(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】取引支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/08 20120101AFI20240520BHJP
【FI】
G06Q30/08
(21)【出願番号】P 2022508288
(86)(22)【出願日】2021-03-11
(86)【国際出願番号】 JP2021009844
(87)【国際公開番号】W WO2021187318
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2023-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2020045292
(32)【優先日】2020-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503123521
【氏名又は名称】木山 晋哉
(73)【特許権者】
【識別番号】520092048
【氏名又は名称】横澤 いづみ
(73)【特許権者】
【識別番号】504398177
【氏名又は名称】李 載濬
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】木山 晋哉
(72)【発明者】
【氏名】横澤 いづみ
(72)【発明者】
【氏名】李 載濬
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-271841(JP,A)
【文献】特開2008-299601(JP,A)
【文献】特開2001-290968(JP,A)
【文献】特開2007-140598(JP,A)
【文献】国際公開第2019/018873(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0276362(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0392511(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引対象物に係る支払い価格を入札方式で決定し、取引対象物の提供者と利用者との間の取引を支援するためのシステムであって、
当該システムで利用する複数の情報を保持する記憶部と、
前記利用者及び前記提供者が利用する端末と当該システムとの間で情報の受け渡しを行うためのインタフェース部と、
前記利用者及び前記提供者を、当該システムを利用する会員利用者及び会員提供者として、前記記憶部へ登録するための会員登録部と、
会員利用者から入力される情報に基づいて、会員利用者が入札を希望する取引対象物を特定可能な情報を、入札案件として前記記憶部へ登録する入札案件登録部と、
入札案件を会員提供者へ開示するための入札案件開示部と、
該入札案件開示部により開示された入札案件に対して会員提供者から入力される、前記支払い価格に相当する入札価格を、入札案件に紐付けて前記記憶部へ登録する入札価格登録部と、
会員利用者に対して、該会員利用者により登録された入札案件に対して入札価格を登録した、全ての会員提供者による入札価格を開示する入札価格開示部と、
会員利用者からの入力を受けて、落札先の会員提供者及び落札内容を特定して入札案件の落札を確定させる落札処理部と、を含み、
前記入札案件開示部は、前記入札案件登録部により登録された少なくとも一部の入札案件を、特定のウェブサイトに取引対象物を掲載している会員提供者に対して、他の会員提供者よりも優先的に開示し、優先的に開示された会員提供者が落札できなかった場合に、前記他の会員提供者にも開示し、
前記入札案件開示部は、
前記特定のウェブサイトに掲載されている取引対象物を把握して、入札案件として登録されている情報が示す取引対象物と一致している或いは同じカテゴリーに含まれる取引対象物を、前記特定のウェブサイトに掲載している会員提供者に対して、その入札案件を優先的に開示
し、
前記特定のウェブサイトが、当該取引支援システムを運用している企業又はその関連企業によって運営され、
前記入札案件登録部は、入札案件として登録するために会員利用者から入力される取引対象物の情報として、取引対象物の情報が掲載されたウェブページのURLが入力されることを特徴とする取引支援システム。
【請求項2】
取引対象物が不動産、前記支払い価格が仲介手数料、会員提供者が不動産業者であると共に、会員利用者に不動産の買主と売主と借主と貸主とのうち少なくとも一部が含まれることを特徴とする請求項
1記載の取引支援システム。
【請求項3】
取引対象物が動産であり、前記支払い価格が動産の購入にかかる費用であることを特徴とする請求項
1記載の取引支援システム。
【請求項4】
前記入札案件開示部は、入札案件の開示先である会員提供者に対して、該会員提供者と異なる会員提供者によりその入札案件に紐付けられて登録された入札価格を開示し、
前記入札価格登録部は、同一の会員提供者からの同一の入札案件に対する入札価格の登録を2回以上受け付け、
前記入札価格開示部は、会員提供者毎に最新に登録された入札価格を開示することを特徴とする請求項1から
3の何れか1項記載の取引支援システム。
【請求項5】
前記インタフェース部は、前記端末にインストールされたウェブブラウザ或いは専用アプリケーションを介して、情報の受け渡しを行うことを特徴とする請求項1から
4の何れか1項記載の取引支援システム。
【請求項6】
前記落札処理部は、落札が確定した入札案件を登録した会員利用者の連絡先と、落札が確定した入札案件を落札した会員提供者の連絡先とのうち、少なくとも何れか一方を開示することを特徴とする請求項1から
5の何れか1項記載の取引支援システム。
【請求項7】
前記落札処理部は、落札が確定した入札案件について、落札した会員提供者と落札された会員利用者とのうち、何れか一方又は双方から落札内容の修正を受けると共に、何れか一方又は双方から修正された落札内容の確認を受けることで、落札を再確定させることを特徴とする請求項1から
6の何れか1項記載の取引支援システム。
【請求項8】
前記落札処理部は、入札案件の内容に応じて、複数の会員提供者を同時に落札先として特定することを特徴とする請求項1から
7の何れか1項記載の取引支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取引対象物に係る支払い価格を入札方式で決定し、取引対象物の提供者と利用者との間の取引を支援する取引支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットやそれに接続する端末機器等の発達により、様々な情報を手軽に把握できるようになっている。例えば、不動産の情報は、地域の宅地建物取引業者(不動産業者)に赴いて掲示情報を確認しなくても、不動産の広告サイト等で容易に情報を収集することができる。又、そのような不動産に関しては、不動産の取引を支援するようなシステムが発案されている(例えば、特許文献1~3参照)。一方、動産の場合でも、それらを取り扱っている店舗を訪れることなく、様々なECサイト等で情報を把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-228098号公報
【文献】特開2017-215795号公報
【文献】特開2015-194957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えば、不動産取引において、借主が借りたい候補物件や、買主が買いたい候補物件等が出てきたときに、それらの物件の仲介手数料を、複数の不動産業者間で競わせることは困難である。これは、仲介手数料の比較サイトや入札サイト等がなく、オフラインの人的な方法に依存しているためである。又、貸主や売主にとっても、不動産取引物件について複数の不動産業者に一括で入札をかけるようなサイトは存在せず、オフラインの人的な方法に依存しているため、仲介手数料を競わせることが困難である。一方、動産については、価格を比較するサイトや、買い手側が入札を行うサイト等は存在するが、複数の売り手間で価格を競わせるようなサイトはなく、取引の活性化が求められている。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、取引対象物に係る支払い価格を競わせることで、取引を活性化させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。そのため、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0007】
(1)取引対象物に係る支払い価格を入札方式で決定し、取引対象物の提供者と利用者との間の取引を支援するためのシステムであって、当該システムで利用する複数の情報を保持する記憶部と、前記利用者及び前記提供者が利用する端末と当該システムとの間で情報の受け渡しを行うためのインタフェース部と、前記利用者及び前記提供者を、当該システムを利用する会員利用者及び会員提供者として、前記記憶部へ登録するための会員登録部と、会員利用者から入力される情報に基づいて、会員利用者が入札を希望する取引対象物を特定可能な情報を、入札案件として前記記憶部へ登録する入札案件登録部と、入札案件を会員提供者へ開示するための入札案件開示部と、該入札案件開示部により開示された入札案件に対して会員提供者から入力される、前記支払い価格に相当する入札価格を、入札案件に紐付けて前記記憶部へ登録する入札価格登録部と、会員利用者に対して、該会員利用者により登録された入札案件に対して入札価格を登録した、全ての会員提供者による入札価格を開示する入札価格開示部と、会員利用者からの入力を受けて、落札先の会員提供者及び落札内容を特定して入札案件の落札を確定させる落札処理部と、を含む取引支援システム。
【0008】
本項に記載の取引支援システムは、様々な取引対象物に係る支払い価格を入札方式で決定し、それらの取引対象物の提供者とそれらを必要とする利用者との間の取引を支援するものであり、この場合の支払い価格には、利用者が所望する形式で取引対象物が提供されるように、利用者が提供者へ支払う様々な価格が含まれる。それを実行するために、本項に記載の取引支援システムは、記憶部、インタフェース部、会員登録部、入札案件登録部、入札案件開示部、入札価格登録部、入札価格開示部、及び落札処理部を含んでいる。記憶部は、本システムで利用する様々な情報を保持するものであり、それらの情報には、会員情報、入札案件情報、入札価格等が含まれる。
【0009】
インタフェース部は、利用者が利用する端末及び提供者が利用する端末と、本システムとの間で情報の受け渡しを行うためのものであり、種々のネットワークを利用する通信機能や、情報の入出力機能等を含む。会員登録部は、利用者及び提供者が本システムを利用するために必要な会員登録を行うものであり、利用者が会員利用者として、提供者が会員提供者として、夫々の連絡先等を含む様々な情報と共に記憶部に登録される。入札案件登録部は、端末及びインタフェース部を経由して会員利用者から入力される情報に基づいて、会員利用者が入札を希望する取引対象物を特定可能な情報を、入札案件として記憶部へ登録する。すなわち、会員利用者は、入札の実施を希望する取引対象物を直接的或いは間接的に特定可能な情報を端末に入力し、その情報を受けた入札案件登録部が、入力された情報をそのまま或いは加工して、入札案件として登録する。
