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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】圧縮ガスの乾燥装置及び乾燥方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20240520BHJP
   B01D 53/04 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
B01D53/26 231
B01D53/04 230
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022538738
(86)(22)【出願日】2020-12-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-27
(86)【国際出願番号】 IB2020062470
(87)【国際公開番号】W WO2021137126
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-06-22
(31)【優先権主張番号】2020/4999
(32)【優先日】2020-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】593074329
【氏名又は名称】アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ATLAS COPCO AIRPOWER,naamloze vennootschap
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマンス ハンス マリア カレル
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09744496(US,B1)
【文献】実開昭61-204629(JP,U)
【文献】特開昭60-087830(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第01521297(GB,A)
【文献】特表2008-519929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/02-12、26-28
F04B 39/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥される圧縮ガスの入口(7)と乾燥された圧縮ガスの出口(8)を有する乾燥装置(1)によって圧縮ガスを乾燥させる方法であって、前記乾燥装置(1)は、再生可能な乾燥剤(3)で満たされた少なくとも2つの容器(2)と、前記入口(7)及び前記出口(8)をそれぞれ前記容器(2)に接続する第1のバルブブロック(5)及び第2のバルブブロック(6)で構成される制御可能なバルブシステム(4)とを備え、前記制御可能なバルブシステム(4)は、少なくとも一方の容器(2)が圧縮ガスを乾燥させることになるが、他方の容器(2)が連続して再生及び冷却されるように調節され、前記バルブシステム(4)を調節することによって、前記容器(2)の各々が、順番に圧縮ガスを乾燥させるようになっており、
前記方法は、冷却される容器(2)を冷却するために、第1の冷却サイクル及び第2の冷却サイクルを提供することから成り、前記第1の冷却サイクルは、前記容器(2)に周囲空気を通すことから成り、前記第2の冷却サイクルは、前記出口(8)で乾燥圧縮ガスを分岐させ、膨張させて、冷却される前記容器(2)に通し、その後、膨張されたガスを放出することから成り、所定の条件に応じて、第1の冷却サイクル及び第2の冷却サイクルの両方が適用されることになり、
前記方法は、前記第1の冷却サイクルに関し、冷却器を有する閉鎖型冷却回路(17)を使用することから成り、前記周囲空気が吸い込まれた後で、前記周囲空気は、次に、前記閉鎖型冷却回路(17)の中を循環し前記冷却器(18)によって冷却される、方法。
【請求項2】
前記方法は、前記容器(2)が前記第1の冷却サイクルで冷却された後に、前記容器(2)内の又は前記容器(2)の前記出口(8)の温度を測定する又は決定するステップと、前記温度が所定の最高温度(Tmax)より高い場合、前記第2の冷却サイクルで前記容器(2)を追加的に冷却するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記容器(2)が冷却される前に、前記出口(8)での露点を決定又は測定するステップ、又は所定の期間にわたる前記出口(8)での平均露点を決定又は測定するステップを含み、
