(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】光子源及び光子源を作製する方法
(51)【国際特許分類】
H01S 5/183 20060101AFI20240520BHJP
【FI】
H01S5/183
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022136051
(22)【出願日】2022-08-29
【審査請求日】2022-09-06
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア バルビエロ
(72)【発明者】
【氏名】ヨアンナ クリスティーナ スキバ‐ジマンスカ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード マーク スティーブンソン
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ジェームス シールズ
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-117829(JP,A)
【文献】特表2020-530666(JP,A)
【文献】SINGH Harjot et al.,Large Purcellenhancement of a quantum dot coupled to a circular grating in a charge tunabledevice.,Quantum Physics,2021年11月26日,arXiv-2111.13653v1,p.1-6
【文献】YAO Beimeng, et al.,Design for hybridcircular Bragg gratings for a highly efficient quantum-dot single-photonsource.,Journal of the Korean PhysicalSociety,2018年,73,1502-1505
【文献】LIANG, Guozhen etc.,Single-mode surface-emitting concentric-circular-grating terahertz quantum cascade lasers,Appl. Phys. Lett.,vol.102,米国,AIP Publishing LLC.,2013年01月,031119-1~031119-4,https://doi.org/10.1063/1.4789535
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光子源であって、
エネルギーレベルが量子化される電子正孔対を閉じ込める量子ドットであり、電子正孔対が閉じ込められたエキシトン状態を実現し
、電子正孔対が再結合され偏光もつれが生じうる単一の光子を放出する量子ドットと、光キャビティとを備え、
前記光キャビティは、
回折ブラッグ格子「DBG」と、
平面反射層とを備え、
前記DBGは、中央ディスクを囲む複数の同心反射リングと、前記中央ディスクから複数の同心反射リングにわたって伸長する少なくとも1つの導電トラックとを備え、前記量子ドットは、前記中央ディスク内に設けられ、前記平面反射層は、前記DBGの対向する側から光を反射させるように前記DBGの片側の面上に設けられ、前記中央ディスクは、第1のドープ半導体層及び第2のドープ半導体層を含
み、
前記導電トラックが第1のドープ半導体層及び第2のドープ半導体層に接触することによって、前記量子ドットにわたって電界が印加される、光子源。
【請求項2】
前記平面反射層は、金属反射層である、請求項1に記載の光子源。
【請求項3】
前記量子ドットは、半導体層に設けられ、誘電体スペーサ層は、前記量子ドットと前記平面反射層との間に設けられる、請求項1又は2に記載の光子源。
【請求項4】
前記複数の同心反射リングは、複数のトレンチを備える、請求項3に記載の光子源。
【請求項5】
前記量子ドットは、ドープされていない半導体層に設けられ、前記ドープされていない半導体層は、
前記第1のドープ半導体層と
前記第2のドープ半導体層との間に設けられ、前記トレンチは、前記ドープされていない半導体層、前記第1のドープ半導体層、及び第2のドープ半導体層、を通して伸長し、前記少なくとも1つの導電トラックは、第1のドープ半導体材料及び/又は第2のドープ半導体材料のうちの少なくとも1つを備える半導体材料のブリッジによって設けられる、請求項4に記載の光子源。
【請求項6】
前記トレンチは、エッチングされたトレンチであり、前記半導体材料のブリッジは、エッチングされていない領域である、請求項5に記載の光子源。
【請求項7】
前記トレンチは、前記誘電体スペーサ層に伸長し、前記誘電体スペーサ層はエッチング停止層として機能する、請求項6に記載の光子源。
【請求項8】
前記第1のドープ
半導体層は、n型ドープ層であり、n型接触が前記n型ドープ層に設けられ、
前記第2のドープ
半導体層はp型ドープ層であり、p型接触が最外部の同心反射リングの縁の前記p型ドープ層に設けられる、請求項6に記載の光子源。
【請求項9】
前記中央ディスクから放射状に伸長する複数のブリッジがある、請求項5に記載の光子源。
【請求項10】
前記複数のブリッジは、前記中央ディスクの周りを回転して対照的に配置される、請求項9に記載の光子源。
【請求項11】
前記ブリッジの幅は、少なくとも150nmであり、多くても500nmである、請求項5に記載の光子源。
【請求項12】
前記トレンチの幅は、少なくとも50nmであり、多くて600nmである、請求項5に記載の光子源。
【請求項13】
前記量子ドットから放出された放射を収集するように位置付けられた光ファイバをさらに備える、請求項5に記載の光子源。
【請求項14】
半導体は、GaAs又はInPを備える、請求項5に記載の光子源。
【請求項15】
前記ブリッジの幅は、前記同心反射リングの半径に沿って一定である、請求項5に記載の光子源。
【請求項16】
