(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20240520BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20240520BHJP
G06F 3/042 20060101ALI20240520BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240520BHJP
G09F 9/302 20060101ALI20240520BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240520BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240520BHJP
【FI】
G09F9/30 349Z
G06F3/041 412
G06F3/041 610
G06F3/041 640
G06F3/042 471
G09F9/00 350Z
G09F9/00 366A
G09F9/30 308A
G09F9/30 365
G09F9/302 C
H10K50/10
H10K59/10
(21)【出願番号】P 2021538509
(86)(22)【出願日】2020-07-27
(86)【国際出願番号】 IB2020057050
(87)【国際公開番号】W WO2021024082
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2019146658
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】初見 亮
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 太介
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 一徳
(72)【発明者】
【氏名】久保田 大介
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0185234(US,A1)
【文献】国際公開第2015/192712(WO,A1)
【文献】特表2018-536183(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0019288(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0013944(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0053118(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/30
G06F 3/041
G06F 3/042
G09F 9/00
G09F 9/302
H10K 50/10
H10K 59/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置と、筐体と、を有する電子機器であって、
前記表示装置は、第1の表示領域と、第2の表示領域と、を有し、
前記第1の表示領域は、
マトリクス状に配置された複数の第1の発光素子と、
マトリクス状に配置された複数の第1の受光素子と、を有し、
前記第2の表示領域は、
マトリクス状に配置された複数の第2の発光素子と、
マトリクス状に配置された複数の第2の受光素子と、を有し、
前記第1の受光素子は、前記第1の発光素子が発する第1の光を受光する機能を有し、
前記第2の受光素子は、前記第2の発光素子が発する第2の光を受光する機能を有し
、
前記第2の受光素子は、前記第1の受光素子よりも高密度に配置され、
前記筐体は、第1の面と、第2の面と、を有し、
前記第1の面と前記第2の面とは、連続して設けられ、且つ、法線方向が異なり、
前記第1の表示領域は、前記第1の面に沿って設けられ、
前記第2の表示領域は、前記第2の面に沿って設けられる、電子機器。
【請求項2】
請求項
1において、
前記第2の面は、曲面を有する、電子機器。
【請求項3】
請求項1
又は2において、
前記筐体は、前記第1の表示領域及び前記第2の表示領域を囲う枠部を有し、
前記第2の表示領域は、前記枠部の内輪郭の一部に沿って設けられる、電子機器。
【請求項4】
請求項1乃至
3のいずれか一において、
前記筐体は、前記第1の表示領域及び前記第2の表示領域を囲う枠部を有し、
前記枠部は、内輪郭が、四辺形形状、または角の丸い四辺形形状を有し、
前記第2の表示領域は、前記内輪郭の隣接する2辺に接して設けられる、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、表示装置に関する。本発明の一態様は、電子機器に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、電子機器、照明装置、入力装置、入出力装置、それらの駆動方法、又はそれらの製造方法、を一例として挙げることができる。半導体装置は、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。
【背景技術】
【0003】
近年、スマートフォンなどの携帯電話、タブレット型情報端末、ノート型PC(パーソナルコンピュータ)などの情報端末機器が広く普及している。このような情報端末機器は、個人情報などが含まれることが多く、不正な利用を防止するための様々な認証技術が開発されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、プッシュボタンスイッチ部に、指紋センサを備える電子機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2014/0056493号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一態様は、光検出機能を有する表示装置を提供することを課題の一とする。または、指紋認証に代表される生体認証が可能な表示装置を提供することを課題の一とする。または、タッチセンサの機能と、指紋認証の機能の両方を兼ね備えた表示装置を提供することを課題の一とする。
【0007】
また、本発明の一態様は、利便性の高い電子機器を提供することを課題の一とする。または、多機能な電子機器を提供することを課題の一とする。または、電子機器の部品点数を削減することを課題の一とする。または、表示面積比率の高い電子機器を提供することを課題の一とする。または、ユーザフレンドリな電子機器の指紋認証方法を提供することを課題の一とする。または、指紋認証を実行する際に、ユーザーに煩わしさを感じさせにくい電子機器を提供することを課題の一とする。
【0008】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、第1の表示領域と、第2の表示領域と、を有する表示装置である。第1の表示領域と第2の表示領域とは、接して設けられる。第1の表示領域は、複数の第1の発光素子と、複数の第1の受光素子と、を有する。第2の表示領域は、複数の第2の発光素子と、複数の第2の受光素子と、を有する。第1の受光素子は、第1の発光素子が発する第1の光を受光する機能を有する。第2の受光素子は、第2の発光素子が発する第2の光を受光する機能を有する。第1の発光素子と、第1の受光素子は、第1の表示領域にそれぞれマトリクス状に配置される。第2の発光素子と、第2の受光素子は、第2の表示領域にそれぞれマトリクス状に配置される。第2の受光素子は、第1の受光素子よりも高密度に配置される。
【0010】
また、上記において、第1の発光素子は、第2の発光素子よりも高密度に配置されることが好ましい。
【0011】
また、上記において、第1の受光素子と、第2の受光素子とは、それぞれ同一の有機化合物を含む活性層を有することが好ましい。また、第1の発光素子と、第2の発光素子とは、それぞれ同一の有機化合物を含む発光層を有することが好ましい。
【0012】
また、上記において、第1の受光素子及び第2の受光素子は、それぞれ第1の画素電極と、活性層と、共通電極と、が積層された積層構造を有することが好ましい。また、第1の発光素子及び第2の発光素子は、それぞれ第2の画素電極と、発光層と、共通電極と、が積層された積層構造を有することが好ましい。このとき、第1の画素電極と、第2の画素電極とは、同一面上に設けられ、活性層と、発光層とは、それぞれ異なる有機化合物を含むことが好ましい。
【0013】
また、上記において、共通電極は、第1の電位が与えられる機能を有し、第1の画素電極は、第1の電位よりも低い第2の電位が与えられる機能を有し、第2の画素電極は、第1の電位よりも高い第3の電位が与えられる機能を有することが好ましい。
【0014】
また、本発明の他の一態様は、上記いずれかの表示装置と、筐体と、を有する電子機器である。筐体は、第1の面と、第2の面と、を有する。第1の面と第2の面とは、連続して設けられ、且つ、法線方向が異なる。また、第1の表示領域は、第1の面に沿って設けられ、第2の表示領域は、第2の面に沿って設けられる。
【0015】
また、上記において、第2の面は、曲面を有することが好ましい。
【0016】
また、本発明の他の一態様は、上記いずれかの表示装置と、筐体と、を有する電子機器である。筐体は、第1の表示領域及び第2の表示領域を囲う枠部を有する。このとき、第2の表示領域は、枠部の内輪郭の一部に沿って設けられることが好ましい。
【0017】
また、本発明の他の一態様は、上記いずれかの表示装置と、筐体と、を有する電子機器である。筐体は、第1の表示領域及び第2の表示領域を囲う枠部を有する。枠部は、内輪郭が、四辺形形状、または角の丸い四辺形形状を有する。このとき、第2の表示領域は、内輪郭の隣接する2辺に接して設けられることが好ましい。
【0018】
また、上記において、第1の表示領域は、指紋を撮像する機能を有し、第2の表示領域は、タッチセンサとしての機能を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様によれば、光検出機能を有する表示装置を提供できる。または、指紋認証に代表される生体認証が可能な表示装置を提供できる。または、タッチセンサの機能と、指紋認証の機能の両方を兼ね備えた表示装置を提供できる。
【0020】
また、本発明の一態様は、利便性の高い電子機器を提供できる。または、多機能な電子機器を提供できる。または、電子機器の部品点数を削減することができる。または、表示面積比率の高い電子機器を提供できる。または、ユーザフレンドリな電子機器の指紋認証方法を提供できる。または、指紋認証を実行する際に、ユーザーに煩わしさを感じさせにくい電子機器を提供できる。
【0021】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0024】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0025】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成要素の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0026】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではない。
【0027】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置、及び表示装置を備える電子機器について説明する。
【0028】
本発明の一態様の表示装置は、複数の表示素子と、複数の受光素子(受光デバイスともいう)と、を有する。表示素子は、発光素子(発光デバイスともいう)であることが好ましい。受光素子は、光電変換素子であることが好ましい。
【0029】
表示装置は、マトリクス状に配列された表示素子により、表示面側に画像を表示する機能を有する。
【0030】
また、表示装置は、表示面に触れる、または近づく物体を撮像することができる。例えば、表示素子が発した光の一部は、当該物体により反射し、その反射光が受光素子に入射する。また受光素子は、入射する光の強度に応じた電気信号を出力することができる。そのため、表示装置が、マトリクス状に配列した複数の受光素子を有することで、物体の位置情報や形状をデータとして取得する(撮像するともいう)ことができる。すなわち、表示装置は、イメージセンサパネル、タッチセンサパネルなどとして機能させることができる。
【0031】
また、表示装置は、第1の表示領域(第1の表示部ともいう)と、第2の表示領域(第2の表示部ともいう)とが隣接して(接して)設けられる構成を有する。第1の表示領域には、第1の表示素子と、第1の受光素子とがそれぞれマトリクス状に配置される。また第2の表示領域には、第2の表示素子と、第2の受光素子とがそれぞれマトリクス状に配置される。第1の表示素子と第2の表示素子とは、同一工程にて形成することができる。
【0032】
ここで、第2の表示領域に設けられる第2の受光素子は、第1の表示領域に設けられる第1の受光素子よりも高密度に配置されることが好ましい。これにより、第2の表示領域では、第1の表示領域よりも高精細な画像を撮像することができる。一方、第1の表示領域では、第2の表示領域よりも精細度は低いものの、撮像に係る時間を短縮でき、高速動作を実現できる。
【0033】
例えば、第2の表示領域では高精細な画像を撮像することができるため、第2の表示領域を指紋認証や掌紋認証などの生体認証のための撮像に、好適に用いることができる。一方、第1の表示領域では高速動作が可能であるため、第1の表示領域をタッチセンサパネル(近接センサパネル、ニアタッチセンサパネルを含む)として好適に用いることができる。なお、第2の表示領域においても、タッチセンサパネルとしての機能を持たせることができる。
【0034】
このような第1の表示領域と、第2の表示領域とを有する表示装置を、電子機器に適用することができる。このとき、電子機器が有する表示部のうち、第2の表示領域が割り当てられた一部に指紋認証の機能を持たせ、第1の表示領域が割り当てられた他の部分では、タッチパネルとしての機能を持たせることができる。このような構成とすることで、2つの機能を一つの表示装置によって実現できるため、部品点数が削減できる、多機能化が容易となるなどの効果を奏する。
【0035】
電子機器の表示部に本発明の一態様の表示装置を適用する場合、指紋認証の機能を有する第2の領域を、表示部の輪郭の一部に接して設けることが好ましい。例えば、ユーザーが電子機器を把持する際に、ユーザーの指が自然に触れやすい位置に第2の領域を配置することにより、電子機器は、ユーザーが意識することなく、電子機器を持つと同時に認証動作を実行することができる。そのため、安全性を損なうことなく、利便性の高い電子機器を実現することができる。ユーザーの指が自然に触れやすい位置としては、表示部を囲う枠部の内輪郭の一部に沿った領域が挙げられる。また、電子機器を、筐体の上面から側面に亘って表示部を有する構成とし、その側面部分に第2の領域を配置することが好ましい。
【0036】
ここで、本明細書等において、枠状の物体の平面視において、外周を成す輪郭を外輪郭、内周を成す輪郭を内輪郭と呼ぶこととする。また、枠状の物体とは、平面視において、物体の輪郭(外輪郭)の内側に、少なくとも1つの開口を有する物体を指す。すなわち、内輪郭とは、平面視において、枠状の物体が有する開口の縁に沿った閉曲線を指すともいえる。
【0037】