-前記露点が所定の最大露点(DPmax)に等しいか又はそれより高い場合、前記容器(2)を前記第2の冷却サイクルで冷却し、
-前記露点が前記所定の最大露点(DPmax)より低い場合、前記容器(2)を前記第1の冷却サイクルで冷却する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の冷却サイクルに関して、前記方法はまた、出口(8)で圧縮された、乾燥された、分岐したガスを膨張させるために膨張弁(13)を使用することから成る、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記第1の冷却サイクルに関して、前記方法は、再生される容器(2)を再生する再生サイクルを提供することから成り、前記再生サイクルは、周囲空気を加熱して対象とする前記容器(2)を通過させ、その後、放出させることから成る、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
圧縮ガスを乾燥させる乾燥装置であって、前記乾燥装置(1)は、乾燥される圧縮ガスの入口(7)と、乾燥された圧縮ガスの出口(8)とを備え、前記乾燥装置(1)は、再生可能な乾燥剤(3)で満たされた少なくとも2つの容器(2)と、前記入口(7)及び前記出口(8)をそれぞれ前記容器(2)に接続する第1のバルブブロック(5)及び第2のバルブブロック(6)で構成される制御可能なバルブシステム(4)とを備え、前記制御可能なバルブシステム(4)は、少なくとも一方の容器(2)が圧縮ガスを乾燥させることになるが、他方の容器(2)が連続的に再生及び冷却されるようなものであり、前記バルブシステム(4)を調節することによって、前記容器(2)の各々が、順番に圧縮ガスを乾燥させるようになっており、
前記乾燥装置(1)は、周囲空気を吸い込むブロア(10)、ガス放出ポート(11)、及び、前記ブロア(10)又は前記ガス放出ポート(11)のいずれかを前記第1のバルブブロック(5)を介して前記容器(2)に接続することを可能にする四方弁(9)、バルブブロック又は類似のものを追加的に備え、このようにして、前記四方弁(9)が前記ブロア(10)を前記第1のバルブブロック(5)に接続する場合に、前記ブロア(10)によって吸い込まれた前記周囲空気が前記四方弁(9)及び前記第1のバルブブロック(5)を介して前記冷却される容器(2)に入ることができ、前記乾燥装置(1)は、乾燥圧縮ガスを分岐して膨張させ、前記第2のバルブブロック(6)を介して前記冷却される容器(2)に導くことができる分岐パイプ(12)をさらに備え、このようにして、前記四方弁(9)が前記ガス放出ポート(11)を前記第1のバルブブロック(5)に接続する場合に、前記分岐されたガスが、前記冷却される容器(2)を通過した後に、前記ガス放出ポート(11)を通って放出されることができ、
前記乾燥装置(1)は、前記第2のバルブブロック(6)を前記ブロア(10)の入口側(16)に接続する冷却パイプ(15)をさらに備え、このようにして、前記四方弁(9)、前記バルブブロック又は類似のものが前記ブロア(10)を前記第1のバルブブロック(5)に接続した場合に、閉鎖型冷却回路(17)が形成され、前記閉鎖型冷却回路(17)は、前記ブロア(10)、前記四方弁(9)、前記第1のバルブブロック(5)、前記容器(2)、前記第2のバルブブロック(6)及び前記冷却パイプ(15)により連続的に形成されるものであり、
前記冷却パイプ(15)は、冷却器(18)を備え、
前記乾燥装置は、冷却される容器(2)を冷却するために、第1の冷却サイクル及び第2の冷却サイクルを提供し、前記第1の冷却サイクルは、前記容器(2)に周囲空気を通すことから成り、前記第2の冷却サイクルは、前記出口(8)で乾燥圧縮ガスを分岐させ、膨張させて、冷却される前記容器(2)に通し、その後、膨張されたガスを放出することから成り、所定の条件に応じて、第1の冷却サイクル及び第2の冷却サイクルの両方が適用されることになる、乾燥装置。
【請求項7】
前記乾燥装置(1)は、ヒータ(20)を含む再生パイプ(19)をさらに備え、前記再生パイプ(19)は、前記四方弁(9)と前記第2のバルブブロック(6)を接続し、前記四方弁(9)が前記ガス放出ポート(11)と前記第1のバルブブロック(5)を接続する場合、前記四方弁(9)は、前記ブロア(10)を前記再生パイプ(19)に、従って前記第2のバルブブロック(6)に接続し、このようにして、前記ブロア(10)、前記四方弁(9)、前記ヒータ(20)を有する前記再生パイプ(19)、前記第2のバルブブロック(6)、前記再生される容器(2)、前記第1のバルブブロック(5)、前記四方弁(9)及び前記ガス放出ポート(11)で構成される再生回路(21)が形成される、請求項6に記載の乾燥装置。
