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特許7490759アルキレンオキシドの付加反応用触媒およびその使用
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  • 特許-アルキレンオキシドの付加反応用触媒およびその使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】アルキレンオキシドの付加反応用触媒およびその使用
(51)【国際特許分類】
   B01J 31/08 20060101AFI20240520BHJP
   C07D 317/36 20060101ALI20240520BHJP
   C07D 317/38 20060101ALI20240520BHJP
   C08F 212/08 20060101ALI20240520BHJP
   C08F 8/24 20060101ALI20240520BHJP
   C08F 8/30 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
B01J31/08 Z
C07D317/36
C07D317/38
C08F212/08
C08F8/24
C08F8/30
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022518953
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 CN2020117335
(87)【国際公開番号】W WO2021057835
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】201910905824.6
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】509128052
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司上海石油化工研究院
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI RESEARCH INSTITUTE OF PETROCHEMICAL TECHNOLOGY SINOPEC
【住所又は居所原語表記】NO.1658 PUDONG BEI ROAD,PUDONG NEW AREA,SHANGHAI 201208,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】兪峰萍
(72)【発明者】
【氏名】何文軍
(72)【発明者】
【氏名】金銘
【審査官】佐藤 慶明
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109569717(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103495437(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102336736(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109590029(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105503811(CN,A)
【文献】特開2010-207814(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105440007(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104324749(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0049352(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105330780(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107556481(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0128495(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
B01J 39/00 - 49/90
C07D 317/00 - 325/00
C08C 19/00 - 19/44
C08F 6/00 - 246/00
C08F 301/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
P-Im-Mの構造式を有しているナノコンポジットイオン交換樹脂を含む、アルキレンオキシドと二酸化炭素との付加反応用触媒:
ここで、Pは、ナノコンポジット樹脂マトリクスであり、
Im、少なくとも1つの窒素原子を含有している5~6員複素環に由来するカチオンであり、
は、アニオンであり、
前記ナノコンポジット樹脂マトリクスは、式Iで表される構造断片と、-CH(POSS)-CH -の構造断片と、を含み、
【化1】

式I中、R ~R は互いに同一であるか異なっており、水素およびC -C アルキルからそれぞれ独立して選択され;
POSSは多面体オリゴマーシルセスキオキサンであり、当該多面体オリゴマーシルセスキオキサンは(-SiO 1.5 の一般式を有し、mが6、8、10または12である。
【請求項2】
Im は、少なくとも1つの窒素原子を含有している5~6員複素環に由来するカチオンである、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
Im は、イミダゾリウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピペラジニウムカチオン、ピリミジニウムカチオン、ピラジニウムカチオン、ピリダジニウムカチオン、またはトリアジニウムカチオンである、請求項1に記載の触媒。
【請求項4】
式I中、R ~R は互いに同一であるか異なっており、水素、メチル、エチル、プロピル、およびブチルからそれぞれ独立して選択される、請求項1に記載の触媒。
【請求項5】
前記触媒は、以下の構造を含むことを特徴とする、先行する請求項1~4のいずれか1項に記載の触媒:
【化2】

ここで、R~Rは互いに同一であるか異なっており、水素およびC-Cアルキルからそれぞれ独立して選択され;
~Rは、水素、C-Cアルキル、およびCHIm-Mからそれぞれ独立して選択され、R~Rの少なくとも1つはCHIm-Mある
【請求項6】
~R は、水素およびCH Im -M からそれぞれ独立して選択され、R ~R の少なくとも1つはCH Im -M であることを特徴とする、請求項5に記載の触媒。
【請求項7】
前記Mは、ハロゲン化物イオンおよび有機酸ラジカルイオンのうちの1つ以上であり;
および/または、前記ナノコンポジット樹脂マトリクスP中のPOSSの質量含有量は、0.1~10%であることを特徴とする、先行する請求項1~6のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項8】
前記ハロゲン化物イオンは、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンのうちの1つ以上であり;
前記有機酸ラジカルイオンは、アセテート基、ホルメート基、およびビオキサレート基のうちの1つ以上である、請求項7に記載の触媒。
【請求項9】
前記ナノコンポジット樹脂マトリクスP中のPOSSの質量含有量は、0.2~5%であることを特徴とする、請求項7に記載の触媒。
【請求項10】
前記ナノコンポジット樹脂マトリクスP中のPOSSの質量含有量は、2~5%であることを特徴とする、請求項7に記載の触媒。
【請求項11】
以下のステップを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の触媒の調製方法:
S1:開始剤の存在下でスチレン系単量体、架橋剤、および多面体オリゴマーシルセスキオキサンを重合させて、ナノコンポジット樹脂マトリクスPを得る;
S2:ステップS1で得られた前記ナノコンポジット樹脂マトリクスPに、クロロメチル化反応、イミダゾール化反応、およびイオン交換反応を受けさせる。
【請求項12】
