(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】自動車用ガラス組成物、物品およびハイブリッド積層板
(51)【国際特許分類】
C03C 3/085 20060101AFI20240520BHJP
C03C 3/097 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
C03C3/085
C03C3/097
(21)【出願番号】P 2022152325
(22)【出願日】2022-09-26
(62)【分割の表示】P 2019569748の分割
【原出願日】2018-06-22
【審査請求日】2022-10-26
(32)【優先日】2017-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー マイケル グロス
(72)【発明者】
【氏名】ジョンジー タン
(72)【発明者】
【氏名】リサ アン ティーツ ムーア
【審査官】有田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-113340(JP,A)
【文献】特表2016-537286(JP,A)
【文献】特表2016-538221(JP,A)
【文献】特表2010-527892(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0090321(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0314571(US,A1)
【文献】特表2017-506616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 1/00-14/00
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス組成物を有するガラス物品において、該ガラス組成物が、
65モル%から75モル%の範囲の量のSiO
2、
7モル%から13モル%の範囲の量のAl
2O
3、
14モル%から18モル%の範囲の量のNa
2O、
18モル%から24モル%の範囲の量のR
2O、ここで、R
2Oは、Li
2O、Na
2OおよびK
2Oの総量、
0モル%から3モル%の範囲の量のP
2O
5
0.01モル%から0.9モル%の範囲の量のFe
2O
3
を含み、
前記ガラス組成物は、MgOとZnOの一方または両方を含み、MgOの量は、0モル%から7モル%の範囲にあり、ZnOは、0モル%から7モル%の範囲の量で存在し、
前記ガラス組成物は、Li
2Oを実質的に含まず、
前記ガラス組成物は、B
2O
3を実質的に含まず、
前記ガラス物品は、725℃から800℃の範囲の軟化点を有し、
前記ガラス物品は、550℃から610℃の範囲の徐冷点を有し、
(徐冷点+軟化点)/2の関係が625℃から725℃の範囲にある、ガラス物品。
【請求項2】
前記ガラス物品が、200ポアズの粘度での温度(℃)(T
200)および35000ポアズの粘度での温度(℃)(T
35000)を有し、T
200-T
35000は、400℃から600℃の範囲にある、請求項1記載のガラス物品。
【請求項3】
前記ガラス物品が、200ポアズの粘度での温度(℃)(T
200)を有し、関係(徐冷点+軟化点)/2とT
200との間の差が-800℃未満である、請求項1または2記載のガラス物品。
【請求項4】
前記ガラス物品が、35000ポアズの粘度での温度(℃)(T
35000)を有し、関係(徐冷点+軟化点)/2とT
35000との間の差が-300℃未満である、請求項1から3いずれか1項記載のガラス物品。
【請求項5】
T
200およびT
35000のいずれか一方または両方が、1030℃より大きい、請求項2から4いずれか1項記載のガラス物品。
【請求項6】
前記ガラス物品が、620℃から720℃の範囲の垂下温度を有する、請求項1から5いずれか1項記載のガラス物品。
【請求項7】
R
2Oの総量が
19モル%から
21モル%の範囲の範囲にある、請求項1から6いずれか1項記載のガラス物品。
【請求項8】
Al
2O
3の量が8モル%から11モル%の範囲にあり、K
2Oの量が、1モル%から3.5モル%の範囲にある、請求項1から7いずれか1項記載のガラス物品。
【請求項9】
(徐冷点+軟化点)/2の関係が670℃よりも低い、請求項1から8いずれか1項記載のガラス物品。
【請求項10】
MgOの総量が0.5モル%から6.5モル%であり、
前記ガラス組成物は、CaOを実質的に含まない、請求項1から9いずれか1項記載のガラス物品。
、ガラス物品。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、ここにその全てが引用される、2017年6月22日に出願された米国仮特許出願第62/523395号の米国法典第35編第119条の下での優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、ガラス組成物および積層板に関し、より詳しくは、自動車および建築用途で用いられる曲げ特性を示すガラス組成物、ガラス物品および積層板に関する。
【背景技術】
【0003】
ガラスが、その光学的透明度および耐久性のために、窓に使用されている。自動車および建築用窓(または板ガラス)は、モノリスと称される単一ガラス物品(シート形態にある)、または間に高分子材料の中間層が配置された2つのガラス物品(シート形態にある)を備えた積層板を含むことがある。この板ガラスは、自動車用途において、フロントガラス、サイドウィンドウ、リヤ・ウィンドウ、サンルーフなどとして使用することができる。建築用途では、建物、パネル、壁などに同様の板ガラスが利用されることがある。
【0004】
図1Aに示されるように、湾曲したまたは成形された積層板ガラスを製造する方法は、2つのガラス物品(典型的に、フロート法により製造されるソーダ石灰ガラス(SLG)シート)を形成する工程10A、10B、そのガラス物品を切断し、仕上げる工程20A、20B、一方のガラス物品を他方のガラス物品の上に配置する工程、およびガラス物品の積層体を、ガラスが所望の形状に一緒に垂下する温度(「垂下温度(sag temperature)」)に加熱する工程を有してなる。ここに用いられているように、「垂下温度」は、ガラス物品の対数粘度が9.9ポアズである温度を意味する。この垂下温度は、フォーゲル・フルチャー・タマン(VFT)式:Logh=A+B/(T-C)を、ビーム曲げ粘度(BBV)測定を使用して測定された徐冷点データ、ファイバ伸張により測定された軟化点データに、フィッティングすることによって決定される。式中、Tは温度であり、A、BおよびCは、フィッティング定数であり、hは動的粘度である。ガラス物品が、互いに積層されたときに一緒に垂下される場合、その過程は、「対垂下」30と称される。1つ以上の実施の形態において、その方法は、2つの対垂下されたガラス物品を分離し(典型的に、成形された積層体が冷却された後)、2つのガラス物品の間に中間層を施し、この3層積層体(2つの対垂下されたガラス物品および間に挟まれた中間層を含む)を加熱して、積層板を形成する工程50を含む。この積層板構造における個々のソーダ石灰ガラス(SLG)のガラス物品の厚さは、典型的に、約1.6mm以上または約2.1mm以上である。
【0005】
燃料経済性を改善するために、軽量積層板ガラスが使用される傾向がある。新たな板ガラス設計は、より厚い外側ガラス物品および薄い内側ガラス物品からなる。1つの構造において、厚いほうのガラス物品はSLGであり、薄いほうのガラス物品は強化ガラス物品である。そのSLG物品は、徐冷することができるが、厚さの減少による強度低下を補うのに許容できると考えられるレベルまで他のやり方で強化することができない。例えば、SLG物品は、化学強化された場合でさえ、十分な強度属性(圧縮応力および圧縮応力の深さに関する)を示さない。
【0006】
熱強化が、厚いモノリスガラス物品を強化するために一般に使用されており、それには、ガラス表面に深い圧縮層、典型的にガラスの全厚の21%の圧縮層を形成する利点がある;しかしながら、その圧縮応力の大きさは、比較的小さく、典型的に100MPa未満である。さらに、薄いガラス物品(すなわち、厚さが2mm未満のガラス物品)には、熱強化は益々効果がなくなってくる。標準的な熱強化過程は、それ自体、厚さが約3mmのSLG物品を強化するのには適しているが、薄いSLG物品の強化には適していない。その上、SLG物品の化学強化特徴は不十分である。
【0007】
アルミノケイ酸塩ガラス物品は、薄いほうのガラス物品、特に、今日の板ガラスの光学的要件を満たす物品としての使用に独特に適している。詳しくは、アルミノケイ酸塩ガラス組成物は、ダウンドロー法(フュージョン成形法など)によって、非常に薄いガラス物品に形成することができる。その上、アルミノケイ酸塩ガラス物品は、幅広い範囲の圧縮応力(例えば、1,000MPaまで、そしてさらに1,000MPaを超える)および圧縮応力の深さ(例えば、ガラス物品の厚さの18%または20%まで、そしてさらにそれを超える)を示すように強化する(特に、化学強化する)ことができる。
【0008】
公知のアルミノケイ酸塩ガラスは、SLG垂下温度(すなわち、SLGが典型的に垂下する温度)でSLG物品に対して高い粘度を示す傾向にある。したがって、この粘度差は、公知のアルミノケイ酸塩ガラス物品は、
図1Bに示されるように、別々に垂下されなければならず、対で垂下させることができず、これにより、製造過程全体の費用が増すことを意味する。詳しくは、
図1Bは、ガラス物品を対で垂下できない場合、積層板ガラスが製造される方法は、単一垂下工程ではなく、ガラス物品を別々に垂下させる追加の工程を含むことを示す。詳しくは、その方法は、2つのガラス物品を形成する工程10A、10B、そのガラス物品を切断し仕上げる工程20A、20B、各ガラス物品を、各ガラス物品を別々に所望の形状に垂下させる垂下温度に加熱する工程30A、30Bを有してなる。
図1Bの方法を使用すると、別々の垂下工程からの2つのガラス物品の間には形状の不一致が生じ得る。さらに、2つの別個の垂下工程を使用することにより、2倍多いエネルギーと時間が使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、組成が異なるかもしれない別のガラス物品と対にして垂下でき、十分な程度に強化でき、必要に応じて、フュージョン成形される薄いガラス物品が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、ガラス組成物およびそのようなガラス組成物を有するガラス物品に関し、そのガラス物品は、異なるガラス物品(非フュージョン法により形成されたガラス物品、およびSLG組成物から製造されたガラス物品を含む)と対にして垂下できる。いくつかの実施の形態において、ガラス組成物はフュージョン成形できる、またはガラス物品にフュージョン成形可能である。1つ以上の実施の形態において、そのガラス物品は、強化できるか、または強化されている。そのようなガラス物品を含む積層板およびそのような積層板を形成する方法も、開示されている。
【0011】
この開示の第1の態様は、約63モル%から約75モル%の範囲の量のSiO2、約7モル%から約13モル%(または約8モル%から約11モル%)の範囲の量のAl2O3、約13モル%から約24モル%の範囲の量のR2O、および約0モル%から約3モル%の範囲の量のP2O5を含むガラス組成物を有するガラス物品に関する。特に明記のない限り、R2Oは、Li2O、Na2O、K2O、Rb2O、およびCs2Oを含むアルカリ金属酸化物の総量を称する。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、MgOとZnOの一方または両方を含む。そのガラス組成物がMgOを含む場合、MgOは、約0モル%から約7モル%の範囲の量で存在する。いくつかの実施の形態において、MgOは、約0モル%から約3モル%の範囲の量で存在する。そのガラス組成物がZnOを含む場合、ZnOは、約0モル%から約7モル%の範囲の量で存在する。いくつかの実施の形態において、ZnOは、約0モル%から約5モル%の範囲の量で存在する。
【0012】
1つ以上の実施の形態のガラス組成物は、約12モル%から約18モル%の範囲の量のNa2Oを含むことがある。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、約1モル%から約3.5モル%の範囲の量のK2Oを含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、約0.01モル%から約4モル%の範囲の量のCaOをさらに含む。いくつかの実施の形態において。
【0013】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス物品は、徐冷点温度(℃)および軟化点温度(℃)を有し、徐冷点温度と軟化点温度の組合せの半分の関係((徐冷点温度+軟化点温度)/2)は約625℃から約725℃の範囲にある。いくつかの実施の形態において、そのガラス物品の(徐冷点+軟化点)/2の関係は、約700℃未満と等しい。いくつかの実施の形態において、そのガラス物品は、200ポアズの粘度での温度(℃)(T200)および35000ポアズの粘度での温度(℃)(T35000)を有し、それらの間の差(T200-T35000)は、約400℃から約600℃の範囲にある大きさを有する。1つ以上の実施の形態において、そのガラス物品はT200を有し、関係(徐冷点温度+軟化点温度)/2とT200の間の差は-800℃未満である。いくつかの実施の形態において、そのガラス基板はT35000を有し、関係(徐冷点温度+軟化点温度)/2とT35000の間の差は-300℃未満である。1つ以上の実施の形態によるガラス物品は、約1030℃を超える、T200値、T35000値、またはT200とT35000の値を有する。1つ以上の実施の形態において、そのガラス基板は、約620℃から約720℃の範囲の垂下温度を有することがある。
【0014】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス物品(またはそのガラス物品を形成するために使用されるガラス組成物)は、約100キロポアズ(kP)超の液相粘度を有する。ある場合には、そのガラス物品(またはそのガラス物品を形成するために使用されるガラス組成物)は、約35kP未満のジルコン分解粘度を有する。
【0015】
1つ以上の実施の形態のガラス物品は、強化されることがある。ある場合には、そのガラス物品は、ここに記載されているように、フュージョン成形されることがある。
【0016】
この開示の第2の態様は、2モル%超の量のAl2O3を含むガラス組成物を有するガラス物品であって、徐冷点温度(℃)および軟化点温度(℃)を有し、(徐冷点温度+軟化点温度)/2の関係が約625℃から約725℃の範囲にある、ガラス物品に関する。ある場合には、その徐冷点温度は約580℃未満であることがある。1つ以上の実施の形態において、そのガラス基板は、約725℃から860℃の範囲の軟化点温度を有する。
【0017】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、約1000℃超のT35000を有することがある。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、約900℃超のT200を有することがある。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、約530℃未満の歪み点温度を有する。
【0018】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、約5モル%以上のR2O量を有する。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、約5モル%から約20モル%の範囲のR2O量を有する。
【0019】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、特定量のROを含むことがある。特に明記のない限り、ROは、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnOなどのアルカリ土類金属酸化物の総量を称する。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、MgOとZnOの一方または両方を含む。1つ以上の実施の形態において、MgOの量は、約0モル%から約7モル%の範囲にある。1つ以上の実施の形態において、ZnOの量は、約0モル%から約7モル%の範囲にある。
【0020】
1つ以上の実施の形態のガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、約2.6g/cm3以下の密度を有する。ある場合には、そのガラス物品は、強化されていることがある。ある場合には、そのガラス物品は、フュージョン成形されている。
【0021】
本開示の第3の態様は、内部およびその内部と連通する開口を画成する本体と、その開口内に配置されたガラス物品とを備えた乗り物に関する。そのガラス物品は、2モル%超の量のAl2O3を含むガラス組成物、徐冷点温度(℃)、および軟化点温度(℃)を有し、(徐冷点温度+軟化点温度)/2の関係が約625℃から約725℃の範囲にある。そのガラス物品(またはそのガラス物品を形成するために使用されるガラス組成物)は、約600℃未満の徐冷点温度を示すことがある。ある場合には、そのガラス物品(またはそのガラス物品を形成するために使用されるガラス組成物)は、約550℃未満の歪み点温度をさらに有する。そのガラス物品(またはそのガラス物品を形成するために使用されるガラス組成物)は、約600℃から約700℃の範囲の垂下温度を有することがある。そのガラス物品(またはそのガラス物品を形成するために使用されるガラス組成物)の密度は、約2.6g/cm3以下であることがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス物品(またはそのガラス物品を形成するために使用されるガラス組成物)は、約725℃から860℃の範囲の軟化点を有する。いくつかの実施の形態において、そのガラス物品は、約1000℃超のT35000を有する。1つ以上の実施の形態において、そのガラス物品は、約900℃超のT200をさらに有する。
【0022】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス物品は、ここで他に記載されたようなガラス組成物を有する。例えば、いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、約16モル%以上の量のR2Oを含む。ある場合には、そのガラス物品は、Li2O、Na2OおよびK2Oから選択されるアルカリ金属酸化物を含み、そのようなアルカリ金属酸化物は、約5モル%超の量で存在する。ある場合には、そのガラス組成物は、約5モル%から約24モル%、または約17モル%から約24モル%の範囲の総量の、Li2O、Na2O、K2Oのみを含むアルカリ金属酸化物を有する。そのガラス物品は、いくつかの実施の形態において、強化されていることがある。ある場合には、そのガラス物品は、フュージョン成形されている。
【0023】
本開示の第4の態様は、第1のガラス層、その第1のガラス層上に配置された中間層、および第1のガラス層と反対の中間層上に配置された第2のガラス層を備えた積層板であって、その第1のガラス層および第2のガラス層のいずれか一方または両方が、ここに記載されたガラス物品の実施の形態から作られている、積層板に関する。1つ以上の実施の形態において、第1のガラス層および第2のガラス層のいずれか一方または両方の厚さは、約1.6mm未満である。1つ以上の実施の形態において、その第1のガラス層は、ここに記載されたガラス物品の実施の形態から作られ、約1.6mm未満の厚さを有する。いくつかの特定の実施の形態において、その第2のガラス層の厚さは、1.6mm以上である。必要に応じて、その第2のガラス層は、その第1のガラス層とは組成が異なる(例えば、第1のガラス層は、ここに記載されたガラス組成物の実施の形態から作られ、第2のガラス層は、SLGから作られている)。
【0024】
本開示の第5の態様は、第1の主面、その第1の主面と反対の第2の主面、およびその第1の主面と第2の主面との間の距離として規定される第1の厚さを有する第1の湾曲ガラス層;第3の主面、その第3の主面と反対の第4の主面、およびその第3の主面と第4の主面との間の距離として規定される第2の厚さを有する第2の湾曲ガラス層;およびその第1の湾曲ガラス層と第2の湾曲ガラス層との間であって、第2の主面および第3の主面に隣接して配置された中間層を備えた積層板に関する。1つ以上の実施の形態において、第1の湾曲ガラス層は、約2mm以上(例えば、約5mmから約30mm)の第1の垂下深さを有し、第2の湾曲ガラス層は、約2mm以上(例えば、約5mmから約30mm)の第2の垂下深さを有する。1つ以上の実施の形態において、その第2の主面は凹面を形成し、第3の主面は凹面を形成し、その逆もまた同様である。
【0025】
1つ以上の実施の形態において、その第1の垂下深さは、第2の垂下深さの10%以内であり、第1の湾曲ガラス層と第2の湾曲ガラス層との間の形状偏差は、光学三次元スキャナで測定して、±5mm以下(例えば、約±1mm以下、または約±0.5mm以下)である。
【0026】
前記第1の湾曲ガラス層は第1の粘度を有し、前記第2の湾曲ガラス層は第2の粘度を有する。1つ以上の実施の形態において、630℃での第1の粘度は、630℃の温度での第2の粘度より高い(例えば、630℃の温度では、第1の粘度は、第2の粘度の約10倍から第2の粘度の約750倍までの範囲にある)。
【0027】
1つ以上の実施の形態において、第1の主面および第4の主面の一方または両方は、ASTM1561にしたがう透過光学素子を使用した光学的歪み検出器で測定して、200ミリジオプター未満(または約100ミリジオプター以下)の光学的歪みを有する。いくつかの実施の形態において、第3の主面または第4の主面は、ASTM C1279にしたがって、表面応力計で測定して、7MPa未満(例えば、約5MPa以下、または約3MPa以下)の膜引張応力を有する。
【0028】
1つ以上の実施の形態によれば、第1の湾曲ガラス層は、ここに記載されたガラス物品から作られている。その第1の厚さは、第2の厚さより小さいことがある。例えば、第1の厚さは、約0.1mmから約1.6mm未満までであることがあり、第2の厚さは、約1.6mmから約3mmの範囲にあることがある。
【0029】
前記第1の湾曲ガラス層は、第2の垂下温度と異なる垂下温度を示すことがある。第1の垂下温度と第2の垂下温度との間の差の大きさは、約30℃から約150℃の範囲にある。1つ以上の実施の形態において、前記積層板は、ASTM C1652/C1652Mにより測定して、視覚歪みを実質的に含まない。
【0030】
必要に応じて、その第1の湾曲ガラス層は、強化されている(例えば、化学強化されている、機械的に強化されている、または熱的に強化されている)。第2の湾曲ガラス層は、強化されていなくても、または強化されていてもよい。1つ以上の実施の形態において、第2の湾曲ガラス層は、ソーダ石灰ケイ酸塩ガラスから作られている。
【0031】
