(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】レーザー相互作用用途用の水洗可能な耐熱および耐プラズマ性コーティング
(51)【国際特許分類】
C09D 167/00 20060101AFI20240520BHJP
C09D 179/00 20060101ALI20240520BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20240520BHJP
B23K 26/18 20060101ALI20240520BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
C09D167/00
C09D179/00
C09D7/63
B23K26/18
H01L21/78 L
(21)【出願番号】P 2021550092
(86)(22)【出願日】2020-02-25
(86)【国際出願番号】 US2020019623
(87)【国際公開番号】W WO2020176457
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2023-02-06
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521377580
【氏名又は名称】ムーア、ジョン・クリーオン
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムーア、ジョン・クリーオン
【審査官】仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-012807(JP,A)
【文献】特開2006-140311(JP,A)
【文献】特開2007-047729(JP,A)
【文献】特開平06-192212(JP,A)
【文献】特開平08-151411(JP,A)
【文献】特表2014-525957(JP,A)
【文献】特開平03-209308(JP,A)
【文献】特表2011-522411(JP,A)
【文献】特開2014-049761(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0009958(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0279666(US,A1)
【文献】国際公開第2018/217481(WO,A1)
【文献】特表2014-523112(JP,A)
【文献】特開2016-066768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 167/00
C09D 7/63
C09D 179/00
B23K 26/18
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー加工における耐熱性の水洗可能な保護コーティン
グ組成物であって、
前記組成物は、
5~50重量%の水溶性紫外線吸収化合物およ
び30~99重量%
の水溶性ポリマーを含み、
前記水溶性紫外線吸収化合物は
ジスチリルビフェニルジスルホン酸二ナトリウムであり、
前記水溶性ポリマーは
ポリエステルまたはポリ-2-エチル-2-オキサゾリンから選択され、
前記水溶性紫外線吸収化合物および前記水溶性ポリマーは水に溶解しており、
前記
水溶性紫外線吸収化合物および水溶性ポリマーの重量パーセントは、
固形物の総重量を100重量%とした場合に基づく組成物。
【請求項2】
前記ジスチリルビフェニルジスルホン酸二ナトリウムの重量%が、100重量%とみなした固形物の総重量に基づいて、8~40%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ジスチリルビフェニルジスルホン酸二ナトリウムの重量%が、100重量%とみなした固形物の総重量に基づいて、10~30%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記耐熱性の水洗可能な保護コーティングはまたすすぎ補助剤も含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記すすぎ補助剤がスチレンスルホン酸リチウムを含む、請求項
4に記載の組成物。
【請求項6】
基板に
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の耐熱性の水洗可能な保護コーティング
組成物を塗布すること、前記塗布したコーティングを凝縮および固化させること、及び前記基板をレーザー加工することを含む、レーザー加工
方法。
【請求項7】
前記レーザーが前記基板表面上の前記耐熱性の水洗可能な保護コーティングと相互作用し、前記基板表面上の前記コーティングへの複数のレーザー接触サイクルを使用することによって接触点で前記コーティングを除去して、耐熱性で水洗可能な保護マスクを生成する、請求項
6に記載の
レーザー加工方法。
【請求項8】
前記基板表面上の前記耐熱性の水洗可能な保護コーティングを除去して耐熱性で水洗可能な保護マスクを生成するためのレーザー接触のサイクル数が5未満である、請求項
7に記載のレーザー加工方法。
【請求項9】
前記基板表面上の前記耐熱性の水洗可能な保護コーティングを除去して耐熱性で水洗可能な保護マスクを生成するためのレーザー接触のサイクル数が3未満である、請求項
7に記載のレーザー加工方法。
【請求項10】
前記基板表面上の前記耐熱性の水洗可能な保護コーティングを除去して耐熱性で水洗可能な保護マスクを生成するためのレーザー接触のサイクル数が1である、請求項
7に記載のレーザー加工方法。
【請求項11】
前記耐熱性で水洗可能な保護マスクを含む前記基板表面を処理することをさらに含み、
前記処理が、<25:1の測定された総選択比でのプラズマエッチングを含み、
ここで前記選択比は、Siマスクとしての前記マスクの除去と比較した、シリコンの除去のための総プラズマ調製およびエッチングプロセスを表す、請求項
7に記載のレーザー加工方法。
【請求項12】
前記プラズマエッチングプロセスの全選択比が25:1を超え50:1以下であり、
ここで前記選択比は、前記マスクの除去と比較した、シリコンの除去のための総プラズマ調製およびエッチングプロセスをSi:マスクとして表す、請求項
11に記載のレーザー加工方法。
【請求項13】
前記プラズマエッチングプロセスの全選択性が50:1を超え、
ここで前記選択性は、前記マスクの除去と比較した、シリコンの除去のための全プラズマ調製およびエッチングプロセスをSi:マスクとして表す、請求項
11に記載のレーザー加工方法。
【請求項14】
前記基板のレーザー加工が半導体デバイスを製造することを含む、請求項
6に記載のレーザー加工方法。
【請求項15】
前記基板のレーザー加工が、ディスプレイデバイスを製造することを含む、請求項
6に記載のレーザー加工方法。
【請求項16】
前記基板のレーザー加工が、微小電気機械システム(MEMS)を製造することを含む、請求項
6に記載のレーザー加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な手段によって基板上に塗布されたコーティングまたはフィルムに関するものであり、それにより、熱によって誘起されたレーザー入射およびプラズマエッチング操作の影響から下地のフィーチャーを保護すると同時に、水で洗浄することによるその除去を可能にする。より具体的には、本発明は、耐熱性水溶性ポリマーおよび耐熱性で水溶性の紫外線吸収化合物を含むコーティングまたはフィルムの組成物を記載する。本発明は、組み合わされ、基板に塗布されてコーティングまたはフィルムを形成する場合、特定のレーザー光との高い相互作用をもたらし、下地のフィーチャーに悪影響を与えることなく低エネルギーでのパターニングを可能にすると同時に、その後のプラズマ化学に対する高い耐性ももたらす。コーティングは、水の使用による簡易な除去/すすぎによる、材料との高度な適合性、有害廃棄物の発生の排除、プラズマシンギュレーションによる小型デバイスの分離の補助を含む、マイクロエレクトロニクス製造の簡易化とコスト削減において、多くの有用な利点がある。
【背景技術】
【0002】
本発明は、レーザー支援プラズマシンギュレーションによって電子デバイスを分離するプロセスに関する。この方法は、基板表面のコーティングとのレーザーの相互作用による有機マスクの作製に基づき、それにより、レーザー処理はデバイスのストリートと整合し、次に基板は化学プラズマにさらされ、化学プラズマは、レーザーによって開けられた、または除去された同じストリートを、エッチングする一方、ほかの領域は保護される。プラズマ工程が完了すると、コーティングマスクは水で洗浄されて、シンギュレートされ、そして取り出して電子回路に組み立てる準備ができているクリーンなデバイスを提供する。本発明の高温および水洗可能な、所与の波長のレーザー光と高度に相互作用するコーティングは、レーザー支援プラズマシンギュレーションのプロセスを簡単かつ低コストの方法で実施することを可能にする。
【0003】
レーザー支援プラズマシンギュレーションに適合する候補電子基板には、薄く(例えば、200ミクロン以下)、小さなダイ(例えば、エッジが1~2mm)を有し、および脆弱な(例えば、ガリウムヒ素)ものが含まれる。ダイとストリートサイズを縮小する傾向により、ウェハーごとにより多くのダイを作製できるため、ダイあたりの製造コストが削減できる。ダイのシンギュレーションの大部分は機械ソーイングによって行われるが、レーザーの導入により、「レーザーダイシング」によってダイシング(「ソーイング」)プロセスが改善された。これらの改善には、フィルムフレームテープの接着不良によるチッピング、亀裂、応力、およびダイの損失の減少が含まれる。レーザーダイシングとも呼ばれるレーザー支援機械ソーイングの一例は、東京応化工業およびディスココーポレーションに譲渡されたTakanishiらによる米国特許(US 9,090,783 B2)に記載されており、そこでは水溶性樹脂および紫外線吸収剤(UVA)がコーティングを構成している。本発明は、ポリビニルアルコール(PVA)を例で実施したがいくつかの低温水溶性タイプから選択されるべき樹脂と、PVAと想定される、100部の水溶性樹脂と混合された0.01から10部までの任意の点のUVAを含む最終組成物(例えば、UVA=0.009~9.09%、残部としてのPVA)について記述している。この同じ組成物は、東京応化工業株式会社およびディスココーポレーションに譲渡されたTakanishiらによる米国出願(US 2006/0105544 A1,出願番号11/251,810)に記載されているレーザー相互作用コーティングにも選択されている。Sekiyaによる米国出願(US 2004/0112880 A1,出願番号10/721,234)は、東京応化工業によって製造された水溶性レジストを使用したレーザー加工法を記載しているが、UVAは存在しない。コーティングとのレーザー相互作用の分野の当業者は、吸収のための所与の波長選択の適切な放射線吸収剤なしで調製されたコーティングは、UVAの吸収特性として所与の同様の発光波長のレーザーとの満足のいかない性能相互作用を生み出すであろうという声明を支持することができる。
