IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-二酸化炭素回収装置 図1
  • 特許-二酸化炭素回収装置 図2
  • 特許-二酸化炭素回収装置 図3
  • 特許-二酸化炭素回収装置 図4
  • 特許-二酸化炭素回収装置 図5
  • 特許-二酸化炭素回収装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】二酸化炭素回収装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/62 20060101AFI20240520BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20240520BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20240520BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20240520BHJP
【FI】
B01D53/62 ZAB
B01D53/78
B01D53/14 200
C01B32/50
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022515230
(86)(22)【出願日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 JP2021006674
(87)【国際公開番号】W WO2021210271
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-10-07
(31)【優先権主張番号】16/849,132
(32)【優先日】2020-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】宮本 修
(72)【発明者】
【氏名】上條 孝
(72)【発明者】
【氏名】岸本 真也
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-184867(JP,A)
【文献】特開2011-115724(JP,A)
【文献】特開2015-051382(JP,A)
【文献】国際公開第2015/122050(WO,A1)
【文献】特開平05-184866(JP,A)
【文献】米国特許第8080089(US,B1)
【文献】特開2019-076810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/34-53/73,53/74-53/85,53/92,53/96
B01D 53/14-53/18
C01B 32/00-32/991
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガス冷却水を排ガスに接触させて前記排ガスを冷却する排ガス冷却部と、
前記排ガスを冷却した前記排ガス冷却水と、前記排ガスを冷却することで発生した凝縮水と、を前記排ガス冷却部から抜き出して前記排ガス冷却部へ戻す循環流路と、
前記排ガス冷却部で冷却された前記排ガスと吸収液とを接触させて前記排ガスに含まれる二酸化炭素を前記吸収液に吸収させる二酸化炭素吸収部と、前記二酸化炭素吸収部で二酸化炭素を吸収された前記排ガスと排ガス洗浄水とを接触させて前記排ガスを水洗する排ガス水洗部と、を有する吸収部と、
前記吸収部で二酸化炭素を吸収した前記吸収液から二酸化炭素を取り除く再生部と、
前記排ガス冷却部及び前記循環流路を循環する循環水を、前記排ガス洗浄水として前記排ガス水洗部へ導く供給流路と、
前記排ガス冷却部及び前記循環流路を循環する前記循環水を系外へ排出する排出流路と、
系内の水分量を所定の範囲内に保ち、前記吸収液の濃度を所定の範囲に保つ処理を行う制御装置と
前記排ガス洗浄水として前記供給流路を介して前記排ガス水洗部に供給される前記循環水であって、前記排ガス水洗部で前記排ガスを水洗した後の前記排ガス洗浄水を前記排ガス水洗部から抜き出して前記排ガス水洗部へ戻す排ガス洗浄水循環流路と、を備える二酸化炭素回収装置。
【請求項2】
流通する流体を冷却するための冷却媒体を冷却する冷却塔を備え、
前記排出流路は、前記循環流路から排出された前記循環水を、前記冷却媒体を冷却する冷却水として前記冷却塔へ供給する請求項1に記載の二酸化炭素回収装置。
【請求項3】
前記供給流路には、前記供給流路を流通する前記循環水中の不純物を捕集する捕集部が設けられている請求項1に記載の二酸化炭素回収装置。
【請求項4】
前記再生部から排出された二酸化炭素を洗浄水で水洗する二酸化炭素水洗部と、
前記供給流路を流通する前記循環水を、前記洗浄水として前記二酸化炭素水洗部へ供給する洗浄水流路と、を備える請求項1に記載の二酸化炭素回収装置。
【請求項5】
前記吸収液の不純物を除去するリクレーマと、
前記供給流路を流通する前記循環水を、前記リクレーマへ供給するリクレーマ流路と、を備える請求項1に記載の二酸化炭素回収装置。
【請求項6】
前記排ガス水洗部は、前記供給流路から供給された前記循環水のみによって、前記排ガスを水洗し、
前記排ガス水洗部には、前記排ガス洗浄水を循環させる装置を備えていない請求項1に記載の二酸化炭素回収装置。
【請求項7】
前記排ガス冷却部及び前記吸収部を収容する外殻を備え、
前記吸収部は、前記排ガス冷却部の上方に設けられている請求項1に記載の二酸化炭素回収装置。
【請求項8】
排ガス冷却水を排ガスに接触させて前記排ガスを冷却する排ガス冷却部と、
前記排ガスを冷却した前記排ガス冷却水と、前記排ガスを冷却することで発生した凝縮水と、を前記排ガス冷却部から抜き出して前記排ガス冷却部へ戻す循環流路と、
前記排ガス冷却部で冷却された前記排ガスと吸収液とを接触させて前記排ガスに含まれる二酸化炭素を前記吸収液に吸収させる二酸化炭素吸収部と、前記二酸化炭素吸収部で二酸化炭素を吸収された前記排ガスと排ガス洗浄水とを接触させて前記排ガスを水洗する排ガス水洗部と、を有する吸収部と、
前記吸収部で二酸化炭素を吸収した前記吸収液から二酸化炭素を取り除く再生部と、
前記排ガス冷却部及び前記循環流路を循環する循環水を、前記排ガス洗浄水として前記排ガス水洗部へ導く供給流路と、
前記排ガス冷却部及び前記循環流路を循環する前記循環水を系外へ排出する排出流路と、
系内の水分量を所定の範囲内に保ち、前記吸収液の濃度を所定の範囲に保つ処理を行う制御装置と、
流通する流体を冷却するための冷却媒体を冷却する冷却塔と、を備え、
前記排出流路は、前記循環流路から排出された前記循環水を、前記冷却媒体を冷却する冷却水として前記冷却塔へ供給する二酸化炭素回収装置。
【請求項9】
排ガス冷却水を排ガスに接触させて前記排ガスを冷却する排ガス冷却部と、
前記排ガスを冷却した前記排ガス冷却水と、前記排ガスを冷却することで発生した凝縮水と、を前記排ガス冷却部から抜き出して前記排ガス冷却部へ戻す循環流路と、
前記排ガス冷却部で冷却された前記排ガスと吸収液とを接触させて前記排ガスに含まれる二酸化炭素を前記吸収液に吸収させる二酸化炭素吸収部と、前記二酸化炭素吸収部で二酸化炭素を吸収された前記排ガスと排ガス洗浄水とを接触させて前記排ガスを水洗する排ガス水洗部と、を有する吸収部と、
前記吸収部で二酸化炭素を吸収した前記吸収液から二酸化炭素を取り除く再生部と、
前記排ガス冷却部及び前記循環流路を循環する循環水を、前記排ガス洗浄水として前記排ガス水洗部へ導く供給流路と、
前記排ガス冷却部及び前記循環流路を循環する前記循環水を系外へ排出する排出流路と、
系内の水分量を所定の範囲内に保ち、前記吸収液の濃度を所定の範囲に保つ処理を行う制御装置と、を備え、
前記供給流路には、前記供給流路を流通する前記循環水中の不純物を捕集する捕集部が設けられている二酸化炭素回収装置。
【請求項10】
排ガス冷却水を排ガスに接触させて前記排ガスを冷却する排ガス冷却部と、
前記排ガスを冷却した前記排ガス冷却水と、前記排ガスを冷却することで発生した凝縮水と、を前記排ガス冷却部から抜き出して前記排ガス冷却部へ戻す循環流路と、
前記排ガス冷却部で冷却された前記排ガスと吸収液とを接触させて前記排ガスに含まれる二酸化炭素を前記吸収液に吸収させる二酸化炭素吸収部と、前記二酸化炭素吸収部で二酸化炭素を吸収された前記排ガスと排ガス洗浄水とを接触させて前記排ガスを水洗する排ガス水洗部と、を有する吸収部と、
前記吸収部で二酸化炭素を吸収した前記吸収液から二酸化炭素を取り除く再生部と、
前記排ガス冷却部及び前記循環流路を循環する循環水を、前記排ガス洗浄水として前記排ガス水洗部へ導く供給流路と、
前記排ガス冷却部及び前記循環流路を循環する前記循環水を系外へ排出する排出流路と、
系内の水分量を所定の範囲内に保ち、前記吸収液の濃度を所定の範囲に保つ処理を行う制御装置と、
