(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】部品供給方法、および部品供給装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20240520BHJP
【FI】
H05K13/02 D
(21)【出願番号】P 2022534558
(86)(22)【出願日】2020-07-08
(86)【国際出願番号】 JP2020026706
(87)【国際公開番号】W WO2022009336
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】岩城 範明
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/053888(WO,A1)
【文献】特開2020-047941(JP,A)
【文献】国際公開第2016/147331(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステージの上に散在された部品を供給する部品供給方法であって、
前記ステージの上に散在された部品の撮像データに基づいて、部品の位置を示す位置情報と、部品の姿勢を示す姿勢情報と、部品の数を示す数情報とを記憶する記憶工程と、
前記記憶工程において記憶された前記位置情報と前記姿勢情報に基づいて、前記ステージの上に散在された部品を保持具により保持する保持工程と、
を含
み、
前記記憶工程は、前記姿勢情報毎に、前記数情報を記憶する部品供給方法。
【請求項2】
請求項
1に記載の部品供給方法は、さらに、
前記ステージの上に部品を補給する補給工程と、
前記位置情報、前記姿勢情報、前記数情報に基づいて、前記補給工程のインターバルを変更する変更工程と、
を含む部品供給方法。
【請求項3】
ステージの上に散在された部品を供給する部品供給方法であって、
前記ステージの上に散在された部品の撮像データに基づいて、部品の位置を示す位置情報と、部品の姿勢を示す姿勢情報と、部品の数を示す数情報とを演算する演算工程と、
前記演算工程において演算された前記位置情報と前記姿勢情報とを利用して、前記ステージの上に散在された部品を保持具により保持する保持工程と、
前記演算工程において演算された前記数情報に基づいて、前記演算工程において撮像データが画像処理される際のパラメータを変更する否かを判断する判断工程と、
前記判断工程においてパラメータを変更すると判断された場合に、前記演算工程において撮像データが画像処理される際のパラメータを変更する変更工程と、
を含む部品供給方法。
【請求項4】
前記パラメータは、撮像データに基づいて部品の外縁を認識するためのものである
請求項3に記載の部品供給方法。
【請求項5】
前記数情報は、前記ステージの上の全ての部品の部品数と、前記ステージの上から前記保持具により保持可能な部品数と、前記ステージの上で重なっている部品数とのうちの少なくとも1つを示す情報である請求項1ないし
請求項4のいずれか1つに記載の部品供給方法。
【請求項6】
部品が散在されるステージと、
前記ステージに散在された部品を保持する保持具と、
前記ステージに散在された部品を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置による部品の撮像データに基づいて、部品の位置を示す位置情報と、部品の姿勢を示す姿勢情報と、
前記姿勢情報毎の部品の数を示す数情報とを記憶する記憶装置と、
を備え、
前記保持具は、
前記記憶装置により記憶された前記位置情報と前記姿勢情報とに基づいて、前記ステージの上に散在された部品を保持する部品供給装置。
【請求項7】
部品が散在されるステージと、
前記ステージに散在された部品を保持する保持具と、
前記ステージに散在された部品を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置による部品の撮像データに基づいて、部品の位置を示す位置情報と、部品の姿勢を示す姿勢情報と、部品の数を示す数情報とを演算する演算装置と、
を備え、
前記保持具は、
前記演算装置により演算された前記位置情報と前記姿勢情報とを利用して、前記ステージの上に散在された部品を保持し、
前記演算装置は、
演算した前記数情報が所定の数値を示す場合に、撮像データを画像処理する際のパラメータを変更し、撮像データに基づいて前記数情報を演算する部品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステージの上に散在された部品を供給する部品供給方法、および部品供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
部品供給装置には、下記特許文献に記載されているように、ステージの上に散在された部品を供給するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2019/053888号
【文献】国際公開第2017/208325号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書は、部品供給装置において、ステージ上の部品を適切に供給することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本明細書は、ステージの上に散在された部品を供給する部品供給方法であって、前記ステージの上に散在された部品の撮像データに基づいて、部品の位置を示す位置情報と、部品の姿勢を示す姿勢情報と、部品の数を示す数情報とを記憶する記憶工程と、前記記憶工程において記憶された前記位置情報と前記姿勢情報に基づいて、前記ステージの上に散在された部品を保持具により保持する保持工程と、を含み、
前記記憶工程は、前記姿勢情報毎に、前記数情報を記憶する部品供給方法を開示する。また、本明細書は、ステージの上に散在された部品を供給する部品供給方法であって、前記ステージの上に散在された部品の撮像データに基づいて、部品の位置を示す位置情報と、部品の姿勢を示す姿勢情報と、部品の数を示す数情報とを演算する演算工程と、前記演算工程において演算された前記位置情報と前記姿勢情報とを利用して、前記ステージの上に散在された部品を保持具により保持する保持工程と、前記演算工程において演算された前記数情報に基づいて、前記演算工程において撮像データが画像処理される際のパラメータを変更する否かを判断する判断工程と、前記判断工程においてパラメータを変更すると判断された場合に、前記演算工程において撮像データが画像処理される際のパラメータを変更する変更工程と、を含む部品供給方法を開示する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、位置情報,姿勢情報,数情報を利用して、ステージ上の部品を適切に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】部品実装機の部品装着装置を示す斜視図である。
【
図10】電子回路部品が収納された状態の部品受け部材を示す図である。
【
図11】部品実装機の制御装置を示すブロック図である。
【
図12】ステージの上にリード部品が散在された状態を示す図である。
【
図13】パターンマッチングにより認識されるリード部品を示す図である。
【
図14】記憶装置に記憶される部品総数,保持可能数,保持可能確率,積層数,空エリア率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0009】