【0004】
これら出願は、完成したデバイスを含む完成した半導体ウェハーを、リングに取り付けられた粘着テープ(フィルムフレームテープ)に貼り付け、単純な耐低温水洗性コーティングとUVAでコーティングすることによって実行されるレーザーダイシングのプロセスを記述し、例えば、US 9,090,783 B2とUS 2006/0105544 A1, 出願番号11/251,810,に記載されている組成物は、ポリビニルアルコール(PVA)+UVAについて説明している。PVAとUVAに基づくコーティングが形成されると、高出力レーザーは表面を横切って進行し、有機コーティングを通過して基板の奥深くまで侵入し、基板内にレーザーカットされたウェルまたはトレンチを作る。このウェルまたはトレンチは、デバイスを分離するすべてのストリートが露出し、切断されるまで、ウェハー全体に続く。完了すると、ソーイングが進行するか、高圧スプレーで基板を水洗いすることができる。レーザー相互作用の完全な利点を実現するためのソーイング操作のために、ソー刃は、形成されたレーザーウェルまたはトレンチ内に注意深く挿入される。ソー刃は、刃がウェハーを通過して切断を完了するまで、事前に切断されたスペースにさらに移動する。このプロセスはすべてのウェハーストリートで繰り返される。終了すると、ダイシングされたウェハーは最後の水すすぎを経て乾燥させ、ダイシングされたきれいなダイを粘着テープ(フィルムフレームテープ)に残して、ピックアンドプレース工具で取り除く。
【0005】
執筆時点では、レーザーダイシングは、半導体市場の大部分のプロセスオブレコードを表している。これらは、接着剤キャリア(フィルムフレームテープ)から小さなダイを引っ張ったり押したりすることによって引き起こされるソーの振動作用によるダイの紛失だけでなく、チッピングや不規則性も引き続き観察される。これらの問題は、歩留まりの低下として顧客の収益に表されるようになる。歩留まりの低下は、前述の寸法またはそれよりもさらに小さい寸法の非常に薄くて小さいダイの場合特に重要となる。マイクロエレクトロニクスの製造は、ダイがますます薄く、小さくなる傾向が続いており、この傾向により、従来のソーイング、レーザーダイシング、またはそのほかの製造方法にもかかわらず、既存の方法で歩留まりの低下の傾向が上昇する。
【0006】
薄くて小さいダイの寸法が、小さくなる傾向になるため、それらはレーザー支援プラズマシンギュレーションの候補となる。プロセスフローは、レーザーダイシングで説明したものと同様に、つまり、コーティング+切断+洗浄となる。ただし、プラズマエッチングは、ダイの分離(シンギュレーション)用の機械ソーイングに取って代わる。プラズマエッチングの場合、チッピングやクラックを発生させることなくソーを動作させるために、ウェルまたはトレンチの生成のために、基板のストリート領域にレーザーを侵入させる必要はない。プラズマエッチングは非機械的なプロセスであるため、基板のチッピングやクラックの虞はほとんどない。プラズマエッチングは、アクティブな機械的ダイシング工法と比較してパッシブなプロセスである。レーザーの目的は、単に表面コーティングにマスクを作成し、プラズマ化学が異方的な様態で下方に基板中に侵入して進むことを可能にするためにストリートを切り開くことである。
【0007】
理想的には、レーザーは、基板との相互作用がほとんどまたは全くない状態で、有機層を突き破り除去するのに十分なエネルギーに調整する必要がある。この目的のために、コーティングが最大のレーザー相互作用および最大のプラズマ抵抗をもたらすことが望ましい。希望するコーティング組成物は、かなりの量の紫外線吸収化合物(UVA)を含む高温耐性材料を使用する。これらの高温耐性コーティングは、シリコンの奥深くまでエッチングするために使用されるプラズマ化学に対してバリア特性を示す。レーザー放射と良好に相互作用するそのような高温耐性組成物は、有機コーティングのエッチング速度(エロージョン速度)に対する基板のエッチング速度の比率として計算される、それらのエッチング選択比率によって測定される。対象のエッチング種に対して高い選択性を観察することが常に望まれる。
【0008】
シリコン基板のプラズマエッチング選択比を計算する場合、Si除去対有機コーティングマスクのエロージョンの許容可能な観測値は、一般にSi:マスクとして200:1のように表され、その場合1ミクロンの所定のマスクエロージョンに対して、200ミクロンのSiがエッチング(除去)される。より好ましいのは、Si:マスクの値が500:1であり、最も好ましいのは1,000:1以上である。所与のマスクに対して提供されるより高い選択比、その材料はプラズマバリアであると見なされる。より低い値を表す別の選択比の計算は、一般的に、デスカム工程とブレイクスルー工程が含まれている場合である。これらの工程は、一般的にプラズマエッチング工程の前にある。デスカムとブレイクスルーは、生じ得るポリマー残留物をすべて除去し、基板を完全に露出させ、それを主流のプラズマエッチングに備えさせる。プラズマ化学は、デスカムおよびブレイクスルー工程中にポリマー(炭素含有種)を強調するように調整することができる。ポリマーを除去するように設計されたプラズマエッチング化学は、炭素種を二酸化炭素と水分に酸化するために、一般に酸素が高度に濃縮されている。このプロセスはより遅く行われ、より多くの表面を「研磨」を行ってクリーンにする。クリーンであるとともに基板のエッチングの準備ができていると判断されると、システムは化学を基板に特有のそれに移す。シリコン(Si)の場合、エッチング化学には、シリコン変換反応を維持するために少量の酸素と混合されたフッ素化学が含まれ得る。
【0009】
デスカムとブレイクスルーの両方を含むプロセス全体を考慮した選択比の計算は一般的に低い値であり、場合によっては、これらははるかに低くなる可能性がある。1つの説明は、一般的なマスクの厚さが2~4ミクロンであるということである。酸化性の高いプラズマでのデスカム処理およびブレイクスルー処理は、マスクコーティングを壊食し、集中した基板のエッチング工程中よりもはるかに速い速度でそれらの厚さを減少させ得る。デスカム及びブレイクスルー工程を含む種シリコンのプラズマ処理の選択比を計算するとき、25ミクロンのSiが所与のマスクエロージョン+デスカム+ブレイクスルー1ミクロンに対してエッチング(除去)されるという対応する条件について、Si除去対エロージョンとしての1ミクロンの有機コーティングマスクの許容可能な観察された値はSi:マスクとしても表して、>25:1であり得る。より好ましいのは、Si:マスクの値が>50:1の場合であり、そしてその場合のマスクの損失は、1ミクロンでの侵食+デスカム処理+ブレイクスルー工程として測定される。最も好ましいのは>100:1の値で、マスク損失は1ミクロンでの侵食+デスカム処理+ブレイクスルー工程として測定される。
【0010】
プラズマシンギュレーション工程は、アプライド・マテリアルズ社に譲渡されたLiらによるUS出願(US 2018/0342422 A1,出願番号15/606,456)に記載されている。この出願には、レーザー相互作用によってマスクにパターン化され、開かれた隙間のプラズマエッチングが続く一方、残りのマスクされた領域は半導体ウェハーを保護するという光吸収マスクについて説明している。この出願では、さらにマスクは、固体成分、光吸収種、および粒子の添加を含むように説明される。固体成分はほかの関連する低温樹脂と一緒に、PVAとして特定される。後のプラズマエッチングからの基板の保護を改善するために、マスクを意図的に摂氏130度近くの温度に加熱するという実施形態が記載されている。この温度に加熱している間、コーティングはプラズマ化学からの保護を改善することが示されており、PVAは架橋し、室温のDIW中への溶解と除去を防ぐ。
【0011】
PVAおよびポリビニルピロリドン(PVP)は、従来の耐低温プロセスに使用できるが、これらの生成物は、高温にさらされると水溶性を失う。Cu、Ni、Pt、Ti、Snおよびそれらの合金などの反応性金属と直接接触した摂氏100度を含む条件では、ポリマーの架橋を引き起こすことが知られている。より深刻なことに、ガリウムヒ素、シリコン、または関連する半導体材料の場合のように、高電圧によってイオン化され、基板のエッチングを開始するほかの種とともに酸素が存在するプラズマエッチングプロセスの条件である。プラズマエッチング中は、基板温度は摂氏100度を超え、さらにしばしば摂氏150度や摂氏200度さえ超えることもある。任意のプラズマシステムで、実際の温度は選択したエッチング速度(つまり、シンギュレーションプロセス)に依存する。より高速なプロセスに対する要求とともに、より高いエッチング速度が必要となり、次には、より高いプラズマ処理温度が生じる。これらは化学プロセスであるため、多くの相互作用が存在する。酸素と反応性の高いフッ素化剤、下地金属を含むプラズマ化学の主な効果は、温度とともにすべて一緒になり、重要な触媒や反応条件に寄与する。水洗可能な保護ポリマーであるにも関わらず、保護ポリマーが存在する場合、ポリマーが架橋を起こすことが予想される。実際、プラズマエッチングの分野で実践している多くの人は、フォトレジストにみられるような多くの架橋ポリマーシステムと異なることのない条件である、保護ポリマーマスクが可能な限り緻密で不浸透性であることを望んでいる。従来の有機溶媒ベースのフォトレジストの使用は、プラズマエッチングプロセスでパターン化されたマスクを作製することである。フォトレジストマスクは、多くの場合、処理直前の高温ベーキングによって、プラズマに対してさらに耐性であるようにされている。このベーキング工程はフォトレジストを緻密化し、場合によっては架橋し、そのバリア特性を改善することを意図としている。有機溶剤ベースのフォトレジストと、追加のベーキング工程の使用は、プラズマからの下地の基板に対する向上した保護を生じさせ得るが、これらの対策は、終了時のクリーニングの課題を生じさせる。
【0012】
プラズマ化学、基板金属、および温度が個々にポリマーの架橋に寄与することを認識し、これらの効果の組み合わせは、マスキング剤として使用される一時的なコーティングを除去するためのより深刻な課題を生み出す。驚くべきことに、プラズマエッチングプロセス用にPVAとPVPから作られたコーティングの使用を観察することは非常に一般的である。高度に調整されたプロセスを備え、制御された実験室条件下でも、PVAとPVPは架橋して除去の課題を生み出し、高圧スプレーまたは有機溶媒の使用を伴う攻撃的な除去の方法に頼らずには、除去することは事実上不可能な残留物を生成する。高圧スプレーは大量の水を消費するが、新しい水と交換する必要があるため、追加のエネルギーの必要性が発生する。有機溶剤を使用する場合、これらの材料は不要な有害廃棄物を生成し、環境への懸念、労働者への曝露、および管理コストをもたらす。架橋したPVAとPVPは、水洗だけでは溶解または除去できない。その性質上、基板と接触すると熱を発生するレーザー加工においてさえ、コーティングされた基板のその後の洗浄は課題である。レーザーは、基板の接触点である熱活性化ゾーン(HAZ)での局所的な熱生成に依存し、それにより、熱は基板に相変化を生じさせ、材料にマークが付け、または切り込む。HAZ内では、高エネルギーレーザーを使用すると、ほとんどの有機材料が燃焼し、蒸発する。HAZの境界(エッジ)で、ポリマーコーティングは溶解した基板材料と混合し、架橋残留物を生成し得る。