【請求項8】
前記再生パイプ(19)及び前記冷却パイプ(15)は、部分的に一致する、請求項7に記載の乾燥装置。
【請求項9】
前記分岐パイプ(12)は、膨張弁(13)を含む、請求項6から8のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項10】
前記分岐パイプ(12)は、前記第2のバルブブロック(6)に一体化されているか、又はその一部である、請求項6から9のいずれかに記載の乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮ガスを乾燥させるための方法及び乾燥装置に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、乾燥される圧縮ガスの入口と、乾燥された圧縮ガスの出口とを備えた乾燥装置を対象とし、乾燥装置は、再生可能な乾燥剤で満たされている少なくとも2つの容器と、上記の入口及び出口を上記の容器に接続する制御可能なバルブシステムとを含み、制御可能なバルブシステムは、少なくとも1つの容器が圧縮ガスを乾燥させることになるが、他の容器が連続して再生及び冷却されるようになっており、容器の各々は、バルブシステムの調整により順番に圧縮ガスを乾燥させることになる。
【背景技術】
【0003】
再生可能な乾燥剤とは、吸着によってガスから水分を吸収することができ、水分で飽和状態になると、これを通じていわゆる再生ガスを送ることによって乾燥させることができる乾燥剤を意味する。このプロセスは、乾燥剤の再生とも呼ばれる。再生ガスは、通常、高温ガスである。
【0004】
これは吸着の原理であるが、本発明は吸収の原理にも適用することができる。
【0005】
容器が乾燥すると、これは乾燥させることになる圧縮ガスから水分を吸収し、乾燥剤が飽和状態になる。
【0006】
次に、この容器は再生され、一般的に、暖かい空気が通過することができ、この暖かい空気は、乾燥剤から水分を抽出してこれを再生させることになる。
【0007】
圧縮ガスを乾燥させるために容器を再び使用する前に、容器は最初に冷却されることになる。
【0008】
乾燥圧縮ガスの一部が分岐され、乾燥装置の出口で膨張する方法が既に実施されている。結果的に、ガスは、冷たくなり、その後、容器を通過してこれを冷却することになる。
【0009】
その後、使用済みのガスは放出される。
【0010】
この方法は、容器を冷却することができるように圧縮された乾燥空気の一部を失うという欠点があり、これは明らかに好ましくない。
【0011】
また、周囲空気を対象の容器に通過させる方法もある。
【0012】
これは、例えば、ブロアなどによって吸い込むことができる。
【0013】
吸い込まれた空気は、容器内を何度も通過し、その都度、空気対空気冷却器を通過して冷却される。
【0014】
この場合の欠点は、周囲温度以下に冷却することができないことである。周囲温度が高いと、吸い込まれた空気の冷却が不十分となり、冷却後の容器の温度が十分に下がらない可能性がある。
【0015】
加えて、冷却器が故障した場合、吸い込まれた空気が冷却されないため、これも容器の温度が十分に下がらない原因となる。
【0016】
その結果、容器は、次の吸着サイクルの間に、乾燥されることになるガスから多くの水分を抽出することができなくなる。
【0017】
圧縮されたガス中に残る水分は、最終消費者に問題をもたらす可能性がある。
【0018】
別の欠点は、周囲空気を使用することによって、水分が容器に入る可能性があることである。
【0019】
その結果、乾燥装置の出口での露点が高くなりすぎる可能性があり、これは明らかに望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、上記の欠点及び他の欠点の少なくとも1つを解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この目的のために、本発明は、乾燥される圧縮ガスの入口と乾燥された圧縮ガスの出口を有する乾燥装置によって圧縮ガスを乾燥する方法に関し、乾燥装置は、再生可能な乾燥剤で満たされた少なくとも2つの容器と、入口及び出口のそれぞれを容器に接続する第1のバルブブロック及び第2のバルブブロックで構成される制御可能なバルブシステムとを備え、制御可能なバルブシステムは、少なくとも一方の容器が圧縮ガスを乾燥させることになるが、他方の容器が連続して再生及び冷却されるように調節され、バルブシステムを調節することによって、容器の各々が、順番に圧縮ガスを乾燥させるようになっており、本方法は、冷却される容器を冷却するための第1及び第2の冷却サイクルを提供することから成り、第1の冷却サイクルは、容器を通して周囲空気を送ることから成り、第2の冷却サイクルは、出口で乾燥圧縮ガスを分岐させこれを拡張させて、冷却される容器に通し、その後、放出することから成り、所定の条件に応じて、第1又は第2の冷却サイクル、又はその両方を適用するようになっている。