図1に、部品実装機10を示す。部品実装機10は、回路基材12に対する部品の実装作業を実行するための装置である。部品実装機10は、装置本体20、基材搬送保持装置22、部品装着装置24、撮像装置26,28、部品供給装置30、ばら部品供給装置32、制御装置(
図11参照)34を備えている。なお、回路基材12として、回路基板、三次元構造の基材等が挙げられ、回路基板として、プリント配線板、プリント回路板等が挙げられる。
【0010】
装置本体20は、フレーム40と、そのフレーム40に上架されたビーム42とによって構成されている。基材搬送保持装置22は、フレーム40の前後方向の中央に配設されており、搬送装置50とクランプ装置52とを有している。搬送装置50は、回路基材12を搬送する装置であり、クランプ装置52は、回路基材12を保持する装置である。これにより、基材搬送保持装置22は、回路基材12を搬送するとともに、所定の位置において、回路基材12を固定的に保持する。なお、以下の説明において、回路基材12の搬送方向をX方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY方向と称し、鉛直方向をZ方向と称する。つまり、部品実装機10の幅方向は、X方向であり、前後方向は、Y方向である。
【0011】
部品装着装置24は、ビーム42に配設されており、2台の作業ヘッド60,62と作業ヘッド移動装置64とを有している。各作業ヘッド60,62は、吸着ノズル(
図2参照)66を有しており、吸着ノズル66によって部品を保持する。また、作業ヘッド移動装置64は、X方向移動装置68とY方向移動装置70とZ方向移動装置72とを有している。そして、X方向移動装置68とY方向移動装置70とによって、2台の作業ヘッド60,62は、一体的にフレーム40上の任意の位置に移動させられる。また、各作業ヘッド60,62は、
図2に示すように、スライダ74,76に着脱可能に装着されており、Z方向移動装置72は、スライダ74,76を個別に上下方向に移動させる。つまり、作業ヘッド60,62は、Z方向移動装置72によって、個別に上下方向に移動させられる。
【0012】
撮像装置26は、下方を向いた状態でスライダ74に取り付けられており、作業ヘッド60とともに、X方向,Y方向およびZ方向に移動させられる。これにより、撮像装置26は、フレーム40上の任意の位置を撮像する。撮像装置28は、
図1に示すように、フレーム40上の基材搬送保持装置22と部品供給装置30との間に、上を向いた状態で配設されている。これにより、撮像装置28は、作業ヘッド60,62の吸着ノズル66に保持された部品を撮像する。
【0013】
部品供給装置30は、フレーム40の前後方向での一方側の端部に配設されている。部品供給装置30は、トレイ型部品供給装置78とフィーダ型部品供給装置(図示省略)とを有している。トレイ型部品供給装置78は、トレイ上に載置された状態の部品を供給する装置である。フィーダ型部品供給装置は、テープフィーダ(図示省略)、スティックフィーダ(図示省略)によって部品を供給する装置である。
【0014】
ばら部品供給装置32は、フレーム40の前後方向での他方側の端部に配設されている。ばら部品供給装置32は、ばらばらに散在された状態の複数の部品を整列させて、整列させた状態で部品を供給する装置である。つまり、任意の姿勢の複数の部品を、所定の姿勢に整列させて、所定の姿勢の部品を供給する装置である。以下に、部品供給装置32の構成について詳しく説明する。なお、部品供給装置30および、ばら部品供給装置32によって供給される部品として、電子回路部品,太陽電池の構成部品,パワーモジュールの構成部品等が挙げられる。また、電子回路部品には、リードを有する部品,リードを有さない部品等が有る。
【0015】
ばら部品供給装置32は、
図3に示すように、本体80と、部品供給ユニット82と、撮像装置84と、部品引渡し装置86とを有している。
【0016】
部品供給ユニット82は、部品供給器88と部品散在装置(
図4参照)90と部品戻し装置(
図4参照)92とを含み、それら部品供給器88と部品散在装置90と部品戻し装置92とが一体的に構成されたものである。部品供給ユニット82は、本体80のベース96に着脱可能に組み付けられており、ばら部品供給装置32では、5台の部品供給ユニット82が、X方向に1列に並んで配設されている。
【0017】
部品供給器88は、概して直方体の箱形状をなし、
図4及び
図5に示すように、Y方向に延びるように配設されている。なお、Y方向を部品供給器88の前後方向と記載し、部品供給ユニット82において、部品戻し装置92が配設されている側に向かう方向を、前方と記載し、部品供給器88が配設されている側に向かう方向を、後方と記載する。
【0018】
部品供給器88は、上面と前面とにおいて開口しており、上面の開口は、部品の投入口97とされ、前面の開口は部品の排出口98とされている。部品供給器88では、投入口97の下方に、傾斜板104が配設されている。傾斜板104は、部品供給器88の後方側の端面から中央方向に向かって、下方に傾斜するように配設されている。
【0019】
また、傾斜板104の前方側に、
図5に示すように、コンベア装置106が配設されている。コンベア装置106は、傾斜板104の前方側端部から部品供給器88の前方に向かって、上方に傾斜するように配設されている。なお、コンベア装置106のコンベアベルト112は、
図5での反時計回りに回転する。つまり、コンベア装置106による搬送方向は、傾斜板104の前端部から前方に向かって斜め上方とされている。
【0020】
また、コンベア装置106の前方側端部の下方には、傾斜板126が配設されている。傾斜板126は、部品供給器88の前方側の端面からコンベア装置106の下方に向かって配設されており、後方側の端部が斜め下方に傾斜している。さらに、その傾斜板126の下方にも、傾斜板128が配設されている。傾斜板128は、コンベア装置106の中央部の下方から部品供給器88の排出口98に向かって、前方側の端部が下方に位置するように傾斜している。
【0021】
また、ベース96には、
図4に示すように、1対のサイドフレーム130が組み付けられている。1対のサイドフレーム130は、対向した状態で互いに平行且つ、Y方向に延びるように立設されている。そして、1対のサイドフレーム130の間の距離は、部品供給器88の幅方向の寸法より僅かに大きくされており、1対のサイドフレーム130の間に、部品供給器88が着脱可能に装着されている。
【0022】
部品散在装置90は、部品支持部材150と部品支持部材移動装置152とを含む。部品支持部材150は、ステージ156と1対の側壁部158とによって構成されている。ステージ156は、概して長手形状の板形状をなし、1対のサイドフレーム130の間に装着された部品供給器88の下方から前方に延び出すように、配設されている。なお、ステージ156の上面は、概して水平とされており、
図5に示すように、部品供給器88の傾斜板128の前方側の端部と僅かなクリアランスのある状態で配設されている。また、1対の側壁部158は、
図4に示すように、ステージ156の長手方向の両側部に立設された状態で固定されており、各側壁部158の上端は、ステージ156の上面より上方に延び出している。
【0023】
また、部品支持部材移動装置152は、部品支持部材150をエアシリンダ(
図11参照)166の作動によりY方向にスライドさせる。この際、部品支持部材150は、部品供給器88の下方に格納された格納状態(
図6参照)と、部品供給器88の下方から露出した露出状態(