【0013】
プラズマダイシングでよくあることだが、プラズマ耐性コーティングの低エネルギーレーザーパターニングがマスクを作るために使用される。PVAおよびPVPなどの水洗可能なコーティングから作られた耐低温マスクは低エネルギーレーザーパターニングをサポートするのに十分かもしれないが、これらのマスクはプラズマ処理中に水溶性を失い、除去が困難または不可能な架橋残留物を生成する。架橋の化学と傾向は知られているが、PVAとPVPは、従来のすすぎ用に用意されている場合もあるが、プラズマ処理に耐えるには適していない。PVAとPVPを使用することは、低い工程歩留まりを生み出し、費用のかかる除去方法が必要になることが予想される。高圧洗浄によって歩留まりの低下が悪化し得る。スライスした基板を、一辺が1mm以下に近づく小さなダイを有するスライスした基板の機械的に攻撃的な洗浄は、通常、それらのテープフィルムへの接着力を消失させる。PVAおよびPVPに基づくマスクを使用する場合、洗浄(テープを機械的に押し出す)中に失われたダイによる歩留まり損失は、不動(非溶解)残留物による歩留まり損失に追加される。
【0014】
ここに提示された課題に基づいて、レーザーおよびプラズマ処理用のマスキング剤として、高温耐性の水洗可能なポリマーを使用するという、明確で説得力のある必要性がある。レーザー加工とプラズマ処理に水洗可能なコーティングを使用する洗浄面を簡素化するためのさらなる必要性が存在する。
【0015】
マイクロエレクトロニクス製造におけるデバイス基板の改善された「グリーン」処理に対する継続的なニーズがある。グリーンプロセスとその関連する化学は、有害物質の使用と生成を削減または排除するプロセスである。アメリカ化学会のグリーンケミストリー研究会によると、グリーンケミストリーの定義に役立つ12の原則がある。有機溶剤を必要とする物質、またはプロセスを洗浄して終了するために過剰な量の水またはエネルギーを必要とする物質を交換することが望ましい。製造における新しいプロセスのコストを削減し、新しいプロセスの機器および材料の使用面に対する環境及び規制の制限を軽減することが望ましい。マスク剤として使用するための高温で安定したポリマーは、レーザー加工やプラズマ処理で水溶性を維持する。レーザー加工やプラズマ処理に関連するマスクの水洗能力を維持することにより、プロセスを簡素化することが望ましい。
【0016】
レーザー加工および/またはプラズマ加工では、積極的な洗浄装置の必要性を減らし、製造の複雑さとコストを削減するために、マスクとして使用するための高温耐性ポリマーに対するニーズがある。水の使用量を削減し、廃棄物を最小限に抑え、エネルギーを節約することにより、電子機器および微小電気機械システム(MEMS)デバイスの製造において環境に優しいことが引き続き強調されている。まとめると、高温耐性ポリマーを組み込んだ組成物を使用し、高性能、高スループット、グリーンプロセスをすべて低コストで提供する、一貫性のある普遍的なプロセスを提供する差し迫ったニーズがある。
【発明の概要】
【0017】
本発明の目的は、無機基板をコーティングするための最小の望ましい特性を示し、紫外領域内、好ましくは340nmから370nmの所与の波長の光吸収によるレーザーとの高度の相互作用を有し、そしてかかるレーザーとの相互作用に続いて、無機基板からコーティングを十分に除去するための水すすぎサイクルを促進する多機能組成物を提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、基板デバイスをシンギュレート(分離)し、水でのすすぎにより保護コーティングを除去し、その後前記プラズマ化学作用にさらすというプラクチスを完了するに足る時間に渡り攻撃的なエッチング及び加熱条件中の化学プラズマの影響から下地の基板フィーチャーに対し保護を発揮するコーティングを提供することである。
【0019】
本発明のさらなる目的は、相互依存的に動作して、プロセス工程を排除し、有機化学物質の使用を減少させ、フィルムフレーム上のテープなどの他のプロセス材料との適合性を改善し、有害廃棄物の発生を排除することによりシンプルさを提供する水すすぎを維持するパフォーマンス条件を提供する組成物及び汎用性のある方法を提供することである。
【0020】
これらの目的、および以下の説明から明らかになる他の目的は、固形物が
(a) 耐熱性と水溶性の両方を示す紫外線吸収化合物であって、紫外線吸収化合物の耐熱性は、>摂氏200度の融点を有すると定義されるもの、
(b) 耐熱性と水溶性の両方を示す少なくとも1種の熱可塑性ポリマー樹脂であって、熱可塑性水溶性ポリマーの耐熱性は、摂氏200度で>5,000センチポイズの溶融粘度を有すると定義されるもの、
を含み、ここで成分(a)は、約1重量パーセントから約70重量パーセントまでの量で存在し、成分(b)は、約30重量パーセントから約99重量パーセントまでの量で存在し、前記紫外線吸収化合物および前記熱可塑性ポリマーの前記パーセントは、100重量%とみなした固形物の総重量に基づくところの本発明の多機能組成物によって達成される。
【0021】
追加の化合物には、耐熱性の水溶性すすぎ補助剤が含まれ得る。このような化合物には、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、およびアミノバージョンを含む、パラスチレンスルホネート(p-スチレンスルホネート)のアルカリ塩が含まれる。すすぎ補助剤として作用するほかの化合物には、様々なホモポリマーのポリスチレンスルホネートが含まれる。
【0022】
本発明はまた、レーザー相互作用中に無機基板をコーティングおよび保護してマスクを生成し、続いてそのようなレーザー相互作用によって生成した露出領域をプラズマエッチングして基板デバイスのシンギュレーション(分離)を行う方法を包含し、そのようなプラズマに曝されたコーティングは水で効果的にすすぎ流される。
【0023】
本組成物および方法は、例えば、フィルムフレームテープに取り付けられたときのダイの互いのシンギュレーションにおいて、半導体ウェハー製造に特に適用が可能である。ダイのシンギュレーションは、真空チャンバー内でのプラズマエッチングによって行われ、ダイを分離するための受動的手段として好ましい。プラズマエッチングによるダイの受動的分離は、振動を示してチッピングを生成し、小さなダイのフィルムフレームテープへの粘着の消失を生じる従来のソーイング手法と比較して、より高い歩留まりの処理を提供する。シンギュレーションが成功すると、その後のピックアンドプレースツールで各ダイを個別に取り外す。本組成物および方法は、小さなダイまたは脆弱な基板に特に適している。
【0024】
「シンギュレートする」および「分離する」という用語は、本明細書全体を通して同じ意味で使用される。同様に、「シンギュレーション」と「分離」という用語は同じ意味で使用される。不定冠詞「a」と「an」は、単数と複数の両方を含むことを意図している。すべての範囲は包括的であり、そのような数値範囲が合計で100%になるように制約されていることが明らかな場合を除いて、任意の順序で組み合わせることができる。「重量%」という用語は、別段の指示がない限り、コーティング組成物の総重量に基づく重量パーセントを意味する。
【0025】
本発明は、基板を効果的にコーティング、レーザー相互作用、プラズマ保護、および水洗浄することができる洗浄可能なコーティング組成物および方法を提供するが、それらは、薄くて脆弱なウェハーからのダイプラズマシンギュレーションに特に適合される。これらの洗浄可能なコーティングは、基板の製造に、例えば、金属、半導体、および関連する有機材料などの様々な層および構造を含み得るウェハーまたはフラットパネルディスプレイなどの基板内の電子デバイスのシンギュレーションに使用される。典型的な基板材料には、例えば、シリコン、ガリウムヒ素、リン化インジウム、およびサファイアなどの半導体材料、ならびにガラスおよびセラミックが含まれる。
【発明の詳細な説明】
【0026】
本主題は、様々な技術によってマイクロエレクトロニクス基板に適用され、コーティングまたはフィルムへと乾燥され、続いて、紫外線領域内の340nmから370nmの所与の波長のレーザーによって相互作用され、その結果、パターン化されたマスクを生じさせ、それにより、基材がプラズマチャンバーに送られ、そこでレーザーによって作られたオープンエリアがデバイスダイの完全なシンギュレーション(分離)が達成されるまでエッチングされ、続いてコーティングマスクの水すすぎ(溶解)が行われるという液体形態の組成物を記述する。洗浄可能なコーティングは、基板表面上の広範囲のトポグラフィに適用することができ、基板の寸法または形状によって制限されない。この洗浄可能なコーティングは、有機溶剤可溶性フォトレジストの必要性を置き換え、フォトレジストを除去するための有機溶剤を排除し、処理中のサポートとしてのフィルムテープとの適合性を確保することによる、マイクロエレクトロニクス処理に対する大幅な簡素化である。本主題はまた、基板上にコーティングおよびマスクを作るために使用されるフォトレジストを除去するために通常使用される大量の有害有機溶媒を排除することによる「グリーン」イニシアチブとしての重要な改善を記述する。
【0027】
本発明のコーティングは、紫外線吸収添加剤と組み合わされたポリマーのブレンドを含み、これは、スピンコーティング塗布後、なめらかで高い均一性のフィルムへと乾燥する。本発明による前記塗布プロセスは、高レベルの剛性と接着強度を示し、これらが合わさって、ロボット装置、レーザー入射、およびその後のプラズマ処理による取扱に適している。導き出された特性は、化学吸収によるレーザー相互作用の成功に必要である。好ましい発明の方式に応じて、レーザーから材料への最大エネルギー伝達が調整され、複数のサイクルを必要とせずにすぐれたチャネル/トレンチ形成を提供するようにプロセスが選択される。画定マスク領域内の残存する洗浄可能なコーティングは、プラズマエッチングに対して非常に耐性がある。高い耐熱性と水洗可能な製品を使用した本発明の設計により、簡単なプロセスを作ることができる。所望の重要な目的を達成するための本組成物および方法の能力は、本発明の独特の特徴を表すと見なされる。
【0028】