第1の湾曲ガラス層は、第1の長さおよび第1の幅を有することがあり、その第1の長さおよび第1の幅のいずれか一方または両方は、約0.25メートル以上である。1つ以上の実施の形態において、第2の湾曲ガラス層は、第1の長さの5%以内の第2の長さ、および第1の幅の5%以内の第2の幅を有する。前記積層板は、単純に湾曲していても(ここに定義されるような)、または複雑に湾曲していても(ここに定義されるような)よく、必要に応じて、自動車用板ガラスまたは建築用板ガラスであることがある。
【0032】
別の態様は、内部およびその内部と連通する開口を画成する本体と、その開口内に配置されたここに記載された積層板とを備えた乗り物に関する。そのような積層板は、複雑に湾曲していることがある。
【0033】
特に明記のない限り、ここに開示されたガラス組成物は、酸化物基準で分析してモルパーセント(モル%)で記載されている。追加の特徴および利点は、以下の詳細な説明に述べられており、一部は、その説明から当業者に容易に明白となるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付図面を含む、ここに記載されたような実施の形態を実施することによって、認識されるであろう。
【0034】
本開示の第6の態様は、積層板を形成する方法に関する。1つ以上の実施の形態において、その方法は、第1のガラス物品(ここに記載されたガラス物品の実施の形態を含み得る)、およびその第1のガラス物品と異なる組成を有する第2のガラス物品を積み重ねて、積層体を形成する工程;その積層体を成形型上に配置する工程;その積層体を、第1のガラス物品の徐冷点温度より高い温度に加熱して、成形積層体を形成する工程;および第1のガラス物品と第2のガラス物品との間に中間層を配置する工程を有してなる。
【0035】
1つ以上の実施の形態において、その第1のガラス物品は、第一面およびその第一面と反対の第二面を有し、その第2のガラス物品は、第三面およびその第三面と反対の第四面を有し、その積層体において、第二面が第三面と隣接している。1つ以上の実施の形態において、その第二面は凹面を形成し、第三面は凹面を形成し、その逆もまた同様である。
【0036】
1つ以上の実施の形態において、その成形積層体は、約10mm以下(または約5mm以下、または約3mm以下)の最大距離を有する間隙を第二面と第三面との間に含む。
【0037】
先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、例示に過ぎず、請求項の性質および特徴を理解するための概要または骨子を提供することを目的とすることを理解すべきである。添付図面は、さらなる理解を与えるために含まれ、本明細書に包含され、その一部を構成する。図面は、1つ以上の実施の形態を示しており、説明と共に、様々な実施の形態の原理および作動を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1A】1つ以上の実施の形態による、対垂下を使用して積層板ガラスを製造する方法の工程経路図
【
図1B】従来技術による、積層板ガラスを製造する方法の工程経路図
【
図2】1つ以上の実施の形態によるガラス物品の側面図
【
図3】1つ以上の実施の形態によるガラス物品の側面図
【
図4】1つ以上の実施の形態によるガラス物品を備えた積層板の側面図
【
図5】1つ以上の実施の形態によるガラス物品を備えた積層板の側面図
【
図6】1つ以上の実施の形態による、ガラス物品を備えた積層板の側面図
【
図7】1つ以上の実施の形態による、別のガラス物品に冷間成形されるべきガラス物品の分解側面図
【
図8】
図7の結果として得られた冷間成形された積層板の側面図
【
図9】1つ以上の実施の形態によるガラス物品または積層板を備えた乗り物の説明図
【
図10】温度の関数としての、公知のソーダ石灰ケイ酸塩ガラス、並びに実施例63、66および72の対数粘度曲線を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0039】
ここで、その例が添付図面に示されている、様々な実施の形態を詳しく参照する。
【0040】
本開示の態様は、組成、厚さ、強化済みまたは強化レベル、および形成方法(例えば、フュージョン法により製造されたのとは対照的にフロート法により製造された)のいずれか1つ以上が異なる別のガラス物品と対にして垂下できるガラス物品に関する。1つ以上の実施の形態において、そのガラス物品は、フュージョン成形できる、またはフュージョン成形可能であり、これは、フュージョン法を使用して形成されているまたは形成できることを意味する。
【0041】
ほとんどの場合、自動車用板ガラスは、湾曲しているか曲げられており、平らまたは平面ではない。建築用途でも、同様に湾曲したガラス物品を使用することがある。ガラス物品の厚さおよび所望の形状に応じて、ガラス物品は、湾曲形状を得るために冷間成形(熱を使用しない)または熱成形(熱なし)されることがある。
【0042】
熱成形は、垂下過程を含むことがあり、この過程は、ガラスが加熱されているときにガラスを成形するために重力を使用する。この垂下工程において、ガラス物品を別のガラス物品の上に配置して、積層体(潜在的に間に挟まれた剥離層を有する)を形成し、これを成形型上に配置する。この積層体と成形型は両方とも、炉(例えば、箱形炉またはガラス焼き鈍し炉)内に入れられて加熱される。炉の中で、積層体は、ガラス物品の垂下温度に徐々に加熱される。この過程中、重力により、それらのガラス物品は一緒に湾曲形状に垂下する。
【0043】
所望の程度の垂下および最終形状を得るために、加熱時間と温度が選択される。その後、ガラス物品を炉から取り出し、冷却する。次に、2つのガラス物品を分離し、ガラス物品の間に中間層を入れて再び組み立て、真空下で加熱して、ガラス物品と中間層を積層板へと一緒に封止する。
【0044】
図1Aの工程40に示されるように2つのガラス物品を一緒に垂下することにより、製造過程が合理化される;しかしながら、ガラス物品が異なる垂下温度を有する場合、対垂下は難題になる。例えば、公知のアルミノケイ酸塩ガラスの垂下温度は、SLGの垂下温度より80℃超高い。さらに、公知のアルミノケイ酸塩ガラスの粘度は、それぞれの垂下温度で、典型的なSLGの粘度よりも200倍超大きい。
【0045】
本開示の第1の態様は、組成、厚さ、強化レベル、および形成方法(例えば、フュージョン法により製造されたのとは対照的にフロート法により製造された)のいずれか1つ以上が異なる別のガラス物品と対にして垂下できるガラス物品に関する。具体的には、そのガラス物品の実施の形態は、減少した厚さ(例えば、2.1mm未満または1.6mm未満)であるときでさえ、公知のアルミノケイ酸塩ガラス物品よりも低い垂下温度を有するSLGまたは他のガラス物品と対にして垂下することができる。それに加え、そのようなガラス物品は、そのフュージョン成形性および強化能力を保持している。1つ以上の実施の形態において、そのガラス物品は、約63モル%から約75モル%の範囲の量のSiO2、約7モル%から約13モル%の範囲の量のAl2O3、約13モル%から約24モル%(または約18モル%から約24モル%)の範囲の量のR2O、約0モル%から約3モル%の範囲の量のP2O5を含むガラス組成物を有する。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、MgOとZnOの一方または両方を含む。そのガラス組成物中にMgOが含まれる場合、存在するMgOの量は、約0モル%から約7モル%の範囲にある。そのガラス組成物中にZnOが含まれる場合、存在するZnOの量は、約0モル%から約7モル%の範囲にある。1つ以上の実施の形態において、そのガラス物品(またはそのガラス物品を形成するために使用されるガラス組成物)は、徐冷点温度(℃)および軟化点温度(℃)を有し、(徐冷点温度+軟化点温度)/2の関係が、約625℃から約725℃または約650℃から約690℃の範囲にある。
【0046】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス物品は、アルミノケイ酸塩ガラス物品として、またはアルミノケイ酸塩ガラス組成物を有すると記載される。そのような実施の形態において、そのアルミノケイ酸塩ガラス組成物またはそれから形成されたガラス物品は、SiO2およびAl2O3を含み、SLGではない。この点に関して、そのガラス組成物またはそれから形成された物品は、約2モル%以上、2.25モル%以上、2.5モル%以上、約2.75モル%以上、約3モル%以上の量のAl2O3を含む。
【0047】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、約2モル%超、約5モル%超、または約6モル%超の量のAl2O3を含む。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、約7モル%超から約13モル%、約8モル%超から約13モル%、約9モル%から約13モル%、約9モル%から約13モル%、約10モル%から約13モル%、約7モル%から約12モル%、約7モル%から約11モル%、約7モル%から約10モル%、約7モル%から約9モル%、約8モル%から約12モル%、約8モル%から約11モル%、約8モル%から約10モル%、または約9モル%から約10モル%の範囲、およびそれらの間の全ての範囲と部分的範囲のAl2O3を含む。
【0048】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、約63モル%から約75モル%、約64モル%から約75モル%、約65モル%から約75モル%、約66モル%から約75モル%、約68モル%から約75モル%、約70モル%から約75モル%、約72モル%から約75モル%、約63モル%から約74モル%、約63モル%から約72モル%、約63モル%から約70モル%、約63モル%から約68モル%、約63モル%から約66モル%、約63モル%から約67モル%、約64モル%から約76モル%、または約65モル%から約66モル%の範囲、およびそれらの間の全ての範囲と部分的範囲の量のSiO2を含む。
【0049】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、約5モル%以上、約10モル%以上、または約12モル%以上の総量のR2Oを含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、5モル%から約24モル%、約6モル%から約24モル%、約8モル%から約24モル%、約10モル%から約24モル%、約12モル%から約24モル%、13モル%から約24モル%、14モル%から約24モル%、15モル%から約24モル%、16モル%から約24モル%、約17モル%から約24モル%、18モル%から約24モル%、約20モル%から約24モル%、約13モル%から約22モル%、約13モル%から約20モル%、約13モル%から約18モル%、約13モル%から約16モル%、13モル%から約15モル%、17モル%から約21モル%、18モル%から約20モル%、または19モル%から約21モル%の範囲、およびそれらの間の全ての範囲と部分的範囲の総量のR2Oを含む。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、Rb2O、Cs2O、またはRb2OとCs2Oの両方を実質的に含まないことがある。ここに用いられているように、組成物の成分に関する「実質的に含まない」という句は、その成分が、最初のバッチ配合中に組成物に能動的にまたは意図的に加えられていないが、約0.001モル%未満の量で不純物として存在することがあることを意味する。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物はR2Oを含むことがあり、これは、Li2O、Na2OおよびK2Oのみ(すなわち、このガラス組成物は、Rb2OおよびCs2Oを実質的に含まない)の総量を含むことがある。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物はR2Oを含むことがあり、これは、Na2OおよびK2Oのみ(すなわち、このガラス組成物は、Li2O、Rb2OおよびCs2Oを実質的に含まない)の総量を含むことがある。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、Li2O、Na2OおよびK2Oから選択される少なくとも1つのアルカリ金属酸化物を含むことがあり、そのアルカリ金属酸化物は、約5モル%超、約8モル%超、約10モル%超、または約12モル%超の量で存在する。そのような実施の形態において、そのガラス組成物またはそれから形成されたガラス物品は、アルカリ金属酸化物の存在のために、アルカリアルミノケイ酸塩ガラスとして特徴付けられることがある。
【0050】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、約10モル%以上、約11モル%以上、約12モル%以上、または約14モル%以上の量のNa2Oを含む。1つ以上の実施の形態において、その組成物は、約12モル%から約20モル%、約14モル%から約20モル%、約15モル%から約20モル%、約16モル%から約20モル%、約18モル%から約20モル%、約12モル%から約18モル%、約12モル%から約16モル%、約12モル%から約14モル%、約14モル%から約18モル%、約15モル%から約18モル%、約16モル%から約18モル%、または約16モル%から約17モル%の範囲、およびそれらの間の全ての範囲と部分的範囲のNa2Oを含む。
【0051】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、約4モル%未満のK2O、または約3モル%未満のK2Oを含む。ある場合には、そのガラス組成物は、約0.5モル%から約4モル%、約0.5モル%から約3.5モル%、約0.5モル%から約3モル%、約0.5モル%から約2.5モル%、約0.5モル%から約2モル%、約0.5モル%から約1.5モル%、約0.5モル%から約1モル%、約1モル%から約4モル%、約1モル%から約3.5モル%、約1モル%から約3モル%、約1モル%から約2.5モル%、約1.5モル%から約4モル%、約1.5モル%から約3.5モル%、約1.5モル%から約3モル%の範囲、約1.5モル%から約2.5モル%の範囲、約1.75モル%から約3モル%の範囲、約1.75モル%から約2.75モル%の範囲、約1.75モル%から約3モル%の範囲、または約2モル%から約3モル%の範囲、およびそれらの間の全ての範囲と部分的範囲の量のK2Oを含むことがある。
【0052】
1つ以上の実施の形態において、前記組成物は、約0モル%から約4モル%、約0モル%から約3.5モル%、約0モル%から約3モル%、約0モル%から約2.5モル%、約0モル%から約2モル%、約0モル%から約1.5モル%、約0モル%から約1モル%、約0.1モル%から約4モル%、約0.1モル%から約3.5モル%、約0.1モル%から約3モル%、約0.1モル%から約2.5モル%、約0.1モル%から約2モル%、約0.1モル%から約1.5モル%、約0.1モル%から約1モル%、約1モル%から約4モル%、約1モル%から約3.5モル%、約1モル%から約3モル%、約1モル%から約2.5モル%、約1モル%から約2モル%、または約1モル%から約1.5モル%の範囲、およびそれらの間の全ての範囲と部分的範囲のLi2Oを含む。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、Li2Oを実質的に含まない。
【0053】
1つ以上の実施の形態において、前記組成物中のNa2Oの量は、Li2Oの量よりも多いことがある。ある場合には、Na2Oの量は、Li2OとK2Oの総量よりも多いことがある。
【0054】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、約4モル%から約12モル%、約5モル%から約12モル%、約6モル%から約12モル%、約7モル%から約12モル%、約8モル%から約12モル%、約9モル%から約12モル%、約4モル%から約11モル%、約4モル%から約10モル%、約4モル%から約9モル%、約4モル%から約8モル%、約4モル%から約7モル%、または約8モル%から約10モル%の範囲、およびそれらの間の全ての範囲と部分的範囲にあるR2Oの量とAl2O3の量との差(すなわち、R2O-Al2O3)の組成関係を有する。
【0055】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、約3以下、約2.5以下、または約2以下のR2O対Al2O3(すなわち、R2O:Al2O3)の組成比を有する。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、約1.5から約3の範囲にある組成比R2O:Al2O3を有する。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、約1.6から約3、約1.7から約3、約1.8から約3、約1.9から約3、約2から約3、約2.1から約3、約2.2から約3、約2.3から約3、約2.4から約3、約2.5から約3、約1.5から約2.9、約1.5から約2.8、約1.5から約2.6、約1.5から約2.5、約1.5から約2.4、約1.5から約2.2、約1.5から約2、約1.5から約1.9、または約1.5から約1.8の範囲、およびそれらの間の全ての範囲と部分的範囲にある組成比R2O:Al2O3を有する。
【0056】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、B2O3(例えば、約0.01モル%以上)を含む。いくつかの実施の形態において、前記ガラス組成物は、B2O3を実質的に含まないことがある。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、約0モル%から約2モル%、約0モル%から約1.9モル%、約0モル%から約1.8モル%、約0モル%から約1.6モル%、約0モル%から約1.5モル%、約0モル%から約1.4モル%、約0モル%から約1.3モル%、約0モル%から約1.2モル%、約0モル%から約1.1モル%、約0モル%から約1モル%、約0.5モル%から約2.5モル%、約0.5モル%から約2モル%、または約0.5モル%から約1.5モル%の範囲、およびそれらの間の全ての範囲と部分的範囲の量でB2O3を含む。
【0057】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、P2O5(例えば、約0.01モル%以上)を含む。いくつかの実施の形態において、前記ガラス組成物は、P2O5を実質的に含まないことがある。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、約0モル%から約3モル%、約0モル%から約2.9モル%、約0モル%から約2.8モル%、約0モル%から約2.6モル%、約0モル%から約2.5モル%、約0モル%から約2.4モル%、約0モル%から約2.3モル%、約0モル%から約2.2モル%、約0モル%から約2.1モル%、約0モル%から約2モル%、約0.5モル%から約3モル%、約0.5モル%から約2.5モル%、約0.5モル%から約2モル%、約0.5モル%から約1.5モル%の範囲、約0.5モル%から約1モル%、約1.5モル%から約3モル%、または約2モル%から約3モル%、およびそれらの間の全ての範囲と部分的範囲の量でP2O5を含む。
【0058】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、約0モル%から約18モル%の範囲の総量でROを含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、約18モル%までの非ゼロ量のROを含む。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、約0モル%から約16モル%、約0モル%から約15モル%、約0モル%から約14モル%、約0モル%から約12モル%、約0モル%から約11モル%、約0モル%から約10モル%、約0モル%から約9モル%、約0モル%から約8モル%、約0.1モル%から約18モル%、約0.1モル%から約16モル%、約0.1モル%から約15モル%、約0.1モル%から約14モル%、約0.1モル%から約12モル%、約0.1モル%から約11モル%、約0.1モル%から約10モル%、約0.1モル%から約9モル%、または約0.1モル%から約8モル%、およびそれらの間の全ての範囲と部分的範囲の量でROを含む。
【0059】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、約5モル%以下、約4.5モル%以下、約4モル%以下、約3.5モル%以下、約3モル%以下、約2.5モル%以下、約2モル%以下、約1.5モル%以下、または約1モル%以下の量でCaOを含む。1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、CaOを実質的に含まない。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、約0モル%から約5モル%、約0モル%から約4.5モル%、約0モル%から約4モル%、約0モル%から約3.5モル%、約0モル%から約3モル%、約0モル%から約2.5モル%、約0モル%から約2モル%、約0モル%から約1.5モル%、約0モル%から約1モル%、約0モル%から約0.8モル%、約0モル%から約0.75モル%、約0モル%から約0.5モル%、約0モル%から約0.25モル%、約0モル%から約0.1モル%、約0.01モル%から約5モル%、約0.01モル%から約4.5モル%、約0.01モル%から約4モル%、約0.01モル%から約3.5モル%、約0.01モル%から約3モル%、約0.01モル%から約2.5モル%、約0.01モル%から約2モル%、約0.01モル%から約1.5モル%、約0.01モル%から約1モル%、約0.01モル%から約0.8モル%、約0.01モル%から約0.75モル%、約0.01モル%から約0.5モル%、約0.01モル%から約0.25モル%、または約0.01モル%から約0.1モル%、およびそれらの間の全ての範囲と部分的範囲の量でCaOを含む。
【0060】
いくつかの実施の形態において、前記ガラス組成物は、約0モル%から約7モル%、約0モル%から約6.5モル%、約0モル%から約6モル%、約0モル%から約5.5モル%、約0モル%から約5モル%、約0モル%から約4.5モル%、約0モル%から約4モル%、約0モル%から約3.5モル%、約0モル%から約3モル%、約0モル%から約2.5モル%、約0モル%から約2モル%、約0モル%から約1.5モル%、約0モル%から約1モル%、約0.5モル%から約6.5モル%、約1モル%から約6.5モル%、約1.5モル%から約6.5モル%、約2モル%から約6.5モル%、約2.5モル%から約6.5モル%、約3モル%から約6.5モル%、約3.5モル%から約6.5モル%、約4モル%から約6.5モル%、約4.5モル%から約6.5モル%、約5モル%から約6.5モル%、約0.5モル%から約3.5モル%、約1モル%から約3.5モル%、約1.5モル%から約3モル%、約0.5モル%から約2.5モル%の範囲、または約2モル%から約4モル%、およびそれらの間の全ての範囲と部分的範囲の量でMgOを含む。
【0061】