前記再生部から排出された二酸化炭素を洗浄水で水洗する二酸化炭素水洗部と、
前記供給流路を流通する前記循環水を、前記洗浄水として前記二酸化炭素水洗部へ供給する洗浄水流路と、を備えた二酸化炭素回収装置。
【請求項11】
排ガス冷却水を排ガスに接触させて前記排ガスを冷却する排ガス冷却部と、
前記排ガスを冷却した前記排ガス冷却水と、前記排ガスを冷却することで発生した凝縮水と、を前記排ガス冷却部から抜き出して前記排ガス冷却部へ戻す循環流路と、
前記排ガス冷却部で冷却された前記排ガスと吸収液とを接触させて前記排ガスに含まれる二酸化炭素を前記吸収液に吸収させる二酸化炭素吸収部と、前記二酸化炭素吸収部で二酸化炭素を吸収された前記排ガスと排ガス洗浄水とを接触させて前記排ガスを水洗する排ガス水洗部と、を有する吸収部と、
前記吸収部で二酸化炭素を吸収した前記吸収液から二酸化炭素を取り除く再生部と、
前記排ガス冷却部及び前記循環流路を循環する循環水を、前記排ガス洗浄水として前記排ガス水洗部へ導く供給流路と、
前記排ガス冷却部及び前記循環流路を循環する前記循環水を系外へ排出する排出流路と、
系内の水分量を所定の範囲内に保ち、前記吸収液の濃度を所定の範囲に保つ処理を行う制御装置と、
前記吸収液の不純物を除去するリクレーマと、
前記供給流路を流通する前記循環水を、前記リクレーマへ供給するリクレーマ流路と、を備えた二酸化炭素回収装置。
【請求項12】
排ガス冷却水を排ガスに接触させて前記排ガスを冷却する排ガス冷却部と、
前記排ガスを冷却した前記排ガス冷却水と、前記排ガスを冷却することで発生した凝縮水と、を前記排ガス冷却部から抜き出して前記排ガス冷却部へ戻す循環流路と、
前記排ガス冷却部で冷却された前記排ガスと吸収液とを接触させて前記排ガスに含まれる二酸化炭素を前記吸収液に吸収させる二酸化炭素吸収部と、前記二酸化炭素吸収部で二酸化炭素を吸収された前記排ガスと排ガス洗浄水とを接触させて前記排ガスを水洗する排ガス水洗部と、を有する吸収部と、
前記吸収部で二酸化炭素を吸収した前記吸収液から二酸化炭素を取り除く再生部と、
前記排ガス冷却部及び前記循環流路を循環する循環水を、前記排ガス洗浄水として前記排ガス水洗部へ導く供給流路と、
前記排ガス冷却部及び前記循環流路を循環する前記循環水を系外へ排出する排出流路と、
系内の水分量を所定の範囲内に保ち、前記吸収液の濃度を所定の範囲に保つ処理を行う制御装置と、
前記排ガス冷却部及び前記吸収部を収容する外殻と、を備え、
前記吸収部は、前記排ガス冷却部の上方に設けられている二酸化炭素回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二酸化炭素回収装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料の燃焼等により生成される排ガス中の二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置が知られている。二酸化炭素回収装置には、流通する様々な流体を冷却する複数の冷却装置(例えば、排ガスを冷却する冷却装置や、二酸化炭素を冷却する冷却装置等)が設けられているものがある。各冷却装置は、流体を冷却するために、大量の冷却水を使用する。したがって、二酸化炭素回収装置全体の冷却水の使用量も大量となる。このため、二酸化炭素回収装置で使用される冷却水の量を低減することが検討されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、二酸化炭素を含有するガスGを吸収液に接触させて二酸化炭素を吸収液に吸収させるための吸収塔と、二酸化炭素を吸収した吸収液を加熱して二酸化炭素を吸収液から放出させ、吸収液を再生する再生塔と、吸収塔に供給されるガスGを予め冷却して二酸化炭素の吸収に適した適正温度に調整する排ガス冷却塔としての機能を有する前処理塔とを、有する回収装置が記載されている。前処理塔には、ガスGを冷却する排ガス冷却水が循環する循環路が外部に付設されている。前処理塔の底部の排ガス冷却水は、循環路を通じて前処理塔内の気液接触部の上方に還流する。前処理塔は、循環路から還流した排ガス冷却水によって、気液接触部を通過するガスGを冷却する。排ガス冷却水を循環させる循環路には、排ガス冷却水を分流するための分岐路が設けられている。回収装置は、気液接触部での冷却により、ガスGから凝縮水が生じると、凝縮水(詳細には、凝縮水に相当する量の循環水)を循環路から分岐路を通じて分流し、分流した循環水を最終的には吸収液(吸収塔)に添加している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6225572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
二酸化炭素回収装置では、系内(排ガス冷却塔、吸収塔及び再生塔における流れの中)の水分量によって、系内の吸収液の濃度が変化する。詳細には、系内の水分量が増加すると、吸収液の濃度が低くなる。一方、系内の水分量が低減すると、吸収液の濃度が高くなる。吸収塔において二酸化炭素を好適に吸収するためには、吸収液の濃度を所定の範囲に保つ必要がある。したがって、吸収塔において二酸化炭素を好適に吸収するためには、系内の水分量を所定の範囲内に保ち(以下、系内の水分量を所定の範囲内とすることを「水バランスを保つ」と称する。)、吸収液の濃度を所定の範囲に保つ必要がある。
【0006】
特許文献1に記載の装置では、前処理塔に導入された排ガスで発生した凝縮水の全量を吸収塔に供給している。すなわち、系外(排ガス冷却塔、吸収塔及び再生塔における流れの外)に排出される水分は、再生塔から出ていく二酸化炭素ガスに含まれる少量の水分を除き、吸収塔から排出される排ガスに含まれる水分のみとなる。したがって、二酸化炭素回収装置内の水バランスを保つためには、前処理塔に導入される排ガスに含まれる水分量(以下、「導入水分量」と称する。)と、吸収塔から排出される排ガスに含まれる水分量(以下、「排出水分量」と称する。)と、を同程度にする必要がある。導入水分量は、排ガスを排出する装置の状態等に応じて変化する。したがって、特許文献1に記載の装置では、導入水分量に応じて、排出水分量を変化させる必要がある。
【0007】
例えば、導入水分量が多い場合には、吸収塔で二酸化炭素を吸収され吸収部を出た排ガスに含まれる水分量が、導入水分量よりも低い場合がある。このような場合に、特許文献1に記載の装置では、前処理塔から吸収塔に供給された凝縮水を加熱することで蒸発させる。そして、蒸発した凝縮水を吸収部を出た排ガスに加えることで、排出水分量を増加させている。このようにして、導入水分量と排出水分量とを同程度にしている。
【0008】
しかしながら、吸収塔に凝縮水を蒸発させる構造を設けると、二酸化炭素回収装置全体の構造が複雑化してしまう可能性があった。また、二酸化炭素回収装置全体の構造が複雑化することでコストが増大してしまう可能性があった。
【0009】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、簡素な構造の二酸化炭素回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本開示の二酸化炭素回収装置は以下の手段を採用する。
本開示の一態様に係る二酸化炭素回収装置は、排ガス冷却水を排ガスに接触させて前記排ガスを冷却する排ガス冷却部と、前記排ガスを冷却した前記排ガス冷却水と、前記排ガスを冷却することで発生した凝縮水と、を前記排ガス冷却部から抜き出して前記排ガス冷却部へ戻す循環流路と、前記排ガス冷却部で冷却された前記排ガスと吸収液とを接触させて前記排ガスに含まれる二酸化炭素を前記吸収液に吸収させる二酸化炭素吸収部と、前記二酸化炭素吸収部で二酸化炭素を吸収された前記排ガスと排ガス洗浄水とを接触させて前記排ガスを水洗する排ガス水洗部と、を有する吸収部と、前記吸収部で二酸化炭素を吸収した前記吸収液から二酸化炭素を取り除く再生部と、前記排ガス冷却部及び前記循環流路を循環する循環水を、前記排ガス洗浄水として前記排ガス水洗部へ導く供給流路と、前記排ガス冷却部及び前記循環流路を循環する前記循環水を系外へ排出する排出流路と、を備えている。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、二酸化炭素回収装置を簡素な構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の第1実施形態に係る二酸化炭素回収装置の概略構成図である。
図2図1の二酸化炭素回収装置に設けられた冷却塔の概略構成図である。
図3図1の二酸化炭素回収装置に設けられた排ガス吸収塔の変形例を示す要部拡大図である。
図4図1の二酸化炭素回収装置に設けられた排ガス吸収塔の変形例を示す要部拡大図である。
