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特許7490746鉄心製品の製造方法及び鉄心製品の製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】鉄心製品の製造方法及び鉄心製品の製造装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/12 20060101AFI20240520BHJP
   H02K 15/03 20060101ALI20240520BHJP
   H02K 1/279 20220101ALN20240520BHJP
【FI】
H02K15/12 A
H02K15/03 Z
H02K1/279
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022504889
(86)(22)【出願日】2020-03-05
(86)【国際出願番号】 JP2020009477
(87)【国際公開番号】W WO2021176658
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000144038
【氏名又は名称】株式会社三井ハイテック
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100153969
【弁理士】
【氏名又は名称】松澤 寿昭
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 栄実
(72)【発明者】
【氏名】西田 尚史
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/179547(WO,A1)
【文献】特開2016-046818(JP,A)
【文献】特開2007-282392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 15/12
H02K 15/03
H02K 1/279
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄心本体とは別体である加熱部に形成された複数の第1の収容部に対してそれぞれ樹脂材料を略同時に投入することと、
前記複数の第1の収容部に配置された複数の前記樹脂材料を、前記加熱部によって略同時に加熱開始して溶融させることと、
前記鉄心本体に設けられた複数の樹脂形成領域に対して、前記樹脂材料が溶融された溶融樹脂を前記複数の第1の収容部から供給することとを含む、鉄心製品の製造方法。
【請求項2】
前記複数の第1の収容部は、円環状に並ぶように前記加熱部に形成された3つ以上の第1の収容部を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の樹脂材料のうちの各樹脂材料はそれぞれ、少なくとも一つの樹脂タブレットを含んで構成されている、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の樹脂材料を略同時に加熱開始することの前に、前記複数の樹脂材料のうちの各樹脂材料の高さを測定して、前記各樹脂材料を構成している樹脂タブレットの数を判別することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の樹脂材料を略同時に加熱開始することの前に、前記各樹脂材料を構成している樹脂タブレットのそれぞれの高さ及び/又は重量を測定することをさらに含む、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の樹脂材料のうちの各樹脂材料はそれぞれ、前記複数の第1の収容部のうちの対応する第1の収容部内において当該第1の収容部の長手方向に沿って一列に並ぶ複数の樹脂タブレットを含む、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
搬送部に形成された複数の第2の収容部に対してそれぞれ前記樹脂材料を配置することをさらに含み、
前記複数の第1の収容部に対してそれぞれ前記樹脂材料を略同時に投入することは、前記複数の第2の収容部に配置されている前記複数の樹脂材料をそれぞれ、加熱された状態の前記加熱部の前記複数の第1の収容部へと略同時に投入することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の第1の収容部に対してそれぞれ前記樹脂材料を略同時に投入することは、前記搬送部の底部に配置された開閉部材を動作させて、前記複数の第2の収容部の出口を略同時に閉鎖状態から開放状態とすることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
配置部に形成された複数の第3の収容部に対してそれぞれ前記樹脂材料を配置することをさらに含み、
前記複数の第2の収容部に対してそれぞれ前記樹脂材料を配置することは、前記複数の第3の収容部に配置されている前記複数の樹脂材料をそれぞれ、前記複数の第2の収容部へと投入することを含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の第3の収容部に対してそれぞれ前記樹脂材料を配置することは、前記樹脂材料を把持治具で把持して、前記複数の第3の収容部のうちのいずれかに配置することを複数回繰り返すことを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の第3の収容部に配置されている前記複数の樹脂材料のうちの各樹脂材料の高さを測定して、前記各樹脂材料を構成している樹脂タブレットの数を判別することをさらに含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
複数の第1の収容部が形成され且つ鉄心本体とは別体である加熱部と、
前記複数の第1の収容部に対してそれぞれ樹脂材料を略同時に投入するように構成された投入機と、
前記投入機によって前記複数の第1の収容部に配置された複数の前記樹脂材料を略同時に加熱開始して溶融させるように構成されたヒータと、
前記複数の第1の収容部内の溶融樹脂をそれぞれ押し出して、前記鉄心本体に設けられた複数の樹脂形成領域に対して前記溶融樹脂を供給するように構成された押出機構とを備える、鉄心製品の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、鉄心製品の製造方法及び鉄心製品の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、モータコアの磁石収容孔内に磁石を収容することと、モールド金型でモータコアを挟持することと、磁石収容孔にモールド樹脂を圧送して、磁石収容穴内の磁石を樹脂モールドすることとを含む樹脂モールド方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/053368号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、鉄心本体の複数の樹脂形成領域に対して溶融樹脂を適切に供給することが可能な鉄心製品の製造方法及び鉄心製品の製造装置を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
鉄心製品の製造方法の一例は、加熱部に形成された複数の第1の収容部に対してそれぞれ樹脂材料を略同時に投入することと、複数の第1の収容部に配置された複数の上記樹脂材料を、加熱部の昇温によって略同時に加熱開始することと、鉄心本体に設けられた複数の樹脂形成領域に対して、複数の第1の収容部から溶融樹脂を供給することとを含んでいてもよい。
【0006】
鉄心製品の製造方法の他の例は、複数の磁石挿入孔が形成された鉄心本体を予熱することと、搬送部に形成された複数の第2の収容部から複数の磁石挿入孔に対してそれぞれ樹脂材料を略同時に投入することとを含み、複数の樹脂材料を鉄心本体によって略同時に加熱開始するものであってもよい。
【0007】
鉄心製品の製造装置の一例は、複数の第1の収容部が形成された加熱部と、複数の第1の収容部に対してそれぞれ樹脂材料を略同時に投入するように構成された投入機と、投入機によって複数の第1の収容部に配置された複数の上記樹脂材料を略同時に加熱開始するように構成されたヒータと、複数の第1の収容部内の溶融樹脂をそれぞれ押し出して、鉄心本体に設けられた複数の樹脂形成領域に対して溶融樹脂を供給するように構成された押出機構とを備えていてもよい。この場合、例1の方法と同様の作用効果が得られる。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る鉄心製品の製造方法及び鉄心製品の製造装置によれば、鉄心本体の複数の樹脂形成領域に対して溶融樹脂を適切に供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、回転子積層鉄心の一例を示す斜視図である。
図2図2は、回転子積層鉄心の製造装置の一例を示す概略図である。