いくつかの実施の形態において、前記ガラス組成物は、約0モル%から約7モル%、約0モル%から約7.5モル%、約0モル%から約6モル%、約0モル%から約5.5モル%、約0モル%から約5モル%、約0モル%から約4.5モル%、約0モル%から約4モル%、約0モル%から約3.5モル%、約0モル%から約3モル%、約0モル%から約2.5モル%、約0モル%から約2モル%、約0モル%から約1.5モル%、約0モル%から約1モル%、約0.5モル%から約7モル%、約0.5モル%から約6.5モル%、約0.5モル%から約6モル%、約0.5モル%から約5.5モル%、約0.5モル%から約5モル%、約0.5モル%から約4.5モル%、約1モル%から約7モル%、約1モル%から約6.5モル%、約1モル%から約6モル%、約1モル%から約5.5モル%、約1モル%から約5モル%、約1モル%から約4.5モル%、約1.5モル%から約4.5モル%、約2モル%から約4.5モル%、約2.5モル%から約4.5モル%、約3モル%から約4.5モル%、約3.5モル%から約4.5モル%、約0.5モル%から約3.5モル%、約1モル%から約3.5モル%、約1.5モル%から約4モル%、または約2モル%から約3.5モル%の範囲、およびそれらの間の全ての範囲と部分的範囲の量でZnOを含む。
【0062】
いくつかの実施の形態において、前記ガラス組成物は、約0モル%から約2モル%、約0モル%から約1.5モル%、約0モル%から約1モル%、約0.5モル%から約2モル%、約1モル%から約2モル%、または約1.5モル%から約2モル%の範囲、およびそれらの間の全ての範囲と部分的範囲の量でSrOを含む。
【0063】
いくつかの実施の形態において、前記ガラス組成物は、約0モル%から約2モル%、約0モル%から約1.5モル%、約0モル%から約1モル%、約0.5モル%から約2モル%、約1モル%から約2モル%、または約1.5モル%から約2モル%の範囲、およびそれらの間の全ての範囲と部分的範囲の量でBaOを含む。
【0064】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、約0.25モル%以下、約0.24モル%未満、約0.22モル%未満、約0.2モル%未満、約0.18モル%未満、約0.16モル%未満、約0.15モル%未満、約0.14モル%未満、約0.12モル%未満の量でSnO2を含む。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、約0.01モル%から約0.25モル%、約0.01モル%から約0.24モル%、約0.01モル%から約0.22モル%、約0.01モル%から約0.2モル%、約0.01モル%から約0.18モル%、約0.01モル%から約0.16モル%、約0.01モル%から約0.15モル%、約0.01モル%から約0.14モル%、約0.01モル%から約0.12モル%、または約0.01モル%から約0.10モル%の範囲、およびそれらの間の全ての範囲と部分的範囲でSnO2を含む。いくつかの実施の形態において、SnO2は、アンチモン、ヒ素、鉄、セリウムなどの多価または他の酸素吸収剤である別の清澄剤と置換されてもよい。
【0065】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、前記ガラス物品に色または色合いを与える酸化物を含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、ガラス物品が紫外線に暴露されたときに、そのガラス物品の変色を防ぐ酸化物を含む。そのような酸化物の例としては、制限なく、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ce、W、およびMoの酸化物が挙げられる。
【0066】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、Fe2O3として表されるFeを含み、ここで、Feは、約1モル%まで(含む)の量で存在する。いくつかの実施の形態において、前記ガラス組成物は、Feを実質的に含まない。1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、約0モル%から約1モル%、約0モル%から約0.9モル%、約0モル%から約0.8モル%、約0モル%から約0.7モル%、約0モル%から約0.6モル%、約0モル%から約0.5モル%、約0モル%から約0.4モル%、約0モル%から約0.3モル%、約0モル%から約0.2モル%、約0モル%から約0.1モル%、約0.01モル%から約0.9モル%、約0.01モル%から約0.8モル%、約0.01モル%から約0.7モル%、約0.01モル%から約0.6モル%、約0.01モル%から約0.5モル%、約0.01モル%から約0.4モル%、約0.01モル%から約0.3モル%、約0.01モル%から約0.2モル%、約0.05モル%から約0.1モル%、約0.1モル%から約1モル%、約0.2モル%から約1モル%、約0.3モル%から約1モル%、約0.4モル%から約1モル%、約0.5モル%から約1モル%、約0.6モル%から約1モル%、約0.2モル%から約0.8モル%、または約0.4モル%から約0.8モル%の範囲、およびそれらの間の全ての範囲と部分的範囲でFe2O3として表されるFeを含む。1つ以上の実施の形態において、Fe源は、シュウ酸塩/I2、Fe2O3/I8であることがある。いくつかの実施の形態において、Fe2O3として表されるFeの量は、約0.1質量%から約5質量%、約0.1質量%から約4質量%、約0.1質量%から約3質量%、約0.1質量%から約2.5質量%、約0.2質量%から約5質量%、約0.3質量%から約5質量%、または約0.4質量%から約5質量%の範囲、およびそれらの間の全ての範囲と部分的範囲の質量%で表される。
【0067】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、約0.001モル%から0.01モル%、約0.002モル%から0.01モル%、約0.003モル%から0.01モル%、約0.004モル%から0.01モル%、約0.005モル%から0.01モル%、約0.006モル%から0.01モル%、約0.007モル%から0.01モル%、約0.001モル%から0.009モル%、約0.001モル%から0.008モル%、約0.001モル%から0.007モル%、約0.001モル%から0.006モル%、または約0.001モル%から0.005モル%の範囲、およびそれらの間の全ての範囲と部分的範囲の量で、Co3O4として表されるCoの総量を含む。
【0068】
1つ以上の実施の形態のガラス組成物は、NiO、V2O5、およびTiO2のいずれか1つ以上を含むことがある。
【0069】
前記ガラス組成物がTiO2を含む場合、TiO2は、約5モル%以下、約2.5モル%以下、約2モル%以下、または約1モル%以下の量で存在することがある。1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物はTiO2を実質的に含まないことがある。そのガラス組成物がNiOを含む場合、NiOは、約0.6モル%以下、または約0.1モル%以下の量で存在することがある。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、NiOを実質的に含まないことがある。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、V2O5を実質的に含まないことがある。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、TiO2を実質的に含まないことがある。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、NiO、V2O5、およびTiO2のいずれか2つまたは3つ全てを実質的に含まないことがある。
【0070】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、約0.9モル%未満のCuO(例えば、約0.5モル%未満、約0.1モル%未満または約0.01モル%未満)を含むことがある。いくつかの実施の形態において、前記ガラス組成物は、CuOを実質的に含まない。
【0071】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、約0.2モル%未満のSe(例えば、約0.1モル%未満、または約0.01モル%未満)を含むことがある。いくつかの実施の形態において、前記ガラス組成物は、Seを実質的に含まない。
【0072】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物(またはそれから形成された物品)は、特定の技術によるガラス物品の形成を可能にする液相粘度を示す。ここに用いられているように、「液相粘度」という用語は、液相温度での溶融ガラスの粘度を称し、ここで、「液相温度」という用語は、溶融ガラスが溶融温度から冷めるときに、結晶が最初に現れる温度(または温度が室温から昇温されたときに、一番最後の結晶が溶け去る温度)を称する。
【0073】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物(またはそれから形成されたガラス物品)は、約100キロポアズ(kP)以上、約500kP以上、約1000kP以上、5000kP以上、10,000kP以上、15,000kP以上、20,000kP以上、25,000kP以上、30,000kP以上、35,000kP以上の液相粘度を示す。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物(またはそれから形成されたガラス物品)は、約100kPから約50,000kPの範囲の液相粘度を示す。そのようなガラス組成物は、フュージョン成形可能と記載することができ、フュージョン法により形成された結果として得られたガラス物品は、フュージョン成形されたと特徴付けられる。ここで、フュージョン成形可能およびフュージョン成形されたとは、それぞれ、ガラス組成物またはガラス物品が示す液相粘度を示す。いくつかの実施の形態において、フュージョン成形されたガラス物品は、典型的なフロート成形されたガラス物品に存在する抜き取り線(draw line)を実質的に含まない。その液相粘度は、以下の方法によって決定される。最初に、ガラスの液相温度は、「Standard Practice for Measurement of Liquidus Temperature of Glass by the Gradient Furnace Method」と題するASTM C829-81(2015)にしたがって測定される。次に、その液相温度でのガラスの粘度が、「Standard Practice for Measuring Viscosity of Glass Above the Softening Point」と題するASTM C965-96(2012)にしたがって測定される。
【0074】
ここに記載されたガラス物品の様々な実施の形態は、比較的低い徐冷点温度、軟化点温度、垂下温度、および比較的高い液相粘度の内の1つ以上を示すガラス組成物を有する。
【0075】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、約475℃から約575℃の範囲の歪み点を示す。1つ以上の実施の形態において、その歪み点は、約480℃から約575℃、約490℃から約575℃、約500℃から約575℃、約510℃から約575℃、約520℃から約575℃、約530℃から約575℃、約540℃から約575℃、約550℃から約575℃、約475℃から約570℃、約475℃から約560℃、約475℃から約550℃、約475℃から約540℃、約475℃から約530℃、約475℃から約520℃、約475℃から約510℃、または約475℃から約500℃の範囲、およびそれらの間の全ての範囲と部分的範囲にあることがある。ある場合には、そのガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、約550℃以下、または約530℃以下の歪み点を示す。その歪み点は、ASTM C598-93(2013)のビーム曲げ粘度法を使用して決定される。
【0076】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、約510℃から約610℃の範囲の徐冷点温度を示す。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、約580℃未満の徐冷点温度を示す。その徐冷点は、約520℃から約610℃、約530℃から約610℃、約540℃から約610℃、約550℃から約610℃、約560℃から約610℃、約510℃から約600℃、約510℃から約590℃、約510℃から約580℃、約510℃から約570℃、約510℃から約560℃、約510℃から約550℃、約510℃から約540℃、または約530℃から約570℃の範囲、およびそれらの間の全ての範囲と部分的範囲にあることがある。いくつかの実施の形態において、その徐冷点温度は、約600℃未満である。その徐冷点は、ASTM C598-93(2013)のビーム曲げ粘度法を使用して決定される。
【0077】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、約725℃から約860℃の範囲の軟化点温度を示す。その軟化点温度は、約730℃から約860℃、約740℃から約860℃、約750℃から約860℃、約760℃から約860℃、約770℃から約860℃、約780℃から約860℃、約790℃から約860℃、約800℃から約860℃、約725℃から約850℃、約725℃から約840℃、約725℃から約830℃、約725℃から約820℃、約725℃から約810℃、約725℃から約800℃、約725℃から約790℃、約725℃から約780℃、約725℃から約770℃、約725℃から約760℃、または約725℃から約750℃の範囲、およびそれらの間の全ての範囲と部分的範囲にあることがある。その軟化点温度は、ASTM C1351M-96(2012)の平行板粘度法を使用して決定される。
【0078】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、約150℃超、約175℃超、約200℃超、または約225℃超の、徐冷点温度と軟化点温度との間の大きさの差を示す。いくつかの実施の形態において、その徐冷点温度と軟化点温度との間の大きさの差は、約175℃から約250℃、約180℃から約250℃、約190℃から約250℃、約200℃から約250℃、約210℃から約250℃、約220℃から約250℃、約225℃から約250℃、約175℃から約240℃、約175℃から約230℃、約175℃から約220℃、約175℃から約210℃、約175℃から約200℃、約175℃から約190℃、または約200℃から約240℃の範囲内にある。
【0079】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、約720℃未満の、(徐冷点温度+軟化点温度)/2の関係を示す。例えば、その関係(徐冷点温度+軟化点温度)/2は、約710℃以下、約700℃以下、約690℃以下、約680℃以下、約670℃以下、約660℃以下、約650℃以下であることがある。ある場合には、その関係(徐冷点温度+軟化点温度)/2は、約625℃から約725℃、約625℃から約700℃、約650℃から約700℃、または約675℃から約700℃の範囲内にある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、(徐冷点温度+軟化点温度)/2の記載された関係を示す一方で、アルミノケイ酸塩ガラスとしても特徴付けられる。1つ以上の特定の実施の形態において、そのガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、(徐冷点温度+軟化点温度)/2の記載された関係を示す一方で、約2モル%超(例えば、2.25モル%以上、2.5モル%以上、または約3モル%以上)のAl2O3も含む。
【0080】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、高温粘度(HTV)データ(すなわち、100kPから100ポアズの温度測定値の全て)へのフルチャーのフィッティングによって測定して、約900℃より高い、または約1200℃より高いT200を示す。例えば、そのガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、約900℃から約1800℃、約1000℃から約1800℃、約1100℃から約1800℃、約1200℃から約1800℃、約1300℃から約1800℃、約1400℃から約1800℃、約1500℃から約1800℃、約900℃から約1700℃、約900℃から約1600℃、約900℃から約1500℃、約900℃から約1400℃、約900℃から約1300℃、約900℃から約1200℃、約900℃から約1100℃、約1200℃から約1700℃、約1200℃から約1600℃、約1200℃から約1500℃、約1200℃から約1400℃、または約1500℃から約1700℃の範囲内のT200を示すことがある。
【0081】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、高温粘度(HTV)データ(すなわち、100kPから100ポアズの温度測定値の全て)へのフルチャーのフィッティングによって測定して、約1000℃より高いT35000を示す。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、約1000℃以上、約1010℃以上、約1020℃以上、約1030℃以上、約1040℃以上、約1050℃以上、約1060℃以上、約1070℃以上、約1080℃以上、約1090℃以上、約1100℃以上、約1110℃以上、約1120℃以上、約1130℃以上、約1140℃以上、約1150℃以上、約1160℃以上、約1170℃以上、約1180℃以上、約1190℃以上、約1200℃以上、約1210℃以上、約1220℃以上、約1230℃以上、約1240℃以上、または約1250℃以上のT35000を示す。そのT35000は、約1000℃から約1200℃、約1010℃から約1200℃、約1020℃から約1200℃、約1030℃から約1200℃、約1040℃から約1200℃、約1050℃から約1200℃、約1000℃から約1190℃、約1000℃から約1180℃、約1000℃から約1170℃、約1000℃から約1160℃、約1000℃から約1150℃、または約1000℃から約1140℃の範囲内にあることがある。
【0082】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、HTVデータへのフルチャーのフィッティングによって測定して、約900℃より高い、約200kPの粘度での温度(T200000)を示す。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、約910℃以上、約920℃以上、約930℃以上、約940℃以上、約950℃以上、約960℃以上、約970℃以上、約980℃以上、約990℃以上、約1000℃以上、約1010℃以上、約1020℃以上、約1030℃以上、約1040℃以上、約1050℃以上、約1060℃以上、約1070℃以上、約1080℃以上、約1090℃以上、約1100℃以上、約1150℃以上、約1200℃以上、または約1250℃以上のT200000を示す。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、約900℃から約1200℃、約925℃から約1200℃、約950℃から約1200℃、約975℃から約1200℃、約1000℃から約1200℃、約1050℃から約1200℃、約1100℃から約1200℃、約1150℃から約1200℃、約1200℃から約1200℃、約900℃から約1190℃、約900℃から約1180℃、約900℃から約1170℃、約900℃から約1160℃、約900℃から約1150℃、約900℃から約1140℃、約900℃から約1130℃、約900℃から約1120℃、約900℃から約1110℃、約900℃から約1100℃、約900℃から約1050℃、または約900℃から約1000℃の範囲内のT200000を示す。
【0083】
いくつかの実施の形態において、前記ガラス物品は、約400℃から約600℃の範囲の大きさを有する、T200とT35000との間の差(または関係T200-T35000)を示す。例えば、T200とT35000との間の差は、約420℃から約600℃、約440℃から約600℃、約450℃から約600℃、約460℃から約600℃、約480℃から約600℃、約500℃から約600℃、約520℃から約600℃、約400℃から約580℃、約400℃から約560℃、約400℃から約550℃、約400℃から約540℃、約450℃から約560℃、または約460℃から約560℃の範囲の大きさを有することがある。
【0084】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス物品は、-800℃未満の、関係(徐冷点+軟化点)/2とT200の間の差を有する。例えば、関係(徐冷点+軟化点)/2とT200の間の差は、約-1050℃から約-800℃、約-1000℃から約-800℃、約-950℃から約-800℃、約-900℃から約-800℃、約-1050℃から約850℃、約-1050℃から約-900℃、約-1050℃から約-950℃、または約-1050℃から約-1000℃の範囲にある。
【0085】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス物品は、-300℃未満の、関係(徐冷点+軟化点)/2とT35000の間の差を有する。例えば、関係(徐冷点+軟化点)/2とT35000の間の差は、約-500℃から約-300℃、約-475℃から約-300℃、約-450℃から約-300℃、約-425℃から約-300℃、約-400℃から約-300℃、約-500℃から約-325℃、約-500℃から約-350℃、約-500℃から約-375℃、または約-500℃から約-400℃の範囲にある。
【0086】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス物品は、約1030℃超(例えば、約1035℃以上、約1040℃以上、約1045℃以上、約1050℃以上、約1055℃以上、約1060℃以上、約1065℃以上、または約1070℃以上)のT200、T35000、またはT200とT35000を有する。
【0087】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、約600℃から約720℃、約600℃から約700℃、または約620℃から約720℃の範囲の垂下温度を示す。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、約605℃から約720℃、約610℃から約720℃、約615℃から約720℃、約620℃から約720℃、約625℃から約720℃、約630℃から約720℃、約635℃から約720℃、約640℃から約720℃、約645℃から約720℃、約650℃から約720℃、約655℃から約720℃、約660℃から約720℃、約665℃から約720℃、約670℃から約720℃、約620℃から約710℃、約620℃から約700℃、約620℃から約690℃、約620℃から約680℃、約620℃から約670℃、約620℃から約660℃、約620℃から約650℃、約620℃から約710℃、約625℃から約695℃、約625℃から約690℃、約625℃から約685℃、約625℃から約680℃、約625℃から約675℃、約625℃から約670℃、約625℃から約665℃、約625℃から約660℃、約625℃から約655℃、約625℃から約650℃、約630℃から約710℃、約635℃から約710℃、約640℃から約710℃、約645℃から約710℃、約650℃から約710℃、約655℃から約710℃、約660℃から約710℃、約665℃から約710℃、約670℃から約710℃、約675℃から約710℃、約680℃から約710℃、約685℃から約710℃、または約690℃から約710℃の範囲にある垂下温度を示す。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物またはそのような組成物から形成されたガラス物品は、約600℃から約700℃の範囲の垂下温度を示す一方で、約16モル%以上(例えば、約17モル%以上、約18モル%以上、または約19モル%以上)の全アルカリ金属酸化物含有量も有する。