図5参照)との間で移動する。
【0024】
部品戻し装置92は、
図7に示すように、部品収容容器180と容器搖動装置181とを含む。部品収容容器180は、概して箱状をなし、底面が円弧形状とされている。部品収容容器180は、部品支持部材150のステージ156の前方側の端部において搖動可能に保持されており、容器搖動装置181の作動により、揺動する。この際、部品収容容器180は、開口を上方に向けた収容姿勢(
図7参照)と、開口を部品支持部材150のステージ156の上面に向けた戻し姿勢(
図8参照)との間で搖動する。
【0025】
撮像装置84は、
図3に示すように、カメラ290とカメラ移動装置292とを含む。カメラ移動装置292は、ガイドレール296とスライダ298とを含む。ガイドレール296は、部品供給器88の上方において、ばら部品供給装置32の幅方向(X方向)に延びるように、本体80に固定されている。スライダ298は、ガイドレール296にスライド可能に取り付けられており、電磁モータ(
図11参照)299の作動により、任意の位置にスライドする。また、カメラ290は、下方を向いた状態でスライダ298に装着されている。
【0026】
部品引渡し装置86は、
図3に示すように、部品保持ヘッド移動装置300と部品保持ヘッド302と2台のシャトル装置304とを含む。
【0027】
部品保持ヘッド移動装置300は、X方向移動装置310とY方向移動装置312とZ方向移動装置314とを含む。Y方向移動装置312は、X方向に延びるように、部品供給ユニット82の上方に配設されたYスライダ316を有しており、Yスライダ316は、電磁モータ(
図11参照)319の駆動により、Y方向の任意の位置に移動する。X方向移動装置310は、Yスライダ316の側面に配設されたXスライダ320を有しており、Xスライダ320は、電磁モータ(
図11参照)321の駆動により、X方向の任意の位置に移動する。Z方向移動装置314は、Xスライダ320の側面に配設されたZスライダ322を有しており、Zスライダ322は、電磁モータ(
図11参照)323の駆動により、Z方向の任意の位置に移動する。
【0028】
部品保持ヘッド302は、
図9に示すように、ヘッド本体330と吸着ノズル332とノズル旋回装置334とノズル回転装置335とを含む。ヘッド本体330は、Zスライダ322と一体的に形成されている。吸着ノズル332は、部品を保持するものであり、ホルダ340の下端部に着脱可能に装着されている。ホルダ340は、支持軸344において屈曲可能とされており、ノズル旋回装置334の作動により、ホルダ340が上方向に90度屈曲する。これにより、ホルダ340の下端部に装着されている吸着ノズル332は、90度旋回し、旋回位置に位置する。つまり、吸着ノズル332は、ノズル旋回装置334の作動により、非旋回位置と旋回位置との間で旋回する。もちろん、非旋回位置と旋回位置との間の角度で位置決め停止させることも可能である。また、ノズル回転装置335は、吸着ノズル332をそれの軸心周りに回転させる。
【0029】
また、2台のシャトル装置304の各々は、
図3に示すように、部品キャリヤ388と部品キャリヤ移動装置390とを含み、部品供給ユニット82の前方側に横方向に並んで、本体80に固定されている。部品キャリヤ388には、5個の部品受け部材392が、横方向に一列に並んだ状態で装着されており、各部品受け部材392に、部品が載置される。
【0030】
なお、ばら部品供給装置32は、種々の部品を供給することが可能であり、部品受け部材392は、部品の形状に応じて種々のものが用意されている。ここでは、ばら部品供給装置32により供給される電子回路部品として、
図10に示すように、リードを有するリード部品410に対応する部品受け部材392について説明する。リード部品410は、ブロック状の部品本体412と、部品本体412の底面から突出する2本のリード414とから構成されている。
【0031】
また、部品受け部材392には、リード部品410に応じた形状の部品受容凹部416が形成されている。部品受容凹部416は、段付き形状の凹部であり、部品受け部材392の上面に開口する本体部受容凹部418と、その本体部受容凹部418の底面に開口するリード受容凹部420とから構成されている。そして、リード部品410は、リード414が下方を向く姿勢で、部品受容凹部416の内部に挿入される。これにより、リード414がリード受容凹部420に挿入されるとともに、部品本体412が本体部受容凹部418に挿入された状態で、リード部品410が部品受容凹部416の内部に載置される。
【0032】
また、部品キャリヤ移動装置390は、
図3に示すように、板状の長手部材であり、前後方向に延びるように、部品供給ユニット82の前方側に配設されている。部品キャリヤ移動装置390の上面には、部品キャリヤ388が前後方向にスライド可能に配設されており、電磁モータ(
図11参照)430の駆動により、前後方向の任意の位置にスライドする。なお、部品キャリヤ388が、部品供給ユニット82に接近する方向にスライドした際には、部品保持ヘッド移動装置300による部品保持ヘッド302の移動範囲内に位置する部品受取位置までスライドする。一方、部品キャリヤ388が、部品供給ユニット82から離れる方向にスライドした際には、作業ヘッド移動装置64による作業ヘッド60,62の移動範囲内に位置する部品供給位置までスライドする。
【0033】
また、制御装置34は、
図11に示すように、統括制御装置450と、複数の個別制御装置(図では1つのみ図示されている)452と、画像処理装置454とを含む。統括制御装置450は、コンピュータを主体として構成されたものであり、基材搬送保持装置22,部品装着装置24,撮像装置26,撮像装置28,部品供給装置30,ばら部品供給装置32に接続されている。これにより、統括制御装置450は、基材搬送保持装置22,部品装着装置24,撮像装置26,撮像装置28,部品供給装置30,ばら部品供給装置32を統括して制御する。複数の個別制御装置452は、コンピュータを主体として構成されたものであり、基材搬送保持装置22,部品装着装置24,撮像装置26,撮像装置28,部品供給装置30,ばら部品供給装置32に対応して設けられている(図では、ばら部品供給装置32に対応する個別制御装置452のみが図示されている)。
【0034】
ばら部品供給装置32の個別制御装置452は、部品散在装置90,部品戻し装置92,カメラ移動装置292,部品保持ヘッド移動装置300,部品保持ヘッド302,シャトル装置304に接続されている。これにより、ばら部品供給装置32の個別制御装置452は、部品散在装置90,部品戻し装置92,カメラ移動装置292,部品保持ヘッド移動装置300,部品保持ヘッド302,シャトル装置304を制御する。また、画像処理装置454は、撮像装置84に接続されており、撮像装置84により撮像された撮像データを処理する。その画像処理装置454は、ばら部品供給装置32の個別制御装置452に接続されている。これにより、ばら部品供給装置32の個別制御装置452は、撮像装置84により撮像された撮像データを取得する。
【0035】
また、ばら部品供給装置32は記憶装置458を有している。その記憶装置458は、個別制御装置452に接続されており、個別制御装置452からの指令に従って、各種情報を記憶する。さらに、個別制御装置452は、表示パネル460にも接続されている。表示パネル460は、
図1に示すように、ばら部品供給装置32の端面に配設されており、個別制御装置452からの指令に従って、任意の画面を表示する。
