(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】4つの日焼け止め物質からなる光防護システム
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20240520BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20240520BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240520BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20240520BHJP
A61K 31/53 20060101ALI20240520BHJP
A61K 31/24 20060101ALI20240520BHJP
A61K 31/618 20060101ALI20240520BHJP
A61P 17/16 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/41
A61K8/37
A61Q17/04
A61K31/53
A61K31/24
A61K31/618
A61P17/16
(21)【出願番号】P 2021566951
(86)(22)【出願日】2020-05-11
(86)【国際出願番号】 EP2020063081
(87)【国際公開番号】W WO2020229425
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-05-09
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】506260401
【氏名又は名称】ピエール ファーブル デルモ-コスメティック
【氏名又は名称原語表記】PIERRE FABRE DERMO-COSMETIQUE
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100103230
【氏名又は名称】高山 裕貢
(72)【発明者】
【氏名】プロヴォ,ロクサーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ポーレ,ステファニー
(72)【発明者】
【氏名】ドロミニー,エレーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ペリエ,ヴァレリー
【審査官】上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-505548(JP,A)
【文献】特表2017-517489(JP,A)
【文献】特開2015-140349(JP,A)
【文献】特表2019-517514(JP,A)
【文献】特開平7-330563(JP,A)
【文献】特開2020-105109(JP,A)
【文献】特開2018-145117(JP,A)
【文献】特表2017-526707(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 31/24、31/53、31/618
A61P 17/16
CAplus/REGISTRY(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの化粧学的にまたは薬学的に許容される賦形剤、ならびに
(a)5,6,5',6'-テトラフェニル-3,3'-(1,4-フェニレン)-ビス[1,2,4]トリアジン、
(b)2,4-ビス[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシフェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
(c)ヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート、および
(d)エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾンおよび2-エチルヘキシルサリシレートからなる群から選択される日射フィルター
からなる光防護システム、
を含む、化粧品組成物または医薬組成物であって、
該光防護システムは、組成物の総重量に対して組成物の4重量%~20重量
%を示すことを特徴とする、該光防護システムを構成するもの以外のいかなる日射フィルターも含まない化粧品組成物または医薬組成物。
【請求項2】
該光防護システムが、組成物の総重量に対して組成物の6重量%~19重量%を示すことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
該光防護システムが、組成物の総重量に対して組成物の7重量%~18重量%を示すことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
該光防護システムが、組成物の総重量に対して組成物の8重量%~17重量%を示すことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
5,6,5',6'-テトラフェニル-3,3'-(1,4-フェニレン)-ビス[1,2,4]トリアジンが、組成物の総重量に対して組成物の1重量%~5重量
%を示すことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
5,6,5',6'-テトラフェニル-3,3'-(1,4-フェニレン)-ビス[1,2,4]トリアジンが、組成物の総重量に対して組成物の2重量%~5重量%を示すことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
