(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両用動力伝達装置{POWER TRANSMISSION APPARATUS FOR HYBRID VEHICLE}
(51)【国際特許分類】
B60K 17/04 20060101AFI20240520BHJP
H02K 7/10 20060101ALI20240520BHJP
B60K 6/36 20071001ALI20240520BHJP
B60K 6/40 20071001ALI20240520BHJP
B60K 6/442 20071001ALI20240520BHJP
【FI】
B60K17/04 G ZHV
H02K7/10 C
B60K6/36
B60K6/40
B60K6/442
(21)【出願番号】P 2022190867
(22)【出願日】2022-11-30
【審査請求日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】10-2022-0019565
(32)【優先日】2022-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520181434
【氏名又は名称】ヒュンダイ トランシス インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI TRANSYS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】105, Sindang 1-ro, Seongyeon-myeon, Seosan-si, Chungcheongnam-do 31930, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110003694
【氏名又は名称】弁理士法人有我国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム, テフン
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-006190(JP,A)
【文献】特開2007-015441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 17/04
H02K 7/10
B60K 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクティングプレートによって縁部がマスと連結されるものであって、第1モータの第1ロータと連結される第1ロータシャフトの外側に結合されるコネクティングシャフト;
前記コネクティングシャフトと対向してクランクシャフト側に位置し、前記マスと前記クランクシャフトを連結するドライブプレート;
前記第1モータに対し前記クランクシャフトとは反対側の第2モータ側に設けられるものであって、組立孔が設けられるエンジンクラッチリテーナー;
前記組立孔を介して組み立てられるボルト;および
前記組立孔を密閉する密閉カバー;
を含む、ハイブリッド車両用動力伝達装置。
【請求項2】
前記コネクティングシャフトは、
前記クランクシャフト方向に突出する前記第1ロータシャフトの外径にスプライン結合されることを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッド車両用動力伝達装置。
【請求項3】
前記コネクティングシャフトに結合する第1ロータシャフトの結合部位から前記クランクシャフト側に、該第1ロータシャフトの結合部位より外径が小さい第1段差部および第2段差部が順次設けられることを特徴とする、請求項2に記載のハイブリッド車両用動力伝達装置。
【請求項4】
前記第1段差部は、
外周にロッキングナットが螺合し、前記コネクティングシャフトとスプラインで連結される前記第1ロータシャフトの結合部位の外径より小さい外径で形成されることを特徴とする、請求項3に記載のハイブリッド車両用動力伝達装置。
【請求項5】
前記第2段差部は、
前記第1段差部より小さい外径で形成され、前記第1段差部からクランクシャフト方向に延びてクランクシャフトの内部に挿入されることを特徴とする、請求項4に記載のハイブリッド車両用動力伝達装置。
【請求項6】
前記マスおよびコネクティングプレートと第1モータとの間に第1内壁部が設けられ、前記第1内壁部の中心部位に前記第1ロータシャフトを包むハブが一体で設けられ、前記コネクティングシャフトの外径と前記ハブの内径との間に水密のためのオイルシールが設けられることを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッド車両用動力伝達装置。