【0036】
部品実装機10は、上述した構成によって、基材搬送保持装置22に保持された回路基材12に対して部品の装着作業が行われる。具体的には、回路基材12が、作業位置まで搬送され、その位置において、クランプ装置52によって固定的に保持される。次に、撮像装置26が、回路基材12の上方に移動し、回路基材12を撮像する。これにより、回路基材12の保持位置の誤差に関する情報が得られる。また、部品供給装置30若しくは、ばら部品供給装置32は、所定の供給位置において、部品を供給する。なお、ばら部品供給装置32による部品の供給に関しては、後で詳しく説明する。そして、作業ヘッド60,62の何れかが、部品の供給位置の上方に移動し、吸着ノズル66によって部品を保持する。続いて、部品を保持した作業ヘッド60,62が、撮像装置28の上方に移動し、撮像装置28によって、吸着ノズル66に保持された部品が撮像される。これにより、部品の保持位置の誤差に関する情報が得られる。そして、部品を保持した作業ヘッド60,62が、回路基材12の上方に移動し、保持している部品を、回路基材12の保持位置の誤差,部品の保持位置の誤差等を補正し、回路基材12上に装着する。
【0037】
なお、ばら部品供給装置32では、リード部品410が、作業者によって部品供給器88の投入口97から投入され、その投入されたリード部品410が、部品供給ユニット82,部品引渡し装置86の作動により、部品キャリヤ388の部品受け部材392に載置された状態で供給される。
【0038】
詳しくは、作業者は、部品供給器88の上面の投入口97から、リード部品410を投入する。この際、部品支持部材150は、部品支持部材移動装置152の作動により、部品供給器88の下方に移動しており、格納状態とされている(
図6参照)。なお、部品支持部材150が格納状態とされている際に、部品支持部材150の前方側の端部に配設された部品収容容器180は、部品供給器88の前方に位置しており、部品収容容器180の開口を上方に向けた姿勢(収容姿勢)とされている。
【0039】
部品供給器88の投入口97から投入されたリード部品410は、部品供給器88の傾斜板104の上に落下し、傾斜板104の前方側の下端まで転がり落ちる。この際、傾斜板104の前方側の下端まで転がり落ちたリード部品410は、傾斜板104の前方側の下端と、コンベア装置106の後方側の下端との間に山積される。そして、コンベア装置106が作動されることで、コンベア装置106のコンベアベルト112が
図6での反時計回りに周回する。これにより、傾斜板104とコンベアベルト112との間に山積されたリード部品410が、コンベアベルト112によって斜め上方に向かって搬送される。
【0040】
そして、コンベアベルト112によって搬送されたリード部品410は、コンベア装置106の前方側の上端から傾斜板126の上に落下する。その傾斜板126の上に落下したリード部品410は、傾斜板126の上を後方に向かって転がり落ち、傾斜板128の上に落下する。その傾斜板128の上に落下したリード部品410は前方に向かって転がり落ち、部品供給器88の前方側の排出口98から排出される。
【0041】
これにより、部品供給器88の排出口98から排出されたリード部品410は、部品収容容器180の内部に収容される。そして、部品供給器88から所定量のリード部品410が排出されると、つまり、コンベア装置106が一定量作動すると、コンベア装置106が停止する。次に、部品支持部材150が、部品支持部材移動装置152の作動により、格納状態から前方に向かって移動する。
【0042】
そして、部品支持部材150が格納状態から所定量、前方に向かって移動したタイミングで、部品戻し装置92の容器搖動装置181が作動し、部品収容容器180が搖動する。これにより、部品収容容器180の姿勢が、開口を上方に向けた姿勢(収容姿勢)から、開口をステージ156に向けた姿勢(戻し姿勢)に勢いよく変化する。この際、部品収容容器180に収容されたリード部品410が、ステージ156に向かって勢いよく放出される。これにより、部品収容容器180からステージ156の上にリード部品410が散在される。
【0043】
なお、部品支持部材150のステージ156の上にリード部品410が散在されると、
図12に示すように、リード部品410は、概ね4つの姿勢でステージ156の上に散在される。具体的には、第1の姿勢として、リード414の延び出す面が側方を向き、その2本のリード414が概して水平方向に並んだ状態の姿勢で、リード部品410は散在される。また、第2の姿勢として、リード414の延び出す面が側方を向き、その2本のリード414が概して鉛直方向に並んだ状態の姿勢で、リード部品410は、散在される。また、第3の姿勢として、リード414の延び出す面が上方を向いた状態の姿勢で、リード部品410は散在される。また、第4の姿勢として、2個以上のリード部品410が重なった姿勢で、リード部品410は散在される。なお、リード部品410を散在される姿勢によって区別する際に、第1の姿勢のリード部品410a、第2の姿勢のリード部品410b、第3の姿勢のリード部品410c、第4の姿勢のリード部品410dと記載する。ちなみに、
図12では、リード部品410と形状の異なるリード部品500も、ステージ156の上に散在されている。これは、作業者がリード部品410と種類の異なるリード部品500を誤って部品供給器88に投入したためであり、種類の異なるリード部品500が、リード部品410に混在した状態でステージの上に散在されている。
【0044】
そして、リード部品410が、上述したようにステージ156の上に散在されると、撮像装置84のカメラ290が、カメラ移動装置292の作動により、部品支持部材150の上方に移動する。この際、ステージ156の上に散在されているリード部品410が、カメラ290により撮像される。なお、カメラ290の視野角、つまり、撮像範囲はステージ156より広いため、ステージ156の全体、つまり、ステージ156の上に散在されている全てのリード部品410が、一度の撮像により撮像される。そして、カメラ290により撮像された撮像データに基づいて、ピックアップの対象となるリード部品(以下、「ピックアップ対象部品」と略す場合がある)が、パターンマッチングによって特定される。
【0045】
具体的には、カメラ290によるリード部品410の撮像データに基づいて、リード部品410の外縁、つまり、外形線(アウトライン)が特定され、リード部品410の上面の形状、つまり、リード部品410の上方からの視点における形状が演算される。さらに、撮像データに基づいて、リード部品410の位置も演算される。一方、記憶装置458には、
図13に示すように、第1の姿勢のリード部品410aの外形線に応じた形状の画像データ(以下、「第1姿勢部品画像データ」と略する場合がある)と、第2の姿勢のリード部品410bの外形線に応じた形状の画像データ(以下、「第2姿勢部品画像データ」と略する場合がある)とが記憶されている。
【0046】
そして、撮像データに基づいて演算されたリード部品410の上面の形状(以下、「撮像部品形状」と記載する場合がある)が、第1姿勢部品画像データに基づくリード部品410の形状(以下、「第1記憶部品形状」と記載する場合がある)、若しくは、第2姿勢部品画像データに基づくリード部品410の形状(以下、「第2記憶部品形状」と記載する場合がある)と一致するか否かが判断される。そして、撮像部品形状が第1記憶部品形状、若しくは、第2記憶部品形状と一致すると判断された場合に、その撮像部品形状に応じたリード部品410が、ピックアップ対象部品として設定される。
