(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】拡張ダイレクトリンク通信のための通信装置、および通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 76/14 20180101AFI20240520BHJP
H04W 76/22 20180101ALI20240520BHJP
H04W 74/02 20090101ALI20240520BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20240520BHJP
【FI】
H04W76/14
H04W76/22
H04W74/02
H04W84/12
(21)【出願番号】P 2021568941
(86)(22)【出願日】2020-04-23
(86)【国際出願番号】 SG2020050249
(87)【国際公開番号】W WO2021002802
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-04-12
(31)【優先権主張番号】10201906255Q
(32)【優先日】2019-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チトラカール ロジャン
(72)【発明者】
【氏名】ホァン レイ
(72)【発明者】
【氏名】浦部 嘉夫
【審査官】望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-504467(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0211703(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00-H04W99/00
H04B7/24-H04B7/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のチャネルでAP(アクセスポイント)と無線通信するように構成された通信装置であって、
動作時に、前記通信装置と、他の通信装置と、前記第1のチャネルとは異なる第2のチャネルとを示す情報を含むチャネル使用許可要求フレームを生成する回路と、
動作時に、前記他の通信装置とのダイレクトリンク通信のために前記第2のチャネルを使用する許可を前記APに求めるために、前記生成されたチャネル使用許可要求フレームを前記APに送信する送信機と、
動作時に、前記第2のチャネルの使用を許可するチャネル使用許可応答フレームを前記APから受信する受信機と、を備え、
さらに、前記チャネル使用許可応答フレームを受信した後に、前記第2のチャネルにおけるダイレクトリンクで前記他の通信装置と通信するように構成さ
れ、
前記受信機はさらに、前記APから停止動作指示を受信するように構成され、
前記停止動作指示を受信した後、前記通信装置が前記ダイレクトリンクでの通信を停止するようにさらに構成される、
通信装置。
【請求項2】
前記チャネル使用許可応答フレームは、前記第2のチャネルを使用するための最大送信電力レベルおよび有効期間を示す情報を含み、
前記ダイレクトリンクでの前記通信装置と前記他の通信装置との間の通信は、前記有効期間の満了時に停止される、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記ダイレクトリンクは、TDLS(Tunneled Direct Link Setup)である、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記回路はさらに、前記ダイレクトリンクを識別する情報を含むADDTS(Add Traffic Stream)要求フレームを生成するように構成され、
前記送信機はさらに、前記ダイレクトリンクのためのトラフィックストリームの設定を前記APに要求するために、前記生成されたADDTS要求フレームを前記APに送信するように構成され、
前記受信機はさらに、前記トラフィックストリームが設定されたことを裏付けるADDTS応答フレームをAPから受信するように構成され、
前記送信機はさらに、前記トラフィックストリームに属するデータフレームを前記他の通信装置に送信するように構成される、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記受信機はさらに、前記APからトリガフレームを受信するように構成され、
前記送信機はさらに、前記トリガフレームを受信した後に、前記ダイレクトリンク上で、一つまたは複数のデータフレームを、前記他の通信装置に送信するように構成される、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記トリガフレームは、前記他の通信装置のMACアドレスと、許可AC(アクセスカテゴリ)と、最大送信電力レベルとを示す情報を含み、
前記一つまたは複数のデータフレームは、前記MACアドレスに送信され、前記許可ACまたはより高いACで特定されたTID(トラフィック識別子)に基づき、
前記一つまたは複数のデータフレームは、前記最大送信電力レベルより小さい送信電力で送信される、
請求項
5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記送信機はさらに、TIDに対応し、かつ前記他の通信装置に宛てられた、バッファデータの大きさを報告するために、前記ダイレクトリンクを示す情報をさらに含むバッファステータス報告フレームを、前記APに周期的に送信するように構成される、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項8】
第1のチャネルで通信装置と無線通信するように構成されたAP(アクセスポイント)であって、
動作時に、前記通信装置から、他の通信装置とのダイレクトリンク通信のために、前記第1のチャネルとは異なる第2のチャネルの使用を要求するチャネル使用許可要求フレームを受信する受信機と、
動作時に、前記チャネル使用許可要求フレームを受信した後、前記第2のチャネルが前記通信装置および前記他の通信装置によって使用されてもよいか否かを、周波数調整データベースから判定し、さらに、前記判定を示す情報を含むチャネル使用許可応答フレームを生成するように構成される回路と、
動作時に、前記チャネル使用許可応答フレームを、前記第2のチャネルにおけるダイレクトリンクで前記他の通信装置と前記判定に基づいて通信するように構成される前記通信装置に送信する送信機と、
を備え、
前記送信機はさらに、前記通信装置に停止動作指示を送信し、前記ダイレクトリンクでの通信の停止を指示するように構成される、
AP。
【請求項9】
前記チャネル使用許可応答フレームは、前記第2のチャネルを使用するための最大送信電力レベルおよび有効期間を示す情報をさらに含み、
前記ダイレクトリンクでの前記通信装置と前記他の通信装置との間の通信は、前記有効期間の満了時に停止される、
請求項
8に記載のAP。
【請求項10】
前記送信機はさらに、前記他の通信装置を識別する情報を含むトリガフレームを、前記通信装置に送信するように構成され、
前記通信装置は、前記トリガフレームを受信した後に、前記ダイレクトリンク上で、一つまたは複数のデータフレームを、前記他の通信装置に送信するように構成される、
請求項
8に記載のAP。
【請求項11】
通信装置と、他の通信装置と、第1のチャネルとは異なる第2のチャネルとを示す情報を含むチャネル使用許可要求フレームを生成し、
前記他の通信装置とのダイレクトリンク通信のために前記第2のチャネルを使用する許可をAPに求めるために、前記生成されたチャネル使用許可要求フレームを前記APに送信し、
前記第2のチャネルの使用を許可するチャネル使用許可応答フレームを前記APから受信し、
前記チャネル使用許可応答フレームを受信した後に、前記第2のチャネルにおけるダイレクトリンクで前記第2のチャネル上の前記他の通信装置と通信
し、
前記APから停止動作指示を受信し、
前記停止動作指示を受信した後、
前記通信装置が前記ダイレクトリンクでの通信を停止する、
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、拡張ダイレクトリンク通信のための通信装置、および通信方法に関し、特に、6GHz帯のような規制された帯域における拡張ダイレクトリンク通信のための通信装置、および通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、FCC(米国連邦通信委員会:Federal Communications Commission)は、アンライセンスでの使用のために6GHz帯を開放した。6GHz帯は、IEEE 802.11ax(HE)、IEEE 802.11be(EHT)、3GPPの5G規格等のような、今後の無線規格におけるスループット目標を達成する際に重要な役割を果たす。
【0003】
既存のユーザを保護するために、FCCは、最新のNPRM(規則制定案告示:Notice for Proposed Rulemaking)において、以下の規則を提案している。
・U-NII-5およびU-NII-7サブバンドは、高レベルの可用性を維持しなければならないリンクを含む、ポイント間マイクロ波リンクによって多用される。そのため、これらのサブバンドでは、U-NII-1およびU-NII-3帯の電力レベルを使用する「標準電力アクセスポイント(AP)」のみが、AFC(自動周波数調整:Automated Frequency Coordination)システムによって決定された周波数上で動作できる。U-NIIは、Unlicensed National Information Infrastructureの略である。
・U-NII-6およびU-NII-8サブバンドは、既存のデータベースから既存の受信機の位置が容易に決定されず、AFCの使用が困難な場所において、移動局によって使用される。そのため、これらのサブバンドでは、U-NII-2帯の、より低い電力レベルを使用する、屋内の「低電力アクセスポイント」のみ許可されてもよい。
・クライアントデバイスは、標準電力APまたは低電力APのいずれかの制御下で、6GHz帯全体にわたって動作することを許可されてもよい。
【0004】
しかしながら、6GHz帯におけるダイレクトリンク通信のための通信装置及び通信方法については、これまで議論されていない。特に、U-NII-5およびU-NII-7サブバンドでは、デバイスがAFCシステムと直接接続していない可能性があるので、ダイレクトリンク通信に関わるデバイスがどのように動作する可能性があるのかが不明である。
【0005】
したがって、6GHz帯における拡張ダイレクトリンク通信のための、実現可能な技術的解決策を提供する、通信装置および方法が必要とされている。さらに、他の望ましい特徴および特性は、添付の図面および本開示の背景と併せて、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0006】
本開示の非限定的な実施例は、拡張ダイレクトリンク通信のための通信装置、および通信方法を提供することに資する。
【0007】
本開示の第1の実施形態によれば、第1のチャネルでAP(アクセスポイント)と無線通信するように構成された通信装置であって、動作時に、前記通信装置と、他の通信装置と、前記第1のチャネルとは異なる第2のチャネルとを示す情報を含むチャネル使用許可要求フレームを生成する回路と、動作時に、前記他の通信装置とのダイレクトリンク通信のために前記第2のチャネルを使用する許可を前記APに求めるために、前記生成されたチャネル使用許可要求フレームを前記APに送信する送信機と、動作時に、前記第2のチャネルの使用を許可するチャネル使用許可応答フレームを前記APから受信する受信機と、を備え、さらに、前記チャネル使用許可応答フレームを受信した後に、前記第2のチャネルにおけるダイレクトリンクで前記他の通信装置と通信するように構成される、通信装置を提供する。
【0008】
本開示の第2の実施形態によれば、AP(アクセスポイント)と無線通信するように構成された通信装置であって、動作時に、他の通信装置を示す情報を含むTDLS(Tunneled Direct Link Setup)RTS(Request To Send)フレームを生成する回路と、動作時に、前記他の通信装置とのTDLS送信のためのTXOP(送信機会)を要求するために、前記生成されたTDLS RTSフレームを前記APに送信する送信機と、動作時に、前記APからTDLS CTS(Clear To Send)フレームを受信する受信機と、を備え、前記送信機はさらに、前記TDLS CTSフレームを受信した後、前記要求したTXOP内で、一つまたは複数のデータフレームをTDLSダイレクトリンク上で前記他の通信装置に送信するように構成される、通信装置を提供する。
【0009】