【0010】
入札案件開示部は、記憶部に登録されている入札案件を、会員提供者に対して開示するためのものであり、会員提供者の各々に対して開示される入札案件の範囲や、各入札案件に付随している情報の開示範囲は、状況に応じて任意に設定される。入札価格登録部は、入札案件開示部によって開示された入札案件に対して会員提供者から入力される、上述した支払い価格に相当する入札価格を、入札案件に紐付けて記憶部へ登録するものである。すなわち、会員提供者の各々は、自分に開示された入札案件のうち、入札に参加したい入札案件に対して、自分が対応可能な入札価格を端末を介して入力する。そして、それをインタフェース部経由で受けた入札価格登録部が、入札案件に紐付けて記憶部へ登録することで、複数の会員提供者から入札価格が入力された入札案件には、それら複数の入札価格が紐付けられることになる。
【0011】
入札価格開示部は、会員利用者に対して、その会員利用者により登録された入札案件に対して入札価格を登録した、全ての会員提供者による入札価格を開示する。換言すれば、入札価格開示部は、各入札案件に紐付けられて登録されている入札価格を、その入札案件を登録した会員利用者に対して、インタフェース部及び端末を介して開示し、その際に開示される入札価格には、その入札案件に対して入札価格を入力した全ての会員提供者のものが含まれる。落札処理部は、端末を介した会員利用者からの入力を受けて、落札先の会員提供者及び落札内容を特定して入札案件の落札を確定させる。すなわち、会員利用者は、入札価格開示部によって開示された入札価格を確認し、開示された入札価格に自分が満足するものがあれば、その入札価格を提示した会員提供者を指定して、取引を行う相手が決定したことを入力する。それを受けた落札処理部は、会員利用者により指定された会員提供者と、その会員提供者が提示していた入札価格や諸条件等を含む落札内容とを特定して、入札案件の落札を確定させる。
【0012】
上記のような構成により、本項に記載の取引支援システムは、会員利用者が指定した取引対象物について、会員利用者が会員提供者へ支払う支払い価格が、入札方式で争われることとなるため、会員利用者により会員提供者が選定されて、会員利用者に好適な条件で取引されるものとなる。又、会員提供者については、各会員提供者が取り扱い可能な様々な取引対象物の入札案件が、入札案件開示部により開示されることで、取引に至る可能性のある入札への参加機会が増えるため、取引毎に得られる支払い価格が低くなっても、結果として収益が上がる可能性が高まることになる。従って、様々な取引対象物の取引が活性化されることとなる。
【0013】
(2)上記(1)項において、前記入札案件登録部は、入札案件として登録するために会員利用者から入力される取引対象物の情報として、取引対象物の情報が掲載されたウェブページのURLと、取引対象物の情報が表示された画像データと、取引対象物の情報を示すテキストデータとのうち、少なくとも1つが入力される取引支援システム。
本項に記載の取引支援システムは、入札案件登録部が、入札案件として登録するために、会員利用者から端末を介して入力される情報を規定するものである。すなわち、そのような情報として、取引対象物の情報が掲載されたウェブページのURLと、取引対象物の情報が表示された画像データと、取引対象物の情報を示すテキストデータとのうち、少なくとも1つが入力される。
【0014】
取引対象物の情報が掲載されたウェブページは、取引対象物が不動産の場合は不動産の広告サイト等、取引対象物が動産の場合はECサイトや動産の製造会社のサイト等といった、取引対象物を特定可能な情報が掲載された任意のサイトのページであってよい。そして、そのようなサイトが会員利用者により閲覧され、そのページのURLがコピー&ペースト等によって入札案件登録部に対して入力される。取引対象物の情報が表示された画像データとは、PDF形式やJPEG形式といった様々な形式で保存された画像データであってよく、そこには、取引対象物を特定可能な文字列や画像が含まれるものである。取引対象物の情報を示すテキストデータとは、WORD形式等の様々な形式で保存された文書データや、端末を介して会員利用者により入力される文字列そのものであってよく、何れの場合でも取引対象物を直接的或いは間接的に特定可能な情報が含まれるものである。上述した何れの入力情報であっても、会員利用者によって端末から容易に入力されるため、会員利用者が入札案件を登録する敷居が下がり、取引がより活性化されるものとなる。
【0015】
(3)上記(1)(2)項において、取引対象物が不動産、前記支払い価格が仲介手数料、会員提供者が不動産業者であると共に、会員利用者に不動産の買主と売主と借主と貸主とのうち少なくとも一部が含まれる取引支援システム。
本項に記載の取引支援システムは、入札案件として登録される取引対象物が土地や建物といった不動産、入札価格として競争される支払い価格が不動産の仲介手数料、会員提供者が不動産業者であるものである。更に、会員利用者には、不動産の買主、売主、借主、及び貸主のうち、少なくとも一部が含まれるものである。このような構成により、会員提供者である不動産業者は、入札案件として登録される多数の案件にアクセスし、取引に参加するようになる。そして、仲介手数料を下げて入札に参加して落札率を高め、それによって案件毎に得られる仲介手数料が減ることになっても、入札に参加する機会が増えて結果として落札する案件数が増えることで、収益増に結び付き易くなるものである。
【0016】
又、会員利用者が不動産の貸主である場合、賃貸を希望する物件が入札案件として登録されることで、仲介を希望する複数の不動産業者に瞬時に物件情報が伝わるものとなり、それらの不動産業者から好適な条件を提示した不動産業者が賃貸物件仲介の不動産業者として選定されるものである。このため、従来は個別に行っていた不動産業者への依頼作業の手間が大幅に軽減され、実際に賃貸物件への募集が開始されるまでの期間が短縮されることにより、賃料が得られない空白期間のリスクが低減されることとなる。更に、入札案件の登録時に、貸主の希望や成約時に仲介した不動産業者に支払う業務委託費等の謝礼額を自己設定しておくこととすれば、謝礼額の対面交渉作業から解放されるものである。又、会員利用者が不動産の借主である場合、賃貸物件情報サイト等で賃借を希望する物件を見つけ、その物件情報が入札案件として登録されることで、賃貸借契約仲介を依頼できる不動産業者が容易に把握されるものとなる。そして、そのような不動産業者が複数いる場合は、仲介手数料や所在地等の各条件が比較され、借主に最適と思われる不動産業者が選定されて賃借仲介が依頼されるものとなる。
【0017】
一方、会員利用者が不動産の売主である場合、売却を希望する物件が入札案件として登録されることで、物件の売却意思が複数の不動産業者に同時に通知されるものとなり、それらの不動産業者から好適な条件を提示した不動産業者が選定されるものである。これにより、従来はオフラインの人的な方法に依存していた依頼作業が、本システムへの入札案件登録作業で完結できるため、作業の手間が大幅に低減されるものとなり、更に、入札によって成約時の仲介手数料が抑制されるものとなる。他方、会員利用者が不動産の買主である場合、売買物件情報サイト等で購入を希望する物件を見つけ、その物件情報が入札案件として登録されることで、売買仲介を依頼できる不動産業者が容易に把握されるものとなる。そして、そのような不動産業者が複数いる場合は、仲介手数料や所在地等の各条件が比較されて、買主に最適と思われる不動産業者が選定されて売買仲介が依頼されるものとなる。
【0018】
(4)上記(1)(2)項において、取引対象物が動産であり、前記支払い価格が動産の購入にかかる費用である取引支援システム。
本項に記載の取引支援システムは、入札案件として登録される取引対象物が、様々な商品を含む動産であり、入札価格として競争される支払い価格が、動産そのものの販売価格や送料等を含む動産の購入にかかる費用であるものである。この場合、会員提供者は動産を販売する販売業者等であり、会員利用者は動産の購入を希望する個人や法人等である。このような構成により、会員提供者である販売業者等は、入札案件として登録される多数の案件にアクセスし、各々が取り扱い可能な多くの取引に参加するようになる。そして、入札価格を下げて入札に参加して落札率を高めると共に、入札の参加件数を増やして落札件数を増加させることで、収益の増加が見込めるものである。又、会員利用者としての個人や法人等は、ECサイト等で購入を希望する商品を見つけ、その商品を入札案件として登録することで、その商品を販売している複数の業者が容易に把握されるものとなる。そして、そのような複数の業者の販売価格や送料等の各条件が比較され、会員利用者に最適と思われる業者が選定されて販売が依頼されるものとなる。
【0019】
(5)上記(1)から(4)項において、前記入札案件開示部は、前記入札案件登録部により登録された少なくとも一部の入札案件を、特定のウェブサイトに取引対象物を掲載している会員提供者に対して、他の会員提供者よりも優先的に開示し、優先的に開示された会員提供者が落札できなかった場合に、前記他の会員提供者にも開示する取引支援システム。
本項に記載の取引支援システムは、入札案件開示部が、入札案件登録部により登録された少なくとも一部の入札案件を、特定のウェブサイトに取引対象物を掲載している会員提供者に対して、他の会員提供者よりも優先的に開示するものである。
【0020】
すなわち、入札案件開示部は、少なくとも一部の入札案件を開示する際、その入札案件を他の会員提供者に対して開示する前に、特定のウェブサイトに取引対象物を掲載している会員提供者にのみ開示して、開示された会員提供者間でのみ入札を行わせる。そして、優先的に開示された会員提供者が落札できなかった場合に、その入札案件を他の会員提供者にも開示するものである。これにより、特定のウェブサイトに取引対象物を掲載する提供者の増加が促され、それによってこの特定のウェブサイトに掲載される取引対象物の種類や数量が豊富になるため、本システム並びに特定のウェブサイトの双方の利用頻度が増え、取引がより一層活性化されるものである
【0021】
(6)上記(5)項において、前記入札案件開示部は、前記特定のウェブサイトに掲載されている取引対象物を把握して、入札案件として登録されている情報が示す取引対象物と一致している或いは同じカテゴリーに含まれる取引対象物を、前記特定のウェブサイトに掲載している会員提供者に対して、その入札案件を優先的に開示し、前記特定のウェブサイトが、当該取引支援システムを運用している企業又はその関連企業によって運営され、前記入札案件登録部は、入札案件として登録するために会員利用者から入力される取引対象物の情報として、取引対象物の情報が掲載されたウェブページのURLが入力される取引支援システム。