【0047】
つまり、第1の姿勢のリード部品410aおよび、第2の姿勢のリード部品410bが、ピックアップ対象部品として設定され、第3の姿勢のリード部品410cおよび、第4の姿勢のリード部品410dは、ピックアップ対象部品として設定されない。これは、第3姿勢のリード部品410cでは、上面にリード414が配設されており、リード414が邪魔になり、リード部品410を吸着ノズル332により適切に保持できないためである。また、第4姿勢のリード部品410dでは、リード部品410dの上面が水平でない等の理由により、リード部品410を吸着ノズル332により適切に保持できないためである。このように、第1の姿勢のリード部品410aおよび、第2の姿勢のリード部品410bがピックアップ対象部品として設定され、リード部品の姿勢を示す情報として記憶装置458に記憶される。
【0048】
なお、
図12では、リード414が屈曲した第1の姿勢のリード部品、つまり、第1の姿勢の不良品のリード部品(以下、「第1の姿勢の不良品」と記載する)410a1が散在されているが、リード414が屈曲した形状は、第1記憶部品形状と一致しない。このため、第1の姿勢の不良品410a1はピックアップ対象部品として設定されない。また、リード414が屈曲した第2の姿勢のリード部品、つまり、第2の姿勢の不良品のリード部品(以下、「第2の姿勢の不良品」と記載する)410b1も散在されているが、リード414が屈曲した形状は、第2記憶部品形状と一致しない。このため、第2の姿勢の不良品410b1もピックアップ対象部品として設定されない。また、リード部品410と異なる形状のリード部品500の形状は、当然、第1記憶部品形状及び第2記憶部品形状と一致しないため、リード部品500はピックアップ対象部品として設定されない。
【0049】
そして、ピックアップ対象部品として設定されたリード部品410の位置を示す情報が、撮像データに基づいて演算される。次に、演算されたピックアップ対象部品の位置を示す情報に基づいて、ピックアップ対象部品の上方に、部品保持ヘッド302が、部品保持ヘッド移動装置300の作動により移動し、吸着ノズル332によってピックアップ対象部品が吸着保持される。なお、吸着ノズル332によってピックアップ対象部品が吸着保持される際に、吸着ノズル332は、非旋回位置に位置している。
【0050】
次に、リード部品410が吸着ノズル332によって保持された後に、部品保持ヘッド302が部品キャリヤ388の上方に移動する。この際、部品キャリヤ388は、部品キャリヤ移動装置390の作動により、部品受取位置に移動している。また、部品保持ヘッド302が部品キャリヤ388の上方に移動する際に、吸着ノズル332は、旋回位置に旋回される。なお、旋回位置の吸着ノズル332に保持されたリード部品410のリード414が、鉛直方向での下方を向くように、吸着ノズル332は、ノズル回転装置335の作動により、旋回する。
【0051】
部品保持ヘッド302が部品キャリヤ388の上方に移動すると、リード414が鉛直方向での下方を向いた状態のリード部品410が、部品受け部材392の部品受容凹部416内に挿入される。これにより、リード部品410は、
図10に示すように、リード414を鉛直方向での下方に向けた状態で、部品受け部材392に載置される。
【0052】
そして、リード部品410が部品受け部材392に載置されると、部品キャリヤ388は、部品キャリヤ移動装置390の作動により、部品供給位置に移動する。部品供給位置に移動した部品キャリヤ388は、作業ヘッド60,62の移動範囲に位置しているため、ばら部品供給装置32では、この位置においてリード部品410が部品実装機10に供給される。このように、ばら部品供給装置32では、リード414が下方を向き、リード414が接続された底面と対向する上面が上方を向いた状態で、リード部品410が供給される。このため、作業ヘッド60,62の吸着ノズル66は、適切にリード部品410を保持することができる。
【0053】
このように、ばら部品供給装置32では、部品支持部材150のステージ156の上にピックアップ対象部品が散在されている際に、散在されているピックアップ対象部品のピックアップが繰り返され、ピックアップされたピックアップ対象部品が部品受け部材392に載置される。そして、部品受け部材392の装着された部品キャリヤ388が部品供給位置に移動することで、リード部品410の供給が行われる。ただし、部品支持部材150のステージ156の上にピックアップ対象部品が散在されていない場合には、ステージ156からリード部品410をピックアップすることができない。つまり、ピックアップが可能と判断されたリード部品410が全てピックアップされ、ピックアップが不可能と判断されたリード部品410、若しくは、判別が不能と判断されたリード部品410がステージ156の上に残存している場合には、ステージ156からリード部品410をピックアップすることができない。
【0054】
このため、ばら部品供給装置32では、そのような場合に、ステージ156の上に残存しているリード部品410が部品収容容器180に回収される。そして、部品収容容器180に回収されたリード部品410が、ステージ156の上に、再度、散在され、リード部品410の姿勢が変更されることで、ステージ156からのリード部品410のピックアップが再開される。
【0055】
具体的には、ステージ156の上のピックアップ対象部品が全てピックアップされると、部品支持部材150が、部品支持部材移動装置152の作動により、部品供給器88の下方に向かって移動する。つまり、部品支持部材150が、露出状態(
図5参照)から格納状態(
図6参照)に向かって移動する。この際、部品支持部材150の前端部に配設されている部品収容容器180は、開口を上方に向けた姿勢(回収姿勢)とされている。そして、部品支持部材150が露出状態から格納状態に向かって移動する際に、部品支持部材150のステージ156上のリード部品410は、部品供給器88の傾斜板128の前方側の端部によって堰き止められる。
【0056】
さらに、部品支持部材150が、
図6に示すように、格納状態に至るまで移動すると、ステージ156上のリード部品410が、部品収容容器180の内部に掻き落とされる。これにより、ステージ156の上のリード部品410が、部品収容容器180に回収される。このように、ステージ156の上のリード部品410が部品収容容器180に回収されると、その回収されたリード部品410が、再度、ステージ156の上に補給される。
【0057】
つまり、部品収容容器180へのリード部品410の回収が完了した際に、部品支持部材150は、
図6に示すように、格納状態とされている。このため、部品支持部材150が、部品支持部材移動装置152の作動により、格納状態から前方に向かって移動する。そして、部品支持部材150が格納状態から所定量、前方に向かって移動したタイミングで、部品戻し装置92の容器搖動装置181が作動し、部品収容容器180が搖動する。これにより、部品収容容器180の姿勢が、開口を上方に向けた姿勢(収容姿勢)から、開口をステージ156に向けた姿勢(戻し姿勢)に勢いよく変化する。
【0058】
この際、部品収容容器180に収容されたリード部品410が、ステージ156に向かって勢いよく放出される。これにより、部品収容容器180からステージ156の上にリード部品410が散在される。つまり、部品収容容器180に回収されたリード部品410が、ステージ156に補給される。これにより、補給されたリード部品410の姿勢が変更され、ステージ156の上から、再度、リード部品410がピックアップされる。