図3図3は、樹脂充填システムの一例を部分的に示す概略図である。
図4図4は、配置部の一例を示す斜視図である。
図5図5は、樹脂充填システムの一例を部分的に示す概略図である。
図6図6は、搬送部の一例を示す分解斜視図である。
図7図7は、樹脂充填システムの一例を部分的に示す概略図である。
図8図8は、搬送部及び加熱部の一例を示す斜視図である。
図9図9は、樹脂充填システムの一例を概略的に示す断面図である。
図10図10は、樹脂充填システムの他の例を概略的に示す断面図である。
図11図11は、回転子積層鉄心の製造方法を説明するためのフローチャートである。
図12図12は、樹脂充填システムの他の例を概略的に示す断面図である。
図13図13は、樹脂充填システムの他の例を部分的に示す概略図である。
図14図13は、樹脂充填システムの他の例を概略的に示す断面図である。
図15図15は、配置部及び搬送部の他の例を示す断面図である。
図16図16は、配置部及び搬送部の他の例を示す断面図である。
図17図17(a)は配置部の他の例を示す斜視図であり、図17(b)は搬送部の他の例を示す斜視図であり、図17(c)は加熱部の他の例を示す斜視図である。
図18図18(a)は加熱部の他の例を示す斜視図であり、図18(b)は図18(a)のB-B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0011】
[回転子積層鉄心]
まず、図1を参照して、回転子積層鉄心1(鉄心製品)の構成について説明する。回転子積層鉄心1は、回転子(ロータ)の一部である。回転子は、図示しないシャフトが回転子積層鉄心1に取り付けられることにより構成される。回転子が固定子(ステータ)と組み合わせられることにより、電動機(モータ)が構成される。回転子積層鉄心1は、埋込磁石型(IPM)モータの一部を構成してもよいし、他の種類のモータの一部を構成してもよい。
【0012】
回転子積層鉄心1は、積層体10(鉄心本体)と、複数の永久磁石12と、複数の固化樹脂14とを備える。
【0013】
積層体10は、円筒状を呈している。積層体10の中央部には、中心軸Axに沿って延びるように積層体10を貫通する軸孔10aが設けられている。軸孔10aは、積層体10の高さ方向(上下方向)に延びている。積層体10は中心軸Ax周りに回転するので、中心軸Axは回転軸でもある。軸孔10a内には、シャフトが挿通される。
【0014】
積層体10には、複数の磁石挿入孔16(樹脂形成領域)が形成されている。磁石挿入孔16は、積層体10の外周縁に沿って所定間隔で並んでいる。積層体10に形成される複数の磁石挿入孔16の数は、3つ以上であってもよい。3つ以上の磁石挿入孔16は、上方から見て、全体として環状を呈していてもよいし、円環状を呈していてもよい。各磁石挿入孔16は、中心軸Axに沿って延びるように積層体10を貫通している。すなわち、各磁石挿入孔16は高さ方向に延びている。
【0015】
積層体10は、複数の打抜部材Wが積み重ねられて構成されている。打抜部材Wは、後述する金属板MS(例えば、電磁鋼板)が所定形状に打ち抜かれた板状体であり、積層体10に対応する形状を呈している。高さ方向において隣り合う打抜部材W同士は、カシメ部18によって締結されていてもよいし(図1参照)、接着剤によって接合されていてもよいし、溶接によって結合されていてもよい。
【0016】
積層体10は、いわゆる転積又はスキューによって構成されていてもよい。「転積」とは、打抜部材W同士の角度を相対的にずらしつつ、複数の打抜部材Wを積層することをいう。転積は、主に打抜部材Wの板厚偏差を相殺して、積層体10の平面度、平行度及び直角度を高めることを目的に実施される。「スキュー」とは、中心軸Axに対して捩れ角を有するように複数の打抜部材Wを積層することをいう。スキューは、コギングトルク、トルクリップル等の低減を目的に実施される。転積又はスキューの角度は、任意の大きさに設定されてもよい。
【0017】
永久磁石12は、各磁石挿入孔16内に一つずつ挿入されていてもよい。永久磁石12の形状は、特に限定されないが、例えば直方体形状を呈していてもよい。永久磁石12の種類は、モータの用途、要求される性能などに応じて決定すればよく、例えば、焼結磁石であってもよいし、ボンド磁石であってもよい。
【0018】
固化樹脂14は、永久磁石12が配置されている磁石挿入孔16内に充填された溶融状態の樹脂材料(溶融樹脂)の固化物である。固化樹脂14は、永久磁石12を磁石挿入孔16内に固定するように構成されていてもよい。固化樹脂14は、上下方向で隣り合う打抜部材W同士を接合するように構成されていてもよい。固化樹脂14を構成する樹脂材料としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂の具体例としては、例えば、エポキシ樹脂と、硬化開始剤と、添加剤とを含む樹脂組成物が挙げられる。添加剤としては、フィラー、難燃剤、応力低下剤などが挙げられる。
【0019】
[回転子積層鉄心の製造装置]
続いて、図2を参照して、回転子積層鉄心1の製造装置100について説明する。製造装置100は、帯状の金属板MSから回転子積層鉄心1を製造するように構成されている。製造装置100は、アンコイラー110と、送出装置120と、打抜装置130と、磁石取付装置140と、樹脂充填システム200と、コントローラCtr(判定部)とを備える。
【0020】
アンコイラー110は、コイル材111を回転自在に保持するように構成されている。コイル材111は、金属板MSがコイル状(渦巻状)に巻回されたものである。送出装置120は、金属板MSを上下から挟み込む一対のローラ121,122を含む。一対のローラ121,122は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて回転及び停止し、金属板MSを打抜装置130に向けて間欠的に順次送り出すように構成されている。
【0021】
打抜装置130は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作する。打抜装置130は、送出装置120によって間欠的に送り出される金属板MSを順次打ち抜き加工して打抜部材Wを形成するように構成されている。打抜装置130は、打ち抜き加工によって得られた複数の打抜部材Wを順次積層して積層体10を形成するように構成されている。打抜装置130によって形成された積層体10は、例えば、コンベアCv1によって磁石取付装置140に搬送されてもよいし、人手によって磁石取付装置140に搬送されてもよい。
【0022】
磁石取付装置140は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作する。磁石取付装置140は、各磁石挿入孔16に永久磁石12を一つずつ配置するように構成されている。磁石取付装置140は、例えば、ロボットハンドであってもよい。
【0023】
樹脂充填システム200は、永久磁石12が配置されている磁石挿入孔16内に溶融樹脂M(図9参照)を充填するように構成されている。樹脂充填システム200の詳細については、後述する。
【0024】
コントローラCtrは、例えば、記録媒体(図示せず)に記録されているプログラム又はオペレータからの操作入力等に基づいて、送出装置120、打抜装置130、磁石取付装置140及び樹脂充填システム200をそれぞれ動作させるための信号を生成するように構成されている。コントローラCtrは、生成した信号を、送出装置120、打抜装置130、磁石取付装置140及び樹脂充填システム200のそれぞれに送信するように構成されている。
【0025】
[樹脂充填システム]
続いて、図3図9を参照して、樹脂充填システム200の構成について説明する。樹脂充填システム200は、図3図9に示されるように、材料供給ユニットU1と、配置ユニットU2と、搬送ユニットU3と、加熱ユニットU4とを備える。
【0026】
材料供給ユニットU1は、図3に示されるように、材料フィーダ210と、重量センサSE1(第2の測定機)と、高さセンサSE2(第2の測定機)とを含む。材料フィーダ210は、整列機構211と、搬送機構212とを含む。
【0027】
整列機構211は、コントローラCtrからの指示に基づいて動作するように構成されている。整列機構211は、複数の樹脂タブレットT(樹脂材料)を貯蔵するように構成されている。整列機構211は、個々の樹脂タブレットTを所定の姿勢に整えつつ、樹脂タブレットTを一つずつ搬送機構212に送り出すように構成されている。整列機構211は、二つ以上の樹脂タブレットTを一組として搬送機構212に送り出すように構成されていてもよい。
【0028】
搬送機構212は、コントローラCtrからの指示に基づいて動作するように構成されている。搬送機構212は、整列機構211から配置ユニットU2に向けて延びている。搬送機構212は、整列機構211から一つずつ送り出された樹脂タブレットTを、配置ユニットU2に向けて順次搬送するように構成されている。そのため、搬送機構212において、複数の樹脂タブレットTは一列に並んでいる。搬送機構212において、複数の樹脂タブレットTが二列以上に並んでいてもよい。
