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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】バルーンカテーテルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/10 20130101AFI20240520BHJP
   B29C 49/00 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
A61M25/10 500
A61M25/10 512
A61M25/10 510
B29C49/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021545195
(86)(22)【出願日】2020-08-24
(86)【国際出願番号】 JP2020031828
(87)【国際公開番号】W WO2021049282
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2023-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2019163858
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 陽二郎
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 真弘
(72)【発明者】
【氏名】中野 良紀
(72)【発明者】
【氏名】杖田 昌人
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-293174(JP,A)
【文献】特表2008-506454(JP,A)
【文献】特表2009-515647(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0091585(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2001/0047149(US,A1)
【文献】特開2014-140462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/10
B29C 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠近方向に延在しているシャフトと、前記シャフトの遠位側に設けられており、外側面に突出部が設けられているバルーンと、を有するバルーンカテーテルの製造方法であって、
遠近方向に延在する空間部を内部に有する筒状物を準備する筒状物準備工程と、
前記バルーンを準備するバルーン準備工程と、
前記筒状物内に前記バルーンを配置し、前記バルーンの内部を加圧して前記バルーンを膨張させるバルーン配置工程と、
前記バルーンの内部を減圧し、前記バルーンを収縮させて羽根形状部を形成するバルーン収縮工程と、を有しており、
前記バルーン配置工程において、前記筒状物の遠近方向に垂直な断面での、前記筒状物の内腔の外形を輪郭とする図の図心を中心とする、前記筒状物の内腔の外形を輪郭とする図の図心から前記筒状物の内側面までの距離が最も短い部分の距離と、前記筒状物の内腔の外形を輪郭とする図の図心から前記筒状物の内側面までの距離が最も長い部分の距離の平均値を半径とする平均円の内側に前記突出部を配置することを特徴とするバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項2】
前記バルーン配置工程の後に、前記突出部の頂部を前記筒状物の内方へ押す頂部押圧工程を有している請求項1に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項3】
前記バルーンは、複数の前記突出部を有しており、
前記頂部押圧工程において、前記筒状物の遠近方向に垂直な断面での、前記筒状物の内腔の外形を輪郭とする図の図心と前記突出部の頂部とを通る直線は、前記筒状物の軸方向に対して周回しており、かつ、全ての前記筒状物の内腔の外形を輪郭とする図の図心と前記突出部の頂部とを通る直線の周回方向は同じである請求項2に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項4】
前記筒状物は、遠近方向に延在する複数の溝部を内部に有しており、
前記溝部の幅は、前記突出部の幅よりも大きく、かつ、前記溝部の深さは、前記突出部の高さよりも小さく、
前記バルーン配置工程の後に、前記溝部の内部に前記突出部を配置する突出部配置工程を有しており、
前記溝部は、前記平均円の内側に位置している請求項2または3に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項5】
前記バルーン配置工程の後に、遠近方向に垂直な断面における前記突出部の両側部を前記筒状物の内方へ押す突出部両側部押圧工程を有している請求項1に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項6】
前記筒状物は、遠近方向に延在する複数の溝部を内部に有しており、
前記溝部の幅は、前記突出部の幅よりも小さく、かつ、前記溝部の深さは、前記突出部の高さよりも大きく、
前記バルーン配置工程の後に、前記溝部の内部に前記突出部を配置する突出部配置工程を有しており、
前記溝部は、前記平均円の内側に位置している請求項5に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項7】
遠近方向に延在しているシャフトと、前記シャフトの遠位側に設けられており、外側面に突出部が設けられているバルーンと、を有するバルーンカテーテルの製造方法であって、
遠近方向に延在する空間部と、遠近方向に延在する複数の溝部を内部に有する筒状物を準備する筒状物準備工程と、
前記バルーンを準備するバルーン準備工程と、
前記筒状物内に前記バルーンを配置し、前記バルーンの内部を加圧して前記バルーンを膨張させるバルーン配置工程と、
前記バルーンの内部を減圧し、前記バルーンを収縮させて羽根形状部を形成するバルーン収縮工程と、を有しており、
前記バルーン配置工程において、前記筒状物の遠近方向に垂直な断面での、前記筒状物の内腔の外形を輪郭とする図の図心を中心とする、前記筒状物の内腔の外形を輪郭とする図の図心から前記筒状物の内側面までの距離が最も短い部分の距離と、前記筒状物の内腔の外形を輪郭とする図の図心から前記筒状物の内側面までの距離が最も長い部分の距離の平均値を半径とする平均円の内側に前記突出部を配置し、
前記バルーン配置工程において、前記溝部の内部に前記突出部を配置することを特徴とするバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項8】
前記筒状物の遠近方向に垂直な断面において、前記溝部の幅と前記突出部の幅との差は、前記突出部の幅の50%以下(0%を含む)である請求項7に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項9】