5,6,5',6'-テトラフェニル-3,3'-(1,4-フェニレン)-ビス[1,2,4]トリアジンが、組成物の総重量に対して組成物の2重量%~4重量%を示すことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
2,4-ビス[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシフェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジンが、組成物の総重量に対して組成物の1重量%~4重量
%を示すことを特徴とする、請求項
1に記載の組成物。
【請求項9】
ヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエートが、組成物の総重量に対して組成物の1重量%~10重量
%を示すことを特徴とする、請求項
1に記載の組成物。
【請求項10】
ヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエートが、組成物の総重量に対して組成物の3重量%~10重量%を示すことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
ヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエートが、組成物の総重量に対して組成物の4重量%~9重量%を示すことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
ヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエートが、組成物の総重量に対して組成物の5重量%~8重量%を示すことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
日射フィルター(d)が、組成物の総重量に対して組成物の1重量%~5重量
%を示すことを特徴とする、請求項
1に記載の組成物。
【請求項14】
日射フィルター(d)が、組成物の総重量に対して組成物の2重量%~4重量%を示すことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
5,6,5',6'-テトラフェニル-3,3'-(1,4-フェニレン)-ビス[1,2,4]トリアジンが、組成物の総重量に対して組成物の3重量%~4重量%を示し;
2,4-ビス[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシフェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジンが、組成物の総重量に対して組成物の2重量%~3重量%を示し;
ヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエートが、組成物の総重量に対して組成物の5重量%~6重量%を示し;そして
日射フィルター(d)が、組成物の総重量に対して組成物の3重量%~4重量%を示す、
ことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
日射フィルター(d)が、エチルヘキシルトリアゾンであることを特徴とする、請求項
1に記載の組成物。
【請求項17】
5,6,5',6'-テトラフェニル-3,3'-(1,4-フェニレン)-ビス[1,2,4]トリアジン粒子のサイズD
50が100~1000nmに含まれることを特徴とする、請求項
1に記載の組成物。
【請求項18】
C12-C15アルキルベンゾエート、ジカプリルイルカーボネートおよびカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドを
さらに含むことを特徴とする、請求項
1に記載の組成物。
【請求項19】
エタノールおよびイソプロパノールを含まないことを特徴とする、請求項
1に記載の組成物。
【請求項20】
エマルジョン形態であることを特徴とする、請求項
1に記載の組成物。
【請求項21】
SPFが、50またはそれ以
上であることを特徴とする、請求項1~
2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
SPFが、60またはそれ以上であることを特徴とする、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
SPF/UVA比が、3またはそれ以下であることを特徴とする、請求項
21に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの化粧学的にまたは薬学的に許容される賦形剤、および脂溶性または分散、特に水分散した4つのフィルターからなる光防護システムを含む化粧品組成物または医薬組成物であって、該光防護システムは、組成物の総重量に対して組成物の4重量%~20重量%を示す化粧品組成物または医薬組成物に関する。
【0002】
紫外線照射が皮膚に対して有害な影響を与える可能性があることは広く知られており、一般に日焼け止め製品と称される多数の日焼け防護製品が市販されている。しかし、市場で入手可能な組成物の多くは、耐久性および毒性に関してユーザー(使用者)の観点から、または環境へ影響のために、満足のいくものではない。実際、日焼け止め製品は基本的に有機化学フィルターからなり、それは必ずしも全く無害とは言えず、それは、フィルターのいくつかを組み合わせると、異なる化合物間の有害な相互作用の危険性が生じるため、なおさらである。その結果として、一方では光防護組成物の組成物に入る紫外線フィルターの数を最小限に抑え、他方では組成物内の上記フィルターの濃度を最小限に抑えることが、ユーザーにおける耐久性および毒性の観点からより良い結果を得るうえで有利となる。これはまた、日焼け止め組成物に含有されるUVフィルターが海に流れてしまうことが多いので、環境にもよい。