【請求項7】
前記エンジンクラッチリテーナーは、
変速機入力シャフト側のインプットシャフトサポートとエンジンクラッチピストンとの間に位置することを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッド車両用動力伝達装置。
【請求項8】
前記ボルトは、
前記組立孔を介して前記インプットシャフトサポートに取り付けられるベアリングに固定されるように組み立てることを特徴とする、請求項7に記載のハイブリッド車両用動力伝達装置。
【請求項9】
前記エンジンクラッチリテーナーに密閉カバーが結合される収容部が設けられ、前記収容部は、前記インプットシャフトサポートに装着されるベアリング側に設けられる前記組立孔と連通することを特徴とする、請求項7に記載のハイブリッド車両用動力伝達装置。
【請求項10】
前記インプットシャフトサポートに装着されるベアリングに枠部が設けられ、前記枠部は、前記インプットシャフトサポートに装着されるベアリングの外周に設けられるとともに、前記ボルトが結合される結合孔を備えることを特徴とする、請求項9に記載のハイブリッド車両用動力伝達装置。
【請求項11】
前記エンジンクラッチリテーナーは、
前記第1モータの反対側に設けられる第2モータの第2ロータと一体で構成されることを特徴とする、請求項8に記載のハイブリッド車両用動力伝達装置。
【請求項12】
前記インプットシャフトサポートに取り付けられるベアリングは、
前記エンジンクラッチリテーナーを回転可能に保持することを特徴とする、請求項9に記載のハイブリッド車両用動力伝達装置。
【請求項13】
前記第1モータと前記第2モータは、第1モータハウジングと第2モータハウジングの内部に取り付けられ、前記第1モータは、エンジンのクランクシャフトと連結され、前記第2モータは、変速機入力シャフトと連結されることを特徴とする、請求項8に記載のハイブリッド車両用動力伝達装置。
【請求項14】
前記第1モータと前記第2モータとの間にトーションダンパが配置され、前記トーションダンパは、一側部が前記第1モータに結合されることを特徴とする、請求項8に記載のハイブリッド車両用動力伝達装置。
【請求項15】
前記第2モータにエンジンクラッチが設けられ、前記エンジンクラッチは、前記第2モータと前記トーションダンパを選択的に連結することを特徴とする、請求項14に記載のハイブリッド車両用動力伝達装置。
【請求項16】
前記第1モータと前記第2モータは、第1モータハウジングと第2モータハウジングの内部に取り付けられ、前記第1モータハウジングは、前記第2モータハウジングの一側に結合され、前記第2モータハウジングは、他側に変速機ケースが結合されることを特徴とする、請求項8に記載のハイブリッド車両用動力伝達装置。
【請求項17】
前記第1モータハウジングに第1内壁部が設けられ、前記第1内壁部に第1レゾルバが取り付けられ、前記第2モータハウジングに第2内壁部が設けられ、第2レゾルバは、前記第2内壁部または前記インプットシャフトサポートに装着されることを特徴とする、請求項
13に記載のハイブリッド車両用動力伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両用動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ハイブリッド車両用の動力伝達装置で使用されるモータは、電気走行を初期エンジンが駆動されないときに車両の電気走行のために駆動されることがある。ハイブリッド車両用動力伝達装置において2つのモータ(P1モータ、P2モータ)が配置される場合、一つのモータはエンジン始動のために駆動され、他のモータは車両の電気走行のために駆動され得る。
【0003】
図1は、従来のハイブリッド車両用動力伝達装置を示す図である。
図1を参照すると、従来のハイブリッド車両用動力伝達装置1は、エンジン2と変速機3との間に配置されるモータハウジング10と、モータハウジング10の内部に配置され、エンジン2のクランク軸2bと連結される第1モータ20、モータハウジング10の内部に第1モータ20と軸方向に隣り合って配置され、変速機3の入力軸3bと連結される第2モータ30、第1モータ20と第2モータ30との間に配置され、一側部が第1モータ20に結合されるトーションダンパ40および第2モータ30に設けられ、第2モータ30とトーションダンパ40を選択的に連結するクラッチ50を含む。モータハウジング10は、エンジン2と変速機3との間に配置され、エンジンのケース2a、変速機のケース3aと結合される。