本開示の第3の実施形態によれば、第1のチャネルで通信装置と無線通信するように構成されたAP(アクセスポイント)であって、動作時に、前記通信装置から、他の通信装置とのダイレクトリンク通信のために、前記第1のチャネルとは異なる第2のチャネルの使用を要求するチャネル使用許可要求フレームを受信する受信機と、動作時に、前記チャネル使用許可要求フレームを受信した後、前記第2のチャネルが前記通信装置および前記他の通信装置によって使用されてもよいか否かを、周波数調整データベースから判定し、さらに、前記判定を示す情報を含むチャネル使用許可応答フレームを生成するように構成される回路と、動作時に、前記チャネル使用許可応答フレームを、前記第2のチャネルにおけるダイレクトリンクで前記他の通信装置と前記判定に基づいて通信するように構成される前記通信装置に送信する送信機と、を備えるAPを提供する。
【0010】
本開示の第4の実施形態によれば、通信装置と無線通信するように構成されたAP(アクセスポイント)であって、動作時に、他の通信装置を示す情報を含み、かつ前記他の通信装置とのTDLS(Tunneled Direct Link Setup)送信のためのTXOP(送信機会)を前記APに要求するTDLS RTS(Request To Send)フレームを、前記通信装置から受信する受信機と、動作時に、TDLS CTS(Clear To Send)フレームを生成する回路と、動作時に、前記TDLS CTSフレームを前記通信装置に送信する送信機と、を備えるAPを提供し、前記通信装置は、前記TDLS CTSフレームを受信した後、前記要求したTXOP内で、一つまたは複数のデータフレームをTDLSダイレクトリンク上で前記他の通信装置に送信するように構成される。
【0011】
本開示の第5の実施形態によれば、通信装置と、他の通信装置と、第1のチャネルとは異なる第2のチャネルとを示す情報を含むチャネル使用許可要求フレームを生成し、前記他の通信装置とのダイレクトリンク通信のために前記第2のチャネルを使用する許可をAPに求めるために、前記生成されたチャネル使用許可要求フレームを前記APに送信し、前記第2のチャネルの使用を許可するチャネル使用許可応答フレームを前記APから受信し、前記チャネル使用許可応答フレームを受信した後に、前記第2のチャネルにおけるダイレクトリンクで前記第2のチャネル上の前記他の通信装置と通信する、通信方法を提供する。
【0012】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0013】
本開示の一実施例における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示の実施形態は、図面と併せて、例示のみを目的とした以下に記述した説明から、当業者にはよりよく理解され、容易に把握されるだろう。
【
図1A】二つの端末(STA)間のダイレクトリンク通信を設定するための概略図である。
【
図1B】インフラストラクチャネットワークにおける二つの端末(STA)間のダイレクトリンク通信の概略図である。
【
図1C】Wi-Fiダイレクト(ピアツーピア)ネットワークにおける二つの端末(STA)間のダイレクトリンク通信の概略図である。
【
図2】第1の実施形態に係る、6GHz帯のオフチャネルにおけるTDLS設定を示すメッセージフローである。
【
図3】第1の実施形態に係る、6GHz帯のオフチャネルへのTDLSチャネル切り替えを示すメッセージフローである。
【
図4A】様々な実施形態に係る、TDLSダイレクトリンク設定を要求するために使用されるTDLS設定要求(TDLS Setup Request)フレームのフォーマットを示す図である。
【
図4B】第1の実施形態に係る、ダイレクトリンク通信のためのチャネル使用許可を要求するために使用される、TDLSチャネル使用許可要求(TDLS Channel Use Permission Request)フレームのフォーマットを示す図である。
【
図4C】第1の実施形態に係る、TDLSチャネル使用許可要求(TDLS Channel Use Permission Request)フレームに応答するために使用される、TDLSチャネル使用許可応答(TDLS Channel Use Permission Response)フレームのフォーマットを示す図である。
【
図5】第1の実施形態に係る、6GHz帯におけるTDLSダイレクトリンクのためのトラフィックストリームの設定を示すメッセージフローである。
【
図6】第1の実施形態に係る、6GHz帯におけるTDLSダイレクトリンクのためのマルチバンドトラフィックストリームの設定を示すフローチャートである。
【
図7】第1の実施形態に係る、EDCA(Enhanced Distributed Channel Access)パラメータセット(Parameter Set)エレメントのフォーマットを示す図である。
【
図8】第1の実施形態に係る、ADDTS要求(Add Traffic Stream Request)フレームおよびADDTS応答(ADDTS Response)フレームのフォーマットを示す図である。
【
図9】第1の実施形態に係る、停止動作指示に用いられる停止動作(Cease Operation)エレメントのフォーマットを示す図である。
【
図10】第2の実施形態に係る、TXOP(送信機会:Transmission Opportunity)における二つのSTA間のダイレクトリンク通信を示すフローチャートである。
【
図11A】第2の実施形態に係る、ダイレクトリンク通信を開始するために使用されるTDLSトリガ(TDLS Trigger)フレームのフォーマットを示す図である。
【
図11B】第2の実施形態に係る、ダイレクトリンク通信を開始するために使用されるTDLSトリガ(TDLS Trigger)フレームの代替フォーマットを示す図である。
【
図12】第2の実施形態に係る、TDLSバッファステータスを報告するために使用されるTDLSアクション(TDLS Action)フレームのフォーマットを示す図である。
【
図13】第3の実施形態に係る、TDLS RTS(送信要求:Request to Send)フレーム、及びTDLS CTS(送信承認:Clear to Send)フレームのフォーマットを示す図である。
【
図14】第3の実施形態に係る、TXOPにおける二つのSTA間のダイレクトリンク通信を示すメッセージフローである。
【
図15】様々な実施形態に係る、通信装置の概略例を示す図である。当該通信装置は、APまたはSTAとして実行されてもよく、本開示の様々な実施形態に係る拡張ダイレクトリンク通信のために構成されてもよい。
【
図16】様々な実施形態に係る、通信方法のフローを示す図である。
【
図17】様々な実施形態に係る、通信デバイス、例えば、通信装置または端末(STA)の構成を示す図である。
【
図18】様々な実施形態に係る、通信デバイス、例えばAPの構成を示す図である。
【
図19】様々な実施形態に係る、ダイレクトリンク通信に参加できるマルチバンド通信デバイス、例えばSTAの参照構造を示す図である。
【0015】
当業者であれば、図中の要素が平易にかつ明瞭に示されており、必ずしも一定の縮尺で描かれていないことが理解できる。例えば、図、ブロック図、又はフローチャート中の一部の要素の寸法は、本実施の形態の正確な理解を促すため、その他の要素に対して誇張して描かれていることがある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の実施形態は、例示のみを目的として、図面を参照して説明される。図面に示す同様の参照番号および文字は、同様の要素または同等のものを指す。
【0017】
以下の段落では、拡張ダイレクトリンク通信のためのアクセスポイント(AP)および端末(STA)を参照して、いくつかの例示的な実施形態を説明する。
【0018】
IEEE 802.11(Wi-Fi)テクノロジーにおいて、STAとも呼ばれる端末は、802.11プロトコルの使用に対応している通信装置である。IEEE 802.11-2016の定義に基づいて、STAは、ワイヤレスメディア(WM)に対してIEEE 802.11に準拠したメディアアクセス制御(MAC)および物理層(PHY)インターフェースを含む、いかなるデバイスでもよい。
【0019】
例えば、STAは、ノートパソコン、デスクトップパソコン(PC)、携帯情報端末(PDA:personal digital assistant)、WLAN(wireless local area network)環境におけるアクセスポイントまたはWi-Fi電話機であってもよい。STAは、固定式であっても移動式であってもよい。WLAN環境では、「STA」、「ワイヤレスクライアント」、「ユーザ」、「ユーザデバイス」、「ノード」という用語がしばしば同じ意味で使用される。
【0020】
同様に、IEEE 802.11(Wi-Fi)テクノロジーにおいてWAP(wireless access point)とも呼ばれるAPは、WLAN内のSTAが有線ネットワークに接続できるようにする通信装置である。APは通常、スタンドアロンデバイスとして(有線ネットワークを介して)ルータに接続するが、ルータと一体化、または取り込まれていてもよい。
【0021】
上述したように、WLAN内のSTAは、場合によってAPとして動作することができ、その逆もまた同様である。これは、IEEE 802.11(Wi-Fi)テクノロジーにおける通信装置が、STAハードウェアの構成要素とAPハードウェアの構成要素との両方を備えてよいからである。このように、通信装置は、実際のWLAN条件および/または要件に基づいて、STAモードとAPモードを切り替えることができる。
【0022】
ダイレクトリンク通信(ピアツーピア、またはデバイス間通信とも呼ばれる)には、多くの利点がある。IEEE 802.11 WLAN等の従来の無線ネットワークでは、たとえ通信に関わる二つのデバイスが同じ無線ネットワークに含まれる(802.11ではBSS(基本サービスセット:Basic Service Set)と呼ばれる)場合でも、すべての通信がアクセスポイント(AP)を経由する必要がある。このようなデバイス間通信をより効率的にするために、IEEE 802.11z改訂でTDLS(Tunneled Direct Link Setup)が導入された。TDLSは、透過的にAPを介して送信できるデータフレームにカプセル化されたセットアップフレームを使用することを特徴し、そのため「トンネル(tunneling)」という用語が用いられている。例えば、TDLS設定要求(TDLS setup request)フレームおよびTDLS設定応答(TDLS setup response)フレームのような、TDLSの設定に関わるすべての管理フレームは、データフレーム内にカプセル化されるため、TDLSの設定は、APに対して完全に透過的である。実際、APは、TDLS対応である必要さえない場合がある。TDLSを使用する二つのデバイス間の通信リンクは、TDLSダイレクトリンク、または単純に、TDLSリンクとして知られている。二つのデバイス間のパケットは、TDLSリンクを介して直接交換され、APを経由しないため、TDLSではパケット送信を半数に削減できる。したがって、TDLSリンクは、特に二つのデバイスが互いにAPよりも比較的近くに位置する場合に、無線ネットワークの効率を高めることができる。TDLSリンクでは、APとの無線リンクと比較して、デバイス間の距離が縮まることにより、より高いデータレートを利用することも可能である。
【0023】
図1Aは、二つの非AP STA間のダイレクトピアツーピア通信を設定するための概略
図100である。STA104は、STA104とSTA106との間のダイレクトリンク通信を設定するために、(送信経路1aおよび1bに示されるように)AP102を介してSTA 106にTDLS設定要求(TDLS setup request)フレームを送信できる。そして、STA106は、TDLS要求フレームの受信に応じて、(送信経路2aおよび2bに示すように)AP102を介してSTA104にTDLS設定応答(TDLS setup response)フレームを送信できる。TDLS設定要求(TDLS setup request)フレームおよびTDLS設定応答(TDLS setup response)フレームは、TDLSを設定するための管理フレームであり、データカプセル化されてAPとの間で直接送信されるため、TDLS設定はAP102に対して透過的である。TDLSが設定されると、二つのSTA104、106は、「ダイレクトリンク」を介して互いに直接通信することができる。ダイレクトリンクは、BSS(ベースチャネル)の動作チャネルとは異なるチャネルに切り替えられてもよく、異なる帯域上にあってもよく、そのようなダイレクトリンクチャネルは、「オフチャネル」と呼ばれる。
【0024】
現在、APはTDLS設定/使用を制御しない。しかしながら、6GHz帯では、クライアントデバイスは、APの制御下にある間のみ、6GHz帯で動作することが許可されている。5GHz DFS(Dynamic Frequency Selection)帯で動作している場合、TDLSイニシエータSTAはDFSオーナー(DO)として動作するが、6GHz帯では、TDLS STAにそのような対応機能がない場合がある。
