラムについて説明する図である。
【
図14】複数の受光素子を設ける変形例について説明する図である。
【
図16】歪みを補正する例について説明する図である。
【
図17】歪みを補正する例について説明する図である。
【
図18】本技術を適用したコンピュータの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【
図19】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図20】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本技術を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
<測定装置の第1の構成例>
図1は、本技術を適用した測定装置の第1の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0015】
図1に示す測定装置11は、例えば、測距対象物に向かってパルス状のレーザ光を出力してから、そのレーザ光が測距対象物で反射して戻ってくる反射光のパルスを受光するまでの時間を測定することで、測距対象物との距離を測定する。なお、
図1では、パルスが4つのレーザ光を測距対象物に対して出力しても、測距対象物との間が遠距離である場合には、破線で示す3つのパルスは戻らずに、反射光として1つのパルスが戻ってくる程度であることを表している。
【0016】
図1に示すように、測定装置11は、発射タイミング信号生成部12、レーザドライバ13、受光素子14、TDC15、ヒストグラム生成部16、フィルタ処理部17、および距離算出部18を備えて構成される。また、TDC15は、カウンタ21およびラッチ22を有している。
【0017】
発射タイミング信号生成部12は、測定装置11から出力されるレーザ光によるパルスを発射する発射タイミングを指示するTxパルス信号を生成して、レーザドライバ13に供給する。例えば、発射タイミング信号生成部12は、
図2を参照して後述するように、測定の対象とする距離が含まれる一定の距離幅を表す測距レンジとの間で光が往復する飛行時間の幅である1測距レンジ時間においてパルスの発射回数が2回以上であるレーザ光の出力を指示するTxパルス信号を生成する。そして、発射タイミング信号生成部12は、所定の出力回数に従って、1測距レンジ時間におけるパルス状のレーザ光の出力を繰り返して行う。
【0018】
また、発射タイミング信号生成部12は、1測距レンジ時間におけるカウントアップの開始を指示するカウント開始信号をTDC15のカウンタ21に供給する。さらに、発射タイミング信号生成部12は、1測距レンジ時間においてパルスが発射される発射タイミングを示す発射タイミング情報をフィルタ処理部17に供給する。
【0019】
レーザドライバ13は、発射タイミング信号生成部12から供給されるTxパルス信号に従って、図示しないレーザ発光素子を駆動し、発射タイミングに基づいてパルス状となるレーザ光を出力させる。
【0020】
受光素子14は、例えば、SPAD(single photon avalanche diode)であり、パルス状のレーザ光が測距対象物で反射して戻ってきた反射光を受光して、その反射光の波形を示すRxパルス信号を、TDC15のラッチ22に供給する。
【0021】
TDC(Time-to-Digital Conversion)15は、測定装置11から出力されたレーザ光が、測距対象物で反射して戻ってくるまでの時間をディジタル値に変換する。即ち、カウンタ21が、発射タイミング信号生成部12から供給されるカウント開始信号に従ってカウントコードのカウントアップを開始し、ラッチ22が、受光素子14から供給されるRxパルス信号が示すパルスのタイミングにおけるカウントコードを出力する。
【0022】
ヒストグラム生成部16は、TDC15のラッチ22から出力されるカウントコードを取得し、ヒストグラムを生成してフィルタ処理部17に供給する。例えば、測定装置11では、所定の出力回数に従って、1測距レンジ時間におけるパルス状のレーザ光の出力が繰り返して行われ、ヒストグラム生成部16は、パルス状のレーザ光の出力が繰り返されるたびに取得されるカウントコードのヒストグラムを生成する。
【0023】
フィルタ処理部17は、ヒストグラム生成部16から供給されるヒストグラムに対して、
図3を参照して後述するように、発射タイミング信号生成部12から供給される発射タイミング情報から求められる伝達関数に従ったフィルタ処理を施す。例えば、発射タイミング情報は、Txパルス信号に従ってパルスが発射される発射タイミングにおけるカウントコードが用いられる。ここで、フィルタ処理部17がフィルタ処理に用いる伝達関数は、例えば、機械学習によって決定してもよい。
【0024】
距離算出部18は、フィルタ処理部17においてフィルタ処理が施されたヒストグラムにおいてピークを示すカウントコードを用い、光の速度に基づいて、測距対象物までの距離を算出する。
【0025】
図2および
図3を参照して、測定装置11において行われる処理についてさらに説明する。
【0026】
図2には、カウンタ21がカウントするカウントコード、そのカウントコードを可視化した波形、パルス状のレーザ光におけるパルスのタイミングを示すTxパルス信号、および、反射光におけるパルスのタイミングを示すRxパルス信号が示されている。
【0027】
また、
図2に示す例では、カウンタ21による1カウントの時間が100p秒に設定されており、測定装置11における測定可能な測距レンジが1.5mに設定されている。従って、測距レンジが1.5mである場合、測距対象物までの距離の1回の測定に必要となる時間である1測距レンジ時間は、光が1.5mの距離を往復するのに要する10n秒となる。また、測定装置11による測距の分解能は、カウンタ21による1カウント分の時間である100p秒で光が往復する距離である1.5cmとなる。