前記溝部は、前記平均円の内側に位置している請求項7または8に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項10】
前記突出部の数は、複数であり、
前記溝部の数は、前記突出部の数と等しい請求項7~9のいずれか一項に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項11】
前記突出部は、前記バルーン本体と同一材料から構成されている請求項1~10のいずれか一項に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項12】
前記バルーンは、外表面に親水性コーティングが施されており、
前記突出部の頂部の親水性コーティングを除去するコーティング除去工程を有する請求項1~11のいずれか一項に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項13】
前記コーティング除去工程は、前記バルーン配置工程の後に行い、
前記コーティング除去工程において、前記バルーンを遠近方向に摺動させ、前記突出部の外表面と前記筒状物の内表面とを接触させている請求項12に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、突出部が設けられているバルーンを有するバルーンカテーテルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
体内で血液が循環するための流路である血管に狭窄が生じ、血液の循環が滞ることにより、様々な疾患が発生することが知られている。特に、心臓へ血液を供給する冠状動脈に狭窄が生じると、狭心症、心筋梗塞等の重篤な疾病をもたらすおそれがある。このような血管の狭窄部を治療する方法として、PTA、PTCAといった血管形成術等の、バルーンカテーテルを用いて狭窄部を拡張させる手技がある。血管形成術は、バイパス手術のような開胸術を必要としない低侵襲療法であり、広く行われている。
【0003】
血管内壁には、石灰化等により硬化した狭窄部が形成される場合がある。このような石灰化病変においては、一般的なバルーンカテーテルでは硬化した狭窄部を拡張させにくい。また、ステントと称される留置拡張器具を血管の狭窄部に留置することによって狭窄部を拡張させる方法も用いられているが、例えば、この治療後に血管の新生内膜が過剰に増殖して再び血管の狭窄が発生してしまう、ISR(In-Stent-Restenosis)病変等が起こる場合もある。ISR病変においては、新生内膜が柔らかく、また表面が滑りやすいため、一般的なバルーンカテーテルではバルーンの拡張時にバルーンの位置が病変部からずれてしまい、血管を傷つけてしまうことがある。
【0004】
これらのような石灰化病変やISR病変であっても狭窄部を拡張できるバルーンカテーテルとして、バルーンがスコアリングエレメントを有しているバルーンカテーテルがある(例えば、特許文献1~5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-27116号公報
【文献】国際公開第2016/163495号
【文献】特開2017-12678号公報
【文献】特表2009-508576号公報
【文献】特開平5-293174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常、バルーンカテーテルは、使用時まで折り畳まれた状態のバルーンを保護しておくために、折り畳まれたバルーンの外径よりも内径が少し大きい円筒形のチューブで形成された保護管をバルーンに被せるという形態が採用されている。特許文献1~5のようなスコアリングエレメントを備えているバルーンカテーテルも同様に、バルーンを折り畳んだ状態にてバルーンへ保護管を被せることが考えられるが、スコアリングエレメントを備えているバルーンは綺麗に折り畳むことが困難である。そのため、折り畳んだ状態のバルーンの外径が大きくなり、保護管にバルーンを挿通させにくくなるといった問題や、バルーンカテーテルの使用時に、保護管からバルーンを取り出した際にバルーンが広がって外径が大きくなりやすく、バルーンカテーテルの血管内の通過性が悪くなってしまうといった問題があった。また、バルーンを綺麗に折り畳むことが難しいため、折り畳んだ状態のバルーンにおけるスコアリングエレメントの位置を制御することも難しく、バルーンの拡張時におけるバルーンの狭窄血管への固定力の個体差が大きくなってしまう。
【0007】
さらに、スコアリングエレメントを備えているバルーンカテーテルを折り畳んだ際に、スコアリングエレメントが潰れてしまうことがある。スコアリングエレメントが潰れると、バルーンの拡張時に血管の狭窄部からバルーンが滑りやすく、バルーンの位置ずれを引き起こすおそれがある。
【0008】
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、外側面に突出部が設けられているバルーンを、突出部の位置を制御しながら綺麗に折り畳むことができ、バルーンを折り畳む際に突出部が潰れにくいバルーンカテーテルの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決することができた第1のバルーンカテーテルの製造方法は、遠近方向に延在しているシャフトと、シャフトの遠位側に設けられており、外側面に突出部が設けられているバルーンと、を有するバルーンカテーテルの製造方法であって、遠近方向に延在する空間部を内部に有する筒状物を準備する筒状物準備工程と、バルーンを準備するバルーン準備工程と、筒状物内にバルーンを配置し、バルーンの内部を加圧してバルーンを膨張させるバルーン配置工程と、バルーンの内部を減圧し、バルーンを収縮させて羽根形状部を形成するバルーン収縮工程と、を有しており、バルーン配置工程において、筒状物の遠近方向に垂直な断面での、筒状物の重心を中心とする、筒状物の重心から筒状物の内側面までの距離が最も短い部分の距離と、筒状物の重心から筒状物の内側面までの距離が最も長い部分の距離の平均値を半径とする平均円の内側に突出部を配置することを特徴とするものである。
【0010】
本発明のバルーンカテーテルの製造方法において、バルーン配置工程の後に、突出部の頂部を筒状物の内方へ押す頂部押圧工程を有していることが好ましい。
【0011】
本発明のバルーンカテーテルの製造方法において、バルーンは、複数の突出部を有しており、頂部押圧工程において、筒状物の遠近方向に垂直な断面での筒状物の重心と突出部の頂部とを通る直線は、筒状物の軸方向に対して周回しており、かつ、全ての筒状物の重心と突出部の頂部とを通る直線の周回方向は同じであることが好ましい。
【0012】
本発明のバルーンカテーテルの製造方法において、筒状物は、遠近方向に延在する複数の溝部を内部に有しており、溝部の幅は、突出部の幅よりも大きく、かつ、溝部の深さは、突出部の高さよりも小さく、バルーン配置工程の後に、溝部の内部に突出部を配置する突出部配置工程を有しており、溝部は、平均円の内側に位置していることが好ましい。
【0013】
本発明のバルーンカテーテルの製造方法において、バルーン配置工程の後に、遠近方向に垂直な断面における突出部の両側部を筒状物の内方へ押す突出部両側部押圧工程を有していることが好ましい。
