(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】光電変換装置
(51)【国際特許分類】
H04N 25/78 20230101AFI20240520BHJP
H04N 25/76 20230101ALI20240520BHJP
【FI】
H04N25/78
H04N25/76
(21)【出願番号】P 2022083129
(22)【出願日】2022-05-20
【審査請求日】2022-09-26
(31)【優先権主張番号】P 2021198339
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】大下内 和樹
(72)【発明者】
【氏名】山崎 和男
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/132822(WO,A1)
【文献】特開2009-044680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/00-25/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素と、
対応する画素から信号が各々出力される複数の出力線と、
前記複数の出力線の各々に対応して配され、対応する出力線に出力された信号を増幅する増幅部と、
前記複数の出力線の各々に対応して配され、第1入力端子及び第2入力端子を有し、前記第1入力端子に前記増幅部の出力に応じた信号が入力され、前記第2入力端子に参照信号が入力される比較部と、
第1端子及び第2端子を有するスイッチと、
を有し、
前記複数の出力線は第1出力線及び第2出力線を含み、
前記第1端子は、前記第1出力線に対応する増幅部と前記第1出力線に対応する比較部の間のノードに接続されており、
前記第2端子は、前記第2出力線に対応する増幅部と前記第2出力線に対応する比較部の間のノードに接続されており、
前記比較部は、前記第1入力端子及び前記第2入力端子に入力されている電位に基づいてオフセットを設定するオフセットクランプ動作を行うことが可能であり、
前記比較部は、前記増幅部の出力に応じた前記信号と、前記参照信号と、の比較動作を行うことが可能であり、
前記オフセットクランプ動作が完了する前の期間において、前記スイッチがオンにな
り、
前記オフセットクランプ動作が完了した後かつ前記オフセットクランプ動作完了後の最初の前記比較動作が開始する前の期間において、前記スイッチがオフになる
ことを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
前記複数の出力線の各々に対応して配され、前記増幅部から出力された信号を保持する保持容量を更に有し、
前記第1端子は、前記第1出力線の保持容量に接続されており、
前記第2端子は、前記第2出力線の保持容量に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記複数の出力線の各々に対応して配された第1入力容量を更に有し、
前記増幅部の出力に応じた信号が前記第1入力容量を介して前記第1入力端子に入力され、
前記第1端子は、前記第1出力線の第1入力容量に接続されており、
前記第2端子は、前記第2出力線の第1入力容量に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記複数の出力線の各々に対応して配され、前記増幅部から出力された信号が保持される保持容量と、
前記複数の出力線の各々に対応して、前記保持容量と前記第1入力容量の間に配された第1バッファと、
を更に有し、
前記第1端子は、前記第1出力線に対応する第1バッファと前記第1出力線に対応する第1入力容量の間のノードに接続されており、
前記第2端子は、前記第2出力線に対応する第1バッファと前記第2出力線に対応する第1入力容量の間のノードに接続されている
ことを特徴とする請求項3に記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記信号は、ノイズ信号と光電変換信号とを含み、前記比較動作は、前記ノイズ信号と前記光電変換信号とを用いる
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記画素は、転送トランジスタを含み、前記転送トランジスタがオンになることによって前記画素は前記光電変換信号を出力し、前記転送トランジスタがオンになる前の期間において、前記スイッチがオフになる
ことを特徴とする請求項5に記載の光電変換装置。
【請求項7】
複数の画素と、
対応する画素から信号が各々出力される複数の出力線と、
前記複数の出力線の各々に対応して配され、対応する出力線に出力された信号を増幅する増幅部と、
前記複数の出力線の各々に対応して配され、第1入力端子及び第2入力端子を有し、前記第1入力端子に前記増幅部の出力に応じた信号が入力され、前記第2入力端子に参照信号が入力される比較部と、
前記複数の出力線の各々に対応して配された第2入力容量と、
第1端子及び第2端子を有するスイッチと、
を有し、
前記参照信号が前記第2入力容量を介して前記第2入力端子に入力され、
前記複数の出力線は第1出力線及び第2出力線を含み、
前記第1端子は、前記第1出力線に対応する第2入力容量に接続されており、
前記第2端子は、前記第2出力線に対応する第2入力容量に接続されており、
前記比較部は、前記第1入力端子及び前記第2入力端子に入力されている電位に基づいてオフセットを設定するオフセットクランプ動作を行うことが可能であり、
前記オフセットクランプ動作が完了する前の期間において、前記スイッチがオンになる
ことを特徴とする光電変換装置。
【請求項8】
前記複数の出力線の各々に対応して、前記参照信号が供給される信号線と前記第2入力容量の間に配された第2バッファを更に有し、
前記第1端子は、前記第1出力線に対応する第2バッファと前記第1出力線に対応する第2入力容量の間のノードに接続されており、
前記第2端子は、前記第2出力線に対応する第2バッファと前記第2出力線に対応する第2入力容量の間のノードに接続されている
ことを特徴とする請求項
7に記載の光電変換装置。
【請求項9】
前記比較部は、前記増幅部の出力に応じた前記信号と、前記参照信号と、の比較動作を行うことが可能であり、
前記オフセットクランプ動作が完了した後かつ前記オフセットクランプ動作完了後の最初の前記比較動作が開始する前の期間において、前記スイッチがオフになる
ことを特徴とする請求項7に記載の光電変換装置。
【請求項10】
前記スイッチの動作は、前記増幅部のゲインの設定に応じて異なる
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項11】
前記スイッチの動作は、前記比較部のゲインの設定に応じて異なる
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項12】
前記スイッチの動作は、前記参照信号の電位の単位時間当たりの変化量に応じて異なる
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項13】
前記スイッチの動作は、前記光電変換装置の温度に応じて異なる
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項14】
前記スイッチがオフになった後、前記参照信号の電位は時間に依存した変化を開始する
ことを特徴とする請求項
1に記載の光電変換装置。
【請求項15】
第3端子及び第4端子を有する出力線接続スイッチを更に有し、
前記第3端子は、前記第1出力線に対応する画素と前記第1出力線に対応する増幅部の間のノードに接続されており、
前記第4端子は、前記第2出力線に対応する画素と前記第2出力線に対応する増幅部の間のノードに接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項16】
前記オフセットクランプ動作が完了する前の期間において、前記出力線接続スイッチがオンになる
ことを特徴とする請求項
15に記載の光電変換装置。
【請求項17】
前記複数の出力線は第3出力線を更に含み、
前記オフセットクランプ動作が完了する時点において、前記第1出力線に対応する比較部に入力される参照信号の電位と前記第3出力線に対応する比較部に入力される参照信号の電位とが互いに異なる
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項18】
複数の画素と、
対応する画素から信号が各々出力される複数の出力線と、
前記複数の出力線の各々に対応して配され、第1入力端子及び第2入力端子を有し、前記第1入力端子に前記出力線の出力に応じた信号が入力され、前記第2入力端子に参照信号が入力される比較部と、
第1端子及び第2端子を有するスイッチと、
前記複数の出力線の各々に対応して配された第1入力容量と、
を有し、
前記出力線の出力に応じた信号が前記第1入力容量を介して前記第1入力端子に入力され、
前記複数の出力線は第1出力線及び第2出力線を含み、
前記第1端子は、前記第1出力線に対応する第1入力容量に接続されており、
前記第2端子は、前記第2出力線に対応する第1入力容量に接続されており、
前記比較部は、前記第1入力端子及び前記第2入力端子に入力されている電位に基づいてオフセットを設定するオフセットクランプ動作を行うことが可能であり、
前記比較部は、前記出力線の出力に応じた前記信号と、前記参照信号と、の比較動作を行うことが可能であり、
前記オフセットクランプ動作が完了する前の期間において、前記スイッチがオンになり、
前記オフセットクランプ動作が完了した後
かつ前記オフセットクランプ動作完了後の最初の前記比較動作が開始する前の期間において、前記スイッチがオフになる
ことを特徴とする光電変換装置。
【請求項19】
前記信号は、ノイズ信号と光電変換信号とを含み、前記比較動作は、前記ノイズ信号と前記光電変換信号とを用いる
ことを特徴とする請求項18に記載の光電変換装置。
【請求項20】
前記画素は、転送トランジスタを含み、前記転送トランジスタがオンになることによって前記画素は前記光電変換信号を出力し、前記転送トランジスタがオンになる前の期間において、前記スイッチがオフになる
ことを特徴とする請求項19に記載の光電変換装置。
【請求項21】
複数の画素と、
対応する画素から信号が各々出力される複数の出力線と、
前記複数の出力線の各々に対応して配され、第1入力端子及び第2入力端子を有し、前記第1入力端子に前記出力線の出力に応じた信号が入力され、前記第2入力端子に参照信号が入力される比較部と、
前記複数の出力線の各々に対応して配された第2入力容量と、
第1端子及び第2端子を有するスイッチと、
を有し、
前記参照信号が前記第2入力容量を介して前記第2入力端子に入力され、
前記複数の出力線は第1出力線及び第2出力線を含み、
前記第1端子は、前記第1出力線に対応する第2入力容量に接続されており、
