IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本碍子株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-コイン形二次電池 図1
  • 特許-コイン形二次電池 図2
  • 特許-コイン形二次電池 図3
  • 特許-コイン形二次電池 図4
  • 特許-コイン形二次電池 図5
  • 特許-コイン形二次電池 図6
  • 特許-コイン形二次電池 図7
  • 特許-コイン形二次電池 図8
  • 特許-コイン形二次電池 図9
  • 特許-コイン形二次電池 図10
  • 特許-コイン形二次電池 図11
  • 特許-コイン形二次電池 図12
  • 特許-コイン形二次電池 図13
  • 特許-コイン形二次電池 図14
  • 特許-コイン形二次電池 図15
  • 特許-コイン形二次電池 図16
  • 特許-コイン形二次電池 図17
  • 特許-コイン形二次電池 図18
  • 特許-コイン形二次電池 図19
  • 特許-コイン形二次電池 図20
  • 特許-コイン形二次電池 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】コイン形二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/533 20210101AFI20240520BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20240520BHJP
【FI】
H01M50/533
H01M10/0585
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022503137
(86)(22)【出願日】2021-01-13
(86)【国際出願番号】 JP2021000869
(87)【国際公開番号】W WO2021171811
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2020031486
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【弁理士】
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【弁理士】
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】北村 和正
(72)【発明者】
【氏名】粟倉 康崇
(72)【発明者】
【氏名】鳥巣 剛
【審査官】多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-033833(JP,A)
【文献】特開平08-055622(JP,A)
【文献】特開2019-021428(JP,A)
【文献】中国実用新案第204632817(CN,U)
【文献】特開2012-197824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/10-50/198
H01M50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイン形二次電池であって、
上下方向に並ぶ正極および負極と、
前記正極と前記負極との間に設けられる電解質層と、
前記正極、前記負極および前記電解質層を収容する密閉空間を有する外装体と、
前記正極および前記負極のうち一方の電極と前記外装体の平板部との間に上下方向に圧縮された状態で配置されるとともに前記平板部に沿って広がる板部材であり、前記一方の電極と前記平板部とを間接的または直接的に電気的に接続する導電性の板ばねである弾性部材と、
を備え、
前記弾性部材は、周囲の部位から上側または下側に向かって凸である複数の凸部を備え、
前記複数の凸部は、
第1凸部と、
上下方向に作用している圧縮応力と降伏応力との差である降伏マージンが前記第1凸部と異なる第2凸部と、
を備え、
前記一方の電極と前記平板部との間における圧縮による上下方向の変位量である縦変位量について、前記第2凸部の前記縦変位量と前記第1凸部の前記縦変位量とが異なる。
【請求項2】
コイン形二次電池であって、
上下方向に並ぶ正極および負極と、
前記正極と前記負極との間に設けられる電解質層と、
前記正極、前記負極および前記電解質層を収容する密閉空間を有する外装体と、
前記正極および前記負極のうち一方の電極と前記外装体の平板部との間に上下方向に圧縮された状態で配置されるとともに前記平板部に沿って広がる板部材であり、前記一方の電極と前記平板部とを間接的または直接的に電気的に接続する導電性の板ばねである弾性部材と、
を備え、
前記弾性部材は、周囲の部位から上側または下側に向かって凸である複数の凸部を備え、
前記複数の凸部は、
第1凸部と、
上下方向に作用している圧縮応力と降伏応力との差である降伏マージンが前記第1凸部と異なる第2凸部と、
を備え、
上下方向におけるバネ定数について、前記第2凸部の前記バネ定数と前記第1凸部の前記バネ定数とが異なり、
前記第1凸部および前記第2凸部の前記バネ定数の差は、前記第1凸部および前記第2凸部の板厚の差による。
【請求項3】
コイン形二次電池であって、
上下方向に並ぶ正極および負極と、
前記正極と前記負極との間に設けられる電解質層と、
前記正極、前記負極および前記電解質層を収容する密閉空間を有する外装体と、
前記正極および前記負極のうち一方の電極と前記外装体の平板部との間に上下方向に圧縮された状態で配置されるとともに前記平板部に沿って広がる板部材であり、前記一方の電極と前記平板部とを間接的または直接的に電気的に接続する導電性の板ばねである弾性部材と、
を備え、
前記弾性部材は、周囲の部位から上側または下側に向かって凸である複数の凸部を備え、
前記複数の凸部は、
第1凸部と、
上下方向に作用している圧縮応力と降伏応力との差である降伏マージンが前記第1凸部と異なる第2凸部と、
を備え、
上下方向におけるバネ定数について、前記第2凸部の前記バネ定数と前記第1凸部の前記バネ定数とが異なり、
前記第1凸部および前記第2凸部の前記バネ定数の差は、前記第1凸部および前記第2凸部のヤング率の差によっており、
前記第1凸部および前記第2凸部の前記ヤング率の差は、前記第1凸部および前記第2凸部の表面粗さの差による。
【請求項4】
コイン形二次電池であって、
上下方向に並ぶ正極および負極と、
前記正極と前記負極との間に設けられる電解質層と、
前記正極、前記負極および前記電解質層を収容する密閉空間を有する外装体と、
前記正極および前記負極のうち一方の電極と前記外装体の平板部との間に上下方向に圧縮された状態で配置されるとともに前記平板部に沿って広がる板部材であり、前記一方の電極と前記平板部とを間接的または直接的に電気的に接続する導電性の板ばねである弾性部材と、
を備え、
前記弾性部材は、周囲の部位から上側または下側に向かって凸である複数の凸部を備え、
前記複数の凸部は、
第1凸部と、
上下方向に作用している圧縮応力と降伏応力との差である降伏マージンが前記第1凸部と異なる第2凸部と、
を備え、
前記複数の凸部は、一の径方向に平行な所定の配列方向に並ぶ3つ以上の凸部であり、
前記第1凸部および前記第2凸部のうち前記降伏マージンが大きい方の凸部は、前記複数の凸部のうち前記配列方向の両端部に位置する凸部以外の凸部である。
【請求項5】
コイン形二次電池であって、
上下方向に並ぶ正極および負極と、
前記正極と前記負極との間に設けられる電解質層と、
前記正極、前記負極および前記電解質層を収容する密閉空間を有する外装体と、
前記正極および前記負極のうち一方の電極と前記外装体の平板部との間に上下方向に圧縮された状態で配置されるとともに前記平板部に沿って広がる板部材であり、前記一方の電極と前記平板部とを間接的または直接的に電気的に接続する導電性の板ばねである弾性部材と、
を備え、
前記弾性部材は、周囲の部位から上側または下側に向かって凸である複数の凸部を備え、
前記複数の凸部は、
第1凸部と、
上下方向に作用している圧縮応力と降伏応力との差である降伏マージンが前記第1凸部と異なる第2凸部と、
を備え、
前記複数の凸部は、一の径方向に平行な所定の配列方向に並び、
前記複数の凸部のそれぞれは、前記配列方向に垂直な方向に直線状に延びる。
【請求項6】
請求項1ないしのいずれか1つに記載のコイン形二次電池であって、
前記複数の凸部のうち、少なくとも1つの凸部の頂部は、上下方向に垂直な平面部であり、前記平板部と溶接される。
【請求項7】
請求項1ないしのいずれか1つに記載のコイン形二次電池であって、
自由状態における前記複数の凸部の高さが同じである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイン形二次電池に関する。
[関連出願の参照]
本願は、2020年2月27日に出願された日本国特許出願JP2020-031486からの優先権の利益を主張し、当該出願の全ての開示は、本願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な構造を有するコイン形二次電池が利用されている。例えば、特開2017-195129号公報(文献1)では、負極ケースにおける天板部と負極との間にスプリングを設け、当該スプリングを介して天板部と負極とを電気的に接続するリチウム二次電池が開示されている。
【0003】
一方、特開2012-197824号公報(文献2)では、正極および負極が交互に積層される溶融塩電池本体を備える溶融塩電池において、周方向に蛇腹状の山部および谷部が繰り返し形成されているリング状の薄板ばねを、溶融塩電池本体と容器内面との間に配置し、溶融塩電池本体を積層方向に付勢する技術が開示されている。