前記量子ドットは、700nmから2000nmの波長を有する放射を放出するように構成されている、請求項1に記載の光子源。
【請求項17】
請求項1に記載の光子源を作製する方法であって、
第1の基板に横たわる犠牲層を形成することと、
前記犠牲層に横たわる第1のドープ半導体層を形成することと、
前記第1のドープ半導体層に横たわる量子ドットを備えるドープされていない半導体層を形成することと、ここで、前記量子ドットは、前記中央ディスク内に設けられ、平面反射層は、前記DBGの対向する側から光を反射させるように前記DBGの片側の面上に設けられ、
前記ドープされていない半導体層に横たわる第2のドープ半導体層を形成することと、第2のドープ半導体層は、前記第1のドープ半導体層に対向する両極性型を有し、
前記第2のドープ半導体層に横たわる誘電体層を形成することと、
前記誘電体層に横たわる金属層を形成することと、
第2の基板に横たわる金属層を形成することと、
接合された構造を形成するために、前記第1の基板に横たわる前記金属層を前記第2の基板に横たわる前記金属層にフリップチップボンディングすることと、
前記接合された構造から前記第1の基板と犠牲層とを除去することと、
前記犠牲層を除去するステップによって露光する面上に中央ディスクを囲む同心反射リングのパターンを形成することと、前記パターンはまた、前記中央ディスクから径方向に伸長する少なくとも1つの、導電トラックであるブリッジを備え、前記パターンはエッチングによって形成され、ここで、前記DBGは、中央ディスクを囲む複数の同心反射リングと、前記中央ディスクから複数の同心反射リングにわたって伸長する少なくとも1つの導電トラックと、を含み、前記中央ディスクは第1のドープ半導体層及び第2のドープ半導体層を含み、
2つのドープされた、第1のドープ半導体層及び第2のドープ半導体層への接触を形成することとを含む、方法。
【請求項18】
前記パターンは、前記誘電体層にまで下がってエッチングされる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
接触は、第1のドープ半導体層と第2のドープ半導体層に形成され、前記接触は、外側の同心反射リングの端に形成される、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記接触は、前記パターンをエッチングする前に形成される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここで説明する実施形態は、光子源及び光子源を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光子源は、非常に多くの異なる使用に必要とされている。量子ドットを使用するいくつかの光子源は、単一の光子放出体又は量子光源として使用される。単一の光子放出体は、単一の光子を放出するために使用され、量子光源は、単一の光子、もつれた光子又は多数の光子を放出することができ、多数の光子は、単一の光子の精度に制御される。
【0003】
このような単一の光子源及び量子光源は、量子RED、量子REDモジュール、量子鍵配送(QKD)及び量子通信システム:量子中継器、量子リピーター等のようなコンポーネントのために使用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1A】
図1Aは、実施形態にしたがう光子源の層状構造の断面である。
【
図1B】
図1Bは、実施形態にしたがう光子源の層状構造の平面図である。
【
図1C】
図1Cは、量子ドットの簡略化されたバンドダイヤグラムである。
【
図2A】
図2Aは、実施形態にしたがう、InP系における、光子源の層状構造を形成するための製造ステップである。
【
図2B】
図2Bは、実施形態にしたがう、InP系における、光子源の層状構造を形成するための製造ステップである。
【
図2C】
図2Cは、実施形態にしたがう、InP系における、光子源の層状構造を形成するための製造ステップである。
【
図2D】
図2Dは、実施形態にしたがう、InP系における、光子源の層状構造を形成するための製造ステップである。
【
図2E】
図2Eは、実施形態にしたがう、InP系における、光子源の層状構造を形成するための製造ステップである。
【
図2F】
図2Fは、実施形態にしたがう、InP系における、光子源の層状構造を形成するための製造ステップである。
【
図3A】
図3Aは、実施形態にしたがう、GaAs系における、光子源の層状構造を形成するための製造ステップである。
【
図3B】
図3Bは、実施形態にしたがう、GaAs系における、光子源の層状構造を形成するための製造ステップである。
【
図3C】
図3Cは、実施形態にしたがう、GaAs系における、光子源の層状構造を形成するための製造ステップである。
【
図3D】
図3Dは、実施形態にしたがう、GaAs系における、光子源の層状構造を形成するための製造ステップである。
【
図3E】
図3Eは、実施形態にしたがう、GaAs系における、光子源の層状構造を形成するための製造ステップである。
【
図3F】
図3Fは、実施形態にしたがう、GaAs系における、光子源の層状構造を形成するための製造ステップである。
【
図6A】
図6Aは、2つの異なる偏向に対する波長に対してのパーセル係数のプロットであり、挿入は、対応する放出プロフィールを示す。
【
図6B】
図6Bは、2つの異なる偏向に対する波長に対してのパーセル係数のプロットであり、挿入は、対応する放出プロフィールを示す。
【
図6C】
図6Cは、ブリッジの幅の5つの異なる値に対する波長の関数として、パーセル係数及びNA=0.65のDCEのプロットを示している。
【
図6D】
図6Dは、InP層の5つの異なる値に対する波長の関数として、パーセル係数及びNA=0.65のDCEの値のプロットを示している。
【
図7A】
図7Aは、ブリッジの異なる構成を有する実施形態にしたがう光子源の平面図を示している。
【
図7B】
図7Bは、ブリッジの異なる構成を有する実施形態にしたがう光子源の平面図を示している。
【
図7C】
図7Cは、ブリッジの異なる構成を有する実施形態にしたがう光子源の平面図を示している。