コーティングはフィルム形成物質であり、潜在的に損傷を与える要素から基板を保護し、その外観を向上させる。本発明は、一時的なコーティングの組成およびプロセスを記述する。このようなコーティングは、基材に害を与えることなく、塗布、処理、および洗い流される。対象の用途に使用される洗浄またはすすぎ媒体は水である。水洗可能なコーティングにとって対象となる主要なプロセスには、バリア層、レーザー処理、およびプラズマダイシングが含まれる。水洗可能なコーティングの化学には、界面活性剤と塩を含み得るが、フィルム形成材として存在し、かつ耐熱性を示す材料はほとんどない。例えば、生成物ポリビニルアルコール(PVA)およびポリビニルピロリドン(PVP)は、コーティングプロセス中の分子配列と密な分子パッキングによってすぐれたフィルム形成特性を示す。これらの生成物は、通常、水からキャストされ、その特性と外観を改善するための可塑剤として微量の水を保持する。
【0029】
これらの生成物の商業的入手可能性は、高分子量を提供するためにPVAのバックボーンまたはPVPの繰り返し単位に追加されたさまざまな官能基を備えた多くの形態で提供される。生の形態のPVAを製造する際の一般的な方法は炭素鎖の周期点にアセテート基を追加することである。このような追加により、反応基が主鎖から伸びる分岐が生じる。これらの分子の長鎖は、ランダムに混ざり合った混合物として存在する。分岐により、鎖間の化学親和力、反応、および架橋が起こり、分子量が増加し、結晶化度と密度が高くなり、より大きな分子が作られる。最終製品は、耐熱性と耐薬品性が向上し、水に溶解する能力を失い、水洗いが失われる。
【0030】
実際では、PVAとPVPの両方のモノマーには、反応性があり、酸化されやすく、架橋につながる官能基が含まれている。この条件は、恒久的な用途で使用される熱硬化性ポリマーに望まれている。架橋は、混合物内に材料を所定の位置に固定するネットワークを作る。洗浄可能なコーティングでは、架橋により、早期期限切れの生成物(すなわち短い貯蔵寿命)をもたらすレオロジーの増加(粘度など)、水溶性の消失、恒久的なコーティング、最小限でも残留物が観察されるなど、望ましくない状態が発生する。PVAとPVPの混合物の貯蔵寿命を改善するための予防策には、冷温貯蔵、熱回避、金属の回避、および酸素暴露の排除が含まれる。
【0031】
耐熱性が望まれる場合、熱に抵抗するように設計されたポリマーは、分子骨格内にフェニル基を含むことが一般的に観察されている。これらは、フィルムの形成と保護のために設計された水溶性ポリマーと紫外線(UV)吸収剤(UVA)とによって共有される特性である。水溶性ポリマーにはポリエステルとオキサゾリンが含まれるが、UVAはビススチルベン化学に基づいている。水溶性フェニル含有種の別の例は、スルホン化ポリスチレンである。これは、耐熱性を高め、水すすぎ補助剤として機能する添加剤として時折使用される種である。スルホン化ポリスチレンのアルカリ類似体には、ナトリウム、カリウム、およびリチウムベースのスチレンスルホネートが含まれ、例示的な実施形態で使用できるそのような材料の1つは、スチレンスルホン酸リチウム(LiSS)である。これらのスチレンスルホネート分子は、>摂氏500度に対する耐熱性を示し、水溶性を維持する。
【0032】
本発明の組成物は、蛍光増白剤として使用される一般的な蛍光生成物である化学ビススチルベンに基づく耐熱性水溶性UVAを含む。望ましい特性には、340nmから370nmまでの範囲内のUV光の吸収と、>摂氏200度の融点によって表され、さらには>摂氏250度、さらに>摂氏300度であることが好ましい耐熱性が含まれる。ビススチルベンの特性および高融点を有する該生成物の誘導体は、米国特許第3,984,399号(Weberら)に記載されている。ここで説明されている製品の一部は、高い融点(つまり、>摂氏250度)を示す。高い融点を有するこのような材料は、耐熱性を示すことが期待される。水溶性ビススチルベン候補は、同じ化学のアルカリ性複合体(conjugate)である。
【0033】
好ましいビススチルベン蛍光化合物は、以下の式と一致する分子構成を示す。
【数式1】
【0034】
【0035】
ここで、Xは、環部分のC(4)およびC′(4)位置がそれぞれの-CH=エクステンションのそれぞれに結合するジフェニル基を表し、そしてXは、スルホン酸基、スルホン基、カルボキシル基、ニトリル基、ヒドロキシ基、メルカプト基、またはメチル基などの官能基を含み、R1とR2は独立しており、それぞれが少なくとも1つのフェニル基を表している。R1とR2は異なっていてもよいが、同一であることが望ましい。前記官能基スルホン酸基、スルホン基、カルボキシル基、ニトリル基、ヒドロキシ基、メルカプト基、またはメチル基は対で存在し得るか、またはXおよびR1およびR2の位置で4か所もの多くの位置に存在し得、同一の対を示して、分子に特定の対称性を作り出すことができる。(1)として示される基本式上の基に加えて、ハロゲン置換基もまた存在し得、好ましくは、塩素、臭素、またはヨウ素である。
【0036】
適用可能なビススチルベン化合物は、米国特許第3,843,713号(Luethi)にも記載されており、好ましいビススチルベン蛍光化合物は、以下の式と一致する分子構成を示す。
【数式2】
【0037】
【0038】
ここでXは、環部分のC(4)およびC’(4)位置がそれぞれの-CH=エクステンションのそれぞれに結合するジフェニル基を表し、そしてXには、スルホン酸基、スルホン基、カルボキシル基、ニトリル基、ヒドロキシ基、メルカプト基、またはメチル基などの官能基が含まれている。Pはフェニル基を表し、R1とR2は5~18個の炭素を持つアルキル、2~10個の炭素を持つ置換アルキル、または3~4個の炭素を持つアルケニルである。Z1とZ2は同一または異なり、水素、1~4個の炭素のアルコキシル、ハロゲン、3~4個の炭素のアルケニル、または1~4個の炭素のアルキルを示す。また、Y1とY2は同一または異なり、水素、1~4個の炭素のアルコキシル、ハロゲン、3~4個の炭素のアルケニル、または1~4個の炭素のアルキルを示す。
【0039】
本明細書で(1)および(2)として記載される化合物の好ましいビス-スチベン式は、モノおよびジ-カルボン酸、モノおよびジスルホン酸、アミンおよびアミノ有機バージョンを含むアルカリ元素ナトリウム、カリウム、またはリチウムバージョンとしてのその部分的または完全中和塩としてのジスチリルビフェニル複合体を含む。より好ましいのは、ジスチリルビフェニルスルホン酸ナトリウムである。もっとも好ましいのは、ジスチリルビフェニルジスルホン酸二ナトリウムである。このようなビススチルベン誘導体は、サプライヤーであるMilliken&Company社のKeyfluor(商標)という商品名で商業的使用に入手できる。商品名製品Keyfluor(商標)CBS-Xは、ジチリルビフェニルジスルホン酸二ナトリウムである。コーティング内の耐熱性水溶性UV吸収化合物としてのKeyfluor(商標)製品の使用は、重量%とみなして固形分の総重量に基づいて、1~70%であり、5~50%が好ましく、10~40%が最も好ましい。
【0040】
本発明は、超小型電子基板の表面にコーティングされるポリマーシステム内に存在するUV吸収化合物を記述している。適用されたフィルムは、ポリマーフィルム内に存在する化合物の吸収範囲と重なる所与の波長の光源を示すレーザーと相互作用するために使用される。共役二重結合を示す分子種は、化合物の特定の軌道に存在する電子の励起レベルに対応する特定の波長の放射線を吸収する可能性が最も高くなる。電子は励起状態に達した後、基底状態に戻り、熱の形でエネルギーを放出するか(従来の吸収)、可視領域でより長い波長の光を放出する(蛍光)。この分子吸収は、放射線が通過する吸収種の濃度と吸収を関連付けるランベルトベールの法則によって定量化される。この法則は一般的にA=abcで表され、所与の濃度(c)の放射線吸収種を含む、所与の厚さ(b)の媒体を介した吸光度(A)として説明され、それにより、その種は、対象の所与の吸収種のモルあたりに吸収される光の量に関連する吸収係数(a)を示す。コーティングが基板に適用され、下にある基板が無傷のままであることが目標であるほとんどのレーザーアプリケーションでは、コーティングとの最大の相互作用が必要とされる。ランベルトベールの法則A=abcを検討する場合、(A)を最大化することを確実にするために、所与のコーティングに対して、(a)と(c)を最大化することが興味深い。(b)は、一般に<5ミクロン(μm)に最小化することが意図されているが、レーザーの所与の波長(~355nm)に対して選択された高い吸光係数(a)の種が興味深い。355nmのレーザーという所与の条件では、ランベルトベールの法則の式A=abcにおける(c)としてのUV吸収種の濃度が増加するにつれ、エネルギーレベルがさらに低下する。種の濃度が高くなると、深い基板との相互作用効果を最小限にすることを確実にするために、レーザーのエネルギーレベルをさらに下げることができる。基板表面での最小エネルギーのレーザー操作が望まれる。結果は通常、走査型電子顕微鏡(SEM)または同様のものによって評価され、コーティングの断面がレビューされ、コーティングの状態とレーザーエネルギーの間で比較される。レーザーが移動したところである除去されたコーティング(空けられたスペース)として最大の効果を示唆するこれらのSEMの結果は、その後のレーザーサイクルを繰り返さずに、コーティング除去によって吸収されるレーザーエネルギーの最大の変換を示唆する。結果として生じる累積効果は、基板表面に存在するコーティングのマスクまたはパターンであり、プラズマエッチングプロセスの影響から保護されることが望まれる基板領域にコーティングが存在する間、後続のプラズマ操作が進行する領域が除去される。
【0041】
レーザーが相互作用したマスクが完成すると、マスクされた基板はプラズマチャンバーに進み、そこで基板に固有のエッチング化学が導入される。シンギュレーションとして分類されるプロセスで個々の基板デバイスを分離、完成したマスクの空き領域をエッチングすることが望まれる。基板はフィルムフレームテープに貼り付けられ、マスクを生成するためにレーザーパターン化されており、今やプラズマチャンバーに進んでおり、下にあるテープ接着剤に接着したままダイを分離するためにエッチングが進行する。プラズマプロセスに続いて、ピックアンドプレースタイプの工具と同様の装置を介してダイが取り出される。
【0042】