【0025】
そこで、本発明では、特定の帯域/チャネルにおいて、APがダイレクトリンク通信をより制御できる拡張ダイレクトリンク通信の手順を説明する。このような拡張機能なしでは、TDLSのようなダイレクトリンクは、6GHz帯では使用できない恐れがある。
【0026】
APは、6GHz帯の一部のサブバンド(例えば、U-NII-5およびU-NII-7)で動作するとき、許容される動作周波数および送信パラメータを決定するために、AFCデータベース(Automatic Frequency control Database)を参照することを要求され得る。そのようなAPは、ADD(AFCデータベース依存:AFC Database Dependent)有効化STAと呼ばれてもよく、そのようなAPに関連付けられた非AP STAは、ADD依存STAと呼ばれてもよい。非AP STAは、有効化STAによって「有効化」された場合にのみ、これらのサブバンド上のチャネルで通信することができてもよく、そのような非AP STAは、APの「制御下にある」とされてもよい。APは、チャネル上で定期的に有効化信号を送信することによって、例えば、ビーコンフレームにそのような有効化信号を含めることによって、有効化を必要とするチャネル上にその存在を通知することができる。
【0027】
二つのADD依存STAは、ベースチャネル上でTDLSダイレクトリンクを交渉する場合、APリンクに使用されたのと同じ送信パラメータを、TDLSダイレクトリンクでの送信に使用することができる。
【0028】
図1Bは、チャネル・インフラストラクチャ・ネットワークにおける二つの端末(STA)間のTDLSダイレクトリンク通信の概略
図110である。TDLSの他の利点としては、TDLSがAPに対して透過的であるので、両方のデバイスがAPよりも高度なケイパビリティに対応する場合、TDLSリンクは、APによってサポートされないことがある、より高いケイパビリティで動作できる、ということが挙げられる。例えば、AP112は802.11acのみに対応するが、二つのTDLSデバイスが両方とも、最新の802.11ax改訂に対応することがあり、その場合、それらのデバイスはダイレクトリンクで、より高い802.11axのデータレートで通信を行うことができる。さらに、二つのデバイスがマルチバンドデバイスであり、5GHz帯(ベースチャネル)でAPに接続されている場合でも、両方のデバイスが6GHz帯に対応している場合、AP自体は6GHz帯で動作しなくても、二つのデバイスはTDLSリンクを6GHz帯のより広いチャネル(オフチャネルTDLSリンク)に切り替えることを選択してもよい。
【0029】
上述のように、AP112は、AFCデータベース118を参照し、許容される動作周波数および送信パラメータを決定してもよい。そして、ADD依存STA114、116間のTDLSリンクがBSSの動作チャネルにある場合、すなわち、ダイレクトリンクがベースチャネル上にある場合、STA114、116は、APリンクに使用されたのと同じ送信パラメータを、TDLSリンク上の送信に使用してもよい。
図1Bでは、APとAFCデータベースとの間にダイレクトリンクが示されているが、実際には、APは、AFCデータベース内のチャネルの空き状況を確認するために、AFCシステムを介してもよい。あるいは、APとAFCデータベースとの間に直接的な関わりがなくてもよく、特定のジオロケーションにおけるチャネル(周波数使用)の空き状況に関するすべての決定がAFCシステムによって行われてもよい。
【0030】
ただし、二つの非AP STAが、TDLSダイレクトリンクを、ベースチャネルではない6GHz帯のチャネルに設定または切り替えようとする場合、以下の規則が適用されるものとする。
・関連するAPは、ADD有効化STAとする。
・TDLSイニシエータSTAは、TDLSチャネル使用許可要求(TDLS Channel Use Permission Request)フレームをAPに送信することによって、APから、ダイレクトリンクのためにチャネルを使用する許可を求める。
・APは、TDLSチャネル使用許可応答(TDLS Channel Use Permission Response)フレームを送信することによって応答する。
・ダイレクトリンクは、APからSUCCESSのステータスを含むTDLSチャネル使用許可応答(TDLS Channel Use Permission Response)フレームを受信した後にのみ、ベースチャネルではない6GHz帯のチャネルに設定/切り替えされてもよい。
【0031】
図1Cは、Wi-Fiダイレクト(ピアツーピア)ネットワークにおける二つの端末(STA)間のダイレクトリンク通信の概略
図120である。TDLSリンクは、Wi-Fi Alliance Wi-Fiダイレクトネットワークのような、一時的なワイヤレスネットワーク内でも動作できる。Wi-Fiダイレクトネットワークは、一つのデバイスが「グループオーナー」(GO)として動作し、従来のAPを必要としないデバイス間ネットワークである。例えば、
図1Cでは、スマートフォン122はGOとして動作し、Wi-Fi対応プリンタ124およびWi-Fi対応デジタルカメラ126は、GOとWi-Fiダイレクトコネクションを形成することによってWi-Fiダイレクトネットワークに参加することができる。この場合、GOはAPとして動作し、デジタルカメラ126が印刷のためにプリンタ124へ直接写真を送信することができるように、デジタルカメラ126とプリンタ124との間にTDLSリンクを確立してもよい。ここでも、デジタルカメラ126とプリンタ124の両方がマルチバンドデバイスであり、両方とも6GHz帯に対応する場合、二つのデバイスは、TDLSリンクを6GHz帯のより広いチャネル(オフチャネルTDLSリンク)に切り替えることを選択してもよい。この例では、スマートフォン122は、インターネットにアクセスでき、(AFCシステムを介して)AFCデータベース128にアクセスできる限り、ADD有効化STAとして動作でき、二つのTDLSデバイスが6GHz帯のU-NII-5およびU-NII-7サブバンド内のチャネルにおいてTDLSダイレクトリンク上で送信するための許可を出すことができる。
【0032】
図2は、第1の実施形態に係る、6GHz帯のオフチャネルにおけるTDLS設定を示すメッセージフローである。AP202は、ADD有効化STAであってもよい。非APSTA204および非AP STA206は、6GHz帯のチャネルにおいてAP202に関連付けられる。様々な理由により、非AP STA204および非AP STA206は、BSSの動作チャネルとは異なるチャネルでダイレクトリンクを通じて通信することを選択することができる。6GHz帯における規制要件のため、チャネル上でのいかなる送信の前に、AFCシステムからチャネルの空き状況を確かめることを必須としてよい。TDLSイニシエータSTAである非AP STA204は、AP202にTDLSチャネル使用許可要求(TDLS Channel Use Permission Request)フレーム208を送信することによって、非AP STA206とのダイレクトリンク通信のために、6GHz帯における異なるチャネルを使用することの許可をAP202から求めることができる。チャネルは、例えば、AP202と、STA204、206との間の通信に使用される6GHz帯のベースチャネルとは異なる、6GHz帯のU-NII-5またはU-NII-7サブバンドのチャネルであってもよい。
【0033】
AP202は、STA204からTDLSチャネル使用許可要求(TDLS Channel Use Permission Request)フレーム208を受信した後、要求されたチャネルの空き状況に関して、(例えば、AFCシステムを介して)AFCデータベースをチェックする。成功の場合、AP202は、要求されたチャネルがダイレクトリンク通信に利用可能であることを示すために、SUCCESSのステータスを含むTDLSチャネル使用許可応答(TDLS Channel Use Permission Response)フレーム210をSTA204に送信してよい。そして、STA204は、AP202を介してTDLS設定要求(TDLS Setup Request)フレーム212をSTA206に送信することによって、要求されたチャネル上でのSTA206とのダイレクトリンクの設定を開始することができる。STA206は、TDLS設定応答(TDLS Setup Response)フレーム214を、AP202を介してSTA204に送信することによって応答してもよい。その後、STA204は、TDLS設定確認(TDLS Setup Confirm)フレーム216を、AP202を介してSTA206に送信し、6GHz帯の要求されたチャネル上で、TDLSダイレクトリンクが設定される。要求されたチャネルがAFCデータベースのチェックにより利用不可である失敗の場合、AP202は、要求されたチャネルのダイレクトリンク通信への使用が却下されたことを示すために、失敗のステータス(例えば、TDLS_CHANNEL_USE_DENIED)を含むTDLSチャネル使用許可応答(TDLS Channel Use Permission Response)フレーム210をSTA204に送信してもよい。
【0034】
図3は、第1の実施形態に係る、6GHz帯のオフチャネルへのTDLSダイレクトリンクチャネル切り替えを示すメッセージフローである。この例では、非AP STA304、306は、5GHz帯のチャネル上でAP302に関連付けられ、ベースチャネル上で既にTDLSダイレクトリンクが設定されている。しかしながら、STA304は、ダイレクトリンクを6GHz帯のオフチャネルに切り替えようとしている。そこで、TDLSイニシエータSTAであるSTA304は、TDLSチャネル使用許可要求(TDLS Channel Use Permission Request)フレーム308をAP302に送信することによって、STA306とのダイレクトリンク通信のために、6GHz帯の別のチャネルを使用する許可をAP302から求めることができる。チャネルは、例えば、AP302と、STA304、306との間の通信に使用される5GHz帯のベースチャネルとは異なる6GHz帯のチャネルであってもよい。
【0035】
AP302は、STA304からTDLSチャネル使用許可要求(TDLS Channel Use Permission Request)フレーム308を受信した後、要求されたチャネルの空き状況に関して、AFCデータベースをチェックする。成功の場合、AP302は、要求されたチャネルがダイレクトリンク通信に利用可能であることを示すために、SUCCESSのステータスを含むTDLSチャネル使用許可応答(TDLS Channel Use Permission Response)フレーム310をSTA304に送信してもよい。そして、STA304は、TDLSチャネル切替要求(TDLS Channel Switch Request)フレーム312をSTA306に送信することによって、6GHz帯の要求チャネルへのSTA306とのダイレクトリンクの切り替えを開始することができる。STA306は、SUCCESSのステータスでSTA304にTDLSチャネル切替応答(TDLS Channel Switch Response)フレームを送信することによって応答し、TDLSダイレクトリンクは6GHz帯の要求チャネルに切り替えられる。要求されたチャネルがAFCデータベースのチェックにより利用不可である失敗の場合、AP302は、要求されたチャネルへのダイレクトリンクを切り替えが却下されたことを示すために、失敗のステータスを含むTDLSチャネル使用許可応答(TDLS Channel Use Permission Response)フレーム310をAP304に送信してもよい。
【0036】
STA204、304(TDLSイニシエータSTA)が、(例えば、セルラーインターネットリンクを介して)ダイレクトリンクのための6GHz帯におけるオフチャネルの使用に関して、AFCデータベースを直接チェックする能力を有する場合、AP202、302から許可を求める必要はなく、オフチャネルへのダイレクトリンクの設定/切り替えを直接行うことができることが理解されよう。
【0037】
図4Aは、様々な実施形態に係る、TDLSダイレクトリンク設定を要求するために使用されるTDLS設定要求(TDLS Setup Request)フレーム400のフォーマットを示す図である。TDLS設定要求(TDLS Setup Request)フレーム400は、