【0022】
このような方法の利点は、常に、最もエネルギー効率の高い第1の冷却サイクルで冷却することができるが、それでも、必要に応じて、所定の条件を適切に選択することにより、一種の「フェールセーフ」として、より堅牢で安全な第2の冷却サイクルを適用することができることである。
【0023】
このようにして、例えば周囲温度が高くなりすぎた場合でも、圧縮ガスは常に適切に乾燥され、加えて、第2の冷却サイクルは、それが必要とされる条件下でのみ使用される。
【0024】
好ましい実施形態では、容器が第1の冷却サイクルで冷却された後、容器内又は容器の出口の温度を測定又は決定し、この温度が所定の最高温度より高い場合、第2の冷却サイクルで容器を追加的に冷却することから成る。
【0025】
これは、容器を冷却するために、常に最もエネルギー効率の良い第1の冷却サイクルが使用されることになるという利点を有する。
【0026】
第2の冷却サイクルは、必要に応じて容器の温度をさらに低下させるためにのみ使用されることになる。
【0027】
加えて、第2の冷却サイクルがオンになると、この第2の冷却サイクルは、限られた追加的な冷却を行うだけでよく、これは、より短い期間で使用されなければならないことを意味する。
【0028】
別の好ましい実施形態では、本方法は、容器が冷却される前に、出口での露点を決定又は測定するステップ、又は所定の期間にわたる出口での平均露点を決定又は測定するステップを含み、
-露点が所定の最大露点に等しいか又はそれより高い場合、容器を第2の冷却サイクルで冷却し、
-露点が所定の最大露点より低い場合、容器を第1の冷却サイクルで冷却する、
ようになっている。
【0029】
この場合、露点が高すぎる場合は、第2の冷却サイクルのみが適用されることになる。第2の冷却サイクルには乾燥空気が使用されるので、冷却プロセス中に対象の容器から水分を抽出することができる。
【0030】
このようにして、容器は、乾燥され、同時に追加的に再生されることになる。
【0031】
従って、露点は、対象の容器が吸着段階にある場合に、すなわち対象の容器がガスを乾燥させている場合に決定又は測定されることに留意することが重要である。
【0032】
また、吸着段階の全て又は一部の間に露点を測定又は決定し、その後その平均を取ることも可能である。
【0033】
また、本発明は、上記の方法を適用できるようにする、すなわち、第1の冷却サイクル及び第2の冷却サイクルの両方を適用できるようにする乾燥装置に関する。
【0034】
この目的のために、本発明は、圧縮ガスを乾燥させるための乾燥装置に関し、乾燥装置は、乾燥される圧縮ガスの入口と、乾燥された圧縮ガスの出口とを備え、乾燥装置は、再生可能な乾燥剤で満たされた少なくとも2つの容器と、入口及び出口をそれぞれ容器に接続する第1のバルブブロック及び第2のバルブブロックで構成される制御可能なバルブシステムとを備え、バルブシステムは、少なくとも一方の容器が圧縮ガスを乾燥させることになるが、他方の容器が連続的に再生及び冷却されるように調節され、容器の各々が順番に圧縮ガスを乾燥させることはバルブシステムによって制御され、乾燥装置は、周囲空気を吸い込むブロア、ガス放出ポート、及び、ブロア又はガス放出ポートのいずれかが「第1」のバルブブロックを介して容器に接続されることを可能にする四方弁をさらに備え、このようにして、四方弁がブロアを「第1」のバルブブロックに接続する場合に、ブロアによって吸い込まれた周囲空気が四方弁及び「第1」のバルブブロックを介して冷却される容器に入ることができ、乾燥装置は、乾燥圧縮ガスを分岐して膨張させ、「第2」のバルブブロックを介して冷却される容器に導くことができる分岐パイプをさらに備え、このようにして、四方弁がガス放出ポートを「第1」バルブブロックに接続する場合に、分岐されたガスが冷却される容器を通過した後に、ガス放出ポートを通って放出されることができる。
【0035】