表示素子として発光素子を用いる場合には、OLED(Organic Light Emitting Diode)やQLED(Quantum-dot Light Emitting Diode)などのEL素子を用いることが好ましい。EL素子が有する発光物質としては、蛍光を発する物質(蛍光材料)、燐光を発する物質(燐光材料)、熱活性化遅延蛍光を示す物質(熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料)、無機化合物(量子ドット材料など)などが挙げられる。また、発光素子として、マイクロLED(Light Emitting Diode)などのLEDを用いることもできる。
【0038】
受光素子としては、例えば、pn型またはpin型のフォトダイオードを用いることができる。受光素子は、受光素子に入射する光を検出し電荷を発生させる光電変換素子として機能する。光電変換素子は、入射する光量に応じて、発生する電荷量が決まる。特に、受光素子として、有機化合物を含む層を有する有機フォトダイオードを用いることが好ましい。有機フォトダイオードは、薄型化、軽量化、及び大面積化が容易であり、また、形状及びデザインの自由度が高いため、様々な表示装置に適用できる。
【0039】
発光素子は、例えば一対の電極間に発光層を備える積層構造とすることができる。また、受光素子は、一対の電極間に活性層を備える積層構造とすることができる。受光素子の活性層には、半導体材料を用いることができる。例えば、シリコンなどの無機半導体材料を用いることができる。
【0040】
また、受光素子の活性層に、有機化合物を用いることが好ましい。このとき、発光素子と受光素子の一方の電極(画素電極ともいう)を、同一面上に設けることが好ましい。さらに、発光素子と受光素子の他方の電極を、連続した一の導電層により形成される電極(共通電極ともいう)とすることがより好ましい。さらに、発光素子と受光素子とが、共通層を有することがより好ましい。これにより、発光素子と受光素子とを作製する際の、作製工程の一部を共通化できるため、作製工程を簡略化でき、製造コストを低減すること、及び、製造歩留りを向上させることができる。
【0041】
以下では、より具体的な例について図面を参照して説明する。
【0042】
[電子機器の構成例1]
図1Aは、本発明の一態様の表示装置を備える電子機器10の概略図を示している。
【0043】
電子機器10は、表示部11a、表示部11b、筐体12、スピーカ13、及びマイク14等を有する。電子機器10は、携帯情報端末機器として用いることができる。電子機器10は、例えばスマートフォンとして用いることができる。
【0044】
筐体12は、板状の形状を有している。筐体12の上面である第1の面に沿って、表示部11aが設けられている。また筐体12の1つの側面となる第2の面に沿って、表示部11bが設けられている。ここで、筐体12の表示部11bが設けられる第2の面は、表示部11aが設けられる第1の面と連続し、曲面を有していることが好ましい。筐体12の第1の面に設けられる表示部11aの法線方向と、筐体12の第2の面に設けられる表示部11bの法線方向は異なっているともいうことができる。表示部11aと表示部11bとは、連続して設けられている。
【0045】
表示部11aは、タッチパネルとして機能し、画像を表示する機能と、タッチ操作(ニアタッチ操作を含む)を検出する機能と、を有する。表示部11aは、主画面(メイン画面)とも呼ぶことができる。
【0046】
表示部11bは、画像を表示する機能と、指紋等の撮像を行う機能と、を有する。表示部11bは、表示部11aと同様にタッチパネルとしての機能を有していてもよい。表示部11bは、副画面(サブ画面)とも呼ぶことができる。
【0047】
図1Aでは、ユーザーが電子機器10を把持した状態で、表示部11aを指30bで操作している場合の例を示している。
【0048】
表示部11bは、ユーザーが手で筐体12を把持したときに、指30aが自然に触れる位置に設けられている。このとき、電子機器10は、表示部11bに触れる指30aの指紋を取得(撮像)し、指紋認証処理を実行することができる。これにより、ユーザーが意識することなく、電子機器10を持つと同時に認証動作を実行することができる。したがって、ユーザーが電子機器10を手に取り、画面に目を向けたときにはすでに認証が完了してロック状態が解除されており、すぐに使用できる状態となるため、高い安全性と、高い利便性を兼ね備えた電子機器とすることができる。
【0049】
なお、
図1Aに示す構成では、表示部11bが、左手の指30aが触れる位置に設けられているが、これに限られず、右手の指が触れる位置に設けられていてもよい。電子機器の異なる構成については、後に説明する。
【0050】
[画素の構成例]
〔構成例1〕
図1Bに、表示部11aが有する画素の構成の例を示す。表示部11aは、複数の画素21aと複数の画素21bとを有する。また、
図1Cに、表示部11bが有する画素の構成の例を示す。表示部11bは、複数の画素21bを有する。画素21bは、受光素子23を有する画素である。
【0051】
表示部11aでは、画素21aと画素21bとが、マトリクス状に配列している。
図1Bでは、2×2個の画素のうち、3つが画素21aであり、1つが画素21bである。表示部11aは、この2×2個の画素を一つのユニットとし、当該ユニットがマトリクス状に配置された構成を有する。
【0052】
なお、1つのユニットが有する画素の数は2×2個に限られない。例えばa×b(a、bはそれぞれ独立に2以上の整数)個の画素で1つのユニットを構成してもよい。また1つのユニットは、縦方向に配列する画素の数と、横方向に配列する画素の数が異なってもよい。
【0053】
表示部11aをタッチパネルとして用いる場合には、表示部11aにおける画素21bの縦方向及び横方向の配列間隔(すなわち、1つのユニットの縦方向と横方向の幅)を、それぞれ、20mm以下、10mm以下、8mm以下、または6mm以下であって、画素21aまたは画素21bの幅の2倍以上とすることで、感度の高いタッチパネルを実現することができるため好ましい。なお、タッチセンサの駆動回路の構成によっては、画素21bの配列間隔を20mmより大きく25mm以下、または30mm以下としてもよい。画素21bの配列間隔を画素21aの配列間隔よりも広くすることで、読み出しにかかる時間を短縮できるためタッチパネルの高速駆動が容易となり、滑らかなタッチ操作が可能となる。
【0054】
図1Dには、表示部11aが有する2×2個の画素を示している。画素21aは、表示素子22R、表示素子22G、及び表示素子22Bを有する。
図1Dでは、表示素子22R、表示素子22G、及び表示素子22Bが、一列に配列(ストライプ状に配列ともいう)している。画素21bは、表示素子22R、表示素子22G、表示素子22B、及び受光素子23を有する。
図1Dでは、表示素子22R、表示素子22G、及び表示素子22Bが一列に配列し、受光素子23がその下側に配置されている。
【0055】
なお以下では、表示素子22R、表示素子22G、及び表示素子22Bをまとめて表示素子22と呼ぶ場合がある。
【0056】
図1Eには、表示部11bが有する2×2個の画素を示している。ここでは、表示部11bが有する画素21bは、表示部11aと同様の構成を有する場合について示している。
【0057】
図1B乃至
図1Eの構成は、表示素子22が、表示部11aと表示部11bとで同じ精細度で配置された例である。したがって、表示部11aと表示部11bとで、同じ精細度で画像を表示することができる。表示部11aは、主表示面として用いることができるため、表示部11aは、表示部11bと同じ精細度、または表示部11bよりも高い精細度を有することが好ましい。
【0058】
一方、受光素子23に着目すると、表示部11bは、表示部11aよりも高密度に受光素子23が配列した構成である。したがって、表示部11bでは、表示部11aよりも、高精細な画像を撮像することができる。
【0059】
例えば、表示部11bにおける受光素子23の精細度(配列密度などともいう)は、表示部11bにおける表示素子22の精細度と等しい、または、これよりも高いことが好ましい。これにより、極めて高精細な画像を撮像することができるため、指紋認証等のための撮像に適している。
【0060】
表示部11bにおける受光素子23の精細度は、100ppi以上、好ましくは200ppi以上、より好ましくは300ppi以上、さらに好ましくは400ppi以上であって、2000ppi以下、または1000ppi以下などとすることができる。特に、200ppi以上500ppi以下、好ましくは300ppi以上500ppi以下の精細度で受光素子23を配置することで、指紋の撮像に好適に用いることができる。受光素子23の精細度を2000ppiよりも高くしてもよいが、精細度が高すぎると撮像処理や、認証処理に係る時間が長くなってしまうため、利便性が損なわれる場合がある。
【0061】
なお、画素の構成はこれに限られず、様々な配置方法を採用することができる。以下では、上記とは異なる画素の構成の例について説明する。
【0062】
〔構成例2〕
図2A及び
図2Bに、それぞれ表示部11a、表示部11bが有する画素の構成例を示す。表示部11aは、画素21aと画素21bを有する。表示部11bは、画素21bを有する。
【0063】
画素21aにおいて、表示素子22Rと表示素子22Gとが縦方向に交互に配列している。また、表示素子22Bは、表示素子22R及び表示素子22Gと横方向に並べて設けられている。
図2Aでは、表示素子22Bの面積が他の表示素子の面積よりも大きい例を示したが、表示素子22Rまたは表示素子22Gと、適宜入れ替えることができる。
【0064】
画素21bは、表示素子22R、表示素子22G、表示素子22B、及び受光素子23を有する。表示素子22Rと表示素子22Bとが横方向に配列し、その下側に、表示素子22Gと、受光素子23が、横方向に配列している。なお、表示素子22R、表示素子22G、表示素子22B、及び受光素子23の位置は、適宜入れ替えることができる。
【0065】
〔構成例3〕
図2C及び
図2Dに、それぞれ表示部11a、表示部11bが有する画素の構成例を示す。表示部11aは、画素21a1、画素21a2、及び画素21b1を有する。表示部11bは、画素21b1及び画素21b2を有する。
【0066】
画素21a1は、横方向に並べて配置された表示素子22Gと、表示素子22Rと、を有する。画素21a2は、横方向に並べて配置された表示素子22Gと、表示素子22Bと、を有する。ここで、表示素子22Rと表示素子22Bは、それぞれ表示素子22Gよりも面積が大きい。
【0067】
画素21b1は、表示素子22Gと、表示素子22Rと、受光素子23と、を有する。表示素子22Rと受光素子23は、縦方向に並べて配置されている。また、画素21b2は、表示素子22Gと、表示素子22Bと、受光素子23と、を有する。表示素子22Gと受光素子23は、縦方向に並べて配置されている。
【0068】
図2Cでは、表示部11aが、画素21b1を有する例を示したが、画素21b2を有していてもよいし、画素21b1と画素21b2とが混在した構成としてもよい。
【0069】
〔構成例4〕
上記では、受光素子23を有する画素(画素21b等)は、3つの表示素子に加えて受光素子23を有する例を示したが、3つの表示素子のうち、いずれか一つと、受光素子23とを置き換える構成としてもよい。
【0070】
図3A乃至
図3Cには、それぞれ表示部11aに設けることのできる画素の例を示している。
【0071】
図3Aに示す画素21aは、
図1Dで例示した画素21aと同じ構成を有する。
図3Aに示す画素21bは、画素21aの3つの表示素子のうち、表示素子22Bに代えて受光素子23が設けられている。
【0072】
図3Bに示す画素21aは、
図2Aで例示した画素21aと同じ構成を有する。
図3Bに示す画素21bは、画素21aの3つの表示素子のうち、表示素子22Bに代えて受光素子23が設けられている。
【0073】
図3Cに示す画素21a1及び画素21a2は、それぞれ
図2Cで例示した画素21a1、画素21a2と同じ構成を有する。
図3Cに示す画素21bは、画素21a1の2つの表示素子のうち、表示素子22Bに代えて受光素子23が設けられている。
【0074】
図3A乃至
図3Cに示した構成とすることで、画素21bが有する受光素子23の面積を大きくできるため、受光感度を向上させることができる。
【0075】
なお、ここで例示した構成では、受光素子23を有する画素21bは、表示素子22Bを有さないため、画像を表示した場合に、部分的に輝度の情報が欠落する恐れがある。このとき、画素21bの周囲の画素が有する表示素子22Bが、画素21bが表示するべき輝度を補完するように駆動させることが好ましい。これにより、違和感のない画像を表示することができる。
【0076】
〔構成例5〕
表示部11aが主画面として機能するのに対し、表示部11bは副画面として機能するため、必ずしもフルカラーの表示が必要ではない場合がある。また、表示部11bが、指紋等を撮像する機能に特化し、画像を表示させないといった使用方法を適用することもできる。この場合、表示部11bが有する画素は、受光素子と、光源として機能する、一以上の表示素子を有する構成とすることができる。
【0077】
図4Aは、表示部11bに適用することのできる画素の構成を示す。
【0078】
図4Aでは、4×4個の画素24を示している。画素24は、1つの表示素子22Gと、1つの受光素子23とを有する。このような構成とすることで、受光素子23の面積を大きくでき、感度を高めることができる。
【0079】
図4Bは、
図4Aとは異なる画素の構成例である。
図4Bでは、2×2個のユニット25を示している。1つのユニット25は、1つの表示素子22Gと、4つの受光素子23を有している。表示素子22Gはユニット25の中心に設けられ、受光素子23はユニット25の四隅に1つずつ設けられている。ここで、1つの受光素子23と、1/4個の表示素子22Gとで、1つの画素24を構成しているともいうことができる。
【0080】
図4Bに示す構成は、受光素子23の精細度(配列密度)が、表示素子22Gの配列密度の2倍となっている。このような構成とすることで、極めて高精細な画像を撮像することができる。
【0081】
また、
図4Bでは、4つの受光素子23が隣接して設けられ、且つ、受光素子23と表示素子22Gとが、離れて設けられている。このような構成は特に、表示素子22Gに有機EL素子を用い、受光素子23に有機フォトダイオードを用いた場合に適している。例えば、受光素子23を構成する層を、蒸着法やインクジェット法などで形成する場合に、隣接する4つの受光素子23の領域を覆うように、形成することができる。また、表示素子22Gを構成する層と、受光素子23を構成する層とを、メタルマスクを用いた蒸着法や、インクジェット法等により作り分ける場合に、表示素子22Gと受光素子23とが離れているほど、作製歩留まりを高めることができる。
【0082】
【0083】
図5Aに示す構成は、表示素子22G及び受光素子23を、それぞれ
図4Bの構成に対して45度回転させた構成を有する。このような構成とすることで、表示素子22Gと受光素子23との距離をより大きくできる。
【0084】
図5Bに示す構成は、
図4Bに示す表示素子22Gを45度回転させ、さらに、隣接する4つの受光素子23を、相対位置は変えずに45度回転させた構成を有する。
図5Bに示す構成は、8つの受光素子23が、1つの表示素子22Gと等間隔になるように配置された構成である。このような構成とすることで、
図4B及び
図5Aよりも、表示素子22Gと受光素子23との距離を大きくできる。
【0085】
[電子機器の構成例2]
以下では、上記とは異なる電子機器の構成例について説明する。
【0086】
〔構成例2-1〕