本項に記載の取引支援システムは、入札案件登録部により登録された入札案件の中に、特定のウェブサイトに掲載されている取引対象物と一致する或いは同じカテゴリーに含まれる取引対象物を示す入札案件があり、その取引対象物を特定のウェブサイトに掲載している提供者が、本システムに登録している会員提供者である場合に、その会員提供者に対して、その会員提供者が掲載した取引対象物と一致する或いは同じカテゴリーに含まれる取引対象物を示している入札案件を、入札案件開示部が優先的に開示するものである。この際、入札案件開示部は、特定のウェブサイトに掲載されている取引対象物を把握する。これにより、本システム及び特定のウェブサイトの利用が益々促されるものである。更に、本項に記載の取引支援システムは、会員提供者が取引対象物を掲載している特定のウェブサイトが、当該取引支援システムを運用している企業又はその関連企業によって運営されているものである。また、入札案件登録部は、入札案件として登録するために会員利用者から入力される取引対象物の情報として、取引対象物の情報が掲載されたウェブページのURLが入力されるものである。
【0022】
(7)上記(1)から(6)項において、前記入札案件開示部は、入札案件の開示先である会員提供者に対して、該会員提供者と異なる会員提供者によりその入札案件に紐付けられて登録された入札価格を開示し、前記入札価格登録部は、同一の会員提供者からの同一の入札案件に対する入札価格の登録を2回以上受け付け、前記入札価格開示部は、会員提供者毎に最新に登録された入札価格を開示する取引支援システム。
本項に記載の取引支援システムは、入札案件開示部が、入札案件の開示先である会員提供者に対して、その会員提供者と異なる別の会員提供者によりその入札案件に紐付けられて登録された入札価格を開示するものである。すなわち、入札案件開示部は、同一の入札案件が複数の会員提供者に対して開示される場合に、それらの各会員提供者に他の会員提供者によって登録された入札価格を開示する。このため、会員提供者の各々は、自分と同じ入札案件に参加している他の会員提供者の入札価格を確認するものとなる。
【0023】
一方、入札価格登録部は、同一の会員提供者からの同一の入札案件に対する入札価格の登録を2回以上受け付けることで、他の会員提供者の入札価格を確認して自分の入札価格を変更したくなった会員提供者等の要望に応じて、入札価格を更新するものである。そして、入札価格開示部は、会員利用者へ入札価格を開示する際に、各会員提供者により最新に登録された入札価格を開示して、落札する会員提供者を選定させるものである。これによって、複数の会員提供者間での競争が促され、会員利用者が満足するような入札価格が提供され易くなり、取引が活性化するものである。
【0024】
(8)上記(1)から(7)項において、前記インタフェース部は、前記端末にインストールされたウェブブラウザ或いは専用アプリケーションを介して、情報の受け渡しを行う取引支援システム。
本項に記載の取引支援システムは、利用者及び提供者が利用する端末と本システムとの間で情報の受け渡しを行うインタフェース部が、利用者及び提供者の端末にインストールされたウェブブラウザ或いは専用アプリケーションを介して、情報の受け渡しを行うものである。すなわち、インタフェース部は、ウェブブラウザを利用する場合は、ウェブブラウザによって端末の表示部に情報を入出力するための画面を表示させ、それを利用して情報の受け渡しを行い、専用アプリケーションを利用する場合は、端末で起動された専用アプリケーションによって端末の表示部に表示される画面を通じて、情報の受け渡しを行う。何れの場合であっても、端末に直感的に操作可能な画面を表示させることで、情報の受け渡しが円滑に行われるものとなる。
【0025】
(9)上記(1)から(8)項において、前記落札処理部は、落札が確定した入札案件を登録した会員利用者の連絡先と、落札が確定した入札案件を落札した会員提供者の連絡先とのうち、少なくとも何れか一方を開示する取引支援システム。
本項に記載の取引支援システムは、入札案件の落札を確定させる落札処理部が、落札が確定した入札案件を登録した会員利用者の連絡先と、その入札案件を落札した会員提供者の連絡先とのうち、少なくとも何れか一方を開示するものである。すなわち、会員利用者の連絡先が開示される場合は、会員登録部が利用者の会員登録を行う際に利用者から取得する連絡先が、会員提供者へと開示され、会員提供者の連絡先が開示される場合は、会員登録部が提供者の会員登録を行う際に提供者から取得する連絡先が、会員利用者へと開示される。これにより、落札後に会員利用者と会員提供者との間のやり取りが直接行われることになるため、落札後の作業が円滑に行われるものとなる。
【0026】
(10)上記(1)から(9)項において、前記落札処理部は、落札が確定した入札案件について、落札した会員提供者と落札された会員利用者とのうち、何れか一方又は双方から落札内容の修正を受けると共に、何れか一方又は双方から修正された落札内容の確認を受けることで、落札を再確定させる取引支援システム。
本項に記載の取引支援システムは、落札が確定した入札案件について、落札後に会員利用者と会員提供者との間で直接或いは本システム等を介してやり取りが行われた結果、落札時の落札内容に変更を加える必要が生じた場合に対応するものである。すなわち、落札処理部は、会員提供者と会員利用者とのうちの何れか一方又は双方から、上記の変更を反映するような落札内容の修正を受ける。そして、落札処理部は、その修正後の落札内容の確認を、会員提供者と会員利用者とのうちの何れか一方又は双方から、好ましくは、双方が落札内容を修正した場合は双方から、何れか一方が落札内容を修正した場合は残りの他方から受けることで、落札を再確定させるものである。このように、落札後の案件の落札内容の変更に柔軟に対応することで、会員利用者及び会員提供者の双方が満足する取引が行われるものとなる。
【0027】
(11)上記(1)から(10)項において、前記落札処理部は、入札案件の内容に応じて、複数の会員提供者を同時に落札先として特定する取引支援システム。
本項に記載の取引支援システムは、落札処理部が、入札案件の内容に応じて、複数の会員提供者を同時に落札先として特定するものである。このようなことは、例えば、1つの入札案件に複数の同じ動産が含まれ、その動産の数量を満たすように別々の会員提供者から同時に購入したい場合等に起こり得る。これにより、会員利用者にとっては、所望する内容で取引対象物が得られ易くなり、会員提供者にとっては、入札案件を落札する機会が増えることになるため、取引が一層活性化するものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明はこのように構成したので、取引対象物に係る支払い価格を競わせて、取引を活性化させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施の形態に係る取引支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る取引支援システムを利用した取引の手順の一例を示すフロー図である。
【
図3】
図2の手順に含まれる入札処理の手順の一例を示すフロー図である。
【
図4】会員利用者により取引対象物の情報が入力される画面の一例を示している。
【
図6】会員提供者により入札価格が入力される画面の一例を示している。
【
図7】会員利用者へ表示する入札価格情報の画面の一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。ここで、図面の全体にわたって、同一部分又は対応する部分は、同一符号で示している。又、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については、詳しい説明を省略する。
図1は、本発明の実施の形態に係る取引支援システム10の構成の一例を示している。しかしながら、本発明の実施の形態に係る取引支援システム10の構成は、
図1のブロック図に限定されるものではなく、例えば、取り扱う取引対象物の内容や状況等に応じて、
図1に示した構成要素の一部が削除、変更、ないし適宜追加された構成であってもよいものである。
【0031】
本発明の実施の形態に係る取引支援システム10は、取引対象物に係る支払い価格を入札方式で決定し、取引対象物の提供者と利用者との間の取引を支援するものである。取引支援システム10で取り扱う取引対象物は、土地や建物といった不動産であってもよく、種々の商品を含む動産であってもよい。取引対象物が不動産の場合、その取引対象物に係る支払い価格は、通常、仲介手数料となり、又、提供者が不動産業者、利用者が不動産の買主、売主、借主、貸主等になる。これに対し、取引対象物が動産の場合、その取引対象物に係る支払い価格は、動産自体の価格や送料等を含む、利用者が動産を使用できるまでの動産の購入にかかる費用であり、又、提供者が動産の販売業者や仲介業者等、利用者が動産の購入を希望する個人や法人等になる。
【0032】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る取引支援システム10は、記憶部12、インタフェース部14、会員登録部16、入札案件登録部18、入札案件開示部20、入札価格登録部22、入札価格開示部24、及び、落札処理部26を含んでいる。又、取引支援システム10には、会員利用者Uが使用する複数の端末40、会員提供者Sが使用する複数の端末42、及び、特定のウェブサイト50が、ネットワークNを介して接続されている。端末40、42は、ネットワークNを介して取引支援システム10と接続可能なものであれば任意の端末であってよく、例えば、パーソナルコンピュータ、専用の取引端末、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、携帯電話等であってよい。ネットワークNには、インターネット、イントラネット、専用に構築されたネットワーク等、任意のネットワークが含まれてよく、それらが有線及び/又は無線で実現されてよい。なお、
図1での図示は控えているが、取引支援システム10には、取引支援システム10の管理者等が使用する管理者端末が、直接的或いはネットワークN等を介して間接的に接続され、様々な設定や入力が行われるようになっている。
【0033】
記憶部12は、取引支援システム10で利用する複数の情報を保持するためのものであり、それら情報には、会員利用者Uの端末40から入力される情報、会員提供者Sの端末42から入力される情報、管理者端末から入力される情報といった、様々な情報が含まれる。記憶部12は、データベースとして構築されてもよく、データの追加、変更、削除等が自在に行えることが好ましい。インタフェース部14は、会員利用者Uが利用する端末40及び会員提供者Sが利用する端末42と、取引支援システム10との間で情報の受け渡しを行うためのものであり、端末40、42に取引用の画面を表示するためのデータや、そのような画面を通じて入力された取引に関する種々の情報等の送受信を行う。