【0014】
本発明のバルーンカテーテルの製造方法において、筒状物は、遠近方向に延在する複数の溝部を内部に有しており、溝部の幅は、突出部の幅よりも小さく、かつ、溝部の深さは、突出部の高さよりも大きく、バルーン配置工程の後に、溝部の内部に突出部を配置する突出部配置工程を有しており、溝部は、平均円の内側に位置していることが好ましい。
【0015】
前記課題を解決することができた第2のバルーンカテーテルの製造方法は、遠近方向に延在しているシャフトと、シャフトの遠位側に設けられており、外側面に突出部が設けられているバルーンと、を有するバルーンカテーテルの製造方法であって、遠近方向に延在する空間部と、遠近方向に延在する複数の溝部を内部に有する筒状物を準備する筒状物準備工程と、バルーンを準備するバルーン準備工程と、筒状物内にバルーンを配置し、バルーンの内部を加圧してバルーンを膨張させるバルーン配置工程と、バルーンの内部を減圧し、バルーンを収縮させて羽根形状部を形成するバルーン収縮工程と、を有しており、バルーン配置工程において、筒状物の遠近方向に垂直な断面での、筒状物の重心を中心とする、筒状物の重心から筒状物の内側面までの距離が最も短い部分の距離と、筒状物の重心から筒状物の内側面までの距離が最も長い部分の距離の平均値を半径とする平均円の内側に突出部を配置し、バルーン配置工程において、溝部の内部に突出部を配置することを特徴とするものである。
【0016】
本発明のバルーンカテーテルの製造方法において、筒状物の遠近方向に垂直な断面において、溝部の幅と突出部の幅との差は、突出部の幅の50%以下(0%を含む)であることが好ましい。
【0017】
本発明のバルーンカテーテルの製造方法において、溝部は、平均円の内側に位置していることが好ましい。
【0018】
本発明のバルーンカテーテルの製造方法において、突出部の数は、複数であり、溝部の数は、突出部の数と等しいことが好ましい。
【0019】
本発明のバルーンカテーテルの製造方法において、突出部は、バルーン本体と同一材料から構成されていることが好ましい。
【0020】
本発明のバルーンカテーテルの製造方法において、バルーンは、外表面に親水性コーティングが施されており、突出部の頂部の親水性コーティングを除去するコーティング除去工程を有することが好ましい。
【0021】
本発明のバルーンカテーテルの製造方法において、コーティング除去工程は、バルーン配置工程の後に行い、コーティング除去工程において、バルーンを遠近方向に摺動させ、突出部の外表面と筒状物の内表面とを接触させていることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明のバルーンカテーテルの製造方法によれば、筒状物内にバルーンを配置し、バルーンの内部を加圧してバルーンを膨張させるバルーン配置工程において、筒状物の遠近方向に垂直な断面での筒状物の重心を中心とする、筒状物の重心から筒状物の内側面までの距離が最も短い部分の距離と、筒状物の重心から筒状物の内側面までの距離が最も長い部分の距離の平均値を半径とする平均円の内側に突出部を配置することにより、突出部が潰れにくく、かつ、突出部の位置を制御しながらバルーンを折り畳むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の形態における第1の製造方法のバルーン配置工程での筒状物の遠近方向に垂直な断面図を表す。
図2】本発明の実施の形態における第1の製造方法のバルーン収縮工程での筒状物の遠近方向に垂直な断面図を表す。
図3】本発明の他の実施の形態における第1の製造方法の頂部押圧工程での筒状物の遠近方向に垂直な断面図を表す。
図4】本発明のさらに他の実施の形態における第1の製造方法の頂部押圧工程での筒状物の遠近方向に垂直な断面図を表す。
図5】本発明の別の実施の形態における第1の製造方法の突出部両側部押圧工程での筒状物の遠近方向に垂直な断面図を表す。
図6】本発明の実施の形態における第2の製造方法のバルーン配置工程での筒状物の遠近方向に垂直な断面図を表す。
図7】本発明の実施の形態における第2の製造方法のバルーン収縮工程での筒状物の遠近方向に垂直な断面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、下記実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0025】
まず、本発明の第1のバルーンカテーテルの製造方法について説明する。
【0026】
図1は本発明の実施の形態における第1のバルーンカテーテルの製造方法のバルーン配置工程での断面図を表し、図2はバルーン収縮工程での断面図を表す。第1のバルーンカテーテルの製造方法は、遠近方向に延在しているシャフトと、シャフトの遠位側に設けられており、外側面に突出部2が設けられているバルーン1と、を有するバルーンカテーテルの製造方法であって、遠近方向に延在する空間部11を内部に有する筒状物10を準備する筒状物準備工程と、バルーン1を準備するバルーン準備工程と、筒状物10内にバルーン1を配置し、バルーン1の内部を加圧してバルーン1を膨張させるバルーン配置工程と、バルーン1の内部を減圧し、バルーン1を収縮させて羽根形状部3を形成するバルーン収縮工程と、を有している。
【0027】
本発明において、遠位側とはバルーン1の延在方向に対して処置対象者側の方向を指し、近位側とは遠位側の反対側、すなわちバルーン1の延在方向に対して使用者、つまり術者の手元側の方向を指す。また、バルーン1の近位側から遠位側への方向を遠近方向と称する。
【0028】
バルーンカテーテルは、シャフトを通じてバルーン1の内部に流体が供給されるように構成され、インデフレーター(バルーン用加圧器)を用いてバルーン1の拡張および収縮を制御することができる。流体は、ポンプ等によって加圧した圧力流体であってもよい。
【0029】
シャフトは、遠近方向に延在しており、内部に流体の流路が設けられている。また、シャフトは、内部にガイドワイヤの挿通路を有していることが好ましい。シャフトが内部に流体の流路およびガイドワイヤの挿通路を有する構成とするには、例えば、シャフトが外側チューブと内側チューブとを有しており、内側チューブがガイドワイヤの挿通路として機能し、内側チューブと外側チューブの間の空間が流体の流路として機能することが挙げられる。シャフトが外側チューブと内側チューブとを有している場合、内側チューブが外側チューブの遠位端から延出してバルーン1を遠近方向に貫通し、バルーン1の遠位側が内側チューブに接合され、バルーン1の近位側が外側チューブと接合されることが好ましい。
【0030】
本発明は、シャフトの遠位側から近位側にわたってワイヤを挿通する、所謂オーバーザワイヤ型のバルーンカテーテルと、シャフトの遠位側から近位側に至る途中までワイヤを挿通する、所謂ラピッドエクスチェンジ型のバルーンカテーテルのいずれにも適用することができる。図示していないが、バルーンカテーテルがオーバーザワイヤ型である場合、シャフトに流体を送り込むために、シャフトの近位側にハブを有していてもよい。ハブは、バルーン1の内部に供給される流体の流路と連通した流体注入部と、ガイドワイヤの挿通路と連通したガイドワイヤ挿入部を有することが好ましい。バルーンカテーテルが流体注入部とガイドワイヤ挿入部を備えるハブを有していることにより、バルーン1の内部に流体を供給してバルーン1を拡張および収縮させる操作や、ガイドワイヤに沿ってバルーンカテーテルを処置対象部位へ送り込む操作を容易に行いやすくなる。