【
図8A】
図8Aは、ファイバに結合された実施形態にしたがう、光子源の概略的な断面である。
【
図8B】
図8Bは、4つの異なるタイプの商用単一モードファイバに対して光子源の上面とファイバとの間の距離zの関数として、シミュレートされたモード結合効率(MCE)を示すプロットである。
【
図8C】
図8Cは、異なるファイバ範囲における、Nufern UHNA4ファイバのモードプロフィール(実線)と、x及びy軸に沿ったCBGからの近傍界放出の空間プロフィール(破線)を示している。
【
図8D】
図8Dは、トレンチの異なる幅wに対する波長の関数として、UHNA4 SMファイバへのシミュ―レートされたモード結合効率(MCE)を示している。
【
図9】
図9は、同じチップのパターン化されていないエリア上に記録されたマイクロPL信号と比較して、GaAsハイブリッド円形ブラッグ反射器に組み込まれたQDからのフォトルミネセンス(PL)信号を示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
実施形態において、光子源が設けられ、光子源は、量子ドットと、光キャビティとを備え、光キャビティは、回折ブラッグ格子「DBG」と、平面反射層とを備え、DBGは、中央ディスクを囲む複数の同心反射リングと、中央ディスクから複数の同心リングにわたって伸長する少なくとも1つの導電トラックとを備え、量子ドットは、中央ディスク内に設けられ、平面反射層は、光をDBGの対向する側から優先的に放出させるようにDBGの一方に設けられる。
【0006】
上記光子源は、サブポワソン光子源を提供し、導電トラックは、電界を適合することを可能にする。さらに、規定された構成は、広い波長範囲にわたって抽出効率を向上させる、パーセル増強を生じさせることを可能にする。
【0007】
実施形態において、光子源は、半導体光子源である。DBGは、複数の同心リングが楕円である、楕円ブラッグ格子であってもよい。楕円は、円形ブラッグ格子CBGが提供されるように円形であってもよい。
【0008】
実施形態において、平面反射層は、金属反射層である。さらなる実施形態において、平面反射層は、分布ブラッグ反射器(DBR)のような誘電ミラーによって提供される。しかしながら、金属ミラーは、半導体分布ブラッグ反射器と比較して、広い範囲の波長及び入射角からの高い反射性を補償する。
【0009】
以下の説明は、円形ブラッグ格子に言及する。しかしながら、他のタイプの楕円ブラッグ格子又は同心リングを有する他の構造を使用できる。
【0010】
さらなる実施形態において、量子ドットは、半導体層に設けられ、誘電体スペーサ層が量子ドットと平面反射層との間に設けられる。実施形態において、誘電体スペーサ層は、半導体が重なるより低い屈折率を有する。誘電体スペーサ層は、直接半導体/金属界面において起こるプラズモン効果を回避するように機能し、QDとミラーとの間に適切な距離があることを確実にする。したがって、この層の厚さは、使用可能な波長及び材料系のために最適化される。
【0011】
誘電体スペーサの提供は、以下で説明する後の製造ステップを実行するとき、層がエッチング停止として使用されることを可能にする。
【0012】
複数の反射リングは、複数のトレンチを備えていてもよい。実施形態において、少なくとも2つの同心リングがあってもよい。同心リングの機能は、中央ディスク内の電界に集中させることである。したがって、より多くのリング、例えば、5から50又は更に多くが可能である。
【0013】
実施形態において、トレンチの幅は、≧50nm及び≦600nmである。約λのトレンチ間の分離において、λは、量子ドットの効率的な放出波長である。誤解を避けるために記すと、実施形態において、分離は、2つのトレンチ間の半導体の部分である。
【0014】
実施形態において、量子ドットは、ドープされていない又は真性半導体層に設けられ、ドープされていない半導体層は、pドープ半導体層とnドープ半導体層との間に設けられ、トレンチはドープされていない半導体層、pドープ半導体層、及びnドープ半導体層を通して伸長し、半導体層のブリッジによって提供される少なくとも1つの導電トラックは、nドープ半導体材料及び/又はpドープ半導体材料のうちの少なくとも1つを備えている。
【0015】
上記の構成は、量子ドットが放射を放出することを可能にする量子ドットにわたって電界が印加されることを可能にする。電界は、中央ディスク下に設けられるnドープ半導体層とpドープ半導体層とに接触することによって印加されることができる。中央ディスク内のnドープ及びpドープ層への接触は、ブリッジを介して達成できる。
【0016】
実施形態において、トレンチはエッチングされたトレンチであり、半導体材料のブリッジは、エッチングされていない領域である。これは、CBRにわたって伸長するようにn型領域及びp型領域を可能にする。n型又はp型領域のうちの1つをブリッジから除去することが可能である。例えば、n型層を有し、p型層は有さない第1のブリッジと、n型及びp型層の両方、又はp型層のみを有する第2のブリッジがある、2つのブリッジを有する構成が提供されてもよい。第1のブリッジがp型層を備え、n型層はなく、第2のブリッジがp型とn型の両方、又はn型のみを備える、代替構成も可能である。
【0017】
実施形態において、トレンチは、誘電体スペーサ層に伸長し、誘電体スペーサ層は、エッチング停止層として機能する。これは、製造を容易にする。
【0018】
実施形態において、n型接触はn型ドープ層に設けられ、p型接触は、最外部の同心リングの縁又は縁の外側の、p型ドープ層に設けられる。これは、CBRの特性に影響を及ぼす接触金属化なく接触を行うことを可能にする。
【0019】
実施形態において、前記中央ディスクから放射状に伸長する複数のブリッジがある。しかしながら、前記単一のブリッジを使用して、n型層とp型層になされた独立した接触がある、単一のブリッジがあることも可能である。実施形態において、複数のブリッジがあり、ブリッジは中央ディスクの周りを回転して対照的に配置される。
【0020】