モータハウジング10は、第1モータ20が結合される第1モータハウジング11および第2モータ30が結合され、一側部が第1モータハウジング11と連結され、他側部が変速機のケース3aと連結される第2モータハウジング12を含み、第1モータハウジング11は第2モータハウジング12、エンジン2と結合され、第1モータ20の少なくとも一部を内蔵可能な第1空間部S1を形成する第1カバー部111、第2モータハウジング12の内部に設けられる第2空間部S2、第1カバー部111のうち第1空間部S1と接する内側端部上に形成され、第1モータ20のステータが固定設置される第1ステータ保持部112、第1ステータ保持部112から第1空間部S1側に延びるように形成され、エンジン2と対向して配置される第1内壁部113、第1内壁部113上に軸方向に延びるように形成され、第1モータ20のロータを保持する第1ロータ保持部114および第1内壁部113の中央部上に、第1モータ20のロータとエンジン2のクランク軸2bの連結のために開放されるように形成される第1開放部115を含む。
【0004】
ところで、従来のハイブリッド車両用動力伝達装置は、P1モータのロータシャフト20aとコネクティングシャフト2cはスプライン結合されるが、スプライン(spline)は円滑な組立のためにバックラッシュ(backlash)が存在し、このようなバックラッシュによりコネクティングシャフトのスプライン歯面の離隔が存在してエンジン動力の伝達の時にラトルノイズ(Rattle Noise)が発生し、エンジンクラッチリテーナーに組立孔を形成する場合、エンジンクラッチリテーナーとエンジンクラッチピストンの間に供給される作動油が組立孔を介してベアリング側に流出されることで、エンジンクラッチの作動に必要な作動油圧が形成されず、エンジンクラッチの作動が不可能であるという問題が発生していた。
【0005】
これに対して、本発明は、エンジンのコネクティングシャフトを離隔なしに連結し、エンジンクラッチリテーナーに設けられる組立孔を密閉カバーで密閉してエンジンクラッチリテーナーとエンジンクラッチピストンとの間に作動油圧が形成されるようにすることにより、エンジンクラッチの作動が円滑に行われるようにするメカニズムを提示しようとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】大韓民国登録特許公報第10-2238845号(2021.04.12.公告)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の課題を解決するために、本発明は、エンジンのコネクティングシャフトを離隔なしに連結し、エンジンクラッチリテーナーに設けられる組立孔を密閉カバーで密閉し、エンジンクラッチリテーナーとエンジンクラッチピストンとの間に作動油圧が形成されるようにすることにより、エンジンクラッチの作動が円滑に行われるようにしたハイブリッド車両用動力伝達装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の目的を達成するために、本発明は、コネクティングプレートによって縁部がマスと連結されるものであって、第1モータの第1ロータと連結される第1ロータシャフトの外側に結合されるコネクティングシャフト;および前記コネクティングシャフトと対向してクランクシャフト側に位置し、前記マスと前記クランクシャフトを連結するドライブプレート;を含むハイブリッド車両用動力伝達装置を提供する。
【0009】
また、前記コネクティングシャフトは、前記クランクシャフト方向に突出する前記第1ロータシャフトの外径にスプライン結合される。
【0010】
なお、前記コネクティングシャフトに結合するとき、前記クランクシャフト側に露出する前記第1ロータシャフト部位に第1段差部および第2段差部が設けられる。
【0011】
また、前記第1段差部は、外周にロッキングナットが螺合され、前記コネクティングシャフトとスプラインで連結される前記第1ロータシャフト部位の外径より小さい外径で形成される。
【0012】
なお、前記第2段差部は、前記第1段差部より小さい外径で形成され、前記第1段差部からクランクシャフト方向に延びてクランクシャフトの内部に挿入される。
【0013】
また、前記マスおよびコネクティングプレートと第1モータとの間に第1内壁部が設けられ、前記第1内壁部の中心部位に前記第1ロータシャフトを包むハブが一体で設けられ、前記コネクティングシャフトの外径と前記ハブの内径の間に水密のためのオイルシールが設けられる。
【0014】
なお、前記第1モータの反対側の第2モータ側に設けられるものであって、組立孔が設けられるエンジンクラッチリテーナー;前記組立孔を介して組み立てられるボルト;および前記組立孔を密閉する密閉カバー;をさらに含む。
