(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】カメラモジュール、電子装置及び車両工具
(51)【国際特許分類】
H04N 25/70 20230101AFI20240520BHJP
G02B 1/118 20150101ALI20240520BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20240520BHJP
G02B 5/22 20060101ALI20240520BHJP
G03B 11/00 20210101ALI20240520BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240520BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20240520BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20240520BHJP
H04N 25/11 20230101ALI20240520BHJP
【FI】
H04N25/70
G02B1/118
G02B3/00 A
G02B5/22
G03B11/00
G03B15/00 V
G03B17/02
G03B30/00
H04N25/11
(21)【出願番号】P 2022077490
(22)【出願日】2022-05-10
【審査請求日】2022-05-10
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】502426061
【氏名又は名称】大立光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100210251
【氏名又は名称】大古場 ゆう子
(72)【発明者】
【氏名】▲蔡▼ ▲温▼祐
(72)【発明者】
【氏名】張 建邦
(72)【発明者】
【氏名】張 臨安
(72)【発明者】
【氏名】周 明達
(72)【発明者】
【氏名】林 正峰
(72)【発明者】
【氏名】朱 國強
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-174885(JP,A)
【文献】特開2019-113604(JP,A)
【文献】国際公開第2018/074137(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/075579(WO,A1)
【文献】特開2013-040392(JP,A)
【文献】特開2006-332433(JP,A)
【文献】特開2019-036788(JP,A)
【文献】特開2016-057335(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0357031(US,A1)
【文献】特開2002-261261(JP,A)
【文献】特開2014-239223(JP,A)
【文献】特開2021-044564(JP,A)
【文献】国際公開第2017/146210(WO,A1)
【文献】特開2001-230396(JP,A)
【文献】特開2000-156486(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0050599(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30- 5/33
H04N 9/01- 9/11
H04N 23/10-23/30
H04N 25/00-25/79
G02B 1/00- 3/14
G02B 5/20- 5/28
G03B 11/00-11/06
G03B 15/00-15/035
G03B 17/02
G03B 29/00-30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結像レンズモジュールと、
前記結像レンズモジュールの結像面に設けられる電子感光素子と、
を備え、
前記電子感光素子が、
結像光の光信号を電子信号に変換するための光電変換層と、
前記結像光のエネルギーを前記光電変換層に集中するためのマイクロレンズアレイ層と、
前記光電変換層と前記マイクロレンズアレイ層との間に設けられ、且つ前記結像光中の特定の波長帯の光を吸収するためのフィルタ層と、
不規則なナノ粒子構造層と、前記不規則なナノ粒子構造層に接続される光学的接続膜層と、を含み、前記フィルタ層及び前記マイクロレンズアレイ層の少なくとも一方の表面に設けられる反射防止膜層と、
を含み、
前記光学的接続膜層の頂部は、空気に部分的に接触する、カメラモジュール。
【請求項2】
前記反射防止膜層は、前記マイクロレンズアレイ層の物体側の面に設けられる請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項3】
前記不規則なナノ粒子構造層は、金属酸化物で製造される請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項4】
前記不規則なナノ粒子構造層の材料の屈折率はNcであり、前記光学的接続膜層の材料の屈折率はNfであり、
Nf<Ncという条件を満たす請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項5】
前記不規則なナノ粒子構造層の高さはHcであり、前記光学的接続膜層の膜厚はHfであり、前記反射防止膜層の全高はHであり、
Hf+Hc=H、及び
Hf<Hcという条件を満たす請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項6】
前記光学的接続膜層の膜厚はHfであり、
20nm<Hf<120nmという条件を満たす請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項7】
前記不規則なナノ粒子構造層の高さはHcであり、
120nm<Hc<350nmという条件を満たす請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項8】
前記マイクロレンズアレイ層における各マイクロレンズのサイズはDpであり、
0.2μm<Dp<10μmという条件を満たす請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項9】
前記マイクロレンズアレイ層における複数のマイクロレンズの数はPNであり、
700万<PN<10億という条件を満たす請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項10】
前記電子感光素子を駆動するための駆動装置を更に備える請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項11】
請求項1に記載のカメラモジュールを備える電子装置。
【請求項12】
請求項1に記載のカメラモジュールを備える車両工具。
【請求項13】
結像レンズモジュールと、
前記結像レンズモジュールの結像面に設けられる電子感光素子と、
を備え、
前記電子感光素子が、
結像光の光信号を電子信号に変換するための光電変換層と、
前記結像光のエネルギーを前記光電変換層に集中するためのマイクロレンズアレイ層と、