図5】本開示の第2実施形態に係る二酸化炭素回収装置の概略構成図である。
図6】本開示の第3実施形態に係る二酸化炭素回収装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本開示に係る二酸化炭素回収装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
〔第1実施形態〕
以下、本開示の第1実施形態について、図1を用いて説明する。
図1は、本開示の第1実施形態に係る二酸化炭素回収装置1の概略図である。二酸化炭素回収装置1は、発電設備や工場等から排出された二酸化炭素を含有する排ガス(以下、「排ガス」と称する)から二酸化炭素を回収するための装置である。図1に示すように、二酸化炭素回収装置1は、排ガスを冷却する排ガス冷却塔(排ガス冷却部)10と、排ガス冷却塔10で冷却された排ガス中の二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収塔(吸収部)20と、吸収塔20で二酸化炭素を吸収した吸収液を再生するための再生塔(再生部)40と、を備えている。また、二酸化炭素回収装置1は、再生塔40で再生された吸収液から不純物(劣化物)を除去するリクレーマ50を備えている。また、二酸化炭素回収装置1は、再生塔40から排出された二酸化炭素を処理する二酸化炭素処理部60を備えている。
【0015】
排ガス冷却塔10は、外殻11と、外殻11の内部に収容された気液接触部12と、気液接触部12の上方から排ガス冷却水を供給する冷却水供給部13と、を有している。外殻11の下部には、排ガス導入ラインL1が接続している。排ガス冷却塔10には、排ガス導入ラインL1を介して、図示省略の工場等からの排ガスが導入される。
【0016】
気液接触部12には、冷却水供給部13によって、排ガス冷却水が上方から供給される。気液接触部12において、排ガス冷却水と排ガスとが接触することにより、排ガスが冷却される。気液接触部12から降下した排ガス冷却水は、排ガス冷却塔10の下部に貯留される。また、排ガスが冷却されると、排ガスに含まれていた水分が凝縮する。排ガスから発生した凝縮水も、排ガス冷却塔10の底部に貯留される。したがって、排ガス冷却塔10の底部には、排ガス冷却水と凝縮水とが混合した水が貯留されている。
【0017】
排ガス冷却塔10には、排ガス冷却塔10の底部に貯留する排ガス冷却水(凝縮水を含む)を冷却水供給部13へ導く第1循環ライン(循環流路)L2が設けられている。第1循環ラインL2には、循環水ポンプ14と、循環水を冷却する循環水冷却装置15と、が設けられている。循環水とは、第1循環ラインL2を循環する水であって、具体的には排ガス冷却塔10の凝縮水を含む排ガス冷却水である。循環水冷却装置15では、循環水と冷却媒体(例えば、水等)とを伝熱管等を介して熱的に接触させ、循環水と冷却媒体とを熱交換させることで循環水を冷却している。すなわち、循環水冷却装置15では、循環水と冷却媒体とは直接接触しない。排ガス冷却塔10の上部と、吸収塔20の下部とは、排ガスラインL3によって接続されている。排ガスラインL3は、排ガス冷却塔10で冷却された排ガスを、吸収塔20へ導く。
また、第1循環ラインL2には、循環水を吸収塔20へ導く供給ラインL4(供給流路)が接続されている。また、第1循環ラインL2には、循環水を系外へ排出する排出ライン(排出流路)L5が接続されている。供給ラインL4及び排出ラインL5の詳細については、後述する。
【0018】
吸収塔20は、外殻37と、排ガス中の二酸化炭素を吸収する二酸化炭素吸収部21と、二酸化炭素吸収部21の上方に設けられ、二酸化炭素を除去後の排ガスを水洗するための水洗部22と、を備えている。二酸化炭素吸収部21及び水洗部22は、外殻37に収容されている。
【0019】
二酸化炭素吸収部21の上方には、二酸化炭素吸収部21へ吸収液を供給する吸収液供給部23が設けられている。二酸化炭素吸収部21には、再生塔40の底部に貯留された吸収液(リーン液)が、吸収液ラインL6を介して供給される。吸収液ラインL6は、吸収液供給部23に接続されている。吸収液ラインL6には、吸収液を圧送するための吸収液ポンプ24と、吸収液を冷却する吸収液冷却装置25と、が設けられている。吸収液冷却装置25では、吸収液と冷却媒体とを伝熱管等を介して熱的に接触させ、吸収液と冷却媒体とを熱交換させることで吸収液を冷却している。すなわち、吸収液冷却装置25では、吸収液と冷却媒体とは直接接触しない。
【0020】
吸収液は、二酸化炭素吸収剤を含有する液体である。二酸化炭素吸収剤の種類は特に限定されないが、二酸化炭素吸収剤として、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンに代表されるアルカノールアミン等のアミン類や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及水酸化カルシウム等のアミン類以外の各種アルカリ水溶液を使用することができる。
【0021】
排ガスラインL3を介して吸収塔20の内部に導入された排ガスは、吸収塔20の内部(外殻37の内部)を上方に流れる。上方に流れる排ガスは、二酸化炭素吸収部21において、上方から吸収液供給部23によって供給される吸収液と対向流接触する。これにより、排ガス中の二酸化炭素が吸収液に吸収されて、排ガス中から二酸化炭素が分離及び除去される。なお、二酸化炭素吸収部21は、吸収液と排ガスとの気液接触を促進させるものであれば特に限定されない。例えば、二酸化炭素吸収部21は、任意の材質の充填物が充填された充填層によって形成されてもよく、また、1段以上のトレイによって構成されてもよい。
【0022】
二酸化炭素吸収部21で二酸化炭素を吸収した吸収液は、吸収塔20の底部へ落下する。吸収塔20の底部へ落下した吸収液は、底部に貯留される。この底部に貯留される吸収液は、再生塔40の底部に貯留された吸収液よりも二酸化炭素濃度が高い。以下の説明では、二酸化炭素を吸収して二酸化炭素濃度が高い吸収液を、リッチ液と称する。
吸収塔20には、底部に貯留される吸収液の液面の高さ(レベル)を検出するレベル計20aが設けられている。
【0023】
水洗部22は、二酸化炭素除去後の排ガスに含まれる二酸化炭素吸収剤を回収するために、該排ガスを水洗する。水洗部22は、排ガス流れにおける上流側に配置される第1水洗部26と、第1水洗部26の下流側に配置される第2水洗部(排ガス水洗部)32と、を有している。第1水洗部26は、排ガスの水洗とともに、排ガスの冷却も目的としている。なお、第1水洗部26と第2水洗部32との間に、排ガス中のミストを除去するためのデミスタを設けてもよい。
【0024】
第1水洗部26は、第1排ガス水洗部27と、第1排ガス水洗部27の上方から洗浄水を供給する第1洗浄水供給部28と、第1排ガス水洗部27の下方に設けられる第1チムニートレイ29と、を有している。
【0025】
二酸化炭素吸収部21を通過した排ガスは、第1チムニートレイ29の開口部を介して、第1排ガス水洗部27へ導かれる。第1チムニートレイ29は、開口部を介して下方から上方へと気体が通過可能であるとともに、上方から下方へは液体が通過できないように構成されている。
【0026】
第1排ガス水洗部27には、第1洗浄水供給部28によって、洗浄水が上方から供給される。第1排ガス水洗部27において、洗浄水と排ガスとが接触することにより、排ガスが水洗されるとともに冷却される。排ガスを水洗すると、排ガスに含まれる二酸化炭素吸収剤が洗浄水に溶解される。これにより、排ガスから二酸化炭素吸収剤を回収することができる。第1排ガス水洗部27から降下した洗浄水は、第1チムニートレイ29に貯留される。
【0027】
第1水洗部26には、第1チムニートレイ29に貯留する洗浄水を第1洗浄水供給部28へ導く第2循環ラインL7が設けられている。第2循環ラインL7には、第1洗浄水ポンプ30と、洗浄水を冷却する洗浄水冷却装置31と、が設けられている。洗浄水冷却装置31では、洗浄水と冷却媒体とを伝熱管等を介して熱的に接触させ、洗浄水と冷却媒体とを熱交換させることで洗浄水を冷却している。すなわち、洗浄水冷却装置31では、洗浄水と冷却媒体とは直接接触しない。
【0028】
第2水洗部32は、第2排ガス水洗部33と、第2排ガス水洗部33の上方から洗浄水を供給する第2洗浄水供給部34と、第2排ガス水洗部33の下方に設けられる第2チムニートレイ35と、を有している。
【0029】
第1水洗部26を通過した排ガスは、第2チムニートレイ35の開口部を介して、第2排ガス水洗部33へ導かれる。第2チムニートレイ35は、開口部を介して下方から上方へと気体が通過可能であるとともに、上方から下方へは液体が通過できないように構成されている。
【0030】