このような乾燥装置の利点は、本発明による方法の使用、すなわち、第1の冷却サイクル及び第2の冷却サイクルの両方を適用することができることである。
【0036】
乾燥装置の構成要素、特に四方弁及びバルブシステムを上手く制御することによって、必要なすべての回路を比較的コンパクトな方法で作ることができる。
【0037】
言うまでもなく、本方法の上記の全ての利点は、装置にも適用できる。
【0038】
本発明の特徴をよりよく示すために、以下では、本発明による方法及び乾燥装置の好ましい複数の実施形態を添付の図面を参照して非限定的に例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明による乾燥装置を概略的に示す。
図2図1の乾燥装置を異なる位置で概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1に概略的に示される本発明による圧縮ガスを乾燥させるための乾燥装置1は、基本的に、水分吸収剤3で満たされた2つの容器2を備える。
【0041】
この再生可能な水分吸収剤3は、乾燥剤とも呼ばれる。
【0042】
勿論、容器2は3以上とすることができる。
【0043】
乾燥装置1は、第1のバルブブロック5及び第2のバルブブロック6で構成されるバルブシステム4をさらに備える。
【0044】
第1のバルブブロック5は、容器2を乾燥圧縮ガスのための入口7に接続し、第2のバルブブロック6は、容器2を乾燥圧縮ガスのための出口8に接続することになる。
【0045】
上記のバルブブロック5、6は、どの時点においても、少なくとも1つの容器2が再生され、一方で1又は複数の他の容器2が圧縮ガスを乾燥するように調節することができる異なるパイプ及びバルブのシステムであり、バルブシステム4を調節することによって、容器2の各々は、順番に圧縮ガスを乾燥させることになる。
【0046】
さらに、本発明によれば、乾燥装置1は、四方弁9、周囲空気を取り込むためのブロア10、及びガスを放出するためのガス放出ポート11を備え、これは、図1に示すように、四方弁9の第1の位置では、ブロア10は、第1のバルブブロック5を介して容器2に接続されるように構成され、図2に示すように、四方弁9の第2の位置では、ガス放出ポート11は、第1のバルブブロック5を介して容器2に接続されるように構成される。
【0047】
勿論、ブロア10の代わりに、周囲空気を取り込むために他の手段を設けることは排除されない。
【0048】
また、四方弁9の代わりに、四方弁9と同様の構成を実現できる、例えば4つの弁又は空気入口又は他の手段を有するバルブブロックを用いることも可能である。
【0049】
図1に示すように、乾燥装置1は、四方弁9の第1の位置において、ブロア10により四方弁9及び第1のバルブブロック5を介して吸い込まれた周囲空気が、冷却される容器2に入ることができるようになっている。
【0050】
勿論、バルブブロック5は、ガスの正しい流路を可能にするために適切な方法で調節される。
【0051】
加えて、乾燥装置1は、乾燥圧縮ガスを分岐して膨張させ、第2のバルブブロック6を介して乾燥圧縮ガスを冷却される容器2に導くことができる分岐パイプ12を備える。
【0052】
この場合、上記の分岐パイプ12は、分岐された乾燥圧縮気体を膨張させる膨張弁13を含む。
【0053】
上記の分岐パイプ12は、好ましくは、第2のバルブブロック6に少なくとも部分的に一体化されているか、又は、第2のバルブブロック6の少なくとも一部である。
【0054】
分岐パイプ12は、第2のバルブブロック6に完全に一体化されている。
【0055】
図2に示すように、乾燥装置1は、四方弁9が第2の位置にある場合、分岐されたガスが、冷却された容器2を通過した後、ガス放出ポート11から放出することができるようになっている。
【0056】
勿論、バルブブロック6は、ガスの正しい流路を可能にするために適切な方法で調節される。
【0057】
換言すると、分岐パイプ12、第2のバルブブロック6、冷却される容器2、第1のバルブブロック5、四方弁9、ガス放出ポート11からなる開放型冷却回路14が形成される。この開放型冷却回路14は、以下に説明するように、第2の冷却サイクルに使用される。
【0058】
図1及び図2に示す例では、本発明では必須ではないが、乾燥装置1は、第2のバルブブロック6をブロア10の入口側16に接続する冷却パイプ15を備える。
【0059】
図面から、四方弁9が第1の位置にある場合、ブロア10、四方弁9、第1のバルブブロック5、容器2、第2のバルブブロック6、及び冷却パイプ15によって連続的に形成される閉鎖型冷却回路17が形成されることになることが分かる。