【0029】
重量センサSE1は、樹脂タブレットTの個々の重量を測定するように構成されている。重量センサSE1において測定された重量のデータは、コントローラCtrに送信される。重量センサSE1は、搬送機構212に内蔵されており、搬送機構212を通過する樹脂タブレットTの重量を測定するように構成されていてもよい。重量センサSE1は、搬送機構212とは別体であり、後述する把持機構230等によって移載された樹脂タブレットTの重量を測定するように構成されていてもよい。
【0030】
高さセンサSE2は、樹脂タブレットTの個々の高さを測定するように構成されている。高さセンサSE2は、非接触式センサであってもよいし、接触式センサであってもよい。高さセンサSE2において測定された高さのデータは、コントローラCtrに送信される。高さセンサSE2は、搬送機構212の上方に配置されており、搬送機構212を通過する樹脂タブレットTの高さを測定するように構成されていてもよい。高さセンサSE2は、搬送機構212とは異なる場所で樹脂タブレットTの高さを測定するように構成されていてもよい。
【0031】
配置ユニットU2は、図3及び図4に示されるように、配置部220と、把持機構230と、高さセンサSE3(第1の測定機)と、駆動源D1と、昇降機構D2とを含む。
【0032】
配置部220は、所定の位置において、所定数の樹脂タブレットTを保持するように構成されている。配置部220は、複数の収容孔221(第3の収容部)と、複数の挿通孔222とを含む。
【0033】
複数の収容孔221はそれぞれ、少なくとも一つの樹脂タブレットTを収容可能に構成されている。一つの収容孔221に複数の樹脂タブレットTが収容される場合、当該収容孔221内において、当該複数の樹脂タブレットTが当該収容孔221の延在方向において一列に並んでいてもよい(図3参照)。
【0034】
複数の収容孔221は、配置部220の高さ方向において延びるように、配置部220に形成されている。複数の収容孔221は、例えば、配置部220の上端面から配置部220の下部にかけて延びていてもよい。複数の収容孔221の長さは、例えば、収容しようとする樹脂タブレットTの数に応じて設定されていてもよい。
【0035】
複数の収容孔221は、図4に示されるように、上方から見て環状を呈するように位置している。複数の収容孔221は、上方から見て円環状を呈するように位置していてもよい。
【0036】
複数の挿通孔222は、複数の収容孔221と同数の挿通孔222を含んでいる。各挿通孔222は、対応する収容孔221と連通するように高さ方向に延びている。各挿通孔222は、例えば、配置部220の下端面から、対応する収容孔221にかけて延びていてもよい。各挿通孔222の開口面積は、対応する収容孔221の開口面積よりも小さく設定されている。そのため、収容孔221に配置されている樹脂タブレットTが挿通孔222から落下することが妨げられている。
【0037】
把持機構230は、図3に示されるように、一つの樹脂タブレットTを把持して、材料供給ユニットU1から配置ユニットU2に移送するように構成されている。把持機構230は、二つ以上の樹脂タブレットTを同時に把持して、材料供給ユニットU1から配置ユニットU2に移送するように構成されていてもよい。把持機構230は、把持治具231と、駆動源232とを含む。
【0038】
把持治具231は、樹脂タブレットTを把持可能に構成されている。把持治具231は、例えば、複数のチャック爪で構成されていてもよい。複数のチャック爪が相互に近づいたときに、複数のチャック爪によって樹脂タブレットTが把持されてもよい。複数のチャック爪が相互に離れたときに、複数のチャック爪が樹脂タブレットTを解放してもよい。
【0039】
駆動源232は、コントローラCtrからの指示に基づいて動作するように構成されている。駆動源232は、把持治具231を駆動して、樹脂タブレットTの把持又は解放を把持治具231に行わせるように構成されている。駆動源232は、材料供給ユニットU1と配置ユニットU2との間において、把持治具231を水平方向及び/又は鉛直方向に移動させるように構成されている。
【0040】
高さセンサSE3は、各収容孔221に収容されている樹脂タブレットTの高さを測定するように構成されている。高さセンサSE3は、非接触式センサであってもよいし、接触式センサであってもよい。高さセンサSE3において測定された高さのデータは、コントローラCtrに送信される。高さセンサSE3は、配置部220の上方に配置されていてもよい。
【0041】
駆動源D1は、コントローラCtrからの指示に基づいて動作するように構成されている。駆動源D1は、鉛直方向に沿って延びる中心軸周りにおいて配置部220を回転させるように構成されている。駆動源D1は、例えば、回転モータであってもよい。
【0042】
複数の昇降機構D2は、コントローラCtrからの指示に基づいて動作するように構成されている。複数の昇降機構D2は、上下方向に伸縮可能に構成されている。複数の昇降機構D2は、例えば、昇降シリンダであってもよい。各昇降機構D2の先端部は、対応する収容孔221及び挿通孔222内を挿通可能である。そのため、収容孔221内に樹脂タブレットTが収容されている状態で昇降機構D2の先端部D2aが上昇すると、先端部D2aは、樹脂タブレットTを収容孔221の外に押し上げる。
【0043】
搬送ユニットU3は、図5及び図6に示されるように、搬送部240(投入機)と、開閉部材250(投入機)と、駆動源D3と、駆動源D4とを含む。
【0044】
搬送部240は、所定の位置において、所定数の樹脂タブレットTを保持するように構成されている。搬送部240は、複数の収容孔241(第2の収容部)を含む。
【0045】
複数の収容孔241はそれぞれ、少なくとも一つの樹脂タブレットTを収容可能に構成されている。一つの収容孔241に複数の樹脂タブレットTが収容される場合、当該収容孔241内において、当該複数の樹脂タブレットTが当該収容孔241の延在方向において一列に並んでいてもよい(図5参照)。
【0046】
複数の収容孔241は、搬送部240の高さ方向において延びるように、搬送部240に形成されている。複数の収容孔241は、例えば、搬送部240の上端面から下端面にかけて延びていてもよい。複数の収容孔241は、搬送部240を高さ方向に貫通する貫通孔であってもよい。複数の収容孔241の長さは、例えば、収容しようとする樹脂タブレットTの数に応じて設定されていてもよい。
【0047】
複数の収容孔241は、図6に示されるように、上方から見て環状を呈するように位置している。複数の収容孔241は、上方から見て円環状を呈するように位置していてもよい。複数の収容孔241の数は、複数の収容孔221と同数であってもよい。この場合、複数の収容孔241は、上方から見て、複数の収容孔221と重なり合うように位置していてもよい。
【0048】
開閉部材250は、図5及び図6に示されるように、搬送部240の下面に対して水平移動可能に、搬送部240の底部に配置されている。開閉部材250は、図5に示されるように、複数の貫通孔251を含む。
【0049】
複数の貫通孔251は、開閉部材250の高さ方向において延びるように、開閉部材250に形成されている。複数の貫通孔251は、開閉部材250を高さ方向に貫通している。複数の貫通孔251は、上方から見て環状を呈するように位置している。複数の貫通孔251は、上方から見て円環状を呈するように位置していてもよい。
【0050】
複数の貫通孔251の数は、複数の収容孔241と同数であってもよい。各貫通孔251は、図5及び図6に示されるように、第1の部分251aと、第2の部分251bとを含んでいてもよい。第1の部分251aの開口面積は、樹脂タブレットTが通過可能な程度に設定されていてもよい。第2の部分251bの開口面積は、昇降機構D2の先端部D2aが通過可能な程度に設定されていてもよい。第2の部分251bの開口面積は樹脂タブレットTの底面の面積よりも小さい。
【0051】
駆動源D3は、コントローラCtrからの指示に基づいて動作するように構成されている。駆動源D3は、図5に示されるように、配置ユニットU2と加熱ユニットU4との間において、搬送部240及び開閉部材250を水平方向及び/又は鉛直方向に移動させるように構成されている。駆動源D3は、例えば、リニアアクチュエータであってもよい。
【0052】
駆動源D4は、コントローラCtrからの指示に基づいて動作するように構成されている。駆動源D4は、開閉部材250を水平方向に沿ってスライドさせるように構成されている。駆動源D4は、例えば、上方から見て第1の部分251aの大部分が収容孔241と略一致する第1の位置と、上方から見て主として第2の部分251bが収容孔241と重なり合う第2の位置との間で、開閉部材250を移動させるように構成されていてもよい。
【0053】