第2排ガス水洗部33には、第2洗浄水供給部34によって、洗浄水が上方から供給される。第2排ガス水洗部33において、洗浄水と排ガスとが接触することにより、排ガスが水洗される。第2排ガス水洗部33から降下した洗浄水は、第2チムニートレイ35に貯留される。
【0031】
第2水洗部32には、第2チムニートレイ35に貯留する洗浄水を第2洗浄水供給部34へ導く第3循環ラインL8が設けられている。第3循環ラインL8には、第2洗浄水ポンプ36が設けられている。第3循環ラインL8には、供給ラインL4が接続されている。
【0032】
水洗部22で二酸化炭素吸収剤が除去された排ガスは、吸収塔20の塔頂部に接続された排ガス排出ラインL9を介して、吸収塔20の外部へ排出される。排ガス排出ラインL9には、吸収塔20から排出される排ガスの温度を計測する温度計20bが設けられている。
【0033】
吸収塔20の底部に貯留された吸収液(リッチ液)は、リッチ液ラインL10を介して、吸収塔20から再生塔40に供給される。リッチ液ラインL10には、リッチ吸収液を再生塔40に圧送するためのリッチ液ポンプ38が設けられている。また、リッチ液ラインL10には、リッチ液ラインL10を流れるリッチ液と、吸収液ラインL6を流れる吸収液とを熱交換するための熱交換器39が設けられている。熱交換器39は、比較的高温の吸収液とリッチ液とを熱交換することで、吸収液を冷却するとともにリッチ液を加熱している。リッチ液を加熱することで、後述する再生塔40での吸収液(リッチ液)の再生を促進することができる。
【0034】
再生塔40は、外殻41と、外殻41の内部に収容された気液接触部42と、気液接触部42の上方からリッチ液を供給するリッチ液供給部43と、気液接触部42の下方に設けられる第3チムニートレイ44と、を有している。また、再生塔40は、リッチ液供給部43の上方に設けられる還流部45と、還流部45の上方に設けられるデミスタ46と、を有している。
【0035】
気液接触部42には、リッチ液供給部43によって、リッチ液が上方から供給される。気液接触部42において、リッチ液が後述する飽和蒸気により加熱されることにより、リッチ液から二酸化炭素が放出され、相対的に二酸化炭素濃度が低い吸収液となる。気液接触部42から降下した吸収液は、第3チムニートレイ44に受け止められる。
【0036】
再生塔40の下部には、リボイララインL11が接続されている。リボイララインL11には、再生加熱器47が設けられている。リボイララインL11は、第3チムニートレイ44に貯留された吸収液を抜き出し、再生加熱器47を介して再生塔40に戻す。再生加熱器47は、リボイララインL11を介して導かれる吸収液(リーン液)を、加熱媒体(例えば、飽和蒸気)との熱交換により加熱する。再生加熱器47には、加熱媒体が第1加熱媒体ラインL12を介して供給される。再生加熱器47において加熱された吸収液は、その少なくとも一部が飽和蒸気に相変化し、気液混相状態で再生加熱器47から排出される。再生加熱器47から排出された吸収液は、リボイララインL11を介して再生塔40の下部(第3チムニートレイ44の下方)に導かれる。リボイララインL11から再生塔40の底部に導かれた飽和蒸気は、第3チムニートレイ44を介して再生塔40内を上昇し、上述したように、気液接触部42にてリッチ液の加熱に用いられる。
【0037】
一方、リボイララインL11を介して再生塔40の底部に導かれた吸収液(即ち再生加熱器47において相変化しなかった吸収液)は、再生塔40の底部に貯留される。この吸収液は、吸収液ラインL6を介して再生塔40の底部から抜き出され、吸収液ラインL6に設けられた吸収液ポンプ24によって、吸収塔20の吸収液供給部23に供給される。このようにして吸収塔20に戻された吸収液は、二酸化炭素吸収部21にて、排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収するための吸収液として再利用される。なお、吸収液ラインL6を流れる吸収液は、熱交換器39においてリッチ液ラインL10を流れるリッチ液と熱交換することで、冷却される。また、熱交換器39で熱交換を終えた吸収液は、吸収液冷却装置25によってさらに冷却される。
【0038】
一方、気液接触部42でリッチ液から放出された二酸化炭素は、気液接触部42の上方に設けられた還流部45へ向かう。還流部45には、後述する第1還流水ラインL13から還流水が導入される。還流部45に導入された二酸化炭素は、還流水と接触することで、洗浄されて二酸化炭素が除去される。還流部45から排出された二酸化炭素は、デミスタ46でミストを除去される。デミスタ46を通過した二酸化炭素は、再生塔40の塔頂部から放出され、第1二酸化炭素ラインL14に流入する。
【0039】
吸収液ラインL6の熱交換器39よりも上流側には、吸収液ラインL6を流通する吸収液の一部を抽出して、リクレーマ50に供給するリクレーマ導入ラインL15が接続している。
リクレーマ50は、吸収液の一部を導入して貯留する貯留タンク51と、貯留タンク51に貯留された吸収液を加熱する加熱部52と、を備えている。
【0040】
貯留タンク51は、リクレーマ導入ラインL15を介して導入される吸収液と、第1還流水ラインL13から分岐する第2還流水ラインL16を介して導入される還流水と、を貯留している。すなわち、貯留タンク51は、吸収液と還流水とが混合した液体が貯留している。第2還流水ラインL16の下流端は、リクレーマ導入ラインL15に接続されている。なお、第2還流水ラインL16の下流端は、貯留タンク51に接続されていてもよい。
【0041】
加熱部52は、貯留タンク51に貯留されている吸収液(還流水を含む)を、加熱媒体(例えば、飽和蒸気)との熱交換により加熱する。加熱部52には、加熱媒体が第2加熱媒体ラインL17を介して供給される。加熱部52において加熱された吸収液は、一部が飽和蒸気に相変化し、貯留タンク51から排出される。貯留タンク51から排出された吸収液は、リクレーマ排出ラインL18を介して再生塔40の下部(第3チムニートレイ44の下方)に導かれる。リクレーマ排出ラインL18から再生塔40の下部に導かれた飽和蒸気は、第3チムニートレイ44を介して再生塔40内を上昇し、上述したように、気液接触部42にてリッチ液の加熱に用いられる。
【0042】
一方、吸収液に含まれる劣化物(不純物)は、吸収液よりも沸点が高いので、加熱部52の加熱によって気化しない。したがって、劣化物は、リクレーマ排出ラインL18から排出されず、貯留タンク51に残留する。貯留タンク51に蓄積された劣化物は、劣化物排出ラインL19を介して、貯留タンク51から抜き出される。貯留タンク51から抜き出された劣化物は、別途処理される。
【0043】
二酸化炭素処理部60は、再生塔40から排出された二酸化炭素を処理する。二酸化炭素処理部60は、第1二酸化炭素ラインL14に設けられるコンデンサ61と、コンデンサ61から排出された二酸化炭素が導かれる還流水ドラム70と、還流水ドラム70から排出された二酸化炭素が導かれる二酸化炭素水洗塔62と、を有する。また、二酸化炭素処理部60は、二酸化炭素水洗塔62から排出された二酸化炭素を圧縮する圧縮機63と、圧縮機63で圧縮した二酸化炭素を冷却する二酸化炭素冷却装置64と、二酸化炭素冷却装置64で冷却された二酸化炭素から水分を分離するドラム65と、を有する。
【0044】
コンデンサ61は、第1二酸化炭素ラインL14を流通する二酸化炭素を冷却し、二酸化炭素に含まれる水分を凝縮する。コンデンサ61で冷却された二酸化炭素は、第1二酸化炭素ラインL14を介して、還流水ドラム70へ導かれる。
【0045】
還流水ドラム70は、二酸化炭素とコンデンサ61で凝縮された水分とを分離する。還流水ドラム70に導入された気相の二酸化炭素は、還流水ドラム70の内部を上昇して、還流水ドラム70から排出される。還流水ドラム70から排出された二酸化炭素は、第2二酸化炭素ラインL29を介して、二酸化炭素水洗塔62へ導かれる。還流水ドラム70に導入された凝縮水は、還流水ドラム70の底部に貯留する。
【0046】
還流水ドラム70の底部には、第1還流水ラインL13が接続されている。還流水ドラム70に貯留されている凝縮水は、第1還流水ラインL13を介して還流水ドラム70の底部から抜き出され、第1還流水ラインL13に設けられた還流水ポンプ69によって、還流水として、再生塔40の還流部45に供給される。なお、上述のように、第1還流水ラインL13には、第2還流水ラインL16が接続されている。
【0047】