前記光電変換層と前記マイクロレンズアレイ層との間に設けられ、且つ前記結像光中の特定の波長帯の光を吸収するためのフィルタ層と、
複数の穴構造を有する不規則なナノ構造層と、光学的接続膜層とを含み、前記フィルタ層及び前記マイクロレンズアレイ層の少なくとも一方の表面に設けられる反射防止膜層と、
を含み、
前記光学的接続膜層の頂部は、空気に部分的に接触する、カメラモジュール。
【請求項14】
前記マイクロレンズアレイ層における各マイクロレンズのサイズはDpであり、
0.2μm<Dp<10μmという条件を満たす請求項1
3に記載のカメラモジュール。
【請求項15】
前記マイクロレンズアレイ層における複数のマイクロレンズの数はPNであり、
700万<PN<10億という条件を満たす請求項1
3に記載のカメラモジュール。
【請求項16】
前記電子感光素子を駆動するための駆動装置を更に備える請求項1
3に記載のカメラモジュール。
【請求項17】
結像レンズモジュールと、
前記結像レンズモジュールの結像面に設けられる電子感光素子と、
を備え、
前記電子感光素子が、
結像光の光信号を電子信号に変換するための光電変換層と、
前記結像光のエネルギーを前記光電変換層に集中するためのマイクロレンズアレイ層と、
前記光電変換層と前記マイクロレンズアレイ層との間に設けられ、且つ前記結像光中の特定の波長帯の光を吸収するためのフィルタ層と、
前記マイクロレンズアレイ層との間に、前記電子感光素子の外部空間から隔離される内部空間層が形成される保護ガラスと、
不規則なナノ粒子構造層と、前記不規則なナノ粒子構造層に接続される光学的接続膜層と、を含み、前記保護ガラスの少なくとも1つの表面に設けられる反射防止膜層と、
を含み、
前記光学的接続膜層の頂部は、空気に部分的に接触する、カメラモジュール。
【請求項18】
前記保護ガラスは、物体側の面及び画像側の面を含み、前記反射防止膜層は前記保護ガラスの前記物体側の面及び前記画像側の面に設けられる請求項
17に記載のカメラモジュール。
【請求項19】
前記マイクロレンズアレイ層における各マイクロレンズのサイズはDpであり、
0.2μm<Dp<10μmという条件を満たす請求項
17に記載のカメラモジュール。
【請求項20】
前記マイクロレンズアレイ層における複数のマイクロレンズの数はPNであり、
700万<PN<10億という条件を満たす請求項
17に記載のカメラモジュール。
【請求項21】
前記電子感光素子を駆動するための駆動装置を更に備える請求項
17に記載のカメラモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容は、カメラモジュール、電子装置及び車両工具に関し、特に、反射防止膜層を備えるカメラモジュール、電子装置及び車両工具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラモジュールは、急速に発展し、現代人の生活に溢れ、且つさまざまな分野で幅広く使用されるようになり、例えば、携帯型電子装置、ヘッドマウント装置、車両工具等に搭載されており、カメラモジュールや電子感光素子もそれに伴って急成長している。しかし、技術の進歩に伴い、ユーザーのカメラモジュールの品質に対する要求もますます高まり、その中で、マイクロレンズアレイ層は、結像品質に影響を与える主な要因の一つである。
【0003】
図13A、
図13B、
図13C及び
図13Dを参照されたい。
図13Aは従来の技術に係るカメラモジュールを示す模式図であり、
図13Bは
図13Aのカメラモジュールにおけるマイクロレンズアレイ層MLを示す写真であり、
図13Cは
図13Aのカメラモジュールにおけるマイクロレンズアレイ層MLによって発生された迷光SLを示す写真であり、
図13Dは
図13Cの迷光SLの強度シミュレーションを示す模式図である。
図13A、
図13B、
図13C及び
図13Dに示すような従来の技術では、結像光Lがカメラモジュールに入ると、カメラモジュールの電子感光素子Iは、その物体側の面に設けられたマイクロレンズアレイ層MLにより光の回折現象が発生することで、結像光Lが光路L2に沿ってマイクロレンズアレイ層MLと光学フラット板Fとの間で反射され、更に迷光SLを生成させ、パドル迷光(paddle flare)は迷光SLの形態の1つであり、結像品質に深刻な影響を及ぼす。このため、カメラモジュールの迷光を効果的に除去するとともに、集光能力を高めることができるカメラモジュールの開発は、業界において重要且つ緊急な問題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示内容は、カメラモジュール、電子装置及び車両工具を提供し、カメラモジュールの電子感光素子に反射防止膜層が設けられることで、カメラモジュールの迷光を効果的に除去することができ、集光能力を高め、電子感光素子の色再現性を強化することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示内容の一実施形態によれば、結像レンズモジュールと、結像レンズモジュールの結像面に設けられる電子感光素子と、を備え、また、電子感光素子が、結像光の光信号を電子信号に変換するための光電変換層と、結像光のエネルギーを光電変換層に集中するためのマイクロレンズアレイ層と、光電変換層とマイクロレンズアレイ層との間に設けられ、且つ結像光中の特定の波長帯の光を吸収するためのフィルタ層と、不規則なナノ粒子構造層と、不規則なナノ粒子構造層に接続される光学的接続膜層と、を含み、フィルタ層及びマイクロレンズアレイ層の少なくとも一方の表面に設けられる反射防止膜層と、を含むカメラモジュールを提供する。
【0006】
前の段落で述べた実施形態のカメラモジュールによれば、反射防止膜層は、マイクロレンズアレイ層の物体側の面に設けられてよい。
【0007】
前の段落で述べた実施形態のカメラモジュールによれば、反射防止膜層は、フィルタ層とマイクロレンズアレイ層との間に設けられてよい。
【0008】
前の段落で述べた実施形態のカメラモジュールによれば、不規則なナノ粒子構造層は、金属酸化物で製造されてよい。
【0009】
前の段落で述べた実施形態のカメラモジュールによれば、不規則なナノ粒子構造層の材料の屈折率はNcであり、光学的接続膜層の材料の屈折率はNfであり、Nf<Ncという条件を満たしてよい。
【0010】
前の段落で述べた実施形態のカメラモジュールによれば、不規則なナノ粒子構造層の高さはHcであり、光学的接続膜層の膜厚はHfであり、反射防止膜層の全高はHであり、Hf+Hc=H、及びHf<Hcという条件を満たしてよい。更に、20nm<Hf<120nmという条件を満たしてよい。更に、120nm<Hc<350nmという条件を満たしてよい。
【0011】
前の段落で述べた実施形態のカメラモジュールによれば、光学的接続膜層の頂部は、空気に部分的に接触してよい。
【0012】
前の段落で述べた実施形態のカメラモジュールによれば、マイクロレンズアレイ層における各マイクロレンズのサイズはDpであり、0.2μm<Dp<10μmという条件を満たしてよい。
【0013】
前の段落で述べた実施形態のカメラモジュールによれば、マイクロレンズアレイ層における複数のマイクロレンズの数はPNであり、700万<PN<10億という条件を満たしてよい。
【0014】