【0031】
シャフトとハブとの接合は、例えば、接着剤による接着、溶着等が挙げられる。中でも、シャフトとハブは、接着によって接合されていることが好ましい。シャフトとハブとが接着されていることにより、例えば、シャフトは柔軟性の高い材料から構成され、ハブは剛性の高い材料から構成されている等、シャフトを構成する材料とハブを構成する材料とが異なっている場合に、シャフトとハブとの接合強度を高めることができる。その結果、バルーンカテーテルの耐久性を高めることが可能となる。
【0032】
シャフトを構成する材料は、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、塩化ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、天然ゴム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、シャフトを構成する材料は、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、およびフッ素系樹脂の少なくとも1つであることが好ましい。シャフトを構成する材料がポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、およびフッ素系樹脂の少なくとも1つであることにより、シャフトの表面の滑り性を高め、バルーンカテーテルの血管への挿通性を向上させることができる。
【0033】
バルーン1は、シャフトの遠位側に設けられている。バルーン1とシャフトとの接合は、接着剤による接着、溶着、バルーン1の端部とシャフトとが重なっている箇所にリング状の部材を取り付けてかしめること等が挙げられる。中でも、バルーン1とシャフトは、溶着によって接合されていることが好ましい。バルーン1とシャフトとが溶着されていることにより、バルーン1を繰り返し拡張および収縮させてもバルーン1とシャフトとの接合が解除されにくくなる。そのため、バルーン1とシャフトの接合強度を容易に高めることができる。
【0034】
バルーン1は、直管部、直管部の近位側に接続される近位側テーパー部、および直管部の遠位側に接続される遠位側テーパー部を有することが好ましい。近位側テーパー部および遠位側テーパー部は、直管部から離れるにつれて縮径するように形成されていることが好ましい。バルーン1が直管部を有していることにより、直管部が狭窄部と十分に接触して狭窄部の拡張が行いやすくなる。さらに、バルーン1が直管部から離れるにつれて外径が小さくなる近位側テーパー部および遠位側テーパー部を有していることにより、バルーン1を収縮させてシャフトに巻き付けた際に、バルーン1の遠位端部および近位端部の外径を小さくして、シャフトとバルーン1との段差を小さくすることができる。そのため、バルーン1を遠近方向に挿通させやすくなる。なお、本発明においては、膨張可能な部分をバルーン1と見なす。
【0035】
バルーン1を構成する材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルエラストマー等のポリエステル系樹脂、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー等のポリウレタン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリアミドエラストマー、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12等のポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ラテックスゴム等の天然ゴム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。バルーン1を構成する材料は、中でも、ポリアミド系樹脂であることが好ましく、ナイロン12であることがより好ましい。バルーン1を構成する材料がポリアミド系樹脂であることにより、バルーン1の柔軟性を高めることが可能となる。
【0036】
バルーン1の外径は、0.5mm以上であることが好ましく、1mm以上であることがより好ましく、1.5mm以上であることがさらに好ましい。バルーン1の外径の下限値を上記の範囲に設定することにより、血管内の狭窄部を十分に拡張することができる。また、バルーン1の外径は、35mm以下であることが好ましく、30mm以下であることがより好ましく、25mm以下であることがさらに好ましい。バルーン1の外径の上限値を上記の範囲に設定することにより、バルーン1の外径が過度に大きくなることを防止することができる。
【0037】
バルーン1の遠近方向の長さは、5mm以上であることが好ましく、10mm以上であることがより好ましく、15mm以上であることがさらに好ましい。バルーン1の遠近方向の長さの下限値を上記の範囲に設定することにより、一度に拡張できる狭窄部の面積を大きくして手技にかかる時間を短縮することが可能となる。また、バルーン1の遠近方向の長さは、300mm以下であることが好ましく、200mm以下であることがより好ましく、100mm以下であることがさらに好ましい。バルーン1の遠近方向の長さの上限値を上記の範囲に設定することにより、狭窄部の拡張のためにバルーン1の内部に送り込む流体の量を減らし、バルーン1を十分に拡張させるために必要な時間を短くすることができる。
【0038】
バルーン1の厚みは、5μm以上であることが好ましく、7μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることがさらに好ましい。バルーン1の厚みの下限値を上記の範囲に設定することにより、バルーン1の強度を高めて狭窄部を十分に拡張することができる。また、バルーン1の厚みの上限値は、バルーンカテーテルの用途に応じて設定することができ、例えば、100μm以下、90μm以下、80μm以下とすることができる。
【0039】
図1および図2に示すように、バルーン1は、外側面に突出部2が設けられている。バルーン1が外側面に突出部2を有していることにより、突出部2が石灰化して硬化した病変部に亀裂を入れることができ、石灰化病変であってもバルーン1が十分に病変部を拡張することができる。また、ISR病変においてバルーン1を拡張することにより、柔らかく、表面が滑りやすい新生内膜に突出部2が引っ掛かりやすく、ISR病変の拡張時にバルーン1の位置ずれが起こりにくい。
【0040】
突出部2の数は、1つであってもよいが、複数であることが好ましい。つまり、バルーン1の外側面に複数の突出部2が設けられていることが好ましい。突出部2の数が複数であることにより、石灰化によって硬化した病変部に亀裂を入れやすくなる。また、ISR病変に対してバルーン1の位置ずれをより起こりにくくすることもできる。
【0041】