【0028】
そして、測定装置11は、1測距レンジ時間においてパルスの発射回数が2回以上となるレーザ光を出力する。即ち、レーザ光の各パルスの間隔は、1測距レンジ時間よりも短く設定される。従って、測定装置11は、1測距レンジ時間のうちに発射される複数のパルスのうち、直前のタイミングで発射されたパルスが測距対象物で反射して戻ってきて受光されるまでの時間よりも早いタイミングで次のパルスを発射することになる。
【0029】
例えば、
図2に示すTxパルス信号は、1測距レンジ時間においてパルスの発射回数が3回のレーザ光を出力し、カウントコード0、カウントコード2、およびカウントコード5のタイミングでパルスを発射することを表している。また、
図2に示すRxパルス信号は、カウントコード50、カウントコード52、およびカウントコード55のタイミングでパルスを示す波形の反射光が受光素子14において受光されたことを表している。例えば、カウントコード0で発射されたパルスが、カウントコード50で受光されるまでの時間よりも早いカウントコード2で次のパルスが発射される。同様に、カウントコード2で発射されたパルスが、カウントコード52で受光されるまでの時間よりも早いカウントコード5で次のパルスが発射される。
【0030】
ここで、1測距レンジ時間は、測定装置11の動作周期であって、測定装置11が測定することの最大の時間または距離により設定される。例えば、1測距レンジ時間は、測定装置11のある動作モードでサポートする測距距離の幅に相当する時間である。具体的には、「15m幅測距モード」の場合、100n秒(15/3×10の8乗×2)となる。また、「15m測距モード」での測距サポート距離については、0mから15mまでである他、例えば、10mから25mまで、または、15mから30mまでであってもよい。さらに、測距可能距離の最小値は0mであるとは限らない。
【0031】
そして、測定装置11では、所定の出力回数に従って、1測距レンジ時間におけるパルス状のレーザ光の出力が繰り返して行われ、Rxパルス信号が示すカウントコード50、カウントコード52、およびカウントコード55が繰り返して取得される。これにより、ヒストグラム生成部16が生成するヒストグラムは、
図3の左側に示すように、カウントコード50、カウントコード52、およびカウントコード55それぞれでピークが立つことになる。
【0032】
また、フィルタ処理部17は、発射タイミング信号生成部12から供給される発射タイミング情報を用いて、
図2に示す例では、Txパルス信号が示すカウントコード0、カウントコード2、およびカウントコード5を用いて、伝達関数(Y[n]=X[n]+X[n+2]+X[n+5])を求める。そして、フィルタ処理部17は、ヒストグラム生成部16から供給されるヒストグラムに対して、この伝達関数に従ったフィルタ処理を施すことにより、
図3の右側に示すように、真距離に対応するカウントコード50で一番高いピークを持つフィルタ処理後のヒストグラムを取得することができる。
【0033】
以上のように構成される測定装置11は、1測距レンジ時間においてパルスの発射回数が2回以上となるレーザ光を出力しても、それぞれのパルスの発射タイミング情報を利用したフィルタ処理を施すことにより、真距離に対応するカウントコードを特定することができる。これにより、測定装置11は、真距離に対応するカウントコードの高さを、パルスの発射回数に応じて倍増させることができ、より短時間でカウントコードがピークを示すようなピストグラムを生成することができる。従って、測定装置11は、従来よりも短時間で、測距対象物との距離を測定することができる。
【0034】
<測定処理の処理例>
図4に示すフローチャートを参照して、測定装置11において実行される測距処理の第1の処理例について説明する。
【0035】
例えば、測距処理を開始するように制御が行われると1回目の測距レンジ時間が開始され、ステップS11において、発射タイミング信号生成部12は、1測距レンジ時間におけるカウントアップの開始を指示するカウント開始信号をカウンタ21に供給する。そして、発射タイミング信号生成部12は、1測距レンジ時間においてパルスの発射回数が2回以上であるレーザ光の出力を指示するTxパルス信号をレーザドライバ13に供給する。これにより、レーザドライバ13は、図示しないレーザ発光素子を駆動し、Txパルス信号が示す発射タイミングに基づいて、1測距レンジ時間で複数のパルスを発射するレーザ光を出力させる。
【0036】
ステップS12において、受光素子14は、ステップS11で出力されたパルス状のレーザ光の反射光を受光し、その反射光の波形を示すRxパルス信号をラッチ22に供給する。これにより、ラッチ22は、受光素子14から供給されるRxパルス信号が示すパルスのタイミングにおけるカウンタコードをカウンタ21から取り込んで、ヒストグラム生成部16に供給する。
【0037】
そして、ステップS11で1測距レンジ時間が開始されたタイミングから、カウンタ21が、1測距レンジ分(
図2の例では、カウントコード99)のカウントを終了すると、処理はステップS13に進む。
【0038】
ステップS13において、発射タイミング信号生成部12は、1測距レンジ時間におけるパルス状のレーザ光の出力を繰り返した回数が、所定の出力回数となったか否かを判定する。
【0039】
ステップS13において、発射タイミング信号生成部12が、1測距レンジ時間におけるパルス状のレーザ光の出力を繰り返した回数が所定の出力回数となっていないと判定した場合、即ち、所定の出力回数未満であると判定した場合、処理はステップS11に戻る。そして、2回目以降の測距レンジ時間が、以下同様に繰り返して行われる。