【0004】
ところで、文献1のようなコイン型二次電池では、スプリングが収容されるスペースの高さが小さいため、コイン型二次電池の製造過程において、スプリングが上下方向に大きく圧縮される。このように圧縮変位が大きい場合、文献2のような形状のばねを利用しようとすると、製造過程においてばねの山部および谷部が降伏し、負極ケースの天板部と負極との間の導電性が低下するおそれがある。また、製造過程においてばねが降伏しなかった場合であっても、電池の外周部に並ぶ各山部および各谷部が経時変化によって比較的早期に降伏し、コイン型二次電池の寿命が短くなるおそれがある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、コイン形二次電池に向けられており、コイン型二次電池を長寿命化することを目的としている。
【0006】
本発明の好ましい一の形態に係るコイン形二次電池は、上下方向に並ぶ正極および負極と、前記正極と前記負極との間に設けられる電解質層と、前記正極、前記負極および前記電解質層を収容する密閉空間を有する外装体と、前記正極および前記負極のうち一方の電極と前記外装体の平板部との間に上下方向に圧縮された状態で配置されるとともに前記平板部に沿って広がる板部材であり、前記一方の電極と前記平板部とを間接的または直接的に電気的に接続する導電性の板ばねである弾性部材と、を備える。前記弾性部材は、周囲の部位から上側または下側に向かって凸である複数の凸部を備える。前記複数の凸部は、第1凸部と、上下方向に作用している圧縮応力と降伏応力との差である降伏マージンが前記第1凸部と異なる第2凸部と、を備える。前記一方の電極と前記平板部との間における圧縮による上下方向の変位量である縦変位量について、前記第2凸部の前記縦変位量と前記第1凸部の前記縦変位量とが異なる。
【0007】
本発明によれば、コイン型二次電池を長寿命化することができる。
【0011】
本発明の好ましい他の形態に係るコイン形二次電池は、上下方向に並ぶ正極および負極と、前記正極と前記負極との間に設けられる電解質層と、前記正極、前記負極および前記電解質層を収容する密閉空間を有する外装体と、前記正極および前記負極のうち一方の電極と前記外装体の平板部との間に上下方向に圧縮された状態で配置されるとともに前記平板部に沿って広がる板部材であり、前記一方の電極と前記平板部とを間接的または直接的に電気的に接続する導電性の板ばねである弾性部材と、を備える。前記弾性部材は、周囲の部位から上側または下側に向かって凸である複数の凸部を備える。前記複数の凸部は、第1凸部と、上下方向に作用している圧縮応力と降伏応力との差である降伏マージンが前記第1凸部と異なる第2凸部と、を備える。上下方向におけるバネ定数について、前記第2凸部の前記バネ定数と前記第1凸部の前記バネ定数とが異なる。前記第1凸部および前記第2凸部の前記バネ定数の差は、前記第1凸部および前記第2凸部の板厚の差による。
【0012】
本発明の好ましい他の形態に係るコイン形二次電池は、上下方向に並ぶ正極および負極と、前記正極と前記負極との間に設けられる電解質層と、前記正極、前記負極および前記電解質層を収容する密閉空間を有する外装体と、前記正極および前記負極のうち一方の電極と前記外装体の平板部との間に上下方向に圧縮された状態で配置されるとともに前記平板部に沿って広がる板部材であり、前記一方の電極と前記平板部とを間接的または直接的に電気的に接続する導電性の板ばねである弾性部材と、を備える。前記弾性部材は、周囲の部位から上側または下側に向かって凸である複数の凸部を備える。前記複数の凸部は、第1凸部と、上下方向に作用している圧縮応力と降伏応力との差である降伏マージンが前記第1凸部と異なる第2凸部と、を備える。上下方向におけるバネ定数について、前記第2凸部の前記バネ定数と前記第1凸部の前記バネ定数とが異なる。前記第1凸部および前記第2凸部の前記バネ定数の差は、前記第1凸部および前記第2凸部のヤング率の差によっており、前記第1凸部および前記第2凸部の前記ヤング率の差は、前記第1凸部および前記第2凸部の表面粗さの差による。
【0014】
本発明の好ましい他の形態に係るコイン形二次電池は、上下方向に並ぶ正極および負極と、前記正極と前記負極との間に設けられる電解質層と、前記正極、前記負極および前記電解質層を収容する密閉空間を有する外装体と、前記正極および前記負極のうち一方の電極と前記外装体の平板部との間に上下方向に圧縮された状態で配置されるとともに前記平板部に沿って広がる板部材であり、前記一方の電極と前記平板部とを間接的または直接的に電気的に接続する導電性の板ばねである弾性部材と、を備える。前記弾性部材は、周囲の部位から上側または下側に向かって凸である複数の凸部を備える。前記複数の凸部は、第1凸部と、上下方向に作用している圧縮応力と降伏応力との差である降伏マージンが前記第1凸部と異なる第2凸部と、を備える。前記複数の凸部は、一の径方向に平行な所定の配列方向に並ぶ3つ以上の凸部である。前記第1凸部および前記第2凸部のうち前記降伏マージンが大きい方の凸部は、前記複数の凸部のうち前記配列方向の両端部に位置する凸部以外の凸部である。
【0015】
本発明の好ましい他の形態に係るコイン形二次電池は、上下方向に並ぶ正極および負極と、前記正極と前記負極との間に設けられる電解質層と、前記正極、前記負極および前記電解質層を収容する密閉空間を有する外装体と、前記正極および前記負極のうち一方の電極と前記外装体の平板部との間に上下方向に圧縮された状態で配置されるとともに前記平板部に沿って広がる板部材であり、前記一方の電極と前記平板部とを間接的または直接的に電気的に接続する導電性の板ばねである弾性部材と、を備える。前記弾性部材は、周囲の部位から上側または下側に向かって凸である複数の凸部を備える。前記複数の凸部は、第1凸部と、上下方向に作用している圧縮応力と降伏応力との差である降伏マージンが前記第1凸部と異なる第2凸部と、を備える。前記複数の凸部は、一の径方向に平行な所定の配列方向に並ぶ。前記複数の凸部のそれぞれは、前記配列方向に垂直な方向に直線状に延びる
【0016】
好ましくは、前記複数の凸部のうち、少なくとも1つの凸部の頂部は、上下方向に垂直な平面部であり、前記平板部と溶接される。
【0017】
好ましくは、自由状態における前記複数の凸部の高さが同じである。
【0018】
上述の目的および他の目的、特徴、態様および利点は、添付した図面を参照して以下に行うこの発明の詳細な説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施の形態に係るコイン形二次電池の断面図である。
図2】弾性部材の平面図である。
図3】弾性部材の断面図である。
図4】弾性部材近傍の部位を拡大して示す断面図である。
図5】第2の実施の形態に係るコイン形二次電池の弾性部材近傍の部位を拡大して示す断面図である。
図6】弾性部材の平面図である。
図7】弾性部材の断面図である。
図8】他の弾性部材の平面図である。
図9】他の弾性部材の断面図である。
図10】他の弾性部材近傍の部位を拡大して示す断面図である。
図11】他の弾性部材の平面図である。
図12】他の弾性部材の断面図である。
図13】他の弾性部材近傍の部位を拡大して示す断面図である。
図14】他の弾性部材の平面図である。
図15】他の弾性部材の断面図である。
図16】他の弾性部材近傍の部位を拡大して示す断面図である。
図17】他の弾性部材の平面図である。
図18】他の弾性部材の断面図である。
図19】他の弾性部材近傍の部位を拡大して示す断面図である。
図20】他の弾性部材の斜視図である。
図21】他の弾性部材の周方向の各位置における高さを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るコイン形二次電池1の構成を示す断面図である。コイン形二次電池1は、例えば、リフロー方式によるはんだ付け用の電池である。コイン形二次電池1は、はんだリフローにより配線基板等の対象物に電気的に接続されて実装される。これにより、コイン形二次電池1を備える電池付きデバイスが製造される。以下の説明では、図1中の上下方向を単に「上下方向」とも呼ぶ。当該上下方向は、コイン形二次電池1が実際に使用される際の重力方向と一致する必要はない。
【0021】
コイン形二次電池1は、正極2と、負極3と、電解質層4と、外装体5と、正極集電体62と、負極集電体63と、弾性部材7とを備える。電解質層4は、正極2と負極3との間に設けられる。外装体5は、内部に密閉空間を有する。正極2、負極3、電解質層4、正極集電体62、負極集電体63および弾性部材7は、当該密閉空間に収容される。
【0022】
外装体5は、正極缶51と、負極缶52と、ガスケット53とを備える。正極缶51は、平板部511と、周壁部512とを備える。平板部511は、略円板状である。周壁部512は、平板部511の外周縁から上方に突出する。正極缶51は、正極2を収容する容器である。負極缶52は、平板部521と、周壁部522とを備える。平板部521は、略円板状である。周壁部522は、平板部521の外周縁から下方に突出する。負極缶52は、負極3を収容する容器である。
【0023】
コイン形二次電池1では、正極缶51の平板部511、正極集電体62、正極2、電解質層4、負極3、負極集電体63、弾性部材7および負極缶52の平板部521が、図1中の下側からこの順に上下方向に並ぶ。後述するように、正極集電体62および負極集電体63は省略可能である。
【0024】