前記スチレン系単量体は、式IIによって表されるスチレン系単量体のうちの1つ以上であり、
【化3】

式II中、R~Rは互いに同一であるか異なっており、水素およびC-Cアルキルからそれぞれ独立して選択され;
および/または、前記多面体オリゴマーシルセスキオキサンは、ビニル含有シルセスキオキサン、水素含有ポリシルセスキオキサン、アルコキシ含有ポリシルセスキオキサン、およびエポキシ含有ポリシルセスキオキサンのうちの1つ以上であり;
および/または、前記架橋剤は、エチレングリコールビスメタクリレート、ジプロペニルベンゼン、ジビニルフェニルメタン、およびジビニルベンゼンのうちの1つ以上であり;
および/または、前記開始剤は、ベンゾイルペルオキシド、アゾジイソブチロニトリル、アゾジイソヘプチロニトリル、ラウロイルペルオキシド、およびクメンヒドロペルオキシドのうちの少なくとも1つであり、
および/または、ステップS1において、原料の総重量に基づいて、前記スチレン系単量体の質量は85~95%であり、前記架橋剤の質量は1~6%であり、前記多面体オリゴマーシルセスキオキサンの質量は0.1~10%であり、前記開始剤の質量は0.1~5%であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか1項に記載の触媒または請求項11若しくは12に記載の方法で調製された触媒の存在下で、アルキレンオキシドと二酸化炭素とを反応させることを含む、アルキレンオキシドと二酸化炭素との付加反応方法。
【請求項14】
前記アルキレンオキシドは、以下の一般式を有しており、
【化4】

ここで、R~R12は互いに同一であるか異なっており、水素、C-Cアルキル、およびC-C10アリールからそれぞれ独立して選択され;および/または、
前記アルキレンオキシドに対する触媒の質量比は、(0.001~1):1であることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
反応温度が60~180℃であり;
および/または、反応圧力が0.1~10.0MPaであり;
および/または、反応時間が1~8時間であることを特徴とする、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
アルキレンオキシドの付加反応における、請求項1~10のいずれか1項に記載の触媒または請求項11若しくは12に記載の方法で調製された触媒の使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、アルキレンオキシドの付加反応用触媒およびその使用、特にナノコンポジットイオン交換樹脂触媒に関する。
【0002】
〔背景技術〕
エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートなどのアルキレンカーボネートは、広範囲の用途を有する優れた溶媒およびファインケミカル中間体である。優れた高沸点溶媒および有機合成中間体として、エチレンカーボネートは、織物、印刷、ポリマー合成、および電気化学における溶媒として広く使用されている。また、化粧品および薬物の原料および対応するジオールの中間体として使用することもできる。近年、エチレンカーボネートは、リチウム電池電解質およびジメチルカーボネートの製造に使用されている。また、脂肪族ポリカーボネートおよびその種々の共重合体を生分解性材料として使用することは、その工業的製造に多くの注目を集めている。
【0003】
エチレンカーボネートの伝統的な製造方法は、ホスゲン法である。ホスゲンは高い毒性および深刻な汚染を有し、この方法は、長いプロセスフロー、低い収率、高いコストなどの欠点を有する。二酸化炭素とエチレンオキシドとを原料として使用し、対応する触媒の作用によりエチレンカーボネートを直接的に製造することは、グリーン環境保全の新しい方法である。このプロセスは温室効果ガスである二酸化炭素を直接使用して、二酸化炭素排出の問題を軽減することができる。
【0004】
二酸化炭素およびエポキシ化合物の付加反応に使用することができる現在公知の均一系触媒系には、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、遷移金属錯体、主族元素錯体およびアルカリ金属塩、イオン性液体、および超臨界二酸化炭素などの触媒系が含まれる。
【0005】
He Liangnianら(Green Chem., 2003, 5, 92-94)は、ホスホニウム塩触媒の一群を開発し、超臨界二酸化炭素中でRfRPI(Rf=R=C;Rf=R=C13;Rf=C13、R=Me;Rf=C17、R=Me;Pはリンであり、Iはヨウ素である)の触媒を用いてエチレンカーボネートを合成した。触媒は比較的長いフッ素鎖を含み、二酸化炭素への溶解度が比較的良好であるが、生成物への溶解度は比較的小さく、生成物分離に有益である。超臨界状態での触媒のin-situ再生および触媒のリサイクリング使用を実現した。エチレンカーボネートの収率は90%超に達したが、反応時間は長すぎた(24時間が必要であった)。
【0006】
Kimらは、ハロゲン化亜鉛と1-アルキル-3-メチル-イミダゾリウムハライドおよびホスフィン含有リガンドのような均一系触媒系の反応に対する効果を研究した(Angew. Chem. Int. Ed. 39 (2000) 4096-4098, Chem. Eur. J. 9 (2003) 678-686, J. Catal. 232 (2005) 80-84)。反応後、均一系触媒を生成物から分離する必要があり、蒸留による均一系触媒からの生成物の分離は、アルキレンカーボネートを著しく分解する可能性があった。
【0007】
均一系触媒系自体の特性は、均一な処理が、生成物分離の困難さ、大量の触媒および困難なリサイクル、ならびに環境汚染などの欠点を有することを決定する。均一系触媒と比較して、不均一系触媒は、生成物および触媒のその後の分離に有益であり、触媒は容易に再生され、何度も再使用され得る。不均一系触媒系の支持体としては、モレキュラーシーブ、シリカゲル、イオン交換樹脂、ポリエチレングリコール、ポリ(4-ビニルピリジン)、キトサンなどが一般的に用いられる。
【0008】
Xiaoら(Appl. Catal. A 279 (2005) 125-129)は、担持ハロゲン化亜鉛触媒を報告しており、支持体はポリ(4-ビニルピリジン)またはキトサンであった。この系では、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブロミドも助触媒として均一に使用しなければならず、触媒活性はリサイクル後に著しく低下した。Van KruchtenらはCN101511810Aにおいて、固体支持体上に担持されたハロゲン化亜鉛触媒を報告しており、ここで、支持体は第四級ホスホニウムまたは第四級アンモニウムイオン交換樹脂であり、触媒系の活性は、リサイクル後に急速に減少した。
【0009】
Lv Xiaobingらは、シリカゲルMCM-41上に担持されたサレン(Co)を触媒として用いたエチレンカーボネート固定床の連続法を研究した。助触媒としてn-ブチルアンモニウムブロミドを加えると、エチレンオキシドの転化率は85.6%に達した。
【0010】
不均一系触媒系は多くの利点を有するが、耐摩耗性、耐膨潤性、および触媒の活性をさらに改善する必要があることが分かる。高活性且つ分離が容易な触媒系を開発することが非常に重要である。
【0011】
〔発明の概要〕
従来技術に存在する問題を解決するために、本発明の第1の態様において、アルキレンオキシドの付加反応用触媒が提供され、当該触媒は、P-Im-Mの構造式を有しているナノコンポジットイオン交換樹脂を含み、ここで、Pがナノコンポジット樹脂マトリクスであり、Imがイミダゾリウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピペラジニウムカチオン、ピリミジニウムカチオン、ピラジニウムカチオン、ピリダジニウムカチオン、トリアジニウムカチオンなどの、少なくとも1つの窒素原子を含有している5~6員複素環に由来するカチオン(例えば、イミダゾリウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピリミジニウムカチオン、ピラジニウムカチオン、ピリダジニウムカチオン、トリアジニウムカチオンなどの、少なくとも1つの窒素原子を含有する5~6員ヘテロアレーンに由来するカチオン)であり、Mがアニオンである。本発明の触媒は、アルキレンオキシドと二酸化炭素との付加反応に用いることができる。この触媒は、耐摩耗性が高く、耐膨潤性が高く、且つ活性が高い。反応後の生成物は分離が容易であり、触媒は連続的に何度も使用することができる。