ブリッジの幅は、少なくとも150nmであってもよく、多くて500nmである。トレンチの幅は、少なくとも50nmであってもよく、多くて600nmである。
【0021】
実施形態において、ブリッジの幅は、同心リングの径方向に沿って接触する。ブリッジは、CBRによって提供される閉じ込めに否定的に影響を及ぼすかもしれない、CBRのリングによってもたらされる反射に加えて、光場の反射をもたらす。実施形態において、ブリッジの寸法はこれらが設計値に一致しているかどうかを容易に確かめることができることから、一定の幅を有するブリッジの提供は、より良好な品質制御を可能にする。ブリッジの幅が一定である場合、構造に沿ってオフセットもバリエーションもないと確認することがより容易になる。
【0022】
実施形態において、パーセル係数が>3であるように、光子源が設けられる。さらなる実施形態において、高波長領域>5nmにわたって、光子抽出効率は>40%である。
【0023】
上記は、以下のうちの1つ以上を備える光子源によって達成できる:
-波長範囲700-2000nmにおいて放出される複数の量子ドット
-厚さλ/4から2*λの半導体層内、ここで、λは層内の効果的な波長の放出である
-λ/2から5*λの間の直径を有する中央メサ
-幅>50nm及び<1000nmの前記半導体層内の一連の2つ以上の同心トレンチ
-ここで、前記トレンチは、中央メサを接続する1つ以上の半導体ブリッジによってさえぎられる
-屈折率が前記半導体層よりも低い、上記の下にある及び上記と接触する誘電体スペーサ層
-上記の下にある及び上記と接触する反射層
【0024】
上記システムは、多くの異なる材料系で使用されることができる。GaAs又はInP材料系は、1250nmから1560nm、例えば約1310nmと1550nmのような、商業的に有益な波長範囲を有する量子ドットの形成を可能にする。実施形態において、1310nmと1550nmの値は、10%のエラーで、さらなる実施形態では5%のエラーで、おおよその値で提供される。
【0025】
またさらなる実施形態では、量子ドットから放出される放射を収集するように位置付けられた光ファイバが設けられる。
【0026】
さらなる実施形態では、光子源を作製する方法は、以下を備える方法が提供される:
第1の基板に横たわる犠牲層を形成することと、
犠牲層に横たわる第1のドープ半導体層を形成することと、
第1のドープ半導体層に横たわる量子ドットを備えるドープされていない半導体層を形成することと、
ドープされていない半導体層に横たわる第2のドープ半導体を形成することと、第2のドープ半導体層は、第1のドープ半導体層に対向する両極性型を有し、
第2のドープ半導体層に横たわる誘電体層を形成することと、
誘電体層に横たわる金属層を形成することと、
第2の基板に横たわる金属層を形成することと、
接合された構造を形成するために、第1の基板に横たわる金属層を前記第2の基板に横たわる金属層にフリップチップボンディングすることと、
接合された構造から第1の基板と犠牲層とを除去することと、
犠牲層を除去するステップによって露光する面上に中央ディスクを囲む同心リングのパターンを形成することと、前記パターンはまた、中央ディスクから径方向に伸長する少なくとも1つのブリッジを備え、パターンはエッチングによって形成され、
2つのドープされた半導体層への接触を形成することとを含む。
【0027】
実施形態において、パターンは、誘電体層にまで下がってエッチングされる。さらなる実施形態において、接触は、ドープ半導体層に形成され、接触は、外側同心リングの端に形成される。
【0028】
用語「フリップチップ」は上記で使用され、「チップ」は、全ウエハを含む、任意のサイズの半導体片を意味することができることを理解すべきである。
【0029】
また更なる実施形態において、接触は、パターンをエッチングする前に形成される。
【0030】
図1Aは、実施形態にしたがう、光子源の断面の概略図であり、
図1Bは、実施形態にしたがう、光子源の平面図である。
【0031】
光子源1は、400nmの厚さのInPスラブ203において成長した量子ドット(QD)201を備えている。スラブは、2つの50nmの厚さのドープ層、nドープ層205とpドープ層206とを含む。Nドープ層205は、Siによるn型ドープである一方、pドープ層206は、Znによるp型ドープである。
【0032】
本実施形態では、pドープ層206の厚さは50nmになるように設計されているが、実際の層の厚さは、高温におけるInPへのZn拡散により、より大きい。
【0033】
SiO2207の絶縁層は、ブロードバンドバックサイドAuミラー209からスラブの底を分離し、エッチングプロセスの間、停止層として機能する。ミラー209は、光キャビティを規定するために使用されるミラーとして機能する。
【0034】
ミラー209は、InPキャリアウエハ211上に位置する。しかしながら、キャリアウエハは、異なる材料、例えば、Siであてもよい。サンプルがGaAsで作製される場合、GaAsウエハ又はSiウエハを使用できる。
【0035】
図1Bは、光子源の平面図である。
図1A及び1Bを参照して説明される光子源は、テレコムCバンドで動作するように設計されている。光子源1の上面には、円形ブラッグ格子(CBG)がある。円形ブラッグ格子(CBG)は、量子ドット(QD)で中央メサの周りを半導体スラブにおいてエッチングされた同心のトレンチのセットからなる。光学又は電気ポンプ下で、QDは全内面反射によって大部分が閉じ込められ、したがって、半導体スラブにガイドされる、単一の光子を放出することができる。
【0036】
光子がスラブ中を伝搬するとき、トレンチにおける屈折率対比は、中央メサにおいて局所化される空洞共振につながる、強い面内の反射をもたらす。その一方で、面内放出の一部は、同心のリングによって垂直に向けられ、これは、二次ブラッグ条件を満たす。
【0037】
放出される光子の半分は基板において分散することから、デバイスは、絶縁酸化被膜207によってCBGから分離されたバックサイドブロードバンドミラーを含む。酸化被膜の厚さが適切に設計される場合、基板に漏れる光子の大部分は、Au又はAgから形成されてもよく、上方に向けられるミラー209から効果的に反射され、対物レンズ又はこれに類するものによって、高い効率性で、明るい放出を収集できる。