図6Aに、電子機器10aの構成例を示す。電子機器10aは、一対の表示部11bを有する点、及び筐体12の形状が異なる点で、
図1Aで例示した電子機器10と主に相違している。
【0087】
筐体12は、長手方向に沿った2つの側面が、曲面形状を有する。一対の表示部11bは、筐体12の側面が有する曲面に沿って設けられている。また一対の表示部11bは、表示部11aを挟んで、左右対称に設けられている。
【0088】
このような構成とすることで、電子機器10bを把持する手が右手の場合と、左手の場合のいずれにも対応することができる。
【0089】
〔構成例2-2〕
図6Bに、電子機器10bの構成例を示す。電子機器10bは、筐体12の上面側に画面が設けられた構成である。
【0090】
また、
図6Bでは、電子機器10bがカメラ15、光源16、物理ボタン17及び物理ボタン18を有する例を示している。
【0091】
表示部11aと表示部11bは、これらを囲う筐体12の枠部の内側に設けられている。また、表示部11bは、筐体12の枠部の内輪郭のうち、下側の一部に接して設けられている。また、表示部11bは、表示部11aよりも面積が小さい。
【0092】
このような構成とすることで、主表示面として機能する表示部11aの面積を大きくでき、視認性、一覧性、及び利便性を高めることができる。また、指紋を撮像可能な表示部11bを、画面の下側に配置することで、表示部11bの表示素子の精細度を低くした場合であっても、違和感のない表示を行うことができる。
【0093】
〔構成例2-3〕
図7A及び
図7Bに、タブレット型の電子機器10cの構成例を示している。
【0094】
電子機器10cが有する筐体12は、表示部11a及び表示部11bを囲う枠部を有する。枠部は、内輪郭が、角の丸い四辺形形状を有している。電子機器10cには、当該枠部の内輪郭に沿って、4つの表示部11bが設けられている。各表示部11bは、枠部の内輪郭の角部に設けられている。言い換えると、各表示部11bは、枠部の内輪郭の隣接する2辺に接して設けられている。
【0095】
図7Aは、電子機器10cの筐体12の長辺が概略水平になるように(横向きともいう)して使用している場合の例である。また、
図7Bは、電子機器10cの筐体12の短辺が概略水平になるように(縦向きともいう)して使用している場合の例である。このとき、電子機器10cを把持している手(ここでは左手)の指30aが、4つの表示部11bのいずれかに触れることで、指紋を撮像することができる。このように、筐体12の枠部内の4隅に表示部11bを配置することで、電子機器10cを回転した場合であっても、また、左右どちらの手で電子機器10cを把持した場合であっても、確実に指紋の撮像を行うことができる。
【0096】
図8Aには、電子機器10dの構成例を示している。
図8Aに示すように、筐体12の枠部内に、表示部11bを2つ配置する構成としてもよい。このとき、筐体12の枠部の内輪郭における、一方の短辺の両端に位置する2つの角部に、それぞれ表示部11bを配置することが好ましい。これにより、電子機器10dを横向きで使用する場合と、縦向きで使用する場合のいずれであっても、表示部11bで指紋の撮像を実行することができる。
【0097】
なお、
図8Aでは、左手で電子機器10dを把持している例を示しているが、右手で把持する場合には、電子機器10dを180度回転させればよい。
【0098】
図8Bには、電子機器10eの構成例を示している。電子機器10eは、筐体12の枠部の内輪郭における、短辺に沿った一部の領域に、1つの表示部11bが設けられている。このような構成とすることで、上記電子機器10dと同様に、電子機器10eを横向きで使用する場合と、縦向きで使用する場合のいずれであっても、表示部11bで指紋の撮像を実行することができる。
【0099】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0100】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置の構成例について、図面を参照して説明する。以下で例示する表示装置は、実施の形態1で例示した電子機器の第1の表示部及び第2の表示部に適用することができる。
【0101】
以下で例示する表示装置は、発光素子と、受光素子を備える。表示装置は、画像を表示する機能と、被検出体からの反射光を用いて位置検出を行う機能と、被検出体からの反射光を用いて指紋等の撮像を行う機能と、を有する。以下で例示する表示装置は、タッチパネルとしての機能と、指紋センサとしての機能と、を有するともいうことができる。
【0102】
本発明の一態様の表示装置は、第1の光を呈する発光素子(発光デバイス)と、当該第1の光を受光する受光素子(受光デバイス)とを有する。受光素子は、光電変換素子であることが好ましい。第1の光としては、可視光、または赤外光を用いることができる。第1の光として赤外光を用いる場合には、第1の光を呈する発光素子のほかに、可視光を呈する発光素子を有する構成とすることができる。
【0103】
また、表示装置は、一対の基板(第1の基板と第2の基板ともいう)を有する。発光素子及び受光素子は、第1の基板と第2の基板との間に配置される。第1の基板は、表示面側に位置し、第2の基板は、表示面側とは反対側に位置する。
【0104】
発光素子から発せられた可視光は、第1の基板を介して外部に射出される。表示装置が、マトリクス状に配列した複数の当該発光素子を有することで、画像を表示することができる。
【0105】
また、発光素子から発せられた第1の光は、第1の基板の表面に到達する。ここで、第1の基板の表面に物体が触れると、第1の基板と物体の界面で第1の光が散乱され、その散乱光の一部が、受光素子に入射する。受光素子は第1の光を受光すると、その強度に応じた電気信号に変換して出力することができる。表示装置が、マトリクス状に配列した複数の受光素子を有することで、第1の基板に触れる物体の位置情報、形状などを検出することができる。すなわち、表示装置は、イメージセンサパネル、タッチセンサパネルなどとして機能させることができる。
【0106】
なお、物体が第1の基板の表面に触れない場合であっても、第1の基板を透過した第1の光が物体表面で反射または散乱され、その反射光または散乱光が、第1の基板を介して受光素子に入射する。そのため、表示装置は、非接触型のタッチセンサパネル(ニアタッチパネルともいう)として用いることもできる。
【0107】
第1の光として可視光を用いる場合には、画像の表示に用いた第1の光を、タッチセンサの光源として用いることができる。このとき、発光素子が表示素子としての機能と、光源としての機能とを兼ねるため、表示装置の構成を簡略化できる。一方、第1の光として赤外光を用いる場合には、使用者に視認されないため、表示画像に対する視認性を低下させることなく、受光素子による撮像またはセンシングを行うことができる。
【0108】
第1の光として赤外光を用いる場合には、赤外光、好ましくは近赤外光を含むことが好ましい。特に、波長700nm以上2500nm以下の範囲に一以上のピークを有する近赤外光を好適に用いることができる。特に、波長750nm以上1000nm以下の範囲に一以上のピークを有する光を用いることで、受光素子の活性層に用いる材料の選択の幅が広がるため好ましい。
【0109】
表示装置の表面に、指先が触れることで、指紋の形状を撮像することができる。指紋は凹部と凸部があり、指が第1の基板に触れると、第1の基板表面に触れる指紋の凸部では第1の光が散乱されやすい。そのため、指紋の凸部と重畳する受光素子に入射する散乱光の強度は大きく、凹部と重畳する受光素子に入射する散乱光の強度は小さくなる。これにより、指紋を撮像することができる。本発明の一態様の表示装置を有するデバイスは、撮像された指紋の画像を利用して、生体認証のひとつである指紋認証を行うことができる。
【0110】
また、表示装置は、指や手などの血管、特に静脈を撮像することもできる。例えば、波長760nm及びその近傍の光は、静脈中の還元ヘモグロビンに吸収されないため、手のひらや指などからの反射光を受光素子で受光して画像化することで、静脈の位置を検出することができる。本発明の一態様の表示装置を有するデバイスは、撮像された静脈の画像を利用して、生体認証のひとつである静脈認証を行うことができる。
【0111】
また、本発明の一態様の表示装置を有するデバイスは、タッチセンシングと、指紋認証と、静脈認証とを同時に行うこともできる。これにより、部品点数を増やすことなく、低コストで、セキュリティレベルの高い生体認証を実行できる。
【0112】
受光素子は、可視光と赤外光の両方を受光可能な素子であることが好ましい。このとき、発光素子として、赤外光を発する発光素子と、可視光を発する発光素子の両方を有する構成とすることが好ましい。これにより、可視光を用いてユーザーの指で反射した反射光を受光素子で受光することにより、指紋の形状を撮像することができる。さらに、赤外光を用いて静脈の形状を撮像することができる。これにより、指紋認証と静脈認証の両方を、一つの表示装置で実行することが可能となる。また、指紋の撮像と、静脈の撮像は、それぞれ異なるタイミングで実行してもよいし、同時に実行してもよい。指紋の撮像と、静脈の撮像とを同時に行うことで、指紋の形状の情報と、静脈の形状の情報の両方が含まれる画像データを取得することが可能となり、より精度の高い生体認証を実現できる。
【0113】
また、本発明の一態様の表示装置は、ユーザーの健康状態を検出する機能を有していてもよい。例えば、血中の酸素飽和度の変化に応じて、可視光及び赤外光に対する反射率及び透過率が変化することを利用し、当該酸素飽和度の時間変調を取得することにより、心拍数を測定することが可能となる。また、真皮中のグルコース濃度や、血液中の中性脂肪濃度なども、赤外光または可視光により測定することもできる。本発明の一態様の表示装置を有するデバイスは、ユーザーの健康状態の指標となる情報を取得することのできる、ヘルスケア機器として用いることができる。
【0114】
また、第1の基板は、発光素子を封止するための封止基板、または保護フィルムなどを用いることができる。また、第1の基板と第2の基板との間に、これらを接着する樹脂層を有していてもよい。
【0115】
ここで、発光素子には、OLED(Organic Light Emitting Diode)やQLED(Quantum-dot Light Emitting Diode)などのEL素子を用いることが好ましい。EL素子が有する発光物質としては、蛍光を発する物質(蛍光材料)、燐光を発する物質(燐光材料)、無機化合物(量子ドット材料など)、熱活性化遅延蛍光を示す物質(熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料)などが挙げられる。また、発光素子として、マイクロLED(Light Emitting Diode)などのLEDを用いることもできる。
【0116】
受光素子としては、例えば、pn型またはpin型のフォトダイオードを用いることができる。受光素子は、受光素子に入射する光を検出し電荷を発生させる光電変換素子として機能する。光電変換素子は、入射する光量に応じて、発生する電荷量が決まる。特に、受光素子として、有機化合物を含む層を有する有機フォトダイオードを用いることが好ましい。有機フォトダイオードは、薄型化、軽量化、及び大面積化が容易であり、また、形状及びデザインの自由度が高いため、様々な表示装置に適用できる。
【0117】
発光素子は、例えば一対の電極間に発光層を備える積層構造とすることができる。また、受光素子は、一対の電極間に活性層を備える積層構造とすることができる。受光素子の活性層には、半導体材料を用いることができる。例えば、シリコンなどの無機半導体材料を用いることができる。
【0118】
また、受光素子の活性層に、有機化合物を用いることが好ましい。このとき、発光素子と受光素子の一方の電極(画素電極ともいう)を、同一面上に設けることが好ましい。さらに、発光素子と受光素子の他方の電極を、連続した一の導電層により形成される電極(共通電極ともいう)とすることがより好ましい。さらに、発光素子と受光素子とが、共通層を有することがより好ましい。これにより、発光素子と受光素子とを作製する際の作製工程を簡略化でき、製造コストを低減すること、及び、製造歩留りを向上させることができる。
【0119】
以下では、より具体的な例について、図面を参照して説明する。
【0120】
[表示装置の構成例1]
〔構成例1-1〕
図9Aに、表示装置50の模式図を示す。表示装置50は、基板51、基板52、受光素子53、発光素子57R、発光素子57G、発光素子57B、機能層55等を有する。
【0121】
発光素子57R、発光素子57G、発光素子57B、及び受光素子53は、基板51と基板52の間に設けられている。
【0122】
発光素子57R、発光素子57G、発光素子57Bは、それぞれ赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)の光を発する。
【0123】
表示装置50は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する。1つの画素は、1つ以上の副画素を有する。1つの副画素は、1つの発光素子を有する。例えば、画素には、副画素を3つ有する構成(R、G、Bの3色、または、黄色(Y)、シアン(C)、及びマゼンタ(M)の3色など)、または、副画素を4つ有する構成(R、G、B、白色(W)の4色、または、R、G、B、Yの4色など)を適用できる。さらに、画素は、受光素子53を有する。受光素子53は、全ての画素に設けられていてもよく、一部の画素に設けられていてもよい。また、1つの画素が複数の受光素子53を有していてもよい。
【0124】
図9Aには、基板52の表面に指60が触れる様子を示している。発光素子57Gが発する光の一部は、基板52と指60との接触部で反射または散乱される。そして、反射光または散乱光の一部が、受光素子53に入射することにより、指60が基板52に接触したことを検出することができる。すなわち、表示装置50はタッチパネルとして機能することができる。
【0125】
機能層55は、発光素子57R、発光素子57G、発光素子57Bを駆動する回路、及び、受光素子53を駆動する回路を有する。機能層55には、スイッチ、トランジスタ、容量、配線などが設けられる。なお、発光素子57R、発光素子57G、発光素子57B、及び受光素子53をパッシブマトリクス方式で駆動させる場合には、スイッチやトランジスタを設けない構成としてもよい。
【0126】
表示装置50は、指60の指紋を検出する機能を有していてもよい。
図9Bには、基板52に指60が触れている状態における接触部の拡大図を模式的に示している。また、
図9Bには、交互に配列した発光素子57と受光素子53を示している。
【0127】
指60は凹部及び凸部により指紋が形成されている。そのため、
図9Bに示すように指紋の凸部が、基板52に触れ、これらの接触面において、散乱光(破線矢印で示す)が生じる。
【0128】
図9Bに示すように、指60と基板52の接触面で散乱される散乱光の強度分布は、概ね接触面に垂直な向きの強度が最も高く、これよりも斜め方向に角度が大きくなるほど低い強度分布となる。したがって、接触面の直下に位置する(接触面と重なる)受光素子53が受光する光の強度が最も高くなる。また、散乱光のうち、散乱角が所定の角度以上の光は、基板52の他方の面(接触面とは反対側の面)で全反射し、受光素子53側には透過しなくなる。そのため、明瞭な指紋形状を撮像することができる。
【0129】