コイン形二次電池1では、負極3が電解質層4を挟んで正極2と対向するように、負極缶52と正極缶51とが対向して配置される。ガスケット53は、絶縁性であり、正極缶51の周壁部512と負極缶52の周壁部522との間に設けられる。正極缶51および負極缶52のそれぞれの板厚は、例えば、0.075~0.25mmである。このように、正極缶51および負極缶52の板厚を比較的小さくすることにより、薄型のコイン形二次電池1において、正極2および負極3における、ある程度の厚さを確保することができ、電池容量を大きくすることが容易に可能となる。
【0025】
弾性部材7は、可撓性を有する導電性の板部材である。図1の例示する弾性部材7は、金属製の薄板ばね(皿ばねとも呼ぶ。)である。弾性部材7の平面視における外形は略円形である。弾性部材7の形状の詳細については後述する。弾性部材7は、例えばステンレス鋼により形成される。弾性部材7は、他の金属(例えば、アルミニウム)により形成されてもよく、金属以外の導電性材料(例えば、導電性樹脂)により形成されてもよい。また、弾性部材7では、径方向の中央部に必要に応じて貫通孔が設けられてもよい。
【0026】
弾性部材7は、負極缶52の平板部521と、負極集電体63との間に挟まれる。また、弾性部材7および負極集電体63は、負極缶52の平板部521と、負極3との間に配置される。弾性部材7は、負極缶52の平板部521と、負極集電体63および負極3とから力を受けることにより弾性変形し、上下方向に圧縮されている。弾性部材7は、負極缶52の平板部521と負極3とを、負極集電体63を介して間接的に電気的に接続する。平板部521と、負極3および負極集電体63とは略平行である。
【0027】
コイン形二次電池1では、負極集電体63は省略可能である。負極集電体63が省略された場合、弾性部材7は、負極缶52の平板部521と負極3との間に圧縮された状態で配置され、負極3に直接的に接する。弾性部材7は、負極缶52の平板部521と負極3とを直接的に電気的に接続する。このように、弾性部材7は、負極3に間接的または直接的に接し、負極缶52の平板部521と負極3とを、直接的または間接的に電気的に接続する。なお、弾性部材7からの力は正極2側にも作用するため、正極集電体62も省略可能である。
【0028】
コイン形二次電池1が配線基板等の対象物に固定される際には、例えば、リフロー方式によりコイン形二次電池1が対象物にはんだ付けされる。このとき、コイン形二次電池1は、高温にて所定時間加熱されるため、外装体5の内部の圧力が高くなる。コイン形二次電池1では、弾性部材7を設けることにより、外装体5が膨張したとしても、負極3と負極缶52との間の導電性、および、正極2と正極缶51との間の導電性が確保される。
【0029】
図1に示す正極缶51および負極缶52は、金属製である。例えば、正極缶51および負極缶52は、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属板をプレス加工(絞り加工)することにより形成される。なお、外装体5において密閉空間が実現されるのであるならば、正極缶51および負極缶52のそれぞれにおいて、平板部511,521と、周壁部512,522とが他の手法により形成されてもよい。
【0030】
図1のコイン形二次電池1が製造される際には、正極缶51の周壁部512が、負極缶52の周壁部522の外側に配置される。そして、負極缶52の平板部521に下向きの荷重が加えられ、弾性部材7が上下方向に圧縮された状態で、正極缶51の周壁部512が径方向内方へと塑性変形される。このように、正極缶51の周壁部512がかしめられることにより、正極缶51がガスケット53を介して負極缶52に対して固定される。これにより、上記密閉空間が形成される。
【0031】
正極缶51の平板部511の面積は、負極缶52の平板部521の面積よりも大きい。また、正極缶51の周壁部512の円周は、負極缶52の周壁部522の円周よりも大きい。負極缶52の周壁部522の外周面は、ガスケット53により覆われるため、負極缶52の周壁部522において外気と接する部分は僅かである。ガスケット53は、周壁部512,522間に配置される環状部材である。ガスケット53は、周壁部522と正極2等との間にも充填される。ガスケット53は、例えばポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンサルファイド、パーフルオロアルコキシアルカン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の絶縁樹脂製である。中でも耐熱性に優れるポリフェニレンサルファイド、パーフルオロアルコキシアルカンが好ましい。ガスケット53は、他の絶縁材料により形成される部材であってもよい。
【0032】
コイン形二次電池1の厚さ、すなわち、正極缶51の平板部511の外面と、負極缶52の平板部521の外面との間の距離は、例えば、0.7mm以上かつ1.6mm以下である。コイン形二次電池1を実装した、後述の回路基板アセンブリの薄型化を図るには、コイン形二次電池1の厚さの上限値は、好ましくは1.4mmであり、より好ましくは1.2mmである。正極2および負極3において、ある程度の厚さを確保して電池容量を大きくするという観点では、コイン形二次電池1の厚さの下限値は、好ましくは0.8mmであり、より好ましくは0.9mmである。
【0033】
コイン形二次電池1の直径は、例えば10mm以上かつ20mm以下である。図1のコイン形二次電池1の直径は、正極缶51の平板部511の直径である。コイン形二次電池1を実装した電池付きデバイスの小型化を図るには、コイン形二次電池1の直径の上限値は、好ましくは18mmであり、より好ましくは16mmである。正極2および負極3において、ある程度のサイズを確保して電池容量を大きくするという観点では、コイン形二次電池1の直径の下限値は、好ましくは10.5mmであり、より好ましくは11mmである。
【0034】
後述するように、好ましいコイン形二次電池1では、正極2としてリチウム複合酸化物焼結体板が用いられ、負極3としてチタン含有焼結体板が用いられる。これにより、優れた耐熱性を有し、小型薄型でありながら高容量かつ高出力であり、しかも定電圧(CV)充電可能なコイン形リチウム二次電池が実現される。
【0035】
正極2は、例えば、焼結体板(すなわち、板状の焼結体)である。正極2が焼結体であるということは、正極2がバインダーや導電助剤を含んでいないことを意味する。これは、グリーンシートにバインダーが含まれていたとしても、焼成時にバインダーが消失または焼失するからである。正極2が焼結体であることにより、耐熱性を向上することができる。また、正極2がバインダーを含まないことにより、電解液42(後述)による正極2の劣化も抑制される。正極2は、多孔質である、すなわち、気孔を含むことが好ましい。
【0036】
好ましい正極2は、リチウム複合酸化物焼結体板である。リチウム複合酸化物は、コバルト酸リチウム(典型的にはLiCoOであり、以下、「LCO」と略称する。)であることが特に好ましい。上記リチウム複合酸化物焼結体板は、リチウム複合酸化物で構成される複数の一次粒子を含み、複数の一次粒子が正極の板面に対して0°より大きく、30°以下である平均配向角度で配向している、配向正極板であることが好ましい。
【0037】
正極2の厚さは60μm~450μmであるのが好ましく、より好ましくは70μm~350μm、さらに好ましくは90μm~300μmである。このような範囲内であると、単位面積当りの活物質容量を高めてコイン形二次電池1のエネルギー密度を向上するとともに、充放電の繰り返しに伴う電池特性の劣化(特に抵抗値の上昇)を抑制できる。
【0038】
負極3は、例えば、焼結体板(すなわち、板状の焼結体)である。負極3が焼結体であるということは、負極3がバインダーや導電助剤を含んでいないことを意味する。これは、グリーンシートにバインダーが含まれていたとしても、焼成時にバインダーが消失または焼失するからである。負極3が焼結体であることにより、耐熱性を向上することができる。また、負極3にバインダーが含まれず、負極活物質(後述のLTOまたはNbTiO等)の充填密度が高くなることで、高容量や良好な充放電効率を得ることができる。負極3は、多孔質である、すなわち、気孔を含むことが好ましい。
【0039】
好ましい負極3は、チタン含有焼結体板である。チタン含有焼結体板は、チタン酸リチウムLiTi12(以下、「LTO」という。)またはニオブチタン複合酸化物NbTiOを含むのが好ましく、より好ましくはLTOを含む。なお、LTOは典型的にはスピネル型構造を有するものとして知られているが、充放電時には他の構造も採りうる。例えば、LTOは充放電時にLiTi12(スピネル構造)とLiTi12(岩塩構造)の二相共存にて反応が進行する。したがって、LTOはスピネル構造に限定されるものではない。上記チタン含有焼結体板は、複数の(すなわち多数の)一次粒子が結合した構造を有している。したがって、これらの一次粒子がLTOまたはNbTiOで構成されるのが好ましい。
【0040】
負極3の厚さは、70μm~500μmが好ましく、好ましくは85μm~400μm、より好ましくは95μm~350μmである。LTO焼結体板が厚いほど、高容量および高エネルギー密度の電池を実現しやすくなる。負極3の厚さは、例えば、負極3の断面をSEM(走査電子顕微鏡)によって観察した場合における、略平行に観察される板面間の距離を測定することで得られる。
【0041】