【0012】
本発明の第2の態様において、アルキレンオキシドと二酸化炭素との付加反応法が提供される。
【0013】
本発明の第1の態様によれば、触媒はP-Im-Mの構造式を有するナノコンポジットイオン交換樹脂を含み、Pはナノコンポジット樹脂マトリクスであり、Imはイミダゾリウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピペラジニウムカチオン、ピリミジニウムカチオン、ピラジニウムカチオン、ピリダジニウムカチオン、トリアジニウムカチオンなどの少なくとも1つの窒素原子を含有する5~6員複素環に由来するカチオン(例えば、イミダゾリウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピリミジニウムカチオン、ピラジニウムカチオン、ピリダジニウムカチオン、トリアジニウムカチオンなどの少なくとも1つの窒素原子を含有する5~6員ヘテロアレーンに由来するカチオン)であり、Mはアニオンである。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ナノコンポジット樹脂マトリクスは、式Iで表される構造断片と、-CH(POSS)-CH-の構造断片とを含む;
【化1】

式I中、R~Rは互いに同一であるか異なっており、水素およびC-Cアルキルからそれぞれ独立して選択され、好ましくは、水素、メチル、エチル、プロピル、およびブチルから選択され;
POSSは多面体オリゴマーシルセスキオキサンであり、当該多面体オリゴマーシルセスキオキサンは(-SiO1.5の一般式を有し、mが6、8、10または12である。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態によれば、触媒は以下の構造を含む:
【化2】

ここで、R~Rは互いに同一であるか異なっており、水素およびC-Cアルキルからそれぞれ独立して選択され;
~Rは、水素、C-Cアルキル、およびCHIm-Mからそれぞれ独立して選択され、R~Rの少なくとも1つはCHIm-Mであり、好ましくはR~Rは、水素およびCHIm-Mからそれぞれ独立して選択され、R~Rの少なくとも1つはCHIm-Mである。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態によれば、触媒は、-CH-(Ph-CH-Im-M)-CH-の構造断片を含む。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記Mは、ハロゲン化物イオンおよび有機酸ラジカルイオンのうちの1つ以上である。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記Mは、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、アセテート基、ホルメート基、およびビオキサレート基のうちの1つ以上である。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ナノコンポジット樹脂マトリクスP中のPOSSの質量含有量は0.1~10%であり、例えば、0.1%、0.2%、0.5%、1.0%、1.2%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.3%、4.5%、5.0%、5.5%、6.0%、7.0%、8.0%、9.1%、9.5%、10%およびその間の任意の値である。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ナノコンポジット樹脂マトリクスP中のPOSSの質量含有量は、0.2~5%である。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ナノコンポジット樹脂マトリクスP中のPOSSの質量含有量は2~5%である。
【0022】
本発明において、構造式P-Im-Mは、ImとMとで修飾されたナノコンポジット樹脂マトリクスPを表す。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ナノコンポジット樹脂マトリクスPの赤外スペクトルにおいて、1111cm-1における特徴的な吸収ピークは、シルセスキオキサン中のSi-O-Si骨格の伸縮振動吸収ピークに起因する。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態によれば、触媒を調製するための方法は、以下のステップを含む:
S1:開始剤の存在下でスチレン系単量体、架橋剤、および多面体オリゴマーシルセスキオキサンを重合させて、ナノコンポジット樹脂マトリクスPを得る;
S2:ステップS1で得られたナノコンポジット樹脂マトリクスPに、クロロメチル化反応、イミダゾール化反応、およびイオン交換反応を受けさせる。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ナノコンポジット樹脂マトリクスPは、スチレン系単量体、架橋剤、およびナノ材料のin-situ共重合によって得られるナノコンポジット共重合体である。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記ナノ材料は、ビニル含有シルセスキオキサン、水素含有ポリシルセスキオキサン、アルコキシ含有ポリシルセスキオキサン、およびエポキシ含有ポリシルセスキオキサンのうちの少なくとも1つである。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記スチレン系単量体は、式IIによって表されるスチレン系単量体のうちの1つ以上である;
【化3】

式II中、R~Rは互いに同一であるか異なっており、水素およびC-Cアルキルからそれぞれ独立して選択され、好ましくは、水素、メチル、エチル、プロピル、およびブチルから選択される。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記スチレン系単量体は、スチレン、α-メチルスチレン、または4-ブチルスチレンのうちの少なくとも1つであり、好ましくはスチレンである。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記多面体オリゴマーシルセスキオキサンは、ビニル含有シルセスキオキサン、水素含有ポリシルセスキオキサン、アルコキシ含有ポリシルセスキオキサン、およびエポキシ含有ポリシルセスキオキサンのうちの1つ以上である。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記ビニル含有シルセスキオキサンは、オクタビニルシルセスキオキサンである。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記架橋剤は、エチレングリコールビスメタクリレート、ジプロペニルベンゼン、ジビニルフェニルメタン、およびジビニルベンゼンのうちの1つ以上である。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記開始剤は、ベンゾイルペルオキシド、アゾジイソブチロニトリル、アゾジイソヘプチロニトリル、ラウロイルペルオキシド、およびクメンヒドロペルオキシドのうちの少なくとも1つである。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップS1において、原料の総重量に基づいて、スチレン系単量体の質量含有量は85~95%である。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップS1において、原料の総重量に基づいて、前記架橋剤の質量含有量は1~6%である。
【0035】