前記第2端子は、前記第2出力線に対応する第2入力容量に接続されており、
前記比較部は、前記第1入力端子及び前記第2入力端子に入力されている電位に基づいてオフセットを設定するオフセットクランプ動作を行うことが可能であり、
前記オフセットクランプ動作が完了する前の期間において、前記スイッチがオンになり、
前記オフセットクランプ動作が完了した後に、前記スイッチがオフになる
ことを特徴とする光電変換装置。
【請求項22】
前記比較部は、前記出力線の出力に応じた前記信号と、前記参照信号と、の比較動作を行うことが可能であり、前記オフセットクランプ動作完了後の最初の前記比較動作が開始する前の期間において、前記スイッチがオフになる
ことを特徴とする請求項21に記載の光電変換装置。
【請求項23】
請求項1乃至
22のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置に対応した光学装置、
前記光電変換装置を制御する制御装置、
前記光電変換装置から出力された信号を処理する処理装置、
前記光電変換装置で得られた情報を表示する表示装置、
前記光電変換装置で得られた情報を記憶する記憶装置、及び
前記光電変換装置で得られた情報に基づいて動作する機械装置、の少なくともいずれかと、を備えることを特徴とする機器。
【請求項24】
前記処理装置は、複数の光電変換部にて生成された画像信号をそれぞれ処理し、前記光電変換装置から被写体までの距離情報を取得することを特徴とする請求項
23に記載の機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画素から出力される画素信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル(AD)変換回路を有する固体撮像装置が開示されている。特許文献1に開示されている固体撮像装置は、垂直信号線を列間でショートすることにより、AD変換器の動作時に発生し得るストリーキングによる画質劣化を低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1に記載されている手法では、適用される光電変換装置の回路構成によっては十分な効果が得られない場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、より高品質な信号を出力し得る光電変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、複数の画素と、対応する画素から信号が各々出力される複数の出力線と、前記複数の出力線の各々に対応して配され、対応する出力線に出力された信号を増幅する増幅部と、前記複数の出力線の各々に対応して配され、第1入力端子及び第2入力端子を有し、前記第1入力端子に前記増幅部の出力に応じた信号が入力され、前記第2入力端子に参照信号が入力される比較部と、第1端子及び第2端子を有するスイッチと、を有し、前記複数の出力線は第1出力線及び第2出力線を含み、前記第1端子は、前記第1出力線に対応する増幅部と前記第1出力線に対応する比較部の間のノードに接続されており、前記第2端子は、前記第2出力線に対応する増幅部と前記第2出力線に対応する比較部の間のノードに接続されており、前記比較部は、前記第1入力端子及び前記第2入力端子に入力されている電位に基づいてオフセットを設定するオフセットクランプ動作を行うことが可能であり、前記比較部は、前記増幅部の出力に応じた前記信号と、前記参照信号と、の比較動作を行うことが可能であり、前記オフセットクランプ動作が完了する前の期間において、前記スイッチがオンになり、前記オフセットクランプ動作が完了した後かつ前記オフセットクランプ動作完了後の最初の前記比較動作が開始する前の期間において、前記スイッチがオフになることを特徴とする光電変換装置が提供される。
【0007】
本発明の他の一観点によれば、複数の画素と、対応する画素から信号が各々出力される複数の出力線と、前記複数の出力線の各々に対応して配され、対応する出力線に出力された信号を増幅する増幅部と、前記複数の出力線の各々に対応して配され、第1入力端子及び第2入力端子を有し、前記第1入力端子に前記増幅部の出力に応じた信号が入力され、前記第2入力端子に参照信号が入力される比較部と、前記複数の出力線の各々に対応して配された第2入力容量と、第1端子及び第2端子を有するスイッチと、を有し、前記参照信号が前記第2入力容量を介して前記第2入力端子に入力され、前記複数の出力線は第1出力線及び第2出力線を含み、前記第1端子は、前記第1出力線に対応する第2入力容量に接続されており、前記第2端子は、前記第2出力線に対応する第2入力容量に接続されており、前記比較部は、前記第1入力端子及び前記第2入力端子に入力されている電位に基づいてオフセットを設定するオフセットクランプ動作を行うことが可能であり、前記オフセットクランプ動作が完了する前の期間において、前記スイッチがオンになることを特徴とする光電変換装置が提供される。
【0008】
本発明の他の一観点によれば、複数の画素と、対応する画素から信号が各々出力される複数の出力線と、前記複数の出力線の各々に対応して配され、第1入力端子及び第2入力端子を有し、前記第1入力端子に前記出力線の出力に応じた信号が入力され、前記第2入力端子に参照信号が入力される比較部と、第1端子及び第2端子を有するスイッチと、前記複数の出力線の各々に対応して配された第1入力容量と、を有し、前記出力線の出力に応じた信号が前記第1入力容量を介して前記第1入力端子に入力され、前記複数の出力線は第1出力線及び第2出力線を含み、前記第1端子は、前記第1出力線に対応する第1入力容量に接続されており、前記第2端子は、前記第2出力線に対応する第1入力容量に接続されており、前記比較部は、前記第1入力端子及び前記第2入力端子に入力されている電位に基づいてオフセットを設定するオフセットクランプ動作を行うことが可能であり、前記比較部は、前記出力線の出力に応じた前記信号と、前記参照信号と、の比較動作を行うことが可能であり、前記オフセットクランプ動作が完了する前の期間において、前記スイッチがオンになり、前記オフセットクランプ動作が完了した後かつ前記オフセットクランプ動作完了後の最初の前記比較動作が開始する前の期間において、前記スイッチがオフになることを特徴とする光電変換装置が提供される。
【0009】
本発明の他の一観点によれば、複数の画素と、対応する画素から信号が各々出力される複数の出力線と、前記複数の出力線の各々に対応して配され、第1入力端子及び第2入力端子を有し、前記第1入力端子に前記出力線の出力に応じた信号が入力され、前記第2入力端子に参照信号が入力される比較部と、前記複数の出力線の各々に対応して配された第2入力容量と、第1端子及び第2端子を有するスイッチと、を有し、前記参照信号が前記第2入力容量を介して前記第2入力端子に入力され、前記複数の出力線は第1出力線及び第2出力線を含み、前記第1端子は、前記第1出力線に対応する第2入力容量に接続されており、前記第2端子は、前記第2出力線に対応する第2入力容量に接続されており、前記比較部は、前記第1入力端子及び前記第2入力端子に入力されている電位に基づいてオフセットを設定するオフセットクランプ動作を行うことが可能であり、前記オフセットクランプ動作が完了する前の期間において、前記スイッチがオンになり、前記オフセットクランプ動作が完了した後に、前記スイッチがオフになることを特徴とする光電変換装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、より高品質な信号を出力し得る光電変換装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る光電変換装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る画素及び列回路の構成を示す回路図である。
【
図3】第1実施形態に係る光電変換装置の駆動方法を示すタイミング図である。
【
図4】第1実施形態に係る光電変換装置の駆動方法を示すタイミング図である。
【
図5】第2実施形態に係る画素及び列回路の構成を示す回路図である。
【
図6】第3実施形態に係る画素及び列回路の構成を示す回路図である。
【
図7】第4実施形態に係る画素及び列回路の構成を示す回路図である。
【
図8】第4実施形態に係る画素及び列回路の構成を示す回路図である。
【
図9】第5実施形態に係る画素及び列回路の構成を示す回路図である。
【
図10】第5実施形態に係る光電変換装置の駆動方法を示すタイミング図である。
【
図11】第5実施形態に係る画素及び列回路の構成を示す回路図である。
【
図12】第5実施形態に係る光電変換装置の駆動方法を示すタイミング図である。
【
図13】第6実施形態に係る機器のブロック図である。
【
図14】第7実施形態に係る機器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。複数の図面にわたって同一の要素又は対応する要素には共通の符号が付されており、その説明は省略又は簡略化されることがある。
【0013】
以下に述べる第1実施形態乃至第5実施形態では、光電変換装置の一例として、撮像装置を中心に説明する。しかしながら、各実施形態における光電変換装置は撮像装置に限定されるものではなく、他の装置にも適用可能である。他の装置の例としては、測距装置、測光装置が挙げられる。測距装置は、例えば、焦点検出装置、TOF(Time-Of-Flight)を用いた距離測定装置等であり得る。測光装置は、装置に入射する光の光量を測定する装置であり得る。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る光電変換装置の概略構成を示すブロック図である。光電変換装置は、画素アレイ10、電流源13、垂直走査回路14、タイミングジェネレータ15、参照信号生成回路16、カウンタ17、デジタル信号処理回路18及び読み出し回路19を有している。
【0015】
画素アレイ10は、複数の行及び複数の列に渡って行列状に配された複数の画素100を有している。複数の画素100の各々は、フォトダイオード等の光電変換素子からなる光電変換部を含む。画素100は、光電変換素子への入射光の光量に応じたアナログ信号である光電変換信号を出力する。また、画素100は、ノイズレベルのアナログ信号であるノイズ信号を出力する。なお、画素アレイ10は、光電変換素子が遮光されたオプティカルブラック画素(不図示)を有していてもよく、その出力信号は黒レベルの基準として用いられる。
【0016】
画素アレイ10の各行には、第1の方向(
図1において横方向)に延在して、複数の制御線11が配されている。複数の制御線11の各々は、第1の方向に並ぶ画素100にそれぞれ接続され、これら画素100に共通の信号線をなしている。制御線11が延在する第1の方向は、行方向又は水平方向と呼ぶことがある。制御線11は、垂直走査回路14に接続されている。
【0017】
画素アレイ10の各列には、第1の方向と交差する第2の方向(