二酸化炭素水洗塔62は、二酸化炭素を水洗する。二酸化炭素水洗塔62は、外殻66と、外殻66の内部に収容された二酸化炭素水洗部67と、二酸化炭素水洗部67の上方から洗浄水を供給する第3洗浄水供給部68と、を有している。再生塔40において吸収液が再生される際に、リッチ液から二酸化炭素ガスが放出される。リッチ液から放出された二酸化炭素は、還流部45において洗浄させるが、還流部45において二酸化炭素吸収剤を完全に回収することは難しい。これにより、再生塔40から排出される二酸化炭素には、少量の二酸化炭素吸収剤が含まれている。二酸化炭素水洗部67は、洗浄水で二酸化炭素を水洗することで、二酸化炭素に残留した二酸化炭素吸収剤を除去する。
【0048】
二酸化炭素水洗塔62に導入された二酸化炭素は、上昇して二酸化炭素水洗部67へ導入される。二酸化炭素水洗部67には、第3洗浄水供給部68によって、洗浄水が上方から供給される。二酸化炭素水洗部67において、洗浄水と二酸化炭素とが接触することにより、二酸化炭素が水洗される。二酸化炭素水洗部67から降下した洗浄水は、二酸化炭素水洗塔62の底部に貯留される。
【0049】
二酸化炭素水洗塔62の底部には、洗浄水排出ラインL26が接続されている。二酸化炭素水洗塔62に貯留されている洗浄水は、洗浄水排出ラインL26を介して二酸化炭素水洗塔62の底部から抜き出され、洗浄水排出ラインL26に設けられたポンプ(図示省略)によって、供給ラインL4に供給される。
【0050】
一方、二酸化炭素水洗部67で水洗された二酸化炭素は、二酸化炭素水洗塔62の頂部から排出される。二酸化炭素水洗塔62から排出された二酸化炭素は、第3二酸化炭素ラインL20を介して、圧縮機63へ導入される。圧縮機63では、導入された二酸化炭素を圧縮する。圧縮機63で圧縮された二酸化炭素は、第4二酸化炭素ラインL21を介して、二酸化炭素冷却装置64へ導入される。二酸化炭素冷却装置64では、二酸化炭素と冷却媒体とを熱交換させることで二酸化炭素を冷却する。冷却された二酸化炭素は、第5二酸化炭素ラインL22を介して、ドラム65へ導入される。ドラム65では、二酸化炭素と凝縮水とを分離する。ドラム65で分離された凝縮水は、ドラム65の底部に接続された凝縮水排出ラインL24を介して、外部へ排出される。また、ドラム65で分離された二酸化炭素は、ドラム65の頂部に接続された第6二酸化炭素ラインL23を介して、外部へ放出される。
【0051】
次に、供給ラインL4及び排出ラインL5について詳細に説明する。
供給ラインL4は、循環水を吸収塔20の第2水洗部32へ導いている。供給ラインL4の上流端は、第1循環ラインL2に接続されている。詳細には、供給ラインL4の上流端は、第1循環ラインL2のうち、循環水ポンプ14の下流側であって、循環水冷却装置15の上流側に接続されている。なお、供給ラインL4の上流端は、第1循環ラインL2のうち、循環水冷却装置15の下流側に接続されていてもよい。また、供給ラインL4の下流端は、第3循環ラインL8に接続されている。
【0052】
供給ラインL4の途中位置には、洗浄水供給ライン(洗浄水流路)L25の上流端が接続されている。洗浄水供給ラインL25は、供給ラインL4を流通する循環水の一部または全部を、二酸化炭素水洗塔62の第3洗浄水供給部68に供給している。また、供給ラインL4には、洗浄水排出ラインL26の下流端が接続されている。詳細には、洗浄水排出ラインL26の下流端は、供給ラインL4のうち、供給ラインL4と洗浄水供給ラインL25との接続位置よりも下流側に接続されている。また、洗浄水排出ラインL26は、二酸化炭素水洗塔62の底部に貯留する洗浄水を、供給ラインL4へ導いている。なお、供給ラインL4にリクレーマライン(リクレーマ流路)L27の上流端が接続されていてもよい。リクレーマラインL27の下流端は、第2還流水ラインL16に接続されている。リクレーマラインL27は、供給ラインL4を流通する循環水の一部または全部を、第2還流水ラインL16を介して、リクレーマ50に供給している。また、洗浄水供給ラインL25及び洗浄水排出ラインL26は、省略してもよい。
【0053】
なお、図1の破線で示すように、供給ラインL4に不純物除去部(捕集部)17を設けてもよい。不純物除去部17は、供給ラインL4のうち、供給ラインL4と洗浄水供給ラインL25との接続位置よりも上流側に設けられている。不純物除去部17は、循環水に含まれる不純物(例えば、二酸化硫黄(SO)や、二酸化窒素(NO)や、煤塵等)を捕集する。不純物除去部17は、例えば、イオン成分を除去するイオン交換樹脂であってもよい。また、不純物除去部17は、例えば、浮遊物質(SS:Suspended Solids)を除去するフィルタであってもよい。また、不純物除去部17は、例えば、RO膜であってもよく、活性炭フィルタであってもよい。
【0054】
排出ラインL5は、循環水を系外へ導いている。系外とは、二酸化炭素回収装置1において、排ガス冷却塔10、吸収塔20及び再生塔40における主たる流れの外を意味する。また、主たる流れとは、排ガス冷却塔10、吸収塔20及び再生塔40が機能を発揮するために、各塔の間で行われる流体(排ガス、循環水、吸収液等)の受け渡しの流れであってもよい。
【0055】
排出ラインL5の上流端は、第1循環ラインL2に接続されている。詳細には、排出ラインL5の上流端は、第1循環ラインL2のうち、循環水ポンプ14の下流側であって、循環水冷却装置15の上流側に接続されている。なお、排出ラインL5の上流端は、第1循環ラインL2のうち、循環水冷却装置15の下流側に接続されていてもよい。
また、系外へ排出される排出ラインL5の下流端は、冷却媒体(例えば、冷却水)を製造する冷却塔80への補給水として冷却塔システムに接続してもよい。詳細には、図2に示すように、排出ラインL5の下流端は、冷却塔80へ補給水を供給する補給水ラインL30の途中位置に接続されていてもよい。すなわち、排出ラインL5を介して系外へ排出された循環水は、冷却塔80へ導かれ、冷却塔で補給水として利用される。
【0056】
冷却塔80は、熱交換部81と、熱交換部81へ冷却媒体を供給する冷却媒体供給部82と、冷却塔80内への外気の導入及び排出を行うファン83と、を備えている。冷却塔80は、二酸化炭素回収装置100内を流通する流体(例えば、循環水や吸収液や二酸化炭素等)を冷却するための冷却媒体を冷却する。具体的には、冷却塔80は、二酸化炭素回収装置100に設けられた各種冷却装置(循環水冷却装置15や吸収液冷却装置25や二酸化炭素冷却装置64等)で使用される冷却媒体と、他の冷却用の流体(例えば、外気)とを熱交換部81で熱交換することで、冷却媒体を冷却している。熱交換部81へは、熱交換部81の上方に設けられた冷却媒体供給部82から冷却媒体が供給される。また、冷却塔80の下部には、熱交換部81で熱交換を終えた冷却媒体が貯留している。なお、図2では、二酸化炭素回収装置100に設けられた各種冷却装置(循環水冷却装置15や吸収液冷却装置25や二酸化炭素冷却装置64等)をまとめて、冷却装置として図示している。
【0057】
冷却塔80は、冷却装置(循環水冷却装置15や吸収液冷却装置25や二酸化炭素冷却装置64等)との間で、冷却媒体を循環させている。冷却塔80から冷却装置へ冷却媒体を導く第1冷却媒体ラインL31と、冷却装置から冷却塔80へ冷却媒体を導く第2冷却媒体ラインL32と、の間で冷却媒体を循環させている。第1冷却媒体ラインL31は、冷却塔80に貯留されている冷却媒体を冷却装置へ導く。第2冷却媒体ラインL32は、冷却装置からの冷却媒体を冷却媒体供給部82へ導く。循環する冷却媒体は、各冷却装置で流体と熱交換することで加熱される。また、循環する冷却媒体は、冷却塔80で他の冷却用の流体と熱交換することで冷却される。第1冷却媒体ラインL31には、冷却媒体を循環させる駆動源となる冷却媒体ポンプ85が設けられている。
【0058】
冷却塔80では、冷却媒体の冷却に伴って、冷却媒体が減少する。したがって、冷却媒体を補うために、冷却塔には、補給水ラインL30を介して、補給水が供給される。排出ラインL5を流通する循環水は、補給水の一部として冷却塔80へ供給される。
【0059】
また、図1に示すように、排出ラインL5には、排出ラインL5の内部を流通する循環水の流量を計測する流量計10bが設けられている。また、排出ラインL5には、開閉弁10aが設けられている。開閉弁10aは、開状態と閉状態とを切り換えることで、排出ラインL5を循環水が流通する状態と、排出ラインL5を循環水が流通しない状態とを切り換える。なお、開閉弁10aの代わりに、流量調整弁を設けてもよい。流量調整弁は、開度を調整することで、内部を流通する循環水の流量を調整する。流量調整弁の開度には、開度100%(全開状態)及び開度0%(全閉状態)が含まれる。
【0060】