【0003】
しかし、市販されている殆どの日焼け止め製品には、高濃度でも存在する多くの異なるUVフィルターが含有されていることを認識しなければならない。
【0004】
これは、紫外線照射からユーザーを効果的に保護するために、可能な限り広いUV吸収スペクトルを持つ光防護製品が必要であることによって説明される。
【0005】
さらに、多くの日焼け止め製品は光安定性が十分ではなく、つまり、紫外線照射に長時間さらされると劣化してしまう傾向があるため、ユーザーを適切に保護できない。具体的には、市販のサンケア製品に広く使われているUVAフィルターであるブチルメトキシジベンゾイルメタン(BMDBM)は、光安定性を改善する他の化合物と組み合わせない限り、UV照射を受けると吸収能力の無い様々な化学成分に分解されることが広く知られている。
【0006】
本出願人は、新しい日焼け止め製品を開発するに当たり、ユーザーおよび環境の保護を中心的な関心事として集中的に研究を行い、制御された量で存在するわずか4つの日射フィルターからなるが、UV照射からの完全かつ効果的な保護を与え、優れた光安定性を備えている光防護システムを開発することを可能にした。
【0007】
さらに、現在市販されている日焼け止め製品の大部分とは異なり、本出願人が開発した組成物は、インビトロでの眼耐久性試験(ocular tolerance test)の過程で得られた特に良好な結果の点で優れている。日焼け止め組成物は、発汗または水泳後の結果としてユーザーの目に接触するのが一般的であるため、これは大きな利点となる。
【0008】
したがって、本発明は第一に、少なくとも1つの化粧学的にまたは薬学的に許容される賦形剤、ならびに
(a)5,6,5',6'-テトラフェニル-3,3'-(1,4-フェニレン)-ビス[1,2,4]トリアジン、
(b)2,4-ビス[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシフェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
(c)ヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート、および
(d)エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾンおよび2-エチルヘキシルサリシレートからなる群から選択される日射フィルター
からなる光防護システム、
を含む、化粧品組成物または医薬組成物であって、
該光防護システムは、組成物の総重量に対して組成物の4重量%~20重量%を示し、
該光防護システムを構成するもの以外のいかなる日射フィルターも含まない化粧品組成物または医薬組成物に関する。
【0009】
本発明の文脈における用語「光防護システム」とは、表面(皮膚、毛髪など)への適用後、UVAおよび/またはUVB照射の吸収および/または反射および/または拡散メカニズムの結果として、上記照射と上記表面との接触を防止または少なくとも制限することを可能とする化合物の連合体(association)を意味するものと理解される。
【0010】
用語「紫外線照射」または「UV照射」は、一般的に「UV」と略され、日射紫外線照射を意味し、また、例えば日焼けランプによって生成される人工紫外線照射も意味する。
【0011】
「UVA照射」または単に「UVA」という用語は、波長λが320~400nmの紫外線照射を意味する。
【0012】
「UVB照射」または単に「UVB」という用語は、波長λが290~320nmの紫外線照射を意味する。
【0013】
用語「日射フィルター」または「UVフィルター」とは、UV照射をフィルター処理(濾波)して、この照射の有害な影響から表面、典型的には皮膚または毛髪を保護できる物質を意味する。
【0014】
日射フィルターは、UVAまたはUVBのどちらを主にフィルター処理するかに応じて、「UVAフィルター」または「UVBフィルター」と称する。
【0015】
「広域バンド」または「広域スペクトル」である日射フィルターは、UVAおよびUVBの両方をフィルター処理する。
【0016】
照射のフィルター処理メカニズムに応じて、言い換えれば、照射が日射フィルターによって吸収および/または反射されるか、または拡散されるかによって、厳密に言えば、照射フィルターは、次のように区別される:
-狭義のフィルターであって、これは主に照射を吸収する、および
-スクリーンであって、これは照射を吸収および反射する。
【0017】
ただし、以下の説明では、用語「日射フィルター」は「フィルター」と略される場合があり、これは、フィルターまたはスクリーンのどちらも意味するよう交換可能に使用される。
【0018】
日射フィルターは、脂質または水のどちらに容易に溶けるかで「脂溶性」または「水溶性」か、あるいは「不溶性」であり得る。それにもかかわらず、不溶性日射フィルターは、典型的には分散形態で、特に水相に分散される場合は水分散形態で、日焼け止め組成物に加えることができる。
【0019】
本発明による組成物を構成する光防護システムは、脂溶性または不溶性タイプの4つの日射フィルターのみを含み、従って、水溶性フィルターを含まないものである。
【0020】
本発明による組成物中に水溶性フィルターが存在しないことは、水溶性フィルターが、一般的に言えば、脂溶性または不溶性フィルターよりも海洋生物によってより容易に吸収されることを考えると、特に有利である。その結果として、脂溶性または分散フィルター、特に水分散フィルターのみを使用するといった出願人の選択は、海洋環境への本発明による組成物の影響を最小限に抑えることを可能にする。
【0021】
特定の実施態様において、光防護システムは、組成物の総重量に対して組成物の6重量%~19重量%、とりわけ7重量%~18重量%、特に8重量%~17重量%を示す。