【0034】
すなわち、インタフェース部14は、例えば、端末40、42にインストールされたウェブブラウザや専用アプリケーションを介して、情報の受け渡しを行う。ウェブブラウザを使用する場合は、XMLやHTML等のウェブブラウザが認識可能な形式で、インタフェース部14から端末40、42へ表示用のデータを送信する。そして、それによって端末40、42に表示される各種の画面を介して、インタフェース部14は、会員利用者U及び会員提供者Sから入力されるデータの受信や、会員利用者U及び会員提供者Sへ提示するデータの送信等を行う。又、専用アプリケーションを使用する場合は、端末40、42への各種の画面の表示が主に専用アプリケーションによって実行され、インタフェース部14は、そのような画面を介して会員利用者Uや会員提供者Sから入力されるデータの受信や、会員利用者U及び会員提供者Sへ提示するデータの送信等を行う。
【0035】
会員登録部16は、取引支援システム10の使用を希望する利用者及び提供者を、取引支援システム10が使用できる会員利用者U及び会員提供者Sとして、記憶部12へ登録するためのものである。すなわち、会員登録部16は、取引支援システム10の使用を希望する利用者の名称(氏名や法人名等)、連絡先(電話番号やメールアドレス等)といった情報を、端末40及びインタフェース部14を介して受け、それらの情報を記憶部12へ登録することで、利用者を会員利用者Uとして登録する。同様に、会員登録部16は、取引支援システム10の使用を希望する提供者の名称、連絡先といった情報を、端末42及びインタフェース部14を介して受け、それらの情報を記憶部12へ登録することで、提供者を会員提供者Sとして登録する。
【0036】
入札案件登録部18は、会員利用者Uから端末40を介して入力される情報に基づいて、会員利用者Uが入札の実施を希望する取引対象物を特定可能な情報を、入札案件として記憶部12へ登録するものである。このとき、会員利用者Uから入力される情報として、例えば、取引対象物の情報が掲載されたウェブページのURL、取引対象物の情報が表示された画像データ、取引対象物の情報を示すテキストデータ等が挙げられる。ウェブページのURLは、不動産の広告サイト、動産のECサイト、動産の製造業者や販売業者の商品紹介サイトといった、少なくとも取引対象物を特定可能な情報が掲載されたサイトのものであればよい。この場合、入札案件登録部18は、コピー&ペースト等で入力されたURLそのものを登録してもよく、URLのウェブページを確認した管理者等から入力された、取引対象物を特定可能な別の情報を登録してもよい。
【0037】
画像データは、PDF、JPEG、GIF、PNG、TIFF、BMP形式といった、任意の画像形式であってよく、それらの画像データに、取引対象物を特定可能な画像や、取引対象物を特定可能な文字列が含まれていればよい。この場合、入札案件登録部18は、画像データそのものを登録してもよく、入力された画像データに含まれる文字列を、OCR機能を使用してテキストデータ化することで、そのテキストデータを登録してもよく、入力された画像データに含まれる画像や文字列が管理者等により確認され、それによって管理者等から入力されるテキストデータ等を登録してもよい。又、会員利用者Uから入力されるテキストデータは、WORD、PDFといった文書ファイルに含まれたものであってもよく、端末40に表示される画面に会員利用者Uが直接入力したテキストデータであってもよい。この場合、入札案件登録部18は、それらのテキストデータそのもの、或いはそれらのテキストデータから抽出された取引対象物を特定可能なデータを登録する。
【0038】
入札案件開示部20は、入札案件登録部18によって記憶部12へ登録された入札案件を、会員提供者Sに対して開示するものであり、この際、予め設定される条件に基づいて、どの入札案件を、どの会員提供者Sに対して、どの範囲まで開示するか、といったことを判定して開示を行う。例えば、入札案件開示部20は、会員提供者S毎に開示を希望する取引対象物やそのカテゴリーが設定され、設定されている取引対象物と一致する取引対象物を示す入札案件や、設定されている取引対象物のカテゴリーに含まれる取引対象物を示す入札案件が、記憶部12へ登録された場合にのみ、それらを該当する会員提供者Sへ開示してもよい。或いは、入札案件開示部20は、記憶部12へ登録された全ての入札案件を開示するような会員提供者Sが設定されてもよい。
【0039】
更に、本実施形態の入札案件開示部20は、記憶部12へ登録された少なくとも一部の入札案件を、特定のウェブサイト50に取引対象物を掲載している会員提供者Sに対して、他の会員提供者Sよりも優先的に開示する。ここで、特定のウェブサイト50とは、例えば、取引支援システム10を運用している企業やその関連企業等によって運営されている、不動産の広告サイトや動産のECサイト等であって、そのような特定のウェブサイト50が複数存在してもよい。このため、取引支援システム10は、
図1のように特定のウェブサイト50へアクセス可能に接続される例に限らず、特定のウェブサイト50を運営している企業のシステムや、特定のウェブサイト50を実現しているウェブサーバに接続されてもよい。何れの場合であっても、入札案件開示部20は、特定のウェブサイト50に掲載されている取引対象物を把握できるようになっている。
【0040】
入札案件開示部20は、入札案件の優先開示についても、予め設定される条件に基づいて、どの入札案件を、特定のウェブサイト50に掲載しているどの会員提供者Sに対して、どの範囲まで優先的に開示するか、といったことを判定してもよい。例えば、入札案件開示部20は、特定のウェブサイト50に取引対象物を掲載している会員提供者S毎に、優先開示を希望する取引対象物やそのカテゴリーが設定される。すなわち、特定のウェブサイト50に掲載されている取引対象物と一致する取引対象物を示す入札案件が登録された場合に、その取引対象物を掲載している会員提供者Sに対して優先的に開示してもよく、特定のウェブサイト50に掲載されている取引対象物と同じカテゴリーに含まれる取引対象物を示す入札案件が登録された場合に、その取引対象物を掲載している会員提供者Sに対して優先的に開示してもよい。或いは、特定のウェブサイト50に取引対象物を掲載している会員提供者Sの中に、記憶部12へ登録された全ての入札案件の優先開示を所望する会員提供者Sが含まれてもよい。上記のような優先開示を行った場合、入札案件開示部20は、優先的に開示された会員提供者S間での入札が終わり、それらの会員提供者S間で落札者が出なかった場合に、優先開示されなかった他の会員提供者Sに対しても開示を行う。
【0041】
又、入札案件開示部20は、後述するように入札価格登録部22によって登録される入札価格を、入札案件と共に開示していてもよい。すなわち、入札案件の開示先である会員提供者Sに対して、その会員提供者Sと異なる会員提供者Sによりその入札案件に紐付けられて登録された入札価格を開示してもよい。この場合、他の会員提供者Sによって入札価格が登録されたタイミングでそれを開示してもよく、或いは、他の会員提供者Sによって入札価格が登録されたタイミングで、それを開示可能なことを示す通知を行ってもよい。又、そのような開示や通知に条件を設定してもよく、例えば、同じ入札案件に対して、異なる複数の会員提供者Sが同額の入札価格を設定した場合に、その開示や通知を行ってもよい。
【0042】
入札価格登録部22は、入札案件開示部20により開示された入札案件に対して会員提供者Sから入力される、取引対象物に係る支払い価格に相当する入札価格を、入札案件に紐付けて記憶部12へ登録するものである。すなわち、入札価格登録部22は、入札案件毎に、その入札案件の入札に参加する全ての会員提供者Sから、各端末42を介して入札価格が入力され、その全てを各入札案件に紐付けて記憶部12へ登録する。このとき、入札価格登録部22は、同一の会員提供者Sからの同一の入札案件に対する入札価格の登録を2回以上受け付け、そのうちの最新に登録されたものを、その登録を行った会員提供者Sの最新の入札価格として登録してもよい。この場合、各会員提供者Sによって複数回登録された入札価格の変移が分かるように、過去に入力された入札価格を含めて記憶部12により保持するようにしてもよい。
【0043】
入札価格開示部24は、各会員利用者Uに対して、その会員利用者Uにより登録された入札案件に対して入札価格を登録した、全ての会員提供者Sによる入札価格を開示するものである。例えば、入札価格開示部24は、端末40を介して会員利用者Uからアクセスを受けたタイミングで、それまでに登録された入札価格を開示する。このとき、入札価格開示部24は、同一の会員提供者Sから同一の入札案件に対して入札価格が2回以上登録されていた場合に、そのうちの最新に登録された入札価格を開示する。更に、各会員提供者Sによって複数回登録された全ての入札価格を開示して、会員提供者S毎の入札価格の変移を示してもよい。
【0044】
落札処理部26は、端末40を介して会員利用者Uから入力される落札先決定の意思表示を受けて、落札先の会員提供者S及び落札内容を特定して入札案件の落札を確定させるものである。すなわち、落札処理部26は、会員利用者Uから、少なくとも落札先の会員提供者Sと落札の意思表示とが入力され、入力された会員提供者Sを落札先の会員提供者Sとして特定し、その時点でその会員提供者S及び/又は会員利用者Uから提示されていた諸条件等を落札内容として特定する。そして、落札処理部26は、落札処理の一環として、登録部12に登録されている、落札が確定した入札案件を登録した会員利用者Uの連絡先と、落札が確定した入札案件を落札した会員提供者Sの連絡先とのうち、少なくとも何れか一方を開示する。すなわち、会員利用者Uの連絡先を会員提供者Sへ、会員提供者Sの連絡先を会員利用者Uへ、或いはその双方を連絡する。
【0045】
又、落札処理部26は、一度落札が確定した入札案件について、落札内容の修正を受けるようにしてもよい。この場合は、落札した会員提供者Sと落札された会員利用者Uとのうち、何れか一方からの修正を受けてもよく、双方からの修正を受けてもよい。そして、落札処理部26は、会員提供者S及び会員利用者Uの双方から落札内容の修正を受けた場合は、会員提供者S及び会員利用者Uの双方からの修正内容の確認を受けて、その入札案件の落札を再確定させる。これに対し、会員提供者S及び会員利用者Uの何れか一方から落札内容の修正を受けた場合は、その修正を行っていない他方からの修正内容の確認を受けて、その入札案件の落札を再確定させる。更に、落札処理部26は、特に入札案件が動産である場合のその内容に応じて、複数の会員提供者Sを同時に落札先として特定してもよい。例えば、入札案件としてマスク200枚が登録されている場合、会員利用者Uは、マスクを100枚ずつ提供可能な2つの会員提供者Sを落札先として指定してよく、このようなときに、落札処理部26は、それら2つの会員提供者Sを同時に落札先として特定する。
【0046】