図1において縦方向)に延在して、出力線12が配されている。出力線12の各々は、第2の方向に並ぶ画素100にそれぞれ接続され、これら画素100に共通の信号線をなしている。出力線12が延在する第2の方向は、列方向又は垂直方向と呼ぶことがある。出力線12の各々は、読み出し回路19と各列に対応して配された電流源13とに接続されている。
【0018】
垂直走査回路14は、タイミングジェネレータ15から出力される制御信号を受け、画素100を駆動するための制御信号を生成し、制御線11を介して画素100に供給する機能を備える制御回路である。垂直走査回路14には、シフトレジスタ、アドレスデコーダ等の論理回路が用いられ得る。垂直走査回路14は、画素アレイ10の画素100を行単位で駆動する。行単位で画素100から読み出された信号は、画素アレイ10の各列に設けられた出力線12を介して読み出し回路19に入力される。
【0019】
図1では、画素100、制御線11及び出力線12について3行及び3列のみが示されているが、実際には数千行及び数千列に渡って画素100、制御線11及び出力線12が配され得る。
【0020】
読み出し回路19は各列の出力線12に対応して設けられた列回路20と水平走査回路25とを有している。列回路20は、画素100から出力されるノイズ信号及び光電変換信号を読み出してデジタル信号に変換する機能とAD変換後のデジタル信号を保持する機能とを有している。列回路20は、増幅部21、アナログ信号保持部22、AD変換部23及びデジタル信号保持部24を有している。
【0021】
増幅部21は、画素100から出力されたノイズ信号と光電変換信号を増幅してアナログ信号を出力する。アナログ信号保持部22は、増幅部21から出力されたアナログ信号を一時的に保持する。また、アナログ信号保持部22は、保持した信号を出力する。
【0022】
参照信号生成回路16は、タイミングジェネレータ15から出力される制御信号を受け、AD変換部23に供給する参照信号を生成する回路である。参照信号は、所定の振幅を有する信号であり、例えば時間の経過にともなって信号レベル(信号の大きさ)が変化する信号を含み得る。参照信号は、典型的にはランプ信号を含む。ランプ信号とは、時間の経過にともなって信号レベルが単調に変化する信号であり、例えば出力電圧が時間の経過とともに単調減少し、又は単調増加する信号である。また、ランプ信号は、階段状に電位が変化する信号も含む。なお、参照信号は、AD変換に適用可能な振幅を有するものであれば、特に限定されるものではない。
【0023】
AD変換部23は、アナログ信号保持部22から出力された信号と参照信号生成回路16から出力される参照信号とを比較し、比較結果に基づくラッチ信号をデジタル信号保持部24に出力する。
【0024】
カウンタ17は、クロック信号のパルスをカウントすることにより、値が時間に応じて変化するカウント信号を生成して、デジタル信号保持部24に出力する。
【0025】
デジタル信号保持部24は、AD変換部23から出力されたラッチ信号が変化するタイミングで、カウンタ17から出力されるカウント信号をデジタル信号として保持する。デジタル信号保持部24は、ノイズ信号と光電変換信号の各々のデジタル値を保持することができる。
【0026】
水平走査回路25は、各列のデジタル信号保持部24に順次制御信号を供給する走査を行う。これにより、各列のデジタル信号保持部24に保持されたデジタル信号が、順次デジタル信号処理回路18に転送される。水平走査回路25は、シフトレジスタ、アドレスデコーダ等を用いて構成され得る。
【0027】
デジタル信号処理回路18は、各列のデジタル信号保持部24から出力されたデジタル信号を処理し、処理後の信号を光電変換装置の外部に出力する。デジタル信号処理回路18が行う信号処理としては、例えば、デジタル相関二重サンプリングによる補正処理、増幅処理等が挙げられる。
【0028】
タイミングジェネレータ15は、垂直走査回路14、読み出し回路19、参照信号生成回路16及びカウンタ17に、これらの動作及びタイミングを制御する制御信号を供給するための制御回路である。垂直走査回路14、読み出し回路19、参照信号生成回路16及びカウンタ17に供給される制御信号の少なくとも一部は、光電変換装置の外部から供給されてもよい。
【0029】
図2は、本実施形態に係る画素100及び列回路20の構成を示す回路図である。
図2には、
図1の光電変換装置のうち、2つの画素100の回路構成及び2列分の列回路20の一部の回路構成が抜き出されてより詳細に示されている。
図2に示されている2列は、第n列及び第n+1列であるものとする(nは自然数)。第n列及び第n+1列は単に第1列及び第2列と呼ばれることもある。
図2の一部の要素の符号には、2つの列の要素を区別する必要がある場合には、第n列の要素であることを示す添字「a」又は第n+1列の要素であることを示す添字「b」が付されていることがある。また、第n列の画素100aから信号が出力される出力線12(12a)は第1出力線と呼ばれることがあり、第n+1列の画素100bから信号が出力される出力線12(12b)は第2出力線と呼ばれることがある。第n列の要素と第n+1列の要素とは、概ね同一の構成を有しているため、第n+1列の要素についての説明を省略することがある。
【0030】
図2には、画素100a、100b、電流源13、増幅部21a、21b、アナログ信号保持部22a、22b、AD変換部23a、23b及びスイッチ191が図示されている。
図1の他の要素については
図2では図示が省略されている。
【0031】
画素100aは、光電変換素子PD、転送トランジスタM1、リセットトランジスタM2、増幅トランジスタM3及び選択トランジスタM4を有している。
【0032】
光電変換素子PDは、例えばフォトダイオードである。光電変換素子PDのアノードは接地ノードに接続されており、光電変換素子PDのカソードは転送トランジスタM1のソースに接続されている。転送トランジスタM1のドレインは、リセットトランジスタM2のソース及び増幅トランジスタM3のゲートに接続されている。転送トランジスタM1のドレイン、リセットトランジスタM2のソース及び増幅トランジスタM3のゲートが接続されるノードFDは、いわゆる浮遊拡散部である。浮遊拡散部は、容量成分(浮遊拡散容量)を含み、電荷保持部としての機能を備える。浮遊拡散容量には、PN接合容量、配線容量等が含まれる。
【0033】
リセットトランジスタM2のドレイン及び増幅トランジスタM3のドレインは、電圧VDDが供給される電源電圧ノードに接続されている。増幅トランジスタM3のソースは、選択トランジスタM4のドレインに接続されている。選択トランジスタM4のソースは、出力線12に接続されている。
【0034】
図2の画素構成の場合、各行の制御線11は、転送トランジスタM1のゲートに接続された信号線と、リセットトランジスタM2のゲートに接続された信号線と、選択トランジスタM4のゲートに接続された信号線と、を含む。転送トランジスタM1のゲートには、垂直走査回路14から制御信号PTXが供給される。リセットトランジスタM2のゲートには、垂直走査回路14から制御信号PRESが供給される。選択トランジスタM4のゲートには、垂直走査回路14から制御信号PSELが供給される。同じ行の複数の画素100a、100bは、共通の信号線に接続されており、共通の制御信号により同時に制御される。
【0035】
なお、本実施形態では、光入射によって光電変換素子PDで生成される電子正孔対のうち、電子を信号電荷として用いる場合を想定して説明を行う。信号電荷として電子を用いる場合、画素100aを構成する各トランジスタは、N型MOSトランジスタによって構成され得る。各トランジスタがN型MOSトランジスタで構成される場合、垂直走査回路14からハイレベルの制御信号が供給されると対応するトランジスタがオンになる。また、垂直走査回路14からローレベルの制御信号が供給されると対応するトランジスタがオフになる。ただし、信号電荷は電子に限られるものではなく、正孔を信号電荷として用いてもよい。信号電荷として正孔を用いる場合、各トランジスタの導電型は、本実施形態で説明するものとは逆導電型となる。また、MOSトランジスタのソース及びドレインの呼称はトランジスタの導電型又は着目する機能によって異なることがある。本実施形態において使用するソース及びドレインの名称の一部又は全部は、逆の名称で呼ばれることもある。
【0036】
光電変換素子PDは、入射光をその光量に応じた量の電荷に変換(光電変換)する。転送トランジスタM1は、オンになることにより光電変換素子PDが保持する電荷をノードFDに転送する。光電変換素子PDから転送された電荷は、ノードFDの容量(浮遊拡散容量)に保持される。その結果、ノードFDは、浮遊拡散容量による電荷電圧変換によって、光電変換素子PDから転送された電荷の量に応じた電位となる。
【0037】
選択トランジスタM4は、オンになることにより増幅トランジスタM3を出力線12に接続する。増幅トランジスタM3は、ドレインに電圧VDDが供給され、ソースに選択トランジスタM4を介して電流源13からバイアス電流が供給される構成となっており、ゲートを入力ノードとする増幅回路(ソースフォロワ回路)を構成する。これにより増幅トランジスタM3は、ノードFDの電圧に基づく信号を、選択トランジスタM4を介して出力線12に出力する。この意味で、増幅トランジスタM3及び選択トランジスタM4は、ノードFDに保持された電荷の量に応じた画素信号を出力する出力部である。
【0038】
リセットトランジスタM2は、電荷保持部としてのノードFDをリセットするための電圧(電圧VDD)のノードFDへの供給を制御する機能を備える。リセットトランジスタM2は、オンになることによりノードFDを電圧VDDに応じた電圧にリセットする。
【0039】
増幅部21aは、入力容量211、差動増幅器212、帰還容量213及びスイッチ214を有している。入力容量211の第1端子は、増幅部21aの入力ノードである。入力容量211の第1端子は、出力線12に接続されている。入力容量211の第2端子は、差動増幅器212の反転入力端子、帰還容量213の第1端子及びスイッチ214の第1端子に接続されている。差動増幅器212の非反転入力端子には、基準電圧Vc0rを有する電源線が接続されている。差動増幅器212の出力端子は、増幅部21aの出力ノードである。差動増幅器212の出力端子は、帰還容量213の第2端子及びスイッチ214の第2端子に接続されている。
【0040】
上述の回路構成により、増幅部21aは、出力線12に出力されたアナログ信号の電圧を増幅する反転増幅回路として機能する。スイッチ214は、タイミングジェネレータ15からの制御信号により制御され、オン又はオフに制御される。スイッチ214がオンからオフに遷移すると、その時に入力容量211に入力されている電位がクランプされる。スイッチ214がオフのときの増幅部21aの増幅率は、入力容量211の容量値と帰還容量213の容量値の比により定まる。
【0041】