前の段落で述べた実施形態のカメラモジュールによれば、前記電子感光素子を駆動するための駆動装置を更に備えてよい。
【0015】
本開示内容の一実施形態によれば、前述実施形態のカメラモジュールを備える電子装置を提供する。
【0016】
本開示内容の一実施形態によれば、前述実施形態のカメラモジュールを備える車両工具を提供する。
【0017】
本開示内容の一実施形態によれば、結像レンズモジュールと、結像レンズモジュールの結像面に設けられる電子感光素子と、を備え、また、電子感光素子が、結像光の光信号を電子信号に変換するための光電変換層と、結像光のエネルギーを光電変換層に集中するためのマイクロレンズアレイ層と、光電変換層とマイクロレンズアレイ層との間に設けられ、且つ結像光中の特定の波長帯の光を吸収するためのフィルタ層と、複数の穴構造を有する不規則なナノ構造層を含み、フィルタ層及びマイクロレンズアレイ層の少なくとも一方の表面に設けられる反射防止膜層と、を含むカメラモジュールを提供する。
【0018】
前の段落で述べた実施形態のカメラモジュールによれば、マイクロレンズアレイ層における各マイクロレンズのサイズはDpであり、0.2μm<Dp<10μmという条件を満たしてよい。
【0019】
前の段落で述べた実施形態のカメラモジュールによれば、マイクロレンズアレイ層における複数のマイクロレンズの数はPNであり、700万<PN<10億という条件を満たしてよい。
【0020】
前の段落で述べた実施形態のカメラモジュールによれば、前記電子感光素子を駆動するための駆動装置を更に備えてよい。
【0021】
本開示内容の一実施形態によれば、結像レンズモジュールと、結像レンズモジュールの結像面に設けられる電子感光素子と、を備え、また、電子感光素子が、結像光の光信号を電子信号に変換するための光電変換層と、結像光のエネルギーを光電変換層に集中するためのマイクロレンズアレイ層と、光電変換層とマイクロレンズアレイ層との間に設けられ、且つ結像光中の特定の波長帯の光を吸収するためのフィルタ層と、材料の屈折率に段差を有する複数の膜層により交互に積層されており、且つ高低交互の回数が少なくとも3回である光学多膜層積層構造を含み、フィルタ層及びマイクロレンズアレイ層の少なくとも一方の表面に設けられる反射防止膜層と、を含むカメラモジュールを提供する。
【0022】
前の段落で述べた実施形態のカメラモジュールによれば、マイクロレンズアレイ層における各マイクロレンズのサイズはDpであり、0.2μm<Dp<10μmという条件を満たしてよい。
【0023】
前の段落で述べた実施形態のカメラモジュールによれば、マイクロレンズアレイ層における複数のマイクロレンズの数はPNであり、700万<PN<10億という条件を満たしてよい。
【0024】
前の段落で述べた実施形態のカメラモジュールによれば、前記電子感光素子を駆動するための駆動装置を更に備えてよい。
【0025】
本開示内容の一実施形態によれば、前述実施形態のカメラモジュールを備える電子装置を提供する。
【0026】
本開示内容の一実施形態によれば、前述実施形態のカメラモジュールを備える車両工具を提供する。
【0027】
本開示内容の一実施形態によれば、結像レンズモジュールと、結像レンズモジュールの結像面に設けられる電子感光素子と、を備え、また、電子感光素子が、結像光の光信号を電子信号に変換するための光電変換層と、結像光のエネルギーを光電変換層に集中するためのマイクロレンズアレイ層と、光電変換層とマイクロレンズアレイ層との間に設けられ、且つ結像光中の特定の波長帯の光を吸収するためのフィルタ層と、マイクロレンズアレイ層との間に、電子感光素子の外部空間から隔離される内部空間層が形成される保護ガラスと、不規則なナノ粒子構造層と、不規則なナノ粒子構造層に接続される光学的接続膜層と、を含み、保護ガラスの少なくとも1つの表面に設けられる反射防止膜層と、を含むカメラモジュールを提供する。
【0028】
前の段落で述べた実施形態のカメラモジュールによれば、保護ガラスは、物体側の面及び画像側の面を含んでよく、且つ反射防止膜層は保護ガラスの物体側の面及び画像側の面に設けられる。
【0029】
前の段落で述べた実施形態のカメラモジュールによれば、マイクロレンズアレイ層における各マイクロレンズのサイズはDpであり、0.2μm<Dp<10μmという条件を満たしてよい。
【0030】
前の段落で述べた実施形態のカメラモジュールによれば、マイクロレンズアレイ層における複数のマイクロレンズの数はPNであり、700万<PN<10億という条件を満たしてよい。
【0031】
前の段落で述べた実施形態のカメラモジュールによれば、前記電子感光素子を駆動するための駆動装置を更に備えてよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本開示内容の第1の実施形態による第1の実施例におけるカメラモジュールを示す模式図である。
【
図2A】
図1の第1の実施形態による第1の実施例における電子感光素子を示す模式図である。
【
図2B】
図2Aの第1の実施形態による第1の実施例におけるマイクロレンズアレイ層を電子顕微鏡で撮影した写真である。
【
図2C】
図2Aの第1の実施形態による第1の実施例におけるマイクロレンズアレイ層を電子顕微鏡で撮影した他の写真である。
【
図2D】
図2Aの第1の実施形態による第1の実施例における電子感光素子の側面断面図を電子顕微鏡で撮影した写真である。
【
図3】
図1の第1の実施形態による第2の実施例における反射防止膜層を示す模式図である。
【
図4】
図1の第1の実施形態による第3の実施例における反射防止膜層を示す模式図である。
【
図5】
図1の第1の実施形態による第4の実施例における反射防止膜層を示す模式図である。
【
図6】本開示内容の第2の実施形態によるカメラモジュールを示す模式図である。
【
図7】本開示内容の第3の実施形態によるカメラモジュールを示す模式図である。
【
図8A】本開示内容の第4の実施形態によるカメラモジュールを示す模式図である。
【
図8B】
図8Aの第4の実施形態による電子感光素子を示す模式図である。
【
図9】本開示内容の第5の実施形態によるカメラモジュールを示す模式図である。
【
図10A】本開示内容の第6の実施形態による電子装置を示す模式図である。
【
図10C】
図10Aの第6の実施形態による超広角カメラモジュールで撮影した画像模式図である。
【
図10D】
図10Aの第6の実施形態による高ピクセルカメラモジュールで撮影した画像模式図である。
【
図10E】
図10Aの第6の実施形態による望遠カメラモジュールで撮影した画像模式図である。
【
図11】本開示内容の第7の実施形態による電子装置を示す模式図である。
【
図12A】本開示内容の第8の実施形態による車両工具を示す模式図である。
【
図13A】従来の技術に係るカメラモジュールを示す模式図である。
【
図13B】
図13Aのカメラモジュールにおけるマイクロレンズアレイ層を示す写真である。
【
図13C】