突出部2は、遠近方向に延在している。突出部2の遠近方向の長さは、バルーン1の遠近方向の長さよりも短いことが好ましい。突出部2の遠近方向の長さがバルーン1の遠近方向の長さよりも短いことにより、バルーン1の遠近方向の一部に突出部2が設けられていない箇所があり、バルーン1が曲がりやすくなる。そのため、湾曲した血管等でのバルーンカテーテルの挿通性を高めることができる。
【0042】
突出部2を構成する材料は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ-(4-メチルペンテン-1)等のポリメチルペンテン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ABS系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ブタジエン-スチレン共重合体、ポリアミドエラストマー、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12等のポリアミド系樹脂等の合成樹脂、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、銅、銅合金、タンタル、コバルト合金等の金属等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、突出部2は、バルーン1を構成する材料と同一の材料にて一体成形によってバルーン1の外側面に設けられていてもよく、バルーン1を構成する材料とは異なる材料にてバルーン1とは別途形成してバルーン1の外側面に設けられていてもよい。
【0043】
筒状物準備工程において、遠近方向に延在する空間部11を内部に有する筒状物10を準備する。筒状物10が内部に有している空間部11には、バルーン1を配置することができる。
【0044】
筒状物10を構成する材料は、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂等の合成樹脂、鉄、銅、ステンレス等の金属等が挙げられる。中でも、筒状物10を構成する材料は、金属であることが好ましい。筒状物10を構成する材料が金属であることによって筒状物10の強度が高まり、バルーン配置工程においてバルーン1の内部に加える圧力を高くすることが可能となる。
【0045】
バルーン準備工程において、バルーン1を準備する。その後、図1に示すように、バルーン配置工程において、筒状物10内にバルーン1を配置し、バルーン1の内部を加圧してバルーン1を膨張させる。
【0046】
バルーン1の内部を加圧する方法としては、例えば、空気、窒素ガス等の気体や、純水、生理食塩水等の液体といった流体をバルーン1の内部に供給すること等が挙げられる。流体を加圧するには、例えば、ポンプ等を用いることができる。
【0047】
バルーン配置工程において、筒状物10内にてバルーン1の内部を加圧してバルーン1を膨張させた際に、バルーン1の外表面の少なくとも一部が空間部11の内表面に接していることが好ましい。バルーン配置工程において、バルーン1の外表面の少なくとも一部が空間部11の内表面に接していることにより、バルーン配置工程の後に行うバルーン収縮工程において、羽根形状部3を形成しやすくなる。
【0048】
図1に示すように、バルーン配置工程において、筒状物10の遠近方向に垂直な断面での、筒状物10の重心P1を中心とする、筒状物10の重心P1から筒状物10の内側面までの距離が最も短い部分P2の距離D1と、筒状物10の重心P1から筒状物10の内側面までの距離が最も長い部分P3の距離D2の平均値を半径とする平均円C1の内側に突出部2を配置する。
【0049】
図2に示すように、バルーン配置工程の後に、バルーン1の内部を減圧し、バルーン1を収縮させて羽根形状部3を形成するバルーン収縮工程を行う。羽根形状部3は、バルーン1が収縮している状態において、バルーン1の内表面の少なくとも一部同士が接している部分を指す。
【0050】
バルーン配置工程において、バルーン1の突出部2を平均円C1の内側に配置することにより、突出部2を筒状物10の重心P1に近い位置に配置することができる。その後のバルーン収縮工程にてバルーン1の内部を減圧した際に、筒状物10の重心P1に近い部分に位置している突出部2が、突出部2よりも筒状物10の重心P1に遠い位置に配置されているバルーン1の部分よりも先に筒状物10の重心P1に到達し、この時点で筒状物10の重心P1に到達していないバルーン1の部分が羽根形状部3となる。その結果、収縮させた状態のバルーン1において、複数の羽根形状部3の間に突出部2を配置させることができ、突出部2の位置を制御しながらバルーン1を折り畳むことができる。また、突出部2が複数の羽根形状部3の間に配置されるため、羽根形状部3を巻き畳む際に突出部2が潰れにくいという効果も有している。
【0051】
バルーン収縮工程におけるバルーン1の内部を減圧する時間は、バルーン配置工程におけるバルーン1の内部を加圧する時間よりも短いことが好ましい。バルーン収縮工程においてバルーン1の内部を減圧して収縮させる時間を、バルーン配置工程においてバルーン1の内部を加圧して膨張させる時間よりも短くすることにより、羽根形状部3や羽根形状部3以外のバルーン1の外表面にシワや弛みが発生しにくく、綺麗にバルーン1を折り畳むことが可能となる。また、バルーン配置工程においてバルーン1の内部を加圧する時間を、バルーン収縮工程においてバルーン1の内部を減圧する時間よりも長くすることにより、バルーン1を徐々に膨張させることができ、突出部2が筒状物10の内側面に衝突して変形等することを防止することができる。
【0052】
バルーン収縮工程において形成する羽根形状部3の数は、1つであってもよいが複数であることが好ましい。バルーン収縮工程にて形成する羽根形状部3の数が複数であることにより、羽根形状部3の長さが過度に長くなりにくくなる。そのため、バルーン1を綺麗に折り畳みやすくなる。
【0053】
図3は本発明の他の実施の形態における第1のバルーンカテーテルの製造方法の頂部押圧工程での断面図を表す。
【0054】
バルーン配置工程の後に、突出部2の頂部2aを筒状物10の内方へ押す頂部押圧工程を有していることが好ましい。突出部2の頂部2aを筒状物10の内方へ押すには、例えば、図3に示すように、筒状物10の内側面と突出部2の頂部2aとを接触させた状態にてバルーン1を膨張させることや、筒状物10の内側面に筒状物10の外方から内方に向かって突没可能である突起形状部を設けて突起形状部を突出部2の頂部2aに接触させた状態で突起形状部を筒状物10の内方に移動させること、筒状物10における突出部2の頂部2aが位置している部分に空気等の流体の放出口を設けて突出部2の頂部2aに向かって放出口から圧縮空気等を放出すること等が挙げられる。なお、頂部押圧工程は、バルーン配置工程の後であって、バルーン収縮工程の前に行うことが好ましい。突出部2の頂部2aを筒状物10の内方へ押すことにより、バルーン配置工程での突出部2の位置をさらに筒状物10の重心P1に近づけることができる。そのため、バルーン1を収縮させて羽根形状部3を形成し、バルーン1を折り畳む工程を素早く行うことが可能となり、バルーンカテーテルの製造の効率を高めることができる。
【0055】