ここで、上述したような取引支援システム10の各構成要素は、機能的な単位で分けられたものであり、実際に使用されるコンピュータ等のハードウェア単位で分けたものではない。すなわち、複数の構成要素のうちの2つ以上が、1つのハードウェアにより構成されてもよく、1つの構成要素が複数のハードウェアにより構成されてもよい。更に、各ハードウェアには任意のソフトウェアを適用することができ、各ハードウェアの設置位置や構成機器も任意である。又、ハードウェア間の接続には、ハードウェア同士の位置関係に応じた任意の接続方法を用いることができ、その方法にはインターネット等のネットワーク接続も含まれる。
【0047】
次に、
図2及び
図3に示すフロー図の流れに沿って、
図1に示した取引支援システム10を利用する取引支援方法について、取引対象物が不動産の場合と動産の場合との2パターンに分けて説明する。取引支援システム10の構成については、適宜、
図1を参照のこと。なお、
図2及び
図3に示すフロー図は、本発明の実施の形態に係る取引支援システム10を利用する取引支援方法を説明するための、手順の流れの一例を示したものである。従って、取引支援方法は、これらのフロー図に限定されるものではなく、例えば、取引支援システム10の構成や状況等に応じて、
図2及び
図3に示したステップの一部が削除、変更、ないし適宜追加されたフローであってもよいものである。
【0048】
〔取引対象物が不動産の場合〕
まず、
図2に沿って、基本的な取引支援方法の流れを説明する。
S10(会員登録):会員登録部16により、取引支援システム10の利用を希望する利用者及び提供者から入力される情報に基づいて、利用者及び提供者の会員登録を行う。取引対象物が不動産の場合、利用者は不動産の買主、売主、借主、貸主であり、提供者は不動産業者である。なお、不動産の取引としては、土地や建物の賃貸、売買等の不動産の全般が挙げられるが、取引支援システム10で実際に取り扱う取引は、それらの一部に限定してもよく、他の取引を追加してもよい。例えば、利用者が会員登録を行う場合は、端末40を利用して、ウェブブラウザ或いは専用アプリケーションを起動し、取引支援システム10にアクセスする。
図4には、そのときに端末40に表示される画面の一例を示している。会員登録を行う際は、会員登録アイコンIC1を操作し、会員登録の画面へと移行して、会員登録に必要な情報を入力する。会員登録された利用者及び提供者は、会員利用者U及び会員提供者Sとして、記憶部12によりその情報が保持される。なお、提供者が会員登録を行う場合も、端末42に表示される専用の画面等で必要な情報を入力して登録を行なう。
【0049】
S20(取引対象物選定):会員利用者Uにより、入札を希望する取引対象物を選定する。以降では、会員利用者Uが不動産の購入を検討している買主である場合を例に説明する。会員利用者Uは、端末40等で様々な不動産の広告サイトにアクセスし、自分の所望する条件に合う不動産を検索する。この際の不動産の広告サイトに、
図1に示した特定のウェブサイト50が含まれていてもよい。検索の結果、条件に合った不動産が見つかった場合は、その不動産が掲載されているウェブページをブックマークに登録するなど、そのウェブページに直ぐにアクセスできる状態にする。なお、上記S10と本ステップS20との順序が反対であり、先に取引対象物を選定してから会員登録を行なってもよい。
【0050】
S30(取引対象物情報入力):不動産の買主(会員利用者U)により、上記S20で選定した不動産が掲載されているウェブページを開き、そのウェブページのURLをコピーして、例えば
図4に示すような画面のURL入力ボックスEB1に、コピーしたURLをペーストする。そして、次へアイコンIC2を操作して、入札案件の登録処理へと進む。なお、取引対象物情報の入力を、画像データファイルや文書データファイルで行う場合は、ファイルアイコンIC3を操作してファイルの登録を行ない、テキストデータを直接入力することにより行う場合は、手入力アイコンIC4を操作して入力を行う。又、ログインアイコンIC5からは会員のログイン処理を行い、通常はログインした状態で操作を行う。更に、サイト説明アイコンIC6は、画面がウェブブラウザによって表示されている場合の、サイトの説明を表示させるためのものである。
【0051】
S40(入札案件登録):入札案件登録部18により、上記S30で入力された情報に基づいて、入札案件の登録を行なう。すなわち、URL入力ボックスEB1にペーストされたURLは、不動産が掲載されているウェブページのものであるため、買主(会員利用者U)が購入を希望している不動産を特定可能な情報として、それをそのまま入札案件として登録する。このとき、上記S30で入力されたファイルや手入力情報が、不動産を直接的に特定できない情報である場合は、管理者等によって情報を加工或いは追加して、不動産を直接的に特定できる情報として登録してもよく、或いは、後から情報を付加するものとして、そのまま登録してもよい。例えば、
図5には登録された入札案件の一覧が示されており、
図5の例では、案件番号1、5、6の入札案件が、不動産を特定可能なウェブページのURLで登録され、案件番号2、4の入札案件が、不動産を特定可能な画像又は文書ファイルで登録されている。又、案件番号3、7の入札案件が、不動産の位置を示す住所等のテキストデータで登録され、案件番号8の入札案件が、不動産の情報を把握している人物の連絡先で登録されている。
【0052】
S50(入札案件判定):入札案件開示部20により、上記S40で入札案件として登録された不動産情報が、予め設定された優先開示要件に相当するものか否かを判定する。その結果、優先開示に相当すると判定した場合(YES)は、S60へ移行して優先開示を行い、優先開示に相当しないと判定した場合(NO)は、S90へ移行して通常の開示を行う。
【0053】
S60(入札案件優先開示):入札案件開示部20により、上記S50で優先開示に相当すると判定された不動産情報を、その優先開示先の対象となる不動産業者(会員提供者S)に対して開示する。例えば、上記S40で入札案件として登録された不動産情報と一致する不動産情報を、特定のウェブサイト50に掲載している不動産業者に対して、その不動産情報(入札案件)を開示する。優先開示案件だけでなく通常の開示案件も含めた、各不動産業者に対する不動産の入札案件の開示方法として、例えば単純羅列方法が挙げられ、日付別、不動産の種類別、地域別等、様々な基準で羅列してよい。又、単純羅列方法ではなく、不動産の種類別、地域別、登録業者のランク別に、様々な基準で不動産業者へダイレクトに開示してもよい。より具体的には、例えば
図5に示すような一覧表で開示してもよい。何れの開示方法であっても、開示先の不動産業者が使用する端末42に、開示情報が送信される。
【0054】
S70(入札処理):優先開示された不動産業者(会員提供者S)間でのみ入札が行われ、落札の有無や落札内容が決定するまでの処理が行われるが、詳しくは
図3を参照しながら後で説明する。
S80(落札判定):上記S70での入札処理の結果、落札が確定した場合(YES)はS120へ移行し、落札が確定していない場合(NO)はS90へ移行する。
S90(入札案件通常開示):入札案件開示部20により、上記S50で優先開示に相当しないと判定された不動産情報を、予め設定された条件に従った開示先の不動産業者(会員提供者S)に対して開示する。或いは、上記S70での入札処理によって落札が確定しなかった不動産情報を、優先開示の対象である不動産業者以外の、予め設定された条件に従った開示先の不動産業者に対しても開示する。具体的な開示方法は、上記S60で説明した方法と同様である。
【0055】
S100(入札処理):通常開示された不動産業者(会員提供者S)間で入札が行われ、落札の有無や落札内容が決定するまでの処理が行われるが、詳しくは
図3を参照しながら後で説明する。
S110(落札判定):上記S100での入札処理の結果、落札が確定した場合(YES)はS120へ移行し、落札が確定していない場合(NO)は、取引が成立しなかったものとしてそのまま終了となる。
S120(システム利用料支払い):落札が確定して取引が成立した場合は、落札した不動産業者(会員提供者S)が、例えば取引支援システム10を介して、取引支援システム10を運用している業者に対して、規定のシステム利用料を支払う。そして、取引支援システム10を利用した取引が終了となる。
【0056】
続いて、
図3に沿って、
図2のS70及びS100の処理に相当する、入札処理の流れを説明する。
S300(入札価格入力):各不動産業者(会員提供者S)により、
図2の上記S60又はS90で開示された不動産の入札案件に対して、対応が可能な範囲の仲介手数料を入札価格として入力する。具体的には、不動産の買主(会員利用者U)が購入を希望している不動産に対して、不動産業者が希望する仲介手数料を、端末42を介して入力する。例えば、
図6には、不動産業者が入札価格を入力するための、端末42に表示される画面が示されている。
図6の例では、入札価格入力ボックスEB2に、不動産業者から具体的な金額が入力される。
【0057】
S310(入札価格登録):入札価格登録部22により、上記S300で入力された入札価格を、入札案件に紐付けて登録部12へ登録する。例えば、
図6のような画面で入力が行われた場合、入札価格入力ボックスEB2に金額が入力された状態で、確認アイコンIC7が操作されることで、入札価格の登録及び確認画面への移行が行われる。又、
図6のような画面において、キャンセルアイコンIC8が操作されると、入札価格入力ボックスEB2に金額が入力されていても、その金額が登録されずに、入札価格の入力及び登録操作がキャンセルされる。なお、本実施形態の入札価格登録部22は、同一の不動産に対する同一の不動産業者からの入札価格の入力及び登録を、複数回受け付けるものであって、不動産業者は、入札期間内であれば入札価格を何度も更新してよい。
【0058】
S320(入札価格開示):入札価格開示部24及び入札案件開示部20により、入札価格の開示を行う。すなわち、入札価格開示部24によって行われる入札価格の開示は、例えば、不動産の買主(会員利用者U)が開示をリクエストする操作を行ったタイミングで、不動産の買主に対して行われる。この場合は、不動産の買主がリクエストした時点でその買主が購入を希望している不動産に対して入札価格を登録している、全ての不動産業者の入札価格が開示される。例えば、
図7には、そのような入札価格を開示する画面の例を示している。
図7の例では、A業者会員とB業者会員との、2つの不動産業者によって登録された入札価格が示されている。
【0059】
一方、入札案件開示部20によって行われる入札価格の開示は、例えば、不動産業者(会員提供者S)が開示をリクエストする操作を行ったタイミングや、予め設定された条件を満たすタイミングで、不動産業者に対して行われる。すなわち、入札案件開示部20は、買主が購入を希望する不動産の入札に参加している全ての不動産業者が登録した入札価格を、それら全ての不動産業者に開示してよく、別の不動産業者によって新たな入札価格が登録されたタイミングで、その確認を促すような通知や開示を行ってもよい。入札価格開示部24及び入札案件開示部20の何れにより開示される入札価格も、各不動産業者が最新に登録した入札価格を少なくとも含むものとする。