図5に示されるように、開閉部材250が第1の位置にあるときには、樹脂タブレットTが第1の部分251aを通って収容孔221から収容孔241へと移動可能である。開閉部材250が第2の位置にあるときには、収容孔241に配置されている樹脂タブレットTが貫通孔251から落下することが妨げられているが、昇降機構D2の先端部D2aは第2の部分251bを通過可能である。
【0054】
加熱ユニットU4は、永久磁石12が挿通された磁石挿入孔16内に溶融樹脂Mを充填するように構成されている。加熱ユニットU4は、図7図9に示されるように、治具260と、加熱型270(加熱部)と、複数の押出機構280とを含む。
【0055】
治具260は、図9に示されるように、ベース部材261と、ベース部材261に設けられた挿通ポスト262とを含む。ベース部材261は、積層体10を載置可能に構成されている。挿通ポスト262は、ベース部材261の略中央部に位置しており、ベース部材261の上面から上方に向けて突出している。挿通ポスト262は、円柱形状を呈しており、積層体10の軸孔10aに対応する外形を有する。
【0056】
加熱型270は、下型291と共に、積層体10及び治具260を高さ方向において挟持可能に構成されている。加熱型270は、上型としても機能する。加熱型270と下型291が積層体10及び治具260を挟持する際、積層体10には高さ方向から所定の荷重が付与される。
【0057】
加熱型270は、複数の収容孔271(第1の収容部)とを含む。複数の収容孔271はそれぞれ、少なくとも一つの樹脂タブレットTを収容可能に構成されている。一つの収容孔271に複数の樹脂タブレットTが収容される場合、当該収容孔271内において、当該複数の樹脂タブレットTが当該収容孔271の延在方向において一列に並んでいてもよい(図7及び図8参照)。
【0058】
複数の収容孔271は、加熱型270の高さ方向において延びるように、加熱型270に形成されている。複数の収容孔271は、例えば、加熱型270の上端面から下端面にかけて延びていてもよい。複数の収容孔271は、加熱型270を高さ方向に貫通する貫通孔であってもよい。複数の収容孔271の長さは、例えば、収容しようとする樹脂タブレットTの数に応じて設定されていてもよい。
【0059】
複数の収容孔271は、図8に示されるように、上方から見て環状を呈するように位置している。複数の収容孔271は、上方から見て円環状を呈するように位置していてもよい。複数の収容孔271の数は、複数の収容孔241と同数であってもよい。この場合、複数の収容孔271は、上方から見て、複数の収容孔241と重なり合うように位置していてもよい。加熱型270及び下型291が積層体10及び治具260を挟持した際に、各収容孔271は、積層体10の磁石挿入孔16にそれぞれ対応する箇所に位置していてもよい。
【0060】
加熱型270は、図7及び図9に示されるように、ヒータ273を含む。ヒータ273は、コントローラCtrからの指示に基づいて動作するように構成されている。ヒータ273は、加熱型270を加熱することにより、各収容孔271に収容されている樹脂タブレットTを加熱するように構成されている。ヒータ273によって樹脂タブレットTが加熱されると、樹脂タブレットTが溶融して、図9に示されるように、溶融樹脂Mに変化する。ヒータ273は、加熱型270内に配置されていてもよいし、加熱型270の外部に配置されていてもよい。
【0061】
複数の押出機構280は、溶融樹脂Mを磁石挿入孔16に押し出すように構成されている。各押出機構280は、プランジャ281と、駆動源282とを含む。各プランジャ281は、対応する収容孔271に対して上方から挿通可能に構成されている。各駆動源282は、コントローラCtrからの指示に基づいて動作するように構成されている。各駆動源282は、対応するプランジャ281を上下動させるように構成されている。そのため、各プランジャ281は、対応する駆動源282によって、対応する収容孔271に対してそれぞれ独立して挿抜されてもよい。あるいは、一つの駆動源282が複数のプランジャ281を同時に上下動作させてもよい。
【0062】
ここでは加熱型270が上型の機能を果たす場合を例示したが、加熱型270、積層体10及び治具260を下型291と共に把持可能な上型292を別途設けてもよい(図10参照)。この場合、収容孔271に連通する貫通孔293を上型292に設ければよく、各貫通孔293に押出機構280(プランジャ281及び駆動源282)を設ければよい。
【0063】
[回転子積層鉄心の製造方法]
続いて、図3図11を参照して、回転子積層鉄心1の製造方法について説明する。ここでは、打抜装置130により積層体10を形成する工程の説明は省略し、その後の工程について説明する。
【0064】
まず、治具260に載置された状態の積層体10を磁石取付装置140に搬送する。すなわち、図9又は図10に示されるように、積層体10は軸孔10aに挿通ポスト262が挿通された状態で治具260に載置されている。次に、各磁石挿入孔16内に永久磁石12をそれぞれ挿入する(図11のステップS11参照)。各磁石挿入孔16内への永久磁石12の挿入は、人手で行われてもよいし、コントローラCtrの指示に基づいて、磁石取付装置140が備えるロボットハンド(図示せず)等により行われてもよい。その後、積層体10は、加熱型270の下方に位置するように(例えば、積層体10の上端面が加熱型270の下端面と当接するように)、治具260と共に加熱ユニットU4に搬送される。
【0065】
一方、樹脂充填システム200においては、まず、コントローラCtrが材料フィーダ210を制御して、樹脂タブレットTを所定の姿勢に整えつつ、一つずつ整列させながら、搬送機構212によって下流側に送り出す。樹脂タブレットTが重量センサSE1及び高さセンサSE2に到達すると、重量センサSE1及び高さセンサSE2は、個々の樹脂タブレットTの重さ及び高さを測定して、測定データをコントローラCtrに送信してもよい(図11のステップS12参照)。
【0066】
コントローラCtrは、測定されたデータに基づいて、樹脂タブレットTの高さ及び重量が規定の範囲内にあるか否かを判断してもよい。樹脂タブレットTの高さ及び重量が規定の範囲内にない場合には、コントローラCtrは、当該樹脂タブレットTを搬送機構212から排除するように図示しない払出機構等を制御してもよいし、作業者に対してアラームを発してもよい。樹脂タブレットTの高さが規定の範囲内にあるか否かは、予め設定された基準高さに対して-1.5mm~+1.5mmの範囲にあるか否かによって判断されてもよいし、予め設定された基準高さに対して-1.3mm~+1.3mmの範囲にあるか否かによって判断されてもよい。樹脂タブレットTの重量が規定の範囲内にあるか否かは、予め設定された基準重量に対して-1.0g~+1.0gの範囲にあるか否かによって判断されてもよいし、予め設定された基準重量に対して-0.7g~+0.7gの範囲にあるか否かによって判断されてもよい。
【0067】
樹脂タブレットTが搬送機構212の下流端に到達すると、コントローラCtrは、駆動源232を制御して、把持治具231によって樹脂タブレットTを把持させる。次に、コントローラCtrは、駆動源232を制御して、配置部220の所定の収容孔221の上方に把持治具231が位置するように、把持治具231を移動させる。次に、コントローラCtrは、駆動源232を制御して、把持治具231から樹脂タブレットTを解放させる。こうして、図3及び図4に示されるように、樹脂タブレットTが所定の収容孔221に収容される。
【0068】
一つの収容孔221に収容されるべき樹脂タブレットTの数が一つに設定されている場合には、コントローラCtrは、駆動源D1を制御して、樹脂タブレットTが次に投入されるべき収容孔221が、把持機構230による樹脂タブレットTの解放位置に対応するように、配置部220を周方向に所定角度回転させてもよい。一方、一つの収容孔221に収容されるべき樹脂タブレットTの数が複数に設定されている場合には、所定数の樹脂タブレットTが当該一つの収容孔221に収容された後に、コントローラCtrは、駆動源D1を制御して、樹脂タブレットTが次に投入されるべき収容孔221が上記解放位置に対応するように、配置部220を周方向に所定角度回転させてもよい。この操作が複数回繰り返されることにより、全ての収容孔221にそれぞれ、所定数の樹脂タブレットTが投入される(図11のステップS13参照)。
【0069】
図3に示されるように、上記の配置部220の回転ごとに、高さセンサSE3は、所定数の樹脂タブレットTが投入された後の収容孔221内の高さを測定して、測定データをコントローラCtrに送信してもよい(図11のステップS14参照)。コントローラCtrは、測定されたデータに基づいて、収容孔221内に規定数の樹脂タブレットTが存在するか否かを判断してもよい。
【0070】
収容孔221内の高さが所定の範囲内にない場合には、コントローラCtrは、作業者に対してアラームを発してもよい。あるいは、収容孔221内の樹脂タブレットTが不足している場合(収容孔221内の高さが所定の範囲の下限値未満の場合)には、コントローラCtrは、駆動源232を制御して、不足分の樹脂タブレットTを当該収容孔221内に追加で投入させてもよい。収容孔221内の樹脂タブレットTが過剰である場合(収容孔221内の高さが所定の範囲の上限値を超える場合)には、コントローラCtrは、駆動源232を制御して、余剰分の樹脂タブレットTを当該収容孔221から除去させてもよい。