図1に例示するコイン形二次電池1では、電解質層4が、セパレータ41と、電解液42とを備える。セパレータ41は、正極2と負極3との間に設けられる。セパレータ41は、多孔質であり、電解液42は、主としてセパレータ41に含浸される。正極2および負極3が多孔質である場合には、電解液42が正極2および負極3にも含浸される。電解液42は、正極2、負極3、セパレータ41等と外装体5との間の隙間に存在してもよい。
【0042】
セパレータ41は、セルロース製またはセラミック製のセパレータであるのが好ましい。セルロース製のセパレータは安価でかつ耐熱性に優れる点で有利である。また、セルロース製のセパレータは、広く用いられている、耐熱性に劣るポリオレフィン製セパレータとは異なり、それ自体の耐熱性に優れるだけでなく、耐熱性に優れる電解液成分であるγ-ブチロラクトン(GBL)に対する濡れ性にも優れる。したがって、GBLを含む電解液を用いる場合に、電解液をセパレータに(弾かせることなく)十分に浸透させることができる。一方、セラミック製のセパレータは、耐熱性に優れるのは勿論のこと、正極2および負極3と一緒に全体として1つの一体焼結体として製造できる利点がある。セラミックセパレータの場合、セパレータを構成するセラミックはMgO、Al、ZrO、SiC、Si、AlNおよびコーディエライトから選択される少なくとも1種であるのが好ましく、より好ましくはMgO、AlおよびZrOから選択される少なくとも1種である。
【0043】
電解液42は特に限定されず、コイン形二次電池1がリチウム二次電池である場合は、有機溶媒等の非水溶媒中にリチウム塩を溶解させた液等、リチウム電池用の市販の電解液を使用すればよい。特に、耐熱性に優れた電解液が好ましく、そのような電解液は、非水溶媒中にホウフッ化リチウム(LiBF)を含むものが好ましい。この場合、好ましい非水溶媒は、γ-ブチロラクトン(GBL)、エチレンカーボネート(EC)およびプロピレンカーボネート(PC)からなる群から選択される少なくとも1種であり、より好ましくはECおよびGBLからなる混合溶媒、PCからなる単独溶媒、PCおよびGBLからなる混合溶媒、または、GBLからなる単独溶媒であり、特に好ましくはECおよびGBLからなる混合溶媒、または、GBLからなる単独溶媒である。
【0044】
非水溶媒はγ-ブチロラクトン(GBL)を含むことで沸点が上昇し、耐熱性の大幅な向上をもたらす。かかる観点から、ECおよび/またはGBL含有非水溶媒におけるEC:GBLの体積比は0:1~1:1(GBL比率50体積%~100体積%)であるのが好ましく、より好ましくは0:1~1:1.5(GBL比率60体積%~100体積%)、さらに好ましくは0:1~1:2(GBL比率66.6体積%~100体積%)、特に好ましくは0:1~1:3(GBL比率75体積%~100体積%)である。非水溶媒中に溶解されるホウフッ化リチウム(LiBF)は分解温度の高い電解質であり、これもまた耐熱性の大幅な向上をもたらす。電解液42におけるLiBF濃度は0.5mol/L~2mol/Lであるのが好ましく、より好ましくは0.6mol/L~1.9mol/L、さらに好ましくは0.7mol/L~1.7mol/L、特に好ましくは0.8mol/L~1.5mol/Lである。
【0045】
電解液42は添加剤としてビニレンカーボネート(VC)および/またはフルオロエチレンカーボネート(FEC)および/またはビニルエチレンカーボネート(VEC)をさらに含むものであってもよい。VCおよびFECはいずれも耐熱性に優れる。したがって、かかる添加剤を電解液42が含むことで、耐熱性に優れたSEI膜を負極3表面に形成させることができる。
【0046】
コイン形二次電池1に正極集電体62および/または負極集電体63が設けられる場合、その材質や形状は特に限定されないが、好ましくは、集電体は銅箔やアルミニウム箔等の金属箔である。また、正極2と正極集電体62との間には接触抵抗低減の観点から正極側カーボン層621が設けられるのが好ましい。同様に、負極3と負極集電体63との間には接触抵抗低減の観点から負極側カーボン層631が設けられるのが好ましい。正極側カーボン層621および負極側カーボン層631はいずれも導電性カーボンで構成されるのが好ましく、例えば導電性カーボンペーストをスクリーン印刷等により塗布することにより形成すればよい。その他の手法として、金属やカーボンを電極集電面にスパッタにて形成してもよい。金属種として、Au、Pt、Alなどが一例として挙げられる。
【0047】
図2は、弾性部材7を示す平面図である。図3は、弾性部材7を図2中のIII-IIIの位置にて切断した断面図である。図2および図3では、弾性部材7が圧縮も伸張もされていない自由状態を描いている(図6~9,11~12,14~15,17~18,20~21においても同様)。弾性部材7の平面視における外形は、中心Cを中心とする略円形である。以下の説明では、中心Cを通って図2中の左右方向に延びる直径に平行な方向を「第1の径方向」と呼ぶ。また、中心Cを通って図2中の上下方向に延びる直径に平行な方向を「第2の径方向」と呼ぶ。第2の径方向は、第1の径方向に直交する。弾性部材7は、上下方向に凸である複数の凸部71,72を備える。当該複数の凸部71,72は、上下方向に弾性変形可能である。図3では、弾性部材7の上下方向の高さを実際よりも強調して描いている(図7,9,12,15,18,20においても同様)。
【0048】
弾性部材7の平面視における直径は、例えば9.900mm以上かつ19.850mm以下であり、好ましくは9.900mm以上かつ17.815mm以下であり、より好ましくは9.900mm以上かつ17.600mm以下である。弾性部材7を形成する金属板の厚さ(以下、単に「弾性部材7の板厚」とも呼ぶ。)は、例えば0.027mm以上かつ0.103mm以下であり、好ましくは0.047mm以上かつ0.083mm以下であり、より好ましくは0.047mm以上かつ0.053mm以下である。図2および図3に示す例では、弾性部材7の板厚は、弾性部材7の全面に亘って略同じである。
【0049】
弾性部材7の自由高さ(すなわち、圧縮も伸張もされていない自由状態における上下方向の高さ)は、例えば0.054mm以上かつ0.900mm以下であり、好ましくは0.190mm以上かつ0.620mm以下であり、より好ましくは0.190mm以上かつ0.290mm以下である。弾性部材7の表面粗さは、例えば1.0μm以上かつ30.0μm以下であり、好ましくは3.0μm以上かつ10.0μm以下である。当該表面粗さは、中心線平均粗さ(Ra)であり、以下の説明においても同様である。図2および図3に示す例では、弾性部材7の表面粗さは、弾性部材7の全面に亘って略同じである。
【0050】
以下の説明では、弾性部材7の凸部71,72をそれぞれ、「第1凸部71」および「第2凸部72」とも呼ぶ。図3に示す例では、弾性部材7は、上側に向かって凸である2つの第1凸部71および1つの第2凸部72を備える。2つの第1凸部71と1つの第2凸部72とは、第1の径方向に略平行な所定の配列方向に交互に並んでいる。換言すれば、当該配列方向において、第2凸部72の両側に2つの第1凸部71が隣接して配置される。2つの第1凸部71は、配列方向の両端部に位置し、第2凸部72は、当該2つの第1凸部71の間において、弾性部材7の中心C上に位置する。
【0051】
第1凸部71および第2凸部72のそれぞれは、第2の径方向(すなわち、配列方向に略垂直な方向)に略直線状に延びる。換言すれば、弾性部材7は、3つの直線状の凸部71,72が、当該凸部71,72の長手方向に略垂直な配列方向に並ぶ波板である。当該波板では、各第1凸部71および第2凸部72はいわゆる「山部」であり、各第1凸部71と第2凸部72との間の部位はいわゆる「谷部」である。第1凸部71は、略円板状の弾性部材7の周縁の一部から、長手方向に延びて、弾性部材7の周縁の当該一部と長手方向に対向する位置に位置する他の一部に到る。第2凸部72についても同様である。
【0052】
なお、弾性部材7では、第1凸部71の数は1または3以上であってもよく、第2凸部72の数は2以上であってもよい。また、弾性部材7では、3つ以上の凸部71,72が、上述の配列方向に並んでいてもよい。この場合、第1凸部71と第2凸部72とは必ずしも交互に配置される必要はなく、第1凸部71同士および/または第2凸部72同士が配列方向にて隣接していてもよい。
【0053】
図2および図3に示す例では、各第1凸部71および第2凸部72の配列方向の幅は略同じである。以下の説明では、当該配列方向を「幅方向」とも呼ぶ。各第1凸部71および第2凸部72の自由状態における上下方向の高さ(すなわち、自由高さ)は略同じである。また、各第1凸部71および第2凸部72の板厚および表面粗さも略同じである。
【0054】
各第1凸部71の頂部(すなわち、上端部)は、上下方向に略垂直な平面部711である。平面部711は、第1凸部71の長手方向(すなわち、第2の径方向)の略全長に亘って設けられる。平面部711の第1の径方向における幅は、当該長手方向の略全長に亘って略一定である。第2凸部72の頂部(すなわち、上端部)は、上下方向に略垂直な平面部721である。平面部721は、第凸部72の長手方向(すなわち、第2の径方向)の略全長に亘って設けられる。平面部721の第1の径方向における幅は、当該長手方向の略全長に亘って略一定である。
【0055】
コイン形二次電池1が製造される際には、正極缶51上に負極缶52が配置されるよりも前に、弾性部材7の2つの第1凸部71の平面部711、および、第2凸部72の平面部721のうち、少なくとも1つ以上の平面部(例えば、第2凸部72の平面部721)が、負極缶52の平板部521と溶接されて固定される。これにより、負極缶52および弾性部材7をまとめて取り扱うことができるため、コイン形二次電池1の製造を簡素化することができる。なお、平面部711,721のうち、負極缶52の平板部521と溶接されない平面部は省略されてもよい。