本発明にとって特に興味深いのは、プラズマエッチングが行われる間のコーティングまたはマスクの保護特性である。シリコンのエッチングは、通常、制御された量の酸素を含むフッ素イオンの環境で実行される。この組み合わせにより、Si基板の継続的な酸化とフッ素エッチングが発生する。シリコンエッチングの分野で経験を積んだ人々は、基板上の露出したシリコン部位の完全なエッチングを達成するための幅広いアプローチを表現し、マスクへの影響を最小限に抑えてこの目的を達成することができる。同じプロセス中のマスクの損失と比較したシリコン基板のエッチング速度の性能は、選択比、すなわち対応するマスクのエッチング速度対エロージョンの比として識別され、通常は(1)に正規化された数値として表される。例えば、この取り組みに使用される多くの有機溶媒ベースのフォトレジストは、50:1、または好ましくは100:1、またはさらに好ましくはフォトレジストマスクの1ミクロンのエロージョン当たり200ミクロンのシリコン除去として記述される200:1を超える選択比の値を有することがよく知られており、したがって、この取り組みのほとんどのフォトレジストは、10ミクロン未満の厚さで堆積され、ほとんどの基板の厚さが500ミクロン未満であり、薄いシリコンウェハーの場合は、150ミクロン未満ですらある。同じことが化合物半導体基板にも当てはまるが、ガリウムヒ素(GaAs)基板は一般にはるかに薄く、25ミクロンの厚さに近づいている。これらの対応する基板に使用される化学には、Cl4またはSF6、さらにSF6を有するCl2混合塩素とフッ素が含まれる。塩素化学は、GaAsに最も効果的であり、CCl2F2、SiCl4/Cl2、およびBCl3/Cl2を含み、10ミクロン/分を超えるエッチング速度が可能である。酸素ガスは、エッチング/除去を助ける酸化物生成をもたらすためにプロセス全体で使用される。酸素はまた、マスク層のエロージョンを増加させる。最も良い保護のためには、耐熱性の熱可塑性水溶性ポリマーを選択して、耐熱性で水溶性のUV吸収剤と混合する。
【0043】
プラズマエッチング用の水溶性コーティングマスクとして機能する理想的な候補は、熱と酸素の同時曝露に対して不活性な曝露結果を示す高温熱可塑性プラスチックである。フェニル含有分子はフェニル官能基を含まない分子よりも耐熱性を示すことが知られているので、そのような分子に注意が払われる。ポリエステル化学は、耐熱性と化学的に不活性であるという経歴を示している。水溶性を表すある種のポリエステルは興味深い。ポリエステル製造の技術に精通している人は、結晶性生成物とアモルファス生成物を認識している。アモルファス品質を表す多様性は、本発明、すなわち耐熱コーティングの作製にふさわしい。結晶性製品は、有望な高いガラス転移(Tg)値をもって剛性であり、マトリックスが固いことを保証するが、製品はしばしばもろく、取り扱いや温度サイクルにさらされると割れるであろう。所望のコーティングは、割れず、脆くなく、硬化中または温度に曝されている間に応力を示さない高強度の熱可塑性プラスチックであることが望まれる。接着力の消失による早期の層間はく離または別の問題を確実にするために、コーティング操作では応力の発生を回避する必要がある。所望のコーティングは、広範囲の材料によく貼着し、高温レーザーと相互作用し、高温プラズマエッチングにかけられたときに予想されるように熱サイクルを受けることができるすぐれたフィルム形成材料でなければならない。
【0044】
米国特許第4,480,085号(Larson)に記載されているポリエステル種は、フィルム形態でアモルファス品質を示す水溶性スルホポリエステルである。フタル酸誘導体のジカルボン酸との使用はアモルファスポリエステルを生成する。これらポリエステルは非結晶化品質を示すべく作られた本発明のコーティングをサポートするための種として提供される。米国特許第3,546,008号、第3,563,942号、第3,734,874号、第3,779,993号、および第3,828,010号におけるスルホポリエステルに関する他の参考文献は、摂氏29~55度の間の様々なTg値を有するスルホン酸金属塩生成物の製造について論じている。いくつかの場合、高温耐性が必要とされ得る用途のために、米国特許第5,369,211(Geoggeら)におけるようにTgはより高く、>摂氏89度まで至らせられる。WO2013/012556A1は、二酸5-ソジオスルホイソフタル酸(5-SSIPA)について論じており、そのようなスルホポリエステルは、EastmanChemical社からEastmanAQ(商標)ポリマーとして商品名で市販されている。これらのポリマーは、EastmanAQ(商標)38S、48、55S、および65Sポリマーとして識別され、Tg値が摂氏38~63度に増加している。すべてのスルホポリエステルは高い熱粘度を示す。たとえば、EastmanAQ(商標)55Sは、摂氏200度、240度、および280度の温度でそれぞれ11.5mセンチポアズ(cps)、2.3mcps、および700kcpsの値を示す。スルホポリエステルは本質的に滑らかで、硬化後は非常に硬い(曲げられない)。温度とともに粘度が急激に低下する多くの油性熱可塑性プラスチックとは異なり、EastmanAQ(商標)製品は高粘度を示し、熱にさらされても高いままである。コーティング内の耐熱性水溶性ポリマーとしてのEastmanAQ(商標)製品の使用は、重量%とみなして固形分の総重量に基づいて、30~99%、さらに45~90%が好ましく、50~85%が最も好ましい。
【0045】
フィルム形成材として使用するための二次耐熱性水溶性ポリマーには、2-エチルオキサゾリンのホモポリマーが含まれる。アリゾナ州ツーソンにあるポリマーケミストリーイノベーション社による「Aquazol(登録商標)」の商標の下での製品についての報告された熱抵抗は、摂氏380度を超えている。5,000g/M、50,000g/M、200,000g/M、および500,000g/MのMWを有するAquazol(登録商標)5、50、200、および500と訳される市販の分子量がいくつかある。Aquazol(登録商標)製品の熱粘度はEastmanAQ(商標)製品の熱粘度よりも低くなっているが、Aquazol(登録商標)5~500の範囲では、5,000~300,000pcsと高いままである。熱抵抗、熱可塑性、および水溶性の特性は、高い接着性および強度を有するアモルファスフィルムを作成する際の本発明の補助となる。より高いMW形のAquazol(登録商標)は、水に溶解したときに高い粘度を提供するが、本発明の材料の重要な関心事は、高固形分%の液体濃縮物を作ることである。したがって、より低いMWのAquazol(登録商標)を50または5として使用することが望ましい。このようにして、60%の固形分に近い濃度を作り出すことができる。コーティング内の耐熱性水溶性ポリマーとしてのAquazol(登録商標)の使用は、重量%とみなした固形分の総重量に基づいて、30~99%であり、45~90%が好ましく、50~85%が最も好ましい。
【0046】
フィルムはまた、耐熱性水溶性ポリマーに代表されるようなすすぎ補助剤を有し得る。スチレンスルホネートポリマーは、摂氏500度を超える熱抵抗が存在するために選択される。スチレンスルホネートをフィルムに加えると、耐熱性が高まり、水すすぎ性が向上する。スチレンスルホネートの適切な形態は、アルカリ元素中和形態として存在する。これらの形態は、10,000~1,000,000g/Mの様々な分子量で存在する。無機としてのアルカリ形態は、ナトリウム、カリウム、およびリチウムによって代表され、有機としての形態は、アミンまたはアミノとして存在する。本主題で使用するための好ましいスチレンスルホネート形態は、スチレンスルホン酸リチウム(LISS)であり得る。耐熱性水溶性コーティング中のすすぎ補助剤としてのLISSの使用は、重量%とみなした固形分の総重量に基づいて、5~20%であり、10~15%が好ましい。
【0047】
所望のコーティングは、脱イオン水(DIW)中の液体システムとして作成される。液体は、耐熱性水溶性ポリマー、耐熱性水溶性UV化合物、およびすすぎ補助剤を含む。水性液体中の最終的な標的固形分の総含有量は、20~50%であり、好ましくは30~45%であり、最も好ましくは35~40%であり、これは、重量%とみなしたすべての成分および水の総重量に基づく。製造プラクチスには、専用のステンレス鋼装置内で摂氏60~70度に加熱することが含まれ、装置は重量で風袋引きされ、インペラー、加熱された液体を容器から取り出し、20ミクロン未満、好ましくは10ミクロン未満、最も好ましい5ミクロン未満の定格フィルターまでの直列カートリッジろ過システムに送るホースを含む。フィルターを通過すると、液体は混合容器に戻され、そこで既存の材料と混合され、温度が維持される。このろ過サイクルは、最低30分、好ましくは60分(1時間)、最も好ましくは2時間実施される。ろ過サイクルの期間が完了すると、ボトルの充填が始まる。分析のために保持は温存される。品質管理(QC)テストには、外観、pH、固形分分析、屈折率、比重、粘度、およびコーティングの厚さ(ミクロン)のレビュー(スピンコーティング)が含まれる。
【0048】
耐熱性の水溶性コーティングは、通常、1,000~1,500rpmのスピン範囲を使用したスピンコーティングの実践によって適用される。典型的なコーティングは非常に滑らかであり、基板の片側から反対側までで決定した総厚さの変動(TTV)は、5ミクロン未満、好ましくは2ミクロン未満、そして最も好ましくは1ミクロン未満である。鏡面仕上げの基材をコーティングする場合、コーティングの外観は透明であり、基材の表面全体に滑らかな虹の外観がある。この記事の執筆時点で使用されている機器に関する顧客のフィードバックに基づいて、レーザー相互作用プラズマシンギュレーションのための一般的なコーティング厚は2~4ミクロンになるように選択される。これは、高度に相互作用するレーザープロセスと耐熱性水溶性コーティングの選択比が1000:1以上であり、デスカムを含まないことを前提としており、空き領域の潜在的なポリマーの不規則性を取り除く。
【0049】
硬化したコーティングフィルムは非常に硬くなめらかである。剛性はあるが、強度も高く、取り扱い時の力や衝撃に耐えることができる。表面が衝撃を受けたり振動したりしても、構造に亀裂は見られず、なめらかで均一なままである。コーティングの硬度は、本発明の厳格な要件に利益をもたらし、ポリマー混合物のアモルファス性を和らげるか、または緩和することができる。ネットワークはシステムの強度を高め、極端な硬度の問題と振動による破砕のリスクを軽減する。
【0050】
UV吸収剤は、前記蛍光添加剤が最も好ましい。蛍光色素は、即時同定のためのスクリーニングツールとして存在するという追加の利点を提供する。蛍光添加剤は、焦点距離が大きく、対物レンズの下の作業領域が広い単純な観察顕微鏡を使用して検出される。顕微鏡を通常の観察モードに設定した状態で、試料をステージに置き、通常のUV発光ランプを近づけて色素を励起できるようにする。ランプは、22W(ワット)または同様の特性の大きな散乱UVタイプの電球(365nm発光、Iライン)を有する工業用品種であり得る。UVランプをオンにし、すべての白色光(通常の光)を暗くするかオフにすると、オペレーターは、染料が存在するすべての場所で、選択した染料の特定の色(通常は水色)の蛍光を観察できる。したがって、この技術は、基板上のコーティングの存在を検出するために用いることができる。ウェハー検査中に、コーティングされた表面が観察され、暗い場所または黒い場所が示されている場合、これらはコーティングの欠如を、したがって、ボイド、気泡、またはそのほかの不規則さの可能性を示唆する。この場合、基板前面のデバイス内およびその周辺の微小領域への適切な濡れと浸透を確認できる。
【0051】