【0059】
上述したように、ばら部品供給装置32では、ピックアップ対象部品がステージ156から全てピックアップされると、ステージ156の上のリード部品410が部品収容容器180に回収される。そして、部品収容容器180に回収されたリード部品410が、再度、ステージ156の上に散在されることで、リード部品410の姿勢が変更され、ステージ156の上から、再度、リード部品410がピックアップされる。つまり、部品収容容器180に回収されたリード部品410が、再度、ステージ156の上に散在されると、ステージ156の上の部品がカメラ290により撮像され、撮像データに基づいてピックアップ対象部品が特定されることで、ピックアップ対象部品が部品保持ヘッド302により保持される。
【0060】
この際、部品収容容器180からステージ156の上に散在されるリード部品410が、第1の姿勢若しくは第2の姿勢になる確率、つまり、ピックアップ対象部品となる確率(以下、「保持可能確率」と記載する)は、高いことが望ましい。保持可能確率が高くなれば、部品収容容器180へのリード部品410の回収作業および、部品収容容器180からステージ156へのリード部品410の補給作業を行う回数が減少する。これにより、回収作業及び補給作業に要する時間の削減を行うことが可能となる。また、回収作業及び補給作業においてリード部品410に負荷が掛り、損傷や破損の虞があるため、回収作業及び補給作業が少なくなれば、リード部品410に対する負荷を少なくすることが可能となる。このようなことに鑑みて、ばら部品供給装置32では、部品収容容器180からステージ156に上に部品が散在される毎に、保持可能確率が演算されている。
【0061】
詳しくは、部品収容容器180からステージ156の上に部品が散在されると、ステージ156の上の部品がカメラ290により撮像され、撮像データに基づいてピックアップ対象部品が特定される。この際、撮像データに基づいて、位置情報と姿勢情報だけでなく、部品の数を示す情報(以下、「数情報」と記載する)も演算される。ここで、数情報として、ステージ156の上に散在されているリード部品410の総数(以下、「部品総数」と記載する)と、ピックアップ対象部品の数(以下、「保持可能数」と記載する)と、重なり合っているリード部品410の数(以下、「積層数」と記載する)とが演算される。
【0062】
具体的には、撮像データに基づいて、リード部品410が散在されたステージ156のうちの、リード部品410が載置され、リード部品410により占有されている面積(以下、「部品専有面積」と記載する)が演算される。つまり、例えば、撮像データに基づいて複数の部品の各々の外形線が認識され、各外形線に囲まれる箇所の面積が部品専有面積として演算される。
【0063】
なお、ステージ156の上にリード部品410が散在される前、つまり、何も載置されていない状態のステージ156が、カメラ290により撮像されている。そして、その撮像データに基づいて、ステージ156の面積(以下、「ステージ面積」と記載する)が演算されている。そして、部品占有面積がステージ面積により除されることで、ステージ156の上での部品が載置されている箇所の占める比率(以下、「部品占有率」と記載する)が演算される。この部品占有率が高くなれば、当然、ステージ156の上に載置されている部品の総数、つまり部品総数は多くなり、部品占有率が低くなれば、部品総数は少なくなる。このため、部品占有率と部品総数との関係は、概ね比例関係となり、その比例関係がマップデータとして記憶装置458に記憶されている。このため、部品占有率が演算されると、そのマップデータが参照されて、部品総数が演算される。
【0064】
また、部品占有面積とステージ面積とに基づいて、ステージ156の上での部品が載置されていない箇所、つまり、空きスペースの占める比率(以下、「空きスペース率」と記載する)も演算される。具体的には、ステージ面積から部品占有面積が減算されることで、空きスペースの面積が演算され、その空スペースの面積がステージ面積により除されることで、空スペース率が演算される。
【0065】
また、保持可能数は、ピックアップ対象部品が上述した手順に従ってパターンマッチングにより特定される際にカウントされる。なお、保持可能数は、部品の姿勢毎にカウントされる。つまり、第1の姿勢のリード部品410aの数が、保持可能数Aとしてカウントされ、第2の姿勢のリード部品410bの数が、保持可能数Bとしてカウントされる。これにより、保持可能数A及び保持可能数Bが演算される。そして、部品総数と保持可能数Aと保持可能数Bとが演算されると、保持可能数Aと保持可能数Bとの合計数が、部品総数により除されることで、保持可能確率が演算される。
【0066】
また、
図12に示すように、重なった状態のリード部品410dは、複数のリード部品が一体的に1つの部品として認識されるため、撮像データに基づいて部品の外形線が認識された場合に、その部品の外形線は、第1の姿勢及び第2の姿勢のリード部品より大きい。このため、撮像データに基づいて部品の外形線が認識され、パターンマッチングが行われる際に、認識された部品の形状が第1記憶部品形状及び第2記憶部品形状と一致せずに、第1記憶部品形状より大きい、若しくは、第2記憶部品形状より大きい部品が、積層数としてカウントされる。これにより、積層数が演算される。
【0067】
このように、部品総数,保持可能数A,保持可能数B,保持可能確率,空エリア率,積層数が演算されると、記憶装置458に記憶される。なお、部品総数,保持可能数A,保持可能数B,保持可能確率,空エリア率,積層数は、部品収容容器180からステージ156の上に部品が補給される毎に演算されており、補給される回数と関連付けて、記憶装置458に記憶される。つまり、例えば、
図14に示すように、1回目の補給時の部品総数,保持可能数A,保持可能数B,保持可能確率,空エリア率,積層数、2回目の補給時の部品総数,保持可能数A,保持可能数B,保持可能確率,空エリア率,積層数というように、補給回数ごとに記憶される。
【0068】
このように、部品収容容器180からステージ156の上に部品が補給される毎に、継続的に部品総数,保持可能数A,保持可能数B,保持可能確率,空エリア率,積層数が記憶されることで、ばら部品供給装置32では、各種の告知画面が表示パネル460に表示される。
【0069】
具体的には、
図12に示すように、ステージ156には、リード部品410と異なる種類のリード部品500,リード414が屈曲した不良品410a1,b1が散在される場合がある。そして、それらのリード部品500,不良品410a1,b1は、上述したように、ピックアップ対象部品として設定されることはない。このため、部品収容容器180からの補給作業が何回実行されても、それらの3個の部品はステージ156からピックアップされない。このような部品は、不動部品と呼ばれ、その不動部品により保持可能確率は低下する。特に、補給回数が増えて、部品総数が少なくなるほど、不動部品により保持可能確率は低下する。
【0070】
例えば、リード部品410をステージ156に散在した場合の保持可能確率の理論値が50%である場合には、50個のリード部品410に不動部品が無ければ、50個の50%の数、つまり、25個のリード部品410がピックアップ対象部品となる。一方で、
図12に示すように、3個の不動部品がステージ156に散在されており、その際のステージ156の部品総数が50個である場合には、理論値的には、47個の50%、つまり、23.5個のリード部品410がピックアップ対象部品となる。つまり、ピックアップ対象部品の理論値は、23.5個となる。