【0038】
この実施形態では、CBGは、InPスラブにおいてエッチングされる4つの同心トレンチを備えている。同心トレンチ213は、エッチングされない中央ディスクを囲む。
【0039】
トレンチ213は、金属接触が置かれるデバイスの外側に配置された(この図面では縮尺通りではない)4つのInPメサ217に中央ディスクを接続する、幅wbの4つの半導体ブリッジ215によってさえぎられる。(219)は、n-InPへの金属接触であり、(221)はp型接触である。両方の接触は、PdGePtAuでできている。
【0040】
層厚さのわずかな調節により、近赤外又はテレコムOバンドで動作するデバイスを取得するために、上記の設計は、GaAs材料系に移されることができる。このケースでは、p型層はCでドープされ、n型接触はPdGePtAuでできており、p型接触はCrAu又はTiAuでできている。
【0041】
上記デバイス設計のシミュレーションを以下に示す。
【表1】
【0042】
上記表は、
図1A及び1Bを参照して説明したデバイス設計からシミュレートされた結果を示している。表は、材料系、動作波長、パーセル係数F
p、空洞モードの帯域幅(FWHM)、及び特定の開口数(NA)で収集に成功したわずかに生成された光子を特定している。上記のデバイスは、適度なパーセル増強と広範囲の高抽出効率を電界制御と組み合わせることに留意すべきである。
【0043】
図2Aから
図2Fを参照して、製造プロセスを以下に説明する。ここで示すプロセスは、いわゆる「フリップチップ」方法であるが、他の方法を使用できる。「チップ」は、全ウエハを含む、任意のサイズの半導体片を意味することができることに留意すべきである。
【0044】
網羅性のために、
図1Cは、
図1A及び1Bの光子源において使用されることができ、動作を説明するために使用されるタイプの量子ドットのエネルギーレベルダイヤグラムを示している。
【0045】
量子ドット(QD)は、エネルギーレベルの量子化が生じるように、低減されたボリューム内に荷電粒子を閉じ込める能力を有する小さな構造である。
【0046】
(CBGに含まれるInAs/InP又はInAs/GaAs QDのような)半導体量子ドットにおいて、この効果は、高バンドギャップマトリックスにおいて小バンドギャップ半導体を組み込み、したがって、電子及び正孔を捕まえるポテンシャル井戸を作成することによって達成できる。結果として、ドットは、導電帯及び価電子帯に少数の離散準位を含み、それらのそれぞれには、対向するスピンの2つの電子又は正孔が存在することができる。QD内の電子正孔対の閉じ込めは、クローン相互作用を通して結合され、エキシトン(x)状態と一般的に呼ばれる一方で、同じドットにおける2つのエキシトンは、まとめてバイエキシトン(xx)と呼ばれる。
【0047】
これらの閉じ込める能力により、量子ドットは、単一の光子を発生させるために活用できる。実際に、荷電担体の注入後、xx励起状態は、放射カスケードで自然に減衰し、まず、電子のうちの1つは正孔のうちの1つと再結合し、バイエキシトン光子を発生させる。これは、ドットをx状態のままにし、これは、結果として第2の光子(エキシトン光子)を発生させる基底状態に減衰する。
【0048】
図1Cは、簡略化されたダイヤグラムであり、実際に、x状態のレベルは、電子及び正孔スピンに依存して、2つの光学的にアクティブな状態x
1及びx
2に分割される。2つのエキシトンスピン状態間にエネルギー差が存在してもよい。2つのx状態の存在は、2つの減衰経路を提供し、一方はxxからx
1へ、そして接地へ、他方はxxからx
2へ、そして接地へである。これは、これらの経路の重ね合わせにおいて、システムが光子を放出することを可能にし、偏光もつれ光子の発生につながる。
【0049】
キャリア間のクローン相互作用の結果として、x及びxx光子の波長は、数ナノメートルだけ異なり、したがって、これらは、低温分光法を使用して、2つの別個の個々のスペクトル線として観測されることができる。さらに、発光スペクトルは、典型的に、代替電荷構成から生じるいくつかのさらなる線を表示する。量子ドットにおいて他の放出状態、例えば、1対の電子と単一の正孔からなる負の電荷を持ったエキシトンを励起することも可能であり、これは、中性エキシトン及びバイエキシトンのものとは異なる波長で単一の光子を放出し、量子ドットに電子を残す。
【0050】
図1A及び1Bのデバイスにおいて、QDによって放出された光子は、大部分は半導体界面における全内面反射によって閉じ込められ、したがって、面内にガイドされる。光子がスラブ中に伝搬し、格子に達するとき、トレンチにおける屈折率対比は、強い面内反射をもたらし、中央メサにおいて局所化される空洞共振につながる。その一方で、面内放出の一部は、同心リングによって垂直に向けられ、これは、二次ブラッグ条件を満たす。
【0051】
放出された光子の半分は基板において分散されることから、デバイスは、絶縁酸化被膜によってCBGから分離されたバックサイドブロードバンドミラーを含む。酸化被膜の厚さが適切に設計される場合、基板に漏れる光子の大部分は、ゴールドミラーから効果的に反射され、上方に向け直されることができ、明るい放出は、対物レンズにより高い効率性で収集されることができ、又は光ファイバに直接結合されることができる。酸化被膜の厚さを変化させることは、格子によって上方に向けられる光子とミラーによって反射される光子との間の光学経路差に影響を与え、したがって、それは放出パターンとデバイスの帯域幅に直接影響を及ぼす。
【0052】
スペクトルフィルタリングの後、外部システムは、量子通信及び量子コンピューティングの対するリソースとして、デバイスから収集された単一の光子を使用してもよい。
【0053】
再結合カスケードをトリガするために、
図1A及び1Bに組み込まれたQDには、荷電担体が存在する。これは、光学又は電気注入を使用して、達成できる。
【0054】