【0022】
別の特定の実施態様において、特に高い日射保護性を可能にする該光防護システムは、組成物の総重量に対して組成物の8重量%~20重量%、特に10重量%~20重量%、特に12重量%~17重量%、有利には14重量%~17重量%、例えば15重量%~16重量%を示す。
【0023】
本発明による組成物を構成する光防護システムは、以下のフィルターからなる:
(a)5,6,5',6'-テトラフェニル-3,3'-(1,4-フェニレン)-ビス[1,2,4]トリアジン(CAS n°:55514-22-2)、これは、フェニレンビス-ジフェニルトリアジンとも称される。
【0024】
これは、本質的には、最大吸収波長λmaxが355nmに等しい不溶性タイプのUVAフィルターである。特に水分散性フィルターである。
【0025】
フェニレンビス-ジフェニルトリアジンは、典型的には水分散液の形態であり、これは、分散液の総重量に対して20重量%~50重量%、特に40重量%~50重量%の活性物質を含む。
【0026】
有利には、水分散液の調製工程は、粉砕装置を用いて、粉砕アジュバントとともに不溶性有機フィルターを粒子の形態に粉砕することからなる。
【0027】
通常、湿式ミリング(製粉)工程を行い(湿式粉砕、湿式混合)、ミリング助剤により粒子の分散をより良くする。これらの技術は、当業者にはよく知られている。
【0028】
ミリング装置は、例えば、マイクロビーズミル、振動ミルまたはボールミルであり得る
【0029】
粉砕工程に応じて、粉砕助剤は、アニオン性、非イオン性または両性の界面活性剤、乳化剤および分散剤、例えばPPG-1-PEG-9ラウリルグリコールエーテル(Eumulgin(登録商標) L、BASFより販売)からなる群から選択される。
【0030】
特定の実施態様において、フェニレンビス-ジフェニルトリアジンは、分散液の総重量に対して組成物の1重量%~5重量%、特に2重量%~5重量%、特に2重量%~4重量%、典型的には3重量%~4重量%を示す。
【0031】
これらの質量%、および本明細書の残りの部分で示される質量%は、組成物の総質量に対する活性物質の質量%として示されることが理解される。
【0032】
特定の実施態様において、フェニレンビス-ジフェニルトリアジン粒子のサイズD50は、100~1000nm、より具体的には100~500nm、さらにより具体的には120~400nm、とりわけ120~250nm、特に120~200nm、典型的には150~200nmに含まれる。
【0033】
「サイズD
50」または「中央値」という用語は、累積関数F(D)が50%に等しいサイズを意味すると理解され、ここに、F(D)は、式:
【数1】
[式中、f(D)は個数による粒径分布であり、そして
D
iはサイズクラスである]
で定義される。
【0034】
D50値は、本明細書の実施例に記載の方法によって測定される。
【0035】
(b)2,4-ビス[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシフェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(CAS n°:187393-00-6)、これは、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンまたはBEMTとも称され、BASFによりTinosorb S(登録商標)という名称で販売されている。
【0036】
これは、310nmおよび340nmに2つの吸収ピークを有する広域スペクトルの脂溶性フィルターである。
【0037】
特定の実施態様において、BEMTは、組成物の総重量に対して組成物の1重量%~4重量%、特に2重量%~3重量%を示す。
【0038】
(c)ヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート(CAS n°: 302776-68-7)、これは、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエートまたはDHHBとも称され、BASFによりUvinul A Plus(登録商標)という名称で販売されている。
【0039】
これは、最大吸収波長λmaxが354nmに等しい脂溶性UVAフィルターである。
【0040】
特定の実施態様において、DHHBは、組成物の総重量に対して組成物の1重量%~10重量%、例えば3重量%~10重量%、特に4重量%~9重量%、典型的には5重量%~8重量%、とりわけ6重量%~7重量%、または有利には5重量%~6重量%を示す。
【0041】
(d)エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾンおよび2-エチルヘキシルサリシレートからなる群から選択される日射フィルター。
【0042】
これら3つのフィルターは、脂溶性UVBフィルターである。
【0043】
BASFによりUvinul T 150(登録商標)という名称で販売されているエチルヘキシルトリアゾンまたはEHT(CAS n°:88122-99-00)は、314nmに等しい最大吸収波長λmaxを有する。
【0044】
3V SigmaによりUvasorb HEB(登録商標)という名称で販売されているジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(CAS n°: 154702-15-5)は、310nmに等しい最大吸収波長λmaxを有する。
【0045】
オクチルサリシレートまたはエチルヘキシルサリシレート(EHS)とも称される2-エチルヘキシルサリシレート(CAS n°: 118-60-5)は、Aako BVによりAako Sun EHS(登録商標)という名称で販売されている。
【0046】