【0060】
図面から分かるように、冷却パイプ15は冷却器18を含む。この冷却器18は、例えば、空気対空気冷却器18とすることができる。
【0061】
上記の閉鎖型冷却回路17は、以下に説明するように、第1の冷却サイクルに使用されることになる。
【0062】
しかしながら、本発明では、第1の冷却サイクルに開放型回路を用いることも可能である。この場合、上記の冷却器18を有する冷却パイプ15は存在せず、第2のバルブブロック6に接続されたガス放出ポート、放出バルブなどに置き換えられることになる。次に、第1の冷却サイクルの開放回路は、ブロア10、四方弁9、第1のバルブブロック5、容器2、第2のバルブブロック6、ガス放出ポート又は放出バルブで構成される。
【0063】
加えて、乾燥装置1は、四方弁9を第2のバルブブロック6に接続する再生パイプ19を備える。
【0064】
四方弁9の第2の位置において、四方弁9がガス放出ポート11を第1のバルブブロック5に接続する場合、四方弁9はブロア10を再生パイプ19に、従って第2のバルブブロック6に接続することになる。
【0065】
この再生パイプ19は、ヒータ20、この場合は電気ヒータ20を備える。
【0066】
図2から分かるように、四方弁9の第2の位置では、ブロア10、四方弁9、ヒータ20を備えた再生パイプ19、第2のバルブブロック6、再生される容器2、第1のバルブブロック5、四方弁9及びガス放出ポート11を備える再生回路21が形成される。
【0067】
四方弁9の第2の位置では、第2の冷却サイクルに使用される開放型冷却回路14と同様に再生回路21が形成される。再生回路21又は開放冷却回路14は、バルブブロック5、6の適切な調節によって実現される。
【0068】
図面から分かるように、この場合、再生パイプ19と冷却パイプ15は部分的に一致する。
【0069】
この場合、第2のバルブブロック6からは1つのパイプ22だけが出ることになるが、このパイプは上記のヒータ20も含む。上記のパイプ22は2つの別々のパイプ22a,22bに分岐し、一方は冷却器18が含まれるブロア10の入口側16につながり、他方は四方弁9につながる。
【0070】
言うまでもなく、開放型冷却回路14、閉鎖型冷却回路17、再生回路21を実施する場合には、バルブブロック5、6及び四方弁9を適切に調節することに加え、ヒータ20及び冷却器18も適切に調節される。
【0071】
最後に、この場合の乾燥装置1は、本発明では必須ではないが、容器2の温度を測定できる温度センサ23及び容器2の出口での露点を測定できる露点センサ24を含む。この場合、両センサ23,24は、容器2の出口側、すなわち、乾燥装置1の出口8に接続された容器2の側に位置する。
【0072】
乾燥装置1の動作及び乾燥装置1を用いて圧縮ガスを乾燥させるための本発明による方法は非常に単純であり、以下の通りである。
【0073】
乾燥装置1の動作中、乾燥される圧縮ガスは、入口7から乾燥している容器2に入ることになる。
【0074】
この容器2を通過すると、乾燥剤3はガスから水分を抽出することになる。
【0075】
乾燥圧縮ガスは、出口8から乾燥装置1を出ることになる。
【0076】
前のサイクルで既にガスを乾燥させた他の容器2は、水分を含んでおり、その間に再生される。
【0077】
再生サイクルが使用され、これは周囲空気を加熱して関連する容器2を通して送り、次に放出することからなる。
【0078】
この再生サイクルのために、上記の再生回路21が使用される。
【0079】
このために、四方弁9は第2の位置に置かれ、バルブブロック5、6は、再生回路21が実現されるように調節される。この場合、ヒータ20もオンになっている。
【0080】
ブロア10は、周囲空気を吸い込み、周囲空気は、ガスが加熱されるヒータ20に沿って再生パイプ19を通過することになる。
【0081】
第2のバルブブロック6を介して、加熱されたガスは上記の他方の容器2にも供給され、この容器2を通過する際に乾燥剤から水分を引き出すことになる。
【0082】
第1のバルブブロック5を介して、高温湿潤ガスは、ガス放出ポート11を通って乾燥装置1から出ることになる。
【0083】
再生サイクルの後、ヒータ20はオフにされることになる。
【0084】
乾燥剤3が再生されると、容器2は冷却されることになる。
【0085】
この目的のために、本発明による方法が適用され、この方法は、本質的に、第1の冷却サイクル及び第2の冷却サイクルを提供することからなる。
【0086】