本発明のいくつかの実施態様によれば、ステップS1において、原料の総重量に基づいて、前記多面体オリゴマーシルセスキオキサンの質量含有量は0.1~10%であり、例えば、0.1%、0.2%、0.5%、1.0%、1.2%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.3%、4.5%、5.0%、5.5%、6.0%、7.0%、8.0%、9.1%、9.5%、10%およびその間の任意の値である。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップS1において、原料の総重量に基づいて、前記多面体オリゴマーシルセスキオキサンの質量含有量は0.2~5%である。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップS1において、原料の総重量に基づいて、前記多面体オリゴマーシルセスキオキサンの質量含有量は2~5%である。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップS1において、原料の総重量に基づいて、前記開始剤の質量含有量は、0.1~5%である。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態によれば、重量部に基づいて、スチレン系単量体の使用量は85~95部であり、架橋剤の使用量は2~5部であり、ナノ材料の使用量は0.1~10部であり、且つ開始剤の使用量は0.1~5部である。
【0040】
本発明のいくつかの好ましい実施において、触媒を調製するための方法は、以下のステップを含む:
a)助剤は0.5~3重量%の濃度を有する水溶液Aに配合され、且つスチレン系単量体、架橋剤、ナノ材料、および開始剤は溶液Bに配合され;
ここで、前記助剤は、ポリビニルアルコール、ゼラチン、スターチ、メチルセルロース、ベントナイト、および炭酸カルシウムのうちの少なくとも1つであり;
前記スチレン系単量体は、スチレン、α-メチルスチレンおよび4-ブチルスチレンのうちの少なくとも1つであり;
前記架橋剤は、エチレングリコールビスメタクリレート、ジプロペニルベンゼン、ジビニルフェニルメタン、およびジビニルベンゼンのうちの少なくとも1つであり;
前記ナノ材料は、ビニル含有シルセスキオキサン、水素含有ポリシルセスキオキサン、アルコキシ含有ポリシルセスキオキサン、およびエポキシ含有ポリシルセスキオキサンのうちの少なくとも1つであり;
前記開始剤は、ベンゾイルペルオキシド、アゾジイソブチロニトリル、アゾジイソヘプチロニトリル、ラウロイルペルオキシド、およびクメンヒドロペルオキシドのうちの少なくとも1つであり;
重量部に基づいて、スチレン系単量体の使用量は85~95部であり、架橋剤の使用量は2~5部であり、ナノ材料の使用量は0.1~10部であり、開始剤の使用量は0.1~5部であり;
助剤の使用量は前記単量体の使用量の150~400%である;
b)溶液Bと溶液Aとを合わせ、常温で1~3時間撹拌し、よく混合し;次に、60~75℃で0.5~5時間重合させ、70~90℃まで徐々に温めて5~15時間反応させ;次に、90~100℃まで温めて5~15時間反応させ;反応完了後に、反応混合物を抽出し、洗浄し、濾過し、乾燥させ、篩にかけて、0.35~0.60mmの範囲の粒径を有するコンポジットマイクロスフェアを得る;
c)コンポジットマイクロスフェアに、コンポジットマイクロスフェアの重量の200~500%に相当するクロロメチル化試薬と、コンポジットマイクロスフェアの重量の20~70%に相当する塩化亜鉛触媒と、を添加し、30~60℃で8~30時間反応させ、濾過および洗浄して、クロロメチル化コンポジットスフェアを得て;前記クロロメチル化試薬は、クロロメチルエーテル、クロロメチルエチルエーテル、および1,4-ジクロロメトキシブタンのうちの少なくとも1つである;
d)混合物中のクロロメチル化コンポジットスフェアとN-アルキルイミダゾールとを60~90℃で10~48時間反応させ、反応完了後に、濾過および洗浄してイミダゾール化コンポジットマイクロスフェアを得て;混合物中のクロロメチル化コンポジットスフェア、N-アルキルイミダゾール(例えばN-メチルイミダゾール)および溶媒(例えばアセトニトリルまたはN,N-ジメチルホルムアミド)は、1:(1~5):(10~50)とすることができる;
f)イミダゾール化コンポジットマイクロスフェアを塩溶液で洗浄し、洗浄完了後に、脱イオン水でpH=7に洗浄してイオン交換樹脂を得て、ここで、塩溶液に対するイミダゾール化コンポジットマイクロスフェアのモル比は(1:1)~(1:10)であり;塩溶液の濃度は0.1~1mol/Lであり;塩溶液は、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、アセテート基、ホルメート基、およびビオキサレート基のうちの少なくとも1つを含有する塩溶液である。
【0041】
本発明の第2の態様によれば、アルキレンオキシドと二酸化炭素との付加反応方法は、前記触媒の存在下、アルキレンオキシドと二酸化炭素とを反応させることを含む。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態によれば、アルキレンオキシドは、以下の一般式を有している:
【化4】

ここで、R~R12は互いに同一であるか異なっており、水素、C-Cアルキル、およびC-C10アリールからそれぞれ独立して選択され、好ましくは、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、およびフェニルから選択される。
【0043】
本発明のいくつかの実施態様によれば、前記アルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、およびスチレンオキシドから選択される。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態によれば、アルキレンオキシドに対する触媒の質量比は、(0.001~1):1、好ましくは(0.1~0.3):1である。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態によれば、反応温度は、60~180℃、例えば、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、170℃、180℃、およびその間の任意の値である。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態によれば、反応温度は100℃~160℃である。
【0047】
本発明のいくつかの実施態様によれば、反応圧力は、0.1~10.0MPaであり、例えば、0.1MPa、0.5MPa、1MPa、2MPa、3MPa、4MPa、5MPa、6MPa、7MPa、8MPa、9MPa、10MPaおよびその間の任意の値である。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態によれば、反応圧力は2~5MPaである。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記反応時間は、1~8時間、好ましくは3~6時間である。
【0050】
本発明のナノコンポジットイオン交換樹脂触媒は、アルキレンオキシドと二酸化炭素との付加反応に用いることができる。当該触媒は、耐摩耗性が高く、耐膨潤性が高く、且つ活性が高く、反応後の生成物が分離しやすく、触媒は連続して何度も使用することができる。
【0051】
〔図面の簡単な説明〕
図1:実施例1のイオン交換樹脂の赤外スペクトル。
【0052】
〔詳細な説明〕
以下、実施例を用いて本発明をさらに説明する。しかしながら、本発明の保護範囲はこれに限定されないが、添付の特許請求の範囲によって決定されることが指摘されるべきである。
【0053】
特に、本明細書の文脈において開示された2つ以上の態様(または実施形態)は互いに任意に組み合わせることができ、それによって形成された技術的解決策は本明細書の本来の開示の一部に属し、また、本発明の保護範囲内にあることに留意されたい。
【0054】
原料:
スチレン:分析的に純粋であり、Sinopharmから購入し、重合抑制剤を除去した後に使用した;
ジビニルベンゼン:分析的に純粋であり、Sinopharmから購入し、重合抑制剤を除去した後に使用した;
オクタビニルシルセスキオキサン:分析的に純粋であり、Sinopharmから購入し、直接使用した;
ベンゾイルペルオキシド:分析的に純粋であり、Sinopharmから購入し、再結晶後に使用した;
ポリビニルアルコール\ゼラチン:分析的に純粋であり、Sinopharmから購入し、直接使用した;
クロロメチルエーテル\クロロメチルエチルエーテル\1,4-ジクロロメトキシブタン:分析的に純粋であり、Sinopharmから購入し、直接使用した;
1-メチルイミダゾール\1-ブチルイミダゾール\イミダゾール:分析的に純粋であり、Sinopharmから購入し、直接使用した;