【0088】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物またはそれから形成されたガラス物品は、温度の関数としての対数粘度曲線を有する。この曲線の例が、
図10に示されている。
【0089】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物またはそれから形成されたガラス物品は、約2.6g/cm3未満の、20℃での粘度を示す。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物またはそれから形成されたガラス物品の粘度は、約2.55g/cm3未満である。例えば、そのガラス組成物またはそれから形成されたガラス物品の粘度は、約2.3g/cm3から約2.6g/cm3、約2.32g/cm3から約2.6g/cm3、約2.34g/cm3から約2.6g/cm3、約2.35g/cm3から約2.6g/cm3、約2.36g/cm3から約2.6g/cm3、約2.38g/cm3から約2.6g/cm3、約2.4g/cm3から約2.6g/cm3、約2.42g/cm3から約2.6g/cm3、約2.44g/cm3から約2.6g/cm3、約2.45g/cm3から約2.6g/cm3、約2.46g/cm3から約2.6g/cm3、約2.48g/cm3から約2.6g/cm3、約2.5g/cm3から約2.6g/cm3、約2.3g/cm3から約2.58g/cm3、約2.3g/cm3から約2.56g/cm3、約2.3g/cm3から約2.55g/cm3、約2.3g/cm3から約2.54g/cm3、約2.3g/cm3から約2.52g/cm3、約2.3g/cm3から約2.5g/cm3、約2.3g/cm3から約2.48g/cm3、約2.3g/cm3から約2.46g/cm3、約2.3g/cm3から約2.45g/cm3、約2.3g/cm3から約2.44g/cm3、約2.3g/cm3から約2.42g/cm3、約2.3g/cm3から約2.4g/cm3、約2.45g/cm3から約2.52g/cm3、または約2.48g/cm3から約2.55g/cm3の範囲にある。その密度は、ASTM C693-93(2013)の浮力法を使用して決定した。
【0090】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、アイソパイプにジルコン耐火物のライニングおよび機械設備を要求する現行のフュージョンドロー設計との適合性により特徴付けられるようにフュージョン成形可能である。ある場合には、ガラス組成物は、ジルコンと反応し、ジルコンをシリカ(ガラス中に溶ける)およびジルコニア(流れによって、溶融ガラス中に同伴され、最終ガラス物品中に最終的に入る)に分解すし得る。溶融ガラスによるジルコンの攻撃は、ゆっくり時間をかけて継続し、ガラス中のジルコン含有物のレベルまたは濃度が増加する。アイソパイプ中のジルコンが分解して、ジルコニアおよびシリカを形成する温度(ここでは「分解温度」または「T分解」とも称される)が、アイソパイプに見られるどの温度よりも高ければ、フュージョンドローされたガラス中のジルコニア含有物の問題(「フュージョンラインジルコニア」とも称される)は起こらないであろう。この場合、アイソパイプ上でガラスを形成するために使用される温度は、ジルコニアを形成するのに低すぎるであろうし、そのような欠陥はガラス中に形成できないであろう。フュージョン法は基本的に等粘度過程であるので、ガラスに見られる最高温度が、そのガラスの特定の粘度に対応する。当該技術分野で公知の標準的なフュージョンドロー操作において、この粘度は約35,000ポアズ(「35キロポアズ」または「35kP」)である。1つ以上の実施の形態において、ここに記載されたガラス組成物は、約35kP未満のジルコン分解粘度を示す一方で、ここに記載された他の性質も示す。具体的には、ここに記載されたガラス組成物は、約6kPから約35kPの範囲のジルコン分解粘度を示す一方で、約625℃から約725℃の範囲の(徐冷点+軟化点)/2の関係も示す。
【0091】
熱膨張係数(CTE)は、ここでは百万分率(ppm)/℃の単位で表され、特に明記のない限り、約20℃から約300℃の温度範囲に亘り測定された値を表す。高温(または液体)熱膨張係数(高温CTE)も、百万分率(ppm)毎摂氏温度(ppm/℃)の単位で表され、瞬間熱膨張係数(CTE)対温度の曲線の高温平坦域で測定した値を表す。高温CTEは、変態領域を通じたガラスの加熱または冷却に関連する体積変化を測定する。
【0092】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス物品は、約20℃から約300℃の温度範囲に亘り測定された、約75×10-7ppm/℃以上、または約80×10-7ppm/℃の範囲内のCTEを示す。
【0093】
いくつかの実施の形態において、前記ガラス物品は、約75×10-7ppm/℃から約120×10-7ppm/℃、約80×10-7ppm/℃から約120×10-7ppm/℃、約85×10-7ppm/℃から約120×10-7ppm/℃、約90×10-7ppm/℃から約120×10-7ppm/℃、約95×10-7ppm/℃から約120×10-7ppm/℃、約100×10-7ppm/℃から約120×10-7ppm/℃、約75×10-7ppm/℃から約115×10-7ppm/℃、約75×10-7ppm/℃から約110×10-7ppm/℃、約75×10-7ppm/℃から約105×10-7ppm/℃、約75×10-7ppm/℃から約100×10-7ppm/℃、約75×10-7ppm/℃から約95×10-7ppm/℃、約80×10-7ppm/℃から約100×10-7ppm/℃、約90×10-7ppm/℃から約100×10-7ppm/℃、または約95×10-7ppm/℃から約100×10-7ppm/℃の範囲にある高温(または液体)CTEを示す。
【0094】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス物品は、約70GPaから約85GPa、約72GPaから約85GPa、約74GPaから約85GPa、約75GPaから約85GPa、約76GPaから約85GPa、約70GPaから約80GPa、約72GPaから約80GPa、約74GPaから約80GPa、約75GPaから約80GPa、約76GPaから約80GPa、約70GPaから約78GPa、約70GPaから約76GPa、約70GPaから約75GPa、約72GPaから約78GPa、約75GPaから約79GPa、または約70GPaから約77GPaの範囲にあるヤング率を示す。
【0095】
図2を参照すると、ガラス物品100の実施の形態は、第1の主面102、反対の第2の主面104を備え、その第1の主面と第2の主面との間の厚さt110を規定する。
【0096】
1つ以上の実施の形態において、厚さtは、約3ミリメートル以下(例えば、約0.01ミリメートルから約3ミリメートル、約0.1ミリメートルから約3ミリメートル、約0.2ミリメートルから約3ミリメートル、約0.3ミリメートルから約3ミリメートル、約0.4ミリメートルから約3ミリメートル、約0.01ミリメートルから約2.5ミリメートル、約0.01ミリメートルから約2ミリメートル、約0.01ミリメートルから約1.5ミリメートル、約0.01ミリメートルから約1ミリメートル、約0.01ミリメートルから約0.9ミリメートル、約0.01ミリメートルから約0.8ミリメートル、約0.01ミリメートルから約0.7ミリメートル、約0.01ミリメートルから約0.6ミリメートル、約0.01ミリメートルから約0.5ミリメートル、約0.1ミリメートルから約0.5ミリメートル、または約0.3ミリメートルから約0.5ミリメートル)であることがある。
【0097】
前記ガラス物品は、実質的に平面のシートであることがあるが、他の実施の形態で、湾曲したかまたは別のやり方で成形または造形された物品を利用してもよい。ある場合には、そのガラス物品は、3Dまたは2.5D形状を有することがある。それに加え、またはそれに代えて、そのガラス物品の厚さは、1つ以上の次元に沿って一定であっても、または審美的および/または機能的理由のために、その次元の1つ以上に沿って変動してもよい。例えば、ガラス物品の縁は、そのガラス物品の中央よりの領域と比べて、厚くてもよい。そのガラス物品の長さ、幅および厚さも、物品の用途または使途にしたがって変動してもよい。いくつかの実施の形態において、ガラス物品100Aは、
図3に示されるように、1つの副面106での厚さが、反対の副面108での厚さより大きい、くさび形を有することがある。厚さが変動する場合、ここに開示された厚さ範囲は、主面間の最大厚さである。
【0098】
前記ガラス物品は、約1.45から約1.55の範囲の屈折率を有することがある。ここに用いられているように、屈折率値は、550nmの波長に関する。
【0099】
前記ガラス物品は、それが形成される様式によって特徴付けられることがある。例えば、ガラス物品は、フロート成形可能(すなわち、フロート法により成形される、またはフロート成形される)、ダウンドロー可能(すなわち、ダウンドロー法により成形される、またはダウンドロー法により製造される)と特徴付けられることがある。ダウンドロー法の特定例に、フュージョンドロー法またはスロットドロー法がある。フュージョンドロー法により製造されたガラス物品は、フュージョン成形されており、スロットドロー法により成形されたガラス物品は、スロットドロー成形されている。
【0100】
ここに記載されたガラス物品のいくつかの実施の形態は、フロート法により成形されることがある。フロート成形されたガラス物品は、平滑な表面により特徴付けることができ、均一な厚さは、溶融金属、典型的にスズの床上に溶融ガラスを浮遊させることによって作られる。例示の過程において、溶融スズ床の表面上に供給される溶融ガラスが、浮遊ガラスリボンを形成する。ガラスリボンがスズ浴に沿って流れるにつれて、その温度は、ガラスリボンが、スズからローラに持ち上げられる固体ガラス物品に固化するまで、徐々に低下する。そのガラス物品は、一旦浴から離れたら、さらに冷却され、徐冷されて、内部応力を減少させることができる。いくつかの実施の形態において、フロート成形されたガラス物品は、スズ浴からの抜き取り線を示す。
【0101】
ここに記載されたガラス物品のいくつかの実施の形態は、ダウンドロー法により成形されることがある。ダウンドロー法により製造されたガラス物品は、均一な厚さおよび比較的無垢な表面を有する。そのガラス物品の平均曲げ強度は、表面傷の量とサイズにより制御されるので、接触が最小の無垢な表面は、より高い初期強度を有する。その上、ダウンドロー法により製造されたガラス物品は、費用のかかる研削および研磨を必要とせずに、最終用途に使用できる非常に平らで平滑な表面を有する。
【0102】
前記フュージョン法では、溶融ガラス原材料を受け容れるための通路を有する延伸槽が使用される。この通路は、通路の両側に通路の長さに沿って上部で開いた堰を有する。その通路が溶融材料で満たされると、溶融ガラスが堰を溢れ出る。溶融ガラスは、重力のために、延伸槽の外面を2つの流れるガラス膜として流下する。延伸槽のこれらの外面は、それらが延伸槽の下の縁で接合するように下方かつ内側に延在する。2つの流れるガラス膜は、この縁で接合して、融合し、1つの流れるガラス物品を形成する。このフュージョンドロー法は、通路を越えて流れる2つのガラス膜が互いに融合するので、結果として得られたガラス物品の外面のいずれも、装置のどの部分とも接触しないという利点を提示する。それゆえ、フュージョンドロー法により製造されたガラス物品の表面特性は、そのような接触の影響を受けない。
【0103】
ここに記載されたガラス物品のいくつかの実施の形態は、スロットドロー法により成形されることがある。そのスロットドロー法は、フュージョンドロー法とは異なる。スロットドロー法において、溶融原材料ガラスが延伸槽に供給される。その延伸槽の底部に、開けられたスロットであって、そのスロットの長さに延在するノズルを有するスロットがある。溶融ガラスは、スロット/ノズルを通って流れ、連続したガラス物品として、徐冷領域へと下方に延伸される。
【0104】
1つ以上の実施の形態において、ここに記載されたガラス物品は、非晶質微小構造を示すことがあり、結晶または晶子を実質的に含まないことがある。言い換えると、そのガラス物品では、ガラスセラミック材料は除かれる。
【0105】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス物品は、そのガラス物品の厚さが0.7mmであるときに、約300nmから約2500nmの波長範囲に亘り、約90%以下の全日射透過率を示す。例えば、そのガラス物品は、約60%から約88%、約62%から約88%、約64%から約88%、約65%から約88%、約66%から約88%、約68%から約88%、約70%から約88%、約72%から約88%、約60%から約86%、約60%から約85%、約60%から約84%、約60%から約82%、約60%から約80%、約60%から約78%、約60%から約76%、約60%から約75%、約60%から約74%、または約60%から約72%の範囲の全日射透過率を示す。
【0106】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス物品は、0.7mmまたは1mmの厚さで、約380nmから約780nmの波長範囲に亘り、約75%から約85%の範囲の平均透過率を示す。いくつかの実施の形態において、この厚さでの、この波長範囲に亘る平均透過率は、約75%から約84%、約75%から約83%、約75%から約82%、約75%から約81%、約75%から約80%、約76%から約85%、約77%から約85%、約78%から約85%、約79%から約85%、または約80%から約85%の範囲にあることがある。1つ以上の実施の形態において、そのガラス物品は、0.7mmまたは1mmの厚さで、約300nmから約400nmの波長範囲に亘り、50%以下(例えば、49%以下、48%以下、45%以下、40%以下、30%以下、25%以下、23%以下、20%以下、または15%以下)のTuv-380またはTuv-400を示す。
【0107】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス物品は、表面から圧縮深さ(DOC)まで延在する圧縮応力(CS)を含むように強化されることがある。その表面(CS)領域は、引張応力(CT)を示す中央部分によって釣り合わされている。DOCでは、応力は、正の(圧縮)応力から負の(引張)応力に交差する;しかしながら、ここに与えられた圧縮応力および引張応力の値は、絶対値である。
【0108】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス物品は、圧縮応力領域および引張応力を示す中央領域を作るように、その物品の部分の間の熱膨張係数の不一致を利用することによって、機械的に強化されることがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス物品は、ガラスを、ガラス転移点より低い温度に加熱し、次いで、急冷することによって、熱的に強化されることがある。
【0109】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス物品は、イオン交換により化学強化されることがある。イオン交換過程において、ガラス物品の表面またはその近くにあるイオンは、同じ価数または酸化状態を有するより大きいイオンにより置換される-すなわち、交換される。ガラス物品がアルカリアルミノケイ酸塩ガラスから作られている実施の形態において、その物品の表面層中のイオンおよびより大きいイオンは、Li+、Ka+、K+、Rb+、およびCs+などの一価のアルカリ金属陽イオンである。あるいは、表面層中の一価陽イオンは、Ag+などの、アルカリ金属陽イオン以外の一価陽イオンにより置換されてもよい。そのような実施の形態において、ガラス物品中へと交換される一価イオン(または陽イオン)により、応力が生じる。
【0110】
イオン交換過程は、一般に、ガラス物品中のより小さいイオンにより交換されるべきより大きいイオンを含有する溶融塩浴(または2つ以上の溶融塩浴)中にガラス物品を浸漬することによって行われる。水性塩浴を利用してもよいことに留意すべきである。その上、その浴の組成は、複数のタイプのより大きいイオン(例えば、Na+およびK+)または1種類のより大きいイオンを含んでもよい。以下に限られないが、浴の組成と温度、浸漬時間、1種類の塩浴(複数の塩浴)中のガラス物品の浸漬回数、多数の塩浴の使用、徐冷、洗浄などの追加の工程を含む、イオン交換過程のパラメータが、ガラス物品(物品の構造および存在するいずれの結晶相も含む)の組成、および強化により生じるガラス物品の所望のDOCとCSによって一般に決まることが当業者に認識されるであろう。例示の溶融浴の組成は、より大きいアルカリ金属イオンの硝酸塩、硫酸塩、塩化物を含むことがある。典型的な硝酸塩としては、KNO3、NaNO3、LiNO3、NaSO4およびその組合せが挙げられる。溶融塩浴の温度は、一般に、約380℃から約450℃までの範囲にあり、一方で、浸漬時間は、ガラス物品の厚さ、浴の温度およびガラス(または一価イオン)の拡散性に応じて、約15分から約100時間に及ぶ。しかしながら、先に記載されたものと異なる温度および浸漬時間も使用してよい。
【0111】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス物品は、約370℃から約480℃の範囲の温度を有する、100%のNaNO3、100%のKNO3、またはNaNO3とKNO3の組合せの溶融塩浴中に浸漬されることがある。
【0112】
いくつかの実施の形態において、そのガラス物品は、約5%から約90%のKNO3および約10%から約95%のNaNO3を含む溶融混合塩浴中に浸漬されることがある。1つ以上の実施の形態において、そのガラス物品は、第1の浴中に浸漬された後、第2の浴中に浸漬されることがある。その第1と第2の浴は、互いに異なる組成および/または温度を有することがある。第1と第2の浴中の浸漬時間は様々であってよい。例えば、第1の浴中の浸漬は、第2の浴中に浸漬より長いことがある。
【0113】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス物品は、約5時間未満、またさらには約4時間以下に亘り、約420℃未満の温度(例えば、約400℃または約380℃)を有する、NaNO3とKNO3(例えば、49%/51%、50%/50%、51%/49%)を含む溶融混合塩浴中に浸漬されることがある。
【0114】
イオン交換条件は、結果として得られるガラス物品の表面またはその近くの応力プロファイルの勾配を増加させるために、または「スパイク」を与えるために、調整することができる。そのスパイクにより、より大きい表面CS値が得られるであろう。このスパイクは、1つの浴または複数の浴により達成することができ、その浴は、ここに記載されたガラス物品に使用されるガラス組成物の特異的性質のために、1つの組成または混合組成を有する。
【0115】
ガラス物品中に複数の一価イオンが交換される、1つ以上の実施の形態において、異なる一価イオンが、ガラス物品内の異なる深さまで交換され(異なる深さでガラス物品内に異なる大きさの応力が生じ)ることがある。その応力生成イオンの結果として生じる相対的な深さは、決定することができ、それにより、応力プロファイルの異なる特徴が生じる。
【0116】
表面CSは、有限会社折原製作所(日本国)により製造されているFSM-6000などの市販の計器を使用して、表面応力計(FSM)などにより、当該技術分野で公知の手段を用いて測定される。表面応力測定は、ガラスの複屈折に関連する、応力光学係数(SOC)の精密測定に依存する。次に、SOCは、その内容がここに全て引用される、「Standard Test Method for Measurement of Glass Stress-Optical Coefficient」と題する、ASTM基準C770-98(2013年)に両方とも記載されている、ファイバおよび4点曲げ法、並びにバルクシリンダ法などの、当該技術分野で公知の方法によって測定される。ここに用いられているように、CSは、圧縮応力層内で測定される最高の圧縮応力値である、「最大圧縮応力」であることがある。いくつかの実施の形態において、その最大圧縮応力は、ガラス物品の表面に位置している。他の実施の形態において、最大圧縮応力は、表面より下の深さに生じることがあり、その圧縮プロファイルに「埋め込まれたピーク」の見掛けが与えられる。
【0117】
DOCは、強化方法および条件に応じて、FSMにより、または散乱光偏光器(SCALP)(エストニア国、タリン所在のGlasstress Ltd.から入手できるSCALP-04散乱光偏光器など)により測定することができる。ガラス物品がイオン交換処理によって化学強化されている場合、ガラス物品中にどのイオンが交換されているかに応じて、FSMまたはSCALPが使用される。ガラス物品中の応力が、ガラス物品中へのカリウムイオンの交換により生じている場合、DOCを測定するために、FSMが使用される。応力が、ガラス物品中へのナトリウムイオンの交換により生じている場合、DOCを測定するために、SCALPが使用される。ガラス物品中の応力が、ガラス中にカリウムイオンとナトリウムイオンの両方を交換することによって生じる場合、DOCはSCALPにより測定される。何故ならば、ナトリウムイオンの交換深さはDOCを表し、カリウムイオンの交換深さは、圧縮応力の大きさの変化(圧縮から引張への応力の変化ではない)を表すと考えられるからである;そのようなガラス物品におけるカリウムイオンの交換深さは、FSMにより測定される。