また、二酸化炭素回収装置1は、制御装置を備えている。制御装置は、温度計20b、流量計10b及びレベル計20aからの送信される情報を受信する。また、制御装置は、開閉弁10aの開度、第1水洗部26の第2循環ラインL7に設置される洗浄水冷却装置31のキャパシティの増減を制御する。第2循環ラインL7に設置される洗浄水冷却装置31のキャパシティを調整する方法は、特に限定されない。第2循環ラインL7に設置される洗浄水冷却装置31を調整する方法としては、例えば、プロセス側をバイパスする方法や、第2循環ラインL7に設置される洗浄水冷却装置31に供給する洗浄水の供給量を調整する方法等が挙げられる。また、制御装置は、吸収塔20の底部に貯留される吸収液の液面の高さが所定の高さとなるように、吸収塔20の底部に貯留される吸収液の量を制御している。
【0061】
制御装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0062】
次に、制御装置が行う処理について説明する。
制御装置は、系内(排ガス冷却塔10、吸収塔20及び再生塔40における主たる流れの中)の水分量を所定の範囲内に保ち(以下、系内の水分量を所定の範囲内とすることを「水バランスを保つ」と称する。)、吸収液の濃度を所定の範囲に保つ処理を行う。
【0063】
制御装置は、レベル計20aからの送信される情報に基づいて、水バランスが保たれているか否かを判断する。詳細には、制御装置は、吸収塔20の底部に貯留される吸収液の液面の高さが所定の範囲内の場合には、水バランスが保たれていると判断する。また、制御装置は、吸収塔20の底部に貯留される吸収液の液面の高さが所定の範囲外の場合には、水バランスが保たれていないと判断する。特に、制御装置は、吸収液の液面の高さが所定の範囲よりも高い場合には、系内の水分量が所定の範囲よりも多いと判断する。系内の水分量が所定の範囲よりも多いと判断すると、制御装置は、温度計20bが計測する温度が所定の温度となるように、第1水洗部26のキャパシティを低減させる。すなわち、第1水洗部26を通過する排ガスの温度を上昇させる。また、第1水洗部26のキャパシティを低減させても、水バランスが保たれていない場合(すなわち、吸収液の液面の高さが所定の範囲よりも高い場合)には、制御装置は、流量調整弁を開状態とする。
なお、上記説明の制御方法は一例であって、制御装置が行う処理はこれに限定されない。
【0064】
次に、本実施形態の二酸化炭素回収装置1における系内の水分量について説明する。以下の説明では、排ガス導入ラインL1から排ガス冷却塔10へ導入される排ガスが含む水分量をW1と称する。また、排ガス冷却塔10から排出されて排ガスラインL3を介して吸収塔20へ導入される排ガスが含む水分量をW2と称する。また、供給ラインL4を介して、吸収塔20の第2水洗部32へ供給される循環水の量をW3と称する。また、排ガス排出ラインL9を介して吸収塔20から排出される排ガスが含む水分量をW4と称する。また、吸収塔20の二酸化炭素吸収部21から排出され、第1水洗部26へ導入される前の排ガスが含む水分量をW5と称する。また、排出ラインL5を介して、系外へ排出される循環水の量をW6と称する。
【0065】
本実施形態の二酸化炭素回収装置1は、排出ラインL5を介して循環水を系外に排出していない状態(すなわち、W6=0の状態)であって、かつ、水バランスが保たれている状態では、以下の式(1)が成立する。
【0066】
W1=W2+W3=W4・・・(1)
【0067】
なお、厳密には、再生塔40から排出される二酸化炭素にも微量の水分が随伴するために、W4は、W1及びW2+W3よりも少なくなるが、ここでは説明を簡略化するために、上記式(1)が成立するとして説明する。
【0068】
排ガスを排出する装置の状態等に応じてW1は変化する。本実施形態では、常に排ガス冷却塔10の気液接触部12で凝縮した凝縮水と同量の循環水を供給ラインL4を介して第2水洗部32へ供給するのではなく、以下の式(2)が常に成立するように、必要に応じて排出ラインL5を介して循環水の一部を系外へ排出する。換言すれば、以下の式(2)が常に成立するように、W6を調整している。
【0069】
W5>W4・・・(2)
【0070】
また、本実施形態では、これに伴って、排ガス冷却塔10から排出されて排ガスラインL3を介して吸収塔20へ導入される排ガスの温度が略40℃程度とされ、吸収塔20の二酸化炭素吸収部21から排出され、第1水洗部26へ導入される前の排ガスの温度が略50℃程度とされ、排ガス排出ラインL9を介して吸収塔20から排出される排ガスの温度が略45℃程度とされている。
【0071】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
二酸化炭素回収装置1では、系内の水分量によって、系内の吸収液の濃度が変化する。二酸化炭素回収装置1は、二酸化炭素吸収部21において二酸化炭素を好適に吸収するために、系内の水バランスを保ち、吸収液の濃度を所定の範囲に保つ必要がある。
本実施形態では、循環水を系外へ排出する排出ラインL5が設けられている。これにより、例えば、供給ラインL4を介して水洗部22へ循環水を導くだけでは水バランスを保てない場合であっても、排出ラインL5から循環水の一部を系外へ排出することで、系内の水バランスを保つことができる。したがって、吸収液の濃度を所定の範囲に保ち、二酸化炭素吸収部21において好適に二酸化炭素を吸収することができる。すなわち、本実施形態では、W1が多い場合であっても、W6を調整することで、系内の水分量を調整することができる。したがって、系内の水バランスを好適に保つことができる。
【0072】
また、本実施形態では、排出ラインL5を設けるだけで、系内の水バランスを保つことができる。これにより、例えば、供給ラインL4を介して二酸化炭素吸収部21へ供給された凝縮水を加熱により蒸発させることで系内の水バランスを保つ場合と比較して、二酸化炭素回収装置1の構造を簡素な構造とすることができる。したがって、二酸化炭素回収装置1全体のイニシャルコスト及びランニングコストの増大を抑制することができる。
【0073】
また、本実施形態では、系外へ排出した循環水を、冷却塔で、循環水を冷却する冷却媒体の冷却に利用している。これにより、系外へ排出した循環水を利用せずに破棄する場合と比較して、二酸化炭素排出装置全体における水の使用量を低減することができる。
【0074】
排ガス中に含まれる水分が凝縮した凝縮水は、排ガスに含まれる不純物(例えば、二酸化硫黄(SO)や、二酸化窒素(NO)や、煤塵等)が混入している。よって、凝縮水が含んでいる循環水には、不純物が混入している。本実施形態において、図1の破線で示すように、供給ラインL4に不純物除去部17を設けた場合には、供給ラインL4を流通する循環水に混入している不純物を捕集することができる。したがって、不純物を取り除いた循環水を第2水洗部32へ供給することができる。
【0075】
また、本実施形態では、供給ラインL4を流通する循環水を、洗浄水として二酸化炭素水洗部67へ供給している。循環水は、吸収液と接触していない。これにより、循環水は、二酸化炭素吸収剤の成分(例えば、アミン等)が含まれていない。したがって、二酸化炭素吸収剤の成分が含まれていない水(循環水)を、二酸化炭素水洗部67へ供給することができる。よって、二酸化炭素水洗部67において、好適に二酸化炭素を水洗することができる。
【0076】
また、本実施形態では、供給ラインL4を介して、循環水を第2水洗部32へ導くことで、吸収液の濃度の希釈化を抑制しつつ、吸収塔20へ導入される排ガスの温度(略40℃程度)よりも、排ガス排出ラインL9を介して吸収塔20から排出される排ガス(略45℃程度)の温度を高くしている。これにより、排ガスを冷却するために要する排ガス冷却水の量を低減することができる。
【0077】
[変形例1]
次に、本実施形態の変形例について図3を用いて説明する。
吸収塔は、上記説明の構造に限定されない。例えば、図3に示すように、第3循環ラインL8、第2チムニートレイ35及び第2洗浄水ポンプ36を省略してもよい。この場合には、供給ラインL4の下流端は、第2洗浄水供給部34に接続される。すなわち、第2洗浄水供給部34には、供給ラインL4を介して供給される循環水のみが供給される。また、この場合には、第1水洗部26と第2水洗部32との間には、デミスタは設けられていない。
【0078】
このように構成した場合には、第2排ガス水洗部33から落下した洗浄水(循環水)は、第1排ガス水洗部27を通過して、第1チムニートレイ29に貯留される。
【0079】
本実施形態では、循環水を第2排ガス水洗部33へ供給している。これにより、比較的多量の水を第2排ガス水洗部33へ供給することができる。したがって、第2排ガス水洗部33において、排ガス洗浄水を循環させることなく、排ガスを水洗することができる。よって、排ガス洗浄水を循環させる装置を備えていない構造であっても、排ガスを好適に水洗することができる。よって、排ガス洗浄水を循環させる装置を備える場合と比較して、構造を簡素化することができる。
【0080】
[変形例2]