光学励起電子は、CW又はパルス化されたレーザー源によって発生した光子でQDを照らすことにより、価電子帯から導電帯に励起される。レーザー源の光子エネルギーに依存して、3つの異なるスキームを区別できる:
・上記バンド励起 ポンピングレーザーのエネルギーがバルク材バンドギャップよりも高いとき。このスキームでは、電子及び正孔は、バリア材料のバンド端上で励起され、QDによって捕捉され、これらは、フォノン相互作用を介してこれらのエネルギーをより低くし、結果として放射状態及び再結合に達する。
・準共鳴励起 ポンピングレーザーのエネルギーがQD内の高次状態間のエネルギー差、又はLOフォノン共鳴のエネルギーに一致する場合。
・共鳴励起 到来光子エネルギーが所定の光学遷移と共鳴してオンにされるとき。共鳴励起下で放出される光は、共鳴蛍光(RF)として知られている。励起波長は、放出波長と同じであることから、この技術は、ポンプレーザーの最適化された抑制を必要とする。
【0055】
1A及び1Bのデバイスは、pin構造の真性領域において成長したQDを有する、ドープ層を含むことから、外部電圧を印加し、したがって、デバイスを通して流れる電流を生成することにより、励起された状態を作り出すことも可能である。
【0056】
特に、短い電気パルスは、高電圧と低電圧との間で交互に印加できる。InP材料系について、適切な高電圧は、約100psFWHMのパルス幅で、~1.5V及び~0.5Vである。高電圧フェーズの間、単一の電子及び正孔はQDを通過する電流から捕捉される一方で、オフフェーズの間、これらは単一の光子を放出するように再結合される。
【0057】
実験的応用について、QDの放出波長を修正することが必要であるかもしれない。
図1A及び1Bのデバイスは、以下の同調スキームと互換性がある:
・
温度同調 数十度Kまで温度を増加させるために放出波長が赤方偏移される。
・
電界同調 デバイスにわたる電圧の印加により発生した電界は、量子閉じ込めシュタルク効果のおかげで放出波長を修正することができる。
【0058】
図2Aにおいて、400nm厚のInPスラブ304が、第1の基板と呼ばれる従来のInP(001)基板301上で有機金属気相成長法MOVPEによって成長する。スラブは、分子線エピタキシー(MBE)又は有機金属化学気相成長法MOVPEによっても成長する。ス900nm AlInGaAs又はInGaAsP犠牲層303は、InP層を形成する前に、第1の基板上に形成される。
【0059】
InPスラブは、犠牲層に横たわって形成される第1のドープInP層を備えている。InPスラブは、第1のドープInP層、第1のドープInP層に横たわって形成される中央InP領域、中央領域にわたって第2のドープInP層を備えている。
【0060】
量子ドットは、中央領域で形成される。デバイスは、有機金属気相成長法(MOVPE)によって成長するInAs\InP QDを含む。QDは、異なる技術を使用して形成されることができる:
1)Stranski-Krastanov(SK)モードは、異なる半導体間の格子不一致に依存する。この成長モードにおいて、As及びInフラックスは、同時に基板に供給される。最初に、成長は2次元であり、著しくひずんだInAs湿潤層が形成される。InAsとInp基板との間に格子不一致によってもたらされるひずみは、湿潤層の厚さで増加する。臨界厚さの後、成長停止は、均一であり、表面張力を最少化するためにQDアイランドは形成することを開始する。
2)一方、液滴エピタキシー(DE)は、QD形成の間、ひずみに依存しない。代わりに、In及びAsフラックスは、SK QDと比較してより低い温度で別々に供給される。
最初に、InのようなグループIII金属元素が基板面上に配置され、ナノメートルサイズの液滴の自発的形成につながる。この段階では、基板の温度、又はユニットエリア毎に配置された材料の総量のいずれかを変更することにより、液滴濃度とサイズを制御することが可能である。一旦このステップが完了すると、金属源は閉じられ、Asのような所望の非金属グループV元素の放射により、金属液滴の結晶化による成長が継続する。
【0061】
この第2のステップの間、各単一の金属液滴は1つのナノ構造の開始点となり、この形状及びトポロジーは、プロセスのパラメータを変化させることによって制御できる。
【0062】
層の厚さ及び細かい特徴のわずかな調整により、設計は、テレコムOバンド又は赤外線波長範囲に移すことができ、InAs/GaAs QDで動作できることに留意すべきである。このケースでは、サンプルは、分子線エピタキシー(MBE)によって成長でき、QDは、SK又はDEモードのいずれかで形成されることができる。
【0063】
他の技術も、ドット、例えば、局所液滴エッチング(LDE)を形成するために使用できる。
【0064】
SiO2の280nm層305は、プラズマ化学気相成長法(PECVD)を使用してスラブの最上部に配置される。
【0065】
図2Bにおいて、300nmのAu307が、SiO2層305の上、及び第2の基板、InP(001)キャリアウエハ309の上の両方でスパッタされる。
【0066】
図2Cにおいて、第1の基板及び層が、熱圧着Au-Auボンディングを使用して、第2の基板にフリップされ、接合される。
図2Dにおいて、オリジナルのInP基板の大部分が機械ラッピング及び研磨により除去され、おおよそ25μmの残余厚さ311を残す。
【0067】
図2Eにおいて、犠牲層を選択的にエッチングするために、比1:1:8のH
2SO
4:H
2O
2H
2Oの溶液が使用され、残余InP第1基板を除去する。
図2Fにおいて、最終構造が、デバイス製造のためのチップ内で劈開される。上記技術がInP系に適合される。
【0068】
図3Aから3Bは、GaAsベースの系統に対するフリップチップ方法を示している。
【0069】
図3Aにおいて、第1の構造が形成され、第1の構造は、従来のGaAs(001) 基板401である第1の基板に横たわって形成され、接触する、200nm Al
08Ga
02As犠牲層403を備えている。犠牲層403は、分子線エピタキシーを使用して形成される。QDによるドープGaAsスラブは、分子線エピタキシーによって犠牲層403上に成長する。SiO2の層がPECVDを使用してスラブの最上部に配置される。