図2に示されるような、STA204によって、AP202を介してSTA206に送信されるTDLS設定要求(TDLS Setup Request)フレーム212の形態で使用されてよい。TDLS設定要求(TDLS Setup Request)フレーム400は、フレーム制御(Frame Control)フィールド、持続時間(Duration)フィールド、一つまたは複数のアドレス(Address)フィールド、シーケンス制御(Sequence Control)フィールド、HT制御(HT Control)フィールド、カテゴリ(Category)フィールド、TDLSアクション(TDLS Action)フィールド、ダイアログトークン(Dialog Token)フィールド、任意選択で目標チャネル(Target Channel)フィールド、任意選択で広帯域チャネル切替(Wide Bandwidth Channel Switch)エレメントフィールド、およびFCS(frame check sequence)フィールドを含んで(または、それらから構成されて)よい。目標チャネル(Target Channel)フィールドは、動作クラス(Operating Class)フィールド、およびチャネル番号(Channel Number)フィールドを含んで(または、それらから構成されて)よい。チャネル番号(Channel Number)フィールドは、要求されたダイレクトリンク通信に使用されるチャネルを示してもよい。目標チャネル(Target Channel)フィールドおよび広帯域チャネル切替(Wide Bandwidth Channel Switch)エレメントフィールドは、ベースチャネルとは異なるチャネル上でのTDLS設定を要求するために、TDLS設定要求(TDLS Setup Request)フレーム400に存在してもよい。また、広帯域チャネル切替(Wide Bandwidth Channel Switch)エレメントフィールドは、TDLS設定要求(TDLS Setup Request)フレーム400が、20MHzよりも広いチャネルを要求するために使用される場合に存在してもよい。図示はされていないが、TDLSリンクが異なる周波数帯域で設定される場合、及びその周波数帯域上のSTAのMACアドレスが、ベースチャネルが存在する帯域と異なる場合、他の帯域上のMACアドレスも、TDLS設定要求(TDLS Setup Request)フレームに含まれていてもよい。ピアSTAがTDLS設定要求を受け入れた場合、TDLS設定要求応答(TDLS Setup Request Response)フレームにその他の帯域上での自身のMACアドレスを含めてもよい。必要があれば、異なるチャネルでのTDLSリンクの設定によって、他のチャネルでのTPK(TDLS PeerKey)セキュリティアソシエーションの設定もトリガされてよい。
【0038】
図4Bは、第1の実施形態に係る、ダイレクトリンク通信のためのチャネル使用許可を要求するために使用されるTDLSチャネル使用許可要求(TDLS Channel Use Permission Request)フレーム410のフォーマットを示す図である。TDLSチャネル使用許可要求(TDLS Channel Use Permission Request)フレーム410は、
図2および
図3に示されるように、STA204、304によってAP202、302に送信されるTDLSチャネル使用許可要求(TDLS Channel Use Permission Request)フレーム208、308の形態で使用されてよい。TDLSチャネル使用許可要求(TDLS Channel Use Permission Request)フレーム410は、フレーム制御(Frame Control)フィールド、持続時間(Duration)フィールド、一つまたは複数のアドレス(Address)フィールド、シーケンス制御(Sequence Control)フィールド、HT制御(HT Control)フィールド、カテゴリ(Category)フィールド、TDLSアクション(TDLS Action)フィールド、ダイアログトークン(Dialog Token)フィールド、リンク識別子(Link Identifier)エレメントフィールド、任意選択でデバイス情報(Device Information)フィールド、目標チャネル(Target Channel)フィールド、任意選択で広帯域チャネル切替(Wide Bandwidth Channel Switch)エレメントフィールド、およびFCSフィールドを含んで(または、それらから構成されて)よい。デバイス情報(Device Information)フィールドは、第一デバイスID(First Device ID)フィールド、第一デバイス位置(First Device Location)フィールド、第二デバイスID(Second Device ID)フィールド、および第二デバイス位置(Second Device Location)フィールドを含んで(または、それらから構成されて)よい。デバイスIDは、例えば、デバイスのFCC IDであってもよく、そのデバイスがそのチャネルで使用されてもよいかどうかを検証するために、AFCシステムによって使用されてもよい。同様に、デバイス位置(Device Location)フィールドは、デバイスの地理的位置、例えば、緯度、経度、および、任意選択でアンテナの高さの情報を提供してもよい。目標チャネル(Target Channel)フィールドは、動作クラス(Operating Class)フィールドおよびダイレクトリンク通信のために要求されたチャネルを識別するチャネル番号(Channel Number)フィールド(図示せず)を含んでも(または、それらから構成されても)よい。また、20MHzよりも広いチャネルを要求する場合に、広帯域チャネル切替(Wide Bandwidth Channel Switch)エレメントフィールドが存在してもよい。デバイス位置情報は、要求されたチャネル上のいずれかのTDLSデバイスからの送信が、周辺で動作するライセンスユーザに対して干渉を与え得るかどうかを計算するために、AFCシステムによって使用されてもよい。AFCシステムのこのような判定には、ライセンスユーザの受信アンテナ、および地形(地方、都市、半地方)等の情報を含む多くの要因を考慮してもよい。AFCシステムが、要求チャネルにおけるダイレクトリンク送信が、周辺のライセンスユーザにいかなる干渉も与えないと判定した場合、ダイレクトリンク通信のために要求されたチャネルの使用が許可されてよい。または、AFCシステムは、要求チャネル上のAPによる送信がライセンスユーザに干渉を与えないという仮定のもとで、干渉計算を行うためにAPに関する情報(位置、アンテナの高さ等)を使用することによって干渉計算を簡略化することができ、いずれのクライアントデバイス(すなわち、TDLS STA)による送信も、ライセンスユーザに干渉を与えない、とすることができる。
【0039】
図4Cは、第1の実施形態に係る、TDLSチャネル使用許可要求(TDLS Channel Use Permission Request)フレーム410に応答するために使用される、TDLSチャネル使用許可応答(TDLS Channel Use Permission Response)フレーム420のフォーマットを示す図である。TDLSチャネル使用許可応答(TDLS Channel Use Permission Response)フレーム420は、
図2および
図3に示されるように、AP202、302によってSTA204、304に送信されるTDLSチャネル使用許可応答(TDLS Channel Use Permission Response)フレーム210、310の形態で使用されてよい。TDLSチャネル使用許可応答(TDLS Channel Use Permission Response)フレーム420は、フレーム制御(Frame Control)フィールド、持続時間(Duration)フィールド、一つまたは複数のアドレス(Address)フィールド、シーケンス制御(Sequence Control)フィールド、HT制御(HT Control)フィールド、カテゴリ(Category)フィールド、TDLSアクション(TDLS Action)フィールド、ダイアログトークン(Dialog Token)フィールド、ステータス(Status)フィールド、最大電力レベル(Maximum Power Level)フィールド、有効期間(Validity Period)フィールド、任意選択で代替チャネル(Alternate Channel)フィールド、任意選択で広帯域チャネル切替(Wide Bandwidth Channel Switch)エレメントフィールド、およびFCSフィールドを含んで(または、それらから構成されて)よい。
【0040】
ステータス(Status)フィールドは、TDLSチャネル使用許可要求(TDLS Channel Use Permission Request)フレームで要求されたチャネルがダイレクトリンク通信で使用可能な場合は「SUCCESS」を示し、TDLSチャネル使用許可要求(TDLS Channel Use Permission Request)フレームで要求されたチャネル(たとえば、TDLSチャネル使用許可要求(TDLS Channel Use Permission Request)フレームのチャネル番号(Channel Number)フィールドで示されたチャネル)がダイレクトリンク通信で使用可能でない場合は「TDLS_CHANNEL_USE_DENIED」を示してよい。ステータスがSUCCESSでない場合、APは、ダイレクトリンク通信のための別のチャネルを推奨するために、TDLSチャネル使用許可応答(TDLS Channel Use Permission Response)フレームに代替チャネル(Alternate Channel)フィールドおよび広帯域チャネル切替(Wide Bandwidth Channel Switch)エレメントを含めてもよい。また、TDLSチャネル使用許可応答(TDLS Channel Use Permission Response)フレーム420は、適用可能な送信パラメータ(例えば、最大送信電力(Maximum Transmit Power)レベル)、およびチャネルの使用のための有効期間等を含んでもよい。
【0041】
最大電力レベル(Maximum Power Level)フィールドは、0.5dBmの単位で、チャネル番号(Channel Number)フィールドに示されたチャネル上で送信されることを許可された最大電力を示してもよい。有効期間(Validity Period)フィールドは、チャネル使用許可(Channel Use Permission)が有効である期間を示してもよい。STAは、有効期間の満了時に、例えば、関連づけられたAPに別のTDLSチャネル使用許可要求(Channel Use Permission Request)フレームを送信することによって、関連づけられたAPから再び許可を求めることになっている。TDLSチャネル使用許可要求/応答(TDLS Channel Use Permission Request/Response)フレームは、データカプセル化なしにAPとの間で直接送信されると理解されてよい。
【0042】
さらに、非AP STAは、6GHz帯のTDLSダイレクトリンクでデータフレームを送信する前に、TDLSダイレクトリンクのためのトラフィックストリーム(TS)を設定することが要求されることがある。
図5は、第1の実施形態に係る、6GHz帯のチャネルにおけるTDLSダイレクトリンクのためのTSの設定を示すメッセージフローである。STA504は、ADDTS要求(Add Traffic Stream Request)フレーム508をAP502に送信することができる。ADDTS要求フレーム(ADDTS request)508は、TDLSダイレクトリンクを識別する情報を含んでよい。例えば、STA504は、TDLSに対するTSの通知と、イニシエータSTA(例えば、STA504)および受信側STA(例えば、STA506)のアドレスの識別のため、ADDTS要求フレーム(ADDTS request)フレーム508にリンク識別子(Link Identifier)エレメントを含めてよい。AP502がTSを許可する場合、AP502はTDLSダイレクトリンクのためのTSを作成する。TDLSリンクに関わる両方のSTAについての情報を有することにより、APはより適切な決定を行うことができる。例えば、APは、二つのSTAが互いに物理的に近接していることを知っている場合、ダイレクトリンクのためにより多くの送信機会を提供することができたり、互いに離れているSTA間のトラフィック設定要求を、他のSTAへの干渉を防ぐために、拒否することができたりする。
【0043】