【0056】
各第1凸部71の上端部の曲率(すなわち、平面部711が設けられないと仮定した場合の頂部における曲率)と、第2凸部72の上端部の曲率(すなわち、平面部721が設けられないと仮定した場合の頂部における曲率)とは、略同じである。以下の説明では、第1凸部71および第2凸部72について、上端部の曲率を単に「曲率」と呼ぶ。なお、第1凸部71から平面部711が省略される場合、第1凸部71の曲率は、第1凸部71の実際の頂部における曲率である。第2凸部72の曲率についても同様である。
【0057】
図4は、コイン形二次電池1の弾性部材7近傍の部位を拡大して示す図である。図4では、弾性部材7の上下方向の高さを実際よりも強調して描いている(図5,10,13,16,19においても同様)。図4に示す例では、負極缶52の平板部521が比較的薄肉の弾性変形しやすい部材で形成されており、平板部521の径方向中央部が周縁部に比べて上方に突出している。換言すれば、平板部521は、径方向中央部が上側に向かって凸となるように変形している。負極3および負極集電体63と、負極缶52の平板部521下面との間の空間を「弾性部材用空間70」と呼ぶと、弾性部材用空間70の径方向中央部の上下方向の高さは、弾性部材用空間70の周縁部の上下方向の高さよりも高い。図4では、平板部521の上下方向における変形を実施よりも強調して描いている。
【0058】
上述のように、弾性部材7は、負極缶52の平板部521と負極3との間において、上下方向に圧縮されて弾性変形しており、各第1凸部71および第2凸部72の頂部は、負極缶52の平板部521と接触している。図4に示す例では、幅方向の中央部に位置する第2凸部72の頂部は、幅方向の端部に位置する各第1凸部71の頂部よりも上側に位置する。すなわち、弾性部材7の第2凸部72の縦変位量(すなわち、負極3と平板部521との間における圧縮による上下方向の変位量)は、第1凸部71の縦変位量よりも小さい。このため、第2凸部72に作用している圧縮応力と第2凸部72の降伏応力との差は、各第1凸部71に作用している圧縮応力と第1凸部71の降伏応力との差よりも大きい。以下の説明では、各凸部71,72に作用している圧縮応力と降伏応力との差を「降伏マージン」とも呼ぶ。
【0059】
コイン形二次電池1では、上述のように、第2凸部72の降伏マージンが各第1凸部71の降伏マージンよりも大きいため、コイン形二次電池1の経時変化等により弾性部材7が降伏する際に、2つの第1凸部71が先に降伏し、第2凸部72は弾性変形した状態で一定期間残存する。換言すれば、第1凸部71と第2凸部72とで、降伏するタイミングをずらすことができる。その結果、各第1凸部71および第2凸部72の降伏マージンが略同じであり、各第1凸部71および第2凸部72が略同時に降伏する場合に比べて、負極缶52の平板部521と負極3との電気的接続を長期間に亘って維持することができ、コイン形二次電池1を長寿命化することができる。
【0060】
コイン形二次電池1では、弾性部材7は、必ずしも負極3と負極缶52の平板部521との間に配置される必要はなく、正極缶51の平板部511と、正極集電体62および正極2との間に配置されてもよい。この場合、弾性部材7は、正極缶51の平板部511と、正極集電体62および正極2とから力を受けることにより弾性変形し、上下方向に圧縮される。弾性部材7は、正極缶51の平板部511と正極2とを、正極集電体62を介して間接的に電気的に接続する。なお、正極集電体62が省略される場合、弾性部材7は、正極缶51の平板部511と正極2とを直接的に電気的に接続する。いずれの場合であっても、正極缶51の平板部511は、図4に示す負極缶52の平板部521と略同様に変形し、弾性部材7の形状も、図4に示すものと略同じである。その結果、上述のように、コイン形二次電池1を長寿命化することができる。
【0061】
以上に説明したように、コイン形二次電池1は、正極2と、負極3と、電解質層4と、外装体5と、導電性の弾性部材7と、を備える。正極2および負極3は、上下方向に並ぶ。電解質層4は、正極2と負極3との間に設けられる。外装体5は、正極2、負極3および電解質層4を収容する密閉空間を有する。弾性部材7は、正極2および負極3のうち一方の電極と、外装体5の平板部(すなわち、平板部511または平板部521)との間に、上下方向に圧縮された状態で配置される。弾性部材7は、当該一方の電極と当該平板部とを間接的または直接的に電気的に接続する。弾性部材7は、上下方向に凸である複数の凸部を備える。当該複数の凸部は、第1凸部71と、上下方向に作用している圧縮応力と降伏応力との差である降伏マージンが第1凸部71と異なる第2凸部72と、を備える。
【0062】
これにより、コイン形二次電池1の経時変化等により弾性部材7が降伏する際に、第1凸部71が降伏するタイミングと、第2凸部72が降伏するタイミングとをずらすことができる。上記例では、第2凸部72の降伏マージンは第1凸部71の降伏マージンよりも大きい。このため、第1凸部71が先に降伏し、第2凸部72は弾性変形した状態で一定期間残存する。その結果、第1凸部71および第2凸部72の降伏マージンが略同じであり、第1凸部71および第2凸部72が略同時に降伏する場合に比べて、負極缶52の平板部521と負極3との電気的接続、および、正極缶51の平板部511と正極2との電気的接続を、長期間に亘って維持することができる。詳細には、コイン形二次電池1が、使用温度環境の変化(充放電状態によるものを含む。)にさらされた場合、早く降伏する第1凸部71は、コイン形二次電池1の使用初期には導通(すなわち、負極缶52の平板部521と負極3との電気的接続、および、正極缶51の平板部511と正極2との電気的接続)に十分寄与するが、時間の経過と共に次第に弱くなり、導通への寄与度が低下する。しかしながら、弾性部材7では、第1凸部71以外に、遅く降伏する第2凸部72が存在するため、第1凸部71により導通が確保できなくなったとしても、第2凸部72により導通を確保することができる。したがって、コイン形二次電池1を長寿命化することができる。
【0063】
上述のように、コイン形二次電池1では、上記一方の電極と上記平板部との間における圧縮による上下方向の変位量である縦変位量について、第2凸部72の縦変位量と第1凸部71の縦変位量とが異なる。これにより、第2凸部72の降伏マージンと第1凸部71の降伏マージンとを容易に異ならせることができる。上記例では、第2凸部72の縦変位量は、第1凸部71の縦変位量よりも小さい。したがって、第2凸部72の降伏マージンを、第1凸部71の降伏マージンよりも容易に大きくすることができる。その結果、コイン形二次電池1の構造を過剰に複雑化することなく、コイン形二次電池1の長寿命化を実現することができる。
【0064】
上述のように、好ましくは、上記複数の凸部は、一の径方向(上記例では、第1の径方向)に平行な所定の配列方向に並ぶ3つ以上の凸部であり、第1凸部71および第2凸部72のうち降伏マージンが大きい方の凸部(上記例では、第2凸部72)は、当該複数の凸部のうち、配列方向の両端部に位置する凸部以外の凸部である。これにより、当該降伏マージンが大きい方の凸部が配列方向の端部に位置する場合に比べて、当該凸部の面積を大きくすることができる。したがって、コイン形二次電池1の経時変化等により降伏マージンが小さい方の凸部(上記例では、第1凸部71)が降伏した後であっても、上記平板部と弾性部材7との接触面積を比較的大きく維持することができる。その結果、コイン形二次電池1における電気的接続(すなわち、負極3と平板部521との電気的接続、および、正極2と平板部511との電気的接続)の長期的な信頼性を向上することができる。後述する弾性部材7a~7eを備えるコイン形二次電池1aにおいても同様である。
【0065】
上述のように、好ましくは、上記複数の凸部(すなわち、第1凸部71および第2凸部72)は、一の径方向(上記例では、第1の径方向)に平行な所定の配列方向に並び、当該複数の凸部のそれぞれは、配列方向に垂直な方向に直線状に延びる。これにより、弾性部材7の形状を簡素化することができる。その結果、コイン形二次電池1の製造を容易とすることができる。後述する弾性部材7a~7eを備えるコイン形二次電池1aにおいても同様である。
【0066】
上述のように、好ましくは、上記複数の凸部(すなわち、第1凸部71および第2凸部72)のうち、少なくとも1つの凸部の頂部は、上下方向に垂直な平面部(すなわち、平面部711または平面部721)であり、上述の平板部(すなわち、外装体5の平板部511または平板部521)と溶接される。これにより、弾性部材7において、外装体5との溶接部位の面積を大きくして、当該溶接部位における応力集中を抑制することができる。また、スパッタ等による弾性部材7の強度低下を抑制しつつ、弾性部材7と外装体5とを接合することができる。後述する弾性部材7a~7dを備えるコイン形二次電池1aにおいても同様である。
【0067】
上述のように、コイン形二次電池1では、自由状態における複数の凸部(すなわち、第1凸部71および第2凸部72)の高さが同じであることが好ましい。これにより、弾性部材7の形状を簡素化することができる。その結果、コイン形二次電池1の製造を容易とすることができる。後述する弾性部材7b~7eを備えるコイン形二次電池1aにおいても同様である。
【0068】