【0060】
S330(期間判定):入札価格登録部22により、
図2の上記S40で登録された不動産の入札案件について、予め設定された入札期間が過ぎたか否かを判定する。その結果、予め設定された入札期間が過ぎたと判定した場合(YES)はS340へ移行し、まだ過ぎていないと判定した場合(NO)はS300へ復帰する。すなわち、予め設定された入札期間が過ぎるまでは、上記S300~S320の入札価格の入力及び登録を受け付け、それに伴って入札価格の開示も行うものである。なお、設定する入札期間の長さは任意であり、不動産の買主(会員利用者U)が設定するものであってもよく、管理者等が設定するものであってもよい。又、入札期間を設定せずに、例えば会員利用者Uが入札を締め切ったタイミングで、S340に移行してもよい。
【0061】
S340(入札受付終了):
図2の上記S40で登録された不動産の入札案件の入札受付を終了し、入札価格登録部22によって不動産業者(会員提供者S)からのこれ以上の入札価格の登録を受け付けないようにする。
S350(落札意思判定):
図2の上記S30で購入したい不動産を入力した買主(会員利用者U)により、その不動産の入札に参加している不動産業者(会員提供者S)の中で、落札先として決定してもよい不動産業者がいるか否かを判定する。この際、買主は、仲介手数料の額(入札価格)、不動産業者の場所(会社の所在地)等を総合的に判断し、自分にとってメリットのある不動産業者を選別する。その結果、落札先としてもよい不動産業者がいる場合(YES)はS360へ移行し、落札先としてもよい不動産業者がいなかった場合(NO)は、今回の入札では満足のいく結果が得られなかったとして、
図2の上記S70或いはS100の入札処理を終了する。
【0062】
S360(落札入力):不動産の買主(会員利用者U)により、上記S350で落札先としてもよいと判断した不動産業者を選択して、落札先を決定する入力を行う。例えば、
図7に示すような端末40に表示される画面を利用する場合は、選択アイコンIC9の操作によって不動産業者を選択し、落札先決定の入力を行う。なお、キャンセルアイコンIC10は、選択した不動産業者をキャンセルする場合等に用いる。
S370(落札確定):落札処理部26によって落札を確定させる。すなわち、落札処理部26は、上記S360で会員利用者Uから入力された不動産業者を落札先として確定させ、更に、その不動産業者によって提示されている仲介手数料等の諸条件を、落札内容として確定させる。
【0063】
S380(連絡先開示):落札処理部26により、落札が確定した不動産について、その不動産の買主(会員利用者U)の連絡先を落札先の不動産業者(会員提供者S)に連絡する、及び/又は、落札先の不動産業者の連絡先を不動産の買主に連絡する。各連絡先は、記憶部12に登録されているものでよく、電話、SNS、E-mail、FAX、ショートメッセージ、無料電話アプリなどの、様々な連絡手段のものであってよい。開示の方法は、端末40、42で確認できるものであれば任意の方法でよい。
S390(直接連絡):上記S380で開示された連絡先を利用して、不動産の買主(会員利用者U)と不動産業者(会員提供者S)との間で直接連絡を取り、場合によっては不動産の内見等を実施する。そして、契約に必要な様々な条件のすり合わせ等を行う。
【0064】
S400(落札内容修正判定):上記S390で連絡を取った結果、条件の調整が生じて落札内容に修正が必要か否かを判定する。そして、修正が必要と判定した場合(YES)はS410へ移行し、修正が必要ないと判定した場合(NO)は、不動産の買主と不動産業者との間で必要な書類等のやり取りを行い、売買契約を締結する。
S410(落札内容修正):不動産の買主(会員利用者U)及び/又は不動産業者(会員提供者S)により、上記S370で一度確定した落札内容を、上記S390で行ったすり合わせ内容等に従って修正する。修正方法は、端末40、42から実行できるものであれば任意の方法でよい。
S420(修正内容確認):不動産の買主(会員利用者U)及び/又は不動産業者(会員提供者S)により、上記S410で行われた修正が反映された修正後の落札内容を確認する。確認の方法は、端末40、42から確認できるものであれば任意の方法でよい。
【0065】
S430(落札再確定):上記S420で確認を受けたことをトリガーとして、落札処理部26により、修正後の新たな落札内容にて落札を再確定させる。そして、不動産の買主と不動産業者との間で必要な書類等のやり取りを行い、新たな落札内容に従って、売買契約を締結する。
ここで、上記の説明では、会員利用者Uが不動産の買主である場合について説明しているが、会員利用者Uが不動産の売主、借主、貸主等の場合は、上記の説明を読み替えて理解されたい。すなわち、会員利用者Uが不動産の売主の場合は、不動産の売却の仲介を不動産業者に依頼するものとして読み替え、会員利用者Uが不動産の借主や貸主の場合は、不動産の賃貸や賃借の仲介を不動産業者に依頼し、最終的に賃貸借契約を結ぶものとして読み替えればよい。
【0066】
〔取引対象物が動産の場合〕
次に、
図2及び
図3を再度参照して、取引対象物が動産である場合の取引支援方法について説明する。なお、取引対象物が不動産の場合と同様或いは類似した処理の場合は、説明を簡略化或いは省略する。まず、
図2に沿って、基本的な流れから説明する。
S10(会員登録):会員登録部16により、取引支援システム10の利用を希望する利用者及び提供者から入力される情報に基づいて、利用者及び提供者の会員登録を行う。取引対象物が動産の場合、利用者は動産の購入を希望する個人や法人等であり、提供者は動産の販売業社等である。具体的な登録方法は、取引対象物が不動産の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0067】
S20(取引対象物選定):会員利用者Uにより、入札を希望する取引対象物を選定する。以降では、会員利用者Uが動産(商品)の購入を希望している個人であり、会員提供者Sが販売業者である場合を例に説明する。会員利用者Uは、端末40等で動産を取り扱っている様々なECサイト等にアクセスし、購入したい動産を検索する。この際の動産のECサイトに、
図1に示した特定のウェブサイト50が含まれていてもよい。検索の結果、購入したい動産が見つかった場合は、その動産が掲載されているウェブページをブックマークに登録するなど、そのウェブページに直ぐにアクセスできる状態にする。
S30(取引対象物情報入力):動産の購入希望者(会員利用者U)により、上記S20で選定した動産が掲載されているウェブページを開き、そのウェブページのURLをコピーして、例えば
図4に示すような画面のURL入力ボックスEB1に、コピーしたURLをペーストする。そして、次へアイコンIC2を操作して、入札案件の登録処理へと進む。その他の入力方法についての説明は、不動産の場合と同様であるため省略する。
【0068】
S40(入札案件登録):入札案件登録部18により、上記S30で入力された情報に基づいて、入札案件の登録を行なう。すなわち、URL入力ボックスEB1にペーストされたURLは、動産が掲載されているウェブページのものであるため、購入希望者(会員利用者U)が購入を希望している動産を特定可能な情報として、それをそのまま入札案件として登録する。このとき、上記S30で入力されたファイルや手入力情報が、動産を直接的に特定できない情報である場合は、管理者等によって情報を加工或いは追加して、動産を直接的に特定できる情報として登録してもよく、或いは、後から情報を付加するものとして、そのまま登録してもよい。例えば、
図5には登録された入札案件の一覧が示されており、
図5の例では、案件番号1、5、6の入札案件が、動産を特定可能なウェブページのURLで登録され、案件番号2、4の入札案件が、動産を特定可能な画像又は文書ファイルで登録されている。又、案件番号3、7の入札案件が、動産の型番や数量等のテキストデータで登録され、案件番号8の入札案件が、動産の製造業者の連絡先等で登録されている。
【0069】
S50(入札案件判定):入札案件開示部20により、上記S40で入札案件として登録された動産情報が、予め設定された優先開示要件に相当するものか否かを判定する。その結果、優先開示に相当すると判定した場合(YES)は、S60へ移行して優先開示を行い、優先開示に相当しないと判定した場合(NO)は、S90へ移行して通常の開示を行う。
S60(入札案件優先開示):入札案件開示部20により、上記S50で優先開示に相当すると判定された動産情報を、その優先開示先の対象となる販売業者(会員提供者S)に対して開示する。例えば、上記S40で入札案件として登録された動産情報が示す商品と一致する商品を、特定のウェブサイト50に掲載している販売業者に対して、その動産情報(入札案件)を開示する。優先開示案件だけでなく通常の開示案件も含めた、各販売業者に対する動産の入札案件の開示方法は任意であるが、例えば、単純羅列方法や
図5のような一覧表での開示が挙げられる。
【0070】
S70(入札処理):優先開示された販売業者(会員提供者S)間でのみ入札が行われ、落札の有無や落札内容が決定するまでの処理が行われるが、詳しくは
図3を参照しながら後で説明する。
S80(落札判定):上記S70での入札処理の結果、落札が確定した場合(YES)はS120へ移行し、落札が確定していない場合(NO)はS90へ移行する。
S90(入札案件通常開示):入札案件開示部20により、上記S50で優先開示に相当しないと判定された動産情報を、予め設定された条件に従った開示先の販売業者(会員提供者S)に対して開示する。或いは、上記S70での入札処理によって落札が確定しなかった動産情報を、優先開示の対象である販売業者以外の、予め設定された条件に従った開示先の販売業者に対しても開示する。具体的な開示方法は、上記S60で説明した方法と同様である。
【0071】
S100(入札処理):通常開示された販売業者(会員提供者S)間で入札が行われ、落札の有無や落札内容が決定するまでの処理が行われるが、詳しくは
図3を参照しながら後で説明する。
S110(落札判定):上記S100での入札処理の結果、落札が確定した場合(YES)はS120へ移行し、落札が確定していない場合(NO)は、取引が成立しなかったものとしてそのまま終了となる。
S120(システム利用料支払い):落札が確定して取引が成立した場合は、落札した販売業者(会員提供者S)が、例えば取引支援システム10を介して、取引支援システム10を運用している業者に対して、規定のシステム利用料を支払う。そして、取引支援システム10を利用した取引が終了となる。
【0072】
続いて、
図3に沿って、
図2のS70及びS100の処理に相当する、入札処理の流れを説明する。
S300(入札価格入力):各販売業者(会員提供者S)により、
図2の上記S60又はS90で開示された動産の入札案件に対して、対応が可能な範囲の販売価格(送料を含めてもよく別記してもよい)を入札価格として入力する。具体的には、購入希望者(会員利用者U)が購入を希望している動産に対して、販売業者が希望する販売価格を、端末42を介して入力する。例えば、