アナログ信号保持部22aは、スイッチ221、保持容量222及び増幅器223を有している。増幅部21aの出力ノードは、スイッチ221の第1端子に接続されている。スイッチ221の第1端子はアナログ信号保持部22aの入力ノードである。スイッチ221の第2端子は、保持容量222及び増幅器223の入力端子に接続されている。増幅器223の出力端子は、アナログ信号保持部22aの出力ノードである。
【0042】
スイッチ221は、タイミングジェネレータ15からの制御信号により制御され、オン又はオフに制御される。スイッチ221がオンからオフに遷移すると、その時に増幅部21aから出力されているアナログ信号が保持容量222に保持される。増幅器223(第1バッファ)は、ソースフォロワ等のバッファ回路であり、保持容量222に保持されている電位に応じたアナログ信号を出力する。このように、アナログ信号保持部22aは、増幅部21aから出力されたアナログ信号を保持するサンプルホールド回路をなしている。
【0043】
スイッチ191の第1端子は第n列の保持容量222が接続されたノードに接続されており、スイッチ191の第2端子は第n+1列の保持容量222が接続されたノードに接続されている。スイッチ191は、タイミングジェネレータ15からの制御信号swにより制御され、オン又はオフに制御される。制御信号swがハイレベルのとき、スイッチ191はオンになり、制御信号swがローレベルのとき、スイッチ191はオフになるものとする。スイッチ191がオンのとき、第n列の保持容量222に保持されているアナログ信号と、第n+1列の保持容量222に保持されているアナログ信号とが平均化される。第n列のアナログ信号保持部22aから出力されるアナログ信号の電位をcomp_in[n]とし、第n+1列のアナログ信号保持部22bから出力されるアナログ信号の電位をcomp_in[n+1]とする。
【0044】
AD変換部23aは、入力容量231、236、比較器232、スイッチ233、234及び増幅器235を有している。比較器232は、第1入力端子、第2入力端子、第1出力端子及び第2出力端子を有する全差動型の比較器であり、AD変換用の比較部として機能する。比較器232は、第1入力端子と第2入力端子の電位を比較し、比較結果に基づく信号を第1出力端子及び第2出力端子から出力信号OUTとして出力する。この出力信号は不図示のラッチ回路に入力される。ラッチ回路はラッチ信号をデジタル信号保持部24に出力する。
【0045】
アナログ信号保持部22aの出力ノードは、入力容量231(第1入力容量)の第1端子に接続されている。入力容量231の第1端子はAD変換部23aの入力ノードである。入力容量231の第2端子は、比較器232の第1入力端子及びスイッチ233の第1端子に接続されている。スイッチ233の第2端子は、比較器232の第1出力端子に接続されている。
【0046】
増幅器235の入力端子には、参照信号生成回路16から参照信号Vrampが入力される。増幅器235(第2バッファ)は、ソースフォロワ等のバッファ回路である。増幅器235の出力端子は入力容量236(第2入力容量)の第1端子に接続されている。入力容量236の第2端子は、比較器232の第2入力端子及びスイッチ234の第1端子に接続されている。スイッチ234の第2端子は、比較器232の第2出力端子に接続されている。スイッチ233、234は、タイミングジェネレータ15からの制御信号comp_resにより制御され、オン又はオフに制御される。制御信号comp_resがハイレベルのとき、スイッチ233、234はオンになり、制御信号comp_resがローレベルのとき、スイッチ233、234はオフになるものとする。
【0047】
図3(a)は、本実施形態に係る光電変換装置の駆動方法を示すタイミング図である。
図3(a)には、制御信号comp_res、swのレベル、参照信号Vrampの電位及び入力信号comp_in[n]、comp_in[n+1]の電位が示されている。また、
図3(a)の「Var」は、各列の比較器232の出力信号のレベルが変化するタイミングのばらつきを模式的に示している。
図3(a)の時刻t10から時刻t17までの期間は、AD変換部23において画素100からのノイズ信号と参照信号Vrampとの比較を行うことによりノイズ信号のAD変換が行われる期間である。
図3(a)を参照しつつ、ノイズ信号のAD変換の駆動タイミングについて説明する。
【0048】
時刻t10において、制御信号comp_resはハイレベルであり、スイッチ233、234はオンである。これにより、比較器232の第1入力端子、第2入力端子、第1出力端子及び第2出力端子の各々の電位がリセットされている。また、制御信号swはローレベルであり、スイッチ191はオフである。
【0049】
入力信号comp_in[n]、comp_in[n+1]は、画素100から出力されたノイズ信号に増幅部21及びアナログ信号保持部22で生じたノイズが重畳された信号である。増幅部21にクランプされたノイズ信号には、スイッチ214がオンからオフに遷移したときの電荷再注入の成分が含まれている。電荷再注入とは、スイッチ214がオンからオフに遷移するときにスイッチ214を構成するトランジスタのゲート下にあった電荷が差動増幅器212の反転入力端子と出力端子の各々に移動する現象のことである。ノイズ信号に含まれる電荷再注入の成分は、各列の増幅部21ごとに異なる。そのため、時刻t10において入力信号comp_in[n]と入力信号comp_in[n+1]は、互いに異なる電位である。
【0050】
時刻t11において、制御信号swがハイレベルになる。これにより、スイッチ191がオンになり、第n列の保持容量222に保持されているアナログ信号と、第n+1列の保持容量222に保持されているアナログ信号とが平均化される。そのため、第n列及び第n+1列の保持容量222に保持された平均化後の信号は、増幅器223を介して、AD変換部23に入力信号comp_in[n]、comp_in[n+1]として入力される。これにより、時刻t11の後、入力信号comp_in[n]と入力信号comp_in[n+1]は同じ電位になる。また、時刻t11において、参照信号Vrampはオフセットレベルに設定される。
【0051】
時刻t12において、制御信号comp_resはローレベルになる。これにより、スイッチ233、234がオフになる。時刻t12における比較器232の第2入力端子の電位は、オフセットレベルである参照信号Vrampに基づくリセット電位である。入力容量236には、時刻t12における参照信号Vrampのオフセットレベルの電位に基づく電荷がクランプされる。以下、この動作をオフセットクランプ動作と呼ぶことがある。これにより、入力容量236のオフセットクランプ動作が完了する。
【0052】
また、入力容量231には時刻t12における比較器232の出力電位に基づく電荷がクランプされる。つまり、入力容量231のオフセットクランプ動作が完了する。入力信号comp_in[n]と入力信号comp_in[n+1]は同じ電位であるため、入力容量231には同じ電位がクランプされる。すなわち、オフセットクランプ動作により第n列及び第n+1列の入力容量231にクランプされる電位は、時刻t11以前における入力信号の電位と比較して、ΔVだけ異なる電位である。入力容量231に保持されるノイズ信号には、AD変換部23のノイズ成分が含まれる。このノイズ成分には、スイッチ233がオンからオフに遷移したときの電荷再注入の成分が含まれている。また、入力容量236に保持される信号には、スイッチ234がオンからオフに遷移したときの電荷再注入の成分が含まれている。
【0053】
時刻t13において、参照信号Vrampのオフセットレベルへの設定が解除される。これにより、参照信号Vrampの電位は時刻t10の時点の電位に戻る。
【0054】
時刻t14において、制御信号swがローレベルになる。スイッチ191がオフになり、第n列の保持容量222に保持されたアナログ信号と、第n+1列の保持容量222に保持されたアナログ信号との平均化が解除される。これにより、入力信号comp_in[n]と入力信号comp_in[n+1]とは互いに異なる電位となる。
【0055】
時刻t15において、参照信号生成回路16は、時間に依存して、参照信号Vrampの電位を変化させる。また時刻t15において、カウンタ17はクロック信号の計数動作を開始する。
【0056】
時刻t16は、参照信号Vrampの電位がオフセットレベルを超える時刻である。時刻t16の付近において、入力信号comp_in[n]、comp_in[n+1]と参照信号Vrampとの大小関係が逆転し、比較器232の出力信号のレベルが変化する。これにより、ラッチ回路からラッチ信号がデジタル信号保持部24に出力される。デジタル信号保持部24は、ラッチ信号が変化したことを受けて、このその時点のカウント信号を保持する。デジタル信号保持部24に保持されたカウント信号はノイズ信号に対応するデジタル信号である。
【0057】
時刻t17において、参照信号生成回路16は、参照信号Vrampの電位の変化を停止させる。そして、参照信号Vrampの電位は、時刻t10の時点の電位に戻る。また、時刻t17において、カウンタ17はクロック信号の計数動作を停止し、カウント値をリセットする。
【0058】
時刻t17の後、ノイズ信号と同様にして光電変換信号のAD変換が行われ、デジタル信号保持部24に光電変換信号に対応するデジタル信号が保持される。その後、水平走査回路25は、各列のデジタル信号保持部24を順次走査し、各列のデジタル信号保持部24に保持されたデジタル信号をデジタル信号処理回路18に出力させる。
【0059】
以上のように、各列の列回路20から、ノイズ信号に基づくデジタル信号と光電変換信号に基づくデジタル信号とが、デジタル信号処理回路18に出力される。光電変換信号に基づくデジタル信号には、ノイズ信号の成分が含まれている。したがって、デジタル信号処理回路18は、光電変換信号に基づくデジタル信号からノイズ信号に基づくデジタル信号を差し引くことによって、ノイズ信号の少ない信号を生成することができる。
【0060】
図4は、本実施形態の光電変換装置において、スイッチ191をオンにしない場合の駆動方法を示すタイミング図である。
図3(a)及び
図4を相互に参照して、本実施形態の効果を説明する。
【0061】
図3(a)の駆動方法においては、時刻t11から時刻t14の期間において、制御信号swがハイレベルであり、スイッチ191がオンである。これに対し、
図4の駆動方法では、時刻t11から時刻t14の期間に相当する時刻t21から時刻t24の期間において、制御信号swがローレベルに維持されている。これにより、スイッチ191がオンにならない点が
図4における
図3(a)との相違点である。すなわち、
図4は、本実施形態におけるスイッチ191が配されていない場合を示していると言い換えることもできる。
【0062】
図4に示されているように、時刻t22において、入力信号comp_in[n]と入力信号comp_in[n+1]とが互いに異なる電位である。そのため、第n列の入力容量231と第n+1列の入力容量231には互いに異なる電位がクランプされる。