図4は本発明のさらに他の実施の形態における第1のバルーンカテーテルの製造方法の頂部押圧工程での断面図を表す。図4に示すように、バルーン1は、複数の突出部2を有しており、頂部押圧工程において、膨張させたバルーン1を一方方向に回転させることによって、筒状物10の遠近方向に垂直な断面での、筒状物10の重心P1と突出部2の頂部2aとを通る直線L1は、筒状物10の軸方向に対して周回しており、かつ、全ての筒状物10の重心P1と突出部2の頂部2aとを通る直線L1の周回方向は同じであることが好ましい。なお、念のため、筒状物10の重心P1と突出部2の頂部2aとを通る直線L1が筒状物10の軸方向に対して「周回している」というのは、筒状物10の重心P1と突出部2の頂部2aとを通る直線L1が、筒状物10の重心P1から突出部2の頂部2a側へ向かうにつれて、筒状物10の軸を中心として周方向に変位している状態を表すものである。具体的には、図4に示すように、筒状物10の重心P1と突出部2の頂部2aとを通る直線L1が、筒状物10の遠近方向に沿う軸を中心として、バルーン1を一方方向に回転させる前の筒状物10の重心P1と突出部2の頂部2aとを通る直線L0に対して、周方向に変位している状態を示す。
【0056】
筒状物10の遠近方向に垂直な断面での、筒状物10の重心P1と突出部2の頂部2aとを通る直線L1が筒状物10の軸方向に対して周回しており、かつ、全ての筒状物10の重心P1と突出部2の頂部2aとを通る直線L1の周回方向が同じであることにより、突出部2がバルーン1の周方向に傾いた状態で筒状物10の重心P1に近づきやすくなる。突出部2が傾いた状態にて折り畳まれたバルーン1は外径が小さくなりやすく、バルーンカテーテルの低侵襲性を高めることができる。また、突出部2が傾いていることによって、バルーンカテーテルの使用時にバルーン1を拡張させると、突出部2が傾いた状態で病変部に接触し、病変部に斜め状や螺旋状の切り込みを入れることができ、バルーンカテーテルの拡張力を高めることができる。さらに、突出部2が傾いた状態でバルーン1を折り畳むと、突出部2の頂部2aがバルーン1の膜部に接触しにくく、バルーン1を傷付けにくくすることも可能である。
【0057】
バルーンカテーテルの製造方法において、頂部押圧工程を有している場合、筒状物10は、遠近方向に延在する複数の溝部20を内部に有しており、溝部20の幅W1は突出部2の幅W2よりも大きく、かつ、溝部20の深さd1は、突出部2の高さH1よりも小さく、バルーン配置工程の後に、溝部20の内部に突出部2を配置する突出部配置工程を有しており、溝部20は、平均円C1の内側に位置していることが好ましい。筒状物10が、溝部20の幅W1は突出部2の幅W2よりも大きく、かつ、溝部20の深さd1は突出部2の高さH1よりも小さい溝部20を複数内部に有していることにより、突出部2の頂部2aが溝部20の内側面に接触して突出部2の頂部2aに力を加えやすい。また、溝部20の内部に突出部2が配置された状態にてバルーン1を回転させる、あるいは突出部2が溝部20の内部に配置されていない状態にてバルーン1を回転させることによって、突出部2が傾いた状態で溝部20内に配置されることとなり、突出部2が傾いた状態でバルーン1を容易に折り畳むことが可能となる。
【0058】
また、溝部20が平均円C1の内側に位置していることにより、バルーン収縮工程においてバルーン1の内部を減圧した際に筒状物10の重心P1の近くに配置されている突出部2がバルーン1の他の部分よりも先に筒状物10の重心P1に到達し、筒状物10の重心P1に到達していないバルーン1の部分が羽根形状部3となる。そのため、収縮させた状態のバルーン1において、複数の羽根形状部3の間に突出部2を配置させ、突出部2の位置を制御しながらバルーン1を折り畳むことができる。さらに、突出部2が複数の羽根形状部3の間に配置されており、羽根形状部3が突出部2を覆うように巻き畳むため、血管等の生体内管腔への挿入性のよいバルーンカテーテルとすることができる。
【0059】
溝部20の幅W1は、突出部2の幅W2よりも大きいことが好ましく、かつ、溝部20の深さd1は、突出部2の高さH1よりも小さいことが好ましい。溝部20の幅W1は、突出部2の幅W2の1.1倍以上であることが好ましく、1.3倍以上であることがより好ましく、1.5倍以上であることがさらに好ましい。また、溝部20の深さd1は、突出部2の高さH1の0.95倍以下であることが好ましく、0.9倍以下であることがより好ましく、0.85倍以下であることがさらに好ましい。溝部20の幅W1と突出部2の幅W2との比率の下限値、および溝部20の幅W1と突出部2の幅W2との比率の上限値をそれぞれ上記の範囲に設定することにより、突出部配置工程において、溝部20の内部に突出部2の頂部2aが接触しやすくなり、頂部押圧工程の効率を高めることが可能となる。また、溝部20の幅W1と突出部2の幅W2との比率の上限値は特に限定されないが、例えば、10倍以下、7倍以下、5倍以下とすることができる。溝部20の幅W1と突出部2の幅W2との下限値も特に限定されず、例えば、0.5倍以上、0.6倍以上、0.7倍以上とすることができる。
【0060】
図5は本発明の別の実施の形態における第1のバルーンカテーテルの製造方法の突出部両側部押圧工程での断面図を表す。
【0061】
また、バルーン配置工程の後に、遠近方向に垂直な断面における突出部2の両側部を筒状物10の内方へ押す突出部両側部押圧工程を有していることも好ましい。突出部2の両側部を筒状物10の内方へ押すには、例えば、図5に示すように、筒状物10の内側面に筒状物10の外方から内方に向かって突没可能である突起形状部12を複数設け、2つの突起形状部12をそれぞれ突出部2の両側部に接触させた状態で突起形状部12を筒状物10の内方に移動させることや、筒状物10の、突出部2の両側部が位置している部分に空気等の流体の放出口をそれぞれ設け、突出部2の両側部に向かって2つの放出口から圧縮空気等を放出すること等が挙げられる。突出部2の両側部を筒状物10の内方へ押すことにより、バルーン1の遠近方向に垂直な断面において、突出部2がバルーン1の周方向に傾きにくく、突出部2が立った状態で筒状物10の重心P1に近づきやすくなる。バルーンカテーテルの使用時に、突出部2が立った状態にて折り畳まれたバルーン1を拡張させると、病変部に突出部2が垂直に当たり、バルーン1の内圧を効率よく病変部に伝えて、高い拡張力を発揮することが可能となる。
【0062】
図1に示すように、筒状物10は、遠近方向に延在する複数の溝部20を内部に有しており、溝部20の幅W1は突出部2の幅W2よりも小さく、かつ、溝部20の深さd1は、突出部2の高さH1よりも大きく、バルーン配置工程の後に、溝部20の内部に突出部2を配置する突出部配置工程を有しており、溝部20は、平均円C1の内側に位置していることが好ましい。筒状物10が、溝部20の幅W1は突出部2の幅W2よりも小さく、かつ、溝部20の深さd1は、突出部2の高さH1よりも大きい溝部20を複数内部に有していることにより、突出部2の両側部が溝部20に接触して突出部2の両側部を押圧しやすくなる。そのため、突出部2の頂部2aが押し潰されにくい状態にてバルーン1を折り畳むことができる。
【0063】