また、AP502は、ADDTS応答(ADDTS response)フレーム510をSTA504に送信し、ADDTS応答(ADDTS response)フレーム510内にTDLSリンクを示すリンク識別子(Link Identifier)エレメントを含んでもよい。TSが双方向である場合、STA504は、TDLS設定確認(TDLS Setup Confirm)フレーム512をSTA506に送信して、STA506にTS設定が成功したことを通知することができる。TDLS設定確認(TDLS Setup Confirm)フレーム512は、TSのTSPEC(Traffic Specification)、TID(Traffic ID)を通知してもよい。あるいは、STA506は、TS設定を逆方向に繰り返してもよい。この例では、STA504とSTA506との間に、既にTDLSダイレクトリンクが設定されていると仮定する。そうでない場合、二つのSTA504、506は、TDLSリンクのためのトラフィックストリームの設定が成功した直後にTDLSの設定を行うことができる。TSの設定が成功した後、TIDに属する一つまたは複数のデータフレーム514が、TDLSダイレクトリンク上で送信されてよい。TDLSダイレクトリンクにTSが必要な場合、TDLS TS設定失敗するとTDLSダイレクトリンク上のデータフレーム送信は許可されない。AP502によるTSの設定により、AP502は非AP STA504、506間の通信トラフィックに対する制御を確立することができ、これは有利である。
【0044】
BSSの動作チャネルが5GHzまたは2.4GHz帯であり、TDLSダイレクトリンクが6GHz帯のチャネルに切り替えられる場合(オフチャネルの場合)、TDLSのTSは6GHz帯に設定されることがあるが、実際のTDLS TS設定はBSSの動作チャネル上で行われる。
図6は、第1の実施形態に係る、6GHz帯オフチャネルにおけるTDLSダイレクトリンクのためのトラフィックストリームの設定を示すメッセージフローである。STA604は、BSS動作チャネル上でADDTS要求フレーム(ADDTS Request)608をAP602に送信することができる。ADDTS要求フレーム(ADDTS request)608は、TDLSダイレクトリンクを識別する情報を含んでよい。例えば、STA604は、TDLSに対するTSの通知と、イニシエータSTA(例えば、STA604)および受信側STA(例えば、STA606)のアドレスの識別のため、ADDTS要求フレーム(ADDTS request)フレーム608にリンク識別子(Link Identifier)エレメントを含めてよい。また、ADDTS要求フレーム(ADDTS request)フレーム608は、6GHz帯と、6GHz帯で切り換えられるチャネルとを示すマルチバンドエレメントを含んでもよい。AP602がTSを許可する場合、AP602は6GHz帯でのTDLSダイレクトリンクのためのTSを作成する。
【0045】
また、AP602は、BSS動作チャネル上でADDTS応答(ADDTS response)フレーム610をSTA604に送信し、ADDTS応答(ADDTS response)フレーム610内にTDLSリンクを示すリンク識別子(Link Identifier)エレメントを含んでもよい。また、ADDTS応答(ADDTS response)フレーム610は、6GHz帯で切り換えられるチャネルを示すマルチバンドエレメントを含んでもよい。そして、STA604は、TDLS設定確認(TDLS Setup Confirm)フレーム612を、AP602を介して(すなわち、データフレームにカプセル化して)STA606に送信して、STA606にTS設定が成功したことを通知することができる。TDLS設定確認(TDLS Setup Confirm)フレーム612は、TSのTSPEC(Traffic Specification)、TID(Traffic ID)を通知してもよい。この例では、STA504とSTA506との間に、既にTDLSダイレクトリンクが6GHzチャネル上で設定されていると仮定する。TSの設定が成功した後、TIDに属する一つまたは複数のデータフレーム614が、TDLSダイレクトリンク上で送信されてよく、そのときSTA604およびSTA606は、AP602に対してPS(パワーセーブ)モードであってよい。AP602によるTSの設定により、AP602は非AP STA604、606間の通信トラフィックに対する制御を確立することができ、これは有利である。
【0046】
APは、6GHz帯のビーコン/プローブ応答(Beacon/Probe Response)フレームで送信されるEDCAパラメータセット(Enhanced Distributed Channel Access Parameter Set)エレメント内のAC(アクセスカテゴリ)のパラメータレコード(Parameter Record)フィールドに「TDLS ACM」ビットを設定することによって、6GHz帯のACにはTDLS TS設定が必要であることを通知することができる。
図7は、第1の実施形態に係るEDCAパラメータセット(EDCA Parameter Set)エレメント700のフォーマットを示す図である。EDCAパラメータセット(EDCA Parameter Set)エレメント700は、エレメントID(Element ID)フィールド、長さ(Length)フィールド、QoS情報(QoS Info)フィールド、更新EDCA情報(Update EDCA Info)フィールド、AC_BEパラメータレコード(AC_BE Parameter Record)フィールド、AC_BKパラメータレコード(AC_BK Parameter Record)フィールド、AC_VIパラメータレコード(AC_VI Parameter Record)フィールド、およびAC_VOパラメータレコード(AC_VO Parameter Record)フィールドを含んで(または、それらから構成されて)よい。AC_BKパラメータレコード(AC_BK Parameter Record)フィールドは、ACI/AIFSNフィールド、ECWmin/ECWmaxフィールド、およびTXOPリミット(TXOP Limit)フィールドを含んで(または、それらから構成されて)よい。ACI/AIFSNフィールドは、AIFSNサブフィールド、ACMサブフィールド、ACIサブフィールド、およびTDLS ACMサブフィールドを含んで(または、それらから構成されて)よい。TDLS ACMサブフィールドビットが設定されている場合、6GHz帯におけるTDLSダイレクトリンク上のデータ送信は、(そのACのためのACMビットの設定にかかわらず)STAがそのAC用のTDLS TSをAPと設定した後にのみ許可される。一方、TDLS ACMサブフィールドビットがセットされていない場合、TS設定を必要とせずに、6GHz帯のTDLSダイレクトリンク上でのデータ送信が、そのACに対して許可される。TDLS ACMサブフィールドにより、APは、非AP STAにおけるダイレクトリンク通信をより制御でき、これは有利である。
【0047】
図8は、第1の実施形態に係るADDTS要求(ADDTS Request)フレーム800及びADDTS応答(ADDTS Response)フレーム802のフォーマットを示す図である。ADDTS要求(ADDTS Request)フレーム800は、
図5および
図6に示されるように、STA504、604によってAP502、602に送信されるADDTS要求(ADDTS Request)フレーム508、608の形態で使用されてよい。ADDTS要求(ADDTS Request)フレーム800は、フレーム制御(Frame Control)フィールド、持続時間(Duration)フィールド、アドレス(Address)1(RA)フィールド、アドレス(Address)2(TA)フィールド、アドレス(Address)3(BSSID)フィールド、シーケンス制御(Sequence Control)フィールド、HT制御(HT Control)フィールド、カテゴリ(Category)フィールド、QoSアクション(QoS Action)フィールド、ダイアログトークン(Dialog Token)フィールド、TSPECエレメントフィールド、リンク識別子(Link Identifier)エレメントフィールド、およびFCSフィールドを含んで(または、それらから構成されて)よい。
図5および
図6の例に示すように、ADDTS要求(ADDTS Request)フレームは、APがダイレクトリンクのためのTSを設定することを要求するために、イニシエータSTAによってAPに送信される。
【0048】
ADDTS応答(ADDTS Response)フレーム802は、
図5および
図6に示されるように、AP502、602によってSTA504、604に送信されるADDTS応答(ADDTS Response)フレーム510、610の形態で使用されてよい。ADDTS応答(ADDTS Response)フレーム802は、フレーム制御(Frame Control)フィールド、持続時間(Duration)フィールド、アドレス(Address)1(RA)フィールド、アドレス(Address)2(TA)フィールド、アドレス(Address)3(BSSID)フィールド、シーケンス制御(Sequence Control)フィールド、HT制御(HT Control)フィールド、カテゴリ(Category)フィールド、QoSアクション(QoS Action)フィールド、ダイアログトークン(Dialog Token)フィールド、ステータスコード(Status Code)フィールド、TS遅延(TS Delay)フィールド、TSPECエレメントフィールド、リンク識別子(Link Identifier)エレメントフィールド、およびFCSフィールドを含んで(または、それらから構成されて)よい。
図5および
図6の例に示すように、ADDTS応答(ADDTS Response)フレームは、TSが設定されたことを裏付けるために、APによってイニシエータSTAに送信される。TDLSダイレクトリンクは、ADDTS要求/応答(ADDTS Request/Response)フレーム内で、エレメントID(Element ID)フィールド、長さ(Length)フィールド、BSSIDフィールド、TDLSイニシエータSTAアドレス(TDLS Initiator STA Address)フィールド、およびTDLS受信側STAアドレス(TDLS Responder STA Address)フィールドを含む(または、それらから構成される)ことがあるリンク識別子(Link Identifier)エレメントフィールドによって識別されてよい。
【0049】
APは、STA宛てのブロードキャスト/ユニキャストフレーム内に停止動作(Cease Operation)エレメントを含めることによって、6GHz帯のTDLSダイレクトリンクでの動作を停止することを、関連づけられた非AP STAに指示してもよい。例えば、この停止動作指示は、(例えば、AFCデータベースの変化により)スペクトルのプライマリユーザを検出したとき、AFCシステムからの指示があったとき、または、その他同様の状況のときに、APによって送信されることがある。動作を停止するためのそのような要件は、進行中のすべての送信を即座に停止することを含んでもよく、有害な干渉からスペクトルのライセンスユーザを保護するために、規制機関によって命じられてもよい。
図9は、第1の実施形態に係る、停止動作指示に使用される、停止動作(Cease Operation)エレメント900のフォーマットを示す図である。停止動作(Cease Operation)エレメント900は、エレメントID(Element ID)フィールド、長さ(Length)フィールド、拡張エレメントID(Extended Element ID)フィールド、BSSIDフィールド、帯域ID(Band ID)フィールド、動作クラス(Operating Class)フィールド、動作チャネル(Operating Channel)フィールド、および理由コード(Reason Code)フィールドを含んで(または、それらから構成されて)よい。帯域ID(Band ID)フィールド(存在する場合)、動作クラス(Operating Class)フィールド、および動作チャネル(Operating Channel)フィールドは共に、停止動作が適用される周波数帯域およびチャネルを識別する。理由コード(Reason Code)フィールドは、STAがダイレクトリンクでの動作を停止することを要求する理由を示してもよい。例えば、「0」の値はプライマリまたはライセンスされた使用が検出されたことを示し、「1」の値はチャネルの使用がAFCシステムによりAFCデータベースで許可されなかったことを示し、他の2から255の値は他の理由のために予約されていてよい。例えば、他の理由として、チャネルのライセンスユーザがAFCシステムに干渉報告をしていることが挙げられる。
【0050】
STAは、停止動作(Cease Operation)エレメント900とともにAPから停止動作指示を受信すると、指示されたチャネルにおけるTDLSダイレクトリンク上のすべての動作を停止する。これは、例えば、ダイレクトリンクでの送信を停止すること、ダイレクトリンクを切断すること、またはダイレクトリンクに関連づけられたTDLS TSを削除することを含んでよい。APは、停止動作指示を使用することで6GHz帯のTDLSダイレクトリンク設定/送信を有利に制御できる。
【0051】