アセトニトリル:分析的に純粋であり、Sinopharmから購入し、直接使用した;
本実施例において使用した他の言及されていない試薬は市販されており、分析的に純粋であり、Sinopharmから購入し、そして直接使用した。
【0055】
[実施例1]イオン交換樹脂の調製
500mLの三つ口フラスコに、スチレン65.0g、ジビニルベンゼン1.0g、オクタビニルシルセスキオキサン3.0g、およびベンゾイルペルオキシド1.0gを加え、スターラーを始動させ、混合物を0.5時間攪拌し;脱イオン水200mLおよびポリビニルアルコール4gの混合溶液を加え、混合物を2時間攪拌した。次に混合物を75℃まで徐々に温めて5時間反応させ、次に90℃まで温めて10時間反応させ、最後に100℃まで温めて10時間反応させた。反応完了後に、上澄み液を注ぎ出し、85℃の温水で洗浄し、次に冷水で洗浄し、次に濾過し、オーブンに入れ、80℃で乾燥させ、篩にかけて、0.35~0.60mmの範囲の粒径を有するコンポジットマイクロスフェアA1を回収した。
【0056】
コンポジットマイクロスフェアのクロロメチル化:500mLの三つ口フラスコに、40gのコンポジットマイクロスフェアA1および250mLのクロロメチルエーテルを加え;室温で3時間放置した後に、撹拌を開始し;触媒として塩化亜鉛10gを加え;混合物を60℃まで温めて10時間反応させ、次にクロロメチル化の完了後に、室温に冷却し;塩素化母液を濾過し、メタノールで繰り返し洗浄し、100℃で8時間乾燥させて、クロロメチル化コンポジットスフェアA1を得た。
【0057】
イミダゾール化:500mLの三つ口フラスコに、30gのクロロメチル化コンポジットスフェアA1(塩素含有量3.4mmol Cl/gを有する)、1-メチルイミダゾール(102.0mmol)、および200mLのアセトニトリルを加え;混合物を60℃で24時間反応させ、室温に冷却し、濾過し、酢酸エチル、0.1mol/L HCl、脱イオン水、およびメタノールで連続的に洗浄し、次いで、真空下で60℃で12時間乾燥させて、イミダゾール化コンポジットマイクロスフェアA1を得た。
【0058】
イオン交換:1000mLの三つ口フラスコに、イミダゾール化コンポジットマイクロスフェアA1を30g、および0.1mol/Lの濃度のNaBr脱イオン水溶液を500mL加え;混合物を室温で撹拌してイオン交換反応を24時間行い、次に洗浄液のpHが7になるまで脱イオン水で洗浄し、真空下で乾燥させて、Cat-A1と表記され、且つ下記構造式を有するイオン交換樹脂触媒を得た:
【化5】
【0059】
[実施例2]イオン交換樹脂の調製
500mLの三つ口フラスコに、開始剤を含む単量体混合溶液(スチレン60.0g、ジビニルベンゼン1.0g、オクタビニルシルセスキオキサン1.6g、およびベンゾイルペルオキシド1.0g、この溶液はまず、70℃で0.5時間撹拌しながら反応させた。)を加え、スターラーを始動させ、脱イオン水200mLおよびポリビニルアルコール4gの混合溶液を加え、混合物を85℃まで温めて3時間反応させ、次に90℃まで温めて9時間反応させ、最後に100℃まで温めて10時間反応させた。反応完了後に、上澄み液を注ぎ出し、85℃の温水で洗浄し、次に冷水で洗浄し、次に濾過し、オーブンに入れ、80℃で乾燥させ、篩にかけて、0.35~0.60mmの範囲の粒径を有するコンポジットマイクロスフェアB1を回収した。
【0060】
コンポジットマイクロスフェアのクロロメチル化:500mLの三つ口フラスコに、50gのコンポジットマイクロスフェアB1および200mLのクロロエチルエーテルを加え;室温で6時間放置した後に、触媒として塩化亜鉛30gを加え、撹拌を開始し;混合物を50℃まで温めて30時間反応させ、次にクロロメチル化の完了後に、室温に冷却し;塩素化母液を濾過し、メタノールで繰り返し洗浄し、100℃で8時間乾燥させて、クロロメチル化コンポジットスフェアB1を得た。
【0061】
イミダゾール化:500mLの三つ口フラスコに、50gのクロロメチル化コンポジットスフェアB1(塩素含有量4.6mmol Cl/gを有する)、1-メチルイミダゾール(230.0mmol)、および300mLのアセトニトリルを加え;混合物を80℃で16時間反応させ、室温に冷却し、濾過し、酢酸エチル、0.1mol/L HCl、脱イオン水、およびメタノールで連続的に洗浄し、次いで、真空下で60℃で12時間乾燥させて、イミダゾール化コンポジットマイクロスフェアB1を得た。
【0062】
イオン交換:1000mLの三つ口フラスコに、イミダゾール化コンポジットマイクロスフェアB1を40g、および0.1mol/Lの濃度のNaBr脱イオン水溶液を400mL加え;混合物を室温で撹拌してイオン交換反応を12時間行い、次に洗浄液のpHが7になるまで脱イオン水で洗浄し、真空下で乾燥させて、Cat-B1と表記され、且つ下記構造式を有するイオン交換樹脂触媒を得た:
【化6】
【0063】
[実施例3]イオン交換樹脂の調製
500mLの三つ口フラスコに、開始剤を含む単量体混合溶液(スチレン42.5g、ジビニルベンゼン2.5g、オクタビニルシルセスキオキサン0.1g、およびベンゾイルペルオキシド2.0g、この溶液はまず、70℃で1.5時間撹拌しながら反応させた。)を加え、脱イオン水200mLおよびポリビニルアルコール4gの混合溶液を加え、混合物を85℃まで温めて3時間反応させ、次に90℃まで温めて9時間反応させ、最後に100℃まで温めて10時間反応させた。反応完了後に、上澄み液を注ぎ出し、85℃の温水で洗浄し、次に冷水で洗浄し、次に濾過し、オーブンに入れ、80℃で乾燥させ、篩にかけて、0.35~0.60mmの範囲の粒径を有するコンポジットマイクロスフェアC1を回収した。
【0064】
コンポジットマイクロスフェアのクロロメチル化:250mLの三つ口フラスコに、20gのコンポジットマイクロスフェアC1および100mLの1,4-ジクロロメトキシブタンを加え;室温で6時間放置した後に、触媒として塩化亜鉛8gを加え、撹拌を開始し;混合物を30℃まで温めて12時間反応させ、次にクロロメチル化の完了後に、室温に冷却し;塩素化母液を濾過し、メタノールで繰り返し洗浄し、100℃で8時間乾燥させて、クロロメチル化コンポジットスフェアC1を得た。
【0065】
イミダゾール化:250mLの三つ口フラスコに、20gのクロロメチル化コンポジットスフェアC1(塩素含有量1.5mmol Cl/gを有する)、1-エチルイミダゾール(30.0mmol)、および150mLのアセトニトリルを加え;混合物を90℃で16時間反応させ、室温に冷却し、濾過し、酢酸エチル、0.1mol/L HCl、脱イオン水、およびメタノールで連続的に洗浄し、次いで、真空下で60℃で12時間乾燥させて、イミダゾール化コンポジットマイクロスフェアC1を得た。
【0066】
イオン交換:500mLの三つ口フラスコに、イミダゾール化コンポジットマイクロスフェアC1を20g、および0.5mol/Lの濃度のNaBr脱イオン水溶液を300mL加え;混合物を室温で撹拌してイオン交換反応を12時間行い、次に洗浄液のpHが7になるまで脱イオン水で洗浄し、真空下で乾燥させて、Cat-C1と表記され、且つ下記構造式を有するイオン交換樹脂触媒を得た:
【化7】
【0067】
[実施例4]イオン交換樹脂の調製
500mLの三つ口フラスコに、スチレン47.0g、ジビニルベンゼン2.3g、およびベンゾイルペルオキシド1.6g(開始剤として)を加え;混合物を60℃で2.0時間撹拌しながら反応させ;次に、オクタビニルシルセスキオキサン0.6gを加え、1時間撹拌を続けて予備重合を行った。2.0gのゼラチンを脱イオン水に溶解した溶液260mLを加えた。混合物を80℃まで徐々に温めて5時間反応させながら、撹拌速度を調節し;次いで90℃まで温めて5時間反応させ、最後に98℃まで温めて6時間反応させた。反応完了後に、上澄み液を注ぎ出し、85℃の温水で洗浄し、次に冷水で洗浄し、次に濾過し、オーブンに入れ、80℃で乾燥させ、篩にかけて、0.35~0.60mmの範囲の粒径を有するコンポジットマイクロスフェアA2を回収した。
【0068】
コンポジットマイクロスフェアのクロロメチル化:500mLの三つ口フラスコに、40gのコンポジットマイクロスフェアA2および250mLのクロロメチルエーテルを加え;室温で3時間放置した後に、撹拌を開始し;触媒として塩化亜鉛10gを加え;混合物を60℃まで温めて10時間反応させ、次にクロロメチル化の完了後に、室温に冷却し;塩素化母液を濾過し、メタノールで繰り返し洗浄し、100℃で8時間乾燥させて、クロロメチル化コンポジットスフェアA2を得た。