また、溝部20が平均円C1の内側に位置していることにより、バルーン収縮工程においてバルーン1の内部を減圧した際に筒状物10の重心P1の近くに配置されている突出部2がバルーン1の他の部分よりも先に筒状物10の重心P1に到達し、筒状物10の重心P1に到達していないバルーン1の部分が羽根形状部3となる。そのため、収縮させた状態のバルーン1において、複数の羽根形状部3の間に突出部2を配置させ、突出部2の位置を制御しながらバルーン1を折り畳むことができる。さらに、突出部2が複数の羽根形状部3の間に配置されており、羽根形状部3が突出部2を覆うように巻き畳むため、突出部2が潰れにくくなる。
【0064】
溝部20の幅W1は、突出部2の幅W2よりも小さいことが好ましく、かつ、溝部20の深さd1は、突出部2の高さH1よりも大きいことが好ましい。溝部20の幅W1は、突出部2の幅W2の0.95倍以下であることが好ましく、0.9倍以下であることがより好ましく、0.85倍以下であることがさらに好ましい。また、溝部20の深さd1は、突出部2の高さH1の1.1倍以上であることが好ましく、1.3倍以上であることがより好ましく、1.5倍以上であることがさらに好ましい。溝部20の幅W1と突出部2の幅W2との比率の上限値、および溝部20の幅W1と突出部2の幅W2との比率の下限値をそれぞれ上記の範囲に設定することにより、突出部配置工程において、溝部20に突出部2の両側部が接触しやすくなり、突出部両側部押圧工程を効率的に行うことができる。また、溝部20の幅W1と突出部2の幅W2との比率の下限値は特に限定されず、例えば0.5倍以上、0.6倍以上、0.7倍以上とすることができる。また、溝部20の幅W1と突出部2の幅W2との比率の上限値も特に限定されないが、例えば、10倍以下、7倍以下、5倍以下とすることができる。
【0065】
なお、溝部20の幅W1は、突出部2の幅W2よりも大きく、かつ、溝部20の深さd1は、突出部2の高さH1よりも大きくてもよい。溝部20の幅W1が突出部2の幅W2よりも大きく、かつ、溝部20の深さd1が突出部2の高さH1よりも大きいことにより、溝部20の内部に突出部2を配置しやすくなる。
【0066】
次に、本発明の第2のバルーンカテーテルの製造方法について説明する。なお、第2のバルーンカテーテルの製造方法の説明において、上記の説明と重複する部分は説明を省略する。
【0067】
図6は本発明の実施の形態における第2のバルーンカテーテルの製造方法のバルーン配置工程での断面図を表し、図7はバルーン収縮工程での断面図を表す。第2のバルーンカテーテルの製造方法は、遠近方向に延在しているシャフトと、シャフトの遠位側に設けられており、外側面に突出部2が設けられているバルーン1と、を有するバルーンカテーテルの製造方法であって、遠近方向に延在する空間部11と、遠近方向に延在する複数の溝部20を内部に有する筒状物10を準備する筒状物準備工程と、バルーン1を準備するバルーン準備工程と、筒状物10内にバルーン1を配置し、バルーン1の内部を加圧してバルーン1を膨張させるバルーン配置工程と、バルーン1の内部を減圧し、バルーン1を収縮させて羽根形状部3を形成するバルーン収縮工程と、を有している。
【0068】
筒状物準備工程において、遠近方向に延在する空間部11と、遠近方向に延在する複数の溝部20を内部に有する筒状物10を準備する。筒状物準備工程の後、図6に示すように、筒状物10内にバルーン1を配置し、バルーン1の内部を加圧してバルーン1を膨張させるバルーン配置工程を行う。
【0069】
図6に示すように、バルーン配置工程において、筒状物10の遠近方向に垂直な断面での、筒状物10の重心P1を中心とする、筒状物10の重心P1から筒状物10の内側面までの距離が最も短い部分P2の距離D1と、筒状物10の重心P1から筒状物10の内側面までの距離が最も長い部分P3の距離D2の平均値を半径とする平均円C1の内側に突出部2を配置する。
【0070】
また、バルーン配置工程において、溝部20の内部に突出部2を配置する。溝部20の内部に突出部2を配置することにより、バルーン配置工程においてバルーン1の内部を加圧した際に突出部2が筒状物10の内側面に押し付けられにくく、突出部2が押し潰されることを防止できる。突出部2を溝部20の内部に配置するには、例えば、バルーン1の内部を加圧することによって、溝部20の内部に突出部2を挿入すること等が挙げられる。
【0071】
バルーン配置工程の後、図7に示すように、バルーン1の内部を減圧し、バルーン1を収縮させて羽根形状部3を形成するバルーン収縮工程を行う。
【0072】
図6に示すように、筒状物10の遠近方向に垂直な断面において、溝部20の幅W1と突出部2の幅W2との差は、突出部2の幅W2の50%以下(0%を含む)であることが好ましい。溝部20の幅W1と突出部2の幅W2との差が突出部2の幅W2の50%以下(0%を含む)であることにより、突出部2が溝部20によってある程度の力で保持され、バルーン収縮工程における突出部2の位置を制御することが可能となる。なお、溝部20の幅W1と突出部2の幅W2との差が突出部2の幅W2の0%であるとは、溝部20の幅W1と突出部2の幅W2とが同じであることを示す。
【0073】
溝部20の幅W1と突出部2の幅W2との差が突出部2の幅W2の50%以下(0%を含む)であることにより、バルーン収縮工程において、バルーン1の内部が減圧されて筒状物10によって保持されていないバルーン1の部分が収縮して羽根形状部3の形成が始まり、バルーン1の内部の圧力が低下するにつれて突出部2がバルーン1の内部に向かって引っ張られる力が大きくなって、バルーン1を内方に引く力が、溝部20が突出部2を保持する力よりも高まった時に突出部2が溝部20から外れるため、突出部2の位置を制御しながらバルーン1を折り畳むことができる。
【0074】
筒状物10の遠近方向に垂直な断面において、溝部20の幅W1と突出部2の幅W2との差は、突出部2の幅W2の50%以下であることが好ましく、45%以下であることがより好ましく、40%以下であることがさらに好ましい。溝部20の幅W1と突出部2の幅W2との差の上限値を上記の範囲に設定することにより、バルーン収縮工程において、溝部20が突出部2を保持する力を高めてバルーン1を折り畳む際に突出部2の位置をより制御しやすくなる。また、溝部20の幅W1と突出部2の幅W2との差は、突出部2の幅W2の3%以上であることが好ましく、5%以上であることがより好ましく、10%以上であることがさらに好ましい。溝部20の幅W1と突出部2の幅W2との差の下限値を上記の範囲に設定することにより、バルーン配置工程における、溝部20の内部に突出部2を配置することが行いやすくなる。
【0075】
筒状物10の遠近方向に垂直な断面において、溝部20の幅W1は、突出部2の幅W2よりも大きくてもよいが、小さくてもよい。溝部20の幅W1が突出部2の幅W2よりも小さい場合、溝部20の内部に突出部2を配置した際に、突出部2の全体は溝部20の内部に収まらず、突出部2の途中までが溝部20に挟まった状態となり、溝部20が突出部2を保持することが可能となってバルーン1の折り畳みの際に突出部2の位置を制御することが可能となる。
【0076】
図6に示すように、溝部20は、平均円C1の内側に位置していることが好ましい。溝部20が平均円C1の内側に位置していることにより、バルーン収縮工程にて突出部2の位置を制御することが容易となる。