受光素子53の配列間隔は、指紋の2つの凸部間の距離、好ましくは隣接する凹部と凸部間の距離よりも小さい間隔とすることで、鮮明な指紋の画像を取得することができる。人の指紋の凹部と凸部の間隔は概ね200μmであることから、例えば受光素子53の配列間隔は、400μm以下、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下であって、1μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上とする。
【0130】
表示装置50で撮像した指紋の画像の例を
図9Cに示す。
図9Cには、撮像範囲63内に、指60の輪郭を破線で、接触部61の輪郭を一点鎖線で示している。接触部61内において、受光素子53に入射する光量の違いによって、コントラストの高い指紋62を撮像することができる。
【0131】
表示装置50は、タッチパネルや、ペンタブレットとしても機能させることができる。
図9Dには、スタイラス65の先端を基板52に接触させた状態で、破線矢印の方向に滑らせている様子を示している。
【0132】
図9Dに示すように、スタイラス65の先端と、基板52の接触面で散乱される散乱光が、当該接触面と重なる部分に位置する受光素子53に入射することで、スタイラス65の先端の位置を高精度に検出することができる。
【0133】
図9Eには、表示装置50で検出したスタイラス65の軌跡66の例を示している。表示装置50は、高い位置精度でスタイラス65等の被検出体の位置検出が可能であるため、描画アプリケーション等において、高精細な描画を行うことも可能である。また、静電容量式のタッチセンサや、電磁誘導型のタッチペン等を用いた場合とは異なり、絶縁性の高い被検出体であっても位置検出が可能であるため、スタイラス65の先端部の材料は問われず、様々な筆記用具(例えば筆、ガラスペン、羽ペンなど)を用いることもできる。
【0134】
〔構成例1-2〕
以下では、可視光を呈する発光素子と、赤外光を呈する発光素子と、受光素子と、を備える構成の例について説明する。
【0135】
図10Aに示す表示装置50aは、
図9Aで例示した表示装置50に加えて、導光板59、及び発光素子54を有する。
【0136】
導光板59は、基板52上に設けられている。導光板59としては、可視光及び赤外光に対して高い透光性を有する材料を用いることが好ましい。例えば波長600nmの光、及び波長800nmの光に対する透過率が、共に80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上であって、100%以下である材料を用いることができる。
【0137】
また、導光板59は、発光素子54が発する光に対して屈折率の高い材料を用いることが好ましい。例えば、波長800nmの光に対する屈折率が、1.2以上2.5以下、好ましくは1.3以上2.0以下、より好ましくは、1.4以上1.8以下の材料を用いることができる。
【0138】
また、導光板59と基板52とが接して設けられる、またはこれらが樹脂層等で接着されることが好ましい。このとき、導光板59と接する基板52または樹脂層は、少なくとも導光板59に接する部分が、導光板59よりも800nm乃至1000nmの波長範囲の光に対する屈折率が低いことが好ましい。
【0139】
発光素子54は、導光板59の側面近傍に設けられる。発光素子54は、導光板59の側面に赤外光IRを発することができる。発光素子54としては、上述した波長の光を含む赤外光を発することのできる発光素子を用いることができる。発光素子54としては、OLED、QLEDなどのEL素子、またはLEDを用いることができる。発光素子54は、導光板59の側面に沿って複数設けられていてもよい。
【0140】
以下では、表示装置50aを用いて、ユーザーの指紋と血管の両方を撮像する場合の例について説明する。表示装置50aは、可視光を用いて指紋の撮像を行うモードと、赤外光を用いて血管の撮像を行うモードと、可視光及び赤外光の両方を用いて、指紋と血管の両方を一つの画像として撮像するモードと、を実行することができる。
【0141】
図10Aは、可視光を用いて指紋の撮像を行っている様子を示している。ここでは、発光素子54を発光させず、発光素子57Gを発光させる。発光素子57Gが発する緑色の光Gは、指60の表面に照射され、その一部が反射または散乱される。そして、散乱光G(r)の一部が、受光素子53に入射する。受光素子53は、マトリクス状に配置されているため、各受光素子53で検出した散乱光G(r)の強度をマッピングすることにより、指60の指紋の画像を取得することができる。
【0142】
図10Bは、赤外光を用いて血管の撮像を行っている様子を示している。ここでは、発光素子57R、発光素子57G、及び発光素子57Bを発光させず、発光素子54を発光させる。導光板59の内部を拡散する赤外光IRの一部は、導光板59と指60との接触部から指60の内部にまで透過する。そして赤外光IRの一部は、指60の内部に位置する血管67によって反射または散乱され、散乱光IR(r)が受光素子53に入射する。受光素子53で検出した散乱光IR(r)の強度を上記と同様にマッピングすることで、血管67の画像を取得することができる。
【0143】
図10Cは、可視光を用いた撮像と、赤外光を用いた撮像とを同時に行っている様子を示している。受光素子53には、散乱光G(r)と、散乱光IR(r)とが入射する。受光素子53で取得した2つの散乱光の強度を区別することなく、上記と同様にマッピングすることで、指紋の形状と、血管67の形状を反映した画像を取得することができる。
【0144】
ここで、血管67としては、静脈と、動脈とがある。指60の内部の静脈の画像を取得することで、当該画像を静脈認証に用いることができる。
【0145】
また、指60の内部にある動脈(細動脈)は、血中酸素飽和度の変動に応じて、赤外光または可視光に対する反射率が変化する。この変化を経時的に取得する、すなわち、血中酸素飽和度の時間変調を取得することにより、脈波の情報を取得することができる。これにより、ユーザーの心拍数を測定することができる。なお、ここでは赤外光IRによって脈波の情報を取得する例を示したが、可視光を用いて測定することもできる。
【0146】
また、指60の内部及び血管67を撮像することで得られる情報としては、血中の酸素飽和度のほかに、血中の中性脂肪濃度や、血中または真皮中のグルコース濃度などがある。グルコース濃度から、血糖値を推定することができる。このような情報は、ユーザーの健康状態の指標となるため、一日に一回以上の頻度で測定することで、日常の健康状態の変化をモニタすることができる。本発明の一態様の表示装置を有する電子機器は、指紋認証や静脈認証を実行する際に、同時に生体情報を取得することが可能なため、ユーザーを煩わせることなく、無意識に健康管理を行うことができる。
【0147】
なお、上記では、可視光の光源として、緑色の光を発する発光素子57Gを用いたが、これに限られず、発光素子57Rまたは発光素子57Bを用いてもよいし、3つの発光素子のうち2つ以上を用いてもよい。特に視感度の低い青色の発光を光源として用いることで、タッチセンシングや指紋の撮像を実行する際に、画像の視認性が低下してしまうことを抑制することができる。
【0148】
また、発光素子54として、一種類の発光素子を用いるだけではなく、それぞれ異なる波長の赤外光を発する複数の発光素子を用いてもよいし、連続波長の赤外光を発する発光素子を用いてもよい。指紋認証、静脈認証、または生体情報の取得に用いる光源は、その用途に応じて、適した波長の光を発する光源を選択して用いることができる。
【0149】
〔構成例1-3〕
本発明の一態様の表示装置が有する基板に、可撓性を有する材料を用いることで、湾曲させることのできる表示装置とすることができる。このような構成とすることで、表示装置の一部を曲面に沿って設けることができる。
【0150】
図11Aに、表示装置50bの構成例を示す。
図11Aでは、図面が煩雑となるのを避けるため、表示装置50bとして、基板51、基板52、受光素子53、及び発光素子57を示している。
【0151】
表示装置50bは、湾曲部40を有している。湾曲部40において、表示装置50bは、その端部が、180度湾曲した形状を有する。
【0152】
また、
図11Aでは、基板51が支持体56aに支持されている例を示している。支持体56aとしては、表示装置50bを組み込む電子機器の筐体の一部を適用することができる。基板51を支持体56aで支持することで、機械的な強度を高めることができる。特に、基板51として可撓性の基板を用いたときには、このように支持体56aで基板51を支持することが好適である。
【0153】
基板51及び基板52は、可撓性を有する材料を用いることができる。例えば、基板51及び基板52として、有機樹脂などを含む材料を用いることが好ましい。また、基板51及び基板52に、可撓性を有する程度に薄いガラス基板などの無機絶縁基板を用いることが好ましい。
【0154】
表示装置50bの、湾曲部40以外の部分は、主表示面として機能する第1の表示部と呼ぶことができる。また、湾曲部40は、副表示面として機能する第2の表示部と呼ぶことができる。
【0155】
ここで、湾曲部40(すなわち第2の表示部)に設けられる受光素子53は、第1の表示部よりも高密度に設けられていることが好ましい。また、第2の表示部は、第1の表示部よりも面積が小さいことが好ましい。
【0156】
湾曲部40において、発光素子57によって、曲面に沿って画像を表示することができる。また、湾曲部40に設けられた受光素子53によって、湾曲部40に触れる被検出体から反射された光などを受光することができる。
【0157】
なお、
図11Aでは、湾曲部40において、表示装置50bが180度湾曲した例を示したが、これに限られない。例えば、30度以上180度以下、好ましくは60度以上180度以下、より好ましくは90度以上180度以下の角度で湾曲する構成とすることができる。
【0158】
図11Bに示す表示装置50cは、表示面側に位置する支持体56bに支持されている点で、主に上記表示装置50bと相違している。
【0159】
支持体56bは、表示装置50cの表示面を保護する保護部材として機能する。支持体56bは、表示装置50cの表示面側に位置するため、可視光、または可視光及び赤外光に対して透光性を有することが好ましい。また、支持体56bは、タッチセンサとしての機能を有していてもよい。また、支持体56bは、偏光板(直線偏光板、円偏光板等を含む)、散乱板、拡散板、反射防止部材などとしての機能を有していてもよい。
【0160】
表示装置50cは、基板52に代えて接着層71を有する。接着層71により、基板51と支持体56bとが貼り合わされている。接着層71としては、可視光または可視光及び赤外光に対して透光性を有する有機樹脂などを好適に用いることができる。
【0161】
図11Cに示す表示装置50dは、一対の湾曲部40aと湾曲部40bとを有する。表示装置50dは、第1の表示部に位置する部分を挟んで、第2の表示部に位置する一対の湾曲した部分を有する。
【0162】
このような構成とすることで、表示装置50dの両端を、主表示面とは反対側に折り返すことができるため、表示装置50dを適用した電子機器における額縁を実質的になくすことができる。これにより、意匠性及び利便性に優れた電子機器を実現できる。
【0163】
表示装置50dは、表示面側とは反対側に支持体56aが設けられている。また、
図11Dに示す表示装置50eのように、表示面側に支持体56bが設けられた構成としてもよい。表示装置50eは、接着層71により、支持体56bに貼りつけられている。
【0164】
図12Aに示す表示装置50fは、第2の表示部として機能する湾曲部40cが、平坦面を有する場合の例である。表示装置50fは、第1の表示部に位置する部分と、第2の表示部として機能する湾曲部40cに位置する部分と、を有する。湾曲部40cに位置する表示装置50fの平坦部は、一対の湾曲部に挟まれるように設けられている。すなわち、表示装置50fの第1の表示部に位置する部分と、湾曲部40cに位置する平坦部との間には湾曲部が設けられている。
【0165】
図12Aに示す表示装置50fは、主表示面として機能する第1の表示部と、第1の表示部に対して傾斜した第2の表示部を有する、ともいうことができる。そして、第1の表示部と第2の表示部とは、それぞれ法線方向が異なるともいうことができる。このように、湾曲部40cの一部に、平坦部を有する構成とすることで、湾曲部40cに指を触れたときの接触面積を大きくできるため、より精度の高い認証を行うことができる。
【0166】
ここで、表示装置50fの、第1の表示部に位置する表面と、湾曲部40cに位置する平坦部の表面との成す角(角度θ1)は、0度より大きく90度以下であることが好ましい。具体的には、15度以上90度以下、好ましくは、20度以上90度未満、より好ましくは、25度以上90度以下とすることができる。代表的には、角度θ1を、30度、45度、60度、または75度等とすることができる。
【0167】
また、表示装置50fの、湾曲部40cに位置する平坦部の表面と、端部近傍の平坦部の表面との成す角(角度θ2)は、180度から上記角度θ1を差し引いた角度であることが好ましい。
【0168】
ここで、第2の表示部は、第1の表示部よりも面積が小さいことが好ましい。
【0169】
図12Aでは、表示装置50fの表示面側とは反対側に支持体56aを設ける例を示したが、
図12Bに示す表示装置50gのように、表示面側に支持体56bが設けられた構成としてもよい。表示装置50gは、接着層71により支持体56bに貼りつけられている。
【0170】
また、
図12Cに示す表示装置50h、及び
図12Dに示す表示装置50kのように、一対の湾曲部40cと湾曲部40dを有する構成としてもよい。このような構成とすることで、表示装置50hまたは表示装置50kの両端部を、主表示面とは反対側に折り返すことができるため、表示装置50hまたは表示装置50kを適用した電子機器における額縁を実質的になくすことができる。これにより、意匠性及び利便性に優れた電子機器を実現できる。
【0171】
以上が表示装置の構成例1についての説明である。
【0172】
[表示装置の構成例2]
〔構成例2-1〕
図13Aに、表示装置100Aの断面概略図を示す。
【0173】
表示装置100Aは、受光素子110及び発光素子190を有する。受光素子110は、画素電極111、共通層112、活性層113、共通層114、及び共通電極115を有する。発光素子190は、画素電極191、共通層112、発光層193、共通層114、及び共通電極115を有する。
【0174】
画素電極111、画素電極191、共通層112、活性層113、発光層193、共通層114、及び共通電極115は、それぞれ、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
【0175】
画素電極111及び画素電極191は、絶縁層214上に位置する。画素電極111と画素電極191は、同一の材料及び同一の工程で形成することができる。
【0176】
共通層112は、画素電極111上及び画素電極191上に位置する。共通層112は、受光素子110と発光素子190に共通で用いられる層である。
【0177】
活性層113は、共通層112を介して、画素電極111と重なる。発光層193は、共通層112を介して、画素電極191と重なる。活性層113は、第1の有機化合物を有し、発光層193は、第1の有機化合物とは異なる第2の有機化合物を有する。
【0178】
共通層114は、共通層112上、活性層113上、及び発光層193上に位置する。共通層114は、受光素子110と発光素子190に共通で用いられる層である。
【0179】