【0071】
次に、図5に示されるように、コントローラCtrは、駆動源D3,D4を制御して、搬送部240を配置部220の上方に位置させ、且つ、開閉部材250を第1の位置に位置させる。この状態で、コントローラCtrは、各昇降機構D2を制御して、各先端部D2aを上昇させることにより、各収容孔221内の樹脂タブレットTをそれぞれ、対応する収容孔241内に投入させる。次に、コントローラCtrは、駆動源D4を制御して、開閉部材250を第2の位置に位置させる。次に、コントローラCtrは、各昇降機構D2を制御して、各先端部D2aを降下させる。これにより、各収容孔241内の樹脂タブレットTは、搬送部240及び開閉部材250によって保持される(図11のステップS15参照)。
【0072】
次に、図7及び図8に示されるように、コントローラCtrは、駆動源D3を制御して、搬送部240及び開閉部材250を加熱型270の上方に位置させる。このとき、コントローラCtrは、ヒータ273を制御して、加熱型270が所定温度となるように加熱型270を予熱していてもよい。次に、コントローラCtrは、駆動源D4を制御して、開閉部材250を第1の位置に位置させる。これにより、昇温済みの各収容孔271に対して、対応する収容孔241から樹脂タブレットTがそれぞれ略同時に投入される(図11のステップS16参照)。したがって、各収容孔271において、樹脂タブレットTの加熱が略同時に開始される。なお、収容孔271から樹脂タブレットTが落下するのを防止するために、収容孔271に樹脂タブレットTが投入される前に(開閉部材250が第1の位置に移動する前に)、積層体10が加熱型270の下方に配置されていてもよい。
【0073】
各収容孔271において樹脂タブレットTが溶融して溶融樹脂Mとなると、コントローラCtrは、各駆動源282を制御して、各収容孔271内の溶融樹脂Mを、対応する各プランジャ281によって各磁石挿入孔16に押し出す(図11のステップS17参照)。これにより、各磁石挿入孔16に溶融樹脂Mが充填される。このとき、積層体10は、加熱型270及び下型291あるいは上型292及び下型291によって加圧されていてもよい。各磁石挿入孔16に対して充填された溶融樹脂Mが固化すると、積層体10から加熱型270が取り外される。こうして、各磁石挿入孔16内に固化樹脂14がそれぞれ形成され、回転子積層鉄心1が完成する。
【0074】
[作用]
以上の例によれば、各収容孔271にそれぞれ配置されている樹脂タブレットTが略同時に加熱開始される。すなわち、各樹脂タブレットTの加熱開始のタイミングに時間差が生じ難くなる。そのため、各収容孔271のそれぞれにおける溶融樹脂Mの粘度にばらつきが生じ難くなる。したがって、複数の磁石挿入孔16に対して溶融樹脂Mが均一に供給されやすくなるので、磁石挿入孔16における溶融樹脂Mの未充填箇所の発生や、磁石挿入孔16からの溶融樹脂Mの漏出などが抑制される。その結果、複数の磁石挿入孔16に対して溶融樹脂Mを適切に供給することが可能となる。よって、回転子積層鉄心1の不良率を低減することが可能となる。
【0075】
以上の例によれば、昇温済みの各収容孔271に対して、対応する収容孔241から樹脂タブレットTがそれぞれ略同時に投入される。そのため、搬送部240から加熱型270への樹脂タブレットTの投入を、加熱型270の昇温が完了するまで待つ必要がない。したがって、回転子積層鉄心1の生産性を高めることが可能となる。
【0076】
以上の例によれば、開閉部材250を第1の位置に位置させることにより、各収容孔241から、対応する収容孔271に樹脂タブレットTがそれぞれ略同時に投入される。そのため、開閉部材250のスライド動作という極めて簡単な手法により、各収容孔271への樹脂タブレットTの略同時投入を実現することが可能となる。
【0077】
以上の例によれば、収容孔271が円環状に並んでいる。そのため、円環状に並ぶように積層体10に形成された複数の磁石挿入孔16に対して、溶融樹脂Mをより適切に供給することが可能となる。
【0078】
以上の例によれば、収容孔221,241,271に1個又は複数の樹脂タブレットTが配置されうる。この場合、磁石挿入孔16の容量に応じて樹脂タブレットTの数を増減させることで、溶融樹脂Mをより適切に供給することが可能となる。
【0079】
以上の例によれば、収容孔221,241,271内において、複数の樹脂タブレットTがその長手方向に一列に並びうる。この場合、磁石挿入孔16の容量が大きくても、溶融樹脂Mをより適切に供給することが可能となる。また、収容孔271内において複数の樹脂タブレットTがその長手方向に一列に並ぶ場合には、当該複数の樹脂タブレットTを略均等に加熱することが可能となる。
【0080】
以上の例によれば、個々の樹脂タブレットTの高さ及び/又は重量が、高さセンサSE2及び/又は重量センサSE1によって測定されうる。この場合、各樹脂タブレットTの高さ及び/又は重量が所定の範囲内であるか否かが、コントローラCtrによって、樹脂タブレットTの溶融前に予め判別される。そのため、適切な量の溶融樹脂Mを磁石挿入孔16に対して供給することが可能となる。
【0081】
以上の例によれば、所定数の樹脂タブレットTが投入された後の収容孔221内の高さが測定されうる。すなわち、収容孔221内に収容されている樹脂タブレットTの高さが測定されうる。この場合、所定数の樹脂タブレットTが各収容孔221に配置されたか否かが、コントローラCtrによって、樹脂タブレットTの溶融前に予め判別される。そのため、適切な量の溶融樹脂Mを磁石挿入孔16に対して供給することが可能となる。
【0082】
以上の例によれば、配置部220の各収容孔221に樹脂タブレットTをそれぞれ投入した後、搬送部240の各収容孔241にこれらの樹脂タブレットTを投入している。すなわち、複数の樹脂タブレットTの配置処理と、複数の樹脂タブレットTの加熱型270への搬送処理とが、配置部220と搬送部240とで別々に行われる。そのため、搬送部240によって複数の樹脂タブレットTを加熱型270に搬送している間に、比較的時間を要する傾向にある配置処理を行うことができる。したがって、複数の樹脂タブレットTの配置処理のための待ち時間が削減されるので、回転子積層鉄心1の生産性を高めることが可能となる。
【0083】
以上の例によれば、把持治具231によって樹脂タブレットTが一つずつ収容孔221に投入される。把持治具231による樹脂タブレットTの把持に伴い樹脂タブレットTから粉塵が発生したとしても、把持治具231は、吸着ではなく、樹脂タブレットTを物理的に掴んでいるので、当該粉塵の影響を比較的受け難い。そのため、メンテナンス作業の時間や頻度を低減できるので、回転子積層鉄心1の生産性を高めることが可能となる。
【0084】
[変形例]
本明細書における開示はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特許請求の範囲及びその要旨を逸脱しない範囲において、以上の例に対して種々の省略、置換、変更などが行われてもよい。
【0085】
(1)加熱型270は、2つ以上の収容孔271を含んでいてもよい。加熱型270が3つ以上の収容孔271を含んでいる場合、これらの収容孔271が環状に並んでいてもよい。「環状」は、3つの収容孔271が三角形状に並んだ状態、4つの収容孔271が四角形状に並んだ状態、5つの収容孔271が五角形状に並んだ状態などを含みうる。搬送部240も、加熱型270と同様に、2つ以上の収容孔241を含んでいてもよい。配置部220も、加熱型270と同様に、2つ以上の収容孔221を含んでいてもよい。
【0086】
(2)磁石挿入孔16への溶融樹脂Mの充填が、2回以上に分けて行われてもよい。この場合、それぞれの充填に際して用いられる樹脂タブレットTのサイズ及び/又は材質は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、樹脂タブレットTが含有するフィラーの種類等により、先に充填される溶融樹脂Mの流動性が、その後に充填される溶融樹脂Mの流動性よりも低くなるように設定されていてもよい。
【0087】
(3)一つの収容孔221,241,271に複数の樹脂タブレットTが収容される場合、これらの樹脂タブレットTのサイズ及び/又は材質は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0088】
(4)上記の例では、収容孔221,241,271内に樹脂タブレットT、すなわち、固形状の樹脂材料が収容されていたが、液状、粉体状の樹脂材料が収容孔221,241,271内に収容されてもよい。
【0089】
(5)開閉部材250は、配置部220の下面に対して水平移動可能に、配置部220の底部に配置されていてもよい。この場合、搬送部240が配置部220の下方に位置している状態で、配置部220の底面の開閉部材250を水平方向にスライドさせることにより、収容孔221内の樹脂タブレットTが収容孔241内へと投入されてもよい。