図4の例では、時刻t22における入力信号comp_in[n]と時刻t16における入力信号comp_in[n]はほぼ同一である。この場合、参照信号Vrampの電位がオフセットレベルを超える時刻t16において、第n列の比較器232の出力信号のレベルが変化する。また、時刻t22における入力信号comp_in[n+1]と時刻t16における入力信号comp_in[n+1]もほぼ同一である。この場合、参照信号Vrampの電位がオフセットレベルを超える時刻t16において、第n+1列の比較器232の出力信号のレベルも変化する。したがって、
図4のように、オフセットクランプ動作時にスイッチ191をオンにする動作が行われない場合には、第n列の比較器232の出力信号のレベルと、第n+1列の比較器232の出力信号のレベルは、ほぼ同時に変化する。したがって、
図4の「Var」に示されているように、各列の比較器232の出力信号のレベルが変化するタイミングのばらつきは小さい。
【0063】
各列の比較器232の出力信号のレベルが変化するタイミングのばらつきが小さいと、複数の比較器232の出力信号のレベルが短い時間内に一斉に変化することがある。これにより、IRドロップ、電流変動等の要因によりノイズが生じる場合がある。特に画素100の列数が多い場合には光電変換装置内に多くの比較器232が配されるため、このノイズの影響は顕著である。このノイズは、列間で共通に配されている電源配線又は信号配線によって他の比較器232に伝搬し得るため、出力信号の品質を劣化させる要因になることもある。また、比較器232よりも後段の回路においても、このノイズは、AD変換誤差、カウンタ17におけるクロック信号の計数動作の精度低下等を生じさせることにより、出力信号の品質を劣化させる要因になることもある。
【0064】
一方、
図3(a)に示されている駆動方法においては、時刻t12のオフセットクランプ動作時に、スイッチ191がオンである。これにより、時刻t12のオフセットクランプ動作時における比較器232の入力電位と時刻t16のAD変換時における比較器232の入力電位とが互いに異なる電位となる。すなわち、入力信号comp_in[n]のAD変換時の電位は、オフセットクランプ時に比してΔVだけ大きい。また、入力信号comp_in[n+1]のAD変換時の電位は、オフセットクランプ時に比してΔVだけ小さい。
【0065】
図3(a)に示されている駆動方法においては、
図3(a)の「Var」に示されているように、各列の比較器232の出力信号のレベルが変化するタイミングのばらつきが大きい。そのため、複数の比較器232の出力信号のレベルが短時間内に一斉に変化しにくくなり、各列の比較器232の出力信号のレベルが変化する際に生じるノイズが低減され得る。
【0066】
以上のように、本実施形態によれば、より高品質な信号を出力し得る光電変換装置が提供される。
【0067】
なお、本実施形態では、スイッチ191が第n列の信号線と第n+1列の信号線の間に配され、オフセットクランプ動作時にオンになることで、2列の信号が平均化されている。しかしながら、例えば、第n+1列の信号線とn+2列の信号線の間にも同様のスイッチ191が配される構成であってもよい。この場合、3列の信号が平均化され得る。また、スイッチ191が各列の信号線の間に配される構成であってもよい。この場合、画素アレイ10の全列のうちの一部又は全部の信号を平均化することができる。また、画素アレイ10の各行を読み出すごとに平均化される列の組み合わせ又は平均化される列数を変えてもよい。この場合、比較器232の出力信号のレベルが変化するタイミングのばらつき方が二次元的に不規則化するため、このばらつきに起因する画質への影響を目立ちにくくすることができる。
【0068】
また、本実施形態では、スイッチ191が時刻t12のオフセットクランプ時にオンであるように制御されている。しかしながら、オフセットクランプ時とAD変換時との間で入力信号comp_in[n]の電位が異なっていれば、スイッチ191が時刻t12より前の時刻にオンからオフになってもよい。
【0069】
スイッチ191が時刻t12より前の時刻にオンからオフになるような変形例について、
図3(b)のタイミング図を参照しつつより詳細に説明する。
図3(a)と共通する部分については適宜説明を省略又は簡略化することがある。
【0070】
時刻t11において、制御信号swがハイレベルになる。これにより、スイッチ191がオンになり、第n列の保持容量222に保持されているアナログ信号と、第n+1列の保持容量222に保持されているアナログ信号とが平均化される。
【0071】
時刻t31において、制御信号swがローレベルになる。スイッチ191がオフになり、第n列の保持容量222に保持されたアナログ信号と、第n+1列の保持容量222に保持されたアナログ信号との平均化が解除される。これにより、入力信号comp_in[n]と入力信号comp_in[n+1]は時刻t10の時点の電位に徐々に戻る。
【0072】
時刻t32において、制御信号comp_resはローレベルになり、オフセットクランプ動作が完了する。時刻t32は、入力信号comp_in[n]と入力信号comp_in[n+1]が時刻t10の時点の電位に戻りきる前の時刻である。
【0073】
時刻t33において、参照信号Vrampのオフセットレベルの設定が解除される。これにより、参照信号Vrampの電位は時刻t10の時点の電位に戻る。
【0074】
このように、スイッチ191がオフになり平均化が解除された後、入力信号が元の電位に戻る前にオフセットクランプ動作を完了することで、オフセットクランプ時とAD変換時との間で入力信号comp_in[n]の電位を異なる電位にすることができる。なお、
図3(b)に示されている「ΔV」は、オフセットクランプ時とAD変換時との間での入力信号comp_in[n]の電位の差を示している。
図3(b)の変形例においても、
図3(a)の説明において述べたものと同様の理由により、各列の比較器232の出力信号のレベルが変化する際に生じるノイズが低減され得る。
【0075】
また、本実施形態の光電変換装置は、増幅部21の設定又は参照信号Vrampの電位の単位時間当たりの変化量(傾き)を変化させることにより、ゲインを変えることができる構成であってもよい。この場合、オフセットクランプ時におけるスイッチ191の動作をゲインに応じて異ならせてもよい。ゲインに応じて比較器232の出力信号のレベルが変化するタイミングのばらつきが変化することがある。あるいは、出力信号のレベルの変化により生じるノイズの程度が光電変換装置のゲインに応じて変化することもある。このように、ゲインに応じて最適な制御方法が変わり得るため、スイッチ191の動作を変えることが望ましい場合もある。
【0076】
また、比較器232の出力信号のレベルが変化するタイミングのばらつきは光電変換装置の温度によっても変化し得る。そのため、光電変換装置の温度を温度センサにより計測しておき、オフセットクランプ時におけるスイッチ191の動作を温度に応じて異ならせてもよい。
【0077】
[第2実施形態]
本実施形態に係る光電変換装置について説明する。第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号が付されており、これらの構成要素についての説明は省略又は簡略化されることがある。
【0078】
図5は、本実施形態に係る画素100及び列回路20の構成を示す回路図である。本実施形態の光電変換装置には、
図2におけるスイッチ191に代えて、スイッチ192が配されている。
【0079】
スイッチ192の第1端子は第n列のアナログ信号保持部22aとAD変換部23aの間のノードに接続されており、スイッチ192の第2端子は第n+1列のアナログ信号保持部22bとAD変換部23bの間のノードに接続されている。言い換えると、スイッチ192の第1端子は第n列の増幅器223と入力容量231の間のノードに接続されており、スイッチ192の第2端子は第n+1列の増幅器223と入力容量231の間のノードに接続されている。スイッチ192は、タイミングジェネレータ15からの制御信号swにより制御され、オン又はオフに制御される。制御信号swがハイレベルのとき、スイッチ192はオンになり、制御信号swがローレベルのとき、スイッチ192はオフになるものとする。スイッチ192がオンのとき、第n列の入力容量231に入力されるアナログ信号と、第n+1列の入力容量231に入力されるアナログ信号とが平均化される。その他の回路構成は
図2と同様であるため説明を省略する。
【0080】
本実施形態の光電変換装置の駆動方法は
図3(a)に示されているものと同様である。すなわち、時刻t12のオフセットクランプ動作時にスイッチ192がオンである。これにより、時刻t12のオフセットクランプ動作時における比較器232の入力電位と時刻t16のAD変換時における比較器232の入力電位とが互いに異なる。すなわち、入力信号comp_in[n]のAD変換時の電位は、オフセットクランプ時に比してΔVだけ大きい。また、入力信号comp_in[n+1]のAD変換時の電位は、オフセットクランプ時に比してΔVだけ小さい。したがって、第1実施形態と同様に、複数の比較器232の出力信号のレベルが短時間内に一斉に変化しにくくなり、各列の比較器232の出力信号のレベルが変化する際に生じるノイズが低減され得る。
【0081】
以上のように、本実施形態によれば、より高品質な信号を出力し得る光電変換装置が提供される。
【0082】
[第3実施形態]
本実施形態に係る光電変換装置について説明する。第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号が付されており、これらの構成要素についての説明は省略又は簡略化されることがある。
【0083】
図6は、本実施形態に係る画素100及び列回路20の構成を示す回路図である。本実施形態の光電変換装置には、
図2におけるスイッチ191に代えて、スイッチ193が配されている。
【0084】
スイッチ193の第1端子は第n列の増幅器235と入力容量236の間のノードに接続されており、スイッチ193の第2端子は第n+1列の増幅器235と入力容量236の間のノードに接続されている。スイッチ193は、タイミングジェネレータ15からの制御信号swにより制御され、オン又はオフに制御される。制御信号swがハイレベルのとき、スイッチ193はオンになり、制御信号swがローレベルのとき、スイッチ193はオフになるものとする。スイッチ193がオンのとき、第n列の入力容量236に入力されるアナログ信号と、第n+1列の入力容量236に入力されるアナログ信号とが平均化される。その他の回路構成は
図2と同様であるため説明を省略する。また、光電変換装置の駆動方法も
図3(a)と同様であるため説明を省略する。
【0085】