【0069】
イミダゾール化:500mLの三つ口フラスコに、30gのクロロメチル化コンポジットスフェアA2(塩素含有量3.6mmol Cl/gを有する)、1-メチルイミダゾール(108.0mmol)、および200mLのアセトニトリルを加え;混合物を60℃で24時間反応させ、室温に冷却し、濾過し、酢酸エチル、0.1mol/L HCl、脱イオン水、およびメタノールで連続的に洗浄し、次いで、真空下で60℃で12時間乾燥させて、イミダゾール化コンポジットマイクロスフェアA2を得た。
【0070】
イオン交換:1000mLの三つ口フラスコに、イミダゾール化コンポジットマイクロスフェアA2を30g、および0.1mol/Lの濃度のNaBr脱イオン水溶液を500mL加え;混合物を室温で撹拌してイオン交換反応を24時間行い、次に洗浄液のpHが7になるまで脱イオン水で洗浄し、真空下で乾燥させて、Cat-A2と表記され、且つ下記構造式を有するイオン交換樹脂触媒を得た:
【化8】
【0071】
[実施例5]イオン交換樹脂の調製
500mLの三つ口フラスコに、開始剤を含む単量体混合溶液(スチレン60.0g、ジビニルベンゼン1.0g、オクタビニルシルセスキオキサン1.6g、およびベンゾイルペルオキシド1.0g、この溶液はまず、70℃で0.5時間撹拌しながら反応させた。)を加え、スターラーを始動させ、脱イオン水200mLおよびポリビニルアルコール4gの混合溶液を加え、混合物を85℃まで温めて3時間反応させ、次に90℃まで温めて9時間反応させ、最後に100℃まで温めて10時間反応させた。反応完了後に、上澄み液を注ぎ出し、85℃の温水で洗浄し、次に冷水で洗浄し、次に濾過し、オーブンに入れ、80℃で乾燥させ、篩にかけて、0.35~0.60mmの範囲の粒径を有するコンポジットマイクロスフェアB2を回収した。
【0072】
コンポジットマイクロスフェアのクロロメチル化:500mLの三つ口フラスコに、50gのコンポジットマイクロスフェアB2および200mLのクロロメチルエチルエーテルを加え;室温で6時間放置した後に、触媒として塩化亜鉛30gを加え、撹拌を開始し;混合物を50℃まで温めて30時間反応させ、次にクロロメチル化の完了後に、室温に冷却し;塩素化母液を濾過し、メタノールで繰り返し洗浄し、100℃で8時間乾燥させて、クロロメチル化コンポジットスフェアB2を得た。
【0073】
イミダゾール化:500mLの三つ口フラスコに、50gのクロロメチル化コンポジットスフェアB2(塩素含量4.7mmol Cl/gを有する)、1-ブチルイミダゾール(235.0mmol)、および300mLのアセトニトリルを加え;混合物を80℃で16時間反応させ、室温に冷却し、濾過し、酢酸エチル、0.1mol/L HCl、脱イオン水、およびメタノールで連続的に洗浄し、次いで、真空下で60℃で12時間乾燥させて、イミダゾール化コンポジットマイクロスフェアB2を得た。
【0074】
イオン交換:1000mLの三つ口フラスコに、イミダゾール化コンポジットマイクロスフェアB2を40g、0.1mol/Lの濃度のNaBr脱イオン水溶液を400mL加え;混合物を室温で撹拌してイオン交換反応を12時間行い、次に洗浄液のpHが7になるまで脱イオン水で洗浄し、真空下で乾燥させて、Cat-B2と表記され、且つ下記構造式を有するイオン交換樹脂触媒を得た:
【化9】
【0075】
[実施例6]イオン交換樹脂の調製
500mLの三つ口フラスコに、開始剤を含む単量体混合溶液(スチレン42.5g、ジビニルベンゼン2.5g、オクタビニルシルセスキオキサン0.1g、およびベンゾイルペルオキシド2.0g、この溶液はまず、70℃で1.5時間撹拌しながら反応させた。)を加え、脱イオン水200mLおよびポリビニルアルコール4gの混合溶液を加え、混合物を85℃まで温めて3時間反応させ、次に90℃まで温めて9時間反応させ、最後に100℃まで温めて10時間反応させた。反応完了後に、上澄み液を注ぎ出し、85℃の温水で洗浄し、次に冷水で洗浄し、次に濾過し、オーブンに入れ、80℃で乾燥させ、篩にかけて、0.35~0.60mmの範囲の粒径を有するコンポジットマイクロスフェアC2を回収した。
【0076】
コンポジットマイクロスフェアのクロロメチル化:250mLの三つ口フラスコに、20gのコンポジットマイクロスフェアC2および100mLの1,4-ジクロロメトキシブタンを加え;室温で6時間放置した後に、触媒として塩化亜鉛8gを加え、撹拌を開始し;混合物を30℃まで温めて12時間反応させ、次にクロロメチル化の完了後に、室温に冷却し;塩素化母液を濾過し、メタノールで繰り返し洗浄し、100℃で8時間乾燥させて、クロロメチル化コンポジットスフェアC2を得た。
【0077】
イミダゾール化:250mLの三つ口フラスコに、20gのクロロメチル化コンポジットスフェアC2(塩素含量1.6mmol Cl/gを有する)、1-メチルイミダゾール(32.0mmol)、および150mLのアセトニトリルを加え;混合物を90℃で16時間反応させ、室温に冷却し、濾過し、酢酸エチル、0.1mol/L HCl、脱イオン水、およびメタノールで連続的に洗浄し、次いで、真空下で60℃で12時間乾燥させて、イミダゾール化コンポジットマイクロスフェアC2を得た。
【0078】
イオン交換:500mLの三つ口フラスコに、イミダゾール化コンポジットマイクロスフェアC2を20g、および0.5mol/Lの濃度のNaBr脱イオン水溶液を300mL加え;混合物を室温で撹拌してイオン交換反応を12時間行い、次に洗浄液のpHが7になるまで脱イオン水で洗浄し、真空下で乾燥させて、Cat-C2と表記され、且つ下記構造式を有するイオン交換樹脂触媒を得た:
【化10】
【0079】
[実施例7]イオン交換樹脂の調製
500mLの三つ口フラスコに、スチレン65.0g、ジビニルベンゼン1.0g、オクタビニルシルセスキオキサン0.07g、およびベンゾイルペルオキシド1.0gを加え、スターラーを始動させ、混合物を0.5時間攪拌し;脱イオン水200mLおよびポリビニルアルコール4gの混合溶液を加え、混合物を2時間攪拌した。次に混合物を75℃まで徐々に温めて5時間反応させ、次に90℃まで温めて10時間反応させ、最後に100℃まで温めて10時間反応させた。反応完了後に、上澄み液を注ぎ出し、85℃の温水で洗浄し、次に冷水で洗浄し、次に濾過し、オーブンに入れ、80℃で乾燥させ、篩にかけて、0.35~0.60mmの範囲の粒径を有するコンポジットマイクロスフェアA3を回収した。
【0080】
コンポジットマイクロスフェアのクロロメチル化:500mLの三つ口フラスコに、40gのコンポジットマイクロスフェアA3および250mLのクロロメチルエーテルを加え;室温で3時間放置した後に、撹拌を開始し;触媒として塩化亜鉛10gを加え;混合物を60℃まで温めて10時間反応させ、次にクロロメチル化の完了後に、室温に冷却し;塩素化母液を濾過し、メタノールで繰り返し洗浄し、100℃で8時間乾燥させて、クロロメチル化コンポジットスフェアA3を得た。
【0081】
イミダゾール化:500mLの三つ口フラスコに、30gのクロロメチル化コンポジットスフェアA3(塩素含量3.4mmol Cl/gを有する)、1-メチルイミダゾール(102.0mmol)、および200mLのアセトニトリルを加え;混合物を60℃で24時間反応させ、室温に冷却し、濾過し、酢酸エチル、0.1mol/L HCl、脱イオン水、およびメタノールで連続的に洗浄し、次いで、真空下で60℃で12時間乾燥させて、イミダゾール化コンポジットマイクロスフェアA3を得た。
【0082】
イオン交換:1000mLの三つ口フラスコに、イミダゾール化コンポジットマイクロスフェアA3を30g、および0.1mol/Lの濃度のNaBr脱イオン水溶液を500mL加え;混合物を室温で撹拌してイオン交換反応を24時間行い、次に洗浄液のpHが7になるまで脱イオン水で洗浄し、真空下で乾燥させて、Cat-A3と表記され、且つ下記構造式を有するイオン交換樹脂触媒を得た:
【化11】
【0083】
[実施例8]イオン交換樹脂の調製
500mLの三つ口フラスコに、スチレン65.0g、ジビニルベンゼン1.0g、オクタビニルシルセスキオキサン7.5gおよびベンゾイルペルオキシド1.0gを加え、スターラーを始動させ、混合物を0.5時間撹拌し;脱イオン水200mLおよびポリビニルアルコール4gの混合溶液を加え、混合物を2時間撹拌した。次に混合物を75℃まで徐々に温めて5時間反応させ、次に90℃まで温めて10時間反応させ、最後に100℃まで温めて10時間反応させた。反応完了後に、上澄み液を注ぎ出し、85℃の温水で洗浄し、次に冷水で洗浄し、次に濾過し、オーブンに入れ、80℃で乾燥させ、篩にかけて、0.35~0.60mmの範囲の粒径を有するコンポジットマイクロスフェアA5を回収した。