【0090】
(6)上記の例では、溶融樹脂Mを積層体10の上方から充填していたが、溶融樹脂Mを積層体の下方から充填してもよい。あるいは、溶融樹脂Mを積層体10の上方及び下方の双方から充填してもよい。
【0091】
溶融樹脂Mを積層体10の下方から充填する場合の加熱ユニットU4の構成の一例について、図12を参照して説明する。図12に例示される加熱ユニットU4は、上型295をさらに備えている点と、押出機構280の配置及び治具260の構成の点とにおいて、図9に例示される加熱ユニットU4と異なる。
【0092】
上型295は、加熱型270と共に、積層体10及び治具260を高さ方向において挟持可能に構成されている。複数の押出機構280の各プランジャ281は、対応する収容孔271に対して下方から挿通可能に構成されている。
【0093】
治具260のベース部材261は、複数の貫通孔263を含んでいてもよい。
複数の貫通孔263は、ベース部材261の高さ方向において延びるように、ベース部材261に形成されている。複数の貫通孔263は、例えば、ベース部材261の上端面から下端面にかけて延びていてもよい。
【0094】
複数の貫通孔263は、上方から見て環状を呈するように位置していてもよい。複数の貫通孔263は、上方から見て円環状を呈するように位置していてもよい。複数の貫通孔263の数は、複数の収容孔271と同数であってもよい。この場合、複数の貫通孔263は、上方から見て、複数の収容孔271と重なり合うように位置していてもよい。治具260及び加熱型270と上型295とで積層体10が挟持された際に、各貫通孔263は、積層体10の磁石挿入孔16にそれぞれ対応する箇所に位置していてもよい。また、治具260のベース部材261の積層体10と接する面と対向する面、あるいは、下型270の治具260と接する面の何れかに複数の樹脂流路(例えば、溝、貫通孔)を含んでいてもよい。樹脂流路は、収容孔271と貫通孔263と磁石挿入孔16とを流体的に接続していてもよい。この場合、各収容孔271は、上方から見て、対応する磁石挿入孔16と重なり合っていなくてもよいし、その場合、複数の貫通孔263は、複数の収容孔271より多くてもよい。
【0095】
続いて、図12及び図13を参照して、図12に例示される加熱ユニットU4において、樹脂タブレットTを加熱型270に投入する処理(図11のステップS16)と、溶融樹脂Mを磁石挿入孔16に充填する処理(図11のステップS17)とについて、説明する。
【0096】
樹脂タブレットTを加熱型270に投入する処理では、図13に示されるように、コントローラCtrは、駆動源D3を制御して、搬送部240及び開閉部材250を加熱型270の上方に位置させる。このとき、コントローラCtrは、ヒータ273を制御して、加熱型270が所定温度となるように加熱型270を予熱していてもよい。次に、コントローラCtrは、駆動源D4を制御して、開閉部材250を第1の位置に位置させる。これにより、昇温済みの各収容孔271に対して、対応する収容孔241から樹脂タブレットTがそれぞれ略同時に投入される(図11のステップS16参照)。したがって、各収容孔271において、樹脂タブレットTの加熱が略同時に開始される。なお、各収容孔271にそれぞれプランジャ281が下から挿通されているので、プランジャ281によって樹脂タブレットTの落下が防止されている。
【0097】
続いて、溶融樹脂Mを磁石挿入孔16に充填する処理では、図12に示されるように、積層体10が載置された治具260を、加熱型270の上に載置する。さらに、積層体10の上に上型295を載置する。これにより、積層体10及び治具260は、上型295と加熱型270とによって、高さ方向から所定の荷重が付与された状態で挟持される。すなわち、図12に例示される加熱ユニットU4において、加熱型270は下型としても機能する。
【0098】
上型295と加熱型270とで積層体10及び治具260が挟持された状態で、各収容孔271において樹脂タブレットTが溶融して溶融樹脂Mとなると、コントローラCtrは、各駆動源282を制御して、各収容孔271内の溶融樹脂Mを、対応する各プランジャ281によって各磁石挿入孔16に押し出す(図11のステップS17参照)。このとき、積層体10は上型295及び加熱型270によって加圧されてもよい。これにより、溶融樹脂Mが各貫通孔263を介して各磁石挿入孔16内に流動するので、各磁石挿入孔16に溶融樹脂Mが充填される。各磁石挿入孔16に対して充填された溶融樹脂Mが固化すると、積層体10から上型295が取り外される。こうして、各磁石挿入孔16内に固化樹脂14がそれぞれ形成され、回転子積層鉄心1が完成する。
【0099】
なお、ここでは加熱型270が下型の機能を果たす場合を例示したが、積層体10、治具260及び加熱型270を上型295と共に把持可能な下型296を別途設けてもよい(図14参照)。この場合、収容孔271に連通する貫通孔297を下型296に設ければよく、各貫通孔297に押出機構280(プランジャ281及び駆動源282)を設ければよい。また、下型296は加熱型270と一体化したものであってもよい。
【0100】
(7)上記の例では、加熱型270を使用して鉄心製品を製造する場合を例示したが、必ずしも加熱型270を使用しなくてもよい。すなわち、鉄心製品の製造方法は、複数の磁石挿入孔16が形成された積層体10を予熱することと、搬送部240に形成された複数の収容孔241から複数の磁石挿入孔16に対してそれぞれ樹脂材料を略同時に投入することとを含み、複数の樹脂材料を積層体10からの熱によって略同時に加熱開始してもよい。磁石挿入孔16内に永久磁石12及び樹脂タブレットTが配置された状態で樹脂タブレットTを加熱することにより、磁石挿入孔16内に溶融樹脂Mを充填するようにしてもよい。この場合、積層体10の加熱によって樹脂タブレットTが加熱されてもよいし、加熱された永久磁石12を磁石挿入孔16に挿入することによって樹脂タブレットTが加熱されてもよい。この例では、搬送部240の各収容孔241に収容されている樹脂タブレットTはそれぞれ、加熱型270ではなく、対応する磁石挿入孔16に直接投入される。積層体10の熱が不足している場合は、積層体の周囲にヒータ等の加熱装置を配置し追加で加熱をしてもよい。また、樹脂タブレットTは加熱された積層体10と予め磁石挿入孔16に配置された永久磁石12の熱によって加熱されてもよいし、樹脂タブレット挿入後に、加熱された永久磁石12を加熱された積層体10の磁石挿入孔16に略同時に挿入することによって加熱されてもよい。加熱した永久磁石12を使用することにより、積層体10のみの熱よりも早く樹脂材料を硬化させることができる。また、樹脂材料を外側と内側から加熱することでより早く樹脂材料を硬化させることができ、製造時間の短縮となる。複数の磁石挿入孔16に対してそれぞれ樹脂材料が略同時に投入されるので、複数の樹脂材料の加熱開始のタイミングに時間差が生じ難くなる。そのため、磁石挿入孔16における溶融樹脂の未充填箇所の発生や、磁石挿入孔16からの溶融樹脂の漏出などが抑制される。さらに、樹脂材料を加熱する加熱型270が必要ないため、装置をシンプルにでき、装置のコストやメンテナス性で優れ、樹脂流路が必要ないため、不要樹脂の発生を抑制することができる。
【0101】
(8)図15に例示されるように、配置部220が起立した状態(収容孔221が横方向に延在している状態)において、把持機構230が各収容孔221に対応する位置まで移動することにより樹脂タブレットTを各収容孔221にそれぞれ投入してもよい。なお、把持機構230による樹脂タブレットTの解放位置に対応するように、配置部220を周方向に所定角度回転させてもよい。一方、一つの収容孔221に収容されるべき樹脂タブレットTの数が複数に設定されている場合には、所定数の樹脂タブレットTが当該一つの収容孔221に収容された後に、コントローラCtrは、駆動源D1を制御して、樹脂タブレットTが次に投入されるべき収容孔221が上記解放位置に対応するように、配置部220を周方向に所定角度回転させてもよい。この操作が複数回繰り返されることにより、全ての収容孔221にそれぞれ、所定数の樹脂タブレットTが投入される。その後、配置部220が搬送部240に向けて略90°回転することにより、各収容孔221から、対応する収容孔241にそれぞれ樹脂タブレットTを投入してもよい。搬送部240から加熱型270に樹脂タブレットTを投入する場合にも、図15に例示される形態が適用されてもよい。
【0102】
(9)図16に例示されるように、配置部220が起立した状態(収容孔221が横方向に延在している状態)であり且つ搬送部240が起立した状態(収容孔241が横方向に延在している状態)において、樹脂タブレットTを投入してもよい。例えば、棒状の押出部材300を用いて、収容孔221に配置されている樹脂タブレットTを収容孔241へと略水平方向に押し出してもよい。その後、開閉部材250が底面に位置するように、搬送部240が略90°回転してもよい。搬送部240を略90°回転させるだけで搬送部240を次の工程に移すことができるため、装置の構成が複雑にならないという利点がある。配置部220から搬送部240に樹脂タブレットTを挿入する際、開閉部材250を操作する必要がない。このため、樹脂タブレットTの同時挿入だけでなく、順次挿入も可能である。また、樹脂タブレットTを配置部220の収容孔221に挿入するまでの待ち時間を短くできる。