本実施形態の効果について説明する。参照信号Vrampは各列に共通の参照信号線を介して増幅器235に入力されている。しかしながら、各列の増幅器235の性能ばらつき、配線抵抗ばらつき等に起因して、第n列の増幅器235の出力ノードと第n+1列の増幅器235の出力ノードとは互いに異なる電位であり得る。
図3(a)の時刻t12のオフセットクランプ動作時においては、第n列の入力容量236と第n+1列の入力容量236はスイッチ193を介して短絡されているため、第n列の入力容量236と第n+1列の入力容量236には同じ電位がクランプされる。これに対し、時刻t13以降の期間においては、スイッチ193はオフになっており、第n列の増幅器235の出力ノードと第n+1列の増幅器235の出力ノードは、ばらつきに起因して互いに異なる電位となっている。これにより、時刻t16のAD変換時において第n列と第n+1列の比較器232に入力される参照信号の電位が互いに異なる。したがって、複数の比較器232の出力信号のレベルが一斉に変化しにくくなり、各列の比較器232の出力信号のレベルが変化する際に生じるノイズが低減され得る。
【0086】
以上のように、本実施形態によれば、より高品質な信号を出力し得る光電変換装置が提供される。
【0087】
なお、上述の説明では、AD変換が行われる期間において、第n列と第n+1列の参照信号の電位の単位時間当たりの変化量が同一であることを前提としているがこれに限られない。第n列の参照信号の電位の単位時間当たりの変化量と第n+1列の参照信号の電位の単位時間当たりの変化量とが互いに異なっていてもよい。
【0088】
[第4実施形態]
本実施形態に係る光電変換装置について説明する。第1実施形態乃至第3実施形態と同様の構成要素には同一の符号が付されており、これらの構成要素についての説明は省略又は簡略化されることがある。
【0089】
図7は、本実施形態に係る画素100及び列回路20の構成を示す回路図である。本実施形態の光電変換装置には増幅部21とアナログ信号保持部22が配されていない点が
図2と異なる。また、
図7では、
図2におけるスイッチ191に代えて、スイッチ194が配されている。
【0090】
スイッチ194は第n列の出力線12aと第n+1列の出力線12bの間に配されている。すなわち、スイッチ194の第1端子は第n列の出力線12aに接続されており、スイッチ194の第2端子は第n+1列の出力線12bに接続されている。スイッチ194は、タイミングジェネレータ15からの制御信号swにより制御され、オン又はオフに制御される。制御信号swがハイレベルのとき、スイッチ194はオンになり、制御信号swがローレベルのとき、スイッチ194はオフになるものとする。スイッチ194がオンのとき、第n列の入力容量231に入力されるアナログ信号と、第n+1列の入力容量231に入力されるアナログ信号とが平均化される。その他の回路構成は、増幅部21とアナログ信号保持部22が配されていない点以外は
図2と同様であるため説明を省略する。
【0091】
本実施形態の光電変換装置の駆動方法は
図3(a)に示されているものと同様である。すなわち、時刻t12のオフセットクランプ動作時にスイッチ194がオンである。これにより、時刻t12のオフセットクランプ動作時における比較器232の入力電位と時刻t16のAD変換時における比較器232の入力電位とが互いに異なる。入力信号comp_in[n]のAD変換時の電位は、オフセットクランプ時に比してΔVだけ大きい。また、入力信号comp_in[n+1]のAD変換時の電位は、オフセットクランプ時に比してΔVだけ小さい。したがって、第1実施形態と同様に、複数の比較器232の出力信号のレベルが短時間内に一斉に変化しにくくなり、各列の比較器232の出力信号のレベルが変化する際に生じるノイズが低減され得る。
【0092】
図7の構成のように、2つの出力線12の間にスイッチ194が配されている場合においても、
図3(b)に示されている駆動方法が適用され得る。すなわち、スイッチ194がオフになり平均化が解除された後に、平均化時の電位から元の電位へ戻る途中にオフセットクランプ動作が完了するような駆動方法が適用されてもよい。
【0093】
しかしながら、
図3(a)のように平均化中にオフセットクランプ動作が完了する方が望ましい場合があり得る。そのような場合の例について説明する。一般的に出力線12は寄生容量及び負荷抵抗が大きい。例えば、二次元に配置された画素アレイ10においては、画素100の出力ノードからAD変換部23の入力ノードまでの間の抵抗値が画素100の行によって異なる。そのため、AD変換時の電位とオフセットクランプ完了時の電位ΔVが、読み出される画素100の行に応じて変動することがある。また、光電変換装置の温度及び出力線12の寄生容量の製造ばらつきによっても、電位ΔVが変動し得る。以上のことから、2つの出力線12の間にスイッチ194が配置される場合には、平均化中にオフセットクランプ動作が完了することが望ましい場合もある。
【0094】
また、
図7では、2つの出力線12の間にスイッチ194が配されている構成が示されているが、このスイッチは、第3実施形態の
図6のスイッチ193のように増幅器235の出力ノードに接続されていてもよい。
図8は、本実施形態に係る画素100及び列回路20の変形例を示す回路図である。
【0095】
図8に示されているように、本変形例では、
図7におけるスイッチ194に代えてスイッチ196が配されている。スイッチ196の第1端子は第n列の増幅器235と入力容量236の間のノードに接続されており、スイッチ196の第2端子は第n+1列の増幅器235と入力容量236の間のノードに接続されている。スイッチ196の動作、効果等は、第3実施形態のスイッチ193と同様であるため説明を省略する。本変形例においても同様の理由により、各列の比較器232の出力信号のレベルが変化する際に生じるノイズが低減され得る。
【0096】
また、
図7と
図8を掛け合わせてもよい。つまり、
図7のスイッチ194と
図8のスイッチ196の両方が設けられた構成でもよい。なお、スイッチ194とスイッチ196は同期して制御されてもよいし、それぞれ別の制御信号で制御されてもよい。
【0097】
また、本実施形態の光電変換装置は、増幅部21の設定又は参照信号Vrampの電位の単位時間当たりの変化量(傾き)を変化させることにより、ゲインを変えることができる構成であってもよい。この場合、例えば、オフセットクランプ動作の完了する時刻t32を時刻t31から時刻t33の間で、ゲインに応じて異ならせてもよい。ゲインに応じて比較器232の出力信号のレベルが変化するタイミングのばらつきが変化することがある。あるいは、出力信号のレベルの変化により生じるノイズの程度が光電変換装置のゲインに応じて変化することもある。このように、ゲインに応じて最適な制御方法が変わり得るため、スイッチ194、196の動作を変えることが望ましい場合もある。
【0098】
[第5実施形態]
本実施形態に係る光電変換装置について説明する。第1実施形態乃至第4実施形態と同様の構成要素には同一の符号が付されており、これらの構成要素についての説明は省略又は簡略化されることがある。
【0099】
図9は、本実施形態に係る画素100及び列回路20の構成を示す回路図である。本実施形態の光電変換装置には、
図5におけるスイッチ192に加えて、スイッチ195(出力線接続スイッチ)が配されている。
【0100】
スイッチ195は第n列の出力線12aと第n+1列の出力線12bの間に配されている。すなわち、スイッチ195の一方の端子(第3端子)は第n列の出力線12aに接続されており、スイッチ195の他方の端子(第4端子)は第n+1列の出力線12bに接続されている。スイッチ195は、タイミングジェネレータ15からの制御信号vl_swにより制御され、オン又はオフに制御される。制御信号vl_swがハイレベルのとき、スイッチ195はオンになり、制御信号vl_swがローレベルのとき、スイッチ195はオフになるものとする。スイッチ195がオンのとき、第n列の出力線12aのアナログ信号と、第n+1列の出力線12bのアナログ信号とが平均化される。
【0101】
また、スイッチ214は、タイミングジェネレータ15からの制御信号camp_resにより制御され、オン又はオフに制御される。スイッチ214がオンからオフに遷移すると、増幅部21がリセットから解除されて、その時に入力容量211に入力されている電位がクランプされる。その他の回路構成は
図5と同様であるため説明を省略する。
【0102】
図10は、本実施形態に係る光電変換装置の駆動方法を示すタイミング図である。
図10には、
図3(a)と同様の信号に加えて、制御信号camp_res、vl_swのレベル、第n列の出力線12aの電位vline[n]、第n+1列の出力線12bの電位vline[n+1]が示されている。
図10における時刻t11から時刻t17の動作は
図3(a)に示されている動作と同様であるため説明を省略する。
【0103】
時刻t40において、制御信号vl_swがハイレベルになる。これにより、スイッチ195がオンになり、第n列の出力線12aのアナログ信号と、第n+1列の出力線12bのアナログ信号とが平均化される。また、時刻t40において、制御信号camp_resがハイレベルになる。これにより、スイッチ214がオンになり、増幅部21がリセット状態となる。
【0104】
時刻t41において、制御信号vl_swがローレベルになる。これにより、スイッチ195がオフになり、第n列の出力線12aのアナログ信号と、第n+1列の出力線12bのアナログ信号との平均化が解除される。
【0105】
時刻t42において、制御信号camp_resがローレベルになり、スイッチ214がオフになる。スイッチ214がオンからオフに遷移すると、増幅部21がリセット状態から解除されて、その時に入力容量211に入力されている電位がクランプされる。時刻t42は、第n列の出力線12aのアナログ信号と、第n+1列の出力線12bのアナログ信号との平均化が時刻t41に解除され、各列の出力線のアナログ信号が元の電位に戻る前の時刻である。この動作では、時刻t42の時点で入力容量211に入力されている電位がクランプされる。
【0106】
時刻t42の後、出力線12a、12bの電位は、平均化前の電位に戻る。そのため、入力容量211にクランプされる電位とAD変換時の出力線12a、12bの電位の間にはΔV´の差が生じる。したがって、第1実施形態と同様に、複数の比較器232の出力信号のレベルが短時間内に一斉に反転しにくくなり、各列の比較器232の出力信号のレベルが変化する際に生じるノイズが低減され得る。入力容量211にクランプされる電位は、画素100の特性ばらつきに基づいて決まる。そのため、出力信号のレベルが変化するタイミングのばらつき方が画素アレイ10内の画素100の座標に対して不規則である。したがって、このばらつきに起因する画質への影響を目立ちにくくすることができる。
【0107】