【0040】
一方、ステップS13において、発射タイミング信号生成部12が、1測距レンジ時間におけるパルス状のレーザ光の出力を繰り返した回数が、所定の出力回数となったと判定した場合、処理はステップS14に進む。
【0041】
ステップS14において、発射タイミング信号生成部12は、ステップS11でレーザドライバ13に供給したTxパルス信号が示すパルスに従った発射タイミングを示す発射タイミング情報をフィルタ処理部17に供給する。
【0042】
ステップS15において、ヒストグラム生成部16は、所定の出力回数だけ繰り返されたステップS12でラッチ22から供給されたカウントコードのヒストグラムを生成し、フィルタ処理部17に供給する。
【0043】
ステップS16において、フィルタ処理部17は、ステップS14で発射タイミング信号生成部12から供給された発射タイミング情報のカウンタコードを用いて伝達関数を求める。そして、フィルタ処理部17は、ステップS15でヒストグラム生成部16から供給されるヒストグラムに対し、伝達関数に従ったフィルタ処理を施す。これにより、フィルタ処理部17は、フィルタ処理を施したヒストグラムで一番高いピークを示すカウントコードを特定し、そのカウントコードを距離算出部18に通知する。
【0044】
ステップS17において、距離算出部18は、ステップS16でフィルタ処理部17から供給されたカウントコードを用いて測距対象物との距離を算出した後、処理は終了される。
【0045】
以上のような測定処理により測定装置11は、より短時間で測距対象物との距離を測定することができる。
【0046】
図5に示すフローチャートを参照して、測定装置11において実行される測距処理の第2の処理例について説明する。
【0047】
ステップS21において、発射タイミング信号生成部12は、1測距レンジ時間においてパルスを発射する発射回数の初期値(例えば、1)を設定する。
【0048】
ステップS22乃至S27において、
図4のステップS11乃至S16と同様の処理が行われる。その後、ステップS28において、フィルタ処理部17は、ステップS27でフィルタ処理が施されたヒストグラムで一番高いピークを示すカウントコードが特定されたか否かを判定する。
【0049】
ステップS28において、フィルタ処理部17が、一番高いピークを示すカウントコードが特定されなかったと判定した場合、処理はステップS29に進む。ステップS29において、発射タイミング信号生成部12は、現時点での発射回数に1を加算して、発射回数を増加した後、処理はステップS22に戻り、以下、同様の処理が繰り返して行われる。
【0050】
一方、ステップS28において、フィルタ処理部17が、一番高いピークを示すカウントコードが特定されたと判定した場合、処理はステップS30に進む。ステップS30において、
図4のステップS17と同様の処理が行われて、距離算出部18が測距対象物までの距離を算出した後、処理は終了される。
【0051】
以上のような測定処理により測定装置11は、1測距レンジ時間においてパルスを発射する発射回数を動的に変化させて、少ない発射回数ではピークが得られない場合には、発射回数を増加させる。このように、測定装置11は、ヒストグラムのピークに応じてパルスの発射回数を増加させることで、例えば、測距対象物までの距離に応じて適切に距離を測定することができる。
【0052】
なお、測定装置11は、パルスを発射する間隔のパターン(以下、発射間隔パターンと称する)が同一のレーザ光を、1測距レンジ時間ごとに繰り返して出力する他、例えば、1測距レンジ時間ごとに発射間隔パターンが異なるレーザ光を出力してもよい。
【0053】
例えば、
図6に示すTxパルス信号は、測距レンジ時間#1では、カウントコード0、カウントコード2、およびカウントコード5の発射間隔パターンでパルスを発射することを示している。また、測距レンジ時間#2では、カウントコード1、カウントコード4、およびカウントコード6の発射間隔パターンでパルスを発射することを示している。またh、測距レンジ時間#3では、カウントコード1、カウントコード3、およびカウントコード6の発射間隔パターンでパルスを発射することを示している。
【0054】
このように、測定装置11は、1測距レンジ時間ごとに発射間隔パターンが異なるレーザ光を出力しても、それぞれのパルスの発射タイミング情報を利用したフィルタ処理を施すことにより、真距離に対応するカウントコードを特定することができる。なお、
図6に示すように、1測距レンジ時間ごとに発射間隔パターンを変更する他、例えば、それぞれ異なる発射間隔パターンごとに、同一の発射間隔パターンを複数回(図示するような3パターンごとに1000回)繰り返して、それぞれの発射間隔パターンごとのヒストグラムを生成してもよい。
【0055】
さらに、測定装置11では、測距レンジ時間ごとの間隔、即ち、測距レンジ時間が終了して次の測距レンジ時間を開始するまでの時間を変更しても、測距対象物との距離を測定することができる。また、測定装置11では、カウンタ21がカウントするカウントコードの最大値を、測距レンジ時間ごとに変更しても、測距対象物との距離を測定することができる。
【0056】
また、
図7に示すように、測定装置11では、異なる発射間隔パターンでパルスが発射される場合には、それぞれの発射タイミングを用いた伝達関数が用いられる。
図7に示すように、発射間隔パターンにおける発射タイミングを用いて伝達関数を動的に変更することによって、望まないピーク成分をより小さくすることができる。
【0057】
例えば、