図13Aのカメラモジュールにおけるマイクロレンズアレイ層によって生成された迷光の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示内容は、結像レンズモジュールと、電子感光素子と、を備えるカメラモジュールを提供する。電子感光素子は、結像レンズモジュールの結像面に設けられ、光電変換層と、マイクロレンズアレイ層と、フィルタ層と、反射防止膜層と、を含む。光電変換層は、結像光の光信号を電子信号に変換するために使用される。マイクロレンズアレイ層は、結像光のエネルギーを光電変換層に集中するために使用される。フィルタ層は、光電変換層とマイクロレンズアレイ層との間に設けられ、且つ結像光中の特定の波長帯の光を吸収するために使用される。反射防止膜層は、フィルタ層及びマイクロレンズアレイ層の少なくとも一方の表面に設けられる。反射防止膜層の設けられた電子感光素子によって、カメラモジュールの迷光を効果的に除去し、更に集光能力を高めることができ、且つフィルタ層の透過率を向上させ、電子感光素子の色再現性を強化することができる。これにより、結像品質を向上させることができる。
【0034】
具体的に、光電変換層は、光信号を電子信号に変換するためフォトダイオードと、電子信号の送信と信号ゲインに使用される回路構造を含んでもよい。
【0035】
フィルタ層は、各種の波長範囲のフィルタ材料が二次元配列の形態で並べられてよい。詳しくは、フィルタ層は、RGGBの形態で並べられてもよいし、RYYBの形態で並べられてもよいが、本開示内容はこれに限定されない。これにより、フィルタ層は、特定の波長範囲の光、例えば赤色光、黄色光、緑色光、青色光、赤外線、又は上記の複数の光の組み合わせを透過することができるが、これらに限定されない。
【0036】
反射防止膜層は、不規則なナノ粒子構造層と、不規則なナノ粒子構造層に接続される光学的接続膜層と、を含んでもよい。具体的に、不規則なナノ粒子構造層は、金属酸化物で製造されてよい。詳しくは、不規則なナノ粒子構造層は、アルミナ(Al2O3)で製造されてよい。これにより、プロセスの加速や大量生産を促進するのに役立つ。
【0037】
或いは、反射防止膜層は、複数の穴構造を有する不規則なナノ構造層を含んでもよい。これにより、反射防止膜層は、プラズマエッチングによって製造されることができる。
【0038】
更に、反射防止膜層は、材料の屈折率に段差を有する複数の膜層により交互に積層されており、且つ高低交互の回数が少なくとも3回である光学多膜層積層構造を含んでもよい。具体的に、高い材料の屈折率の膜層は、アルミナで製造されてよく、低い材料の屈折率の膜層はシリカ(SiO2)で製造されてよいが、本開示内容はこれに限定されない。これにより、抗反射模層は、化学蒸着又は物理蒸着によって製造されてよい。
【0039】
電子感光素子は、保護ガラスを更に含んでもよい。保護ガラスとマイクロレンズアレイ層との間に、電子感光素子の外部空間から隔離された内部空間層が形成される。反射防止膜層は、不規則なナノ粒子構造層と、不規則なナノ粒子構造層に接続される光学的接続膜層と、を含み、保護ガラスの少なくとも1つの表面に設けられる。具体的に、保護ガラスは、板ガラスであってよく、板ガラスと感光チップがそれぞれ基板に組み立てられて電子感光素子を形成し、基板は回路基板であってよいが、本開示内容はこれに限定されない。
【0040】
反射防止膜層は、マイクロレンズアレイ層の物体側の面に設けられてよい。これにより、大角度の非結像光の発生確率を低下させることができる。
【0041】
反射防止膜層は、フィルタ層とマイクロレンズアレイ層との間に設けられてよい。これにより、フィルタ層の色識別の効果を強化することができる。
【0042】
不規則なナノ粒子構造層の材料の屈折率がNcであり、光学的接続膜層の材料の屈折率がNfである場合、Nf<Ncという条件を満たしてよい。材料の屈折率の高い不規則なナノ粒子構造層を外層とすることで、透過率を向上させることで、結像光の反射を減らすことができる。
【0043】
不規則なナノ粒子構造層の高さがHcであり、光学的接続膜層の膜厚がHfであり、反射防止膜層の全高がHである場合、Hf+Hc=H、及びHf<Hcという条件を満たしてよい。これにより、光学的接続膜層の頂部と不規則なナノ粒子構造層の底部との間に如何なる間隙もなく、両層を密着させ、更に高い構造安定性を有する。
【0044】
光学的接続膜層の膜厚がHfである場合、20nm<Hf<120nmという条件を満たしてよい。特定の厚さ範囲の光学的接続膜層を設置することで、不規則なナノ粒子構造層のめっき収率及び光学透過率を同時に向上させることができる。
【0045】
不規則なナノ粒子構造層の高さがHcである場合、120nm<Hc<350nmという条件を満たしてよい。これにより、光学的接続膜層と光学的な整合が取られた高さ範囲を提供することができる。
【0046】
光学的接続膜層の頂部は、空気に部分的に接触してよい。不規則なナノ粒子構造層に合わせて全体として微細穴構造であり、これにより、光学的接続膜層と不規則なナノ粒子構造層との間の光界面の光学的な整合を調整することができる。
【0047】
マイクロレンズアレイ層における各マイクロレンズのサイズはDpである場合、0.2μm<Dp<10μmという条件を満たしてよい。これにより、集光量と画像分析能力の両方を考慮に入れたマイクロレンズサイズ範囲を提供することができる。
【0048】
マイクロレンズアレイ層における複数のマイクロレンズの数はPNである場合、700万<PN<10億という条件を満たしてよい。これにより、高画像解像度のカメラモジュールを提供することができる。
【0049】
カメラモジュールは、電子感光素子を駆動すための駆動装置を更に含んでもよい。駆動装置を配置することで、画像を安定させる駆動能力を、電子感光素子に提供することができる。これにより、電子感光素子に、画像安定の効果を達成させる。
【0050】
保護ガラスは、物体側の面及び画像側の面を含んでもよく、且つ反射防止膜層が保護ガラスの物体側の面及び画像側の面に設けられる。これにより、保護ガラスの表面の反射及び内部の二次反射を効果的に減少することができる。
【0051】
上記の本開示内容のカメラモジュールにおける各技術的特徴は、組み合わせて配置されることで、対応する効果を達成させることができる。
【0052】
具体的に、カメラモジュールは、車用のカメラモジュールや、モバイル装置のカメラモジュールであってもよいし、ヘッドマウント装置のカメラモジュールであってもよいが、本開示内容はこれらに限定されない。
【0053】
反射防止膜層は、電子感光素子の製造過程の何れの段階でめっきされてもよい。詳しくは、反射防止膜層のめっき工程としては、感光チップを回路基板に取り付ける前の段階で反射防止膜層を感光チップにめっきしてよく、更に、ウェハ全体の製造段階でめっきしてもよいし、ウェハの切断後の結晶粒形成の製造段階でめっきしてもよいし、結晶粒のパッケージング完了後に保護ガラスを取り外して、結晶粒を外部環境に露出した後でめっきして、続いて保護ガラスを改めてパッケージングし、最後に反射防止膜層がめっきされた感光チップに対して後のプロセスを行ってもよい。また、反射防止膜層のめっき工程としては、感光チップを回路基板に取り付けた後の段階で反射防止膜層を感光チップにめっきしてもよく、更に、感光チップを結晶粒の形態で回路基板に取り付け、次に感光チップと回路基板を全体としてめっきし、必要に応じて、遮蔽板に合わせてコーティング領域を定義し、最後に後のプロセスを行ってもよい。また、反射防止膜層のめっき工程としては、感光チップを回路基板に取り付けてワイヤーボンド工程を完了する段階で、更に、感光チップを金線で回路基板に電気的に接続し、次にワイヤーボンドされた感光チップと回路基板を全体としてめっきし、最後に後のプロセスを行う。電子感光素子のプロセスは、ダイボンド(diebond)、ワイヤーボンドプロセス(wirebond)、パッケージングプロセス、回路基板の埋め込み射出成形、切断を含んでよいが、本開示内容はこれらに限定されない。ウェハの製造段階は、感光層プロセス、フィルタ層プロセス、マイクロレンズ層プロセス、光学フィルムプロセス、保護膜層プロセス、メタレンズ(Meta-Lens)プロセス、遮光層プロセスを含んでもよいが、本開示内容はこれらに限定されない。