【0118】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス物品は、ガラス物品の厚さt(ここに記載されているような)の一部として記載されるDOCを示すように強化されることがある。例えば、1つ以上の実施の形態において、DOCは、約0.03t以上、約0.05t以上、約0.06t以上、約0.1t以上、約0.11t以上、約0.12t以上、約0.13t以上、約0.14t以上、約0.15t以上、約0.16t以上、約0.17t以上、約0.18t以上、約0.19t以上、約0.2t以上、約0.21t以上であることがある。いくつかの実施の形態において、DOCは、約0.03tから約0.25t、約0.04tから約0.25t、約0.05tから約0.25t、約0.06tから約0.25t、約0.07tから約0.25t、約0.08tから約0.25t、約0.09tから約0.25t、約0.18tから約0.25t、約0.11tから約0.25t、約0.12tから約0.25t、約0.13tから約0.25t、約0.14tから約0.25t、約0.15tから約0.25t、約0.03tから約0.24t、約0.03tから約0.23t、約0.03tから約0.22t、約0.03tから約0.21t、約0.03tから約0.2t、約0.03tから約0.19t、約0.03tから約0.18t、約0.03tから約0.17t、約0.03tから約0.16t、または約0.03tから約0.15tの範囲にあることがある。ある場合には、DOCは約20μm以下であることがある。1つ以上の実施の形態において、DOCは、約35μm以上(例えば、約40μmから約300μm、約50μmから約300μm、約60μmから約300μm、約70μmから約300μm、約80μmから約300μm、約90μmから約300μm、約100μmから約300μm、約110μmから約300μm、約120μmから約300μm、約140μmから約300μm、約150μmから約300μm、約40μmから約290μm、約40μmから約280μm、約40μmから約260μm、約40μmから約250μm、約40μmから約240μm、約40μmから約230μm、約40μmから約220μm、約40μmから約210μm、約40μmから約200μm、約40μmから約180μm、約40μmから約160μm、約40μmから約150μm、約40μmから約140μm、約40μmから約130μm、約40μmから約120μm、約40μmから約110μm、または約40μmから約100μm)であることがある。
【0119】
1つ以上の実施の形態において、前記強化ガラス物品は、約200MPa以上、300MPa以上、400MPa以上、約500MPa以上、約600MPa以上、約700MPa以上、約800MPa以上、約900MPa以上、約930MPa以上、約1000MPa以上、または約1050MPa以上のCS(ガラス物品の表面またはその中の深さに見られるであろう)を有することがある。
【0120】
1つ以上の実施の形態において、前記強化ガラス物品は、約20MPa以上、約30MPa以上、約40MPa以上、約45MPa以上、約50MPa以上、約60MPa以上、約70MPa以上、約75MPa以上、約80MPa以上、または約85MPa以上の最大CTを有することがある。いくつかの実施の形態において、最大CTは、約40MPaから約100MPaの範囲内にあることがある。
【0121】
1つ以上の特定の実施の形態において、前記ガラス物品(約1mm以下の厚さを有する)は、約650MPaから約850MPaの範囲の表面CSおよび約35マイクロメートルから約65マイクロメートルの範囲の対応するDOCを示す。そのような実施の形態において、その強度レベル(表面CSおよびDOCに関する)は、約8時間未満、約6時間以下、または約4時間以下に亘り、100%のKNO3の溶融塩浴中に浸漬された後のガラス物品により示される。その温度は、約380℃から約420℃の範囲にあることがある。
【0122】
本開示の別の態様は、ここに記載されたようなガラス物品を含む積層板に関する。1つ以上の実施の形態において、積層板200は、
図4に示されるように、1つ以上の実施の形態によるガラス物品を含む第1のガラス層210、およびその第1のガラス層上に配置された中間層220を備える。
図5に示されるように、積層板300は、第1のガラス層310、その第1のガラス層上に配置された中間層320、および第1のガラス層310と反対の中間層320上に配置された第2のガラス層330を備えることがある。その積層板に使用される第1のガラス層および第2のガラス層のいずれか一方または両方は、ここに記載されたガラス物品を含み得る。
図5に示されるように、中間層320は、第1と第2のガラス層の間に配置されている。
【0123】
1つ以上の実施の形態において、積層板300は、ここに記載されたようなガラス物品を含む第1のガラス層、およびここに記載されたようなガラス物品と異なる組成を有する第2のガラス層を備えることがある。例えば、その第2のガラス層は、ソーダ石灰ガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、アルカリ含有ホウケイ酸ガラス、アルカリアルミノリンケイ酸塩ガラス、またはアルカリアルミノホウケイ酸塩ガラスを含むことがある。いくつかの実施の形態において、第1と第2のガラス層の両方は、ここに記載されたガラス物品を構成し、これらは、互いに同じであっても異なってもよい。
【0124】
1つ以上の実施の形態において、前記第1のガラス層および第2のガラス層のいずれか一方または両方は、1.6mm未満(例えば、1.55mm以下、1.5mm以下、1.45mm以下、1.4mm以下、1.35mm以下、1.3mm以下、1.25mm以下、1.2mm以下、1.15mm以下、1.1mm以下、1.05mm以下、1mm以下、0.95mm以下、0.9mm以下、0.85mm以下、0.8mm以下、0.75mm以下、0.7mm以下、0.65mm以下、0.6mm以下、0.55mm以下、0.5mm以下、0.45mm以下、0.4mm以下、0.35mm以下、0.3mm以下、0.25mm以下、0.2mm以下、0.15mm以下、または0.1mm以下)の厚さを有する。厚さの下限は、0.1mm、0.2mm、または0.3mmであることがある。いくつかの実施の形態において、その第1のガラス層および第2のガラス層のいずれか一方または両方の厚さは、約0.1mmから約1.6mm未満、約0.1mmから約1.5mm、約0.1mmから約1.4mm、約0.1mmから約1.3mm、約0.1mmから約1.2mm、約0.1mmから約1.1mm、約0.1mmから約1mm、約0.1mmから約0.9mm、約0.1mmから約0.8mm、約0.1mmから約0.7mm、約0.1mmから、約0.2mmから約1.6mm未満、約0.3mmから約1.6mm未満、約0.4mmから約未満mm、約0.5mmから約1.6未満mm、約0.6mmから約1.6mm未満、約0.7mmから約1.6mm未満、約0.8mmから約1.6mm未満、約0.9mmから約1.6mm未満、約1mmから約1.6mm、約0.4mmから約1.2mm、約0.5mmから約1.2mm、約0.7mmから約1.2mm、約0.4mmから約1mm、約0.5mmから約1mm、または約0.7mmから約1mmの範囲にある。いくつかの実施の形態において、その第1のガラス層および第2のガラス層は、互いと実質的に同じ厚さを有する。
【0125】
いくつかの実施の形態において、前記第1と第2のガラス層の一方は、約1.6mm未満の厚さを有するのに対し、その第1と第2のガラス層の他方は、約1mm以上、または約1.6mm以上の厚さを有する。1つ以上の実施の形態において、その第1と第2のガラス層は、互いに異なる厚さを有する。例えば、その第1と第2のガラス層の一方は、約1.6mm未満の厚さを有するのに対し、その第1と第2のガラス層の他方は、約1.7mm以上、約1.75mm以上、約1.8mm以上、約1.7mm以上、約1.7mm以上、約1.7mm以上、約1.85mm以上、約1.9mm以上、約1.95mm以上、約2mm以上、約2.1mm以上、約2.2mm以上、約2.3mm以上、約2.4mm以上、2.5mm以上、2.6mm以上、2.7mm以上、2.8mm以上、2.9mm以上、3mm以上、3.2mm以上、3.4mm以上、3.5mm以上、3.6mm以上、3.8mm以上、4mm以上、4.2mm以上、4.4mm以上、4.6mm以上、4.8mm以上、5mm以上、5.2mm以上、5.4mm以上、5.6mm以上、5.8mm以上、または6mm以上の厚さを有する。いくつかの実施の形態において、第1および/または第2のガラス層は、約1.6mmから約6mm、約1.7mmから約6mm、約1.8mmから約6mm、約1.9mmから約6mm、約2mmから約6mm、約2.1mmから約6mm、約2.2mmから約6mm、約2.3mmから約6mm、約2.4mmから約6mm、約2.5mmから約6mm、約2.6mmから約6mm、約2.8mmから約6mm、約3mmから約6mm、約3.2mmから約6mm、約3.4mmから約6mm、約3.6mmから約6mm、約3.8mmから約6mm、約4mmから約6mm、約1.6mmから約5.8mm、約1.6mmから約5.6mm、約1.6mmから約5.5mm、約1.6mmから約5.4mm、約1.6mmから約5.2mm、約1.6mmから約5mm、約1.6mmから約4.8mm、約1.6mmから約4.6mm、約1.6mmから約4.4mm、約1.6mmから約4.2mm、約1.6mmから約4mm、約3.8mmから約5.8mm、約1.6mmから約3.6mm、約1.6mmから約3.4mm、約1.6mmから約3.2mm、または約1.6mmから約3mmの範囲の厚さを有する。
【0126】
1つ以上の実施の形態において、前記第1のガラス層は、前記第2のガラス層と比べて比較的薄い。言い換えると、その第2のガラス層は、第1のガラス層より大きい厚さを有する。1つ以上の実施の形態において、その第2のガラス層は、第1のガラス層の厚さの2倍より大きい厚さを有することがある。1つ以上の実施の形態において、第2のガラス層は、第1のガラス層の厚さの約1.5倍から約2.5倍の範囲の厚さを有することがある。
【0127】
1つ以上の実施の形態において、前記第1のガラス層および前記第2のガラス層は、同じ厚さを有することがある;しかしながら、第2のガラス層は、第1のガラス層よりも剛性であるか、またはそれより大きい剛性を有し、非常に特別な実施の形態において、第1のガラス層と第2のガラス層の両方とも、0.2mmと1.6mmの間の範囲の厚さを有する。
【0128】
1つ以上の実施の形態において、積層板200、300の厚さは、6.85mm以下、または5.85mm以下であることがあり、その厚さは、第1のガラス層、第2のガラス層、中間層および任意の他の層の厚さの合計である。様々な実施の形態において、その積層板の厚さは、約1.8mmから約6.85mmの範囲、または約1.8mmから約5.85mmの範囲、または約1.8mmから約5.0mmの範囲、または2.1mmから約6.85mm、または約2.1mmから約5.85mmの範囲、または約2.1mmから約5.0mmの範囲、または約2.4mmから約6.85mmの範囲、または約2.4mmから約5.85mmの範囲、または約2.4mmから約5.0mmの範囲、または約3.4mmから約6.85mmの範囲、または約3.4mmから約5.85mmの範囲、または約3.4mmから約5.0mmの範囲にあることがある。
【0129】
1つ以上の実施の形態において、積層板400は、1000mm未満、または750mm未満、または500mm未満、または300mm未満の少なくとも1つの曲率半径を示す。1つ以上の実施の形態において、その積層板300は、少なくとも1つの軸に沿って約10m以下、または約5m以下の少なくとも1つの曲率半径を示す。1つ以上の実施の形態において、その積層板400は、少なくとも第1の軸に沿って、かつその第1の軸に垂直な第2の軸に沿って5m以下の曲率半径を有することがある。1つ以上の実施の形態において、その積層板は、少なくとも第1の軸に沿って、かつその第1の軸に垂直ではない第2の軸に沿って5m以下の曲率半径を有することがある。
【0130】
1つ以上の実施の形態において、第1のガラス層は第1の垂下温度を有し、第2のガラス層は第2の垂下温度を有し、その第1の垂下温度と第2の垂下温度との間の差は、約100℃以下、約90℃以下、約80℃以下、約75℃以下、約70℃以下、約60℃以下、約50℃以下、約40℃以下、約30℃以下、約20℃以下、または約10℃以下である。
【0131】
1つ以上の実施の形態において、第1または第2のガラス層は、ここに記載されたような、強化されているガラス物品を利用することがある。1つ以上の実施の形態において、第1のガラス層は、ここに記載された実施の形態による強化ガラス物品から作られ、一方で、第2のガラス層は強化されていない。1つ以上の実施の形態において、第1のガラス層は、ここに記載された実施の形態による強化ガラス物品から作られ、一方で、第2のガラス層は徐冷されている。1つ以上の実施の形態において、第1のガラス層は、化学的、機械的および/または熱的に強化されており、一方で、第2のガラス層は、第1のガラス層と異なる方法で強化されている(化学的、機械的および/または熱的に)。1つ以上の実施の形態において、第1のガラス層は、化学的、機械的および/または熱的に強化されており、一方で、第2のガラス層は、第1のガラス層と同じ方法で強化されている(化学的、機械的および/または熱的に)。
【0132】
1つ以上の実施の形態において、ここに使用される中間層(例えば、320)は、単層または多層を含むことがある。その中間層(またはその内の層)は、ポリビニルブチラール(PVB)、音響用PVB(APVB)、イオノマー、エチレン酢酸ビニル(EVA)、および熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエステル(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの高分子から形成されることがある。その中間層の厚さは、約0.5mmから約2.5mm、約0.8mmから約2.5mm、約1mmから約2.5mm、または約1.5mmから約2.5mmの範囲にあることがある。
【0133】
本開示の別の態様は、
図6に示されたような、第1の湾曲ガラス層410、第2の湾曲ガラス層420、およびその第1の湾曲ガラス層と第2の湾曲ガラス層との間に配置された中間層430を備えた積層板400に関する。1つ以上の実施の形態において、第1の湾曲ガラス層410は、第1の主面412、その第1の主面と反対の第2の主面414、その第1の主面と第2の主面との間の距離として規定される第1の厚さ416、および第1の垂下深さ418を有する。1つ以上の実施の形態において、第2の湾曲ガラス層420は、第3の主面422、その第3の主面と反対の第4の主面424、その第3の主面と第4の主面との間の距離として規定される第2の厚さ426、および第2の垂下深さ428を有する。
図6の積層板400の向きは、凸面として第2の主面414を、凹面として第3の主面422を示している。1つ以上の実施の形態において、その第1の湾曲ガラス層の位置は、逆であっても差し支えない。1つ以上の実施の形態において、その第1の湾曲ガラス層は第1の粘度を示し、その第2の湾曲ガラス層は、所定の温度で第1の粘度と異なる第2の粘度を示す。1つ以上の実施の形態において、その第1の湾曲ガラス層は、ここに記載されたガラス組成物の1つ以上の実施の形態から形成されている。その第1の粘度と第2の粘度が測定される温度は、約590℃から約650℃(または約630℃)であることがある。いくつかの実施の形態において、その第1の粘度は、630℃の温度で、第1の粘度の約2倍以上、約3倍以上、約4倍以上、約5倍以上、約6倍以上、約7倍以上、約8倍以上、約9倍以上、または約10倍以上である。
【0134】
1つ以上の実施の形態において、600℃で、第1の粘度は、約2×1011ポアズから約1×1015ポアズ、約4×1011ポアズから約1×1015ポアズ、約5×1011ポアズから約1×1015ポアズ、約6×1011ポアズから約1×1015ポアズ、約8×1011ポアズから約1×1015ポアズ、約1×1012ポアズから約1×1015ポアズ、約2×1012ポアズから約1×1015ポアズ、約4×1012ポアズから約1×1015ポアズ、約5×1012ポアズから約1×1015ポアズ、約6×1012ポアズから約1×1015ポアズ、約8×1012ポアズから約1×1015ポアズ、約1×1013ポアズから約1×1015ポアズ、約2×1013ポアズから約1×1015ポアズ、約4×1013ポアズから約1×1015ポアズ、約5×1013ポアズから約1×1015ポアズ、約6×1013ポアズから約1×1015ポアズ、約8×1013ポアズから約1×1015ポアズ、約1×1014ポアズから約1×1015ポアズ、約2×1011ポアズから約8×1014ポアズ、約2×1011ポアズから約6×1014ポアズ、約2×1011ポアズから約5×1014ポアズ、約2×1011ポアズから約4×1014ポアズ、約2×1011ポアズから約2×1014ポアズ、約2×1011ポアズから約1×1014ポアズ、約2×1011ポアズから約8×1013ポアズ、約2×1011ポアズから約6×1013ポアズ、約2×1011ポアズから約5×1013ポアズ、約2×1011ポアズから約4×1013ポアズ、約2×1011ポアズから約2×1013ポアズ、約2×1011ポアズから約1×1013ポアズ、約2×1011ポアズから約8×1012ポアズ、約2×1011ポアズから約6×1012ポアズ、または約2×1011ポアズから約5×1012ポアズの範囲にある。
【0135】
1つ以上の実施の形態において、630℃で、第1の粘度は、約2×1010ポアズから約1×1013ポアズ、約4×1010ポアズから約1×1013ポアズ、約5×1010ポアズから約1×1013ポアズ、約6×1010ポアズから約1×1013ポアズ、約8×1010ポアズから約1×1013ポアズ、約1×1011ポアズから約1×1013ポアズ、約2×1011ポアズから約1×1013ポアズ、約4×1011ポアズから約1×1013ポアズ、約5×1011ポアズから約1×1013ポアズ、約6×1011ポアズから約1×1013ポアズ、約8×1011ポアズから約1×1013ポアズ、約1×1012ポアズから約1×1013ポアズ、約2×1010ポアズから約8×1012ポアズ、約2×1010ポアズから約6×1012ポアズ、約2×1010ポアズから約5×1012ポアズ、約2×1010ポアズから約4×1012ポアズ、約2×1010ポアズから約2×1012ポアズ、約2×1010ポアズから約1×1012ポアズ、約2×1010ポアズから約8×1011ポアズ、約2×1010ポアズから約6×1011ポアズ、約2×1010ポアズから約5×1011ポアズ、約2×1010ポアズから約4×1011ポアズ、または約2×1010ポアズから約2×1011ポアズの範囲にある。
【0136】
1つ以上の実施の形態において、650℃で、第1の粘度は、約1×1010ポアズから約1×1013ポアズ、約2×1010ポアズから約1×1013ポアズ、約4×1010ポアズから約1×1013ポアズ、約5×1010ポアズから約1×1013ポアズ、約6×1010ポアズから約1×1013ポアズ、約8×1010ポアズから約1×1013ポアズ、約1×1011ポアズから約1×1013ポアズ、約2×1011ポアズから約1×1013ポアズ、約4×1011ポアズから約1×1013ポアズ、約4×1011ポアズから約1×1013ポアズ、約5×1011ポアズから約1×1013ポアズ、約6×1011ポアズから約1×1013ポアズ、約8×1011ポアズから約1×1013ポアズ、約1×1012ポアズから約1×1013ポアズ、約1×1010ポアズから約8×1012ポアズ、約1×1010ポアズから約6×1012ポアズ、約1×1010ポアズから約5×1012ポアズ、約1×1010ポアズから約4×1012ポアズ、約1×1010ポアズから約2×1012ポアズ、約1×1010ポアズから約1×1012ポアズ、約1×1010ポアズから約8×1011ポアズ、約1×1010ポアズから約6×1011ポアズ、約1×1010ポアズから約5×1011ポアズ、約1×1010ポアズから約4×1011ポアズ、約1×1010ポアズから約2×1011ポアズ、または約1×1010ポアズから約1×1011ポアズの範囲にある。
【0137】
1つ以上の実施の形態において、600℃で、第2の粘度は、約3×1010ポアズから約8×1010ポアズ、約4×1010ポアズから約8×1010ポアズ、約5×1010ポアズから約8×1010ポアズ、約6×1010ポアズから約8×1010ポアズ、約3×1010ポアズから約7×1010ポアズ、約3×1010ポアズから約6×1010ポアズ、約3×1010ポアズから約5×1010ポアズ、または約4×1010ポアズから約6×1010ポアズの範囲にある。
【0138】
1つ以上の実施の形態において、630℃で、第2の粘度は、約1×109ポアズから約1×1010ポアズ、約2×109ポアズから約1×1010ポアズ、約3×109ポアズから約1×1010ポアズ、約4×109ポアズから約1×1010ポアズ、約5×109ポアズから約1×1010ポアズ、約6×109ポアズから約1×1010ポアズ、約1×109ポアズから約9×109ポアズ、約1×109ポアズから約8×109ポアズ、約1×109ポアズから約7×109ポアズ、約1×109ポアズから約6×109ポアズ、約4×109ポアズから約8×109ポアズ、または約5×109ポアズから約7×109ポアズの範囲にある。
【0139】
1つ以上の実施の形態において、650℃で、第2の粘度は、約5×108ポアズから約5×109ポアズ、約6×108ポアズから約5×109ポアズ、約7×108ポアズから約5×109ポアズ、約8×108ポアズから約5×109ポアズ、約9×108ポアズから約5×109ポアズ、約1×109ポアズから約5×109ポアズ、約1×109ポアズから約4×109ポアズ、約1×109ポアズから約3×109ポアズ、約5×108ポアズから約4×109ポアズ、約5×108ポアズから約3×109ポアズ、約5×108ポアズから約2×109ポアズ、約5×108ポアズから約1×109ポアズ、約5×108ポアズから約9×108ポアズ、約5×108ポアズから約8×108ポアズ、または約5×108ポアズから約7×108ポアズの範囲にある。
【0140】
1つ以上の実施の形態において、第1の垂下深さ418および第2の垂下深さ428の一方または両方は、約2mm以上である。例えば、第1の垂下深さ418および第2の垂下深さ428の一方または両方は、約2mmから約30mm、約4mmから約30mm、約5mmから約30mm、約6mmから約30mm、約8mmから約30mm、約10mmから約30mm、約12mmから約30mm、約14mmから約30mm、約15mmから約30mm、約2mmから約28mm、約2mmから約26mm、約2mmから約25mm、約2mmから約24mm、約2mmから約22mm、約2mmから約20mm、約2mmから約18mm、約2mmから約16mm、約2mmから約15mm、約2mmから約14mm、約2mmから約12mm、約2mmから約10mm、約2mmから約8mm、約6mmから約20mm、約8mmから約18mm、約10mmから約15mm、約12mmから約22mm、約15mmから約25mm、または約18mmから約22mmの範囲にあることがある。
【0141】
1つ以上の実施の形態において、第1の垂下深さ418および第2の垂下深さ428は、互いに実質的に等しい。1つ以上の実施の形態において、その第1の垂下深さはその第2の垂下深さの10%以内にある。例えば、その第1の垂下深さは、その第2の垂下深さの9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、または5%以内にある。説明のために、第2の垂下深さは約15mmであり、第1の垂下深さは約14.5mmから約16.5mmの範囲(すなわち第2の垂下深さの10%以内)にある。
【0142】
1つ以上の実施の形態において、前記第1の湾曲ガラス層および前記第2の湾曲ガラス層は、独国、ブラウンシュワイク所在のGOM GmbHにより供給されるATOS Triple Scanなどの光学式三次元スキャナによって測定して、±5mm以下の形状偏差を間に有する。1つ以上の実施の形態において、その形状偏差は、第2の主面414と第3の主面422との間、または第1の主面412と第4の主面424との間で測定される。1つ以上の実施の形態において、その第1のガラス層と第2のガラス層との間の形状偏差は、約±4mm以下、約±3mm以下、約±2mm以下、約±1mm以下、約±0.8mm以下、約±0.6mm以下、約±0.5mm以下、約±0.4mm以下、約±0.3mm以下、約±0.2mm以下、または約±0.1mm以下である。ここに用いられているように、形状偏差は、それぞれの表面で測定された最大形状偏差を称する。