図7には、第1の発射間隔パターンおよび第2の発射間隔パターンを等確率で切り替えて、それぞれの発射タイミングを用いた伝達関数を用いてフィルタ処理を施した後にマージすることで、偽のピーク成分を、真のピーク成分の1/6に低減することができた例が示されている。このような方法で、偽のピーク成分を効果的に抑制することで、確率統計ベースの計算上、偽のピーク成分を、真のピーク成分の1/10以下にすることで、偽のピーク成分を無視できる程度とすることができる。
【0058】
なお、マージ前のヒストグラムはリプルカウンタを使い回し、マージ後のヒストグラムはメモリ(例えば、SRAM:static random access memory)に保持し、伝達関数の変更頻度はフレームレートに影響を与えない範囲とする。そして、伝達関数の変更と同一のタイミングでマージ処理とSRAMの更新とを行うといった手法で、ヒストグラム生成部16の回路領域が増加することを抑制することができる。
【0059】
ここで、1測距レンジ時間で2回以上の発射回数で発射するパルスどうしの間隔は、均等であってもよいし、非均等であってもよい。さらに、発射タイミング信号生成部12は、1測距レンジ時間ごとに、パルスどうしの間隔を変更してもよい。例えば、パルスどうしの間隔は、所定の乱数に基づいて、具体的には、真疑似乱数生成器、または、暗号論的に安全なものを含む疑似乱数生成器を利用して変更される。
【0060】
<測定装置の第2の構成例>
図8は、本技術を適用した測定装置の第2の実施の形態の構成例を示すブロック図である。なお、
図8に示す測定装置11Aにおいて、
図1に示した測定装置11と共通する構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0061】
即ち、測定装置11Aは、発射タイミング信号生成部12、レーザドライバ13、受光素子14、TDC15、ヒストグラム生成部16、および距離算出部18を備える点で、
図1の測定装置11と共通の構成となっている。
【0062】
そして、測定装置11Aは、TDC15およびヒストグラム生成部16の間に演算部19が設けられ、発射タイミング信号生成部12から演算部19に発射タイミング情報が供給される構成となっている点で、
図1の測定装置11とは異なる構成となっている。
【0063】
演算部19は、TDC15のラッチ22から出力されるカウントコードを取得し、発射タイミング信号生成部12から供給される発射タイミング情報を用いた演算を行うことによって得られる演算結果を、ヒストグラム生成部16に供給する。例えば、演算部19は、反射光のパルスが検出されたカウントコードごとに、1測距レンジ時間で発射された全てのパルスの発射タイミングそれぞれを、そのカウントコードから減算した演算結果を求める演算を行う。
【0064】
例えば、
図9に示す例では、反射光のパルスが検出されたカウントコード50から、全てのパルスの発射タイミング(0,2,5)を減算した演算結果(50,48,45)が求められる。同様に、反射光のパルスが検出されたカウントコード52から、全てのパルスの発射タイミング(0,2,5)を減算した演算結果(52,50,47)が求められる。また、反射光のパルスが検出されたカウントコード55から、全てのパルスの発射タイミング(0,2,5)を減算した演算結果(55,53,50)が求められる。
【0065】
そして、ヒストグラム生成部16は、演算部19から供給される演算結果のヒストグラムを生成する。例えば、
図9に示すような演算結果が得られた場合には、
図10に示すように、演算結果50でピークを示すヒストグラムが生成される。即ち、
図10に示すヒストグラムでは、1測距レンジ時間においてパルスの発射回数が3回であることより、ピークを示す演算結果50は、他の演算結果の3倍の高さとなっている。なお、
図7を参照して説明したのと同様に、1測距レンジ時間ごとに発射間隔パターンが異なるレーザ光を出力し、それらをマージすることによって、ピークを示す演算結果以外の演算結果をさらに低くすることができる。
【0066】
以上のように構成される測定装置11Aは、
図1の測定装置11と同様に、より短時間でカウントコードがピークを示すようなピストグラムを生成することができ、より短時間で測距対象物との距離を測定することができる。
【0067】
<測定装置の第3の構成例>
図11は、本技術を適用した測定装置の第3の実施の形態の構成例を示すブロック図である。なお、
図11に示す測定装置11Bにおいて、
図1に示した測定装置11と共通する構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0068】
即ち、測定装置11Bは、発射タイミング信号生成部12、レーザドライバ13、受光素子14、ヒストグラム生成部16、および距離算出部18を備える点で、
図1の測定装置11と共通の構成となっている。なお、図示は省略するが、TDC15-1乃至15-3は、それぞれカウンタ21およびラッチ22を有している。
【0069】
そして、測定装置11Bは、3つのTDC15-1乃至15-3を備えて構成される点で、
図1の測定装置11とは異なる構成となっている。なお、測定装置11Bのように、複数のTDC15を設ける構成では、例えば、1測距レンジ時間におけるパルスの発射回数に応じた個数のTDC15が設けられる。
【0070】
そして、個々のTDC15は、それぞれ対応するパルスの発射タイミングに従ってカウントコードのカウントを開始する。例えば、
図12に示す例では、Txパルス信号が示すように、発射タイミング情報は、発射タイミング0、発射タイミング2、および発射タイミング5となっている。従って、TDC15-1は、発射タイミング0に従ってカウントコードのカウントを開始し、TDC15-2は、発射タイミング2に従ってカウントコードのカウントを開始し、TDC15-3は、発射タイミング5に従ってカウントコードのカウントを開始する。