第1の冷却サイクルに関して、閉鎖型冷却回路17が使用され、周囲空気が冷却される容器2を通して送られる。
【0087】
第2の冷却サイクルに関して、開放型冷却回路14が使用され、出口8での乾燥圧縮ガスが分岐され、膨張され、冷却される容器2内を通り、その後、このガスは放出される。
【0088】
本方法は、所定の条件に基づいて、第1冷却サイクル又は第2冷却サイクルの一方又はその両方を適用することから成る。
【0089】
本方法の第1の代替実施形態では、本方法は、閉鎖型冷却回路17及び冷却器18を使用して、第1の冷却サイクルで対象の容器2を冷却することから成る。
【0090】
ブロア10によって吸い込まれた周囲空気は、閉鎖型冷却回路17を循環することになり、容器2を通過した後、冷却器18によって冷却される。次に、この冷却されたガスは、再びブロア10を経由して容器2を通過することになる。
【0091】
容器2が第1の冷却サイクルで冷却された後、この目的のために設けられた温度センサ23を用いて容器2の温度が測定される。
【0092】
この温度が所定の最高温度Tmaxよりも高い場合、この容器2は、第2の冷却サイクルで追加的に冷却される。
【0093】
次に、四方弁9は、図2に示す位置に切り替えられることになり、その後、第2の冷却サイクルを開始することができ、開放型冷却回路14を使用して、膨張して結果的に冷却された乾燥圧縮ガスを用いて、容器2を追加的に冷却することができる。
【0094】
分岐された乾燥圧縮ガスを膨張させるために、膨張弁13が使用される。
【0095】
本方法の第2の代替実施形態では、本方法は、対象の容器2が冷却される前に、この目的のために設けられた露点センサ24を用いて出口8での露点を決定する又は測定することから成る。
【0096】
露点が所定の最大露点DPmaxより低い場合、容器2は、第1の冷却サイクルで冷却される。
【0097】
しかながらし、露点が所定の最大露点DPmax以上である場合、容器2は、第2の冷却サイクルで冷却されることになる。
【0098】
上述のように、この第2の冷却サイクルの間に、容器2内で乾燥剤3の追加の乾燥が行われ、露点が低下することになる。
【0099】
容器2の冷却が完了した後、この容器2は、圧縮ガスの乾燥に使用することができるが、前に乾燥に使用した他方の容器2は、今度は上記の方法に従って再生及び冷却することができる。
【0100】
上述の方法の例では、第1の冷却サイクルのために、周囲空気がブロア10などによって吸い込まれ、その後、周囲空気が閉鎖型冷却回路17の中を循環する、閉鎖型冷却回路17が使用されるが、吸い込まれた周囲空気が、冷却される容器2を通過した後に放出される非閉鎖型回路が使用されることは除外されない。
【0101】
この場合、冷却器18が不要になるという利点がある。
【0102】
欠点は、容器2を冷却するために常に新しい周囲空気が吸い込まれることである。
【0103】
その結果、周囲空気が非常に湿潤である場合、容器2内に過剰な水分が入り、これにより出口8の露点が過度に上がる可能性がある。
【0104】
この場合、本発明の上記の第2の代替実施形態は、必要に応じて露点を下げることができるため、非常に好都合である。
【0105】
本発明の別の態様は、乾燥される圧縮ガスの入口と、乾燥された圧縮ガスの出口とを有する乾燥装置によって圧縮ガスを乾燥させる方法に関し、乾燥装置は、再生可能な乾燥剤で満たされた少なくとも2つの容器と、入口及び出口のそれぞれを容器に接続する第1のバルブブロック及び第2のバルブブロックで構成される制御可能なバルブシステムとを備え、制御可能なバルブシステムは、少なくとも一方の容器が圧縮ガスを乾燥させることになるが、他方の容器が連続して再生及び冷却されるように調節されており、バルブシステムを調節することにより、容器の各々が順番に圧縮ガスを乾燥させるようになっており、本方法は、再生される容器を再生する再生サイクルを提供することから成り、この再生サイクルは、周囲空気を加熱し、周囲空気を関連の容器に通し、その後、これを放出することから成る。
【0106】
これは、公知の乾燥装置1に、必ずしも第1及び第2の冷却サイクルを適用することなく、上述の再生サイクルを適用することを意味する。
【0107】
本発明は、例示的に説明され、図示された実施形態に決して限定されるものではなく、本発明による方法及び装置は、本発明の範囲を逸脱することなく、全ての形状及び大きさで実施することが可能である。
【符号の説明】
【0108】
1 乾燥装置
2 容器
3 再生可能な乾燥剤
4 制御可能なバルブシステム
5 第1のバルブブロック
6 第2のバルブブロック
7 入口
8 出口
図1
図2