なお、図4に示すように、第2チムニートレイ35は省略せずに、第3循環ラインL8及び第2洗浄水ポンプ36のみを省略してもよい。この場合には、第2チムニートレイ35に貯留した排ガス洗浄水を第1洗浄水供給部28へ導く洗浄水ラインL28を設ける。
【0081】
このように構成した場合には、第2排ガス水洗部33から落下した洗浄水(循環水)は、第2チムニートレイ35に貯留される。第2チムニートレイ35に貯留された洗浄水は、洗浄水ラインL28を介して第1洗浄水供給部28へ供給され、第1洗浄水供給部28によって第1排ガス水洗部27へ供給される。
【0082】
このように構成した場合であっても、排ガス洗浄水を循環させる装置を備える場合と比較して、構造を簡素化することができる。
【0083】
[第2実施形態]
次に、本開示の第2実施形態に係る二酸化炭素回収装置100について、図5を用いて説明する。
本実施形態に係る二酸化炭素回収装置100は、吸収塔20において、第2水洗部32が設けられていない点で第1実施形態に係る二酸化炭素回収装置1と異なっている。その他の点は、第1実施形態と同様であるので、同一の構成については、同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0084】
本実施形態に係る吸収塔20の水洗部22は、図5に示すように、第1水洗部26のみを有している。また、本実施形態では、供給ラインL4の下流端は、第2循環ラインL7に接続されている。
【0085】
本実施形態に係る二酸化炭素回収装置100であっても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0086】
[第3実施形態]
次に、本開示の第3実施形態に係る二酸化炭素回収装置200について、図6を用いて説明する。
本実施形態に係る二酸化炭素回収装置200は、排ガス冷却塔10及び吸収塔20の代わりに、冷却吸収塔210を設けた点で第1実施形態に係る二酸化炭素回収装置1と異なっている。その他の点は、第1実施形態と同様であるので、同一の構成については、同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0087】
本実施形態に係る二酸化炭素回収装置200は、図6に示すように、冷却吸収塔210を備えている。冷却吸収塔210は、第1実施形態に係る排ガス冷却塔10及び吸収塔20を一体化させたものである。また、本実施形態に係る二酸化炭素回収装置200は、排ガス冷却塔10及び吸収塔20を一体化したことで、排ガス冷却塔10と吸収塔20とを接続する排ガスラインL3が省略されている。
【0088】
冷却吸収塔210は、外殻211と、外殻211の内部に収容される排ガス冷却部212及び吸収部213と、を備えている。吸収部213は、排ガス冷却部212の上方に設けられている。冷却吸収塔210では、下部から導入された排ガスが、まず排ガス冷却部212で冷却される。排ガス冷却部212で冷却された排ガスは、外殻内を上方へ向かい吸収部213へ導入される。吸収部213へ導入された排ガスは、二酸化炭素を吸収され、冷却吸収塔210の頂部から排出される。
【0089】
本実施形態に係る吸収部213は、第1実施形態の吸収塔20に設けられる二酸化炭素吸収部21及び水洗部22等と同様の構造を有している。したがって、第1実施形態の二酸化炭素吸収部21及び水洗部22等と同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0090】
また、本実施形態に係る吸収部213は、二酸化炭素吸収部21の下方に、第4チムニートレイ214を有している。第4チムニートレイ214には、二酸化炭素吸収部21から落下した吸収液が貯留する。第4チムニートレイ214に貯留された吸収液(リッチ液)は、リッチ液ラインL10を介して、再生塔40へ導かれる。
【0091】
また、本実施形態に係る冷却部212は、第1実施形態の排ガス冷却塔10に設けられる気液接触部12及び冷却水供給部13等と同様の構造を有している。したがって、第1実施形態の気液接触部12及び冷却水供給部13等と同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0092】
本実施形態に係る第1循環ラインL2は、冷却吸収塔210の底部に貯留する排ガス冷却水(凝縮水を含む)を冷却水供給部13へ導いている。
また、本実施形態においても、冷却吸収塔210に、第1循環ラインL2を循環する循環水を第3循環ラインL8へ導く供給ラインL4が備えられている。また、第1循環ラインL2を循環する循環水を系外である循環水冷却装置15へ導く排出ラインL5が備えられている。
【0093】
本実施形態によれば、以下の作用効果奏する。
本実施形態では、1つの外殻211の内部に、排ガス冷却部212と排ガス冷却部212の上方に位置する吸収部213とを収容している。これにより、1つの外殻211の内部で、排ガス冷却部212にて排ガスを処理した後、該排ガスを上昇させて吸収部213にて処理することができる。したがって、排ガス冷却部212と吸収部213の両方の機能を1つの外殻211に収めることができる。よって、例えば、排ガス冷却部212と吸収部213とを別々の外殻に収容する場合に比べて、外殻自体や、外殻同士を接続する接続ダクト等の設置スペースを削減することができるため、設備の設置面積を低減することができる。また、上述の接続ダクトやその支持部材が不要となるので、材料費や製作費等のコストを削減することができる。
【0094】
また、本実施形態では、吸収部213が排ガス冷却部212の上方に設けられている。これにより、吸収部213で用いられた吸収液の一部が落下することで、冷却部212で用いられる循環水に混入する場合がある。吸収液が混入した循環水を二酸化炭素回収装置200の外部へ排出する場合には、循環水から吸収液を取り除く等の処理が必要である。このため、排出処理が煩雑となる。本実施形態では、供給ラインL4によって、循環水を吸収部213(第2排ガス水洗部33)へ導いている。これにより、吸収液が混入した循環水を再度吸収部213で利用することができる。したがって、二酸化炭素回収装置200の外部へ排出する循環水の量を低減することができる。よって、排出処理の煩雑化を抑制することができる。
【0095】
なお、本開示は上記各実施形態の構成のみに限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更や改良を加えることができ、このように変更や改良を加えた実施形態も本開示の権利範囲に含まれるものとする。
例えば、上記各実施形態では、供給ラインL4及び排出ラインL5の上流端が、第1循環ラインL2に接続されている例について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、供給ラインL4及び排出ラインL5の上流端は、排ガス冷却塔10または冷却吸収塔210の底部に接続されていてもよい。
【0096】
また、例えば、二酸化炭素回収装置1で処理する排ガスが、石炭焚き発電所から排出される排ガスのように、二酸化硫黄を多く含む場合には、排ガス冷却塔10の外殻内に、排ガス冷却塔10に導入される排ガスを脱硫する脱硫装置(図示省略)を設けてもよい。脱硫装置は、気液接触部12の下方に設けられる。この場合には、脱硫装置で凝縮した凝縮水を排出ラインL5で系外へ排出し、気液接触部12で凝縮した凝縮水を供給ラインL4で第2水洗部32へ導いてもよい。このように構成することで、硫黄成分を多く含む凝縮水を、系外へ排出することができる。
【0097】
以上説明した各実施形態に記載の冷却装置は例えば以下のように把握される。
本開示の一態様に係る二酸化炭素回収装置は、排ガス冷却水を排ガスに接触させて前記排ガスを冷却する冷却部(10)と、前記排ガスを冷却した前記排ガス冷却水と、前記排ガスを冷却することで発生した凝縮水と、を前記冷却部へ戻す循環流路(L2)と、前記冷却部で冷却された前記排ガスと吸収液とを接触させて前記排ガスに含まれる二酸化炭素を前記吸収液に吸収させる二酸化炭素吸収部(21)と、前記二酸化炭素吸収部で二酸化炭素を吸収された前記排ガスと排ガス洗浄水とを接触させて前記排ガスを水洗する排ガス水洗部(32)と、を有する吸収部(20)と、前記吸収部で二酸化炭素を吸収した前記吸収液から二酸化炭素を取り除く再生部(30)と、前記冷却部及び前記循環流路を循環する循環水を、前記排ガス洗浄水として前記排ガス水洗部へ導く供給流路(L4)と、前記冷却部及び前記循環流路を循環する前記循環水を系外へ排出する排出流路(L5)と、を備えている。
【0098】
二酸化炭素回収装置は、吸収部において二酸化炭素を好適に吸収するために、系内(冷却部、吸収部及び再生部における流れの中)の水分量を所定の範囲内に保ち(以下、系内の水分量を所定の範囲内とすることを「水バランスを保つ」と称する。)、吸収液の濃度を所定の範囲に保つ必要がある。