【0071】
従って、発射タイミング0で発射されたパルスが測距対象物で反射して戻ってきた反射光を受光素子14が受光したタイミングでは、TDC15-1はカウントコード50を出力し、TDC15-2はカウントコード47を出力し、TDC15-3はカウントコード45を出力する。同様に、発射タイミング2で発射されたパルスが測距対象物で反射して戻ってきた反射光を受光素子14が受光したタイミングでは、TDC15-1はカウントコード52を出力し、TDC15-2はカウントコード50を出力し、TDC15-3はカウントコード47を出力する。また、発射タイミング5で発射されたパルスが測距対象物で反射して戻ってきた反射光を受光素子14が受光したタイミングでは、TDC15-1はカウントコード55を出力し、TDC15-2はカウントコード53を出力し、TDC15-3はカウントコード50を出力する。
【0072】
そして、測定装置11Bでは、ヒストグラム生成部16は、TDC15-1乃至15-3から出力される全てのカウントコードを取得し、ヒストグラムを生成する。例えば、
図12に示すようなカウントコードが得られた場合には、
図13に示すように、演算結果50でピークを示すヒストグラムが生成される。即ち、
図13に示すヒストグラムでは、1測距レンジ時間においてパルスの発射回数が3回であることより、ピークを示す演算結果50は、他の演算結果の3倍の高さとなっている。なお、
図7を参照して説明したのと同様に、1測距レンジ時間ごとに発射間隔パターンが異なるレーザ光を出力し、それらをマージすることによって、ピークを示す演算結果以外の演算結果をさらに低くすることができる。
【0073】
以上のように構成される測定装置11Bは、
図1の測定装置11と同様に、より短時間でカウントコードがピークを示すようなピストグラムを生成することができ、より短時間で測距対象物との距離を測定することができる。
【0074】
<測定装置の変形例>
図14および
図15を参照して、測定装置11の変形例について説明する。
【0075】
例えば、測定装置11は、1測距レンジ時間におけるパルスの発射回数に応じた個数の受光素子14を設けることができる。そして、それらの受光素子14が、個々のパルスを受光することができる。
【0076】
図14には、4つの受光素子14-1乃至14-4が設けられる測定装置11の変形例が示されている。なお、
図1の測定装置11が備える受光素子14以外のブロックの図示は省略されている。
【0077】
例えば、レーザドライバ13から供給されるTxパルス信号に従って駆動されるレーザ31から出力されるレーザ光は、回折格子32によって4つの光スイッチ33-1乃至33-4に向かって回折される。光スイッチ33-1乃至33-4は、それぞれマスク信号1乃至4に従って、それぞれ対応するパルス以外が通過することをマスクする。
【0078】
例えば、
図15に示すように、光スイッチ33-1は、マスク信号1に従って1つめのパルスのみを通過させ、光スイッチ33-2は、マスク信号2に従って2つめのパルスのみを通過させる。同様に、光スイッチ33-3は、マスク信号3に従って3つめのパルスのみを通過させ、光スイッチ33-4は、マスク信号4に従って4つめのパルスのみを通過させる。
【0079】
そして、光スイッチ33-1を通過した1つめのパルスが測距対象物で反射した反射光を受光素子14-1が受光して、そのパルスを受光したタイミングを示すRxパルス信号1を出力する。また、光スイッチ33-2を通過した2つめのパルスが測距対象物で反射した反射光を受光素子14-2が受光して、そのパルスを受光したタイミングを示すRxパルス信号2を出力する。以下、同様に、受光素子14-3はRxパルス信号3を出力し、受光素子14-4はRxパルス信号4を出力する。
【0080】
その後、測定装置11では、Rxパルス信号1乃至4が示すパルスに従ったタイミングのカウンタコードがラッチ22から出力され、上述したのと同様の処理が行われる。
【0081】
このように、測定装置11は、1測距レンジ時間におけるパルスの発射回数に応じた個数の受光素子14が、個々のパルスを検出するように構成することができる。なお、このような対応関係で構成されていればよく、例えば、1測距レンジ時間におけるパルスの発射回数に応じた個数のレーザ31を設け、それぞれのレーザ31が個々のパルスを発射するような構成としてもよい。
【0082】
<歪みの補正>
図16および
図17を参照して、複数のレーザおよび複数の受光素子を備える測定装置11において歪みを補正する例について説明する。
【0083】
例えば、レーザを発射した瞬間に、複数のレーザ31および複数の受光素子14を内蔵するモジュール内に迷光が生じ、その迷光による受光素子14の反応を防ぐために、
図16に示すように、レーザを発射したタイミングで、受光素子14を無効とする動作を採用することができる。しかしながら、この場合、取得するヒストグラムの背景光による成分が全カウント値に対してフラットにならずに歪みが生じる(例えば、無効としたタイミングで背景光による成分が減少する)ことが予測される。そこで、発射タイミングを利用して、その歪みを補正することが必要となる。
【0084】
まず、
図16に示すようなパタンAとパタンBとの頻度が50%ずつであるとする。そして、2つの受光素子14がマスクされるタイミング、即ち、マスク信号によって無効とされるタイミングは、パタンAおよびパタンBのTxパルス信号から認識することができる。このため、そのタイミングに従って、感度が弱まるヒストグラムのカウントコードを予測することができる。また、その際の感度低下率も計算により求めることができるので、感度低下率の逆数を補正係数として求め、感度が低下したカウントコードに補正係数を掛けることでフロアノイズの平均を揃えることができる。