特定の実施態様において、日射フィルター(d)は、組成物の総重量に対して組成物の1重量%~5重量%、とりわけ2重量%~4重量%、特に3重量%~4重量%を示す。
【0047】
有利には、日射フィルター(d)は、エチルヘキシルトリアゾンまたはジエチルヘキシルブタミドトリアゾンに相当し、好ましくはエチルヘキシルトリアゾンである。
【0048】
特定の実施態様において、日射フィルター(d)は、エチルヘキシルトリアゾンに相当し、組成物の総重量に対して組成物の1重量%~5重量%、とりわけ2重量%~4重量%、特に3重量%~4重量%を示す。
【0049】
有利な実施態様において、本発明による化粧品組成物または医薬組成物は、少なくとも1つの化粧学的にまたは薬学的に許容される賦形剤、ならびに
(a)5,6,5',6'-テトラフェニル-3,3'-(1,4-フェニレン)-ビス[1,2,4]トリアジン、
(b)2,4-ビス[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシフェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
(c)ヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート、および
(d)エチルヘキシルトリアゾン、からなる光防護システムを含み、
該光防護システムは、組成物の総重量に対して組成物の4重量%~20重量%、例えば6重量%~19重量%、とりわけ7重量%~18重量%、特に8重量%~17重量%、有利には14重量%~17重量%、典型的には15重量%~16重量%を示し、
そして、該光防護システムを構成するもの以外のいかなる日射フィルターも含まない。
【0050】
この有利な実施態様において、フェニレンビス-ジフェニルトリアジンは、組成物の総重量に対して組成物の1重量%~5重量%、とりわけ2重量%~5重量%、特に2重量%~4重量%、典型的には3重量%~4重量%を示し、BEMTは、有利には、組成物の総重量に対して組成物の1重量%~4重量%、特に2重量%~3重量%を示し、DHHBは、有利には、組成物の総重量に対して組成物の1重量%~10重量%、特に3重量%~10重量%、特に4重量%~9重量%、典型的には5重量%~8重量%、例えば6重量%~7重量%またはより有利には5重量%~6重量%を示し、エチルヘキシルトリアゾンは、有利には、組成物の総重量に対して組成物の1重量%~5重量%、特に2重量%~4重量%、特に3重量%~4重量%を示す。
【0051】
特に、本発明の組成物を構成する光防護システムは、光安定性のものである。
【0052】
本発明の文脈における用語「光安定性」は、5MED、好ましくは10MEDの照射後、全SPFの最低80%、好ましくは最低85%、有利には最低90%が保持されることを意味するものと理解される(290~400nm)。
【0053】
用語「SPF」とは、日焼け防止係数(sun protection factor)を意味し、一般的にはその頭字語SPFで称される。
【0054】
その値は、本明細書の実施例に記載の方法によって測定される。
【0055】
特定の実施態様において、本発明の組成物のSPFは、50またはそれ以上であり、有利には60またはそれ以上である。
【0056】
別の特定の実施態様において、SPF/UVA比は、施行されている規制に従って、3またはそれ以下である。上記の商の分母は、全SPFのUVA部分(320~400nm)に相当し、COLIPA(欧州化粧品香料協会、European Cosmetic and Perfumery Association)が2011年3月のガイドラインで推奨する方法に従って計算することができる。
【0057】
このように、SPFおよびSPF/UVA比に関する上記の特徴に準拠する光防護システムは、典型的には、組成物の総重量に対して組成物の8重量%~20重量%、特に10重量%~20重量%、特に12重量%~17重量%、有利には14重量%~17重量%、例えば15重量%~16重量%を示す。
【0058】
本発明による組成物は、光防護システムに加えて少なくとも1つの化粧学的にまたは薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0059】
本発明において、「化粧学的にまたは薬学的に許容される」とは、一般的に安全で、無毒性で、生物学的またはその他の観点から好ましいものであり、ヒト化粧学的または薬学的使用に許容される化粧品組成物または医薬組成物の調製に有用なものを意味することを意図する。
【0060】
用語「薬学的にまたは化粧学的に許容される賦形剤」は、組成物の製造、保存または投与のための化粧学的にまたは薬学的に許容されるいずれかのアジュバントを意味するものと理解される。
【0061】
したがって、本発明による組成物は、特に油脂、有機溶媒、増粘剤、乳白剤、安定化剤、皮膚軟化剤、消泡剤、香料、防腐剤、ポリマー、充填剤、封鎖剤、殺菌剤、脱臭剤(odour absorber)、アルカリ化剤または酸性化剤、界面活性剤、抗フリーラジカル剤、ビタミンEおよびC、アルファヒドロキシ酸、乳化剤、活性剤(特に軟化剤、保湿剤、抗酸化剤)または通常薬学または化粧品、特に日焼け止め組成物の製造に使用するその他のいずれかの成分の中から選択される従来の医薬又は化粧品のアジュバントを含み得る。
【0062】
油脂は、オイルもしくはワックスまたはこれらの混合物からなり得て、また、脂肪酸、脂肪アルコールおよび脂肪酸エステルも含む。
【0063】
組成物は、特に、2~20個の炭素原子を有する、好ましくは2~10個の炭素原子を有する、優先的には2~6個の炭素原子を有するポリオール、例えばグリセリンの中から選択される、室温(約25℃)で水と混合できるポリオール;グリコールの誘導体、例えばプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール;グリコールエーテル、例えばモノ-、ジ-またはトリ-プロピレングリコールのC1-C4アルキルエーテル、モノ-、ジ-またはトリ-エチレングリコールのC1-C4アルキルエーテル、およびこれらの混合物、をさらに含み得る。