次に、本発明の第2の実施の形態に係るコイン形二次電池1aについて説明する。図5は、コイン形二次電池1aの弾性部材7a近傍の部位を拡大して示す断面図である。コイン形二次電池1aでは、図2および図3に示す弾性部材7に代えて、弾性部材7とは構造が異なる弾性部材7aが設けられる。また、負極缶52の平板部521aが、比較的厚肉の弾性変形しにくい部材で形成されており、平板部521aは上下方向に略垂直に広がる。したがって、弾性部材用空間70aの高さは、全体に亘って略一定である。コイン形二次電池1aの他の構成はコイン形二次電池1と同様であり、以下の説明では、対応する構成に同符号を付す。
【0069】
図6および図7はそれぞれ、弾性部材7aを示す平面図および断面図である。弾性部材7aは、弾性部材7と同様に、平面視において略円形の薄板ばねである。弾性部材7aは、2つの第1凸部71aおよび1つの第2凸部72aを備える。2つの第1凸部71aは、上述の第1凸部71と同様に、配列方向(すなわち、上述の第1の径方向)の両端部に位置する。第2凸部72aは、上述の第2凸部72と同様に、当該2つの第1凸部71aの間において、弾性部材7aの中心C上に位置する。第1凸部71aおよび第2凸部72aのそれぞれは、上述の第2の径方向(すなわち、配列方向に略垂直な方向)に略直線状に延びる。各第1凸部71aおよび第2凸部72aの配列方向の幅は略同じである。また、各第1凸部71aおよび第2凸部72aの板厚および表面粗さも略同じである。
【0070】
弾性部材7aでは、第1凸部71aおよび第2凸部72aの自由高さが異なる。図7に示す例では、各第1凸部71aの自由高さは、第2凸部72aの自由高さよりも高い。このため、図5に示すように、弾性部材用空間70aの高さが全体的に一定である場合、弾性部材用空間70aに収容された弾性部材7aにおいて、各第1凸部71aの縦変位量は、第2凸部72aの縦変位量よりも大きい。したがって、第2凸部72aの降伏マージン(すなわち、上下方向に作用している圧縮応力と降伏応力との差)は、第1凸部71aの降伏マージンよりも大きい。
【0071】
コイン形二次電池1aでは、弾性部材7aは、必ずしも負極3と負極缶52の平板部521aとの間に配置される必要はなく、正極缶51の平板部511と正極2(図1参照)との間に配置されてもよい。この場合、弾性部材7aは、上下方向に圧縮された状態で、正極缶51の平板部511と正極2とを間接的または直接的に電気的に接続する。正極缶51の平板部511は、図5に示す負極缶52の平板部521aと略同様に上下方向に略垂直であるため、弾性部材7aの形状も、図5に示すものと略同じである。
【0072】
以上に説明したように、コイン形二次電池1aでは、コイン形二次電池1と同様に、弾性部材7aは、上下方向に凸である複数の凸部を備え、当該複数の凸部は、第1凸部71aと、降伏マージンが第1凸部71aと異なる第2凸部72aと、を備える。これにより、コイン形二次電池1aの経時変化等により弾性部材7aが降伏する際に、第1凸部71aが降伏するタイミングと、第2凸部72aが降伏するタイミングとをずらすことができる。上記例では、第1凸部71aが先に降伏し、第2凸部72aは弾性変形した状態で一定期間残存する。その結果、第1凸部71aおよび第2凸部72aの降伏マージンが略同じであり、第1凸部71aおよび第2凸部72aが略同時に降伏する場合に比べて、負極缶52の平板部521aと負極3との電気的接続、および、正極缶51の平板部511と正極2(図1参照)との電気的接続を、長期間に亘って維持することができる。したがって、コイン形二次電池1aを長寿命化することができる。
【0073】
上述のように、コイン形二次電池1aでは、第2凸部72aの縦変位量と第1凸部71aの縦変位量とが異なる。これにより、第2凸部72aの降伏マージンと第1凸部71aの降伏マージンとを容易に異ならせることができる。上記例では、第2凸部72aの縦変位量は、第1凸部71aの縦変位量よりも小さい。したがって、第2凸部72aの降伏マージンを、第1凸部71aの降伏マージンよりも容易に大きくすることができる。その結果、コイン形二次電池1aの構造を過剰に複雑化することなく、コイン形二次電池1aの長寿命化を実現することができる。
【0074】
なお、弾性部材7aは、コイン形二次電池1(図1参照)において、径方向中央部が高い弾性部材用空間70に配置されてもよい。この場合も、第2凸部72aの縦変位量は、第1凸部71aの縦変位量よりも小さい。したがって、第2凸部72aの降伏マージンは、第1凸部71aの降伏マージンよりも大きいため、第1凸部71aが先に降伏し、第2凸部72aは弾性変形した状態で一定期間残存する。
【0075】
弾性部材7aでは、第2凸部72aの自由高さは、各第1凸部71aの自由高さよりも高くてもよい。この場合、コイン形二次電池1aの弾性部材用空間70a(図5参照)に収容された弾性部材7aにおいて、第2凸部72aの縦変位量は、各第1凸部71aの縦変位量よりも大きい。したがって、第2凸部72aの降伏マージンは、第1凸部71aの降伏マージンよりも小さいため、第2凸部72aが先に降伏し、第1凸部71aは弾性変形した状態で一定期間残存する。なお、当該弾性部材7aは、コイン形二次電池1の弾性部材用空間70(図1参照)に配置されてもよい。
【0076】
上述のコイン形二次電池1,1aでは、弾性部材7,7aと構造が異なる弾性部材が設けられてもよい。以下、弾性部材7,7aとは異なる構造を有する弾性部材7b~7eについて説明する。
【0077】
図8および図9はそれぞれ、本発明に関連する技術に係る弾性部材7bを示す平面図および断面図である。弾性部材7bは、弾性部材7と同様に、平面視において略円形の薄板ばねである。弾性部材7bは、2つの第1凸部71bおよび1つの第2凸部72bを備える。2つの第1凸部71bは、上述の第1凸部71と同様に、配列方向(すなわち、上述の第1の径方向)の両端部に位置する。第2凸部72bは、上述の第2凸部72と同様に、当該2つの第1凸部71bの間において、弾性部材7bの中心C上に位置する。第1凸部71bおよび第2凸部72bのそれぞれは、上述の第2の径方向(すなわち、配列方向に略垂直な方向)に略直線状に延びる。各第1凸部71bおよび第2凸部72bの自由高さは略同じである。また、各第1凸部71bおよび第2凸部72bの板厚および表面粗さも略同じである。
【0078】
弾性部材7bでは、第1凸部71bおよび第2凸部72bの配列方向の幅(以下、単に「幅」とも呼ぶ。)が異なるため、第1凸部71bの上下方向におけるバネ定数は、第2凸部72bのバネ定数と異なる。図8および図9に示す例では、第2凸部72bの幅は、各第1凸部71bの幅よりも大きいため、第2凸部72bのバネ定数は、第1凸部71bのバネ定数よりも小さい。
【0079】
図10に示すように、上述のコイン形二次電池1aにおいて、高さ略一定の弾性部材用空間70aに弾性部材7bが配置されると、各第1凸部71bの縦変位量は、第2凸部72bの縦変位量と略同じである。このため、バネ定数が大きい第1凸部71bに対して上下方向に作用する圧縮応力は、バネ定数が小さい第2凸部72bに対して上下方向に作用する圧縮応力よりも大きい。したがって、第2凸部72bの降伏マージンは、第1凸部71bの降伏マージンよりも大きい。
【0080】
このように、弾性部材7bの複数の凸部が、第1凸部71bと、降伏マージンが第1凸部71bと異なる第2凸部72bと、を備えることにより、コイン形二次電池1aの経時変化等により弾性部材7bが降伏する際に、第1凸部71bが降伏するタイミングと、第2凸部72bが降伏するタイミングとをずらすことができる。上記例では、第1凸部71bが先に降伏し、第2凸部72bは弾性変形した状態で一定期間残存する。その結果、コイン形二次電池1aを長寿命化することができる。
【0081】
上述のように、弾性部材7bがコイン形二次電池1aに設けられる場合、第2凸部72bのバネ定数と第1凸部71bのバネ定数とが異なることにより、第2凸部72bの降伏マージンと第1凸部71bの降伏マージンとを容易に異ならせることができる。その結果、コイン形二次電池1aの構造を過剰に複雑化することなく、コイン形二次電池1aの長寿命化を実現することができる。
【0082】
上述のように、弾性部材7bでは、第1凸部71bおよび第2凸部72bのバネ定数の差は、第1凸部71bおよび第2凸部72bの幅の差による。これにより、第1凸部71bのバネ定数と第2凸部72bのバネ定数とを容易に異ならせることができる。
【0083】
なお、弾性部材7bは、コイン形二次電池1(図1参照)において、径方向中央部が高い弾性部材用空間70に配置されてもよい。この場合、第2凸部72bのバネ定数および縦変位量が、第1凸部71bのバネ定数および縦変位量よりも小さい。このため、第2凸部72bに対して上下方向に作用する圧縮応力は、第1凸部71bに対して上下方向に作用する圧縮応力よりも小さい。したがって、第2凸部72bの降伏マージンは、第1凸部71bの降伏マージンよりも大きいため、第1凸部71bが先に降伏し、第2凸部72bは弾性変形した状態で一定期間残存する。
【0084】
弾性部材7bでは、第2凸部72bの幅が、各第1凸部71bの幅よりも小さくてもよい。この場合、第2凸部72bのバネ定数が第1凸部71bのバネ定数よりも大きくなる。したがって、コイン形二次電池1aの弾性部材用空間70a(図10参照)に収容された弾性部材7bにおいて、第2凸部72bに作用する上下方向の圧縮応力は、第1凸部71bに作用する上下方向の圧縮応力よりも大きい。その結果、第2凸部72bの降伏マージンが第1凸部71bの降伏マージンよりも小さくなり、第2凸部72bが先に降伏し、第1凸部71bは弾性変形した状態で一定期間残存する。なお、当該弾性部材7bは、コイン形二次電池1の弾性部材用空間70(図1参照)に配置されてもよい。
【0085】