【0143】
1つ以上の実施の形態において、第1の主面412および第4の主面424の一方または両方は、最小の光学的歪みを示す。例えば、第1の主面412および第4の主面424の一方または両方は、ASTM1561にしたがう透過光学素子を使用した光学的歪み検出器で測定して、約400ミリジオプター未満、約300ミリジオプター未満、または約250ミリジオプター未満の光学的歪みを示す。適切な光学的歪み検出器は、商標名SCREENSCAN-Faultfinderで、独国、ダルムシュタット所在のISRA VISION AGにより供給される。1つ以上の実施の形態において、第1の主面412および第4の主面424の一方または両方は、約190ミリジオプター以下、約180ミリジオプター以下、約170ミリジオプター以下、約160ミリジオプター以下、約150ミリジオプター以下、約140ミリジオプター以下、約130ミリジオプター以下、約120ミリジオプター以下、約110ミリジオプター以下、約100ミリジオプター以下、約90ミリジオプター以下、約80ミリジオプター以下、約70ミリジオプター以下、約60ミリジオプター以下、または約50ミリジオプター以下の光学的歪みを示す。ここに用いられているように、光学的歪みは、それぞれの表面上で測定した最大光学的歪みを称する。
【0144】
1つ以上の実施の形態において、前記第2の湾曲ガラス層の第3の主面または第4の主面は、低い膜引張応力を示す。膜引張応力は、湾曲された層および積層板の冷却中に生じ得る。ガラスが冷えるにつれて、主面およびエッジ面(主面に対して垂直)は表面圧縮を発生し得、これが、引張応力を示す中央領域によって相殺される。曲げまたは成形により、エッジ近くに追加の表面張力が導入され得、中央引張領域がガラス表面に近づく。したがって、膜引張応力は、エッジ近く(例えば、エッジ面から約10~25mm)で測定される引張応力である。1つ以上の実施の形態において、その第2の湾曲ガラス層の第3の主面または第4の主面での膜引張応力は、ASTM C1279にしたがって表面応力計で測定して、約7MPa未満である。そのような表面応力計の一例が、商標名GASP(登録商標)(Grazing Angle Surface Polarimeter)でStrainoptic Technologiesにより供給されている。1つ以上の実施の形態において、その第2の湾曲ガラス層の第3の主面または第4の主面での膜引張応力は、約6MPa以下、約5MPa以下、約4MPa以下、または約3MPa以下である。1つ以上の実施の形態において、膜引張応力の下限は、約0.01MPaまたは約0.1MPaである。
【0145】
1つ以上の実施の形態において、前記第2の湾曲ガラス層の第3の主面または第4の主面での膜圧縮応力は、ASTM C1279にしたがって表面応力計で測定して、約7MPa未満である。商標名「GASP」(Grazing Angle Surface Polarimeter)でStrainoptic Technologiesにより供給されている表面応力計などの表面応力計を使用してよい。1つ以上の実施の形態において、その第2の湾曲ガラス層の第3の主面または第4の主面での膜圧縮応力は、約6MPa以下、約5MPa以下、約4MPa以下、または約3MPa以下である。1つ以上の実施の形態において、膜圧縮応力の下限は、約0.01MPaまたは約0.1MPaである。
【0146】
1つ以上の実施の形態において、積層板400は、6.85mm以下、または5.85mm以下の厚さを有することがあり、ここで、その厚さは、第1の湾曲ガラス層、第2の湾曲ガラス層、中間層(および任意の他の層)の厚さの合計からなる。様々な実施の形態において、その積層板の厚さは、約1.8mmから約6.85mmの範囲、または約1.8mmから約5.85mmの範囲、または約1.8mmから約5.0mmの範囲、または約2.1mmから約6.85mmの範囲、または約2.1mmから約5.85mmの範囲、または約2.1mmから約5.0mmの範囲、または約2.4mmから約6.85mmの範囲、または約2.4mmから約5.85mmの範囲、または約2.4mmから約5.0mmの範囲、または約3.4mmから約6.85mmの範囲、または約3.4mmから約5.85mmの範囲、または約3.4mmから約5.0mmの範囲にあることがある。
【0147】
1つ以上の実施の形態において、積層板400は、1000mm未満、または750mm未満、または500mm未満、または300mm未満の少なくとも1つの曲率半径を示す。1つ以上の実施の形態において、積層板400は、少なくとも1つの軸に沿って、約10m以下、または約5m以下の少なくとも1つの曲率半径を示す。1つ以上の実施の形態において、積層板400は、少なくとも第1の軸に沿って、かつその第1の軸に垂直な第2の軸に沿って5m以下の曲率半径を有することがある。1つ以上の実施の形態において、その積層板は、少なくとも第1の軸に沿って、かつその第1の軸に垂直ではない第2の軸に沿って5m以下の曲率半径を有することがある。
【0148】
1つ以上の実施の形態において、第1の湾曲ガラス層410は、第2の湾曲ガラス層420と比べて比較的薄い。言い換えると、その第2の湾曲ガラス層は、第1の湾曲ガラス層よりも大きい厚さを有する。1つ以上の実施の形態において、前記第2の厚さは、前記第1の厚さの2倍より大きい。1つ以上の実施の形態において、その第2の厚さは、第1の厚さの約1.5倍から約10倍(例えば、約1.75倍から約10倍、約2倍から約10倍、約2.25倍から約10倍、約2.5倍から約10倍、約2.75倍から約10倍、約3倍から約10倍、約3.25倍から約10倍、約3.5倍から約10倍、約3.75倍から約10倍、約4倍から約10倍、約1.5倍から約9倍、約1.5倍から約8倍、約1.5倍から約7.5倍、約1.5倍から約7倍、約1.5倍から約6.5倍、約1.5倍から約6倍、約1.5倍から約5.5倍、約1.5倍から約5倍、約1.5倍から約4.5倍、約1.5倍から約4倍、約1.5倍から約3.5倍、約2倍から約7倍、約2.5倍から約6倍、約3倍から約6倍)の範囲にある。
【0149】
1つ以上の実施の形態において、第1の湾曲ガラス層410および第2の湾曲ガラス層420は、同じ厚さを有することがある。1つ以上の特別な実施の形態において、その第2の湾曲ガラス層は、その第1の湾曲ガラス層よりも剛性であるか、またはそれより大きい剛性を有し、非常に特別な実施の形態において、その第1の湾曲ガラス層および第2の湾曲ガラス層の両方とも、0.2mmから1.6mmの範囲の厚さを有する。
【0150】
1つ以上の実施の形態において、第1の厚さ416および第2の厚さ426のいずれか一方または両方は、1.6mm未満(例えば、1.55mm以下、1.5mm以下、1.45mm以下、1.4mm以下、1.35mm以下、1.3mm以下、1.25mm以下、1.2mm以下、1.15mm以下、1.1mm以下、1.05mm以下、1mm以下、0.95mm以下、0.9mm以下、0.85mm以下、0.8mm以下、0.75mm以下、0.7mm以下、0.65mm以下、0.6mm以下、0.55mm以下、0.5mm以下、0.45mm以下、0.4mm以下、0.35mm以下、0.3mm以下、0.25mm以下、0.2mm以下、0.15mm以下、または約0.1mm以下)である。厚さの下限は、0.1mm、0.2mmまたは0.3mmであることがある。いくつかの実施の形態において、その第1の厚さおよび第2の厚さのいずれか一方または両方は、約0.1mmから約1.6mm、約0.1mmから約1.5mm、約0.1mmから約1.4mm、約0.1mmから約1.3mm、約0.1mmから約1.2mm、約0.1mmから約1.1mm、約0.1mmから約1mm、約0.1mmから約0.9mm、約0.1mmから約0.8mm、約0.1mmから約0.7mm、約0.1mmから、約0.2mmから約1.6mm未満、約0.3mmから約1.6mm未満、約0.4mmから約1.6mm未満、約0.5mmから約1.6mm未満、約0.6mmから約1.6mm未満、約0.7mmから約1.6mm未満、約0.8mmから約1.6mm未満、約0.9mmから約1.6mm未満、または約1mmから約1.6mmの範囲にある。
【0151】
いくつかの実施の形態において、第1の厚さ416および第2の厚さ426の一方が約1.6mm未満であるのに対し、その第1の厚さおよび第2の厚さの他方が約1.6mm以上である。そのような実施の形態において、第1の厚さおよび第2の厚さは互いに異なる。例えば、第1の厚さ416および第2の厚さ426の一方が約1.6mm未満であるのに対し、その第1の厚さおよび第2の厚さの他方が約1.7mm以上、約1.75mm以上、約1.8mm以上、約1.7mm以上、約1.7mm以上、約1.7mm以上、約1.85mm以上、約1.9mm以上、約1.95mm以上、約2mm以上、約2.1mm以上、約2.2mm以上、約2.3mm以上、約2.4mm以上、2.5mm以上、2.6mm以上、2.7mm以上、2.8mm以上、2.9mm以上、3mm以上、3.2mm以上、3.4mm以上、3.5mm以上、3.6mm以上、3.8mm以上、4mm以上、4.2mm以上、4.4mm以上、4.6mm以上、4.8mm以上、5mm以上、5.2mm以上、5.4mm以上、5.6mm以上、5.8mm以上、または6mm以上である。いくつかの実施の形態において、その第1の厚さまたは第2の厚さは、約1.6mmから約6mm、約1.7mmから約6mm、約1.8mmから約6mm、約1.9mmから約6mm、約2mmから約6mm、約2.1mmから約6mm、約2.2mmから約6mm、約2.3mmから約6mm、約2.4mmから約6mm、約2.5mmから約6mm、約2.6mmから約6mm、約2.8mmから約6mm、約3mmから約6mm、約3.2mmから約6mm、約3.4mmから約6mm、約3.6mmから約6mm、約3.8mmから約6mm、約4mmから約6mm、約1.6mmから約5.8mm、約1.6mmから約5.6mm、約1.6mmから約5.5mm、約1.6mmから約5.4mm、約1.6mmから約5.2mm、約1.6mmから約5mm、約1.6mmから約4.8mm、約1.6mmから約4.6mm、約1.6mmから約4.4mm、約1.6mmから約4.2mm、約1.6mmから約4mm、約3.8mmから約5.8mm、約1.6mmから約3.6mm、約1.6mmから約3.4mm、約1.6mmから約3.2mm、または約1.6mmから約3mmの範囲にある。
【0152】
1つ以上の実施の形態において、積層板400は、ASTM C1652/C1652Mにより測定して、視覚歪みを実質的に含まない。特定の実施の形態において、その積層板、第1の湾曲ガラス層410および/または第2の湾曲ガラス層420は、ASTM C1652/C1652Mにより測定して、裸眼で視覚的に検出できる皺または歪みを実質的に含まない。
【0153】
1つ以上の実施の形態において、第3の主面422または第4の主面424は、FSM表面応力計で測定して、3MPa未満の表面圧縮応力を含む。いくつかの実施の形態において、前記第2の湾曲ガラス層は、ここに記載されるように強化されておらず(しかし、必要に応じて、徐冷されていてもよい)、第3の主面422または第4の主面424で測定して、約3MPa未満、または約2.5MPa以下、2MPa以下、1.5MPa以下、1MPa以下、または約0.5MPa以下の表面圧縮応力を示す。いくつかの実施の形態において、そのような表面圧縮応力の範囲は、その第3の主面および第4の主面の両方に存在する。
【0154】
1つ以上の実施の形態において、第1の湾曲ガラス層410および第2の湾曲ガラス層420のいずれか一方または両方は、ここに記載されたように、強化されている。1つ以上の実施の形態において、その第1の湾曲ガラス層は、ここに記載された実施の形態による強化されたガラス物品から作られている一方で、その第2の湾曲ガラス層は強化されていない。1つ以上の実施の形態において、その第1の湾曲ガラス層は、ここに記載された実施の形態による強化されたガラス物品から作られている一方で、その第2の湾曲ガラス層は徐冷されている。1つ以上の実施の形態において、その第1の湾曲ガラス層は、化学的、機械的および/または熱的に強化されている一方で、その第2の湾曲ガラス層は、第1の湾曲ガラス層と異なるやり方で強化されている(化学的、機械的および/または熱的に)。1つ以上の実施の形態において、その第1の湾曲ガラス層は、化学的、機械的および/または熱的に強化されている一方で、その第2の湾曲ガラス層は、第1の湾曲ガラス層と同じやり方で強化されている(化学的、機械的および/または熱的に)。1つ以上の実施の形態において、その第1の湾曲ガラス層は強化されており、その第2の湾曲ガラス層は強化されていない。1つ以上の実施の形態において、その第1の湾曲ガラス層は強化されており、その第2の湾曲ガラス層は徐冷されている。1つ以上の実施の形態において、その第1の湾曲ガラス層およびその第2の湾曲ガラス層の両方とも、強化されている(同じやり方か、互いに異なって)。1つ以上の実施の形態において、第2の湾曲ガラス層は、ソーダ石灰ケイ酸塩ガラスから作られている一方で、第1のガラス基板は、ここに記載されたガラス物品の1つ以上の実施の形態を含むとして特徴付けられることがある。
【0155】
1つ以上の実施の形態において、第1の湾曲ガラス層410は、第1の長さおよび第1の幅を有し、ここで、その第1の長さおよび第1の幅のいずれか一方または両方は約0.25メートル以上である。1つ以上の実施の形態において、前記第2の湾曲ガラス層は、その第1の長さの5%以内の第2の長さ、およびその第1の幅の5%以内の第2の幅を有する。1つ以上の実施の形態において、積層板400は、ここに定義されるように、湾曲しているまたは複雑に湾曲していると記載されることがある。
【0156】
1つ以上の実施の形態において、積層板400は、自動車用板ガラスまたは建築用板ガラスである。
【0157】
本開示の別の態様は、内部およびその内部と連通する開口を画成する本体と、その開口内に配置された積層板400とを備えた乗り物に関する。そのような実施の形態において、積層板400は、ここに定義されたように、複雑に湾曲している、または単純に湾曲していることがある。
【0158】
本開示の別の態様は、ここに記載されたガラス物品の実施の形態を含む第1のガラス層が第2のガラス層に冷間成形される(介在中間層と共に)ことがある積層板500に関する。
図7~8に示された例示の冷間成形された積層板500において、第1のガラス層510(1つ以上の実施の形態によるガラス物品を含む)は、比較的厚い湾曲した第2のガラス層530に積層される。
図7において、第2のガラス層530は、第一面532および中間層520と接触する第二面534を有し、第1のガラス層510は、中間層520と接触する第三面512および第四面514を有する。冷間成形された積層板の指標は、第四面514が第三面512より大きい表面CSを有することである。したがって、冷間成形された積層板は、第四面514上に高い圧縮応力レベルを有し、この表面を破壊に対してより抵抗性にすることができる。
【0159】
1つ以上の実施の形態において、冷間成形過程の前に、第三面512および第四面514のそれぞれの圧縮応力は実質的に等しい。第1のガラス層が強化されていない1つ以上の実施の形態において、第三面512および第四面514は、冷間成形の前に、感知できる圧縮応力を示さない。第1のガラス層510が強化されている(ここに記載されたように)1つ以上の実施の形態において、第三面512および第四面514は、冷間成形の前に、互いに対して実質的に等しい圧縮応力を示す。1つ以上の実施の形態において、冷間成形の後に、第四面514の圧縮応力は増加する(すなわち、第四面514の圧縮応力は、冷間成形前よりも、冷間成形後のほうが大きい)。理論で束縛するものではないが、冷間成形過程により、曲げおよび/または成形操作中に与えられる引張応力を相殺するように、成形されているガラス層(すなわち、第1のガラス層)の圧縮応力が増加する。1つ以上の実施の形態において、冷間成形過程により、そのガラス層の第三面(すなわち、第三面512)が引張応力を経験する一方で、そのガラス層の第四面(すなわち、第四面514)は圧縮応力を経験する。
【0160】
強化された第1のガラス層510が利用される場合、第三面と第四面(512、514)は、既に圧縮応力下にあり、それゆえ、第三面512は、より大きい引張応力を経験することができる。これにより、強化された第1のガラス層510は、よりきつい曲面にしたがうことができる。
【0161】
1つ以上の実施の形態において、第1のガラス層510は、第2のガラス層530よりも小さい厚さを有する。この厚さの差は、第1のガラス層510が、第2のガラス層530の形状にしたがうようにより可撓性であることを意味する。さらに、より薄い第1のガラス層510は、第2のガラス層530の形状により生じる形状の不一致および間隙を補うようにより容易に変形するであろう。1つ以上の実施の形態において、薄い強化された第1のガラス層510は、特に冷間成形中に、より大きい可撓性を示す。1つ以上の実施の形態において、第1のガラス層510は第2のガラス層530にしたがって、第二面534と第三面512との間に実質的に等しい距離を与え、これは、前記中間層により占められる。
【0162】
いくつかの非限定的な実施の形態において、冷間成形された積層板500は、中間層(例えば、520)の材料の軟化温度またはそれより少し上の温度(例えば、約100℃から約120℃)、すなわち、それぞれのガラス層の軟化温度より低い温度で行われる例示の冷間成形過程を使用して成形されることがある。
図7に示されるような1つの実施の形態において、冷間成形積層板は、第2のガラス層(湾曲している)と第1のガラス層(平らであることがある)との間に中間層を配置して、積層体を形成し;その積層体に圧力を印加して、第2のガラス層を中間層に押し付け、これにより、中間層が第1のガラス層に押し付けられ;その積層体を400℃未満の温度に加熱して、第2のガラス層が形状において第1のガラス層にしたがっている冷間成形された積層板を形成することによって、形成されることがある。そのような過程は、オートクレーブまたは別の適切な装置内で真空袋またはリングを使用することによって行うことができる。例示の第1のガラス層410の応力は、本開示のいくつかの実施の形態にしたがって、実質的に対称から非対称に変化することがある。
【0163】
ここに用いられているように、「平らな」および「平面の」とは、交換可能に使用され、そのような平らな層が別の層に冷間成形されているときに、曲率の不一致により積層欠陥が形成される曲率よりも小さい曲率(すなわち、約3メートル以上、約4メートル以上または約5メートル以上の曲率半径)を有する形状を意味する。平らな層は、表面上に配置されたときに先の形状を有する。ここに用いられているように、「単純な湾曲」または「単純に湾曲した」とは、1つの軸に沿った曲率を有する非平面形状(円筒形または曲げを形成する)を意味する。ここに用いられているように、「複雑な湾曲」および「複雑に湾曲した」とは、互いに異なる2つの直交軸に沿って曲率を有する非平面形状を意味する。複雑に湾曲した形状の例としては、以下に限られないが、球面、非球面、およびトロイダルを含む、非展開可能な形状と称されることもある、単純曲面または複合曲面を有することが挙げられる。複雑に湾曲した形状は、そのような表面のセグメントまたは部分を含む、もしくはそのような曲面と表面の組合せからなることもある。1つ以上の実施の形態において、積層板は、単純な湾曲または複雑な湾曲を有することがある。1つ以上の実施の形態において、第1のガラス層、第2のガラス層、積層板またはその組合せは、単純な湾曲または複雑に湾曲した形状を有することがあり、冷間成形されることがある。非限定例として、その単純に湾曲した積層板は、0.5m×1.0mの長さと幅の寸法、および単一軸に沿った2から5mの曲率半径を有することがある。
【0164】
1つ以上の実施の形態による複雑に湾曲した積層板は、2つの独立した方向に別個の曲率半径を有することがある。1つ以上の実施の形態によれば、複雑に湾曲した積層板は、このように、積層板が所定の次元に対して平行な軸(すなわち、第1の軸)に沿って湾曲しており、同じ次元に対して垂直な軸(すなわち、第2の軸)に沿っても湾曲している、「交差曲率」を有すると特徴付けられることがある。その積層板の曲率は、著しい最小半径が著しい交差曲率、および/または曲げの深さと組み合わされた場合、さらにより複雑になり得る。ある積層板は、互いに対して垂直ではない軸に沿った曲げを含むこともある。非限定例として、複雑に湾曲した積層板は、0.5m×1.0mの長さと幅の寸法、並びに短軸に沿った2から2.5mの曲率半径および主軸に沿った4から5mの曲率半径を有することがある。1つ以上の実施の形態において、複雑に湾曲した積層板は、少なくとも1つの軸に沿って5m以下の曲率半径を有することがある。1つ以上の実施の形態において、複雑に湾曲した積層板は、少なくとも第1の軸およびその第1の軸に対して垂直な第2の軸に沿って5m以下の曲率半径を有することがある。1つ以上の実施の形態において、複雑に湾曲した積層板は、少なくとも第1の軸およびその第1の軸に対して垂直ではない第2の軸に沿って5m以下の曲率半径を有することがある。
【0165】
図8に示されるように、第1のガラス層510は、単純に湾曲または複雑に湾曲していることがあり、間に厚さを介して、少なくとも1つの凹面(例えば、面514)を有して、積層板の第四面を与え、少なくとも1つの凸面(例えば、面512)を有して、第一面と反対の積層板の第三面を与えることがある。冷間成形の実施の形態において、第2のガラス層530は、複雑に湾曲していることがあり、間に厚さを介して、少なくとも1つの凹面(例えば、第二面534)および少なくとも1つの凸面(例えば、第一面532)を有することがある。
【0166】
1つ以上の実施の形態において、中間層520、第1のガラス層510、および第2のガラス層530の1つ以上は、第1の厚さを持つ第1のエッジ(例えば、535)および第1の厚さより大きい第2の厚さを持つ、第1のエッジと反対の第2のエッジ(例えば、537)を有する。
【0167】
この中で他に記載されるように、本開示の1つの態様は、ここに記載されたガラス物品または積層板を備えた乗り物に関する。例えば、
図9には、内部を画成する車体610、その内部と連通する少なくとも1つの開口620、および開口内に配置される窓を備えた車両600が示されており、その窓は、ここに記載された1つ以上の実施の形態による、積層板またはガラス物品630から作られる。積層板またはガラス物品630は、車両内の横窓、フロントガラス、リヤ・ウィンドウ、窓、バックミラー、およびサンルーフを形成することがある。いくつかの実施の形態において、積層板またはガラス物品630は、車両の内部にある内部パーティション(図示せず)を形成することがある、または車両の外面に配置され、エンジンブロックカバー、ヘッドライトカバー、テールライトカバー、ドアパネルカバー、またはピラーカバーを形成することがある。1つ以上の実施の形態において、その車両は、内部表面(示されていないが、ドアトリム、シートバック、ドアパネル、ダッシュボード、センターコンソール、床板、バックミラーおよびピラーを含むであろう)を含み、ここに記載された積層板またはガラス物品630が、内部表面に配置される。1つ以上の実施の形態において、その内部表面はディスプレイを含み、そのガラス層はディスプレイ上に配置される。ここに用いられているように、乗り物は、自動車、鉄道で使用される全車両、汽車、ボート、船舶、および航空機、ヘリコプター、ドローン、宇宙船などを含む。