【0064】
組成物はまた、濃化剤またはレオロジー調整剤、例えば疎水的に修飾されたエトキシル化非イオン性ウレタン、ポリカルボン酸増粘剤、例えばアクリレート/ステアレス-20メタクリレートコポリマー、カルボマー、架橋アクリレートコポリマー、およびこれらの混合物などを含み得る。
【0065】
本組成物はまた、上記の組成物のpHゾーンを調整するためのアルカリ化剤または酸性化剤、より具体的には酸および塩基を含み得る。塩基は、ミネラル(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、など)、または有機物、例えばモノ-、ジ-またはトリエタノールアミン、アミノメチルプロパンジオール、N-メチル-グルカミン、塩基性アミノ酸、例えばアルギニンおよびリシン、およびこれらの混合物であり得る。
【0066】
組成物はまた、乳化剤を含み得る。乳化剤の例として、アニオン性、カチオン性および非イオン性乳化剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムジオクチルスルホサクシネート、ステアリン酸ナトリウム、ソルビタンエステル;エトキシル化脂肪酸;エトキシル化脂肪アルコール、例えばトリデセス-9およびPEG-5エチルヘキサノエート;当業者に知られている他のいずれかの乳化剤、およびこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0067】
本発明による組成物は、特に、保湿剤、ピーリング剤、バリア機能を改善する剤、脱色素剤(depigmenting agent)、抗酸化剤、皮膚収縮剤(dermo-contracting agent)、抗グリケーション剤、真皮および/または上皮高分子の合成を刺激および/またはそれらの分解を予防する剤、線維芽細胞またはケラチン生成細胞の増殖および/またはケラチン生成細胞分化の刺激物質、NOシンターゼ阻害剤、皮脂腺活性を増加させる剤、安定剤、リポ-リモデリング剤(lipo-remodelling agent)、スリミング剤、皮膚微小循環促進剤、無痛化剤および/または刺激剤、皮脂調節剤または抗脂漏症剤、収斂剤、治癒剤、抗炎症剤、抗アクネ剤、およびこれらの混合物の中から選択される追加の活性剤をさらに含み得る。
【0068】
特定の実施態様において、本発明による組成物は、ジブチルアジペート(アジピン酸ジブチル)を含む。
【0069】
特定の実施態様において、本発明による組成物は、エタノールおよびイソプロパノールを含まない。
【0070】
特定の実施態様において、本発明による組成物はシリコーンを含まない。
【0071】
有利な実施態様において、本発明による組成物は、以下の3つの皮膚軟化剤を含む:C12-C15アルキルベンゾエート、ジカプリルイルカーボネートおよびカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(caprylic/capric triglyceride)。
【0072】
この有利な実施態様において、本発明による組成物は、ステアリルアルコール、グリセロールモノステアレート、グリセロールベヘネート、PEG-100ステアレート、VP/エイコセンコポリマー、ポリアクリレート、カリウムセチルホスフェート、グリセロールステアレート、ラウリルグルコシド、ポリグリセリル-2-ジポリヒドロキシステアレートおよびイソプロピルアジペートからなる群から選択される1つまたはそれ以上の成分をさらに含み得る。
【0073】
本発明による組成物は、とりわけ皮膚および/または毛髪への局所的な適用に適したいずれかの形態であり得る。
【0074】
特に、それらは、水相中の油相の分散によって得られるエマルション状、例えば水中油型または油中水型または多重エマルション状、またはゲル状または液体状、ペースト状または固体無水物状、または球状体の存在下での分散液状であり得る。本発明による組成物はまた、流動性が低い白色または有色のクリーム状、軟膏状、乳液状、ローション状、セラム状、ペースト状、マスク状、粉末状、固体スティック状または場合によってはエアゾール状、フォームまたはスプレー状であり得る。これらの組成物はまた、耐水性であってもよい。
【0075】
特定の実施態様において、本発明による組成物は、エマルジョン形態、例えば水中油型または油中水型エマルジョン形態、好ましくは水中油型エマルジョン形態である。
【0076】
本発明による組成物は、より具体的には、皮膚(顔および/または体)および/または毛髪を紫外線照射から保護することを目的とする、一般的に日焼け止め組成物と称される日焼け防止組成物である。
【0077】
本発明はまた、皮膚(顔および/または体)および/または毛髪を紫外線照射から保護する方法であって、上記の組成物を皮膚(顔および/または体)および/または毛髪に適用することを含む方法に関する。
【0078】
本発明はさらに、皮膚(顔および/または体)および/または毛髪を紫外線照射から保護するのに使用するための、上記の組成物に関する。
【0079】
本発明はさらに、皮膚(顔および/または体)および/または毛髪を紫外線照射から保護するための、上記の組成物の使用に関する。
【実施例】
【0080】
【0081】
I. 組成物
以下の処方において、5,6,5',6'-テトラフェニル-3,3'-(1,4-フェニレン)-ビス[1,2,4]トリアジンは、45重量%(w/w)の活性物質を含む水性分散液の形態であり、150~250nmのD50を特徴とする。
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