【0054】
本開示内容は、前述のカメラモジュールを備える電子装置を提供する。
【0055】
本開示内容は、前述のカメラモジュールを備える車両工具を提供する。
【0056】
上記実施形態によれば、以下で具体的な実施形態及び実施例を例示して図面を参照して詳細に説明する。
【0057】
<第1の実施形態>
【0058】
本開示内容の第1の実施形態による第1の実施例におけるカメラモジュール10を示す模式図である
図1を参照されたい。
図1に示すように、カメラモジュール10は、結像レンズモジュール(図面に標示せず)と、光学フラット板120と、電子感光素子130と、を備える。結像レンズモジュールは、光軸Xを有する。光学フラット板120は、結像レンズモジュールと電子感光素子130との間に設けられる。電子感光素子130は、基板131と、光電変換層132(
図2Aに示す)と、マイクロレンズアレイ層134と、フィルタ層133(
図2Aに示す)と、反射防止膜層135(
図2Aに示す)と、を含み、結像レンズモジュールの結像面(図示せず)に設けられる。光電変換層132は、基板131の物体側の面に設けられる。光電変換層132は、結像光Lの光信号を電子信号に変換するために使用される。マイクロレンズアレイ層134は、結像光Lのエネルギーを光電変換層132に集中するために使用される。フィルタ層133は、光電変換層132とマイクロレンズアレイ層134との間に設けられ、且つ結像光Lにおける特定の波長帯の光を吸収するために使用される。結像光がカメラモジュールに入ると、反射防止膜層の設けられた電子感光素子によって、カメラモジュールの迷光を効果的に除去し、更に集光能力を高めることができ、且つフィルタ層の透過率を向上させ、電子感光素子の色再現性を強化することができる。これにより、結像品質を向上させることができる。
【0059】
具体的に、結像レンズモジュールは、鏡筒111と、結像レンズモジュールの物体側から画像側に順次に並べられるように鏡筒111の中に設けられる複数のレンズ112と、を含んでよい。また、鏡筒111には、必要に応じて、例えば遮光シート、間隔環、固定環等の他の光学素子を設置してもよいが、ここで別に説明しない。
【0060】
図2A、
図2B、
図2C及び
図2Dを合わせて参照されたく、
図2Aは、
図1の第1の実施形態による第1の実施例における電子感光素子130を示す模式図であり、
図2Bは、
図2Aの第1の実施形態による第1の実施例におけるマイクロレンズアレイ層134を電子顕微鏡で撮影した写真であり、
図2Cは、
図2Aの第1の実施形態による第1の実施例におけるマイクロレンズアレイ層134を電子顕微鏡で撮影した他の写真であり、
図2Dは、
図2Aの第1の実施形態による第1の実施例における電子感光素子130の側面断面図を電子顕微鏡で撮影した写真である。説明する必要があるのは、第1の実施形態において、電子感光素子は、異なる光学設計要件に応じて、第1の実施例、第2の実施例、第3の実施例及び第4の実施例という4つの異なる構造の電子感光素子130、230(
図3に示す)、330(
図4に示す)、430(
図5に示す)を提供することができるが、第1の実施形態の第1の実施例、第2の実施例、第3の実施例及び第4の実施例における他の素子及びその構成関係は何れも同じであるため、繰り返して説明しない。
【0061】
反射防止膜層135は、フィルタ層133及びマイクロレンズアレイ層134の少なくとも一方の表面に設けられ、不規則なナノ粒子構造層1351と、不規則なナノ粒子構造層1351に接続される光学的接続膜層1352と、を含む。
図2A及び
図2Dに示すように、第1の実施例において、反射防止膜層135は、マイクロレンズアレイ層134の物体側の面に設けられる。更に、反射防止膜層135の光学的接続膜層1352は、マイクロレンズアレイ層134の物体側の面に設けられる。
図2B及び
図2Cは、異なる倍率の電子顕微鏡で観察されたマイクロレンズアレイ層134の各マイクロレンズ1341の構造である。
【0062】
具体的に、不規則なナノ粒子構造層1351は、金属酸化物で製造されてよい。第1の実施例において、不規則なナノ粒子構造層1351は、アルミナで製造されてよい。更に、光学的接続膜層1352は、シリカで製造されてよい。これにより、プロセスを加速し、大量の生産を促進するのに役に立つ。
【0063】
第1の実施例において、光学的接続膜層1352の頂部は、空気に部分的に接触する。つまり、光学的接続膜層1352の不規則なナノ粒子構造層1351に接触する表面に、一部が空気に接触する露出部分1353を有する。更に、不規則なナノ粒子構造層1351全体は、微細穴構造である。これにより、光学的接続膜層1352と不規則なナノ粒子構造層1351との間の光界面の光学的な整合を調整することができる。
【0064】
フィルタ層133は、各種の波長範囲のフィルタ材料が二次元配列の形態で並べられてよい。詳しくは、フィルタ層133は、RGGBの形態で並べられてよいし、RYYBの形態で並べられてもよいが、本開示内容はこれに限定されない。第1の実施例において、フィルタ層133は、赤、緑、青の3つのフィルタ材料が二次元配列の形態で並べられる。これにより、フィルタ層133は、特定の波長範囲の光を通過させることができる。
【0065】
第1の実施例において、不規則なナノ粒子構造層1351の材料の屈折率はNcであり、光学的接続膜層1352の材料の屈折率はNfであり、不規則なナノ粒子構造層1351の高さはHcであり、光学的接続膜層1352の膜厚はHfであり、反射防止膜層135の全高はHであり、マイクロレンズアレイ層134における各マイクロレンズ1341のサイズはDpであり、マイクロレンズアレイ層134における複数のマイクロレンズ1341の数はPNであり、前記パラメータは下記表1の条件を満たす。
【表1】
【0066】
ところで、不規則なナノ粒子構造層1351の材料の屈折率Ncとは、アルミナで製造された不規則なナノ粒子構造層1351が光学膜層の形態で表現される際に持つ屈折率を指す。不規則なナノ粒子構造層1351が不規則なナノ粒子構造の形態でフィルムを形成する場合、その構造の形状により、体積の一部は空気により取り替えられて、フィルムの等価屈折率が結晶粒構造の密度に応じて1.00の方向へ変化する。
【0067】
図1の第1の実施形態による第2の実施例における電子感光素子230を示す模式図である
図3を合わせて参照されたい。
図3に示すように、第2の実施例において、電子感光素子230は、基板231と、光電変換層232と、マイクロレンズアレイ層234と、フィルタ層233と、反射防止膜層235と、を含む。説明する必要があるのは、基板231、光電変換層232、フィルタ層233、マイクロレンズアレイ層234の、第1の実施例における基板131、光電変換層132、フィルタ層133、マイクロレンズアレイ層134と同様なの構造や構成については、ここで別に説明しない。