【0071】
また、
図14には、3個の不動部品を含む部品がステージ156に散在されている場合に演算された部品総数等が記されている。そして、
図14では、1回目の補給時に演算された部品総数は50個とされており、保持可能数(A+B)、つまり、ピックアップ対象部品の個数は24個とされている。この1回目の補給時に演算されたピックアップ対象部品の個数(24個)は、概ねピックアップ対象部品の理論値(23.5個)に近い数値となっている。また、1回目の補給時に演算された保持可能確率は48%となっており、保持可能確率の理論値(50%)と略同じである。
【0072】
また、24個のピックアップ対象部品がステージ156からピックアップされた後に、残りの26個の部品が部品収容容器180に収容され、再度、部品収容容器180からステージ156に散在される。この際、部品総数26個のうちの3個が不動部品であるため、ピックアップ対象部品の理論値は、23個の50%、つまり、11.5個となる。そして、
図14では、2回目の補給時に演算された保持可能数(A+B)、つまり、ピックアップ対象部品の個数は11個とされている。この2回目の補給時に演算されたピックアップ対象部品の個数(11個)は、概ねピックアップ対象部品の理論値(11.5個)に近い数値となっている。一方で、2回目の補給時に演算された保持可能確率は42%となっており、保持可能確率の理論値(50%)より低い。つまり、1回目の補給時に演算された保持可能確率は48%であったが、2回目の補給時に演算された保持可能確率は42%となり、保持可能確率の理論値(50%)より低くなっている。これは、2回目の補給時に保持可能確率が演算される際の部品総数のうちの不動部品の占める比率(3/26)が、1回目の補給時に保持可能確率が演算される際の部品総数のうちの不動部品の占める比率(3/50)の2倍程度、多くなっているためである。
【0073】
また、11個のピックアップ対象部品がステージ156からピックアップされた後に、残りの15個の部品が部品収容容器180に収容され、再度、部品収容容器180からステージ156に散在される。この際、部品総数15個のうちの3個が不動部品であるため、ピックアップ対象部品の理論値は、12個の50%、つまり、6個となる。そして、
図14では、3回目の補給時に演算された保持可能数(A+B)、つまり、ピックアップ対象部品の個数は6個とされている。この3回目の補給時に演算されたピックアップ対象部品の個数(6個)は、ピックアップ対象部品の理論値(6個)と同じである。一方で、3回目の補給時に演算された保持可能確率は40%となっており、保持可能確率の理論値(50%)より低い。つまり、1回目の補給時に演算された保持可能確率は48%であったが、3回目の補給時に演算された保持可能確率は40%となり、保持可能確率の理論値(50%)より更に低くなっている。これは、3回目の補給時に保持可能確率が演算される際の部品総数のうちの不動部品の占める比率(3/15)が、1回目の補給時に保持可能確率が演算される際の部品総数のうちの不動部品の占める比率(3/50)の3.3倍程度、多くなっているためである。
【0074】
さらに、6個のピックアップ対象部品がステージ156からピックアップされた後に、残りの9個の部品が部品収容容器180に収容され、再度、部品収容容器180からステージ156に散在される。この際、部品総数9個のうちの3個が不動部品であるため、ピックアップ対象部品の理論値は、6個の50%、つまり、3個となる。そして、
図14では、4回目の補給時に演算された保持可能数(A+B)、つまり、ピックアップ対象部品の個数は3個とされている。この4回目の補給時に演算されたピックアップ対象部品の個数(3個)は、ピックアップ対象部品の理論値(3個)と同じである。一方で、4回目の補給時に演算された保持可能確率は33%となっており、保持可能確率の理論値(50%)より低い。つまり、1回目の補給時に演算された保持可能確率は48%であったが、4回目の補給時に演算された保持可能確率は33%となり、保持可能確率の理論値(50%)より大幅に低くなっている。これは、4回目の補給時における部品総数のうちの不動部品の占める比率(3/9)が、1回目の補給時における部品総数のうちの不動部品の占める比率(3/50)の5倍以上、多くなっているためである。
【0075】
このように、補給回数が増えて、部品総数が少なくなるほど、部品総数のうちの不動部品の占める比率が高くなり、補給時に演算される保持可能確率は低下する。つまり、ステージ156に不動部品があれば、補給回数が増えるほど、補給時に演算される保持可能確率は低下する。一方で、ステージ156に不動部品がなければ、補給回数が増えても、補給時に演算される保持可能確率は低下せず、概ね保持可能確率の理論値となる。このようなことに鑑みて、ばら部品供給装置32では、部品収容容器180からステージ156に部品が供給される毎に演算される保持可能確率が、保持可能確率の理論値を基準とする基準値以下となった場合に、不動部品の混入を警告する告知画面を表示パネル460に表示する。なお、基準値は誤差等を考慮して、例えば、保持可能確率の理論値(50%)より10%低い値に設定されている。このため、基準値として40%が設定され、演算される保持可能確率が40%以下となった場合、つまり、3回目の補給時に保持可能確率が演算された際に、
図15に示すように、不動部品の混入を警告する告知画面510が表示パネル460に表示される。
【0076】
なお、告知画面510には、ステージ156の部品の確認を促すコメント512が表示される。これにより、ステージ156に不動部品が混入している場合に、作業者が不動部品を取り除くことで、保持可能確率の低下を防止することができる。また、吸着ノズル332によりステージ156から部品が保持される際に、吸着ノズル332に何らかの異常が生じている場合に、吸着ノズル332による部品の保持時に部品が破損する虞がある。また、部品収容容器180に収容された部品がステージ156に散在される際に、部品戻し装置92に何らかの異常が生じている場合に、部品が破損する虞がある。つまり、吸着ノズル332若しくは部品戻し装置92の作動によって、正常なリード部品410が不良品410a1,b1となる虞がある。そこで、告知画面510には、部品を保持する保持具、つまり、吸着ノズル332及び、部品戻し装置92の確認を促すコメント514も表示される。これにより、不良品410a1,b1の発生を抑制し、保持可能確率の低下を防止することができる。
【0077】
また、補給時に演算された保持可能確率が低下する要因として、不動部品だけでなく、撮像データに基づいてパターンマッチングを適切に実行できていない虞もある。詳しくは、撮像データに基づいてパターンマッチングが行われる際に、撮像データが画像処理されるが、その画像処理において、例えば、画素単位で2値化される。この際、画素単位の輝度,色相,明度等の数値が閾値以上であるか否かが判断され、画素単位で2値化されることで、部品の外形線が認識される。このため、撮像データに基づく画像処理では、輝度などの数値の閾値がパラメータとして設定されており、このパラメータを基準として画像処理が実行される。ただし、撮像時の露光量,明るさ等の条件により、適切に部品の外形線を認識できない場合がある。このように、部品の外形線を適切に認識できないと、ピックアップ対象部品を特定できず、保持可能確率が低下する。
【0078】