共通電極115は、共通層112、活性層113、及び共通層114を介して、画素電極111と重なる部分を有する。また、共通電極115は、共通層112、発光層193、及び共通層114を介して、画素電極191と重なる部分を有する。共通電極115は、受光素子110と発光素子190に共通で用いられる層である。
【0180】
本実施の形態の表示装置では、受光素子110の活性層113に有機化合物を用いる。受光素子110は、活性層113以外の層を、発光素子190(EL素子)と共通の構成にすることができる。そのため、発光素子190の作製工程に、活性層113を成膜する工程を追加するのみで、発光素子190の形成と並行して受光素子110を形成することができる。また、発光素子190と受光素子110とを同一基板上に形成することができる。したがって、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置に受光素子110を内蔵することができる。
【0181】
表示装置100Aでは、受光素子110の活性層113と、発光素子190の発光層193と、を作り分ける以外は、受光素子110と発光素子190が共通の構成である例を示す。ただし、受光素子110と発光素子190の構成はこれに限定されない。受光素子110と発光素子190は、活性層113と発光層193のほかにも、互いに作り分ける層を有していてもよい(後述の表示装置100D、100E、100F参照)。受光素子110と発光素子190は、共通で用いられる層(共通層)を1層以上有することが好ましい。これにより、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置に受光素子110を内蔵することができる。
【0182】
表示装置100Aは、一対の基板(基板151及び基板152)間に、受光素子110、発光素子190、トランジスタ131、及びトランジスタ132等を有する。
【0183】
受光素子110において、それぞれ画素電極111及び共通電極115の間に位置する共通層112、活性層113、及び共通層114は、有機層(有機化合物を含む層)ということもできる。画素電極111は可視光を反射する機能を有することが好ましい。画素電極111の端部は隔壁216によって覆われている。共通電極115は可視光を透過する機能を有する。
【0184】
受光素子110は、光を検出する機能を有する。具体的には、受光素子110は、基板152を介して外部から入射する光122を受光し、電気信号に変換する、光電変換素子である。
【0185】
基板152の基板151側の面には、遮光層BMが設けられている。遮光層BMは、受光素子110と重なる位置及び発光素子190と重なる位置に開口を有する。遮光層BMを設けることで、受光素子110が光を検出する範囲を制御することができる。
【0186】
遮光層BMとしては、発光素子からの発光を遮る材料を用いることができる。遮光層BMは、可視光を吸収することが好ましい。遮光層BMとして、例えば、金属材料、又は、顔料(カーボンブラックなど)もしくは染料を含む樹脂材料等を用いてブラックマトリクスを形成することができる。遮光層BMは、赤色のカラーフィルタ、緑色のカラーフィルタ、及び青色のカラーフィルタの積層構造であってもよい。
【0187】
ここで、発光素子190の発光の一部が、表示装置100A内で反射され、受光素子110に入射されてしまう場合がある。遮光層BMは、このような迷光の影響を抑制することができる。例えば、遮光層BMが設けられていない場合、発光素子190が発した光123aは、基板152で反射され、反射光123bが受光素子110に入射することがある。遮光層BMを設けることで、反射光123bが受光素子110に入射することを抑制できる。これにより、ノイズを低減し、受光素子110を用いたセンサの感度を高めることができる。
【0188】
発光素子190において、それぞれ画素電極191及び共通電極115の間に位置する共通層112、発光層193、及び共通層114は、EL層ということもできる。画素電極191は可視光を反射する機能を有することが好ましい。画素電極191の端部は隔壁216によって覆われている。画素電極111と画素電極191とは隔壁216によって互いに電気的に絶縁されている。共通電極115は可視光を透過する機能を有する。
【0189】
発光素子190は、可視光を発する機能を有する。具体的には、発光素子190は、画素電極191と共通電極115との間に電圧を印加することで、基板152側に光121を射出する電界発光素子である。
【0190】
発光層193は、受光素子110の受光領域と重ならないように形成されることが好ましい。これにより、発光層193が光122を吸収することを抑制でき、受光素子110に照射される光量を多くすることができる。
【0191】
画素電極111は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ131が有するソースまたはドレインと電気的に接続される。画素電極111の端部は、隔壁216によって覆われている。
【0192】
画素電極191は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ132が有するソースまたはドレインと電気的に接続される。画素電極191の端部は、隔壁216によって覆われている。トランジスタ132は、発光素子190の駆動を制御する機能を有する。
【0193】
トランジスタ131とトランジスタ132とは、同一の層(
図13Aでは基板151)上に接している。
【0194】
受光素子110と電気的に接続される回路の少なくとも一部は、発光素子190と電気的に接続される回路と同一の材料及び同一の工程で形成されることが好ましい。これにより、2つの回路を別々に形成する場合に比べて、表示装置の厚さを薄くすることができ、また、作製工程を簡略化できる。
【0195】
ここで、発光素子190と受光素子110に共通に設けられる共通電極115には、第1の電位が与えられる配線と電気的に接続することが好ましい。第1の電位としては、共通電位(コモン電位)、接地電位、基準電位などの固定電位を用いることができる。なお、共通電極115に与える第1の電位は、固定電位に限られず、異なる2つ以上の電位を選択して与えることもできる。
【0196】
受光素子110で光を受光し、電気信号に変換する場合には、画素電極111には、共通電極115に与えられる第1の電位よりも低い第2の電位を与えることが好ましい。第2の電位は、受光素子110の構成、光学特性、及び電気的な特性等に応じて、受光感度などが最適になるような電位を選択して与えることができる。すなわち、受光素子110をフォトダイオードとしてみなした場合に、逆バイアス電圧が印加されるように、カソードとして機能する共通電極115に与える第1の電位と、アノードとして機能する画素電極191に与える第2の電位とを、選択することができる。なお、受光素子110を駆動しない場合には、画素電極111には、第1の電位と同じ若しくは同程度の電位、または第1の電位よりも高い電位が与えられてもよい。
【0197】
一方、発光素子190を発光させる場合、画素電極191には、共通電極115に与えられる第1の電位よりも高い第3の電位を与えることが好ましい。第3の電位は、発光素子190の構成、しきい値電圧、及び電流-輝度特性等に応じて、要求される発光輝度となるように電位を選択して与えることができる。すなわち、発光素子190を発光ダイオードとしてみなした場合に、順バイアス電圧が印加されるように、カソードとして機能する共通電極115に与える第1の電位と、アノードとして機能する画素電極191に与える第3の電位とを、選択することができる。なお、発光素子190を発光させない場合には、画素電極191には、第1の電位と同じ若しくは同程度の電位、または第1の電位よりも低い電位が与えられてもよい。
【0198】
なお、ここでは、受光素子110及び発光素子190として、共通電極115がカソードとして機能し、各画素電極がアノードとして機能する場合の例を説明したが、これに限られず、共通電極115がアノードとして機能し、各画素電極がカソードとして機能する構成としてもよい。その場合は、受光素子110を駆動する際に上記第2の電位として第1の電位よりも高い電位を与え、発光素子190を駆動する際に上記第3の電位として第1の電位よりも低い電位を与えればよい。
【0199】
受光素子110及び発光素子190は、それぞれ、保護層195に覆われていることが好ましい。
図13Aでは、保護層195が、共通電極115上に接して設けられている。保護層195を設けることで、受光素子110及び発光素子190に水などの不純物が入り込むことを抑制し、受光素子110及び発光素子190の信頼性を高めることができる。また、接着層142によって、保護層195と基板152とが貼り合わされている。
【0200】
なお、
図14Aに示すように、受光素子110上及び発光素子190上に保護層を有していなくてもよい。
図14Aでは、接着層142によって、共通電極115と基板152とが貼り合わされている。
【0201】
また、
図14Bに示すように、遮光層BMを有さない構成としてもよい。これにより、受光素子110の受光面積を大きくできるため、よりセンサの感度を高めることができる。
【0202】
〔構成例2-2〕
図13Bに表示装置100Bの断面図を示す。なお、以降の表示装置の説明において、先に説明した表示装置と同様の構成については、説明を省略することがある。
【0203】
図13Bに示す表示装置100Bは、表示装置100Aの構成に加え、レンズ149を有する。
【0204】
レンズ149は、受光素子110と重なる位置に設けられている。表示装置100Bでは、レンズ149が基板152に接して設けられている。表示装置100Bが有するレンズ149は、基板151側に凸面を有する凸レンズである。なお、基板152側に凸面を有する凸レンズを、受光素子110と重なる領域に配置してもよい。
【0205】
基板152の同一面上に遮光層BMとレンズ149との双方を形成する場合、その形成順は問わない。
図13Bでは、レンズ149を先に形成する例を示すが、遮光層BMを先に形成してもよい。
図13Bでは、レンズ149の端部が遮光層BMによって覆われている。
【0206】
表示装置100Bは、光122がレンズ149を介して受光素子110に入射する構成である。レンズ149を有すると、レンズ149を有さない場合に比べて、受光素子110に入射する光122の光量を増やすことができる。これにより、受光素子110の感度を高めることができる。
【0207】
本実施の形態の表示装置に用いるレンズの形成方法としては、基板上または受光素子上にマイクロレンズなどのレンズを直接形成してもよいし、別途作製されたマイクロレンズアレイなどのレンズアレイを基板に貼り合わせてもよい。
【0208】
〔構成例2-3〕
図13Cに、表示装置100Cの断面概略図を示す。表示装置100Cは、基板151、基板152、及び隔壁216を有さず、基板153、基板154、接着層155、絶縁層212、及び隔壁217を有する点で、表示装置100Aと異なる。
【0209】
基板153と絶縁層212とは接着層155によって貼り合わされている。基板154と保護層195とは接着層142によって貼り合わされている。
【0210】
表示装置100Cは、作製基板上に形成された絶縁層212、トランジスタ131、トランジスタ132、受光素子110、及び発光素子190等を、基板153上に転置することで作製される構成である。基板153及び基板154は、それぞれ、可撓性を有することが好ましい。これにより、表示装置100Cの可撓性を高めることができる。例えば、基板153及び基板154には、それぞれ、樹脂を用いることが好ましい。
【0211】
基板153及び基板154としては、それぞれ、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン、アラミド等)、ポリシロキサン樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ABS樹脂、セルロースナノファイバー等を用いることができる。基板153及び基板154の一方または双方に、可撓性を有する程度の厚さのガラスを用いてもよい。
【0212】
本実施の形態の表示装置が有する基板には、光学等方性が高いフィルムを用いてもよい。光学等方性が高いフィルムとしては、トリアセチルセルロース(TAC、セルローストリアセテートともいう)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、シクロオレフィンコポリマー(COC)フィルム、及びアクリルフィルム等が挙げられる。
【0213】
隔壁217は、発光素子が発した光を吸収することが好ましい。隔壁217として、例えば、顔料もしくは染料を含む樹脂材料等を用いてブラックマトリクスを形成することができる。また、茶色レジスト材料を用いることで、着色された絶縁層で隔壁217を構成することができる。
【0214】
発光素子190が発した光123cは、基板152及び隔壁217で反射され、反射光123dが受光素子110に入射することがある。また、光123cが隔壁217を透過し、トランジスタまたは配線等で反射されることで、反射光が受光素子110に入射することがある。隔壁217によって光123cが吸収されることで、反射光123dが受光素子110に入射することを抑制できる。これにより、ノイズを低減し、受光素子110を用いたセンサの感度を高めることができる。
【0215】
隔壁217は、少なくとも、受光素子110が検出する光の波長を吸収することが好ましい。例えば、発光素子190が発する赤色の光を受光素子110が検出する場合、隔壁217は、少なくとも赤色の光を吸収することが好ましい。例えば、隔壁217が、青色のカラーフィルタを有すると、赤色の光123cを吸収することができ、反射光123dが受光素子110に入射することを抑制できる。
【0216】
〔構成例2-4〕
上記では、発光素子と受光素子が、2つの共通層を有する例を示したが、これに限られない。以下では、共通層の構成が異なる例について説明する。
【0217】
図15Aに、表示装置100Dの断面概略図を示す。表示装置100Dは、共通層114を有さず、バッファ層184及びバッファ層194を有する点で、表示装置100Aと異なる。バッファ層184及びバッファ層194は、それぞれ、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
【0218】
表示装置100Dにおいて、受光素子110は、画素電極111、共通層112、活性層113、バッファ層184、及び共通電極115を有する。また、表示装置100Dにおいて、発光素子190は、画素電極191、共通層112、発光層193、バッファ層194、及び共通電極115を有する。
【0219】
表示装置100Dでは、共通電極115と活性層113との間のバッファ層184と、共通電極115と発光層193との間のバッファ層194とを作り分ける例を示す。バッファ層184及びバッファ層194としては、例えば、電子注入層及び電子輸送層の一方または双方を形成することができる。
【0220】
図15Bに、表示装置100Eの断面概略図を示す。表示装置100Eは、共通層112を有さず、バッファ層182及びバッファ層192を有する点で、表示装置100Aと異なる。バッファ層182及びバッファ層192は、それぞれ、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
【0221】
表示装置100Eにおいて、受光素子110は、画素電極111、バッファ層182、活性層113、共通層114、及び共通電極115を有する。また、表示装置100Eにおいて、発光素子190は、画素電極191、バッファ層192、発光層193、共通層114、及び共通電極115を有する。
【0222】