【0068】
フィルタ層233は、赤、黄、青の3つのフィルタ材料が二次元配列の形態で並べられる。これにより、フィルタ層233は、特定の波長範囲の光を通過させることができる。
【0069】
反射防止膜層235は、フィルタ層233及びマイクロレンズアレイ層234の少なくとも一方の表面に設けられ、不規則なナノ粒子構造層2351と、不規則なナノ粒子構造層2351に接続される光学的接続膜層2352と、を含む。具体的に、不規則なナノ粒子構造層2351は、金属酸化物で製造されてよい。第2の実施例において、不規則なナノ粒子構造層2351は、アルミナで製造されてよい。更に、光学的接続膜層2352は、シリカで製造されてよい。これにより、プロセスを加速し、大量の生産を促進するのに役に立つ。
【0070】
具体的に、反射防止膜層235は、フィルタ層233とマイクロレンズアレイ層234との間に設けられ、且つ光学的接続膜層2352はフィルタ層233の物体側の面に設けられる。これにより、フィルタ層233の色識別の効果を強化することができる。
【0071】
第2の実施例において、不規則なナノ粒子構造層2351の材料の屈折率はNcであり、光学的接続膜層2352の材料の屈折率はNfであり、不規則なナノ粒子構造層2351の高さはHcであり、光学的接続膜層2352の膜厚はHfであり、反射防止膜層235の全高はHであり、マイクロレンズアレイ層234における各マイクロレンズのサイズはDpであり、マイクロレンズアレイ層234における複数のマイクロレンズの数はPNであり、前記パラメータは下記表2の条件を満たす。
【表2】
【0072】
図1の第1の実施形態による第3の実施例における電子感光素子330を示す模式図である
図4を合わせて参照されたい。
図4に示すように、第3の実施例において、電子感光素子330は、基板331と、光電変換層332と、マイクロレンズアレイ層334と、フィルタ層333と、反射防止膜層(図面に標示せず)と、を含む。説明する必要があるのは、基板331、光電変換層332、フィルタ層333、マイクロレンズアレイ層334の、第1の実施例における基板131、光電変換層132、フィルタ層133、マイクロレンズアレイ層134と同様なの構造や構成については、ここで別に説明しない。
【0073】
フィルタ層333は、赤、緑、青という3つのフィルタ材料が二次元配列の形態で並べられる。これにより、フィルタ層333は、特定の波長範囲の光を通過させることができる。
【0074】
反射防止膜層は、フィルタ層333及びマイクロレンズアレイ層334の少なくとも一方の表面に設けられ、複数の穴構造を有する不規則なナノ構造層335を含む。これにより、反射防止膜層は、プラズマエッチングによって製造されることができる。具体的に、反射防止膜層は、マイクロレンズアレイ層334の物体側の面に設けられる。これにより、大角度の非結像光の発生確率を低下させることができる。
【0075】
第3の実施例において、電子感光素子330の全体構造は、湾曲状構造である。具体的に、電子感光素子330の物体側の面は、開口が凹んだ湾曲状表面である。マイクロレンズアレイ層334における各マイクロレンズのサイズはDpであり、Dp=2.2μmであり、マイクロレンズアレイ層334におけるマイクロレンズの数はPNであり、PN=7000万である。
【0076】
図1の第1の実施形態による第4の実施例における電子感光素子430を示す模式図である
図5を合わせて参照されたい。
図5に示すように、第4の実施例において、電子感光素子430は、基板431と、光電変換層432と、マイクロレンズアレイ層434と、フィルタ層433と、反射防止膜層435と、を含む。説明する必要があるのは、基板431、光電変換層432、フィルタ層433、マイクロレンズアレイ層434の、第1の実施例における基板131、光電変換層132、フィルタ層133、マイクロレンズアレイ層134と同様なの構造や構成については、ここで別に説明しない。
【0077】
フィルタ層433は、赤外線のフィルタ材料が二次元配列の形態で並べられる。これにより、フィルタ層433は、特定の波長範囲の光を通過させることができる。
【0078】
反射防止膜層435は、材料の屈折率に段差を有する複数の膜層4351、4352により交互に積層されており、且つ高低交互の回数が少なくとも3回である光学多膜層積層構造(図面に標示せず)を含み、フィルタ層433及びマイクロレンズアレイ層434の少なくとも一方の表面に設けられる。詳しくは、膜層4351は、高い材料の屈折率を有するものであり、膜層4352は、低い材料の屈折率を有するものであり、且つ高低交互の回数は膜層4351、4352との間に形成された界面の数である。具体的に、高い材料の屈折率を有する膜層4351は、アルミナで製造されてよく、低い材料の屈折率を有する膜層4352は、シリカ(SiO2)で製造されてよいが、本開示内容はこれらに限定されない。第4の実施例において、膜層4351、4352の高低交互の回数は7回である。これにより、反射防止膜層435は、化学蒸着又は物理蒸着によって製造されてよい。
【0079】
第4の実施例において、マイクロレンズアレイ層434における各マイクロレンズのサイズはDpであり、Dp=1.7μmであり、マイクロレンズアレイ層434における複数のマイクロレンズの数はPNであり、PN=800万である。
【0080】
<第2の実施形態>
【0081】
本開示内容の第2の実施形態によるカメラモジュール10aを示す模式図である
図6を参照されたい。
図6に示すように、カメラモジュール10aは、結像レンズモジュール(図面に標示せず)と、光学フラット板120aと、電子感光素子130aと、光折り曲げ要素140aと、を備える。結像レンズモジュールは、光軸Xを有する。光学フラット板120aは、結像レンズモジュールと電子感光素子130aとの間に設けられる。電子感光素子130aは、結像レンズモジュールの結像面(図示せず)に設けられ、且つ前述の第1の実施形態による第1の実施例から第4の実施例における電子感光素子130、230、330、430の何れか1つであってもよいが、本開示内容はこれらに限定されない。光折り曲げ要素140aは、結像レンズモジュールの物体側の面に設けられ、結像光を光路L1から光軸Xに折り曲げるために使用される。結像光がカメラモジュールに入ると、反射防止膜層の設けられた電子感光素子によって、カメラモジュールの迷光を効果的に除去することができ、集光能力を高め、電子感光素子の色再現性を強化することができる。
【0082】
具体的に、結像レンズモジュールは、鏡筒111aと、結像レンズモジュールの物体側から画像側まで順次に並べられるように鏡筒111aの中に設けられる複数のレンズ112aと、を含む。また、鏡筒111aには、必要に応じて、例えば遮光シート、間隔環、固定環等の他の光学素子を設置してもよいが、ここで別に説明しない。結像レンズモジュール、光学フラット板120a、電子感光素子130a及び光折り曲げ要素140aを配置することで、カメラモジュール10aは、遠方の画像を撮影し、高倍率に拡大することで、望遠カメラの機能を実現することができる。
【0083】
<第3の実施形態>
【0084】
本開示内容の第3の実施形態によるカメラモジュール10bを示す模式図である
図7を参照されたい。