このようなことに鑑みて、補給時に演算された保持可能確率が低下した場合、具体的には、補給時に演算された保持可能確率が上記基準値(40%)以下となった場合に、画像処理のパラメータが変更される。そして、変更されたパラメータを基準として、画素単位で2値化され、撮像データに基づくパターンマッチングが実行される。これにより、適切に部品の外形線を認識し、ピックアップ対象部品を適切に特定することで、保持可能確率の低下を防止することが可能となる。このように、ばら部品供給装置32では、補給時に演算された保持可能確率が上記基準値(40%)以下となった場合に、告知画面510が表示パネル460に表示されるとともに、画像処理のパラメータが変更されることで、保持可能確率の低下が防止される。
【0079】
さらに、ばら部品供給装置32では、補給時に演算された積層数,保持可能数などに基づいて、部品供給器88からの部品の供給インターバルの変更を促す告知画面が表示パネル460に表示される。詳しくは、積層数は、ステージ156の上において重なり合っている部品の数であり、保持可能数は、ステージ156の上からピックアップ可能な部品の数である。そして、ステージ156の上からピックアップ可能な部品数が少ないにも関わらず、ステージ156の上で重なり合っている部品の数が多い場合には、ステージ156の上に供給された部品の数が多すぎると想定することができる。
【0080】
そこで、補給時に演算された積層数が予め設定された最大積層数を超え、補給時に演算された保持可能数が予め設定された最小保持可能数より少ない場合に、
図16に示すように、ステージ156に上に供給される部品数の抑制を促す告知画面520が、表示パネル460に表示される。その告知画面520には、部品供給器88からステージ156に供給される部品供給インターバルを長くすることを促すコメント522が表示されている。そして、作業者がそのコメント522に従って部品供給インターバルを長くすることで、ステージ156の上の部品数を抑制することが可能となる。これにより、ステージ156の上での部品の重なりを抑制し、ステージ156の上からピックアップ可能な部品を増加させることで、保持可能確率を高くすることが可能となる。
【0081】
一方で、ステージ156の上で重なり合っている部品の数が少なく、ステージ156の上からピックアップ可能な部品数も少ない場合において、ステージ156の部品が載置されていない領域が大きければ、ステージ156の上に供給されている部品の数が少なすぎると想定できる。そこで、積層数が予め設定された最小設定積層数より少なく、保持可能数が予め設定された最小保持可能数より少ない場合に、空エリア率が設定比率より大きいことを条件として、ステージ156に上に供給される部品数の増大を促す告知画面(図示省略)が、表示パネル460に表示される。その告知画面には、部品供給器88からステージ156に供給される部品供給インターバルを短くすることを促すコメントが表示されている。そして、作業者がそのコメントに従って部品供給インターバルを短くすることで、ステージ156の上の部品数を増大させることが可能となる。これにより、ステージ156の上からピックアップ可能な部品を増加させることで、保持可能確率を高くすることが可能となる。
【0082】
なお、ばら部品供給装置32の個別制御装置452は、演算部550と記憶部552と保持部554と判断部556と変更部558と補給部560とを備えている。演算部550は、撮像データに基づいて、ステージ156の上の部品の位置を示す位置情報と、部品の姿勢を示す姿勢情報と、部品の数を示す数情報とを演算するための機能部である。記憶部552は、演算された位置情報と姿勢情報と数情報とを記憶装置458に記憶させるための機能部である。保持部554は、演算された位置情報と姿勢情報とに基づいて、吸着ノズル332により部品を保持するための機能部である。判断部556は、演算された数情報に基づいて、画像処理のパラメータを変更するか否かを判断するための機能部である。変更部558は、判断部556によりパラメータを変更すると判断された場合に画像処理のパラメータを変更するための機能部である。補給部560は、部品供給器88のコンベア装置106を作動させ、部品供給器88からステージ156に部品を補給するための機能部である。
【0083】
また、ばら部品供給装置32は、部品供給装置の一例である。ステージ156は、ステージの一例である。カメラ290は、撮像装置の一例である。吸着ノズル332は、保持具の一例である。個別制御装置452は、演算装置の一例である。記憶装置458は、記憶装置の一例である。また、演算部550により実行される工程が、演算工程の一例である。記憶部552により実行される工程が、記憶工程の一例である。保持部554により実行される工程が、保持工程の一例である。判断部556により実行される工程が、判断工程の一例である。変更部558により実行される工程が、変更工程の一例である。補給部560により実行される工程が、補給工程の一例である。
【0084】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、補給時に演算された積層数,保持可能数などに基づいて、部品供給器88からの部品の供給インターバルの変更を促す告知画面が表示パネル460に表示されているが、自動で部品の供給インターバルが変更されてもよい。つまり、積層数が最大積層数を超え、保持可能数が最小保持可能数より少ない場合に、部品の供給インターバルが自動的に長くされてもよい。また、積層数が最小積層数より少なく、保持可能数が最小保持可能数より少ない場合に、空エリア率が設定比率より大きいことを条件として、部品の供給インターバルが自動的に短くされてもよい。このように、自動的に部品の供給インターバルを変更する工程が、変更工程の一例となる。
【0085】
また、上記実施例では、記憶装置458に記憶された保持可能確率等の数情報に基づいて、告知画面の表示,画像処理のパラメータの変更が行われているが、数情報に基づいて種々の作業を行うことが可能である。例えば、ステージ156の上の複数の部品が撮像された場合に、撮像データに基づいて複数の部品の画像処理が実行される順番を、数情報に基づいて決定してもよい。具体的には、ステージ156の左側に多くの部品が載置されている場合に、左側に位置する部品から画像処理が実行されてもよい。
【0086】
また、上記実施例では、視野角の広いカメラ290が採用されており、ステージ156全体の撮像を一回で行うことができるが、視野角の狭いカメラを採用した場合に、ステージ156を複数のエリアに分けて、複数回、撮像してもよい。
【0087】
また、上記実施例では、部品専有面積に基づいて、部品総数が演算されているが、種々の手法により、部品総数が演算されてもよい。例えば、撮像データに基づいて、種々の姿勢の部品の外形線を区別し、区別された外形線に基づいて、部品総数が演算されてもよい。
【0088】
また、上記実施例では、リード部品410に本発明が適用されているが、種々の種類の部品に本発明を適用することが可能である。具体的には、例えば、太陽電池の構成部品,パワーモジュールの構成部品,リードを有さない電子回路部品等に、本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0089】
32:ばら部品供給装置(部品供給装置) 156:ステージ 290:カメラ(撮像装置) 332:吸着ノズル(保持具) 452:個別制御装置(制御装置) 458:記憶装置 550:演算部(演算工程) 552:記憶部(記憶工程) 554:保持部(保持工程) 556:判断部(判断工程) 558:変更部(変更工程) 560:補給部(補給工程)