表示装置100Eでは、画素電極111と活性層113との間のバッファ層182と、画素電極191と発光層193との間のバッファ層192とを作り分ける例を示す。バッファ層182及びバッファ層192としては、例えば、正孔注入層及び正孔輸送層の一方または双方を形成することができる。
【0223】
図15Cに、表示装置100Fの断面概略図を示す。表示装置100Fは、共通層112及び共通層114を有さず、バッファ層182、バッファ層184、バッファ層192、及びバッファ層194を有する点で、表示装置100Aと異なる。
【0224】
表示装置100Fにおいて、受光素子110は、画素電極111、バッファ層182、活性層113、バッファ層184、及び共通電極115を有する。また、表示装置100Fにおいて、発光素子190は、画素電極191、バッファ層192、発光層193、バッファ層194、及び共通電極115を有する。
【0225】
受光素子110と発光素子190の作製において、活性層113と発光層193を作り分けるだけでなく、他の層も作り分けることができる。
【0226】
表示装置100Fでは、受光素子110と発光素子190とで、一対の電極(画素電極111または画素電極191と共通電極115)間に、共通の層を有さない例を示す。表示装置100Fが有する受光素子110及び発光素子190は、絶縁層214上に画素電極111と画素電極191とを同一の材料及び同一の工程で形成し、画素電極111上にバッファ層182、活性層113、及びバッファ層184を、画素電極191上にバッファ層192、発光層193、及びバッファ層194を、それぞれ形成した後に、バッファ層184及びバッファ層194等を覆うように共通電極115を形成することで作製できる。
【0227】
なお、バッファ層182、活性層113、及びバッファ層184の積層構造と、バッファ層192、発光層193、及びバッファ層194の積層構造の作製順は特に限定されない。例えば、バッファ層182、活性層113、及びバッファ層184を成膜した後に、バッファ層192、発光層193、及びバッファ層194を成膜してもよい。逆に、バッファ層182、活性層113、及びバッファ層184を成膜する前に、バッファ層192、発光層193、及びバッファ層194を成膜してもよい。また、バッファ層182、バッファ層192、活性層113、発光層193、などの順に交互に成膜してもよい。
【0228】
[表示装置の構成例3]
以下では、表示装置のより具体的な構成例について説明する。
【0229】
〔構成例3-1〕
図16に、表示装置200Aの斜視図を示す。
【0230】
表示装置200Aは、基板151と基板152とが貼り合された構成を有する。
図16では、基板152を破線で示している。
【0231】
表示装置200Aは、表示部162、回路164、配線165等を有する。
図16では、表示装置200AにIC(集積回路)173及びFPC172が実装されている例を示している。そのため、
図16に示す構成は、表示装置200A、IC、及びFPCを有する表示モジュールということもできる。
【0232】
回路164としては、走査線駆動回路を用いることができる。
【0233】
配線165は、表示部162及び回路164に信号及び電力を供給する機能を有する。当該信号及び電力は、FPC172を介して外部から入力されるか、またはIC173から配線165に入力される。
【0234】
図16では、COG(Chip On Glass)方式またはCOF(Chip On Film)方式などにより、基板151にIC173が設けられている例を示す。IC173は、例えば走査線駆動回路及び信号線駆動回路等を有するICを適用できる。なお、表示装置200A及び表示モジュールは、ICを設けない構成としてもよい。また、ICを、COF方式等により、FPCに実装してもよい。
【0235】
図17に、
図16で示した表示装置200Aの、FPC172を含む領域の一部、回路164を含む領域の一部、表示部162を含む領域の一部、及び、端部を含む領域の一部をそれぞれ切断したときの断面の一例を示す。
【0236】
図17に示す表示装置200Aは、基板151と基板152の間に、トランジスタ201、トランジスタ205、トランジスタ206、発光素子190、受光素子110等を有する。
【0237】
基板152と絶縁層214は接着層142を介して接着されている。発光素子190及び受光素子110の封止には、固体封止構造または中空封止構造などが適用できる。
図17では、基板152、接着層142、及び絶縁層214に囲まれた空間143が、不活性ガス(窒素やアルゴンなど)で充填されており、中空封止構造が適用されている。接着層142は、発光素子190と重ねて設けられていてもよい。また、基板152、接着層142、及び絶縁層214に囲まれた空間143を、接着層142とは異なる樹脂で充填してもよい。
【0238】
発光素子190は、絶縁層214側から画素電極191、共通層112、発光層193、共通層114、及び共通電極115の順に積層された積層構造を有する。画素電極191は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ206が有する導電層222bと接続されている。トランジスタ206は、発光素子190の駆動を制御する機能を有する。画素電極191の端部は、隔壁216によって覆われている。画素電極191は可視光を反射する材料を含み、共通電極115は可視光を透過する材料を含む。
【0239】
受光素子110は、絶縁層214側から画素電極111、共通層112、活性層113、共通層114、及び共通電極115の順に積層された積層構造を有する。画素電極111は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ205が有する導電層222bと電気的に接続されている。画素電極111の端部は、隔壁216によって覆われている。画素電極111は可視光を反射する材料を含み、共通電極115は可視光を透過する材料を含む。
【0240】
発光素子190が発する光は、基板152側に射出される。また、受光素子110には、基板152及び空間143を介して、光が入射する。基板152には、可視光に対する透過性が高い材料を用いることが好ましい。
【0241】
画素電極111及び画素電極191は同一の材料及び同一の工程で作製することができる。共通層112、共通層114、及び共通電極115は、受光素子110と発光素子190との双方に用いられる。受光素子110と発光素子190とは、活性層113と発光層193の構成が異なる以外は全て共通の構成とすることができる。これにより、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置100Aに受光素子110を内蔵することができる。
【0242】
基板152の基板151側の面には、遮光層BMが設けられている。遮光層BMは、受光素子110と重なる位置及び発光素子190と重なる位置に開口を有する。遮光層BMを設けることで、受光素子110が光を検出する範囲を制御することができる。また、遮光層BMを有することで、発光素子190から受光素子110に光が直接入射することを抑制できる。したがって、ノイズが少なく感度の高いセンサを実現できる。
【0243】
トランジスタ201、トランジスタ205、及びトランジスタ206は、いずれも基板151上に形成されている。これらのトランジスタは、同一の材料及び同一の工程により作製することができる。
【0244】
基板151上には、絶縁層211、絶縁層213、絶縁層215、及び絶縁層214がこの順で設けられている。絶縁層211は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層213は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層215は、トランジスタを覆って設けられる。絶縁層214は、トランジスタを覆って設けられ、平坦化層としての機能を有する。なお、ゲート絶縁層の数及びトランジスタを覆う絶縁層の数は限定されず、それぞれ単層であっても2層以上であってもよい。
【0245】
トランジスタを覆う絶縁層の少なくとも一層に、水や水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。これにより、絶縁層をバリア層として機能させることができる。このような構成とすることで、トランジスタに外部から不純物が拡散することを効果的に抑制でき、表示装置の信頼性を高めることができる。
【0246】
絶縁層211、絶縁層213、及び絶縁層215としては、それぞれ、無機絶縁膜を用いることが好ましい。無機絶縁膜としては、例えば、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜などの無機絶縁膜を用いることができる。また、酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜、及び酸化ネオジム膜等を用いてもよい。また、上述の絶縁膜を2以上積層して用いてもよい。
【0247】
ここで、有機絶縁膜は、無機絶縁膜に比べてバリア性が低いことが多い。そのため、有機絶縁膜は、表示装置200Aの端部近傍に開口を有することが好ましい。これにより、表示装置200Aの端部から有機絶縁膜を介して不純物が拡散することを抑制することができる。または、有機絶縁膜の端部が表示装置200Aの端部よりも内側に位置するように有機絶縁膜を形成し、表示装置200Aの端部に有機絶縁膜が露出しないようにしてもよい。
【0248】
平坦化層として機能する絶縁層214には、有機絶縁膜が好適である。有機絶縁膜に用いることができる材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等が挙げられる。
【0249】
図17に示す領域228では、絶縁層214に開口が形成されている。これにより、絶縁層214に有機絶縁膜を用いる場合であっても、絶縁層214を介して外部から表示部162に不純物が拡散することを抑制できる。したがって、表示装置200Aの信頼性を高めることができる。
【0250】
トランジスタ201、トランジスタ205、及びトランジスタ206は、ゲートとして機能する導電層221、ゲート絶縁層として機能する絶縁層211、ソース及びドレインとして機能する導電層222a及び導電層222b、半導体層231、ゲート絶縁層として機能する絶縁層213、並びに、ゲートとして機能する導電層223を有する。ここでは、同一の導電膜を加工して得られる複数の層に、同じハッチングパターンを付している。絶縁層211は、導電層221と半導体層231との間に位置する。絶縁層213は、導電層223と半導体層231との間に位置する。
【0251】
本実施の形態の表示装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プレーナ型のトランジスタ、スタガ型のトランジスタ、逆スタガ型のトランジスタ等を用いることができる。また、トップゲート型またはボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。または、チャネルが形成される半導体層の上下にゲートが設けられていてもよい。
【0252】
トランジスタ201、トランジスタ205、及びトランジスタ206には、チャネルが形成される半導体層を2つのゲートで挟持する構成が適用されている。2つのゲートを接続し、これらに同一の信号を供給することによりトランジスタを駆動してもよい。または、2つのゲートのうち、一方に閾値電圧を制御するための電位を与え、他方に駆動のための電位を与えることで、トランジスタの閾値電圧を制御してもよい。
【0253】
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、単結晶半導体、または単結晶以外の結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、または一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。単結晶半導体または結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0254】
トランジスタの半導体層は、金属酸化物(酸化物半導体ともいう)を有することが好ましい。または、トランジスタの半導体層は、シリコンを有していてもよい。シリコンとしては、アモルファスシリコン、結晶性のシリコン(低温ポリシリコン、単結晶シリコンなど)などが挙げられる。
【0255】
半導体層は、例えば、インジウムと、M(Mは、ガリウム、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、スズ、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、及びマグネシウムから選ばれた一種または複数種)と、亜鉛と、を有することが好ましい。特に、Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、及びスズから選ばれた一種または複数種であることが好ましい。
【0256】
特に、半導体層として、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、及び亜鉛(Zn)を含む酸化物(IGZOとも記す)を用いることが好ましい。
【0257】
半導体層がIn-M-Zn酸化物の場合、In-M-Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットは、Inの原子数比がMの原子数比以上であることが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=2:1:3、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:3、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1:8、In:M:Zn=6:1:6、In:M:Zn=5:2:5等が挙げられる。
【0258】
スパッタリングターゲットとしては、多結晶の酸化物を含むターゲットを用いると、結晶性を有する半導体層を形成しやすくなるため好ましい。なお、成膜される半導体層の原子数比は、上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。例えば、半導体層に用いるスパッタリングターゲットの組成がIn:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]の場合、成膜される半導体層の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]の近傍となる場合がある。
【0259】
なお、原子数比がIn:Ga:Zn=4:2:3またはその近傍と記載する場合、Inを4としたとき、Gaが1以上3以下であり、Znが2以上4以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=5:1:6またはその近傍であると記載する場合、Inを5としたときに、Gaが0.1より大きく2以下であり、Znが5以上7以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1またはその近傍であると記載する場合、Inを1としたときに、Gaが0.1より大きく2以下であり、Znが0.1より大きく2以下である場合を含む。
【0260】