第2の実施形態では、APは、TDLSダイレクトリンクであっても、データフレームのスケジュールされた送信のみを許可してよく、そのため、TDLSデータフレーム送信は、APからのTDLSトリガ(TDLS Trigger)フレームの受信を必要としてもよい。TDLS STAに対してTDLSリンクのためのTS設定を求めることによって、APはTDLSリンクでの送信をいくらか制御することができるが、一部の規制領域では、APは、どのSTAが、いつ無線媒体上で送信できるかについて、はるかに厳しく制御することが必要とされることがある。このようなシナリオでは、APはコンテンションベースの送信(例えば、EDCA)をすべて無効にし、APによってスケジュールされた送信のみを許可してもよい。TDLSイニシエータSTAは、TDLSトリガ(TDLS Trigger)フレームを受信すると、TXOP期間内に、TDLSダイレクトリンク上で、TDLS受信側STAに一つまたは複数のデータフレームを送信することができる。
図10は、第2の実施形態に係る、TXOPにおける二つのSTA間のダイレクトリンク通信を示すメッセージフローである。AP1002は、TDLSトリガ(TDLS Trigger)フレーム1008を生成し、STA1004に送信することができる。STA1004は、TDLSトリガ(TDLS Trigger)フレーム1008を受信し、SIFS(Short Interframe Spacing)1010の後、TXOP1016内で一つまたは複数のTDLSデータ(TDLS Data)フレーム1012をSTA1006に送信する。STA1006は、確認応答フレーム1014(ACKフレームまたはBlockAckフレーム)をSTA1004に送信することによって、AP1004から受信した各TDLSデータフレーム1012に対して確認応答できる。様々な実施形態において、TDLSトリガ(TDLS Trigger)フレーム1008は、STA1004のMACアドレス、許可アクセスカテゴリ(AC)、および最大送信電力レベルを示す情報を含んでもよく、一つまたは複数のデータフレームは、当該MACアドレスに送信され、当該許可ACまたはより高いACで特定されたTIDに基づき、また、一つまたは複数のデータフレームは、当該最大送信電力レベルよりも小さい送信電力で送信される。
【0052】
データフレームのEDCAベースの送信は、TDLSダイレクトリンクでは許可されない。また、第2の実施形態に係るこのようなトリガされた送信は、TDLSダイレクトリンクがベースチャネル内にある場合にのみ可能である。そのため、6GHz帯のオフチャネルへのTDLSチャネル切り替えが許可されないことがある。AP1002は、TDLSトリガ(TDLS Trigger)フレーム1008の送信をスケジュールするために、TDLS TSのパラメータ、ならびにTDLSバッファステータス報告(TDLS Buffer Status Report)を使用してもよい。
【0053】
図11Aは、第2の実施形態に係る、ダイレクトリンク通信を開始するために使用されるTDLSトリガ(TDLS Trigger)フレーム1100のフォーマットを示す図である。TDLSトリガ(TDLS Trigger)フレーム1100は、
図10に示すように、TDLSトリガ(TDLS Trigger)フレーム1008の形態で利用できる。TDLSトリガ(TDLS Trigger)フレーム1100は、フレーム制御(Frame Control)フィールド、持続時間(Duration)フィールド、RAフィールド、TAフィールド、共通情報(Common Info)フィールド、ユーザ情報(User Info)フィールド、パディング(Padding)フィールド、およびFCSフィールドを含んで(または、それらから構成されて)よい。RAフィールドは、例えば、TDLSイニシエータSTAのMACアドレスに設定されてもよい。
図10に示す例では、これはデータフレーム1012を送信するSTA1004のMACアドレスである。共通情報(Common Info)フィールドは、トリガタイプ(Trigger Type)フィールドを含んでもよく、トリガタイプ(Trigger Type)フィールドは、フレームがTDLSトリガ(TDLS Trigger)フレームであることを示す値「8」を含んでもよい。共通情報(Common Info)フィールド内の、トリガタイプ(Trigger Type)フィールドおよびCS要求(CS Required)フィールドを除く他のフィールド、はすべて予約されていてもよい。トリガ依存共通情報(Trigger Dependent Common Info)フィールドは存在しない。ユーザ情報(User Info)フィールドには、AID12フィールドとトリガ依存ユーザ情報(Trigger Dependent User Info)フィールドが含まれていてよい。ひとつのユーザ情報(User Info)フィールドのみが存在していてもよい。AID12フィールドは、TDLSイニシエータSTAのAIDに設定されてもよい。
図10に示す例では、これはSTA1004のAIDである。トリガ依存ユーザ情報(Trigger Dependent User Info)フィールドは、宛先MACアドレス(Destination MAC address)フィールド、許可AC(Allowed AC)フィールド、および最大電力レベル(Maximum Power Level)フィールドをさらに含んでも(または、それらから構成されても)よい。宛先MACアドレス(Destination MAC address)フィールドは、例えば、TDLS受信側STAのMACアドレスを示してもよい。
図10に示す例では、これは、データフレーム1012を受信する対象であるSTA1006のMACアドレスである。トリガ依存ユーザ情報(Trigger Dependent User Info)フィールドの、他のすべてのフィールドは予約されていてもよい。TDLSトリガ(TDLS Trigger)フレーム1100を受信するTDLSイニシエータSTAは、許可AC(Allowed AC)フィールドに示されるAC、または他の、優先度がより高いACからのTIDのうちのいずれかから、TDLS受信側STA宛てのデータフレームを送信することを許可されてよい。
【0054】
図11Bは、第2の実施形態に係る、ダイレクトリンク通信を開始するために使用されるTDLSトリガ(TDLS Trigger)フレームの代替フォーマットを示す図である。TDLSトリガ(TDLS Trigger)フレームのフォーマットは、代替として、TDLSトリガ(TDLS Trigger)フレーム1102に示されるような形式に簡略化することができる。TDLSトリガ(TDLS Trigger)フレーム1102は、フレーム制御(Frame Control)フィールド、持続時間(Duration)フィールド、RAフィールド、TAフィールド、トリガタイプ(Trigger Type)フィールド、CS要求(CS Required)フィールド、許可AC(Allowed AC)フィールド、最大電力レベル(Maximum Power Level)フィールド、宛先MACアドレス(Destination MAC address)フィールド、およびFCSフィールドを含んで(または、それらから構成されて)よい。したがって、
図10のTDLSトリガ(TDLS Trigger)フレーム1008は、簡略化されたTDLSトリガフレーム1102の形式であってもよい。
【0055】
また、STAが自身のTDLSバッファステータスをAPに報告するために、新しいTDLSアクション(TDLS Action)フレーム(TDLS Buffer Status Report)が定義されてもよい。
図12は、第2の実施形態に係る、TDLSバッファステータスを報告するために使用されるTDLSアクション(TDLS Action)フレーム1200のフォーマットを示す図である。TDLSバッファステータス報告(TDLS Buffer Status Report)フレーム1200は、フレーム制御(Frame Control)フィールド、持続時間(Duration)フィールド、アドレス(Address)1フィールド、アドレス(Address)2フィールド、アドレス(Address)3フィールド、シーケンス制御(Sequence Control)フィールド、HT制御(HT Control)フィールド、カテゴリ(Category)フィールド、TDLSアクション(TDLS Action)フィールド、リンク識別子(Link Identifier)エレメントフィールド、一つまたは複数のTDLSバッファステータス(TDLS Buffer Status)フィールド、およびFCSフィールドを含んで(または、それらから構成されて)よい。各TDLSバッファステータス(TDLS Buffer Status)フィールドは、TIDフィールドおよびキューサイズ(Queue Size)フィールドを含んで(または、それらから構成されて)よい。TDLSアクション(TDLS Action)フィールドは、アクションフレームがTDLSバッファステータス報告(TDLS Buffer Status Report)フレームであることを示すために、例えば「11」の値を有してもよい。リンク識別子(Link Identifier)エレメントフィールドは、TDLSリンクを識別する情報を含んでもよい。TIDは、TDLSデータフレームに対応するTIDを示してもよい。キューサイズ(Queue Size)フィールドは、TDLSピアSTA宛てのデータフレームに対応するTIDのキューサイズを示してもよく、QoS制御(QoS Control)フィールドのキューサイズ(Queue Size)サブフィールドと同じ符号化を利用してもよい。TDLSダイレクトリンクのためにTSが設定される場合、TIDフィールドはTSIDに対応していてもよい。
【0056】
TDLSバッファステータス報告(TDLS Buffer Status Report)フレーム1200は、データカプセル化なしにAPとの間で直接送信されてよい。APは、6GHz帯域でのTDLS送信を開始するために、TDLSバッファステータス報告(TDLS Buffer Status Report)フレーム1200において提供される情報を使用して、TDLSトリガ(TDLS Trigger)フレーム1100、1102を動的にスケジュールすることができ、これは有利である。
【0057】
APは、例えば、ビーコン/プローブ応答(Beacon/Probe Response)フレームの拡張対応機能(Extended Capabilities)フィールドにおいて、6GHzのTDLSダイレクトリンクにTS設定が必要であるかどうか(ビット#83)、および/または6GHzのTDLSダイレクトリンクでのデータフレーム送信にトリガ(Trigger)フレームが必要であるかどうか(ビット#84)を通知することができる。以下の表1は、上記の要件を通知するために、ビーコン/プローブ応答(Beacon/Probe Response)フレームの拡張対応機能(Extended Capabilities)フィールドにおいて、APが使用できるビットの値を示す表である。APは、6GHz帯でのTDLSダイレクトリンク送信を有効にする要件をより制御でき、これは有利である。
【0058】
【0059】
第3の実施形態によれば、TDLS送信の要求および承認のため、新たなRTS(送信要求:Request to Send)およびCTS(送信承認:Clear to Send)フレームを定義することができる。
図13は、第3の実施形態に係るTDLS RTSフレーム1300、およびTDLS CTSフレーム1302のフォーマットを示す図である。TDLS RTSフレーム1300は、他のSTA(例えば、TDLS受信側STA)とのTDLS送信のためのTXOPを要求するために、TDLSイニシエータSTAから関連づけられたAPに送信されてよい。TDLS RTSフレーム1300は、フレーム制御(Frame Control)フィールド、持続時間(Duration)フィールド、RAフィールド、TAフィールド、宛先MACアドレス(Destination MAC address)フィールド、およびFCSフィールドを含んで(または、それらから構成されて)よい。RAフィールドは、例えば、TDLSイニシエータSTAのMACアドレスに設定されてもよく、宛先MACアドレス(Destination MAC address)フィールドは、TDLS受信側STAのMACアドレスに設定されてもよい。TDLS RTSフレームは、宛先MACアドレス(Destination MAC address)フィールドを含むところが通常のRTSフレームと異なる。
【0060】
TDLS CTSフレーム1302は、APがTDLS送信を許可する場合、APによってTDLSイニシエータSTAに送信されてよい。TDLS CTSフレーム1302は、フレーム制御(Frame Control)フィールド、持続時間(Duration)フィールド、RAフィールド、宛先MACアドレス(Destination MAC address)フィールド、およびFCSフィールドを含んで(または、それらから構成されて)よい。TDLS RTSフレーム1300の宛先MACアドレス(Destination MAC address)フィールドと同様に、TDLS CTSフレーム1302の宛先MACアドレス(Destination MAC address)フィールドは、TDLS受信側STAのMACアドレスに設定されてもよい。TDLS CTSフレームは、宛先MACアドレス(Destination MAC address)フィールドを含むところが通常のCTSフレームと異なる。