図7に示すように、カメラモジュール10bは、結像レンズモジュール(図面に標示せず)と、光学フラット板120bと、電子感光素子130bと、を含む。結像レンズモジュールは、光軸Xを有する。光学フラット板120bは、結像レンズモジュールと電子感光素子130bとの間に設けられる。電子感光素子130bは、結像レンズモジュールの結像面(図示せず)に設けられ、且つ前述の第1の実施形態による第1の実施例から第4の実施例における電子感光素子130、230、330、430の何れか1つであってもよいが、本開示内容はこれらに限定されない。結像光がカメラモジュールに入ると、反射防止膜層の設けられた電子感光素子によって、カメラモジュールの迷光を効果的に除去することができ、集光能力を高め、電子感光素子の色再現性を強化することができる。
【0085】
具体的に、結像レンズモジュールは、鏡筒111bと、鏡筒111bの中に設けられ、且つ結像レンズモジュールの物体側から画像側まで順次に並べられる複数のレンズ112bと、を含む。また、鏡筒111bには、必要に応じて、例えば遮光シート、間隔環、固定環等の他の光学素子を設置してもよいが、ここで別に説明しない。結像レンズモジュール、光学フラット板120b及び電子感光素子130bを配置することで、車両工具に適用されるカメラモジュール10bを提供することができる。
【0086】
<第4の実施形態>
【0087】
本開示内容の第4の実施形態によるカメラモジュール10cを示す模式図である
図8Aを参照されたい。
図8Aに示すように、カメラモジュール10cは、結像レンズモジュール(図面に標示せず)と、光学フラット板120cと、電子感光素子530と、を含む。結像レンズモジュールは、光軸Xを有する。光学フラット板120cは、結像レンズモジュールと電子感光素子530との間に設けられる。電子感光素子530は、結像レンズモジュールの結像面(図示せず)に設けられ、且つ基板531と、光電変換層532(
図8Bに示す)と、マイクロレンズアレイ層534と、フィルタ層533(
図8Bに示す)と、保護ガラス536と、2つの反射防止膜層535、537(
図8Bに示す)と、を含む。光電変換層532は、基板531の物体側の面に設けられる。光電変換層532は、結像光Lの光信号を電子信号に変換するために使用される。マイクロレンズアレイ層534は、結像光Lのエネルギーを光電変換層532に集中するために使用される。フィルタ層533は、光電変換層532とマイクロレンズアレイ層534との間に設けられ、且つ結像光Lにおける特定の波長帯の光を吸収するために使用される。保護ガラス536とマイクロレンズアレイ層534との間に、電子感光素子530の外部空間から隔離された内部空間層5341(
図8Bに示す)が形成される。結像光がカメラモジュールに入ると、反射防止膜層の設けられた電子感光素子によって、カメラモジュールの迷光を効果的に除去し、更に集光能力を高めることができ、フィルタ層の透過率を向上させることができ、電子感光素子の色再現性を高めることができる。これにより、結像品質を向上させることができる。
【0088】
具体的に、結像レンズモジュールは、鏡筒111cと、結像レンズモジュールの物体側から画像側まで順次に並べられるように鏡筒111cの中に設けられる複数のレンズ112cと、を含んでよい。また、鏡筒111cには、必要に応じて、例えば遮光シート、間隔環、固定環等の他の光学素子を設置してもよいが、ここで別に説明しない。
【0089】
図8Aの第4の実施形態による電子感光素子530を示す模式図である
図8Bを合わせて参照されたい。
図8Bに示すように、反射防止膜層535は、マイクロレンズアレイ層534の物体側の面に設けられる。反射防止膜層537は、保護ガラス536の少なくとも1つの表面に設けられる。反射防止膜層535は、不規則なナノ粒子構造層5351及び光学的接続膜層5352を含む。反射防止膜層537は、不規則なナノ粒子構造層5371及び光学的接続膜層5372を含む。光学的接続膜層5352、5372は、それぞれ不規則なナノ粒子構造層5351、5371に接続される。
【0090】
具体的に、不規則なナノ粒子構造層5351、5371は、金属酸化物で製造されてよい。第4の実施形態において、不規則なナノ粒子構造層5351、5371は、アルミナで製造されてよい。更に、光学的接続膜層5352、5372は、シリカで製造されてよい。これにより、プロセスの加速や、大量の生産に役に立つ。
【0091】
更に、保護ガラス536は、物体側の面及び画像側の面を含み、且つ反射防止膜層537は、保護ガラス536の物体側の面及び画像側の面に設けられる。これにより、保護ガラス536の表面反射及び内部の二次反射を効果的に減少することができる。
【0092】
第4の実施形態において、保護ガラス536は、板ガラスであってよく、板ガラスと感光チップをそれぞれ基板531に組み立て電子感光素子530を形成し、且つ基板531は回路基板であってよいが、本開示内容はこれに限定されない。
【0093】
フィルタ層533は、赤、緑、青の3つのフィルタ材料が二次元配列の形態で並べられる。これにより、フィルタ層533は、特定の波長範囲の光を通過させることができる。
【0094】
第4の実施形態において、不規則なナノ粒子構造層5351、5371の材料の屈折率はNcであり、光学的接続膜層5352、5372の材料の屈折率はNfであり、不規則なナノ粒子構造層5351、5371の高さはHcであり、光学的接続膜層5352、5372の膜厚はHfであり、反射防止膜層535の全高はHであり、マイクロレンズアレイ層534における各マイクロレンズのサイズはDpであり、マイクロレンズアレイ層534における複数のマイクロレンズの数はPNであり、前記パラメータは下記表3の条件を満たす。
【表3】
【0095】
<第5の実施形態>
【0096】
本開示内容の第5の実施形態によるカメラモジュール10dを示す模式図である
図9を参照されたい。
図9に示すように、カメラモジュール10dは、結像レンズモジュール110dと、光学フラット板120dと、電子感光素子130dと、4つの駆動装置140dと、を備える。結像レンズモジュール110dは、光軸Xを有する。光学フラット板120dは、結像レンズモジュール110dと電子感光素子130dとの間に設けられる。電子感光素子130dは、結像レンズモジュールの結像面(図示せず)に設けられ、且つ前述の第1の実施形態による第1の実施例から第4の実施例における電子感光素子130、230、330、430及び第4の実施形態による電子感光素子530の何れか1つであってよいが、本開示内容はこれらに限定されない。駆動装置140dは、電子感光素子130dを駆動するために使用される。駆動装置140dを配置することで、画像を安定させる駆動能力を、電子感光素子130dに提供することができる。これにより、電子感光素子130dに、画像安定の効果を達成させることができる。
【0097】
<第6の実施形態>
【0098】
図10A及び
図10Bを参照されたく、
図10Aは、本開示内容の第6の実施形態による電子装置20を示す模式図であり、
図10Bは、
図10Aの第6の実施形態による電子装置20を示す他の模式図である。
図10Aと