【0070】
図3Bにおいて、300nmのAuが、第1の構造で形成される両方のSiO
2の上で、及び第2の基板と呼ばれるGaAs(001)又はSiキャリアウエハ405上の両方でスパッタされる。
【0071】
図3Cにおいて、第1の構造は、熱圧着Au-Auボンディングを使用して、第2の基板にフリップされ、接合される。
【0072】
図3Dにおいて、オリジナルのGaAs基板の大部分が機械ラッピングにより除去され、おおよそ25μmの残余厚さ407を残す。
図3Eにおいて、残余GaAsは、Al
08Ga
02As犠牲層で停止する、5:1の比で、C
6H
8O
7:H
2O
2の選択的溶液でエッチングされる。
【0073】
図3Fにおいて、希釈されたHCIにおける構造のディッピングは、犠牲層を溶かし、最終ウェハ構造を生じさせる。
【0074】
図2及び3は、フリップチップ技術を使用して、どのように基礎層状構造を形成できるかを示している。
図5及び6は、どのように層状構造がハイブリッドCBGを形成するように処理されるかを説明する。
図4Aから4Mは、
図2Aから2Fにおいて提示したInP接合ウエハ構造から開始する提示したデバイスの製造のためのワークフローの概略図である。
図4Aにおいて、InPスラブはPMMA又はZEPレジスト501の層でカバーされる。
【0075】
図4Bにおいて、レジストでカバーされたウエハ構造は、p型接触が配置されるであろうエリアを規定するために、電子ビーム503にさらされる。
図4Cにおいて、レジストは、第1のマスク505を作成するさらされたレジストを除去する溶媒で溶解される。
【0076】
図4Dにおいて、塩素化学を使用して、誘導結合されたプラズマでサンプルがドライエッチングされ、pドープ層で停止する。
図4Eにおいて、アセトン又はMicroposit Remover 1165でサンプルを洗浄することにより、レジストマスクは除去される。
図4Fにおいて、第2のレジストマスク509は、
図4Aから4Cに図示した同じ手順にしたがって作成される。
【0077】
図4Gにおいて、PdGePtAuの層が表面上に蒸着される511。
図4Hにおいて、離昇プロセスは過剰な金属を除去し、p型513及びn型515接触が残る。
図4Jにおいて、第3のレジストマスク517は、
図4Aから4Cに図示された同じ手順にしたがって作成される。このマスクは細かい特徴を規定することから、ZEP520Aレジストが使用される。
図4Kにおいて、細かい特徴は、塩素化学を使用する誘導結合されたプラズマを使用してドライエッチングされる。
【0078】
図4Lにおいて、SiO
2層は、エッチング停止として機能し、深さ較正の必要性をなくす。
図4Mにおいて、残留レジストは、ポリマーを分解するために最初に数分間深紫外線放射にさらされ、その後、室温でMicroposit Remover 1165に溶解される。
【0079】
図5Aから5Mは、
図3Aから3Fに提示したGaAs接合ウェハ構造から開始する、近赤外又はテレコムOバンドで動作するデバイスの製造の概略ワークフローである。
【0080】
図5Aにおいて、GaAsスラブがPMMA又はZEPレジスト601の層でカバーされる。
図5Bにおいて、電子ビーム603にさらされることは、n型接触が配置されるエリアを規定する。
図5Cにおいて、構造は、第1のマスク605を作成するさらされたレジストを除去する溶媒で溶解される。
【0081】
図5Dにおいて、PdGePtAuの層が、マスク605及びさらされた部分の両方にわたる面上に蒸着される607。
図5Eにおいて、レジストマスクを除去し、n型接触609を形成する蒸着された金属607が残る。
【0082】
図5Fにおいて、
図5Aから5Cに図示された同じ手順にしたがって第2のレジストマスク611が作成される。
図5Gにおいて、塩素化学を使用する誘導結合されたプラズマで、サンプルがドライエッチングされ、pドープ層で停止する。
【0083】
図5Hにおいて、アセトン又はMicroposit Remover 1165でサンプルを洗浄することにより、レジストマスクが除去される。
図5Iにおいて、TiAu又はCrAu p型接触613が、
図5D及び5Eに図示した同じ手順を使用して配置される。
【0084】
図5Jにおいて、
図5Aから5Cに図示した同じ手順にしたがって第3のレジストマスク615が作成される。このマスクは細かい特徴を規定することから、このような高い分解能に良好なレジストは、ZEP520Aのように使用される。
図5Kにおいて、細かい特徴は、塩素化学を使用する誘導結合されたプラズマを使用して、ドライエッチングされる。
【0085】
図5Lにおいて、SiO
2層は、エッチング停止として機能し、深さ較正の必要性をなくす。
図5Mにおいて、残留レジストは、ポリマーを分解するために最初に数分間深紫外線放射にさらされ、その後、室温でMicroposit Remover 1165に溶解される。
【0086】
図6A及び6Bは、周期性a=740nmでエッチングされた5つの同心トレンチ(幅w=350nm)を有するデバイスのシミュレートされた性能を示している。中央ディスクの半径は、R=610nmに設定され、InPブリッジの幅は、w
b=200nmに設定される。グラフは、2つの異なる偏光に対して計算された波長の関数として、パーセル係数(実線)、及びNA=0.65の収集効率(DCE)(破線)を示している。
【0087】
シミュレーションにおいて、QDは、特定の方向に沿って向けられた、デバイスの中心に双極子としてモデル化される。双極子の方向は、放射場の方向を規定し、したがって、量子ドットの偏光を規定する。ブリッジを有するデバイスは、放射対称を有しておらず、したがって、このシミュレーションは、異なる方向における偏光で実行される。
【0088】
ここでシミュレートされる2つの偏光は、4つのブリッジに関するデバイス中の双極子の2つの異なる方向に対するものであり、第1のケースでは、双極子はブリッジに平行/垂直であり、第2のケースでは、双極子は2つのブリッジ間で45度を「指す」。挿入図は、内円によって表されるNA=0.65で、球に投影された対応する遠距離場の強度分布を示す。