図11および図12はそれぞれ、弾性部材7cを示す平面図および断面図である。弾性部材7cは、弾性部材7と同様に、平面視において略円形の薄板ばねである。弾性部材7cは、2つの第1凸部71cおよび1つの第2凸部72cを備える。2つの第1凸部71cは、上述の第1凸部71と同様に、配列方向(すなわち、上述の第1の径方向)の両端部に位置する。第2凸部72cは、上述の第2凸部72と同様に、当該2つの第1凸部71cの間において、弾性部材7cの中心C上に位置する。第1凸部71cおよび第2凸部72cのそれぞれは、上述の第2の径方向(すなわち、配列方向に略垂直な方向)に略直線状に延びる。各第1凸部71cおよび第2凸部72cの自由高さは略同じである。各第1凸部71cおよび第2凸部72cの配列方向の幅は略同じである。また、各第1凸部71cおよび第2凸部72cの表面粗さも略同じである。
【0086】
弾性部材7cでは、第1凸部71cおよび第2凸部72cの板厚が異なるため、第1凸部71cのバネ定数は、第2凸部72cのバネ定数と異なる。図12に示す例では、第2凸部72cの板厚は、各第1凸部71cの板厚よりも薄いため、第2凸部72cのバネ定数は、第1凸部71cのバネ定数よりも小さい。
【0087】
図13に示すように、上述のコイン形二次電池1aにおいて、高さ略一定の弾性部材用空間70aに弾性部材7cが配置されると、各第1凸部71cの縦変位量は、第2凸部72cの縦変位量と略同じである。このため、バネ定数が大きい第1凸部71cに対して上下方向に作用する圧縮応力は、バネ定数が小さい第2凸部72cに対して上下方向に作用する圧縮応力よりも大きい。したがって、第2凸部72cの降伏マージンは、第1凸部71cの降伏マージンよりも大きい。
【0088】
このように、弾性部材7cの複数の凸部が、第1凸部71cと、降伏マージンが第1凸部71cと異なる第2凸部72cと、を備えることにより、コイン形二次電池1aの経時変化等により弾性部材7cが降伏する際に、第1凸部71cが降伏するタイミングと、第2凸部72cが降伏するタイミングとをずらすことができる。上記例では、第1凸部71cが先に降伏し、第2凸部72cは弾性変形した状態で一定期間残存する。その結果、コイン形二次電池1aを長寿命化することができる。
【0089】
上述のように、弾性部材7cがコイン形二次電池1aに設けられる場合、第2凸部72cのバネ定数と第1凸部71cのバネ定数とが異なることにより、第2凸部72cの降伏マージンと第1凸部71cの降伏マージンとを容易に異ならせることができる。その結果、コイン形二次電池1aの構造を過剰に複雑化することなく、コイン形二次電池1aの長寿命化を実現することができる。
【0090】
上述のように、弾性部材7cでは、第1凸部71cおよび第2凸部72cのバネ定数の差は、第1凸部71cおよび第2凸部72cの板厚の差による。これにより、第1凸部71cのバネ定数と第2凸部72cのバネ定数とを容易に異ならせることができる。
【0091】
なお、弾性部材7cは、コイン形二次電池1(図1参照)において、径方向中央部が高い弾性部材用空間70に配置されてもよい。この場合、第2凸部72cのバネ定数および縦変位量が、第1凸部71cのバネ定数および縦変位量よりも小さい。このため、第2凸部72cに対して上下方向に作用する圧縮応力は、第1凸部71cに対して上下方向に作用する圧縮応力よりも小さい。したがって、第2凸部72cの降伏マージンは、第1凸部71cの降伏マージンよりも大きいため、第1凸部71cが先に降伏し、第2凸部72cは弾性変形した状態で一定期間残存する。
【0092】
弾性部材7cでは、第2凸部72cの板厚が、各第1凸部71cの板厚よりも大きくてもよい。この場合、第2凸部72cのバネ定数が第1凸部71cのバネ定数よりも大きくなる。したがって、コイン形二次電池1aの弾性部材用空間70a(図13参照)に収容された弾性部材7cにおいて、第2凸部72cに作用する上下方向の圧縮応力は、第1凸部71cに作用する上下方向の圧縮応力よりも大きい。その結果、第2凸部72cの降伏マージンが第1凸部71cの降伏マージンよりも小さくなり、第2凸部72cが先に降伏し、第1凸部71cは弾性変形した状態で一定期間残存する。なお、当該弾性部材7cは、コイン形二次電池1の弾性部材用空間70(図1参照)に配置されてもよい。
【0093】
図14および図15はそれぞれ、弾性部材7dを示す平面図および断面図である。弾性部材7dは、弾性部材7と同様に、平面視において略円形の薄板ばねである。弾性部材7dは、2つの第1凸部71dおよび1つの第2凸部72dを備える。2つの第1凸部71dは、上述の第1凸部71と同様に、配列方向(すなわち、上述の第1の径方向)の両端部に位置する。第2凸部72dは、上述の第2凸部72と同様に、当該2つの第1凸部71dの間において、弾性部材7dの中心C上に位置する。第1凸部71dおよび第2凸部72dのそれぞれは、上述の第2の径方向(すなわち、配列方向に略垂直な方向)に略直線状に延びる。各第1凸部71dおよび第2凸部72dの自由高さは略同じである。各第1凸部71dおよび第2凸部72dの配列方向の幅は略同じである。また、各第1凸部71dおよび第2凸部72dの板厚も略同じである。
【0094】
弾性部材7dでは、第1凸部71dおよび第2凸部72dの表面粗さが異なる。このため、コイン形二次電池1aがはんだリフローにより対象物に実装される際や、温度変化環境下にさらされて熱膨張が繰り返し生じる場合等に、外装体5(図1参照)から第1凸部71dに伝導する熱量と、外装体5から第2凸部72dに伝導する熱量とが異なる。したがって、外装体5から伝導する熱(すなわち、外装体5からの入熱)によるヤング率の低下の程度が、第1凸部71dと第2凸部72dとで異なる。
【0095】
図14および図15に示す例では、第1凸部71dの表面粗さは、第2凸部72dの表面粗さよりも大きい。このため、第2凸部72dに対する入熱量は第1凸部71dに対する入熱量よりも大きくなり、第2凸部72dのヤング率は第1凸部71dのヤング率よりも大きく低下する。したがって、第2凸部72dのヤング率は、第1凸部71dのヤング率よりも小さくなる。その結果、第2凸部72dのバネ定数は、第1凸部71dのバネ定数よりも小さくなる。図14では、表面粗さが大きい第1凸部71dに平行斜線を付し、図15では、第1凸部71dの表面(すなわち、上面)を破線にて描いている。
【0096】
図16に示すように、上述のコイン形二次電池1aにおいて、高さ略一定の弾性部材用空間70aに弾性部材7dが配置されると、各第1凸部71dの縦変位量は、第2凸部72dの縦変位量と略同じである。このため、ヤング率が大きい第1凸部71dに対して上下方向に作用する圧縮応力は、ヤング率が小さい第2凸部72dに対して上下方向に作用する圧縮応力よりも大きい。したがって、第2凸部72dの降伏マージンは、第1凸部71dの降伏マージンよりも大きい。
【0097】
このように、弾性部材7dの複数の凸部が、第1凸部71dと、降伏マージンが第1凸部71dと異なる第2凸部72dと、を備えることにより、コイン形二次電池1aの経時変化等により弾性部材7dが降伏する際に、第1凸部71dが降伏するタイミングと、第2凸部72dが降伏するタイミングとをずらすことができる。上記例では、第1凸部71dが先に降伏し、第2凸部72dは弾性変形した状態で一定期間残存する。その結果、コイン形二次電池1aを長寿命化することができる。
【0098】
上述のように、弾性部材7dがコイン形二次電池1aに設けられる場合、第2凸部72dのヤング率と第1凸部71dのヤング率とが異なることにより、第2凸部72dの降伏マージンと第1凸部71dの降伏マージンとを容易に異ならせることができる。その結果、コイン形二次電池1aの構造を過剰に複雑化することなく、コイン形二次電池1aの長寿命化を実現することができる。
【0099】
上述のように、弾性部材7dでは、第1凸部71dおよび第2凸部72dのバネ定数の差は、第1凸部71dおよび第2凸部72dのヤング率の差によっており、第1凸部71dおよび第2凸部72dのヤング率の差は、第1凸部71dおよび第2凸部72dの表面粗さの差による。これにより、第1凸部71dのバネ定数およびヤング率と第2凸部72dのバネ定数およびヤング率とを容易に異ならせることができる。
【0100】
なお、弾性部材7dは、コイン形二次電池1(図1参照)において、径方向中央部が高い弾性部材用空間70に配置されてもよい。この場合、第2凸部72dのバネ定数および縦変位量が、第1凸部71dのバネ定数および縦変位量よりも小さい。このため、第2凸部72dに対して上下方向に作用する圧縮応力は、第1凸部71dに対して上下方向に作用する圧縮応力よりも小さい。したがって、第2凸部72dの降伏マージンは、第1凸部71dの降伏マージンよりも大きいため、第1凸部71dが先に降伏し、第2凸部72dは弾性変形した状態で一定期間残存する。
【0101】
弾性部材7dでは、第2凸部72dの表面粗さが、各第1凸部71dの表面粗さよりも大きくてもよい。この場合、第2凸部72dのヤング率が第1凸部71dのヤング率よりも大きくなる。その結果、第2凸部72dのバネ定数は、第1凸部71dのバネ定数よりも大きくなる。したがって、コイン形二次電池1aの弾性部材用空間70a(図16参照)に収容された弾性部材7dにおいて、第2凸部72dに作用する上下方向の圧縮応力は、第1凸部71dに作用する上下方向の圧縮応力よりも大きい。その結果、第2凸部72dの降伏マージンが第1凸部71dの降伏マージンよりも小さくなり、第2凸部72dが先に降伏し、第1凸部71dは弾性変形した状態で一定期間残存する。なお、当該弾性部材7dは、コイン形二次電池1の弾性部材用空間70(図1参照)に配置されてもよい。
【0102】