また、本実施形態の光電変換装置は、増幅部21の設定又は参照信号Vrampの電位の単位時間当たりの変化量(傾き)を変化させることにより、ゲインを変えることができる構成であってもよい。この場合、例えば、時刻t41から時刻t42の時間をゲインに応じて異ならせてもよい。また、ゲインに応じて比較器232の出力信号のレベルが変化するタイミングのばらつきが変化することがある。あるいは、出力信号のレベルの変化により生じるノイズの程度が光電変換装置のゲインに応じて変化することもある。このように、ゲインに応じて最適な制御方法が変わり得るため、スイッチ195の動作を変えることが望ましい場合もある。
【0108】
また、
図9の構成において、オフセットクランプ動作が完了するときの参照信号Vrampの電位が列によって異なっていてもよく、この構成により比較器232の出力信号のレベルが変化するタイミングのばらつきを大きくすることができる。この変形例について、
図9及び
図11の回路図と
図12のタイミング図とを参照しつつ説明する。
【0109】
上述のように、
図9には、第n列及び第n+1列の2列の回路が示されている。また、
図11には、第n+2列及び第n+3列の2列の回路が示されている。このように、
図9及び
図11の回路図は、連続する4列分の画素100及び列回路20の構成を示している。第n+2列及び第n+3列は単に第3列及び第4列と呼ばれることもある。
図11の一部の要素の符号には、2つの列の要素を区別する必要がある場合には、第n+2列の要素であることを示す添字「c」又は第n+3列の要素であることを示す添字「d」が付されていることがある。また、第n+2列の画素100cから信号が出力される出力線12cは第3出力線と呼ばれることがあり、第n+3列の画素100dから信号が出力される出力線12dは第4出力線と呼ばれることがある。第n+2列の要素及び第n+3列の要素は、第n列及び第n+1列の要素に対して、参照信号の電位を除いて概ね同一の構成を有しているため、回路構成についての説明を省略することがある。
【0110】
図9に示されているように、第n列と第n+1列の増幅器235の入力端子には、参照信号生成回路16から参照信号Vrampが入力されている。また、
図11に示されているように、第n+2列と第n+3列の増幅器235の入力端子には、参照信号生成回路16から参照信号Vrampとは異なる参照信号Vramp´が入力されている。
図11に示されているその他の要素は、
図9に示されている要素と同様であるため説明を省略する。
【0111】
図12は、本実施形態に係る光電変換装置の駆動方法の変形例を示すタイミング図である。
図12には、
図10と同様の信号に加えて、参照信号Vramp´の電位及び入力信号comp_in[n+2]、comp_in[n+3]の電位が示されている。また、
図12においては、電位vline[n]、vline[n+1]の図示は省略されている。なお、時刻t40からt42の期間において、参照信号Vrampと参照信号Vramp´は互いに同じ電位にある。なお、時刻t51、t52、t53、t54以外の期間の動作は、
図10と概ね同様であるため説明を省略又は簡略化することがある。
【0112】
時刻t51において、第n列と第n+1列の参照信号Vrampは第1オフセットレベルに設定される。第n+2列と第n+3列の参照信号Vramp´は第2オフセットレベルに設定される。参照信号Vramp´の第2オフセットレベルは、参照信号Vrampの第1オフセットレベルよりも高い電位に設定される。
【0113】
時刻t52において、制御信号comp_resはローレベルになる。これにより、スイッチ233、234がオフになる。時刻t52における第n列と第n+1列の比較器232の第2入力端子の電位は、第1オフセットレベルである参照信号Vrampに基づくリセット電位である。時刻t52における第n+2列と第n+3列の比較器232の第2入力端子の電位は、第2オフセットレベルである参照信号Vramp´に基づくリセット電位である。
【0114】
時刻t53において、参照信号Vrampと参照信号Vramp´の第1、第2オフセットレベルへの設定が解除される。これにより、参照信号Vrampと参照信号Vramp´の電位は時刻t51より前の時点の電位に戻る。
【0115】
時刻t16は、参照信号Vrampの電位が第1オフセットレベルを超える時刻である。時刻t16の付近において、入力信号comp_in[n]、comp_in[n+1]と参照信号Vrampとの大小関係が逆転し、第n列及び第n+1列の比較器232の出力信号のレベルが変化する。
【0116】
時刻t54は、参照信号Vramp´の電位が第2オフセットレベルを超える時刻である。時刻t54の付近において、入力信号comp_in[n+2]、comp_in[n+3]と参照信号Vramp´との大小関係が逆転し、第n+2列及び第n+3列の比較器232の出力信号のレベルが変化する。
【0117】
以上のように、第n列と第n+1列の比較器232の出力信号のレベルが変化するタイミングと第n+2列と第n+3列の比較器232の出力信号のレベルが変化するタイミングが異なる。したがって、本変形例によれば、
図12の「Var」に示されているように、各列の比較器232の出力信号のレベルが変化するタイミングのばらつきを大きくすることができる。
【0118】
[第6実施形態]
上述の実施形態における光電変換装置は種々の機器に適用可能である。機器として、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、カメラヘッド、複写機、ファックス、携帯電話、車載カメラ、観測衛星、監視カメラ等があげられる。
図13に、機器の例としてデジタルスチルカメラのブロック図を示す。
【0119】
図13に示す機器70は、バリア706、レンズ702、絞り704、撮像装置700(光電変換装置の一例)を含む。また、機器70は、更に、信号処理部(処理装置)708、タイミング発生部720、全体制御・演算部718(制御装置)、メモリ部710(記憶装置)、記録媒体制御I/F部716、記録媒体714、外部I/F部712を含む。バリア706、レンズ702、絞り704の少なくとも1つは、機器に対応する光学装置である。バリア706はレンズ702を保護し、レンズ702は被写体の光学像を撮像装置700に結像させる。絞り704はレンズ702を通った光量を可変にする。撮像装置700は上述の実施形態のように構成され、レンズ702により結像された光学像を画像データ(画像信号)に変換する。信号処理部708は撮像装置700より出力された撮像データに対し各種の補正、データ圧縮等を行う。タイミング発生部720は撮像装置700及び信号処理部708に、各種タイミング信号を出力する。全体制御・演算部718はデジタルスチルカメラ全体を制御し、メモリ部710は画像データを一時的に記憶する。記録媒体制御I/F部716は記録媒体714に画像データの記録又は読み出しを行うためのインターフェースであり、記録媒体714は撮像データの記録又は読み出しを行うための半導体メモリ等の着脱可能な記録媒体である。外部I/F部712は外部コンピュータ等と通信するためのインターフェースである。タイミング信号等は機器の外部から入力されてもよい。また、更に機器70は光電変換装置で得られた情報を表示する表示装置(モニター、電子ビューファインダ等)を備えてもよい。機器は少なくとも光電変換装置を備える。更に、機器70は、光学装置、制御装置、処理装置、表示装置、記憶装置、及び光電変換装置で得られた情報に基づいて動作する機械装置の少なくともいずれかを備える。機械装置は、光電変換装置の信号を受けて動作する可動部(たとえばロボットアーム)である。
【0120】
それぞれの画素が、複数の光電変換部(第1の光電変換部と、第2の光電変換部)を含んでもよい。信号処理部708は、第1の光電変換部で生じた電荷に基づく画素信号と、第2の光電変換部で生じた電荷に基づく画素信号とを処理し、撮像装置700から被写体までの距離情報を取得するように構成されてもよい。
【0121】
[第7実施形態]
図14(a)、
図14(b)は、本実施形態における車載カメラに関する機器のブロック図である。機器80は、上述した実施形態の撮像装置800(光電変換装置の一例)と、撮像装置800からの信号を処理する信号処理装置(処理装置)を有する。機器80は、撮像装置800により取得された複数の画像データに対し、画像処理を行う画像処理部801と、機器80より取得された複数の画像データから視差(視差画像の位相差)の算出を行う視差算出部802を有する。また、機器80は、算出された視差に基づいて対象物までの距離を算出する距離計測部803と、算出された距離に基づいて衝突可能性があるか否かを判定する衝突判定部804とを有する。ここで、視差算出部802、距離計測部803は、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段の一例である。すなわち、距離情報とは、視差、デフォーカス量、対象物までの距離等に関する情報である。衝突判定部804はこれらの距離情報のいずれかを用いて、衝突可能性を判定してもよい。距離情報取得手段は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールによって実現されてもよい。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
【0122】
機器80は車両情報取得装置810と接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの車両情報を取得することができる。また、機器80には、衝突判定部804での判定結果に基づいて、車両に対して制動力を発生させる制御信号を出力する制御装置である制御ECU820が接続されている。また、機器80は、衝突判定部804での判定結果に基づいて、ドライバーへ警報を発する警報装置830とも接続されている。例えば、衝突判定部804の判定結果として衝突可能性が高い場合、制御ECU820はブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置830は音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステム等の画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。機器80は上述のように車両を制御する動作の制御を行う制御手段として機能する。
【0123】
本実施形態では車両の周囲、例えば前方又は後方を機器80で撮像する。
図14(b)は、車両前方(撮像範囲850)を撮像する場合の機器を示している。撮像制御手段としての車両情報取得装置810が、撮像動作を行うように機器80又は撮像装置800に指示を送る。このような構成により、測距の精度をより向上させることができる。
【0124】
上述では、他の車両と衝突しないように制御する例を説明したが、他の車両に追従して自動運転する制御、車線からはみ出さないように自動運転する制御等にも適用可能である。更に、機器は、自動車等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機、人工衛星、産業用ロボット及び民生用ロボット等の移動体(移動装置)に適用することができる。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)、監視システム等、広く物体認識又は生体認識を利用する機器に適用することができる。