上記構成では、冷却部及び循環流路を循環する循環水を系外へ排出する排出流路が設けられている。これにより、例えば、供給流路で排ガス水洗部へ循環水を導くだけでは水バランスを保てない場合であっても、排出流路から循環水の一部を系外へ排出することで、系内の水バランスを保つことができる。したがって、吸収液の濃度を所定の範囲に保ち、吸収部において好適に二酸化炭素を吸収することができる。
また、上記構成では、排出流路を設けるだけで、系内の水バランスを保つことができる。これにより、例えば、供給流路を介して吸収部へ供給された凝縮水を蒸発させる場合と比較して、二酸化炭素回収装置の構造を簡素な構造とすることができる。したがって、二酸化炭素回収装置全体のイニシャルコスト及びランニングコストの増大を抑制することができる。
なお、系外とは、二酸化炭素回収装置において、冷却部、吸収部及び再生部における主たる流れの外を意味する。また、主たる流れとは、冷却部、吸収部及び再生部が機能を発揮するために、各塔の間で行われる流体の受け渡しの流れを意味する。
【0099】
また、本開示の一態様に係る二酸化炭素回収装置は、流通する流体を冷却するための冷却媒体を冷却する冷却塔を備え、前記排出流路は、前記循環流路から排出された前記循環水を、前記冷却媒体を冷却する冷却水として前記冷却塔へ供給する。
【0100】
上記構成では、系外へ排出した循環水を冷却塔で冷却媒体の冷却に利用している。これにより、系外へ排出した循環水を利用せずに破棄する場合と比較して、二酸化炭素排出装置全体における水の使用量を低減することができる。
なお、冷却塔で冷却された冷却媒体は、例えば、循環水と冷却媒体とを熱交換させることで循環水を冷却する循環水冷却装置で利用されてもよい。また、再生部から排出された二酸化炭素と冷却媒体とを熱交換させることで二酸化炭素を冷却する二酸化炭素冷却装置で利用されてもよい。
【0101】
また、本開示の一態様に係る二酸化炭素回収装置は、前記供給流路には、前記供給流路を流通する前記循環水中の不純物を捕集する捕集部(17)が設けられている。
【0102】
排ガス中に含まれる水分が凝縮した凝縮水は、排ガスに含まれる不純物(例えば、二酸化硫黄(SO)や、二酸化窒素(NO)や、煤塵等)が混入している。よって、凝縮水が含んでいる循環水には、不純物が混入している。上記構成では、供給流路に捕集部が設けられている。これにより、供給流路を流通する循環水に混入している不純物を捕集することができる。したがって、不純物を取り除いた循環水を排ガス水洗部へ供給することができる。
【0103】
また、本開示の一態様に係る二酸化炭素回収装置は、前記再生部から排出された二酸化炭素を洗浄水で水洗する二酸化炭素水洗部(62)と、前記供給流路を流通する前記循環水を、前記洗浄水として前記二酸化炭素水洗部へ供給する洗浄水流路(L25)と、を備える。
【0104】
上記構成では、供給流路を流通する循環水を、洗浄水として二酸化炭素水洗部へ供給している。循環水は、吸収液と接触していない。これにより、循環水は、吸収液の成分(例えば、アミン等)が含まれていない。したがって、吸収液の成分が含まれていない水(循環水)を、二酸化炭素水洗部へ供給することができる。よって、二酸化炭素水洗部において、好適に二酸化炭素を水洗することができる。
なお、二酸化炭素水洗部で二酸化炭素を水洗した洗浄水の一部を供給流路へ戻し、排ガス水洗部へ供給してもよい。
【0105】
また、本開示の一態様に係る二酸化炭素回収装置は、前記吸収液の不純物を除去するリクレーマ(50)と、前記供給流路を流通する前記循環水を、前記リクレーマへ供給するリクレーマ流路(L27)と、を備える。
【0106】
上記構成では、供給流路を流通する循環水を、リクレーマへ供給している。循環水は、吸収液と接触していない。これにより、循環水は、吸収液の成分(例えば、アミン等)が含まれていない。したがって、吸収液の成分が含まれていない水(循環水)をリクレーマへ供給することができる。
【0107】
また、本開示の一態様に係る二酸化炭素回収装置は、前記排ガス水洗部は、前記供給流路から供給された前記循環水のみによって、前記排ガスを水洗し、前記排ガス水洗部には、前記排ガス洗浄水を循環させる装置を備えていない。
【0108】
上記構成では、循環水を排ガス水洗部へ供給している。これにより、比較的多量の水を排ガス水洗部へ供給することができる。したがって、排ガス水洗部において、排ガス洗浄水を循環させることなく、排ガスを水洗することができる。よって、排ガス洗浄水を循環させる装置を備えていない構造であっても、排ガスを好適に水洗することができる。よって、排ガス洗浄水を循環させる装置を備える場合と比較して、構造を簡素化することができる。
【0109】
また、本開示の一態様に係る二酸化炭素回収装置は、前記冷却部及び前記吸収部を収容する外殻(211)を備え、前記吸収部は、前記冷却部の上方に設けられている。
【0110】
上記構成では、1つの外殻の内部に、冷却部と冷却部の上方に位置する吸収部とを収容している。これにより、1つの外殻の内部で、冷却部にて排ガスを処理した後、該排ガスを上昇させて吸収部にて処理することができる。したがって、冷却部と吸収部の両方の機能を1つの外殻に収めることができる。よって、例えば、冷却部と吸収部とを別々の外殻に収容する場合に比べて、外殻自体や、外殻同士を接続する接続ダクト等の設置スペースを削減することができるため、設備の設置面積を低減することができる。また、上述の接続ダクトやその支持部材が不要となるので、材料費や製作費等のコストを削減することができる。
また、上記構成では、吸収部が冷却部の上方に設けられている。これにより、吸収部で用いられた吸収液の一部が落下することで、冷却部で用いられる循環水に混入する場合がある。吸収液が混入した循環水を二酸化炭素回収装置の外部へ排出する場合には、循環水から吸収液を取り除く等の処理が必要である。このため、排出処理が煩雑となる。上記構成では、供給流路によって、循環水を吸収部(排ガス水洗部)へ導いている。これにより、吸収液が混入した循環水を再度吸収部で利用することができる。したがって、二酸化炭素回収装置の外部へ排出する循環水の量を低減することができる。よって、排出処理の煩雑化を抑制することができる。
【符号の説明】
【0111】
1 :二酸化炭素回収装置
10 :排ガス冷却塔(排ガス冷却部)
10a :開閉弁
10b :流量計
11 :外殻
12 :気液接触部
13 :冷却水供給部
14 :循環水ポンプ
15 :循環水冷却装置
17 :不純物除去部(捕集部)
20 :吸収塔(吸収部)
20a :レベル計
20b :温度計
21 :二酸化炭素吸収部
22 :水洗部(排ガス水洗部)
23 :吸収液供給部
24 :吸収液ポンプ
25 :吸収液冷却装置
26 :第1水洗部
27 :第1排ガス水洗部
28 :第1洗浄水供給部
29 :第1チムニートレイ
30 :第1洗浄水ポンプ
31 :洗浄水冷却装置
32 :第2水洗部
33 :第2排ガス水洗部
34 :第2洗浄水供給部
35 :第2チムニートレイ
36 :第2洗浄水ポンプ
37 :外殻
38 :リッチ液ポンプ
39 :熱交換器
40 :再生塔(再生部)
41 :外殻
42 :気液接触部
43 :リッチ液供給部
44 :第3チムニートレイ
45 :還流部
46 :デミスタ
47 :再生加熱器
50 :リクレーマ
51 :貯留タンク
52 :加熱部
60 :二酸化炭素処理部
61 :コンデンサ
62 :二酸化炭素水洗塔
63 :圧縮機
64 :二酸化炭素冷却装置
65 :ドラム
66 :外殻
67 :二酸化炭素水洗部
68 :第3洗浄水供給部
69 :還流水ポンプ
100 :二酸化炭素回収装置
200 :二酸化炭素回収装置
210 :冷却吸収塔
211 :外殻
212 :冷却部
213 :吸収部
214 :第4チムニートレイ
L1 :排ガス導入ライン
L2 :第1循環ライン(循環流路)
L3 :排ガスライン
L4 :供給ライン(供給流路)
L5 :排出ライン(排出流路)
L6 :吸収液ライン
L7 :第2循環ライン
L8 :第3循環ライン
L9 :排ガス排出ライン
L10 :リッチ液ライン
L11 :リボイラライン
L12 :第1加熱媒体ライン
L13 :第1還流水ライン
L14 :第1二酸化炭素ライン
L15 :リクレーマ導入ライン
L16 :第2還流水ライン
L17 :第2加熱媒体ライン
L18 :リクレーマ排出ライン
L19 :劣化物排出ライン
L20 :第3二酸化炭素ライン
L21 :第4二酸化炭素ライン
L22 :第5二酸化炭素ライン
L23 :第6二酸化炭素ライン
L24 :凝縮水排出ライン
L25 :洗浄水供給ライン
L26 :洗浄水排出ライン
L27 :リクレーマライン
L28 :洗浄水ライン
L29 :第2二酸化炭素ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6