図6には、販売業者が入札価格を入力するための、端末42に表示される画面が示されている。
図6の例では、入札価格入力ボックスEB2に、販売業者から具体的な金額が入力される。
【0073】
S310(入札価格登録):入札価格登録部22により、上記S300で入力された入札価格を、入札案件に紐付けて登録部12へ登録する。具体的な登録方法は、取引対象物が不動産の場合と同様であるため、説明を省略する。なお、本実施形態の入札価格登録部22は、同一の動産に対する同一の販売業者からの入札価格の入力及び登録を、複数回受け付けるものである。
【0074】
S320(入札価格開示):入札価格開示部24及び入札案件開示部20により、入札価格の開示を行う。すなわち、入札価格開示部24によって行われる入札価格の開示は、例えば、購入希望者(会員利用者U)が開示をリクエストする操作を行ったタイミングで、購入希望者に対して行われる。この場合は、購入希望者がリクエストした時点でその購入希望者が購入を希望している動産に対して入札価格を登録している、全ての販売業者の入札価格が開示される。例えば、
図7には、そのような入札価格を開示する画面の例を示している。
図7の例では、A業者会員とB業者会員との、2つの販売業者によって登録された入札価格が示されている。
【0075】
一方、入札案件開示部20によって行われる入札価格の開示は、例えば、販売業者(会員提供者S)が開示をリクエストする操作を行ったタイミングや、予め設定された条件を満たすタイミングで、販売業者に対して行われる。すなわち、入札案件開示部20は、購入希望者が購入を希望する動産の入札に参加している全ての販売業者が登録した入札価格を、それら全ての販売業者に開示してよく、別の販売業者によって新たな入札価格が登録されたタイミングで、その確認を促すような通知や開示を行ってもよい。入札価格開示部24及び入札案件開示部20の何れにより開示される入札価格も、各販売業者が最新に登録した入札価格を少なくとも含むものとする。
【0076】
S330(期間判定):入札価格登録部22により、
図2の上記S40で登録された動産の入札案件について、予め設定された入札期間が過ぎたか否かを判定する。その結果、予め設定された入札期間が過ぎたと判定した場合(YES)はS340へ移行し、まだ過ぎていないと判定した場合(NO)はS300へ復帰する。
S340(入札受付終了):
図2の上記S40で登録された動産の入札案件の入札受付を終了し、入札価格登録部22によって販売業者(会員提供者S)からのこれ以上の入札価格の登録を受け付けないようにする。
【0077】
S350(落札意思判定):
図2の上記S30で購入したい動産を入力した購入希望者(会員利用者U)により、その動産の入札に参加している販売業者(会員提供者S)の中で、落札先として決定してもよい販売業者がいるか否かを判定する。この際、購入希望者は、動産の販売価格や送料(入札価格)、到着日等を総合的に判断し、自分にとってメリットのある販売業者を選別する。その結果、落札先としてもよい販売業者がいる場合(YES)はS360へ移行し、落札先としてもよい販売業者がいなかった場合(NO)は、今回の入札では満足のいく結果が得られなかったとして、
図2の上記S70或いはS100の入札処理を終了する。
【0078】
S360(落札入力):購入希望者(会員利用者U)により、上記S350で落札先としてもよいと判断した販売業者を選択して、落札先を決定する入力を行う。このとき、購入希望者が希望している動産の数量が複数であり、その数量を満たすように、同一の動産を販売している複数の販売業者を、落札先として選択してもよい。具体的な方法は不動産の場合と同様であるため、説明を省略する。
S370(落札確定):落札処理部26によって落札を確定させる。すなわち、落札処理部26は、上記S360で会員利用者Uから入力された販売業者を落札先として確定させ、更に、その販売業者によって提示されている販売価格等の諸条件を、落札内容として確定させる。複数の販売業者が落札先として選択されていた場合は、その全ての販売業者を落札先として確定させる。
【0079】
S380(連絡先開示):落札処理部26により、落札が確定した動産について、その購入希望者(会員利用者U)の連絡先を落札先の販売業者(会員提供者S)に連絡する、及び/又は、落札先の販売業者の連絡先を購入希望者に連絡する。その内容や方法は、不動産の場合と同様であるため、説明を省略する。
S390(直接連絡):上記S380で開示された連絡先を利用して、購入希望者(会員利用者U)と販売業者(会員提供者S)との間で直接連絡を取り、取引内容やその調整の有無等を確認する。
【0080】
S400(落札内容修正判定):上記S390で連絡を取った結果、取引内容の調整が生じて落札内容に修正が必要か否かを判定する。そして、修正が必要と判定した場合(YES)はS410へ移行し、修正が必要ないと判定した場合(NO)は、購入希望者と販売業者との間で必要なやり取り(注文依頼等)を行い、取引を成立させる。
S410(落札内容修正):購入希望者(会員利用者U)及び/又は販売業者(会員提供者S)により、上記S370で一度確定した落札内容を、上記S390で行った確認内容等に従って修正する。
【0081】
S420(修正内容確認):購入希望者(会員利用者U)及び/又は販売業者(会員提供者S)により、端末40、42を介して、上記S410で行われた修正が反映された修正後の落札内容を確認する。
S430(落札再確定):上記S420で確認を受けたことをトリガーとして、落札処理部26により、修正後の新たな落札内容にて落札を再確定させる。そして、購入希望者と販売業者との間で必要なやり取り(注文依頼等)を行い、新たな落札内容に従って、取引を成立させる。
【0082】
ここで、本発明の実施の形態に係る取引支援システム10やそれを利用した取引支援方法は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々の変更が可能である。例えば、取引対象物は、取引が可能であれば様々な不動産や動産であってよく、それには、中古車、宝飾品、家具等の商品や、改築工事、内装工事等のサービス商品が含まれる。又、上記では不動産と動産とを分けて説明したが、それらを1つの取引支援システム10により纏めて取り扱ってもよい。更に、端末40、42に表示される画面は、
図4~
図7に示した例に限定されるものではなく、必要なデータをやり取りするための任意の画面構成であってよい。
【0083】
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、本発明の実施の形態に係る取引支援システム10は、
図1に示すように、記憶部12、インタフェース部14、会員登録部16、入札案件登録部18、入札案件開示部20、入札価格登録部22、入札価格開示部24、及び落札処理部26を含んでいる。記憶部12は、本システム10で利用する様々な情報を保持するものであり、それらの情報には、会員情報、入札案件情報、入札価格等が含まれる。インタフェース部14は、利用者が利用する端末40及び提供者が利用する端末42と、本システム10との間で情報の受け渡しを行うためのものであり、種々のネットワークを利用する通信機能や、情報の入出力機能等を含む。
【0084】
会員登録部16は、利用者及び提供者が本システム10を利用するために必要な会員登録を行うものであり、利用者が会員利用者Uとして、提供者が会員提供者Sとして、夫々の連絡先等を含む様々な情報と共に記憶部12に登録される(
図2のS10参照)。入札案件登録部18は、端末40及びインタフェース部14を経由して会員利用者Uから入力される情報に基づいて、会員利用者Uが入札を希望する取引対象物を特定可能な情報を、入札案件として記憶部12へ登録する(
図2のS40参照)。すなわち、会員利用者Uは、入札の実施を希望する取引対象物を直接的或いは間接的に特定可能な情報を端末40に入力し、その情報を受けた入札案件登録部18が、入力された情報をそのまま或いは加工して、入札案件として登録する。
【0085】
入札案件開示部20は、記憶部12に登録されている入札案件を、例えば
図5に示すような表示によって会員提供者Sに対して開示するためのものであり、会員提供者Sの各々に対して開示される入札案件の範囲や、各入札案件に付随している情報の開示範囲は、状況に応じて任意に設定される(
図2のS90参照)。入札価格登録部22は、入札案件開示部20によって開示された入札案件に対して、例えば
図6に示すような画面を介して会員提供者Sから入力される、上述した支払い価格に相当する入札価格を、入札案件に紐付けて記憶部12へ登録するものである(
図3のS310参照)。すなわち、会員提供者Sの各々は、自分に開示された入札案件のうち、入札に参加したい入札案件に対して、自分が対応可能な入札価格を端末42を介して入力する(
図3のS300参照)。そして、それをインタフェース部14経由で受けた入札価格登録部22が、入札案件に紐付けて記憶部12へ登録することで、複数の会員提供者Sから入札価格が入力された入札案件には、それら複数の入札価格が紐付けられることになる。
【0086】
入札価格開示部24は、会員利用者Uに対して、その会員利用者Uにより登録された入札案件に対して入札価格を登録した、全ての会員提供者Sによる入札価格を開示する(
図3のS320参照)。換言すれば、入札価格開示部24は、各入札案件に紐付けられて登録されている入札価格を、その入札案件を登録した会員利用者Uに対して、インタフェース部14及び端末40を介して開示し、その際に開示される入札価格には、その入札案件に対して入札価格を入力した全ての会員提供者Sのものが含まれる。落札処理部26は、端末40を介した会員利用者Uからの入力を受けて、落札先の会員提供者S及び落札内容を特定して入札案件の落札を確定させる(
図3のS370参照)。すなわち、会員利用者Uは、例えば
図7に示すような画面を通じて、入札価格開示部24によって開示された入札価格を確認し、開示された入札価格に自分が満足するものがあれば、その入札価格を提示した会員提供者Sを指定して、取引を行う相手が決定したことを入力する(
図3のS360参照)。それを受けた落札処理部26は、会員利用者Uにより指定された会員提供者Sと、その会員提供者Sが提示していた入札価格や諸条件等を含む落札内容とを特定して、入札案件の落札を確定させる。
【0087】
上記のような構成により、本発明の実施の形態に係る取引支援システム10は、会員利用者Uが指定した取引対象物について、会員利用者Uが会員提供者Sへ支払う支払い価格を、入札方式で争うことができるため、会員利用者Uにより会員提供者Sを選定して、会員利用者Uに好適な条件で取引することができる。又、会員提供者Sについては、各会員提供者Sが取り扱い可能な様々な取引対象物の入札案件が、入札案件開示部20により開示されることで、取引に至る可能性のある入札への参加機会が増えるため、取引毎に得られる支払い価格が低くなっても、結果として収益が上がる可能性を高めることができる。従って、様々な取引対象物の取引を活性化させることが可能となる。