【0103】
(10)配置部220にヒータが設けられており、各収容孔221に収容されている樹脂タブレットTが予熱されてもよい。搬送部240にヒータが設けられており、各収容孔241に収容されている樹脂タブレットTが予熱されてもよい。
【0104】
(11)溶融樹脂Mの磁石挿入孔16への充填に際して、加熱型270と積層体10との間に中間プレート(図示せず)が配置されていてもよい。中間プレートは、複数の樹脂流路(例えば、溝、貫通孔)を含んでいてもよい。樹脂流路は、収容孔271と磁石挿入孔16とを流体的に接続していてもよい。この場合、各収容孔271は、上方から見て、対応する磁石挿入孔16と重なり合っていなくてもよい。
【0105】
(12)加熱型270と下型291とで、積層体10及び治具260が挟持された後に、各収容孔271に樹脂タブレットTが投入されてもよい。
【0106】
(13)下型291と上型292とで積層体10及び治具260を挟持する際には、下型291及び上型292の少なくとも一方に駆動源等からの動力が付与されてもよい。加熱型270に駆動源等からの動力が付与されてもよい。
【0107】
(14)把持機構230はロボットハンド等であってもよい。
【0108】
(15)把持機構230によって、搬送部240の各収容孔241に樹脂タブレットTを直接投入してもよい。すなわち、搬送部240は、配置部220を兼ねていてもよい。
【0109】
(16)把持機構230によって、加熱型270の各収容孔271に樹脂タブレットTを直接投入してもよい。すなわち、加熱型270は、配置部220及び搬送部240を兼ねていてもよい。この場合、全ての収容孔271に樹脂タブレットTが投入された後に、ヒータ273による加熱型270の加熱が開始されてもよい。加熱型270は、配置ユニットU2と加熱ユニットU4との間を循環するように移動してもよい。
【0110】
(17)図17(a)に例示されるように、配置部220は、複数の部材220Aの組み合わせによって構成されていてもよい。部材220Aは、少なくとも一つの収容孔221を含んでいてもよい。複数の部材220Aの組み合わせにより配置部220が構成されたときに、複数の収容孔221が環状に並んでもよい。複数の部材240Aから搬送部240への樹脂タブレットTの投入は、それぞれ別々に行われてもよいし、略同時に行われてもよい。
【0111】
図17(b)に例示されるように、搬送部240も同様に、複数の部材240Aの組み合わせによって構成されていてもよい。図17(c)に例示されるように、加熱型270も同様に、複数の部材270Aの組み合わせによって構成されていてもよい。
【0112】
(18)図18に示されるように、加熱型270は、複数の部材270Aと、本体部材270Bとで構成されていてもよい。部材270Aはそれぞれ、少なくとも一つの収容孔271が形成された筒状部材であってもよい。本体部材270Bは、複数の部材270Aを保持する保持空間272を含んでいてもよい。保持空間272は、複数の部材270Aの外形に対応した形状を呈する貫通孔、凹部等であってもよい。
【0113】
(19)配置部220は、収容孔221に代えてあるいは収容孔221に加えて、樹脂タブレットTを収容可能な収容部を含んでいてもよい。搬送部240は、収容孔241に代えてあるいは収容孔241に加えて、樹脂タブレットTを収容可能な収容部を含んでいてもよい。加熱型270は、収容孔271に代えてあるいは収容孔271に加えて、樹脂タブレットTを収容可能な収容部を含んでいてもよい。これらの収容部は、貫通孔であってもよいし、非通孔(凹部)であってもよいし、他の形状を呈していてもよい。
【0114】
(20)上記の例では、所定数の樹脂タブレットTが投入された後の収容孔221内の高さを測定して、収容孔221に配置されている樹脂タブレットTの数を判別していたが、収容孔241に配置されている樹脂タブレットTの高さを測定することにより、収容孔241に配置されている樹脂タブレットTの数を判別してもよい。あるいは、配置部220及び搬送部240とは異なるポットの収容部に配置されている樹脂タブレットTの高さを測定することにより、当該収容部に配置されている樹脂タブレットTの数を判別してもよい。
【0115】
(21)回転子積層鉄心1以外の他の鉄心製品に本技術を適用してもよい。他の鉄心製品は、例えば、固定子積層鉄心、非積層型の固定子鉄心、非積層型の回転子鉄心であってもよい。固定子鉄心は、複数の鉄心片が組み合われて構成される分割型の固定子鉄心であってもよいし、非分割型の固定子鉄心であってもよい。非分割型の固定子積層鉄心は、円環状を呈する打抜部材Wが複数積層されたものであってもよい。あるいは、非分割型の固定子積層鉄心は、一つのヨークに複数のティースが設けられており、ティース間において折り曲げられることによって環状となる折り曲げ型の打抜部材が複数積層されたものであってもよい。非積層型の回転子鉄心又は固定子鉄心は、強磁性体粉末が圧縮成形されたものであってもよいし、強磁性体粉末を含有する樹脂材料が射出成形されたものであってもよい。
【0116】
(22)高さ方向に延びる樹脂注入部(例えば、貫通孔、溝など)に溶融樹脂Mを充填する工程を含む鉄心製品の製造方法に、本技術を適用してもよい。例えば、固定子鉄心と巻線との間を絶縁するための樹脂膜を固定子鉄心のスロットの内周面に設ける際に、本技術を適用してもよい。あるいは、複数の打抜部材Wを接合する際に、本技術を適用してもよい。
【0117】
(23)複数の永久磁石12が一つの磁石挿入孔16内に挿入されていてもよい。この場合、複数の永久磁石12は、一つの磁石挿入孔16内において積層方向に沿って隣り合うように並んでいてもよいし、磁石挿入孔16の長手方向に並んでいてもよい。
【0118】
[他の例]
例1.鉄心製品(1)の製造方法の一例は、加熱型(270)に形成された複数の第1の収容部(271)に対してそれぞれ樹脂材料(T)を略同時に投入することと、複数の第1の収容部(271)に配置された複数の樹脂材料(T)を、加熱型(270)によって略同時に加熱開始することと、鉄心本体(10)に設けられた複数の樹脂形成領域(16)に対して、複数の第1の収容部(271)から溶融樹脂(M)を供給することとを含んでいてもよい。一般に、溶融樹脂の粘度は加熱時間に伴い高くなる傾向にある。ところが、例1の場合、複数の第1の収容部(271)に対してそれぞれ樹脂材料が略同時に投入されるので、複数の樹脂材料の加熱開始のタイミングに時間差が生じ難くなる。そのため、複数の第1の収容部のそれぞれにおける溶融樹脂の粘度にばらつきが生じ難くなる。したがって、鉄心本体の複数の樹脂形成領域に対して、複数の第1の収容部からの溶融樹脂が均一に供給されやすくなるので、樹脂形成領域における溶融樹脂の未充填箇所の発生や、樹脂形成領域からの溶融樹脂の漏出などが抑制される。その結果、鉄心本体の複数の樹脂形成領域に対して溶融樹脂を適切に供給することが可能となる。
【0119】
例2.例1の方法において、複数の第1の収容部(271)は、円環状に並ぶように加熱型(270)に形成された3つ以上の第1の収容部を含んでいてもよい。この場合、円環状に並ぶように鉄心本体に形成された複数の樹脂形成領域に対して、溶融樹脂をより適切に供給することが可能となる。
【0120】
例3.例1又は例2の方法において、複数の樹脂材料(T)のうちの各樹脂材料(T)はそれぞれ、少なくとも一つの樹脂タブレット(T)を含んで構成されていてもよい。この場合、各樹脂形成領域の容量に応じて樹脂タブレットの数を増減させることで、溶融樹脂をより適切に供給することが可能となる。
【0121】
例4.例3の方法は、複数の樹脂材料(T)を略同時に加熱開始することの前に、複数の樹脂材料(T)のうちの各樹脂材料(T)の高さを測定して、各樹脂材料(T)を構成している樹脂タブレット(T)の数を判別することをさらに含んでいてもよい。この場合、所定数の樹脂タブレットが各第1の収容部に配置されたか否かが、樹脂タブレットの溶融前に予め判別される。そのため、適切な量の溶融樹脂を複数の樹脂形成領域に対して供給することが可能となる。
【0122】
例5.例3又は例4の方法は、複数の樹脂材料(T)を略同時に加熱開始することの前に、各樹脂材料(T)を構成している樹脂タブレット(T)のそれぞれの高さ及び/又は重量を測定することをさらに含んでいてもよい。この場合、各樹脂タブレットの高さ及び/又は重量が所定の範囲内であるか否かが、樹脂タブレットの溶融前に予め判別される。そのため、適切な量の溶融樹脂を複数の樹脂形成領域に対して供給することが可能となる。
【0123】