コーティングされた基板は、レーザーパターニングプロセスに送られる。一度取り掛かると、ツールは基板を検査し、位置合わせマークを見つけて、システムの内部ソフトウェアとプログラムされたプロセスに対する基板の参照位置を設定する。レーザーは、340から370nmの範囲内、より好ましくは350から365nmの範囲内の紫外線放射を生じさせる。この発光領域は、コーティング内のUV吸収剤の吸収領域と一致する。マスクの製造が好ましい1サイクル以内に完了すると、ウェハーはプラズマチャンバーに送られ、そこで同じ検査が行われ、位置合わせマークが検出され、システムが基板に調整される。プラズマエッチャーが高度の均一性を確保するためマスク内の領域をさらに除去するために、最小レベルのプロセスデスカムが実行される。化学エッチングは、完全なシンギュレーションが完了するまで進行する。ウェハーは洗浄工程に移され、そこで耐熱性の水溶性コーティングがDIWで洗い流される。洗浄は、スピンリンスドライシーケンスを提供するツールで行われる。洗浄の次に続いて、ウェハーはシンギュレートされたダイを取り外す準備ができている。ダイはピックアンドプレースツールによって取出され、ダイがコンポーネント内にインストールされ、テストされる最終的な場所の出荷のために、トレイ内またはテープアンドリール上に配置される。
【0052】
本発明を、特定の実施形態に関して説明してきたが、本明細書に記載の様々な添加剤の1種またはそれ以上のブレンドを使用することができ、当業者に知られているようにその代わりにすることができる。したがって、本発明は、本明細書に記載の詳細に限定されることを意味するのではなく、添付の請求の範囲によってのみ限定されることを意味する。
【例】
【0053】
本主題を、限定されないが、以下の例によってさらに説明する。例#1~9では、本発明の組成物および用途は、いくつかの目的を達成し、多様性を実証するために変化させている。測定は、直接観察により行い、データはほとんどの材料研究所に共通のツールから、必要に応じて、最終製品の特性に関する知識を得るための光学顕微鏡または特殊な機器から取った。
【0054】
別段の指摘がない限り、使用した基板は厚さ1mmのガラスで、形状は約100μm(100ミクロン=100×10e-6メートル)から1000μm(1ミリメートル)までさまざまな形状である。塗布機器には、スピンコーター(モデルCB100、Brewer Science社、www.brewerscience.com)、厚さプロフィロメータ(XP-1,Ambios Technology,Inc.,www.ambiostech.com)、紫外(UV)光源(Sylvania 365nm、広帯域、0.16W/cm2/sec)および塗布機器を備えた化学実験室に共通する他の様々な機器が含まれる。この装置は、本発明が実証される調査が実施されるための基礎を構成する。
【0055】
表1における次の項目は、アクリルポリマーの一時的な支持構造を示すために使用される特別な物質を表している。
【0056】
表1.本発明は実施するために使用した特殊物質のリスト
【0057】
【0058】
例1
ベースポリマーの熱耐性
この実験では、表1に示されている水溶性ポリマーの耐熱性を試験する。表1に示したすべての材料は水溶性である。表1の全ての項目#1~6は水溶性ポリマーであるが、それぞれAQ(商標)ポリマーとしてのポリエステル(PET)、Mowiol(登録商標)としてのポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、およびAquazol(商標)(AQZ)としてのオキサゾリンとしての、項目#1~4に焦点を当てる。これらのポリマーは加熱による溶解度の範囲内で混合することにより、水に溶解する。それぞれのポリマーの濃度は、水中で約10~20%(重量%)になるように選択する。溶解後、厚さ1mmで、100mm×100mmの幾何学的形状のガラス基板上にスピンコーティングにより一定量塗布する。コーティング後、基板はそれぞれ摂氏100度のホットプレートに移され、そして10分間放置して完全に乾燥させる。各コーティングにつき合計5つのガラス基板を調製する。コーティングされた各基板は、一連のホットプレートにそれぞれ30分間連続的により高い温度にさらし、それが表すことを目的とした所定の温度で仕上げられるように意図している。温度は摂氏100度から摂氏300度の範囲である。たとえば、最初の基板は摂氏100度に30分間さらし、観察し、脱イオン水(DIW)ですすぎ/洗浄/浸漬を試みる。DIW洗浄が完了すると、基板は試験を終了する。2番目の基板は、摂氏100度で30分間プラス、摂氏150度に30分間(合計60分間)さらし、観察し、脱イオン水(DIW)ですすぎ/洗浄/浸漬を試みる。実験は、摂氏300度まで各摂氏50度高い増分を加えたより高い温度で一連の基板の残りの部分で継続する。説明されているように、合計5つの基板が熱曝露され、DIWによるすすぎ/洗浄/浸漬によって処理される。洗浄条件は、撹拌せず、室温のDIWに浸し、そのままにして、1~2分間浸漬した後、水中で前後に動かすものである。これは基板ごとに繰り返され、観察に含まれる。結果を表2(コーティング観察)および表3(水洗)に示す。
【0059】
表2.ベースポリマーの熱暴露の結果。ポリマーは表1に記載されており、#には特定された各ベースポリマーについて記載されている。
【0060】
【0061】
表3.表2に示されている熱暴露ポリマーコーティングの水洗の結果
【0062】
【0063】
ポリエステルとアゾールの両方のポリマーシステムは、所定の温度で発色が減少し、洗浄にDIWを使用してよりよく応答した。
【0064】
例2
すすぎ補助剤(RA)の使用
本実験では、表1(項目#5)でスチレンスルホン酸リチウム(LISS)として同定されるすすぎ補助剤をベースポリマーに添加して、高温に耐えさせ、室温の水洗いの改善を引き出させる。例1からの混合物に添加したLISSの濃度は、溶液中の全ポリマーの約25%、またはLISS:ベースポリマーの重量比は1:3である。場合によっては、LISS:ベースポリマーの比率が1:3で溶液を再構築し、達成された。すべての混合物は、キャリア溶媒としてのDIWを用いて構築された。例1で特定されたベースポリマーのすべての溶液は、例1に記載した方法で作製し、新しいガラス基板に適用した。簡単にするために、例1に記載された広範囲の熱暴露は暴露として250Cのみを使用して回避し、成功した場合、第2の組を準備し、300Cで試験した。それぞれを30分間の期間で試験した。例1と同様の結果を収集したが、表4および表5に示されている指定温度についてのみであった。
【0065】
表4.250Cおよび300Cに熱暴露された1:3LISS:ベースポリマーの結果。記載されているポリマーの説明については、表1#1を参照すること。
【0066】
【0067】
表5.表4に示されている熱暴露ポリマーコーティングの水洗の結果
【0068】
【0069】
改善されたDIWすすぎは、すすぎ補助剤として25%LISSを有するPETおよびAQZベースのポリマー系から観察される。PVAおよびPVPシステムは、RAの追加で良好に反応しなかった。
【0070】
例3
ポリビニルアルコール(PVA)組成物の耐熱性試験
この例では、PVAから作製されたコーティング化学は、溶解度の範囲内で混合および加熱することによって水に溶解させた。すべてのPVA生成物は、DIW中で、20%(w/w)に作る。PVA生成物の同じ混合物を分離し、その溶液の一部をスチレンスルホン酸リチウム(LISS、表1項目#5)としてすすぎ補助剤(RA)と、最終的なキャストポリマーが%wtとしてPVA:LISS=1:1比と表されるように、1:1濃度で分離する。参考までに、PETとAQZの両方のベースポリマーがアレイ中に含まれている。PETおよびAQZは、最終キャストポリマー混合物がPET:LISSおよびAQZ:LISSについてそれぞれ3:1および8:1wt%として表されるように、LISSと混合する。混合が完了した後、所定量を厚さ1mm、25mm×75mmの幾何学形状のガラス基板(スライドガラス1’×3“)にコーティングをこすりつけることによって塗布する。基板を摂氏100度のホットプレートに移し、10分間放置して完全に乾燥させる。各コーティング用に合計3つのガラス基板を準備する。コーティングされた各基板は、それぞれ所定の時間と温度で一連のホットプレートにさらす。条件には、摂氏150度で30分、摂氏250度で30分、摂氏250度で10時間が含まれる。基板は、その色と室温のDIWで洗浄する能力について観察する。洗浄条件は、撹拌せず、室温のDIWに簡単に浸し、そのままにして、15分間浸漬した後、水中で前後に動かすものである。結果を表6(熱暴露)および表7(水洗)に示す。
【0071】
表6.ガラス上のポリマーコーティングのリストと熱暴露後の結果
【0072】
【0073】
表7.表6の熱暴露後のポリマーコーティングのDIWすすぎ結果のリスト
【0074】
【0075】
例3は、RA(LISS)の添加に関係なく、摂氏250度で30分間の熱暴露に続いて、おそらくその架橋のために、PVAの水溶性が失われることを示している。PETとAQZのベースポリマーを比較すると、これらの物質は、PIWですすぎをする能力で実証されているように、水溶性を保持した。
【0076】
例4
PVAのポリエステルとの混合&熱抵抗&本すすぎ試験
本実験は、AQ(商標)ポリマーとしてのポリエステル(PET)(表1の項目#1)およびPoval(登録商標)PVA-403としてのポリビニルアルコール(PVA)(表1項目#2)を、スチレンスルホン酸リチウム(LISS,表1項目#5)としてのすすぎ補助剤(RA)と混合する。溶液の外観を記録する。熱曝露の条件には、摂氏150度で30分と摂氏250度で30分が含まれる。各基板を色の変化について観察する。つまり例8に記載されているようなDIW水すすぎ曝露が続く。それぞれの観察結果を表8~表9に示す。
【0077】
表8.ポリマーとPVAポリマーを混合して、%wtでのポリマー固形分で特定したコーティングをガラス上に作り、熱暴露後の観察
【0078】
【0079】
表9.表8のポリマーコーティングのDIWすすぎの結果リスト
【0080】
【0081】
例4は、RA(LISS)の添加に関係なく、摂氏250度で30分間の熱暴露に続く、おそらくPVA架橋のために、15%という低いPVAを含む混合物における水溶性の消失を示している。
【0082】
例5
ベースポリマーの熱抵抗
本実験では、ガス放出による耐熱性、色変化の観察、および最高温度にさらされた後の脱イオン水(DIW)に溶解する能力についてベースポリマーを試験する。この実験では、すすぎ補助剤は使用しない。この実験で研究されたベースポリマーは、水溶性コーティングとして商品化されたものである。これらはさらに、表1の項目#1~4として、それぞれAQ(商標)ポリマーとしてのポリエステル(PET)、Mowiol(登録商標)としてのポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、およびAquazol(商標)(AQZ)としてのオキサゾリンとして識別される。すべてのコーティング混合物は、同じ濃度、DIW中20%ポリマーで作る。前の例で説明したように、液体をガラス基板に塗布し、摂氏100度のホットプレート上で乾燥させる。摂氏100度で乾燥すると、すべてのコーティングが同じように見え、すべてが透明でクリアーである。コーティングしたガラス基板は、摂氏150、200、250、および摂氏300度のホットプレートにそれぞれ30分間移し、ただし、300摂氏温度では60分の長時間を許容する。各温度の後、基板を取り外し、色および/または形態の変化を観察する。最後の摂氏300度の曝露後、基板を室温まで冷却し、DIWを収容する容器に途中まで浸す。浸漬は30分間みておく。結果は、以下の表10~表12に記載され示されている。