図17および図18はそれぞれ、本発明に関連する技術に係る弾性部材7eを示す平面図および断面図である。弾性部材7eは、弾性部材7と同様に、平面視において略円形の薄板ばねである。弾性部材7eは、2つの第1凸部71eおよび1つの第2凸部72eを備える。2つの第1凸部71eは、上述の第1凸部71と同様に、配列方向(すなわち、上述の第1の径方向)の両端部に位置する。第2凸部72eは、上述の第2凸部72と同様に、当該2つの第1凸部71eの間において、弾性部材7eの中心C上に位置する。第1凸部71eおよび第2凸部72eのそれぞれは、上述の第2の径方向(すなわち、配列方向に略垂直な方向)に略直線状に延びる。各第1凸部71eおよび第2凸部72eの自由高さは略同じである。各第1凸部71eおよび第2凸部72eの配列方向の幅は略同じである。また、各第1凸部71eおよび第2凸部72eの板厚および表面粗さも略同じである。
【0103】
弾性部材7eでは、各第1凸部71eおよび第2凸部72eの頂部(すなわち、上端部)において平面部711,721(図2および図3参照)が省略されており、第1凸部71eの頂部における曲率は、第2凸部72eの頂部における曲率と異なる。このため、第1凸部71eのバネ定数は、第2凸部72eのバネ定数と異なる。以下の説明では、第1凸部71eおよび第2凸部72eの頂部における曲率を、単に「曲率」とも呼ぶ。図18に示す例では、第2凸部72eの曲率は、各第1凸部71eの曲率よりも小さい(すなわち、曲率半径が大きい)ため、第2凸部72eのバネ定数は、第1凸部71eのバネ定数よりも小さい。
【0104】
図19に示すように、上述のコイン形二次電池1aにおいて、高さ略一定の弾性部材用空間70aに弾性部材7eが配置されると、各第1凸部71eの縦変位量は、第2凸部72eの縦変位量と略同じである。このため、バネ定数が大きい第1凸部71eに対して上下方向に作用する圧縮応力は、バネ定数が小さい第2凸部72eに対して上下方向に作用する圧縮応力よりも大きい。したがって、第2凸部72eの降伏マージンは、第1凸部71eの降伏マージンよりも大きい。
【0105】
このように、弾性部材7eの複数の凸部が、第1凸部71eと、降伏マージンが第1凸部71eと異なる第2凸部72eと、を備えることにより、コイン形二次電池1aの経時変化等により弾性部材7eが降伏する際に、第1凸部71eが降伏するタイミングと、第2凸部72eが降伏するタイミングとをずらすことができる。上記例では、第1凸部71eが先に降伏し、第2凸部72eは弾性変形した状態で一定期間残存する。その結果、コイン形二次電池1aを長寿命化することができる。
【0106】
上述のように、弾性部材7eがコイン形二次電池1aに設けられる場合、第2凸部72eのバネ定数と第1凸部71eのバネ定数とが異なることにより、第2凸部72eの降伏マージンと第1凸部71eの降伏マージンとを容易に異ならせることができる。その結果、コイン形二次電池1aの構造を過剰に複雑化することなく、コイン形二次電池1aの長寿命化を実現することができる。
【0107】
上述のように、弾性部材7eでは、第1凸部71eおよび第2凸部72eのバネ定数の差は、第1凸部71eおよび第2凸部72eの曲率(すなわち、頂部における曲率)の差による。これにより、第1凸部71eのバネ定数と第2凸部72eのバネ定数とを容易に異ならせることができる。
【0108】
なお、弾性部材7eは、コイン形二次電池1(図1参照)において、径方向中央部が高い弾性部材用空間70に配置されてもよい。この場合、第2凸部72eのバネ定数および縦変位量が、第1凸部71eのバネ定数および縦変位量よりも小さい。このため、第2凸部72eに対して上下方向に作用する圧縮応力は、第1凸部71eに対して上下方向に作用する圧縮応力よりも小さい。したがって、第2凸部72eの降伏マージンは、第1凸部71eの降伏マージンよりも大きいため、第1凸部71eが先に降伏し、第2凸部72eは弾性変形した状態で一定期間残存する。
【0109】
弾性部材7eでは、第2凸部72eの曲率が、各第1凸部71eの曲率よりも大きくてもよい。この場合、第2凸部72eのバネ定数が第1凸部71eのバネ定数よりも大きくなる。したがって、コイン形二次電池1aの弾性部材用空間70a(図19参照)に収容された弾性部材7eにおいて、第2凸部72eに作用する上下方向の圧縮応力は、第1凸部71eに作用する上下方向の圧縮応力よりも大きい。その結果、第2凸部72eの降伏マージンが第1凸部71eの降伏マージンよりも小さくなり、第2凸部72eが先に降伏し、第1凸部71eは弾性変形した状態で一定期間残存する。なお、当該弾性部材7eは、コイン形二次電池1の弾性部材用空間70(図1参照)に配置されてもよい。
【0110】
上述のコイン形二次電池1,1aでは、様々な変更が可能である。
【0111】
例えば、コイン形二次電池1が製造される際には、必ずしも、弾性部材7が負極缶52の平板部521(または、正極缶51の平板部511)に溶接される必要はなく、弾性部材7と負極缶52(または、正極缶51)とが個別に取り扱われてもよい。コイン形二次電池1aおよび弾性部材7a~7eについても同様である。
【0112】
弾性部材7aでは、第2凸部72aは、必ずしも配列方向の中央部に位置する必要はなく、例えば、配列方向の端部に位置していてもよい。また、弾性部材7aでは、自由高さがそれぞれ異なる3種類以上の凸部(第1凸部71aおよび第2凸部72aを含む。)が設けられてもよく、当該3種類以上の凸部が、例えば、配列方向の一方の端部から他方の端部に向かって自由高さの順に並んでいてもよい。弾性部材7bでは、幅がそれぞれ異なる3種類以上の凸部が設けられてもよく、当該3種類以上の凸部が、例えば、配列方向に幅の順に並んでいてもよい。弾性部材7cでは、板厚がそれぞれ異なる3種類以上の凸部が設けられてもよく、当該3種類以上の凸部が、例えば、配列方向に板厚の順に並んでいてもよい。弾性部材7dでは、表面粗さがそれぞれ異なる3種類以上の凸部が設けられてもよく、当該3種類以上の凸部が、例えば、配列方向に表面粗さの順に並んでいてもよい。弾性部材7eでは、頂部における曲率がそれぞれ異なる3種類以上の凸部が設けられてもよく、当該3種類以上の凸部が、例えば、配列方向に当該曲率の順に並んでいてもよい。
【0113】
弾性部材7では、第1凸部71および第2凸部72は、必ずしも配列方向に垂直な方向に延びる必要はなく、また、配列方向に並ぶ必要もない。換言すれば、弾性部材7は、必ずしも波板状である必要はない。例えば、第1凸部71および第2凸部72はそれぞれ、エンボス加工により形成された点状の多数のエンボス要素(すなわち、突起)であってもよい。弾性部材7a~7eにおいても同様である。
【0114】
弾性部材7,7a~7eの平面視における形状は、略円形には限定されず、様々に変更されてよい。例えば、弾性部材7,7a~7eの平面視における形状は、略矩形であってもよく、略円環状であってもよい。
【0115】
図20は、平面視において略円環状の薄板ばねである弾性部材7fを示す斜視図である。図21は、弾性部材7fの周方向における位置を図中の左右方向に直線状に延ばして、弾性部材7fの周方向の各位置における高さを示す図である。弾性部材7fは、下側に向かって凸である複数の第1凸部71f、および、上側に向かって凸である複数の第2凸部72fを備える。図20および図21に示す例では、4つの第1凸部71fと4つの第2凸部72fとが、周方向に交互に配列される。弾性部材7fは、周方向に波打つリング状のばね(いわゆる、ウェーブワッシャ)である。
【0116】
弾性部材7fでは、第1凸部71fの頂部(すなわち、下端部)における曲率は、第2凸部72fの頂部(すなわち、上端部)における曲率よりも大きい(すなわち、曲率半径が小さい)。これにより、第2凸部72fのバネ定数は、第1凸部71fのバネ定数よりも小さくなる。上述のコイン形二次電池1,1aにおいて弾性部材用空間70,70a(図4および図5参照)に弾性部材7fが配置されると、各第1凸部71fの縦変位量は、各第2凸部72fの縦変位量と略同じである。このため、バネ定数が大きい第1凸部71fに対して上下方向に作用する圧縮応力は、バネ定数が小さい第2凸部72fに対して上下方向に作用する圧縮応力よりも大きい。したがって、第2凸部72fの降伏マージンは、第1凸部71fの降伏マージンよりも大きくなるため、第1凸部71fが先に降伏し、第2凸部72fは弾性変形した状態で一定期間残存する。その結果、コイン形二次電池1,1aを長寿命化することができる。
【0117】
正極2および負極3はそれぞれ、焼結体板電極である必要はなく、例えば、活物質およびバインダを含む活物質層が集電体上に塗工された塗工電極であってもよい。
【0118】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【0119】
発明を詳細に描写して説明したが、既述の説明は例示的であって限定的なものではない。したがって、本発明の範囲を逸脱しない限り、多数の変形や態様が可能であるといえる。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明のコイン形二次電池は、例えば、配線基板等の対象物に電気的に接続されて実装される電池等、コイン形二次電池が利用される様々な分野で利用可能である。
【符号の説明】
【0121】
1,1a コイン形二次電池
2 正極
3 負極
4 電解質層
5 外装体
7,7a~7f 弾性部材
71,71a~71f 第1凸部
72,72a~72f 第2凸部
511,521,521a 平板部
711,721 平面部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21