II. 5,6,5',6'-テトラフェニル-3,3'-(1,4-フェニレン)-ビス[1,2,4]トリアジン粒子のサイズの測定
フェニレンビス-ジフェニルトリアジン粒子のD50は、湿式法によって、マスターサイザ3000レーザー回折粒度計を用いて測定する。
【0089】
フェニレンビス-ジフェニルトリアジンの水分散液の試料を磁気撹拌(2500rpm)下に2分間置く。
【0090】
試料1mLを取ってフラスコに入れ、超純水で100mLにする。
【0091】
こうして得られた溶液を磁気攪拌(2500rpm)下に30秒間置く。検査する溶液を取って、計量器にオブスキュレーション限界(obscuration limit)の15%まで入れる。
【0092】
3つの独立した試験を行い、1つの試験ごとに3つの独立した測定(赤色レーザー:バックグラウンド測定、10秒、試料測定、10秒;青色レーザー:バックグラウンド測定、10秒、試料測定、10秒)を行う。
【0093】
結果は体積で得て、続いてソフトウェアを用いて数値に変換させる。
【0094】
III.日焼け防止の評価
本発明による組成物によって提供される光防護を定量化するためのパラメーターは、2011年3月に発行されたガイドラインにおいてCOLIPA(欧州化粧品および香水協会、European Cosmetic and Perfumery Association)によって推奨された方法に従って評価する。
【0095】
III.1. 材料
-UV分光光度計
分光光度計により、その表面に日焼け止め組成物の層がある場合とない場合のプレートを通過するスペクトル透過率を測定する。
【0096】
分光光度計は、290nm~400nmに含まれる測定が可能であることが必要である。
【0097】
測定値間のばらつきを減らし、製品層の均一性の欠如を補うために、部位の読み取りゾーンは少なくとも0.5cm2にすることが推奨されている。
【0098】
これらの測定に使用する分光光度計は、Labsphere(登録商標)UV-1000Sまたは2000Sである。
【0099】
-プレート
プレートとは、日焼け止め組成物が適用される材料である。この材料は、UVに対して透明であり、非蛍光性であり、光安定性があり、試験する組成物の化合物に対して不活性でなければならない。このプロトコルにおいて、PMMAプレートが理想的であることが証明されている。
【0100】
-UV源
UV源は、可視+UVA+UVBのスペクトルを拡散するキセノンアークランプを搭載した日射シミュレーターである。この研究で使用したUV源は、Suntest CPS+(Atlas)である。
【0101】
III.2. SPFおよび光安定性の測定方法
-未処理のプレートを通過する透過率の測定
まず、対照プレートを通過するUV透過率を測定する必要がある。これは、数マイクロリットルのグリセリンをプレートの表面が完全に覆われるように塗り付けて準備する。
【0102】
-試料の適用
試験する試料を、1.3mg/cm2の量(プレートに残っている実際の量)でPMMAプレートに適用する。量の正確さおよび結果の再現性を保証するために、適用ゾーンは10cm2より大きくする。
【0103】
試験する試料を、同じ体積の多数の小滴の形態で、プレートの全面に分布するように適用する。製品の量が正しいことを確保するために、適用される製品の量を検証する方法(例えば、製品の適用前後のプレートの重量を測定する)を採用しなければならない。
【0104】
決められた量の試料を適用した後、できるだけ早く(30秒以内)、プレート全体に試料を広げる必要がある。
【0105】
その後、均一な膜の形成を促すために、試料を15分間室温で暗所に置く。
【0106】
-試料で処理したプレートの透過率の測定
試料で処理したプレートを分光光度計で分析し、試料を通過するUV照射透過率の平均値を、290nmから400nmまでの波長ごとに測定する(プレートの様々な領域で測定した単色吸光度データを使用する)。
【0107】
-測定回数
各試料について、少なくとも3つのPMMAプレートを用意する必要がある。各プレートは、実際上、ほぼ全面が分光測光法によって測定されない限り、少なくとも9つの異なる領域で測定する必要がある。
【0108】
-インビトロでのSPFの計算(日焼け防止係数)
これは、次の式に従って、5および10MEDの照射量で照射する前後の吸光度データA(λ)から作成する:
【数2】
[式中、E(λ)は、紅斑有効スペクトル(erythemal effective spectrum)に相当し、
S(λ)は、日射スペクトルの照射量(irradiance)に相当し、
A(λ)は、試料の吸光度に相当し、
dλは、波長変動(1nm)である]。
【0109】
【0110】
本発明による組成物は、その光安定性に基づいて、以下に示すカテゴリーに従って分類することができる。
【表8】
【0111】
III.3. 結果
処方1、処方2について、以下の結果を得た。
【表9】
【0112】
IV. 眼の耐久性の評価
【0113】
IV.1. 再構成ヒト角膜上皮を用いたインビトロモデル
この試験は、再構成ヒト角膜上皮を用いて眼刺激性の可能性を評価するための動物実験の代替方法である。
【0114】
原理は、再構成ヒト角膜上皮に製品を適用することによる、24時間にわたる平均細胞毒性指数の決定に基づいている。
【0115】
細胞生存率は、生きている細胞に取り込まれるMTTがテトラゾリウム塩に還元され、それが、比色分析によって測定可能な紫色の結晶を形成することに基づき、試験する。
【0116】
計算されるパラメーターは、MCI24h(24時間にわたる「平均細胞毒性指数」)、すなわち1時間あたりに生じる平均死亡率である。これにより、その製品が刺激性であるか否かを決定することができる。
【0117】
この方法は、Doucetらの論文、Toxicology in vitro, 2006, 20, 499-512に記載されている。