例6.例3~例5のいずれかの方法において、複数の樹脂材料(T)のうちの各樹脂材料(T)はそれぞれ、複数の第1の収容部(271)のうちの対応する第1の収容部(271)内において当該第1の収容部(271)の長手方向に沿って一列に並ぶ複数の樹脂タブレット(T)を含んでいてもよい。この場合、各樹脂形成領域の容量が大きくても、溶融樹脂をより適切に供給することが可能となる。また、各第1の収容部内において複数の樹脂タブレットが一列に並んでいるので、当該複数の樹脂タブレットを略均等に加熱することが可能となる。
【0124】
例7.例1~例6のいずれかの方法は、搬送部(240)に形成された複数の第2の収容部(241)に対してそれぞれ樹脂材料(T)を配置することをさらに含んでいてもよい。複数の第1の収容部(271)に対してそれぞれ樹脂材料(T)を略同時に投入することは、複数の第2の収容部(241)に配置されている複数の樹脂材料(T)をそれぞれ、加熱された状態の加熱型(270)の複数の第1の収容部(271)へと略同時に投入することを含んでいてもよい。この場合、予め加熱されている加熱型の複数の第1の収容部に対して、複数の樹脂材料が略同時に投入されるので、加熱型の昇温のための待ち時間が生じない。そのため、鉄心製品の生産性を高めることが可能となる。
【0125】
例8.例7の方法において、複数の第1の収容部(271)に対してそれぞれ樹脂材料(T)を略同時に投入することは、搬送部(240)の底部に配置された開閉部材(250)を動作させて、複数の第2の収容部(241)の出口を略同時に閉鎖状態から開放状態とすることを含んでいてもよい。この場合、開閉部材の動作という極めて簡単な手法により、複数の第1の収容部への複数の樹脂材料の略同時投入を実現することが可能となる。
【0126】
例9.例7又は例8の方法は、配置部(220)に形成された複数の第3の収容部(221)に対してそれぞれ樹脂材料(T)を配置することをさらに含んでいてもよい。複数の第2の収容部(241)に対してそれぞれ樹脂材料(T)を配置することは、複数の第3の収容部(221)に配置されている複数の樹脂材料(T)をそれぞれ、複数の第2の収容部(241)へと投入することを含んでいてもよい。この場合、複数の樹脂材料の配置処理と、複数の樹脂材料の加熱型への搬送処理とが、配置部と搬送部とで別々に行われる。そのため、搬送部によって複数の樹脂材料を加熱型に搬送している間に、比較的時間を要する傾向にある配置処理を行うことができる。したがって、複数の樹脂材料の配置処理のための待ち時間が削減されるので、鉄心製品の生産性を高めることが可能となる。
【0127】
例10.例9の方法において、複数の第3の収容部(221)に対しそれぞれ樹脂材料(T)を配置することは、樹脂材料(T)を把持治具(231)で把持して、複数の第3の収容部(221)のうちのいずれかに配置することを複数回繰り返すことを含んでいてもよい。この場合、把持治具による樹脂材料の把持に伴い樹脂材料から粉塵が発生したとしても、把持治具は当該粉塵の影響を比較的受け難い。そのため、メンテナンス作業の時間や頻度を低減できるので、鉄心製品の生産性を高めることが可能となる。
【0128】
例11.例9又は例10の方法は、複数の第3の収容部(221)に配置されている複数の樹脂材料(T)のうちの各樹脂材料(T)の高さを測定して、各樹脂材料(T)を構成している樹脂タブレット(T)の数を判別することをさらに含んでいてもよい。この場合、例4の方法と同様の作用効果が得られる。
【0129】
例12.鉄心製品(1)の製造装置(100)の一例は、複数の第1の収容部(271)が形成された加熱型(270)と、複数の第1の収容部(271)に対してそれぞれ樹脂材料(T)を略同時に投入するように構成された投入機(240,250)と、投入機(240,250)によって複数の第1の収容部(271)に配置された複数の樹脂材料(T)を略同時に加熱開始するように構成されたヒータ(273)と、複数の第1の収容部(271)内の溶融樹脂(M)をそれぞれ押し出して、鉄心本体(10)に設けられた複数の樹脂形成領域(16)に対して溶融樹脂(M)を供給するように構成された押出機構(280)とを備えていてもよい。この場合、例1の方法と同様の作用効果が得られる。
【0130】
例13.例12の装置(100)において、複数の第1の収容部(271)は、円環状に並ぶように加熱型(270)に形成された3つ以上の第1の収容部(271)を含んでいてもよい。この場合、例2の方法と同様の作用効果が得られる。
【0131】
例14.例12又は例13の装置(100)において、複数の樹脂材料(T)のうちの各樹脂材料(T)はそれぞれ、少なくとも一つの樹脂タブレット(T)を含んで構成されていてもよい。この場合、例3の方法と同様の作用効果が得られる。
【0132】
例15.例14の装置(100)は、複数の樹脂材料(T)のうちの各樹脂材料(T)の高さを測定するように構成された第1の測定機(SE3)と、第1の測定機(SE3)によって測定された高さに基づいて、各樹脂材料(T)を構成している樹脂タブレット(T)の数を判別するように構成された判別部(Ctr)とをさらに備えていてもよい。この場合、例4の方法と同様の作用効果が得られる。
【0133】
例16.例14又は例15の装置(100)は、各樹脂材料(T)を構成している樹脂タブレット(T)のそれぞれの高さ及び/又は重量を測定するように構成された第2の測定機(SE2)をさらに備えていてもよい。この場合、例5の方法と同様の作用効果が得られる。
【0134】
例17.例14~例16のいずれかの装置(100)において、複数の樹脂材料(T)のうちの各樹脂材料(T)はそれぞれ、複数の第1の収容部(271)のうちの対応する第1の収容部(271)内において当該第1の収容部(271)の長手方向に沿って一列に並ぶ複数の樹脂タブレット(T)を含んでいてもよい。この場合、例6の方法と同様の作用効果が得られる。
【0135】
例18.例12~例17のいずれかの装置(100)において、投入機(240,250)は、複数の第2の収容部(241)が形成された搬送部(240)を含んでいてもよい。搬送部(240)は、複数の第2の収容部(241)に配置されている複数の樹脂材料(T)をそれぞれ、ヒータ(273)によって加熱された状態の加熱型(270)の複数の第1の収容部(271)へと略同時に投入するように構成されていてもよい。この場合、例7の方法と同様の作用効果が得られる。
【0136】
例19.例18の装置(100)において、投入機(240,250)は、搬送部(240)の底部に配置され、且つ、複数の第2の収容部(241)の出口を略同時に開閉するように構成された開閉部材(250)をさらに含んでいてもよい。搬送部(240)は、開閉部材(250)によって複数の第2の収容部(241)の出口が略同時に閉鎖状態から開放状態とされることにより、複数の第2の収容部(241)に配置されている複数の樹脂材料(T)をそれぞれ、ヒータ(273)によって加熱された状態の加熱型(270)の複数の第1の収容部(271)へと略同時に投入するように構成されていてもよい。この場合、例8の方法と同様の作用効果が得られる。
【0137】
例20.例18又は例19の装置(100)は、複数の第3の収容部(221)が形成された配置部(220)をさらに備えていてもよい。配置部(220)は、複数の第3の収容部(221)に配置されている複数の樹脂材料(T)をそれぞれ、複数の第2の収容部(241)へと投入するように構成されていてもよい。この場合、例9の方法と同様の作用効果が得られる。
【0138】
例21.例20の装置(100)は、樹脂材料(T)を把持して、複数の第3の収容部(221)のうちのいずれかに配置することを複数回繰り返すように構成された把持治具(231)をさらに備えていてもよい。この場合、例10の方法と同様の作用効果が得られる。
【0139】
例22.例20又は例21の装置(100)は、複数の第3の収容部(221)に配置されている複数の樹脂材料(T)のうちの各樹脂材料(T)の高さを測定するように構成された第1の測定機(SE3)と、第1の測定機(SE3)によって測定された高さに基づいて、各樹脂材料(T)を構成している樹脂タブレット(T)の数を判別するように構成された判別部(Ctr)とをさらに備えていてもよい。この場合、例4の方法と同様の作用効果が得られる。
【符号の説明】
【0140】
1…回転子積層鉄心(鉄心製品)、10…積層体(鉄心本体)、16…磁石挿入孔(樹脂形成領域)、100…製造装置、200…樹脂充填システム、220…配置部、221…収容孔(第3の収容部)、230…把持機構、231…把持治具、240…搬送部(投入機)、241…収容孔(第2の収容部)、250…開閉部材(投入機)、270…加熱型(加熱部)、271…収容孔(第1の収容部)、273…ヒータ、280…押出機構、Ctr…コントローラ(判定部)、M…溶融樹脂、SE1…重量センサ(第2の測定機)、SE2…高さセンサ(第2の測定機)、SE3…高さセンサ(第1の測定機)、T…樹脂タブレット(樹脂材料)、U1…材料供給ユニット、U2…配置ユニット、U3…搬送ユニット、U4…加熱ユニット。
図1
図2
図3
図4
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