【0089】
図6Cは、デバイスの性能についてのブリッジの影響を示す:w
bの5つの異なる値についての波長の関数として、パーセル係数及びNA=0.65のDCEを示し、ここで、w
bは、ブリッジの幅(200nm、225nm、250nm、275nm、及び300nm)である。このシミュレーションでは、4つのブリッジがある。
【0090】
図6Dは、デバイスの性能へのInP厚さの影響を示す:プロットは、t
InP(InP層の厚さ)の5つの異なる値についての波長の関数として、パーセル係数とNA=0.65のDCEの値を示している。
【0091】
上記の例は、4つのブリッジを有するデバイスを描いている。しかしながら、電動のハイブリッドCBGについての代替構成の例を示す
図7Aから7Cに示すように他の数のブリッジも可能である。
図7Aは、2つのブリッジを示し、
図7Bは、3つのブリッジを示し、
図7Cは、単一のブリッジだけを示している。
【0092】
中央ディスクの周りに半導体リングの数を増加させることにより、類似する性能を有するさらなる代替構造が取得できる。さらに、設計パラメータのバリエーション(格子定数、中央ディスクの半径、トレンチの幅、層の厚さ)が、性能のばらつきの激しさなく動作波長のシフトを作成するように期待でき、例えば:
-スラブの厚さの20nmのバリエーションは、キャビティモードで~10nm波長シフトにつながる
-中央ディスクの半径の10nmのバリエーションはおおよそ20nmだけ共振波長をシフトする
-周期が15nmだけ変化するとき、キャビティモードはおおよそ10nmだけ移動する。
【0093】
図8Aから8Dは、
図1から7を参照して上述した構造を使用する、ファイバピグテールデバイスに関する。
【0094】
図8Aにおいて、単一モード光ファイバ701は、垂直距離Zで
図1Aと1Bの構造の最上部に位置付けられる。ファイバコア703は、径方向にCBGの中央ディスクと整列される。
【0095】
実施形態において、ファイバは、例えば、機械クランプ又はこれに類するものを介して、真空中の位置に保持される。さらなる実施形態において、CBGとファイバとの間の間隙は、NOA81のような光学接着剤で満たされ、ファイバを所定の位置に保持する。ファイバが光学接着剤を介して所定の位置に保持される場合、設計パラメータは、光学接着剤の異なる屈折率を補償するために再最適化されることができる。
【0096】
図8Bは、4つの異なるタイプの商用SMファイバ:980HP;UHNA1;UHNA3、及びUHNA4についてλ=1550nmで計算されたCBGの上面とファイバとの間の距離zの関数としてシミュレ-トされたモード結合効率(MCE)を示すプロットである。
【0097】
少しの間
図6A、6Bに戻ると、
図6A、6Bの両方は、光子源に対する放出プロフィールを示す挿入図を有している。放出プロフィールは、ほぼガウスであり、したがって、単一のモード光学ファイバへの光子源の効率的な結合を可能にする。
【0098】
図8Cは、Nufern UHNA4ファイバ(実線)と、Z=1.6μmで計算されたx軸とy軸に沿ってCBGからの近傍界放出の空間プロフィール(破線)との間の比較を示している。ファイバのモードの濃い黒線は、プロフィールが光子源からのガウスのような放出プロフィールと類似している。これは、光子源からファイバへの非常に効率的な結合を可能にする。
【0099】
図8Dは、トレンチの異なる幅wに対する波長の関数として、UHNA4 SMファイバへのシミュレートされたモード結合効率(MCE)を示している。効率性は、Z=1.6μmで計算される。
【0100】
図8Bから8Dに示したデータは、ブリッジの存在を考慮しない簡略化された計算モデルで実行されたシミュレーションに基づくことに留意すべきである。
【0101】
図9は、同じチップ3μW CWレーザー励起のパターン化されていないエリアに記録されたマイクロPL信号(グレー)と比較して、250nW CWレーザー励起下でGaAsハイブリッドCBGに組み込まれたQDからのフォトルミネッセンス(PL)信号(黒)を示すプロットである。エッチングされていないスラブからのPL強度は、20倍される。
【0102】
GaAs CBGは、パーセル係数F
p=20、及びNA=0.65で86%の収集効率 を有するように設計される。したがって、この測定は、
図1から6の電動デバイスから予測される増強の考えを与える。
【0103】
上記デバイスは、電界制御で互換性もあるハイブリッドCBG構造のバリエーションである。
【0104】
図1A及び1Bに示すように、デバイスは、量子ドット(QD)でInPスラブ上に作製される。スラブは、PINダイオード構造を作成するn-InP層とp-InP層とを含んでいる。上記デバイス設計は、完全にエッチングされた円形トレンチを提示しない。代わりに、トレンチは、金属接触が配置される周りの半導体に中央ディスクを接続するInPブリッジによりさえぎられる。
【0105】
上記デバイスは、電界制御を可能にする。
図6は、従来のハイブリッドCBGによって示される広い波長範囲における、適度なパーセル増強と高抽出効率との組み合わせをデバイスがどのように維持するかを示す。
【0106】
層厚さのわずかな調整と細かい特徴は、近赤外又はテレコムOバンドにおいて動作するデバイスを取得するために、設計を容易にGaAs材料系に移すことを可能にする。
【0107】
ある特定の実施形態が説明されたが、これらの実施形態は、例としてのみ提示されており、本発明の範囲を限定することを意図されない。実際に、本明細書に説明された、新規のデバイス及び方法は、様々な他の形式で具現化されてもよく、更に、本明細書に説明されたデバイス、方法、及び製品の形式における様々な省略、置換、及び変更が、本発明の主旨から逸脱することなく行われてもよい。添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物は、本発明の範囲及び趣旨内にあるような形式及び修正をカバーすることを意図される。