【0015】
また、前記エンジンクラッチリテーナーは、インプットシャフトサポートとエンジンクラッチピストンとの間に位置する。
【0016】
なお、前記ボルトは、前記組立孔を介して前記インプットシャフトサポートに取り付けられるベアリングに固定されるように組み立てる。
【0017】
また、前記エンジンクラッチリテーナーに密閉カバーが結合される収容部が設けられ、前記収容部は、前記インプットシャフトサポートに取り付けられるベアリング側に設けられる前記組立孔と連通する。
【0018】
なお、前記インプットシャフトサポートに取り付けられるベアリングに枠部が設けられ、前記枠部は、前記インプットシャフトサポートに取り付けられるベアリングの外周に設けられるとともに、前記ボルトが結合される結合孔を備える。
【0019】
また、前記エンジンクラッチリテーナーは、前記第1モータの反対側に設けられる第2モータの第2ロータと一体で構成される。
【0020】
なお、前記インプットシャフトサポートに取り付けられるベアリングは、前記エンジンクラッチリテーナーを回転可能に保持する。
【0021】
また、前記第1モータと前記第2モータは、第1モータハウジングと第2モータハウジングの内側に取り付けられ、前記第1モータはエンジンのクランクシャフトと連結され、前記第2モータは変速機入力シャフトと連結される。
【0022】
なお、前記第1モータと前記第2モータとの間にトーションダンパが配置され、前記トーションダンパは、一側部が前記第1モータに結合される。
【0023】
また、前記第2モータにエンジンクラッチが設けられ、前記エンジンクラッチは前記第2モータと前記トーションダンパを選択的に連結する。
【0024】
なお、前記第1モータハウジングは、前記第2モータハウジングの一側に結合され、前記第2モータハウジングは他側に変速機ケースが結合される。
【0025】
また、前記第1モータハウジングに第1内壁部が設けられ、前記第1内壁部に第1レゾルバが取り付けられ、前記第2モータハウジングに第2内壁部が設けられ、第2レゾルバは前記第2内壁部または前記インプットシャフトサポートに取り付けられる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、エンジンのコネクティングシャフトを離隔なしに連結することで、エンジン動力の伝達時にラトルノイズ(Rattle Noise)が発生することを防止することができる。
【0027】
また、本発明は、エンジンクラッチリテーナーに設けられる組立孔を密閉カバーで密閉し、エンジンクラッチリテーナーとエンジンクラッチピストンとの間に作動油圧が形成されるようにすることで、エンジンクラッチの作動が円滑に行われることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】従来のハイブリッド車両用動力伝達装置を示す図である。
【
図2】本発明の好ましい一実施例によるハイブリッド車両用動力伝達装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好ましい実施例を添付の図面を参照して詳細に説明する。まず、各図面の構成要素に参照符号を付すにあたって、同一の構成要素については、異なる図面上に表示されても可能な限り同一の符号を有するようにしていることに留意されたい。なお、本発明の説明において、関連する公知の構成または機能に対する具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にし得ると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。さらに、以下に本発明の好ましい実施例を説明するが、本発明の技術的思想は、これに限定または制限されず、当業者によって変更されて様々に実施され得ることは言うまでもない。
【0030】
図2は、本発明の好ましい一実施例によるハイブリッド車両用動力伝達装置を示す図であり、
図3は、
図2のA部分の拡大図である。
【0031】
図2に図示されたように、本発明は、第1モータ250の第1ロータシャフト251と連結されるとともに、縁がマス240と連結されるコネクティングシャフト210およびマス240とエンジンのクランクシャフト260を連結するドライブプレート220を含む。第1モータ250は、第1ロータ250aおよび第1ステータ250bを含む。
【0032】
コネクティングシャフト210は、第1ロータシャフト251の外径にスプラインS結合される。コネクティングシャフト210は、第1ロータ250aの第1ロータスリーブ250cと溶接によって第1ロータ250aと一体で構成されてもよい。