図10Bから分かるように、第6の実施形態の電子装置20は、少なくとも1つのカメラモジュールを備えるスマートフォンであり、第6の実施形態において、カメラモジュールは3つであり、これらの3つのカメラモジュールはそれぞれ超広角カメラモジュール22、高ピクセルカメラモジュール23、望遠カメラモジュール24である。更に、カメラモジュールは、前述の第1の実施形態から第5の実施形態の何れか1つのカメラモジュールであってもよいが、本開示内容はこれらに限定されない。これにより、現在の電子装置市場のそれに搭載されたカメラモジュールの大量生産及び外観要件に対する要求を満たすことに役に立つ。
【0099】
更に、ユーザーは、電子装置20のユーザーインターフェース21を介して撮影モードに入り、第6の実施形態によるユーザーインターフェース21は、タッチスクリーンであってよく、画面の表示に使用され、タッチ機能を備えており、且つ撮影角度を手動で調整して異なるカメラモジュールを切り替えることに用いられることができる。この時、カメラモジュールは、結像光を電子感光素子に集中し、画像に関連する電子信号を結像信号処理素子(Image Signal Processor;ISP)25に出力する。
【0100】
なお、電子装置20は、ディスプレイ(Display)、制御ユニット(Control Unit)、記憶ユニット(Storage Unit)、一時的な記憶ユニット(RAM)、読み取り専用記憶ユニット(ROM)又はそれらの組み合わせを更に含んでよいが、これらに制限されない。
【0101】
図10Cは、
図10Aの第6の実施形態による超広角カメラモジュール22で撮影した画像模式図である。
図10Cから分かるように、超広角カメラモジュール22で広い範囲の画像を撮影することができ、より多くの風景を収納する機能を備える。
【0102】
図10Dは、
図10Aの第6の実施形態による高ピクセルカメラモジュール23で撮影した画像模式図である。
図10Dから分かるように、高ピクセルカメラモジュール23で一定の範囲且つ高ピクセルを有する画像を撮影することができ、高解像度及び低歪み機能を備える。
【0103】
図10Eは、
図10Aの第6の実施形態による望遠カメラモジュール24で撮影した画像模式図である。
図10Eから分かるように、望遠カメラモジュール24は、高倍率の拡大機能を備え、遠方の画像を撮影して高倍率に拡大することができる。
【0104】
図10C~
図10Eから分かるように、焦点距離の異なるカメラモジュールによって撮影し、画像処理の技術に合わせて、電子装置20でズーム機能を実現することができる。
【0105】
<第7の実施形態>
【0106】
本開示内容の第7の実施形態による電子装置30を示す模式図である
図11を参照されたい。
図11から分かるように、第7の実施形態の電子装置30は、少なくとも1つのカメラモジュールを備えるスマートフォンであり、第7の実施形態において、カメラモジュールは9つであり、これらの9つのカメラモジュールはそれぞれ2つの超広角カメラモジュール31、2つの広角カメラモジュール32、2つの高ピクセルカメラモジュール33、2つの望遠カメラモジュール34及び1つのTOFモジュール35(Time-Of-Flight;飛行時間測距モジュール)である。更に、カメラモジュールは、前述の第1の実施形態から第5の実施形態の何れか1つのカメラモジュールであってもよいが、本開示内容はこれらに限定されない。これにより、現在の電子装置市場におけるそれに搭載されたカメラモジュールの大量生産及び外観要件への要求を満たすことに役に立つ。
【0107】
電子装置30のカメラ仕様に応じて、電子装置30は、少なくとも1つの補助光学素子(図面に標示せず)を更に含んでもよい。第7の実施形態において、補助光学素子は、フラッシュモジュール36である。フラッシュモジュール36は、色温度を補償するために使用されることができる。これにより、本開示内容のカメラモジュールに合わせてより良い撮影体験を提供することができる。
【0108】
<第8の実施形態>
【0109】
本開示内容の第8の実施形態による車両工具40を示す模式図である
図12Aを参照されたい。
図12Aに示すように、車両工具40は、複数のカメラモジュール41を備える。カメラモジュール41は、前述の第1の実施形態から第5の実施形態の何れか1つであってよいが、本開示内容はこれらに限定されない。
【0110】
第8の実施形態において、2つのカメラモジュール41は、それぞれ車両工具40の左右バックミラーの下方に位置し、視角θの画像情報を取り込む。具体的に、視角θは、40度<θ<90度という条件を満たしてよい。これにより、左右の両側にある車線範囲内の画像情報を取り込むことができる。
【0111】
図12B、
図12C及び
図12Dを合わせて参照されたく、
図12Bは、
図12Aの第8の実施形態による車両工具40を示す上面図であり、
図12Cは、
図12Bの第8の実施形態による車両工具40を示す部分拡大模式図であり、
図12Dは、
図12Aの第8の実施形態による車両工具40を示す他の模式図である。
図12B及び
図12Cに示すように、2つのカメラモジュール41は、車両工具40内の空間に設けられてよい。具体的に、前記2つのカメラモジュール41は、それぞれ車内バックミラーに近い位置及びリアウィンドウに近い位置に設けられる。更に、2つのカメラモジュール41は、それぞれ車両工具40の左右リアミラーの非ミラー面に設けられてよい。
図12Dに示すように、カメラモジュール41を配置することで、運転者は、運転室以外の外部空間情報、例えば外部空間情報S1、S2、S3、S4を取得することに役に立つが、本開示内容はこれらに限定されない。これにより、より多くの視角を提供して死角を減らし、更に運転の安全性を向上させることができる。
【0112】
本発明では、実施例を前述の通りに開示したが、これは本発明を限定するものではなく、当業者であれば、本発明の精神と領域から逸脱しない限り、若干の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の保護範囲は、後の特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0113】
10、10a、10b、10c、10d、41 カメラモジュール
111、111a、111b、111c 鏡筒
112、112a、112b、112c レンズ
120、120a、120b、120c、120d 光学フラット板
130、130d、230、330、430、530 電子感光素子
131、231、331、431、531 基板
132、232、332、432、532 光電変換層
133、233、333、433、533 フィルタ層
134、234、334、434、534 マイクロレンズアレイ層
1341 マイクロレンズ
135、235、435、535、537 反射防止膜層
1351、2351、5351、5371 不規則なナノ粒子構造層
1352、2352、5352、5372 光学的接続膜層
140a 光折り曲げ要素
140d 駆動装置
20、30 電子装置
21 ユーザーインターフェース
22、31 超広角カメラモジュール
23、33 高ピクセルカメラモジュール
24、34 望遠カメラモジュール
32 広角カメラモジュール
335 不規則なナノ構造層
35 TOFモジュール
36 フラッシュモジュール
40 車両工具
4351、4352 膜層
536 保護ガラス
L 結像光
L1、L2 光路
H 反射防止膜層の全高
Hc 不規則なナノ粒子構造層の高さ
Hf 光学的接続膜層の膜厚
S1、S2、S3、S4 外部空間情報
X 光軸
θ 視角