【0085】
即ち、
図16に示す例では、カウントコード0、カウントコード2、カウントコード5、およびカウントコード9において感度低下が発生し、
図17の左側に示すようなヒストグラムが取得される。そして、パタンAとパタンBとの頻度が50%ずつであることより、補正係数として2が求められ、
図17の中央に示すように、感度低下が発生したヒストグラムに2を掛けることで、フロアノイズの平均が揃えられる。その後、フィルタ処理部17によって発射タイミング情報を用いたフィルタ処理を施すことで、
図17の右側に示すようにピークを示すヒストグラムを得ることができる。
【0086】
<コンピュータの構成例>
次に、上述した一連の処理(測定方法)は、ハードウェアにより行うこともできるし、ソフトウェアにより行うこともできる。一連の処理をソフトウェアによって行う場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、汎用のコンピュータ等にインストールされる。
【0087】
図18は、上述した一連の処理を実行するプログラムがインストールされるコンピュータの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0088】
プログラムは、コンピュータに内蔵されている記録媒体としてのハードディスク105やROM103に予め記録しておくことができる。
【0089】
あるいはまた、プログラムは、ドライブ109によって駆動されるリムーバブル記録媒体111に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体111は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。ここで、リムーバブル記録媒体111としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto Optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリ等がある。
【0090】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体111からコンピュータにインストールする他、通信網や放送網を介して、コンピュータにダウンロードし、内蔵するハードディスク105にインストールすることができる。すなわち、プログラムは、例えば、ダウンロードサイトから、ディジタル衛星放送用の人工衛星を介して、コンピュータに無線で転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送することができる。
【0091】
コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)102を内蔵しており、CPU102には、バス101を介して、入出力インタフェース110が接続されている。
【0092】
CPU102は、入出力インタフェース110を介して、ユーザによって、入力部107が操作等されることにより指令が入力されると、それに従って、ROM(Read Only Memory)103に格納されているプログラムを実行する。あるいは、CPU102は、ハードディスク105に格納されたプログラムを、RAM(Random Access Memory)104にロードして実行する。
【0093】
これにより、CPU102は、上述したフローチャートにしたがった処理、あるいは上述したブロック図の構成により行われる処理を行う。そして、CPU102は、その処理結果を、必要に応じて、例えば、入出力インタフェース110を介して、出力部106から出力、あるいは、通信部108から送信、さらには、ハードディスク105に記録等させる。
【0094】
なお、入力部107は、キーボードや、マウス、マイク等で構成される。また、出力部106は、LCD(Liquid Crystal Display)やスピーカ等で構成される。
【0095】
ここで、本明細書において、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に行われる必要はない。すなわち、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含む。
【0096】
また、プログラムは、1のコンピュータ(プロセッサ)により処理されるものであっても良いし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであっても良い。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであっても良い。
【0097】
さらに、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0098】
また、例えば、1つの装置(または処理部)として説明した構成を分割し、複数の装置(または処理部)として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成をまとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部を他の装置(または他の処理部)の構成に含めるようにしてもよい。
【0099】
また、例えば、本技術は、1つの機能を、ネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0100】
また、例えば、上述したプログラムは、任意の装置において実行することができる。その場合、その装置が、必要な機能(機能ブロック等)を有し、必要な情報を得ることができるようにすればよい。
【0101】