【0083】
表10.各ポリマーコーティングの温度暴露の観察結果のリスト
【0084】
【0085】
表11.各ポリマーコーティングの測定されたガス放出値。それぞれのポリマー2つのサンプル間で取得された平均。各ガス測定は、摂氏300度が60分であるのに対し、掲げた温度で30分間の暴露に対する重量分析による重量損失。各値はその増分温度で取得される。それぞれのポリマーの2つの累積値の平均を表す合計が示されている。
【0086】
【0087】
表12.表11に記載されている摂氏300度への熱暴露後のポリマーコーティング観察
【0088】
【0089】
例5は、ベースポリマーPVAおよびPVPの水溶性の損失を、ポリマーの架橋が原因である可能性が高い重要な色の変化(茶色、brn)および形態の変化(亀裂)として示している。PVAとPVPの架橋プロセスは、摂氏150度という低さで始まる可能性がある(表10のPVPクラッキング)。ベースポリマーのPETとAQZは、摂氏300度で30分間の熱曝露後、水によるすすぎを維持する。PETおよびAQZポリマーは、250Cで2%未満の低アウトガス測定値で表されるように、優れた耐熱性を備える。
【0090】
例6
プラズマバリアスクリーニング用の洗浄可能なベースポリマー
プラズマ処理中のガス状化学による浸透と攻撃を防ぐためのバリア品質について、ベースポリマーシステムを評価することは興味深いことである。RAおよびUVAを有するベースポリマーシステムPETおよびAQZタイプ(表1の#1および#4を参照)は、表面にアルミニウム金属が事前にスパッタリングされた領域がある、直径150mmのシリコンウェハー基板にスピンコーティングによって適用する。ウェハーは、乾燥するまでスピンコーティングし、フッ素ベースの化学を使用するプラズマチャンバーシステムに入るためにステージングされる。ガス状プラズマは、シリコンエッチング処理と一致する期間、ウェハーと接触させる。プロセスが完了すると、ウェハーを取り出し、洗浄し、ガス状フッ素による有害な攻撃がないか評価する。結果を表13に示す。
【0091】
表13.プラズマプロセス中のフッ素原子化学による孔食の証拠。ベースポリマーの参照は表1に示されている。
【0092】
【0093】
ポリエステル(PET)ベースポリマーは、オキサゾリン(AQZ)化学よりも優れたバリア品質を示すことが観察される。
【0094】
例7
プラズマ選択比測定用のコーティングされたシリコンウェハー
例6の試験条件を繰り返すことは興味深いが、ただし、ポリエステルベースポリマーのみを使用し、従来のシリコンドライエッチング(フッ素)プロセスに対するプラズマ選択比を評価する。シリコンウェハーはそれぞれの材料でコーティングし、その後プラズマエッチングによって処理する。選択比は、ポリマーマスクコーティングのエロージョン(消失)と比較したエッチングの深さの距離の比として定義される。ウェーハコーティングは、スピン乾燥し、厚さを測定し、プラズマチャンバーシステムに入るためにステージングする。このガス状の化学は、長期間にわたってウェハーと接触させる。プロセスが完了すると、ウェーハコーティングを再度測定し、定量化する。次に、ウェーハコーティングを室温のDIWで洗浄し、洗浄を観察する。結果を以下の表14に示す。
【0095】
表14.プラズマエッチング化学におけるポリエステルベースポリマー選択性エッチング比の測定
【0096】
【0097】
ポリエステル(PET)ベースポリマーは、洗浄可能なマスクがシリコンのプラズマエッチングプロセスを可能にするような、選択比を示す高いバリア品質を示すことが観察される。
【0098】
例8
紫外線吸収剤(UVA)の使用とレーザー相互作用
表1で項目#6(ジスチリルビフェニルジスルホン酸二ナトリウム)として同定されたUVAすなわちKey-fluor(商標)CBS-Xを、システム固形分(ポリマー固形分)に対して%w例2で同定されるLISSとしてのRAを有する特定のベースポリマーに追加する。使用するベースポリマーは、AQ(商標)ポリマーとしてのポリエステル(PET)およびAquazol(商標)(AQZ)としてのオキサゾリンを含む、熱暴露後の最良の洗浄経験が証明されているものである。UVAは、350~370nmに及ぶ範囲のUV/VIS範囲内に既知の最大吸収領域を有する。UVAの量は、硬化ポリマーコーティングの量と比較して重量%として表される、低い値2.4%から高い値>20%まで変化する。正確なUVA含有量についてのさらなる情報については、以下の表5を参照のこと。この化学は、直径150mmのシリコンウェハー基板上にスピンコーティングによって適用した。硬化コーティングを有する基板は、レーザーマーキングシステムによって処理した。使用したシステムは700W単相355nmレーザー(モデル#3500,DPSSLasers社)である。ここで、使用したUVA化合物は、レーザーの吸収範囲とオーバーラップする吸収範囲を持ち、300~425nmで広がり、最大値は375nm付近で、343~355nmのレーザー範囲を包含していることに注意すべきである。クロスハッチパターンを使用して、レーザーで5回のパスを実行する。レーザー加工に続いて、レーザーによる基板衝撃領域である熱活性化ゾーン(HAZ)を観察する顕微鏡を用いてパターンを観察する。この領域を、基板内レーザーカットの不規則性、なめらかさ、および解像度について視察する。HAZの状態は、全体的に滑らかで一貫した外観に基づいている。視察後、基板を室温のDIWで洗浄する。
【0099】
表15.記載した観察結果を有する、レーザーマーキングシステムによって処理されたシリコン上のポリマーコーティング。ベースポリマーは表1を参照している。
【0100】
【0101】
PETとAQZのベースポリマーを含むテストしたコーティングの最良のレーザー相互作用はPETで得られる。すすぎはAQZ:RA(25%RA)ポリマーシステムと比較して、PET:RAシステム(5%RA)では著しく遅くなる。単純なレーザーマーキングシステムで実行した場合、UVA含有量が変動してもほとんど違いは見られない。
【0102】
例9
レーザー支援プラズマエッチング処理用のコーティングされたシリコンウェハー
この例では、レーザー支援プラズマエッチングツールに適用された様々な組成の洗浄可能なコーティングの性能を調査する。この性質のシステムと一致して、コーティングしたシリコンウェハーは、最初に、コーティングと相互作用するビームでコーティングされた基板表面を横切って移動する高速レーザーを使用してパターン化(マスクを生成)する。レーザー加工中は低エネルギーを選択することが好ましい。これにより、基板にレーザーによる損傷を与えることなく、後続のプラズマ処理用のマスクを作製できる。好ましい条件では、レーザーは、下にある材料のフィーチャーを溶かしたり損傷したりすることによる基板に対する悪影響なく、数ミクロン未満のトップコーティングを貫通する。「有機」相互作用のみにレーザーを使用するには、下にある基板に影響なく、レーザーと有機コーティングの間に高い選択比が必要である。したがって、有機コーティングに対しレーザーには、高い選択比(相互作用)が好ましい。この実験では、ベースポリマーシステム内でLISSおよびUVAとしてさまざまな濃度のRAを使用して多くの有機コーティング組成物を作り、これらはすべて、表1に記載されている。この群については、以下の表16で説明する。
【0103】
表16.ベースポリマー中の成分濃度
【0104】
【0105】
レーザーエネルギーはスポットエネルギーを0.16から1.88μJ~変化させるために、その出力と光学分割によって制御した。2μmのスポットサイズに関して、レーザーのエネルギーは80~940μJ/mmで変化させた。レーザーエネルギーは、表17に記載されている設定によって異なる。
【0106】
表17.スポットとしておよび距離に渡るレーザーのエネルギー設定
【0107】
【0108】
基板コーティングとのレーザー相互作用に続いて、基板を準備し、走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察する。レーザーがコーティングと相互作用すると、ウェハーを横切ってラインまたはレーンが形成される。より高いレベルの相互作用を有するこれらのコーティングは、より深いレーンを作り、より明確に画定され、エッチングチャンバーのデスカムステップにおけるそのような領域のその後の洗浄にあまり依存しない。コーティングとレーザーの間の高い相互作用は完全であると見なされる。完全であると観察されたレーザー相互作用は、次のように分類される:Y=はい、一方で、レーン内のコーティングの満足度が低いか、除去されていない場合は、N=いいえと表示される。レーザー相互作用の結果を表18に示す。
【0109】
表18.設定1~11のレーザーの表17に記載されているコーティングとの相互作用によるレーン除去の結果。注:Y=完全な除去。N=不完全な除去。
【0110】
【0111】
レーザー相互作用の結果は、コーティング1B、2D、および2Eが、低い設定でレーザーとの高い相互作用(選択性)を提供することを示唆している。これらの結果のSEM画像を詳しく見ると、1Bは除去されている可能性があるが、充分に解像されていないことが分かる。つまり、側壁は2Dおよび2Eで観察されたものほどまっすぐではない。これにより、基板に到達するために必要な最も低いレーザーエネルギーをもったランキングで観測値をさらにリストすることができる(レーン除去)。これらの結果を以下の表19に示す。
【0112】
表19.レーン除去(完了)に必要なレーザーの最小エネルギーに応じたコーティング組成のランク付け。最初の最低エネルギーから除去が生じない状態まで。
【0113】
【0114】
コーティング組成物#2Dおよび#2Eは、試験された材料のアレイの中で最高濃度のUVAを表す。これらの高濃度は、レーザーの最低スポットエネルギー、したがって最高感度と一致する。高感度コーティングに、表面レーン(マスキング)を完成させるための低エネルギー、低損傷のレーザー出力が可能になり、次のステップであるプラズマエッチングの条件が改善される。
【0115】
例10
レーザー支援プラズマエッチング処理後のコーティングのDIWすすぎ
レーザーパターニングおよびプラズマエッチングに続いて例9(表18)から生成されたコーティングされた基板は、その後、室温のDIWですすぐ。