【0033】
コネクティングシャフト210が第1ロータシャフト251に結合された状態で、クランクシャフト260側に露出する第1ロータシャフト251の部位にロッキングナットL2を結合してコネクティングシャフト210のロッキングが行われるようにする。
【0034】
ロッキングナットL2は、組み立ての時、コネクティングシャフト210の一面に設けられた挿入部210aに挿入されて密着されてもよい。
【0035】
コネクティングシャフト210は、コネクティングプレート230によってマス240と連結されてもよい。一例として、コネクティングプレート230は、コネクティングシャフト210およびマス240と溶接によって連結されてもよい。
【0036】
コネクティングプレート230の中心部位はコネクティングシャフト210と連結され、コネクティングプレート230の縁部はマス240と連結されてもよい。
【0037】
マス240(MASS)は、重量体であって、第1ロータシャフト251と共にコネクティングシャフト210が回転するとき、マス240の重量によって回転慣性がさらに作用し、回転動作に伴う振動を低減することができる。
【0038】
ドライブプレート220は、コネクティングシャフト210と一定の間隔を置いてエンジンのクランクシャフト260側に位置する。ドライブプレート220の中心にはボス221が設けられる。
【0039】
ドライブプレート220に設けられるボス221の中心にクランクシャフト260が結合された状態で、ボス221とクランクシャフト260との組立のためにボルトを結合する。
【0040】
ドライブプレート220の縁部はマス240と連結される。ドライブプレート220のピッチ円Pにボルトを結合することにより、ドライブプレート220とマス240を堅固に連結することができる。
【0041】
マス240およびコネクティングプレート230の組立体と第1モータ250との間に第1内壁部271が設けられてもよい。内壁部271は、第1モータハウジング201に一体で設けられてもよい。
【0042】
第1内壁部271は、中心にハブ271aが一体で設けられてもよい。第1内壁部271のハブ271aは、第1ロータシャフト251とコネクティングシャフト210を包む構造で組み立てられてもよい。
【0043】
コネクティングシャフト210が第1ロータシャフト251に組み立てられた状態で、コネクティングシャフト210の外径とハブ271aの内径との間にオイルシールO2が設けられてもよい。オイルシールO2により、コネクティングシャフト210の外径とハブ271aの内径との間の水密が成される。
【0044】
第1ロータシャフト251は、ハブ271aの内部に取り付けられるベアリング320によって回転可能に保持されてもよい。
【0045】
コネクティングシャフト210と結合される第1ロータシャフト251の結合部位からクランクシャフト260側に第1段差部251cおよび第2段差部251dが順次形成されてもよい。
【0046】
第1段差部251cおよび第2段差部251dは、コネクティングシャフト210が結合されない部位である。
【0047】
第1段差部251cは、コネクティングシャフト210が結合される第1ロータシャフト251の外径部位より小さい外径で形成される。
【0048】
第1段差部251cは、ロッキングナットL2が結合される部位であって、ロッキングナットL2の横幅に符合する幅で形成される。第1段差部251cの外周にネジ部が形成され、これによりロッキングナットL2を第1段差部251cに螺合することができる。
【0049】
第2段差部251dは、第1段差部251cにつながり、第1段差部251cからクランクシャフト260方向へと延びる。第2段差部251dは、第1段差部251cより小さい外径で形成される。
【0050】
例えば、コネクティングプレート230と第1ロータシャフト251の組み立て時に、ボルトを用いて組み立てる場合、少なくとも2つ以上のボルトが必要であるが、本発明はコネクティングプレート230と連結されている1つのコネクティングシャフト210により、コネクティングプレート230と第1ロータシャフト251の組立が可能であるため、従来のボルトによる組立に比べて組立の部品数を低減することができる。
【0051】
一例として、第1ロータシャフト251にコネクティングシャフト210を結合した状態で、第1段差部251cにロッキングナットL2を結合した後、コーキング(caulking)で処理してロッキングナットL2の緩みを防ぐことが好ましい。
【0052】