回路164が有するトランジスタと、表示部162が有するトランジスタは、同じ構造であってもよく、異なる構造であってもよい。回路164が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。同様に、表示部162が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。
【0261】
基板151の、基板152が重ならない領域には、接続部204が設けられている。接続部204では、配線165が導電層166及び接続層242を介してFPC172と電気的に接続されている。接続部204の上面は、画素電極191と同一の導電膜を加工して得られた導電層166が露出している。これにより、接続部204とFPC172とを接続層242を介して電気的に接続することができる。
【0262】
基板152の外側には各種光学部材を配置することができる。光学部材としては、偏光板、位相差板、光拡散層(拡散フィルムなど)、反射防止層、及び集光フィルム等が挙げられる。また、基板152の外側には、ゴミの付着を抑制する帯電防止膜、汚れを付着しにくくする撥水性の膜、使用に伴う傷の発生を抑制するハードコート膜、衝撃吸収層等を配置してもよい。
【0263】
基板151及び基板152には、それぞれ、ガラス、石英、セラミック、サファイア、樹脂などを用いることができる。基板151及び基板152に可撓性を有する材料を用いると、表示装置の可撓性を高めることができる。
【0264】
接着層としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性が低い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を用いてもよい。また、接着シート等を用いてもよい。
【0265】
接続層242としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
【0266】
発光素子190は、トップエミッション型、ボトムエミッション型、デュアルエミッション型などがある。光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
【0267】
発光素子190は少なくとも発光層193を有する。発光素子190は、発光層193以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、またはバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有していてもよい。例えば、共通層112は、正孔注入層及び正孔輸送層の一方又は双方を有することが好ましい。例えば、共通層114は、電子輸送層及び電子注入層の一方または双方を有することが好ましい。
【0268】
共通層112、発光層193、及び共通層114には低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。共通層112、発光層193、及び共通層114を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0269】
発光層193は、発光材料として、量子ドットなどの無機化合物を有していてもよい。
【0270】
受光素子110の活性層113は、半導体を含む。当該半導体としては、シリコンなどの無機半導体、及び、有機化合物を含む有機半導体が挙げられる。本実施の形態では、活性層が有する半導体として、有機半導体を用いる例を示す。有機半導体を用いることで、発光素子190の発光層193と、受光素子110の活性層113と、を同じ方法(例えば、真空蒸着法)で形成することができ、製造装置を共通化できるため好ましい。
【0271】
活性層113が有するn型半導体の材料としては、フラーレン(例えばC60、C70等)またはその誘導体等の電子受容性の有機半導体材料が挙げられる。また、活性層113が有するp型半導体の材料としては、銅(II)フタロシアニン(Copper(II) phthalocyanine;CuPc)やテトラフェニルジベンゾペリフランテン(Tetraphenyldibenzoperiflanthene;DBP)、亜鉛フタロシアニン(Zinc Phthalocyanine;ZnPc)等の電子供与性の有機半導体材料が挙げられる。
【0272】
例えば、活性層113は、n型半導体とp型半導体とを共蒸着して形成することが好ましい。
【0273】
トランジスタのゲート、ソース及びドレインのほか、表示装置を構成する各種配線及び電極などの導電層に用いることのできる材料としては、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、及びタングステンなどの金属、並びに、当該金属を主成分とする合金などが挙げられる。これらの材料を含む膜を単層で、または積層構造として用いることができる。
【0274】
また、透光性を有する導電材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛などの導電性酸化物またはグラフェンを用いることができる。または、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、及びチタンなどの金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。または、該金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)などを用いてもよい。なお、金属材料、合金材料(またはそれらの窒化物)を用いる場合には、透光性を有する程度に薄くすることが好ましい。また、上記材料の積層膜を導電層として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とインジウムスズ酸化物の積層膜などを用いると、導電性を高めることができるため好ましい。これらは、表示装置を構成する各種配線及び電極などの導電層や、表示素子が有する導電層(画素電極や共通電極として機能する導電層)にも用いることができる。
【0275】
各絶縁層に用いることのできる絶縁材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料が挙げられる。
【0276】
〔構成例3-2〕
図18Aに、表示装置200Bの断面図を示す。表示装置200Bは、レンズ149及び保護層195を有する点で、主に表示装置200Aと相違している。
【0277】
受光素子110及び発光素子190を覆う保護層195を設けることで、受光素子110及び発光素子190に水などの不純物が拡散することを抑制し、受光素子110及び発光素子190の信頼性を高めることができる。
【0278】
表示装置200Bの端部近傍の領域228において、絶縁層214の開口を介して、絶縁層215と保護層195とが互いに接することが好ましい。特に、絶縁層215が有する無機絶縁膜と保護層195が有する無機絶縁膜とが互いに接することが好ましい。これにより、有機絶縁膜を介して外部から表示部162に不純物が拡散することを抑制することができる。したがって、表示装置200Bの信頼性を高めることができる。
【0279】
図18Bに、保護層195が3層構造である例を示す。
図18Bにおいて、保護層195は、共通電極115上の無機絶縁層195aと、無機絶縁層195a上の有機絶縁層195bと、有機絶縁層195b上の無機絶縁層195cと、を有する。
【0280】
無機絶縁層195aの端部と無機絶縁層195cの端部は、有機絶縁層195bの端部よりも外側に延在し、互いに接している。そして、無機絶縁層195aは、絶縁層214(有機絶縁層)の開口を介して、絶縁層215(無機絶縁層)と接する。これにより、絶縁層215と保護層195とで、受光素子110及び発光素子190を囲うことができるため、受光素子110及び発光素子190の信頼性を高めることができる。
【0281】
このように、保護層195は、有機絶縁膜と無機絶縁膜との積層構造であってもよい。このとき、有機絶縁膜の端部よりも無機絶縁膜の端部を外側に延在させることが好ましい。
【0282】
基板152の基板151側の面に、レンズ149が設けられている。レンズ149は、基板151側に凸面を有する。受光素子110の受光領域は、レンズ149と重なり、かつ、発光層193と重ならないことが好ましい。これにより、受光素子110を用いたセンサの感度及び精度を高めることができる。
【0283】
レンズ149は、受光素子110が受光する光の波長に対する屈折率が1.3以上2.5以下であることが好ましい。レンズ149は、無機材料及び有機材料の少なくとも一方を用いて形成することができる。例えば、樹脂を含む材料をレンズ149に用いることができる。また、酸化物及び硫化物の少なくとも一方を含む材料をレンズ149に用いることができる。
【0284】
具体的には、塩素、臭素、またはヨウ素を含む樹脂、重金属原子を含む樹脂、芳香環を含む樹脂、硫黄を含む樹脂などをレンズ149に用いることができる。または、樹脂と当該樹脂より屈折率の高い材料のナノ粒子を含む材料をレンズ149に用いることができる。酸化チタンまたは酸化ジルコニウムなどをナノ粒子に用いることができる。
【0285】
また、酸化セリウム、酸化ハフニウム、酸化ランタン、酸化マグネシウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、インジウムとスズを含む酸化物、またはインジウムとガリウムと亜鉛を含む酸化物などを、レンズ149に用いることができる。または、硫化亜鉛などを、レンズ149に用いることができる。
【0286】
また、表示装置200Bでは、保護層195と基板152とが接着層142によって貼り合わされている。接着層142は、受光素子110及び発光素子190とそれぞれ重ねて設けられており、表示装置200Bには、固体封止構造が適用されている。
【0287】
〔構成例3-3〕
図19Aに、表示装置200Cの断面図を示す。表示装置200Cは、トランジスタの構造が異なる点、遮光層BM及びレンズ149を有さない点で、主に表示装置200Bと相違している。
【0288】
表示装置200Cは、基板151上に、トランジスタ208、トランジスタ209、及びトランジスタ210を有する。
【0289】
トランジスタ208、トランジスタ209、及びトランジスタ210は、ゲートとして機能する導電層221、ゲート絶縁層として機能する絶縁層211、チャネル形成領域231i及び一対の低抵抗領域231nを有する半導体層、一対の低抵抗領域231nの一方と接続する導電層222a、一対の低抵抗領域231nの他方と接続する導電層222b、ゲート絶縁層として機能する絶縁層225、ゲートとして機能する導電層223、並びに、導電層223を覆う絶縁層215を有する。絶縁層211は、導電層221とチャネル形成領域231iとの間に位置する。絶縁層225は、導電層223とチャネル形成領域231iとの間に位置する。
【0290】
導電層222a及び導電層222bは、それぞれ、絶縁層225及び絶縁層215に設けられた開口を介して低抵抗領域231nと接続される。導電層222a及び導電層222bのうち、一方はソースとして機能し、他方はドレインとして機能する。
【0291】
発光素子190の画素電極191は、導電層222bを介してトランジスタ208の一対の低抵抗領域231nの一方と電気的に接続される。
【0292】
受光素子110の画素電極111は、導電層222bを介してトランジスタ209の一対の低抵抗領域231nの他方と電気的に接続される。
【0293】
図19Aには、絶縁層225が半導体層の上面及び側面を覆う例を示している。一方、
図19Bには、絶縁層225は、半導体層231のチャネル形成領域231iと重なり、低抵抗領域231nとは重ならない例を示している。例えば、導電層223をマスクとして用いて絶縁層225を加工することで、
図19Bに示す構造を作製できる。
図19Bでは、絶縁層225及び導電層223を覆って絶縁層215が設けられ、絶縁層215の開口を介して、導電層222a及び導電層222bがそれぞれ低抵抗領域231nと接続されている。さらに、トランジスタを覆う絶縁層218を設けてもよい。
【0294】
〔構成例3-4〕
図20に、表示装置200Dの断面図を示す。表示装置200Dは、基板の構成が異なる点で、表示装置200Cと主に相違している。
【0295】
表示装置200Dは、基板151及び基板152を有さず、基板153、基板154、接着層155、及び絶縁層212を有する。
【0296】
基板153と絶縁層212とは接着層155によって貼り合わされている。基板154と保護層195とは接着層142によって貼り合わされている。
【0297】
表示装置200Dは、作製基板上で形成された絶縁層212、トランジスタ208、トランジスタ209、受光素子110、及び発光素子190等を、基板153上に転置することで作製される構成である。基板153及び基板154は、それぞれ、可撓性を有することが好ましい。これにより、表示装置200Dの可撓性を高めることができる。
【0298】
絶縁層212には、絶縁層211、絶縁層213、及び絶縁層215に用いることができる無機絶縁膜を用いることができる。または、絶縁層212として、有機絶縁膜と無機絶縁膜の積層膜としてもよい。このとき、トランジスタ209側の膜を、無機絶縁膜とすることが好ましい。
【0299】
以上が、表示装置の構成例についての説明である。
【0300】
[金属酸化物について]
以下では、半導体層に適用可能な金属酸化物について説明する。
【0301】
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。例えば、亜鉛酸窒化物(ZnON)などの窒素を有する金属酸化物を、半導体層に用いてもよい。
【0302】
なお、本明細書等において、CAAC(c-axis aligned crystal)、及びCAC(Cloud-Aligned Composite)と記載する場合がある。CAACは結晶構造の一例を表し、CACは機能または材料の構成の一例を表す。
【0303】
例えば、半導体層にはCAC(Cloud-Aligned Composite)-OS(Oxide Semiconductor)を用いることができる。
【0304】
CAC-OSまたはCAC-metal oxideとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。なお、CAC-OSまたはCAC-metal oxideを、トランジスタの半導体層に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(またはホール)を流す機能であり、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁性の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSまたはCAC-metal oxideに付与することができる。CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、それぞれの機能を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
【0305】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、導電性領域、及び絶縁性領域を有する。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶縁性の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子レベルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料中に偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察される場合がある。