【0084】
コンポジットマイクロスフェアのクロロメチル化:500mLの三つ口フラスコに、40gのコンポジットマイクロスフェアA4および250mLのクロロメチルエーテルを加え;室温で3時間放置した後に、撹拌を開始し;触媒として塩化亜鉛10gを加え;混合物を60℃まで温めて10時間反応させ、次にクロロメチル化の完了後に、室温に冷却し;塩素化母液を濾過し、メタノールで繰り返し洗浄し、100℃で8時間乾燥させて、クロロメチル化コンポジットスフェアA4を得た。
【0085】
イミダゾール化:500mLの三つ口フラスコに、30gのクロロメチル化コンポジットスフェアA4(塩素含量3.4mmol Cl/gを有する)、1-メチルイミダゾール(102.0mmol)、および200mLのアセトニトリルを加え;混合物を60℃で24時間反応させ、室温に冷却し、濾過し、酢酸エチル、0.1mol/L HCl、脱イオン水、およびメタノールで連続的に洗浄し、次いで、真空下で60℃で12時間乾燥させて、イミダゾール化コンポジットマイクロスフェアA4を得た。
【0086】
イオン交換:1000mLの三つ口フラスコに、イミダゾール化コンポジットマイクロスフェアA4を30g、および0.1mol/Lの濃度のNaBr脱イオン水溶液を500mL加え;混合物を室温で撹拌してイオン交換反応を24時間行い、次に洗浄液のpHが7になるまで脱イオン水で洗浄し、真空下で乾燥させて、Cat-A4と表記され、且つ下記構造式を有するイオン交換樹脂触媒を得た:
【化12】
【0087】
[実施例9]イオン交換樹脂の調製
500mLの三つ口フラスコに、スチレン65.0g、ジビニルベンゼン1.0g、オクタビニルシルセスキオキサン11.8g、およびベンゾイルペルオキシド1.0gを加え、スターラーを始動させ、混合物を0.5時間攪拌し;脱イオン水200mLおよびポリビニルアルコール4gの混合溶液を加え、混合物を2時間攪拌した。次に混合物を75℃まで徐々に温めて5時間反応させ、次に90℃まで温めて10時間反応させ、最後に100℃まで温めて10時間反応させた。反応完了後に、上澄み液を注ぎ出し、85℃の温水で洗浄し、次に冷水で洗浄し、次に濾過し、オーブンに入れ、80℃で乾燥させ、篩にかけて、0.35~0.60mmの範囲の粒径を有するコンポジットマイクロスフェアA5を回収した。
【0088】
コンポジットマイクロスフェアのクロロメチル化:500mLの三つ口フラスコに、40gのコンポジットマイクロスフェアA5および250mLのクロロメチルエーテルを加え;室温で3時間放置した後に、撹拌を開始し;触媒として塩化亜鉛10gを加え;混合物を60℃まで温めて10時間反応させ、次にクロロメチル化の完了後に、室温に冷却し;塩素化母液を濾過し、メタノールで繰り返し洗浄し、100℃で8時間乾燥させて、クロロメチル化コンポジットスフェアA5を得た。
【0089】
イミダゾール化:500mLの三つ口フラスコに、30gのクロロメチル化コンポジットスフェアA5(塩素含量3.4mmol Cl/gを有する)、1-メチルイミダゾール(102.0mmol)、および200mLのアセトニトリルを加え;混合物を60℃で24時間反応させ、室温に冷却し、濾過し、酢酸エチル、0.1mol/L HCl、脱イオン水、およびメタノールで連続的に洗浄し、次いで、真空下で60℃で12時間乾燥させて、イミダゾール化コンポジットマイクロスフェアA5を得た。
【0090】
イオン交換:1000mLの三つ口フラスコに、イミダゾール化コンポジットマイクロスフェアA5を30g、および0.1mol/Lの濃度のNaBr脱イオン水溶液を500mL加え;混合物を室温で撹拌してイオン交換反応を24時間行い、次に洗浄液のpHが7になるまで脱イオン水で洗浄し、真空下で乾燥させて、Cat-A5と表記され、且つ下記構造式を有するイオン交換樹脂触媒を得た:
【化13】
【0091】
[比較例10]イオン交換樹脂の調製
500mLの三つ口フラスコに、スチレン65.0g、ジビニルベンゼン1.0g、およびベンゾイルペルオキシド1.0gを加え、スターラーを始動させ、混合物を0.5時間攪拌し;脱イオン水200mLおよびポリビニルアルコール4gの混合溶液を加え、混合物を2時間攪拌した。次に、混合物を75℃まで徐々に温めて5時間反応させ、次に90℃まで温めて10時間反応させ、最後に100℃まで温めて10時間反応させた。反応完了後に、上澄み液を注ぎ出し、85℃の温水で洗浄し、次に冷水で洗浄し、次に濾過し、オーブンに入れ、80℃で乾燥させ、篩にかけて、0.35~0.60mmの範囲の粒径を有するマイクロスフェアA6を回収した。
【0092】
マイクロスフェアのクロロメチル化:500mLの三つ口フラスコに、40gのマイクロスフェアA6および250mLのクロロメチルエーテルを加え;室温で3時間放置した後に、撹拌を開始し;触媒として塩化亜鉛10gを加え;混合物を60℃まで温めて10時間反応させ、次にクロロメチル化が完了した後に、室温まで冷却し;塩素化母液を濾過し、メタノールで繰り返し洗浄し、100℃で8時間乾燥させて、クロロメチル化スフェアA6を得た。
【0093】
イミダゾール化:500mLの三つ口フラスコに、30gのクロロメチル化スフェアA6(3.4mmol Cl/gの塩素含有量を有する)、1-メチルイミダゾール(102.0mmol)、および200mLのアセトニトリルを加え;混合物を60℃で24時間反応させ、室温に冷却し、濾過し、酢酸エチル、0.1mol/L HCl、脱イオン水、およびメタノールで連続的に洗浄し、次いで、真空下で60℃で12時間乾燥させて、イミダゾール化マイクロスフェアA6を得た。
【0094】
イオン交換:1000mLの三つ口フラスコに、イミダゾール化マイクロスフェアA6を30g、および0.1mol/Lの濃度のNaBr脱イオン水溶液を500mL加え;混合物を室温で撹拌してイオン交換反応を24時間行い、次に洗浄液のpHが7になるまで脱イオン水で洗浄し、真空下で乾燥させて、Cat-A6と表記され、且つ下記構造式を有するイオン交換樹脂触媒を得た:
【化14】
【0095】
[比較例11]イオン交換樹脂の調製
500mLの三つ口フラスコに、スチレン65.0g、ジビニルベンゼン1.0g、およびベンゾイルペルオキシド1.0gを加え、スターラーを始動させ、混合物を0.5時間攪拌し;脱イオン水200mLおよびポリビニルアルコール4gの混合溶液を加え、混合物を2時間攪拌した。次に混合物を75℃まで徐々に温めて5時間反応させ、次に90℃まで温めて10時間反応させ、最後に100℃まで温めて10時間反応させた。反応完了後に、上澄み液を注ぎ出し、85℃の温水で洗浄し、次に冷水で洗浄し、次に濾過し、オーブンに入れ、80℃で乾燥させ、篩にかけて、0.35~0.60mmの範囲の粒径を有するマイクロスフェアA7を回収した。
【0096】
マイクロスフェアのクロロメチル化:500mLの三つ口フラスコに、40gのマイクロスフェアA7および250mLのクロロメチルエーテルを加え;室温で3時間放置した後に、撹拌を開始し;触媒として塩化亜鉛10gを加え;混合物を60℃まで温めて10時間反応させ、次にクロロメチル化の完了後に、室温に冷却し;塩素化母液を濾過し、メタノールで繰り返し洗浄し、100℃で8時間乾燥させて、クロロメチル化スフェアA7を得た。
【0097】
イミダゾール化:500mLの三つ口フラスコに、30gのクロロメチル化スフェアA7(塩素含量3.4mmol Cl/gを有する)、イミダゾール(102.0mmol)、および200mLのアセトニトリルを加え;混合物を80℃で24時間反応させ、室温に冷却し、濾過し、酢酸エチル、0.1mol/L HCl、脱イオン水、およびメタノールで連続的に洗浄し、次いで、真空下で60℃で12時間乾燥させて、イミダゾールマイクロスフェアA7を得た。
【0098】
POSS組込み:500mLの三つ口フラスコに、30gのイミダゾールマイクロスフェアA7(イミダゾール基含有量3.1mmol/gを有する)、9.3gのオクタクロロメチルシルセスキオキサン、300mLのテトラヒドロフランを加え;混合物を100℃で24時間反応させ、反応後に濾過し、テトラヒドロフランおよび脱イオン水で連続的に洗浄して、イミダゾール/POSSマイクロスフェアA7を得た。
【0099】