【0168】
本開示の別の態様は、ここに記載されたガラス物品または積層板を含む建築用途に関する。いくつかの実施の形態において、その建築用途は、1つ以上の実施の形態による積層板またはガラス物品を少なくとも部分的に使用して形成された、手すり、階段、装飾パネルまたは壁のカバリング、防音パネルまたはカバー、柱、パーティション、エレベータのかご、家庭用具、窓、家具、および他の用途を含む。
【0169】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス物品を含む積層板の一部は、そのガラス物品が乗り物の内部または建物や部屋の内部に面し、よって、ガラス物品が内部に隣接する(他のガラス層が外部に隣接する)ように乗り物または建築用途内に位置している。いくつかの実施の形態において、その積層板のガラス物品は、内部と直接接触している(すわち、内部に面するガラス物品の表面は、むき出しであり、どのようなコーティングもない)。
【0170】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス物品を含む積層板の一部は、そのガラス物品が乗り物の外部または建物や部屋の外部に面し、よって、ガラス物品が外部に隣接する(他のガラス層が内部に隣接する)ように乗り物または建築用途内に位置している。いくつかの実施の形態において、その積層板のガラス物品は、外部と直接接触している(すわち、外部に面するガラス物品の表面は、むき出しであり、どのようなコーティングもない)。
【0171】
1つ以上の実施の形態において、ここに記載されたガラス物品および/または積層板は、ディスプレイの態様(例えば、ヘッドアップディスプレイ、映写面など)、アンテナ、日光断熱、音響性能(例えば、消音)、防眩性能、反射防止性能、耐引掻性などを組み込む点で追加の機能性を有することがある。そのような機能性は、積層板の露出表面または内部(露出されていない)表面(例えば、複数のガラス層の間またはガラス層と中間層との間)に施されるコーティングまたは層によって損なわれることがある。いくつかの実施の形態において、その積層板は、積層板がヘッドアップディスプレイとして使用されるときに光学的性能を改善できる厚さまたは構造を有する(ガラス層間にくさび形の高分子中間層を組み込むことにより、またはガラス層の内の1つにくさび形を持たせるように成形することにより)ことがある。1つ以上の実施の形態において、その積層板は、防眩機能性を与えるざらざらの表面を含み、そのようなざらざらの表面は、露出表面または露出されていない内部表面上に配置されることがある。1つ以上の実施の形態において、その積層板は、露出表面上に配置された反射防止コーティング、耐引掻性コーティングまたはその組合せを備えることがある。1つ以上の実施の形態において、その積層板は、露出表面上に配置されたアンテナ、およびガラス層のいずれか1つの中に埋め込まれたまたは露出されていない内部表面を含むことがある。1つ以上の実施の形態において、前記中間層は、以下の性質:紫外線(UV)吸収、赤外線(IR)吸収、IR反射、音響制御/消音、接着促進、および色合いの1つ以上を有するように変更することができる。その中間層は、所望の性質を与えるために、染料、顔料、ドーパントなどの適切な添加剤によって変更することができる。
【0172】
第1の例(
図5、7または9)において、前記積層板は、1つ以上の実施の形態によるガラス物品から作られた第1のガラス層310、410、510、SLG物品から作られた第2のガラス層330、430、530、およびPVBから作られた中間層320、420、520を備える。1つ以上の実施の形態において、第1のガラス層に使用されるガラス物品は、約1mm以下の厚さを有する。いくつかの実施の形態において、その第1のガラス層におけるガラス物品は、化学強化されている。いくつかの実施の形態において、第2のガラス層に使用されるSLG物品は、徐冷されている。1つ以上の実施の形態において、その積層板は、第1のガラス層(1つ以上の実施の形態によるガラス物品から作られる)は乗り物の内部に面するように乗り物内に位置している。
【0173】
第2の例(
図5、7または9)において、前記積層板は、1つ以上の実施の形態によるガラス物品から作られた第1のガラス層310、410、510、SLG物品から作られた第2のガラス層330、430、530、およびPVBから作られた中間層320、420、520を備える。1つ以上の実施の形態において、第1のガラス層に使用されるガラス物品は、約1mm以下の厚さを有する。いくつかの実施の形態において、その第1のガラス層におけるガラス物品は、熱強化されている。いくつかの実施の形態において、第2のガラス層に使用されるSLG物品は、徐冷されている。1つ以上の実施の形態において、その積層板は、第1のガラス層(1つ以上の実施の形態によるガラス物品から作られる)は乗り物の内部に面するように乗り物内に位置している。
【0174】
本開示の別の態様は、ここに記載されたようなガラス物品を備えた積層板を形成する方法に関する。1つ以上の実施の形態において、その方法は、ここに記載されたいずれか1つ以上の実施の形態による第1のガラス物品、およびその第1のガラス物品と異なる第2のガラス物品を積層して、積層体を形成する工程を含み、その第1のガラス物品は、第一面およびその第一面と反対の第二面を有し、その第2のガラス物品は、第三面およびその第三面と反対の第四面を有し、その第二面は第三面に隣接している。1つ以上の実施の形態において、その第1のガラス物品および第2のガラス物品は、組成、厚さ、強化レベル、および形成方法のいずれか1つ以上が異なる。1つ以上の実施の形態において、その方法は、その積層体を成形型内に配置する工程、その積層体を、第2のガラス物品が1010ポアズの粘度を示す温度に加熱して、成形積層体を形成する工程、および第1のガラス物品と第2のガラス物品との間に中間層を配置する工程を含む。1つ以上の実施の形態において、その成形積層体は、第二面と第三面との間に、約10mm以下、5mm以下、または約3mm以下の最大距離を有する間隙を含む。1つ以上の実施の形態において、第2のガラス物品はSLG物品である。1つ以上の実施の形態において、第1のガラス物品の厚さは、1.6mm未満(例えば、1.5mm以下、1mm以下、または0.7mm以下)であり、第2のガラス物品の厚さは、1.6mm以上(例えば、1.8mm以上、2.0mm以上、または2.1mm以上)である。1つ以上の実施の形態において、第1のガラス物品はフュージョン成形され、第2のガラス物品はフロート成形されている。
【0175】
本開示の別の態様は、ここに記載されたガラス物品または積層板を備えた機器に関する。例えば、その機器に、ディスプレイを備えたどの機器も含まれる。1つ以上の実施の形態において、その機器は電子機器であり、その例としては、携帯電話、ラップトップ型コンピュータ、タブレット、mp3プレーヤー、ナビゲーション装置などの携帯型機器、またはコンピュータ、電子ディスプレイ、道路交通情報/娯楽系システム、ビルボード、販売時点管理システム、ナビゲーションシステムなどの静止機器が挙げられる。例示の電子機器は、前面、背面、および側面を有する筐体;その筐体の少なくとも部分的に内部にまたは完全に中にある電気部品であって、少なくとも制御装置、メモリ、およびその筐体の前面にまたはそれに近接してあるディスプレイを含む電気部品を備える。ここに記載されたガラス物品または積層板は、ディスプレイ上にある(すなわち、ディスプレイ上のカバーを形成する)ように筐体の前面にまたはその上に配置されることがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス物品または積層板は、バックカバーとして使用されることがある。
【実施例】
【0176】
様々な実施の形態を、以下の実施例によりさらに解明する。
【0177】
実施例1~67
実施例1~67は、本開示の1つ以上の実施の形態による例示のガラス組成物である。実施例1~67のガラス組成(モル%)が、表1に与えられている。表1には、20℃での密度、歪み点温度(ビーム曲げ粘度計により測定される)、徐冷点温度(ビーム曲げ粘度計により測定される)、軟化点温度(ファイバ伸張により測定される)、CTE、応力光学係数、屈折率、T200、T35000、T200000、液相温度、液相粘度、ジルコン分解温度、ジルコン分解粘度、および他の属性も含まれている。
【0178】
実施例1~51、および53~58、並びに61は、表1に示されたような厚さ1mmまたは0.55mmを有するガラス物品にフュージョン成形され、表1に与えられたように、徐冷され、次いで、化学強化された。化学強化された後の強化済みガラス物品の結果として得られた表面CS(MPa)およびDOC(マイクロメートル)値も、表1に与えられている。DOC値は、FSMを使用して測定した。
【0179】
【0180】
【0181】
【0182】
【0183】
【0184】
【0185】
【0186】
【0187】
【0188】
【0189】
【0190】
【0191】
【0192】
【0193】
【0194】
【0195】
【0196】
【0197】
【0198】
【0199】
【0200】
【0201】
【0202】
【0203】
【0204】
【0205】
【0206】
【0207】
実施例68~77
実施例68~77は、本開示の1つ以上の実施の形態による例示のガラス組成物である。実施例68~77のガラス組成(モル%)が、歪み点温度(ビーム曲げ粘度計により測定される)、徐冷点温度(ビーム曲げ粘度計により測定される)、軟化点温度(ファイバ伸張により測定される)、垂下温度、対数11の粘度(ポアズ)での温度、T200、T35000、T200000、密度、CTE、液相粘度、ジルコン分解温度、およびジルコン分解粘度と共に、表3に与えられている。
【0208】
【0209】
【0210】
図10は、公知のソーダ石灰ケイ酸塩ガラス組成物と共に、実施例63、66、モデル化実施例72に関する温度の関数としての対数粘度曲線である。比較のために、公知のアルカリアルミノケイ酸塩ガラス組成物(比較例A)が表2に示されている。
【0211】
【0212】
表2に示されるように、比較例Aは、ここに記載された本発明のガラス組成物と著しく異なる属性を示すアルカリアルミノケイ酸塩ガラス組成物である。具体的には、比較例Aは、725℃を超える(徐冷点+軟化点)/2の関係を示す。それに加え、比較例Aは、400℃より著しく低いT200とT35000の間の差、および-800℃より大きい関係[(徐冷点(℃)+軟化点(℃))/2-T200]を示す。それに加え、比較例Aは、約723℃の垂下温度を示す。
【0213】
本発明の精神または範囲から逸脱せずに、様々な改変および変更を行えることが、当業者に明白であろう。
【0214】
本開示の態様(1)は、約63モル%から約75モル%の範囲の量のSiO2、約7モル%から約13モル%の範囲の量のAl2O3、約13モル%から約24モル%の範囲の量のR2O、および約0モル%から約3モル%の範囲の量のP2O5を含むガラス組成物を有するガラス物品であって、そのガラス組成物は、MgOとZnOの一方または両方を含み、MgOの量は、約0モル%から約7モル%の範囲にあり、ZnOは、約0モル%から約7モル%の範囲の量で存在し、そのガラス物品は、徐冷点(℃)および軟化点(℃)を有し、(徐冷点+軟化点)/2の関係が約625℃から約725℃の範囲にある、ガラス物品に関する。
【0215】
本開示の態様(2)は、そのガラス物品が、200ポアズの粘度での温度(℃)(T200)および35000ポアズの粘度での温度(℃)(T35000)を有し、T200-T35000は、約400℃から約600℃の範囲にある、態様(1)のガラス物品に関する。
【0216】
本開示の態様(3)は、そのガラス物品が、200ポアズの粘度での温度(℃)(T200)を有し、関係(徐冷点+軟化点)/2とT200との間の差が-800℃未満である、態様(1)または態様(2)のガラス物品に関する。
【0217】
本開示の態様(4)は、そのガラス物品が、35000ポアズの粘度での温度(℃)(T35000)を有し、関係(徐冷点+軟化点)/2とT35000との間の差が-300℃未満である、態様(1)から(3)のいずれか1つのガラス物品に関する。
【0218】
本開示の態様(5)は、T200およびT35000のいずれか一方または両方が、約1030℃より大きい、態様(2)から(4)のいずれか1つのガラス物品に関する。
【0219】
本開示の態様(6)は、そのガラス物品が、約620℃から約720℃の範囲の垂下温度を有する、態様(1)から(5)のいずれか1つのガラス物品に関する。
【0220】
本開示の態様(7)は、Al2O3の量が約8モル%から約11モル%の範囲にあり、Na2Oの量が約12モル%から約18モル%の範囲にあり、K2Oの量が、約1モル%から約3.5モル%の範囲にある、態様(1)から(6)のいずれか1つのガラス物品に関する。
【0221】
本開示の態様(8)は、約0.01モル%から約4モル%の範囲の量のCaOをさらに含む、態様(1)から(7)のいずれか1つのガラス物品に関する。
【0222】
本開示の態様(9)は、MgOが約0モル%から約3モル%の範囲の量で存在する、態様(1)から(8)のいずれか1つのガラス物品に関する。
【0223】
本開示の態様(10)は、ZnOが約0モル%から約5モル%の範囲の量で存在する、態様(1)から(9)のいずれか1つのガラス物品に関する。
【0224】
本開示の態様(11)は、関係(徐冷点+軟化点)/2が約700℃未満である、態様(1)から(10)のいずれか1つのガラス物品に関する。
【0225】
本開示の態様(12)は、約100kP超の液相粘度をさらに有する、態様(1)から(11)のいずれか1つのガラス物品に関する。
【0226】
本開示の態様(13)は、約35kP未満のジルコン分解粘度をさらに有する、態様(1)から(12)のいずれか1つのガラス物品に関する。
【0227】
本開示の態様(14)は、そのガラス物品が強化されている、態様(1)から(13)のいずれか1つのガラス物品に関する。
【0228】
本開示の態様(15)は、そのガラス物品がフュージョン成形されている、態様(1)から(14)のいずれか1つのガラス物品に関する。
【0229】
本開示の態様(16)は、2モル%超の量のAl2O3を含むガラス組成物を有するアルミノケイ酸塩ガラス物品であって、そのガラス物品が徐冷点(℃)および軟化点(℃)を有し、(徐冷点+軟化点)/2の関係が約625℃から約725℃の範囲にある、ガラス物品に関する。
【0230】
本開示の態様(17)は、そのガラス組成物が、約5モル%以上の総量のアルカリ金属酸化物(R2O)を含む、態様(16)のガラス物品に関する。
【0231】
本開示の態様(18)は、そのガラス組成物が、MgOとZnOの一方または両方を含み、MgOの量は、約0モル%から約7モル%の範囲にあり、ZnOは、約0モル%から約7モル%の範囲の量で存在する、態様(16)または態様(17)のガラス物品に関する。
【0232】
本開示の態様(19)は、そのアルカリ金属酸化物の量の総量が、約5モル%から約20モル%の範囲にある、態様(16)から(18)のいずれか1つのガラス物品に関する。
【0233】
本開示の態様(20)は、約1000℃超の35キロポアズの粘度での温度をさらに有する、態様(16)から(19)のいずれか1つのガラス物品に関する。
【0234】
本開示の態様(21)は、約900℃超の200キロポアズの粘度での温度をさらに有する、態様(16)から(20)のいずれか1つのガラス物品に関する。
【0235】
本開示の態様(22)は、約580℃未満の徐冷点をさらに有する、態様(16)から(21)のいずれか1つのガラス物品に関する。
【0236】
本開示の態様(23)は、約530℃未満の歪み点をさらに有する、態様(16)から(22)のいずれか1つのガラス物品に関する。
【0237】
本開示の態様(24)は、約2.6g/cm3以下の密度をさらに有する、態様(16)から(23)のいずれか1つのガラス物品に関する。
【0238】
本開示の態様(25)は、約725℃から860℃の範囲の軟化点をさらに有する、態様(16)から(24)のいずれか1つのガラス物品に関する。
【0239】
本開示の態様(26)は、そのガラス物品が強化されている、態様(16)から(25)のいずれか1つのガラス物品に関する。
【0240】
本開示の態様(27)は、そのガラス物品がフュージョン成形されている、態様(16)から(26)のいずれか1つのガラス物品に関する。
【0241】
本開示の態様(28)は、内部およびその内部と連通する開口を画成する本体と;その開口内に配置されたガラス物品であって、2モル%超の量のAl2O3を含むガラス組成物、徐冷点(℃)、軟化点(℃)、および約625℃から約725℃の範囲にある(徐冷点+軟化点)/2の関係を有するガラス物品とを備えた乗り物に関する。
【0242】
本開示の態様(29)は、そのガラス物品が、約16モル%以上の量の総量のアルカリ金属酸化物を含むガラス組成物、および約600℃から約700℃の範囲の垂下温度を有する、態様(28)の乗り物に関する。
【0243】
本開示の態様(30)は、そのガラス組成物が、4モル%超の量のAl2O3をさらに含む、態様(28)または態様(29)の乗り物に関する。
【0244】
本開示の態様(31)は、そのガラス組成物が、Li2O、Na2OおよびK2Oから選択されるアルカリ金属酸化物をさらに含み、そのアルカリ金属酸化物が約5モル%超の量で存在する、態様(28)から(30)のいずれか1つの乗り物に関する。
【0245】
本開示の態様(32)は、そのガラス組成物が、約5モル%から約24モル%の範囲の総量のアルカリ金属酸化物(R2O=Li2O+Na2O+K2O)をさらに含む、態様(31)の乗り物に関する。
【0246】
本開示の態様(33)は、そのガラス物品が、約1000℃超の35キロポアズの粘度での温度をさらに有する、態様(28)から(32)のいずれか1つの乗り物に関する。
【0247】
本開示の態様(34)は、そのガラス物品が、約900℃超の200キロポアズの粘度での温度をさらに有する、態様(28)から(33)のいずれか1つの乗り物に関する。
【0248】
本開示の態様(35)は、そのガラス物品が、約600℃未満の徐冷点をさらに有する、態様(28)から(34)のいずれか1つの乗り物に関する。
【0249】
本開示の態様(36)は、そのガラス物品が、約550℃未満の歪み点をさらに有する、態様(28)から(35)のいずれか1つの乗り物に関する。
【0250】
本開示の態様(37)は、そのガラス物品が、約2.6g/cm3以下の密度をさらに有する、態様(28)から(36)のいずれか1つの乗り物に関する。
【0251】
本開示の態様(38)は、そのガラス物品が、約725℃から860℃の範囲の軟化点をさらに有する、態様(28)から(37)のいずれか1つの乗り物に関する。
【0252】
本開示の態様(39)は、そのガラス物品が強化されている、態様(28)から(38)のいずれか1つの乗り物に関する。
【0253】
本開示の態様(40)は、そのガラス物品がさらにフュージョン成形されている、態様(28)から(39)のいずれか1つの乗り物に関する。
【0254】
本開示の態様(41)は、第1のガラス層、その第1のガラス層上に配置された中間層、および第1のガラス層と反対の中間層上に配置された第2のガラス層を備えた積層板であって、その第1のガラス層および第2のガラス層のいずれか一方または両方が、態様(1)から(15)のいずれか1つのガラス物品から作られている、積層板に関する。
【0255】
本開示の態様(42)は、その第1のガラス層および第2のガラス層のいずれか一方または両方が、約1.6mm未満の厚さを有する、態様(41)の積層板に関する。
【0256】
本開示の態様(43)は、第1のガラス層、その第1のガラス層上に配置された中間層、および第1のガラス層と反対の中間層上に配置された第2のガラス層を備えた積層板であって、その第2のガラス層が、態様(1)から(15)のいずれか1つのガラス物品から作られている、積層板に関する。
【0257】
本開示の態様(44)は、その第1のガラス層が1.6mm以上の厚さを有し、その第2のガラス層が約1.6mm未満の厚さを有する、態様(43)の積層板に関する。
【0258】
本開示の態様(45)は、積層板を形成する方法において、その方法は、第1のガラス物品、および態様(1)から(27)のいずれか1つの第2のガラス物品を積み重ねて、積層体を形成する工程であって、その第1のガラス物品が、その第2のガラス物品と異なる組成を有し、第一面およびその第一面と反対の第二面を有し、その第2のガラス物品は、第三面およびその第三面と反対の第四面を有し、その積層体において、第二面が第三面と隣接している工程;その積層体を成形型上に配置する工程;その積層体を、第1のガラス物品の徐冷点より高い温度に加熱して、成形積層体を形成する工程;および第1のガラス物品と第2のガラス物品との間に中間層を配置する工程を有してなる方法に関する。
【0259】
本開示の態様(46)は、その成形積層体が、約10mm以下の最大距離を有する間隙を第二面と第三面との間に含む、態様(45)の方法に関する。
【0260】
本開示の態様(47)は、その最大距離が約5mm以下である、態様(46)の方法に関する。
【0261】
本開示の態様(48)は、その最大距離が約3mm以下である、態様(46)の方法に関する。
【0262】
本開示の態様(49)は、積層板において、第1の主面、その第1の主面と反対の第2の主面、その第1の主面と第2の主面との間の距離として規定される第1の厚さ、および約2mm以上の第1の垂下深さを有する第1の湾曲ガラス層であって、第1の粘度(ポアズ)を有する第1の湾曲ガラス層;第3の主面、その第3の主面と反対の第4の主面、その第3の主面と第4の主面との間の距離として規定される第2の厚さ、および約2mm以上の第2の垂下深さを有する第2の湾曲ガラス層であって、第2の粘度を有する第2の湾曲ガラス層;およびその第1の湾曲ガラス層と第2の湾曲ガラス層との間であって、第2の主面および第3の主面に隣接して配置された中間層を備え、630℃での第1の粘度が630℃の温度での第2の粘度より大きく、第1の垂下深さが第2の垂下深さの10%以内であり、第1の湾曲ガラス層と第2の湾曲ガラス層との間の形状偏差は、光学三次元スキャナで測定して、±5mm以下であり、第1の主面および第4の主面の一方または両方は、ASTM1561にしたがう透過光学素子を使用した光学的歪み検出器で測定して、200ミリジオプター未満の光学的歪みを有し、第3の主面または第4の主面は、ASTM C1279にしたがって、表面応力計で測定して、7MPa未満の膜引張応力を有する、積層板に関する。
【0263】
本開示の態様(50)は、その第1の湾曲ガラス層が、態様(1)から(15)のいずれか1つのガラス物品から作られている、態様(49)の積層板に関する。
【0264】
本開示の態様(51)は、その第1の湾曲ガラス層が、態様(16)から(27)のいずれか1つのガラス物品から作られている、態様(49)の積層板に関する。
【0265】
本開示の態様(52)は、約630℃の温度で、第1の粘度が、第2の粘度の約10倍から第2の粘度の約750倍の範囲にある、態様(50)または態様(51)の積層板に関する。
【0266】
本開示の態様(53)は、その第1の厚さが第2の厚さより小さい、態様(50)から(52)のいずれか1つの積層板に関する。
【0267】