【0088】
又、本発明の実施の形態に係る取引支援システム10は、入札案件登録部18が、入札案件として登録するために、会員利用者Uから端末40を介して入力される情報として、例えば
図4に示すような画面を介して、取引対象物の情報が掲載されたウェブページのURLと、取引対象物の情報が表示された画像データと、取引対象物の情報を示すテキストデータとのうち、少なくとも1つが入力される(
図2のS30参照)。例えば取引対象物の情報が掲載されたウェブページの場合は、そのページのURLがコピー&ペースト等によって入札案件登録部18に対して入力される。上述した何れの入力情報であっても、会員利用者Uによって端末40から容易に入力することができるため、会員利用者Uが入札案件を登録する敷居が下がり、取引をより活性化させることができる。
【0089】
又、本発明の実施の形態に係る取引支援システム10は、入札案件として登録される取引対象物が土地や建物といった不動産、入札価格として競争される支払い価格が不動産の仲介手数料、会員提供者Sが不動産業者であってもよい。更に、会員利用者Uには、不動産の買主、売主、借主、及び貸主のうち、少なくとも一部が含まれるものである。このような構成により、会員提供者Sである不動産業者は、入札案件として登録される多数の案件にアクセスし、取引に参加することができる。そして、仲介手数料を下げて入札に参加して落札率を高め、それによって案件毎に得られる仲介手数料が減ることになっても、入札に参加する機会が増えて結果として落札する案件数を増やすことができ、収益増に結び付き易くすることができる。
【0090】
又、会員利用者Uが不動産の貸主である場合、賃貸を希望する物件を入札案件として登録することで、仲介を希望する複数の不動産業者に瞬時に物件情報を伝えることができ、それらの不動産業者から好適な条件を提示した不動産業者を賃貸物件仲介の不動産業者として選定することができる。このため、従来は個別に行っていた不動産業者への依頼作業の手間を大幅に軽減することができ、実際に賃貸物件への募集が開始されるまでの期間が短縮されることにより、賃料が得られない空白期間のリスクを低減することが可能となる。更に、入札案件の登録時に、貸主の希望や成約時に仲介した不動産業者に支払う業務委託費等の謝礼額を自己設定しておくこととすれば、謝礼額の対面交渉作業から解放されるものである。又、会員利用者Uが不動産の借主である場合、賃貸物件情報サイト等で賃借を希望する物件を見つけ、その物件情報を入札案件として登録することで、賃貸借契約仲介を依頼できる不動産業者を容易に把握することができる。そして、そのような不動産業者が複数いる場合は、仲介手数料や所在地等の各条件を比較し、借主に最適と思われる不動産業者を選定して賃借仲介を依頼することができる。
【0091】
一方、会員利用者Uが不動産の売主である場合、売却を希望する物件を入札案件として登録することで、物件の売却意思を複数の不動産業者に同時に通知することができ、それらの不動産業者から好適な条件を提示した不動産業者を選定することが可能となる。これにより、従来はオフラインの人的な方法に依存していた依頼作業を、本システム10への入札案件登録作業で完結することができるため、作業の手間を大幅に低減することができ、更に、入札によって成約時の仲介手数料を抑制することができる。他方、会員利用者Uが不動産の買主である場合、売買物件情報サイト等で購入を希望する物件を見つけ、その物件情報を入札案件として登録することで、売買仲介を依頼できる不動産業者を容易に把握することができる。そして、そのような不動産業者が複数いる場合は、仲介手数料や所在地等の各条件を比較し、買主に最適と思われる不動産業者を選定して売買仲介を依頼することが可能となる。
【0092】
又、本発明の実施の形態に係る取引支援システム10は、入札案件として登録される取引対象物が、様々な商品を含む動産であり、入札価格として競争される支払い価格が、動産そのものの販売価格や送料等を含む動産の購入にかかる費用であってもよい。この場合、会員提供者Sは動産を販売する販売業者等であり、会員利用者Uは動産の購入を希望する個人や法人等である。このような構成により、会員提供者Sである販売業者等は、入札案件として登録される多数の案件にアクセスし、各々が取り扱い可能な多くの取引に参加することができる。そして、入札価格を下げて入札に参加して落札率を高めると共に、入札の参加件数を増やして落札件数を増加させることで、収益の増加を見込むことができる。又、会員利用者Uとしての個人や法人等は、ECサイト等で購入を希望する商品を見つけ、その商品を入札案件として登録することで、その商品を販売している複数の業者を容易に把握することができる。そして、そのような複数の業者の販売価格や送料等の各条件を比較し、会員利用者Uに最適と思われる業者を選定して販売を依頼することができる。
【0093】
更に、本発明の実施の形態に係る取引支援システム10は、入札案件開示部20が、入札案件登録部18により登録された少なくとも一部の入札案件を、特定のウェブサイト50に取引対象物を掲載している会員提供者Sに対して、他の会員提供者Sよりも優先的に開示するものである(
図2のS60参照)。すなわち、入札案件開示部20は、少なくとも一部の入札案件を開示する際、その入札案件を他の会員提供者Sに対して開示する前に、特定のウェブサイト50に取引対象物を掲載している会員提供者Sにのみ開示して、開示された会員提供者S間でのみ入札を行わせる。そして、優先的に開示された会員提供者Sが落札できなかった場合に、その入札案件を他の会員提供者Sにも開示するものである。これにより、特定のウェブサイト50に取引対象物を掲載する提供者の増加を促すことができ、それによってこの特定のウェブサイト50に掲載される取引対象物の種類や数量を豊富にすることができるため、本システム10並びに特定のウェブサイト50の双方の利用頻度が増え、取引をより一層活性化させることが可能となる。
【0094】
又、本発明の実施の形態に係る取引支援システム10は、入札案件登録部18により登録された入札案件の中に、特定のウェブサイト50に掲載されている取引対象物と一致する取引対象物を示す入札案件があり、その取引対象物を特定のウェブサイト50に掲載している提供者が、本システム10に登録している会員提供者Sである場合に、その会員提供者Sに対して、その会員提供者Sが掲載した取引対象物と一致する取引対象物を示している入札案件を、入札案件開示部20が優先的に開示してもよい。これにより、本システム10及び特定のウェブサイト50の利用を益々促すことができる。
【0095】
更に、本発明の実施の形態に係る取引支援システム10は、入札案件開示部20が、入札案件の開示先である会員提供者Sに対して、その会員提供者Sと異なる別の会員提供者Sによりその入札案件に紐付けられて登録された入札価格を開示するものである(
図3のS320参照)。すなわち、入札案件開示部20は、同一の入札案件が複数の会員提供者Sに対して開示される場合に、それらの各会員提供者Sに他の会員提供者Sによって登録された入札価格を開示する。このため、会員提供者Sの各々は、自分と同じ入札案件に参加している他の会員提供者Sの入札価格を確認することができる。
【0096】
一方、入札価格登録部22は、同一の会員提供者Sからの同一の入札案件に対する入札価格の登録を2回以上受け付けることで、他の会員提供者Sの入札価格を確認して自分の入札価格を変更したくなった会員提供者S等の要望に応じて、入札価格を更新することができる。そして、入札価格開示部24は、会員利用者Uへ入札価格を開示する際に、各会員提供者Sにより最新に登録された入札価格を開示して、落札する会員提供者Sを選定させることができる。これによって、複数の会員提供者S間での競争を促すことができると共に、会員利用者Uが満足するような入札価格を提供し易くすることができ、取引を活性化させることが可能となる。
【0097】
又、本発明の実施の形態に係る取引支援システム10は、利用者及び提供者が利用する端末40、42と本システム10との間で情報の受け渡しを行うインタフェース部14が、利用者及び提供者の端末40、42にインストールされたウェブブラウザ或いは専用アプリケーションを介して、情報の受け渡しを行うものである。すなわち、インタフェース部14は、ウェブブラウザを利用する場合は、ウェブブラウザによって端末40、42の表示部に情報を入出力するための画面を表示させ、それを利用して情報の受け渡しを行うことができる。又、専用アプリケーションを利用する場合は、端末40、42で起動された専用アプリケーションによって端末40、42の表示部に表示される画面を通じて、情報の受け渡しを行うことができる。何れの場合であっても、端末40、42に直感的に操作可能な画面を表示させることで、情報の受け渡しを円滑に行うことができる。
【0098】
又、本発明の実施の形態に係る取引支援システム10は、入札案件の落札を確定させる落札処理部26が、落札が確定した入札案件を登録した会員利用者Uの連絡先と、その入札案件を落札した会員提供者Sの連絡先とのうち、少なくとも何れか一方を開示するものである(
図3のS380参照)。これにより、落札後に会員利用者Uと会員提供者Sとが直接やり取りを行うことができるため、落札後の作業を円滑に行うことができる。
【0099】
しかも、本発明の実施の形態に係る取引支援システム10は、落札が確定した入札案件について、落札後に会員利用者Uと会員提供者Sとの間で直接或いは本システム10等を介してやり取りが行われた結果、落札時の落札内容に変更を加える必要が生じた場合に対応することができる。すなわち、落札処理部26は、会員提供者Sと会員利用者Uとのうちの何れか一方又は双方から、上記の変更を反映するような落札内容の修正を受ける。そして、落札処理部26は、その修正後の落札内容の確認を、会員提供者Sと会員利用者Uとのうちの何れか一方又は双方から、好ましくは、双方が落札内容を修正した場合は双方から、何れか一方が落札内容を修正した場合は残りの他方から受けることで、落札を再確定させるものである(
図3のS410~S430参照)。このように、落札後の案件の落札内容の変更に柔軟に対応することで、会員利用者U及び会員提供者Sの双方が満足する取引を行うことができる。
【0100】
又、本発明の実施の形態に係る取引支援システム10は、落札処理部26が、特に入札案件が動産である場合のその内容に応じて、複数の会員提供者Sを同時に落札先として特定してもよい。これにより、会員利用者Uにとっては、所望する内容で取引対象物を得易くなり、会員提供者Sにとっては、入札案件を落札する機会が増えることになるため、取引を一層活性化させることができる。
【符号の説明】
【0101】
10:取引支援システム、12:記憶部、14:インタフェース部、16:会員登録部、18:入札案件登録部、20:入札案件開示部、22:入札価格登録部、24:入札価格開示部、26:落札処理部、40、42:端末、50:特定のウェブサイト、U:会員利用者、S:会員提供者