【0077】
突出部2の数は、複数であり、溝部20の数は、突出部2の数と等しいことが好ましい。突出部2の数と溝部20の数がいずれも複数であって同じ数であることにより、石灰化病変やISR病変の狭窄部を十分に拡張できる突出部2を有するバルーンカテーテルを製造することができる。また、バルーンカテーテルの製造の際に突出部2が筒状物10の内側面に押し付けられて、突出部2が押し潰されてしまうことを防止できる。
【0078】
突出部2は、バルーン1本体と同一材料から構成されていることが好ましい。突出部2がバルーン1本体と同一材料から構成されていることにより、バルーン1本体と突出部2との接合強度を高めることが可能となる。
【0079】
また、バルーン1本体と突出部2は、一体成形品であることが好ましい。バルーン1本体と突出部2とが一体成形品であることにより、バルーン1本体と突出部2との接合力をさらに高めることができる。さらに、バルーン1本体に突出部2を接合する工程が不要となるため、バルーン1の成形にかかる時間を短縮して製造効率を高めることができる。
【0080】
バルーン1は、外表面に親水性コーティングが施されており、突出部2の頂部2aの親水性コーティングを除去するコーティング除去工程を有することが好ましい。バルーン1の外表面に親水性コーティングを施し、突出部2の頂部2aの親水性コーティングを除去することにより、突出部2の頂部2aは滑り性が低いために病変部へ突出部2が引っ掛かりやすく、かつ、突出部2の頂部2aを除くバルーン1の外表面は親水性コーティングによって滑り性が高いため、手技を行いやすいバルーンカテーテルとすることができる。
【0081】
コーティング除去工程は、バルーン配置工程の後に行い、コーティング除去工程において、バルーン1を遠近方向に摺動させ、突出部2の外表面と筒状物10の内表面とを接触させていることが好ましい。つまり、突出部2の外表面に施された親水性コーティングを、筒状物10の内表面と接触させながら摺動させることにより、突出部2の外表面の親水性コーティングを除去することが好ましい。コーティング除去工程を、バルーン1を遠近方向に摺動させ、突出部2の外表面と筒状物10の内表面とを接触させて行うことにより、バルーン1を筒状物10内に配置したまま、簡単な操作でコーティング除去工程を行うことができる。そのため、バルーンカテーテルの製造効率を向上させることが可能である。
【0082】
筒状物10は、遠近方向に延在する溝部20を有しており、溝部20の内部に突出部2を配置し、コーティング除去工程において、バルーン1を遠近方向に摺動させて突出部2の外表面と溝部20の内表面とを接触させることが好ましい。コーティング除去工程を、突出部2の外表面と溝部20の内表面とを接触させて行うことにより、溝部20の内表面に突出部2の全体が接触しやすくなる。そのため、突出部2の外表面に設けられている親水性コーティングを効率的に除去することができる。
【0083】
筒状物10の内表面のうち、突出部2の外表面と接触する部分は、他の部分よりも表面平均粗さRzが高いことが好ましい。筒状物10の内表面のうち、突出部2の外表面と接触する部分の表面平均粗さRzが、他の部分の表面平均粗さRzよりも高いことにより、突出部2の外表面の親水性コーティングは効率的に除去することができる一方、突出部2を除くバルーン1の外表面の親水性コーティングは除去されにくくなる。その結果、突出部2のみ表面の滑り性を低下させたバルーンカテーテルを製造しやすくすることができる。
【0084】
以上のように、第1のバルーンカテーテルの製造方法は、遠近方向に延在しているシャフトと、シャフトの遠位側に設けられており、外側面に突出部が設けられているバルーンと、を有するバルーンカテーテルの製造方法であって、遠近方向に延在する空間部を内部に有する筒状物を準備する筒状物準備工程と、バルーンを準備するバルーン準備工程と、筒状物内にバルーンを配置し、バルーンの内部を加圧してバルーンを膨張させるバルーン配置工程と、バルーンの内部を減圧し、バルーンを収縮させて羽根形状部を形成するバルーン収縮工程と、を有しており、バルーン配置工程において、筒状物の遠近方向に垂直な断面での、筒状物の重心を中心とする、筒状物の重心から筒状物の内側面までの距離が最も短い部分の距離と、筒状物の重心から筒状物の内側面までの距離が最も長い部分の距離の平均値を半径とする平均円の内側に突出部を配置する。また、第2のバルーンカテーテルの製造方法は、遠近方向に延在しているシャフトと、シャフトの遠位側に設けられており、外側面に突出部が設けられているバルーンと、を有するバルーンカテーテルの製造方法であって、遠近方向に延在する空間部と、遠近方向に延在する複数の溝部を内部に有する筒状物を準備する筒状物準備工程と、バルーンを準備するバルーン準備工程と、筒状物内にバルーンを配置し、バルーンの内部を加圧してバルーンを膨張させるバルーン配置工程と、バルーンの内部を減圧し、バルーンを収縮させて羽根形状部を形成するバルーン収縮工程と、を有しており、バルーン配置工程において、筒状物の遠近方向に垂直な断面での、筒状物の重心を中心とする、筒状物の重心から筒状物の内側面までの距離が最も短い部分の距離と、筒状物の重心から筒状物の内側面までの距離が最も長い部分の距離の平均値を半径とする平均円の内側に突出部を配置し、バルーン配置工程において、溝部の内部に突出部を配置する。筒状物内にバルーンを配置し、バルーンの内部を加圧してバルーンを膨張させるバルーン配置工程において、筒状物の遠近方向に垂直な断面での筒状物の重心を中心とする、筒状物の重心から筒状物の内側面までの距離が最も短い部分の距離と、筒状物の重心から筒状物の内側面までの距離が最も長い部分の距離の平均値を半径とする平均円の内側に突出部を配置することにより、突出部が潰れにくく、かつ、突出部の位置を制御しながらバルーンを折り畳むことができる。
【0085】
本願は、2019年9月9日に出願された日本国特許出願第2019-163858号に基づく優先権の利益を主張するものである。2019年9月9日に出願された日本国特許出願第2019-163858号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
【符号の説明】
【0086】
1:バルーン
2:突出部
2a:突出部の頂部
3:羽根形状部
10:筒状物
11:空間部
20:溝部
P1:筒状物の重心
P2:筒状物の重心から筒状物の内側面までの距離が最も短い部分
P3:筒状物の重心から筒状物の内側面までの距離が最も長い部分
D1:筒状物の重心から筒状物の内側面までの距離が最も短い部分の距離
D2:筒状物の重心から筒状物の内側面までの距離が最も長い部分の距離
C1:筒状物の重心から筒状物の内側面までの距離が最も短い部分の距離と、筒状物の重心から筒状物の内側面までの距離が最も長い部分の距離の平均値を半径とする平均円
L0:バルーンを一方方向に回転させる前の筒状物の重心と突出部の頂部とを通る直線
L1:バルーンを一方方向に回転させた後の筒状物の重心と突出部の頂部とを通る直線
W1:溝部の幅
W2:突出部の幅
d1:溝部の深さ
H1:突出部の高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7