また、例えば、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。換言するに、1つのステップに含まれる複数の処理を、複数のステップの処理として実行することもできる。逆に、複数のステップとして説明した処理を1つのステップとしてまとめて実行することもできる。
【0102】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、プログラムを記述するステップの処理が、本明細書で説明する順序に沿って時系列に実行されるようにしても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで個別に実行されるようにしても良い。つまり、矛盾が生じない限り、各ステップの処理が上述した順序と異なる順序で実行されるようにしてもよい。さらに、このプログラムを記述するステップの処理が、他のプログラムの処理と並列に実行されるようにしても良いし、他のプログラムの処理と組み合わせて実行されるようにしても良い。
【0103】
なお、本明細書において複数説明した本技術は、矛盾が生じない限り、それぞれ独立に単体で実施することができる。もちろん、任意の複数の本技術を併用して実施することもできる。例えば、いずれかの実施の形態において説明した本技術の一部または全部を、他の実施の形態において説明した本技術の一部または全部と組み合わせて実施することもできる。また、上述した任意の本技術の一部または全部を、上述していない他の技術と併用して実施することもできる。
【0104】
<移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0105】
図19は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0106】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図19に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0107】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0108】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0109】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0110】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0111】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0112】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0113】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0114】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0115】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図19の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0116】
図20は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0117】
図20では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0118】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0119】
なお、
図20には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0120】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0121】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0122】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0123】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0124】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。測定装置11に本開示に係る技術を適用することにより、従来よりも短時間で、他の車両との距離を測定することができ、より安全な自動運転を実現することができる。
【0125】
<構成の組み合わせ例>
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
測定の対象とする距離が含まれる一定の距離幅を表す測距レンジとの間で光が往復する飛行時間の幅を測距レンジ時間として、1回の前記測距レンジ時間内でパルスの発射回数が2回以上となるレーザ光を出力させるために、前記レーザ光のパルスを発射する発射タイミングを指示する信号を生成する発射タイミング信号生成部と、
前記レーザ光が測距対象物で反射して戻ってきた反射光におけるパルスを受光したタイミングを示すカウントコードを、1回の前記測距レンジ時間で前記発射回数に応じて出力するカウントコード出力部と、
複数の前記カウントコードのうちの特定の前記カウントコードに従って、前記測距対象物との間の距離を算出する距離算出部と
を備える測定装置。
(2)