イオン交換:1000mLの三つ口フラスコに、イミダゾール/POSSマイクロスフェアA7を30g、および0.1mol/Lの濃度のNaBr脱イオン水溶液を500mL加え;混合物を室温で撹拌してイオン交換反応を24時間行い、次に洗浄液のpHが7になるまで脱イオン水で洗浄し、真空下で乾燥させて、Cat-A7と表記され、且つ下記構造式を有するイオン交換樹脂触媒を得た:
【化15】
【0100】
[実施例12]
[実施例1]で調製したイオン交換樹脂をアルキレンオキシドと二酸化炭素との付加反応に用いた。実験条件は次の通りであった:高純度窒素の保護下で、300mlのオートクレーブに、50.0gのエチレンオキシドおよび7.5gの樹脂触媒Cat-A1を添加し、1.0MPaでCOを充填し、120℃まで温め、COを再充填して反応圧力を2.0MPaに維持し、4時間反応させ、濾過して、触媒を除去した。測定したところ、エチレンオキシド転化率CEOは96.7%であり、エチレンカーボネート選択率SECは99.3%であった。
【0101】
[実施例13~27]
樹脂触媒の種類、反応温度および反応圧力を変更し、他の反応条件は[実施例12]と同様とした。エチレンオキシドと二酸化炭素との触媒反応を行い、反応後の解析結果を表1に示した。
【0102】
【表1】
【0103】
[実施例28]
[実施例12]で使用した触媒Cat-A1を濾過、洗浄および乾燥させ、次に[実施例12]における反応工程および条件に従って、エチレンオキシドと二酸化炭素との触媒反応を行った。触媒を2回循環させて使用した結果を表2に示した。同様に、触媒を3~5回循環させて使用した触媒反応をそれぞれ実施し、その結果を表2に示した。
【0104】
【表2】
【0105】
[実施例29~32]
[実施例1]で調製した触媒を、他のアルキレンオキシドと二酸化炭素との付加反応に用いた。実験条件は次の通りであった:高純度窒素の保護下で、300mlのオートクレーブに、50.0gのアルキレンオキシドおよび7.5gの樹脂触媒を添加し、1.0MPaでCOを充填し、120℃まで温め、COを再充填して反応圧力を2.0MPaに維持し、4時間反応させ、濾過して、触媒を除去した。アルキレンオキシド転化率および得られたカーボネート選択率を測定した。結果を表3に示す。
【0106】
【表3】
【0107】
[参考実施例1]
Catal. Sci. Technol., 2014, 4, 1598-1607の論文に開示された調製方法に従って、触媒SiO-エタン-Brを調製した。その触媒を、スチレンオキシドと二酸化炭素との付加反応に用いた。実験条件は次の通りであった:高純度窒素の保護下で、300mlのオートクレーブに、50.0gのスチレンオキシドおよび7.5gの触媒を添加し、1.0MPaでCOを充填し、120℃まで温め、COを再充填して反応圧力を2.0MPaに維持し、4時間反応させ、濾過して、触媒を除去した。スチレンオキシド転化率および得られた環状スチレンカーボネート選択率を測定した。結果を表4に示す。
【0108】
[参考実施例2]
Catalysis Today 2013, 200, 117-124の論文に開示された調製方法に従って、触媒SBA-15-IL3Brを調製した。その触媒を、プロピレンオキシドと二酸化炭素との付加反応に用いた。実験条件は次の通りであった:高純度窒素の保護下で、300mlのオートクレーブに、50.0gのプロピレンオキシドおよび7.5gの触媒を添加し、1.0MPaでCOを充填し、120℃まで温め、COを再充填して反応圧力を2.0MPaに維持し、4時間反応させ、濾過して、触媒を除去した。プロピレンオキシド転化率および得られたプロピレンカーボネート選択率を測定した。結果を表4に示す。
【0109】
[参考実施例3]
Green Chem., 2013, 15, 1584-1589の論文に開示されている調製方法に従って、触媒ポリ[bvbim]Clを調製した。その触媒を、スチレンオキシドと二酸化炭素との付加反応に用いた。実験条件は次の通りであった:高純度窒素の保護下で、300mlのオートクレーブに、50.0gのスチレンオキシドおよび7.5gの触媒を添加し、1.0MPaでCOを充填し、120℃まで温め、COを再充填して反応圧力を2.0MPaに維持し、4時間反応させ、濾過して、触媒を除去した。スチレンオキシド転化率および得られた環状スチレンカーボネート選択率を測定した。結果を表4に示す。
【0110】
【表4】
【0111】
[実施例33:浸透摩耗後の球形度の測定]
1.試料16mLを秤量し、有機ガラス交換カラムに移し、純水25mLを加え;水酸化ナトリウムの脱イオン水溶液(25mL、1mol/L)を速やかに注ぎ、10~15秒以内に排水し、この操作を5回繰り返し;次いで、水酸化ナトリウムの脱イオン水溶液(20mL、1mol/L)を加え、樹脂層中に気泡は存在せず、純水250mLを加え、5分以内に脱イオン水を均等に流出させた;
2.(1)の方法に従って、試料をHClの脱イオン水溶液(1mol/L)で処理した;
3.前記の処理した試料15mLに、全量50mLとなるように一定量の脱イオン水を加え、混合物を回転ドラムに移し、10個のセラミックボールを加え、ドラムカバーを締め付けた;
4.回転ドラムをボールミル上に置き、樹脂を125r/分の速度で20分間回転させた;
5.処理した樹脂を純水でスクリーンクロスに移し、粒子が自由に回転できるまで60℃で2~3時間乾燥させた;
6.乾燥させた試料をエナメルトレイに入れ、トレイをわずかに傾斜させて球形粒子を転がさせ、破損した粒子を右上隅に払った。試料を2つの部分、すなわち球状粒子と破損した粒子とに分けた。2つの部分の各々について、別の試料の残留量が50粒子未満であることは、分離が完了したことを意味する;
7.球状粒子および破損した粒子の質量をそれぞれ測定し、m1およびm2と表記した;
8.浸透摩耗後の球形度S=m1/(m1+m2)×100。
【0112】
[実施例34:摩耗後の球形度の測定]
1.原試料50mLを採取し、樹脂層上に純水5mLを存在させた;
2.純水145mLを用いて樹脂を回転ドラムに移し、10個のセラミックボールを加え、ドラムカバーを締め付けた;
3.回転ドラムをボールミル上に置き、樹脂を125r/分の速度で30分間回転させた;
4.処理した樹脂を純水でスクリーンクロスに移し、粒子が自由に回転できるまで60℃で2~3時間乾燥させた;
5.乾燥させた試料をエナメルトレイに入れ、トレイをわずかに傾斜させて球形粒子を転がさせ、破損した粒子を右上隅に払った。試料を2つの部分、すなわち球状粒子と破損した粒子とに分けた。2つの部分の各々について、別の試料の残留量が50粒子未満であることは、分離が完了したことを意味する;
6.球状粒子および破損した粒子の質量をそれぞれ測定し、m3およびm4と表記した;
7.摩耗後の球形度A=m3/(m3+m4)×100。
【0113】
本発明の触媒(Cat A1)は、摩耗後の球形度が65.3%、浸透摩耗後の球形度が37.6%であった。CNT系触媒(CN109569717Aを参照)は、摩耗後の球形度が54.2%であり、浸透摩耗後の球形度が25.5%であった。
【0114】
前記の実験データは、本発明のナノコンポジット樹脂触媒は強度がより高いことを示した。
【0115】
[実施例35:膨潤率の測定]
膨潤率の測定:
1.ある体積の触媒を有機ガラス交換カラムに移し、触媒の体積をV1として記録した;
2.有機ガラス交換カラムに一定量の脱イオン水を注ぎ、樹脂層上に純水5mLを存在させた;
3.室温で24時間放置した後に、膨潤した触媒の体積をV2として記録した;
4.触媒の膨潤率を計算した。S=(V2-V1)/V1×100%。
【0116】
【表5】
【0117】
なお、上述した実施形態は本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。例示的な実施形態を参照して本発明を説明したが、その中で使用される言葉は、限定の言葉ではなく、記述および説明の言葉であることを理解されたい。本発明は、特定された本発明の請求項の範囲内で変更されてもよく、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく変更されてもよい。本明細書中で説明される本発明は、特定の方法、材料、および実施形態に言及するが、本明細書中で開示される特定の実施例に限定されることを意図するものではなく、むしろ、本発明は同じ機能を有している他のすべての方法および適用に及ぶ。
【図面の簡単な説明】
【0118】
図1】実施例1のイオン交換樹脂の赤外スペクトル
図1