【0125】
[変形実施形態]
本発明は、上述の実施形態に限らず種々の変形が可能である。例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を他の実施形態に追加した例や、他の実施形態の一部の構成と置換した例も、本発明の実施形態である。なお、本明細書において、画素1列に対して1つの列回路が設けられた例を説明したが、1列の画素に対して複数の出力線が設けられていてもよい。この場合は、複数の出力線の一部には、一部の行の画素が接続され、別の一部の出力線には別の一部の行の画素が接続される。この複数の出力線のそれぞれに、列回路が設けられていてもよい。また、複数列の画素に、1つの列回路が設けられた形態であってもよい。
【0126】
本明細書の開示内容は、本明細書に記載した概念の補集合を含んでいる。すなわち、本明細書に例えば「AはBである」旨(A=B)の記載があれば、「AはBではない」旨(A≠B)の記載を省略しても、本明細書は「AはBではない」旨を開示又は示唆しているものとする。なぜなら、「AはBである」旨を記載している場合には、「AはBではない」場合を考慮していることが前提だからである。
【0127】
本明細書の開示内容は、以下の構成を含む。
(構成1)
複数の画素と、
対応する画素から信号が各々出力される複数の出力線と、
前記複数の出力線の各々に対応して配され、対応する出力線に出力された信号を増幅する増幅部と、
前記複数の出力線の各々に対応して配され、第1入力端子及び第2入力端子を有し、前記第1入力端子に前記増幅部の出力に応じた信号が入力され、前記第2入力端子に参照信号が入力される比較部と、
第1端子及び第2端子を有するスイッチと、
を有し、
前記複数の出力線は第1出力線及び第2出力線を含み、
前記第1端子は、前記第1出力線に対応する増幅部と前記第1出力線に対応する比較部の間のノードに接続されており、
前記第2端子は、前記第2出力線に対応する増幅部と前記第2出力線に対応する比較部の間のノードに接続されており、
前記比較部は、前記第1入力端子及び前記第2入力端子に入力されている電位に基づいてオフセットを設定するオフセットクランプ動作を行うことが可能であり、
前記オフセットクランプ動作が完了する前の期間において、前記スイッチがオンになる
ことを特徴とする光電変換装置。
(構成2)
前記複数の出力線の各々に対応して配され、前記増幅部から出力された信号を保持する保持容量を更に有し、
前記第1端子は、前記第1出力線の保持容量に接続されており、
前記第2端子は、前記第2出力線の保持容量に接続されている
ことを特徴とする構成1に記載の光電変換装置。
(構成3)
前記複数の出力線の各々に対応して配された第1入力容量を更に有し、
前記増幅部の出力に応じた信号が前記第1入力容量を介して前記第1入力端子に入力され、
前記第1端子は、前記第1出力線の第1入力容量に接続されており、
前記第2端子は、前記第2出力線の第1入力容量に接続されている
ことを特徴とする構成1に記載の光電変換装置。
(構成4)
前記複数の出力線の各々に対応して配され、前記増幅部から出力された信号が保持される保持容量と、
前記複数の出力線の各々に対応して、前記保持容量と前記第1入力容量の間に配された第1バッファと、
を更に有し、
前記第1端子は、前記第1出力線に対応する第1バッファと前記第1出力線に対応する第1入力容量の間のノードに接続されており、
前記第2端子は、前記第2出力線に対応する第1バッファと前記第2出力線に対応する第1入力容量の間のノードに接続されている
ことを特徴とする構成3に記載の光電変換装置。
(構成5)
複数の画素と、
対応する画素から信号が各々出力される複数の出力線と、
前記複数の出力線の各々に対応して配され、対応する出力線に出力された信号を増幅する増幅部と、
前記複数の出力線の各々に対応して配され、第1入力端子及び第2入力端子を有し、前記第1入力端子に前記増幅部の出力に応じた信号が入力され、前記第2入力端子に参照信号が入力される比較部と、
前記複数の出力線の各々に対応して配された第2入力容量と、
第1端子及び第2端子を有するスイッチと、
を有し、
前記参照信号が前記第2入力容量を介して前記第2入力端子に入力され、
前記複数の出力線は第1出力線及び第2出力線を含み、
前記第1端子は、前記第1出力線に対応する第2入力容量に接続されており、
前記第2端子は、前記第2出力線に対応する第2入力容量に接続されており、
前記比較部は、前記第1入力端子及び前記第2入力端子に入力されている電位に基づいてオフセットを設定するオフセットクランプ動作を行うことが可能であり、
前記オフセットクランプ動作が完了する前の期間において、前記スイッチがオンになる
ことを特徴とする光電変換装置。
(構成6)
前記複数の出力線の各々に対応して、前記参照信号が供給される信号線と前記第2入力容量の間に配された第2バッファを更に有し、
前記第1端子は、前記第1出力線に対応する第2バッファと前記第1出力線に対応する第2入力容量の間のノードに接続されており、
前記第2端子は、前記第2出力線に対応する第2バッファと前記第2出力線に対応する第2入力容量の間のノードに接続されている
ことを特徴とする構成5に記載の光電変換装置。
(構成7)
前記スイッチの動作は、前記増幅部のゲインの設定に応じて異なる
ことを特徴とする構成1乃至6のいずれか1項に記載の光電変換装置。
(構成8)
前記スイッチの動作は、前記比較部のゲインの設定に応じて異なる
ことを特徴とする構成1乃至7のいずれか1項に記載の光電変換装置。
(構成9)
前記スイッチの動作は、前記参照信号の電位の単位時間当たりの変化量に応じて異なる
ことを特徴とする構成1乃至8のいずれか1項に記載の光電変換装置。
(構成10)
前記スイッチの動作は、前記光電変換装置の温度に応じて異なる
ことを特徴とする構成1乃至9のいずれか1項に記載の光電変換装置。
(構成11)
前記オフセットクランプ動作が完了した後に、前記スイッチがオフになる
ことを特徴とする構成1乃至10のいずれか1項に記載の光電変換装置。
(構成12)
前記スイッチがオンになり、その後にオフになった後に、前記オフセットクランプ動作が完了する
ことを特徴とする構成1乃至10のいずれか1項に記載の光電変換装置。
(構成13)
前記スイッチがオフになった後、前記参照信号の電位は時間に依存した変化を開始する
ことを特徴とする構成12に記載の光電変換装置。
(構成14)
第3端子及び第4端子を有する出力線接続スイッチを更に有し、
前記第3端子は、前記第1出力線に対応する画素と前記第1出力線に対応する増幅部の間のノードに接続されており、
前記第4端子は、前記第2出力線に対応する画素と前記第2出力線に対応する増幅部の間のノードに接続されている
ことを特徴とする構成1乃至13のいずれか1項に記載の光電変換装置。
(構成15)
前記オフセットクランプ動作が完了する前の期間において、前記出力線接続スイッチがオンになる
ことを特徴とする構成14に記載の光電変換装置。
(構成16)
前記複数の出力線は第3出力線を更に含み、
前記オフセットクランプ動作が完了する時点において、前記第1出力線に対応する比較部に入力される参照信号の電位と前記第3出力線に対応する比較部に入力される参照信号の電位とが互いに異なる
ことを特徴とする構成1乃至15のいずれか1項に記載の光電変換装置。
(構成17)
複数の画素と、
対応する画素から信号が各々出力される複数の出力線と、
前記複数の出力線の各々に対応して配され、第1入力端子及び第2入力端子を有し、前記第1入力端子に前記出力線の出力に応じた信号が入力され、前記第2入力端子に参照信号が入力される比較部と、
第1端子及び第2端子を有するスイッチと、
前記複数の出力線の各々に対応して配された第1入力容量と、
を有し、
前記出力線の出力に応じた信号が前記第1入力容量を介して前記第1入力端子に入力され、
前記複数の出力線は第1出力線及び第2出力線を含み、
前記第1端子は、前記第1出力線に対応する第1入力容量に接続されており、
前記第2端子は、前記第2出力線に対応する第1入力容量に接続されており、
前記比較部は、前記第1入力端子及び前記第2入力端子に入力されている電位に基づいてオフセットを設定するオフセットクランプ動作を行うことが可能であり、
前記オフセットクランプ動作が完了する前の期間において、前記スイッチがオンになり、
前記オフセットクランプ動作が完了した後に、前記スイッチがオフになる
ことを特徴とする光電変換装置。
(構成18)
複数の画素と、
対応する画素から信号が各々出力される複数の出力線と、
前記複数の出力線の各々に対応して配され、第1入力端子及び第2入力端子を有し、前記第1入力端子に前記出力線の出力に応じた信号が入力され、前記第2入力端子に参照信号が入力される比較部と、
前記複数の出力線の各々に対応して配された第2入力容量と、
第1端子及び第2端子を有するスイッチと、
を有し、
前記参照信号が前記第2入力容量を介して前記第2入力端子に入力され、
前記複数の出力線は第1出力線及び第2出力線を含み、
前記第1端子は、前記第1出力線に対応する第2入力容量に接続されており、
前記第2端子は、前記第2出力線に対応する第2入力容量に接続されており、
前記比較部は、前記第1入力端子及び前記第2入力端子に入力されている電位に基づいてオフセットを設定するオフセットクランプ動作を行うことが可能であり、
前記オフセットクランプ動作が完了する前の期間において、前記スイッチがオンになり、
前記オフセットクランプ動作が完了した後に、前記スイッチがオフになる
ことを特徴とする光電変換装置。
(構成19)
構成1乃至18のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置に対応した光学装置、
前記光電変換装置を制御する制御装置、
前記光電変換装置から出力された信号を処理する処理装置、
前記光電変換装置で得られた情報を表示する表示装置、
前記光電変換装置で得られた情報を記憶する記憶装置、及び
前記光電変換装置で得られた情報に基づいて動作する機械装置、の少なくともいずれかと、を備えることを特徴とする機器。
(構成20)
前記処理装置は、複数の光電変換部にて生成された画像信号をそれぞれ処理し、前記光電変換装置から被写体までの距離情報を取得することを特徴とする構成19に記載の機器。
【0128】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0129】
なお、上述の実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0130】
100、100a、100b 画素
12 出力線
21、21a、21b 増幅部
23、23a、23b AD変換部
191 スイッチ