組み立て時に、第1ロータシャフト251の第2段差部251dがクランクシャフト260の内部に嵌められるため、第1ロータシャフト251とクランクシャフト260の組立が堅固に行われることができる。第1ロータシャフト251とクランクシャフト260の組立が堅固に行われることにより、第1モータ250の第1ロータ250aの回転バランス(balance)を向上させることができる。
【0053】
また、第2段差部251dがクランクシャフト260の内部に挿入されるため、第1ロータシャフト251が安定して保持されることができ、これによって同心を安定的に維持することができ、騒音振動を低減することができる。
【0054】
ロッキングナットL2が密着するコネクティングシャフト210と第1ロータシャフト251とのスプライン連結部位は、オーリングO1によって水密がなされてもよい。オーリングO1は、ロッキングナットL2による押し付けによって、コネクティングシャフト210と第1ロータシャフト251のスプラインS連結部位に緊密に密着することができる。
【0055】
トーションダンパ290は、第1モータ250の第1ロータ250aと連結されてもよい。トーションダンパ290(Torsion Damper)は、エンジン(図示せず)と変速機(図示せず)との間に設けられ、動力伝達の過程で変速機入力シャフト203から周期的に発生するねじり振動を低減することができる。
【0056】
図2、3に図示されたように、エンジンクラッチリテーナー310は、第2ロータ302aのロータスリーブ機能も行うことができるように、第2ロータ302aと一体で構成される。
【0057】
エンジンクラッチリテーナー310にボルト340が通れる組立孔311を穿孔し、組立孔311を介してボルト340の組立が完了した後、組立孔311を密閉カバー350で塞いで組立孔311を介しての油漏れを防止することにより、エンジンクラッチ380の作動油圧OPのリーク(leak)を防止することができる。
【0058】
一例として、密閉カバー350は、ゴム材質のシールがスチールプレートに付着する構造など、封止機能を行うことのできる様々な構造で構成されてもよい。
【0059】
エンジンクラッチリテーナー310は、インプットシャフトサポート370に取り付けられるベアリング320とエンジンクラッチピストン330との間に位置する。
【0060】
一例として、エンジンクラッチリテーナー310は、第2モータ302の第2ロータ302aと一体で構成されてもよい。エンジンクラッチリテーナー310の組立孔311は、インプットシャフトサポート370に取り付けられるベアリング320に向かって貫通形成される。
【0061】
一例として、インプットシャフトサポート370に取り付けられるベアリング320は、ダブルボールベアリング(double ball bearing)であってもよい。
【0062】
第2モータ302は、第2ロータ302aおよび第2ステータ302bを含む。
【0063】
組立孔311は、ボルト340の組立時にボルト340が通過自在であるように、十分大きい孔で形成されることが好ましい。
【0064】
ボルト340は、インプットシャフトサポート370に取り付けられるベアリング320の枠部321に結合される。ボルト340によってインプットシャフトサポート370に取り付けられるベアリング320をインプットシャフトサポート370に堅固に結合することができる。
【0065】
ボルト340の組み立て後、組立孔311は密閉カバー350によって密閉される。組立孔311が密閉カバー350によって密閉されることにより、組立孔311を介した油漏れを防止することができ、これによりエンジンクラッチ380の作動油圧OPのリーク(leak)を防止することができる。
【0066】
エンジンクラッチリテーナー310とエンジンクラッチピストン330との間に作動油圧OPが形成され、エンジンクラッチ380の作動が円滑に行われることができる。
【0067】
エンジンクラッチリテーナー310に収容部312が設けられる。収容部312はエンジンクラッチピストン330側に設けられ、組立孔311はインプットシャフトサポート370に取り付けられるベアリング320側に設けられる。収容部312は組立孔311と同心円をなして連通される。収容部312は、組立孔311よりも大きい孔で構成される。
【0068】
インプットシャフトサポート370に装着されるベアリング320に枠部321が設けられる。枠部321は、インプットシャフトサポート370に取り付けられるベアリング320の外周から外側方向に延びて形成される。枠部321に結合孔321aが設けられる。一例として、結合孔321aは、ボルト340のヘッド部位が受け入れられるように、ボルト340のヘッドに符合する形状で構成されることが好ましい。
【0069】