【0061】
第3の実施形態によれば、TDLSダイレクトリンクでのデータフレームの送信は、APとのRTS/CTS交換の後にのみ許可されることができる。また、TDLSダイレクトリンクがベースチャネルにある場合にのみ送信が可能であるため、6GHz帯のオフチャネルへのTDLSチャネルの切り替えは許可されない。RTS/CTS交換により、APは6GHz帯におけるTDLS送信を動的に許可/拒否でき、これは有利である。TDLSリンクでの通信を開始するためにこのRTSとCTSの手順を使用することの一つの利点は、APのTDLSリンクに関するスケジューリング負荷がなくなり、TDLSイニシエータSTA(この例ではSTA1 1404)がTDLS TXOPの開始を行いながらも、APは依然として、TDLSダイレクトリンクでの送信が許可されるか否かについて厳密に制御できることである。
【0062】
図14は、第3の実施形態に係る、TXOPにおける二つのSTA間のダイレクトリンク通信を示すメッセージフローである。STA1404は、STA1406とのTDLS送信のためのTXOP1416を要求するために、TDLS RTSフレーム1408を生成し、AP1402に送信することができる。TDLS RTSフレーム1408は、
図13に示すTDLS RTSフレーム1300の形式をとることができ、STA1406のMACアドレスのような、STA1406を示す情報を備えてよい。そして、AP1402は、TDLS RTSフレーム1408を受信すると、送信を許可するために、TDLS CTSフレーム1410を生成し、STA1402に送信することができる。TDLS CTSフレーム1410は、
図13に示すTDLS CTSフレーム1302の形式をとることができ、STA1406のMACアドレスのような、STA1406を示す情報を備えてよい。そして、STA1404は、TDLS CTSフレーム1410を受信した後、要求TXOP1416内で、一つまたは複数のデータフレーム1412をSTA1406に送信することができる。STA1406は、確認応答フレーム1414をSTA1404に送信することによって、各データフレームに対して確認応答できる。この例では、STA1404およびSTA1406の両方がアクティブモードで動作している(すなわち、パワーセーブモードではない)と仮定する。
【0063】
図15は、様々な実施形態に係る通信装置1500の、部分的に区画された概略図である。通信装置1500は、様々な実施形態に従って、APまたはSTAとして実行されることができる。
【0064】
図15に示されるように、通信装置1500は、回路1514、少なくとも一つの無線送信機1502、少なくとも一つの無線受信機1504、および少なくとも一つのアンテナ1512(簡略化のため、
図15には図解を目的としてアンテナは一つのみ描かれている)を含んでよい。回路1514は少なくとも一つの制御部1506を含んでよく、少なくとも一つの制御部1506は、実行するように設計されているタスク(無線ネットワーク内の一つまたは複数の他の通信装置との通信の制御を含む)をソフトウェアおよびハードウェアの支援下で実行するときに使用される。回路1514は、さらに、少なくとも一つの送信信号生成部1508、および少なくとも一つの受信信号処理部1510を含んでよい。少なくとも一つの制御部1506は、少なくとも一つの無線送信機1502を介して一つまたは複数の他の通信装置に送信されるフレーム(例えば、通信装置1500がSTAである場合は、TDLS設定要求(TDLS Setup Request)フレーム、TDLS設定応答(TDLS Setup Response)フレーム、TDLSチャネル使用許可要求(TDLS Channel Use Permission Request)フレーム、ADDTS要求(ADDTS request)フレーム、およびTDLS RTSフレーム、また例えば、通信装置1500がAPである場合は、TDLSチャネル使用許可応答(TDLS Channel Use Permission Response)フレーム、ADDTS応答(ADDTS response)フレーム、EDCAパラメータセット(EDCA Parameter Set)エレメントフレーム、停止動作指示(cease operation instruction)フレーム、TDLSトリガ(TDLS Trigger)フレーム、TDLSバッファステータス報告(TDLS Buffer Status Report)フレーム、およびTDLS CTSフレーム)を生成するために、少なくとも一つの送信信号生成部1508を制御してもよく、また、少なくとも一つの制御部1506の制御下で少なくとも一つの無線受信機1504を介して一つまたは複数の他の通信装置から受信されるフレーム(例えば、通信装置1500がSTAである場合は、TDLSチャネル使用許可応答(TDLS Channel Use Permission Response)フレーム、ADDTS応答(ADDTS response)フレーム、EDCAパラメータセット(EDCA Parameter Set)エレメントフレーム、停止動作指示(cease operation instruction)フレーム、TDLSトリガ(TDLS Trigger)フレーム、TDLSバッファステータス報告(TDLS Buffer Status Report)フレーム、およびTDLS CTSフレーム、また例えば、通信装置1500がAPである場合は、TDLS設定要求(TDLS Setup Request)フレーム、TDLS設定応答(TDLS Setup Response)フレーム、TDLSチャネル使用許可要求(TDLS Channel Use Permission Request)フレーム、ADDTS要求(ADDTS request)フレーム、およびTDLS RTSフレーム)を処理するために、少なくとも一つの受信信号処理部1510を制御してもよい。少なくとも一つの送信信号生成部1508、および少なくとも一つの受信信号処理部1510は、
図15に示すように、上述の機能のために少なくとも一つの制御部1506と通信する、通信装置1500のスタンドアロンモジュールであってもよい。あるいは、少なくとも一つの送信信号生成部1508、および少なくとも一つの受信信号処理部1510は、少なくとも一つの制御部1506に含まれていてもよい。なお、これらの機能モジュールの配置はフレキシブルであり、実際のニーズおよび/または要件に応じて変化させ得ることが、当業者には理解されるであろう。データ処理、ストレージ、および他の関連する制御装置を、適切な回路基板および/またはチップセットに設けることができる。様々な実施形態において、動作時に、少なくとも一つの無線送信機1502、少なくとも一つの無線受信機1504、および少なくとも一つのアンテナ1512は、少なくとも一つの制御部1506によって制御されてもよい。
【0065】
通信装置1500は、動作時に、拡張ダイレクトリンク通信に必要な機能を提供する。例えば、通信装置1500は、第1のチャネルでAPと無線通信するように構成されるSTAであってもよく、回路1514(例えば、回路1514の少なくとも一つの送信信号生成部1508)は、動作時に、通信装置1500と、他の通信装置と、前記第1のチャネルとは異なる第2のチャネルとを示す情報を含むチャネル使用許可要求フレームを生成してもよい。無線送信機1502は、動作時に、前記他の通信装置とのダイレクトリンク通信のために前記第2のチャネルを使用する許可を前記APに求めるために、前記生成されたチャネル使用許可要求フレームを前記APに送信してもよい。無線受信機1504は、動作時に、前記第2のチャネルの使用を許可するチャネル使用許可応答フレームを前記APから受信してもよく、通信装置1500はさらに、前記チャネル使用許可応答フレームを受信した後に、前記第2のチャネルにおけるダイレクトリンクで前記他の通信装置と通信するように構成される。
【0066】
ダイレクトリンクは、TDLSダイレクトリンクであってもよい。前記チャネル使用許可応答フレームは、前記第2のチャネルを使用するための最大送信電力レベルおよび有効期間を示す情報を含んでよく、前記ダイレクトリンクでの前記通信装置と前記他の通信装置との間の通信は、前記有効期間の満了時に停止される。
【0067】
また、無線受信機1504はさらに、前記APから停止動作指示を受信するように構成されてもよく、通信装置1500は、前記停止動作指示を受信した後、前記ダイレクトリンクでの通信を停止するようにさらに構成される。
【0068】
さらに、回路1514(例えば、回路1514の少なくとも一つの送信信号生成部1508)は、前記ダイレクトリンクを識別する情報を含むADDTS要求フレームを生成するようにさらに構成されてもよく、無線送信機1502はさらに、前記ダイレクトリンクのためのトラフィックストリームの設定を前記APに要求するために、前記生成されたADDTS要求フレームを前記APに送信するように構成されてもよく、無線受信機1504はさらに、前記トラフィックストリームが設定されたことを裏付けるADDTS応答フレームをAPから受信するように構成されてもよく、無線送信機1502はさらに、前記トラフィックストリームに属するデータフレームを前記他の通信装置に送信するように構成されてもよい。
【0069】
例えば、通信装置1500は、STAであってもよく、無線受信機1504は、動作時に、APからトリガフレームを受信してもよく、無線送信機1502は、動作時に、前記トリガフレームを受信した後に、ダイレクトリンク上で、一つまたは複数のデータフレームを、他の通信装置に送信してもよい。前記トリガフレームは、例えば、TDLSトリガ(TDLS Trigger)フレームであってもよい。前記トリガフレームは、前記他の通信装置のMACアドレスと、許可AC(アクセスカテゴリ)と、最大送信電力レベルとを示す情報を含んでもよく、前記一つまたは複数のデータフレームは、前記MACアドレスに送信され、前記許可ACまたはより高いACで特定されたTID(トラフィック識別子)に基づき、前記一つまたは複数のデータフレームは、前記最大送信電力レベルより小さい送信電力で送信される。また、無線送信機1502は、さらに、TIDに対応し、かつ前記他の通信装置に宛てられた、バッファデータの大きさを報告するために、前記ダイレクトリンクを示す情報をさらに含むバッファステータス報告フレームを、前記APに周期的に送信するように構成されてもよい。
【0070】
例えば、通信装置1500は、APと無線通信するように構成されたSTAであってもよく、回路1514(例えば、回路1514の少なくとも一つの送信信号生成部1508)は、動作時に、他の通信装置を示す情報を含むTDLS RTSフレームを生成してもよい。無線送信機1502は、動作時に、前記他の通信装置とのTDLS送信のためのTXOP(送信機会)を要求するために、前記生成されたTDLS RTSフレームを前記APに送信してもよい。無線受信機1504は、動作時に、前記APからTDLS CTSフレームを受信してもよく、無線送信機1502はさらに、前記TDLS CTSフレームを受信した後、前記要求したTXOP内で、一つまたは複数のデータフレームをTDLSダイレクトリンク上で前記他の通信装置に送信するように構成される。
【0071】
例えば、通信装置1500は、第1のチャネルで通信装置と無線通信するように構成されたAPであってもよく、無線受信機1504は、動作時に、前記通信装置から、他の通信装置とのダイレクトリンク通信のために、前記第1のチャネルとは異なる第2のチャネルの使用を要求するチャネル使用許可要求フレームを受信してもよい。回路1514は、動作時に、前記チャネル使用許可要求フレームを受信した後、前記第2のチャネルが前記通信装置および前記他の通信装置によって使用されてもよいか否かを、周波数調整データベースから判定してもよい。回路1514(例えば、回路1514の少なくとも一つの送信信号生成部1508)はさらに、前記判定を示す情報を含むチャネル使用許可応答フレームを生成するように構成されてもよい。無線送信機1502は、動作時に、前記チャネル使用許可応答フレームを、前記第2のチャネルにおけるダイレクトリンクで前記他の通信装置と前記判定に基づいて通信するように構成される前記通信装置に送信してもよい。
【0072】
前記周波数調整データベースは、例えば、AFCデータベースであってもよい。前記チャネル使用許可応答フレームは、前記第2のチャネルを使用するための最大送信電力レベルおよび有効期間を示す情報をさらに含み、前記ダイレクトリンクでの前記通信装置と前記他の通信装置との間の通信は、前記有効期間の満了時に停止される。
【0073】