【0118】
本発明による組成物は、そのMCI
24hに基づき、以下に示すスコアリングシステムに従って分類することができる。
【表10】
【0119】
IV.2. 「ニュートラルレッドの放出」または(NRR)方法
この試験は、眼刺激性の可能性を評価するための動物実験の代替方法である。
【0120】
原理は、30秒または60秒間の接触時間後にSIRC系統のウサギ角膜線維芽細胞に対してニュートラルレッドの放出法を用いて50%の死亡率(LC50)を引き起こす濃度を測定することによる細胞毒性の評価に基づいている。
【0121】
この方法は、1999年12月30日のフランス公式速報に掲載された1999年12月27日の法令に記載されている。
【0122】
ニュートラルレッド色素溶液をプレート上の培養細胞とインキュベートした後、製品の各希釈液を60秒または30秒間細胞に接触させた後、洗い流す。細胞生存率は、発色液(development solution)を添加した後、分光光度法によって評価する。
【0123】
本製品の細胞毒性は、1999年12月30日付フランス公示に記載された4つのカテゴリーを含む尺度に従って表示する。
【表11】
【0124】
IV.3. 結果
処方1および2について以下の結果を得た:
【表12】
【0125】
インビトロ眼耐久性試験(ocular tolerance test)で得られた結果は、試験した2つの処方で良好であった。
さらに、本願発明は次の態様を含む。
1.少なくとも1つの化粧学的にまたは薬学的に許容される賦形剤、ならびに
(a)5,6,5',6'-テトラフェニル-3,3'-(1,4-フェニレン)-ビス[1,2,4]トリアジン、
(b)2,4-ビス[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシフェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
(c)ヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエート、および
(d)エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾンおよび2-エチルヘキシルサリシレートからなる群から選択される日射フィルター
からなる光防護システム、
を含む、化粧品組成物または医薬組成物であって、
該光防護システムは、組成物の総重量に対して組成物の4重量%~20重量%、特に6重量%~19重量%、とりわけ7重量%~18重量%、典型的には8重量%~17重量%を示すことを特徴とする、該光防護システムを構成するもの以外のいかなる日射フィルターも含まない化粧品組成物または医薬組成物。
2.5,6,5',6'-テトラフェニル-3,3'-(1,4-フェニレン)-ビス[1,2,4]トリアジンが、組成物の総重量に対して組成物の1重量%~5重量%、とりわけ2重量%~5重量%、特に2重量%~4重量%、典型的には3重量%~4重量%を示すことを特徴とする、項1に記載の組成物。
3.2,4-ビス[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシフェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジンが、組成物の総重量に対して組成物の1重量%~4重量%、特に2重量%~3重量%を示すことを特徴とする、項1または2に記載の組成物。
4.ヘキシル2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエートが、組成物の総重量に対して組成物の1重量%~10重量%、とりわけ3重量%~10重量%、特に4重量%~9重量%、典型的には5重量%~8重量%、例えば5重量%~6重量%を示すことを特徴とする、項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
5.日射フィルター(d)が、組成物の総重量に対して組成物の1重量%~5重量%、とりわけ2重量%~4重量%、特に3重量%~4重量%を示すことを特徴とする、項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
6.日射フィルター(d)が、エチルヘキシルトリアゾンであることを特徴とする、項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
7.5,6,5',6'-テトラフェニル-3,3'-(1,4-フェニレン)-ビス[1,2,4]トリアジン粒子のサイズD
50
が100~1000nmに含まれることを特徴とする、項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
8.C12-C15アルキルベンゾエート、ジカプリルイルカーボネートおよびカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドを含むことを特徴とする、項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
9.エタノールおよびイソプロパノールを含まないことを特徴とする、項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
10.エマルジョン形態であることを特徴とする、項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
11.SPFが、50またはそれ以上、好ましくは60またはそれ以上であることを特徴とする、項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
12.SPF/UVA比が、3またはそれ以下であることを特徴とする、項11に記載の組成物。