本開示の態様(54)は、第1の厚さが、約0.1mmから約1.6mm未満までであり、第2の厚さが、約1.6mmから約3mmの範囲にある、態様(50)から(53)のいずれか1つの積層板に関する。
【0268】
本開示の態様(55)は、その第1の湾曲ガラス層が第1の垂下温度を有し、その第2の湾曲ガラス層が、第1の垂下温度と異なる第2の垂下温度を有する、態様(50)から(54)のいずれか1つの積層板に関する。
【0269】
本開示の態様(56)は、その第1の垂下温度と第2の垂下温度との間の差の大きさが、約30℃から約150℃の範囲にある、態様(55)の積層板に関する。
【0270】
本開示の態様(57)は、その形状偏差が約±1mm以下である、態様(50)から(56)のいずれか1つの積層板に関する。
【0271】
本開示の態様(58)は、その形状偏差が約±0.5mm以下である、態様(50)から(57)のいずれか1つの積層板に関する。
【0272】
本開示の態様(59)は、その光学的歪みが約100ミリジオプター以下である、態様(50)から(58)のいずれか1つの積層板に関する。
【0273】
本開示の態様(60)は、その膜引張応力が約5MPa以下である、態様(50)から(59)のいずれか1つの積層板に関する。
【0274】
本開示の態様(61)は、その第1の垂下深さが約5mmから約30mmの範囲にある、態様(50)から(60)のいずれか1つの積層板に関する。
【0275】
本開示の態様(62)は、その第3の主面または第4の主面が、表面応力計で測定して、3MPa未満の表面圧縮応力を有する、態様(50)から(61)のいずれか1つの積層板に関する。
【0276】
本開示の態様(63)は、その積層板が、ASTM C1652/C1652Mにより測定して、視覚歪みを実質的に含まない、態様(50)から(62)のいずれか1つの積層板に関する。
【0277】
本開示の態様(64)は、その第1の湾曲ガラス層が強化されている、態様(50)から(63)のいずれか1つの積層板に関する。
【0278】
本開示の態様(65)は、その第1の湾曲ガラス層が、化学強化されている、機械的に強化されている、または熱強化されている、態様(64)の積層板に関する。
【0279】
本開示の態様(66)は、その第2の湾曲ガラス層が強化されていない、態様(64)または態様(65)の積層板に関する。
【0280】
本開示の態様(67)は、その第2の湾曲ガラス層が強化されている、態様(64)または態様(65)の積層板に関する。
【0281】
本開示の態様(68)は、その第2の湾曲ガラス層がソーダ石灰ケイ酸塩ガラスから作られている、態様(50)から(67)のいずれか1つの積層板に関する。
【0282】
本開示の態様(69)は、その第1の湾曲ガラス層が、第1の長さおよび第1の幅を有し、その第1の長さおよび第1の幅のいずれか一方または両方は、約0.25メートル以上である、態様(50)から(68)のいずれか1つの積層板に関する。
【0283】
本開示の態様(70)は、その第1の湾曲ガラス層が、第1の長さおよび第1の幅を有し、その第2の湾曲ガラス層が、第1の長さの5%以内の第2の長さ、および第1の幅の5%以内の第2の幅を有する、態様(50)から(69)のいずれか1つの積層板に関する。
【0284】
本開示の態様(71)は、その積層板が複雑に湾曲している、態様(50)から(70)のいずれか1つの積層板に関する。
【0285】
本開示の態様(72)は、その積層板が、自動車用板ガラスまたは建築用板ガラスを構成する、態様(50)から(71)のいずれか1つの積層板に関する。
【0286】
本開示の態様(73)は、内部およびその内部と連通する開口を画成する本体と、その開口内に配置された態様(50)から(72)のいずれか1つの積層板とを備えた乗り物に関する。
【0287】
本開示の態様(74)は、その積層板が複雑に湾曲している、態様(73)の乗り物に関する。
【0288】
本開示の態様(75)は、外面および態様(1)から(15)のいずれか1つのガラス物品を備えた乗り物に関する。
【0289】
本開示の態様(76)は、外面および態様(16)から(27)のいずれか1つのガラス物品を備えた乗り物に関する。
【0290】
本開示の態様(77)は、その外面が、エンジンブロックカバー、ヘッドライトカバー、テールライトカバー、ドアパネルカバー、またはピラーカバーの内の1つを形成する、態様(75)または態様(76)の乗り物に関する。
【0291】
本開示の態様(78)は、内面および態様(1)から(15)のいずれか1つのガラス物品を備えた乗り物に関する。
【0292】
本開示の態様(79)は、内面および態様(16)から(27)のいずれか1つのガラス物品を備えた乗り物に関する。
【0293】
本開示の態様(79)は、その内面が、ドアトリム、シートバック、ドアパネル、ダッシュボード、センターコンソール、床板、バックミラーおよびピラーの内の1つを形成する、態様(78)または態様(79)の乗り物に関する。
【0294】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0295】
実施形態1
ガラス組成物を有するガラス物品において、該ガラス組成物が、
約63モル%から約75モル%の範囲の量のSiO2、
約7モル%から約13モル%の範囲の量のAl2O3、
約13モル%から約24モル%の範囲の量のR2O、および
約0モル%から約3モル%の範囲の量のP2O5
を含み、
前記ガラス組成物は、MgOとZnOの一方または両方を含み、MgOの量は、約0モル%から約7モル%の範囲にあり、ZnOは、約0モル%から約7モル%の範囲の量で存在し、
前記ガラス物品は、徐冷点(℃)および軟化点(℃)を有し、(徐冷点+軟化点)/2の関係が約625℃から約725℃の範囲にある、ガラス物品。
【0296】
実施形態2
前記ガラス物品が、200ポアズの粘度での温度(℃)(T200)および35000ポアズの粘度での温度(℃)(T35000)を有し、T200-T35000は、約400℃から約600℃の範囲にある、実施形態1に記載のガラス物品。
【0297】
実施形態3
前記ガラス物品が、200ポアズの粘度での温度(℃)(T200)を有し、関係(徐冷点+軟化点)/2とT200との間の差が-800℃未満である、実施形態1または2に記載のガラス物品。
【0298】
実施形態4
前記ガラス物品が、35000ポアズの粘度での温度(℃)(T35000)を有し、関係(徐冷点+軟化点)/2とT35000との間の差が-300℃未満である、実施形態1から3のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0299】
実施形態5
T200およびT35000のいずれか一方または両方が、約1030℃より大きい、実施形態2から4のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0300】
実施形態6
前記ガラス物品が、約620℃から約720℃の範囲の垂下温度を有する、実施形態1から5のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0301】
実施形態7
Al2O3の量が約8モル%から約11モル%の範囲にあり、Na2Oの量が約12モル%から約18モル%の範囲にあり、K2Oの量が、約1モル%から約3.5モル%の範囲にある、実施形態1から6のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0302】
実施形態8
約0.01モル%から約4モル%の範囲の量のCaOをさらに含む、実施形態1から7のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0303】
実施形態9
MgOが約0モル%から約3モル%の範囲の量で存在する、実施形態1から8のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0304】
実施形態10
ZnOが約0モル%から約5モル%の範囲の量で存在する、実施形態1から9のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0305】
実施形態11
前記関係(徐冷点+軟化点)/2が約700℃未満である、実施形態1から10のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0306】
実施形態12
約100kP超の液相粘度をさらに有する、実施形態1から11のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0307】
実施形態13
約35kP未満のジルコン分解粘度をさらに有する、実施形態1から12のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0308】
実施形態14
前記ガラス物品が強化されている、実施形態1から13のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0309】
実施形態15
前記ガラス物品がフュージョン成形されている、実施形態1から14のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0310】
実施形態16
アルミノケイ酸塩ガラス物品において、
2モル%超の量のAl2O3を含むガラス組成物、
を有し、
前記ガラス物品が徐冷点(℃)および軟化点(℃)を有し、(徐冷点+軟化点)/2の関係が約625℃から約725℃の範囲にある、ガラス物品。
【0311】
実施形態17
前記ガラス組成物が、約5モル%以上の総量のアルカリ金属酸化物(R2O)を含む、実施形態16に記載のガラス物品。
【0312】
実施形態18
前記ガラス組成物が、MgOとZnOの一方または両方を含み、MgOの量は、約0モル%から約7モル%の範囲にあり、ZnOは、約0モル%から約7モル%の範囲の量で存在する、実施形態16または17に記載のガラス物品。
【0313】
実施形態19
前記アルカリ金属酸化物の量の総量が、約5モル%から約20モル%の範囲にある、実施形態16から18のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0314】
実施形態20
約1000℃超の35キロポアズの粘度での温度をさらに有する、実施形態16から19のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0315】
実施形態21
約900℃超の200キロポアズの粘度での温度をさらに有する、実施形態16から20のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0316】
実施形態22
約580℃未満の徐冷点をさらに有する、実施形態16から21のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0317】
実施形態23
約530℃未満の歪み点をさらに有する、実施形態16から22のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0318】
実施形態24
約2.6g/cm3以下の密度をさらに有する、実施形態16から23のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0319】
実施形態25
約725℃から860℃の範囲の軟化点をさらに有する、実施形態16から24のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0320】
実施形態26
前記ガラス物品が強化されている、実施形態16から25のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0321】
実施形態27
前記ガラス物品がフュージョン成形されている、実施形態16から26のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0322】
実施形態28
内部および該内部と連通する開口を画成する本体と、
前記開口内に配置されたガラス物品であって、2モル%超の量のAl2O3を含むガラス組成物、徐冷点(℃)、軟化点(℃)、および約625℃から約725℃の範囲にある(徐冷点+軟化点)/2の関係を有する、ガラス物品と、
を備えた乗り物。
【0323】
実施形態29
前記ガラス物品が、約16モル%以上の量の総量のアルカリ金属酸化物を含むガラス組成物、および約600℃から約700℃の範囲の垂下温度を有する、実施形態28に記載の乗り物。
【0324】
実施形態30
前記ガラス組成物が、4モル%超の量のAl2O3をさらに含む、実施形態28または29に記載の乗り物。
【0325】
実施形態31
前記ガラス組成物が、Li2O、Na2OおよびK2Oから選択されるアルカリ金属酸化物をさらに含み、該アルカリ金属酸化物が約5モル%超の量で存在する、実施形態28から30のいずれか1つに記載の乗り物。
【0326】
実施形態32
前記ガラス組成物が、約5モル%から約24モル%の範囲の総量のアルカリ金属酸化物(R2O=Li2O+Na2O+K2O)をさらに含む、実施形態31に記載の乗り物。
【0327】
実施形態33
前記ガラス物品が、約1000℃超の35キロポアズの粘度での温度をさらに有する、実施形態28から32のいずれか1つに記載の乗り物。
【0328】
実施形態34
前記ガラス物品が、約900℃超の200キロポアズの粘度での温度をさらに有する、実施形態28から33のいずれか1つに記載の乗り物。
【0329】
実施形態35
前記ガラス物品が、約600℃未満の徐冷点をさらに有する、実施形態28から34のいずれか1つに記載の乗り物。
【0330】
実施形態36
前記ガラス物品が、約550℃未満の歪み点をさらに有する、実施形態28から35のいずれか1つに記載の乗り物。
【0331】
実施形態37
前記ガラス物品が、約2.6g/cm3以下の密度をさらに有する、実施形態28から36のいずれか1つに記載の乗り物。
【0332】
実施形態38
前記ガラス物品が、約725℃から860℃の範囲の軟化点をさらに有する、実施形態28から37のいずれか1つに記載の乗り物。
【0333】
実施形態39
前記ガラス物品が強化されている、実施形態28から38のいずれか1つに記載の乗り物。
【0334】
実施形態40
前記ガラス物品がさらにフュージョン成形されている、実施形態28から39のいずれか1つに記載の乗り物。
【0335】
実施形態41
第1のガラス層、
前記第1のガラス層上に配置された中間層、および
前記第1のガラス層と反対の前記中間層上に配置された第2のガラス層、
を備えた積層板であって、
前記第1のガラス層および前記第2のガラス層のいずれか一方または両方が、実施形態1から15のいずれか1つに記載のガラス物品から作られている、積層板。
【0336】
実施形態42
前記第1のガラス層および前記第2のガラス層のいずれか一方または両方が、約1.6mm未満の厚さを有する、実施形態41に記載の積層板。
【0337】
実施形態43
第1のガラス層、
前記第1のガラス層上に配置された中間層、および
前記第1のガラス層と反対の前記中間層上に配置された第2のガラス層であって、実施形態1から15のいずれか1つに記載のガラス物品から作られているその第2のガラス層、
を備えた積層板。
【0338】
実施形態44
前記第1のガラス層が1.6mm以上の厚さを有し、前記第2のガラス層が約1.6mm未満の厚さを有する、実施形態43に記載の積層板。
【0339】
実施形態45
積層板を形成する方法において、
第1のガラス物品、および実施形態1から27のいずれか1つに記載の第2のガラス物品を積み重ねて、積層体を形成する工程であって、該第1のガラス物品が、該第2のガラス物品と異なる組成を有し、第一面および該第一面と反対の第二面を有し、該第2のガラス物品は、第三面および該第三面と反対の第四面を有し、前記積層体において、前記第二面が前記第三面と隣接している工程;
前記積層体を成形型上に配置する工程;
前記積層体を、前記第1のガラス物品の徐冷点より高い温度に加熱して、成形積層体を形成する工程;および
前記第1のガラス物品と前記第2のガラス物品との間に中間層を配置する工程;
を有してなる方法。
【0340】
実施形態46
前記成形積層体が、約10mm以下の最大距離を有する間隙を前記第二面と前記第三面との間に含む、実施形態45に記載の方法。
【0341】
実施形態47
前記最大距離が約5mm以下である、実施形態46に記載の方法。
【0342】
実施形態48
前記最大距離が約3mm以下である、実施形態46に記載の方法。
【0343】
実施形態49
積層板において、
第1の主面、該第1の主面と反対の第2の主面、該第1の主面と該第2の主面との間の距離として規定される第1の厚さ、および約2mm以上の第1の垂下深さを有する第1の湾曲ガラス層であって、第1の粘度(ポアズ)を有する第1の湾曲ガラス層;
第3の主面、該第3の主面と反対の第4の主面、該第3の主面と該第4の主面との間の距離として規定される第2の厚さ、および約2mm以上の第2の垂下深さを有する第2の湾曲ガラス層であって、第2の粘度を有する第2の湾曲ガラス層;および
前記第1の湾曲ガラス層と前記第2の湾曲ガラス層との間であって、前記第2の主面および前記第3の主面に隣接して配置された中間層;
を備え、
630℃での前記第1の粘度が630℃の温度での前記第2の粘度より大きく、
前記第1の垂下深さが前記第2の垂下深さの10%以内であり、前記第1の湾曲ガラス層と前記第2の湾曲ガラス層との間の形状偏差は、光学三次元スキャナで測定して、±5mm以下であり、
前記第1の主面および前記第4の主面の一方または両方は、ASTM1561にしたがう透過光学素子を使用した光学的歪み検出器で測定して、200ミリジオプター未満の光学的歪みを有し、
前記第3の主面または前記第4の主面は、ASTM C1279にしたがって、表面応力計で測定して、7MPa未満の膜引張応力を有する、積層板。
【0344】
実施形態50
前記第1の湾曲ガラス層が、ガラス組成物を有するガラス物品から作られており、該ガラス組成物が、
約63モル%から約75モル%の範囲の量のSiO2、
約7モル%から約13モル%の範囲の量のAl2O3、
約13モル%から約24モル%の範囲の量のR2O、および
約0モル%から約3モル%の範囲の量のP2O5
を含み、
前記ガラス組成物は、MgOとZnOの一方または両方を含み、MgOの量は、約0モル%から約7モル%の範囲にあり、ZnOは、約0モル%から約7モル%の範囲の量で存在し、
前記ガラス物品は、徐冷点(℃)および軟化点(℃)を有し、(徐冷点+軟化点)/2の関係が約625℃から約725℃の範囲にある、実施形態49に記載の積層板。
【0345】
実施形態51
前記第1の湾曲ガラス層が、アルミノケイ酸塩ガラス物品から作られており、該ガラス物品が、2モル%超の量のAl2O3を含むガラス組成物を有し、前記ガラス物品が徐冷点(℃)および軟化点(℃)を有し、(徐冷点+軟化点)/2の関係が約625℃から約725℃の範囲にあり、前記ガラス組成物が、必要に応じて、約5モル%以上の総量のアルカリ金属酸化物(R2O)を含む、実施形態49に記載の積層板。
【0346】
実施形態52
約630℃の温度で、前記第1の粘度が、前記第2の粘度の約10倍から該第2の粘度の約750倍の範囲にある、実施形態50または51に記載の積層板。
【0347】
実施形態53
前記第1の厚さが前記第2の厚さより小さい、実施形態50から52のいずれか1つに記載の積層板。
【0348】
実施形態54
前記第1の厚さが、約0.1mmから約1.6mm未満までであり、前記第2の厚さが、約1.6mmから約3mmの範囲にある、実施形態50から53のいずれか1つに記載の積層板。
【0349】
実施形態55
前記第1の湾曲ガラス層が第1の垂下温度を有し、前記第2の湾曲ガラス層が、該第1の垂下温度と異なる第2の垂下温度を有する、実施形態50から54のいずれか1つに記載の積層板。
【0350】
実施形態56
前記第1の垂下温度と前記第2の垂下温度との間の差の大きさが、約30℃から約150℃の範囲にある、実施形態55に記載の積層板。
【0351】
実施形態57
前記形状偏差が約±1mm以下である、実施形態50から56のいずれか1つに記載の積層板。
【0352】
実施形態58
前記前記形状偏差が約±0.5mm以下である、実施形態50から57のいずれか1つに記載の積層板。
【0353】
実施形態59
前記光学的歪みが約100ミリジオプター以下である、実施形態50から58のいずれか1つに記載の積層板。
【0354】
実施形態60
前記膜引張応力が約5MPa以下である、実施形態50から59のいずれか1つに記載の積層板。
【0355】
実施形態61
前記第1の垂下深さが約5mmから約30mmの範囲にある、実施形態50から60のいずれか1つに記載の積層板。
【0356】
実施形態62
前記第3の主面または前記第4の主面が、表面応力計で測定して、3MPa未満の表面圧縮応力を有する、実施形態50から61のいずれか1つに記載の積層板。
【0357】
実施形態63
前記積層板が、ASTM C1652/C1652Mにより測定して、視覚歪みを実質的に含まない、実施形態50から62のいずれか1つに記載の積層板。
【0358】
実施形態64
前記第1の湾曲ガラス層が強化されている、実施形態50から63のいずれか1つに記載の積層板。
【0359】
実施形態65
前記第1の湾曲ガラス層が、化学強化されている、機械的に強化されている、または熱強化されている、実施形態64に記載の積層板。
【0360】
実施形態66
前記第2の湾曲ガラス層が強化されていない、実施形態64または65に記載の積層板。
【0361】
実施形態67
前記第2の湾曲ガラス層が強化されている、実施形態64または65に記載の積層板。
【0362】
実施形態68
前記第2の湾曲ガラス層がソーダ石灰ケイ酸塩ガラスから作られている、実施形態50から67のいずれか1つに記載の積層板。
【0363】
実施形態69
前記第1の湾曲ガラス層が、第1の長さおよび第1の幅を有し、該第1の長さおよび該第1の幅のいずれか一方または両方は、約0.25メートル以上である、実施形態50から68のいずれか1つに記載の積層板。
【0364】
実施形態70
前記第1の湾曲ガラス層が、第1の長さおよび第1の幅を有し、前記第2の湾曲ガラス層が、該第1の長さの5%以内の第2の長さ、および該第1の幅の5%以内の第2の幅を有する、実施形態50から69のいずれか1つに記載の積層板。
【0365】
実施形態71
前記積層板が複雑に湾曲している、実施形態50から70のいずれか1つに記載の積層板。
【0366】
実施形態72
前記積層板が、自動車用板ガラスまたは建築用板ガラスを構成する、実施形態50から71のいずれか1つに記載の積層板。
【0367】
実施形態73
内部および該内部と連通する開口を画成する本体と、
前記開口内に配置された実施形態50から72のいずれか1つに記載の積層板と、
を備えた乗り物。
【0368】
実施形態74
前記積層板が複雑に湾曲している、実施形態73に記載の乗り物。
【符号の説明】
【0369】
100、100A ガラス物品
102、412 第1の主面
104、414 第2の主面
106、108 副面
110 厚さt
200、300、400、500 積層板
210、310、510 第1のガラス層
220、330、530 第2のガラス層
320、430、520 中間層
410 第1の湾曲ガラス層
416 第1の厚さ
418 第1の垂下深さ
420 第2の湾曲ガラス層
422 第3の主面
424 第4の主面
426 第2の厚さ
428 第2の垂下深さ
512 第三面
514 第四面
532 第一面
534 第二面
600 車両
610 車体
620 開口
630 ガラス物品