前記発射タイミング信号生成部は、1回の前記測距レンジ時間内で2回以上の発射回数で発射される前記レーザ光のパルスどうしの間隔を均等とする
上記(1)に記載の測定装置。
(3)
前記発射タイミング信号生成部は、1回の前記測距レンジ時間内で2回以上の発射回数で発射される前記レーザ光のパルスどうしの間隔を非均等とする
上記(1)または(2)に記載の測定装置。
(4)
前記発射タイミング信号生成部は、1回の前記測距レンジ時間ごとに、前記レーザ光のパルスどうしの間隔を変更する
上記(1)から(3)までのいずれかに記載の測定装置。
(5)
前記発射タイミング信号生成部は、前記レーザ光のパルスどうしの間隔を、所定の乱数に基づいて変更する
上記(4)に記載の測定装置。
(6)
1回の前記測距レンジ時間内で前記発射回数に従って発射される前記レーザ光のパルスは、直前に発射されたパルスの反射波が受光されるより前のタイミングで、次のパルスが発射される
上記(1)から(5)までのいずれかに記載の測定装置。
(7)
前記測距レンジ時間が所定の出力回数に応じて繰り返して行われ、前記カウントコード出力部から出力される複数のカウントコードのヒストグラムを生成するヒストグラム生成部と、
前記ヒストグラム生成部により生成されたヒストグラムに対して、前記発射タイミングから求められる伝達関数に従ったフィルタ処理を施すフィルタ処理部と
をさらに備え、
前記距離算出部は、前記フィルタ処理部においてフィルタ処理が施されたヒストグラムにおいてピークを示す前記カウントコードを用いて前記測距対象物との間の距離を算出する
上記(1)から(6)までのいずれかに記載の測定装置。
(8)
1回の前記測距レンジ時間ごとに、前記レーザ光のパルスどうしの間隔が変更されている場合、
前記フィルタ処理部は、それぞれの前記測距レンジ時間ごとに発射タイミングから求められる伝達関数を求めてフィルタ処理を施した後、前記ヒストグラムをマージする
上記(7)に記載の測定装置。
(9)
前記フィルタ処理部が用いる伝達関数は、機械学習によって決定されたものである
上記(8)に記載の測定装置。
(10)
前記フィルタ処理部は、前記フィルタ処理が施されたヒストグラムにおいてピークが特定されない場合、前記レーザ光のパルスの発射回数を増加させて、前記測距レンジ時間を繰り返させる
上記(7)に記載の測定装置。
(11)
前記カウントコード出力部から出力される複数のカウントコードごとに、1回の前記測距レンジ時間内で発射された全てのパルスについての前記発射タイミングそれぞれを、そのカウントコードから減算した演算結果を求める演算を行う演算部と、
前記演算部により求められた複数の前記演算結果のヒストグラムを生成するヒストグラム生成部と
をさらに備え、
前記距離算出部は、前記ヒストグラム生成部が生成した前記ヒストグラムでピークを示す前記演算結果を用いて前記測距対象物との間の距離を算出する
上記(1)から(10)までのいずれかに記載の測定装置。
(12)
複数の前記カウントコード出力部を備え、
それぞれの前記カウントコード出力部は、前記発射タイミングに従ったタイミングで前記カウントコードのカウントを開始し、
前記距離算出部は、複数の前記カウントコード出力部から出力される全ての前記カウントコードを用いて生成されるヒストグラムでピークを示す前記カウントコードを用いて前記測距対象物との間の距離を算出する
上記(1)から(11)までのいずれかに記載の測定装置。
(13)
前記レーザ光が測距対象物で反射して戻ってきた反射光を受光する受光素子を複数さらに備える
上記(1)から(12)までのいずれかに記載の測定装置。
(14)
複数の前記受光素子を備える構成において、前記レーザ光のパルスが発射されるタイミングで、複数の前記受光素子の受光を無効とし、
それぞれの前記受光素子が無効とされたタイミングを示すカウントコードのヒストグラムが、前記発射タイミングに基づいて補正される
上記(13)に記載の測定装置。
(15)
測定装置が、
測定の対象とする距離が含まれる一定の距離幅を表す測距レンジとの間で光が往復する飛行時間の幅を測距レンジ時間として、1回の前記測距レンジ時間内でパルスの発射回数が2回以上となるレーザ光を出力させるために、前記レーザ光のパルスを発射する発射タイミングを指示する信号を生成することと、
前記レーザ光が測距対象物で反射して戻ってきた反射光におけるパルスを受光したタイミングを示すカウントコードを、1回の前記測距レンジ時間で前記発射回数に応じて出力することと、
複数の前記カウントコードのうちの特定の前記カウントコードに従って、前記測距対象物との間の距離を算出することと
を含む測定方法。
(16)
測定装置のコンピュータに、
測定の対象とする距離が含まれる一定の距離幅を表す測距レンジとの間で光が往復する飛行時間の幅を測距レンジ時間として、1回の前記測距レンジ時間内でパルスの発射回数が2回以上となるレーザ光を出力させるために、前記レーザ光のパルスを発射する発射タイミングを指示する信号を生成することと、
前記レーザ光が測距対象物で反射して戻ってきた反射光におけるパルスを受光したタイミングを示すカウントコードを、1回の前記測距レンジ時間で前記発射回数に応じて出力することと、
複数の前記カウントコードのうちの特定の前記カウントコードに従って、前記測距対象物との間の距離を算出することと
を含む測定処理を実行させるためのプログラム。
【0126】
なお、本実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0127】
11 測定装置, 12 発射タイミング信号生成部, 13 レーザドライバ, 14 受光素子, 15 TDC, 16 ヒストグラム生成部, 17 フィルタ処理部, 18 距離算出部, 19 演算部, 21 カウンタ, 22 ラッチ, 31 レーザ, 32 回折格子, 33 光スイッチ