また、回路1514(例えば、回路1514の少なくとも一つの送信信号生成部1508)はさらに、停止動作指示フレームを生成するように構成されてもよい。無線送信機1502はさらに、前記通信装置に前記生成した停止動作指示を送信し、前記ダイレクトリンクでの通信の停止を指示するように構成されてもよい。
【0074】
また、回路1514(例えば、回路1514の少なくとも一つの送信信号生成部1508)はさらに、前記他の通信装置を識別する情報を含むトリガフレームを生成するように構成されてもよく、無線送信機1502はさらに、前記生成されたトリガフレームを前記通信装置に送信するように構成されてもよく、前記通信装置は、前記トリガフレームを受信した後に、前記ダイレクトリンク上で、一つまたは複数のデータフレームを、前記他の通信装置に送信するように構成される。前記トリガフレームは、例えば、TDLS(TDLS Trigger)トリガフレームであってもよい。
【0075】
例えば、通信装置1500は、通信装置と無線通信するように構成されたAPであってもよく、無線受信機1504は、動作時に、他の通信装置を示す情報を含み、かつ前記他の通信装置とのTDLS送信のためのTXOPを前記APに要求するTDLS RTSフレームを、前記通信装置から受信してもよい。回路1514(例えば、回路1514の少なくとも一つの送信信号生成部1508)は、動作時に、TDLS CTSフレームを生成してもよい。無線送信機1502は、動作時に、前記TDLS CTSフレームを前記通信装置に送信してもよく、前記通信装置は、前記TDLS CTSフレームを受信した後、前記要求したTXOP内で、一つまたは複数のデータフレームをTDLSダイレクトリンク上で前記他の通信装置に送信するように構成される。
【0076】
図16は、様々な実施形態に係る、通信方法のフローを示す
図1600である。ステップ1602において、通信装置と、他の通信装置と、第1のチャネルとは異なる第2のチャネルとを示す情報を含むチャネル使用許可要求フレームが生成されてよい。ステップ1604において、前記生成されたチャネル使用許可要求フレームは、前記他の通信装置とのダイレクトリンク通信のために前記第2のチャネルを使用する許可をAPに求めるために、前記APに送信されてよい。ステップ1606において、前記第2のチャネルの使用を許可するチャネル使用許可応答フレームを前記APから受信されてよい。ステップ1608において、前記チャネル使用許可応答フレームを受信した後に、前記第2のチャネルにおけるダイレクトリンクで、前記他の通信装置との通信が開始されてよい。
【0077】
図17は、様々な実施形態に係る、通信デバイス1700、例えば、STAのような通信装置の構成を示す図である。
図15に示されるような通信装置の概略例と同様に、
図17の概略例における通信デバイス1700は、少なくとも一つの無線送信機、および少なくとも一つの無線受信機(簡略化のため、無線送信機および受信機は
図17には描かれていない)を持つ少なくとも一つのアンテナ1702と、回路1704とを含む。回路1704は、少なくとも一つの制御部またはCPU1706を含んでよく、CPU1706は、実行するように設計されているタスク(他のSTAまたはAP等の他の通信装置との通信の制御を含む)をソフトウェアおよびハードウェアの支援下で実行するときに使用される。
【0078】
回路1704は、自身のジオロケーション位置の緯度、経度情報を含み得る、通信デバイス1700の位置の決定を行う位置決定モジュール1708をさらに含んでもよい。一部の規制領域では、位置情報は、ダイレクトリンク通信のためにSTAによって使用され得る周波数チャネルを決定するために、AFCシステムによって使用されることがある。回路1704は、他のSTAとのダイレクトリンクに使用されるチャネルの選択や、各チャネルのチャネル使用有効期間の追跡等を行うチャネル選択モジュール1710をさらに含んでもよい。また、当該モジュールは、ダイレクトリンクのためのチャネル使用に関して、関連づけられたAPからのチャネル使用許可応答の処理を行ってもよい。回路1704は、ダイレクトリンクおよび対応するトラフィックに関する関連情報、例えば、ダイレクトリンクに割り当てられたチャネルおよびその有効期間、ダイレクトリンクに割り当てられたトラフィックストリームパラメータ、様々なダイレクトリンクのバッファステータス、および他の同様のデータを保持するダイレクトリンクレコードモジュール1712をさらに含んでもよい。
【0079】
図18は、様々な実施形態に係る、通信デバイス1800、例えばAPの構成を示す図である。
図15に示されるような通信装置の概略例と同様に、
図18の概略例における通信デバイス1800は、少なくとも一つの無線送信機、および少なくとも一つの無線受信機(簡略化のため、無線送信機および受信機は
図18には描かれていない)を持つ少なくとも一つのアンテナ1802と、回路1804とを含む。回路1804は、少なくとも一つの制御部またはCPU1806を含んでよく、CPU1806は、実行するように設計されているタスク(STAまたは他のAP等の他の通信装置との通信の制御を含む)をソフトウェアおよびハードウェア支援下で実行するときに使用される。
【0080】
回路1804は、AFCシステムと通信するために必要な情報を保持し、AFCシステムおよびAFCデータベースへのゲートウェイとして動作する、AFCシステムインターフェースモジュール1814をさらに含んでもよい。AFCシステムとの実際の通信は、有線インターフェースを介してもよい。回路1804は、APのジオロケーション位置の緯度、経度情報、並びに地上からのAPの位置姿勢を含み得る、APデバイスの位置の決定を行う位置決定モジュール1808をさらに含んでもよい。位置情報は、APおよびAPに関連付けられたSTAによって使用され得る周波数チャネルを決定するために、AFCシステムによって使用されることがある。回路1804は、APに関連づけられたSTAによって使用されているチャネルの管理(チャネル上の有効化信号の送信、チャネル使用有効期間の追跡等を含んでよい)を行うチャネル管理モジュール1810をさらに含んでもよい。また、当該モジュールは、ダイレクトリンクのためのチャネルの使用に関して、関連づけられたSTAからのチャネル使用許可要求を処理し、AFCシステムインターフェースモジュールと連携してもよい。回路1804は、ダイレクトリンクおよび対応するトラフィックに関する関連情報、例えば、ダイレクトリンクに割り当てられたチャネルおよびその有効期間、ダイレクトリンクに割り当てられたトラフィックストリームパラメータ、様々なダイレクトリンクのバッファステータス、および他の同様のデータを保持するダイレクトリンクレコードモジュール1812をさらに含んでもよい。
【0081】
図19は、様々な実施形態に係るマルチバンドデバイス、例えばSTAの構成を示す図である。マルチバンドデバイスは、各周波数帯にそれぞれ対応する、複数のSTAから構成されていると言ってよい。例えば、マルチバンドデバイスが5GHz帯および6GHz帯に対応している場合、各STAがそれぞれMAC層およびPHY層、ならびに関連づけられたエンティティを持つ、5GHz STA(STA1902等)および6GHz STA(STA1904等)を備えるように見える場合がある。各STAは、それぞれのMLME(MAC層管理エンティティ:MAC Layer Management Entity)およびPLME(PHY管理エンティティ:PHY Management Entity)を介して各帯域のMAC層およびPHY層へのアクセスできる、端末管理エンティティを有していてよい。各STAのMAC SAP(Service Access Point)は、上位層のプロトコルに、帯域固有のMACサブレイヤおよびPHYサブレイヤへのインターフェースを提供する。従来の802.11ネットワークでは、APデバイスと非APデバイスが両方ともマルチバンドデバイスであっても、それらは、各周波数帯上の別個のSTAとして見られ、5GHzの非AP STAは5GHzのAP STAと関連づけられることが、6GHzの非AP STAは6GHzのAP STAと関連づけられることが求められる。APがシングルバンドデバイス(例えば、802.11ac AP)であり、5GHz帯でのみ動作するシナリオでは、非APデバイスは、APとの通信のために自身の6GHz STAを利用できないことがある。しかしながら、二つのこのような非APデバイスは、対応する6GHz STA間にTDLSリンクを設定することで、6GHz帯での通信が可能になる。このような場合、5GHzの非AP STAが、6GHz STAに代わって、他の6GHz STAとのダイレクトリンク通信のために6GHz帯のチャネルを使用する許可を、APに求めることができる。6GHz STAによって使用されるMACアドレスが、5GHz STAによって使用されるMACアドレスと異なる場合、APは、ダイレクトリンクを追跡するために、6GHzのMACアドレスの記録を保持してもよい。
【0082】
EHT APならびにほとんどのEHT非AP STAは、複数の周波数帯域での動作に対応するマルチバンドデバイスであることが求められている。従来、各周波数帯域はそれぞれ、MAC層およびPHY層、ならびに関連づけられたエンティティを有しており、802.11では、たとえ同じ物理デバイス内に収容されていても、各周波数帯域に紐づけられたエンティティは別個のSTAとして扱われる。あるいは、マルチバンドデバイスが動作できる周波数帯域の数にかかわらず、各デバイスは、一つの統一されたMACアドレスと、帯域IDおよびチャネル番号によって区別された様々な周波数上の通信リンクとによって表されることがある。
【0083】
このように、本開示の実施形態は、拡張ダイレクトリンク通信を可能にする、高度な通信システム、通信方法、および通信装置を提供する。本開示における引用例の大部分は、IEEE 802.11ネットワークおよびデバイスに関するものであるが、本開示は、例えば、LTE-Advancedネットワークまたは今後の5GネットワークにおけるD2D通信(デバイス間通信:device-to-device communication)のためのセルラーシステムにも同様に適用することができる。UE(端末:User Equipment)は、二つのセルラーUE間の6GHz帯のチャネルにおけるダイレクトリンク通信を開始する前に、サービス提供を受けている基地局(例えば、eNodeB)にチャネル使用許可要求を送信することによって、近接している他のUEとのD2D通信のためのチャネル使用許可を、その基地局から求めることができる。基地局は、UEからチャネル使用許可要求を受信すると、要求されたチャネルの空き状況に関して(例えば、AFCシステムを介して)AFCデータベースをチェックする。成功の場合、基地局は、要求されたチャネルがD2D通信に利用可能であることを通知するために、SUCCESSのステータスを含むチャネル使用許可応答をUEに送信することができる。そして、UEは、他のUEとのD2D通信のためのチャネルの使用を開始できる。
【0084】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0085】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。
【0086】
通信装置は無線送受信機(トランシーバー)と処理/制御回路を含んでもよい。無線送受信機は受信機と送信機、またはそれらを機能として、含んでもよい。無線送受信機(送信機、受信機)は、RF(Radio Frequency)モジュールと1または複数のアンテナを含んでもよい。RFモジュールは、増幅器、RF変調器/復調器、またはそれらに類するものを含んでもよい。
【0087】
通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0088】
通信装置は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0089】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。
【0090】
また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサー等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサーが含まれる。
【0091】
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【0092】
様々な実施形態のいくかの特性はデバイスを参照しながら説明されているが、対応する特性は様々な実施形態の方法にもあてはまり、逆も同様である。
【0093】
特定の実施形態に示されるように、本開示には、広範に説明した本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく、多数の変更および/または修正がなされてもよいことが当業者には理解されるであろう。したがって本明細書における実施形態は、あらゆる点において説明を目的としており、本発明を制限するものではないとみなされたい。