【0306】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3nm以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
【0307】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、異なるバンドギャップを有する成分により構成される。例えば、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因するナローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際に、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャップを有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有する成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記CAC-OSまたはCAC-metal oxideをトランジスタのチャネル形成領域に用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、及び高い電界効果移動度を得ることができる。
【0308】
すなわち、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、マトリックス複合材(matrix composite)、または金属マトリックス複合材(metal matrix composite)と呼称することもできる。
【0309】
酸化物半導体(金属酸化物)は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、CAAC-OS(c-axis aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)、及び非晶質酸化物半導体などがある。
【0310】
CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複数のナノ結晶が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。なお、歪みとは、複数のナノ結晶が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。
【0311】
ナノ結晶は、六角形を基本とするが、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合がある。また、歪みにおいて、五角形及び七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することは難しい。すなわち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためである。
【0312】
また、CAAC-OSは、インジウム、及び酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛、及び酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能であり、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換した場合、(In,M,Zn)層と表すこともできる。また、In層のインジウムが元素Mと置換した場合、(In,M)層と表すこともできる。
【0313】
CAAC-OSは結晶性の高い金属酸化物である。一方、CAAC-OSは、明確な結晶粒界を確認することが難しいため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、金属酸化物の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損(VO:oxygen vacancyともいう。)など)の少ない金属酸化物ともいえる。したがって、CAAC-OSを有する金属酸化物は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する金属酸化物は熱に強く、信頼性が高い。
【0314】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
【0315】
なお、インジウムと、ガリウムと、亜鉛と、を有する金属酸化物の一種である、インジウム-ガリウム-亜鉛酸化物(以下、IGZO)は、上述のナノ結晶とすることで安定な構造をとる場合がある。特に、IGZOは、大気中では結晶成長がし難い傾向があるため、大きな結晶(ここでは、数mmの結晶、または数cmの結晶)よりも小さな結晶(例えば、上述のナノ結晶)とする方が、構造的に安定となる場合がある。
【0316】
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する金属酸化物である。a-like OSは、鬆または低密度領域を有する。すなわち、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。
【0317】
酸化物半導体(金属酸化物)は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0318】
半導体層として機能する金属酸化物膜は、不活性ガス及び酸素ガスのいずれか一方または双方を用いて成膜することができる。なお、金属酸化物膜の成膜時における酸素の流量比(酸素分圧)に、特に限定はない。ただし、電界効果移動度が高いトランジスタを得る場合においては、金属酸化物膜の成膜時における酸素の流量比(酸素分圧)は、0%以上30%以下が好ましく、5%以上30%以下がより好ましく、7%以上15%以下がさらに好ましい。
【0319】
金属酸化物は、エネルギーギャップが2eV以上であることが好ましく、2.5eV以上であることがより好ましく、3eV以上であることがさらに好ましい。このように、エネルギーギャップの広い金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0320】
金属酸化物膜の成膜時の基板温度は、350℃以下が好ましく、室温以上200℃以下がより好ましく、室温以上130℃以下がさらに好ましい。金属酸化物膜の成膜時の基板温度が室温であると、生産性を高めることができ、好ましい。
【0321】
金属酸化物膜は、スパッタリング法により形成することができる。そのほか、例えばPLD法、PECVD法、熱CVD法、ALD法、真空蒸着法などを用いてもよい。
【0322】
以上が、金属酸化物についての説明である。
【0323】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0324】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器に適用可能な表示装置について、
図21A、
図21Bを用いて説明する。
【0325】
本発明の一態様の表示装置は、受光素子を有する第1の画素回路と、発光素子を有する第2の画素回路と、を有する。第1の画素回路と第2の画素回路は、それぞれ、マトリクス状に配置される。
【0326】
図21Aに、受光素子を有する第1の画素回路の一例を示し、
図21Bに、発光素子を有する第2の画素回路の一例を示す。
【0327】
図21Aに示す画素回路PIX1は、受光素子PD、トランジスタM1、トランジスタM2、トランジスタM3、トランジスタM4、及び容量素子C1を有する。ここでは、受光素子PDとして、フォトダイオードを用いた例を示している。
【0328】
受光素子PDは、カソードが配線V1と電気的に接続し、アノードがトランジスタM1のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM1は、ゲートが配線TXと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が容量素子C1の一方の電極、トランジスタM2のソースまたはドレインの一方、及びトランジスタM3のゲートと電気的に接続する。トランジスタM2は、ゲートが配線RESと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が配線V2と電気的に接続する。トランジスタM3は、ソースまたはドレインの一方が配線V3と電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方がトランジスタM4のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM4は、ゲートが配線SEと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が配線OUT1と電気的に接続する。
【0329】
配線V1、配線V2、及び配線V3には、それぞれ定電位が供給される。受光素子PDを逆バイアスで駆動させる場合には、配線V2に、配線V1の電位よりも低い電位を供給する。トランジスタM2は、配線RESに供給される信号により制御され、トランジスタM3のゲートに接続するノードの電位を、配線V2に供給される電位にリセットする機能を有する。トランジスタM1は、配線TXに供給される信号により制御され、受光素子PDに流れる電流に応じて上記ノードの電位が変化するタイミング、または、受光素子PDに発生する電荷を上記ノードに転送するタイミングを制御する機能を有する。トランジスタM3は、上記ノードの電位に応じた出力を行う増幅トランジスタとして機能する。トランジスタM4は、配線SEに供給される信号により制御され、上記ノードの電位に応じた出力を配線OUT1に接続する外部回路で読み出すための選択トランジスタとして機能する。
【0330】
図21Bに示す画素回路PIX2は、発光素子EL、トランジスタM5、トランジスタM6、トランジスタM7、及び容量素子C2を有する。ここでは、発光素子ELとして、発光ダイオードを用いた例を示している。特に、発光素子ELとして、有機EL素子を用いることが好ましい。
【0331】
トランジスタM5は、ゲートが配線VGと電気的に接続し、ソースまたはドレインの一方が配線VSと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が、容量素子C2の一方の電極、及びトランジスタM6のゲートと電気的に接続する。トランジスタM6のソースまたはドレインの一方は配線V4と電気的に接続し、他方は、発光素子ELのアノード、及びトランジスタM7のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM7は、ゲートが配線MSと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が配線OUT2と電気的に接続する。発光素子ELのカソードは、配線V5と電気的に接続する。
【0332】
配線V4及び配線V5には、それぞれ定電位が供給される。発光素子ELのアノード側を高電位に、カソード側をアノード側よりも低電位にすることができる。トランジスタM5は、配線VGに供給される信号により制御され、画素回路PIX2の選択状態を制御するための選択トランジスタとして機能する。また、トランジスタM6は、ゲートに供給される電位に応じて発光素子ELに流れる電流を制御する駆動トランジスタとして機能する。トランジスタM5が導通状態のとき、配線VSに供給される電位がトランジスタM6のゲートに供給され、その電位に応じて発光素子ELの発光輝度を制御することができる。トランジスタM7は配線MSに供給される信号により制御され、トランジスタM6と発光素子ELとの間の電位を、配線OUT2を介して外部に出力する機能を有する。
【0333】
なお、本実施の形態の表示装置では、発光素子をパルス状に発光させることで、画像を表示してもよい。発光素子の駆動時間を短縮することで、表示装置の消費電力の低減、及び、発熱の抑制を図ることができる。特に、有機EL素子は周波数特性が優れているため、好適である。周波数は、例えば、1kHz以上100MHz以下とすることができる。
【0334】
ここで、画素回路PIX1が有するトランジスタM1、トランジスタM2、トランジスタM3、及びトランジスタM4、並びに、画素回路PIX2が有するトランジスタM5、トランジスタM6、及びトランジスタM7には、それぞれチャネルが形成される半導体層に金属酸化物(酸化物半導体)を用いたトランジスタを適用することが好ましい。
【0335】
シリコンよりもバンドギャップが広く、かつキャリア密度の小さい金属酸化物を用いたトランジスタは、極めて小さいオフ電流を実現することができる。そのため、その小さいオフ電流により、トランジスタと直列に接続された容量素子に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。そのため、特に容量素子C1または容量素子C2に直列に接続されるトランジスタM1、トランジスタM2、及びトランジスタM5には、酸化物半導体が適用されたトランジスタを用いることが好ましい。また、これ以外のトランジスタも同様に酸化物半導体を適用したトランジスタを用いることで、作製コストを低減することができる。
【0336】
また、トランジスタM1乃至トランジスタM7に、チャネルが形成される半導体にシリコンを適用したトランジスタを用いることもできる。特に単結晶シリコンや多結晶シリコンなどの結晶性の高いシリコンを用いることで、高い電界効果移動度を実現することができ、より高速な動作が可能となるため好ましい。
【0337】
また、トランジスタM1乃至トランジスタM7のうち、一以上に酸化物半導体を適用したトランジスタを用い、それ以外にシリコンを適用したトランジスタを用いる構成としてもよい。
【0338】
なお、
図21A、
図21Bにおいて、トランジスタをnチャネル型のトランジスタとして表記しているが、pチャネル型のトランジスタを用いることもできる。
【0339】
画素回路PIX1が有するトランジスタと画素回路PIX2が有するトランジスタは、同一基板上に並べて形成されることが好ましい。特に、画素回路PIX1が有するトランジスタと画素回路PIX2が有するトランジスタとを1つの領域内に混在させて周期的に配列する構成とすることが好ましい。
【0340】
また、受光素子PDまたは発光素子ELと重なる位置に、トランジスタ及び容量素子の一方又は双方を有する層を1つまたは複数設けることが好ましい。これにより、各画素回路の実効的な占有面積を小さくでき、高精細な受光部または表示部を実現できる。
【0341】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0342】
10、10a~10e:電子機器、11a、11b:表示部、12:筐体、13:スピーカ、14:マイク、21a、21a1、21a2、21b、21b1、21b2:画素、22、22B、22G、22R:表示素子、23:受光素子、24:画素、25:ユニット、30a、30b:指、40、40a~40d:湾曲部、50、50a~50h、50k:表示装置、51、52:基板、53:受光素子、54:発光素子、55:機能層、56a、56b:支持体、57、57B、57G、57R:発光素子、59:導光板、60:指、61:接触部、62:指紋、63:撮像範囲、65:スタイラス、66:軌跡、67:血管、71:接着層