数分間のすすぎ後の結果を顕微鏡分析で確認し、次の表20に、完全に除去は「Y」、部分的は「P」、除去されなかったは「N」として報告する。
【0116】
表20.ベースポリマー中の成分濃度とRTDIWすすぎ結果
【0117】
【0118】
AQZを含むコーティング組成物はすぐに水すすぎするが、LISSとしての>12%RAを有するPETコーティングのみがすすぎを達成した。さらに、LISSとしてRAがないPETベースポリマーの条件では、これらはすすぎがないことが観察された。
【0119】
例11
コーティングのUVA含有量の増加
本実験では、最高温度にさらされた後の熱抵抗の色の変化および脱イオン水(DIW)に溶解する能力だけでなく、溶液とコーティングの動力学を確認し、ベースポリマーに添加する紫外線吸収(UVA)化合物を増加する効果を試験する。この実験で研究したベースポリマーには、水溶性コーティングとして商品化され、摂氏250~300度の曝露に対して耐熱性があることが示されているものが含まれる。これらは、表1の項目#1および#4としてさらに明らかにされ、つまり、AQ(商標)ポリマーとしてのポリエステル(PET)およびAquazol(商標)(AQZ)としてのオキサゾリンである。UVA化合物は、表1の項目#6として引用されており、耐熱性UV吸収および蛍光化合物ジスチリルビフェニルジスルホン酸二ナトリウムは、Keyfluor(商標)WhiteCBS-X(UVA)として掲げられている。混合物は、UVAとして60%w/wを超えるコーティング組成物を生成するのに十分な量のUVAを含むさまざまな固形分でDIWに作製する。これらの溶液を調製し、室温で2日間にわたって安定性を観察する。前の例で説明したように、液体をガラス基板に塗布し、摂氏100度のホットプレート上で乾燥させる。溶液の安定性とコーティング状態を反映するために、観察結果を表21と22に記録する。次に、コーティングされたガラス基板は、UV検査ランプによって可視蛍光について確認し、次いで、摂氏250度に設定されたホットプレートに30分間移す。露光後、基板を取り出して観察し、UV検査ランプ(吸収最大=365nm)によって可視蛍光を再度テストする。次に、基板をDIWを収容する容器に途中まで浸し、溶解する能力を観察し、結果を表23に示す。
【0120】
表21および表22.ベースポリマーAQZおよびPETを使用したUVA高投入の溶液調製
【0121】
【0122】
【0123】
表23.表21および表22に示されている混合物からのガラス上のコーティングの観察、UVランプからの視覚的蛍光および温度曝露後の洗浄
【0124】
【0125】
当該溶液と対応するコーティングの観察に示されているように、UVA含有量を増やして>60wt%のコーティングを実現することが可能である(表21~表23)。10~60wt%を達成するために必要な対応するUVA含有量を有するベースポリマーPETの液体中の16~28%の固形分の溶液は不透明である。あるいは、ベースポリマーとしてAQZを有する同様の対応するUVA含有量比の液体は、24~44%の固形分液体から透明な液体とコーティングを生成したが、>55%を達成するために必要なUVA含有量比の対応する溶液は不透明である。高いUVA含有量を達成する可能性は、AQZベースポリマーで最もよく達成される。すべてのコーティングは、検査ランプで測定した場合、熱暴露の前後に可視蛍光を示すことが示され、すべてが所定の波長(365nm)で吸収したことを裏付けている。
【0126】
例12
混合ベースポリマーコーティングのUVA含有量の増加
この実験では、前の実施例11で説明したように、AQZとPETの両方のベースポリマーを使用して安定した混合物を作ることを検討し、得られるコーティングのUVA含有量は高く保っている。目的は、それぞれのUVA化合物を有する、これらのベースポリマーシステムの両方で安定した希釈値を達成することである。これらのベースポリマーAQZおよびPETをUVAと混合する可能性をすべて調査することは本発明の範囲ではないので、UVAの含有量を増加し、色の変化として熱抵抗を確認し、続いて脱イオン水(DIW)に溶解する能力を確認しながら、1:1の重量%比またはそれに近いAQZとPETの単純な混合物でよしとする。例10に続くこれらの混合物を、UVAとして60%w/wを超えるコーティング組成物を生成するのに十分な量のUVAを含む様々な固形分でDIW中で生成する。PETとAQZのベースポリマー混合物は、PET:AQZとしての、これらの比率として1:1~1:1.5の間で変化させ、残部の重量%はUVA含有量のものである。前の実施例で説明したように液体をガラス基板に塗布し、摂氏100度のホットプレート上で乾燥させる。次に、混合物を室温で2日間にわたって安定性について観察する。溶液の安定性とコーティングの状態について、観察結果を表24と表25に記録する。次に、コーティングされたガラス基板を、UV検査ランプ(吸収最大=365nm)によって可視蛍光について確認し、次いで、摂氏250度に設定しホットプレートに30分間移しておく。暴露後、基板を取り出して観察し、以前に実行したのと同じUV検査ランプで可視蛍光について再度テストする。次に、基板のDIWを収容する容器に途中まで浸し、溶解する能力を観察し、表26に結果を示す。
【0127】
表24および表25.ベースポリマーAQZおよびPETを使用したUVA高投入の溶液調製
【0128】
【0129】
【0130】
表26.表24および表25に示されている混合物からのガラス上のコーティングの観察、UVランプによる可視蛍光および温度曝露後の洗浄
【0131】
【0132】
例11の改善された状態は、ベースポリマーPETとAQZを混合することで提示されている。60重量%のコーティングを達成するためにUVA含有量を増加させることは、当該溶液と対応するコーティングの観察(表24~表25)に示されているように、液体中最大36%固形分でベースポリマーPETとAQZを混合し、最大固形分17%に希釈戻しした混合物で最も良好に達成される。10~60重量%を達成するために必要な対応するUVA含有量を有する液体中17%未満の固形分のベースポリマー混合物は、すべて室温で透明で安定している。すべてのコーティングは、熱暴露前後で検査ランプ前後で測定して可視蛍光を示すことが示され、すべてが所定の波長(365nm)で吸収したことを裏付けている。
以下に、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
レーザー加工における耐熱性の水洗可能な保護コーティングとして有用な組成物であって、
前記組成物は、約1~70重量%の水溶性紫外線吸収化合物および約30~99重量%の、水に分散または溶解した少なくとも1種の水溶性ポリマーを含み、
前記紫外線吸収化合物および水溶性ポリマーの重量パーセントは、100重量%とみなした固形物の総重量に基づき、
前記水溶性紫外線吸収化合物は、摂氏250度を超える融点を有し、前記水溶性ポリマーは熱可塑性で、摂氏200度で50,000センチポアズを超える熱粘度を有するところの該組成物。
[2]
前記摂氏250度を超える融点を有する水溶性紫外線吸収化合物の重量%が、100重量%とみなした固形物の総重量に基づいて、5~50%である、[1]に記載の組成物。
[3]
前記摂氏250度を超える融点を有する水溶性紫外線吸収化合物の重量%が、100重量%とみなした固形物の総重量に基づいて、8~40%である、[1]に記載の組成物。
[4]
前記摂氏250度を超える融点を有する水溶性紫外線吸収化合物の重量%が、100重量%とみなした固形物の総重量に基づいて、10~30%である、[1]に記載の組成物。
[5]
前記摂氏250度を超える融点を有する水溶性紫外線吸収化合物が、ジスチリルビフェニルを含む、[1]に記載の組成物。
[6]
前記ジスチリルビフェニルが、カチオンリチウム、ナトリウム、またはカリウムの塩である、[5]に記載の組成物。
[7]
前記ジスチリルビフェニルが、ジスチリルビフェニルジスルホン酸二ナトリウムとして記述されるナトリウム塩である、[5]に記載の組成物。
[8]
前記熱可塑性で摂氏200度で50,000センチポアズを超える熱粘度を有する水溶性ポリマーが、ポリエステルを含む、[1]に記載の組成物。
[9]
前記熱可塑性で摂氏200度で50,000センチポアズを超える熱粘度を有する水溶性ポリマーが、ポリ-2-エチル-2-オキサゾリンを含む、[1]に記載の組成物。
[10]
前記耐熱性の水洗可能な保護コーティングはまたすすぎ補助剤も含む、[1]に記載の組成物。
[11]
前記すすぎ補助剤がスチレンスルホン酸リチウムを含む、[10]に記載の組成物。
[12]
基板に耐熱性の水洗可能な保護コーティングを塗布すること、前記塗布したコーティングを凝縮および固化させること、及び前記基板をレーザー加工することを含む、レーザー加工法。
[13]
前記レーザーが前記基板表面上の前記耐熱性の水洗可能な保護コーティングと相互作用し、前記基板表面上の前記コーティングへの複数のレーザー接触サイクルを使用することによって接触点で前記コーティングを除去して、耐熱性で水洗可能な保護マスクを生成する、[12]に記載の機械加工方法。
[14]
前記基板表面上の前記耐熱性の水洗可能な保護コーティングを除去して耐熱性で水洗可能な保護マスクを生成するためのレーザー接触のサイクル数が5未満である、[13]に記載のレーザー加工方法。
[15]
前記基板表面上の前記耐熱性の水洗可能な保護コーティングを除去して耐熱性で水洗可能な保護マスクを生成するためのレーザー接触のサイクル数が3未満である、[13]に記載のレーザー加工方法。
[16]
前記基板表面上の前記耐熱性の水洗可能な保護コーティングを除去して耐熱性で水洗可能な保護マスクを生成するためのレーザー接触のサイクル数が1である、[13]に記載のレーザー加工方法。
[17]
前記耐熱性で水洗可能な保護マスクを含む前記基板表面を処理することをさらに含み、
前記処理が、<25:1の測定された総選択比でのプラズマエッチングを含み、ここで前記選択比は、Siマスクとしての前記マスクの除去と比較した、シリコンの除去のための総プラズマ調製およびエッチングプロセスを表す、[13]に記載のレーザー加工方法。
[18]
前記プラズマエッチングプロセスの全選択比が25:1を超え50:1以下であり、ここで前記選択比は、前記マスクの除去と比較した、シリコンの除去のための総プラズマ調製およびエッチングプロセスをSi:マスクとして表す、[17]に記載のレーザー加工方法。
[19]
前記プラズマエッチングプロセスの全選択性が50:1を超え、
ここで前記選択性は、前記マスクの除去と比較した、シリコンの除去のための全プラズマ調製およびエッチングプロセスをSi:マスクとして表す、[17]に記載のレーザー加工方法。
[20]
前記基板のレーザー加工が半導体デバイスを製造することを含む、[12]に記載のレーザー加工方法。
[21]
前記基板のレーザー加工が、ディスプレイデバイスを製造することを含む、[12]に記載のレーザー加工方法。
[22]
前記基板のレーザー加工が、微小電気機械システム(MEMS)を製造することを含む、[12]に記載のレーザー加工方法。