ボルト340は、組立孔311を通過して結合孔321aに挿入された状態で、インプットシャフトサポート370に螺合される。
【0070】
組立孔311と結合孔321aおよびインプットシャフトサポート370の螺合部位は、一直線上に位置した状態でボルト340の組立が行われる。
【0071】
インプットシャフトサポート370に取り付けられるベアリング320は、ボルト340によってインプットシャフトサポート370に固定された状態で、エンジンクラッチリテーナー310を回転可能に保持する。
【0072】
第1モータ250および第2モータ302は、第1モータハウジング201および第2モータハウジング202の内部に取り付けられる。第1モータ250は、エンジンのクランクシャフト260と連結される。第2モータ302は変速機入力シャフト203と連結される。第1モータ250と第2モータ302との間にトーションダンパ290が配置される。トーションダンパ290は、一側部が第1モータ250に結合されてもよい。
【0073】
第2モータ302にエンジンクラッチ380が設けられる。エンジンクラッチ380は、第2モータ302とトーションダンパ290を選択的に連結することができる。
【0074】
第1モータハウジング201は、第2モータハウジング202の一側に結合される。第2モータハウジング202は、他側に変速機ケース204が結合されてもよい。
【0075】
第1モータハウジング201に第1内壁部271が設けられる。第1内壁部271に第1レゾルバ271bが取り付けられてもよい。第2モータハウジング202に第2内壁部282が設けられる。第2レゾルバ282bは、第2内壁部282またはインプットシャフトサポート370に取り付けられてもよい。
【0076】
第1ロータシャフト251とトーションダンパ290との間にブッシュBUが取り付けられてもよい。
【0077】
変速機入力シャフト203とエンジンクラッチハブ381との間にブッシュBUが取り付けられてもよい。
【0078】
第2ロータシャフト382は、エンジンクラッチリテーナー310の中心に設けられてもよい。第2ロータシャフト382は、インプットシャフトサポート370に取り付けられるベアリング320によって回転可能に保持される。
【0079】
第2ロータシャフト382は、変速機入力シャフト203の外側に結合される。第2ロータシャフト382と変速機入力シャフト203はスプライン結合されてもよい。
【0080】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内で種々の修正、変更および置換が可能である。したがって、本発明に開示された実施例および添付の図面は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、そのような実施例および添付の図面によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は以下の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0081】
201 ・・・第1モータハウジング
202 ・・・第2モータハウジング
203 ・・・変速機入力シャフト
204 ・・・変速機ケース
210 ・・・コネクティングシャフト
210a ・・・挿入部
220 ・・・ドライブプレート
221 ・・・ボス
230 ・・・コネクティングプレート
240 ・・・マス
250 ・・・第1モータ
250a ・・・第1ロータ
250b ・・・第1ステータ
250c ・・・第1ロータスリーブ
251 ・・・第1ロータシャフト
251c ・・・第1段差部
251d ・・・第2段差部
260 ・・・クランクシャフト
271 ・・・第1内壁部
271a ・・・ハブ
271b ・・・第1レゾルバ
282 ・・・第2内壁部
282b ・・・第2レゾルバ
290 ・・・トーションダンパ
302 ・・・第2モータ
302a ・・・第2ロータ
302b ・・・第2ステータ
310 ・・・エンジンクラッチリテーナー
311 ・・・組立孔
312 ・・・収容部
320 ・・・ベアリング
321 ・・・枠部
321a ・・・結合孔
330 ・・・エンジンクラッチピストン
340 ・・・ボルト
350 ・・・密閉カバー
370 ・・・インプットシャフトサポート
380 ・・・エンジンクラッチ
381 ・・・エンジンクラッチハブ
382 ・・・第2ローターシャフト
BU ・・・ブッシュ
L2 ・・・ロッキングナット
O1 ・・・オーリング
O2 ・・・オイルシール
OP ・・・エンジンクラッチの作動油圧
P ・・・ピッチ円
S ・・・スプライン